説明

単分散キレート樹脂を製造する方法

【課題】単分散キレート樹脂を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含む架橋ポリマービーズに基づく新規な単分散キレート樹脂を製造する方法に関し、これは、重金属に対する高い捕捉能力および高い速度論的性能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含む架橋ポリマービーズに基づく新規な単分散キレート樹脂を製造する方法に関し、これは、重金属に対する高い捕捉能力および高い速度論的性能(rapid kinetics)を有する。
【背景技術】
【0002】
かなり長い間、有価金属および重金属たとえば、スズ、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、ウラン、ビスマス、バナジウム、白金族の元素たとえば、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、白金、さらには貴金属の金および銀などを、特に水溶液の形態から除去するためには、イオン交換樹脂が使用されてきた。この目的のためには、カチオン交換樹脂またはアニオン交換樹脂に加えて、キレート樹脂もまた好適に使用される。
【0003】
重金属または有価金属を除去するためにキレート樹脂を使用することに関しては、たとえば、(非特許文献1)に記載がある。特に、イミノ酢酸基を含むキレート樹脂が言及されている。キレート樹脂は、多くの場合、たとえば強い酸性のスルホン酸基を含むカチオン交換樹脂よりも、顕著に高い重金属選択性を示す。
【0004】
通常のイオン交換樹脂は、pH>4で、水溶液から重金属を吸収する。pHが約4よりも低いと、それらの官能基がプロトン化されるために、重金属に対するキレート樹脂の選択性が低下する。しかしながら、約4〜約1の範囲内の強酸性pHを有する溶液または懸濁液から重金属を除去することには、高い工業的な関心が寄せられている。
【0005】
重金属を回収するためには、硫酸を用いて岩石を処理する。岩石から有価金属を溶かし出すので、それらは強酸性の岩石−硫酸の懸濁液中に存在する。有価金属に加えて、岩石は多くの場合、鉄もまた含んでいるので、それは、鉄の3+イオンとして溶解した形で存在している。イオン交換樹脂は、鉄3+イオンを容易には吸収するものの、次いでそのイオン交換樹脂を再生させても、同じ程度で放出することはない。そのために、鉄イオンが、そのイオン交換樹脂の交換性能を妨害することになる。
【0006】
酸性の溶液または懸濁液から、4〜約1のpH範囲で、鉄イオンよりもかなり高い選択性で有価金属を吸収することが可能なイオン交換樹脂が求められている。
【0007】
(特許文献1)および(特許文献2)には、メチルアミノピリジン基を担持するキレート樹脂の記載がある。
【0008】
それらは、スチレンおよびジビニルベンゼンに基づくポリマービーズをハロメチル化することによって製造されるが、その場合芳香族環1個あたり平均して0.1〜1.0個のハロメチル基を、アミノメチルピリジンキレート官能性を追加するための反応性基として導入する。
【0009】
ポリマービーズのハロメチル化の程度を限定することは、キレート樹脂中のアミノメチルピリジン基の量、ひいては、そのキレート樹脂の交換性能を限定することにもなる。
【0010】
(特許文献1)に記載の官能基を導入するためのハロメチル化方法は、官能化の程度を限定するという欠点を有している。その欠点については、(特許文献3)に記載がある。たとえば、ハロメチル化の際に、後架橋が起こるために、ハロメチル基の損失が生じる。アミノメチルピリジンと反応させるべきハロメチル基に損失が生じた結果、得られるキレート樹脂では有価金属を回収するために使用される官能基が減り、そのために冶金におけるそれらの使用がかなり限定される。
【特許文献1】米国特許第4,098,867号明細書
【特許文献2】米国特許第4,031,038号明細書
【特許文献3】EP−A0 481 603
【非特許文献1】R.ヘリング(R.Hering)『Chelatbildende Ionentauscher』[キレート形成性イオン交換樹脂](アカデミー・フェルラーク(Akademie Verlag)、ベルリン(Berlin)、1967年、150〜157頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、低pHであっても安定で、鉄イオンの存在下でさえも酸性の水溶液から有価金属を効率的に吸収する高度に官能化された高容量キレート樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的、したがって本発明の主題の解決法は、官能基としてのアミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含む単分散キレート樹脂であって、ハロアルキル化中間体を避けて、フタルイミド法によってそれらを製造することを特徴とする。
【0013】
意外なことには、フタルイミド法によって製造したキレート交換樹脂は、後架橋を示さず、その結果、官能基を用いた芳香族環の置換がより高いレベルで達成され、そのために最終製品においてより高い交換容量が得られるということが見出された。さらに、従来技術によって最終製品を製造した場合に比較して、使用したモノマーを基準にした最終製品の収率が顕著に向上する。最後に、本発明のキレート樹脂は、従来技術に比較して、より好適な速度論的挙動と、より良好な分離効率を示す。
【0014】
