説明

単独運転検出装置および単独運転検出方法

【課題】 周波数が急変又は長時間変化する場合でも誤動作することなく、FRT機能を有する単独運転検出装置および単独運転検出方法を提供する。
【解決手段】 インバータ2の出力電圧の周波数fが正帰還により変化を助長するとともに、周波数fの周波数変化率df/dtに応じてステップ状に変化する値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力Qあるいは電流位相θを制御し、周波数変化率df/dtの値に応じてステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベルK以上であるときに異常であると判断し、交流電源系統8およびインバータ2出力の電圧位相に同期するとともに、所定の無効電力Qあるいは電流位相θに制御し、インバータ2が交流電力系統から切り離されたとき、周波数fとステップ状に変化する値とに基づいてインバータ2の無効電力Qが変化するよう駆動し、異常が検出されたときにインバータ2を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、単独運転検出装置および単独運転検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術の一構成例を図8に示しその構成、作用、条件を説明する。図8に示すように、従来の単独運転検出装置では、例えば太陽電池あるいは燃料電池等でなる直流電源1の直流電力はインバータブリッジ2により交流電力に変換され、リアクトル3とコンデンサ4からなるフィルタによりPWM制御による高周波成分を除去してコンタクタ6を介して負荷9に供給される。
【0003】
一方、交流電力系統8から遮断器7を介して供給される交流電源にインバータブリッジ2は連系して運転する。負荷9に供給される交流電圧は電圧検出器10により検出されPLL回路22により交流電圧位相に同期した信号を位相シフト回路23に入力し正弦波回路26を通して電流基準回路12に正弦波の信号Vsが入力される。
【0004】
増幅器11は、直流電源1の電圧を検出し電圧基準V* と比較増幅した信号V11を電流基準回路12に入力する。電流基準回路12は信号V11と信号Vsとの積を交流電流基準I* として増幅器13へ入力する。この交流電流基準I* と電流検出器5で検出したインバータ出力電流とが一致するように増幅器13が制御し、PWM回路14により駆動部15を介してインバータブリッジ2をPWM制御する。
【0005】
一方、電圧検出器10から交流電圧を検出し、周波数f検出回路30により交流電圧の周波数を検出し、第1函数31および加算リミット回路32を介して位相シフト回路23により正弦波回路26の出力信号Vsの位相をシフトしてインバータの出力無効電力(I×Vsinθ)を制御する。
【0006】
更に、周波数変化率(df/dt)検出回路28により交流電圧の周波数変化率を検出し、第2函数29を介して加算リミット回路32でV31とV29とを加算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−115094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような単独運転検出方法は、“高速スリップモード周波数シフト”と呼ばれ、その特性は約100msで単独運転を高速に検出することができる。
【0009】
ところが、2012年目標に、周波数変化に対し次ぎの(1)、(2)のFRT(Fault Ride Through)を達成すること要求されるようになった。
(1) 瞬時電圧低下時のステップ的な周波数上昇を模擬した試験で0.8Hz上昇が3サイクル継続(50Hz系統)しても、周波数や周波数変化率過大で誤動作しないこと、即ち単独運転検出しないこと。
【0010】
(2) 瞬時電圧低下復帰時の周波数低下を模擬した試験で2Hz/secで周波数低下(50Hzから47.5Hzまで1.25秒で変化(スイープ))のような周波数の大幅な変化に対して単独運転を検出せず、しかも、周波数が変化により単独運転を100msec程度で検出する。
すなわち、単独運転でない場合に誤作動することなく、かつ、高速に単独運転を検出することが可能な信頼性の高い単独運転検出装置および単独運転検出方法が要求されている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであって、その目的とするところは、周波数が急変又は長時間変化する場合でも誤動作することなく、FRT機能を有する単独運転検出装置および単独運転検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態による単独運転検出装置は、直流電力を交流電力に変換し交流電力系統と連系して運転するインバータの単独運転検出装置であって、前記インバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出された出力電圧の前記周波数が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御するとともに、前記周波数の前記周波数変化率の値に応じてステップ状に変化する値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御して出力する函数手段と、前記ステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベル以上か否か検出し、前記単独運転検出レベル以上であるときに前記インバータを停止させる信号を出力する異常検出手段と、前記交流電源系統および前記インバータ出力の電圧位相に同期するとともに、前記函数手段の出力により所定の無効電力あるいは電流位相に制御し前記インバータの出力の無効電力制御を行ない、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記インバータの出力電圧の周波数と前記ステップ状に変化する値とに基づいて前記インバータの無効電力が変化するよう駆動し、前記異常検出手段から前記インバータを停止させる信号を受信したときに前記インバータを停止させる駆動手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る単独運転検出装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図2A】図1に示す単独運転検出装置の第1函数回路の特性関数の一例を示す図である。
