説明

単方向性の汗吸汗性・速乾性快適織物およびその製造方法

【課題】 生地が肌から汗や水分を吸収したときに、生地が着用者の肌にくっつき、汗または水分が吸収された生地の付着により生じる不快さを改善する。
【解決手段】 内面14と外面16を有し、繊維材料を含む親水性基材12、および内面14に埋め込まれた複数の疎水性パターン18であって、親水性基材12により吸収された汗20を単方向性の毛管作用によって、矢印により示されるように、内面14から外面16に移送するように構成された疎水性パターン18を備えた単方向性の吸汗性・速乾性織物10を提供する。疎水性パターン18が内面14の10%から90%を占めることが好ましい。疎水性パターン18が、フルオロカーボン、炭化水素、シリコーン、および疎水性高分子からなる群より選択される材料を含むことも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速乾性織物とその製造方法に関し、より詳しくは、単方向性の吸汗性・速乾性快適織物およびその製造方法に関する。布帛
【背景技術】
【0002】
近年、生活水準の上昇に伴い、人々は、吸汗性、速乾性、および着用者の肌にくっつかないことなどの快適特性に関して、生地により多くを望んでいる。着用者の肌は比較的滑らかなので、生地が肌から汗や水分を吸収すると、生地が着用者の肌にくっつく。この汗や水分が吸収された生地の付着を、着用者は不快に感じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この不快さを解決するために、従来技術では、織物に溝または凸部を形成して、吸汗機能と速乾機能を果たしている。しかしながら、溝や凸部は不快なざらざらした感触を生じ、製造プロセスが比較的複雑であり、織物は比較的重くなり、そのために用途が限られている。別の従来技術では、多層機能性織物を使用して、吸汗機能と速乾機能を果たしている。しかしながら、その製造プロセスは比較的複雑であり、その織物は比較的重くなり、そのために用途が限られている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある態様は、単方向性の吸汗性・速乾性織物およびその製造方法を提供する。本発明のこの態様による単方向性の汗吸収性・速乾性織物は、内面と外面を有する親水性基材およびその内面に埋め込まれた複数の疎水性パターンを備え、この親水性基材は繊維材料を含み、疎水性パターンは、単方向性の毛管作用によって、親水性基材により吸収された汗を内面から外面に移送するように構成されている。
【0005】
本発明のこの態様による単方向性の吸汗性・速乾性織物を製造する方法は、繊維材料を含む親水性基材の内面に複数の疎水性パターンが埋め込まれており、この疎水性パターンが、単方向性の毛管作用によって、親水性基材により吸収された汗を内面から外面に移送するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
先の記載は、以下の発明を実施するための形態がよりよく理解されるように、本発明の特徴と技術的利点の概要をかなり広く説明している。本発明の追加の特徴と利点が、ここに記載され、本発明の特許請求の範囲の主題を構成する。開示された概念および特定の実施の形態は、本発明の同じ目的を達成するための他の構造またはプロセスを改変または設計するための基礎として容易に利用されることが理解されるべきである。そのような同等構造は、添付の特許請求の範囲に述べられた本発明の精神および範囲から逸脱しないことが当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のある実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物の断面図
【図2】本発明のある実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物の平面図
【図3】本発明の別の実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物の平面図
【図4】本発明の別の実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物の平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明のある実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物10の断面図である。図2は、本発明のある実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物10の平面図である。本発明のある実施の形態において、単方向性の吸汗性・速乾性織物10は親水性基材12および複数の疎水性パターン18を含み、親水性基材12は内面14と外面16を有し、疎水性パターン18は内面14に埋め込まれている。内面が着用者の肌22に触れたときに、疎水性パターン18は、図1の矢印により示されるように、親水性基材12に単方向性の毛管作用によって汗20を吸収させ、吸収した汗を親水性基材12の内面14から外面16に移送させることができる。
【0009】
本発明のある実施の形態において、親水性基材12は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、レーヨン繊維、竹繊維、ポリ乳酸繊維、またはテンセル(登録商標)繊維などの繊維材料を含む。本発明のある実施の形態において、疎水性パターン18は、フルオロカーボン、炭化水素、シリコーン、および疎水性高分子からなる群より選択される材料を含み、ホットスタンピング技法によってマトリクス様式で内面14に形成しても差し支えない。本発明のある実施の形態において、疎水性パターン18は内面14の10%から90%を占める。本発明のある実施の形態において、疎水性パターン18は内面14の60%から90%、または内面14の20%から60%を占める。
【0010】
図3は、本発明の別の実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物30の平面図である。図1における単方向性の吸汗性・速乾性織物10は、マトリクス様式で親水性基材12に埋め込まれた円形の疎水性パターン18を使用しているのに対し、図3における単方向性の吸汗性・速乾性織物30は、絡み合い様式で親水性基材32に埋め込まれた凹形の疎水性パターン34を含んでいる。
【0011】
図4は、本発明の別の実施の形態による単方向性の吸汗性・速乾性織物40の平面図である。図1における単方向性の吸汗性・速乾性織物10は、マトリクス様式で親水性基材12に埋め込まれた円形の疎水性パターン18を使用しているのに対し、図4における単方向性の吸汗性・速乾性織物40は、絡み合い様式で親水性基材42に埋め込まれた凹形の疎水性パターン44を含んでいる。
