説明

単語認識装置、単語認識方法、及び単語認識装置を備える紙葉類処理装置

【課題】より高い精度で単語の認識を行うことができる単語認識装置、単語認識方法、及び単語認識装置を備える紙葉類処理装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る単語認識装置は、複数の単語を格納する単語辞書と、単語を含む画像を受け取る画像受取手段と、前記画像から単語毎の単語画像を抽出する単語画像抽出手段と、前記単語画像から文字候補を抽出する文字候補抽出手段と、前記文字候補に対して認識を行い、前記単語辞書に格納されている単語毎に第1の評価値を計算する解析的マッチング手段と、前記単語画像と前記単語辞書に格納されている単語毎の単語モデルとに基づいて第2の評価値を計算する全体的マッチング手段と、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを統合して第3の評価値を算出する統合評価値算出手段と、前記統合評価値算出手段により算出された前記第3の評価値を出力する出力手段と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、単語認識装置、単語認識方法、及び単語認識装置を備える紙葉類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば郵便物などの紙葉類を処理する郵便区分機などの紙葉類処理装置が実用化されている。このような紙葉類処理装置は、投入部に投入された紙葉類を1枚ずつ取り込み、紙葉類から画像を取得する。また、紙葉類処理装置は、単語認識装置を備える。単語認識装置は、紙葉類から取得した画像に基づいて、紙葉類上の単語を認識する。紙葉類処理装置は、認識結果に基づいて紙葉類に記載されたアドレスまたは他の情報を特定し、紙葉類を所定の区分ポケットに区分する。
【0003】
単語を認識する方法として、解析的手法(Analytic Approach)と、全体的手法(Holistic Approach)とが一般的に知られている。解析的手法と全体的手法とは、相補的な関係を有する。この為、単語認識装置は、解析的手法と全体的手法とを併用することにより、より高い精度で単語を認識することができる。
【0004】
単語認識装置は、解析的手法により単語を認識する場合、単語の画像に基づいて複数の切断点候補を抽出し、抽出した切断点候補に基づいて互いに重なる箇所を含む複数の文字候補を生成する。さらに、単語認識装置は、事後確率比を利用して解析的手法の評価値を算出し、評価値に基づいて複数の文字候補の中から正しい組み合わせを選び出す。
【0005】
また、単語認識装置は、全体的手法により単語を認識する場合、例えば隠れマルコフモデル(HMM:Hidden Markov Model)を用いることにより、単語を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4601835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解析的手法と全体的手法とを併用する方法として、先に全体的手法で認識を実行し、認識の結果に基づいて単語を文字毎に分割し、分割した各文字を解析的手法により認識することで、単語の認識結果を検証する方法がある。しかし、全体的手法による認識において誤認が発生した場合、文字の認識に失敗する為、単語認識装置は、十分な精度を得ることができないという課題がある。
【0008】
そこで、より高い精度で単語の認識を行うことができる単語認識装置、単語認識方法、及び単語認識装置を備える紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態に係る単語認識装置は、複数の単語を格納する単語辞書と、単語を含む画像を受け取る画像受取手段と、前記画像から単語毎の単語画像を抽出する単語画像抽出手段と、前記単語画像から文字候補を抽出する文字候補抽出手段と、前記文字候補に対して認識を行い、前記単語辞書に格納されている単語毎に第1の評価値を計算する解析的マッチング手段と、前記単語画像と前記単語辞書に格納されている単語毎の単語モデルとに基づいて第2の評価値を計算する全体的マッチング手段と、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを統合して第3の評価値を算出する統合評価値算出手段と、前記統合評価値算出手段により算出された前記第3の評価値を出力する出力手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置の例について説明するための図である。
【図2】図2は、一実施形態に係る単語認識装置の例について説明するための図である。
【図3】図3は、一実施形態に係る単語認識装置の処理について説明するための図である。
【図4】図4は、一実施形態に係る単語認識装置の処理について説明するための図である。
【図5】図5は、一実施形態に係る単語認識装置の処理について説明するための図である。
【図6】図6は、一実施形態に係る単語認識装置の処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る紙葉類処理装置、及び光検出装置について詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る紙葉類処理装置100の構成例を示す。