【図2B】図1に示す単独運転検出装置の第2函数回路の特性関数の一例を示す図である。
【図2C】図1に示す単独運転検出装置の加算リミット回路の出力の一例を示す図である。
【図3A】図1に示す単独運転検出装置においてFRT機能を実施する際のリミット回路の動作の一例を説明するための図である。
【図3B】図1に示す単独運転検出装置において、FRT機能を実施する際の演算回路およびレベル検出回路の動作の一例を説明するための図である。
【図4A】交流系統が故障した際の周波数変化の一例を示す図である。
【図4B】交流系統が故障した際の周波数変化の一例を示す図である。
【図5】図1に示す単独運転検出装置において周波数を検出の動作の一例を説明するための図である。
【図6A】単独運転時の周波数変化のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図6B】単独運転時の周波数変化のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る単独運転検出装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図8】従来の単独運転検出装置の一構成例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る単独運転検出装置および単独運転検出方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態に係るインバータの単独運転検出装置は、交流電力系統及びインバータの出力電力の電圧位相を同期させ、出力電流を所定の電流位相に制御し、インバータの出力の無効電力の制御を行なう。また、インバータが前記交流電力系統から切り離されたときには、インバータの出力電圧の周波数に基づいてインバータの無効電力が変化するようインバータを駆動する。
【0016】
さらに、通常の周波数変化(定常状態)に対し充分ゆるやかに追従して無効電力がほぼゼロになるよう周波数に対する無効電力の特性曲線を移動させ、早い周波数変化(異常状態)に対し周波数が正帰還により変化を助長する方向に制御する。
【0017】
本実施形態に係る単独運転検出装置は、例えば太陽電池あるいは燃料電池等でなる直流電源から出力される直流電力を交流電力に変換し交流系統に連系して運転するインバータの単独運転検出保護装置であって、インバータの出力側の電圧位相、周波数、および周波数変化率を検出し、検出した電圧位相から基準位相を取得し、この基準位相に応じた位相の交流の電流基準を発生しインバータの出力電流を制御すると共に、周波数と周波数変化率に応じてステップ状に変化する値とに応じて基準位相θを補正し、これによりインバータが交流系統から切り離されたことを検出し保護動作を高速に行う。
【0018】
また、インバータの周波数の増加あるいは減少、および、周波数変化率に応じてステップ状に変化する値の極性と大きさとにより、取得した基準位相を進みあるいは遅れに補正し、周波数の過大過少、および周波数変化率に応じてステップ状に変化する値を用いた演算結果の過大を検出して保護を行う。
【0019】
すなわち、本実施形態に係る単独運転検出装置では、インバータの交流側が交流電力系統から切り離されたとき交流電源の周波数と周波数変化率とがわずかに増加あるいは減少する。この周波数と周波数変化率との増加あるいは減少を検出し、周波数が増加、周波数変化率が正の場合は、インバータの電流位相を進め、周波数がさらに増加する方向に正帰還をかける。周波数と周波数変化率との増加あるいは減少を検出し、周波数が減少あるいは周波数変化率が負の場合は、インバータの電流位相を遅らせて周波数がさらに減少する方向に正帰還をかける。
【0020】
上記のように、インバータの出力と負荷での消費電力とのバランスを急速に崩すことにより交流電源の電圧、周波数、周波数変化率を検出して、周波数の値と周波数変化率に応じてステップ状に変化する値とが所定値を越えたとき早期に単独運転を検出しインバータの運転を停止させる。
【0021】
図1に、第1実施形態に係る単独運転検出装置の一構成例を概略的に示す。
本実施形態に係る単独運転検出装置は、例えば太陽電池あるいは燃料電池等を備えた直流電源1と、直流電源1から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータブリッジ2とを備え、インバータブリッジ2の単独運転を検出している。インバータブリッジ2から出力された交流電力は、リアクトル3とコンデンサ4とを備えたフィルタによりPWM制御による高周波分が除去され、コンタクタ6を介して負荷9に供給される。
【0022】
