説明

単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナ及びその製造方法、単結晶金属ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナ

【課題】単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナ及びその製造方法、単結晶金属ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナを提供すること。
【解決手段】光学ナノアンテナは、単結晶銀ナノワイヤを含む。前記単結晶銀ナノワイヤは可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて複数のローブが前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射パターンを出力することによって、可視光線領域内の全波長範囲で作動することができ、多重共鳴及び広いスペクトル範囲を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナに関し、より詳細には光学ナノアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオアンテナの縮小型として、光学アンテナは、自在に進行する光学放射パターンを局所場に転換させたり、または、反対に局所場の光学放射パターンを自在に進行するように転換させることができ、ナノ科学分野に広く利用されている。特に、光学ナノアンテナの一種であるプラズモニックナノアンテナは、光の電磁場を波長以下のレベルで調節する効率的な方法を提供することができる。プラズモニックナノアンテナは、多様なナノスケール(nanoscale)の物体に適用することができ、蛍光分子や光発光量子ドットの吸収及び放出(emission)を調節することができ、さらに寿命(life time)も調節することができる。これによって、最近では多様な種類のプラズモニックナノアンテナが研究されている。
【0003】
しかし、従来のプラズモニックナノアンテナは、可視光線領域内の制限的な波長範囲内で単一共鳴のみを有する。放射場(radiation field)で最適なインターフェースを提供するために、プラズモニックナノアンテナは、互いに異なる動作周波数を有する受信機及び送信機として作動する必要がある。また、互いに異なる色で動作する多様なエミッタに対する生化学的な適用だけでなく、広帯域ナノ分光学(spectroscopy)の適用において多重波長(multiwavelength)チャネルが必要になることもある。従って、可視光線領域内の全波長範囲において作動し多重共鳴を有するプラズモニックナノアンテナが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナを提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明のまた他の目的は、単結晶金属ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記一目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナは、単結晶銀ナノワイヤ(Single−Crystalline Ag Nanowire)を含む。前記単結晶銀ナノワイヤは、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて複数のローブ(lobe)が前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ(multi−lobe)形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射(Optical antenna radiation)パターンを出力する。
【0008】
前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含むことができる。前記光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことができる。
【0009】
前記複数のローブのうち、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記複数のローブのうち、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いことがある。
【0010】
前記光学ナノアンテナは、前記入射光を表面プラズモンポラリトン(Surface Plasmon Polariton;SPP)電流に変換し、前記SPP電流を前記単結晶銀ナノワイヤの両端部で反射して前記光学アンテナ放射パターンを形成することができる。
【0011】
前記単結晶銀ナノワイヤは、気相輸送法を利用して合成されることができる。
【0012】
反応炉内で銀スラグ(Ag slug)を熱気化させ、不活性ガスを利用して前記気化した銀の温度を前記銀スラグの温度より低く維持し、前記反応炉内に位置する単結晶基板上に移送させ、前記単結晶基板上で前記単結晶銀ナノワイヤを成長させて前記単結晶銀ナノワイヤが合成されることができる。
【0013】
前記他の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤ(Single−Crystalline Ag Nanowire)を利用した光学ナノアンテナの製造方法では、反応炉内で銀スラグ(Ag slug)を熱気化させ、不活性ガスを利用して前記気化した銀の温度を前記銀スラグの温度より低く維持し、前記反応炉内に位置する単結晶基板上に移送させ、前記単結晶基板上で前記単結晶銀ナノワイヤを成長させて前記単結晶銀ナノワイヤを合成する。前記単結晶銀ナノワイヤは、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて、複数のローブ(lobe)が前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ(multi−lobe)形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射(Optical antenna radiation)パターンを出力する。
