説明

単極発電機

【課題】 単極発電機は大きな電流(A)を得ることは出来るが電圧(V)は非常に小さいため、あまり実用化されていない。
【解決手段】 従来の単極発電機は同じ回転軸上の回転子の回転方向は全て同じ方向に回転する。もし全ての導体を貫く磁場の方向が一定の方向であるならば、導体内の電気(電子)の流れる方向は遠心方向か、求心方向かの、どちらか一方向だけである。しかし、磁場の方向を適宜に換えれば、導体内の電気の流れる方向を遠心方向と求心方向を組み合わせることが出来、発生した電気は導体内をより長い距離通ることが図られ、電気抵抗を受けることにより電圧を上げ、更に各回転子6の集電接触部3を回転軸8側に集めることが出来、同軸上で直列接続が容易に出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単極発電機と呼ばれている、ファラデーの円盤の原理に基づく直流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発電機は、電磁誘導による発電で、逆トルクを常に伴っており、発電のために大きな動力エネルギーを消耗することになる。そしてその為に、これらの発電はCO2排出、放射能汚染廃棄物、自然環境破壊等、地球環境の負荷が大きく、これらの問題解決が差し迫った問題となってきている。それを解決するためには逆トルクを伴わない単極発電機が良い。単極発電機は磁石と導体の回転子を接合し、同じ軸上を回転させても発電する。これら磁石と導体の二つの間に相対的な運動が無く、逆トルクは発生しない。それ故、小さな動力で発電できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、単極発電機が一般に普及しない最大の原因は、大きな電流(A)を得ることは出来るが電圧(V)は非常に小さいため、あまり実用化されていない。電圧(V)が非常に小さい理由は、導体からなる円盤状の回転子の中を電気が流れる距離が非常に短いことによる。つまり、強い磁場の中を電気が流れる距離は図8で示すように円盤状の回転子の軸側と周側との間Rだけの短い距離であり、その為に導体内の電気抵抗が非常に小さく電圧(V)を上げることが出来ない。
【0004】
強い磁場の中で電気が流れる距離を長くするためコイルを用いることは良く知られている。しかし、単極発電機では回転軸と平行な磁場の中では、電気の流れる方向は遠心方向か求心方向のどちらかであり(図8)、コイルの中を流れるように旋回することは出来ない。
【0005】
また単極発電機では回転する導体(回転子)の軸側と周側で刷子(ブラシ)等で集電するが、これには特開2001−286117や特開H09−238458等で開示されているように、次の二つの問題が在る。一つは周側の導体の回転速度は軸側の速度よりも速く、周側の刷子(ブラシ)の磨耗破損が頻繁に起きる。もう一つは集電部が軸側と周側にあるため、一つの回転軸に複数の回転子を備えて直列接続させることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特長は単極発電機でありながら、大きな電圧を作り出すところにある。次に、回転子の周側の集電部をなくし、回転軸側に取付け、各回転子の、同軸上の直列接続を容易にせしめる。
【0007】
電圧を上げるためには、イ)導体内の磁束密度を高める、ロ)回転速度を速める、ハ)磁束内で、導体内の電気(電流)の流れる距離を長くする。本発明は導体内に起電された電気(電子)の流れる距雕を長くし、電気抵抗を得て、電圧(V)を高めることを特長としている。
【0008】
その為に、特許請求項1及び2で示すように、磁石の回転子を1枚で構成するのではなく、偶数の複数枚の磁石1で、磁極が交互になるように円盤状に並べ、それぞれの磁石に固着された導体2(板及び、又は線)の中を流れる電流の方向を遠心方向5a、求心方向5bと交互になるようにする。このことに因り、導体2内に発生した電流は強い磁場の中を長い距離流れることに成り、電気抵抗を受け電圧(V)を上げることが出来る。
【0009】
また、特許請求項3及び4で示すように、磁性体から成る回転子6を両面から挟むように、二枚の円盤状の磁石1を、同じ極同士を向かい合わせて固着し、その外側に導体(板2または線7)を取付け、導体内に発生した電気は回転子の一方面は遠心方向5aに、他方面は求心方向5bに流れるようにし、特に導体を導線7にする場合はコイル状にすることが出来、電圧(V)を上げることが出来る。
【0010】
同じ回転軸上の回転子の回転方向は全て同じ方向に回転する。もし全ての導体を貫く磁場の方向が一定の方向であるならば、導体内の電気(電子)の流れる方向は遠心方向か、求心方向かの、どちらか一方向だけである。従来の単極発電機はそのように作られており、導体内に起電した電気の流れる距離は短く、それ故に電圧(V)は極端に小さい。しかし、磁場の方向を適宜に換えれば、導体内の電気の流れる方向を遠心方向と求心方向を組み合わせることが出来、発生した電気は導体内をより長い距離流れることが図られ、導体内で電気抵抗を受けることにより電圧を上げ、更に各回転子6の集電接続部3を回転軸8側に集めることが出来、同軸上で直列接続が容易に出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
先ず図1は特許請求項1を示している概念図である。厚み方向に着磁された偶数複数個の磁石1を、磁極が交互になるように、円盤状に並べ、各磁石に導体2をそれぞれ固着し、一つの導体の回転軸8側に外部接続端子3aを設ける。各導体を電気的に接続するために接続線、または板を設けそれぞれ交互に周側接続部4aと軸側接続部4bと交互に接続させ、最後の導体には外部接続端子3bを軸側に設ける。各導体2の中を流れる磁場が交互に反転するために、導体内に発生した電気は交互に遠心方向5a、求心方向5bと各接続部4を通り、全ての導体2を通り抜け、大きな電流(A)と電圧(V)を得ることが出来る。
