説明

単層膜の製造方法

【課題】親水性を有し、防曇性、防汚性、帯電防止性、結露防止性などに優れるだけでなく、基材との密着性および外観にも優れる単層膜及び該単層膜を有する積層体をより短時間で製造する方法を提供する。
【解決手段】特定の単量体と2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基を有さない多価単量体とを含む単量体組成物、及び溶解度パラメーターσが特定の範囲である溶剤を含む混合物を作製し、その混合物を基材に塗布した後、風を加えながら加熱を伴って少なくとも一部の溶剤を除去し、該単量体組成物を重合することにより、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1つのアニオン性親水基を有し、外表面のアニオン濃度(Sa)と基材に接する内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度(Da)とのアニオン濃度比(Sa/Da)が特定の範囲である単層膜を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防曇性、防汚性、及び帯電防止性に優れ、透明性、耐擦傷性にも優れる単層膜、該単層膜を有する積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックなどの有機材料、及びガラスなどの無機材料から形成される基材の曇り、汚れに対する改善要求が高まってきている。
曇りの問題を解決する方法として、反応性界面活性剤、アクリル系オリゴマーを含む防曇塗料により、親水性、吸水性を向上する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、汚れの問題を解決する手段として、材料表面の親水性を向上させることによって、外壁等に付着した外気疎水性物質などの汚れを散水又は降雨により浮き上がらせて除去する方法が提案されている(例えば、非特許文献2及び3参照。)。
【0003】
このように曇り、汚れなどの問題を解決する上では、親水性樹脂など親水性材料を使用する方法が考えられる。親水性樹脂としては、例えばポリビニルアルコールなど、分子内に多数の水酸基を有する樹脂が数多く知られている。
【0004】
その他の親水性樹脂としては、例えば、3−スルホプロピルメタクリレート・カリウム塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸・ナトリウム塩、及びポリエチレングリコールジアクリレートを重合して得られる樹脂(例えば、特許文献1参照。)、3−スルホプロピルメタクリレート・ナトリウム塩及び長鎖ウレタンジアクリレートを重合して得られる樹脂(例えば、特許文献2参照。)、2−スルホエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、及びスピログリコールウレタンジアクリレートを重合して得られる樹脂(例えば、特許文献3参照。)、2−スルホエチルメタクリレート及び/又はリン酸基を有する(メタ)アクリレートとエポキシ樹脂とから得られる樹脂(例えば、特許文献4参照。)、ヒドロキシエチルメタクリレート、スルホアルキレン(C6〜C10)メタクリレート、及びメチレンビスアクリルアミドを重合して得られる樹脂(例えば、非特許文献4参照)などが知られている。
【0005】
上記特許文献1の親水性樹脂は透明ゲル状で生体接着剤として使用できるとされている。上記特許文献2の親水性樹脂はインク吸収性に優れ、耐水性が高く、ブロッキングのないインクジェット記録方式に用いられる被記録材として使用できるとされている。上記特許文献3の親水性樹脂は、光情報ディスク駆動の為のメタルハブと樹脂基板とを強固に接着できるとされている。上記特許文献4の親水性樹脂は機械的性能、耐溶剤性、造膜性、接着性、透明性、耐磨耗性に優れた電導性硬化膜として使用できるとされている。上記非特許文献4にはガラス上に形成された微架橋の親水性樹脂からなる被膜の親水性が、モノマーとして使用したスルホアルキレンメタクリレートのアルキレン鎖長(C6〜C10)によって変化し(前進接触角と後退接触角)、さらに水和時間によっても変化することが明らかにされている。
【0006】
しかしながら、上記親水性樹脂の大部分は、分子間架橋度が比較的低く、水溶性が高かったり、水溶性ではないとしても、水を吸収してゲル状になりやすい傾向にあった。また分子間架橋度が比較的小さいため、表面が軟らかく傷つきやすい場合もあった。
【0007】
また一部の上記親水性樹脂は親水性が不充分で、防曇材料及び防汚材料として使用するには充分とは言えないものであった。
一方、特許文献5では、基材の表面に架橋重合性モノマー組成物を塗布し紫外線照射量をコントロールして不完全に重合した架橋ポリマーを形成させ、次いで親水性モノマーを塗布し再び紫外線を照射する事により親水モノマーを架橋ポリマーの表面にブロック又はグラフト重合させる2度塗りによる2層構造の親水性材料が提案されている。
【0008】
しかし、この2度塗りによる方法は、通常の1度塗りによる1層構造の方法と比較して、煩雑であり、しかもコスト高であり、表面の平滑性も損なう場合もあった。
本発明者らは、上記問題を解決する手段として、水酸基含有(メタ)アクリルアミドから得られる重合体を先に提案している(特許文献6を参照。)。
【0009】
しかし、防汚皮膜、又は防曇皮膜として用いることを考えた場合、その物性についてはさらに改善の余地があった。
また、本発明者らは、上記問題を解決する手段として、特定のアニオン性親水基が表面に高濃度で存在する単層膜を先に提案している(特許文献7を参照。)。
【0010】
しかし、防汚皮膜、又は防曇皮膜として用いることを考えた場合、その物性についてはさらに改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2002−521140号公報
【特許文献2】特開平11−115305号公報
【特許文献3】特開平08−325524号公報
【特許文献4】特公昭53−010636号公報
【特許文献5】特開2001−98007号公報
【特許文献6】国際公開第2004/058900号
【特許文献7】国際公開第2007/064003号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】東亜合成研究年報、TREND1999年 2月号、39〜44頁
【非特許文献2】高分子,44(5),307頁
【非特許文献3】未来材料,2(1),36−41頁
【非特許文献4】Journal of Colloid and Interface Science, vol.110(2), 468-476(1986年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、親水性を有し、防曇性、防汚性、帯電防止性、結露防止性などに優れるだけでなく、基材との密着性および外観にも優れる単層膜及び該単層膜を有する積層体をより短時間で製造する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、特定の単量体及び特定の多価単量体を含む単量体混合物と、特定の溶剤とを含む混合物から特定の溶媒の除去条件により製造される単層膜が、親水性を有し、防曇性、防汚性、帯電防止性、結露防止性などに優れるだけでなく、密着性および外観にも優れるとともに、該単層膜をより短時間で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明のスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1つのアニオン性親水基を有する単層膜の製造方法は、下記一般式(1)で表される単量体(I)と2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基を有さない多価単量体(II)とを含む単量体組成物、及び溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤を含む混合物を作製する工程、
その混合物を基材に塗布した後風を加えながら加熱を伴って少なくとも一部の溶剤を除去する工程、及び
単量体(I)及び単量体(II)を含む単量体組成物を重合する工程を含む、
外表面のアニオン濃度(Sa)と基材に接する内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度(Da)とのアニオン濃度比(Sa/Da)が1.1以上であることを特徴とする。
[X]s[M1]l[M2]m (1)
(上記式(1)中、sは1又は2を表し、l及びmはs=l+m/2を満たす整数を表す。M1は、水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオンであり、M2はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンである。Xは、下記一般式(1−1)〜(1−4)で示される基から選ばれる少なくとも1つの1価アニオンである。
【0016】
【化1】

【0017】
【化2】

【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

(上記式(1−1)〜(1−4)中、J及びJ'はそれぞれ独立にH又はCH3であり、nは0又は1を表し、Rはそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数1〜600の脂肪族炭化水素基である。))
上記単量体(I)としては、下記一般式(1−1−1)及び一般式(1−1−2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの単量体であることが好ましい。
【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

(式(1−1−1)及び(1−1−2)中、JはH又はCH3であり、R1及びR2はそれぞれ独立にH、CH3又はC25である。nは1〜20の整数を表し、lは2〜10の整数を表し、Mは水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオン、又はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンであり、Mが1価のカチオンである場合にはmは1であり、Mが2価のカチオンである場合にはmは2である。)
上記多価単量体(II)としては、下記一般式(2−1)及び一般式(2−2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの単量体であることが好ましい。
【0022】
【化7】

【0023】
【化8】

(上記式(2−1)及び(2−2)中、R3及びR5〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R12及びR13はそれぞれ独立にH又はCH3であり、
1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ独立にO又はSであり、
aは2〜30の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、cは0〜30の整数を表し、dは0〜20の整数を表し、eは0〜2の整数を表し、iは1〜20の整数を表し、kは
1〜10の整数を表し、
Aは
【0024】
【化9】

又は
【0025】
【化10】

から選ばれる1種を表す。ここで、*は結合手であり、
10及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R200及びR201はそれぞれ独立にH、CH3又はフェニル基であり、Rは、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン又はキシリレンであり、R50はヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、トルイレン、ジフェニルメタン又はキシリレンであり、
VはOH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、W1〜W3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、ZはOH、結合手(*)を有する酸素原子、COOH又は結合手(*)を有するカルボキシル基(COO)を表し、V1〜V3はそれぞれ独立にH又は結合手(*)であり、
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表し、o1及びo2はそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、fは1〜20の整数を表し、gは0〜3の整数を表し、mは0又は1を表し、qは1〜7の整数を表し、a1は、2〜3の整数を表し、a2は、3〜4の整数を表し、a3は、4〜6の整数を表し、a4は、2〜3の整数を表し、a5は、2〜4の整数を表す。)
【0026】
上記多価単量体(II)としては、下記一般式(3)〜(8)及び(10)〜(33)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの単量体であることが好ましい。
【0027】
【化11】

(上記式(3)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
【0028】
【化12】

(上記式(4)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
【0029】
【化13】

(上記式(5)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c1は2〜30の整数を表す。)
【0030】
【化14】

(上記式(6)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c2及びc3はそれぞれ独立に1〜5の整数を表し、d1は2〜20の整数を表す。)
【0031】
【化15】

(上記式(7)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、d1は2〜20の整数を表し、mは0又は1を表す。)
【0032】
【化16】

(上記式(8)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、o1及びo2はそれぞれ独立1〜3の整数を表す。)
【0033】
【化17】