【0014】
前記単結晶銀ナノワイヤは、面心立方(Face−Centered Cubic;FCC)結晶構造を有し、[110]結晶方向に成長することができる。
【0015】
前記一目的を達成するために、本発明の他の実施形態に係る光学ナノアンテナは、単結晶銀ナノワイヤ(Single−Crystalline Ag Nanowire)を含む。前記単結晶銀ナノワイヤは、紫外線、可視光線、及び赤外線領域の全波長帯域の入射光に基づいて複数のローブ(lobe)が前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ(multi−lobe)形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射(Optical antenna radiation)パターンを出力する。
【0016】
前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含むことができる。前記光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことができる。
【0017】
前記複数のローブのうち、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ(lobe)間の間隔である第1距離は、前記複数のローブのうち、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いこともできる。
【0018】
前記また他の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナは、単結晶金属ナノワイヤ(Single−Crystalline Metal Nanowire)を含む。前記単結晶金属ナノワイヤは、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて複数のローブ(lobe)が前記単結晶金属ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ(multi−lobe)形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射(Optical antenna radiation)パターンを出力する。
【0019】
前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含むことができる。前記光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことができる。
【0020】
前記複数のローブのうち、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記複数のローブのうち、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いこともできる。
【0021】
前記単結晶金属ナノワイヤは、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びアルミニウム(Al)のうち、いずれか一つを利用して合成されることができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のような本発明の実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナは、マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを出力し、可視光線領域内の全波長範囲で作動することができ、多重共鳴及び広いスペクトル範囲を有することができる。従って、単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナは、送信及び受信共に適合した特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナに利用される単結晶銀ナノワイヤの製造方法を説明するための図である。
【図2】図1の方法を利用して合成した単結晶銀ナノワイヤを示す顕微鏡写真である。
【図3】図1の方法を利用して合成した単結晶銀ナノワイヤを示す顕微鏡写真である。
【図4】図1の方法を利用して合成した単結晶銀ナノワイヤを示す顕微鏡写真である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナを示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナから出力されるマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを測定する方法を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナで測定したマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを示す光学顕微鏡写真である。
【図12】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナで測定したマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを示す光学顕微鏡写真である。
【図13】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナに対するシミュレーション結果を示すシミュレーション写真である。
【図14】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナに対するシミュレーション結果を示すシミュレーション写真である。
