説明

単回使用滅菌容器

【課題】経済的であり、目視検査が容易であり、臨床医に無菌性への信頼を与える滅菌容器を提供する。
【解決手段】本発明は、外科器具を滅菌して保管し、無菌で外科器具を滅菌状態で提供するための再使用不能なロック式容器を提供する。本発明の再使用不能なロック式滅菌容器には、トレイ、蓋、透過性フィルタ、再使用不能ロック部分及び脆弱な切り離し部分が含まれており、これらは、容器を単一滅菌サイクルまたは単回使用のみに制限するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許出願第12/317,657号(特許文献1)の一部継続出願であり、これに基づく優先権を主張する。特許文献1は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0002】
本発明は、単回使用滅菌容器に関する。
【背景技術】
【0003】
患者への有害かつ伝染性の病原菌の拡散を最小限に抑えるために、医療行為に用いられる物品を滅菌することは不可欠である。通常、医療行為に用いられる物品は、ガス透過性材料で作られた滅菌ラップで包装されるか、再使用可能な通気孔付き硬質滅菌容器に入れられる。これらの滅菌ラップまたは滅菌容器は、滅菌ラップまたは滅菌容器並びにその内容物が滅菌プロセスを経て滅菌された後、滅菌容器内に収容される物品及びこれらの滅菌ラップまたは滅菌容器の内部の無菌性を保持する。通常の滅菌プロセス中、滅菌ラップまたは通気孔付き硬質滅菌容器は、滅菌チャンバ内に入れられ、滅菌ラップのガス透過性材料または硬質滅菌容器の複数の通気孔によって、滅菌容器内の滅菌されることになる物品にガス滅菌剤を接触させることができる。
【0004】
現行のガス滅菌処置の例には、ガスプラズマ滅菌、蒸気滅菌、エチレンオキシド(酸化エチレン)滅菌、過酸化水素滅菌及びオゾン滅菌が含まれる。照射殺菌などの他の滅菌処置が用いられることもある。
【0005】
滅菌ラップの利用及び/または通気孔付きの再使用可能な硬質滅菌容器の使用は一般的には効果的であるが、これらの各物品には或る種の欠点が伴う。
【0006】
滅菌ラップは、比較的薄くて安価な軟質材料で作られており、通常は初期費用が低い。しかし、滅菌されることになる物品は、滅菌ラップで包装される前に金属製の滅菌トレイ内に置かれることが多い。これらの滅菌トレイは、鋭いエッジ部分または他の特徴部を有しており、ラップがこれらの特徴部と接触すると、力が集中して非常に小さな裂け目や鉤裂きを生じさせることがある。包装されたトレイは、滅菌前または滅菌後にカートに載せて運搬したり積み重ねたりすると、圧力または衝撃のせいでバリヤ部における非常に小さな裂け目または破損を生じさせる他の原因がラップに生じかねない。これらの裂け目が原因で物品が細菌または他の有害物質によって汚染される可能性があり、そうなると、被滅菌物品を追加費用をかけて再処理及び再滅菌を行う必要があるので、余分な費用がかさむことになる。
【0007】
滅菌ラップの使用に関するさらなる問題は、可視性に欠けることである。滅菌ラップは通常、透明な材料で作られていないので、滅菌ラップを利用する医療専門家は、内容物をチェックしたり滅菌処置が完了したことを確認したりするために滅菌ラップ内に収容されている物品を視覚的に検査することができない。そのせいで、医療専門家が処置中に間違った滅菌トレイを開けてしまったり、かつ/またはトレイが本当に滅菌されているかどうか自信が持てないことがある。その結果、トレイ及び物品は、経済資源及び時間資源の双方を無駄にする不必要な再処理及び再滅菌を必要とすることがある。
【0008】
再使用可能な通気孔付き硬質滅菌容器に関しては、一般的には効果的であるが、これらの容器は、再使用が可能であるように、使用後に次に使用されるまで十分に良好な状態に維持されかつ洗浄されなければならない。対照的に、滅菌ラップは通常、単回使用後に廃棄される。再使用可能な滅菌容器は、これらの硬質容器を再使用のために処理しかつ良好な状態に維持するために職員のレベルを上げる必要があるので、病院の相当量の経済資源及び時間資源を必要とする。さらに、容器の使用が長期にわたっていればいるほど、臨床医は容器の滅菌効果に自信が持てなくなる。最終的に、これらの容器は、修理されるか、修復されるか、または廃棄されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第12/317,657号
【特許文献2】米国特許第3,849,241号明細書
【特許文献3】米国特許第4,340,563号明細書
【特許文献4】米国特許第3,692,618号明細書
【特許文献5】米国特許第3,802,817号明細書
【特許文献6】米国特許第3,338,992号明細書
【特許文献7】米国特許第3,341,394号明細書
【特許文献8】米国特許第3,502,763号明細書
【特許文献9】米国特許第3,502,538号明細書
【特許文献10】米国特許第3,542,615号明細書
【特許文献11】米国特許第3,542,615号明細書
【特許文献12】米国特許第5,382,400号明細書
【特許文献13】米国特許第4,041,203号明細書
【特許文献14】米国特許第5,464,688号明細書
【特許文献15】米国特許第5,169,706号明細書
【特許文献16】米国特許第4,766,029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、当分野において、経済的であり、目視検査が容易であり、臨床医に無菌性への信頼を与える滅菌容器が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、外科器具を滅菌して保管し、無菌で開き、無菌で外科器具を滅菌状態で提供するための再使用不能なロック式容器を提供する。再使用不能なロック式滅菌容器には、容器を単一滅菌サイクルまたは単回使用のみに制限する複数の要素の組合せが含まれる。一般的に言えば、再使用不能なロック式滅菌容器には、トレイ、蓋、透過性フィルタ、再使用不能ロック部分及び脆弱な切り離し部分が含まれる。
【0012】
トレイは、ベース部と、該ベース部に結合された近位部分及びベース部から離間した遠位部分を各々が有する複数の側部と、該複数の側部の複数の遠位部分によって画定されるリム部とを含む。リム部は、バリヤ部の下側部分を形成するかまたは含む。
【0013】
蓋は、中央部分と、リップ部とを含み、リップ部は、バリヤ部の上側部分を形成するかまたは含む。蓋及びトレイは、互いに固定されたとき、外科器具を収容するためのチャンバを画定する。リップ部及びリム部は、互いに適切に固定されたとき、トレイと蓋の間に、チャンバ内に微生物が入り込むことを阻害するためのバリヤ部を形成する。バリヤ部は、微生物が入り込むことを阻害するために、容器の外側からチャンバまで蛇行した経路を画定し得る。二者択一的及び/または追加的に、バリヤ部は、微生物が入り込むことを阻害するために、トレイと蓋の間に、密閉部を提供することもできる。この密閉部は、例えば、ガスケット、軟質材料及び/または感熱材料など、様々なシール材料またはシール機構で提供され得る。
【0014】
本発明の或る実施形態によれば、蓋は、中央ゾーンに結合された近位部分及び中央ゾーンから離間した遠位部分を有する複数の側部をさらに含み得る。そのような実施形態では、リップ部は、複数の側部の複数の遠位部分によって画定され得る。換言すれば、蓋は、比較的薄いかまたは平面的なものである代わりに、より3次元的な、長さ、幅及び高さを有する構造を有し得る。一部の実施形態では、蓋は、トレイより大きな高さ(すなわち、より大きな3次元性)を有し得る。
【0015】
透過性フィルタは、滅菌剤が容器の外側からチャンバに入るための経路を提供する。透過性フィルタはまた、微生物を通過させることなく空気などのガスがチャンバに出入りできるようにすることによって、滅菌後にチャンバの内側において無菌状態を維持する。透過性フィルタは、望ましくは、蓋の中央部分に位置し、容器の外側とチャンバとの間に設けられた1若しくは複数の穴及び/または通路と連通して配置される。しかし、透過性フィルタ並びにフィルタと連通している穴及び/または通路は、蓋の他の部分や、さらにはトレイに設けることもできる。透過性フィルタは、滅菌容器用に用いられる従来のフィルタ材料であってよい。フィルタは、単回使用後に、廃棄されるように十分に安価なものであるか、またはトレイ及び蓋とともに再利用されるものとする。例示的なフィルタ材料には、例えば、ポリオレフィンメルトブローン材料などの不織フィルタ材料及び、スパンボンド材料とメルトブローン材料の積層体などの不織布積層体材料が含まれる。
【0016】
再使用不能ロック部分は、トレイ及び蓋を互いに固定するために用いられる。本発明によれば、再使用不能ロック部分には、蓋の一部を形成する上側ロック要素と、トレイの一部を形成する下側ロック要素とが含まれる。容器を密閉するように蓋をトレイに嵌め合わせると、下側及び上側ロック要素はしっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成する。すなわち、ロック部分及び/またはトレイまたは蓋の一部を破損または破壊せずに上側及び下側ロック要素を容易に係合解除することはできない。本発明の一部の実施形態では、下側ロック要素は、実質的にまたは完全にトレイの一部から形成されることができ、上側ロック要素は、実質的にまたは完全に蓋の一部から形成されることができる。
【0017】
蓋及びトレイを互いに固定する際には、ただ1つの再使用不能ロック部分を用いてもよいが、様々な位置において複数の再使用不能ロック部分を用いることが望ましいであろう。本発明の一部の実施形態では、再使用不能ロック部分は、蓋及びトレイを互いに固定するためにしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように機械的に噛み合う上側及び下側ロック要素を含む。上側及び下側ロック要素は、しっかり係合された状態になるように、タブ−スロット型フィッティングとして噛み合うことができる。
【0018】
本発明の一部の実施形態では、再使用不能ロック部分は、蓋及びトレイを互いに固定するためにしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように蒸気滅菌(例えば蒸気滅菌)中に加熱活性化される材料を用いるロック要素を含む。そのような加熱活性化される材料は、形状可変要素、接着剤、またはそれらの組合せであり得る。再使用不能ロック部分は、機械的に噛み合う要素及び加熱活性化される要素の組合せを用いることができると考えられる。例えば、容器は、1若しくは複数の異なるタイプの機械的に噛み合う上側及び下側ロック要素(例えば、タブ−スロット型ロック並びにバヨネット型ロック)を用いることにより、異なる機械的タイプの互いにしっかり係合される再使用不能ロック部分を実現することができる。二者択一的及び/または追加的に、同じ容器が、1若しくは複数の異なるタイプの加熱活性化される上側及び下側ロック要素を用いることにより、異なる加熱活性化タイプの互いにしっかり係合される再使用不能ロック部分を実現することもできる。さらに、同じ容器が、機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部を兼ね備えた上側及び下側ロック要素を用いることにより、異なるハイブリッド(例えば、機械的及び加熱活性化の組合せ)タイプの互いにしっかり係合される再使用不能ロック部分を実現することもできる。
