説明

単独で、またはセキュリティドキュメントまたはラベルと共に、スタティック像および/または他の投影された像により空間的にコーディネートされた像を投影するマイクロ光学的膜構造体

【課題】セキュリティドキュメントのセキュリティを高めること
【解決手段】単独で、またはセキュリティドキュメントもしくはラベルと共に、スタティック像および/または他の投影された像と空間的にコーディネートされた像を投影するマイクロ光学的膜構造体が提供されている。この本発明の膜構造体は、(a)1つ以上のポリマー膜材料、(b)一次像アイコンの1つ以上の平面状配置、(c)合焦要素またはレンズの1つ以上の平面状配置および(d)1つ以上の二次像アイコンから構成されている。前記平面状配置は、前記合焦要素またはレンズの平面状配置を通して、前記一次像アイコンの平面状配置を見ると、1つ以上の第1合成像が投影されるように構成されている。前記二次像アイコンは、スタティックおよび/または他の投影された像として見え、これら像は、前記膜構造体が投影する前記第1合成像と空間的にコーディネートされており、膜構造体により共に同時にディスプレイされたときに、これら像は、前記投影された第1合成像を視覚的に強化またはキャンセルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には像を投影するための光学的システムに関し、より詳細には、単独で、またはセキュリティドキュメントまたはラベルと共に、スタティック像および/または他の投影された像により空間的にコーディネートされた像を投影するマイクロ光学的膜構造体に関し、前記スタティックな像および/または投影された他の像は、投影された像を視覚的に強化するか、またはキャンセルするように働く。
【0002】
本願は、本明細書で全体を参考例として援用する、2006年5月12日に出願された米国仮特許出願第60/800,257号に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
光学的材料は、これまで長く、バンクノート(銀行券)で使用されるセキュリティスレッドへの貴重な追加表示として認識されてきた。これら材料は、セキュリティスレッドおよび、したがってバンクノートをより偽造しにくいものにしながら、種々の自己認証光学的効果を可能にしている。
【0004】
例えばスティーンブリック外を発明者とする米国公開特許出願第2005/0180020A1号は、マイクロ像を拡大するために、非円筒形レンズの規則的な二次元アレイを使用する膜材料を示している。この膜材料または構造体は、(a)1つ以上の光学的スペーサと、(b)光学的スペーサの1つの表面に位置する像アイコンの規則的な周期的平面状アレイと、(c)光学的スペーサの反対の表面に位置するレンズの規則的な周期的アレイとを備える。これらレンズは、関連する像アイコンの周辺エッジが視界からドロップアウトしないように、関連する像アイコンの幅にわたって拡大された視野を提供する多角形ベースのマルチゾーンレンズまたは50ミクロン未満の有効ベース直径を有する非球面レンズとして記述されている。この参考文献はレンズの有効ベース直径を50ミクロン未満にしなければならないこと、およびレンズの焦点長さを40ミクロン未満としなければならないことを教示している。この膜構造体により投影される像は、オルソパララックス(視差)による動きを含む多数の視覚的効果を示すことがレポートされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国公開特許出願第2005/0180020A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セキュリティストリップまたはスレッドの形態をしたこれらマイクロ光学的膜構造体は、セキュリティドキュメント(例えばバンクノート)の表面に取り付けられるか、または一部がドキュメント内に埋め込まれ、ドキュメントの表面上の明瞭に構成されたウィンドー内に膜構造体を見ることができるようになっている。
【0007】
セキュリティドキュメント上、またはその内部で使用されるときのマイクロ光学的膜構造体の光学的効果を保存するために、膜構造体の領域におけるプリントを回避または最小とするよう、ドキュメントの両面にプリントがなされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、膜構造体の領域にプリントしても、膜構造体の光学的性能が損なわれることはなく、実際にこの膜構造体の領域におけるプリントを使って、かかるマイクロ光学的膜構造体に投影される像を強化またはキャンセルし、これらデバイスを視覚的により魅力的にし、好適なセキュリティ特性としてより効果的にできることが分かった。
【0009】
従って、本発明は、1つ以上の第1合成光学的像およびオプションとして1つ以上の第2合成光学的像を投影するマイクロ光学的膜構造体であって、前記1つ以上の第1合成光学的像は、(i)1つ以上のスタティックな像、(ii)前記1つ以上の第2合成光学的像または(iii)前記1つ以上のスタティックな像と前記1つ以上の第2合成光学的像との組み合わせである、マイクロ光学的膜構造体を提供するものである。
【0010】
1つの考えられる実施例では、本発明のマイクロ光学的膜構造体は、1つ以上のスタティックな像と空間的にコーディネイトされた1つ以上の第1合成光学的像を投影し、基本的には、
(a)1つ以上のポリマー膜材料と、
(b)前記ポリマー膜材料の上またはその内部に位置する一次像アイコンの1つ以上の平面状の配置と、
(c)前記ポリマー膜材料または前記一次像アイコンの平面状配置の上またはその近くに位置する合焦要素の1つ以上の平面状の配置とを備え、
前記合焦要素の平面状の配置を通して前記一次像アイコンの平面状の配置を見ると、1つ以上の第1合成光学的像が投影されるように前記平面状の配置が構成されており、
(d)1つ以上の一次像アイコンおよび/または1つ以上の合焦要素の上に、直接または間接的に重ねられるか、またはこれらを介して形成された1つ以上の二次像アイコンとを更に備え、
前記1つ以上の二次像アイコンは、前記1つ以上の第1合成光学的像と空間的にコーディネートされたスタティックな像として見え、
前記膜構造体によって投影された前記1つ以上の第1合成光学的像と共に、前記スタティックな像を見ると、前記スタティックな像は、前記1つ以上の投影像を視覚的に強化またはキャンセルするようになっている。