(上記式(10)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c4及びc5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは0又は1を表す。)
【0034】
【化18】

(上記式(11)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、mは0又は1を表す。)
【0035】
【化19】

(上記式(12)中、R3〜R7はそれぞれ独立にH又はCH3である。)
【0036】
【化20】

(上記式(13)中、*は結合手であり、R3、R5及びR6それぞれ独立にH又はCH3であり、c6は0〜3の整数を表す。)
【0037】
【化21】

(上記式(14)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは0又は1を表す。)
【0038】
【化22】

(上記式(15)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c9及びc10はそれぞれ独立に0〜30の整数を表す。)
【0039】
【化23】

(上記式(16)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c11〜c14は1以上の整数を表し、なおかつc11+c12+c13+c14=4〜30を満足する。)
【0040】
【化24】

(上記式(17)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。)
【0041】
【化25】

(上記式(18)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R200及びR201はそれぞれ独立にH、CH3又はフェニル基であり、c4及びc5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【0042】
【化26】

(上記式(19)中、R3〜R5及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1〜b3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、fは1〜20の整数を表す。)
【0043】
【化27】

(上記式(20)中、*は結合手であり、VはOH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a1は2又は3を表し、b1は0〜2の整数を表し、c15は0〜20の整数を表す。)
【0044】
【化28】

(上記式(21)中、*は結合手であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a2は3又は4を表し、c16は0〜20の整数を表す。)
【0045】
【化29】

(上記式(22)中、*は結合手であり、W2及びW3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a3は4〜6の整数を表し、c17は0〜3の整数を表す。)
【0046】
【化30】

(上記式(23)中、Rはヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、又はキシリレンであり、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、e1及びe2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。)
【0047】
【化31】

(上記式(24)中、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1は0〜2の整数を表し、c15は0〜20の整数を表し、n100は、1〜6の整数を表す。)
【0048】
【化32】

(上記式(25)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c9及びc10はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【0049】
【化33】

(上記式(26)中、R3はH又はCH3であり、p1は1〜6の整数を表し、a10は3を表す。)
【0050】
【化34】

(上記式(27)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【0051】
【化35】

(上記式(28)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【0052】
【化36】

(上記式(29)中、R3及びR5〜R13はそれぞれ独立にH又はCH3であり、i1は0〜5の整数を表す。)
【0053】
【化37】

(上記式(30)中、R3及びR5〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a2は3又は4を表し、i1は0〜5の整数を表す。)
【0054】
【化38】

(上記式(31)中、R3〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W2及びW3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a7は1〜6の整数を表し、a8は0〜5の整数を表し、なおかつa7+a8=2〜6を満足する。)
【0055】
【化39】

(上記式(32)中、R70はトルイレン、ジフェニルメタン、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、N,N‘,N“−トリス(ヘキサメチレン)−イソシアヌレート、N,N,N’−トリス(ヘキサメチレン)−ウレア、N,N,N‘,N’−テトラキス(ヘキサメチレン)−ウレア、又はキシリレンであり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a9は1〜4の整数を表し、a10は2〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、c4は0〜5の整数を表す。)
【0056】
【化40】

(上記式(33)中、R70は、トルイレン、ジフェニルメタン、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、N,N‘,N“−トリス(ヘキサメチレン)−イソシアヌレート、N,N,N’−トリス(ヘキサメチレン)−ウレア、N,N,N‘,N’−テトラキス(ヘキサメチレン)−ウレア、又はキシリレンであり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a9は1〜4の整数を表し、a10は2〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、c4は0〜5の整数を表す。)
上記単層膜の水接触角は30°以下であることが好ましい。
【0057】
上記単層膜の膜厚は、通常0.1〜100μmの範囲である。
上記単層膜は、防曇材料、防汚材料、又は帯電防止材料などとして用いることができる。
【0058】
本発明の積層体は基材の少なくとも片面に、上記単層膜が形成されてなることを特徴とする。
上記積層体は、上記基材の一方の表面に単層膜が形成され、単層膜が形成されていない基材表面に粘着層が形成されていてもよい。また、上記粘着層の表面にさらに剥離層が形成されていてもよい。
【0059】
上記積層体では、上記単層膜の表面に剥離可能な被覆材層が形成されていてもよい。
本発明の積層体の製造方法は、下記一般式(1)で表される単量体(I)と、2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基を有さない多価単量体(II)とを含む単量体組成物、及び溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤を含む混合物を作製する工程、
その混合物を基材表面の少なくとも一方に塗布する工程、
塗布した混合物から風を加えながら加熱を伴って溶剤の少なくとも一部を除去する工程、及び
上記工程を経た混合物に含まれる単量体(I)及び単量体(II)を重合する工程を含み、
外表面のアニオン濃度(Sa)と基材に接する内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度(Da)とのアニオン濃度比(Sa/Da)が1.1以上であるスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種のアニオン性親水基を有する単層膜が基材の少なくとも一方の表面に形成された積層体が製造されることを特徴とする。
[X]s[M1]l[M2]m (1)
(上記式(1)中、sは1又は2を表し、l及びmはs=l+m/2を満たす整数を表す。
【0060】
M1は、水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオンであり、M2はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンである。
Xは、下記一般式(1−1)〜(1−4)で示される基から選ばれる少なくとも1つの1価アニオンである。
【0061】
【化41】

【0062】
【化42】

【0063】
【化43】

【0064】
【化44】

(上記式(1−1)〜(1−4)中、J及びJ'はそれぞれ独立にH又はCH3であり、nは0又は1を表し、Rはそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数1〜600の脂肪族炭化水素基である。))
上記積層体の製造方法によれば、好ましくは水接触角が30°以下となる単層膜を有する積層体を製造できる。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、親水性を有し、防曇性、防汚性、帯電防止性、結露防止性などに優れるだけでなく、クラックなどの外観不良を起こし難く、密着性に優れた単層膜及び該単層膜を有する積層体をより短時間で乾燥を終了させることができ、生産性よく製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】アニオン濃度比の測定用試料調製の方法を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明の製造方法により得られる単層膜は、特定の単量体組成物を重合することにより得られる。
上記単量体組成物には、下記一般式(1)で表される単量体(I)が含まれる。
[X]s[M1]l[M2]m (1)
上記式(1)中、sは1又は2を表し、l及びmはs=l+m/2を満たす整数を表す。
【0068】
M1は、水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオンである。
なお、本発明でいうアンモニウムイオンとは、アンモニア、1級アミン、2級アミン又は3級アミンに水素イオンが結合してできた陽イオンである。上記アンモニウムイオンとしては、親水性の観点からは、アンモニア及び炭素数の少ないアミンに水素イオンが結合した陽イオンが好ましく、アンモニアに水素イオンが結合して形成されるアンモニウムイオン、メチルアンモニウムがより好ましい。
【0069】
上記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられる。
上記M1の中でもアルカリ金属イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びルビジウムイオンがより好ましい。
【0070】
M2は、アルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンである。
Xは、下記一般式(1−1)〜(1−4)で示される基から選ばれる少なくとも1つの1価アニオンである。
【0071】
【化45】

【0072】
【化46】

【0073】
【化47】

【0074】
【化48】

上記一般式(1−1)〜(1−4)中、J及びJ'はそれぞれ独立にH又はCH3である。nは0又は1を表す。
【0075】
Rはそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数1〜600の脂肪族炭化水素基である。上記Rとしては、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数2〜100の脂肪族炭化水素基が好ましく、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数2〜20の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
【0076】
上記単量体(I)の中でも、m=0の単量体が好ましい。
上記Xの式量は、通常50〜18,000、好ましくは100〜1,000、より好ましくは170〜500である。
【0077】
上記単量体(I)の中でも、下記一般式(1−1−1)及び一般式(1−1−2)で表される単量体が好ましい。
【0078】
【化49】

【0079】
【化50】

上記式(1−1−1)及び(1−2−1)において、Jは、H又はCH3である。
【0080】
1及びR2は、それぞれ独立に、H、CH3、又はC25である。これらR1及びR2の中でも、合成の容易さからHが好ましい。
nは1〜20の整数を表すが、合成の容易さから、好ましくは2〜10の整数、より好ましくは2〜4の整数である。
【0081】
lは、2〜10の整数を表すが、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜4の整数である。
Mは水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオン、又はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンである。
【0082】
そして、Mが1価のカチオンである場合にはmは1であり、Mが2価のカチオンである場合にはmは2である。
上記アンモニウムイオンは、アンモニア、1級アミン、2級アミン又は3級アミンに水素イオンが結合してできた陽イオンである。上記アンモニウムイオンとしては、親水性の観点からは、アンモニア及び炭素数の少ないアミンに水素イオンが結合した陽イオンが好ましく、アンモニアに水素イオンが結合して形成されるアンモニウムイオン、メチルアンモニウムがより好ましい。
【0083】
上記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられる。上記アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムなどが挙げられる。
【0084】
これらMの中でも、1価のカチオンが好ましく、アルカリ金属イオンがより好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びルビジウムイオンがさらに好ましい。
これら式(1−1−1)及び(1−1−2)で表される単量体の中でも、2−スルホニルエチル−(メタ)アクリレート、3−スルホニルプロピル−(メタ)アクリレート及びこれら化合物のアルカリ金属塩が好ましい。
【0085】
上記単量体(I)の分子量は、通常168〜18,000、好ましくは180〜1,000、より好ましくは200〜500である。
上記単量体(I)は1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0086】
なお、本発明の単量体組成物には上記単量体(I)が含まれるが、上記単量体(I)の少なくとも一部が反応してオリゴマーの形になって上記単量体組成物に含まれていてもよい。なお、ここでいうオリゴマーとは上記単量体(I)から形成される繰り返し単位を通常2〜20含むものである。
【0087】
上記単量体(I)は公知の方法又は公知に準ずる方法により製造でき、例えば特公昭49−36214号公報、特公昭51−9732号公報、特開昭63284157号公報、又は米国特許第3024221号明細書に記載された方法により製造できる。
【0088】
例えば、上記式(1−1−1)で表される単量体は、アルカリ金属炭酸塩の存在下、(メタ)アクリル酸とプルパンスルトンとを反応させることにより製造でき、上記式(1−1−2)で表される単量体は、ポリオールの一部の水酸基をハロゲン化水素でハロゲン化し、次いで置換されたハロゲンにアルカリ金属スルホネートを反応させて水酸基を有するアルカリ金属スルホネート化合物を合成し、最後にこの水酸基と(メタ)アクリル酸ハライド又は(メタ)アクリル酸とを反応させることにより製造できる。
【0089】
上記単量体組成物には、さらに、2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基を有さない多価単量体(II)が含まれる。
この多価単量体(II)に含まれる(メタ)アクリロイル基の形態については特に制限はないが、(メタ)アクリロイル基は、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルチオ基、又は(メタ)アクリルアミド基などの形態で多価単量体(II)に含まれるが、好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリロイルチオ基の形態で含まれる。
【0090】
上記多価単量体(II)としては、例えば、1以上の水酸基と2以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物、1以上のエーテル結合又はチオエーテル結合と2以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物、1以上のエステル結合と2以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物、1以上の脂肪族環構造又は芳香族環構造と2以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物、1以上のヘテロ環構造と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられる。
【0091】
これら多価単量体(II)の中でも、下記一般式(2−1)及び(2−2)で表される単量体が好ましい。
【0092】
【化51】