【0019】
本発明の或る態様によれば、加熱活性化される形状可変材料または接着剤は、ポリオレフィン、ブロック共重合体、樹脂、ワックス、及びそれらの組合せの形態であってよい。これらの材料は、134℃未満の融点を有することになることが望ましい。
【0020】
脆弱な切り離し部分は、通常、再使用不能ロック部分、トレイまたは蓋の他の構成部品よりも容易かつ簡単に破壊または破砕される要素である。一般的に言えば、脆弱な切り離し部分は、再使用不能ロック部分に設けられており、機能させたときに、滅菌後にチャンバにアクセスするためにトレイと蓋とを分離するときに、再使用不能ロック部分を、トレイ及び蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつトレイ及び蓋のうちの他方に結合されたままの状態にするために用いられる。すなわち、再使用不能ロック部分は、脆弱な切り離し部分を利用してトレイから不可逆的に切り離される場合には、蓋に結合されたままである。あるいは、再使用不能ロック部分は、脆弱な切り離し部分を利用して蓋から不可逆的に切り離される場合には、トレイに結合されたままである。本発明の或る態様では、トレイまたは蓋から離れるように再使用不能ロック部分を移動させるかまたは動かすことによって、脆弱な切り離し部分を機能させることができる。脆弱な切り離し部分は、上側ロック要素及び/または下側ロック要素に画定されているかまたは別な方法で結合している脆弱領域であってよく、そのような脆弱領域は、例えば、折り線、ミシン目、エンボス(凹凸突起)、継目、またはそれらの組合せなどの複数の脆弱な要素または特徴部であってもよい。
【0021】
本発明の或る実施形態では、滅菌容器は、(a)下側ロック要素が、トレイのリム部に組み込まれており、(b)上側ロック要素が、蓋の中央部分を囲繞する蓋の外周部分に組み込まれており、かつリップ部を含み、(c)脆弱な切り離し部分が、蓋の中央部分から蓋の外周部分を分離する蓋において画定された脆弱領域であり、(d)蓋の中央部分は、脆弱領域を機能させることにより中央部分を取り外す手段をさらに含むように構成され得る。そのような実施形態では、容器を密閉するように蓋をトレイに嵌め合わせると、蓋の外周部分及びトレイのリム部がしっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成し、脆弱領域を機能させることで、再使用不能ロック部分がトレイに結合されたままの状態で、蓋の中央部分が不可逆的に切り離される。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、滅菌容器は、(a)下側ロック要素が、トレイの側部の遠位部分に組み込まれており、かつトレイのリム部を含み、(b)上側ロック要素が、蓋の中央部分を囲繞する蓋の外周部分に組み込まれており、かつ蓋のリップ部を含み、(c)脆弱な切り離し部分が、トレイの側部の遠位部分において画定されかつトレイの側部の近位部分からトレイのリム部を分離する脆弱領域であり、(d)トレイの側部の遠位部分が、脆弱領域を機能させることにより蓋及びトレイのリム部を取り外す手段をさらに含むように構成され得る。そのような実施形態では、容器を密閉するように蓋をトレイに嵌め合わせると、トレイのリム部及び蓋の外周部分がしっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成し、脆弱領域を機能させることで、再使用不能ロック部分が蓋に結合されたままの状態で、トレイからリム部が不可逆的に切り離される。
【0023】
一般的に言えば、これらの実施形態では、蓋またはトレイのそれぞれの部分に画定されているかまたは別な方法で結合している脆弱領域は、例えば、折り線、ミシン目、エンボス、継目、またはそれらの組合せなどの複数の脆弱な要素または特徴部を含み得る。一実施形態における蓋の中央部分または別の実施形態におけるトレイのリム部及び蓋の取り外し手段は、例えば、フック、ハンドル、タブ、引っ張り部分または握り部分、指入れ穴または同様のもの、及びそれらの組合せであってよい。
【0024】
本発明の或る態様では、容器は、蓋の中央部分を不可逆的に切り離す間は滅菌ラップが蓋の外周部分に付着したままであり、蓋の中央部分が取り外された後に広がって提供されるように蓋の外周部分に取着され、かつ蓋の底面部に結合されて配置された滅菌ラップをさらに含み得る。
【0025】
一般的に言えば、容器は、トレイが劣化することなく、蒸気、エチレンオキシド、または他の形態の、滅菌への暴露に耐えるように適合された実質的に透明な材料で形成されるか、またはそのような材料を含む部分を含むことが望ましいであろう。こうすることで、容器の滅菌後及び蓋の取り外し前に容器の中身が少なくとも部分的に見えるようにすることができる。容器は、再利用可能な材料、例えば、熱可塑性プラスチック高分子材料などで製造され得ることが望ましい。例示的な材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びオレフィン共重合体などが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の別の態様では、滅菌容器を形成するために用いられる材料から、実質的に硬質である滅菌容器を作ることができるか、あるいは容器の一部を実質的に硬質にし、他の部分を実質的に硬質でないかまたはより軟質にすることができる。
【0026】
本発明はまた、外科器具を滅菌するための方法を含む。本方法は、(a)概略的に上記したような再使用不能なロック式滅菌容器を提供するステップと、(b)再使用不能なロック式滅菌容器の内側に外科器具を配置し、上側及び下側ロック要素がしっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成するように蓋及びトレイを嵌め合わせ、それによって、容器を密閉するように蓋及びトレイを互いに固定するステップと、(c)滅菌容器を、外科器具を滅菌するには十分な時間にわたって滅菌チャンバ内に配置し、その後、滅菌チャンバから滅菌容器を取り出すステップと、(d)再使用不能ロック部分に設けられた脆弱な切り離し部分を機能させることにより、滅菌後にチャンバにアクセスするためにトレイと蓋とを分離するときに、再使用不能ロック部分を、トレイ及び蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつトレイ及び蓋のうちの他方に結合されたままの状態にするステップとを含む。
【0027】
本発明によれば、本方法は、再使用不能ロック部分に設けられた脆弱な切り離し部分を機能させることによって、滅菌後にチャンバにアクセスするためにトレイと蓋とを分離するときに、再使用不能ロック部分を、トレイ及び蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつトレイ及び蓋のうちの他方に結合されたままの状態にすることで、滅菌された物品にアクセスすることに関する指示及び/またはマークを提供するステップをさらに含み得る。本方法は、滅菌容器を、滅菌チャンバから取り出した後に保管し、脆弱な切り離し部分を機能させる前に再使用不能ロック部分を検査するステップをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】例示的な再使用不能なロック式滅菌容器の断面図。
【図2】例示的な再使用不能なロック式滅菌容器の断面図。
【図3】蓋及びトレイが分離している例示的な再使用不能なロック式滅菌容器の斜視図。
【図4】蓋及びトレイが互いに固定されている例示的な再使用不能なロック式滅菌容器の斜視図。
【図5】再使用不能なロック式滅菌容器の例示的な下側ロック要素の詳細図。
【図6】再使用不能なロック式滅菌容器の例示的な上側ロック要素の詳細図。
【図7】係合前の、互いに整合されている例示的な上側ロック要素及び例示的な下側ロック要素の図。
【図8】例示的な再使用不能ロック部分の一部を形成するように係合された例示的な上側ロック要素及び例示的な下側ロック要素の図。
【図9】係合後の、例示的な上側ロック要素及び例示的な下側ロック要素の詳細図。
【図10】例示的な再使用不能ロック部分の一部を形成するように係合された例示的な上側ロック要素及び例示的な下側ロック要素の断面図。
【図11】例示的な下側ロック要素に関連する例示的な脆弱な切り離し部分を示す図。
【図12】例示的な上側ロック要素に関連する例示的なヒンジを示す図。
【図13】再使用不能ロック部分を形成するように係合された例示的な上側ロック要素及び例示的な下側ロック要素の側面図。
【図14】例示的な脆弱な切り離し部分が不可逆的に切り離される例示的な再使用不能ロック部分の側面図。
【図15】脆弱な切り離し部分を機能させた後の例示的な容器の一隅における再使用不能ロック部分の斜視図。
【図16】例示的な下側ロック要素及び例示的な上側ロック要素の別の構成の斜視図。
【図17】再使用不能ロック部分を形成するように結合された例示的な下側ロック要素及び例示的な上側ロック要素の別の構成の斜視図。
【図18】脆弱な切り離し部分を機能させた後の例示的な容器上の再使用不能ロック部分の斜視図。
【図19】加熱活性化される形状可変要素も例示的な下側ロック要素に含まれている例示的な容器の断面図。
【図20】上側及び下側の各ロック要素の細部を示す例示的な容器の断面図。
【図21】形状可変要素の熱活性化が成功した例示的な容器の断面図。
【図22】脆弱な切り離し部分の不可逆的な切り離しの断面図。
【図23】例示的な下側ロック要素及び例示的な上側ロック要素の細部の断面図。
【図24】例示的な下側ロック要素及び例示的な上側ロック要素の別の細部の断面図。
【図25】再使用不能ロック部分を形成するように係合された例示的な下側ロック要素及び例示的な上側ロック要素の別の細部の断面図。
【図26】相互に噛み合うように設計された構造的特徴部を有する別の例示的な上側ロック要素及び例示的な下側ロック要素の断面図。
【図27A】機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部を兼ね備えた例示的な上側及び下側ロック要素の或る細部。
【図27B】機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部を兼ね備えた例示的な上側及び下側ロック要素の或る細部。