【0011】
当業者であれば、上記記載から明らかとなるように、合焦要素またはレンズの焦点平面の上またはその内部に1次像アイコンを(および可能な場合には、2次像アイコンも)置くと、合焦要素またはレンズの平面状配置により/この配置を介して合成光学的像が形成または投影される。上記記載から更に明らかとなるように、スタティック像は、合焦要素またはレンズの焦点平面の外側に像アイコン(例えば、プリントされた情報)を置いた結果生じる像である。このように、これら像アイコンを直接見てもよいし、またはマイクロ光学的膜構造体を介して見てもよいが、像アイコンは合焦要素またはレンズの膜構造体の平面状配置によって投影されるが、像形成されることはない。
【0012】
本発明は、セキュリティドキュメントまたはラベルの表面内に部分的に埋め込まれ、および/またはその表面に取り付けられた、上記のような少なくとも1つのマイクロ光学的膜構造体を含む、両面を有するセキュリティドキュメントまたはラベルを更に提供するものである。
【0013】
本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルの可能な一実施例では、例えばマイクロ光学的膜構造体の合焦要素に直接二次像アイコンをプリントすることにより、一次像アイコンの上および/またはマイクロ光学的膜構造体の合焦要素の上に直接二次像アイコンが重ねられる。この場合、膜構造体は、セキュリティドキュメントまたはラベルに部分的に埋め込まれ、その第1表面または上方表面上に明瞭に構成されたウィンドー内で見ることができる。
【0014】
別の可能な実施例では、膜構造体は再びセキュリティドキュメントまたはラベル内に部分的に埋め込まれ、二次像アイコンは、例えば埋め込まれた膜構造体に重なるドキュメントまたはラベルの反対の第2の表面、すなわち下方表面に、二次像アイコンをプリントすることにより、一次像アイコンに間接的に重ねられる。ドキュメントまたはラベルの下方表面に位置する二次像アイコンの代わりに、またはその二次像アイコンに加えて、例えばドキュメントまたはラベルの上方表面上のウィンドー領域上に直接、および/またはウィンドー領域の間に二次像アイコンをプリントすることにより、合焦要素に二次像アイコンを間接的および/または直接張り付けてもよい。
【0015】
本発明は更に、上記のようなマイクロ光学的膜構造体およびセキュリティドキュメントまたはラベルを認証するための方法を更に提供するものであり、この方法は、
(a)前記マイクロ光学的膜構造体の合焦要素の平面状の配置の上で、コヒーレントな光源の向きを浅い角度に定め、ユニークなパターンを投影するステップと、
(b)前記投影されたユニークなパターンを検出するステップと、
(c)前記投影され、検出されたユニークなパターンと、予想されるパターンとを比較するステップとを備える。
【0016】
次の詳細な説明および添付図面から、当業者には、本発明の上記以外の特徴および利点が明らかとなろう。
【0017】
特に明記しない限り、本明細書で使用する科学技術用語は、本発明が属す技術に関して通常の知識を有する者が共通に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書で引用するすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の文献の全体を参考例として援用する。競合が生じた場合、定義を含む本明細書が基準となる。更に、材料、方法および例は、単に説明のためのものであり、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】セキュリティドキュメント、例えばバンクノート内に部分的に埋め込まれた、スティーンブリック外を発明者とする米国公開特許出願第2005/0180020A1号に記載されているような、マイクロ光学的膜構造体の横断面図である。
【図2】膜構造体の合焦要素またはレンズに直接二次像アイコンが重ねられている、セキュリティドキュメントに一部が埋め込まれた、本発明のマイクロ光学的膜構造体の一実施例の横断面図である。
【図3】膜構造体の一次像アイコンに二次像アイコンが直接重ねられている、本発明の一部が埋め込まれたマイクロ光学的膜構造体の別の実施例の横断面図である。
【図4】セキュリティドキュメントの第2表面、すなわち下方表面に膜構造体を張り付けることにより、膜構造体の一次像アイコンに二次像アイコンが間接的に重ねられている、本発明の一部が埋め込まれたマイクロ光学的膜構造体の更に別の実施例の横断面図である。
【図5】セキュリティドキュメントの上方表面および下方表面の双方に二次像アイコンが張り付けられている、本発明の一部が埋め込まれたマイクロ光学的膜構造体の更に別の実施例の横断面図である。
【図6(A)−(D)】(拡大され、オルソパララックスによる動きを示す)投影された像と、(スタティックな像として見える)二次像アイコンとが空間的にコーディネートされており、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルを傾けると、投影像とスタティック像が一致するようになっている、本発明の一実施例を示す平面図である。
【図7(A)−(D)】(拡大され、オルソパララックスによる動きを示す)投影された像と、(スタティックな像として見える)二次像アイコンとが空間的にコーディネートされており、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルを傾けると、投影像とスタティック像が異なる像を共に形成するようになっている、本発明の別の実施例を示す平面図である。
【図8(A)−(C)】(拡大され、オルソパララックスによる動きを示す)投影された像と、(スタティックな像として見える)二次像アイコンとが空間的にコーディネートされており、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルを傾けると、投影像の見かけの動きが増幅されるようになっている、本発明の更に別の実施例を示す平面図である。