【0093】
【化52】

上記式(2−1)及び(2−2)において、R3及びR5〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R12及びR13はそれぞれ独立にH又はCH3であり、X1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ独立にO又はSである。aは2〜30の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、cは0〜30の整数を表し、dは0〜20の整数を表し、eは0〜2の整数を表す。iは1〜20の整数を表し、好ましくは1〜10、より好ましく
は1〜5、さらに好ましくは1〜3の整数を表す。kは1〜10の整数を表し、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6の整数を表す。
【0094】
Aは、
【0095】
【化53】

又は
【0096】
【化54】

から選ばれる1種を表す。
【0097】
ここで、*は結合手である。
10及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R200及びR201はそれぞれ独立にH、CH3又はフェニル基である。Rは、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン又はキシリレンであり、R50はヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、トルイレン、ジフェニルメタン又はキシリレンである。
【0098】
VはOH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、W1〜W3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、ZはOH、結合手(*)を有する酸素原子、COOH又は結合手(*)を有するカルボキシル基(COO)を表し、V1〜V3はそれぞれ独立にH又は結合手(*)である。
【0099】
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表し、o1及びo2はそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、fは1〜20の整数を表し、gは0〜3の整数を表し、mは0又は1を表す。qは1〜7の整数を表し、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数を表す。a1は、2〜3の整数を表し、好ましくは3である。a2は、3〜4の整数を表し、好ましくは3である。a3は、4〜6の整数を表し、好ましくは5又は6である。a4は、2〜3の整数を表し、好ましくは3である。a5は、2〜4の整数を表し、好ましくは3又は4である。
【0100】
上記一般式(2−1)〜(2−2)で表される多価単量体は、公知の方法又は公知に準ずる方法により製造できる。また、市販品として入手可能である。
上記式(2−1)及び一般式(2−2)で表される多価単量体の中でも、下記一般式(3)〜(8)及び(10)〜(33)で表される多価単量体が好ましい。
【0101】
【化55】

上記式(3)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。
【0102】
【化56】

上記式(4)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。
【0103】
【化57】

上記式(5)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c1は2〜30の整数を表す。
【0104】
【化58】

上記式(6)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c2及びc3はそれぞれ独立に1〜5の整数を表し、d1は2〜20の整数を表す。
【0105】
【化59】

上記式(7)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、d1は2〜20の整数を表し、mは0又は1を表す。
【0106】
【化60】

上記式(8)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、o1及びo2はそれぞれ独立1〜3の整数を表す。
【0107】
【化61】

上記式(10)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c4及びc5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは0又は1を表す。
【0108】
【化62】

上記式(11)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、mは0又は1を表す。
【0109】
【化63】

上記式(12)中、R3〜R7はそれぞれ独立にH又はCH3である。
【0110】
【化64】

上記式(13)中、*は結合手であり、R3、R5及びR6それぞれ独立にH又はCH3であり、c6は0〜3の整数を表す。
【0111】
【化65】

上記式(14)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは0又は1を表す。
【0112】
【化66】

上記式(15)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c9及びc10はそれぞれ独立に0〜30の整数を表す。
【0113】
【化67】

上記式(16)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c11〜c14は1以上の整数を表し、なおかつc11+c12+c13+c14=4〜30を満足する。
【0114】
【化68】

上記式(17)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。
【0115】
【化69】

上記式(18)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R200及びR201はそれぞれ独立にH、CH3又はフェニル基であり、c4及びc5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0116】
【化70】

上記式(19)中、R3〜R5及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1〜b3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、fは1〜20の整数を表す。
【0117】
【化71】

上記式(20)中、*は結合手であり、VはOH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a1は2又は3を表し、b1は0〜2の整数を表し、c15は0〜20の整数を表す。)
【0118】
【化72】

上記式(21)中、*は結合手であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a2は3又は4を表し、c16は0〜20の整数を表す。
【0119】
【化73】

上記式(22)中、*は結合手であり、W2及びW3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a3は4〜6の整数を表し、c17は0〜3の整数を表す。
【0120】
【化74】

上記式(23)中、Rはヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、又はキシリレンであり、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、e1及びe2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。
【0121】
【化75】

上記式(24)中、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1は0〜2の整数を表し、c15は0〜20の整数を表し、n100は、1〜6の整数を表す。
【0122】
【化76】

上記式(25)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c9及びc10はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0123】
【化77】

上記式(26)中、R3はH又はCH3であり、p1は1〜6の整数を表し、a10は3を表す。
【0124】
【化78】

上記式(27)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0125】
【化79】

上記式(28)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。
【0126】
【化80】

上記式(29)中、R3及びR5〜R13はそれぞれ独立にH又はCH3であり、i1は0〜5の整数を表す。
【0127】
【化81】

上記式(30)中、R3及びR5〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a2は3又は4を表し、i1は0〜5の整数を表す。
【0128】
【化82】

上記式(31)中、R3〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W2及びW3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a7は1〜6の整数を表し、a8は0〜5の整数を表し、なおかつa7+a8=2〜6を満足する。
【0129】
【化83】

上記式(32)中、R70はトルイレン、ジフェニルメタン、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、N,N‘,N“−トリス(ヘキサメチレン)−イソシアヌレート、N,N,N’−トリス(ヘキサメチレン)−ウレア、N,N,N‘,N’−テトラキス(ヘキサメチレン)−ウレア、又はキシリレンであり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a9は1〜4の整数を表し、a10は2〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、c4は0〜5の整数を表す。
【0130】
【化84】

