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単細胞の分化万能性幹細胞の培養
説明

単細胞の分化万能性幹細胞の培養

本発明は、分化万能性幹細胞培養の分野、および、産業レベルで分化万能性幹細胞培養を容易にするための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、分化万能性幹細胞培養の分野、および、産業レベルで分化万能性幹細胞培養を容易にするための方法に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
例えば胚性幹細胞のような分化万能性幹細胞は、あらゆる成熟細胞型へと分化する能力を有する。このように、胚性幹細胞は、疾患、感染、または先天性異常の結果、損傷された器官に対する置換細胞および置換組織の原料であるかもしれない。その細胞の分化万能性を維持しながらin vitroで細胞を増殖することが困難なため、胚性幹細胞が置換細胞の原料として用いられる可能性が妨げられている。
【0003】
未分化の胚性幹細胞を培養する従来方法は、例えば、支持細胞層の存在下で胚性幹細胞を培養することのような、複雑な培養条件を必要としている。あるいは、支持細胞培養物に曝すことにより入手された培地が、胚性幹細胞を培養するために用いられるかもしれない。これらの方法を用いる培養システムは、培養されるべき幹細胞とは異なる種から入手された細胞(異種細胞)をしばしば用いる。付加的に、これらの培養システムに、動物血清を補ってもよい。
【0004】
例えば、Reubinoff他(Nature Biotechnology 18: 399-404 (2000))、およびThompson他(Science 6 November 1998: Vol. 282. no. 5391, pp.1145-1147)が、マウスの胚線維芽細胞の支持細胞層を用いたヒト胚盤胞由来の胚性幹細胞株の培養を開示している。
【0005】
別の例では、国際公開第2005014799号が、哺乳類細胞の維持、増殖、および分化のための馴化培地を開示している。国際公開第2005014799号は、「本発明により作られる培養培地は、マウス細胞、特に、MMH(Met Murine Hepatocyte)と命名された、分化し不死化された形質転換肝細胞の細胞分泌活性により馴化される。」と述べている。
【0006】
しかしながら、異種細胞、または異種細胞産物の使用によって、このような方法で作られた結果的な胚性幹細胞集団が、免疫原性のウイルスタンパク質、および/または、異種タンパク質により汚染されているかもしれない危険性が高まる。
【0007】
Richards他(Stem Cells 21: 546-556, 2003)は、ヒト胚性幹細胞培養を支持する能力について、11個の成人、胎児、および新生児の異なる支持細胞層を評価した。Richards他は、「成人皮膚線維芽細胞支持細胞上で培養されたヒト胚性幹細胞株は、ヒト胚性幹細胞の形態を保有し、分化万能性のままである。」と述べている。
【0008】
米国特許第6642048号は、支持細胞を含まない培養において、霊長類分化万能性幹細胞(pPS)の成長を助ける培地、およびこのような培地を産生するために有用な細胞株を開示している。米国特許第6642048号は、「本発明には、胚性組織から得られたか、胚性幹細胞から分化した間葉系の線維芽様細胞株が含まれる。本開示では、このような細胞株を生み出し、培地を加工し、馴化培地を用いて幹細胞を成長させるための方法を説明し、例示する。」と述べている。
【0009】
米国特許出願公開第20020072117号は、細胞株であって、支持細胞を含まない培養で霊長類分化万能性幹細胞の成長を助ける培地を生み出すような細胞株を開示している。用いられた細胞株は、胚性組織から得られたか、胚性幹細胞から分化した間葉系の線維芽様細胞株である。米国特許出願公開第20020072117号はまた、初代支持細胞層としての細胞株の使用を開示している。
【0010】
別の例では、Wang他(Stem Cells 23: 1221-1227, 2005)が、ヒト胚性幹細胞由来の支持細胞層上で、ヒト胚性幹細胞を長期間成長させるための方法を開示している。
【0011】
別の例では、Xu他(Stem Cells 22: 972-980, 2004)が、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素を過剰発現するように遺伝子組換えしたヒト胚性幹細胞派生物から得られた馴化培地を開示している。
【0012】
別の例では、Stojkovic他(Stem Cells 2005 23: 306-314, 2005)が、ヒト胚性幹細胞の自発分化に由来した支持細胞システムを開示している。
【0013】
さらなる例では、Miyamoto他(Stem Cells 22: 433-440, 2004)が、ヒト胎盤から得られた支持細胞の原料を開示している。
【0014】
Amit他(Biol. Reprod 68: 2150-2156, 2003)は、ヒト包皮由来の支持細胞層を開示している。
【0015】
別の例では、Inzunza他(Stem Cells 23: 544-549, 2005)が、ヒト出生後包皮線維芽細胞由来の支持細胞層を開示している。
【0016】
別の培養システムは、胚性幹細胞の増殖を促進することができる成長因子(growth factor)を補った、血清を含まない培地を用いる。例えば、Cheon他(BioReprod DOI:10.1095/biolreprod.105.046870, October 19, 2005)が、支持細胞も血清も含まない培養システムを開示しており、そのシステムでは、未馴化の血清置換培地(SR)であって、胚性幹細胞の自己再生を引き起こすことができる異なる成長因子が補われた、血清置換培地中で、胚性幹細胞が維持される。
【0017】
別の例では、Levenstein他(Stem Cells 24: 568-574, 2006)が、線維芽細胞または馴化培地の不存在下で、bFGFを補った培地を用いて、ヒト胚性幹細胞を長期間培養するための方法を開示している。
【0018】
別の例では、米国特許出願公開第20050148070号が、血清も線維芽細胞支持細胞も含まない限定培地において、ヒト胚性幹細胞を培養する方法を開示しており、その方法は、アルブミン、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、少なくとも1つのトランスフェリンまたはトランスフェリン置換体、少なくとも1つのインスリンまたはインスリン置換体を含む培養培地で幹細胞を培養することであって、培養培地が本質的に哺乳類胎児血清を含まず、線維芽細胞成長因子シグナル伝達受容体を活性化することができる少なくとも約100ng/mLの線維芽細胞成長因子を含み、成長因子が線維芽細胞支持細胞層以外の原料から補われ、培地が、支持細胞または馴化培地なしに、未分化状態の幹細胞の増殖を助ける、幹細胞を培養することを含む。
【0019】
別の例では、米国特許出願公開第20050233446号が、未分化の霊長類始原幹細胞を含む幹細胞を培養するのに有用な限定培地を開示している。溶液において、培地は、培養されるべき幹細胞と比較して実質的に等張である。所与の培養において、特定の培地は、基礎培地と、始原幹細胞の実質的に未分化な成長を助けるのに必要な各量のbFGF、インスリン、およびアスコルビン酸とを含む。
【0020】
別の例では、米国特許第6800480号が「1つの実施態様では、実質的に未分化状態の霊長類由来の始原幹細胞を育てるための細胞培養培地であって、霊長類由来の始原幹細胞の成長を助けるのに効果的である低浸透圧低内毒素の基礎培地を含む、細胞培養培地が提供される。基礎培地は、霊長類由来の始原幹細胞の成長を助けるのに効果的な栄養血清と、支持細胞および支持細胞由来の細胞外マトリックス成分から成る群から選択される基質と組み合わされる。培地は、非必須アミノ酸と、抗酸化剤と、ヌクレオシドおよびピルビン酸塩から成る群から選択される第1の成長因子とをさらに含む。」と述べている。
【0021】
別の例では、米国特許出願公開第20050244962号が、「1つの態様では、本発明は、霊長類胚性幹細胞を培養する方法を提供する。哺乳類胎児血清を本質的に含まず(好ましくは、任意の動物血清を本質的に含まず)、線維芽細胞支持細胞層以外の原料から補われた線維芽成長因子の存在する培養において、幹細胞が培養される。好ましい形態において、従来幹細胞培養を持続するために必要とされていた線維芽細胞支持細胞層は、十分な線維芽細胞成長因子の添加により不必要になる。」と述べている。
【0022】
さらなる例では、国際公開第2005065354号が、本質的に支持細胞も血清も含まない規定の等張培養培地であって、(a)基礎培地と、(b)実質的に未分化の哺乳類幹細胞の成長を助けるのに十分な量のbFGFと、(c)実質的に未分化の哺乳類幹細胞の成長を助けるのに十分な量のインスリンと、(d)実質的に未分化の哺乳類幹細胞の成長を助けるのに十分な量のアスコルビン酸とを含む、培地を開示している。
【0023】
別の例では、国際公開第2005086845号が、未分化の幹細胞を維持するための方法を開示しており、その方法は、未分化状態の細胞を維持するのに十分な量のタンパク質の形質転換成長因子β(TGFβ)ファミリーの一員、タンパク質の線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーの一員、またはニコチンアミド(NIC)に、所望の結果を達成するのに十分な時間、幹細胞を曝すことを含む。
【0024】
胚性幹細胞は、研究および薬剤スクリーニングのための潜在的な資源を提供する。現在のところ、ヒトES細胞株の大規模培養は、問題があり、実質的な課題を提供する。これらの課題に対して可能性のある解決策は、ヒト胚性幹細胞を単細胞として継代し、培養することである。例えば、計数、トランスフェクション、および同様のものといった標準的な組織培養技術に、単細胞はより適している。
【0025】
例えば、Nicolas他は、レンチウイルスベクターによる遺伝子組換え後、蛍光標識細胞分取(FACS)により単離された単細胞から、hES細胞株を産生し増殖するための方法を提供する。Stem Cells and Development (2007), 16(1), 109-118参照。
【0026】
別の例では、米国特許出願公開第2005158852号が、「単細胞のヒト胚性幹細胞の成長及び生存を改善するための」方法を開示している。「その方法には、単細胞の未分化のHES細胞を入手する工程と、単細胞の未分化の細胞を細胞外マトリックス(ECM)と混合し、細胞を取り囲む工程と、成長環境で栄養培地とともに、支持細胞上にその混合物を播種する工程と、が含まれる。」
【0027】
別の例では、Sidhu, KS他(Stem Cells Dev. 2006 Feb; 15(1): 61-9)が、「フローサイトメトリーで単細胞調製物を分取することによる、親株hES3に由来する3つのヒト胚性幹細胞(hESC)クローン(hES3.1、3.2、および3.3)についての最初の報告を開示している。細胞分取前後の単細胞調製物の生存率は、98%を超えたままであった」。
【0028】
しかしながら、ヒト胚性幹細胞を単細胞として継代し培養することにより、遺伝子異常、および分化万能性消失が引き起こされる。培養条件は、分化万能性および遺伝的安定性の維持において重要である。概して、hES細胞株の継代は、手動で実施されるか、コラーゲナーゼ、リベラーゼ、またはディスパーゼのような酵素剤とともに実施される。
【0029】
例えば、Draper JS他は、「3つの独立したヒト胚性幹細胞株における、5つの独立した場合での第17染色体長腕の獲得を伴う核型変化」の存在について記している。(Nat Biotechnol. 2004 Jan;22(1):53-4. Epub 2003 Dec 7)
【0030】
別の例では、Buzzard他が、「我々は、1つの核型変化事象を検出したのみであった。・・・・用いた培養方法は、我々の結果といくつかの関連があるかもしれない。というのも、我々の方法は、他の大部分のグループが用いたものとはかなり異なっているからである。一般的に、先欠けピペットの角でコロニーをまず切除することにより、ヒトES細胞を7日後に継代する。・・・細胞分離の酵素的方法、または化学的方法を、この方法は全く伴わない。我々は、このことが、我々のhES細胞の相対的な細胞遺伝学的回復力を説明するかもしれないと推測する。」と述べている。(Nat Biotechnol. 2004 Apr; 22(4): 381-2; author reply 382)
【0031】
別の例では、Mitalipova MM他が、「バルク継代方法・・・は、培養における増殖継代後、異数性細胞集団を存続させうるが、より短期間(最大少なくとも15代継代)に、核型を危険に曝すことなく用いられてもよい。・・・、手動継代方法単独が提供できるよりも多い量のhES細胞を必要とする実験において、長期間の手動増殖条件後、その後、限定バルク継代をすることにより、hES細胞における正常核型を維持することが可能かもしれない。」と述べている。(Nat Biotechnol. 2005 Jan; 23(1): 19-20)
【0032】
別の例では、Heng BC他が、「結果は、2番目のプロトコル(ゆるやかなピペッティングを伴うトリプシン処理)が、1番目のプロトコル(スクラッチングを伴うコラーゲナーゼ処理)よりも、細胞の生存率に対してそれほど有害ではないということを示した。このことは同じく、より高い凍結解凍生存率を説明する。」と述べている。(Biotechnology and Applied Biochemistry (2007), 47(1), 33-37)
【0033】
別の例では、Hasegawa K.他が、「我々は、完全解離に耐性のあるhESCサブラインを確立した。これらの細胞は、高い再プレーティング効率を示し、高いクローニング効率をも示しており、3つの胚葉に分化する能力を維持している。」と述べている。(Stem Cells. 2006 Dec; 24(12): 2649-60. Epub 2006 Aug 24)
【0034】
〔発明の概要〕
本発明は、酵素を用いて単細胞として放出された分化万能性幹細胞の維持、継代、および分化のための方法を提供する。特に、本発明は、その後の分化万能性の消失、および染色体異常の獲得が全く存在しないような、単細胞として放出された分化万能性幹細胞の維持、継代、および分化のための方法を提供する。
【0035】
1つの実施態様では、本発明は、分化万能性幹細胞を分化させるための方法を提供し、その方法は、(a)分化万能性幹細胞をクラスターとして培養する工程と、(b)分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、(c)単細胞の分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、(d)細胞を分化させる工程と、を含む。
【0036】
1つの実施態様では、本発明は、分化万能性幹細胞を維持するための方法を提供し、その方法は、(a)分化万能性幹細胞を入手する工程と、(b)分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、(c)単細胞の分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、を含む。
【0037】
1つの実施態様では、本発明は、分化万能性幹細胞を継代するための方法を提供し、その方法は、(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手する工程と、(b)分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、(c)単細胞の分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、(d)単細胞の分化万能性幹細胞を増殖させる工程と、(e)単細胞の分化万能性幹細胞を放出する工程と、(f)単細胞の分化万能性幹細胞を新しい組織培養基質上に蒔く工程と、を含む。
【0038】
〔図面の簡単な説明〕
図1:MEF馴化培地中1:30のreduced growth factor MATRIGEL(商標)上で育てられたH9ccp33ヒトES細胞の4倍拡大図。
【0039】
図2:最終内胚葉を導くための分化処理後のCXCR4を発現する細胞の割合(%)。暗灰色:45〜55代継代のH1細胞クラスター(H1cc)による6つのDE分化実験の平均。黒色:47〜54代継代のH1単細胞(H1sc)による2つのDE分化実験の平均。白色:37〜55代継代のH9細胞クラスター(H9cc)による5つのDE分化実験の平均。明灰色:36〜48代継代のH9単細胞(H9sc)による3つのDE分化実験の平均。エラーバーは、反復実験の標準偏差を示す。
