説明

単結晶育成装置

【課題】インナーシールドを保持しながら熱ロスを低減することができる単結晶育成装置を提供する。
【解決手段】原料融液を収容するルツボ4と、該ルツボ4を取り囲むように配置されたヒーター6と、該ヒーター6を取り囲むように配置されたシールド16とを格納するメインチャンバー2を有するチョクラルスキー法による単結晶育成装置1であって、前記シールド16は、炭素繊維断熱材からなるヒートシールド8と、少なくとも該ヒートシールド8の前記ヒーター6側に炭素材又は炭素繊維複合材からなるインナーシールド7とを有するものであり、前記インナーシールド7は、複数本の足を有する支持部材14によって前記メインチャンバー2の底部から支えられたものであることを特徴とする単結晶育成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョクラルスキー法により単結晶棒を育成させる単結晶育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2に従来のチョクラルスキー法(CZ法)による単結晶育成装置の概略図を示す。従来の単結晶育成装置101では、原料融液103が充填されたルツボ104と、該ルツボ104を取り囲むように配置されたヒーター106を有する。このルツボ104中の原料融液103に種結晶を浸漬した後、原料融液103から棒状の単結晶105が引き上げられる。これらはメインチャンバー102内に格納されている。また、単結晶育成装置101は、断熱板109、湯漏れ受皿110、底部断熱材111、内側壁断熱材112を有することができる。
【0003】
ヒーター106からの熱が直接メインチャンバー102に伝わると、熱的なロスが甚大な上、メインチャンバー102も痛んでしまうので、一般的にはメインチャンバー102とヒーター106の間には熱を遮るシールド116が配置される。このシールド116は熱ロス低減が目的であるので、高温での使用が可能であり、断熱特性に優れた炭素繊維断熱材(ヒートシールド108)が用いられることが多い。
【0004】
しかし、炭素繊維断熱材からなるヒートシールド108は、シリコン蒸気を含む雰囲気では珪化されて表面が脆くなってしまう。もちろん炭素繊維断熱材からなるヒートシールド108の表面をコーティングなどして珪化を抑制する方法はあるが、長時間の使用に耐えられるものではない。そこで少なくともヒートシールド108のヒーター106側、すなわち高温でシリコン蒸気を含む雰囲気側に、炭素材や炭素繊維複合材からなるインナーシールド107を備える構造を用いることが多い。炭素材や炭素繊維複合材からなるインナーシールド107は炭素繊維断熱材に比較すると緻密な構造を有しており、珪化耐性が優れているので長時間の使用が可能である。
【0005】
このインナーシールド107は特許文献1や特許文献2に概略図が示されているが、図2に示した様に、湯漏れ受皿110上に配置された支持部材113等によって支えられている。これと同じ構造ではない場合でも、基本的には何らかの構造物(支持部材)を介して、メインチャンバー102等と接触している構造を有している。これらインナーシールド107及び支持部材113は一般的に炭素材や炭素繊維複合材から成っており、先に述べた様に緻密である。このため、インナーシールド107の熱伝導率は断熱材(ヒートシールド108、底部断熱材111、内側壁断熱材112等)に比べて2〜3桁高く、インナーシールド107はヒーター106から熱を受け取り、支持部材113を通してメインチャンバー102等へ熱を放出してしまうため、省電力・省エネルギーという面において問題がある構造であった。また、支持部材113という複雑な構造を用意する必要があり、部品点数が多くなるという問題もあった。
【0006】
省電力・省エネルギーという目的とは異なるが特許文献3では、メインチャンバーに突起を形成しそれでヒートシールドを支持し、更にそのヒートシールドでインナーシールドを保持する方法が開示されている。この構造を用いてインナーシールドを保持すれば、熱ロスの低減を図ることが可能である。しかしこの構造はメインチャンバーの改造を要するなど簡便でない。またこの構造ではルツボより高い位置でインナーシールドをヒートシールドにより支える構造となっている。インナーシールドは比重が重く、ヒートシールドは低密度の炭素繊維材であるため、重量負荷により断熱材(ヒートシールド)が変形・破損し、炭素繊維材のゴミが発生する可能性が高い。ルツボより高い位置で発生したゴミは、ルツボ内に落下する可能性が高く、ゴミがあると育成中の結晶を有転位化してしまい単結晶化が難しくなるという問題点がある。