【0012】
本発明とその利点を詳しく説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義された本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変更、置換および改変を行えることが理解されよう。例えば、上述したプロセスの多くを、異なる方法論で実施したり、他のプロセスにより置き換えたり、それらを組み合わせても差し支えない。
【0013】
さらに、本発明の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、装置、製造、物質の組成、手段、方法および工程の特定の実施の形態に制限されることを意図したものではない。ここに記載された対応する実施の形態と実質的に同じ機能を果たすかまたは実質的に同じ結果を達成する、既存のまたは後に開発される、プロセス、装置、製造、物質の組成、手段、方法、または工程を、本発明にしたがって利用してよいことが本発明の開示から当業者に容易に認識されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲に、そのようなプロセス、装置、製造、物質の組成、手段、方法、または工程を含めることが意図されている。
【符号の説明】
【0014】
10,30,40 単方向性の吸汗性・速乾性織物
12,32,42 親水性基材
14 内面
16 外面
18,34,44 疎水性パターン
20 汗
22 肌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面と外面を有し、繊維材料を含む親水性基材、および
前記内面に埋め込まれた複数の疎水性パターンであって、前記親水性基材により吸収された汗を単方向性の毛管作用によって前記内面から前記外面に移送するように構成された疎水性パターン、
を備えた単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項2】
前記疎水性パターンが三日月形であることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項3】
前記疎水性パターンが凹形であることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項4】
前記疎水性パターンが絡み合い様式で配列されていることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項5】
前記疎水性パターンがマトリクス様式で配列されていることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項6】
前記疎水性パターンが前記内面の10%から90%を占めることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項7】
前記疎水性パターンが前記内面の60%から90%を占めることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項8】
前記疎水性パターンが前記内面の20%から60%を占めることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項9】
前記疎水性パターンが、フルオロカーボン、炭化水素、シリコーン、および疎水性高分子からなる群より選択される材料を含むことを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項10】
前記繊維材料が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、レーヨン繊維、竹繊維、ポリ乳酸繊維、または「テンセル」繊維であることを特徴とする請求項1記載の単方向性の吸汗性・速乾性織物。
【請求項11】
単方向性の吸汗性・速乾性織物を製造する方法であって、複数の疎水性パターンが、繊維材料を含む親水性基材の内面に埋め込まれており、前記疎水性パターンが、前記親水性基材により吸収された汗を単方向性の毛管作用によって前記内面から外面に移送するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記疎水性パターンが三日月形であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記疎水性パターンが凹形であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記疎水性パターンが絡み合い様式で配列されていることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記疎水性パターンがマトリクス様式で配列されていることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記疎水性パターンが前記内面の10%から90%を占めることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記疎水性パターンが前記内面の60%から90%を占めることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記疎水性パターンが前記内面の20%から60%を占めることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記疎水性パターンが、フルオロカーボン、炭化水素、シリコーン、および疎水性高分子からなる群より選択される材料を含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記繊維材料が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、レーヨン繊維、竹繊維、ポリ乳酸繊維、または「テンセル」繊維であることを特徴とする請求項11記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−94285(P2011−94285A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235393(P2010−235393)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(510139047)フォーモサ タッフェタ カンパニー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Formosa Taffeta Co., Ltd.
【Fターム(参考)】