好ましい実施態様においては、本発明は、アミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含む単分散キレート交換樹脂を製造する方法に関し、本方法は、
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物、少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物、および1種の重合開始剤または重合開始剤の組合せ、さらには場合によってはポロゲンのモノマーの微小液滴を反応させて、単分散架橋ポリマービーズを得ること、
b)それらの単分散架橋ポリマービーズを、フタルイミド誘導体を用いて、アミドメチル化すること、
c)そのアミドメチル化ポリマービーズを転化させてアミノメチル化ポリマービーズとすること、および
d)そのアミノメチル化ポリマービーズをハロメチル窒素複素環と、4〜9の範囲内のpHを維持しながら反応させて、後架橋なしで、アニオン交換基としてアミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含むキレート交換樹脂を形成させることを特徴とする。
【0015】
しかしながら、本発明はさらに、以下の工程:
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物、少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物、および1種の重合開始剤または重合開始剤の組合せ、さらには場合によってはポロゲンのモノマーの微小液滴を反応させて、単分散架橋ポリマービーズを得る工程、
b)それらの単分散架橋ポリマービーズを、フタルイミド誘導体を用いて、アミドメチル化する工程、
c)そのアミドメチル化ポリマービーズを転化させてアミノメチル化ポリマービーズとする工程、および
d)そのアミノメチル化ポリマービーズを、4〜9の範囲内にpHを維持しながら、ハロメチル窒素複素環と反応させて、後架橋なしで、アニオン交換基としてアミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含むキレート交換樹脂を形成させる工程
により得られる単分散キレート交換樹脂にも関する。
【0016】
本発明においては、工程d)の後で得られるキレート交換樹脂は、−CH−NHおよび/または−CH−N(R)の構造の官能基を有するが、ここでRが、水素またはメチル窒素複素環式基であり、Xが1、2または3である。本発明のキレート交換樹脂はマクロポーラス構造を有していることが好ましい。
【0017】
方法工程a)による単分散架橋ビニル芳香族基本ポリマーは、文献によって公知の方法により製造することができる。たとえば、そのような方法は、米国特許第4 444 961号明細書、EP−A0 046 535、米国特許第4 419 245号明細書または国際公開第93/12167号パンフレットに記載されている(それらの特許の内容を、方法工程a)に関して本発明の出願に援用する)。
【0018】
方法工程a)においては、少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物および少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物が使用される。しかしながら、2種以上のモノビニル芳香族化合物の混合物、および2種以上のポリビニル芳香族化合物の混合物を使用することもまた可能である。
【0019】
本発明の意味合いにおいて、方法工程a)におけるモノビニル芳香族化合物としては、好ましくはモノエチレン性不飽和化合物、特に好ましくはスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルを使用する。
【0020】
スチレンまたは、スチレンと上述のモノマーとの混合物を使用するのが特に好ましい。
【0021】
本発明の意味合いにおいて、方法工程a)におけるポリビニル芳香族化合物としては、好ましくは多官能エチレン性不飽和化合物、特に好ましくはジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、1,7−オクタジエン、1,5−ヘキサジエン、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートまたはメタクリル酸アリルが挙げられる。
【0022】
それらのポリビニル芳香族化合物は、モノマーまたは他のモノマーとのその混合物を基準にして、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜12重量%、特に好ましくは4〜10重量%の量で使用する。ポリビニル芳香族化合物(架橋剤)のタイプは、そのポリマービーズの後の使用法に関連させて選択する。多くの場合、ジビニルベンゼンが特に好ましい。多くの用途においては、ジビニルベンゼンの異性体に加えてさらにエチルビニルベンゼンを含んでいるような市販されているジビニルベンゼンの品質で充分である。
【0023】
本発明の好ましい実施態様においては、方法工程a)において、マイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴を使用するが、ここでそのモノマーの微小液滴をマイクロカプセル化するためには、複合コアセルベートとして使用される公知の物質、特にポリエステル、天然および合成ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレアが考えられる。
【0024】