【図27C】機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部を兼ね備えた例示的な上側及び下側ロック要素の或る細部。
【図28A】機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部が上側及び下側ロック要素を係合することにより再使用不能ロック部分を形成する例示的な上側及び下側ロック要素の或る細部。
【図28B】機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部が上側及び下側ロック要素を係合することにより再使用不能ロック部分を形成する例示的な上側及び下側ロック要素の或る細部。
【図28C】機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部が上側及び下側ロック要素を係合することにより再使用不能ロック部分を形成する例示的な上側及び下側ロック要素の或る細部。
【図29】蓋の中央部分に結合されたフィルタを含む例示的な単回使用滅菌容器の斜視図。
【図30】使用後の例示的な単回使用滅菌容器を示す。
【図31】蓋の外周部分に取着された滅菌ラップを含む例示的な単回使用滅菌容器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、外科器具を滅菌して保管し、無菌で開き、無菌で外科器具を滅菌状態で提供するための再使用不能なロック式容器を提供する。これらの滅菌容器は、臨床医に無菌性への高い信頼を与える。
【0030】
本発明について、特定の実施形態を示す以下の説明及び図を参照して説明する。これらの実施形態が、本明細書に添付される特許請求の範囲によって包含され得るような変形形態及び等価形態で広範に適用可能である本発明の全範囲を表すものではないことは、当業者に明らかであろう。さらに、1つの実施形態の一部として説明または図示されている特徴部を別の実施形態と併用してさらなる実施形態を生み出すことができる。請求項によって画定される本発明の範囲は、全てのそのような変形形態及び実施形態にまで及ぶものとする。
【0031】
ここで図1を参照すると、容器10を単一滅菌サイクルまたは単回使用のみに制限する複数の要素の組合せを含む例示的な再使用不能なロック式滅菌容器10の断面図が示されている。一般的に言えば、再使用不能なロック式滅菌容器10は、トレイ12と、蓋14と、透過性フィルタ16と、再使用不能ロック部分18と、脆弱な切り離し部分(図1には示されていないが、図5、図11、図13及び図14に、より詳細に示されている)とを含む。
【0032】
トレイ12は、ベース部22と、ベース部22に結合された近位部分26及びベース部から離間した遠位部分28を各々が有する複数の側壁24と、複数の側壁の複数の遠位部分28によって画定されるリム部30とを含む。リム部30は、バリヤ部34の下側部分32を形成するかまたは含む。
【0033】
蓋14は、中央部分36と、リップ部38とを含み、リップ部は、バリヤ部34の上側部分40を形成するかまたは含む。蓋12及びトレイ14は、互いに適切に固定されたとき、外科器具を収容するためのチャンバ42を画定する。リップ部38及びリム部30は、互いに適切に固定されたとき、トレイ12と蓋14の間に、チャンバ42内への微生物の通過を阻害するためのバリヤ部34を形成する。バリヤ部34は、図1及び図2に概略的に示されているように、微生物の通過を阻害するために、容器の外側からチャンバまで蛇行した経路を画定し得ることが望ましい。二者択一的及び/または追加的に、バリヤ部は、微生物が入り込むことを阻害するために、トレイと蓋の間に、密閉部を提供することもできる。この密閉部は、例えば、トレイと蓋の間からチャンバ内に微生物が入り込むことを阻止するべく、融解するか、変形するか、または別な方法で形状を変えるように適合されたガスケット、軟質材料及び/または感熱材料など、様々なシール材料またはシール機構で提供され得る。
【0034】
本発明の或る実施形態によれば、蓋14は、中央部分36(中央ゾーン36とも呼ばれる)に結合された近位部分62及び中央部分36から離間した遠位部分64を有する複数の側壁60をさらに含み得る。そのような実施形態では、リップ部38は、複数の側壁60の複数の遠位部分64によって画定され得る。換言すれば、蓋14は、図1に示したような比較的薄いかまたは平面的なものである代わりに、図2及び図3に示したように、より3次元的な、長さ、幅及び高さを有する構造を有し得る。一部の実施形態では、蓋14は、トレイ12より大きな高さ(すなわち、より大きな3次元性)を有し得る。例えば、図2は、例示的な再使用不能なロック式滅菌容器の断面図でこの特徴を示しており、図3は、例示的な再使用不能なロック式滅菌容器の斜視図でこの特徴を示している。すなわち、蓋はトレイより大きな高さ寸法を有している。
【0035】
透過性フィルタ16は、滅菌剤が容器10の外側からチャンバ42に入るための経路を提供する。透過性フィルタ16はまた、微生物を通過させることなく空気などのガスがチャンバに出入りできるようにすることによって、滅菌後にチャンバ42内において無菌状態を維持する。透過性フィルタ16は、望ましくは、蓋14の中央部分36に位置し、容器10の外側とチャンバ42の間の1若しくは複数の穴及び/または通路70と連通して配置される。しかし、透過性フィルタ16並びにフィルタと連通している穴及び/または通路70は、蓋14の他の部分や、さらにはトレイ12に設けることもできる。透過性フィルタは、滅菌容器用に用いられる従来のフィルタ材料であってよい。透過性フィルタは、単回使用後に、廃棄されるように十分に安価なものであるか、またはトレイ及び蓋とともに再利用されるものとする。例示的なフィルタ材料には、例えば、ポリオレフィンメルトブローン材料などの不織フィルタ材料及び、スパンボンド材料とメルトブローン材料の積層体などの不織布積層体材料が含まれる。
【0036】
トレイ12及び蓋14を互いに固定するために、再使用不能ロック部分18が用いられる。本発明によれば、再使用不能ロック部分は、蓋14の一部を形成する上側ロック要素100と、トレイ12の一部を形成する下側ロック要素102とを含む。容器を密閉するように蓋14をトレイ12に嵌め合わせると、下側及び上側ロック要素(それぞれ100及び102)はしっかり係合されて再使用不能ロック部分18を形成する。すなわち、上側及び下側ロック要素(それぞれ100及び102)は、ロック部分及び/またはトレイまたは蓋の一部を破損または破壊せずに容易に係合解除されることができないように係合し、ロック部分を「再使用不能」にする。本発明の一部の実施形態では、図3に示されているように、下側ロック要素102を実質的にまたは完全にトレイ12の一部から形成することができ、上側ロック要素100を実質的にまたは完全に蓋14の一部から形成することができる。
【0037】
蓋14及びトレイ12を互いに固定する際には、ただ1つの再使用不能ロック部分18を用いてもよいが、例えば図4に示すように、様々な位置において複数の再使用不能ロック部分を用いることが望ましいであろう。図4では、容器10の四隅にそれぞれ再使用不能ロック部分18がある。本発明の一部の実施形態では、再使用不能ロック部分は、機械的に噛み合う上側及び下側ロック要素(それぞれ100及び102)を含み、両ロック要素は、しっかり係合して再使用不能ロック部分を形成し、それによって蓋及びトレイを互いに固定する。上側及び下側ロック要素は、しっかり係合された状態になるように、タブ−スロット型フィッティングとして噛み合うことができる。例えば、図5は、トレイ12の側壁の隅に形成された下側ロック要素102を概略的に示す側面図である。一般的に言えば、この下側ロック要素102は、トレイ14の側壁の延出部104の形態をとっており、延出部104のリブまたは突起部110によってスロット106が画定される。
【0038】
図6を参照すると、下側ロック要素102のスロット106に嵌入して係合するように適合されている留め具112を有するタブまたはバヨネット式の延出部108の形態をとっている上側ロック要素100の側面図が示されている。上側ロック要素100及び下側ロック要素102がどのように係合し得るかの実施形態の例を図7及び図8に示す。図7を参照すると、蓋14及びトレイ12を合わせることによって、上側ロック要素100及び下側ロック要素102が整合される。蓋14及びトレイ12が嵌め合わせられるとき、上側ロック要素102のタブまたはバヨネット108の端部に設けられた留め具112が、下側ロック要素102の延出部104のリブまたは突起部110によって画定されるスロット106内に導入され、それによって、図8に示されているように留め具112がスロット106によって係合され、再使用不能ロック部分18を形成する。図10は、再使用不能ロック部分を形成するように互いに係合された上側ロック要素100及び下側ロック要素102を示す別の断面図である。
【0039】
留め具112及び/または、スロット106を画定するリブまたは突起部110の一部は、係合が可能であるように屈曲または変形し、図9に示されているようにスロット106を画定するリブまたは突起部110及び/または留め具112のいずれかを破壊することなしに構成部品を逆戻しすることができないように構成されている。上側ロック要素100及び下側ロック要素102の係合は、要素同士を係合するかまたは単純にトレイから蓋を引っ張るために用いられた力を反転することによって非破壊的に係合解除されることができないように構成されているので、容器は、通常、再使用不能ロック部分18、トレイ12または蓋14の他の構成部品よりも容易かつ簡単に破壊または破砕される再使用不能ロック部分18に関連した要素である脆弱な切り離し部分200を利用する。一般的に言えば、脆弱な切り離し部分200は、再使用不能ロック部分18に設けられており、機能させたときに、滅菌後にチャンバ42にアクセスするためにトレイ12と蓋14とを分離するときに、再使用不能ロック部分18を、トレイ12または蓋14のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、トレイ12または蓋14のうちの他方に結合されたままの状態にするために用いられる。すなわち、再使用不能ロック部分18を脆弱な切り離し部分200を利用してトレイ12から不可逆的に切り離す場合には、再使用不能ロック部分18は蓋14に結合されたままである。あるいは、再使用不能ロック部分18を脆弱な切り離し部分200を利用して蓋14から不可逆的に切り離す場合には、再使用不能ロック部分18はトレイ12に結合されたままである。本発明の或る態様では、トレイまたは蓋から離れるように再使用不能ロック部分を移動させるかまたは動かすことによって、脆弱な切り離し部分200を機能させることができる。二者択一的及び/または追加的に、再使用不能ロック部分を捻ることによって脆弱な切り離し部分を機能させることもできる。
【0040】