【図9(A)−(D)】(拡大され、オルソパララックスによる動きを示す)投影された像と、(スタティックな像として見える)二次像アイコンとが空間的にコーディネートされており、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルを傾けると、投影像とスタティック像とが互いにキャンセルし合い、よって見ることができなくなるようになっている、本発明の更に別の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照し、本明細書に開示する発明の特別な特徴について説明する。
【0020】
バンクノートの設計者の目的の1つは、一般大衆の注意を引き、容易に認識できる明瞭なセキュリティ上の特徴を使用することである。これら明瞭なセキュリティ上の特徴は、偽造または模造が困難であるものでなければならず、更に理想的には、別の装置を必要とすることなく、通常の取引中に利用できる短時間の間に真正なものと容易に認識できるものでなければならない。本発明の好ましい実施例では、一般大衆の注意を引くための公知のマイクロ光学的膜構造体の能力を大幅に高め、この明瞭なセキュリティ上の特徴の有効性を高めることができる。
【0021】
以下、本発明の膜構造体を、バンクノートに関連して使用されるセキュリティストリップまたはスレッドとして主に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の膜構造体は、認証目的のために任意のドキュメント(例えばバンクノート、パスポート、IDカード、クレジットカード)、ラベル、識別のための手段、商業的製品(例えば光ディスク、CD、DVD、医薬品のパッケージ)などと共に種々の異なる形態で使用できる。
【0022】
本発明のポリマー膜材料は、光学的スペーサとしても機能し得る光透過性支持層である。ポリマー膜材料は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルカーボネート、ポリ塩化ビニリデンおよびそれらの組み合わせを含む群から選択された、基本的には無色の1つ以上のポリマーを使って形成できる。
【0023】
ポリマー膜材料の厚さは約12〜26ミクロン(より好ましくは約17〜21ミクロン)の範囲であることが好ましい。
【0024】
拡大できるか、および/または1つ以上の視覚的効果を示す像を投影する、本発明の膜構造体の合焦要素、すなわちレンズの1つ以上の平面状の配置は、
i.円筒形レンズまたは非円筒形レンズの1つ以上の平面状の配置と、
ii.合焦反射器の1つ以上の平面状の配置と、
iii.複数の開口部を含む1つ以上の不透明層と、
iv.1つ以上の反射層
の群から選択することが好ましい。
【0025】
より好ましい実施例では、球面または非球面を有する非円筒形レンズが使用される。非球面として円錐形プロフィル、楕円形プロフィル、パラボラプロフィルおよびその他のプロフィルを挙げることができる。これらレンズは円形、楕円形または多角形ベースの幾何学的形状を有することができ、規則的なアレイまたはランダムなアレイ、一次元のアレイまたは二次元のアレイに配置できる。更に好ましくは、合焦要素はポリエステル膜材料上の規則的な二次元アレイ内に配置された多角形(例えば六角形)のベース幾何学的形状を有する非球面レンズである。
【0026】
従属合焦要素、すなわちレンズ(円筒形レンズの場合)の好ましい幅とベース直径(非円筒形レンズの場合)は50ミクロン未満(より好ましくは約45ミクロン、最も好ましくは約10〜40ミクロン)である。好ましい焦点長さは50ミクロン未満(より好ましくは約45ミクロン以下、最も好ましくは約10〜30ミクロン)である。
好ましいf値は2またはそれ以下(より好ましくは1またはそれ以下)である。
【0027】
本発明の実施にあたって使用される1次像アイコンは、視覚的に検出でき、可能な場合にはマシンで検出、すなわちマシンで読み取りできるポジまたはネガの記号、文字および/または番号を含む任意の形態でよいが、これらだけに限定されるものではない。これらアイコンは、例えば二次的像アイコンのために後述するプリント方法およびセキュリティインク、(例えば赤外線インク)を使ってプリントすることができるが、空隙またはリセスから形成された像アイコンおよびキャスティングまたは感熱プロセスによって形成される盛り上がった像アイコンが好ましい。
【0028】
本発明によって可能となる一実施例では、1次像アイコンは、オプションとしてコーティングされ、および/または充填された空隙またはリセスであり、これら空隙またはリセスは、1つ以上のポリマー膜材料上、またはその内部に形成されている。1に等しいアスペクト比(幅対高さの比)を有し、1つの合焦要素またはレンズにしか関連しないこれらアイコンのタイプは、スティーンブリック外を発明者とする米国公開特許出願第2005/0180020A1号に詳細に記載されている。
【0029】
充填されたリセスを像アイコンが構成するような実施例に対しては、リセスを充填するのに使用される材料(例えば実質的に透明またはクリアな放射線硬化性樹脂状材料)に光変換またはルミネッセンス材料を添加してもよい。これら材料は、充填材料の重量をベースとして、約2〜30重量%(好ましくは約5〜10重量%)の範囲の量を添加することができる。充填材料に対して粒子状に添加する際には、これら光変換材料またはルミネッセンス材料の平均粒径は、約2ミクロン以下(好ましくは約1ミクロン以下)である。
【0030】
更に、実質的に透明な、無色または薄いカラーの樹脂または樹脂状材料により、リセスとして形成される像アイコンを1つ以上の磁気材料、例えば磁気インクで満たしてもよい。
【0031】
本発明のマイクロ光学的膜構造体により投影される像を拡大してもよいし、および/またはこの像が1つ以上の視覚的効果を呈してもよい。
【0032】
投影される像の拡大率は合焦要素またはレンズと1次像アイコンの平面上の配置の対象軸線との間のスキュー度のようなファクター数によって決定される。当業者であれば後に容易に理解できるように、スキュー度が小さければ、拡大率は大きくなり、スキュー度が大きければ、拡大率は小さくなる。他のファクター、例えば2つの平面状配置の相対的スケールおよびレンズのf数は、投影される像の拡大率だけでなく、その回転、オルソパララックスによる動きおよび見かけの視覚深度に影響を与え得る。f数は、レンズの焦点長さ(f)をレンズの有効最大径(D)で、割って得られる商として定められる。
【0033】
