説明

単極モータ

【目的】コイルに一方向のみのローレンツ力を生じさせることにより、そのローレンツ力によってロータを回転させるようにした単極モータを提供する。
【解決手段】ステータ12において環状の磁性材12aの円周方向において所定間隔をおいて形成される突起12a1の間にコイル12bを分割して巻回し、ロータ14の永久磁石14aをコイル12b外周に接近させることにより、永久磁石14aから出た磁束をコイル12bの外周側から内周側に向けてコイル12b内を通過させる一方、コイル中央部に至った磁束を突起を有する磁性材12a1を介してコイル12b内を通過させることなくコイル12bの内周側から外周側へと導くように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は単極モータに関する。
【背景技術】
【0002】
単極モータとは、磁束を横切るように電流を流したときに生じるローレンツ力を利用して回転力を得るようにした電動機をいう。
【0003】
従来の単極モータとしては、下記特許文献1記載のものが知られている。下記特許文献1記載の単極モータにあっては、磁路に対して垂直に固定された環状の円板(9)の表面に所定方向に取り付けられた銅線(10)に通電することで銅線にローレンツ力を生じさせ、その反力で円板に近接されるロータヨーク(2,3)を回転させるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−264836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の単極モータにあっては、銅線を円板の表面に取り付ける構成を採る必要がある一方、円板の表面には制約があるため、その構成から得られるローレンツ力は極めて小さいものであった。即ち、銅線を円板にコイル状に巻きつける構成を採ることができないため、大きなローレンツ力を生じさせることができず、モータとして大きな回転力を発生させることができないものであった。
【0006】
ところで一般的な単極モータにおいて、銅線をステータあるいはロータに巻回させてコイルを形成させた場合、図6に示すように、コイルには回転力を生じさせるローレンツ力(図でF1で示す)とそれとは逆方向のブレーキ力を生じさせるローレンツ力(図でF2で示す)が作用することになり、両者が相殺し合うため、結局はロータが回転しない、あるいは回転力が乏しくなるといった問題があった。
【0007】
また、銅線からなるコイルは磁気シールド特性を有するため、コイルを避けるようにして磁路が形成される結果、そもそもローレンツ力が生じず、ロータが回転しないといった問題があった。
【0008】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、コイルに一方向のみのローレンツ力を生じさせることにより、そのローレンツ力によってロータを回転させるようにした単極モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る単極モータにあっては、環状を呈すると共に、円周方向において所定間隔をおいて複数個の突起が形成された磁性材と、前記磁性材の複数個の突起の間にそれぞれ巻回される複数個のコイルを備えるステータと、前記ステータに対向した位置に設けられると共に、前記コイルの外周部に近接する位置に配置される永久磁石を有するロータとを備えると共に、前記コイルに通電したときに生じるローレンツ力によって前記ステータに対して前記ロータを回転させる如く構成した。
【0010】
また、請求項2に係る単極モータにあっては、前記永久磁石は、磁極の一方が前記コイルの外周部に接近するように配置される如く構成した。
【0011】
また、請求項3に係る単極モータにあっては、前記永久磁石は、前記磁性材の径方向において前記コイルの外周部に近接する位置に配置される如く構成した。
【0012】
また、請求項4に係る単極モータにあっては、前記永久磁石は、前記磁性材の軸方向において前記コイルの外周部に近接する位置に配置される如く構成した。
【0013】