紙葉類処理装置100は、紙葉類から画像を読み取って、読み取った画像から宛先情報及び切手の貼付位置などを認識し、紙葉類に押印し、紙葉類を区分する。紙葉類処理装置100は、供給部200、分離ローラ210、搬送路220、画像読取部400、押印部460、印刷部470、主制御部500、区分処理部300、単語認識部600、操作部700、表示部800、及び入出力部900を備える。
【0013】
主制御部500は、紙葉類処理装置100の各部の動作を統合的に制御する。主制御部500は、CPU、バッファメモリ、プログラムメモリ、及び不揮発性メモリなどを備える。CPUは、種々の演算処理を行う。バッファメモリは、CPUにより行われる演算の結果を一時的に記憶する。プログラムメモリ及び不揮発性メモリは、CPUが実行する種々のプログラム及び制御データなどを記憶する。主制御部500は、CPUによりプログラムメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の処理を行うことができる。
【0014】
供給部200は、紙葉類処理装置100に取り込む紙葉類1をストックする。供給部200は、重ねられた状態の紙葉類1をまとめて受け入れる。
【0015】
分離ローラ210は、例えば供給部200の下端に設置される。分離ローラ210は、供給部200に紙葉類1が投入された場合、投入された紙葉類1の集積方向の下端に接する。分離ローラ210は、回転することにより、供給部200にセットされた紙葉類1を集積方向の下端から1枚ずつ紙葉類処理装置100の内部に取り込む。
【0016】
分離ローラ210は、たとえば、1回転するごとに1枚の紙葉類1を取り込む。これにより、分離ローラ210は、紙葉類1を一定のピッチで取り込むことができる。分離ローラ210により取り込まれた紙葉類1は、搬送路220に導入される。
【0017】
搬送路220は、紙葉類1を紙葉類処理装置100内の各部に搬送する搬送部である。搬送路220は、図示しない搬送ベルト及び図示しない駆動プーリなどを備える。搬送路220は、図示しない駆動モータにより駆動プーリを駆動する。搬送ベルトは、駆動プーリにより動作する。
【0018】
搬送路220は、分離ローラ210により取り込む紙葉類1を搬送ベルトにより一定速度で矢印a(搬送方向a)の方向に搬送する。なお、搬送路220において分離ローラ210に近い側を上流側、逆側を下流側として説明する。
【0019】
画像読取部400は、搬送路220により搬送される紙葉類1から画像を取得する。画像読取部400は、例えば、照明と光学センサとを備える。照明は、搬送路220により搬送される紙葉類1に対して光を照射する。光学センサは、Charge Coupled Device(CCD)などの受光素子と光学系(レンズ)を備える。光学センサは、紙葉類1で反射した反射光を光学系により受光し、CCDに結像させ、電気信号(画像)を取得する。画像読取部400は、搬送路220により搬送される紙葉類1から連続して画像を取得することにより、紙葉類1の全体の画像を取得する。画像読取部400は、取得した画像を主制御部500に供給する。なお、画像読取部400は、ビデオカメラなどを備える構成であってもよい。
【0020】
主制御部500は、画像読取部400から受け取った画像に基づいて、紙葉類1の搬送先を判定する為の処理を行う。この為に、主制御部500は、単語認識部600により画像中の単語を認識させることにより、宛先としての住所(宛先情報)などを特定する。主制御部500は、宛先情報に基づいて2次元コード、またはバーコードなどのイメージを生成し、生成したイメージを印刷部470に供給する。
【0021】
また、主制御部500は、紙葉類1上の切手などが貼付された位置を特定する。またさらに、主制御部500は、特定した切手の貼付位置に基づいて、押印部460の動作を制御する。
【0022】
押印部460は、主制御部500の制御に基づいて、例えば日付印などのスタンプを紙葉類1に押印する。即ち、主制御部500は、切手の貼付位置と重なる位置にスタンプを押印するように押印部460を制御する。例えば、押印部460は、割り印となるようにスタンプを押印する。
【0023】
印刷部470は、主制御部500の制御に基づいて、例えば二次元コードまたはバーコードなどのイメージを印刷する。即ち、印刷部470は、主制御部500から供給される二次元コードまたはバーコードなどのイメージを印刷する。例えば、印刷部470は、紫外線が照射された場合に励起光を発する蛍光体などを含むインクにより上記のイメージを印刷する。
【0024】
区分処理部300は、主制御部500の制御に基づいて、紙葉類1を区分けして集積する。区分処理部300は、例えば、第1のゲート310、第1のスタッカ320、第2のゲート330、及び第2のスタッカ340などの複数のゲート及びスタッカを備える。また、区分処理部300は、さらに複数のゲート及び複数スタッカを備える。スタッカは、例えば、宛先情報毎に設けられている。また、ゲートは、各スタッカ毎に設けられている。
【0025】
主制御部500は、区分処理部300の各ゲートを制御することにより、紙葉類1を区分させることができる。これにより、区分処理部300は、紙葉類1の宛先情報毎に異なるスタッカに紙葉類1を集積することができる。
【0026】
第1のゲート310及び第2のゲート330は、搬送路220の画像読取部400、押印部460、及び印刷部470より下流に設けられる。第1のゲート310及び第2のゲート330は、それぞれ主制御部500の制御に基づいて動作する。主制御部500は、上記した処理により認識された宛先情報に応じて、第1のゲート310及び第2のゲート330を制御する。
