説明

単独運転検出方法、単独運転検出装置およびパワーラインコンディショナ

【課題】単独運転の的確な検出を可能にすること。
【解決手段】本単独運転検出方法は、分散型電源が電力系統から切り離され単独運転しているか否かを検出する方法において、系統周波数を計測する計測ステップと、上記計測した系統周波数が、一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分、継続したときは単独運転であるか否かの判定を行うため電力系統に外乱信号を注入する外乱信号注入ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源が電力系統から切り離され単独運転しているか否かを検出する単独運転検出方法、単独運転を検出する単独運転検出装置およびパワーラインコンディショナ−に関する。
【背景技術】
【0002】
単独運転は、事故発生やその他の事情で電力系統が停止しているときに、分散型電源が局所的な系統負荷に電力を供給している状態である。分散型電源は、需要地あるいはその近辺に電源を設置して発電することができる。分散型電源には、電力系統に連系された、エンジン発電機、タービン発電機、電力貯蔵装置、燃料電池、太陽電池等、の各種がある。また、このような分散電源を系統電力に連系させて使用するため、周波数や電圧を電力系統に適合させるパワーコンディショナが数多く提案されている。
【0003】
以上説明した分散型電源に対してその単独運転を検出する単独運転検出装置においてその単独運転の検出方式としては、例えば無効電力変動、有効電力変動、周波数シフト又は高調波注入等の能動的な外乱信号を注入し、電力系統と分散型電源との間の電力系統ラインに含まれる外乱信号を注入し、注入による系統変動を検出し、この検出結果に基づき、分散型電源の単独運転を検出する電力変動方式が既に提案されている。
【0004】
このような電力変動方式での単独運転検出において、多数台の単独運転検出装置が不定期に電力系統に外乱信号の注入を実施すると、電力系統内でそれら外乱信号同士が相互に打ち消し合うことがあり、単独運転検出に影響が生じる。
【0005】
そのため、多数台の単独運転検出装置において、標準時刻電波信号等に同期させて一斉に外乱信号を電力系統に注入する方式がある。
【0006】
しかしながら、上記同期方式では、電波時計等からの電波信号を受信する設備が必要となり、コストアップとなり、また、外乱信号の注入が過大になり、電力系統に接続されている負荷である例えば蛍光灯のちらつき、マイクロコンピュータの誤動作、モータの回転制御不能を発生させる原因となるフリッカーが発生するおそれがある。単独運転に関する特許文献の代表を以下に挙げる。
【0007】
なお、図19に、分散型電源の多数台連系のイメージ図を示す。パワーコンディショナの単独運転検出時間は、能動方式で0.5〜1.0秒要している。これは、(i)住宅単位での単独運転を想定した特性であり、分散型電源が少量普及の段階では問題にならなかった。しかし昨今、分散型電源が普及期にはいっており、図19で示すような多数台連系が実施されている。この場合、(ii)柱上変圧器単位、(iii)区間開閉器単位、(iv)遮断機単位での単独運転の可能性がある。これらの高圧系を含んだ場合、高低圧混触事故を想定して、単独運転の検出が必要となる。
【特許文献1】特開平02−144615号公報
【特許文献2】特開平08−98411号公報
【特許文献3】特許3397912号公報
【特許文献4】特許3424443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明により解決すべき課題は、多数台の単独運転検出装置が不定期に電力系統に単独運転か否かの検出を目的として電力系統に電力変動を引き起こす外乱信号を注入する方式によらず、また、電波時計等からの電波信号に同期して多数台の単独運転検出装置から一斉に外乱信号を電力系統に注入する方式によらず、分散型電源の単独運転を確実に検出可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明による単独運転検出方法は、分散型電源が電力系統から切り離され単独運転しているか否かを検出する方法において、系統周波数を計測する計測ステップと、上記計測した系統周波数が、一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分、継続したときは電力系統ラインに電力変動を起こすための外乱信号を注入する外乱信号注入ステップと、を有することを特徴とするものである。