また、請求項5に係る単極モータにあっては、前記永久磁石は、前記磁性材の軸方向において前記磁性材の相対する側において前記コイルの外周部に近接する位置に2個配置される如く構成した。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る単極モータにあっては、環状を呈すると共に、円周方向において所定間隔をおいて複数個の突起が形成された磁性材と、磁性材の複数個の突起の間にそれぞれ巻回される複数個のコイルを備えるステータと、ステータに対向した位置に設けられると共に、コイルの外周に近接する位置に配置される永久磁石を有するロータとを備えるように構成、即ち、ステータにおいて環状の磁性材の円周方向において所定間隔をおいて形成される突起の間にコイルを分割して巻回し、ロータの永久磁石をコイル外周に接近させるように構成したので、永久磁石から出た磁束をコイルの外周側から内周側に向けてコイル内を通過させる一方、コイル中央部に至った磁束を突起を有する磁性材を介してコイル内を通過させることなくコイルの内周側から外周側へと導くことができ、よってコイルに通電したときにコイルに一方向のみのローレンツ力を生じさせることができ、そのローレンツ力によってロータを回転させることができる。また、単極モータにコイルを形成するように構成したので、発生するローレンツ力を増大させることができる。それにより、単極モータの回転力を増大させることができる。
【0015】
請求項2に係る単極モータにあっては、永久磁石は磁極の一方がコイルの外周部に接近するように配置されるように構成したので、永久磁石から出た磁束を効率良くコイル内を通過させることができ、発生するローレンツ力を一層増大させることができる。それにより、単極モータの回転力を一層増大させることができる。
【0016】
請求項3に係る単極モータにあっては、永久磁石は磁性材の径方向においてコイルの外周部に近接する位置に配置されるように構成したので、例えば環状の磁性材の軸方向の長さを増大させてコイルを巻回し、それに伴って永久磁石も軸方向に対して延長させることで、コイルを通過する磁束を増大させることができ、発生するローレンツ力をより一層増大させることができる。それにより、単極モータの回転力をより一層増大させることができる。
【0017】
請求項4に係る単極モータにあっては、永久磁石は磁性材の軸方向においてコイルの外周部に近接する位置に配置されるように構成したので、例えば環状の磁性材の径方向の長さを増大させてコイルを巻回し、それに伴って永久磁石も径方向に対して延長させることで、コイルを通過する磁束を増大させることができ、発生するローレンツ力をより一層増大させることができる。それにより、単極モータの回転力をより一層増大させることができる。
【0018】
請求項5に係る単極モータにあっては、永久磁石は磁性材の軸方向において磁性材の相対する側においてコイルの外周部に近接する位置に2個配置されるように構成したので、コイルを通過する磁束を増大させることができ、発生するローレンツ力をさらに増大させることができる。それにより、単極モータの回転力をさらに増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の第1実施例に係る単極モータの分解斜視図である。
【図2】図1に示す単極モータの縦断面斜視図である。
【図3】図1に示す単極モータの横断面斜視図である。
【図4】この発明の第2実施例に係る単極モータの縦断面斜視図である。
【図5】図4に示す単極モータの横断面斜視図である。
【図6】一般的な単極モータにコイルを形成した場合の問題点を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に即してこの発明に係る単極モータを実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、この発明の第1実施例に係る単極モータの分解斜視図である。図2はその単極モータの縦断面斜視図、図3は横断面斜視図である。
【0022】
図において、符号10はこの発明の第1実施例に係る単極モータを示す。単極モータとは、磁束を横切るように電流を流したときに生じるローレンツ力を利用して回転力を得るようにした電動機を意味する。単極モータ10はステータ12とロータ14からなる。
【0023】
ステータ12は、円筒状(環状)を呈する磁性材12aに18個のコイル12bが巻回されてなる。具体的には、磁性材12aには円周方向α(図1の矢印αで示す方向)において所定間隔(20°毎)をおいて径方向β(図1の矢印βで示す方向)と軸方向γ(図1の矢印γで示す方向)に伸延する18個の突起12a1が形成されており、それら突起12a1の間にそれぞれコイル12bが巻回され、ステータ12が形成される。磁性材12aは、具体的には鉄材などの高透磁率材からなる。