天然ポリアミドとしては、ゼラチンを使用するのが好ましい。これは特に、コアセルベートおよび複合コアセルベートとして使用される。ゼラチン含有複合コアセルベートは、本発明の意味合いにおいては、ゼラチンと合成高分子電解質との組合せを特に意味することを想定している。好適な合成高分子電解質は、たとえば、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドを組み込んだコポリマーである。アクリル酸およびアクリルアミドを使用するのが特に好ましい。ゼラチン含有カプセルは、慣用される硬化剤、たとえばホルムアルデヒドまたはグルタルジアルデヒドを使用して硬化させることができる。ゼラチン、ゼラチン含有コアセルベートおよびゼラチン含有複合コアセルベートを用いたモノマーの微小液滴のカプセル化については、EP−A0 046 535に詳しい記載がある。合成ポリマーを使用してカプセル化する方法は公知である。たとえば、界面縮合法が極めて好適であるが、その方法においては、モノマー微小液滴中に溶解させた反応性成分(たとえばイソシアネートまたは酸塩化物)を、水相の中に溶解させた第二の反応性成分(たとえばアミン)と反応させる。
【0025】
場合によってはマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴には、重合を開始させるための、重合開始剤、または重合開始剤の混合物が含まれる。本発明の方法において好適な重合開始剤は、好ましくはペルオキシ化合物、特に好ましくは、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(p−クロロベンゾイル)ペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、tert−ブチルペルオクトエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、またはtert−アミルペルオキシ−2−エチヘキサン、ならびにさらにはアゾ化合物、特に好ましくは2,2'−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)または2,2'−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)などである。
【0026】
重合開始剤は、モノマー混合物を基準にして、好ましくは0.05〜2.5重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の量で使用する。
【0027】
場合によってはマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴に対するさらなる添加剤としては、場合によっては、球状ポリマー中にマクロポーラス構造を形成させるためにポロゲンを使用することもできる。そのためには、生成するポリマーに対しての溶解性または膨潤性の弱い有機溶媒が適している。好適には、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、イソドデカン、メチルエチルケトン、ブタノールまたはオクタノールおよびその異性体をあげることができる。
【0028】
ミクロポーラスまたはゲルタイプまたはマクロポーラスという表現は、専門家による文献においてすでに詳しく説明されている。方法工程a)によって製造される、本発明の意味合いにおいて好適なポリマービーズは、マクロポーラス構造を有している。
【0029】
本出願においては、単分散とは、その中の粒子の少なくとも90容量または質量%が、最多直径(most frequent diameter)の前後で最多直径の±10%の幅の間隔中に入る直径を有している、ポリマービーズまたはキレート樹脂を示している。
【0030】
たとえば、0.5mmの最多直径を有するポリマービーズの場合には、少なくとも90容量または質量%が、0.45mm〜0.55mmの間のサイズとなっており、0.7mmの最多直径を有する物質の場合には、少なくとも90容量または質量%が0.77mm〜0.63mmの間のサイズとなっている。
【0031】
本発明においては、工程a)におけるポリマービーズの単分散性は、ジェット法(ノズル射出法)またはシードフィード法を使用することにより得られる。たとえば、そのような方法、およびそれによって製造される単分散イオン交換樹脂については、米国特許第4,444,961号明細書、EPA0 046 535、米国特許第4,419,245号明細書、または国際公開第93/12167号パンフレットに記載されている。
【0032】
単分散、マクロポーラスポリマービーズの形成は、たとえば、重合の際にモノマー混合物に不活性物質(ポロゲン)を添加することによって促進させることができる。そのために好適な物質は、特に、モノマー中には溶解するが、ポリマーへの溶解性または膨潤性が乏しい有機物質(ポリマーに対する沈殿剤)、たとえば脂肪族炭化水素である(ファルベンファブリケン・バイエル(Farbenfabriken Bayer)、DBP1045102、1957;DBP1113570、1957年)。
【0033】
米国特許第4,382,124号明細書においては、スチレン/ジビニルベンゼンに基づく単分散、マクロポーラスポリマービーズを製造するために、ポロゲンとしては、たとえば4〜10個の炭素原子を有するアルコールが使用されている。さらに、マクロポーラスポリマービーズの製造法についての概説が記載されている。
【0034】