【0027】
第1のゲート310は、紙葉類1の搬送先を第1のスタッカ320と第2のゲート330とで切り替える。また、第2のゲート330は、紙葉類1の搬送先を第2のスタッカ340と他のスタッカとで切り替える。
【0028】
主制御部500は、単語認識部600により画像中の単語を認識させる為に、画像読取部400から受け取った画像を単語認識部600に供給する。
【0029】
単語認識部600は、受け取った画像中の単語を認識する。単語認識部600は、認識結果を主制御部500に出力する。主制御部500は、単語認識部600による認識結果に基づいて、宛先情報などを特定する。
【0030】
また、主制御部500は、宛先情報を特定することができなかった紙葉類1の画像を保持するメモリを備える。また、区分処理部300は、宛先情報を特定できなかった紙葉類1を集積するスタッカを備える。
【0031】
操作部700は、オペレータによる各種操作入力を操作部により受け付ける。操作部700は、オペレータにより入力される操作に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号を主制御部500に伝送する。
【0032】
例えば、紙葉類処理装置100は、VCS(Video Coding System)の機能を備えていてもよい。即ち、紙葉類処理装置100の主制御部500は、宛先情報を特定できなかった紙葉類1の画像を表示部800に表示させる。紙葉類処理装置100は、表示部800に表示させた紙葉類1の画像をオペレータに読み取らせて宛先情報を操作部700により入力させる。これにより、紙葉類処理装置100は、正しい宛先情報を取得することが出来る。
【0033】
表示部800は、主制御部500の制御に基づいて種々の画面を表示する。例えば、表示部800は、オペレータに対して各種の操作案内、及び処理結果などを表示する。また、上記したように、表示部800は、宛先情報が特定されなかった紙葉類1の画像を表示する構成であってもよい。なお、操作部700と表示部800とは、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
【0034】
入出力部900は、紙葉類処理装置100に接続される外部機器、または記憶媒体とデータの送受信を行う。例えば、入出力部900は、ディスクドライブ、USBコネクタ、LANコネクタ、またはデータの送受信が可能な他のインターフェースなどを備える。紙葉類処理装置100は、入出力部900に接続される外部機器、または記憶媒体からデータを取得することができる。また、紙葉類処理装置100は、入出力部900に接続される外部機器、または記憶媒体に処理結果を伝送することもできる。
【0035】
図2は、一実施形態に係る単語認識部600の構成の例を示す。
単語認識部600は、画像受取部601、単語抽出部602、文字候補抽出部603、文字認識部604、特徴抽出部605、解析的マッチング部610、全体的マッチング部620、特徴確率計算部630、VCS640、第1の単語画像蓄積部641、モデル学習部642、モデル格納部643、単語モデル生成部644、単語辞書645、事前確率計算部651、事前確率格納部652、事前確率入力部653、統合評価値算出部660、事前確率乗算部670、第2の単語画像蓄積部681、パラメータ学習部682、及びパラメータ格納部683を具備する。
【0036】
なお、単語認識部600の動作は、認識フェーズと学習フェーズとに大きく分けられる。まず、認識フェーズについて説明する。
【0037】
単語認識部600は、上記の各部により、解析的マッチングを行い、全体的マッチングを行い、特徴確率の計算を行い、これらの結果と、単語毎の事前確率とを統合する。これにより、単語認識部600は、単語毎の評価値(事後確率)を算出することができる。
【0038】
一般にパターン認識では、事後確率が最大となるカテゴリにパターンを所属させることが最適である。即ち、事後確率が最大となるカテゴリにパターンを所属させた場合、識別エラーが最小となる。即ち、単語認識部600は、最も高い事後確率が算出された単語を認識結果として出力することにより、一つの単語を特定し、主制御部500に伝送することができる。また、例えば、単語認識部600は、単語毎の評価値を認識結果として主制御部500に出力する構成であってもよい。この場合、主制御部500は、複数の単語の事後確率と、他の単語との組み合わせとを考慮して宛先情報を特定することができる。
【0039】
例えば、解析的マッチングにおける単語候補内の全文字認識結果をY、全体的マッチングに用いられる画像から抽出された特徴をXとした場合、単語認識部600は、次の数式1に基づいて単語wの事後確率P(w|Y、X)を算出する。
【数1】

【0040】
数式1の左辺は、解析的マッチングによる文字認識結果の集合体と、全体的マッチングに用いられる特徴抽出結果の集合体とを条件とした場合のある単語の事後確率を示す。即ち、事後確率P(w|Y、X)は、解析的マッチングと全体的マッチングとを併用した場合の単語毎の評価値を示す。
【0041】
数式1の左辺は、ベイズの定理により右辺のように展開できる。さらに、解析的マッチングの結果と全体的マッチングの結果とがそれぞれ独立であるとみなすことにより、数式1の1段目の右辺は、2段目の右辺に示すように近似することができる。
【0042】
