説明

単糖分析用試料の製造方法

【課題】単糖分析用試料を簡便に調製可能な新たな方法を提供する。
【解決手段】試料中の複合糖質及び又は糖鎖から単糖を遊離させること、及び遊離させた単糖をを固相担体にヒドラゾン結合、オキシム結合又はアミド結合よって捕捉する捕捉工程と、前記糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる遊離工程とを含む、単糖分析用試料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単糖分析用試料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透析治療時における腎性貧血薬としてのエリスロポエチンや、癌・リウマチなどの治療に用いる抗体医薬など、糖タンパク質性医薬品は近年ますますその重要性を増しており、世界中の期待や関心が高まっている。これら医薬品は通常糖鎖を有しており、高次構造の安定性、体内動態、生理活性の調節,抗原性などに関与する場合があることが報告されている。しかし、糖鎖はタンパク質翻訳後に多種類の酵素の働きで付加されるため、構造の多様性、不均一性は避けられない。そのため、糖鎖の分析が重要であると様々な政府機関から見解が出されている。
【0003】
糖鎖分析手法の一つとして、糖鎖を構成する種々の単糖の定量分析がある。試料の調製方法は種々あるが、一般的には、糖タンパク質などの試料を酸処理することによって糖鎖を単糖に分解し、その後得られた単糖を検出する方法がある(例えば、特許文献1)。酸処理後の試料にはアミノ酸など様々な夾雑物が含有しており、分析に用いるカラム等へのダメージを考慮すると単糖を他の夾雑物から精製することが望ましい。また、再現性の良い分析結果を得るためにも精製工程があることが望ましい。
【0004】
しかしながら、実際は夾雑ピークの量は単糖よりも圧倒的に多く、アミノ酸などの夾雑ピークから単糖のみを簡便に精製するのは難しい。そこで、これら試料等から夾雑物を排除し、単糖分析用の試料を簡便に調製する方法が必要不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−333698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、単糖分析用試料を簡便に調製可能な新たな方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、試料中の糖鎖を固相担体によって捕捉する捕捉工程と、前記糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる遊離工程とを含む、単糖分析用試料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生体試料等から単糖を簡便に回収し、単糖分析用試料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、以下の態様、すなわち、
〔1〕試料中の糖鎖を固相担体によって捕捉する捕捉工程と、前記糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる遊離工程とを含む、単糖分析用試料の製造方法;
〔2〕前記試料は、複合糖質及び又は糖鎖を含む〔1〕記載の製造方法;
〔3〕前記捕捉工程が、前記試料中の糖鎖をヒドラゾン結合、オキシム結合又はアミド結合によって前記固相担体に結合させることを含む〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法;
〔4〕前記捕捉工程が、前記試料を酵素又は化学処理を行うことによって前記試料に含まれる複合糖質から糖鎖を遊離させることを含む〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の製造方法;
〔5〕前記遊離させた糖鎖が、単糖及び又は二糖以上のオリゴ糖を含む〔4〕記載の製造方法;
〔6〕前記遊離工程が、前記固相担体に結合させた糖鎖を酸含有溶液中で加熱して単糖を遊離させることを含む〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の製造方法;
〔7〕前記酵素処理が、糖鎖遊離酵素による処理である〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の製造方法;
〔8〕前記糖鎖遊離酵素が、エンド型グリコシダーゼである〔6〕又は〔7〕に記載の製造方法;
〔9〕前記エンド型グリコシダーゼが、ペプチド:N−グリカナーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、エンド−β−マンノシダーゼ、及びO−グリコシダーゼからなる群から選択される〔8〕記載の製造方法;
〔10〕前記固相担体による糖鎖の捕捉が、前記試料中の糖鎖と前記固相担体とを混合しインキュベートすることを含む〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の製造方法;
〔11〕前記インキュベートを、4〜90℃で、5分〜24時間行う〔10〕記載の製造方法;
〔12〕前記インキュベートを、50〜90℃で、5〜120分行う〔10〕記載の製造方法;
〔13〕前記酸含有溶液が、トリフルオロ酢酸又は塩酸である〔6〕から〔12〕のいずれかに記載の製造方法;
〔14〕前記酸含有溶液がトリフルオロ酢酸であり、前記酸含有溶液中での加熱温度が40〜150℃である〔6〕から〔13〕のいずれかに記載の製造方法;