脆弱な切り離し部分200は、上側ロック要素及び/または下側ロック要素に画定されているかまたは別な方法で結合している脆弱領域であってよく、そのような脆弱領域は、例えば、折り線、ミシン目、エンボス、継目、またはそれらの組合せなどの複数の脆弱な要素または特徴部であってもよい。
【0041】
ここで図11を参照すると、下側ロック要素102は、下側ロック要素102がトレイ12と連結されている位置において、下側ロック要素102に関連する脆弱な切り離し部分200を有する。脆弱な切り離し部分200は、一連のミシン目、折り線であってよく、あるいはトレイ12と連結されている位置において下側ロック要素102の材料の薄い領域などの特徴部であってよい。対応する上側ロック要素100は、図12に示されており、例えば、脆弱な切り離し部分200のように破壊または分離することなく上側ロック要素100を曲げるかまたは回転させることができる薄い軟質領域の形態をとっているリビングヒンジ202などの部分を有する。再使用不能ロック部分は1回しか使用されないので、リビングヒンジ202は、破損せずに1回曲がるかまたは回転するように構成されてさえいれば十分である。図13は、例示的な上側ロック要素100及び下側ロック要素102を示す側面図であり、両ロック要素は、互いに嵌め合わされるかまたは係合されて、再使用不能ロック部分18を形成している。図14は、例示的な上側ロック要素100及び下側ロック要素102を示す側面図であり、互いに嵌め合わされるかまたは係合されて、再使用不能ロック部分18を形成しており、ここで、脆弱な切り離し部分200は、下側ロック要素102がトレイ12に連結されている位置で、不可逆的に破壊されるか、分離されるか、または切り離されており、上側ロック要素100に関連するリビングヒンジ202は、曲がりつつしかも蓋14への取着を維持するのに十分な柔軟性を有している。図15は、脆弱な切り離し部分200を機能させて、再使用不能ロック部分18を、蓋14に取着されたままの状態で、トレイ12から不可逆的に切り離した後の、容器10の一隅における再使用不能ロック部分18を示す図である。
【0042】
本発明の或る態様では、滅菌容器10は、図16に概略的に示されているように、(a)下側ロック要素102がトレイ12のリム部に組み込まれており、(b)上側ロック要素100が、蓋の中央部分を囲繞する蓋14の外周部分に組み込まれており、かつリップ部を含み、(c)脆弱な切り離し部分200が、蓋の中央部分から蓋の外周部分を分離する蓋において画定された脆弱領域204であり、(d)蓋の中央部分が、脆弱領域を機能させることにより中央部分を取り外す手段206をさらに含むように、構成され得る。そのような実施形態では、容器を密閉するように蓋をトレイに嵌め合わせると、図17に示されているように、蓋の外周部分及びトレイのリム部がしっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成する。図18に示されているように、脆弱領域を機能させることで、再使用不能ロック部分がトレイに結合されたままの状態で、蓋の中央部分を不可逆的に切り離す。
【0043】
本発明によれば、滅菌容器は、(a)下側ロック要素が、トレイの側壁の遠位部分に組み込まれており、かつトレイのリム部を含み、(b)上側ロック要素が、蓋の中央部分を囲繞する蓋の外周部分に組み込まれており、かつ蓋のリップ部を含み、(c)脆弱な切り離し部分が、トレイの側壁の遠位部分において画定されかつトレイの側壁の近位部分からトレイのリム部を分離する脆弱領域であり、(d)トレイの側壁の遠位部分が、脆弱領域を機能させることにより蓋及びトレイのリム部を取り外す手段をさらに含む。そのような実施形態では、容器を密閉するように蓋をトレイに嵌め合わせると、トレイのリム部及び蓋の外周部分がしっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成し、脆弱領域を機能させることで、再使用不能ロック部分が蓋に結合されたままの状態で、トレイからリム部を不可逆的に切り離すように構成され得る。
【0044】
一般的に言えば、これらの実施形態では、蓋またはトレイのそれぞれの部分に画定されているかまたは別な方法で結合している脆弱領域は、例えば、折り線、ミシン目、エンボス、継目、またはそれらの組合せなどの複数の脆弱な要素または特徴部を含み得る。一実施形態における蓋の中央部分または別の実施形態におけるトレイのリム部及び蓋の取り外し手段は、例えば、フック、ハンドル、タブ、引っ張り部分または握り部分、指入れ穴または同様のもの、及びそれらの組合せであってよい。
【0045】
本発明の或る態様では、容器は、蓋の中央部分を不可逆的に切り離す間は蓋の外周部分に取着されたままであり、蓋の中央部分が取り外された後に広がって提供されるように蓋の外周部分に取着され、かつ蓋の底面部に結合されて配置された滅菌ラップをさらに含み得る。
【0046】
一般的に言えば、容器は、トレイが劣化することなく、蒸気、エチレンオキシド、または他の形態の、滅菌への暴露に耐えるように適合された実質的に透明な材料で形成されるか、またはそのような材料を含む部分を含むことが望ましいであろう。こうすることで、容器の滅菌後及び蓋の取り外し前に容器の中身が少なくとも部分的に見えるようにすることができる。容器は、例えば熱可塑性プラスチック高分子材料などの再利用可能な材料で製造され得ることが望ましい。例示的な材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、特定の熱可塑性プラスチックポリウレタン、オレフィン共重合体などが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の別の態様では、滅菌容器を形成するために用いられる材料から、実質的に硬質である滅菌容器を作ることができるか、あるいは容器の一部を実質的に硬質にし、他の部分を実質的に硬質でないかまたはより軟質にすることができる。容器の一部が軟質であってもよいが、容器は、約60°F(約16℃)ないし約85°F(約29℃)であり得る通常の保管室温で保管中に、少なくとも1つの容器を別の容器の上に積み重ねることができる十分な硬さを有することが必要である。容器は、約273°F(134℃)より高い温度での高温滅菌状態にあるときに、少なくとも1つの容器を別の容器の上に積み重ねることができる十分な硬さを有し得ることが望ましい。
【0047】
本発明の一部の実施形態では、再使用不能ロック部分18は、滅菌(例えば蒸気滅菌)中に加熱活性化される材料を用いるロック要素を含み、これらのロック要素は、しっかり係合して再使用不能ロック部分を形成し、それによって蓋及びトレイを互いに固定する。そのような加熱活性化される材料は、形状可変要素、接着剤、またはそれらの組合せであってよい。本発明によれば、蒸気滅菌の熱は、融解、軟化、変形に必要な、またはロック構成部品同士を互いに係合するのに関与する少なくとも1つの要素の形状の変形を誘導するために必要な、エネルギー源を提供する。ロック構成部品同士を係合するために用いられ得る変形の例には、融解、塑性流動、縮小、ゆがみ、膨張、捻れ、捩れ及び融合が含まれるが、これらに限定されるものではない。従って、形状可変要素は、滅菌の熱を受けて、より望ましくは蒸気滅菌によって与えられるレベルの熱を受けて、融解するか、軟化するか、または別な方法で変形する要素であるので、形状可変要素は、流動するか、縮小するか、撓むか、ゆがむが、膨張するか、捻れるか、捩れるか、融合するか、または結合して、ロック構成部品同士を互いに係合させる。
【0048】
互いに係合するロック構成部品に含めるのに適切な形状可変要素は、熱可塑性プラスチック材料、特にASTM E28に従って決定される環球法軟化点(Ball & Ring Softening Point)(すなわち環球法融点(Ball & Ring Melt Point))が約135°F(59℃)ないし約300°F(149℃)である熱可塑性プラスチック材料から製造される。例えば、熱可塑性プラスチック材料は、ASTM E28に従って決定される環球法軟化点(すなわち環球法融点)が約266°F(130℃)ないし約300°F(149℃)であり得る。別の例として、熱可塑性プラスチック材料は、ASTM E28に従って決定される環球法軟化点(すなわち環球法融点)が約273°F(134℃)またはそれ以下であり得る。環球法軟化点は、熱可塑性プラスチックの軟化点を決定する方法である。一般的に言えば、内径約16mm、寸法が厚さ約2.4mm×深さ約6.4mmの金属の環の内部に試料が流し込まれるかまたは成形される。この環は、流体加熱浴(〜1gm/cc液浴)内の金属プレート上に載置され、試料の中央に直径9.5mm、重さ3.5グラムの鋼球が置かれる。軟化点は、鋼球が試料を貫通して下側プレートに触れたときの流体の温度であると考えられる。試験は、自動化が可能であり、例えば英国ダグラスのマストラッド社(Mastrad Ltd)から入手可能な環球法自動軟化点試験装置(Ring And Ball Automatic Softening Point Tester)(カタログ番号10036000 Automatic Ring & Ball Tester Model D36-EN1427)や、ドイツ国ダーレヴィッツのペトロテスト(登録商標)インストルメンツ社(Petrotest Instruments GmbH & Co. KC)から入手可能なペトロテスト(登録商標)RK5A軟化点試験装置などの装置を用いて、一般的にはASTM D36またはASTM E28に従って、行うことができる。
【0049】
一般的に言えば、そのような材料は、室温及び大気保管温度で、力によって誘導される変形を受けにくい固体である。これらの材料は、環球法軟化点に近付くにつれて、加えられた力に応じて寸法的に変形する。形状可変要素として使用される適切な熱可塑性プラスチック材料が約273°F(134℃)またはそれ以下の環球法軟化点を有するという要件は、蒸気滅菌に特有の熱、時間及び他の環境条件が、滅菌前形状から、接触しているロック構成部品同士の係合を促進する別の形状への、ロック構成部品の形状可変要素の変形を誘導するために必要な不足量のエネルギーを与えることになることを保証する。滅菌ステップの最後に十分な熱が放散された後、変形した形状可変要素は、凝固して最終形状になる。
【0050】
本発明の或る態様によれば、加熱活性化される形状可変材料または接着剤は、ポリオレフィン、ブロック共重合体、樹脂、ワックス及びそれらの組合せの形態であり得る。これらの材料は、273°F(134℃)以下の融点を有することになることが望ましい。形状可変要素としての使用に適した熱可塑性プラスチック材料の1つのカテゴリーは、ホットメルト接着剤である。環球法軟化点基準に適合し、容認可能な滅菌前の形状可変要素を形成することができ、かつ蒸気滅菌中に変形して望ましい最終形状になることができる具体的なホットメルト接着剤の例は、ミネソタ州セントポールのスリーエム社(3M Company)から入手可能な熱可塑性プラスチックホットメルト接着剤3796、3792、3789、3764、3762、3750、3747、3738、3794、3798LM、3792LM、3776LM、3762LM、3755LM、3750LM、611IHT及び6116である。これらの材料は、適切な熱活性化及びロック構成部品係合の迅速な判定に役立つような関連する着色添加剤または他の添加剤を有し得ると考えられる。