可能な視覚的効果を検討すると、マイクロ光学的膜構造体が両面に非円筒形レンズおよび像アイコン(例えば満たされたリセス)の規則的な二次元アレイを有するポリマー膜材料を含む一実施例では、上方表面よりも上の位置から見たとき、反射光または透過光においてマイクロ光学的膜構造体は次のような1つ以上の像を投影する。
i.膜構造体を傾けるか、または異なるビュー角から見ると、オルソパララックスによる動きを示す像
ii.膜構造体の厚さよりも深い空間平面にあるように見える像
iii.膜構造体の表面よりも上の空間表面にあるように見える像
iv.膜構造体をアジマス方向に回転すると、膜構造体の厚さよりも深い空間平面と膜構造体の表面よりも上の空間平面との間で振動するような像
v.膜構造体をアジマス方向に回転するか、または異なるビューポイントから見たときに、ある形態、形状、サイズおよび/またはカラーから、異なる形態、形状、サイズおよび/またはカラーに変化する像
vi.三次元像として見える像および/または
vii.膜構造体を照明すると、膜構造体の空間平面に像が位置するように見える像。
【0034】
スティーンブリック外を発明者とする米国公開特許出願第2005/0188020A1号に記載されているように、このオルソパララックスによる効果は、合焦要素と像アイコンまたはインデックスの対称軸線が不整合であるときに、実質的に1.0000に等しいスケール比(すなわち合焦要素またはレンズの繰り返し周期に対する像アイコンまたはインデックスの繰り返し周期の比)の結果生じるものである。膜構造体の厚さよりも深い空間平面にあるように見えるのは、合焦要素と像アイコンまたはインデックスの対称軸線が実質的に整合しているときに、1.0000未満のスケール比の結果生じるものであり、他方、膜構造体の表面より上の空間平面にあるように見えるのは、合焦要素と像アイコンまたはインデックスの対称軸線が実質的に整合しているときに、1.0000よりも大きいスケール比から生じる。膜構造体がアジマス方向に回転されるときに、膜構造体の厚さよりも深い空間平面と膜構造体の表面よりも上の空間平面との間で振れるように見えるのは、スケール比の値が軸方向に非対称である結果(例えばX方向に0.995であり、Y方向に1.005であること)から生じる。
【0035】
合焦要素またはレンズの平面状配置を通して、一次像アイコンの平面状配置を見ると、合成拡大された1つ以上の像が投影され、この像は膜構造体を傾けるか、または異なるビュー角から見たときにオルソパララックスによる動きを示す。
【0036】
スタティック像または他の投影像として見られる二次像アイコンは、可視光(反射光および/または透過光)、紫外線光または赤外線光内で見ることができ、マイクロ光学的膜構造体の投影された第1合成光学像と空間的にコーディネートされる。投影された像と共にディスプレイされるとき、好ましくは実質的に固定された、またはスタティックな基準ポイントを構成することが好ましい二次像アイコンは、投影された像を視覚的に強化(例えば補足したり、完全にしたり)するように働くか、または投影された像をキャンセルするように働く。例えば投影された像を補助具をつけていない眼にとって見ることができないようにする。
【0037】
投影された像を視覚的に強化するように働くとき、二次像アイコンの位置、全体のサイズ、形状、スペースおよびカラーは、投影された像と調和して働くように選択されている。二次像により実行される視覚的強化は、(i)投影された像またはそのバックグラウンドのカラー、光学的密度または光度の変化、(ii)1つ以上の新しい像またはアイコンの形成、(iii)投影された像の見かけの動きの増幅、およびその他を構成できる。
【0038】
投影された像をキャンセルするように働くとき、二次像アイコンは投影されたスタティックな像が生じるときにキャンセルが生じるように、投影像のネガ像または反転像となる。
【0039】
可視光で見ることができる二次像アイコンに対して、この像アイコンをマイクロ光学的膜構造体に対する配置は、このアイコンを反射光および/または透過光内で見ることができるかどうかを決定する。より詳細に説明すれば、セキュリティドキュメントまたはラベルの第1表面、すなわち上方表面から、ウィンドーのついた膜構造体を見ると、膜構造体の合焦要素またはレンズに直接張り付けられた二次像アイコンを、反射光または透過光にてウィンドー領域内に見ることができ、他方、一次像アイコンに間接的に張り付けられた二次像アイコン(例えば埋め込まれた膜構造体に重なっているドキュメントまたはラベルの反対の第2表面、すなわち下方表面にある二次像アイコンのプリント)は、透過光でしか見ることができない。一次像アイコンに直接張り付けられた適当なサイズの二次像アイコンは、反射光と透過光の双方でウィンドー領域内に見ることができる。
【0040】
次に、添付図面中の図1を参照すると、この図には、スティーンブリック外を発明者とする米国公開特許第2005/0180020A1号に記載されているような、マイクロ光学的膜構造体1が、セキュリティドキュメント、例えばバンクノート2内に部分的に埋め込まれた状態に示されている。
【0041】
図2および3には、本発明のマイクロ光学的膜構造体の好ましい実施例全体が10で示されている。このマイクロ光学的膜構造体10は、これら図では、ドキュメントまたはラベル12の上方表面16にある開口部またはウィンドー14を通して見ることができるセキュリティドキュメントまたはラベル12内に部分的に埋め込まれた状態に示されている。
【0042】
本発明の膜構造体10は、ポリマー膜材料18と、六角形ベースの幾何学的形状を有する非球面レンズの形態をした合焦要素またはレンズ20の規則的な二次元アレイと、満たされたリセスの形態をした一次像アイコン22の規則的な二次元アレイと、1つ以上の合焦要素またはレンズ20(図2)に直接重ねられるか、または1つ以上の一次像アイコン22(図3)に直接重ねられた二次像アイコン24とを備える。図2では、二次像アイコン24は、投影された像と空間的にコーディネートされたスタティックな像として見える。図3では、各二次像アイコン24はアレイ内の各レンズ20よりも小さいサイズとなっているので、レンズアレイを通して合成像(すなわち第2合成光学的像)を投影できる。しかしながら、二次像アイコン24が各レンズ20よりも大きいサイズとなっている場合、スタティックな像(および投影された合成像でない像)が結果として生じる。
【0043】