上記式(33)中、R70は、トルイレン、ジフェニルメタン、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、N,N‘,N“−トリス(ヘキサメチレン)−イソシアヌレート、N,N,N’−トリス(ヘキサメチレン)−ウレア、N,N,N‘,N’−テトラキス(ヘキサメチレン)−ウレア、又はキシリレンであり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a9は1〜4の整数を表し、a10は2〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、c4は0〜5の整数を表す。
【0131】
上記一般式(3)で表される多価単量体(II)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}エタン、1,2−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}プロパン、1,3−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}プロパン、1,4−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}プタン、1,6−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ}ヘキサンなどが挙げられる。
【0132】
上記一般式(4)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記一般式(5)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ポリエチレングリコール−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}エーテル、1,2−ポリプロピレングリコール−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}エーテルなどが挙げられる。
【0133】
上記一般式(6)で表される多価単量体(II)としては、例えば、1,2−ポリプロピレングリコール−ビス{(メタ)アクリロイル−ポリ(オキシエチレン)}エーテルなどが挙げられる。
【0134】
上記一般式(7)で表される多価単量体(II)としては、例えば、1,3−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ポリブチレングリコール−ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}エーテルなどが挙げられる。
【0135】
上記一般式(8)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ビス{2−(メタ)アクリロイルチオ−エチル}スルフィド、ビス{5−(メタ)アクリロイルチオ−3−チアペンチル}スルフィドなどが挙げられる。
【0136】
上記一般式(10)で表される多価単量体(II)としては、例えば、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−メチル}シクロヘキサン、ビス{7−(メタ)アクリロイルオキシ−2,5−ジオキサヘプチル}シクロヘキサン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)−メチル}シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0137】
上記一般式(11)で表される多価単量体(II)としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記一般式(12)で表される多価単量体(II)としては、例えば、2−プロペノイックアシッド {2−(1,1,−ジメチル−2−{(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ}エチル)−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル}メチルエステル(日本化薬社製,商品名「KAYARAD R−604」)などが挙げられる。
【0138】
上記一般式(13)で表される多価単量体(II)としては、例えば、N,N‘,N“−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル}イソシアヌレートなどが挙げられる。
【0139】
上記一般式(14)で表される多価単量体(II)としては、例えば、キシリレンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス{7−(メタ)アクリロイルオキシ−2,5−ジオキサヘプチル}ベンゼン、ビス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)−メチル}ベンゼンなどが挙げられる。
【0140】
上記一般式(15)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビス{(メタ)アクリロイル−オキシエチル}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−オキシプロピル}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−ポリ(オキシエチレン)}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイル−ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピルーオキシエチル}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシプロピル}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−ポリ(オキシエチレン)}ビスフェノールA、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)}ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0141】
上記一般式(16)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ビス{(メタ)アクリロイル−オキシエチル−オキシプロピル}ビスフェノールA、ビス{(メタ)アクリロイルポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシ−1,2−プロピレン)}ビスフェノールAなどが挙げられる。
【0142】
上記一般式(17)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ナフタレンジオールジ(メタ)アクリレート、ビス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシ}ナフタレンなどが挙げられる。
【0143】
上記一般式(18)で表される多価単量体(II)としては、例えば、9,9−フルオレンジオールジ(メタ)アクリレート、9,9−ビス{4−(2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ)}フルオレン、9,9−ビス{3−フェニル−4−(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}フルオレンなどが挙げられる。
【0144】
上記一般式(19)で表される多価単量体(II)としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート(新中村化学製,商品名「NKオリゴ EA−6320,EA−7120,EA−7420」)などが挙げられる。
【0145】
上記一般式(20)で表される多価単量体(II)としては、例えば、グリセリン−1,3−ジ(メタ)アクリレート、1−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシ−プロパン、2,6,10−トリヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデカン−1,11−ジ(メタ)アクリレート、1,2,3−トリス{3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシ−プロピル−オキシ}プロパン、1,2,3−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}プロパン、1,2,3−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}プロパン、1,2,3−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}プロパン、1,2,3−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}プロパンなどが挙げられる。
【0146】
上記一般式(21)で表される多価単量体(II)としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、トリメチロールプロパン−トリス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、トリメチロールプロパン−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、トリメチロールプロパン−トリス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、ペンタエリスリトール−テトラキス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、ペンタエリスリトール−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、ペンタエリスリトール−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテルなどが挙げられる。
【0147】
上記一般式(22)で表される多価単量体(II)としては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、ジトリメチロールプロパン−テトラキス{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−オキシ}エーテル、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{2−(メタ)アクリロイルオキシ−プロピル−オキシ}エーテル、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(エチレンオキシ)}エーテル、ジペンタエリスリトール−ヘキサ{(メタ)アクリロイルオキシ−ポリ(1,2−プロピレンオキシ)}エーテルなどが挙げられる。
【0148】
上記一般式(23)で表される多価単量体(II)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアナートとの反応物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアナートとの反応物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとビス(イソシアナトメチル)ノルボルナンとの反応物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとノルビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンとの反応物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートと1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとの反応物、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートとm−キシリレンジイソシアナートとの反応物などが挙げられる。
【0149】
本発明の単量体(I)と多価単量体(II)とのモル比 単量体(I)/多価単量体(II)は、好ましくは1/30以上15/1以下、より好ましくは1/25以上2/1以下、さらに好ましくは1/23以上1/1以下、特に好ましくは1/20以上1/1以下、最も好ましくは1/15以上1/3以下である。
【0150】
単量体(I)と多価単量体(II)とのモル比が上記範囲の単量体組成物を用いた場合、親水性を有し、防曇性、防汚性、帯電防止性、結露防止性などに優れるだけでなく、基材との密着性および外観にも優れる単層膜が得られる。
【0151】
上記単量体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、単量体(I)及び単量体(II)以外の他の単量体(III)が含まれていてもよい。
上記他の単量体(III)としては、例えば、(メタ)アクリル酸などの単量体(I)以外のカルボキシル基又はカルボン酸塩基含有単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどのアルキルモノ(メタ)アクリレート;N,N−ジメチル−アミノエチル−(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル−アミノエチル−(メタ)アクリレート塩酸塩などのアミノ基又はアンモニウム塩基含有単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシ−エチル−燐酸などの単量体(I)以外のリン酸基又はリン酸塩基含有単量体;、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸カリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸カリウムなどの単量体(I)以外のスルホン酸基又はスルホン酸塩基含有単量体;
アリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコーリビス(アリルカーボネート)、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、グリシジル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチル−ベンジルイソシアナート、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン、イソホロンジイソシアナート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナト−シクロヘキシル)メタンなどが挙げられる。
【0152】
また、単層膜の屈折率の値を大きくしたい場合には、上記単量体(III)として、2,5−ビス(アクリロイルチオメチル)−1,4−ジチアン、1,8−ビス(アクリロイルチオ)−5−アクリロイルチオメチル−3,6−ジチアオクタン、2,5−ビス(アクリロイルチオメチル)−1,4−ジチアン、1,11−ビス(アクリロイルチオ)−4,8−ビス(アクリロイルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンなどの硫黄原子を有する単量体を用いてもよい。
【0153】
上記単量体(III)の単量体組成物中の含有量は本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、単量体(I)及び単量体(II)の合計100モル%に対し、通常100モル%以下、好ましくは49モル%以下、より好ましくは40モル%以下の量で使用する。このような含有量で単量体組成物に含ませることにより、柔軟性、靭性、屈折率などの物性を調整できる。
【0154】
本発明では、上記単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤との混合物を作製する。
溶解度パラメーターσ(cal/cm3)は、以下(1)〜(4)の値から計算できる。
(1)1mol当たりの蒸発潜熱 Hb=21×(273+Tb)〔単位:cal/mol〕,Tb:溶剤の沸点(℃)
(2)25℃での1mol当たりの蒸発潜熱 H25=Hb×{1+0.175×(Tb−25)/100}〔単位:cal/mol〕,Tb:溶剤の沸点(℃)
(3)分子間結合エネルギー E=H25−596〔単位:cal/mol〕
(4)溶剤1ml(cm3)当たりの分子間結合エネルギー E1=E×D/Mw〔単位:cal/cm3〕,D:密度(g/cm3),Mw:溶剤の分子量
(5)溶解度パラメーター σ=(E1)1/2〔単位:cal/cm3
このような溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が9.3以上の化合物を含有する溶剤が単量体組成物との混合物に含まれていることにより、単量体(I)に由来するアニオン性親水基と一定の相互作用を有するため、この混合物を基材に塗布して、その混合物から溶剤を除去する際に、塗布された混合物の外気に接する表面に溶剤と同伴してアニオン性親水基(単量体(I))が移動して、その表面にアニオン性親水基が濃縮されることになり、本発明で得られる単層膜外表面にアニオン性親水基が集中した構造(傾斜構造)が形成される。
【0155】
一方、溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が9.3未満であると、上述のような相互作用が弱くなるため、上述の傾斜構造が十分には形成されない。この傾斜構造をより形成しやすくする観点からは、上記溶解度パラメーターσ(cal/cm3)は9.5以上であることが好ましい。
【0156】
また、上述の傾斜構造がより形成させやすいという点では、上記溶剤の中でも、沸点が30〜170℃の溶剤、沸点が50〜140℃の溶剤がより好ましく、沸点が60〜125℃の溶剤がさらに好ましい。なお、上記溶剤が2以上の化合物を含む混合溶剤である場合には、これら混合溶剤の最高沸点が上記範囲にあればよい。
【0157】
上記溶剤として用い得る、溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が9.3以上かつ沸点が30〜170℃の化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、シクロヘキサノール、1−プロパノール、IPA(イソプロパノール)、2−エトキシエタノール、1−ブタノール、イソブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンタノール(3−メチル−1−ブタノール)などのアルコール;
シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、アセトンなどのケトン;
蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸;
酢酸メチルなどのカルボン酸エステル;
ジオキサン、アニソール、THF(テトラヒドロフラン)などのエーテル;
DMF(N,N’−ジメチルホルムアミド)、DMAC(N,N’−ジメチルアセトアミド)などのアミド;
アセトニトリルなどのニトリル;
及び水等が挙げられる。
【0158】
これら化合物の中でもアルコールが好ましく、アルコールの中でも、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンタノール(3−メチル−1−ブタノール)などの1級アルコールが好ましい傾向にある。
【0159】