【0024】
各コイル12bは磁性材12aの径方向βおよび軸方向γに対して銅線が巻回されてなる。隣接するコイル12b同士は渡り線(図示せず)を介して接続される。各コイル12bは全て同一方向に巻回される。従って、コイル12bに直流電源を接続して通電させると、各コイル12bには同一方向の電流が生じる。
【0025】
またステータ12には、磁性材12aの軸方向γにおいて磁性材12aを挟むようにして配置される環状のステータヨーク12cが2個備えられる。
【0026】
ロータ14は永久磁石14aとロータヨーク14bからなると共に、ステータ12の磁性材12aの環内に配置される。ロータヨーク14bは大略円筒状を呈し、外周面において中央部が縮径されており、その縮径部に円筒状の永久磁石14aが嵌め込まれる。永久磁石14aは径方向βにおいてN極とS極を有し、N極側がステータ12のコイル12bの外周部に近接されるように配置されると共に、S極側がロータヨーク14bに嵌め込まれる。即ち、永久磁石14aは磁性材12aの径方向βにおいてステータ102のコイル102bの外周部に近接する位置に設けられる。
【0027】
また、ロータ14はロータヨーク14bの孔に挿通されるシャフト14cを備える。尚、ロータヨーク14bやシャフト14cも鉄材などからなる。
【0028】
ステータ12とロータ14はモータハウジング16(図2および図3では図示省略)に収容される。ステータ12はモータハウジング16の内壁に固定される。ロータ14の外周とステータ12の内周には僅かな間隙が設けられると共に、ロータ14はベアリング18によって円周方向αに回転自在に支持される。
【0029】
上記した各部材の配置関係において形成される永久磁石14aの磁路について説明すると(図2と図3において磁束を矢印Bで示す)、永久磁石14aのN極から出た磁束はその直近に位置するコイル12bの内部を通過し、コイル12bの中央部、即ちコイル12bが巻回される磁性材12aに至る。コイル中央部に至った磁束はコイル中央部からコイル12b間に配置されることとなる前記した突起12a1の方向に進み、突起12a1に至った磁束は突起12a1内と突起12a1に続くステータヨーク12c内を通過し、ステータヨーク12cに近接するロータヨーク14b内を通過して永久磁石14aのS極に戻る。
【0030】
即ち、磁束がN極から、コイル12b、コイル中央部(磁性材12a)、突起12a1、ステータヨーク12c、ロータヨーク14bを経てS極に至るような磁路が形成される。
【0031】
銅線が巻回されてなるコイル12bは磁気シールド特性を有するが、上記のようにコイル12bの外周に近接する位置に永久磁石14aの極(N極)が配置されるため、磁束はコイル12bの外周側から内周側に向けてコイル12b内を通過する。一方、コイル中央部に至った磁束は磁性材12aを通って他極(S極)に戻るので、磁束はコイル12bの内周側から外周側に向けてコイル12b内を通過することがない。
【0032】
このように形成された磁路に対し、コイル12bに電流Iが例えば図2に示す方向(矢印Iで示す)に流されると、コイル12bにはローレンツ力Fが同図に示す方向(矢印Fで示す)、即ち円周方向αにおいて一方向のみに生じる。他のコイル12bにおいても同方向のみのローレンツ力Fが生じる。
【0033】
この単極モータ10において発生するローレンツ力Fは、具体的には次式で与えられる。式中のBは磁束密度、Iは電流、nはコイル巻数、lは磁束が通過する部分のコイル長を示す。
F=B×I×n×l (式1)
【0034】
即ち、単極モータ10にコイル12bを形成するように構成したので、そのコイル巻数nを増加させることでローレンツ力Fを増大させることができる。また磁束が通過する部分のコイル長lは、磁性材12aの軸方向γの長さを増大させてコイル12bを巻回し、それに伴って永久磁石14aの軸方向γの長さを延長させることにより、大きな値とすることができる。それによってもローレンツ力Fを増大させることができる。
【0035】
コイル12bを備えるステータ12はモータハウジング16に固定されるため、コイル12bに生じるローレンツ力の反力によってロータ14が円周方向αに回転することとなる。
【0036】