本実施形態に係る単独運転検出装置は、交流電力系統8およびインバータブリッジ2から出力されて負荷9に供給される交流電圧を検出する電圧検出器10と、電圧検出器10で検出された出力電圧の周波数(f)が正帰還により変化を助長する方向に無効電力Qあるいは電流位相θを制御するとともに、周波数(f)の周波数変化率(df/dt)の値に応じてステップ状に変化する値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力Qあるいは電流位相θを制御して出力する函数手段と、ステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベルK以上か否か検出し、単独運転検出レベルK以上であるときにインバータブリッジ2を停止させる信号を出力する異常検出手段と、交流電源系統8およびインバータブリッジ2の出力の電圧位相に同期するとともに、函数手段の出力により所定の無効電力Qあるいは電流位相θに制御しインバータブリッジ2の出力の無効電力制御を行ない、インバータブリッジ2が交流電力系統8から切り離されたとき、インバータブリッジ2の出力電圧の周波数(f)とステップ状に変化する値とに基づいてインバータブリッジ2の無効電力Qが変化するよう駆動し、異常検出手段からインバータブリッジ2を停止させる信号を受信したときにインバータブリッジ2を停止させる駆動手段と、を備える。
電圧検出器10で検出された交流電圧は、異常検出手段の電圧リレー17、周波数リレー18、および、周波数検出回路30、に供給される。
【0023】
駆動手段は、増幅器11、電流基準回路12、増幅器13、PWM回路14、駆動部15、PLL回路22、位相シフト回路23、および、正弦波回路26を含み、加算リミット回路32からの出力を用いてインバータブリッジ2の出力電力を制御するとともに、異常検出手段の異常検出回路19から異常が知らされたときにインバータブリッジ2を停止させるように構成されている。
【0024】
インバータブリッジ2は、交流電力系統8から遮断器7を介して供給される交流電力に連系して運転している。負荷9に供給される交流電圧は、電圧検出器10により検出されPLL回路22に供給される。PLL回路22は、交流電圧位相に同期した信号V22を位相シフト回路23に入力し、正弦波回路26を通して電流基準回路12に正弦波の信号Vsが入力される。
【0025】
増幅器11は、直流電源1の電圧を検出し電圧基準V* と比較して、それらの差分を増幅した信号V11を電流基準回路12に入力する。電流基準回路12は信号V11と信号Vsとの積を交流電流基準I* として増幅器13へ入力する。この交流電流基準I* と電流検出器5で検出したインバータブリッジ2の出力電流とが一致するように増幅器13が制御し、PWM回路14により駆動部15を介してインバータブリッジ2をPWM制御する。
【0026】
異常検出手段は、負荷9に供給される交流電圧の異常を検出する電圧リレー17と、負荷9に供給される交流電圧から周波数異常を検出する周波数リレー18と、リミット回路36から出力された値の絶対値から後述するリセット量Aを減算した値を積分する演算回路37と、演算回路37から出力された積分値(ステップ状に変化する値に基づく値)を単独運転検出レベルKと比較することにより異常を検出するレベル検出回路38と、電圧リレー17、周波数リレー18、およびレベル検出回路38で異常が検出された場合に異常を通知する信号を出力する異常検出回路19と、を備える。
【0027】
異常検出手段により異常が検出された場合には、異常検出回路19は駆動部15に異常を通知する信号が供給され、駆動部15がインバータ駆動を停止させるとともに、コンタクタ6を開とさせて完全にインバータブリッジ2を系統連系から開列する。
【0028】
函数手段は、交流電力系統8およびインバータブリッジ2から出力された交流電圧の周波数を検出する周波数検出回路30と、周波数検出回路30で検出された周波数の周波数変化率を検出する周波数変化率検出回路28と、周波数変化率検出回路28で検出された周波数変化率の値に応じて後述するようにステップ状に上昇あるいは降下する値を出力するリミット回路36と、周波数に対する無効電力Qあるいは電流位相角θの特性函数により、周波数の変化が正のときは進み無効電力が流れ、周波数の変化が負のときは遅れ無効電力が流れるように無効電力Qあるいは電流位相角θの値を演算して出力する第1函数回路31と、リミット回路36から出力されるステップ状に変化する値に対する無効電力Qあるいは電流位相角θの特性函数により、ステップ状に変化する値が正のときは進み無効電力が流れ、ステップ状に変化する値が負のときは遅れ無効電力が流れるように無効電力Qあるいは電流位相角θの値を演算して出力する第2函数回路29と、第1函数回路31の出力と第2函数回路29の出力とを加算する加算リミット回路32と、を備える。
【0029】
図1において周波数検出回路30は、電圧検出器10で検出された交流電圧から、負荷9へ供給される電力の周波数(f)を検出し第1函数回路31および周波数変化率検出回路28へ送信する。
【0030】
図5に、周波数検出回路30での周波数検出動作の一例を説明する図を示す。周波数検出回路30は、交流電源電圧のゼロクロス信号を検出し、ゼロクロス信号の立ち上がりから次ぎの立ち上がりを1サイクルとして周波数(f)を検出し、ゼロクロス信号の立下りから次ぎの立下りまでを1サイクルとして検出し、例えば交流電源が50Hzである場合は10ms毎に周波数(f)を検出する。このように周波数検出回路30で周波数(f)を検出すると、ゼロクロスの立ち上がりから次ぎの立ち上がりまでを1サイクルとして、例えば交流電源が50Hzである場合に周波数を20ms毎に検出するよりも、単独運転を高速に検出することができる。
【0031】
第1函数回路31は受信した周波数(f)から特性函数により算出した出力V31(無効電力あるいは電流位相θ)を加算リミット回路32に入力する。
【0032】
図2Aに、基準周波数f0近辺における、周波数(f)とインバータブリッジ2の無効電力(あるいは電流位相θ)との関係の一例を示す。図2Aに示すように、基準(定格)周波数f0近辺では、インバータブリッジ2は、インバータ出力周波数(f)の上昇によって無効電力(あるいは電流位相θ)が進み方向に増加する特性である。
【0033】