【0051】
再使用不能ロック部分18は、機械的噛み合う要素及び加熱活性化される要素の組合せを用いることができると考えられる。例えば、容器は、1若しくは複数の異なるタイプの機械的に噛み合う上側及び下側ロック要素(例えば、タブ−スロット型ロック)を用いることにより、異なる機械的タイプの互いにしっかり係合される再使用不能ロック部分を実現することができる。二者択一的及び/または追加的に、同じ容器が、1若しくは複数の異なるタイプの加熱活性化される上側及び下側ロック要素を用いることにより、異なる加熱活性化タイプの互いにしっかり係合される再使用不能ロック部分を実現することもできる。さらに、同じ容器が、機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部を兼ね備えた上側及び下側ロック要素を用いることにより、異なるハイブリッド(例えば、機械的及び加熱活性化の組合せ)タイプの互いにしっかり係合される再使用不能ロック部分を実現することもできる。
【0052】
ここで図19〜図21を参照すると、再使用不能ロック部分は、滅菌中に加熱活性化される材料を用いたロック要素を含むことができ、これらのロック要素は、しっかり係合して再使用不能ロック部分を形成し、それによって蓋及びトレイを互いに固定する。より具体的には、図19〜図21は、閉じる前、ロック構成部品の熱活性化前、及び開いているときの、それぞれの上側ロック要素100を備えた蓋14と、それぞれの下側ロック要素102を備えたトレイ12とを有する容器10及びそれらの相対的な配置位置を示す断面図である。図19〜図21は、変形して形状を変えるように加熱活性化される形状可変要素300が、ロック要素100及び102を互いに直接係合させ、再使用不能ロック部分の係合に関する視覚的及び触知的合図(キュー)を提供するように構成されている例を示している。
【0053】
図19は、それぞれの上側ロック要素100を備えた蓋14と、それぞれの下側ロック要素102を備えたトレイ12とを有し、下側ロック要素102に取着された形状可変要素300をさらに有する容器10の最初の断面図である。上側ロック要素100は、蓋14の一部であり、蓋14の外周部302上にあり、蓋の外周部302の材料によって画定される開口部304の形態をとり得る。蓋及びトレイ並びにそれぞれのロック要素は、それぞれのロック要素をその後の相互の接触のために整合するように配置される。例えば蓋のリップ部及びトレイのリム部の一部によって形成されるバリヤ部34などの特徴部は、図示されていない。
【0054】
図20は、トレイ12に蓋14を被せて閉じた状態を示しており、それぞれのロック要素100及び102は互いに接触しているが、ロック要素同士はうまく係合していない。それぞれのロック要素100及び102同士が接触することで、蓋14の外周部302の一部に歪みが生じている。歪みは、ロック要素同士の係合が生じていないことの視覚的及び触知的合図を確立している。この歪みは、下側ロック要素102に対する上側ロック要素100の力及び重力が、上側及び下側ロック要素を首尾よく係合させるのに不十分であることを示している。
【0055】
図21は、1若しくは複数の形状可変要素300の成功した熱活性化の結果を示しており、形状可変要素300は、ロック要素100及び102を互いに直接係合させ、再使用不能ロック部分の係合に関する視覚的及び触知的合図を提供するために、変形して形状を変えている。上側ロック要素100の歪みによって生じる力に、滅菌サイクルから時間をかけて加えられる熱が加わり、上側ロック要素を下側ロック要素102と係合させる。図20の対応する姿勢(形状状態)と対照的に、下側ロック要素102の1若しくは複数の形状可変要素300は、上側ロック要素100の開口部内で開口部を通じて変形した。形状可変要素300の最終形状は、開口部304内で目に見えるものであり、開口部304を充填することによって、触ってすぐに分かるものである。以前に生じた蓋14の外周部分302の歪みは、軽減されている;これらの変化は、上側ロック要素100及び下側ロック要素102が係合されて再使用不能ロック部分18を形成することを示す追加の視覚的及び触知的合図を生じさせる。熱の放散及び形状可変要素300の凝結または硬化により、最終形状が達成され、蓋14及びベース部12を効果的に結合して容器10を形成する。形状可変要素300のために選択される材料の種類に応じて、係合は、本質的に機械的/構造的なものであってもよいし、本質的に主として接着剤であってもよいし、あるいは両態様を有していてもよい。
【0056】
図22は、下側ロック要素102とトレイ12との接合部分に位置する脆弱な切り離し部分200の不可逆的な切り離しを示している。損壊は、容器10を開けるために力を加えた結果として生じる。脆弱な切り離し部分200の不可逆的な切り離しはまた、再使用不能ロック部分18を形成する上側ロック要素100及び下側ロック要素102の係合に関する追加の触知的合図を提供する。図19と対照的に、脆弱な切り離し部分200の不可逆的な切り離しの結果、再使用不能ロック部分18が上側ロック要素100によってリビングヒンジ202を介して蓋14に明らかに取着されており、互いに係合されたロック構成部品は、それゆえ、明らかに異なる蓋とベース部のセットを作り出す。すなわち、熱活性化前に図19に示されているように合わせられ、容器10を形成するような、それぞれの上側ロック要素100を備えた蓋14及びそれぞれの下側ロック要素102を備えたトレイ12は、上側ロック要素100、下側ロック要素102及び形状可変要素300を含む再使用不能ロック部分18が取着され、トレイ12から分離された蓋14とは異なる。トレイ12は、脆弱な切り離し部分200で不可逆的に切り離された下側ロック要素102をもはや有していない。
【0057】
図23〜図25は、図19〜図22に示したものとは異なる構成を有する上側ロック要素100及び下側ロック要素102の組合せの具体的な細部を示す断面図である。トレイ12及び蓋14(図示せず)は各々、それぞれの下側ロック要素102及び上側ロック要素100を有している。各下側ロック要素102は下側空洞部306を画定し、下側空洞部306においては壁308が開口部310を画定している。各上側ロック要素100は上側空洞部312を画定し、上側空洞部312においては壁314が開口部316を画定している。下側空洞部306の開口部310及び上側空洞部312の開口部316は、互いに対して接触して配置されたとき、整合し、連通する。図23は、下側空洞部306の開口部310及び上側空洞部312の開口部316が整合するようにその後の接触のために整合された下側ロック要素102及び上側ロック要素100の小さな細部を示している。この構成では、形状可変要素300が上側ロック要素から視覚的及び触知的に突き出るように上側ロック要素100が形状可変要素300を保持する。図24は、下側空洞部306の開口部310及び上側空洞部312の開口部316が連通するように互いに整合された下側ロック要素102及び上側ロック要素100を示している。この構成では、形状可変要素300が融解して流れるように構成されているので、重力が、上側及び下側ロック要素を首尾よく係合させる際に重要な因子になる。
【0058】
ここで図25を参照すると、再使用不能ロック部分18を形成するように係合された下側ロック要素102及び上側ロック要素100の断面図が示されている。十分な量の熱を与えて形状可変要素300を流体の様にした後、形状可変要素300は、上側空洞部312内へ、そして互いに整合された開口部316及び310を通って下側空洞部306内へ、下向きに変形する。熱が放散し、形状可変要素300が硬化して、空洞部306、312及び開口部316、310のそれぞれの壁によって画定される新しい形状になった後、それぞれの上側ロック構成部品100及び下側ロック構成部品102は、係合されて再使用不能ロック部分18を形成する。形状可変要素300に対して選択される材料の種類に応じて、係合は、本質的に機械的/構造的なものであってもよいし、本質的に主として接着剤であってもよいし、あるいは両態様を有していてもよい。最終形状の凹部は、その最初の姿勢と対照的であり、係合が生じたことと、形状可変要素300の形状を変えるために滅菌状態が必要だったことから容器内の内容物が無菌であるはずだということとの視覚的及び触知的合図を提供する。
【0059】
重力に対する容器の向きにかかわらず、蓋及びトレイのロック構成部品を首尾よく係合させることができる他の実施形態も考えられる。例えば、図26は、そのような構成の1つを示す図である。この構成では、上側ロック要素100及び下側ロック要素102は、相互に噛み合い、かつ比較的強力な接着剤品質を有する形状可変要素300を利用するように設計された構造的特徴部を有する。上側ロック要素100は、軟質である外周リップ部分400を有する。脆弱な切り離し部分200によってトレイ12に連結している下側ロック要素には、形状可変要素300を部分的に覆い隠す溝形特徴部402が含まれる。下側ロック構成部品102の脆弱な切り離し部分200は、上側ロック構成部品のリビングヒンジ202ほど軟質ではない。図26は、その後のロック構成部品同士の接触のために適切に整合された蓋及びトレイ並びにそれぞれの構成部品を示している。
【0060】
一般的に言えば、蓋及びトレイが、それぞれのロック要素同士が互いに接触するように配置されると、上側ロック要素100の外周リップ部分400には、下側ロック要素102の溝形特徴部402及び形状可変要素300に応じて歪みが生じる。
【0061】
滅菌サイクル中に熱が加えられるので、熱によって誘導される形状可変要素300の変形及び外周リップ部分400の空間的変化により、上側ロック要素100は、下側ロック要素の溝形特徴部402内に固定することが可能になる。この下側ロック要素の溝形特徴部402内の外周リップ部分400の固定は、係合状態に関する視覚的合図を提供する。ひとたび滅菌サイクルからの熱が放散したら、形状可変要素300は最終形状を達成し、その接着剤品質は、溝形特徴部402内の外周リップ部分400の固定位置が、脆弱な切り離し部分200により下側ロック要素102をトレイ12から不可逆的に切り離せるようにする開き力で維持されることを保証する。
【0062】