【0040】
図3:膵臓内分泌分化プロトコルに14日または17日曝した後のリアルタイムPCRによる遺伝子発現分析。(A)H9単細胞およびH9細胞クラスターを37代継代で分析した。(B)H1p47およびH9p37の細胞クラスターおよび単細胞の膵臓内胚葉段階への継続。14日および17日後のPdx1の発現。未処理細胞に対する指示マーカーの遺伝子発現を、各データセットについての値1として設定した。
【0041】
図4:MEF馴化培地中1:30reduced growth factor MATRIGEL(商標)上で育てられたH9scp22ヒトES単細胞の4倍拡大図。
【0042】
図5:hES細胞の分化万能性マーカー発現についてのFACSによる評価。X軸上に列記された指示マーカーについて陽性の細胞の割合(%)。
【0043】
図6:クラスターとして38回継代した後、単細胞として20代継代したH9hES単細胞の染色体標本。
【0044】
図7:最終内胚葉分化の間のH9単細胞およびH9細胞クラスターの比較。細胞を最終内胚葉分化プロトコルに曝した後のCXCR4について陽性の細胞の割合(%)を示す。H9sc−pについてはN=2、H9ccについてはN=5である。エラーバーは、反復実験の平均の標準偏差を示す。
【0045】
図8:H9単細胞(22代継代)を分化させた後の膵臓内胚葉マーカーにおける増加。膵臓内分泌分化の11日、14日、または17日後のリアルタイムPCRによる遺伝子発現分析を示す。14日および17日の値は、6ウェルプレートのうちの2つのウェルの平均である。
【0046】
図9:hES単細胞は、MEF上で分化することができる。FACSは、MEF支持細胞上で育てられ、最終内胚葉に分化したH1scp4細胞の結果である。最終内胚葉マーカーCXCR4(CD184)は、未分化細胞0%に対し、細胞のうちの89%で発現した(図5参照)。
【0047】
図10:hES単細胞(H9scp18)は、96ウェルフォーマットで、最終内胚葉へと分化することができる。Sox17陽性検出についての免疫蛍光データを示す。8つのウェルを、実験の間、MEF馴化培地で処理した:MEF培地。8つのウェルを、成分を含まない基礎分化培地で処理した:成分なし。8つのウェルの反復データセットを、各データバーについて平均した。全40個のウェルを、それぞれWnt3aまたはGsk3b阻害剤で処理し、各データセットについて平均した。エラーバーは、各反復セットについての標準偏差を示す。
【0048】
図11:hES単細胞(H9scp19)によるファーマコフォアスクリーニング。全13個の実験的な小分子化合物を、最終内胚葉分化プロトコルにおけるWnt3aを置換する能力について試験した。3つの有効な可能物を示す。データセットは、2つ以上のウェルにおけるSox17陽性細胞の平均を示す。MEF馴化培地または基礎培地により処理された細胞を、陰性対照として用いた。
【0049】
図12:H9p33hES細胞クラスターおよびH9p33単細胞間のトランスフェクション効率の評価。8μLのLipofectamine 200(Invitrogen;Carlesbad, CA)、および4μgDNA(黒色バー)または8μgDNA(灰色バー)を用いて、CMV−GFPを細胞にトランスフェクションした。
【0050】
図13:MEF上で育て、その後クラスターまたは単細胞としてMATRIGEL(商標)へと継代したH1hES細胞の位相顕微鏡写真。MEFからMATRIGEL(商標)へと、コラーゲナーゼにより継代した37代継代のH1hES細胞は、いくつかのゆるく分化した細胞とともに別々の密接に固まったコロニーを形成する。Accutase(商標)またはTrypLE(商標)により1回継代したH1hES細胞は、密接に固まった分化細胞のポケットを伴う単層の培養物を形成する。
【0051】
図14:MEFから、単細胞として直接MATRIGEL(商標)へと継代したH1hES細胞は、自発的に分化する。パネルA:MEFからMATRIGEL(商標)へのAccutase(商標)による2代継代後も集団のままである細胞の割合(%)。パネルB:MEFからMATRIGEL(商標)へのAccutase(商標)による2代継代後のhES細胞での分化万能性および分化についてのマーカー発現。パネルC:MEFからMATRIGEL(商標)へのAccutase(商標)による2代継代後のH1hES細胞の位相顕微鏡写真。
【0052】
〔発明の詳細な説明〕
開示を明確にするために、しかし限定を目的とするものではないが、発明の詳細な説明を、本発明の特定の特徴、実施態様、または適用を開示し例示している以下のサブセクションに分割する。
【0053】
●定義
幹細胞は、自己再生するとともに、子孫細胞を産生するために分化することができるような、単細胞レベルでの能力により規定される未分化細胞であり、自己再生性子孫細胞、非再生性子孫細胞、および最終分化細胞が含まれる。幹細胞はまた、in vitroで、多様な胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)から様々な細胞系統の機能性細胞へと分化する能力によっても特徴付けられ、移植後、多様な胚葉の組織を生じる能力や、胚盤胞への注入後、すべてとは限らないが、実質的にほとんどの組織に寄与する能力によっても特徴付けられる。
【0054】
幹細胞は発生能力に応じて、以下のように分類される。(1)すべての胚性細胞型および胚外性細胞型を生み出すことができることを意味する、分化全能性(totipotent)、(2)すべての胚性細胞型を生み出すことができることを意味する、分化万能性(pluripotent)、(3)すべてではないが特定の組織、器官、または生理系内の細胞系統のサブセットを生み出すことができることを意味する、分化多能性(multipotent)[例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSC(自己再生)、血液細胞に限定された複分化性前駆体、ならびに血液の正常成分であるすべての細胞型および要素(例えば、血小板)を含む子孫細胞を生み出すことができる。]、(4)分化多能性幹細胞よりも限定された細胞系統のサブセットを生み出すことができることを意味する、複分化性(oligopotent)、(5)単一の細胞系統(例えば、精原幹細胞)を生み出すことができることを意味する、単分化性(unipotent)である。
【0055】
分化は、まだ特殊化されていない(「まだコミットしていない」)細胞、またはあまり特殊化されていない細胞が、例えば神経細胞または筋細胞のような、特殊化された細胞の特徴を獲得する過程である。分化した細胞、または分化を誘導された細胞は、細胞系統内のより特殊化された(「コミットした」)地位に就いたものである。用語「コミットした」とは、分化過程に適用される場合、分化経路をある時点まで進んだ細胞をいい、その時点とは、通常環境下で、特殊な細胞型または細胞型のサブセットへと分化し続けるだろうが、通常環境下で、異なる細胞型へと分化することができず、または、あまり分化していない細胞型へと戻ることができない時点である。脱分化とは、細胞系統内のあまり特殊化していない(すなわち、あまりコミットしていない)地位へと戻る過程をいう。本願で用いるように、細胞系統とは、細胞の遺伝的性質(すなわち、細胞がどの細胞に由来するか、どんな細胞を生み出すことができるか)を規定する。細胞系統は、発生および分化の遺伝的スキーム内に細胞を配置する。系統特異的マーカーとは、目的の細胞系統の表現型と特異的に関連付けられる特徴をいい、まだコミットしていない細胞の目的の系統に対する分化を評価するために用いられ得る。
【0056】
培養における細胞を説明するために、様々な用語が用いられる。「維持」とは、概して、細胞の成長および/または分裂を促進するが、細胞のより大きな集団を結果的に生じさせるかもしれないし、生じさせないかもしれないような条件下で、成長培地に細胞を置くことをいう。「継代」とは、ある培養容器から細胞を取り除き、細胞成長および/または分裂を促進するような条件下で、それらをその次の培養容器に置く過程をいう。
【0057】
特異的な細胞集団、または細胞株とは、時折、継代されてきた回数をいい、または、その回数で特徴付けられる。たとえば、10回継代されてきた培養細胞集団を、P10培養と呼んでもよい。初代培養(すなわち、組織から細胞を単離した後の最初の培養)を、P0と表す。最初の継代培養後、その細胞を二次培養(P1または1代継代)という。2回目の継代培養後、その細胞は三次培養(P2または2代継代)となる。以下同様である。本分野の当業者には、継代中に多くの集団倍化があるかもしれず、したがって、培養の集団倍化数は、継代数よりも多いということが理解されるだろう。継代の間の期間中の細胞増殖(すなわち、集団倍化数)は、多くの因子に依存し、その因子には、播種密度、基質、培地、成長条件、および継代間の時間が含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
本願で用いられる「AFP」または「alpha-fetoprotein protein(α−フェトプロテインタンパク質)」とは、肝臓発生のはじまりに産生される抗原をいう。また、AFPは、胚外細胞で発現するかもしれない。
【0059】
「β細胞系統」とは、転写因子PDX−1と、以下の転写因子のうちの少なくとも1つとについて遺伝子発現が陽性の細胞をいう。その転写因子とは、NGN−3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、Isl−1、HNF−3β、MAFA、Pax4、およびPax6である。β細胞系統に特異的なマーカーを発現する細胞には、β細胞が含まれる。
【0060】
本願で用いられる「Brachyury」とは、T−ボックス遺伝子ファミリーの一員である。それは、原条および中胚葉細胞についてのマーカーである。
【0061】
本願で用いられる「最終内胚葉系に特徴的なマーカーを発現する細胞」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞をいう。そのマーカーとは、SOX−17、GATA−4、HNF−3β、GSC、Cer1、Nodal、FGF8、Brachyury、Mix-like homeobox protein、FGF4、CD48、eomesodermin(EOMES)、DKK4、FGF17、GATA−6、CXCR4、C−Kit、CD99、またはOTX2である。最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞には、原条前駆細胞、原条細胞、中内胚葉細胞、および最終内胚葉細胞が含まれる。
【0062】
本願で用いられる「CD99」とは、アクセッション番号NM_002414の遺伝子によりコードされるタンパク質である。
【0063】
本願で用いられる「膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞をいう。そのマーカーとは、PDX−1、HNF−1β、PTF−1α、HNF−6、またはHB9である。膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞には、膵臓内胚葉細胞が含まれる。
【0064】
本願で用いられる「膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞をいう。そのマーカーとは、NGN−3、NeuroD、Islet-1、PDX−1、NKX6.1、Pax−4、Ngn−3、またはPTF−1αである。膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞には、膵臓内分泌細胞、膵臓ホルモン発現細胞、および、膵臓ホルモン分泌細胞、ならびにβ細胞系統の細胞が含まれる。
【0065】
本願で用いられる「CXCR4」とは、stromal cell-derived factor 1(SDF−1)receptor(ストロマ細胞由来因子1受容体)をいい、「LESTR」または「fusin(フーシン)」としても知られている。原腸形成したマウス胚において、CXCR4は、最終内胚葉および中胚葉で発現するが、胚外内胚葉では発現しない。
【0066】
本願で用いられる「最終内胚葉(Definitive endoderm)」とは、原腸形成中に胚盤葉上層から生じた細胞の特徴を有し、胃腸管およびその派生物を形成するような細胞をいう。最終内胚葉は、以下のマーカーを発現する。そのマーカーは、CXCR4、HNF−3β、GATA−4、SOX−17、Cerberus、OTX2、goosecoid、c−Kit、CD99、およびMixl1である。
【0067】
本願で用いられる「胚外内胚葉」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞集団をいう。そのマーカーは、SOX−7、AFP、およびSPARCである。
【0068】
「GATA−4」および「GATA−6」は、GATA転写因子ファミリーの一員である。この転写因子ファミリーは、TGF−βシグナル伝達により誘導され、初期内胚葉マーカーの維持に貢献する。
【0069】
本願で用いられる「GLUT−2」とは、膵臓、肝臓、腸、脳、および腎臓を含む数多くの胎児組織および成人組織で発現するグルコース輸送体分子をいう。
【0070】
本願で用いられる「goosecoid」または「GSC」とは、原口の原口背唇で発現するホメオドメイン転写因子をいう。
【0071】
本願で用いられる「Islet-1」または「Isl−1」は、転写因子のLIM/ホメオドメインファミリーの一員であり、発生中の膵臓で発現する。
【0072】
本願で用いられる「MafA」は、膵臓で発現する転写因子であり、インスリンの生合成や分泌に関わる遺伝子の発現を制御する。
【0073】
本願で用いられる「マーカー」は、目的の細胞において差異のある発現をする核酸、またはポリペプチド分子である。本内容において、差異のある発現とは、陽性マーカーについては、増加したレベルを意味し、陰性マーカーについては、低下したレベルを意味する。マーカー核酸またはポリペプチドの検出可能なレベルは、目的の細胞において、他の細胞と比較して十分に高いものであるか、低いものであり、その結果、本分野で既知の、任意の様々な方法を用いて、目的の細胞を同定し、他の細胞と区別することができる。
【0074】
本願で用いられる「中内胚葉細胞」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞をいう。そのマーカーは、CD48、eomesodermin(EOMES)、SOX−17、DKK4、HNF−3β、GSC、FGF17、GATA−6である。
【0075】
本願で用いられる「Nodal」は、タンパク質のTGFβスーパーファミリーの一員である。
【0076】
「Oct−4」は、POUドメイン転写因子の一員であり、分化万能性幹細胞の特徴として広く考えられている。分化万能性幹細胞に対するOct−4の関係は、未分化の分化万能性幹細胞に密接に限定された発現により示される。体細胞系統への分化の際、Oct−4の発現は急速に消失する。
【0077】
本願で用いられる「膵臓内分泌細胞」または「膵臓ホルモン発現細胞」とは、以下のホルモンの少なくとも1つを発現することができる細胞をいう。そのホルモンは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、および膵臓ポリペプチドである。
【0078】
本願で用いられる「膵臓ホルモン分泌細胞」は、以下のホルモンのうちの少なくとも1つを分泌することができる細胞をいう。そのホルモンは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、および膵臓ポリペプチドである。
【0079】
本願で用いられる「Pax−4」および「Pax−6」は、膵島発生と関連する膵臓β細胞特異的転写因子である。
【0080】
本願で用いられる「PDX−1」とは、膵臓発生と関連するホメオドメイン転写因子をいう。
【0081】
本願で用いられる「前原条細胞」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞をいう。そのマーカーは、NodalまたはFGF8である。
【0082】
本願で用いられる「原条細胞」とは、以下のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞をいう。そのマーカーとは、Brachyury、Mix-like homeobox protein、またはFGF4である。