以上のように、この発明の第1実施例に係る単極モータにあっては、環状を呈すると共に、円周方向αにおいて所定間隔をおいて複数個の突起12a1が形成された磁性材12aと、磁性材12aの複数個の突起12a1の間にそれぞれ巻回される複数個のコイル12bを備えるステータ12と、ステータ12に対向した位置に設けられると共に、コイル12bの外周に近接する位置に配置される永久磁石14aを有するロータ14とを備えるように構成、即ち、ステータ12において環状の磁性材12aの円周方向αにおいて所定間隔をおいて形成される突起12a1の間にコイル12bを分割して巻回し、ロータ14の永久磁石14aをコイル12b外周に接近させるように構成したので、永久磁石14aから出た磁束をコイル12bの外周側から内周側に向けてコイル12b内を通過させる一方、コイル中央部に至った磁束を突起を有する磁性材12a1を介してコイル12b内を通過させることなくコイル12bの内周側から外周側へと導くことができ、よってコイル12bに通電したときにコイル12bに一方向のみのローレンツ力Fを生じさせることができ、そのローレンツ力Fによってロータ14を回転させることができる。また、単極モータ10にコイル12bを形成するように構成したので、発生するローレンツ力Fを増大させることができる。それにより、単極モータ10の回転力を増大させることができる。
【0037】
また、永久磁石14aは磁極の一方(N極)がコイル12bの外周部に接近するように配置されるように構成したので、永久磁石14aから出た磁束を効率良くコイル12b内を通過させることができ、発生するローレンツ力Fを一層増大させることができる。それにより、単極モータ10の回転力を一層増大させることができる。
【0038】
また、永久磁石14aは磁性材12aの径方向においてコイル12bの外周部に近接する位置に配置されるように構成したので、例えば環状の磁性材12aの軸方向γの長さを増大させてコイル12bを巻回し、それに伴って永久磁石14aも軸方向γに対して延長させることで、コイル102bを通過する磁束を増大させることができ、発生するローレンツ力Fをより一層増大させることができる。それにより、単極モータ100の回転力をより一層増大させることができる。
【実施例2】
【0039】
図4はこの発明の第2実施例に係る単極モータの縦断面斜視図、図5は横断面斜視図である。
【0040】
図において、符号100はこの発明の第2実施例に係る単極モータを示す。第2実施例に係る単極モータ100は、第1実施例のものと比較すると、ステータ側の環状の磁性材の軸方向γの長さを減少させる一方、径方向βの長さを増大させると共に、ロータを磁性材の軸方向γにおいてステータを挟むように2個配置するようにした。
【0041】
以下具体的に説明すると、第2実施例の単極モータ100はステータ102と2個のロータ104からなる。
【0042】
ステータ102は、平らな環状の磁性材102aに20個のコイル102bが巻回されてなる。具体的には、磁性材102aには円周方向α(図4の矢印αで示す方向)において所定間隔(18°毎)をおいて軸方向γ(図4の矢印γで示す方向)に伸延する20個の突起102a1が形成されており、それら突起102a1の間にそれぞれコイル102bが巻回され、ステータ102が形成される。
【0043】
各コイル102bは磁性材102aの径方向β(図4の矢印βで示す方向)および軸方向γに対して銅線が巻回されてなる。隣接するコイル102b同士は渡り線(図示せず)を介して接続される。各コイル102bは全て同一方向に巻回される。従って、コイル102bに直流電源を接続して通電させると、各コイル102bには同一方向の電流が生じる。
【0044】
ロータ104は永久磁石104aとロータヨーク104bからなると共に、ステータ102を挟むようにしてステータ102に対向した位置に2個配置される。永久磁石104aとロータヨーク104bはいずれも環状を呈すると共に、両者は軸方向γにおいて互いに張り合わされる。具体的には、永久磁石104aの径方向βの長さはロータヨーク104bのそれよりも短く、永久磁石104aはヨーク104bの内径側であってステータ側に張り付けられる。
【0045】
より具体的には、永久磁石104aは軸方向γにおいてN極とS極を有し、N極側がステータ102のコイル102bの外周の一部に近接されるように配置されると共に、S極側がヨーク104bに張り付けられる。即ち、永久磁石104aは磁性材102aの軸方向γにおいて相対するようにコイル102bの外周部に近接する位置に2個設けられる。尚、ロータヨーク104bも鉄材などからなる。