【図15】本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナで測定した光学アンテナ放射パターンを示す光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に開示されている本発明の実施形態に対して、特定の構造的ないし機能的説明は、単に本発明の実施形態を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の実施形態は多様な形態で実施することができ、本明細書に説明された実施形態に限定されるものではない。
【0025】
本発明は多様な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるが、特定の実施形態を図面に例示して本明細書に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解するべきである。
【0026】
本明細書において、第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するのに使用することができるが、これらの構成要素がこのような用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使われる。例えば、本発明の権利範囲から逸脱せずに第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、類似に第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。
【0027】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる、または「接続されて」いると言及された場合には、その他の構成要素に直接的に連結されていたり、接続されていることも意味するが、中間に他の構成要素が存在する場合も含むと理解するべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる、または「直接接続されて」いると言及された場合には、中間に他の構成要素が存在しないと理解すべきである。構成要素の間の関係を説明する他の表現、即ち、「〜間に」と「すぐに〜間に」または「〜に隣接する」と「〜に直接隣接する」等も同じように解釈すべきである。
【0028】
本明細書で使用した用語は単に特定の実施形態を説明するために使用したもので、本発明を限定するものではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品または、これを組み合わせたのが存在するということを示すものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品または、これを組み合わせたものなどの存在または、付加の可能性を、予め排除するわけではない。
【0029】
また、別に定義しない限り、技術的或いは科学的用語を含み、本明細書中において使用される全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、一般的に理解するのと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書において定義する用語と同じ用語は関連技術の文脈上に有する意味と一致する意味を有するものと理解するべきで、本明細書において明白に定義しない限り、理想的或いは形式的な意味として解釈してはならない。
【0030】
本発明の実施形態に係る光学ナノアンテナは、単結晶銀ナノワイヤ(Single−Crystalline Ag Nanowire)を利用して具現される。銀(Ag)は可視光線の波長範囲(例えば、約430〜700nm)で電子のバンド間遷移(interband electronic transition)を有さず、十分に長い金属ナノワイヤは相対的に広い波長範囲で多数の表面プラズモンポラリトン(Surface Plasmon Polariton;SPP)の共鳴を維持させるのに適している。従って、銀ナノワイヤを利用する場合に、可視光線領域内の全波長範囲で作動する光学ナノアンテナを効率的に具現することができる。
【0031】
しかし、従来の方法を利用して合成した銀ナノワイヤは、相対的に粗い(rough)表面を有し、上記のような粗い表面によって光学ナノアンテナの性能が劣化することができる。従って、図1、図2、図3及び図4を参照して後述するように、本発明の実施形態に係る光学ナノアンテナは、気相輸送法(Vapor Transportation Method)を利用し合成されて相対的に滑らかな(smooth)表面を有する前記単結晶銀ナノワイヤを利用して具現することができる。
【0032】
以下においては、単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナを中心に本発明の実施形態を説明するが、本発明の実施形態に係る光学ナノアンテナは多様な金属及び合金を利用して合成される単結晶金属ナノワイヤを利用して具現することができる。例えば、前記単結晶金属ナノワイヤは、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及びアルミニウム(Al)などのような多様な金属のうち、少なくとも一つを利用して合成されることができる。
【0033】
図1は本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナに利用される単結晶銀ナノワイヤの製造方法を説明するための図である。
【0034】
図1を参照すると、単結晶銀ナノワイヤは、気相輸送法を利用して合成される。前記気相輸送法を遂行するための装置である反応炉(Furnace)10は、石英管(Quartz tube)12、アルミナ材質のボート型容器(Alumina boat)14、及び単結晶基板18を含むことができる。
【0035】
石英管12は、地面に対して水平に配置する。例えば、石英管12の直径は、約1インチであり得る。アルミナ材質のボート型容器14は、石英管12の先端部に配置され、前駆物質(precursor)である銀スラグ(Ag slug)16を投入することに利用できる。単結晶基板18(例えば、サファイア基板)は、石英管12の後端部に配置され、単結晶基板18上で前記単結晶銀ナノワイヤが合成されることができる。不活性ガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス)は、石英管12の先端部に投入され後端部から排気されることができる。図示はしなかったが、反応炉10は、後端部に配置される真空ポンプ(図示せず)をさらに含むことができ、発熱装置(図示せず)及び温度調節装置(図示せず)をさらに含むことができる。