〔15〕前記捕捉工程が、試料中の複合糖質及び又は糖鎖から単糖を遊離させること、及び遊離させた単糖をヒドラゾン結合、オキシム結合又はアミド結合によって前記固相担体に結合させることを含み、前記遊離工程が、前記単糖を結合させた固相担体から単糖を遊離させることを含む〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法;
〔16〕さらに、前記遊離工程において遊離させた単糖を回収する工程を含む〔1〕から〔14〕のいずれかに記載の製造方法;
〔17〕前記回収が、前記単糖と前記固相担体とを分離することを含む〔16〕記載の製造方法;
〔18〕前記分離が、遠心分離又はろ過分離により行われる〔17〕記載の製造方法;
〔19〕さらに、前記遊離工程において遊離させた単糖を標識化合物で標識する工程を含む〔1〕から〔18〕のいずれかに記載の製造方法;
〔20〕前記標識化合物が、アミノ基、ヒドラジド基又はアミノオキシ基を有する化合物である〔19〕記載の製造方法;
〔21〕前記アミノ基を有する化合物が、8-Aminopyrene-1,3,6-trisulfonate、8-Aminonaphthalene-1,3,6-trisulphonate、7-amino-1,3-naphtalenedisulfonic acid,2-Amino9(10H)-acridone、5-Aminofluorescein、Dansylethylenediamine,2-Aminopyridine、7-Amino-4-methylcoumarine、2-Aminobenzamide、2-Aminobenzoic acid,3-Aminobenzoic acid、7-Amino-1-naphthol、3-(Acetylamino)-6-aminoacridine、2-Amino-6-cyanoethylpyridine、Ethyl p-aminobenzoate、p-Aminobenzonitrile、及び7-aminonaphthalene-1,3-disulfonic acidからなる群から選択される〔20〕記載の製造方法;
〔22〕前記ヒドラジド基を有する化合物が、5-Dimethylaminonaphthalene-1-sulfonyl hydrazine、2-hydrazinopyridine、9-fluorenylmethyl carbazate、benzylhydrazine、4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-4bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid, hydrazide、2-(6,8-difluoro-7-hydroxy-4-methylcoumarin) acetohydrazide、7-diethylaminocoumarin-3-carboxylic acid, hydrazide、phenylhydrazine、1-Naphthaleneacethydrazide、2-hydrazinobenzoic acid、biotin hydrazide、及びphenylacetic hydradideからなる群から選択される〔20〕記載の製造方法;
〔23〕前記アミノオキシ基を有する化合物が、O-benzylhydroxylamine、O-phenylhydroxylamine、O-(2,3,4,5,6-pentafluorobenzyl)hydroxylamine、O-(4-nitrobenzyl)hydroxylamine、2-aminooxypyridine、2-aminooxymethylpyridine、4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid methyl ester、4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid ethyl ester、及び4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid n-butyl esterからなる群から選択される〔20〕記載の製造方法;
〔24〕前記固相担体が、乾燥重量1mgあたり1μmol以上のヒドラジド基を有するポリマー粒子である〔1〕から〔23〕のいずれかに記載の製造方法;
〔25〕前記固相担体が、下記式(1)で表される構成単位を有するポリマー粒子である〔1〕から〔24〕のいずれかに記載の製造方法;
【化1】

[式(1)中、R1及びR2は同一又は異なり−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−及び−C(=O)NH−からなる群から選択される少なくとも一つが挿入されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖を示し、R3、R4及びR5は同一又は異なり水素原子、メチル基、又は炭素数2〜5の炭化水素鎖を示し、mは、80〜99の数を示し、nは(100−m)の数を示す。];
〔26〕前記固相担体が、下記式(2)で表される構成単位を有するポリマー粒子である〔1〕から〔25〕のいずれかに記載の製造方法;
【化2】

[式(2)中、mは、80〜99の数を示し、nは(100−m)の数を示す。]
〔27〕前記複合糖質が、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、及びそれらの誘導体からなる群から選択される〔2〕から〔26〕のいずれかに記載の製造方法;
〔28〕〔1〕から〔27〕のいずれかに記載の製造方法に用いる単糖分析用試料を調製するためのキットであって、乾燥重量1mgあたり1μmol以上のヒドラジド基を有するポリマー粒子である固相担体、及び前記製造方法が記載された説明書を含む、キット;