溶剤に含まれる溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が9.3以上の上記化合物は、単独で用いても混合して用いてもよい。
また、上記溶剤が2以上の化合物を含む混合溶剤である場合には、少なくともその1つが、上記溶解度パラメーターの条件を満たしていればよい。溶剤中に含まれるその1つの化合物の溶解度パラメーターが上記条件を満たしている場合には、単量体(I)に由来するアニオン性親水基とその1つの化合物とが一定の相互作用を有するため、この混合物を基材に塗布して、その混合物から溶剤を除去する際に、塗布された混合物の外気に接する表面にその1つの化合物と同伴してアニオン性親水基(単量体(I))が移動することには変わりはなく、その結果として、表面にアニオン性親水基が濃縮されることになるからである。
【0160】
2以上の化合物を含む混合溶剤である場合、沸点が最も高い化合物が傾斜構造の形成に影響を与えやすい傾向にある。そのため、混合溶剤に含まれる沸点が最も高い化合物の溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が9.3以上であることが好ましい。
【0161】
また、2以上の化合物を含む混合溶剤である場合は、溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が上記条件を満たす化合物:それ以外の化合物の重量比が、好ましくは99.9:0.1〜1:99、より好ましくは99:1〜10:90、さらに好ましくは98:2〜30:70の範囲である。
【0162】
ただし、溶剤に含まれる溶解度パラメーターσ(cal/cm3)が9.3以上の化合物の中でも、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチル−エタノールアミン、N−(2−エチルヘキシル)エタノールアミン、N−ブチル−ジエタノールアミン、N−ヘキシル−ジエタノールアミン、N−ラウリル−ジエタノールアミン、N−セチル−ジエタノールアミンなどのヒドロキシエチルアミノ構造を有するエタノールアミン系化合物〔NRab(CH2CH2OH): Ra及びRbは独立して、水素、炭素数1〜15のアルキル基、又はCH2CH2OH基である。〕は望ましくない。上記エタノールアミン系化合物は、単量体(I)に由来するアニオン性親水基との相互作用が強すぎるため、エタノールアミン系化合物とアニオン性親水基とが、あたかもひとつの分子のような状態(典型的には塩)を形成し、アニオン性親水基の見かけ上の分子量を増大させる。この分子量の増大は、媒体中の移動速度を低下させるため、基材上に塗布し、単量体組成物との混合物から溶剤を除去する際に、アニオン性親水基を外気と接する表面に移動しにくくさせる。また、仮にエタノールアミン系化合物と同伴してアニオン性親水基が外気に接する表面に移動しても、エタノールアミン系化合物が相互作用したアニオンは見かけ上の分子量が増大しているため、エタノールアミン系化合物と相互作用していないアニオンよりも必然的に単位表面積あたりのアニオン濃度が低下することになり、結果として表面に濃縮されにくくなる。さらに上述の強い相互作用に加えてエタノールアミン系化合物は比較的沸点が高く(約170℃以上)蒸発し難いため、フリーのエタノールアミン系化合物であっても表面への移動が起こりにくく、内部に残留しやすい。そのため、より分子量が増大したエタノールアミン系化合物とアニオンとの相互作用により生じた物質はさらに表面へ移動しにくくなる傾向にある。即ち、上記エタノールアミン系化合物を含む溶剤を用いると、アニオンの外気に接する表面への移動が抑制され、単量体組成物との混合物中(単層膜内部)に残存しやすいため、本発明で得られる単層膜外表面にアニオン性親水基が集中した構造(傾斜構造)が形成されにくくなる傾向にあり、得られる単層膜の親水性等が低下する傾向にある。
【0163】
さらに、これらエタノールアミン系化合物を溶剤として用いると、単量体(I)及び多価単量体(II)などに含まれるエステル結合の分解(加水分解、アルコール分解、及びエタノールアミン系化合物の1級又は2級アミノ基による直接的な分解など)を起こしたり、単量体(I)及び多価単量体(II)に含まれる(メタ)アクリロイル基にエタノールアミン系化合物の1級又は2級アミノ基が直接反応(マイケル付加)してしまい、単量体混合物の重合不良、単層膜における架橋密度の低下などが起こる等望ましくない副反応が起こる場合がある。
【0164】
上記単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の溶剤を含む混合物には必要に応じて、重合開始剤が含まれていてもよい。
例えば、基材上で上記混合物に含まれる単量体組成物を、放射線、例えば紫外線で重合する場合には、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、及び光アニオン重合開始剤などの光重合開始剤が、上記単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の溶剤を含む混合物に含まれていてもよい。
【0165】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イルガキュアー651(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー500(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー2959(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー127(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー907(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー369(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー1300(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー819(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー1800(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアーTPO(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー4265(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアーOXE01(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアーOXE02(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製))、エサキュアーKT55(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP150(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP100F(ランベルティー社製)、エサキュアーKT37(ランベルティー社製)、エサキュアーKTO46(ランベルティー社製)、エサキュアー1001M(ランベルティー社製)、エサキュアーKIP/EM(ランベルティー社製)、エサキュアーDP250(ランベルティー社製)、及びエサキュアーKB1(ランベルティー社製)などが挙げられる。これら光ラジカル重合開始剤の中でも、イルガキュアー184(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー500(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー819(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアーTPO(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、エサキュアーKIP100F(ランベルティー社製)、エサキュアーKT37(ランベルティー社製)及びエサキュアーKTO46(ランベルティー社製)が好ましい。
【0166】
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、イルガキュアー250(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー784(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、エサキュアー1064(ランベルティー社製)、CYRAURE UVI6990(ユニオンカーバイト日本社製)、アデカオプトマーSP−172(旭電化社製)、アデカオプトマーSP−170(旭電化社製)、アデカオプトマーSP−152(旭電化社製)、及びアデカオプトマーSP−150(旭電化社製)などが挙げられる。
【0167】
上記光重合開始剤の中でも、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
上記光重合開始剤の使用量は、単量体組成物に含まれる単量体(I)、多価単量体(II)及び必要に応じて含まれる単量体(III)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部の範囲である。
【0168】
上記光重合開始剤に加えてさらに光重合促進剤が上記混合物には含まれていてもよい。
上記光重合促進剤としては、例えば、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5'−テトラフェニル−2' H−<1,2' >ビイミダゾルイル、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、及びカンファーキノンなどが挙げられる。
【0169】
また、上記単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の溶剤を含む混合物には、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が含まれていてもよい。
【0170】
本発明により得られる単層膜を長期間外部に曝されても変質しない防汚材料、防曇材料などとして使用したい場合には、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を上記混合物に添加して、得られる単層膜の耐候性を向上できる。
【0171】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、プロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤、及びオキサニリド系紫外線吸収剤などの種々の一般的な紫外線吸収剤を用いることができる。
【0172】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−オン−4−オキサ−ドデシル)−6−tert−ブチル−フェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−(3−オン−4−オキサ−ドデシル)−6−tert−ブチル−フェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4−メチル−6−tert−ブチル−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−{5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル}−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−n−ドデシルフェノール、メチル−3−{3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル}プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応性生物などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
2−(4−フェノキシ−2−ヒドロキシ−フェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘキサデシロキシ)−4,6−ジ(2、4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オキサ−ヘプタデシロキシ)−4,6−ジ(2、4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−iso−オクチロキシ−フェニル)−4,6−ジ(2、4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、商品名チヌビン400(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、商品名チヌビン405(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、商品名チヌビン460(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、商品名チヌビン479(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)などのトリアジン系紫外線吸収剤;
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤;及び
プロパンジオック酸−{(4−メトキシフェニル)−メチレン}−ジメチルエステル、商品名ホスタビンPR−25(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンB−CAP(クラリアント・ジャパン株式会社製)などのプロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤;
2−エチル−2'−エトキシ−オキサニリド、商品名Sanduvor VSU(クラリアント・ジャパン株式会社製)などのオキサニリド系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0173】
これら紫外線吸収剤の中でもトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい傾向にある。
上記紫外線吸収剤の使用量は、単量体組成物に含まれる単量体(I)、多価単量体(II)及び必要に応じて含まれる単量体(III)の合計100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
【0174】
紫外線吸収剤の使用量が上記下限値未満である場合には、得られる単層膜の耐候性の改良効果が小さくなる傾向にある。また、紫外線吸収剤の使用量が上記上限値を超える場合には、重合が不十分な場合がある。
【0175】
上記ヒンダードアミン系光安定剤(Hindered Amin Light Stabilizers:HALS)は、一般にHALSと略称されている通常、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物の総称であり、分子量により、低分子量HALS、中分子量HALS、高分子量HALS及び反応型HALSに大別されている。
【0176】
上記HALSとしては、例えば、商品名チヌビン111FDL(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名チヌビン123(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製))、商品名チヌビン144(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、商品名チヌビン292(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、商品名チヌビン765(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、商品名チヌビン770(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名CHIMASSORB119FL(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製))、商品名CHIMASSORB2020FDL(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(商品名CHIMASSORB622LD(チバ・スペシャリ・ティー・ケミカルズ株式会社製))、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](商品名CHIMASSORB944FD(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製))、商品名Sanduvor3050 Liq.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3052 Liq.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3058 Liq.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3051 Powder.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名Sanduvor3070 Powder.(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名VP Sanduvor PR−31(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN20(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN24(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN30(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンN321(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビンPR−31(クラリアント・ジャパン株式会社製)、商品名ホスタビン845(クラリアント・ジャパン株式会社製)、及び商品名ナイロスタッブS−EED(クラリアント・ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
【0177】
上記HALSの使用量は、単量体組成物に含まれる単量体(I)、多価単量体(II)及び必要に応じて含まれる単量体(III)の合計100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部の範囲である。
【0178】
HALSの使用量が上記下限値未満である場合には、得られる単層膜の耐候性の改良効果が小さくなる傾向にある。また、HALSの使用量が上記上限値を超える場合には、重合が不十分な場合がある。
【0179】
また、上記単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤を含む混合物には、さらに必要に応じて、赤外線吸収剤、ラジカル補足剤、酸化防止剤、重合禁止剤、色素、バインダー、内部離型剤、レベリング剤、触媒、種々の金属酸化物、金属、金属塩、ヨウ素、及びヨードニウム塩などのその他添加剤が含まれていてもよい。
【0180】