【0036】
反応炉10内で前記前駆物質(例えば、銀スラグ16)を熱気化させ、前記不活性ガス(例えば、アルゴンガス)を利用して前記気化した銀を前記単結晶基板上に移送させ、前記単結晶基板上で前記単結晶銀ナノワイヤを成長させて前記単結晶銀ナノワイヤが合成されることができる。前記単結晶基板の温度は、前記前駆物質の温度より低く維持することができる。例えば、反応炉10の加熱部位20は、約800℃に加熱され、アルミナ材質のボート型容器14と単結晶基板18との間の距離は約5cmであり、前記不活性ガスは、前記反応炉内で約100sccmで流し、前記反応炉内の圧力を約5〜15torrに維持し、合成時間(reaction time)は約30分であり得る。
【0037】
図2、図3及び図4は、図1の方法を利用し合成された単結晶銀ナノワイヤを示す顕微鏡写真である。図2は合成した単結晶銀ナノワイヤの走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真である。図3は合成された単結晶銀ナノワイヤの低倍率の透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)写真である。図4は合成された単結晶銀ナノワイヤの高配率のTEM写真及び制限視野電子回折(Selected Area Electron Diffraction;SAED)パターンである。
【0038】
図2を参照すると、合成された単結晶銀ナノワイヤは、円形のチップ(tip)、約100〜200nmの直径及び数十マイクロメートルの長さを有することができる。また、図3及び図4を参照すると、前記単結晶銀ナノワイヤは、面心立方(Face−Centered Cubic;FCC)結晶構造を有し、[110]結晶方向に成長することができる。図2、図3及び図4に示したように、前記単結晶銀ナノワイヤは相対的に滑らかな表面を有することができる。例えば、トップダウン(top−down)方式で製造された従来の銀ナノワイヤは数ナノメートル(nm)程度の表面の粗さを有するが、図1の方法を利用して合成した単結晶銀ナノワイヤは、原子レベルの表面の粗さ、即ち、従来の銀ナノワイヤに比べて非常に滑らかな(ultra−smooth)表面を有することができる。
【0039】
表面プラズモンは、界面と非常に近く存在するので、金属または誘電体の界面でのSPP電流の伝達特性は、金属または誘電体の表面が滑らかであるほど向上する。また、金属または誘電体が単結晶構造を有する場合、多結晶構造を有する場合よりSPP電流に対する高い電気伝導度を有することができ、入射光の波長が短いほど、より大きい散乱損失が発生することができる。従って、上述したように、単結晶銀ナノワイヤを利用する場合、散乱損失無くSPP電流を維持して可視光線領域内の全波長範囲で作動する光学ナノアンテナを効率的に具現することができる。
【0040】
図5、図6、図7、図8及び図9は本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナを示す図面である。
【0041】
図5を参照すると、単結晶銀ナノワイヤ100を利用して光学ナノアンテナが具現される。単結晶銀ナノワイヤ100は、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて光学アンテナ放射(Optical antenna radiation)パターン110を出力する。図5に示したように、光学アンテナ放射パターン110は複数のローブ(lobe)が単結晶銀ナノワイヤ100を中心に放射状、特に、半円の放射状に配置されるマルチローブ(multi−lobe)形態を有する。
【0042】
前記光学ナノアンテナは、前記入射光を電荷密度波(Charge Density Wave;CDW)、即ち、SPP電流(SPP currents)に変換し、前記SPP電流を単結晶銀ナノワイヤ100の両端部で反射して前記マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターン110を形成することができる。具体的に、前記反射されるSPP電流120は、単結晶銀ナノワイヤ100の表面に沿って両方向に伝達される。アンテナ理論によると、上記のように、単結晶銀ナノワイヤ100の表面に沿って両方向に伝達されるSPP電流120は、時間的調和振動(time harmonic motion)内に定常波(standing wave)を形成し、単結晶銀ナノワイヤ100内部の電荷の時変電流(time−varying currents of charge)は単結晶銀ナノワイヤ100が直線であっても放射状のパターンを形成することができる。即ち、SPP正常電流によって前記マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターン110が形成されることができる。一方、前記CDW、即ち、SPP電流120が単結晶銀ナノワイヤ100の表面に沿って形成されるため、図11及び図13を参照して後述するように、前記光学ナノアンテナの光学アンテナ放射パターン110の偏光は、単結晶銀ナノワイヤ100の長軸に偏光されることができる。単結晶銀ナノワイヤ100が円柱状を有する場合、単結晶銀ナノワイヤ100の長軸は円柱の軸に相応することができる。
【0043】
図6、図7、図8及び図9を参照すると、前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含むことができる。例えば、前記第1光信号は赤色光RLであり、前記第2光信号は緑色光GLまたは青色光BLであり得る。他の例において、前記第1光信号は緑色光GLであり、前記第2光信号は青色光BLであり得る。実施形態によれば、前記入射光は前記第2波長より短い第3波長に相応する第3光信号をさらに含むことができる。この場合、前記第1光信号は赤色光RLであり、前記第2光信号は緑色光GLであり、前記第3光信号は青色光BLであり得る。赤色光RLの波長は約632.8nmであり、緑色光GLの波長は約532nmであり、青色光BLの波長は約440nmであり得る。