なお、数式1のP(Y|w)/P(Y)は、解析的マッチングの結果(事後確率比)を示す。また、数式1のP(X|w)は、全体的マッチングの結果(尤度)を示す。またさらに、数式1のP(X)は、特徴確率の計算結果を示す。またさらに、P(w)は、単語wに関する事前確率を示す。
【0043】
単語認識部600は、上記の各項を算出し、数式1を演算することにより、単語毎の事後確率を算出することができる。
【0044】
まず、解析的マッチングについて説明する。単語認識部600の画像受取部601は、主制御部500から紙葉類1の画像(紙葉類画像)を受け取る。図3は、紙葉類画像の例を示す。図3に示されるように、画像受取部601は、紙葉類1上に記載された単語を含む紙葉類画像を受け取る。図3は、英文字単語により宛先などが記載された例を示す。しかし、紙葉類1上に記載された宛先が日本語、または他の言語であっても本実施形態を適用することができる。画像受取部601は、受け取った紙葉類画像を単語抽出部602に伝送する。
【0045】
単語抽出部602は、画像受取部601により受け取られた紙葉類画像から単語候補(単語画像)を抽出する。単語抽出部602は、例えば、紙葉類画像に対して画像処理を施すことにより、単語として区切ることができる可能性の高い領域を特定し、抽出する。図4は、単語候補の例を示す。図4に示されるように、単語抽出部602は、紙葉類画像中の単語候補を抽出する。
【0046】
例えば、単語抽出部602は、例えば、単語間のスペースを認識することにより、単語候補を抽出する。また、例えば、単語抽出部602は、「市」、「町」、または他の区切りとなるキーワードを抽出することにより、単語候補を抽出する構成であってもよい。また、単語候補を抽出する処理は、上記の方法に因らず、如何なるものであってもよい。単語抽出部602は、抽出した単語候補を文字候補抽出部603及び特徴抽出部605に伝送する。
【0047】
文字候補抽出部603は、単語候補から文字候補を抽出する。文字候補抽出部603は、単語候補(単語画像)に対して画像処理を施すことにより、文字として区切ることができる可能性の高い領域を特定し、抽出する。図5は、単語候補から文字候補を抽出する処理の例を示す。図5に示されるように、文字候補抽出部603は、文字候補から複数の切断点候補を抽出し、抽出した切断点候補に基づいて互いに重なる箇所を含む複数の文字候補を抽出する。即ち、文字候補抽出部603は、1つの文字として認識することができる可能性の高い領域を特定し、文字候補として抽出する。文字候補抽出部603は、抽出した文字候補を文字認識部604に伝送する。
【0048】
文字認識部604は、文字候補毎に文字認識を行い、文字認識結果を取得する。即ち、文字認識部604は、文字候補の画像と予め用意された文字認識辞書とを比較することにより、文字認識結果を取得する。文字認識部604は、文字候補毎の文字認識結果を解析的マッチング部610に伝送する。
【0049】
単語辞書645は、認識すべき単語をリストとして格納している。図6は、単語辞書645の例を示す。単語認識部600は、単語の認識を行う場合、単語辞書645のリストの中から正解の単語を選出する。単語辞書645は、解析的マッチング部610に単語リストを供給する。
【0050】
解析的マッチング部610は、文字認識部604から伝送された文字候補毎の文字認識結果に基づいて、単語辞書645に格納されている単語毎に事後確率比を計算する。これにより、解析的マッチング部610は、文字候補抽出部603により抽出された複数の文字候補の正しいパス(経路)を探す。
【0051】
例えば、単語wの第i番目の文字をc、第i番目の文字に対応する文字候補の通し番号をf(i)、第i番目の文字に対応する文字候補の文字認識結果をyf(i)、単語wの文字数をNとした場合、単語wの事後確率比P(Y|w)/P(Y)は、次の数式2に示すように近似される。
【数2】

【0052】
例えば、対象となる単語が「ham」である場合、c=「h」、c=「a」、c=「m」である。また、この場合、N=3である。またこの場合、P(yf(i)|c)/P(yf(i))は、第i番目の文字の事後確率比を示す。
【0053】
解析的マッチング部610は、第i番目の文字の事後確率比をi=1乃至Nに亘って乗算することにより、単語wの事後確率比P(Y|w)/P(Y)を算出することができる。即ち、解析的マッチング部610は、単語リストの各単語毎に文字認識結果に基づいて上記の数式2を演算することにより、単語毎の事後確率比を算出する。
【0054】
なお、解析的マッチング部610は、文字確率計算部611、第1の演算部612、第2の演算部613を備える。文字確率計算部611は、数式2の右辺の各因子の分子を計算する。即ち、文字確率計算部611は、P(yf(i)|c)をある単語wの各文字毎に算出する。
【0055】
第1の演算部612は、数式2の右辺の各因子を計算する。即ち、第1の演算部612は、右辺の分母であるP(yf(i))を算出し、算出した値で分子であるP(yf(i)|c)を割る。なお、P(yf(i))は、文字認識結果yf(i)の出現する確率である。
【0056】
第2の演算部613は、数式2の右辺を計算する。即ち第2の演算部613は、第1の演算部612の演算結果である数式2の右辺の各因子を全て掛け合わせる。これにより、解析的マッチング部610は、単語wの事後確率比P(Y|w)/P(Y)を算出することができる。解析的マッチング部610は、算出した事後確率比P(Y|w)/P(Y)を統合評価値算出部660に出力する。
【0057】