に関する。
【0010】
本明細書において「単糖分析用試料」とは、単糖及び又は単糖の誘導体を含む試料であって、本発明の製造方法により複合糖質から製造された単糖を含む試料である。本明細書において「単糖」とは加水分解によってこれ以上簡単な糖にはならない基本単位としての糖であって、ポリヒドロキシアルデヒド又はポリヒドロキシケトン及びそれらの誘導体を含む。単糖としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸、グルクロン酸、及びイズロン酸があげられる。単糖の誘導体としては、単糖の1以上の水酸基が別の置換基によって置換された糖が挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、アミノ基、硫酸基、及びリン酸基等が挙げられる。また、還元末端が標識されている単糖も含まれる。単糖分析用試料に含まれる単糖の種類は特に限定されるものでなく、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
【0011】
本明細書において「試料」とは、複合糖質及び又は糖鎖を含む溶液であって、例えば、生体試料、食品、有機合成された試料等が挙げられる。生体試料としては、例えば、血液、尿、及びその他の体液等が挙げられる。複合糖質が有機合成物である場合、試料は、例えば、反応触媒や反応中間体等を含んでいてもよい。複合糖質が酵素合成物である場合、複合糖質を含む溶液は、例えば、合成酵素等を含んでいてもよい。
【0012】
本明細書において「試料中の糖鎖」とは、試料に含まれる複合糖質に結合した糖鎖、複合糖質から遊離させた糖鎖、及び試料に含まれる糖鎖を含む。試料が複合糖質を含む場合、必要に応じて、公知の糖鎖遊離方法を用いて複合糖質から糖鎖を遊離させてもよく、複合糖質から糖鎖を遊離させた後の試料を、本明細書における試料とすることもできる。「複合糖質から遊離させた糖鎖」とは、複合糖質を酵素又は化学処理することによって複合糖質から遊離させた糖鎖の一部又は全部(以下、「遊離糖鎖」ともいう)、及び複合糖質を切断して得られた単糖、及び遊離糖鎖を分解して得られた単糖を含む。
【0013】
本明細書において「複合糖質」とは、糖鎖と糖鎖以外の物質とが結合した物質のことをいう。本明細書において「糖鎖」とは、1以上の単糖及び又は単糖の誘導体が鎖状にグリコシド結合により結合した分子のことをいい、単糖であってもよいし、2糖以上の糖鎖であってもよい。複合糖質としては、例えば、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グルコサミノグリカン、プロテオグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、及びそれらの誘導体等が挙げられる。複合糖質としては、例えば、生体由来物質、有機合成物、及び酵素合成物等が挙げられる。生体由来物質としては、例えば、組織由来物質、動物細胞由来物質、及び体液由来物質等が挙げられる。
【0014】
本明細書において「試料中の糖鎖を固相担体によって捕捉する」とは、固相担体によって試料中の糖鎖を捕らえること、及び試料中の糖鎖を固相担体に結合させることを含む。中でも、試料中の糖鎖を固相担体に結合させることが好ましく、より好ましくは試料中の糖鎖を固相担体とヒドラゾン結合、オキシム結合又はアミド結合によって結合させることであり、捕捉効率及び収率の点からは、ヒドラゾン結合又はオキシム結合によって結合させることがさらに好ましい。本明細書において「糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる」とは、固相担体に結合させた遊離糖質を単糖に分解すること、及び固相担体に結合させた単糖を固相担体から切り出すことを含む。
【0015】
本明細書において「固相担体」とは、試料中の糖鎖を捕捉するための担体のことをいい、好ましくは試料中の糖鎖と特異的に結合して前記糖鎖を捕捉可能な担体である。前記固相担体は、操作性の点から、水溶液や有機溶媒に不溶性の担体であることが好ましい。固相担体の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、及び耐有機溶剤性に優れた樹脂が好ましい。耐有機溶剤性に優れた樹脂としては、例えば、シリコン、ポリスチレン、エチレン−無水マレイン酸共重合物、及びポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
【0016】
固相担体は、糖鎖を特異的に結合する点から、反応性の一級アミノ酸をその表面に有する担体が好ましい。反応性の一級アミノ酸としては、例えば、オキシルアミノ基、ヒドラジド基、アミノ基、及びセミチオカルバジド基並びにそれらの誘導体が挙げられ、糖鎖還元末端であるアルデヒド基をより特異的に結合する点から、オキシルアミノ基、又はヒドラジド基が好ましい。
【0017】
前記固相担体は、糖鎖還元末端であるアルデヒド基をより特異的に結合する点から、乾燥重量1mgあたり1μmol以上のヒドラジド基を有することが好ましく、より好ましくは下記式(1)で表される構成単位を有するポリマーを少なくとも表面に有する担体である。
【0018】
【化3】

【0019】
式(1)中、R1及びR2は同一又は異なり−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−及び−C(=O)NH−からなる群から選択される少なくとも一つが挿入されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖を示し、R3、R4及びR5は同一又は異なり水素原子、メチル基、又は炭素数2〜5の炭化水素鎖を示し、m及びnはモノマーユニット数を示す。