【0010】
一定の微小周波数範囲は、特に限定しないが、例えば、±0.001Hzの範囲であり、この範囲は通常の系統周波数変動より小さいことを理由で定めることができる。
【0011】
上記所定周期数分とは1周期あるいは複数周期であり、適宜、実験等により決めることができるが、好ましい周期数範囲は2〜3周期である。
【0012】
電力系統ラインに電力変動を起こすための外乱信号を注入する方式の場合、多数台の単独運転検出装置から外乱信号が不定期に電力系統ラインに注入されると、単独運転が発生しているにもかかわらず、上記外乱信号同士が相互に打ち消し合い、系統周波数が変化する状態が発生して単独運転の検出ができなくなる場合が起こり得る。一方、上記計測した系統周波数が、単独運転発生でない別の要因で所定周期数未満で発生する場合がある。
【0013】
そこで、本発明では、系統周波数が、一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、上記所定周期数分以上にわたり継続したときに外乱信号を電力系統ラインに注入するようにしたので、その外乱信号の注入に基づいて単独運転検出を確実に行うことができるようになる。
【0014】
以上の結果、本発明では、複数台の単独運転検出装置において、不定期に外乱信号を注入する方式の場合に起り得る外乱信号同士の相互打ち消しあいという課題や、また、電波時計等から得る標準時刻電波信号等に同期させて一斉に外乱信号を注入する方式での設備コストアップとか上記フリッカーが発生するという課題を解消することができるようになる。
【0015】
(2)本発明の好適な一態様は、上記計測ステップで計測した系統周波数が変化したときはその変化をより増加させる方向に系統周波数をフィードバック操作する操作ステップを備え、系統周波数一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分以上にわたり継続したときは単独運転であるか否かの判定を行うため電力系統ラインに電力変動を起こすための外乱信号を注入するステップとすることである。
【0016】
この態様では、計測した系統周波数が変化したときはその変化をより増加させる方向に系統周波数をフィードバック操作すると共に上記系統周波数のフィードバック操作に応じた系統周波数の変化に基づいて上記分散型電源が単独運転であるか否かの判定を行うステップを有するので、系統周波数の変化が、系統周波数の計測誤差や系統周波数の微小揺れ等による変化であって単独運転ではない場合では、系統周波数変化を増加させる方向にフィードバック操作しても、系統周波数変化は増加する方向に変化することはない一方で、単独運転である場合では、系統周波数変化を増加させる方向にフィードバック操作すると、系統周波数変化は増加する方向に変化することにより、分散型電源の単独運転の検出を確実に行うことができるようになる。
【0017】
さらにこの態様では、系統周波数が変化せず一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分以上にわたり継続したときは外乱信号を同一方向に注入するステップを有するので、複数台の単独運転検出装置同士間でこの外乱信号が打ち消しあうことがないため、発電電力と負荷電力が完全バランスして、系統周波数が全く変動しない単独運転発生時でも、系統周波数を変化させることができ、単独運転の検出を確実に行うことができるようになる。
【0018】
(3)本発明による分散型電源の単独運転検出装置は、上記単独運転検出方法を実行するソフトウエアプログラムを備えたマイクロコンピュータを内蔵している、ことを特徴とするものである。単独運転検出装置は名称に限定されるものではなく、パワーコンディショナ、その他の名称で称する場合も含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電力変動方式によらず、分散型電源の単独運転を確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法、その制御装置、単独運転検出装置および分散型電源を説明する。図1は分散型電源(パワーコンディショナーを含む)と単独運転検出装置と、を備えた電力制御システムの構成を示す。図1を参照して、10は太陽電池や燃料電池等の分散型電源、20は単独運転検出装置、30は電力系統である。
【0021】
単独運転検出装置20は、連系リレー21と、制御装置22と、インバータ制御部23と、インバータ24と、連系リレー25と、電流検出器26とを備える。連系リレー21は、分散型電源10と電力系統30との間の電力ライン40に介装されている。