次に、全体的マッチングについて説明する。図2の特徴抽出部605は、上記したように、単語抽出部602から単語候補の画像を受け取る。特徴抽出部605は、受け取った単語候補の画像に基づいて、ベクトルの集合である特徴Xを抽出する。
【0058】
例えば、特徴抽出部605は、単語候補の画像をぼかした後の輝度勾配情報を128次元のベクトルとして特徴Xを抽出する。特徴抽出部605は、単語候補の画像中の注目する領域(注目領域)を画像中の左から右にずらしながら複数の特徴を抽出する。
【0059】
また、特徴抽出部605は、単語候補の画像の画素の濃度値を特徴として用いる構成であってもよい。またさらに、特徴抽出部605は、単語候補の画像をより簡易化することにより得られるパターンの濃度値を特徴として用いる構成であってもよい。
【0060】
上記の処理により、特徴抽出部605は、1つの単語候補の画像から複数個の特徴を抽出する。特徴抽出部605は、抽出した特徴Xを全体的マッチング部620、及び特徴確率計算部630に出力する。
【0061】
モデル格納部643は、各文字毎の文字モデル、または単語毎の単語モデルなどを格納している。なお、モデル格納部643は、単語辞書645内の各単語に対応する単語モデルを格納する構成であってもよい。また、モデル格納部643は、単語辞書645内の任意の単語に対応する単語モデルを格納する構成であってもよい。
【0062】
単語モデル生成部644は、モデル格納部643に格納されている文字モデル及び単語モデルを用いて、単語辞書645内の各単語に対応する単語モデルを生成する。単語モデル生成部644は、生成した単語モデルを全体的マッチング部620に出力する。
【0063】
例えば、単語モデル生成部644は、モデル格納部643に格納されている文字モデルを読み出し、単語辞書645内の単語に応じて文字モデルを連結させることにより、単語モデルを生成する。なお、単語辞書645内の単語に対応する単語モデルがモデル格納部643に格納されている場合、単語モデル生成部644は、モデル格納部643に格納されている単語モデルをそのまま全体的マッチング部620に出力する。
【0064】
全体的マッチング部620は、特徴抽出部605により抽出された特徴Xと、単語モデル生成部644から出力された単語モデルとに基づいて、尤度P(X|w)を計算する。尤度P(X|w)は、特徴抽出部605により抽出された特徴Xが単語モデル生成部644から出力された単語モデルから出力される確率である。なお、尤度P(X|w)は、数式1の右辺の第2因子の分子と同じものである。
【0065】
全体的マッチング部620は、ビタビアルゴリズム(Viterbi algorithm)を用いることにより、尤度P(X|w)を算出する。
【0066】
ビタビアルゴリズムは、モデルパラメータが既知である場合に、与えられた配列を出力した可能性(尤度)が最も高い状態列を計算するアルゴリズムである。即ち、ビタビアルゴリズムは、特徴Xを結果として生じる隠された事象の系列を探す動的計画法アルゴリズムである。
【0067】
全体的マッチング部620は、ビタビアルゴリズムにより、単語モデル生成部644から出力された単語モデルを既知のパラメータとして、特徴Xが出現する確率としての尤度P(X|w)を算出する。即ち、尤度P(X|w)は、単語wに対応する単語モデルから特徴Xが出現する確率を示す。全体的マッチング部620は、算出した尤度P(X|w)を統合評価値算出部660に出力する。
【0068】
次に、特徴確率の計算について説明する。図2の特徴確率計算部630は、特徴抽出部605により抽出された特徴Xと、パラメータ格納部683により格納されているパラメータとに基づいて、特徴確率P(X)を算出する。上記したように、特徴抽出部605は、単語候補の画像に基づいて、ベクトルの集合である特徴Xを抽出する。この特徴Xは、T個の特徴ベクトルx、x、x・・・xを有する。この場合、特徴ベクトルxは、t番目の特徴ベクトルを示す。
【0069】
上記のように仮定した場合、特徴確率計算部630は、下記の数式3に基づいて特徴確率P(X)を算出する。
【数3】

【0070】
即ち、特徴確率計算部630は、全ての特徴ベクトルxが独立であると近似し、上記の数式3を計算することにより、特徴確率P(X)を算出することができる。
【0071】
特徴確率計算部630は、パラメータ格納部683により格納されているパラメータに基づいて、P(x)をt=1乃至Tに亘ってそれぞれ計算する。
【0072】
パラメータ格納部683は、複数の単語画像に基づいて学習により算出されたパラメータを蓄積する。このパラメータは、単語画像に基づいて抽出された特徴Xが有する特徴ベクトルx、x、x・・・の成す確率分布を示すものである。即ち、パラメータ格納部683は、各特徴ベクトルの成す確率分布のパラメータを記憶する。パラメータ格納部683は、例えば、混合ガウス分布でモデル化されている場合であれば、各ガウス分布の混合率、平均ベクトル、または共分散行列などを格納する。
【0073】
特徴確率計算部630は、計算した全てのP(x)を乗算することにより、特徴確率P(X)を算出する。特徴確率計算部630は、算出した特徴確率P(X)を統合評価値算出部660に出力する。
【0074】
統合評価値算出部660は、解析的マッチング部610、全体的マッチング部620、及び特徴確率計算部630の算出結果を統合する。統合評価値算出部660は、解析的マッチング部610により算出された事後確率比P(Y|w)/P(Y)と、全体的マッチング部620により算出された尤度P(X|w)と、特徴確率計算部630により算出された特徴確率P(X)とに基づいて、統合評価値{P(Y|w)/P(Y)}・{P(X|w)/P(X)}を算出する。