【0020】
1は、−O−、−C(=O)−及び−C(=O)NH−からなる群から選択される少なくとも一つが挿入された炭素数1〜20の炭化水素鎖が好ましく、より好ましくは少なくとも−C(=O)−及び−C(=O)NH−が挿入された炭素数1〜20の炭化水素鎖である。R2は、−O−、−C(=O)−及び−C(=O)NH−からなる群から選択される少なくとも一つが挿入された炭素数1〜20の炭化水素鎖が好ましい。R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は炭素数2〜5の炭化水素鎖を示し、好ましくは水素原子、メチル基、炭素数2〜5のアルキル基である。
【0021】
mは、例えば、80〜99の数であり、好ましくは85〜99の数である。nは(100−m)の数である。
【0022】
上記式(1)で表される構成単位は、これらの中でも、下記式(2)で表される構成単位であることが好ましい。式(2)においてm及びnは式(1)と同様である。
【0023】
【化4】

【0024】
固相担体の形態は、特に制限されるものではないが、固相担体による遊離糖鎖の捕捉効率の点から、粒子又はプレートが好ましい。カラム等に充填し、多数の試料の処理を連続して行う点からは、粒子が好ましい。粒子の形状は球であることが好ましい。粒子の大きさは特に制限されるものではないが、固相担体による遊離糖鎖の捕捉効率の点から、平均粒径が0.1〜500μmであるのが好ましい。多数の試料の処理を同時に行う点からは、プレートが好ましく、より好ましくはマルチプレートである。マルチウェルプレートとしては、例えば、6、12、24、48、96、及び384等のマルチウェルプレートが挙げられる。
【0025】
固相担体としては、上記のものに加えて、無機物質又は有機高分子物質の担体を使用できる。無機物質又は有機高分子物質の担体としては、粒子であることが好ましい。無機物質としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス及び金属等が挙げられる。有機高分子物質としては、例えば、アガロース及びセファロース等の多糖類ゲル、及びビニル化合物の重合体であるポリマー等が挙げられる。
【0026】
[単糖分析用試料の製造方法]
本発明は、一態様として、試料中の糖鎖を固相担体によって捕捉する捕捉工程と、前記糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる遊離工程とを含む単糖分析用試料の製造方法に関する。本発明の製造方法によれば、糖鎖以外の夾雑物を一旦分離してから単糖を得ることができるため、簡便に夾雑物を単糖と分離することができるという効果が得られる。
【0027】
[捕捉工程]
捕捉工程は、例えば、試料と固相担体とを接触させること、複合糖質から遊離させた糖鎖又は単糖と固相担体とを接触させること等により行うことができる。試料が糖鎖を含む場合、試料を固相担体に接触させることにより行うことが好ましく、試料が複合糖質を含む場合、複合糖質から糖鎖及び又は単糖を遊離させた後、固相担体と接触させることが好ましい。捕捉工程において固相担体に捕捉させる糖鎖は、単糖であってもよいし、二糖以上であってもよい。
【0028】
捕捉工程は、捕捉効率の点から、試料を酵素又は化学処理を行うことによって試料に含まれる複合糖質から糖鎖を遊離させることを含むことが好ましい。遊離させた糖鎖は、単糖以上の糖を含んでいればよい。酵素処理としては、酵素を用いた公知の処理を用いて行うことができ、例えば、糖鎖遊離酵素を用いた処理等が挙げられる。化学処理としては、公知の処理方法により行うことができ、例えば、アルカリ加水分解処理、ヒドラジン分解処理等が挙げられる。
【0029】
複合糖質から糖鎖の遊離は、糖鎖遊離酵素による処理によって行うことが好ましい。糖鎖遊離酵素としては、糖鎖の単糖への分解を次工程で一度に実施する点から、エンド型グリコシダーゼが好ましい。これにより、糖鎖の根元部分から丸ごと切り出すことができる。エンド型グリコシダーゼとしては、例えば、ペプチド:N−グリカナーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、エンド−β−マンノシダーゼ、及びO−グリコシダーゼ等が挙げられ、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。糖鎖遊離酵素による処理条件は、糖鎖遊離酵素の種類、及び処理を行う複合糖質の種類等に応じて適宜決定できる。処理温度としては、例えば、30〜45℃であり、好ましくは35〜40℃である。処理時間は、例えば、1分〜24時間であり、好ましくは5分〜15時間である。
【0030】
試料中の糖鎖と固相担体との接触は、例えば、試料中の糖鎖と前記固相担体とを混合し、インキュベートすることにより行うことができる。
【0031】
インキュベート条件は、複合糖質及び又は糖鎖の種類、並びに固相担体の種類等に応じて適宜決定できる。インキュベート温度としては、固相担体による遊離糖鎖の捕捉効率及び操作性の点から、4〜90℃が好ましく、より好ましくは50〜90℃である。インキュベート時間としては、固相担体による遊離糖鎖の捕捉効率の点から、5分〜24時間が好ましく、より好ましくは5〜120分である。遊離糖鎖と固相担体とのインキュベート時のpHは、固相担体による遊離糖鎖の捕捉効率の点から、2〜7が好ましく、より好ましくは3〜6である。よって、インキュベートは、4〜90℃で5分〜24時間行うことが好ましく、より好ましくは50〜90℃で5〜120分行う。インキュベートは、溶媒中で行うことが好ましい。