機械強度又は熱安定性などを向上させたり、光応答性又は殺菌性などを付与する目的等で、シリカ、酸化チタンなどの金属又は金属酸化物等を添加できる。さらに、殺菌性又は抗菌性などを付与する目的で、銀塩、リチウム塩などの金属塩、ヨウ素、又はヨードニウム塩等を添加できる。
【0181】
これらその他添加剤の添加量は、その目的に応じ適宜設定できるが、単量体組成物に含まれる単量体(I)、多価単量体(II)及び必要に応じて含まれる単量体(III)の合計100重量部に対して、通常0.01〜200重量部、好ましくは0.1〜100重量部の囲である。
【0182】
本発明では、上記単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤との混合物を作製し、これを基材に塗布する。
上記基材となる材料としては、例えば、シリカ、金属、金属酸化物などの結晶性又は非晶性などの無機材料;ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂などのポリマー材料、紙、パルプなどの有機材料、及びガラスフィラーとポリエチレンテレフタレートの混合物に代表される無機材料と有機材料のハイブリッド材料などが挙げられる。
【0183】
本発明の基材となる材料としては上述の材料が例示できるが、本発明で使用される基材は無機材料、有機材料などからなる基材の表面に塗料等が塗布されたものであってもよい。
【0184】
また上記基材の表面は、必要に応じて、物理的又は化学的処理、プライマー処理、などの表面処理が施されていてもよい。この表面処理は、例えば、基材と単層膜との接着性(密着性)を改良するために基材の表面を活性化することなどを目的として行われる。
【0185】
物理的又は化学的処理としては、例えば、コロナ処理、オゾン処理、酸素ガス又は窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて行う酸化処理などが挙げられる。
【0186】
プライマー処理は、いわゆるプライマーコート剤、アンダーコート剤、又はアンカーコート剤などを称されるコート剤を基材表面に塗布、乾燥することにより行われる。
上記コート剤としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、変性ポリオレフィン、セルロース系樹脂などの重合体をビヒクルの主成分とする重合体組成物が挙げられる。
【0187】
上記コート剤としては、例えば、上記重合体を溶剤に溶解した溶剤型コート剤、上記重合体を水などの水性溶剤に分散したラテックスタイプ又はディスパーションタイプの水性型コート剤が挙げられる。
【0188】
上記水性型コート剤に含まれる重合体としては、ポリオレフィン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン、ウレタンアクリル樹脂及びポリエステル系ポリウレタンなどのポリウレタン、ポリ塩化ビニル、シリコンアクリル樹脂、酢酸ビニルアクリル樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ポリブタジエンなどのゴム、ポリアクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、及びこれら樹脂をカルボン酸等で変性した重合体などが挙げられる。
【0189】
これらコート剤の中でも、ポリウレタン含むコート剤が好ましい。ポリウレタンとしては、重合体の主鎖又は側鎖のいずれにウレタン結合を有していてもよく、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール又はアクリルポリオールなどのポリオールとイソシアネート化合物とを反応させることにより得られるポリウレタンを用いることができる。
【0190】
また、上記ポリウレタンを含むコート剤としては、ポリオールを含む液と、イソシアネート化合物を含む液とをその場で混合してコートする二液型のコート剤を用いることもできる。この二液型のコート剤の場合、基材上にプライマーが形成される限り、ポリオールを含む液とイソシアネート化合物を含む液の混合方法は特に限定されない。また、基材上にプライマーが形成される限り、ポリオールとイソシアネート化合物との配合比も特に限定されないが、(ポリオールに含まれるOH基)/(イソシアネート化合物に含まれるNCO基)の値は、当量換算で、通常2/1〜1/40の範囲である。
【0191】
これらポリウレタンを含むコート剤の中でも、基材と単層膜との密着性に優れ、剥離強度が高いという点でポリオールとして縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなどのポリエステルポリオールを用い、イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどを用いたポリウレタンを含むコート剤が好ましい。
【0192】
上記コート剤を基材に塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースロールコート法、ナイフコート法、キスコート法などが挙げられる。コート剤の塗布量は、乾燥状態で、通常0.01g/m2〜10g/m2、好ましくは0.05g/m2〜5g/m2である。
【0193】
その後、基材に塗布された上記混合物から少なくとも一部の溶剤を除去する。
上記混合物からの溶剤の除去が不十分であると、得られる単層膜のアニオンの傾斜が不十分となるため親水性が低下する場合があり、また、単層膜と基材との密着性も低下する傾向にある。したがって、基材上で単量体組成物を重合する直前の上記混合物に含まれる溶剤の残存量は、通常約20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは2重量%未満、最も好ましくは1重量%未満である。
【0194】
本発明の製造方法では、上記混合物からの溶剤の除去方法は風を加えながら加熱を伴って行うことに特徴がある。加熱を伴い溶剤を除去する場合、風を加えると蒸発速度が速くなり、溶剤の残存量の低下、乾燥時間の短縮、乾燥温度の低下などが可能となり、しかも溶剤を除去する際の基材からの膜剥れ(密着性低下)、クラック(膜割れ)などが抑制される傾向にある。上記方法としては、温風により基材に塗布された上記混合物から溶剤を除去する方法、上記混合物を塗布された基材を加熱しながらさらに温風により上記混合物から溶剤を除去する方法などが挙げられる。
【0195】
上記加熱温度は、通常室温を超え200℃以下、好ましくは30℃以上150℃以下、より好ましくは40℃以上100℃以下の範囲である。
風を加える際の風速は、好ましくは0.1m/秒〜30m/秒の範囲、より好ましくは0.1m/秒〜10m/秒の範囲、さらに好ましくは0.2m/秒〜5m/秒の範囲である。風速が上記上限値を超えると均一な塗布面が得られにくくなる傾向にある。一方、上記下限値未満では、風を加える場合の効果が不十分になる傾向にある。
【0196】
溶剤除去を行う雰囲気は、大気であっても窒素などの不活性ガスでも構わない。しかし、雰囲気の湿度は低い方が好ましい向にある。雰囲気の湿度は好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下である。
【0197】
溶剤除去を行う際の圧力は特に限定されないが、常圧又は減圧下で溶剤除去を行うことが比較的好ましい。なお、溶剤除去は微加圧下で行ってもよい。
溶剤除去のための時間も、好ましい溶剤の残存量の観点などから適宜設定できるが、生産性を考慮した場合には、短時間の方が好ましい傾向にあり、例えば5分以下、典型的には3分以下、より典型的には2分以下の時間で溶剤除去を行う。
【0198】
このように基材に塗布して、少なくとも一部の溶剤を除去された後、単量体(I)及び単量体(II)を含む単量体組成物を重合する。単量体組成物の重合方法に制限はないが、通常、熱又は放射線により、あるいは熱及び放射線の両者により単量体組成物を重合させることができる。重合は大気下で行ってもよいが、重合時間を短縮させる観点からなどは、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0199】
熱によりに重合する場合には、単量体組成物に必要に応じて有機過酸化物などの熱ラジカル発生剤を加え、通常室温以上300℃以下の範囲で加熱することにより重合できる。
放射線により重合する場合、放射線としては、波長領域が通常0.0001〜800nm範囲のエネルギー線を用いることができる。このような放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、電子線、紫外線、可視光などが挙げられる。これら放射線は、上述の単量体組成物の組成、さらには必要に応じて使用する光重合開始剤、光重合促進剤に応じて適宜選択して用いることができる。
【0200】
これら放射線の中では波長領域が200〜450nmの紫外線が好ましい。
単量体組成物と溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤を含む混合物に紫外線吸収剤又はHALSを添加した後、放射線により単量体組成物を重合する際には、240〜270nm又は370〜430nmの範囲に出力ピークを有する放射線ランプを用いることが好ましい。
【0201】
また装置は高価だが、0.01〜0.002nmの範囲に出力ピークを有する電子線により重合すると、短時間で重合が完結でき、同様に好ましい。
また、酸素による重合阻害を回避する目的で、上記混合物の基材への塗布、溶剤の少なくとも一部の除去を行った後に、この混合物の塗布層をフィルムなどの被覆材で被覆してから重合を行ってもよい。被覆材で塗布層を被覆する際には、塗布層と被覆材との間に空気(酸素)を含まないように密着することが望ましい。空気、特に酸素を含まないようにすることで、放射線により重合を行う場合には放射線照射量を減らすことができる場合があり、また、光重合開始剤などの重合開始剤を使用して重合を行う場合には、重合開始剤量を減らすことができる。
【0202】
上記被覆材としては、酸素が遮断される限り特に制限なく種々の材料を様々な形態で使用できるが、操作性の面からフィルムが好ましく、放射線により重合を行う場合には、重合を阻害しない放射線透過率の高い透明性フィルムが好ましい。
【0203】
上記被覆材の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)などが挙げられる。
【0204】
上記被覆材、典型的にはフィルムの厚さは、通常3〜200μm、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmの範囲である。
なお、本発明により得られる単層膜、及び、該単層膜を少なくとも基材の一方の面に形成した積層体では、上述の被覆材をそのまま被覆した状態にしておいてもよい。被覆材を単層膜上に形成しておくと、単層膜又は積層体を輸送、保管、陳列等する際の単層膜の傷つき、汚れを防止できる。
【0205】
このようにして得られた本発明の基材上に形成された単層膜は、スルホン酸基(SO3-)、カルボキシル基(CO2-)及びリン酸基(PO4-)から選ばれる少なくとも1つのアニオン性親水基を有し、外表面のアニオン濃度(Sa)と基材に接する内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度(Da)とのアニオン濃度比(Sa/Da)が1.1以上となる。
【0206】
ここで、基材に接する内表面と外表面との中間地点とは、単層膜の膜厚方向でみたときに、基材に接する内表面部分と外気に接する外表面部分との1/2の地点をいう。
上記アニオン濃度比は、基材上に設けられた単層膜を斜めに切断し、単層膜の外気に接する外表面のアニオン濃度と内表面と外表面との中間地点のアニオン濃とを、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用いて測定して求める。
【0207】
このような本発明により得られる単層膜は、単層膜中の上述のアニオンが、基材側の内表面部分から外気に接する外表面部分まで濃度差を持って分布しており、外気と接する外表面部分に最も多くのアニオンが分布するようなアニオンの濃度差を有している。このようなアニオンの濃度差が膜厚方向に生じる理由は、単層膜形成の過程で親水性の上述のアニオンが外気と接する表面に自己集合するためであると推定される。上記単層膜は、このようにその単層膜の外表面に高親水性基のアニオンが高濃度で存在するので、防曇性、防汚性又はセルフクリーニング性、帯電防止性、埃付着防止性等に優れる。
【0208】
上記アニオン濃度比(Sa/Da)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上である。アニオン濃度比が上記値以上である場合には、防曇性、防汚性又はセルフクリーニング性、帯電防止性、埃付着防止性等により優れる傾向にある。なお、アニオン濃度比(Sa/Da)は、通常20.0程度以下である。
【0209】
本発明により得られる単層膜の水接触角は、通常30°以下、好ましくは20°以下、より好ましくは10°以下である。水接触角が上記上限値以下である単層膜は、親水性が高く、水となじみ(濡れ)やすく親水性材料として優れている。したがって、例えば防曇材料、防曇被膜(以下、防曇コートとも言う)、防汚材料、防汚被膜又はセルフクリーニングコート、帯電防止材、速乾性材料又は速乾性コート、及び帯電防止被膜又はほこり付着防止コートなどに有用である。
【0210】
例えば、防曇コートとして用いると膜表面に水滴が広がり水膜を形成させることができるため防曇効果に優れ、またセルフクリーニングコートとして用いると水が汚れとコーティング面の間に入り込み汚れを浮かせて除去することができるため防汚効果に優れている。
【0211】
また、本発明のアニオン性親水基を有する単層膜は、従来のノニオン性親水基を有する被膜に比べ帯電防止性に優れており、帯電防止材、及び帯電防止被膜又はほこり付着防止コートなどにも有用である。
【0212】
上記単層膜の厚さは、用途により適宜設定できるが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μmの範囲である。
本発明により得られる単層膜は、上記基材の形状を工夫するなどすることにより、種々の形態の単層膜とすることができる。
【0213】
本発明により得られる単層膜は、その基材と一体となった積層体としても使用できる。この本発明の積層体は、基材の少なくとも一方の面に上述の方法により単層膜を形成することにより製造できる。
【0214】
上記積層体の単層膜が形成されていない基材の他方の面には粘着層を設けてもよい。
このように粘着層を設けた積層体は、例えば防曇フィルム及び防汚フィルムなどとして、ガラス、浴室などの鏡、ディスプレイ、テレビなどの表示材料表面、看板、広告、案内板などの案内板、鉄道、道路などの標識、建物の外壁及び内壁、窓ガラス等に容易に貼付することができる。
【0215】
粘着層は単層膜が形成されていない基材の他方の面に粘着剤を塗布し、さらに必要に応じ溶剤を除去することにより、基材上に形成できる。この粘着剤は特に制限なく使用できる。上記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルエーテルポリマー系粘着剤、及びシリコーン粘着剤などが挙げられる。粘着層の厚さは、通常2〜50μm、好ましくは5〜30μmの範囲である。
【0216】
なお、上記粘着層の上にさらに剥離層が設けられていてもよい。
また、本発明の積層体は上記単層膜の表面に剥離可能な被覆材層がさらに設けられていてもよい。
【0217】
本発明の積層体は、基材の形状を工夫するなどすることにより、種々の形態の積層体とすることができる。例えば、本発明により得られる単層膜及び積層体は、フィルム、シート、テープなどの形態で使用できる。なお、上記単層膜は、プライマー層として用いることもできる。
【0218】
本発明により得られる単層膜及び積層体は親水性に優れ、防曇材料、防汚材料、帯電防止材料などとして有用である。例えば、透明樹脂、ガラスなどの透明材料からなる基材に上記単層膜を積層した積層体は、透明性、親水性、防曇性、防汚性、さらには、帯電防止性、速乾性、結露防止性に優れた積層体として用いることができる。
【0219】
そのため、本発明により得られる単層膜及び積層体は、ボディー、ホイール、外装材、及び内装材などの自動車、船舶、航空機に代表される輸送機器用材;外壁材、内壁材、床材、家具材、浴室用材、洗面化粧室用材、換気扇などのキッチン用資材、トイレ用資材、配管用材、などの建築材及び住宅資材;高速道路などに設置される遮音板などの建設用材;衣服、布及び繊維などの衣料用材;窓材、鏡、光学フィルム、光ディスク、眼鏡、コンタクトレンズ、ゴーグル、反射フィルム、及び反射板などの光学材;ランプ用材及びライト用材などの照明用材;冷却フィンなどの産業資材;電化製品用材、配線用材、タッチパネルフラットパネルなどのディスプレイ用材、及びフォトレジストなどの電気・電子材料;インクジェット記録版、印刷・印字用プライマーなどの印刷材料;化粧品容器などの日用品用材などの用途に用いることができる。
【実施例】
【0220】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。
なお、本発明において被膜の物性評価は、下記のようにして行った。
【0221】
<水接触角の測定>
協和界面科学社製の水接触角測定装置CA−V型を用いて、1サンプルについて3箇所測定し、これら値の平均値を水接触角の値とした。
【0222】
<ヘーズの測定>
日本電色工業社製のヘーズメーターNDH2000を用いて、1サンプルについて4箇所測定し、これら値の平均値をヘーズの値とした。
【0223】
<耐擦傷性試験>
スチールウール#0000を用いて、ある一定の荷重をかけて10往復擦る。
傷が入らなかった場合を〇、1〜5本の傷が入った場合を△、6本〜無数に傷が入った場合を×とした。
【0224】
<密着性の評価>
碁盤目剥離試験により評価した。
【0225】
<防曇性の評価>
呼気により曇らなかった場合を〇、曇った場合を×とした。
【0226】
<防汚性の評価>
ゼブラ(株)製の油性マーカー「マッキー極細」(黒,品番MO-120-MC-BK)でマークし、その上に水滴を垂らして30秒間放置し、テッシュペーパーでふき取る。マークがふき取れた場合を〇、ふき取れずに残った場合を×とした。
【0227】
<アニオン及びカチオン濃度比の測定>
図1に示す試料調製の通りサンプルを斜めに切断し、飛行時間型2次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用いて、上記外表面のアニオン濃度(Sa)と上記中間地点とのアニオン濃度(Da)とを測定し、その値から外気に接する単層膜の外表面と単層膜の内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度比(Sa/Da)を求めた。
【0228】
(分析装置と測定条件)
TOF−SIMS; ION・TOF社製 TOF−SIMS5
1次イオン; Bi32+ (加速電圧25kV)
測定面積; 400μm2
測定には帯電補正用中和銃を使用
【0229】
(試料調製等)
図1に示す通りに切削方向30に向かって、基材10の表面にコート層20が設けられたサンプルを斜めに切断し、切断されたサンプルに対して精密斜め切削を行った後、10×10mm2程度の大きさに切り出し、測定面にメッシュを当て、サンプルホルダーに固定し、外気と接するコート層表面40および単層膜の内部であるコート層内部50(膜厚1/2の地点、基材10に接するコート層の内表面)で飛行時間型2次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用いてアニオン濃度を測定した。
【0230】
(評価)
評価は以下の計算式で行った。尚、各測定点のイオン濃度は、相対強度(トータル検出イオンに対する)を用いた。
アニオン濃度比(傾斜度)=コート層表面40でのアニオン濃度/コート層20の膜厚1/2の地点でのアニオン濃度
〔実施例1〕
【0231】
(溶液1の調製)
下記表1の配合比に従い、固形分80wt%の均一な単量体組成物を含む溶液1を調製した。
【0232】
【表1】