【0083】
本願で用いられる「PTF−1α」とは、三量体のpancreas transcription factor-1(PTF1)(膵臓転写因子1)の配列特異的DNA結合サブユニットである、48kDの基本的なヘリックス−ループ−ヘリックスタンパク質をいう。
【0084】
本願で用いられる「SPARC」は、「secreted protein acidic and rich in cystein(酸性でシステインリッチな分泌性タンパク質)」としても知られている。
【0085】
「SSEA−1」[Stage Specific Embryonic Antigen-1(ステージ特異的胚性抗原1)]は、マウスのテラトカルシノーマ幹細胞(EC)、マウスおよびヒトの胚性胚細胞(EG)、およびマウスの胚性幹細胞(ES)の表面に存在する糖脂質表面抗原である。
【0086】
「SSEA−3」[Stage Specific Embryonic Antigen-3(ステージ特異的胚性抗原3)]は、ヒトのテラトカルシノーマ幹細胞(EC)、ヒトの胚性胚細胞(EG)、およびヒトの胚性幹細胞(ES)の表面に存在する糖脂質表面抗原である。
【0087】
「SSEA−4」[Stage Specific Embryonic Antigen-4(ステージ特異的胚性抗原4)]は、ヒトのテラトカルシノーマ幹細胞(EC)、ヒトの胚性胚細胞(EG)、およびヒトの胚性幹細胞(ES)の表面に存在する糖脂質表面抗原である。
【0088】
「TRA1−60」は、ヒトのテラトカルシノーマ幹細胞(EC)、ヒトの胚性胚細胞(EG)、およびヒトの胚性幹細胞(ES)の表面に発現される硫酸ケラチン関連抗原である。
【0089】
「TRA1−81」は、ヒトのテラトカルシノーマ幹細胞(EC)、ヒトの胚性胚細胞(EG)、およびヒトの胚性幹細胞(ES)の表面に発現されるケラチン硫酸関連抗原である。
【0090】
「TRA2−49」は、ヒトのテラトカルシノーマ幹細胞(EC)、およびヒトの胚性幹細胞(ES)の表面で発現するアルカリホスファターゼアイソザイムである。
【0091】
本発明は、酵素を用いて、単細胞として放出された分化万能性幹細胞の維持、継代、および分化のための方法を提供する。特に、本発明は、その後の分化万能性の消失、および染色体異常の獲得が全くないような、単細胞として放出された分化万能性幹細胞の維持、継代、および分化のための方法を提供する。
【0092】
1つの実施態様では、本発明は、分化万能性幹細胞を分化させるための方法を提供し、その方法は、(a)分化万能性幹細胞をクラスターとして培養する工程と、(b)分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、(c)単細胞の分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、(d)単細胞の分化万能性幹細胞を分化させる工程と、を含む。
【0093】
分化万能性幹細胞のクラスターは、酵素処理により単細胞として放出されてもよい。酵素処理は、TrypLE(商標)Express、あるいはTrypLE(商標)Select、あるいはトリプシン、あるいはトリプシン/EDTAによるものであってもよい。
【0094】
酵素処理は、約2分〜約5分間であってもよい。あるいは、酵素処理は、約5分間である。
【0095】
酵素は、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度で用いられてもよい。
【0096】
1つの実施態様では、分化万能性幹細胞のクラスターは、TrypLE(商標)EXPRESSを用いて、単細胞として放出される。
【0097】
1つの実施態様では、分化万能性幹細胞は胚性幹細胞である。別の実施態様では、胚性幹細胞はヒト由来である。
【0098】
1つの実施態様では、放出された単細胞の分化万能性細胞は、組織培養基質上に蒔かれる。基質はMATRIGEL(商標)であってもよいし、あるいは、基質はフィブロネクチンであってもよいし、あるいは、基質はラミニンであってもよいし、あるいは、基質はヒト血清であってもよいし、あるいは、基質はコラーゲンであってもよい。
【0099】
1つの実施態様では、放出された単細胞の分化万能性細胞は、三次元支持体上に蒔かれる。支持体は、少なくとも1つの薬剤であって、放出された単細胞の分化万能性細胞の生存および機能を促進するような薬剤とともに組み込まれてもよい。本発明の目的のための使用に適した支持体材料には、泡、スポンジ、ゲル、ヒドロゲル、織物、および不織状構造物の形態の、合成材料および天然材料が含まれる。
【0100】
1つの実施態様では、組織培養基質は、MATRIGEL(商標)である。MATRIGEL(商標)は、約1:30〜約1:10希釈で用いられてもよい。1つの実施態様では、MATRIGEL(商標)は、1:10希釈で用いられる。
【0101】
単細胞の分化万能性幹細胞は、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。あるいは、単細胞の分化万能性幹細胞は、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。あるいは、単細胞の分化万能性幹細胞は、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0102】
1つの実施態様では、本発明は、分化万能性幹細胞を維持するための方法を提供し、その方法は、(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手する工程と、(b)分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、(c)単細胞の分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、を含む。
【0103】
分化万能性幹細胞のクラスターは、酵素処理により、単細胞として放出されてもよい。酵素処理は、TrypLE(商標)Express、あるいはTrypLE(商標)Select、あるいはトリプシン、あるいはトリプシン/EDTAによるものであってもよい。
【0104】
酵素処理は、約2分〜約5分間であってもよい。あるいは、酵素処理は、約5分間である。
【0105】
酵素は、約0.5g/L〜2.5g/Lの濃度で用いられてもよい。
【0106】
1つの実施態様では、分化万能性幹細胞のクラスターは、TrypLE(商標)EXPRESSを用いて、単細胞として放出される。
【0107】
1つの実施態様では、分化万能性幹細胞は胚性幹細胞である。別の実施態様では、胚性幹細胞はヒト由来である。
【0108】
1つの実施態様では、放出された単細胞の分化万能性細胞は、組織培養基質上に蒔かれる。基質はMATRIGEL(商標)であってもよいし、あるいは、基質はgrowth factor-reduced MATRIGEL(商標)であってもよいし、あるいは、基質はフィブロネクチンであってもよいし、あるいは、基質はラミニンであってもよいし、あるいは、基質はヒト血清であってもよいし、あるいは、基質はコラーゲンであってもよい。
【0109】
1つの実施態様では、放出された単細胞の分化万能性細胞は、三次元支持体上に蒔かれる。支持体は、少なくとも1つの薬剤であって、放出された単細胞の分化万能性細胞の生存および機能を促進するような薬剤とともに組み込まれてもよい。本発明の目的のための使用に適した支持体材料には、泡、スポンジ、ゲル、ヒドロゲル、織物、および不織状構造物の形態の、合成材料および天然材料が含まれる。
【0110】
1つの実施態様では、組織培養基質は、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)である。Growth factor-reduced MATRIGEL(商標)は、約1:30〜約1:10希釈で用いられてもよい。1つの実施態様では、MATRIGEL(商標)は、1:30希釈で用いられる。
【0111】
単細胞の分化万能性幹細胞は、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。あるいは、単細胞の分化万能性幹細胞は、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。あるいは、単細胞の分化万能性幹細胞は、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0112】
1つの実施態様では、本発明は、分化万能性幹細胞を継代するための方法を提供し、その方法は、(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手することと、(b)分化万能性幹細胞を単細胞として放出することと、(c)単細胞の分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔くことと、(d)単細胞の分化万能性幹細胞を増殖させることと、(e)単細胞の分化万能性幹細胞を放出することと、(f)単細胞の分化万能性幹細胞を新しい組織培養基質上に蒔くことと、を含む。
【0113】
分化万能性幹細胞のクラスターは、酵素処理により、単細胞として放出されてもよい。酵素処理は、TrypLE(商標)Express、あるいはTrypLE(商標) Select、あるいはトリプシン、あるいはトリプシン/EDTAによるものであってもよい。
【0114】
酵素処理は、約2分〜約5分間であってもよい。あるいは、酵素処理は、約5分間である。酵素は、約0.5g/L〜2.5g/L酵素の濃度で用いられてもよい。
【0115】
1つの実施態様では、分化万能性幹細胞のクラスターは、TrypLE(商標)EXPRESSを用いて、単細胞として放出される。
【0116】
1つの実施態様では、単細胞の分化万能性細胞は、細胞を再び新しい組織培養基質上への酵素的な継代を行う前に、約70〜80%の密度まで育てられる。単細胞の分化万能性幹細胞を1回継代してもよいし、本発明の方法を用いて、1回よりも多く継代してもよい。
【0117】
1つの実施態様では、分化万能性幹細胞は、胚性幹細胞である。別の実施態様では、胚性幹細胞は、ヒト由来である。
【0118】
1つの実施態様では、放出された単細胞の分化万能性細胞は、組織培養基質上に蒔かれる。基質はMATRIGEL(商標)であってもよいし、あるいは、基質はgrowth factor-reduced MATRIGEL(商標)であってもよいし、あるいは、基質はフィブロネクチンであってもよいし、あるいは、基質はラミニンであってもよいし、あるいは、基質はヒト血清であってもよいし、あるいは、基質はコラーゲンであってもよい。
【0119】
1つの実施態様では、放出された単細胞の分化万能性細胞は、三次元支持体上に蒔かれる。支持体は、少なくとも1つの薬剤であって、放出された単細胞の分化万能性細胞の生存および機能を促進するような薬剤とともに組み込まれてもよい。本発明の目的のための使用に適した支持体材料には、泡、スポンジ、ゲル、ヒドロゲル、織物、および不織状構造物の形態の、合成材料および天然材料が含まれる。
【0120】
1つの実施態様では、組織培養基質は、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)である。Growth factor-reduced MATRIGEL(商標)は、約1:30〜約1:10希釈で用いられてもよい。1つの実施態様では、MATRIGEL(商標)は、1:30希釈で用いられる。
【0121】
●分化万能性幹細胞の単離、増殖、および培養のための他の方法
○分化万能性幹細胞の特徴づけ
分化万能性幹細胞は、stage-specific embryonic antigens(SSEA)3および4、ならびにTra−1−60およびTra−1−81に対して設計された抗体を用いて検出可能なマーカーのうちの1つ以上を発現してもよい(Thomson他、Science 282:1145, 1998)。分化万能性幹細胞のin vitroでの分化により、結果的に、(もし存在するならば)SSEA−4、Tra−1−60、およびTra−1−81の発現が消失し、SSEA−1の発現が高まる。一般的に、未分化の分化万能性細胞は、アルカリホスファターゼ活性を有し、その活性は、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、その後、業者(Vector Laboratories;Burlingame Calif)が説明しているとおり、Vector Redを基質として染色することにより検出することができる。また、未分化の分化万能性幹細胞は一般的に、Oct−4およびTERTを発現し、これはRT−PCRにより検出される。
【0122】
増殖された分化万能性幹細胞の望ましい別の表現型は、3つの胚葉すべて(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の細胞へと分化する能力である。幹細胞の分化万能性は、たとえば、重症複合免疫不全(SCID)マウスに細胞を注入し、4%パラホルムアルデヒドを用いて生じたテラトーマを固定し、その後、3つの胚葉に由来する細胞型のエビデンスについて、それらを組織学的に試験することによって、確認することができる。あるいは、分化万能性は、胚様体を作り出し、3つの胚葉に関係するマーカーの存在について、その胚様体を評価することにより、決定されてもよい。
【0123】
増殖された分化万能性幹細胞株を、標準的なGバンド法を用いて、核型決定してもよいし、対応する霊長類種の公知の核型と比較してもよい。「正常な核型」を有する細胞を入手することが望ましく、「正常な核型」とは、細胞が正倍数性であり、すべてのヒト染色体が存在し、著しく変化していないということを意味する。
【0124】
○分化万能性幹細胞の原料
用いられてもよい分化万能性幹細胞の種類には、妊娠後に形成された組織に由来する、確立された分化万能性幹細胞株が含まれる。その組織は、前胚性組織(例えば、胚盤胞)、胚性組織、または、妊娠中の任意の時(一般的に、妊娠約10〜12週目の前だが、必ずしもこれに限らない)に採取された胎児組織を含む。非限定的な例は、たとえば、ヒト胚性幹細胞株H1、H7、およびH9(WiCell)といったヒト胚性幹細胞またはヒト胚性胚細胞の確立された株である。また、このような細胞の初期の確立または安定化の間に本開示の組成物を使用することも考慮すべきである。この場合、原料細胞は、原料組織から直接採取された初代分化万能性細胞である。また、支持細胞の不存在下ですでに培養された分化万能性幹細胞集団から採取された細胞も適切である。また、たとえばBG01v(BresaGen;Athens, GA)のような変異ヒト胚性幹細胞株も適切である。
【0125】
1つの実施態様では、ヒト胚性幹細胞を、Thomson他(米国特許第5,843,780号;Science 282:1145, 1998;Curr. Top. Dev. Biol. 38:133 ff., 1998;Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92:7844, 1995)で説明されたように準備する。
【0126】
○分化万能性幹細胞の培養
1つの実施態様では、一般的に、分化万能性幹細胞は、様々なやり方で分化万能性幹細胞を支持する支持細胞層上で培養される。あるいは、分化万能性幹細胞は、培養システムであって、本質的に支持細胞を含まないにもかかわらず、実質的な分化を経験することなく、かつ、分化万能性幹細胞の増殖を助けるような培養システム上で培養される。支持細胞を含まず分化しない培養における分化万能性幹細胞の成長は、それまでに別の細胞型で培養することにより馴化された培地を用いることで、助けられる。あるいは、支持細胞を含まず分化しない培養における分化万能性幹細胞の成長は、化学的に規定された培地を用いることで助けられる。
【0127】
例えば、Reubinoff他(Nature Biotechnology 18: 399-404 (2000))、およびThompson他(Science 6 November 1998: Vol. 282. no. 5391, pp.1145-1147)が、マウスの胚線維芽細胞の支持細胞層を用いたヒト胚盤胞由来の分化万能性幹細胞株の培養を開示している。
【0128】
Richards他(Stem Cells 21: 546-556, 2003)は、ヒト胚性幹細胞培養を支持する能力について、11個の成人、胎児、および新生児の異なる支持細胞層を評価した。Richards他は、「成人皮膚線維芽細胞支持細胞上で培養されたヒト胚性幹細胞株は、ヒト胚性幹細胞の形態を保有し、分化万能性のままである。」と述べている。
【0129】