場合によってはマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴には、場合によってはさらに、(モノマーを基準にして)30重量%までの架橋または非架橋ポリマーが含まれていてもよい。好適なポリマーは、上述のモノマー、好ましくはスチレンから誘導される。
【0035】
場合によってはカプセル化されたモノマーの微小液滴の平均粒径は、10〜1000μm、好ましくは100〜1000μmである。方法工程a)に従って単分散ポリマービーズを製造する場合、その水相には、場合によっては、溶解された重合抑制剤が含まれていてもよい。本発明の意味合いにおいて考えられる重合抑制剤は、無機物質、有機物質の両方である。無機重合抑制剤の例は、窒素化合物たとえば、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、亜硝酸ナトリウムおよび亜硝酸カリウム、リン酸塩たとえば亜リン酸水素ナトリウム、さらには硫黄化合物たとえば、亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ロダン化ナトリウムおよびロダン化アンモニウムである。有機重合抑制剤の例は、フェノール系化合物たとえば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、レソルシノール、ピロカテコール、tert−ブチルピロカテコール、ピロガロール、およびフェノールとアルデヒドとの縮合反応生成物である。さらなる好適な有機重合抑制剤は、窒素化合物である。それらに含まれるものとしては、ヒドロキシルアミン誘導体たとえば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N−イソプロピルヒドロキシルアミン、およびスルホン化またはカルボキシル化されたN−アルキルヒドロキシルアミン、またはN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン誘導体、ヒドラジン誘導体たとえばN,N−ヒドラジノ二酢酸、ニトロソ化合物たとえばN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、またはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩などが挙げられる。重合抑制剤の濃度は、(水相を基準にして)5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm、特に好ましくは10〜250ppmである。
【0036】
球状の単分散ポリマービーズを得るための、場合によってはマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴の重合は、上述したように、水相中で好ましくは1種または複数の保護コロイドの存在下に進行させる。好適な保護コロイドは、天然または合成の水溶性ポリマーたとえば、ゼラチン、デンプン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、または(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとのコポリマーである。特に好適な化合物としてはさらに、セルロース誘導体、特にセルロースエステルおよびセルロースエーテル、たとえばカルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。特に高度に好適な化合物はゼラチンである。その保護コロイドの使用割合は、水相を基準にして、通常は0.05〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0037】
方法工程a)において球状で、単分散の、マクロポーラスポリマービーズを得るための重合は、場合によっては、緩衝系の存在下で実施することもできる。重合の開始時の水相のpHを、14〜6の間、好ましくは12〜8の間の値に設定できる緩衝系が好ましい。それらの条件下では、保護コロイドは、カルボキシル基の全部または一部が塩の形で存在する。このようにして、保護コロイドの作用が好ましい影響を与える。特に好適な緩衝系には、リン酸塩またはホウ酸塩が含まれる。本発明の意味合いにおいては、リン酸塩およびホウ酸塩という表現には、オルト形に相当する、酸と塩の縮合反応生成物も含まれる。水相中のリン酸塩またはホウ酸塩の濃度は、0.5〜500ミリモル/L、好ましくは2.5〜100ミリモル/Lである。
【0038】
したがって、重合の際の撹拌機速度は極めて重要であるが、通常のビーズ重合とは対照的に、粒径には影響しない。懸濁液中に懸濁されたモノマー微小液滴を保持し、重合熱を除去するのに充分な低い攪拌機速度を用いる。この作業のためには、各種のタイプの撹拌機が使用できるが、特に好適な撹拌機は、軸駆動ゲート撹拌機(axially-acting gate agitator)である。
【0039】
カプセル化されたモノマーの微小液滴と水相との容積比は、好ましくは1:0.75から1:20まで、特に好ましくは1:1から1:6までである。
【0040】
重合温度は、重合開始剤の分解温度に依存する。それは、一般的には50〜180℃の間、好ましくは55〜130℃の間である。重合を0.5時間〜数時間続ける。重合を低い温度たとえば60℃で開始させ、重合の転化率が上がるにつれて反応温度を上げていくような、温度プログラムを採用するのが有用であることが判明した。このようにして、たとえば、信頼性の高い反応経路および高い重合転化率に対する要求が、きわめて容易に満たされる。重合させた後で、従来の方法たとえば、濾過やデカントでそのポリマーを単離し、場合によっては洗浄する。