【0233】
【化85】

(単層膜形成用混合物1の調製)
重合開始剤イルガキュアー127 0.6gに2−メトキシエタノール 0.9gを加えて混合溶解し、次に固形分80wt%の溶液1 25.0gを加え、さらに希釈溶剤としてメタノール 5.0g及びメトキシエタノール 10.0gを加えて再度混合溶解し、固形分50wt%の単層膜形成用混合物1を得た。
【0234】
(単層膜の形成)
単層膜形成用混合物1を基材となる易接着PETフィルム(東レ(株),ルミラー100−U34)にバーコーター#07で塗布後、直ちに43〜47℃の温風が流れる乾燥機で表2に記載の風速を変更して2分間乾燥した。ただし、風速0m/秒(風なし)の乾燥は、IR(赤外線)乾燥機により行った。乾燥後、UVコンベアー(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社,無電極放電ランプ Hバルブ,コンベアー速度6m/分)を1回通過させて(積算光量900mJ/cm2)、易接着PETフィルム上に膜厚約5μmの単層膜を形成させた。最後に外気と接する単層膜の外表面の汚れを除去する目的で流水洗浄を行い、エアブローで膜表面を乾燥し、単層膜の評価を行った。結果を表2に示す。
【0235】
【表2】

〔実施例2〕
(溶液2の調製)
下記表3の配合比に従い、固形分80wt%の均一な単量体組成物を含む溶液2を調製した。
【0236】
【表3】

【0237】
【化86】

(単層膜形成用混合物2の調製)
固形分80wt%の溶液2 12.5gに、重合開始剤エサキュアーKTO−46 0.3gを加えて混合溶解し、固形分80wt%の単層膜形成用混合物2を得た。
【0238】
(単層膜の形成)
単層膜形成用混合物2を基材となるポリカーボネート板(タキロン株式会社製)にバーコーター#05で塗布後、直ちに40〜45℃の温風が風速2m/秒で流れる乾燥機で表3に記載の時間を変更して乾燥した。ただし、風速0m/秒(風なし)の乾燥は、IR(赤外線)乾燥機により行った。乾燥後、UVコンベアー(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社,無電極放電ランプ Dバルブ,コンベアー速度5m/分)を1回通過させて(積算光量1200mJ/cm2)、ポリカーボネート板上に膜厚約5μmの単層膜を形成させた。最後に外気と接する単層膜の外表面の汚れを除去する目的で流水洗浄を行い、エアブローで膜表面を乾燥し、単層膜の評価を行った。結果を表4に示す。
【0239】
【表4】

〔実施例3〕
(溶液3の調製)
下記表5の配合比に従い、固形分80wt%の均一な単量体組成物を含む溶液3を調製した。
【0240】
【表5】

【0241】
【化87】

(単層膜形成用混合物3の調製)
重合開始剤イルガキュアー127 0.3gにメタノール0.3gを加えて混合溶解し、次に固形分80wt%の溶液3 12.5gと2−メトキシエタノール 7.5gを加えて再度混合溶解し、固形分50wt%の単層膜形成用混合物3を得た。
【0242】
(単層膜の形成)
単層膜形成用混合物3を基材となるポリカーボネート板(タキロン株式会社製)にバーコーター#07で塗布後、直ちに45〜50℃の温風が風速2.5m/秒で流れる乾燥機で2分間乾燥した。乾燥後、UVコンベアー(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社,無電極放電ランプ Hバルブ,コンベアー速度6m/分)を1回通過させて(積算光量900mJ/cm2)、ポリカーボネート板上に膜厚約5μmの単層膜を形成させた。最後に外気と接する単層膜の外表面の汚れを除去する目的で流水洗浄を行い、ポリカーボネート板上に形成された単層膜について、膜切削面の相対イオン強度比(アニオン濃度の分布)を、TOF−SIMSにより分析した。結果を表6に示す。
【0243】
【表6】