【0012】
図2は特許請求項2を示している概念図である。厚み方向に着磁された偶数複数個の磁石1を円盤状に磁極が交互になるように並べ、電気が流れる方向5に沿って、図示されていない導線を這わせ、強い磁場の中を出来るだけ長い距離流れるようにし、大きな電流(A)と電圧(V)を得る。
【0013】
図3及び4は特許請求項3を示している概念図である。磁性体から成る回転子6を両面から挟むように、二つのドーナッツ型円盤状の磁石1を、同じ磁極同士を向かい合わせて固着し、該磁石+回転子+磁石を芯として導線7を軸側からコイルを形成するように巻きつけ、巻き終わりを軸側に戻す。該回転子6の二面の磁場方向9は相反しているので、ある一面側の導線内に起きた電気の流れは、常に遠心方向5aであり、反対面側では、常に求心方向5bになり、コイル状の導線内7を流れることになる(図3)。図4は該回転子6を回転軸8方向から見た概念図である。磁性体の回転子6は回転軸8に固定されているが、該磁石1と同じく、ドーナッツ型でもよく、その場合は回転軸8に固定されている図示されていない筒状の筐体の中に取り入れても良い。また、該回転子6を巻くのに導線7の代わりに、図示されていないリボン状の導体を用いても良い。また該導線またはリボン状の導体は絶縁被服されているものを用いる。
【0014】
図5及び6は、特許請求項3にて用いられた導線、またはリボン状の導体の代わりに導体板2を用いた。回転子6の両面の磁場方向9は相反しているので、導体内に発生した電気の流れる方向は、一方は遠心方向5aで、もう一方は求心方向5bで、各導体は表裏の順にそれぞれ電気的に接続されている。導体2内を長い距離電気が流れることに成り、大きな電流(A)と電圧(V)を作り出すことが出来る。
【0015】
図7は特許請求項3で示したコイルを形成する回転子6を示し、同じ回転軸8上に直列している状態を示している概念図である。今までに述べた回転子のいずれか、またはいずれかを組み合わせたものでも良い。また各回転子6は回転軸8に固定されていなく、該回転軸8に固定された図示されていない筒状の筺体内に取付けても良い。各回転子の電気的接続部は全て軸側に取付けられているので、直列配置は容易であり、外部接触のための刷子(ブラシ)との接続も容易になされる。尚、相反する磁極を磁性体の回転子6を中心として挟む場合、磁束の流れを同じく磁性体からなる回転軸8や、図示されていない筐体内に流れるようにすれば、尚良い。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から、本単極発電機の導体内に誘起された電気は、強い磁場内の導体の中を長い距離流れることに因り、電気抵抗を受け大きな電流(A)と電圧(V)になる。
【0017】
また本単極発電機の外部集電部は全て回転軸側に取付けられ、同じ回転軸上で直列接続が容易で、なおかつ刷子(ブラシ)等の損傷が少なくて済む。
【0018】
以上のことから、本発明は小さな動力エネルギーで大きな電流(A)と電圧(V)を得ることが出来る。因って、本発明はCO2削減という地球環境負荷を削減するために貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 単極発電機の一例を示す概略図
【図2】 単極発電機の一例を示す概略図
【図3】 単極発電機の一例を示す概略図
【図4】 単極発電機の一例を示す概略図
【図5】 単極発電機の一例を示す概略図
【図6】 単極発電機の一例を示す概略図
【図7】 コイル状回転子を直列連結した概念図
【図8】 磁場、運動方向、電流の流れ方向を示した「フレミングの右手」
【記号の説明】
【0020】
1 磁石
2 導体(板または線)
3 外部接続部
4 導体間接続部
5 電気の流れ方向
6 磁性体の回転子
7 導線(コイル)
8 回転軸
9 磁場の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本単極発電機は、厚み方向に着磁された偶数個の磁石からなる回転子を持ち、該回転子の各磁石は異なる磁極が隣り合うように円盤状に配列され、それぞれの磁石の片面または両面に銅などの導材を取り付け、各導材は回転軸の軸側と周側と交互に電気的に接続され、軸側の電気的接続部の一つは隣の導材と接続されず、外部の電気的集電・接続部と通じる回転子を持つ単極発電機。
【請求項2】
前項の発電機であって、導材に導線を用い、隣り合う磁石の極ごとに遠心方向、求心方向と、交互にジグザグ状に這わせ、円盤状の回転子に1ターン、または複数ターン取り付けた単極発電機。
【請求項3】
磁性体から成る回転子の両面に、円盤状の磁石を同じ磁極同士を向かい合わせて固着させ、該磁石+回転子+磁石を芯として導線、またはリボン状の導体で軸側からコイルを形成するように1ターンまたは複数ターン巻き、巻き終わりを軸側に戻した回転子を持つ単極発電機。
【請求項4】
前項の発電機であって、導線の代わりに、銅などの導体を両面の磁石の外表面に取り付け、該二面の導材を周側で電気的に接続した回転子を持つ単極発電機。
【請求項5】
前各項のいずれか、またはいずれかを組み合わせた回転子が回転軸に固定された、及び、又は該回転軸に固定された筒状の筐体内に取り付けられた単極発電機。
【請求項6】
導体の厚み方向に磁場の方向をなすように二枚の磁石を両面に固着した回転子を複数組、同じ回転軸上に、磁場の方向が交互に異なるように並べ、それぞれが電気的に接続された単極発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−142097(P2010−142097A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336033(P2008−336033)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(505097402)有限会社サンワールド (14)