【0022】
制御装置22は、主としてマイクロコンピュータにより構成されたものであり、ソフトウエアプログラムに従い、系統周波数を計測する計測ステップと、上記計測した系統周波数が変化したときはその変化をより増加させる方向に系統周波数をフィードバック操作する操作ステップと、上記系統周波数のフィードバック操作に応じた系統周波数の変化に基づいて上記分散型電源が単独運転であるか否かの判定を行う一方、系統周波数が変化せず一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分以上にわたって継続したときは単独運転であるか否かの判定を行うため電力系統ライン40に外乱信号を注入する外乱信号注入ステップと、を実施するものである。この外乱信号には例えば無効電力変動、有効電力変動、周波数シフト又は高調波注入等の能動的な信号がある。
【0023】
上記マイクロコンピュータは少なくとも上記ステップを実行することができるようになっている。マイクロコンピュータはCPU、メモリ、インターフェース等を有する。上記メモリに上記ソフトウエアプログラムが記憶されている。CPUは、インターフェースを介して、入力される系統電圧、系統電流、系統電力、等に基づいて、各種演算等を実行し、その実行結果から、インターフェースを介して、連系リレー21,25の開閉指令、インバータ制御部23に対する各種指令を入力するようになっている。
【0024】
制御装置22をマイクロコンピュータ以外のハードウエアで構成することもできる。実施の形態では、説明の理解のため、マイクロコンピュータを内蔵しそのマイクロコンピュータのソフトウエアプログラムにより実行する機能図である図2で示す。機能図であるため、マイクロコンピュータが図2で示す構成をハードウェアとして備えるものではないが、説明的にはハードウェアと同様に説明している場合がある。
【0025】
図2において、22aは系統周波数計測部、22bは周波数フィードバック部、22cは単独運転判定部、22dは系統周波数の一致判定部、22eは電力変動指令部である。
【0026】
系統周波数計測部22aは、電力系統30の電力系統ライン40に接続されて電力系統ライン40から系統電圧等を取り込むと共にこの取り込んだ系統電圧等から電力系統の系統周波数を計測する。
【0027】
周波数フィードバック部22bは、系統周波数計測部22aがそれより以前に計測した系統周波数(以前の計測系統周波数)を記憶し、上記以前の計測系統周波数と今回計測した系統周波数(今回計測系統周波数)との偏差を演算し、この演算した偏差に対応して系統周波数のフィードバック操作を実施する。上記以前の計測は今回計測から1周期ないし複数周期過去の計測である。
【0028】
系統周波数の一致判定部22dは、系統周波数が変化せず一定の微小周波数範囲内に止まる状態が所定周期数分継続するかどうか判定し、所定周期数分継続した場合は、電力変動注入指令を電力変動注入指令部に入力する。
【0029】
周波数フィードバック部22bのフィードバック操作出力と、系統周波数の一致判定部22dの電力変動注入指令に入力され、2つを電力変動注入指令部22eで足し合わせ、この足し合わせた電力変動司令値をインバータ制御部23に与えられる。インバータ制御部23は、電力変動指令値に応答してインバータ24を制御し、これによってインバータ24は電力系統ライン40に電力変動指令値に対応した大きさの外乱信号を注入する。
【0030】
この電力系統ライン40への外乱信号の注入により、系統周波数が変化するが、この今回の系統周波数は系統周波数計測部22aで計測される。
【0031】
単独運転ではない通常運転中では、計測誤差程度で系統周波数が実質変化しないので、周波数フィードバック部22bはその系統周波数の変化に対応したフィードバック操作出力をインバータ制御部23に入力する結果、インバータ24による外乱信号の注入量は微小である。また、系統周波数の一致判定部22dが、系統周波数が変化せず一定の微小周波数範囲内に止まる状態であると判定する微小周波数範囲は、通常の系統周波数変動より小さく設定しているため、系統周波数の一致判定部22dから外乱信号はない。
【0032】
一方、単独運転になると、系統周波数が計測誤差を超えた変化をし、この系統周波数は系統周波数計測部22aで計測され、その計測した系統周波数により、周波数フィードバック部22bは単独運転検出のため、インバータ制御部23に単独運転検出に必要なフィードバック操作出力を与える。インバータ制御部23はこの周波数フィードバック操作に対応した外乱信号を電力系統ライン40に注入するようインバータ24を制御する。これによって電力系統ライン40に単独運転検出が可能な外乱信号が注入される。