周波数変化率検出回路28は、周波数検出回路30から出力された周波数(f)の周波数変化率(df/dt)を検出し、リミット回路36へ送信する。図1において、リミット回路36は、図3Aに示すように正又は負の周波数変化率df/dtが発散する場合、入力された周波数変化率(df/dt)の大きさに応じて、絶対値が小さい値から順次大きい値へ、ステップ状に変化する値を出力する。すなわち、リミット回路36は、周波数変化率が所定値を越えた場合に正側の値へ変化し、周波数変化率が所定値以下となった場合に負側の値へ変化ように、ステップ状に変化する値を出力する
具体的には、リミット回路36は、周波数変化率(df/dt)が正のときには、周波数変化率(df/dt)が所定値を越えた場合(周波数変化率の絶対値が大きくなった場合)に正側の値へ出力を変化させ、周波数変化率(df/dt)が所定値以下となった場合(周波数変化率の絶対値が小さくなった場合)に負側の値へ出力を変化させる。
【0034】
また、リミット回路36は、周波数変化率(df/dt)が負のときには、周波数変化率(df/dt)が所定値未満となった場合(周波数変化率の絶対値が大きくなった場合)に負側の値へ出力を変化させ、周波数変化率(df/dt)が所定値以上となった場合(周波数変化率の絶対値が小さくなった場合)に正側の値へ出力を変化させる。
【0035】
なお、図3Aでは、周波数変化率(df/dt)が発散し、リミット回路36の出力が正側又は負側にステップ状に変化する例を示しているが、これは単独運転になった場合、周波数(f)が正帰還により発散するように変化するからである。
【0036】
図6Aおよび図6Bは、インバータブリッジ2が単独運転になったときの、本実施形態に係る単独運転検出装置によるシミュレーション結果の一例である。この例では、0.00sの時点でインバータブリッジ2が単独運転になった場合のシミュレーションである。図6Aに示す場合、インバータブリッジ2が単独運転になった後、周波数(f)は正帰還作用により次第に周波数変化率(df/dt)を増大しながら周波数(f)が変化する。図6Bに示す場合、インバータブリッジ2が単独運転になった後、周波数(f)は正帰還作用により次第に周波数変化率(df/dt)が負の方向に増加しながら周波数(f)が変化する。
【0037】
図4Aに、瞬時電圧低下時のステップ的な周波数上昇の一例を示す。また、図4Bに、瞬時電圧低下時の周波数低下の一例を示す。インバータブリッジ2が単独運転となったときに図6Aおよび図6Bに示すように周波数変化率(df/dt)が増大(あるいは減少)しながら周波数(f)が変化するのに対し、交流電力系統8の故障時は、図4Aおよび図4Bに示す故障時の周波数変化率(df/dt)の変化はほぼ一定となり、これらの差異は明確である。この差異を利用して、本実施形態では、単独運転時はリミット回路36から出力された周波数変化率(df/dt)に応じてステップ状に変化する値の絶対値が次第に増加することから、交流電力系統8の故障と単独運転とを区別するとともに、リミット回路36の出力を第2函数回路29の入力としている。
【0038】
以下の説明において、周波数変化率(df/dt)がリミット回路36を通過した出力値の絶対値を以下のようにリミット値とする。
【数1】

【0039】
演算回路37は、上記リミット値を10ms毎に演算し、リセット量Aにより不感帯分を減算し(リミット値−A)とし、この結果を10ms毎に積分して、
【数2】

【0040】
を演算する。この結果は、レベル検出回路38に入力され、
【数3】

【0041】
としてレベル検出回路38において単独運転検出レベルKと比較され、単独運転検出レベルK以上となった事で単独運転が検出される。レベル検出回路38は、単独運転を検出した場合には、その旨を異常検出回路19へ通知し、異常検出回路19がインバータブリッジ2を停止すると同時に、コンタクタ6を開としてインバータブリッジ2を系統から開列している。
【0042】
なお、リミット回路36の出力値を極性ありで第2函数回路29へ入力しているのは、大きな周波数変化率(df/dt)分により単独運転でない場合に無効電力が急変することを防ぐためであり、又、周波数変化率検出回路28の出力を直接第2函数回路29へ入力することでも無効電力変動は大きくなることがあるが単独運転検出時の作用は同じである(無効電力が急変すると電圧が急変するので好ましくないが、この方法でも単独運転検出は高速に行うことが可能である)。
【0043】
すなわち、周波数変化率検出回路28の出力を第2函数回路29の入力としてもよい。この場合、函数手段は、電圧検出器10で検出された電圧から周波数(f)を検出する周波数検出回路30と、周波数検出回路30で検出された周波数(f)が上昇すると無効電力Qが進み方向に増加するとともに周波数(f)が下降すると無効電力Qが遅れ方向に増加するように制御する第1函数回路31と、周波数検出回路30で検出された周波数(f)から周波数変化率(df/dt)を検出する周波数変化率検出回路28と、周波数変化率検出回路28で検出された周波数変化率(df/dt)が正のときは無効電力Qを進み方向にシフトするとともに周波数変化率(df/dt)が負のときは無効電力Qを遅れ方向にシフトするように制御する第2函数回路29と、第1函数回路31の出力と第2函数回路29の出力との和により、インバータブリッジ2の無効電力Qを制御する加算リミット回路32と、を備える。
【0044】
図3B(a)には、図3Aに示すようにリミット回路36の出力値がステップ状に変化する場合の(リミット値−0.02)の値を一例として示している。また、図3B(b)には、図3Aに示すようにリミット回路36の出力値がステップ状に変化する場合のΣ(リミット値−0.02)の値を一例として表に示した。このとき、レベルKを0.5とすると、Σ(リミット値−0.02)が50ms後に0.895となり、本実施形態に係る単独運転検出装置によれば、最短50msで単独運転を検出することができる。