本発明の或る態様では、形状可変要素300は、加えられる機械力、例えば圧縮力(例として、張力を受けたばね、圧縮耐性を提供する金属バンドまたは他の要素など)を受けることがある。形状可変要素300が変形するのに十分な熱が高温滅菌状態によって与えられると、加えられる機械力(例えば圧縮力)は、上側ロック要素及び下側ロック要素が係合されて再使用不能ロック部分を形成するように形状可変要素300を動かすことができる。形状可変要素が蒸気滅菌の熱及び圧縮力が消散された後に最終形状に変形することで、最終形状が上側及び下側の各ロック要素の空隙、空洞部または他の構造内に突き出る構成が得られ、これがロック要素同士の物理的係合を形成し、さらにロック係合及び蒸気滅菌状態が発生したことの視覚的及び触知的合図を提供することが望ましい。
【0063】
上側及び下側ロック要素並びに形状可変要素のデザインを、明らかな寸法変化なしにロック要素同士の係合が行われるように構成することができるとも考えられる。最終形状に視覚的に明らかな相違がなければ、追加の要素、変色要素が、少なくとも1つのロック要素に含まれかつ機能(活性化)させたときに外側の視点から見えることが望ましい。例えば、上側ロック要素は、外部から見え、かつまたロック要素の構造の一部(ここでは、このロック構成部品の形状可変要素を部分的に含んでいるカバー材料として示されている)を形成する変色要素を含むことができる。この構成は、凝集力及び接着力を通しての係合を必要とする。この構成に対する同様に実現可能な代替案は、蒸気滅菌状態によって生成されるかまたは蒸気滅菌状態を通して増大される接着力のみによる係合に頼ることである。例えば、下側ロック要素には形状可変要素がなくてもよいが、上側ロック要素には形状可変要素が組み込まれていてもよい。係合は、下側ロック要素の表面と上側ロック要素に組み込まれた形状可変要素との接着によって達成される。二者択一的及び/または追加的に、形状可変要素は、上側及び下側ロック要素の両者に組み込まれていてもよく、係合は、上側ロック要素及び下側ロック要素の両者において組み込まれた形状可変要素同士の接着によって達成される。
【0064】
ここで図27A〜図27Cを参照すると、上側及び下側ロック要素が係合して再使用不能ロック部分を形成することができる機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部(すなわち、機械的特徴部及び加熱活性化される特徴部の組合せ)を兼ね備えた上側及び下側ロック要素の或る細部が示されている。図27Aは、当該リブまたは突起部110の熱活性化の前に下側ロック要素102のリブまたは突起部110の形態をとっている形状可変要素によって画定されるスロット106に嵌入しかつ可逆的に係合される留め具112を有するタブまたはバヨネット式の延出部108の形態をとっている上側ロック要素100の斜視図である。
【0065】
熱活性化前に上側ロック要素100及び下側ロック要素102がどのように係合されるかの実施形態の例を図27B及び図27Cに示す。図27Bは、上側ロック要素のタブまたはバヨネット108の端部に設けられた留め具112が、下側ロック要素の形状可変リブまたは突起部110によって画定されるスロット106内に導入され、留め具112がスロット106に係合されるように合わせられた上側ロック要素及び下側ロック要素の一部の斜視図である。図27Cは、形状可変リブまたは突起部110の熱活性化前に上側及び下側ロック要素がどのように係合解除され得るかの詳細を示す斜視図である。図27Cでは、形状可変リブまたは突起部110によって画定されるスロット106がタブまたはバヨネット108の屈曲を許容するほど十分に大きいので、留め具112は、熱活性化前に形状可変リブまたは突起部110の背後に回ることができず、よって、上側ロック要素100及び下側ロック要素102の組合せがまだ再使用不能ロック部分を形成していないことがわかる。
【0066】
図28A〜図28Cは、上側及び下側ロック要素の或る細部を示しており、ここで、機械的に噛み合う特徴部及び加熱活性化される特徴部(すなわち、機械的特徴部及び加熱活性化される特徴部の組合せ)が、上側及び下側ロック要素をしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成している。図28Aは、熱活性化後に下側ロック要素102の形状可変リブまたは突起部110によって画定される狭小スロットに嵌入しかつしっかり係合する留め具112を有するタブまたはバヨネット式の延出部108の形態をとっている上側ロック要素100の斜視図である。すなわち、形状可変リブまたは突起部110は、熱活性化によって変形するか、丸まるか、撓むか、または別な方法で改変されるので、形状可変リブまたは突起部110はスロット106の寸法を小さくし、それにより、留め具112とリブまたは突起部110との間隔が不十分で、上側ロック要素100を下側ロック要素102から両構成部品を破壊せずに解除することができなくなる。
【0067】
熱活性化後に上側ロック要素100及び下側ロック要素102がどのように係合されるかのさらなる詳細を、図28B及び図28Cに示す。
【0068】
図28Bは、熱活性化後の上側ロック要素及び下側ロック要素の一部の斜視図を示している。図のように、形状可変リブまたは突起部110は、上側ロック要素のタブまたはバヨネット108の端部に設けられた留め具112が形状可変リブまたは突起部110によって画定されるスロット106内にしっかり係合されるように、熱活性化によって改変されている。図28Cは、リブまたは突起部110の熱活性化後の要素の斜視図である。図28Cでは、タブまたはバヨネット108は、屈曲されているが、熱活性化によって生じる形状可変リブまたは突起部110の変形が十分に大きいので、留め具112はリブまたは突起部110の背後に回ることができない。結果として、上側ロック要素100及び下側ロック要素102の組合せは、しっかり係合されて再使用不能ロック部分を形成する。
【0069】
当然のことながら、他の構成も考えられる。例えば、タブまたはバヨネット108は、加熱活性化される形状可変タブまたはバヨネットであってよいので、そのようなタブまたはバヨネットは、上側ロック要素及び下側ロック要素をしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように変形する。別の例として、タブまたはバヨネット108及びリブまたは突起部110は、上側ロック要素及び下側ロック要素をしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するようにして変形するように、各々加熱活性化される形状可変要素であってよい。
【0070】
本発明はまた、外科器具を滅菌するための方法を含む。本方法は、(a)概略的に上記したような再使用不能なロック式滅菌容器を提供するステップと、(b)再使用不能なロック式滅菌容器の内側に外科器具を配置し、上側及び下側ロック要素がしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように蓋及びトレイを嵌め合わせ、それによって、容器を密閉するように蓋及びトレイを互いに固定するステップと、(c)滅菌容器を、外科器具を滅菌するには十分な時間にわたって滅菌チャンバ内に配置し、その後、滅菌チャンバから滅菌容器を取り出すステップと、(d)再使用不能ロック部分に設けられた脆弱な切り離し部分を機能させることにより、滅菌後にチャンバにアクセスするためにトレイと蓋とを分離するときに、再使用不能ロック部分を、トレイ及び蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつトレイ及び蓋のうちの他方に結合されたままの状態にするステップとを含む。
【0071】
本発明によれば、本方法は、再使用不能ロック部分に設けられた脆弱な切り離し部分を機能させることによって、滅菌後にチャンバにアクセスするためにトレイと蓋とを分離するときに、再使用不能ロック部分を、トレイ及び蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつトレイ及び蓋のうちの他方に結合されたままの状態にすることで、滅菌された物品にアクセスすることに関する指示及び/またはマークを提供するステップをさらに含み得る。本方法はまた、滅菌チャンバから取り外した後に滅菌容器を保管するステップと、脆弱な切り離し部分を機能させる前に再使用不能ロック部分を検査するステップとを含み得る。
【0072】
図29を参照すると、単回使用滅菌容器が提供されている。滅菌容器には、トレイ510及び蓋520が含まれている。トレイは、実質的に透明な硬質材料から製造され得る。すなわち、トレイは、トレイを見る者が、トレイを開けずに、通常の人間の視力を利用して、トレイの内容物を見えるようにすることができるような材料から製造され得る。さらに、硬質材料でできたトレイは、トレイが劣化することなく、トレイの滅菌に必要な温度に耐え得るものとする。すなわち、トレイ(及び蓋)は、熱で溶けたり、曲がったり、強度が低下したりすることなく、一部のガスまたはプラズマ滅菌プロセスの場合の約135°F(59℃)から特定の蒸気滅菌プロセスの場合の約300°F(149℃)までの滅菌温度に耐えることができるものとする。例えば、トレイ及び蓋に用いられる材料は、熱で溶けたり、曲がったり、強度が低下したりすることなく、約266°F(130℃)ないし約300°F(149℃)の蒸気滅菌温度に耐えることができるものとする。別の例として、トレイ及び蓋に用いられる材料は、熱で溶けたり、曲がったり、強度が低下したりすることなく、約273°F(134℃)の蒸気滅菌温度に耐えることができるものとする。トレイに用いられる適切な材料には、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む様々なプラスチックが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
トレイは、限定されるものではないが、円形、楕円形、台形、三角形、矩形及び正方形を含む様々な形状及び大きさのものであってよい。さらに、トレイは、ベース部530、リム部540を含み、複数の側壁520を含み得る。
【0074】
側壁の形状、大きさ、または数にかかわらず、トレイは、側壁に結合された蓋560を受容するように適合されているものとする。トレイと同じように、蓋もまた、透明であっても透明でなくてもよい硬質材料、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む様々なプラスチックから構成され得る。
【0075】
蓋を構成する材料の種類にかかわらず、蓋は、上面部570、底面部580、中央部分600及び外周部分590を含むものとする。実際には、滅菌処置中に使用される医療器具は、トレイ510の内側に配置される。代表的なガス滅菌処置には、例えば、ガスプラズマ滅菌、蒸気滅菌、エチレンオキシド滅菌、過酸化水素滅菌及びオゾン滅菌が含まれる。
【0076】