【0044】
光学アンテナ放射パターン110’は複数のマルチローブ放射パターン112、114、116を含み、複数のマルチローブ放射パターン112、114、116のそれぞれは、単結晶銀ナノワイヤ100を中心に放射状に配置される複数のローブを含む。例えば、光学アンテナ放射パターン110’は前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことができる。この場合、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれ、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれて、互いに隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いこともできる。即ち、それぞれのマルチローブ放射パターンに相応する光信号の波長が短いほど、それぞれのマルチローブ放射パターンに含まれて、互いに隣接するローブ間の距離が短くなることができる。
【0045】
例えば、赤色光RLによって形成されたマルチローブ放射パターン112に含まれ、互いに隣接する2つのローブ、即ち、赤色ローブ間の間隔d1は、緑色光GLにより形成されたマルチローブ放射パターン114に含まれ、互いに隣接する2つのローブ、即ち、緑色ローブ間の間隔d2より長いこともできる。他の例において、前記緑色ローブ間の間隔d2は青色光BLによって形成されたマルチローブ放射パターン116に含まれて、互いに隣接する2つのローブ、即ち、青色ローブ間の間隔d3より長いこともできる。
【0046】
一方、本発明の一実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナは、可視光線領域内の全波長範囲で作動することができる。従って、赤色光RL、緑色光GL及び青色光BLを全部含む白色光が入射される場合には、図9に示したように赤色光、緑色光及び青色光によって形成されたそれぞれのマルチローブアンテナ放射パターンが重なって出力されることができる。この場合、図15を参照して後述するように、虹のような多彩な(colorful)光学アンテナ放射パターンが出力されることができる。
【0047】
図6、図7、図8及び図9では入射光が赤色光RL、緑色光GL及び青色光BLを含む場合を示したが、入射光に含まれる光信号の色及び個数はこれに限定されない。
【0048】
図10は本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナから出力されるマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを測定する方法を説明するための図である。
【0049】
図10を参照すると、単結晶銀ナノワイヤ100を利用した光学ナノアンテナの放射パターンを測定するための測定装備30は、レンズ32、ガラス基板34、対物レンズ(Objective lens)36、線形偏光版(Polarizer)38、及び電荷結合素子(Charge−Coupled Device;CCD)カメラ40を含むことができる。
【0050】
前記単結晶銀ナノワイヤ100を利用した光学ナノアンテナはガラス基板34上に配置されることができる。入射光(Incident light)は、白色光源または特定波長及び特定色を有するレーザー光源から発生することができ、レンズ32によって集光されることができる。前記集光された入射光は、約80°の入射角度(θ)を有し、単結晶銀ナノワイヤ100に照射されることができる。対物レンズ36は、約0.7のNA(numerical aperture)及び約100倍の倍率を有する乾式対物レンズであり得る。上記のように、前記集光された入射光の入射角度が約80°と設定されて対物レンズ36のNAの角度より大きい場合に、暗視野光学顕微鏡環境を作ることによってガラス基板34で直接反射される光と単結晶銀ナノワイヤ100から放射される光学アンテナ放射パターンを明確に分離することができる。一方、前記光学アンテナ放射パターンの偏光状態をチェックするために対物レンズ36上に線形偏光版38が配置されることができる。CCDカメラ40を利用して単結晶銀ナノワイヤ100と平行な第1方向(‖)及び単結晶銀ナノワイヤ100と垂直な第2方向(⊥)に対して前記光学ナノアンテナの放射パターンを測定した。
【0051】
図11及び図12は、本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナで測定されたマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを示す光学顕微鏡写真である。図11及び図12は、図10の測定装備を利用して光学アンテナ放射パターンを測定した結果を示す。
【0052】
図11を参照すると、前記単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナが可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいてマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを出力するか否かを確認するために、約633nmの波長を有する赤色光、約532nmの波長を有する緑色光及び約440nmの波長を有する青色光に基づいて前記光学アンテナ放射パターンを測定した。図11の左側上段には図1の方法を利用して合成された単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの光学顕微鏡写真を示している。前記光学ナノアンテナの長さは約3.1μmであり、直径は約150nmである。図11の上段の3つの写真はそれぞれの光信号に対して第1方向(‖)で放射パターンを測定した結果を示し、図11の下段の3つの写真にはそれぞれの光信号に対して第2方向(⊥)で放射パターンを測定した結果を示している。
【0053】