【符号の説明】
【0244】
10:基材,20:コート層,30:切削方向,40:コート層表面,50:コート層内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される単量体(I)と2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基を有さない多価単量体(II)とを含む単量体組成物、及び溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm3)以上の化合物を含有する溶剤を含む混合物を作製する工程、
その混合物を基材に塗布した後風を加えながら加熱を伴って少なくとも一部の溶剤を除去する工程、及び
単量体(I)及び単量体(II)を含む単量体組成物を重合する工程を含む、
外表面のアニオン濃度(Sa)と基材に接する内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度(Da)とのアニオン濃度比(Sa/Da)が1.1以上である基材上に形成されたスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1つのアニオン性親水基を有する単層膜の製造方法。
[X]s[M1]l[M2]m (1)
(上記式(1)中、sは1又は2を表し、l及びmはs=l+m/2を満たす整数を表す。M1は、水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオンであり、M2はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンである。Xは、下記一般式(1−1)〜(1−4)で示される基から選ばれる少なくとも1つの1価アニオンである。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

(上記式(1−1)〜(1−4)中、J及びJ'はそれぞれ独立にH又はCH3であり、nは0又は1を表し、Rはそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数1〜600の脂肪族炭化水素基である。))
【請求項2】
上記単量体(I)が、下記一般式(1−1−1)及び一般式(1−1−2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの単量体である、請求項1に記載の単層膜の製造方法。
【化5】

【化6】

(式(1−1−1)及び(1−1−2)中、JはH又はCH3であり、R1及びR2はそれぞれ独立にH、CH3又はC25である。nは1〜20の整数を表し、lは2〜10の整数を表し、Mは水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオン、又はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンであり、Mが1価のカチオンである場合にはmは1であり、Mが2価のカチオンである場合にはmは2である。)
【請求項3】
上記多価単量体(II)が、下記一般式(2−1)及び一般式(2−2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの単量体である請求項1又は2に記載の単層膜の製造方法。
【化7】

【化8】

(上記式(2−1)及び(2−2)中、R3及びR5〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R12及びR13はそれぞれ独立にH又はCH3であり、
1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ独立にO又はSであり、
aは2〜30の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、cは0〜30の整数を表し、dは0〜20の整数を表し、eは0〜2の整数を表し、iは1〜20の整数を表し、kは
1〜10の整数を表し、
Aは
【化9】

又は
【化10】

から選ばれる1種を表す。ここで、*は結合手であり、
10及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R200及びR201はそれぞれ独立にH、CH3又はフェニル基であり、Rは、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン又はキシリレンであり、R50はヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、トルイレン、ジフェニルメタン又はキシリレンであり、
VはOH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、W1〜W3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、ZはOH、結合手(*)を有する酸素原子、COOH又は結合手(*)を有するカルボキシル基(COO)を表し、V1〜V3はそれぞれ独立にH又は結合手(*)であり、
n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表し、o1及びo2はそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、fは1〜20の整数を表し、gは0〜3の整数を表し、mは0又は1を表し、qは1〜7の整数を表し、a1は、2〜3の整数を表し、a2は、3〜4の整数を表し、a3は、4〜6の整数を表し、a4は、2〜3の整数を表し、a5は、2〜4の整数を表す。)
【請求項4】
上記多価単量体(II)が、下記一般式(3)〜(8)及び(10)〜(33)で表される化合物から選ばれる少なくとも1つの単量体である請求項1又は2に記載の単層膜の製造方法。
【化11】

(上記式(3)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
【化12】

(上記式(4)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R100及びR101はそれぞれ独立にH又は炭素数1〜6のアルキル基であり、n1及びn2はそれぞれ独立に0〜8の整数を表す。)
【化13】

(上記式(5)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c1は2〜30の整数を表す。)
【化14】

(上記式(6)中、R3〜R6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c2及びc3はそれぞれ独立に1〜5の整数を表し、d1は2〜20の整数を表す。)
【化15】

(上記式(7)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、d1は2〜20の整数を表し、mは0又は1を表す。)
【化16】

(上記式(8)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、o1及びo2はそれぞれ独立1〜3の整数を表す。)
【化17】

(上記式(10)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c4及びc5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは0又は1を表す。)
【化18】

(上記式(11)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、mは0又は1を表す。)
【化19】

(上記式(12)中、R3〜R7はそれぞれ独立にH又はCH3である。)
【化20】

(上記式(13)中、*は結合手であり、R3、R5及びR6それぞれ独立にH又はCH3であり、c6は0〜3の整数を表す。)
【化21】

(上記式(14)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、mは0又は1を表す。)
【化22】

(上記式(15)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c9及びc10はそれぞれ独立に0〜30の整数を表す。)
【化23】

(上記式(16)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、c11〜c14は1以上の整数を表し、なおかつc11+c12+c13+c14=4〜30を満足する。)
【化24】

(上記式(17)中、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。)
【化25】

(上記式(18)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R200及びR201はそれぞれ独立にH、CH3又はフェニル基であり、c4及びc5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【化26】

(上記式(19)中、R3〜R5及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1〜b3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、fは1〜20の整数を表す。)
【化27】

(上記式(20)中、*は結合手であり、VはOH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a1は2又は3を表し、b1は0〜2の整数を表し、c15は0〜20の整数を表す。)
【化28】

(上記式(21)中、*は結合手であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a2は3又は4を表し、c16は0〜20の整数を表す。)
【化29】

(上記式(22)中、*は結合手であり、W2及びW3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、a3は4〜6の整数を表し、c17は0〜3の整数を表す。)
【化30】

(上記式(23)中、Rはヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、又はキシリレンであり、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、e1及びe2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。)
【化31】

(上記式(24)中、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1は0〜2の整数を表し、c15は0〜20の整数を表し、n100は、1〜6の整数を表す。)
【化32】

(上記式(25)中、R3〜R10はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c9及びc10はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【化33】

(上記式(26)中、R3はH又はCH3であり、p1は1〜6の整数を表し、a10は3を表す。)
【化34】

(上記式(27)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【化35】

(上記式(28)中、R3〜R8はそれぞれ独立にH又はCH3であり、b1及びb2はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、c7及びc8はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【化36】

(上記式(29)中、R3及びR5〜R13はそれぞれ独立にH又はCH3であり、i1は0〜5の整数を表す。)
【化37】

(上記式(30)中、R3及びR5〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a2は3又は4を表し、i1は0〜5の整数を表す。)
【化38】

(上記式(31)中、R3〜R9はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W2及びW3はそれぞれ独立にH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a7は1〜6の整数を表し、a8は0〜5の整数を表し、なおかつa7+a8=2〜6を満足する。)
【化39】

(上記式(32)中、R70はトルイレン、ジフェニルメタン、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、N,N‘,N“−トリス(ヘキサメチレン)−イソシアヌレート、N,N,N’−トリス(ヘキサメチレン)−ウレア、N,N,N‘,N’−テトラキス(ヘキサメチレン)−ウレア、又はキシリレンであり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a9は1〜4の整数を表し、a10は2〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、c4は0〜5の整数を表す。)
【化40】

(上記式(33)中、R70は、トルイレン、ジフェニルメタン、ヘキサメチレン、イソホロン(1−メチレン−3−エチレン−3−メチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン)、ノルボルナンジメチレン、ジシクロヘキシレンメタン、シクロヘキサンジメチレン、N,N‘,N“−トリス(ヘキサメチレン)−イソシアヌレート、N,N,N’−トリス(ヘキサメチレン)−ウレア、N,N,N‘,N’−テトラキス(ヘキサメチレン)−ウレア、又はキシリレンであり、R3、R5及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、W1はH、CH3、OH又は結合手(*)を有する酸素原子であり、a9は1〜4の整数を表し、a10は2〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、c4は0〜5の整数を表す。)
【請求項5】
上記単層膜の水接触角が30°以下である請求項1〜4のいずれか1項に1記載の単層膜の製造方法。
【請求項6】
上記単層膜の膜厚が、0.1〜100μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の単層膜の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた単層膜からなる防曇材料。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた単層膜からなる防汚材料。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた単層膜からなる帯電防止材料。
【請求項10】
基材の少なくとも片面に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法により得られた単層膜が形成されてなる積層体。
【請求項11】
上記基材の一方の表面に単層膜が形成され、単層膜が形成されていない基材表面に粘着層が形成されている請求項10に記載の積層体。
【請求項12】
上記粘着層の表面にさらに剥離層が形成されてなる請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
上記単層膜の表面に剥離可能な被覆材層が形成されてなる請求項11〜12のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項14】
下記一般式(1)で表される単量体(I)と2以上の(メタ)アクリロイル基を有し、スルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基を有さない多価単量体(II)とを含む単量体組成物、及び溶解度パラメーターσが9.3(cal/cm)以上の化合物を含有する溶剤を含む混合物を作製する工程、
その混合物を基材表面の少なくとも一方に塗布する工程、
塗布した混合物から風を加えながら加熱を伴って溶剤の少なくとも一部を除去する工程、及び
上記工程を経た混合物に含まれる単量体(I)及び単量体(II)を重合する工程を含む
外表面のアニオン濃度(Sa)と基材に接する内表面と外表面との中間地点のアニオン濃度(Da)とのアニオン濃度比(Sa/Da)が1.1以上であるスルホン酸基、カルボキシル基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種のアニオン性親水基を有する単層膜が基材の少なくとも一方の表面に形成された積層体の製造方法。
[X]s[M1]l[M2]m (1)
(上記式(1)中、sは1又は2を表し、l及びmはs=l+m/2を満たす整数を表す。
M1は、水素イオン、アンモニウムイオン、及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1つの1価カチオンであり、M2はアルカリ土類金属イオンから選ばれる少なくとも1つの2価カチオンである。
Xは、下記一般式(1−1)〜(1−4)で示される基から選ばれる少なくとも1つの1価アニオンである。
【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

(上記式(1−1)〜(1−4)中、J及びJ'はそれぞれ独立にH又はCH3であり、nは0又は1を表し、Rはそれぞれ独立に、芳香族基、脂肪族環状基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1つの基でその炭素が置換されていてもよい炭素数1〜600の脂肪族炭化水素基である。))
【請求項15】
前記単層膜の水接触角が30°以下である請求項14記載の積層体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−23648(P2013−23648A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161939(P2011−161939)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】