【0007】
一方で、特許文献4ではインナーシールドと支持部材との間を棒状の部材で支える技術が開示されている。これにより熱の経路を遮断し、熱ロスの低減を図っている。これは省電力・省エネルギーという観点から効果的な方法である。しかし、棒状部材をインナーシールドに固定する部分に剪断する方向の応力が掛かかる。これにより、この部分でインナーシールドの全重量を支えることとなるため、応力が集中して固定部が壊れやすいという問題がある。また従来法と同様に、インナーシールドを支えるため炭素材からなる支持部材が必要となる構造のため、複雑で部品点数も多くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−293691号公報
【特許文献2】特開2002−321997号公報
【特許文献3】特開平10−279381号公報
【特許文献4】特開2011−116600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、インナーシールドを保持しながら熱ロスを低減して省電力化を図ることができる単結晶育成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、原料融液を収容するルツボと、該ルツボを取り囲むように配置されたヒーターと、該ヒーターを取り囲むように配置されたシールドとを格納するメインチャンバーを有するチョクラルスキー法による単結晶育成装置であって、
前記シールドは、炭素繊維断熱材からなるヒートシールドと、少なくとも該ヒートシールドの前記ヒーター側に炭素材又は炭素繊維複合材からなるインナーシールドとを有するものであり、
前記インナーシールドは、複数本の足を有する支持部材によって前記メインチャンバーの底部から支えられたものであることを特徴とする単結晶育成装置を提供する。
【0011】
このような支持部材であれば、インナーシールドを保持しながら熱ロスを低減して省電力化を図ることができる単結晶育成装置となる。特に、このような支持部材はインナーシールドを支えても壊れにくく、また単純な構造で部品点数も少なくてすむ。
【0012】
また、前記支持部材は、炭素材又は炭素繊維複合材からなるものであることが好ましい。
【0013】
このような材質であれば、高温で安定であり、更に取扱中に破壊されてしまう心配の少ないものとなる。
【0014】
さらに、前記支持部材は、ねじ込み式または接着式によってインナーシールドに固定される一体式支持部材、または、自立可能な支持部材上にインナーシールドを載せる分離式支持部材とすることができる。
【0015】
このような構造にすれば、支持部材の取り付けや取り外しの際にも作業性が向上するものとなる。
【0016】
また、前記単結晶育成装置は、メインチャンバーの底部に配置された湯漏れ受皿と、ルツボと湯漏れ受皿との間に設置された断熱板とを有し、
前記支持部材の足は、湯漏れ受皿に配される内側壁断熱材又は断熱板に形成された貫通孔または切り欠きを通るものであることが好ましい。
【0017】
このように貫通孔または切り欠きの中を支持部材の足が通るように設計することで、より熱ロスを低減して省電力化を図ることが可能である。
【0018】
さらに、前記シールドは、底部に突起部を有するインナーシールドと、該インナーシールドの突起部により保持されたヒートシールドとを有するものであることが好ましい。
【0019】
このような構造にすれば、ヒートシールドとインナーシールドとを一体物として取り扱うことが可能となり、部品の取り付けや取り外しの際にも作業性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の単結晶育成装置であれば、インナーシールドを保持しながら熱ロスを低減して省電力化を図ることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の単結晶育成装置の一例を示す図である。
【図2】従来の単結晶育成装置の一例を示す図である。