【0075】
即ち、統合評価値算出部660は、事後確率比P(Y|w)/P(Y)と、尤度P(X|w)と、特徴確率P(X)の逆数とを乗算する。統合評価値算出部660は、算出した統合評価値{P(Y|w)/P(Y)}・{P(X|w)/P(X)}を事前確率乗算部670に出力する。
【0076】
事前確率乗算部670は、統合評価値算出部660により算出された統合評価値{P(Y|w)/P(Y)}・{P(X|w)/P(X)}に単語毎の事前確率P(w)を乗算する。これにより、単語認識部600は、上記の数式1の演算結果としての事後確率P(w|Y、X)を得ることができる。
【0077】
事前確率格納部652は、単語毎の事前確率P(w)をテーブルとして格納する。事前確率P(w)は、紙葉類1にある単語が記載されている頻度を示す確率である。この値を調整してテーブルを作成することにより、住所として不適当な単語の事後確率P(w|Y、X)を抑えることができる。
【0078】
例えば、紙葉類1上のバーコードなどが「11111111」などの単語として認識される場合がある。このような場合であっても、「11111111」などの単語に事前確率P(w)として低い値を予め設定しておくことにより、単語認識部600が単語「11111111」の事後確率P(w|Y、X)として高い値を算出することを防ぐことができる。即ち、誤認識しやすい単語などに対して事前確率P(w)として低い値を予め設定しておくことにより、単語認識部600が誤認識を起こすことを防ぐことができる。
【0079】
また、例えば、全ての単語の出現頻度が一律である場合、事前確率P(w)は一定の値であればよい。
【0080】
事前確率乗算部670は、事前確率格納部652に単語毎に格納されている事前確率事前確率P(w)を読み出し、統合評価値{P(Y|w)/P(Y)}・{P(X|w)/P(X)}に乗算する。事前確率乗算部670は、乗算の結果、即ち事後確率P(w|Y、X)を主制御部500に出力する。
【0081】
上記の処理により、主制御部500は、単語毎の認識結果(評価値)を取得することができる。主制御部500は、複数の単語の事後確率と、他の単語との組み合わせとを考慮して宛先情報を特定することができる。例えば、主制御部500は、宛先情報として適当な単語の組み合わせを推測することができる。
【0082】
上記したように単語認識部600は、上記の各部により、解析的マッチングにより事後確率比P(Y|w)/P(Y)を算出し、全体的マッチングにより尤度P(X|w)を算出し、特徴確率の計算により特徴確率P(X)を算出する。単語認識部600は、事後確率比P(Y|w)/P(Y)と、尤度P(X|w)と、特徴確率P(X)と、予め単語毎に設定された事前確率P(w)とを統合することにより、単語毎の事後確率P(w|Y、X)を算出することができる。
【0083】
なお、単語認識部600は、最も高い事後確率P(w|Y、X)が算出された単語を認識結果として主制御部500に出力する構成であってもよい。この場合、単語認識部600は、一つの単語を認識結果として特定し、主制御部500に伝送することができる。
【0084】
また、上記したように、単語認識部600は、単語毎の事後確率P(w|Y、X)を認識結果として主制御部500に出力する構成であってもよい。この場合、主制御部500は、複数の単語の事後確率P(w|Y、X)と、他の単語との組み合わせとを考慮して宛先情報を特定することができる。
【0085】
次に、学習フェーズについて説明する。
図2に示すVCS640は、たとえば、単語認識部600により宛先情報が認識されなかった紙葉類1の正しい宛先情報を紙葉類処理装置100のオペレータに入力させる為のモジュールである。VCS640は、例えば図1に示す操作部700及び表示部800により構成される。また、例えば、単語認識部600は、操作部700及び表示部800とは別に操作及び表示が可能なモジュールをVCS640として備える構成であってもよい。
【0086】
VCS640は、宛先情報を特定できなかった紙葉類1の画像を表示する。VCS640は、表示させた紙葉類1の画像をオペレータに読み取らせて宛先情報を入力させる。例えば、VCS640は、単語候補毎にオペレータに正しい単語を入力させる。これにより、VCS640は、単語画像と正しい宛先情報(正解)とを対応付けることができる。
【0087】
VCS640は、単語画像及び正しい宛先情報(正解)を、第1の単語画像蓄積部641と事前確率計算部651とに出力する。また、VCS640は、少なくとも単語画像を第2の単語画像蓄積部681に出力する。
【0088】
まず、単語モデルの学習について説明する。第1の単語画像蓄積部641は、VCS640により入力された単語画像と正解とを対応付けて蓄積する。
【0089】
モデル学習部642は、第1の単語画像蓄積部641に蓄積されている単語画像とその正解を用いて、各文字モデル、及び各単語モデルのいずれかまたは両方を学習する。
【0090】
モデル学習部642は、例えば、バウムウェルチアルゴリズム(Baum−Welch algorithm)を用いてモデルの学習を行う。バウムウェルチアルゴリズムは、隠れマルコフモデルにおける未知のパラメータを探すアルゴリズムである。バウムウェルチアルゴリズムは、モデルが出力した配列からモデルパラメータを推定することができる。
【0091】