【0041】
方法工程b)においては、最初にアミドメチル化反応剤を形成させる。このためには、たとえば、フタルイミドまたはフタルイミド誘導体を溶媒中に溶解させ、ホルマリンと混合する。次いで、それから水を除去すると、ビス(フタルイミド)エーテルが生成する。そのビス(フタルイミド)エーテルは、場合によっては、転化させてフタルイミドエステルにすることができる。本発明の意味合いにおいて好適なフタルイミド誘導体は、フタルイミドそのものか、あるいは置換フタルイミドたとえば、メチルフタルイミドである。
【0042】
溶媒としては、方法工程b)において、ポリマーを膨潤させるのに適した不活性溶媒、好ましくは塩素化炭化水素、特に好ましくはジクロロエタンまたは塩化メチレンを使用する。
【0043】
方法工程b)において、フタルイミド誘導体を用いて、ポリマービーズを縮合させる。この場合には、触媒としては、発煙硫酸、硫酸または三酸化硫黄を使用する。
【0044】
フタル酸残基を除去し、それによりアミノメチル基を遊離させることは、方法工程c)において、100〜250℃、好ましくは120〜190℃の間の温度で、フタルイミドメチル化架橋ポリマービーズを、アルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水性またはアルコール性溶液で処理することにより進行させる。水酸化ナトリウム溶液の濃度は、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%の範囲内である。この方法によって、1より大きい芳香族環の置換を有する、アミノアルキル含有架橋ポリマービーズの製造が可能となる。
【0045】
得られたアミノメチル化ポリマービーズを、最後に脱イオン水を用いて洗浄してアルカリフリーとする。
【0046】
方法工程d)においては、水性懸濁液中で、工程c)からのアミノメチル含有単分散架橋ビニル芳香族ポリマービーズを、クロロメチルピリジンもしくはその塩酸塩、または2−クロロメチルキノリンもしくは2−クロロメチルピペリジンと反応させることによって、本発明のイオン交換樹脂を製造する。
【0047】
クロロメチルピリジンまたはその塩酸塩は、2−クロロメチルピリジン、3−クロロメチルピリジンまたは4−クロロメチルピリジンとして使用することができる。
【0048】
方法工程d)における好適な反応剤としては、2−クロロメチルピリジン塩酸塩、好ましくは水溶液中のものを使用する。
【0049】
方法工程d)における反応は、pHを4〜9の範囲内に維持して進行させ、好ましくは、アルカリ、特に好ましくは水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液、特別に好ましくは水酸化ナトリウム溶液を添加して実施する。方法工程c)からのアミノメチル含有単分散、架橋ビニル芳香族基本ポリマーを、水性懸濁液中で、ハロメチル窒素複素環、好ましくは塩化ピコリルまたはその塩酸塩と反応させる際に、アルカリを添加することによって、反応中にそのpHを4〜9の範囲内に維持する。そのpHを6〜8の範囲内に維持するのが好ましい。
【0050】
本発明の文脈においては、方法工程d)における前記反応の転化率が、反応の際に存在している懸濁液のpHにかなり依存することが見出された。たとえば、本発明においては、最高の転化率、すなわち最高の収率は、4〜9のpH、好ましくは6〜8のpH、特には約7のpHの時に達成される(表2を参照されたい)。
【0051】
方法工程d)における反応は、好ましくは40〜100℃の温度範囲、特に好ましくは50〜80℃の温度範囲で進行する。
【0052】
本発明に従って製造された、キレート化官能基を有するイオン交換樹脂は、水溶液および有機液体、好ましくは酸性水溶液から、金属、特に重金属および貴金属ならびにそれらの化合物を吸着させるのに好適である。本発明に従って製造され、キレート化基を有するイオン交換樹脂は、水溶液から、特に、アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の水溶液から、アルカリ金属塩化物の電気分解の塩性溶液から、塩酸水溶液から、廃水もしくは煙道ガススクラバーから、さらには、液状またはガス状炭化水素、カルボン酸たとえばアジピン酸、グルタル酸もしくはコハク酸、天然ガス、天然ガス凝縮液、鉱油またはハロゲン化炭化水素たとえば塩素化もしくはフッ素化炭化水素またはフルオロ/クロロカーボンから、重金属または貴金属を除去するのに特に好適である。さらに、本発明のイオン交換樹脂は、たとえばアルカリ金属塩化物の電気分解において慣用されてきた塩性溶液からアルカリ土類金属を除去するのにも適している。しかしながら、本発明のイオン交換樹脂はさらに、電気分解処理、たとえばアジポニトリルを形成させるためのアクリロニトリルの二量化の際に反応させる物質から重金属、特に鉄、カドミウムまたは鉛を除去するのにも好適である。
【0053】
本発明において製造されるイオン交換樹脂は、上述の溶液、液体またはガスから、水銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、ウラン、バナジウム、白金族の元素、金または銀を除去するのに、極めて特に適している。
【0054】
特に、本発明のイオン交換樹脂は、有機溶液または溶媒から、ロジウムもしくは白金族の元素、およびさらには金、銀もしくはロジウムまたは貴金属含有触媒残渣を除去するのに好適である。
【0055】