ひとたび医療器具がトレイとともに配置されると、その後、トレイの上に蓋がパチンと嵌められ、それから滅菌チャンバに入れられる。蓋は、蓋の外周部分がトレイのリム部にしっかり係合できるようにする1若しくは複数のロック機構を含むことが望ましい。すなわち、外周部分は、トレイにロックしており、ロック機構、リム部、蓋またはそれらの組合せのいずれかの一部を破壊するために必要な十分な力を加えないと取り外しができないので、トレイを容易に修復、修理または再使用することができない。
【0077】
図31を参照すると、適切なロック機構には、蓋の外周部分から延出し、トレイのリム部にしっかり係合する種々の突出部分が含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの突出部分には、種々の片持ち突出部分510が含まれるが、これらに限定されるものではない。図29に戻ると、蓋の中央部分に少なくとも1つの穴620を設け、蓋の底面部または上面部のいずれかに、少なくとも1つの穴と少なくとも部分的に連通しているフィルタ630を含めることもできる。穴及びフィルタを介して滅菌剤は滅菌容器の外側を通過して滅菌容器の内側に入ることができ、そこで医療器具は滅菌プロセス中に滅菌剤と接触することができる。
【0078】
図31を参照すると、フィルタの代用品として、滅菌ラップ640が、蓋の底面部に結合されて、蓋の外周部分に取着され得る。フィルタと同様に、滅菌ラップ及び穴を介して滅菌剤は滅菌容器の外側を通過して滅菌容器の内側に入ることができ、そこで医療器具は滅菌プロセス中に滅菌剤と接触することができる。
【0079】
滅菌ガスを透過させるが浮遊微生物、細菌、ウイルス及びこれらの混合物を透過させない材料であれば、実質的にいかなるガス透過性材料でも、フィルタまたは滅菌ラップと併用するかまたはフィルタまたは滅菌ラップの代用品として用いることができる。本発明において使用可能な適切なガス透過性材料には、例えば、医療用の紙、不織材料及び他の同様なガス透過性材料が含まれる。一般的に、本発明において用いられ得るガス透過性材料は、水蒸気を透過させ、ASTM規格E96−80に従って計算される約300g/m/24hの最小水蒸気透過率(WVTR)を有する。適切な医療用の紙には、例えば、アムコー社(AMCOR, Limited)製のAMCOR PLP強化コート紙が含まれる。
【0080】
本発明の滅菌容器のガス透過性材料として使用可能な適切な不織布材料には、例えば、エアーレイド不織ウェブ、スパンボンド不織ウェブ、メルトブローン不織ウェブ、ボンデッド−カーデッドウェブ、水流絡合不織布ウェブ、スパンレースウェブなどが含まれる。これらの各材料の製造方法は、当分野において既に知られている。これらの材料の積層体を用いてもよい。
【0081】
これらの不織布材料のうち、繊維材料ウェブは、不織メルトブローンウェブを含み得る。メルトブローン繊維は、溶融熱可塑性プラスチック材料を、複数の細い、通常は円形のダイ紡糸口金から溶融繊維として一点に集中する高速ガス(例えば空気)流中に押し出し、溶融熱可塑性プラスチック材料の繊維を細くして直径を小さくする(マイクロファイバ直径にまですることができる)ことによって形成される。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流によって運ばれ、集積面上に堆積されて、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。そのようなプロセスは、例えば特許文献2に開示されている。一般的に言えば、メルトブローン繊維は、連続的であっても非続的であってもよく、一般的には直径が10ミクロンより小さく、かつ集積面上に堆積されるときに通常は粘着性があるマイクロファイバであり得る。
【0082】
不織布材料ウェブは、不織スパンボンドウェブであり得る。スパンボンド繊維は、溶融熱可塑性プラスチック材料を、複数の細い、通常は円形の紡糸口金から押し出し、その後、押し出された繊維の直径を、例えば引き出し延伸及び/または他の公知のスパンボンディング機構によって急速に減少させることによって形成される、小径の実質的に連続した繊維である。スパンボンド不織ウェブの製造については、例えば、特許文献3ないし特許文献12に記載及び図示されている。スパンボンド繊維は、集積面上に堆積されるときには通常は粘着性がない。スパンボンド繊維は、時には約40ミクロン未満の直径を有する場合があり、多くの場合は約5ないし約20ミクロンである。
【0083】
不織布材料ウェブは、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)材料などの積層体材料を含むものであってもよい。代表的なSMS材料は、特許文献13に記載されている。他のSMS製品及びプロセスは、例えば、特許文献14ないし特許文献16に記載されている。通常、SMS材料は、2つの外側スパンボンドウェブの間にメルトブローンウェブが挟まれて構成されることになる。そのようなSMS積層体は、キンバリークラーク・コーポレーションからキムガード(Kimguard)(登録商標)という商標名で市販されている。SMS積層体のスパンボンド層は耐久性を提供し、内部のメルトブローン層は多孔性を提供する。
【0084】
上記したように、滅菌されることになる物品を収容する本発明の滅菌容器がひとたび滅菌チャンバ内に置かれると、滅菌チャンバは閉じられ、容器内にガス滅菌剤が導入される。コンパートメント内の物品がガス滅菌剤にさらされる時間は、使用されるガス滅菌剤の種類、滅菌容器内の医療器具の数、及び他の因子を含む様々な因子によって決まる。当業者は、これら及び他の因子に基づいて、ガス滅菌剤がチャンバ内に滞留すべき適切な時間を決定することができるであろう。
【0085】
ひとたび滅菌されると、滅菌容器はチャンバから取り出され、内部に滅菌された物品が収容されている滅菌容器は、使用するために保管または収納される。図30を参照すると、使用後、医療器具は洗浄され、滅菌容器は、積み重ねられて廃棄されるかまたは再利用されることができる。
【0086】
再び図29及び図31を参照すると、有利には、蓋の中央部分は、複数の脆弱要素650を有する脆弱領域によって画定される。これらの脆弱要素は、当分野で知られているように、折り線、ミシン目、エンボス、継目、またはそれらの組合せを含み得るが、これらに限定されるものではない。これらの脆弱要素は、容器の蓋内に、十分な力が加えられると破れるかまたは破断するように適合された、より弱くて頑丈さに欠ける領域を作り出す。すなわち、脆弱領域は、医療または病院従事者によってそこに加えられる通常の力を用いることで、破断するものとする。
【0087】
さらに、中央部分は、中央部分の取り外し手段660を含み得る。取り外し手段は、フック、ハンドル、タブ、本体部分または同様のものであってよい。脆弱領域は、取り外し手段を用いて脆弱要素に力または圧力を加えることによって機能させることができる。すなわち、脆弱領域は、医療または病院従事者によってそこに加えられる通常の力を用いて、すなわち、片手で取り外し手段に力を加えて、破断するものとする。中央部分の取り外しに必要な力は、取り外し手段の近くに集中させることが有利である。こうすることで、取り外しに必要な力は小さくなる。脆弱領域を機能させた後、蓋の中央部分は永久に取り外される。それゆえ、滅菌後、及び蓋から中央部分を取り外したら、中央部分を蓋に再結合して閉じた滅菌容器を作ることはできず、滅菌容器を再使用することはできない。これは、滅菌されていない医療器具の誤使用を防止するために設計された安全機能である。
【0088】
注目すべきは、脆弱領域が、中央部分を簡単に取り外しできるように十分に軟質であるべきだが、脆弱領域を破断することなく滅菌容器を保管、積み重ね及び/または処理するのに十分に頑丈であるべきだということである。さらに、滅菌処置完了後に細菌または他の有害物質が脆弱要素を通過して滅菌容器の内側に入らないように、フィルタ630または滅菌ラップ640が脆弱領域に重なるようにする。
【0089】
図31に示されているように、滅菌ラップが利用される実施形態では、滅菌ラップは、折り畳まれて蓋の外周部分に取着される。蓋の中央部分を取り外すと、滅菌ラップは、外向きに広げられて、滅菌容器の滅菌されていない側壁及び縁部を覆うことができる。これにより、臨床医は、医療器具の無菌性を低下させることなく滅菌容器から医療器具を安全にかつ自信を持って取り出すことができる。
【0090】
上記した滅菌容器に加えて、本発明は、医療行為に用いるための物品を滅菌する方法を含む。この方法は、複数の側壁、ベース部及びリム部を有するトレイを有する滅菌容器を提供するステップを含む。トレイは、トレイが劣化することなく、蒸気滅菌及びエチレンオキシド滅菌への暴露に耐えるように適合された実質的に透明な材料で作られることができる。滅菌容器はまた、上面部、底面部、外周部分及び中央部分を有する蓋を含む。蓋の外周部分は、トレイのリム部にしっかり係合するように適合されており、リム部に係合するロック機構を含む。蓋の中央部分には、少なくとも1つの穴が設けられる。中央部分はさらに、複数の脆弱要素を含む脆弱領域によって画定され、脆弱領域を機能させることにより中央部分を取り外す手段を含む。滅菌容器には、蓋の側壁に結合されて設けられたフィルタも含まれる。フィルタは、ガス透過性であり、医療器具へのアクセスが望まれるとき、中央部分とともに取り外されるように適合されている。本方法はまた、滅菌容器の内側に医療器具を配置するステップと、滅菌容器を、医療器具を滅菌するには十分な時間にわたって滅菌チャンバ内に配置するステップと、上記滅菌チャンバから滅菌容器を取り出すステップとを含む。本方法は、脆弱領域を機能させることにより中央部分を取り外す手段を用いて中央部分を取り外すことによって、滅菌された物品にアクセスすることに関する指示を提供するステップをさらに含み得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科器具を滅菌しかつ保管することにより、外科器具を滅菌状態で提供するための再使用不能なロック式容器であって、
ベース部、該ベース部に結合された近位部分及び前記ベース部から離間した遠位部分を各々が有する複数の側部、並びに該複数の側部の前記複数の遠位部分によって画定され、バリヤ部の下側部分を構成するリム部を含むトレイと、
中央部分及び、前記バリヤ部の上側部分を構成するリップ部を含み、前記トレイと協働して外科器具を収容するためのチャンバを画定し、前記リップ部及び前記リム部が協働して、互いに固定される前記トレイとの間に、前記チャンバ内に微生物が入り込むことを阻害するための前記バリヤ部を形成する蓋と、
滅菌剤が前記容器の外側から前記チャンバに入るための経路を提供し、滅菌後に前記チャンバの内側において無菌状態を維持するための透過性フィルタと、
前記蓋の一部を形成する上側ロック要素及び前記トレイの一部を形成する下側ロック要素を含み、前記容器を密閉するように前記蓋を前記トレイに嵌め合わせたときに、前記下側及び上側ロック要素がしっかり係合することによって形成される、前記トレイ及び前記蓋を互いに固定するための再使用不能ロック部分と、