モデル学習部642は、例えば、第1の単語画像蓄積部641に蓄積されている単語画像とその正解を用いて、バウムウェルチアルゴリズムによりモデルを生成する。モデル学習部642は、生成したモデルをモデル格納部643に出力する。モデル格納部643は、受け取ったモデルを格納する。
【0092】
なお、モデル学習部642は、既にモデル格納部643に格納されているモデルを更新する構成であってもよい。
【0093】
次に、事前確率の学習について説明する。事前確率計算部651は、VCS640により入力された単語画像の正しい宛先情報に基づいて、単語毎の頻度をカウントする。即ち、事前確率計算部651は、宛先情報に含まれる単語の数を単語毎にカウントして集計することにより、単語毎の事前確率P(w)を算出する。事前確率計算部651は、算出した単語毎の事前確率P(w)を事前確率格納部652に格納する。
【0094】
事前確率入力部653は、事前確率格納部652に格納されている事前確率P(w)を変更することができる。事前確率入力部653は、例えば図1に示す操作部700により入力された操作に基づいて事前確率格納部652に格納されている事前確率P(w)を操作に応じた値に書き換える。
【0095】
また、事前確率入力部653は、操作部700とは別に操作が可能なモジュールにより入力された操作に基づいて事前確率格納部652に格納されている事前確率P(w)を操作に応じた値に書き換える構成であってもよい。
【0096】
これにより、上記したような誤認識しやすい単語などに対して事前確率P(w)として低い値を設定することができる。これにより、単語認識部600が誤認識を起こすことを防ぐ事ができる。
【0097】
次に、特徴確率P(X)の算出に用いられるパラメータの学習について説明する。
第2の単語画像蓄積部681は、VCS640により入力された単語画像を蓄積する。第2の単語画像蓄積部681は、少なくとも単語認識部600により単語が認識されなかった紙葉類1の単語画像を蓄積することができる構成であればよい。第2の単語画像蓄積部681は、また、図1に示す画像読取部400により読み取られた紙葉類1の画像を直接格納する構成であってもよい。また、第2の単語画像蓄積部681は、第1の単語画像蓄積部641と同一に構成されていてもよい。
【0098】
パラメータ学習部682は、第2の単語画像蓄積部681に蓄積されている単語画像に基づいて、特徴確率計算部630により用いられるパラメータを学習する。即ち、パラメータ学習部682は、単語画像に基づいて複数の特徴ベクトルx、x、x・・・を算出し、これらの複数の特徴ベクトルから確率分布のパラメータを学習する。パラメータ学習部682は、学習したパラメータをパラメータ格納部683に格納する。
【0099】
このような構成によると、単語認識部600は、単語画像の特徴に基づいて、特徴ベクトルの確率分布のパラメータを予め学習する。単語認識部600は、特徴確率P(X)を学習したパラメータに基づいて算出する。このように算出された特徴確率P(X)を用いて事後確率P(w|Y、X)を算出することにより、単語認識部600は、より高い精度で事後確率P(w|Y、X)を算出することができる。
【0100】
このような構成によると、単語認識部600は、解析的手法(解析的マッチング)と全体的手法(全体的マッチング)とを併用することができる。これにより、単語認識部600は、より高い精度で事後確率P(w|Y、X)を算出することができる。この結果、より高い精度で単語の認識を行うことができる単語認識装置、単語認識方法、及び単語認識装置を備える紙葉類処理装置を提供することができる。
【0101】
なお、上記の実施形態では、解析的マッチングと全体的マッチングとは、どちらが先に行われてもよい。また、単語認識部600が解析的マッチングと全体的マッチングとを並列的に処理することが出来る構成を備える場合、解析的マッチングと全体的マッチングとを並列的に処理する構成であってもよい。
【0102】
なお、上記の実施形態では、単語認識部600は、一つの単語を認識結果として特定する場合、最も高い事後確率P(w|Y、X)が算出された単語を認識結果として主制御部500に出力すると説明したが、この構成に限定されない。単語画像が同じである場合、特徴確率P(X)は一定である為、単語認識部600は、数式1のP(X)を任意の値として事後確率P(w|Y、X)を算出する構成であってもよい。即ち、単語認識部600は、事後確率比P(Y|w)/P(Y)、尤度P(X|w)、及び事前確率P(w)に基づいて事後確率P(w|Y、X)を算出することができる。
【0103】
また、上記したように、各単語毎の事後確率P(w|Y、X)を上位である主制御部500に出力する場合、単語認識部600は、特徴確率P(X)を算出し、数式1に基づいて事後確率P(w|Y、X)を算出する。これにより、単語認識部600は、各単語の評価としての事後確率P(w|Y、X)を主制御部500に出力することができる。主制御部500は、単語毎の事後確率P(w|Y、X)と、各単語の組み合わせとを考慮し、より高い精度で宛先情報を特定することが出来る。
【0104】
また、上記した実施形態では、単語認識部600は、事後確率比P(Y|w)/P(Y)、尤度P(X|w)、及び事前確率P(w)に基づいて事後確率P(w|Y、X)を算出する構成として説明したが、この構成に限定されない。例えば、事前確率を考慮する必要がない場合、または事前確率が一定の値である場合、単語認識部600は、数式1の事前確率P(w)を無視する、または所定の値に置き換えて事後確率P(w|Y、X)を算出する構成であってもよい。
【0105】