【0045】
なお、図3に示すようにリミット回路36の出力が変化する場合、単独運転検出レベルKの値は0.465以上0.895以下とすると、最短時間で単独運転を検出することができる。単独運転検出レベルKは、リミット回路36から出力されるステップ状の値がどのように変化するかに応じて設定される。
【0046】
また、FRTの規定では図4Aに示すように周波数が急変する場合であっても、単独運転を検出しないことが要求されているが、図3B(b)に示すようにΣ(リミット値−0.02)の値は、20ms後に0.095となるが0.5よりはるかに小さく、周波数が急変した場合であっても誤検出されないことは明白である。
【0047】
さらに、図4Bに示すように、周波数変化率(df/dt)が0.04Hz/20ms(10ms毎にサンプリングする場合には0.02Hz/10ms)(50Hz時の場合)で長時間周波数が変化する場合には、図3B(a)に示すリミット値−0.02の値はゼロ(リミット値−0.02=0)であるので、図3B(b)に示すΣ(リミット値−0.02)=0<0.5となり、この場合にも単独運転の誤検出がされないこととなる。
【0048】
リミット回路36の出力は第2函数回路29にも入力されている。第2函数回路29に入力されたリミット回路36の出力は、第2函数回路29の特性函数に入力された後、加算リミット32で第1函数回路31の出力V31と加算され、インバータ電流位相を変えて無効電力を変化させ、周波数に正帰還をかけて周波数をシフトさせる。
【0049】
第2函数回路29は受信した周波数変化率(df/dt)がリミット回路36でリミットされた値から特性函数により算出した出力V29(無効電力あるいは電流位相θ)を加算リミット回路32に入力する。
【0050】
図2Bに、リミット回路36から入力される値とインバータブリッジ2の無効電力(あるいは電流位相θ)との関係の一例を示す。図2Bに示すように、インバータブリッジ2は、リミット回路36から入力される値の上昇によって、無効電力(あるいは電流位相θ)が進み方向に増加する特性である。
【0051】
加算リミット回路32は出力V29と出力V31とを受信し、出力V29と出力V31とを加算して最大値をリミットした出力V29を位相シフト回路23へ出力する。図2Cに、加算リミット回路32の出力V32の一例を示す。図2Cに示すように、出力V32は、定格周波数f0の近くでは周波数および周波数変化率の変化を助長するように、傾きが大きくなっている。位相シフト回路23は、出力V32より得られた基準位相によって正弦波回路26の出力信号Vsの位相をシフトしてインバータブリッジ2の出力無効電力(I×Vsinθ)を制御する。
【0052】
上記のように、本実施形態に係る単独運転検出装置は、スリップモード周波数シフトの特性で動作し、図2Cに示すように、定格周波数f0の近くでは周波数(f)の上昇に従って電流位相が進み、進み無効電力が増加するように正弦波回路26の出力信号Vsの位相をシフトさせる。
【0053】
すなわち、本実施形態に係る単独運転検出装置では、インバータの交流側が交流電力系統から切り離されたとき交流電源の周波数(f)と周波数変化率(df/dt)とがわずかに増加あるいは減少する。
【0054】
この周波数(f)と周波数変化率(df/dt)との増加あるいは減少を検出し、周波数(f)が増加、周波数変化率(df/dt)が正の場合は、インバータブリッジ2の電流位相を進め、周波数(f)がさらに増加する方向に正帰還をかける。
【0055】
周波数(f)と周波数変化率(df/dt)との増加あるいは減少を検出し、周波数(f)が減少あるいは周波数変化率(df/dt)が負の場合は、インバータブリッジ2の電流位相を遅らせて周波数(f)がさらに減少する方向に正帰還をかける。
【0056】
上記のように、インバータの出力と負荷とのバランスを急速に崩すことにより、交流電源の周波数変化率(df/dt)がリミット回路36を介して演算回路37に入力され、演算回路37で周波数変化率(df/dt)のリミット値の積分値を演算し、その積分値をレベル検出回路38で判定して一定値以上になったことでFRT耐量がある高速単独運転検出を行なうと同時に、電圧リレー17や周波数リレー18により系統が異常電圧や異常周波数となった時は系統異常でインバータをゲート遮断すると同時にコンタクタ6を開としてインバータを系統から開列する。
【0057】
すなわち、本実施形態によれば、周波数が急変又は長時間変化する場合でも誤動作することなく、FRT機能を有する単独運転検出装置および単独運転検出方法を提供することができる。
【0058】
次に、第2実施形態に係る単独運転検出装置および単独運転検出方法について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態に係る単独運転検出装置および単独運転検出方法と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図7に第2実施形態に係る単独運転検出装置の一構成例を示す。
本実施形態に係る単独運転検出装置は、インバータブリッジ2が3相となり、電源(交流電力系統)8も3相であるため一般的にはインバータ出力の有効電力Pおよび無効電力QをPQ検出回路35で検出し、増幅器13aで有効電力基準P*と比較増幅してV13aとし、無効電力基準回路33の出力Q*とQを比較増幅してV13bとし、V13aとV13bとの出力を3相変換回路34を介してPWM信号として3相インバータブリッジ2を駆動して、3相インバータの無効電力Qを制御して単独運転時の無効電力を制御してインバータの周波数を正帰還作用で高速にシフトするように構成されている。
【0060】