有価金属を回収するための冶金に加えて、このアミノメチルおよび/またはアミノメチル窒素複素環式基を有する単分散キレート交換樹脂は、化学産業、エレクトロニクス産業、廃水処理/リサイクル産業、または、めっき、電鋳もしくは表面技術など、多くの各種使用分野において非常に好適である。
【0056】
[分析方法]
架橋ポリスチレンポリマービーズ中の塩基性アミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基の量の測定
100mLのアミノメチル化ポリマービーズを充填容積計(tamping volumeter)の上で振動させてから、脱イオン水を用いてガラスカラムの中に流し込む。1時間40分間の間に、1000mLの2重量%水酸化ナトリウム溶液を濾過通過させる。次いで脱イオン水を濾過通過させて、フェノールフタレインと混合した100mLの溶出液の0.1N(0.1規定)塩酸の消費量が0.05mL以下となるまで続ける。
【0057】
ガラスビーカーの中で、50mLのこの樹脂を、50mLの脱イオン水および100mLの1N塩酸と混合する。その懸濁液を30分間撹拌してから、ガラスカラムの中に仕込む。液体を抜き出す。さらに100mLの1N塩酸を、20分間かけてその樹脂の中を濾過通過させる。次いで、200mLのメタノールを濾過通過させる。すべての溶出液を集め、合わせて、メチルオレンジ指示薬で、1N水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定する。
【0058】
1リットルのアミノメチル化樹脂中のアミノメチル基の量を次式に従って計算する:
(200−V)・20=アミノメチル基のモル数/樹脂1リットル。
【0059】
[キレート樹脂中のメチルピリジン基の量の測定]
50mLの湿ったアミノメチル化ポリマービーズを、乾燥器中、真空中70℃で、恒量になるまで乾燥させる。
【0060】
50mLの乾燥重量は14.78グラムである。
【0061】
実施例1d)からの硫酸塩形のメチルピリジン担持キレート樹脂100mLをカラムに仕込む。上から、400mLの4重量%強度の水酸化ナトリウム水溶液を濾過通過させる。次いで残存する水酸化ナトリウム溶液を抽出するために、上から脱イオン水を濾過通過させて、その溶出液がpH<10となるまで続ける。
【0062】
そのようにして処理した樹脂の50mLを、乾燥器中、真空中70℃で、恒量になるまで乾燥させる。
【0063】
50mLの乾燥重量は18.47グラムである。
【0064】
実施例1c)からのアミノメチル化ポリマービーズ(300mL)の全乾燥重量は88.73グラムである。
【0065】
実施例1d)からの遊離塩基形のメチルピリジン担持不活性ポリマービーズ(555mL)の全乾燥重量は205.04グラムである。
205.04グラム−88.73グラム=116.31グラム
【0066】
実施例1d)からのメチルピリジン担持樹脂には、116.31グラムのメチルピリジン基が含まれているが、これは、1.264モルのメチルピリジンと等価である。
【0067】
実施例1c)からのアミノメチル化ポリマービーズ300mLには、300×2.17=651ミリモルの塩基性基が含まれている。
【0068】
それぞれの塩基性アミノメチル基には、メチルピリジン基によって置換することが可能な2個の水素原子が含まれている。
1.264/0.651=1.94
【0069】
統計的平均としては、2個の水素原子の内の1.94個がメチルピリジン基によって置換される。
【実施例】
【0070】
[実施例1]
1a)スチレン、ジビニルベンゼンおよびエチルスチレンに基づいた単分散、マクロポーラスポリマービーズの製造
3000gの脱イオン水を10Lのガラス製反応器に仕込み、320gの脱イオン水中10gのゼラチン、16gのリン酸水素二ナトリウム十二水和物および0.73gのレソルシノールの溶液を添加し、混合する。その混合物の温度を25℃に調節する。撹拌しながら、次いで、3.6重量%のジビニルベンゼンおよび0.9重量%のエチルスチレン(市販されている、80%のジビニルベンゼンを含むジビニルベンゼンとエチルスチレンとの異性体混合物を使用)、0.5重量%のジベンゾイルペルオキシド、56.2重量%のスチレンならびに38.8重量%のイソドデカン(高い割合でペンタメチルヘプタンを有する工業的異性体混合物)の、狭い粒径分布を有するマイクロカプセル化されたモノマーの微小液滴の3200gの混合物を添加したが、ここで、そのマイクロカプセルは、ゼラチンおよびアクリルアミドとアクリル酸とのコポリマーホルムアルデヒド硬化複合コアセルベートからなり、そして、pHが12の水相3200gを添加した。そのモノマーの微小液滴の平均粒径は460μmであった。
【0071】
撹拌しながら、25℃から開始して95℃で終了する温度プログラムに従って昇温させることにより、そのバッチを完全に重合させた。そのバッチを冷却し、32μmの篩の上で洗浄してから、真空中80℃で乾燥させた。これにより、平均粒径440μmで、狭い粒径分布と滑らかな表面を有する球状ポリマー1893gが得られた。
【0072】
そのポリマーの外観はチョークホワイトで、約370g/Lのかさ密度を有していた。
【0073】
1b)アミドメチル化ポリマービーズの製造
室温で、1819gのジクロロエタン、540.7gのフタルイミドおよび373.65gの30.1重量%強度ホルマリンを仕込んだ。水酸化ナトリウム溶液を用いてその懸濁液のpHを調節して5.5〜6とした。次いで、蒸留により水を除去した。次いで、39.6gの硫酸を添加した。生成した水を蒸留により除去した。そのバッチを冷却した。30℃で、144.9gの65%強度の発煙硫酸、それに続けて371.4gの方法工程1a)に従って製造した単分散ポリマービーズを添加した。次いで、さらに1100mLの1,2−ジクロロエタンを添加した。その懸濁液を加熱して70℃とし、その温度でさらに6.5時間撹拌した。その反応液を取り出し、脱イオン水を加え、残存量のジクロロエタンを蒸留により除去した。