滅菌後に前記チャンバにアクセスするために前記トレイと蓋とを分離するときに、前記再使用不能ロック部分を、前記トレイ及び前記蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつ前記トレイ及び前記蓋のうちの他方に結合されたままの状態にするための、前記再使用不能ロック部分に設けられた脆弱な切り離し部分とを含むことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記蓋が、前記中央部分に結合された近位部分及び前記中央部分から離間した遠位部分を各々が有する複数の側部をさらに含み、前記リップ部が前記複数の側部の前記複数の遠位部分によって画定されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記バリヤ部が、微生物が入り込むことを阻害するために、前記容器の前記外側から前記チャンバまで蛇行した経路を画定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記バリヤ部が、微生物が入り込むことを阻害するために、前記トレイと前記蓋の間に、密閉部を提供するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記再使用不能ロック部分が、少なくとも1つの位置において前記蓋及び前記トレイを互いに固定するためにしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように機械的に噛み合うロック要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記再使用不能ロック部分が、少なくとも1つの位置において前記蓋及び前記トレイを互いに固定するためにしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように蒸気滅菌中に加熱活性化される材料を用いるロック要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記蒸気滅菌中に加熱活性化される材料が、形状可変要素、接着剤、またはそれらの組合せから選択されるものであることを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
少なくとも1つの位置において前記蓋及び前記トレイを互いに固定するためにしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成する前記ロック要素が、形状可変要素、接着剤、またはそれらの組合せから選択される蒸気滅菌中に加熱活性化される材料をさらに利用していることを特徴とする請求項5に記載の容器。
【請求項9】
前記下側ロック要素が、少なくとも1つの位置において前記トレイの一部から構成され、前記上側ロック要素が、少なくとも1つの位置において前記蓋の一部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項10】
前記脆弱な切り離し部分が、前記トレイまたは蓋から離れるように前記再使用不能ロック部分を移動させるかまたは動かすことによって機能することを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項11】
前記フィルタが、前記蓋の前記中央部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項12】
(a)前記下側ロック要素が、前記トレイの前記リム部に組み込まれており、
(b)前記上側ロック要素が、前記蓋の前記中央部分を囲繞する前記蓋の外周部分に組み込まれており、かつ前記リップ部を含み、
(c)前記脆弱な切り離し部分が、前記蓋の前記中央部分から前記蓋の前記外周部分を分離する前記蓋において画定された脆弱領域であり、
(d)前記蓋の前記中央部分が、前記脆弱領域を機能させることにより前記中央部分を取り外す手段をさらに含み、それによって、前記容器を密閉するように前記蓋を前記トレイに嵌め合わせると、前記蓋の前記外周部分及び前記トレイの前記リム部がしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成し、かつ前記脆弱領域を機能させることで、前記再使用不能ロック部分が前記トレイに結合されたままの状態で、前記蓋の前記中央部分を不可逆的に切り離すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項13】
前記脆弱領域が、折り線、ミシン目、エンボス、継目またはそれらの組合せから選択される複数の脆弱要素を含むことを特徴とする請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記中央部分の前記取り外し手段が、フック、ハンドルまたはタブであることを特徴とする請求項12に記載の容器。
【請求項15】
前記形状可変材料または接着剤が、ポリオレフィン、ブロック共重合体、樹脂、ワックス及びそれらの組合せから選択されるものであることを特徴とする請求項7に記載の容器。
【請求項16】
前記形状可変材料または接着剤が、134℃未満の融点を有することを特徴とする請求項15に記載の容器。
【請求項17】
前記蓋の前記中央部分を不可逆的に切り離す間は前記蓋の前記外周部分に取着されたままであり、前記蓋の前記中央部分が取り外された後に広がって提供されるように前記蓋の前記外周部分に取着され、かつ前記蓋の底面部に結合されて配置された滅菌ラップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の容器。
【請求項18】
(a)前記下側ロック要素が、前記トレイの前記側部の前記遠位部分に組み込まれており、かつ前記トレイの前記リム部を含み、
(b)前記上側ロック要素が、前記蓋の前記中央部分を囲繞する前記蓋の外周部分に組み込まれており、かつ前記リップ部を含み、
(c)前記脆弱な切り離し部分が、前記トレイの前記側部の前記遠位部分において画定されかつ前記トレイの前記側部の近位部分から前記トレイの前記リム部を分離する脆弱領域であり、
(d)前記トレイの前記側部の前記遠位部分が、前記脆弱領域を機能させることにより前記蓋及び前記トレイの前記リム部を取り外す手段をさらに含み、それによって、前記容器を密閉するように前記蓋を前記トレイに嵌め合わせると、前記トレイの前記リム部及び前記蓋の前記外周部分がしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成し、かつ前記脆弱領域を機能させることで、前記再使用不能ロック部分が前記蓋に結合されたままの状態で、前記トレイから前記リム部を不可逆的に切り離すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項19】
外科器具を滅菌することにより、外科器具を滅菌状態で提供するための方法であって、
再使用不能なロック式滅菌容器を提供するステップを含み、前記再使用不能なロック式滅菌容器が、
ベース部、該ベース部に結合された近位部分及び前記ベース部から離間した遠位部分を各々が有する複数の側部、並びに該複数の側部の前記複数の遠位部分によって画定され、バリヤ部の下側部分を構成するリム部を含むトレイと、
中央部分及び、前記バリヤ部の上側部分を構成するリップ部を含み、前記トレイと協働して外科器具を収容するためのチャンバを画定し、前記リップ部及び前記リム部が協働して、互いに固定される前記トレイとの間に、前記チャンバ内に微生物が入り込むことを阻害するための前記バリヤ部を形成する蓋と、
滅菌剤が前記容器の外側から前記チャンバに入るための経路を提供し、滅菌後に前記チャンバの内側において無菌状態を維持するための透過性フィルタと、
前記蓋の一部を形成する上側ロック要素及び前記トレイの一部を形成する下側ロック要素を含み、前記容器を密閉するように前記蓋を前記トレイに嵌め合わせたときに、前記下側及び上側ロック要素がしっかり係合することによって形成される、前記トレイ及び前記蓋を互いに固定するための再使用不能ロック部分と、
滅菌後に前記チャンバにアクセスするために前記トレイと蓋とを分離するときに、前記再使用不能ロック部分を、前記トレイ及び前記蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつ前記トレイ及び前記蓋のうちの他方に結合されたままの状態にするための、前記再使用不能ロック部分に設けられた脆弱な切り離し部分とを含み、
前記方法がさらに、
前記再使用不能なロック式滅菌容器の内側に外科器具を配置し、前記上側及び下側ロック要素がしっかり係合して再使用不能ロック部分を形成するように前記蓋及び前記トレイを嵌め合わせ、それによって、前記容器を密閉するように前記蓋及び前記トレイを互いに固定するステップと、
前記滅菌容器を、前記外科器具を滅菌するには十分な時間にわたって滅菌チャンバ内に配置し、その後、前記滅菌チャンバから前記滅菌容器を取り出すステップと、
前記再使用不能ロック部分に設けられた前記脆弱な切り離し部分を機能させることにより、滅菌後に前記チャンバにアクセスするために前記トレイと蓋とを分離するときに、前記再使用不能ロック部分を、前記トレイ及び前記蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつ前記トレイ及び前記蓋のうちの他方に結合されたままの状態にするステップと含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記再使用不能ロック部分に設けられた前記脆弱な切り離し部分を機能させることによって、滅菌後に前記チャンバにアクセスするために前記トレイと蓋とを分離するときに、前記再使用不能ロック部分を、前記トレイ及び前記蓋のうちの一方のみから不可逆的に切り離し、かつ前記トレイ及び前記蓋のうちの他方に結合されたままの状態にすることで、前記滅菌された物品にアクセスすることに関する指示及び/またはマークを提供するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記滅菌容器を、前記滅菌チャンバから取り出した後に保管し、前記脆弱な切り離し部分を機能させる前に前記再使用不能ロック部分を検査するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2012−513814(P2012−513814A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542963(P2011−542963)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055829
【国際公開番号】WO2010/073197
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】