【0032】
インキュベートは、固相担体による遊離糖鎖の捕捉効率の点から、開放系で行うことが好ましい。これにより、溶媒を蒸発させながらインキュベートを行うことができ、溶媒の蒸発に伴い溶媒に対する遊離糖鎖及び固相担体の濃度が上昇し、無限濃縮されるため、固相担体による捕捉効率を向上させることができる。
【0033】
[遊離工程]
遊離工程は、例えば、固相担体から糖鎖を遊離させる工程である。固相担体からの糖鎖の遊離には、固相担体に捕捉させた単糖を固相担体から遊離させること、及び固相担体に捕捉させた二糖以上の糖鎖を分解して単糖を遊離させることを含む。
【0034】
固相担体からの糖鎖の遊離は、固相担体に結合させた糖鎖を酸含有溶液中で加熱することにより行うことが好ましい。これにより、例えば、固相担体に捕捉された糖鎖が二糖以上である場合、固相担体からの糖鎖の切り出しと単糖への分解とを同時に行うことができる。使用する酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、リン酸、硝酸及び硫酸が挙げられ、好ましくはトリフルオロ酢酸、塩酸、酢酸、ギ酸、又はリン酸であり、より好ましくはトリフルオロ酢酸溶液又は塩酸である。
【0035】
加熱温度は、例えば、40〜150℃であり、好ましくは50〜120℃である。加熱時間は、例えば、5分〜24時間であり、好ましくは30分〜12時間である。加熱する溶液のpHは、例えば、7以下であり、好ましくは4以下あり、より低ければ低いほど好ましい。中でも、効率良く糖鎖を単糖に分解する点から、酸含有溶液としてトリフルオロ酢酸を使用し、40〜150℃、5分〜24時間加熱することが好ましい。
【0036】
本発明の製造方法は、試料中の糖鎖にシアル酸が存在する場合は、分解しやすい単糖であるシアル酸を効率よく回収する点から、複合糖質及び又は糖鎖からの単糖の遊離に先立ち、シアル酸を遊離させることが好ましい。シアル酸の遊離は、例えば、シアリダーゼ等により行うことができる。シアル酸の遊離は、固相担体による糖鎖の捕捉前であってもよいし、捕捉後であってもよいが、夾雑物との分離容易性の点から、固相担体による糖鎖の捕捉後に行うことが好ましい。
【0037】
[洗浄工程]
本発明の製造方法は、前記捕捉工程後、前記遊離工程に先立ち、複合糖質の糖鎖を捕捉した固相担体を洗浄する工程を含んでいてもよい。これにより、夾雑物を除去することができる。洗浄は、例えば、メタノール、及びエタノール等のアルコール類、水、水性緩衝液等の洗浄液に浸漬、及び洗浄液の交換を繰り返すこと等により行うことができる。水溶液を用いて洗浄する場合、水溶液のpHは、例えば、4〜10であり、好ましくは中性付近であり、より好ましくは6〜8である。
【0038】
[単糖回収工程]
本発明の製造方法は、さらに、分解した前記単糖を回収する工程を含んでいてもよい。単糖の回収は、前記単糖と、前記固相担体とを分離すること等により行うことができる。前記分離は、例えば、遠心分離又はろ過分離により行うことができる。
【0039】
[標識工程]
本発明の製造方法は、さらに、前記単糖を標識化合物で標識する工程を含んでいてもよい。標識化合物による標識は、固相担体から単糖を遊離させた後に行ってもよいし、単糖を結合させた固相担体からの単糖の遊離と同時に行ってもよい。
【0040】
標識化合物としては、例えば、アミノ基を有する化合物、ヒドラジド基又はアミノオキシ基を有する化合物が使用できる。遊離させた単糖を、アミノ基、ヒドラジド基又はアミノオキシ基を有する標識化合物と混合し、還元アミノ化反応又はヒドラゾン−オキシム交換反応により前記標識化合物を単糖に結合させることができる。
【0041】
アミノ基を有する化合物としては、例えば、8-Aminopyrene-1,3,6-trisulfonate、8-Aminonaphthalene-1,3,6-trisulphonate、7-amino-1,3-naphtalenedisulfonic acid,2-Amino9(10H)-acridone、5-Aminofluorescein、Dansylethylenediamine,2-Aminopyridine、7-Amino-4-methylcoumarine、2-Aminobenzamide、2-Aminobenzoic acid,3-Aminobenzoic acid、7-Amino-1-naphthol、3-(Acetylamino)-6-aminoacridine、2-Amino-6-cyanoethylpyridine、Ethyl p-aminobenzoate、p-Aminobenzonitrile、及び7-aminonaphthalene-1,3-disulfonic acid等が挙げられる。
【0042】
ヒドラジド基を有する化合物としては、例えば、5-Dimethylaminonaphthalene-1-sulfonyl hydrazine (Dansylhydrazine)、2-hydrazinopyridine、9-fluorenylmethyl carbazate (Fmoc hydrazine)、benzylhydrazine、4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-4bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid, hydrazide、2-(6,8-difluoro-7-hydroxy-4-methylcoumarin) acetohydrazide、7-diethylaminocoumarin-3-carboxylic acid, hydrazide (DCCH)、phenylhydrazine、1-Naphthaleneacethydrazide、2-hydrazinobenzoic acid、biotin hydrazide、及びphenylacetic hydradide等が挙げられる。