【0046】
ステータ12はモータハウジング(図示せず)に固定される。ロータ14はモータハウジング内部においてステータ12と僅かな間隙を隔てて配置されると共に、各ロータに接続されるシャフト部材104cとベアリング106を介して円周方向αに回転自在に支持される。
【0047】
上記した各部材の配置関係において形成される永久磁石104aの磁路について説明すると(図4と図5において磁束を矢印Bで示す)、永久磁石104aのN極から出た磁束はその直近に位置するコイル102bの内部を通過し、コイル102bの中央部、即ちコイル102bが巻回される磁性材102aに至る。コイル中央部に至った磁束はコイル中央部からコイル102a間に配置されることとなる前記した突起102a1の方向に進み、突起102a1に至った磁束は突起102a1内を通過し、突起102a1に近接するロータヨーク104bを通ってS極に戻る。
【0048】
即ち、磁束がN極から、コイル102b、コイル中央部(磁性材102a)、突起102a1、ヨーク104bを経てS極に至るような磁路が形成される。
【0049】
第2実施例に係る単極モータ100にあっても、上記のようにコイル102bの外周に近接する位置に永久磁石104aの極(N極)が配置されるため、磁束はコイル102bの外周側から内周側に向けてコイル102b内を通過する。一方、コイル中央部に至った磁束は磁性材102aを通って他極(S極)に戻るので、磁束はコイル102bの内周側から外周側に向けてコイル102b内を通過することがない。
【0050】
このように形成された磁路に対し、コイル102bに電流Iが例えば図4に示す方向(矢印Iで示す)に流されると、コイル102bにはローレンツ力Fが同図に示す方向(矢印Fで示す)、即ち円周方向αにおいて一方向のみに生じる。他のコイル102bにおいても同様のローレンツ力Fが生じる。
【0051】
この単極モータ100において発生するローレンツ力Fも第1実施例で記載した式(1)で与えられる。即ち、単極モータ100にコイル102bを形成するように構成したので、そのコイル巻数nを増加させることでローレンツ力Fを増大させることができる。また磁束が通過する部分のコイル長lは、磁性材102aの径方向βの長さを増大させてコイル102bを巻回し、それに伴って永久磁石104aの径方向βの長さを延長させることにより、大きな値とすることができる。それによってもローレンツ力Fを増大させることができる。
【0052】
コイル102bを備えるステータ102はモータハウジングに固定されるため、コイル102bに生じるローレンツ力Fの反力によってロータ104が円周方向αに回転することとなる。
【0053】
以上のように、第2実施例に係る単極モータ100にあっても、第1実施例と同様、ステータ102において環状の磁性材102aの円周方向αにおいて所定間隔をおいて形成される突起102a1の間にコイル102bを分割して巻回し、ロータ104の永久磁石104aをコイル102b外周に接近させるように構成したので、永久磁石104aから出た磁束をコイル102bの外周側から内周側に向けてコイル102b内を通過させる一方、コイル中央部に至った磁束を突起を有する磁性材102aを介してコイル102b内を通過させることなくコイル102bの内周側から外周側へと導くことができ、よって第1実施例で述べたのと同様な作用効果を得ることができる。
【0054】
また、永久磁石104aは磁極の一方(N極)がコイル102bの外周部に接近するように配置されるように構成したので、第1実施例で述べたのと同様な作用効果を得ることができる。
【0055】
また、永久磁石104aは磁性材102aの軸方向γにおいてコイル102bの外周部に近接する位置に配置されるように構成したので、例えば環状の磁性材102aの径方向βの長さを増大させてコイル102bを巻回し、それに伴って永久磁石104aも径方向βに対して拡大させることで、コイル102bを通過する磁束を増大させることができ、発生するローレンツ力Fをより一層増大させることができる。それにより、単極モータ100の回転力をより一層増大させることができる。
【0056】
また、永久磁石104aは磁性材102aの軸方向γにおいて磁性材102aの相対する側においてコイル102bの外周部に近接する位置に2個配置されるように構成したので、コイル102bを通過する磁束を増大させることができ、発生するローレンツ力Fをさらに増大させることができる。それにより、単極モータ100の回転力をさらに増大させることができる。