米国特許出願公開第20020072117号は、細胞株であって、支持細胞を含まない培養で霊長類分化万能性幹細胞の成長を助ける培地を生み出すような細胞株を開示している。用いられた細胞株は、胚性組織から得られたか、胚性幹細胞から分化した間葉系の線維芽様細胞株である。米国特許出願公開第20020072117号はまた、初代支持細胞層としての細胞株の使用を開示している。
【0130】
別の例では、Wang他(Stem Cells 23: 1221-1227, 2005)が、ヒト胚性幹細胞由来の支持細胞層上で、ヒト分化万能性幹細胞を長期間成長させるための方法を開示している。
【0131】
別の例では、Stojkovic他(Stem Cells 2005 23: 306-314, 2005)が、ヒト胚性幹細胞の自発分化に由来した支持細胞システムを開示している。
【0132】
さらなる例では、Miyamoto他(Stem Cells 22: 433-440, 2004)が、ヒト胎盤から得られた支持細胞の原料を開示している。
【0133】
Amit他(Biol. Reprod 68: 2150-2156, 2003)は、ヒト包皮由来の支持細胞層を開示している。
【0134】
別の例では、Inzunza他(Stem Cells 23: 544-549, 2005)が、ヒト出生後包皮線維芽細胞由来の支持細胞層を開示している。
【0135】
米国特許第6642048号は、支持細胞を含まない培養において、霊長類分化万能性幹細胞(pPS)の成長を助ける培地、およびこのような培地を産生するために有用な細胞株を開示している。米国特許第6642048号は、「本発明には、胚性組織から得られたか、胚性幹細胞から分化した間葉系の線維芽様細胞株が含まれる。本開示では、このような細胞株を生み出し、培地を加工し、馴化培地を用いて幹細胞を成長させるための方法を説明し、例示する。」と述べている。
【0136】
別の例では、国際公開第2005014799号が、哺乳類細胞の維持、増殖、および分化のための馴化培地を開示している。国際公開第2005014799号は、「本発明により作られる培養培地は、マウス細胞、特に、MMH(Met Murine Hepatocyte)と命名された、分化し不死化された形質転換肝細胞の細胞分泌活性により馴化される。」と述べている。
【0137】
別の例では、Xu他(Stem Cells 22: 972-980, 2004)が、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素を過剰発現するように遺伝子組換えしたヒト胚性幹細胞派生物から得られた馴化培地を開示している。
【0138】
別の例では、米国特許出願公開第20070010011号が、分化万能性幹細胞を維持するための化学的に規定された培養培地を開示している。
【0139】
別の培養システムは、胚性幹細胞の増殖を促進することができる成長因子(growth factor)を補った、血清を含まない培地を用いる。例えば、Cheon他(BioReprod DOI:10.1095/biolreprod.105.046870, October 19, 2005)が、支持細胞も血清も含まない培養システムを開示しており、そのシステムでは、未馴化の血清置換培地(SR)であって、胚性幹細胞の自己再生を引き起こすことができる異なる成長因子が補われた血清置換培地中で、胚性幹細胞が維持される。
【0140】
別の例では、Levenstein他(Stem Cells 24: 568-574, 2006)が、線維芽細胞または馴化培地の不存在下で、bFGFを補った培地を用いて、ヒト胚性幹細胞を長期間培養するための方法を開示している。
【0141】
別の例では、米国特許出願公開第20050148070号が、血清も線維芽細胞支持細胞も含まない限定培地において、ヒト胚性幹細胞を培養する方法を開示しており、その方法は、アルブミン、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、少なくとも1つのトランスフェリンまたはトランスフェリン置換体、少なくとも1つのインスリンまたはインスリン置換体を含む培養培地で幹細胞を培養することであって、培養培地が本質的に哺乳類胎児血清を含まず、線維芽細胞成長因子シグナル伝達受容体を活性化することができる少なくとも約100ng/mLの線維芽細胞成長因子を含み、成長因子が線維芽細胞支持細胞層以外の原料から補われ、培地が支持細胞または馴化培地なしに、未分化状態の幹細胞の増殖を助ける、幹細胞を培養することを含む。
【0142】
別の例では、米国特許出願公開第20050233446号が、未分化の霊長類始原幹細胞を含む幹細胞を培養するのに有用な限定培地を開示している。溶液において、培地は、培養されるべき幹細胞と比較して実質的に等張である。所与の培養において、特定の培地は、基礎培地と、始原幹細胞の実質的に未分化な成長を助けるのに必要な各量のbFGF、インスリン、およびアスコルビン酸とを含む。
【0143】
別の例では、米国特許第6800480号が「1つの実施態様では、実質的に未分化状態の霊長類由来の始原幹細胞を育てるための細胞培養培地であって、霊長類由来の始原幹細胞の成長を助けるのに効果的である低浸透圧低内毒素の基礎培地を含む細胞培養培地が、提供される。基礎培地は、霊長類由来の始原幹細胞の成長を助けるのに効果的な栄養血清と、支持細胞および支持細胞由来の細胞外マトリックス成分から成る群から選択される基質と組み合わされる。培地は、非必須アミノ酸と、抗酸化剤と、ヌクレオシドおよびピルビン酸塩から成る群から選択される第1の成長因子とをさらに含む。」と述べている。
【0144】
別の例では、米国特許出願公開第20050244962号が、「1つの態様では、本発明は、霊長類胚性幹細胞を培養する方法を提供する。哺乳類胎児血清を本質的に含まず(好ましくは、任意の動物血清を本質的に含まず)、線維芽細胞支持細胞層以外の原料から補われた線維芽成長因子の存在する培養において、幹細胞が培養される。好ましい形態において、従来幹細胞培養を持続するために必要とされていた線維芽細胞支持細胞層は、十分な線維芽細胞成長因子の添加により不必要になる。」と述べている。
【0145】
さらなる例では、国際公開第2005065354号が、本質的に支持細胞も血清も含まない規定の等張培養培地であって、(a)基礎培地と、(b)実質的に未分化の哺乳類幹細胞の成長を助けるのに十分な量のbFGFと、(c)実質的に未分化の哺乳類幹細胞の成長を助けるのに十分な量のインスリンと、(d)実質的に未分化の哺乳類幹細胞の成長を助けるのに十分な量のアスコルビン酸と、を含む培地を開示している。
【0146】
別の例では、国際公開第2005086845号が、未分化の幹細胞を維持するための方法を開示しており、その方法は、未分化状態の細胞を維持するのに十分な量のタンパク質の形質転換成長因子β(TGFβ)ファミリーの一員、タンパク質の線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーの一員、またはニコチンアミド(NIC)に、所望の結果を達成するのに十分な時間、幹細胞を曝すことを含む。
【0147】
分化万能性幹細胞は、適切な培養基質上に蒔かれてもよい。1つの実施態様では、適切な基質は、たとえば、基底膜に由来するか、接着分子受容体−リガンド結合の一部を形成してもよいような細胞外マトリックス成分である。1つの実施態様では、適切な培養培地は、MATRIGEL(商標)(Becton Dickenson)である。MATRIGEL(商標)は、Engelbreth-Holm-Swarm腫瘍細胞由来の可溶性調製物であり、室温でゲル化して、再構成された基底膜を形成する。
【0148】
他の細胞外マトリックス成分、および成分混合物が、代替物として適している。増殖されるべき細胞型に応じて、これには、ラミニン、フィブロネクチン、エンタクチン、ヘパラン硫酸、および同様のものが単独で、あるいは様々な組み合わせで含まれてよい。
【0149】
分化万能性幹細胞を、適切な分布で、また、望ましい特徴の細胞生存、増殖、および保持を促進する培地の存在下で、基質上に蒔いてもよい。これらの特徴すべてが、播種分布に注意深く配慮することにより利益を得るし、本分野の当業者により容易に決定されることができる。
【0150】
適切な培養培地は、以下の成分から作られてもよい。その成分はたとえば、Dulbecco's modified Eagle's medium(DMEM)(Gibco # 11965-092)(ダルベッコ変法イーグル培地)、Knockout Dulbecco's modified Eagle's medium(KO DMEM)(Gibco # 10829-018)(ノックアウトダルベッコ変法イーグル培地)、Ham's F12/50% DMEM basal medium; 200 mM L-glutamine(Gibco # 15039-027)(ハムF12/50%基礎培地;200mM L−グルタミン)、non-essential amino acid solution(Gibco 11140-050)(非必須アミノ酸溶液)、β- mercaptoethanol(Sigma # M7522)(β−メルカプトエタノール);human recombinant basic fibroblast growth factor(bFGF)(Gibco # 13256-029)(ヒト組換え基礎線維芽細胞成長因子)である。
【0151】
●分化万能性幹細胞の分化
本発明の1つの実施態様では、分化万能性を維持しながら、分化万能性幹細胞を培地で増殖する。経時的な細胞の分化万能性の変化は、分化万能性に関連するマーカーの発現レベルの変化を検出することで決定できる。あるいは、分化万能性の変化は、別の細胞型と関連した分化、またはマーカーと関連したマーカーの発現レベルの変化を検出することによって観察することができる。
【0152】
別の実施態様では、分化万能性幹細胞を培養で増殖し、その後、別の細胞型への分化を促進するようなやり方で処理する。他の細胞型は、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。あるいは、細胞型は、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。あるいは、細胞型は、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。あるいは、細胞型は、β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞であってもよい。
【0153】
本発明の方法にしたがって処理された分化万能性幹細胞は、本分野における任意の適切な方法により、他の様々な細胞型へと分化してもよい。たとえば、本発明の方法にしたがって処理された分化万能性幹細胞は、神経細胞、心臓細胞、肝細胞、および同様のものへと分化してもよい。
【0154】
たとえば、本発明の方法にしたがって処理された分化万能性幹細胞は、国際公開第2007030870号に記載の方法にしたがって、神経前駆細胞、および心筋細胞へと分化してもよい。
【0155】
別の例では、本発明の方法にしたがって処理された分化万能性幹細胞は、米国特許第6,458,589号に開示の方法にしたがって、肝細胞へと分化してもよい。
【0156】
●最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞の形成
分化万能性幹細胞は、本分野における任意の方法により、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0157】
たとえば、分化万能性幹細胞は、D’Amour他(Nature Biotechnology 23, 1534-1541 (2005))に開示の方法にしたがって、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0158】
たとえば、分化万能性幹細胞は、Shinozaki他(Development 131, 1651-1662 (2004))に開示の方法にしたがって、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0159】
たとえば、分化万能性幹細胞は、McLean他(Stem Cells 25, 29-38 (2007))に開示の方法にしたがって、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0160】
たとえば、分化万能性幹細胞は、D’Amour他(Nature Biotechnology 24, 1392-1401 (2006))に開示の方法にしたがって、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0161】
最終内胚葉系統に特徴的なマーカーは、SOX17、GATA4、Hnf−3β、GSC、Cerl、Nodal、FGF8、Brachyury、Mix-like homeobox protein、FGF4、CD48、eomesodermin(EOMES)、DKK4、FGF17、GATA6、CXCR4、C−Kit、CD99、およびOTX2から成る群から選択される。本発明での使用に適しているのは、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞である。本発明の1つの態様では、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、原条前駆細胞である。別の態様では、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、中内胚葉細胞である。別の態様では、最終内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、最終内胚葉である。
【0162】
●膵臓内胚葉に特徴的なマーカーを発現する細胞の形成
分化万能性幹細胞は、本分野における任意の方法により、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0163】
たとえば、分化万能性幹細胞は、D’Amour他(Nature Biotechnology 24, 1392-1401 (2006))に開示の方法にしたがって、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0164】
膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーは、Pdx1、HNF−1β、PTF1a、HNF−6、HB9、およびPROX1から成る群から選択される。本発明での使用に適しているのは、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞である。本発明の1つの態様では、膵臓内胚葉系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、膵臓内胚葉細胞である。
【0165】
●膵臓内分泌系統のマーカーを発現する細胞の形成
分化万能性幹細胞は、本分野における任意の方法により、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0166】
たとえば、分化万能性幹細胞は、D’Amour他(Nature Biotechnology 24, 1392-1401 (2006))に開示の方法にしたがって、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0167】
たとえば、分化万能性幹細胞は、Nature Biotechnology 24, 1392-1401 (2006)に開示の方法にしたがって、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0168】
たとえば、分化万能性幹細胞は、D’ Amour他(Nature Biotechnology, 2006)に開示の方法にしたがって、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞へと分化してもよい。
【0169】
膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーは、NGN−3、NeuroD、Islet-1、Pdx−1、NKX6.1、Pax−4、Ngn−3、およびPTF−1αから成る群から選択される。1つの実施態様では、膵臓内分泌細胞は、以下のホルモンのうちの少なくとも1つを発現することができる。そのホルモンは、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、および膵臓ポリペプチドである。本発明での使用に適しているのは、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーのうちの少なくとも1つを発現する細胞である。本発明の1つの態様では、膵臓内分泌系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、膵臓内分泌細胞である。膵臓内分泌細胞は、膵臓ホルモン発現細胞であってもよい。あるいは、膵臓内分泌細胞は、膵臓ホルモン分泌細胞であってもよい。
【0170】
本発明の1つの態様では、膵臓内分泌細胞は、β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞である。β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、Pdx1と、以下の転写因子のうちの少なくとも1つとを発現する。その転写因子とは、NGN−3、Nkx2.2、Nkx6.1、NeuroD、Isl−1、HNF−3β、MAFA、Pax4、およびPax6である。本発明の1つの態様では、β細胞系統に特徴的なマーカーを発現する細胞は、β細胞である。
【0171】
●三次元支持体
本発明の目的で使用するために適切な支持材料には、泡、スポンジ、ゲル、ヒドロゲル、織物、および不織状構造物の形態の合成材料および天然材料が含まれ、それは生物組織を再構築または再生するためにも、組織成長を誘導するための走化性剤を送達するためにも、in vitroおよびin vivoで用いられ、本願発明の方法を実施する際に使用するのに適切である。たとえば、米国特許第5,770,417号、同第6,022,743号、同第5,567,612号、同第5,759,830号、同第6,626,950号、同第6,534,084号、同第6,306,424号、同第6,365,149号、同第6,599,323号、同第6,656,488号、米国特許出願公開第2004/0062753 A1号、米国特許第4,557,264、同第6,333,029号に開示された材料を参照のこと。
【0172】
薬剤を組み込まれた支持体を形成するために、支持体を形成する前に、薬剤をポリマー溶液と混合することができる。あるいは、織られた支持体上に薬剤をコーティングすることができ、それは好ましくは薬学的キャリアの存在下である。薬剤は、液体、細かく分割された固体、または他の任意の適当な物理的形態で存在してもよい。あるいは、薬剤の放出速度を変えるために賦形剤が支持体に加えられてもよい。別の実施態様では、支持体は、少なくとも1つの薬学的化合物であって、たとえば米国特許第6,509,369号に開示された化合物のような、抗炎症性化合物である、薬学的化合物とともに組み込まれる。
【0173】
支持体は、少なくとも1つの薬学的化合物であって、たとえば米国特許第6,793,945号に開示された化合物のような、抗アポトーシス化合物である、薬学的化合物とともに組み込まれ得る。
【0174】
支持体はまた、少なくとも1つの薬学的化合物であって、たとえば米国特許第6,331,298号に開示された化合物のような、線維症阻害剤である、薬学的化合物とともに組み込まれ得る。
【0175】
支持体はまた、少なくとも1つの薬学的化合物であって、たとえば米国特許出願公開第2004/0220393号、および同第2004/0209901号に開示された化合物のような、血管形成を促進することができる、薬学的化合物とともに組み込まれ得る。
【0176】
支持体はまた、少なくとも1つの薬学的化合物であって、たとえば米国特許出願公開第2004/0171623号に開示された化合物のような、免疫抑制化合物である、薬学的化合物とともに組み込まれ得る。
【0177】
以下の実施例により、本発明をさらに説明するが、それらにより限定するものではない。
【0178】
〔実施例〕
●実施例1 細胞クラスターでのhESCの継代および維持
ヒト胚性幹細胞株H1およびH9を、マイトマイシンC不活性化初代マウス胚線維芽細胞(MEF)上で維持した。hES細胞を、反復継代の後、MEF支持細胞からMATRIGEL(商標)へと移した。
【0179】
○組織培養皿のMATRIGEL(商標)コーティング
Growth Factor Reduced MATRIGEL(商標)(Becton-Dickinson;Bedford, Mass.)を4℃で解凍し、その後、冷DMEM/F12(Invitrogen;Carlsbad, CA)で1:30に希釈した。各6cmディッシュ(2mL)または6ウェルプレート(1mL)の各ウェルに、覆うのに十分な量を加え、室温で1時間インキュベーションした。プレートは、数時間以内に使用するか、4℃で2週間目まで保存した。
【0180】
○ヒト胚性幹細胞培養
未分化のヒト胚性幹細胞コロニー(H9およびH1)を、1mg/mLコラーゲナーゼIV(Sigma-Aldrich;St. Louis, MO)を含むDMEM/F12中で、10分間インキュベーションし、その後、ピペットで掻爬することにより、支持細胞から採取した。1000rpmで4分間遠心分離することにより、細胞の塊をペレット化し、ペレットを2mLピペットでやさしく分散して、コロニーを細胞の小さなクラスターへと砕いた。これらの細胞クラスターを、bFGF(8ng/mL;R&D Systems;Minneapolis, MN)を補ったMEF−CMを入れたMATRIGEL(商標)コーティングのディッシュ上に、5mLの成長培地を入れた6cmディッシュ当たり50〜150個のコロニーで播種した。培地は毎日交換した。MEF−CM中のMATRIGEL(商標)上のコロニーが大きくなり、それらが表面領域の70〜80%を占めると、約3〜4日ごとに継代した。コロニー中のhES細胞は、高い核対細胞質比率を有し、顕著な核小体を有していた。これは、支持細胞上で維持されたhES細胞と同様である(図1)。分化した細胞は、培養中の全細胞の5%未満であった。
【0181】
MATRIGEL(商標)上のMEF−CM中の細胞の定期的な継代のために、1mg/mLコラーゲナーゼIVを含むDMEM/F12で、最大60分間、細胞をインキュベーションし、掻爬とともにDMEM/F12の強力な水流により、ディッシュから除去した。細胞をペレット化し、分散し、そして1:3または1:4の比率で播種した。
【0182】
●実施例2 単細胞としての胚性幹細胞の継代:酵素の評価
hES細胞の取扱いを容易にするために、継代技術は、他の酵素溶液であって、より短いインキュベーション時間が必要だが、掻爬の工程を含まないような酵素溶液を用いてもよい。なお、細胞を細胞クラスターとしてコラーゲナーゼにより継代することは、播種される細胞の数値定量化を可能にしない。多くの酵素溶液が、1つの迅速な工程で単細胞を放出するために利用可能である。以下の実験により、最小の細胞損傷をもたらし、細胞付着または細胞成長を遅らせないような即効性の酵素が同定された。
【0183】
クラスターとして6ウェルディッシュ中で成長したヒト胚性幹細胞H9p33細胞を、以下の酵素とともに、36℃で2分間インキュベーションした。その酵素とは、TrypLE(商標)Express、TrypLE(商標)Select、トリプシン/EDTA(0.05%)、またはトリプシン(0.25%)である。トリプシンを除き、すべての酵素が2分間以内に細胞を放出した。トリプシンによる放出は、36℃で5分後に達成された。MATRIGEL(商標)でコーティングした6ウェルプレートに、細胞を200,000細胞/ウェルで再播種し、3日間増殖させた。また、ヒト胚性幹細胞もコラーゲナーゼによりクラスターとして継代し(30分インキュベーション)、そしてMATRIGEL(商標)コーティングウェル上に1:5希釈で再播種した。これは、計数したTrypLE(商標)Express細胞と同様である。3日後、TrypLE(商標)Expressによる5分間のインキュベーションにより、hESCを放出した。細胞を、0.01%トリパンブルーとともにインキュベーションし、その後計数した(表1)。放出直後の細胞の生存率は、試験したすべての酵素で98%を超えていた。コラーゲナーゼによるヒト胚性幹細胞の継代は、標準的な継代方法である。TrypLE(商標)Select、およびTrypLE(商標)Expressは、3日間の培養後、コラーゲナーゼと同様の回復した細胞計数をもたらした。細胞の付着/成長を維持することについて、トリプシン/EDTA、およびトリプシンは明らかに効果が少なかった。TrypLE(商標)Select、およびTrypLE(商標)Expressは、評価したなかで最も良い酵素であり、実施例3のタイムコース実験でさらに試験した。
【0184】
●実施例3 単細胞としてのヒト胚性幹細胞の継代:酵素曝露時間の最適化
TrypLE(商標) Select、およびTrypLE(商標)Expressは、試験したすべての酵素のなかで最適であることが明らかになった。hES細胞に対するこれらの酵素の理想的なインキュベーション時間を決定するために、TrypLE(商標)Select、およびTrypLE(商標)Expressを、H9p34hESCクラスターとともに、37℃で2分間または10分間インキュベーションした。細胞をウェルから取り除き、計数し、遠心分離によりペレット化した。200,000細胞/ウェルの分量を、6ウェルプレートに播種した。細胞を3日間成長させ、その後、TrypLE(商標)Expressにより放出し、0.01%トリパンブルーの存在下で計数した。
【0185】
両方の酵素の両方のインキュベーション時間について、細胞生存率は98%を超えていた。表3は、播種後36時間の回復した細胞/ウェル数を示している。TrypLE(商標)Expressにより継代した細胞は、3日後に開始播種密度に到達した。このことは、大部分の細胞が、播種後再付着しないこと、および付着した細胞も増殖し増えることができるということを示している。一度付着すると細胞が同じ速度で増殖すると仮定するならば、これらのデータは、TrypLE(商標)Expressによる2分間の処理が、結果的に最も良い付着速度を生ずるということを示している。それゆえ、すべてのその後の実験において、単細胞を作るために2分間のTrypLE(商標)Express処理を用いた。
【0186】
●実施例4 ヒト胚性幹細胞の単細胞、および細胞クラスターの最終内胚葉への分化
胚性幹細胞は複数の細胞系統へと分化することができる。単細胞として継代されたヒトES細胞によって、細胞入力の定量化、および取扱いの容易さを助けるための顕著な改良がもたらされる。これらの単細胞のhES細胞の分化能力を決定した。
【0187】
○細胞クラスターおよび単細胞の播種
Reduced growth factor MATRIGEL(商標)上のH9またはH1細胞クラスターの入った6cmプレートを、2mLのコラーゲナーゼ(1mg/mL)を含むDMEM:F12とともに、37℃で最大60分間インキュベーションした。細胞を、ピペッティングおよび掻爬により取り除き、900rpmで4分間遠心分離した。その後、1:15または1:30reduced growth factor MATRIGEL(商標)でコーティングした6ウェルプレートに、細胞クラスターを播種した。この継代方法は、結果的に、細胞クラスター(cc)を播種することをもたらす。あるいは、reduced growth factor MATRIGEL(商標)上のH9またはH1細胞クラスターの入った6cmプレートを、TrypLE(商標)Express(2mL)とともに、37℃で5分間インキュベーションし、ピペッティングにより分散した。900rpmで4分間の遠心分離の後、その後、1:10reduced growth factor MATRIGEL(商標)でコーティングした6ウェルプレートに細胞を播種し、それを単細胞(sc)と命名した。
【0188】
○最終内胚葉分化
約60〜70%コンフルエントのH9およびH1のscおよびcc培養物を、0.5%FBS、10ng/mL Wnt3a(R&D Systems)、100ng/mLアクチビンA(AA;R&D Systems)を補ったDMEM:F12培地に2日間曝露した。その後、2%FBSおよび100ng/mLアクチビンAを補ったDMEM/F12培地により、さらに3日間処理した。
【0189】
CXCR4、CD99、およびCD9発現については、FACSにより、また、SOX−17、SOX−7、α-fetal protein(AFP)、CXCR4、Brychyury(Bry)、goosecoid(GSC)、HNF−3β、およびGATA4については、リアルタイムPCRにより、培養物を分析した。AFP、およびSOX−7は臓側内胚葉マーカーと考えられる一方、GATA4、HNF−3β、およびSOX−17は最終内胚葉マーカーであり、GSC、Bry、およびCXCR4は原条のマーカーである。結果として生じたCXCR4陽性細胞の割合(%)を観察すると(図2)、単細胞は、細胞クラスターと同様程度まで、DEに分化した。
【0190】
●実施例5 hES単細胞および細胞クラスターの膵臓内胚葉への分化
hES単細胞の分化能力を決定するために、改良したNovocell(Baetge, EE他;Nature Biotechnology (2006), 24(11), 1392-1401)に開示されたプロトコルにしたがって、さらなる分化を試験した。細胞は、実施例4に記載されたDEプロトコルの後、膵臓内胚葉へとさらに分化した。
【0191】
○膵臓内胚葉分化
実施例4からの細胞クラスターおよび単細胞を用いた、H9(p37)DE実験のうちの1つが膵臓内胚葉へとさらに分化した。最終内胚葉プロトコルの完了後、FGF10(50ng/mL;R&D Systems)、sonic hedgehog(ソニックヘッジホッグ)阻害剤、KAADシクロパミン(2.5μM;Sigma-Aldrich)、および2%FBSを含むDMEM:F12培地とともに、細胞を3日間インキュベーションした。その後、FGF10(50ng/mL)、KAADシクロパミン(2.5μM)、レチノイン酸(1μM;Sigma-Aldrich)、および1%B27(Invitrogen)を含むDMEM-low glucose(DMEM低グルコース)とともに、細胞をさらに3日間インキュベーションした。その後、エキセンディン4(50ng/mL;Sigma-Aldrich)、DAPT(1μM;Calbiochem)、および1%B27を含むDMEM-low glucoseとともに、細胞をさらに3日間インキュベーションした。6ウェルプレートのうちの1つのウェルから、各細胞型について、RNAサンプルを採取し、その後、膵臓マーカーPdx1、Nkx6.1、Nkx2.2、Pax4、NeuroD、HNF3b、Ptf1a、Insulin(インスリン)、およびAFPについて、リアルタイムPCRにより、この段階で分析した。50ng/mLのHGF、IGF(R&D Systems)、およびエキセンディン4(50ng/mL)、ならびに1%B27を含むCMRL培地(Invitrogen)により、3日間、分化が継続した。この段階で、同じ膵臓内胚葉マーカーの評価を反復した。処理したサンプルと平行して、同じ株の未処理のhES細胞由来のRNAサンプルに対して、リアルタイムPCRを行った。未処理の対照に対して1の倍数変化を設定し、処理したサンプルを正規化した。Pdx1発現を観察し、単細胞と細胞クラスターとを比較した。膵臓内胚葉マーカー発現の誘導は、単細胞と細胞クラスターの間で同等であった(図3)。したがって、hES単細胞は、hES細胞クラスターと同様の遺伝的な分化能力を有している。
【0192】
●実施例6 単細胞としてのhES細胞の継代
単細胞としてhES細胞を継代することは、培養をスケールアップし、製造過程を容易にすることを可能にするだろう。
【0193】
○単細胞の生成および継代についての説明
H9細胞をMATRIGEL(商標)上で、上記のとおり成長させた。38代継代時に、H9細胞の6cmプレートを、2mL TrypLE(商標)Expressとともに、37℃で5分間インキュベーションした。細胞をDMEM:F12に再懸濁し、900rpmで4分間遠心分離した。1:30growth factor reduced MATRIGEL(商標)コーティングしたプレート上に1:4の比率で、細胞を再播種した。約5代継代後、再播種し、14,000細胞/cmの密度で蒔く前に、細胞を計数した。この密度で継代し再播種することを、各4日間の間隔で継続した。細胞は、単細胞から成長したが、密集したクラスターを形成することがないような緻密な構造を保持していた(図1と図4を比較のこと)。
【0194】
●実施例7 hES単細胞の分化万能性の分析
hES細胞の分化万能性の維持は、あらゆる継代技術で必要とされる。したがって、TrypLE(商標)Expressを用いた複数の継代後の分化万能性について、単細胞を評価した。
【0195】