【0033】
そして単独運転の場合は、系統周波数が外乱信号の注入に見合う変化をし、単独運転でない場合は、系統周波数は外乱信号の注入に見合う変化をしない。この変化は系統周波数計測部22aで計測され、周波数フィードバック部22bに入力される。周波数フィードバック部22bは、系統周波数計測部22aからの計測が系統周期ごとに入力されるに従い、単独運転の場合には、より系統周波数を変化させる方向に周波数フィードバック操作出力をインバータ制御部23に入力する。
【0034】
その結果、系統周波数は、単独運転の場合には、より増加する方向または減少する方向に変化し、単独運転で無い場合は変化しない。
【0035】
そして、この場合、稀に発生する例であるが、発電電力と負荷電力が完全にバラ ンスして、一定の微小周波数範囲内に止まる状態、実施の形態では基準周波数である5 0Hzに一致する周波数に止まる状態が起こり得る。
【0036】
この状態が、所定周期数(例えば4周期)分以上にわたり継続したときは、系統周波数の一致判定部22dは、電力変動注入指令部22eを経由して、インバータ制御部23に外乱信号の指令を入力する。この外乱信号の補正指令に応答してインバータ制御部23はインバータ24を制御する。
【0037】
この制御により、単独運転であれば、系統周波数計測部22aで計測した系統周波数は、の周波数に止まっていた状態から、注入外乱信号に対応した変化をするが、単独運転でない場合では、その計測した系統周波数は一定の周波数に止まっていた状態から変化をしない。
【0038】
単独運転であれば、系統周波数計測部22aで計測した系統周波数は、一定の周波数に止まっていた状態から、注入外乱信号に対応した変化をする。周波数フィードバック部22bが動作して、この系統周波数周波数の変化をさらに増加させる。これらによる周波数変化をとらえて分散型電源10が単独運転であるか否かの判定を行う。
【0039】
単独運転判定部22cは、判定の結果、単独運転であると判定したときは、連系リレー21,25をオフ制御するとともにインバータ制御部23にインバータ停止の制御指令を入力してインバータ24を停止させる。
【0040】
図3は発電電力と負荷電力の無効電力とが若干のアンバランスがある場合の単独運転検出にいたる挙動を示すタイムチャートである。時刻t1で単独運転が発生する。この発生により、発電電力と負荷電力の無効電力が若干のアンバランスのため、系統周波数が若干変化する。この若干変化した系統周波数をとらえて、周波数フィードバックが時刻t3に動作開始する。この周波数フィードバックの動作により、系統周波数変化が増幅される方向に、電力変動が注入される。
この注入された電力変動により急速に系統周波数が変化する。そして、この急速に変化した系統周波数から、単独運転を判定する。
【0041】
図4は発電電力と負荷電力の無効電力が、完全にバランスした状態(系統周波数が全く変化しない)で単独運転検出にいたる挙動を示す。時刻t1で単独運転が発生する。発電電力と負荷電力の無効電力が完全バランスのため、系統周波数が変化しない。
【0042】
この系統周波数が変化しない状態が、数周期(図4では4周期)継続すると、時刻t2に系統周波数の一致判定部が動作して、完全バランス状態を崩すために、電力変動を注入する。
【0043】
この注入した電力変動により系統周波数が変化する。
【0044】
そして、この変化した系統周波数をとらえて、周波数フィードバックが時刻t3に動作開始する。
【0045】
こうして周波数フィードバックの動作により、系統周波数変化が増幅される方向に、電力変動が注入される。
【0046】
注入された電力変動により急速に系統周波数が変化する。
【0047】
この急速に変化した系統周波数から、単独運転を判定する。
【0048】
一方、制御装置22の単独運転判定部22cは、今回の系統周波数と所定系統周期分である以前の系統周波数との偏差に基づいて系統周波数の変化曲線を作成し、その作成した変化曲線のパターンに基づいて単独運転を判定するようにしてもよい。
【0049】
なお、今回の系統周波数は、1周期の系統周波数に限定されず、複数周期の平均系統周波数でもよい。また、上記以前の系統周波数は1周期の系統周波数に限定されず、複数周期の平均系統周波数でもよい。この場合、複数の系統周波数の移動平均でもよい。
【0050】