図10の対物レンズのNA及び制限された解像度によって放射パターンの一部がぼやけて測定されたが、それぞれの光信号に対してマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンが明確に現れることを確認することができる。このように測定された光学ナノアンテナの放射パターンは、図5、図6、図7、図8及び図9を参照して説明したように、均一に分布されたローブを有することを確認することができる。また、前記測定された光学ナノアンテナの放射パターンの偏光は、前記単結晶銀ナノワイヤの長軸に沿って偏光されることを確認することができる。即ち、図11において、第1方向(‖)で測定された場合にマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンが明確に現れるが、第2方向(⊥)で測定された場合にマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンはほとんど現れない。ブリュースター(Brewster)角より適当に大きな角度では入射面と平行に偏光された光が、垂直に偏光された光より、はるかに少なく反射されるので、入射光を単結晶銀ナノワイヤの長軸に対して平行に偏光しないで、入射面と平行に偏光できるように調節することによって、図10のガラス基板から入射光が直接反射することを防止することができ、マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを容易に測定することができる。
【0054】
一方、光信号の波長が短いほど、それぞれのマルチローブ放射パターンに含まれ、相互隣接するローブ間の距離が短くなることを確認することができる。即ち、相互隣接するローブ間の距離は、赤色光の場合に約600nm、緑色光の場合に約510nm、青色光の場合に約420nmと測定された。上記のような自由空間の光の波長より短いローブ間隔は、本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナが光の電磁場を波長以下のレベルで調節できることを示す。
【0055】
図12を参照すると、本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナから出力される前記マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンが入射光の入射角度(図10のθ)に独立的であることを確認することができる。具体的に、約633nmの波長を有する赤色光を利用して放射パターンを測定する場合に、入射光の入射角度(θ)が75°、60°及び45°に変更されても、相互隣接するローブ間の距離が約600nm(即ち、0.6μm)のマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンがいつも形成されることを確認することができる。これは測定された放射パターンが散乱された光ではなく、単結晶銀ナノワイヤの表面から誘導されたSPP電流によって形成されたことを意味する。
【0056】
図11及び図12を参照して上述したように、本発明の一実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナは、単結晶銀ナノワイヤの長軸に対して平行し、垂直な入射電場を同時に有することができ、電流信号を可視的なアンテナ放射パターンに変換させることができる。従って、単結晶銀ナノワイヤは送信及び受信ともに適した光学ナノアンテナとして作動することができる。
【0057】
図13及び図14は本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナに対するシミュレーション結果を示すシミュレーション写真である。
【0058】
図13を参照すると、3次元FDTD(Finite−Difference Time−Domain)方法に基づいて全域(full−field)電磁気シミュレーションを遂行した結果を示している。図13において、約633nmの波長を有する赤色光、約532nmの波長を有する緑色光、及び約440nmの波長を有する青色光を入射光として利用した場合に形成される放射パターンのポインティングベクトル(Poynting vector)のうち、垂直構成要素の分布を示した。光学ナノアンテナの長さ約3.1μm、直径約150nm、入射光の入射角度約80°で光学ナノアンテナに照射されることをシミュレーションした。また、光学ナノアンテナの放射パターン特性のみを得るために光学ナノアンテナの周辺を空気で取り囲み、ガラス基板は光学ナノアンテナの放射パターン特性にほとんど影響を及ぼさないものとシミュレーションした。放射パターンは光学ナノアンテナから約150nm上の平面で取得した。
【0059】
図11と同様に、図13ではそれぞれの光信号に対してマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを明確に示し、光学ナノアンテナの放射パターンの偏光は前記単結晶銀ナノワイヤの長軸に沿って偏光され、光信号の波長が短いほどそれぞれのマルチローブアンテナ放射パターンに含まれて、相互隣接するローブ間の距離が短くなることを確認することができる。相互隣接するローブ間の距離は、赤色光の場合に約520nm、緑色光の場合に約420nm、青色光の場合に約290nmと測定された。前記ローブ間の距離は、光学ナノアンテナと測定面(即ち、焦点面)の間の距離に比例して増加するので、図11と図13において同じ光信号に対する前記ローブ間の距離は互いに相異することができる。前記測定されたローブ間の距離は単結晶銀ナノワイヤに沿って伝達されるSPP電流の波長に相応することができる。図14を参照すると、無限の長さを有する単結晶銀ナノワイヤに沿って伝達されるSPP電流の分布を示している。
【0060】
図11、図12、図13及び図14に示したように、マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンに関した特性及び放射パターンの偏光が単結晶銀ナノワイヤの長軸に沿って偏光する特性などのような、本発明の一実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの特性をシミュレーションし、実際に測定することによって確認することができる。