【図3】本発明の単結晶育成装置のインナーシールドを複数本の足を有する支持部材で支える模式図である。
【図4】本発明の単結晶育成装置の断熱板の一例を示す図である。
【図5】本発明の単結晶育成装置の断熱板の他の例を示す図である。
【図6】本発明の単結晶育成装置の湯漏れ受皿の内側壁断熱材の一例を示す図である。
【図7】本発明の単結晶育成装置の湯漏れ受皿の内側壁断熱材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
本発明者らはインナーシールドを保持しながら熱ロスを低減して省電力化を図ることができる単結晶育成装置について鋭意検討を重ねた結果、インナーシールドを複数本の足を有する支持部材によってメインチャンバーの底部から支えることで熱ロスを低減して省電力化を図ることができることを見出し、また、応力集中により支持部材が壊れること等を回避できることを見出して、本発明を完成させた。以下、図面を参照して本発明をより詳細に説明する
【0024】
図1は本発明の単結晶育成装置の一例を示す図である。図1に示すように、本発明のCZ法単結晶育成装置1の基本的な構造は、メインチャンバー2内に原料融液3を収容するルツボ4と、そのルツボ4を取り囲むように配置された原料融液3を加熱するためのヒーター6と、そのヒーター6を取り囲むように配置された熱ロスを低減するためのシールド16とを格納するものである。更に、この単結晶育成装置1は、メインチャンバー2の底部に配置された湯漏れ受皿10、ルツボ4と湯漏れ受皿10との間に設置された断熱板9、湯漏れ受皿10の底部に配置された底部断熱材11、湯漏れ受皿10に配置された内側壁断熱材12等を有していてもよい。このルツボ4中の原料融液3に種結晶を浸漬した後、原料融液3から棒状の単結晶5が引き上げられる。
【0025】
本発明におけるシールド16は、熱ロスを抑制する炭素繊維断熱材からなるヒートシールド8と、少なくとも該ヒートシールド8のヒーター6側に断熱材の劣化を抑制するための炭素材又は炭素繊維複合材からなるインナーシールド7とを有するものである。
【0026】
このインナーシールド7は、複数本の足を有する支持部材14によってメインチャンバー2の底部から支えられたものである。インナーシールド7はヒーター6の周囲に配されており、ヒーター6の近傍がインナーシールド7内で最も高温部分となる。この高温部分が断熱材以外の高熱伝導部材と接触すると、熱ロスが大きくなってしまう。そこでインナーシールド7を複数本の足を有する支持部材14で支える構造とすることで熱の伝導経路が細い足のみに限定され、熱ロス低減可能な構造を実現することができる。具体的な実施形態を図1及び図3に示した。
【0027】
支持部材14の材質としては、特に限られることなく、高温で安定なものが好ましく適用可能である。特に、炭素材または炭素繊維複合材からなる支持部材14が好ましく、このような材質であれば高温で安定であり、更に取扱中に破壊されてしまう心配が少ない。より好ましい材質は、熱伝導率が低くて高温で安定な材質である。その点では、ガラス材等も壊れやすい点を除けば適用することができる。熱伝導率が低く高温で安定な材質であればここで示した材質に限らず用いることが可能である。なお、図3では3本の足を有する支持部材14の例を描いているが、足の本数及び形状はこれに限るものではない。
【0028】
この支持部材14は、ねじ込み式または接着式等によってインナーシールド7に固定される一体式支持部材であっても良いし、支持部材がそれ自体自立可能となっており、その上にインナーシールド7を載せるという分離式支持部材であっても良い。このような構造にすれば、支持部材の取り付けや取り外しの際にも作業性が向上するものとなる。
【0029】
さらに、上述した支持部材14の足を断熱材で遮蔽することでより熱ロスの低減を図ることができる。具体的には、単結晶育成装置1が、更に、メインチャンバー2の底部に配置された湯漏れ受皿10と、ルツボ4と湯漏れ受皿10との間に設置された断熱板9とを有する場合には、支持部材14の足が、図4〜7に示すような、湯漏れ受皿10に配される内側壁断熱材12又は断熱板9に形成された貫通孔9a(図4)、12a(図6)または切り欠き9b(図5)、12b(図7)を通るものであることが好ましい。このように設計することでより熱ロスを低減することが可能である。
【0030】