制御装置22の単独運転判定部22cは、単独運転と判定すると、上記したごとく、連系リレー21、25をオフ制御するとともにインバータ制御部23にインバータ停止の制御指令を入力してインバータ24を停止させる。
【0051】
図5は単独運転検出装置を内蔵したパワーコンディショナ−を示す。この分散型電源は太陽電池や燃料電池等の電源本体50と、パワーコンディショナ−60とから構成されている。パワーコンディショナ−60は、インバータ61と、電流検出器62と、連系リレー63と、インバータ制御部64と、制御装置65とを備える。
【0052】
制御装置65は上記実施の形態の制御装置22と同様にマイクロコンピュータで構成され、また図2で示す機能ブロックを有する。
【0053】
以上の構成において、パワーコンディショナ−60においては、単独運転検出のため、制御装置65からインバータ制御部64に電力系統に電力変動を引き起こすための制御指令が入力される。これにより、インバータ制御部64はインバータ61を駆動し、インバータ61から電力ライン66に電力変動引き起こしのための外乱信号が注入される。なお、制御装置65により連系リレー63は閉じている。
【0054】
制御装置65は、電力ライン66からの電圧波形から系統周波数を計測している。制御装置65は、単独運転発生により、図3および図4に沿う制御を行うと共に、図4に沿って、単独運転発生時刻t1以降、計測系統周波数は変化せず、一定の微小周波数範囲内、実施の形態では基準周波数に一致した周波数に止まる状態が例えば4周期分(図4中のn1−n4)にわたり継続すると、その4周期分継続した時刻t2に電力変動を注入指令をインバータ制御部23に出力し、これによって時刻t2以降に系統周波数が変化する。上述したと同様に、今回計測した系統周波数が、それより以前の系統周波数よりも増加してくるときは系統周波数がより増加する方向に、減少するときは系統周波数がより減少する方向に上記外乱信号の注入を補正制御する。そのため、インバータ制御部64にその補正制御指令を入力する。インバータ制御部64はこの補正制御指令に応答してインバータ61を駆動し、これによって電力ライン66には補正された外乱信号が注入される。
【0055】
一方、制御装置65は、今回の系統周波数とそれより以前の系統周波数との偏差に基づいて系統周波数の変化曲線を作成するとともに、その変化曲線のパターンから単独運転を判定するようにしてもよい。
【0056】
制御装置65は単独運転と判定すると、連系リレー63をオフ制御するとともにインバータ制御部64にインバータ停止の制御指令を入力してインバータ61を停止させる。
【0057】
図6は単独運転検出装置を外付けした分散型電源を示す。単独運転検出装置80は分散型電源70に外付けされている。単独運転検出装置80は、連系リレー81、単独運転検出判定部82、単独運転高速制御部83、インバータ制御部84、インバータ85、電流検出器86を備える。
【0058】
以上の構成において、単独運転検出装置80において、単独運転検出判定部82は、通常の単独運転検出装置に相当するものである。この単独運転検出装置80では、実施の形態の制御装置に該当するものである。
【0059】
単独運転高速制御部83からインバータ制御部84に単独運転検出のため電力系統に電力変動を引き起こす操作をするための制御指令が入力される。これにより、インバータ制御部84はインバータ85を駆動し、インバータ85から電力ライン87に外乱信号が注入される。
【0060】
単独運転高速制御部83は、電力ライン87からの電圧波形から系統周波数を計測している。単独運転高速制御部83は、単独運転発生により、図3および図4に沿う制御を行うと共に、図4に沿って、単独運転発生時刻t1以降、計測系統周波数は変化せず、一定の微小周波数範囲内、実施の形態では基準周波数に一致した周波数に止まる状態が例えば4周期分(図4中のn1−n4)にわたり継続すると、その4周期分継続した時刻t2に電力変動注入指令をインバータ制御部23に出力し、これによって時刻t2以降に系統周波数が変化する。上述したと同様に、今回計測した系統周波数が、それより以前の系統周波数よりも増加するときは系統周波数がより増加する方向に、減少するときは系統周波数がより減少する方向に上記外乱信号の注入を補正制御する。そのため、インバータ制御部84にその補正制御指令を入力する。インバータ制御部84はこの補正制御指令に応答してインバータ85を駆動し、これによって電力ライン87には補正された外乱信号が注入される。
【0061】