【0061】
図15は本発明の一実施形態に係る光学ナノアンテナから測定された光学アンテナ放射パターンを示す光学顕微鏡写真である。図15は前記単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナを銀フィルムの上に載せて測定した結果を示す。前記銀フィルムは、鏡のように光学アンテナ放射パターンを反射させる作用をする。従って、放射パターンをさらに容易に観察することができる。
【0062】
図15を参照すると、可視光線領域の全波長を有する白色光を入射光として利用して単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの放射パターンを測定した。前記光学ナノアンテナの長さは、約41μmとして十分に長く、直径は約180nmである。図15において、単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの長さが十分に長く具現される場合にもマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンが現れ、特に虹のような多彩な放射パターンが現れることを確認することができる。
【0063】
上述したように、1次元SPPキャビティ(cavity)としての光学ナノアンテナは、SPP電流を単結晶銀ナノワイヤの両端部で反射させることによって共鳴状態を維持することができる。キャビティで、SPP電流の進行波長(λSPP)は、単結晶銀ナノワイヤの導波管(waveguide)モードによって与えられ、円柱の直径によって決定される。単結晶銀ナノワイヤの両端部は、剛性の反射体(rigid mirror)ではないので、単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの共鳴条件は、SPP電流の進行波長の半分(λSPP/2)の整数倍から若干移動した単結晶銀ナノワイヤの長さによって決定されることができる。十分な長さの光学ナノアンテナにおいては、可視光線周波数領域にいくつかの共鳴モードが存在することができる。単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナにSPP電流を励起させるために白色光を使用する場合に、それぞれ共鳴する条件は放射パターンに含まれるローブが、それぞれ異なる位置に現れるようにすることができる。従って、図9を参照して上述したように、それぞれのマルチローブアンテナ放射パターンが重なることができ、図15に示したように、虹のような多彩な放射パターンが発生されることができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナに対して説明、測定及びシミュレーションの便宜のために可視光線領域内の全波長範囲内で作動することと制限して説明したが、本発明の実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナは、紫外線、可視光線、及び赤外線領域内の全波長範囲で作動できることと理解するべきである。即ち、本発明の実施形態に係る単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナは、紫外線、可視光線及び赤外線領域の全波長帯域の入射光に基づいてマルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンを出力することができる。この場合、図5、図6、図7、図8及び図9を参照して上述したように、前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含み、前記マルチローブ形態の光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブアンテナ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブアンテナ放射パターンを含み、前記第1マルチローブアンテナ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記第2マルチローブアンテナ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いこともできる。
【0065】
また、本発明の実施形態に係る光学ナノアンテナが単結晶銀ナノワイヤを利用して具現することと制限して説明したが、本発明の実施形態に係る光学ナノアンテナは、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びアルミニウム(Al)などのような多様な金属及び合金を使用して合成される単結晶金属ナノワイヤを利用して具現することができると理解するべきである。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の実施形態は、光学ナノアンテナを含む任意の装置及びシステムに有用に利用できる。特に、本発明の実施形態は量子システムを利用した物理、生化学的応用に使用することができ、光発光量子ドットと蛍光分子を利用した分光学及び検出を含む物理、生化学的応用に有用に適用することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 反応炉
12 石英管
14 ボート型容器
16 銀スラグ
18 単結晶基板
20 加熱部位
30 測定装備
32 レンズ
34 ガラス基板
36 対物レンズ
38 線形偏光版
40 CCDカメラ
100 単結晶銀ナノワイヤ
110 光学アンテナ放射パターン
112,114,116 マルチローブ放射パターン
120 SPP電流



【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナとして、
前記単結晶銀ナノワイヤは、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて、複数のローブが前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射パターンを出力することを特徴とする光学ナノアンテナ。
【請求項2】