図4には、本発明のセキュリティドキュメントまたはラベルの好ましい実施例の全体が番号26で示されている。図1のマイクロ光学的膜構造体は、セキュリティドキュメントまたはラベル26内に部分的に埋め込まれており、二次像アイコン24は一次像アイコン22に重なったドキュメントまたはラベル26の第2表面または下方表面28に張り付けられており、投影された像と空間的にコーディネートされている。当業者であれば容易に明らかとなるように、膜構造体1の光透過性により、ドキュメントまたはラベル26の上方表面から一次像アイコン22と二次像アイコン24の双方を同時に見ることが可能となっている。
【0044】
図4に示された実施例に類似する別の可能な実施例(図示せず)では、マイクロ光学的膜構造体1の裏面には紫外線(UV)コーティングがコーティングされており、ドキュメントまたはラベル26の第2表面、すなわち下方表面28には、UVセキュリティインクにより、二次像アイコン24がプリントされている。この実施例では、二次像アイコン24により可能となる視覚的強化は、UV照明のもとでしか見ることができない。
【0045】
図5では、ドキュメントまたはラベル26の上方表面16および下方表面28の双方に、二次像アイコン24が張り付けられている。図には示されていないが、膜構造体のウィンドー領域および埋め込み領域の双方に、二次像アイコン24を張り付けてもよい。
【0046】
図6〜9には、二次像アイコン24に投影像を空間的にコーディネートまたは調和させるいくつかの方法が示されている。これら図では、セキュリティドキュメントまたはラベル内に部分的に埋め込まれているような、各図の一部(B)に示された本発明のマイクロ光学的膜構造体10は、オルソパララックスによる動きを示す1つ以上の像を投影する。膜構造体10が傾けられると、投影像は通常のパララックスによって予想される方向に対して垂直に見える傾斜方向に動く。換言すれば、膜構造体10が側面から側面に傾斜されると、投影された像は上下に動くように見える。二次像アイコン24は、セキュリティドキュメントまたはラベルの第1表面または上方表面上の膜構造体10の露出した部分、すなわちウィンドー部分に張り付け(すなわちプリント)されている。このように、アイコン24は、セキュリティドキュメントまたはラベルの上方表面の一部に存在するだけでなく、マイクロ光学的膜構造体10の合焦要素またはレンズ20にも存在し、実質的に固定された、またはスタティックな基準点を構成する。
【0047】
図6では、投影された像30は、カラーの眼の記号の形態をしているが、他方、二次像アイコン24は、投影された眼の記号と同じサイズおよび形状を有するスタティック像として見えるが、異なったカラーとなっている。部分(B)に示される円で囲んだ領域の拡大図である図6の部分(C)および(D)に最良に示されるように、反射光または透過光で見ると、カラーの眼の記号の重なった組は、ランダムまたは不規則な位置(部分(C))内に見えるが、セキュリティドキュメントまたはラベルを所定の角度に傾けると、眼の記号は重なった状態となり、異なるカラー(部分(D))となる。
【0048】
図7では、投影された像30と二次像アイコン24とは、相互に関連した像/アイコンとなっている。この実施例では、投影像30は部分的に形成された眼の記号(すなわち眼のアウトライン)であるが、他方、二次像アイコン24は、投影像30内にフィットするサイズの眼の瞳の形状をしたスタティックな像のように見える。図7の部分(C)および(D)に最良に示されるように、反射光または透過光で見ると、部分的に形成された眼の記号の重なった部分および瞳は、ランダムな、または不規則な位置(部分(C))に見えるが、セキュリティドキュメントまたはラベルを所定の角度に傾けると、瞳は部分的に形成された眼の記号内に正しく位置し、よって新しい像32(部分(D))を形成する。
【0049】
相互に関連する像/アイコンの他の例として、幾何学的形状(すなわち正方形、円、菱形)の2つの部分またはデザイン(例えばロゴ、ポートレート、紋章)新しい数字を共に成す2つの数字、単語を共に形成する文字の2つのグループ、フレーズを共に形成する2つの単語などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
図8では、投影像30は、カラーの眼の記号の形態となっているが、二次像アイコン24はプリントされた平行線の形態となっている。図8の部分(C)に最良に示されるように、反射光または透過光で見ると、セキュリティドキュメントまたはラベルを傾けたとき、プリントされた平行線は投影された眼の記号の見かけの動きを強調し、または大きくする。平行線の異なる分布度を使用すると、投影された眼の記号は異なる速度で動くように見えるが、平行線を形成するのにブラインドエンボス技術を使用すると、グラウンド内プールの底部にペイントされたレーンのライン上で、水のさざ波のプールによって生じる効果に類似する揺らぎまたは水の波紋タイプの特殊効果が生じる。
【0051】
投影像の見かけの動きを強調または大きくするように働く他のパターンとして、他の平坦なパターン(例えばラインパターン、ドットパターン)およびセキュリティタイプのパターン(例えば込み入ったウェビングまたはギロッシュパターン、小さい装飾模様)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
図9では、投影像30および二次像アイコン24は、像/アイコンをキャンセルしている。この実施例では、投影像30は、ポジの星形記号の形態をしているが、他方、二次像アイコン24はネガの星形記号の形態となっている。図9の部分(C)および(D)に最良に示されるように、反射光または透過光で見ると、ポジの星形記号とネガの星形記号のオーバーラップした組が、ランダムな、または不規則な位置(部分(C))に見えるが、セキュリティドキュメントまたはラベルを所定の角度に傾けると、ポジの星形記号はネガの星形記号と一致し、キャンセル効果を生じさせ、これら記号をそれ以上検出できないようにする(部分(D))。
【0053】
マイクロ光学的膜構造体によって投影される像を視覚的に高めたり、キャンセルしたりする以外に、二次像アイコン24自身がセキュリティ上の特徴(例えば傾き効果のセキュリティ上の特徴、マシンで検出可能な、および/またはマシンで読み取り可能なセキュリティ上の特徴)を構成または埋め込むことができるし、または1つ以上のマシンで検出可能な、および/またはマシンで読み取り可能なセキュリティ上の特徴の発生に寄与することができる。
【0054】