例えば、図1における断熱板9の外形をこれより大きくして貫通孔9aまたは切り欠き9bを形成し、図4に示した貫通孔9aや図5に示した切り欠き9bに支持部材14の足を通すことで、より熱ロスを低減可能な構造が実現できる。
【0031】
また、例えば、図1において、湯漏れ受皿10の内側壁断熱材12の内径を小さくして貫通孔12aまたは切り欠き12bを形成し、図6に示した貫通孔12aや図7に示した切り欠き12bに支持部材14の足を通すことで、より熱ロス低減可能な構造が実現できる。
【0032】
また、図1に示したように、例えばインナーシールド7の底部にツバ状の突起部15を設け、ヒートシールド8側にこの突起を受ける構造を形成することによって、ヒートシールド8をインナーシールド7で保持することが可能である。このような構造にすれば、ヒートシールド8とインナーシールド7とを一体物として取り扱うことが可能となり、部品の取り付けや取り外しの際にも作業性が向上する。
【0033】
なお、本発明における複数本の足を有する支持部材14の形状は、インナーシールド7をメインチャンバー2の底部から支える足を有するものであれば特に制限はされない。このような形状であれば支持部材14からの熱ロスを抑えることができ、また支持部材14の局所に応力が集中しにくく壊れにくい形状となる。このような形状としては、例えば図1、図3に示すようにメインチャンバー2の底部から垂直にインナーシールド7を支える形状が挙げられる。なお、支持部材14の足の本数(2本から約100本)、形状(丸棒状、多角柱状等)、及び太さはインナーシールド7の重量や材質、及び支持部材14からの熱ロスを考慮して適宜選択することができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0035】
〔実施例1〕
インナーシールドに図3に示したような炭素繊維複合材で形成した3本の足を有する支持部材を取付け、内側壁断熱材の内径を縮径してそこに貫通孔を設けて図6のような形状とし、この貫通孔に上記支持部材の足を通した他は図1のような単結晶育成装置を準備した。このとき、支持部材の足の一本一本は円筒状としその直径を15mmとし、インナーシールドの厚さは10mmとした。
【0036】
この単結晶育成装置内のホットゾーン(HZ)に直径81cm(32インチ)のルツボに原料融液を収容し、磁場印加チョクラルスキー法(MCZ法)により直径30cm(12インチ)のシリコン単結晶を育成した。より詳細には、ルツボ中の原料融液に種結晶を浸漬した後、溶融液から棒状の単結晶を引き上げながら、結晶成長軸方向に昇降可能なルツボを結晶成長中に結晶化して減少した融液の液面下降分を補うように上昇させ、融液表面の高さを一定に保ちながら行った。
【0037】
この単結晶育成装置を用いて問題なく結晶を育成することができた。この単結晶育成装置はインナーシールドを支える支持部材からの熱ロスを抑制することができ、更に支持部材は湯漏れ受皿の内側壁断熱材の貫通孔を通るため、熱ロスが一層小さいものであったので、下記比較例と比較して約10%の省電力を達成することができた。
【0038】
〔実施例2〕
インナーシールドに図3に示したような炭素繊維複合材で形成した3本の足を有する支持部材を取付けた図1のような単結晶育成装置を準備した。このとき、内側壁断熱材の内径の縮経は行わず、支持部材の足の一本一本は円筒状としその直径を15mmとし、インナーシールドの厚さは10mmとした。
【0039】
この単結晶育成装置内のホットゾーン(HZ)に直径81cm(32インチ)のルツボを装備して、実施例1と同様に磁場印加チョクラルスキー法(MCZ法)により直径30cm(12インチ)のシリコン単結晶を育成した。
【0040】
この単結晶育成装置を用いた場合にも問題なく結晶を育成することができた。この単結晶育成装置はインナーシールドを支える支持部材からの熱ロスを抑制することができ、熱ロスが小さいものであったので、下記比較例と比較して約5%の省電力を達成することができた。
【0041】
〔比較例〕
図2に示したように足を有さない支持部材でインナーシールドを支える単結晶育成装置を準備した。このとき、インナーシールドは、図2に示したようにメインチャンバー底部に設置された炭素材で形成された湯漏れ受皿の上に、炭素材で形成された延長筒形状の支持部を載せ、その上に炭素繊維複合材で形成されたドーナツ形状の円盤によって保持する構造とした。また、このときインナーシールドの厚さは10mm、支持部材の厚さは15mmとした。