アミドメチル化ポリマービーズの収量:1860mL
元素組成:
炭素:76.6重量%;
水素:4.9重量%;
窒素:5.5重量%;
残り:酸素。
【0074】
1c)アミノメチル化ポリマービーズの製造
実施例1b)からのアミドメチル化ポリマービーズ1830mLに、室温で、2496gの17.4重量%強度の水酸化ナトリウム溶液を添加した。その懸濁液を加熱して180℃とし、その温度で8時間撹拌した。次いで、その混合物を冷却して室温とした。得られたポリマービーズを、脱イオン水を用いて洗浄した。
アミノメチル化ポリマービーズの収量:1510mL
概算全収量:1535mL
元素組成:
窒素:9.8重量%
炭素:80.1重量%
水素:8.1重量%
酸素:2.5重量%
HCl価:2.17モル/L。
【0075】
そのアミノメチル化ポリマービーズの元素組成から、統計的平均としては、スチレンおよびジビニルベンゼン単位に由来する芳香族環1個あたり、1.0個の水素原子がアミノメチル基によって置換されていると計算できる。
【0076】
1d)pH7でのメチルピリジン担持キレート樹脂の製造
200mLの脱イオン水に、実施例1c)からの300mLのアミノメチル化ポリマービーズを室温で添加した。その懸濁液を加熱して70℃とした。次いで、塩化ピコリル塩酸塩の80重量%強度水溶液293.6gを、4時間かけて添加した。同時に、50重量%強度の水酸化ナトリウム溶液を添加することにより、その懸濁液のpHをpH7に維持した。次いで、その混合物をこの温度でさらに6時間撹拌した。
【0077】
次いで、その懸濁液を冷却した。脱イオン水を用いてその樹脂を洗浄して、塩化物フリーとした。
収量:555mL
【0078】
50mLの樹脂の乾燥重量は18.47グラムであった。
【0079】
統計的平均としては、2個の水素原子の内の1.94個がメチルピリジン基によって置換されていた。
【0080】
その樹脂をカラムの中に充填し、上から、4000mLの4重量%強度の硫酸を仕込んで、硫酸塩形に転化させた。
樹脂容積:675mL
硫酸塩形の樹脂の全容量:1.97モル/L(樹脂)(樹脂1L当たり1.97モル)
【0081】
[実施例2]
pH8でのメチルピリジン担持キレート樹脂の製造
実施例1c)の通り反応を進めたが、ただしpH8を使用した。
収量:545mL
【0082】
50mLの樹脂の乾燥重量は18.41グラムであった。
【0083】
統計的平均としては、2個の水素原子の内の1.87個がメチルピリジン基によって置換されていた。
【0084】
その樹脂をカラムの中に充填し、上から、4000mLの4重量%強度の硫酸を仕込んで、硫酸塩形に転化させた。
樹脂容積:655mL
硫酸塩形の樹脂の全容量:1.956モル/L(樹脂)(樹脂1L当たり1.956モル)
【0085】
[実施例3]
pH9でのメチルピリジン担持キレート樹脂の製造
実施例1c)の通り反応を進めたが、ただしpH9を使用した。
収量:535mL
【0086】
50mLの樹脂の乾燥重量は18.34グラムであった。
【0087】
統計的平均としては、2個の水素原子の内の1.80個がメチルピリジン基によって置換されていた。
【0088】
その樹脂をカラムの中に充填し、上から、4000mLの4重量%強度の硫酸を仕込んで、硫酸塩形に転化させた。
樹脂容積:645mL
硫酸塩形の樹脂の全容量:1.952モル/L(樹脂)(樹脂1L当たり1.952モル)
【0089】
[実施例4]
pH10でのメチルピリジン担持キレート樹脂の製造
実施例1c)の通り反応を進めたが、ただしpH10を使用した。
収量:520mL
【0090】
50mLの樹脂の乾燥重量は18.13グラムであった。
【0091】
統計的平均としては、2個の水素原子の内の1.67個がメチルピリジン基によって置換されていた。
【0092】
その樹脂をカラムの中に充填し、上から、4000mLの4重量%強度の硫酸を仕込んで、硫酸塩形に転化させた。
樹脂容積:640mL
硫酸塩形の樹脂の全容量:1.972モル/L(樹脂)(樹脂1L当たり1.072モル)
【0093】
本発明との関連においては、脱イオン水とは、0.1〜10μSの電導度を有していることで特徴づけられるが、ここで、溶解または非溶解金属イオンの含量は、個々の成分、Fe、Co、Ni、Mo、Cr、Cuとしては1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下であり、前記金属の合計としては10ppm以下、好ましくは1ppm以下である。
【0094】
[実施例5]
10mLの実施例1d)からのキレート樹脂を、0.99グラム銅/リットル溶液を含む硫酸銅溶液250mLの中に入れ、そのpHを調節してpH2とした。その懸濁液を室温で5時間振盪させた。次いで、その溶液の中の残存銅含量を分析した:0.009グラム銅/リットル溶液。
【0095】
[例6]
10mLのダウ(DOW)M4195キレート樹脂を、0.99グラム銅/リットル溶液を含む硫酸銅溶液250mLの中に入れ、そのpHを調節してpH2とした。その懸濁液を室温で5時間振盪させた。次いで、その溶液の中の残存銅含量を分析した:0.09グラム銅/リットル溶液。
【0096】
実施例5および例6において、本発明により製造されたメチルピリジン基含有キレート樹脂は、ピコリル基を有するさまざまな大きさのキレート樹脂の、市販の製品であるダウ(DOW)M4195よりも、顕著に高い速度で水溶液から銅イオンを吸収することがわかる(表1参照)。