○FACS分化万能性分析
H9単細胞を、クラスターとして38代継代培養した後、単細胞として16代継代培養した。これには凍結保存の凍結解凍が1回含まれる。その後、分化万能性マーカーの発現について、FACSで細胞を分析した。TrypLE(商標)Express溶液とともに5分間インキュベーションすることにより、付着細胞を培養プレートから取り除いた。放出された細胞を、DMEM:F12培地に再懸濁し、遠心分離により回収し、洗浄し、2%BSA(Sigma-Aldrich;St. Louis, MO)、0.05%アジ化ナトリウムを含むPBSから成る染色バッファーに再懸濁した。必要に応じて、0.1%γグロブリン(Sigma)溶液を15分間用いて、細胞をFc受容体についてブロッキングした。表3に示したとおり、モノクローナル抗体を結合したフィコエリスリン(PE)もしくはアロフィコシアニン(APC)(10細胞あたり5μL抗体)のいずれかとともに、または非結合一次抗体とともに、分量(約10細胞)をインキュベーションした。対照には、抗体と適合する適当なアイソタイプ、未染色の細胞、二次結合抗体のみで染色された細胞が含まれた。抗体によるすべてのインキュベーションを4℃で30分間行い、その後、染色バッファーで細胞を洗浄した。非結合一次抗体により染色されたサンプルを、PEまたはAPCで標識した二次結合抗体とともに、4℃でさらに30分間インキュベーションした。用いられた2次抗体の一覧については表3を参照のこと。洗浄された細胞をペレット化し、染色バッファーに再懸濁して、細胞表面分子を、FACS Array instrument(FACSアレイ装置)(BD Biosciences)を用いて同定し、少なくとも10,000回の事象を収集した。hESCコラーゲナーゼ継代したH1p40およびH9scp16は、同等の分化万能性タンパク質の発現プロファイルを有している(図5)。
【0196】
●実施例8 ヒト胚性幹細胞の単細胞の核型安定性の分析
hES単細胞の核型は、複数の継代の後も安定なままであるべきである。H9単細胞を、クラスターとして38代継代培養し、その後、単細胞として複数継代培養した。H9細胞の核型を、standard G-banding karyotype analysis(標準Gバンド核型分析)(Cell Line Genetics;Madison, WI)により決定した。全体で20個のGバンド染色した細胞を評価し、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)により200個の中期の細胞核を分析した。分析した細胞では、染色体異常は全く見られなかった。細胞遺伝学的分析は、細胞が正常な数の常染色体を有し、様式的な染色体数は46本であることを示した。H9単細胞の核型決定を、13代継代および20代継代で実施した。20代継代の細胞は、冷凍保存の凍結解凍事象を1回経験していた。13代継代の細胞および20代継代の細胞は、核型としては正常だった(図6)。
【0197】
●実施例9 hES単細胞およびhES細胞クラスターの最終内胚葉への分化
最終的な利用のために、単細胞として継代されたhES細胞は、分化能力を保持しなくてはならない。以下のとおり、単細胞に対して最終内胚葉分化プロトコルを行った。TrypLE(商標)Expressによる複数の継代(sc−p)後のH9細胞を、分化のためのMATRIGEL(商標)(1:10希釈)上の継代された単細胞(6代継代および21代継代)から、TrypLE(商標)Expressにより放出した(sc)。約60〜70%のコンフルエントな単層のH9scを、0.5%FBS、10ng/mL Wnt3a、および100ng/mLアクチビンAを補ったDMEM:F12培地に2日間曝露し、その後、さらに3日間、2%FBSおよび100ng/mLアクチビンAを補ったDMEM/F12培地により処理した。
【0198】
5日目に、CXCR4、CD99、およびCD9発現について、FACSにより、SOX−17、SOX−7、α-fetal protein(AFP)、CXCR4、Brychyury(Bry)、goosecoid(GSC)、HNF−3β、およびGATA4については、リアルタイムPCRにより、細胞を分析した。AFP、およびSOX−7は臓側内胚葉マーカーと考えられ、一方、GATA4、HNF−3β、およびSOX−17は最終内胚葉マーカーであり、GSC、Bry、およびCXCR4は原条のマーカーである。複数回(6代継代および21代継代)継代した単細胞は、細胞クラスター(36〜55代継代)と同様に、DEへと分化する能力を保持している(図7)。
【0199】
●実施例10 hES単細胞の膵臓内胚葉への分化
以下の工程をその後行うことにより、細胞は膵臓内胚葉へとさらに分化した。その工程とは、FGF10(50ng/mL)、sonic hedgehog阻害剤、KAADシクロパミン(2.5μM)、および2%FBSを含むDMEM:F12培地とともに3日間インキュベーションすることと、その後、FGF10(50ng/mL)、KAADシクロパミン(2.5μM)、レチノイン酸(1μM)、および1%B27を含むDMEM-low glucose(DMEM低グルコース)とともに3日間インキュベーションすることである。細胞の評価は11日目に行なった。一部の培養物は、エキセンディン4(50ng/mL)、DAPT(1μM)、および1%B27を含むDMEM-low glucoseとともに3日間にわたり処理を続けた。14日目に、膵臓マーカーPdx1、Nkx6.1、Nkx2.2、Pax4、NeuroD、HNF3b、Ptf1a、Insulin、およびAFPについて、リアルタイムPCRにより、サンプルを分析した。50ng/mLのHGF、IGF、およびエキセンディン4、ならびに1%B27を含むCMRL培地により、いくつかの培養が分化を継続させた。17日目の終わりに、同じ膵臓内胚葉マーカーの評価を反復した。14日および17日目の終わりで、膵臓内胚葉マーカーNkx2.2、NeuroD、HNF6、HNF3bが主に発現した。Pdx1発現は、各処理段階で段階的に高まった(図8)。
【0200】
●実施例11 MEF支持細胞上のhES単細胞の分化
hES細胞の膵臓内胚葉への最適な分化を達成するために、最終内胚葉集団は最大数でなければならない。従来、MEF支持細胞上でhESを育てると、最終内胚葉および膵臓内胚葉の達成可能な最も高い濃度がもたらされている。hES単細胞がこの目的を達成できるかどうか決定するために、H1scp4を、MEF支持細胞上に14,000細胞/cmで播種した。20%Knock-out Serum Replacement(Invitrogen)(ノックアウト血清置換)、1×non-essential Amino Acids(Invitrogen)(1×非必須アミノ酸)、8ng/mL bFGF、1mM L−グルタミン、および1mM 2−メルカプトエタノール溶液を含んだDMEM−F12を含むES細胞培地上で、細胞を成長させた。7日後、細胞は60〜70%のコンフルエントになり、最終内胚葉プロトコルを細胞に適用した。具体的には、100ng/mLアクチビンA、10ng/mL Wnt3a、および0.5% FBSを含むDMEM:F12培地を、2日間、ウェル当たり100μL加え、その後、3日間、100ng/mLアクチビンAおよび2%FBSを含むDMEM:F12培地で処理した。その後、TrypLE(商標)Expressで細胞を取り除き、CXCR4、CD99、およびCD9発現について、FACSにより分析した(図9)。90%を超える細胞がCXCR4、およびCD99を発現した。予想したとおり、8%未満の細胞がCD9を発現した。CXCR4陽性細胞数により決定されるように、単細胞のH1細胞をMEF支持細胞上に播種することにより、最終内胚葉分化が改良される。
【0201】
●実施例12 96ウェルプレートにおけるhES単細胞の分化
hES細胞をクラスターで継代することに伴う、ある共通の困難性は、定量することが難しく、等しい割合で成長させられないことである。単細胞は、コンフルエントな単層に成長することができ、実験目的のための等しい播種を確実にするように、継代の前に計数することができるという利点を有する。これらの特質は、成功したスクリーニングを検証するための必須条件である。
【0202】
hESH9scp18を、1:30growth factor reduced MATRIGEL(商標)でコーティングしたPackard View 96-well plates(96ウェルプレート)(Perkin-Elmer)上に、14,000細胞/cmの密度で播種した。3〜4日間、MEF馴化培地で細胞を成長させ、その後、DE分化プロトコルを用いて処理した。40ウェルのサブセットを、標準プロトコルで(10ng/mL Wnt3a、100ng/mLアクチビンA、および0.5%FBSを含むDMEM:F12で2日間)処理した。第2の40ウェルのサブセットを、Wnt3aの代わりに、GSK3b阻害剤IX(100nM;EMD Chemicals;La Jolla, CA)で処理した。その後、両方のサブセットを100ng/mLアクチビンAおよび2%FBSを含むDMEM:F12で3日間処理した。培養の終わりで、4%パラホルムアルデヒドにより、室温で20分間、細胞を固定し、PBSで3回洗浄し、100μL PBSで一晩保存した。0.5%Triton X-100(Sigma-Aldrich)により、室温で20分間か、4℃で5分間のいずれかで、細胞を透過処理し、その後PBSで3回洗浄し、4%ニワトリ血清(Invitrogen-Gibco;Carlesbad, CA)の入ったPBSにより、室温で30分間ブロッキングした。一次抗体[goat-anti-hSox17(ヤギ抗hSox17)(R&D Systems)]を、4%ニワトリ血清の中に1:100希釈し、室温で一時間加えた。二次抗体[Alexa Fluor 488 chicken-anti goat IgG(ニワトリ−抗ヤギIgG)(Invitrogen-Molecular Probes;Carlesbad, CA)]をPBSの中に1:200希釈し、PBSで3回洗浄した後の細胞に加えた。核を対比染色するために、5μM Draq5(Alexis Platform;Laufelfingen, Switzerland)を、室温で5分間細胞に加えた。細胞をPBSで1回洗浄し、画像化するため、100μL/ウェルのPBS中に残し、分化したDE細胞の数を決定した。細胞数およびSox17染色をウェルごとに定量するために、IN Cell 1000 Analyzer(GE Healthcare;Piscataway, NJ)でプレートを読み取った。Wnt3aによる処理により、ウェル間の変動がほとんど存在しない、最も多いウェル当たりの細胞核数がもたらされた(図10)。Gsk3β阻害剤による処理は、低い細胞生存率を示した。96ウェルフォーマットにおけるロバストで再現性のあるやり方において、Wnt3a処理により、単細胞のES細胞がDEを形成することができることは明らかである。
【0203】
●実施例13 hES単細胞によるスクリーニング解析
単細胞が96ウェルフォーマットに播種し分化することができることを示した後、新規化合物による処理の感度を決定した。hESH9scp19を、1:30growth factor reduced MATRIGEL(商標)でコーティングした96ウェルプレートに、14,000細胞/cmの密度で播種した。3〜4日間、MEF馴化培地で細胞を成長させ、その後、DE分化実験を進めた。DE分化プロトコルにおけるWnt3aを小分子阻害剤で置換して、全体で13個の新規化合物を、1μMまたは3μMの濃度で3回繰り返し試験した。Wnt3a(10ng/mL)、またはGsk3b阻害剤IX(100nM)を含むウェルを、陽性対照として用いた。単一の化合物を100ng/mLアクチビンA、および0.5%FBSを含むDMEM:F12を加えたもので、すべての分化ウェルを2日間処理し、その後、化合物を含まない100ng/mLアクチビンA、および0.5%FBSを含むDMEM:F12で2日間処理した。上記の実施例11に記載したとおり、プロトコルの終わりで、細胞を固定し、透過化し、ブロッキングし、染色して、Sox17発現および核を決定した。その後、プレートをIN Cell 1000 Analyzer上で読み取った。このスクリーニングは、H9scp21が、DE分化プロトコルにおけるWnt3aと同様のやり方で、13個の化合物のうちの3つに対して応答したことを示した(図11)。化合物Aは1μM未満の用量で効果的であり、化合物Bおよび化合物Cは、1μMおよび3μMで効果的であった。効果的な処理範囲(60%を超えるSox17陽性細胞)では、ウェル間の標準偏差は小さかった。したがって、スクリーニング技術により新規の化合物を同定する能力において、単細胞は一貫している。
【0204】
●実施例14 ローラーボトルにおける単細胞のhES細胞の増殖
目的物を製造するためのスケールアップを容易にするために、hES細胞は、多くの量になるまで容易に増殖される必要がある。従来、hES細胞を継代するためのコラーゲナーゼ処理では、ローラーボトルまたはシェーカーフラスコでスケールアップすることができない。単細胞として繰り返し増殖し、成長してきたHES細胞は、異なる表面に均等に付着する能力を有する。本実施例では、可能性があるスケールアップ容器として、ローラーボトルを試験した。H9scp19を、1:30reduced growth factor MATRIGEL(商標)でコーティングした480cmローラーボトル(Corning;Acton, MA)に14,000細胞/cmで播種した(6.7×10細胞)。細胞を維持するために、ボトル当たり100mL量のMEF馴化培地を用い、2日ごとに交換した。ボトルを、24時間20rev/時に設定し、残りの時間で60rev/時まで増加させた。細胞はローラーボトルに均等に付着し、4日目の評価時点の後も視認できるほど増殖した。TrypLE(商標)Expressを用いて細胞を取り除き、計数した。ボトル当たり13×10細胞を示す回復した計数を入手し、これは元の播種と比較して、最小の細胞倍化を示している。開始播種細胞の半分未満の細胞がローラーボトルに付着したと推量され、これはより多い実際の細胞増殖がローラーボトルの中で起こったということを示唆している。このことは、単細胞として継代したhES細胞を、自動化されたローラーボトルシステムで増殖することが可能であることを示している。分化万能性を維持しながらの増殖速度を決定するためのさらなる実験を実施するだろう。
【0205】
●実施例15 単細胞hES細胞のトランスフェクション
形質転換した細胞型を作るためにDNAを細胞に導入することは、有用な特徴である。DNAには、分化を促進し、または、細胞の選択を可能にする発現ベクター、またはレポーター遺伝子が含まれてもよい。hES細胞は、クラスターではトランスフェクションすることが困難であることが示されてきた。しかしながら、hES単細胞は、トランスフェクション技術を適用できるかもしれない。
【0206】
H9p33細胞を、TrypLE(商標)Expressにより継代し、1:30reduced growth factor MATRIGEL(商標)コーティングのプレート上に、20,000細胞/cmで播種した。H9p33細胞を、コラゲナーゼにより継代し、6cmプレートから、1:30reduced growth factor MATRIGEL(商標)コーティングの6ウェルプレートの1つのウェル中に播種した。3日後、細胞をCMV−GFPによりトランスフェクションした。ここで、GFPはCMVウイルスプロモーター下でいずれの細胞でも発現する。具体的には、2μgまたは4μgのDNAを、250μL Opti−MEM培地、および8μLのLipofectamine 2000(リポフェクタミン2000)(Invitrogen)を含む250μL Opti−MEMに希釈した。5分後に、混合物を室温で組み合わせる。培養細胞を2mLのMEF馴化培地に加える前に、室温で20分間、組み合わされた試薬をインキュベーションした。その後24時間ごとに、培地をMEF馴化培地で置換した。3日後、4%パラホルムアルデヒドにより、室温で20分間、細胞を固定し、その後、PBSで2回洗浄し、PBS中に4℃一晩放置した。核の対比染色のために、5μM Draq5(Alexis Platform)を、室温で5分間、細胞に加えた。細胞をPBSで1回洗浄し、IN Cell 1000 Analyzer上で画像化するため、1mL/ウェルのPBS中に残し、トランスフェクション効率を決定した(図12)。HES単細胞は、hESクラスターよりも、トランスフェクション効率において2倍の改良を示している。したがって、hES単細胞は、改良されたトランスフェクション能力を有し、遺伝子組換えすることがより容易である。最適化とともに、おそらく他のトランスフェクション方法、または試薬を用いることにより、単細胞ES細胞トランスフェクションの、より劇的な改良を達成することが可能になるかもしれない。