例えば二次像アイコン24は、カラーシフトまたは傾き効果を示すことができる。意図する実施例は、光学的に変化するインクでプリントされた二次像アイコン24、ホログラフィパッチまたはストライプ、もしくは潜像から構成された(またはこれらを含む)二次像アイコン24、およびブラインドエンボスを使って形成された二次像アイコン24を含む。
【0055】
更に、情報を隠すか、または不明瞭にするのに、二次像アイコン24を使用できる。かかる意図する一実施例では、二次像アイコン24はSC(ステガノグラフィ暗号)マークおよび/またはデジタルすかしを埋め込み、従来の、プリントされ、隠されたマーキングシステムのセキュリティドキュメント(例えばバンクノート)またはラベル内に組み込まなくても、隠れたコピー防止機能を可能にする。
【0056】
別の実施例では、二次像アイコン24に一次像アイコン22が発生できる信号と同一か、または異なる信号を発生する材料を形成してもよい。かかる一実施例では、高保持力セキュリティインクを使って二次像アイコン24をプリントし、他方、リセス状となっている一次像アイコン22に低保持力材料を充填する。これら材料の近くは認証目的に使用できるユニークな磁気信号または応答を発生する。
【0057】
これまで説明し、図示したように、マイクロ光学的膜構造体が投影する像を視覚的に強化またはキャンセルするように働く、本発明の二次像アイコン24は、多数の異なる形状および形態で存在でき、正常な照明条件下で見えたり、見えなかったりしてもよく、更に自らがセキュリティ上の特徴を構成するか、埋め込むことができ、もしくは1つ以上のマシンで検出可能なおよび/またはマシンで読み取り可能なセキュリティ上の特徴の発生に寄与し得る。
【0058】
マイクロ光学的膜構造体10の表面上、またはこの表面を通して、または膜構造体10に載っているドキュメントまたはラベルの表面上、もしくはその表面を通して、二次像アイコン24を形成するようになっている方法もしくは技術として、エンボス加工(ブラインドエンボス加工)、フォイル転写、マイクロスコープレーザーボーリング技術、金属コーティング方法(例えば選択的金属コーティング、金属コーティングおよび選択的金属除去コーティング)およびプリントを挙げることができるが、これらだけに限定されるわけではない。
【0059】
1つの可能な実施例では、二次像アイコン24はプリントされたアイコンとなっている。これらアイコン24は、水をベースとするセキュリティインクを使ってプリントすることが好ましい。本発明で使用するようになっているセキュリティインクは、可視セキュリティインクおよび部分可視セキュリティインク、例えば熱反応不可逆性インク、高保持力インク、磁気インク、金属または金属性インク、光学的可変インク(例えばカラーシフトインク、蛍光インク、メタメリックインク、パールセントインク、燐光インク)、フォトクロームインク、放射線硬化性インク(例えばUV硬化性インク)、溶剤/薬品反応性インクおよび熱クロミックインクだけでなく、UVインクおよび赤外線(IR)インクを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0060】
ロトグラビア、レタープレス、インタグリオ、リトグラフィおよびフレクソグラフィを含むが、これらだけに限定されない任意のプリント方法を使って、膜構造体10またはセキュリティドキュメントもしくはラベル26に、二次像アイコン24をプリントできる。
【0061】
別の実施例では、従来のフォイル転写技術を使ってセキュリティドキュメントまたはラベル26の表面に、光学的可変ホログラフィホイルパッチまたはストリップ状の二次像アイコン24を張り付ける。
【0062】
更に別の実施例では、二次像アイコン24は膜構造体10またはセキュリティドキュメントもしくはラベル26を完全に貫通するか、または埋め込まれた膜構造体に載っている領域内のドキュメントまたはラベル26の二次表面または下方表面28だけを貫通する、マイクロスコープレーザーで孔開けされた孔なの形態をしている。
孔のマイクロスコープ的な性質により、本実施例の第2像アイコン24は可視光線のみにより見ることができる。
【0063】
別の実施例では、二次像アイコン24は、金属(すなわちポジの)アイコンまたは金属で形成された(すなわちネガの)アイコンであり、これらアイコンは選択的金属コーティング技術または金属コーティング技術、および選択的金属除去技術のいずれかを使って、膜構造体10またはセキュリティドキュメントもしくはラベル26に張り付けられている。
【0064】
当業者であれば容易に理解できるように、投影像を視覚的に強化またはキャンセルするように働く間の二次像アイコン24は、正当性を証明する別の方法を提供することにより、本発明のマイクロ光学的膜構造体10およびセキュリティドキュメントもしくはラベル26を、より偽造されにくいようにもする。膜構造体の合焦要素またはレンズ20にわたって、浅い角度でコヒーレントな光源(例えばレーザーポインタ)の向きを定めることにより、構造体10およびドキュメントまたはラベル26により、ユニークなパターンを投影できることが発見された。かかるユニークな投影光パターンは、適当なスケールおよびスペースのレンズアレイによってしか形成できないような高レベルの認証目的のために使用できる。
【0065】
以上で、本発明の種々の実施例について説明したが、これら実施例は単なる例として示したにすぎず、発明を限定するものではないと理解すべきである。本発明の範囲は、これら実施例のいずれによっても制限すべきではない。
【符号の説明】
【0066】
2 バンクノート
10 マイクロ光学的膜構造体
12 セキュリティドキュメント
14 開口部
16 上方表面
18 膜材料
20 合焦要素またはレンズ
22 一次像アイコン
24 二次像アイコン
26 セキュリティドキュメント
28 下方表面
30 投影像
32 新しい像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の第1合成光学的像およびオプションとして1つ以上の第2合成光学的像を投影するマイクロ光学的膜構造体であって、前記1つ以上の第1合成光学的像は、(i)1つ以上のスタティックな像、(ii)前記1つ以上の第2合成光学的像または(iii)前記1つ以上のスタティックな像と前記1つ以上の第2合成光学的像との組み合わせである、マイクロ光学的膜構造体。
【請求項2】