【0042】
この単結晶育成装置内のホットゾーン(HZ)に直径81cm(32インチ)のルツボを装備して、実施例1と同様に磁場印加チョクラルスキー法(MCZ法)により直径30cm(12インチ)のシリコン単結晶を育成した。
【0043】
この単結晶育成装置を用いた場合にも問題なく結晶を育成することができた。しかし、インナーシールドからの熱ロスが大きく省電力を達成することができなかった。
【0044】
なお、実施例1〜2の複数本の足を有する支持部材では圧縮応力のみしかかからないため壊れにくいものであった。
【0045】
ここではシリコン結晶育成を例に説明を行ったが、本発明はシリコン単結晶の製造に用いられる単結晶育成装置に限られるものではなく、化合物半導体や酸化物単結晶などのCZ法を用いた単結晶育成装置に適用可能である。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
1…単結晶育成装置、 2…メインチャンバー、 3…原料融液、 4…ルツボ、 5…単結晶、 6…ヒーター、 7…インナーシールド、 8…ヒートシールド、 9…断熱板、 9a…貫通孔、 9b…切り欠き、 10…湯漏れ受皿、 11…底部断熱材、 12…内側壁断熱材、 12a…貫通孔、 12b…切り欠き、 14…支持部材、 15…突起部、 16…シールド、 101…単結晶育成装置、 102…メインチャンバー、 103…原料融液、 104…ルツボ、 105…単結晶、 106…ヒーター、 107…インナーシールド、 108…ヒーターシールド、 109…断熱板、 110…湯漏れ受皿、 111…底部断熱材、 112…内側壁断熱材 113…支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料融液を収容するルツボと、該ルツボを取り囲むように配置されたヒーターと、該ヒーターを取り囲むように配置されたシールドとを格納するメインチャンバーを有するチョクラルスキー法による単結晶育成装置であって、
前記シールドは、炭素繊維断熱材からなるヒートシールドと、少なくとも該ヒートシールドの前記ヒーター側に炭素材又は炭素繊維複合材からなるインナーシールドとを有するものであり、
前記インナーシールドは、複数本の足を有する支持部材によって前記メインチャンバーの底部から支えられたものであることを特徴とする単結晶育成装置。
【請求項2】
前記支持部材は、炭素材又は炭素繊維複合材からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶育成装置。
【請求項3】
前記支持部材は、ねじ込み式または接着式によって前記インナーシールドに固定される一体式支持部材、または、自立可能な前記支持部材上に前記インナーシールドを載せる分離式支持部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶育成装置。
【請求項4】
前記単結晶育成装置は、更に、前記メインチャンバーの底部に配置された湯漏れ受皿と、前記ルツボと前記湯漏れ受皿との間に設置された断熱板とを有し、
前記支持部材の足は、前記湯漏れ受皿に配される内側壁断熱材又は前記断熱板に形成された貫通孔または切り欠きを通るものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の単結晶育成装置。
【請求項5】
前記シールドは、底部に突起部を有する前記インナーシールドと、該インナーシールドの突起部により保持された前記ヒートシールドとを有するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の単結晶育成装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−35728(P2013−35728A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174581(P2011−174581)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000190149)信越半導体株式会社 (867)
【Fターム(参考)】