一方、単独運転高速制御部83は、今回の系統周波数とそれより以前の系統周波数との偏差に基づいて系統周波数の変化曲線を作成するとともに、その変化曲線のパターンに基づいて単独運転を判定するようにしてもよい。単独運転高速制御部83は単独運転と判定すると、インバータ制御部84にインバータ停止の制御指令を入力してインバータ85を停止させる。
【0062】
図7は単独運転検出装置を外付けした分散型電源を示す。単独運転検出装置100は分散型電源90に外付けされている。分散型電源90は、インバータ制御部91、インバータ制御部91により制御される図示略のインバータ、連系リレー92を備える。単独運転検出装置100は、単独運転検出判定部102、単独運転高速制御部101を備える。単独運転検出判定部102と、単独運転高速制御部101とにより実施の形態の制御装置を構成する。
【0063】
以上の構成の単独運転検出装置100において、単独運転高速制御部101は単独運転検出のためインバータ制御部91に電力系統に電力変動を引き起こす操作をする制御指令を入力する。これにより、インバータ制御部91はインバータを駆動して電力ライン93に外乱信号が注入される。
【0064】
単独運転高速制御部101は、電力ライン93からの電圧波形から系統周波数を計測している。単独運転高速制御部101は、単独運転発生により、図3および図4に沿う制御を行うと共に、図4に沿って、単独運転発生時刻t1以降、計測系統周波数は変化せず、一定の微小周波数範囲内、実施の形態では基準周波数に一致した周波数に止まる状態が例えば4周期分(図4中のn1−n4)にわたり継続すると、その4周期分継続した時刻t2に電力変動注入指令をインバータ制御部23に出力し、これによって時刻t2以降に系統周波数が変化する。上述したと同様に、今回計測した系統周波数が、それより以前の系統周波数よりも増加するときは系統周波数がより増加する方向に、減少するときは系統周波数がより減少する方向に上記外乱信号の注入を補正制御する。そのため、インバータ制御部91にその補正制御指令を入力する。インバータ制御部91はこの補正制御指令に応答して図示略のインバータを駆動し、これによって電力ライン93には補正された外乱信号が注入される。単独運転検出判定部102が単独運転を判定すると、この判定を受けて、単独運転高速制御部101は、インバータ制御部91にインバータ停止の制御指令を入力してインバータを停止させる。
【0065】
図8は単独運転検出装置を外付けした分散型電源を示す。単独運転検出装置120は分散型電源110に外付けされている。分散型電源110は、インバータ制御部111、インバータ制御部111により制御される図示略のインバータ、連系リレー113、実施の形態の制御装置に該当する単独運転高速制御部112を備える。単独運転検出装置120は、通常の単独運転検出装置である単独運転検出判定部121を備える。
【0066】
以上の構成において、単独運転高速制御部112は単独運転検出のためインバータ制御部111に電力系統に電力変動を引き起こす操作をするための制御指令を入力する。これにより、インバータ制御部111はインバータを駆動して電力ライン114に外乱信号が注入される。
【0067】
単独運転高速制御部112は、電力ライン114からの電圧波形から系統周波数を計測している。単独運転高速制御部112は、単独運転発生により、図3および図4に沿う制御を行うと共に、図4に沿って、単独運転発生時刻t1以降、計測系統周波数は変化せず、一定の微小周波数範囲内、実施の形態では基準周波数に一致した周波数に止まる状態が例えば4周期分(図4中のn1−n4)にわたり継続すると、その4周期分継続した時刻t2に電力変動注入指令をインバータ制御部23に出力し、これによって時刻t2以降に系統周波数が変化する。上述したと同様に、今回計測した系統周波数が、それより以前の系統周波数よりも増加するときは系統周波数がより増加する方向に、減少するときは系統周波数がより減少する方向に上記外乱信号の注入を補正制御する。そのため、インバータ制御部111にその補正制御指令を入力する。インバータ制御部111はこの補正制御指令に応答して図示略のインバータを駆動し、これによって電力ライン114には補正された外乱信号が注入される。単独運転高速制御部112は、単独運転を検出すると、インバータ制御部111にインバータ停止の制御指令を入力してインバータを停止させる。
【0068】
以上説明したように実施の形態に係る単独運転検出方法では、系統周波数の変化が、系統周波数の計測誤差や系統周波数の微小揺れ等による変化であって単独運転ではない場合では、系統周波数を増加させる方向にフィードバック操作しても、系統周波数は増加する方向に変化することはない一方で、単独運転である場合では、系統周波数を増加させる方向にフィードバック操作すると、系統周波数は増加する方向に変化することにより、分散型電源の単独運転の検出を確実に行うことができるようになる。