前記膜構造体は、前記1つ以上の第2合成光学的像および前記1つ以上の第2合成光学的像を投影し、前記1つ以上の第1光学的像は、前記1つ以上の第2合成光学的像と空間的にコーディネートされている、請求項1に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項3】
前記1つ以上の第1合成光学的像および前記1つ以上の第2合成光学的像は、拡大された像である、請求項2に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項4】
前記1つ以上の第1合成光学的像は、1つ以上のスタティックな像と空間的にコーディネートされている、請求項1に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項5】
前記1つ以上の第1合成光学的像は、拡大された像である、請求項4に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項6】
(a)1つ以上のポリマー膜材料と、
(b)前記ポリマー膜材料の上またはその内部に位置する一次像アイコンの1つ以上の平面状の配置と、
(c)前記ポリマー膜材料または前記一次像アイコンの平面状配置の上またはその近くに位置する合焦要素の1つ以上の平面状の配置とを備え、
前記合焦要素の平面状の配置を通して前記一次像アイコンの平面状の配置を見ると、1つ以上の第1合成光学的像が投影されるように前記平面状の配置が構成されており、
(d)1つ以上の一次像アイコンおよび/または1つ以上の合焦要素の上に、直接または間接的に重ねられるか、またはこれらを介して形成された1つ以上の二次像アイコンとを更に備え、
前記1つ以上の二次像アイコンは、前記1つ以上の第1合成光学的像と空間的にコーディネートされたスタティックな像として見え、
前記膜構造体によって投影された前記1つ以上の第1合成光学的像と共に、前記スタティックな像を見ると、前記スタティックな像は、前記1つ以上の投影像を視覚的に強化またはキャンセルするようになっている、請求項4に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項7】
前記1つ以上の一次像アイコンは、前記1つ以上のポリマー膜材料の上またはその内部に形成された、オプションとして充填された空隙またはリセスである、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項8】
前記1つ以上の第1合成光学的像は、拡大された像である、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項9】
前記膜構造体を傾けるか、または異なるビュー角から見ると、前記1つ以上の拡大された第1合成光学的像は、オルソパララックス(視差)による動きを示す、請求項8に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項10】
前記1つ以上の二次像アイコンは、プリントされた像である、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項11】
前記1つ以上の二次像アイコンは、光学的に可変のホログラフィフォイルパッチまたはストリップの形態となっている、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項12】
前記1つ以上の二次像アイコンは、前記膜構造体の厚みを完全に貫通する微視的な孔の形態をしている、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項13】
前記1つ以上の二次像アイコンは、
(a)前記1つ以上の第1合成光学的像のカラー、光学的密度、光度またはバックグラウンドのうちの少なくとも1つを変え、
(b)1つ以上の新しい像またはアイコンを形成し、および/または
(c)前記1つ以上の第1合成光学的像の見かけの動きを増幅することにより、前記膜構造体によって投影された前記1つ以上の第1合成光学的像を視覚的に強化する、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項14】
前記1つ以上の第1合成光学的像と、前記1つ以上の二次像アイコンまたはスタティック像とは、共に判読可能なフェーズを形成する、請求項8に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項15】
前記1つ以上の二次像アイコンまたはスタティック像は、前記投影像とスタティック像とがマージしたときにキャンセルが生じるよう、前記1つ以上の第1合成光学的像のネガ像または反転像となっている、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項16】
(a)両面を有するポリマー膜材料と、
(b)前記ポリマー膜材料の表面の上またはその内部に位置する一次像アイコンの平面状の配置と、
(c)前記ポリマー膜材料の両面の上に位置する合焦要素の平面状の配置とを備え、
前記合焦要素の平面状の配置を通して前記一次像アイコンの平面状の配置を見ると、1つ以上の拡大された第1合成光学的像が投影されるように前記平面状の配置が構成されており、
(d)1つ以上の一次像アイコンおよび/または前記1つ以上の合焦要素の上に、直接または間接的に重ねられるか、またはこれらを介して形成された1つ以上の二次像アイコンとを更に備え、
前記1つ以上の二次像アイコンは、前記1つ以上の拡大された第1合成光学的像と空間的にコーディネートされたスタティックな像として見え、
前記膜構造体を傾けるか、または異なるビュー角から見ると、前記膜構造体により投影された前記1つ以上の拡大された第1合成光学的像は、オルソパララックス(視差)による動きを示し、
前記膜構造体によって投影された前記1つ以上の拡大された第1合成光学的像と共に、前記スタティックな像を見ると、前記スタティックな像は、前記1つ以上の拡大された投影像を視覚的に強化またはキャンセルするようになっている、請求項6に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項17】
前記1つ以上の一次像アイコンは、前記ポリマー膜構造体の上またはその内部に形成された、オプションとして満たされた空隙またはリセスであり、前記1つ以上の二次像アイコンはプリントされた像である、請求項16に記載のマイクロ光学的膜構造体。