図7に本実施形態に係る単独運転検出装置の一構成例を示す。本実施形態に係るインバータの単独運転検出装置のインバータブリッジ2は、3相ブリッジのインバータである。インバータブリッジ2の交流側にはリアクトル3a、3b、3cが接続され、リアクトル3a、3b、3cは夫々フィルタコンデンサ4a、4b、4cとデルタ接続されている。電流検出器5a、5bは2相に接続し、インバータブリッジの出力電流を計測している。
【0061】
本実施形態では、駆動手段は、増幅器11、増幅器13a、増幅器13b、PWM回路14、無効電力基準回路33、3相変換回路34、PQ検出回路35、および、駆動部15を含み、加算リミット回路32の出力を用いてインバータブリッジ2の出力電力の有効電力Pおよび無効電力Qを制御するとともに、異常検出部から異常が知らされたときにインバータブリッジ2を停止させるように構成されている。
【0062】
PQ検出回路35は、インバータブリッジ2の出力電流と負荷9に供給される電圧とから有効電力P、無効電力Qを算出する。増幅器11は、直流電源1の電圧を検出し電圧基準V*と比較増幅した有効電力基準P*を増幅器13aに出力する。増幅器13aは、増幅器11から出力された有効電力基準P*と有効電力Pとを増幅した信号V13aを、3相変換回路34へ入力する。
【0063】
加算リミット回路32の出力V32は、無効電力基準回路33に入力される。無効電力基準回路33は、出力V32に基づく無効電力基準Q*を増幅器13bへ出力する。増幅器13bは、無効電力基準Q*と、PQ検出回路35で検出したインバータブリッジ2の無効電力Qとの誤差を増幅して信号V13bとして出力する。信号V13bは3相変換回路34に入力され、信号V13bを3相インバータに対応する信号に変換する3相変換回路34の出力がPWM回路14に入力され、PWM回路14により駆動部15を介してインバータブリッジ2の出力電流を制御し、有効電力と無効電力とを制御する方式が3相インバータでは行われる。
【0064】
上記のように、図1に示す単相の場合は電流位相を変えることにより無効電力を変化させてインバータブリッジ2の単独運転を高速検出していたが、図7に示す3相の場合は無効電力を直接制御することにより、インバータブリッジ2の単独運転を高速検出する。
【0065】
図7に示すように、上記の構成以外は、図1に示す本発明の第1実施形態に係る単独運転検出装置と周波数の正帰還作用は同様の構成である。すなわち、本実施形態に係る単独運転検出装置および単独運転検出方法によれば、第1実施形態に係る単独運転検出装置および単独運転検出方法と同様に、インバータの出力と負荷とのバランスを急速に崩すことにより、交流電源の周波数変化率(df/dt)がリミット回路36を介して演算回路37に入力され、演算回路37で周波数変化率(df/dt)のリミット値の積分値を演算し、その積分値をレベル検出回路38で判定して一定値以上になったことでFRT耐量がある高速単独運転検出を行なうと同時に、電圧リレー17や周波数リレー18により系統が異常電圧や異常周波数となった時は系統異常でインバータをゲート遮断すると同時にコンタクタ6を開としてインバータを系統から開列する。
【0066】
すなわち、本実施形態によれば、周波数が急変又は長時間変化する場合でも誤動作することなく、FRT機能を有する単独運転検出装置および単独運転検出方法を提供することができる。
【0067】
なお、図1および図7では周波数(f)を検出し、これを第1函数回路31を介して加算リミット回路32に入力しているが、周波数(f)の代わりとして周波数(f)の移動平均(fm)の過去と現在との差を計算して、移動平均差分値Δfm(過去の移動平均fm−現在の移動平均fm)を演算し、移動平均差分値Δfを第1函数回路31に入力することでも作用は同じである。
【0068】
この場合、函数手段は、電圧検出器10で検出された電圧から周波数(f)を検出する周波数検出回路30と、検出された周波数(f)から周波数移動平均(fm)を検出し、過去の周波数移動平均と現在の周波数移動平均との差Δfmを出力する移動平均検出回路(図示せず)と、移動平均検出回路の出力が上昇すると進み無効電力が増加するとともに移動平均検出回路の出力が下降すると遅れ前記無効電力が増加する方向に制御する第1函数回路31と、周波数検出回路30で検出された周波数(f)から周波数変化率(df/dt)を検出する周波数変化率検出回路28と、波数変化率検出回路28で検出された周波数変化率(df/dt)がステップ状に変化するようにリミットするリミット回路36と、リミット回路36の出力が正のときは無効電力を進み方向にシフトするとともにリミット回路36の出力が負のときは無効電力を遅れ方向にシフトするように制御する第2函数回路29と、第1函数回路31の出力と第2函数回路29の出力との和により、インバータの無効電力を制御する加算リミット回路32と、を備える。第1函数回路31は、正帰還により移動平均差分値Δfmの変化が助長されるように、無効電力あるいは電流位相の値を出力する。
【0069】
なお、上記第1実施形態および第2実施形態において説明した演算は、マイコンを介して処理可能であることは説明するまでもない。
以上説明したように、上記第1実施形態および第2実施形態によれば、ステップ的な周波数変化に対して周波数変化率(df/dt)を制限するパターンで周波数変化率(df/dt)をリミットした。
【0070】
リミット回路36の出力を演算回路37で演算した結果である
【数4】

【0071】
と単独運転検出レベルKとを比較して、上記積分値が単独運転検出レベルK以上であるときに単独運転検出することにより、FRT耐量を有した高速単独運転を実現できる。さらに周波数変化率df/dt(0.04Hz/20ms、又は、0.02Hz/10ms)の1.25秒に及ぶ長時間変化に対しては、
【数5】

【0072】