【0069】
また、実施の形態では、系統周波数が変化せず一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分以上にわたり継続したときは単独運転であるか否かの判定を行うため電力系統に外乱信号を同一方向に注入するようにしたので、複数台の単独運転検出装置同士間で、干渉により外乱信号が打ち消されることなく、単独運転の検出を確実に行うことができるようになる。
【0070】
また、実施の形態で、外乱信号の相互打ち消しあいを無くすべく、複数台の単独運転検出装置において、標準時刻電波信号等に同期させて一斉に外乱信号を電力系統に引き起こすための操作をする方式によらずに済み、同期方式による課題であった設備コストアップとか、フリッカーの発生を抑制することができるようになる。
【0071】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々な変更ないしは変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる電力制御システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、図1の制御装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、図1の単独運転検出装置における、発電電力と負荷電力がアンバランスの場合の、周波数フィードバック動作の説明に用いる図である。
【図4】図4は、図1の単独運転検出装置における、発電電力と負荷電力が完全バランスの場合の、周波数フィードバック動作の説明に用いる図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる電力制御システムの他の構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる電力制御システムのさらに他の構成例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる電力制御システムのさらに他の構成例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる電力制御システムのさらに他の構成例を示す図である。
【図9】図9は、分散型電源の多数台連系のイメージ図である。
【符号の説明】
【0073】
10 分散型電源
20 単独運転検出装置
30 電力系統

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型電源が電力系統から切り離され単独運転しているか否かを検出する方法において、
系統周波数を計測する計測ステップと、
上記計測した系統周波数が、一定の微小周波数範囲内に止まる状態が、所定周期数分以上にわたり継続したときは単独運転であるか否かの判定を行うため電力系統ラインに電力変動を起こすための外乱信号を注入する外乱信号注入ステップと、
を有することを特徴とする単独運転検出方法。
【請求項2】
上記計測ステップで計測した系統周波数が変化したときはその変化をより増加させる方向に系統周波数をフィードバック操作する操作ステップを備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の単独運転検出方法
【請求項3】
分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置において、請求項1または2に記載の方法を実行するソフトウエアプログラムを備えたマイクロコンピュータを内蔵している、ことを特徴とする単独運転検出装置
【請求項4】
分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置において、請求項1または2に記載の方法を実行するソフトウエアプログラムを備えたマイクロコンピュータを内蔵している、ことを特徴とするパワーラインコンディショナ−。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−182818(P2008−182818A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14049(P2007−14049)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】