【0207】
●実施例16 支持細胞層上で培養されたhES細胞クラスターを、細胞外マトリックス上で培養された単細胞のhES細胞へ変換することは、支持細胞の除去を必要とする
研究および製造上の設定における、トリプシン、組換えトリプシン(TrypLE(商標))、またはAccutase(商標)(無脊椎動物由来のトリプシン様酵素)のような酵素による哺乳動物細胞の継代は、初代細胞株および不死化細胞株の両方の細胞培養について、従来の標準である。これらの酵素は、細胞の均質な単細胞懸濁液を生み出し、それは、高いスループットフォーマットの384ウェルプレート、またはマルチリットルで測量可能な培養容器と同様の多様な設定で播種することが可能な再現性のあるやり方で、計数し、分析し、操作し、または継代することができる。
【0208】
単細胞継代に明確に利点がある場合、ヒト胚性幹細胞を単細胞として継代する方法を開発することは非常に興味深い。しかしながら、従来の、ヒト胚性幹細胞による最良の実施形態は、胚性細胞をクラスターで維持するような、手動による分解または酵素(コラーゲナーゼまたは中性プロテアーゼ)による継代のいずれかによって、クラスターとして細胞を継代することを必要とする。本分野における過去の研究は、単細胞として支持細胞上で継代することができる細胞の誘導(Cellartis SCEDTM461株)、または、Accutase(商標)による、コラーゲナーゼ継代クラスターからMATRIGEL(商標)上の単細胞への細胞の誘導(R. Bajpai他, 2008)をもたらしてきた。
【0209】
本願は、TrypLE(商標)またはAccutase(商標)のいずれかを用いたバルク継代方法において、支持細胞から直接MATRIGELへとhES細胞を採取するための単細胞の継代方法を開発するための試みである。この結果は、クラスター状の支持細胞から直接MATRIGEL(商標)へ、hES細胞を継代する方法を採用することは、分化した細胞集団の外観、および外観のために均質でロバストな細胞培養をもたらさない見込みがあるので、不適当であるということを示している。ここで、その方法として、TrypLE(商標)またはAccutase(商標)バルク継代のいずれかであって、MATRIGEL(商標)上へのコラーゲナーゼ継代に基づくクラスターの中間工程を有さないバルク継代を用いている。
【0210】
○結果
支持細胞に基づく培養から、支持細胞のないhES細胞の培養へと移行する目的で、H1の37代継代のhES細胞を継代した。そのhES細胞は、hESC培地のMEF支持細胞層により支持され、6ウェルプレートの10cmウェル上で5日間育てられてきた。TrypLE(商標)、Accutase(商標)、または1mg/mLのコラーゲナーゼのいずれかにより、細胞を継代した。
【0211】
酵素を細胞に加える前に、使用済みの培地を吸引し、1mL PBS(Ca2+またはMg2+を全く含まない)を各ウェルに加え、その後、1mLの室温の酵素(コラーゲナーゼ、Accutase(商標)、またはTrypLE(商標))を、各ウェルに加えた。Accutase(商標)またはTrypLE(商標)を、室温にした後のストック濃度で用いた。コラーゲナーゼは、−80℃の冷凍装置から移し、解凍し、9mL DMEM/F12とともに混合し、滅菌ろ過し、使用前に室温にした。
【0212】
細胞を酵素中で、37℃で10分間インキュベーションした。Accutase(商標)またはTrypLE(商標)により、10分間処理の後、全細胞が完全にディッシュから浮き上がった。コラーゲナーゼは、10分間のインキュベーション後、細胞を浮き上がらせなかった。そこで、10分間のインキュベーション後、10mLガラスピペットで、細胞をスクラッピングした。1mLの2%Probumin(プロブミン)を含んだDMEM−F12を各ウェルに加え、ウェル中の組み合わせた全量を、50mL滅菌コニカルチューブに移して、可能な限り多くの細胞を浮き上がらせ、懸濁した。
【0213】
細胞を、200×gで5分間遠心分離し、その後、2%Probuminによりさらに洗浄し、200×gで5分間遠心分離した。その後、細胞をMEF馴化培地に再懸濁し、1〜3.5比率でMATRIGEL(商標)(DMEM中に1:30希釈)コーティングしたT25フラスコに蒔き、37℃、5%COの高湿度インキュベーター中に置いた。
【0214】
Improved Neubauer hemocytometer(改良Neubauer血球計数器)により計数することで、細胞数を計算した。Accutase(商標)により浮き上がった細胞は、3.8×10細胞/10cmウェルの密度であった。TrypLE(商標)により浮き上がった細胞は、3.7×10細胞/10cmウェルの密度であった。コラーゲナーゼは、コロニー状のため、計数できなかった。1〜3.5分割比である場合、Accutase処理細胞を、2.72×10細胞/T25フラスコ、すなわち108,000細胞/cmの播種密度で蒔き、TrypLE(商標)処理細胞を、2.65×10細胞/T25フラスコ、すなわち105,000細胞/cmの播種密度で蒔いた。コラーゲナーゼ処理細胞は同様の密度(105,000〜108,000細胞/cm)で蒔いたとみなす。というのも、酵素処理前のウェルからウェルへのhES密度に、感知できるほどの違いがないからである。次の継代で計数する目的のために、さらなるフラスコを、コラーゲナーゼで浮き上がらせた細胞によりプレーティングした。
【0215】
16μg/mLのbFGFを補ったMEF馴化培地を毎日交換して、4日間、細胞を維持した。培養4日後、培養物はコンフルエントになり、単細胞処理したhES細胞は、線維芽細胞の偶発的なポケットを有するhES細胞の単層を形成した。一方、hES細胞を継代したクラスターは、hES細胞の大きなコロニー状のクラスターを形成した(図13)。その後、これらの細胞を再び継代した。
【0216】
上記に説明したとおり、細胞を酵素中で、37℃で10分間インキュベーションした。Accutase(商標)およびTrypLE(商標)により、10分間処理の後、細胞がプラスチックおよびMATRIGEL(商標)から浮き上がった。コラーゲナーゼは細胞を浮き上がらせなかった。そこで、細胞をさらに、37℃で、全体で45分間インキュベーションした。Accutase(商標)でさらなるフラスコを浮き上がらせた。その後、Improved Neubauer hemocytometerにより単細胞を計数した。
【0217】
その後、2mLの2%Probuminを含むDMEM−F12を、酵素インキュベーション後、各フラスコに加えた。フラスコの全量(〜4mL)を5〜10回ピペッティングで上下させ、可能な限り多くの細胞が懸濁するようにした。その後、懸濁液を、50mLコニカルチューブに移し、200×gで5分間遠心分離した。その後、16μg/mLのbFGFを補ったMEF馴化培地に、細胞を再懸濁し、その後、1:30MATRIGEL(商標)をプレコーティングしたT25フラスコに、1:4の比率で蒔いた。
【0218】
培養4日後のAccutase(商標)継代細胞は、全部で5.6×10細胞(223,000細胞/cm)の密度であり、培養4日後のTrypLE(商標)継代細胞は、全部で5.05×10細胞(202,000細胞/cm)の密度であり、培養4日後のコラーゲナーゼ継代細胞は、3.45×10細胞(138,000細胞/cm)の密度であった。細胞を1:4比率で継代したならば、Accutase(商標)継代については、58,000細胞/cmの密度で細胞を蒔き、TrypLE(商標)継代については、51,000細胞/cmの密度で細胞を蒔き、35,000細胞/cmであった。
【0219】
その後、16ng/mLのbFGFを補ったMEF馴化培地を毎日交換して、細胞をさらに6日間成長させた。コラーゲナーゼにより継代した細胞は、密で均質な細胞の大きなコロニーを形成し、分化した線維芽様細胞はあまり見られない。一方、Accutase(商標)またはTrypLE(商標)により継代した細胞は、ゆっくりと、成長を止める時点を超えて成長するか、または、分化中のhES細胞から形成されたような線維芽様細胞を過剰成長させた(図14)。
【0220】
これらの結果は、クラスター状の継代(コラーゲナーゼまたは中性プロテアーゼ)を助けるような手動継代または酵素を用いた、支持細胞から支持細胞のない(MATRIGEL(商標))培養へと移行させる中間段階が、単細胞継代を開始する前に、細胞をMATRIGEL(商標)上の支持細胞のない培養に慣れさせるのに最も良いということを示唆している。
【0221】
本明細書全体を通じて引用された文献を、参照により、その全体を本願に組み入れる。実施例や好ましい実施態様を参照することにより、本発明の様々な態様を例示してきたが、本発明を、前述の記載により規定するものではなく、特許法の理念の下、適切に解釈された特許請求の範囲により規定するということが、よく理解されるだろう。
【0222】
〔実施の態様〕
なお、本願の実施態様は以下のとおりである。
(1)分化万能性幹細胞を分化させるための方法において、
(a)前記分化万能性幹細胞をクラスターとして培養する工程と、
(b)前記分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、
(c)単細胞の前記分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、
(d)単細胞の前記分化万能性幹細胞を分化させる工程と、
を含む、方法。
(2)実施態様(1)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、トリプシン、TrypLE(商標)SELECT、TrypLE(商標)EXPRESS、およびトリプシン/EDTAから成る群から選択される酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
(3)実施態様(2)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(4)実施態様(2)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
(5)実施態様(2)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【0223】
(6)実施態様(2)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(7)実施態様(2)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(8)実施態様(3)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約1×〜約0.001×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(9)実施態様(3)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、1×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(10)実施態様(3)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【0224】
(11)実施態様(3)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(12)実施態様(1)に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)、フィブロネクチン、ラミニン、ヒト血清、およびコラーゲンから成る群から選択される、方法。
(13)実施態様(12)に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)である、方法。
(14)実施態様(13)に記載の方法において、
前記MATRIGEL(商標)が、約1:30〜約1:10希釈で用いられる、方法。
(15)実施態様(14)に記載の方法において、
前記MATRIGEL(商標)が、1:10希釈で用いられる、方法。
【0225】
(16)実施態様(1)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、胚性幹細胞である、方法。
(17)実施態様(16)に記載の方法において、
前記胚性幹細胞が、ヒト由来である、方法。
(18)実施態様(1)に記載の方法において、
単細胞の前記分化万能性幹細胞が、その後分化する、方法。
(19)分化万能性幹細胞を維持するための方法において、
(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手する工程と、
(b)前記分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、
(c)単細胞の前記分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、
を含む、方法。
(20)実施態様(19)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、トリプシン、TrypLE(商標)SELECT、TrypLE(商標)EXPRESS、およびトリプシン/EDTAから成る群から選択される酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【0226】
(21)実施態様(20)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(22)実施態様(20)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
(23)実施態様(20)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
(24)実施態様(20)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(25)実施態様(20)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【0227】
(26)実施態様(21)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約1×〜約0.001×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(27)実施態様(21)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、1×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(28)実施態様(21)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(29)実施態様(21)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(30)実施態様(19)に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)、フィブロネクチン、ラミニン、ヒト血清、およびコラーゲンから成る群から選択される、方法。
【0228】
(31)実施態様(30)に記載の方法において、
前記組織培養基質が、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)である、方法。
(32)実施態様(31)に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、約1:30〜約1:10希釈で用いられる、方法。
(33)実施態様(32)に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、1:30希釈で用いられる、方法。
(34)実施態様(19)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、胚性幹細胞である、方法。
(35)実施態様(34)に記載の方法において、
前記胚性幹細胞が、ヒト由来である、方法。
【0229】
(36)実施態様(19)に記載の方法において、
単細胞の前記分化万能性幹細胞が、その後分化する、方法。
(37)分化万能性幹細胞を継代するための方法において、
(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手する工程と、