のリセット量Aの値を0.04Hz/20ms(10ms毎にサンプリングする場合0.02/10ms)とすることにより不感とした単独運転検出とし、さらに、電源電圧のゼロクロス点の立ち上がりから立ち上がりの時間、立と下りから立ち下りの時間を測定して制御することにより10msサンプリング検出を行なうことにより、より高速な単独運転を検出することができる。リセット量Aは、略2Hz/s(50Hzの場合、0.04Hz/20ms、10ms毎にサンプリングする場合0.02/10ms)とすることが望ましい。リセット量Aは、例えば、瞬時電圧低下復帰時の周波数低下を不感となるように設定される。周波数の変化率が0.04Hz/20msで変わる故障に対し、FRTを行なうには0.04をリセットすれば不感となる。リセット量Aは、FRTの仕様に応じて変更される。
【0073】
また、図1および図7の第2函数29の入力は周波数変化率検出回路28の出力を直接入力しても無効電力が急変することは発生するが、単独運転をFRTの規定を満足しながら高速に行なうことは説明するまでもない。
【0074】
また、周波数検出は20ms毎でも単独運転検出が、やや遅くなるが、ほぼ満足する性能が達成される。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
…電圧基準、I…交流電流基準、A…リセット量、V31、V29、V32…出力、P…有効電力、Q…無効電力、P…有効電力基準、Q…無効電力基準、Δf…周波数の移動平均差分値、K…単独運転検出レベル、1…直流電源、2…インバータブリッジ、3相インバータブリッジ、3、3a、3b、3c…リアクトル、4、4a、4b、4c…コンデンサ、5、5a、5b、5c…電流検出器、6…コンタクタ(リレー)、7…遮断器、8…交流電力系統、9…負荷、10…電圧検出器(電圧検出手段)、11、13、13a、13b…増幅器、12…電流基準回路、14…PWM回路、15…駆動部、17…電圧リレー、18…周波数リレー、19…異常検出回路、22…PLL回路、23…位相シフト回路、26…正弦波回路、28…周波数変化率検出回路、29…第2函数回路、30…周波数検出回路、31…第1函数回路、32…加算リミット回路、33…無効電力基準回路、34…3相変換回路、35…PQ検出回路、36…リミット回路、37…演算回路、38…レベル検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を交流電力に変換し交流電力系統と連系して運転するインバータの単独運転検出装置であって、
前記インバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された出力電圧の周波数が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御するとともに、前記周波数の周波数変化率の値に応じてステップ状に変化する値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御して出力する函数手段と、
前記ステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベル以上か否か検出し、前記単独運転検出レベル以上であるときに前記インバータを停止させる信号を出力する異常検出手段と、
前記交流電源系統および前記インバータ出力の電圧位相に同期するとともに、前記函数手段の出力により所定の無効電力あるいは電流位相に制御し前記インバータの出力の無効電力制御を行ない、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記インバータの出力電圧の周波数と前記ステップ状に変化する値とに基づいて前記インバータの無効電力が変化するよう駆動し、前記異常検出手段から前記インバータを停止させる信号を受信したときに前記インバータを停止させる駆動手段と、を備えたインバータの単独運転検出装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記インバータの有効電力および無効電力を制御するループを構成し、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記インバータ出力電圧の周波数と前記ステップ状に変化する値とに基づいて前記インバータの無効電力を制御して、前記インバータの出力電圧の周波数又は周波数変化率が正帰還により変化を助長する方向に制御する手段を備える請求項1記載のインバータの単独運転検出装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記インバータの電流と電流基準位相とが合致するように前記インバータの出力電流制御を行い、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記インバータの出力電圧の周波数と前記ステップ状に変化する値とに基づいて前記インバータの電流基準の位相を変化させ出力電圧の周波数又は周波数変化率が正帰還作用により変化を助長するように制御する手段を備える請求項1記載の単独運転検出装置。
【請求項4】
前記函数手段は、前記電圧検出手段で検出された電圧から周波数を検出する周波数検出回路と、前記周波数検出回路で検出された前記周波数が上昇すると前記無効電力が進み方向に増加するとともに前記周波数が下降すると前記無効電力が遅れ方向に増加するように制御する第1函数回路と、前記周波数検出回路で検出された前記周波数から周波数変化率を検出する周波数変化率検出回路と、前記周波数変化率検出回路で検出された前記周波数変化率の値に応じてステップ状に変化する値を出力するリミット回路と、前記リミット回路の出力が正のときは前記無効電力を進み方向にシフトするとともに前記リミット回路の出力が負のときは前記無効電力を遅れ方向にシフトするように制御する第2函数回路と、前記第1函数回路の出力と前記第2函数回路の出力との和により、前記インバータの無効電力を制御する加算リミット回路と、を備える請求項2又は請求項3記載のインバータの単独運転検出装置。