【請求項18】
セキュリティドキュメントまたはラベルの1つの表面内に部分的に埋め込まれ、および/またはその表面に取り付けられた、少なくとも1つのマイクロ光学的膜構造体を備える、両面を有するセキュリティドキュメントまたはラベルであって、
前記マイクロ光学的膜構造体は、1つ以上の第1合成光学的像およびオプションとしての1つ以上の第2合成光学的像を投影し、前記1つ以上の第1合成光学的像は、(i)前記1つ以上のスタティックな像、(ii)前記1つ以上の第2合成光学的像または(iii)1つ以上のスタティックな像と1つ以上の第2合成光学的像との組み合わせである、セキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項19】
前記マイクロ光学的膜構造体は、1つ以上の第1合成光学的像および1つ以上の第2合成光学的像を投影し、前記1つ以上の第1合成光学的像は、前記1つ以上の第2合成光学的像と空間的にコーディネートされている、請求項18に記載のセキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項20】
前記1つ以上の第1合成光学的像と、前記1つ以上の第2合成光学的像とは、拡大された像である、請求項19に記載のセキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項21】
前記1つ以上の第1合成光学的像は、前記1つ以上のスタティックな像と空間的にコーディネートされている、請求項18に記載のセキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項22】
少なくとも1つのマイクロ光学的膜構造体は
(a)1つ以上のポリマー膜材料と、
(b)前記ポリマー膜材料の上またはその内部に位置する一次像アイコンの1つ以上の平面状の配置と、
(c)前記ポリマー膜材料の上または前記一次像アイコンの平面状配置の上のいずれかに位置する合焦要素の1つ以上の平面状の配置とを備え、
前記合焦要素の平面状の配置を通して前記一次像アイコンの平面状の配置を見ると、1つ以上の第1合成光学的像が投影されるように前記平面状の配置が構成されており、
(d)1つ以上の一次像アイコンおよび/または1つ以上の合焦要素の上に、直接または間接的に重ねられるか、またはこれらを介して形成された1つ以上の二次像アイコンとを更に備え、
前記1つ以上の二次像アイコンは、前記1つ以上の第1合成光学的像と空間的にコーディネートされたスタティックな像として見え、
前記膜構造体によって投影された前記1つ以上の第1合成光学的像と共に、前記スタティックな像を見ると、前記スタティックな像は、前記1つ以上の投影像を視覚的に強化またはキャンセルするようになっている、請求項21に記載のセキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項23】
前記二次像アイコンは、前記膜構造体を貫通し、セキュリティドキュメントまたはラベルに載っている微視的な孔の形態となっている、請求項22に記載のセキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項24】
前記セキュリティドキュメントまたはラベルには、セキュリティスレッドの形態をした前記少なくとも1つのマイクロ光学的膜構造体が部分的に埋め込まれており、前記部分的に埋め込まれたセキュリティスレッドに重なる領域内の前記セキュリティドキュメントまたはラベルの1つの表面または双方の表面に、前記1つ以上の二次像アイコンがプリントされている、請求項22に記載のセキュリティドキュメントまたはラベル。
【請求項25】
前記セキュリティドキュメントまたはラベルの表面内に部分的に埋め込まれ、および/またはその表面に取り付けられている、少なくとも1つのマイクロ光学的膜構造体を備えるセキュリティドキュメントまたはラベルを認証するための方法であって、前記マイクロ光学的膜構造体は、合焦要素の最も外側の平面状の配置を有し、前記マイクロ光学的膜構造体は、単独で、または前記セキュリティドキュメントまたはラベルと共に、1つ以上の第1合成光学的像およびオプションとしての第2合成光学的像を投影し、前記1つ以上の第1合成光学的像は、(i)1つ以上のスタティックな像、(ii)1つ以上の第2合成光学的像、または(iii)前記1つ以上のスタティックな像と前記1つ以上の第2合成光学的像の組み合わせと空間的にコーディネートされており、前記方法は、
(a)前記マイクロ光学的膜構造体の合焦要素の平面状の配置の上で、コヒーレントな光源の向きを浅い角度に定め、ユニークなパターンを投影するステップと、
(b)前記投影されたユニークなパターンを検出するステップと、
(c)前記投影され、検出されたユニークなパターンと、予想されるパターンとを比較するステップとを備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(A)−(D)】
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【図7(A)−(D)】
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【図8(A)−(C)】
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【図9(A)−(D)】
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【公表番号】特表2009−536885(P2009−536885A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509848(P2009−509848)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/011267
【国際公開番号】WO2007/133613
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(503457611)クレイン アンド カンパニー インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】