【0097】
さらに、本発明により製造されたキレート樹脂は、ダウ(DOW)M4195よりも、好ましい速度論的挙動を示す。
【0098】
【表1】

【0099】
表2に、pHの関数としての二重置換(double substitution)の程度、および製造プロセス時の低pHでの収量の増加を示す。
【0100】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能基としてアミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含む単分散キレート樹脂を製造する方法であって、
ハロアルキル化中間体を避けて、フタルイミド法によりそれらを製造し、そして、ハロメチル窒素複素環との反応の際にpHを4〜9の範囲内に維持することを特徴とする、方法。
【請求項2】
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物、少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物、および1種の重合開始剤または重合開始剤の組合せ、さらには場合によってはポロゲンのモノマーの微小液滴を反応させて、単分散架橋ポリマービーズを得ること、
b)それらの単分散架橋ポリマービーズを、フタルイミド誘導体を用いて、アミドメチル化すること、
c)前記アミドメチル化ポリマービーズを転化させてアミノメチル化ポリマービーズとすること、および
d)前記アミノメチル化ポリマービーズを反応させて、後架橋させることなく、官能基としてアミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含むキレート交換樹脂を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノマーの微小液滴がポロゲンを含み、重合させた後にはマクロポーラス架橋ポリマービーズを形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマーの微小液滴が、複合コアセルベートを用いてマイクロカプセル化されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
方法工程a)が保護コロイドの存在下に実施されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モノビニル芳香族化合物として、モノエチレン性不飽和化合物が使用されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
方法工程b)において、フタルイミドエーテルが最初に形成されることを特徴とする、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
a)少なくとも1種のモノビニル芳香族化合物、少なくとも1種のポリビニル芳香族化合物、および1種の重合開始剤または重合開始剤の組合せ、さらには場合によってはポロゲンのモノマーの微小液滴を反応させて、単分散架橋ポリマービーズを得る工程、
b)それらの単分散架橋ポリマービーズを、フタルイミド誘導体を用いて、アミドメチル化する工程、
c)前記アミドメチル化ポリマービーズを転化させてアミノメチル化ポリマービーズとする工程、および
d)前記アミノメチル化ポリマービーズをハロメチル窒素複素環と、4〜9の範囲内のpHを維持しながら反応させて、後架橋なしで、アニオン交換基としてアミノメチル基および/またはアミノメチル窒素複素環式基を含むキレート交換樹脂を形成させる工程
により得られる、単分散キレート交換樹脂。
【請求項9】
アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の水溶液もしくはそれらの蒸気から、アルカリ金属塩化物電気分解の塩性溶液から、塩酸水溶液から、廃水もしくは煙道ガススクラバー、地下水もしくは埋立て廃水から、液状またはガス状炭化水素、天然ガス、天然ガス凝縮液、鉱油から、およびさらには液状もしくはガス状ハロゲン化炭化水素から重金属または貴金属を除去するための、請求項8に記載のキレート交換樹脂の使用。
【請求項10】
蒸気、アルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の水溶液、アルカリ金属塩化物電気分解の塩性溶液、塩酸水溶液、廃水もしくは煙道ガススクラバー、地下水もしくは埋立て廃水、液状もしくはガス状炭化水素、カルボン酸、または液状もしくはガス状のハロゲン化炭化水素から重金属または貴金属を除去する方法であって、
請求項8に記載のイオン交換樹脂を使用することを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記除去される重金属または貴金属が、水銀、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、マンガン、ウラン、バナジウム、白金族の元素、金または銀であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【公開番号】特開2009−24171(P2009−24171A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185223(P2008−185223)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】