前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含み、
前記光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項3】
前記複数のローブのうち、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記複数のローブのうち、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いことを特徴とする請求項2に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項4】
前記入射光を表面プラズモンポラリトン電流に変換し、前記表面プラズモンポラリトン電流を前記単結晶銀ナノワイヤの両端部で反射して前記光学アンテナ放射パターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項5】
前記単結晶銀ナノワイヤは、気相輸送法を利用して合成されることを特徴とする請求項1に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項6】
反応炉内で銀スラグを熱気化させて、不活性ガスを利用して前記気化した銀の温度を前記銀スラグの温度より低く維持し、前記反応炉内に位置する単結晶基板上に移送させ、前記単結晶基板上で前記単結晶銀ナノワイヤを成長させて前記単結晶銀ナノワイヤが合成されることを特徴とする請求項5に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項7】
単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナの製造方法として、
反応炉内で銀スラグを熱気化させる段階と、
不活性ガスを利用して前記気化した銀の温度を前記銀スラグの温度より低く維持し、前記反応炉内に位置する単結晶基板上に移送させる段階と、
前記単結晶基板上で前記単結晶銀ナノワイヤを成長させる段階と、を含み、
前記単結晶銀ナノワイヤは、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて、複数のローブが前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射パターンを出力することを特徴とする光学ナノアンテナの製造方法。
【請求項8】
前記単結晶銀ナノワイヤは、面心立方結晶構造を有し、[110]結晶方向に成長することを特徴とする請求項7に記載の光学ナノアンテナの製造方法。
【請求項9】
単結晶銀ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナとして、
前記単結晶銀ナノワイヤは、紫外線、可視光線及び赤外線領域の全波長帯域の入射光に基づいて、複数のローブが前記単結晶銀ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射パターンを出力することを特徴とする光学ナノアンテナ。
【請求項10】
前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含み、
前記光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことを特徴とする請求項9に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項11】
前記複数のローブのうち、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記複数のローブのうち、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いことを特徴とする請求項10に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項12】
単結晶金属ナノワイヤを利用した光学ナノアンテナとして、
前記単結晶金属ナノワイヤは、可視光線領域の全波長帯域の入射光に基づいて、複数のローブが前記単結晶金属ナノワイヤを中心に放射状に配置されるマルチローブ形態の放射パターンを含む光学アンテナ放射パターンを出力することを特徴とする光学ナノアンテナ。
【請求項13】
前記入射光は、第1波長に相応する第1光信号及び前記第1波長より短い第2波長に相応する第2光信号を含み、
前記光学アンテナ放射パターンは、前記第1光信号に基づいて形成される第1マルチローブ放射パターン及び前記第2光信号に基づいて形成される第2マルチローブ放射パターンを含むことを特徴とする請求項12に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項14】
前記複数のローブのうち、前記第1マルチローブ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第1距離は、前記複数のローブのうち、前記第2マルチローブ放射パターンに含まれて、相互隣接する2つのローブ間の間隔である第2距離より長いことを特徴とする請求項13に記載の光学ナノアンテナ。
【請求項15】
前記単結晶金属ナノワイヤは、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びアルミニウム(Al)のうち、いずれか一つを使用して合成されることを特徴とする請求項12に記載の光学ナノアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−107192(P2013−107192A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−203996(P2012−203996)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【出願人】(592127149)韓国科学技術院 (129)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】373−1,Gusung−dong,Yuseong−ku,Daejeon 305−701 KR
【Fターム(参考)】