【請求項5】
前記リミット回路は、前記周波数変化率が所定値を越えた場合に正側の値へ変化し、前記周波数変化率が所定値以下となった場合に負側の値へ変化するように、ステップ状に変化する値を出力する請求項4記載のインバータの単独運転検出装置。
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記ステップ状に変化する値の絶対値からリセット量を減算した値を積分して積分値を出力する演算回路と、前記積分値が前記単独運転検出レベル以上か否か判断して異常を検出するレベル検出回路と、前記レベル検出回路で異常が検出されたときに前記インバータを停止させる異常検出回路と、を備える請求項1記載のインバータの単独運転検出装置。
【請求項7】
前記リセット量は、瞬時電圧低下復帰時の周波数低下を不感とする値である請求項6記載のインバータの単独運転検出装置。
【請求項8】
前記周波数検出回路は、前記電圧検出手段で検出された電圧のゼロクロス信号を検出し、前記ゼロクロス信号の立ち上がりから次ぎの立下りまでの時間と、立下りから次ぎの立ち上がりまでの時間とを測定する手段を備える請求項4記載のインバータの単独運転検出装置。
【請求項9】
直流電力を交流電力に変換し交流電力系統と連系して運転するインバータの単独運転検出装置であって、
前記インバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された出力電圧の周波数の過去の周波数移動平均と現在の周波数移動平均との差が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御するとともに、前記周波数の前記周波数変化率の値に応じてステップ状に変化する値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御して出力する函数手段と、
前記ステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベル以上か否か検出し、前記単独運転検出レベル以上であるときに前記インバータを停止させる信号を出力する異常検出手段と、
前記交流電源系統および前記インバータ出力の電圧位相に同期するとともに、前記函数手段の出力により所定の無効電力あるいは電流位相に制御し前記インバータの出力の無効電力制御を行ない、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記過去の周波数移動平均と現在の周波数移動平均との差と前記ステップ状に変化する値とに基づいて前記インバータの無効電力が変化するよう駆動し、前記異常検出手段から前記インバータを停止させる信号を受信したときに前記インバータを停止させる駆動手段と、を備えたインバータの単独運転検出装置。
【請求項10】
直流電力を交流電力に変換し交流電力系統と連系して運転するインバータの単独運転検出装置であって、
前記インバータの出力電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段で検出された出力電圧の周波数が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御するとともに、前記周波数の周波数変化率の値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御して出力する函数手段と、
前記周波数変化率の値に応じてステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベル以上か否か検出し、前記単独運転検出レベル以上であるときに前記インバータを停止させる信号を出力する異常検出手段と、
前記交流電源系統および前記インバータ出力の電圧位相に同期するとともに、前記函数手段の出力により所定の無効電力あるいは電流位相に制御し前記インバータの出力の無効電力制御を行ない、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記インバータの出力電圧の周波数と周波数変化率とに基づいて前記インバータの無効電力が変化するよう駆動し、前記異常検出手段から前記インバータを停止させる信号を受信したときに前記インバータを停止させる駆動手段と、を備えたインバータの単独運転検出装置。
【請求項11】
直流電力を交流電力に変換し交流電力系統と連系して運転するインバータの単独運転検出する単独運転検出方法であって、
前記インバータの出力電圧を検出し、
検出された出力電圧の周波数が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御するとともに、前記周波数の周波数変化率の値に応じてステップ状に変化する値が正帰還により変化を助長する方向に無効電力あるいは電流位相を制御し、
前記ステップ状に変化する値に基づく値が単独運転検出レベル以上であるときに異常であると判断し、
前記交流電源系統および前記インバータ出力の電圧位相に同期するとともに、所定の無効電力あるいは電流位相に制御し前記インバータの出力の無効電力制御を行ない、前記インバータが前記交流電力系統から切り離されたとき、前記インバータの出力電圧の周波数と前記ステップ状に変化する値とに基づいて前記インバータの無効電力が変化するよう駆動し、異常であると判断されたときに前記インバータを停止させる、インバータの単独運転検出方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−120285(P2012−120285A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266357(P2010−266357)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】