(b)前記分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、
(c)単細胞の前記分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、
(d)単細胞の前記分化万能性幹細胞を増殖させる工程と、
(e)単細胞の前記分化万能性幹細胞を放出する工程と、
(f)単細胞の前記分化万能性幹細胞を新しい組織培養基質上に蒔く工程と、
を含む、方法。
(38)実施態様(37)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、トリプシン、TrypLE(商標)SELECT、TrypLE(商標)EXPRESS、およびトリプシン/EDTAから成る群から選択される酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
(39)実施態様(38)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(40)実施態様(38)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【0230】
(41)実施態様(38)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
(42)実施態様(38)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(43)実施態様(38)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(44)実施態様(39)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約1×〜約0.001×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
(45)実施態様(39)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、1×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【0231】
(46)実施態様(39)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約2分〜約5分の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(47)実施態様(39)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
(48)実施態様(37)に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)、フィブロネクチン、ラミニン、ヒト血清、およびコラーゲンから成る群から選択される、方法。
(49)実施態様(48)に記載の方法において、
前記組織培養基質が、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)である、方法。
(50)実施態様(49)に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、約1:30〜約1:10希釈で用いられる、方法。
【0232】
(51)実施態様(50)に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、1:30希釈で用いられる、方法。
(52)実施態様(37)に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、胚性幹細胞である、方法。
(53)実施態様(52)に記載の方法において、
前記胚性幹細胞が、ヒト由来である、方法。
(54)実施態様(37)に記載の方法において、
新しい組織培養基質上の単細胞の前記分化万能性幹細胞が、前記細胞を放出し、放出された前記細胞を別の組織培養基質上に蒔くことによって、別の組織培養基質上へ継代される、方法。
(55)実施態様(37)に記載の方法において、
単細胞の前記分化万能性幹細胞が、その後分化する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】MEF馴化培地中1:30のreduced growth factor MATRIGEL(商標)上で育てられたH9ccp33ヒトES細胞の4倍拡大図。
【図2】最終内胚葉を導くための分化処理後のCXCR4を発現する細胞の割合(%)。
【図3】膵臓内分泌分化プロトコルに14日または17日曝した後のリアルタイムPCRによる遺伝子発現分析。
【図4】MEF馴化培地中1:30reduced growth factor MATRIGEL(商標)上で育てられたH9scp22ヒトES単細胞の4倍拡大図。
【図5】hES細胞の分化万能性マーカー発現についてのFACSによる評価。
【図6】クラスターとして38回継代した後、単細胞として20代継代したH9hES単細胞の染色体標本。
【図7】最終内胚葉分化の間のH9単細胞およびH9細胞クラスターの比較。
【図8】H9単細胞(22代継代)を分化させた後の膵臓内胚葉マーカーにおける増加。
【図9】hES単細胞はMEF上で分化することができる。
【図10】hES単細胞(H9scp18)は、96ウェルフォーマットで、最終内胚葉へと分化することができる。
【図11】hES単細胞(H9scp19)によるファーマコフォアスクリーニング。
【図12】H9p33hES細胞クラスターおよびH9p33単細胞間のトランスフェクション効率の評価。
【図13】MEF上で育て、その後クラスターまたは単細胞としてMATRIGEL(商標)へと継代したH1hES細胞の位相顕微鏡写真。
【図14】MEFから単細胞として直接MATRIGEL(商標)へと継代したH1hES細胞は、自発的に分化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分化万能性幹細胞を分化させるための方法において、
(a)前記分化万能性幹細胞をクラスターとして培養する工程と、
(b)前記分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、
(c)単細胞の前記分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、
(d)単細胞の前記分化万能性幹細胞を分化させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、トリプシン、TrypLE(商標)SELECT、TrypLE(商標)EXPRESS、およびトリプシン/EDTAから成る群から選択される酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約1×〜約0.001×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、1×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項10】
請求項3に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項11】
請求項3に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)、フィブロネクチン、ラミニン、ヒト血清、およびコラーゲンから成る群から選択される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)である、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記MATRIGEL(商標)が、約1:30〜約1:10希釈で用いられる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記MATRIGEL(商標)が、1:10希釈で用いられる、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、胚性幹細胞である、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記胚性幹細胞が、ヒト由来である、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、
単細胞の前記分化万能性幹細胞が、その後分化する、方法。
【請求項19】
分化万能性幹細胞を維持するための方法において、
(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手する工程と、
(b)前記分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、
(c)単細胞の前記分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、トリプシン、TrypLE(商標)SELECT、TrypLE(商標)EXPRESS、およびトリプシン/EDTAから成る群から選択される酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項25】
請求項20に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項26】
請求項21に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約1×〜約0.001×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、1×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項28】
請求項21に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項29】
請求項21に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項30】
請求項19に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)、フィブロネクチン、ラミニン、ヒト血清、およびコラーゲンから成る群から選択される、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
前記組織培養基質が、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)である、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、約1:30〜約1:10希釈で用いられる、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、1:30希釈で用いられる、方法。
【請求項34】
請求項19に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、胚性幹細胞である、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記胚性幹細胞が、ヒト由来である、方法。
【請求項36】
請求項19に記載の方法において、
単細胞の前記分化万能性幹細胞が、その後分化する、方法。
【請求項37】
分化万能性幹細胞を継代するための方法において、
(a)分化万能性幹細胞のクラスターを入手する工程と、
(b)前記分化万能性幹細胞を単細胞として放出する工程と、
(c)単細胞の前記分化万能性幹細胞を組織培養基質上に蒔く工程と、
(d)単細胞の前記分化万能性幹細胞を増殖させる工程と、
(e)単細胞の前記分化万能性幹細胞を放出する工程と、
(f)単細胞の前記分化万能性幹細胞を新しい組織培養基質上に蒔く工程と、
を含む、方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、トリプシン、TrypLE(商標)SELECT、TrypLE(商標)EXPRESS、およびトリプシン/EDTAから成る群から選択される酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約0.5g/L〜約2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項41】
請求項38に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、2.5g/Lの濃度の酵素による処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項42】
請求項38に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約2分〜約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項43】
請求項38に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、酵素による約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項44】
請求項39に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、約1×〜約0.001×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項45】
請求項39に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、1×の濃度のTrypLE(商標)EXPRESSによる処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項46】
請求項39に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約2分〜約5分の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項47】
請求項39に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、TrypLE(商標)EXPRESSによる約5分間の処理によって、単細胞として放出される、方法。
【請求項48】
請求項37に記載の方法において、
前記組織培養基質が、MATRIGEL(商標)、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)、フィブロネクチン、ラミニン、ヒト血清、およびコラーゲンから成る群から選択される、方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法において、
前記組織培養基質が、growth factor-reduced MATRIGEL(商標)である、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、約1:30〜約1:10希釈で用いられる、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、
前記growth factor-reduced MATRIGEL(商標)が、1:30希釈で用いられる、方法。
【請求項52】
請求項37に記載の方法において、
前記分化万能性幹細胞が、胚性幹細胞である、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、
前記胚性幹細胞が、ヒト由来である、方法。
【請求項54】
請求項37に記載の方法において、
新しい組織培養基質上の単細胞の前記分化万能性幹細胞が、前記細胞を放出し、放出された前記細胞を別の組織培養基質上に蒔くことによって、別の組織培養基質上へ継代される、方法。
【請求項55】
請求項37に記載の方法において、
単細胞の前記分化万能性幹細胞が、その後分化する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−532172(P2010−532172A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515221(P2010−515221)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/068782
【国際公開番号】WO2009/006399
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】