【0043】
アミノオキシ基を有する化合物としては、例えば、O-benzylhydroxylamine、O-phenylhydroxylamine、O-(2,3,4,5,6-pentafluorobenzyl)hydroxylamine、O-(4-nitrobenzyl)hydroxylamine、2-aminooxypyridine、2-aminooxymethylpyridine、4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid methyl ester、4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid ethyl ester、及び4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid n-butyl ester等が挙げられる。アミノオキシ基を有する化合物は、アルギニン残基、トリプトファン残基、フェニルアラニン残基、チロシン残基、システイン残基およびこれら誘導体の少なくとも一つからなる部分を含むことが好ましく、より好ましくは下記式(3)で表される化合物である。
【0044】
【化5】

【0045】
本発明の製造方法により製造された単糖分析用試料は、目的に応じて、すぐに使用してもよいし、必要時まで保存しておいてもよい。保存方法は、特に限定されるものではないが、凍結保存することが好ましく、より好ましくは密閉容器内で凍結保存することである。保存温度は、−20℃以下が好ましく、より好ましくは−80℃以下である。
【0046】
[単糖組成分析方法]
本発明の製造方法により製造される単糖分析用試料を用いて、例えば、抗体医薬等の糖タンパク質性医薬の糖タンパク質等の単糖組成分析や、食品に含まれる糖鎖の単糖組成分析等を行うことができる。このため、本発明は、その他の態様として、試料中の糖鎖の単糖組成を分析する方法であって、試料中の糖鎖を固相担体によって捕捉する捕捉工程と、前記糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる遊離工程とを含む単糖組成分析方法に関する。本発明の単糖組成分析方法によれば、糖鎖以外の夾雑物を一旦分離してから得られた単糖を用いて分析を行うことができるため、簡便かつ精度よく単糖組成を分析することができる。
【0047】
本発明の単糖組成分析方法において、捕捉工程及び遊離工程は本発明の製造方法と同様に行うことができる。また、本発明の単糖組成分析方法は、本発明の製造方法と同様に、さらに、単糖回収工程及び標識工程を含んでいてもよい。
【0048】
本発明の単糖組成分析方法において、単糖組成分析は、例えば、HPLC等により行うことができる。
【0049】
[キット]
本発明は、さらにその他の態様として、本発明の製造方法に用いる単糖分析用試料を調製するためのキットであって、乾燥重量1mgあたり1μmol以上のヒドラジド基を有するポリマー粒子である固相担体、及び本発明の単糖分析用試料の製造方法が記載された説明書を含むキット(以下、「本発明のキット」ともいう)に関する。固相担体としては、本発明の製造方法と同様のものが使用できる。なお、本発明のキットは、説明書が本発明の分析用キットの同梱されることなくウェブ上で提供される場合も含みうる。
【0050】
本発明のキットは、その他に、例えば、スピンチューブ等の反応用チューブ、標識化合物、及び又は洗浄用カラム等を含んでいてもよい。
【0051】
以下に実施例を用いて本発明をさらに説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定して解釈されない。
【実施例】
【0052】
(糖鎖の遊離)
ウシ血清由来IgG(SIGMA、I5506)1mgを100mM重炭酸アンモニウム(和光純薬、017−02875)50μLに溶解させた後、120mM DTT(ジチオスレイトール、SIGMA、D9779)を5μL加え、60℃で30分間反応させた。反応終了後、123mM IAA(ヨードアセトアミド、和光純薬、093−02152)10μLを加えて遮光下、室温で1時間反応させた。続いて400Uのトリプシン(SIGMA、T0303)によってプロテアーゼ処理をし、タンパク質部分をペプチド断片化した。反応溶液を90℃で5分処理した後、5UのグリコシダーゼF(Roche、1−365−193)による処理を行って糖鎖をペプチドから遊離させた。
【0053】
(糖鎖捕捉担体による糖鎖精製)
糖鎖捕捉用の担体であるヒドラジド基を有する粒子5mg(BlotGlyco(R))、住友ベークライト株式会社製、BS−45603)が入ったディスポカラムに上記糖鎖溶液20μL及び180μLの2%酢酸/アセトニトリル溶液を加え、80℃で1時間反応させた。反応は開放系で行い、溶媒が完全に蒸発し粒子が乾固した状態であることを目視で確認した。ついで、グアニジン溶液、水、メタノール、トリエチルアミノ溶液にて粒子を洗浄した。
【0054】
(単糖調製)
粒子の入ったディスポカラムにシアリダーゼ(ロシュ製、269611、10mU)を加え45℃1時間反応させてシアル酸を遊離させた。次にトリフルオロ酢酸溶液10μL加え、100℃で3時間反応させた。遠心により粒子と溶液とを分離した後、溶液を凍結乾燥させた。さらに、酢酸アンモニウム、トリメチルピリジン、無水酢酸を加え室温で30分反応させ再アセチル化を実施し、単糖分析用試料を調製した。得られた単糖分析用試料は凍結乾燥により乾固させた。
【0055】