【0057】
上記した如く、第1実施例および第2実施例にあっては、環状を呈すると共に、円周方向(α)において所定間隔(20°、18°)をおいて複数個(18個、20個)の突起(12a1、102a1)が形成された磁性材(12a、102a)と、前記磁性材の複数個の突起の間にそれぞれ巻回される複数個(18個、20個)のコイル(12b、102b)を備えるステータ(12、102)と、前記ステータに対向した位置に設けられると共に、前記コイルの外周部に近接する位置に配置される永久磁石(14a、104a)を有するロータ(14、104)とを備えると共に、前記コイルに通電したときに生じるローレンツ力(F)によって前記ステータに対して前記ロータを回転させる如く構成した。
【0058】
また、前記永久磁石(14a、104a)は、磁極の一方(N極)が前記コイルの外周部に接近するように配置される如く構成した。
【0059】
また、第1実施例にあっては、前記永久磁石(14a)は、前記磁性材の径方向(β)において前記コイルの外周部に近接する位置に配置される如く構成した。
【0060】
また、第2実施例にあっては、前記永久磁石(104a)は、前記磁性材の軸方向(γ)において前記コイルの外周部に近接する位置に配置される如く構成した。
【0061】
また、前記永久磁石(104a)は、前記磁性材の軸方向(γ)において前記磁性材の相対する側において前記コイルの外周部に近接する位置に2個配置される如く構成した。
【0062】
尚、上記の第1実施例にあっては、コイルが巻回され易いように磁性材に設けられる突起を径方向βおよび軸方向γに伸延させるようにしたが、いずれか一方の方向に伸延させるようにしても良い。あるいは、伸延させずに立方体状の突起としても良い。即ち、いずれにせよ突起を介して磁路が形成されるように構成すれば良い。
【0063】
また、突起やコイルの個数は上記した個数に限られるものではない。
【0064】
また、ステータ側にコイルを配置してロータ側に永久磁石を配置ように構成したが、ロータ側にコイルを配置してステータ側に永久磁石を配置するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0065】
10,100:単極モータ、12,102:ステータ、12a,102a:環状の磁性材、12b,102b:コイル、12a1,102a1:突起、14,104:ロータ、14a,104a:永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.環状を呈すると共に、円周方向において所定間隔をおいて複数個の突起が形成された磁性材と、前記磁性材の複数個の突起の間にそれぞれ巻回される複数個のコイルを備えるステータと、
b.前記ステータに対向した位置に設けられると共に、前記コイルの外周部に近接する位置に配置される永久磁石を有するロータと、
を備えると共に、前記コイルに通電したときに生じるローレンツ力によって前記ステータに対して前記ロータを回転させるようにしたことを特徴とする単極モータ。
【請求項2】
前記永久磁石は、磁極の一方が前記コイルの外周部に接近するように配置されることを特徴とする請求項1記載の単極モータ。
【請求項3】
前記永久磁石は、前記磁性材の径方向において前記コイルの外周部に近接する位置に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の単極モータ。
【請求項4】
前記永久磁石は、前記磁性材の軸方向において前記コイルの外周部に近接する位置に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の単極モータ。
【請求項5】
前記永久磁石は、前記磁性材の軸方向において前記磁性材の相対する側において前記コイルの外周部に近接する位置に2個配置されることを特徴とする請求項1または2記載の単極モータ。


【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−109762(P2011−109762A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260646(P2009−260646)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)