(糖鎖標識)
2−aminobenzamide(2−AB、和光純薬、574−92441)による標識を行った。2−AB及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムの終濃度がそれぞれ0.35M、1Mになるように30%酢酸/ジメチルスルホシキド(DMSO)混合溶媒に溶解させて調製した溶液5μLを乾固させた試料に添加し、60℃で2時間反応させた。
【0056】
(余剰2ABの除去)
反応溶液5μLを回収し、アセトニトリルで10倍に希釈した後、シリカカラム(BlotGlycoキット付属品)に添加してシリカゲルに標識糖鎖を吸着させた。アセトニトリルにてカラムを洗浄後、超純水50μLにて標識糖鎖を回収した。
【0057】
(標識化糖鎖の検出)
得られた標識糖鎖をHPLCにて測定した。カラムは、順相クロマトグラフィーカラム(TSK−GEL Amide−80、東ソー株式会社)を用い、移動相には50mM ギ酸アンモニウム水溶液(pH4.4)とアセトニトリルを使用した。移動相は、50mM ギ酸アンモニウム水溶液(pH4.4)が20%から41.7%に80分かけて変化するように勾配をつけ、流速0.4mL/min、カラム温度30℃で流し、蛍光(励起波長330nm、蛍光波長420nm)にて検出した。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、医療分野、生化学、生物学等の学術分野で有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の糖鎖を固相担体によって捕捉する捕捉工程と、
前記糖鎖を捕捉した前記固相担体から単糖を遊離させる遊離工程とを含む、単糖分析用試料の製造方法。
【請求項2】
前記試料は、複合糖質及び又は糖鎖を含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記捕捉工程が、前記試料中の糖鎖をヒドラゾン結合、オキシム結合又はアミド結合によって前記固相担体に結合させることを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記捕捉工程が、前記試料を酵素又は化学処理を行うことによって前記試料に含まれる複合糖質から糖鎖を遊離させることを含む、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記複合糖質から遊離させた糖鎖が、単糖及び又は二糖以上のオリゴ糖を含む、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記遊離工程が、前記固相担体に結合させた糖鎖を酸含有溶液中で加熱して単糖を遊離させることを含む、請求項1から5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記酵素処理が、糖鎖遊離酵素による処理である、請求項4から6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記糖鎖遊離酵素が、エンド型グリコシダーゼである、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記エンド型グリコシダーゼが、ペプチド:N−グリカナーゼ、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ、エンド−β−マンノシダーゼ、及びO−グリコシダーゼからなる群から選択される、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
前記固相担体による糖鎖の捕捉が、前記試料中の糖鎖と前記固相担体とを混合しインキュベートすることを含む、請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記インキュベートを、4〜90℃で、5分〜24時間行う、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記インキュベートを、50〜90℃で、5〜120分行う、請求項10記載の製造方法。
【請求項13】
前記酸含有溶液が、トリフルオロ酢酸又は塩酸である、請求項6から12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記酸含有溶液がトリフルオロ酢酸であり、前記酸含有溶液中での加熱温度が40〜150℃である、請求項6から13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
前記捕捉工程が、試料中の複合糖質及び又は糖鎖から単糖を遊離させること、及び遊離させた単糖をヒドラゾン結合、オキシム結合又はアミド結合によって前記固相担体に結合させることを含み、
前記遊離工程が、前記単糖を結合させた固相担体から単糖を遊離させることを含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項16】
さらに、前記遊離工程において遊離させた単糖を回収する工程を含む、請求項1から15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記回収が、前記単糖と前記固相担体とを分離することを含む、請求項16記載の製造方法。
【請求項18】
前記分離が、遠心分離又はろ過分離により行われる、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記遊離工程において遊離させた単糖を標識化合物で標識する工程を含む、請求項1から18のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記標識化合物が、アミノ基、ヒドラジド基又はアミノオキシ基を有する化合物である、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
前記アミノ基を有する化合物が、8-Aminopyrene-1,3,6-trisulfonate、8-Aminonaphthalene-1,3,6-trisulphonate、7-amino-1,3-naphtalenedisulfonic acid,2-Amino9(10H)-acridone、5-Aminofluorescein、Dansylethylenediamine,2-Aminopyridine、7-Amino-4-methylcoumarine、2-Aminobenzamide、2-Aminobenzoic acid,3-Aminobenzoic acid、7-Amino-1-naphthol、3-(Acetylamino)-6-aminoacridine、2-Amino-6-cyanoethylpyridine、Ethyl p-aminobenzoate、p-Aminobenzonitrile、及び7-aminonaphthalene-1,3-disulfonic acidからなる群から選択される、請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
前記ヒドラジド基を有する化合物が、5-Dimethylaminonaphthalene-1-sulfonyl hydrazine、2-hydrazinopyridine、9-fluorenylmethyl carbazate、benzylhydrazine、4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-4bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid, hydrazide、2-(6,8-difluoro-7-hydroxy-4-methylcoumarin) acetohydrazide、7-diethylaminocoumarin-3-carboxylic acid, hydrazide、phenylhydrazine、1-Naphthaleneacethydrazide、2-hydrazinobenzoic acid、biotin hydrazide、及びphenylacetic hydradideからなる群から選択される、請求項20記載の製造方法。
【請求項23】
前記アミノオキシ基を有する化合物が、O-benzylhydroxylamine、O-phenylhydroxylamine、O-(2,3,4,5,6-pentafluorobenzyl)hydroxylamine、O-(4-nitrobenzyl)hydroxylamine、2-aminooxypyridine、2-aminooxymethylpyridine、4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid methyl ester、4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid ethyl ester、及び4-[(aminooxyacetyl)amino]benzoic acid n-butyl esterからなる群から選択される、請求項20記載の製造方法。
【請求項24】
前記固相担体が、乾燥重量1mgあたり1μmol以上のヒドラジド基を有するポリマー粒子である、請求項1から23のいずれかに記載の製造方法。
【請求項25】
前記固相担体が、下記式(1)で表される構成単位を有するポリマー粒子である、請求項1から24のいずれかに記載の製造方法。
【化1】

[式(1)中、R1及びR2は同一又は異なり−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−及び−C(=O)NH−からなる群から選択される少なくとも一つが挿入されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素鎖を示し、R3、R4及びR5は同一又は異なり水素原子、メチル基、又は炭素数2〜5の炭化水素鎖を示し、mは、80〜99の数を示し、nは(100−m)の数を示す。]
【請求項26】
前記固相担体が、下記式(2)で表される構成単位を有するポリマー粒子である、請求項1から25のいずれかに記載の製造方法。
【化2】

[式(2)中、mは、80〜99の数を示し、nは(100−m)の数を示す。]
【請求項27】
前記複合糖質が、糖アミノ酸、糖ペプチド、糖タンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、グリコシルホスファチジルイノシトール、ペプチドグリカン、リポ多糖、及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項2から26のいずれかに記載の製造方法。
【請求項28】
請求項1から27のいずれかに記載の製造方法に用いる単糖分析用試料を調製するためのキットであって、
乾燥重量1mgあたり1μmol以上のヒドラジド基を有するポリマー粒子である固相担体、及び前記製造方法が記載された説明書を含む、キット。

【公開番号】特開2013−76649(P2013−76649A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217126(P2011−217126)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】