また、上記した実施形態では、単語認識部600は、数式1乃至数式3の計算をそのまま行う構成として説明したが、この構成に限定されない。単語認識部600は、数式1乃至数式3の各項の対数を取って計算する構成であってもよい。このように対数を使うことにより、乗算であった部分が加算に代替される。また、除算であった部分が減算に代替される。
【0106】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0107】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…紙葉類、100…紙葉類処理装置、200…供給部、210…分離ローラ、220…搬送路、300…区分処理部、400…画像読取部、500…主制御部、600…単語認識部、601…画像受取部、602…単語抽出部、603…文字候補抽出部、604…文字認識部、605…特徴抽出部、610…解析的マッチング部、611…文字確率計算部、612…第1の演算部、613…第2の演算部、620…全体的マッチング部、630…特徴確率計算部、640…VCS、641…第1の単語画像蓄積部、642…モデル学習部、643…モデル格納部、644…単語モデル生成部、645…単語辞書、651…事前確率計算部、652…事前確率格納部、653…事前確率入力部、660…統合評価値算出部、670…事前確率乗算部、681…第2の単語画像蓄積部、682…パラメータ学習部、683…パラメータ格納部、700…操作部、800…表示部、900…入出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単語を格納する単語辞書と、
単語を含む画像を受け取る画像受取手段と、
前記画像から単語毎の単語画像を抽出する単語画像抽出手段と、
前記単語画像から文字候補を抽出する文字候補抽出手段と、
前記文字候補に対して認識を行い、前記単語辞書に格納されている単語毎に第1の評価値を計算する解析的マッチング手段と、
前記単語画像と前記単語辞書に格納されている単語毎の単語モデルとに基づいて第2の評価値を計算する全体的マッチング手段と、
前記第1の評価値と前記第2の評価値とを統合して第3の評価値を算出する統合評価値算出手段と、
前記統合評価値算出手段により算出された前記第3の評価値を出力する出力手段と、
を具備する単語認識装置。
【請求項2】
前記統合評価値算出手段は、前記第1の評価値と前記第2の評価値とを乗算し、前記第3の評価値を算出する、請求項1に記載の単語認識装置。
【請求項3】
前記特徴が出現する特徴確率を計算する特徴確率計算手段をさらに具備し、
前記第1の評価値と前記第2の評価値とを乗算し、乗算した結果を前記特徴確率の逆数により除算し前記第3の評価値を算出する、請求項2に記載の単語認識装置。
【請求項4】
前記特徴抽出手段は、順列を成す複数の特徴ベクトルを特徴として抽出し、
前記特徴確率計算手段は、前記特徴の各特徴ベクトルが出現する確率をそれぞれ算出し、算出した前記各確率を乗算することにより前記特徴確率を計算する、
請求項3に記載の単語認識装置。
【請求項5】
単語画像を蓄積する単語画像蓄積手段と、
前記単語画像蓄積手段により蓄積されている単語画像を用いて前記特徴確率計算手段で用いられるパラメータを学習するパラメータ学習手段と、
をさらに具備し、
前記特徴確率計算手段は、前記パラメータ学習手段により学習したパラメータに基づいて、前記各特徴ベクトルが出現する確率を計算する、
請求項4に記載の単語認識装置。
【請求項6】
前記解析的マッチング手段は、
前記文字候補に対して文字認識を行うことにより文字認識結果を取得し、
前記文字認識の結果に基づいて、前記単語辞書に格納されている単語毎に第1の評価値を計算する請求項1に記載の単語認識装置。
【請求項7】
前記解析的マッチング手段は、前記単語辞書に格納されている単語の各文字毎に、前記文字認識結果が前記単語の文字から出現する確率を算出し、算出した前記確率を前記文字認識結果が出現する確率で除算し、前記除算の結果を全て乗算することにより前記第1の評価値を計算する、請求項6に記載の単語認識装置。
【請求項8】
前記全体的マッチング手段は、前記単語画像から特徴を抽出し、前記単語辞書に格納されている単語毎に単語モデルを生成し、前記単語モデル毎に前記特徴が出現する確率を前記第2の評価値として計算する、請求項1に記載の単語認識装置。
【請求項9】
単語毎の事前確率を格納する事前確率格納手段と、
前記事前確率格納手段により格納されている前記事前確率と前記第3の評価値とに基づいて第4の評価値を算出する事後確率算出手段と、
をさらに具備し、
前記出力手段は、前記事後確率算出手段により算出された前記第4の評価値を出力する、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の単語認識装置。
【請求項10】
前記事前確率の値を入力する事前確率入力手段をさらに具備し、
前記事前確率格納手段は、格納している前記事前確率の値を前記事前確率入力手段により入力された値に変更する、
請求項9に記載の単語認識装置。
【請求項11】
当該単語認識装置が設けられた紙葉類処理装置により特定された単語の認識結果を受け取り、受け取った前記認識結果に基づいて単語毎に前記事前確率の値を計算する事前確率計算手段をさらに具備し、
前記事前確率格納手段は、格納している前記事前確率の値を前記事前確率計算手段により計算された値に変更する、
請求項9または10に記載の単語認識装置。
【請求項12】
複数の単語を格納する単語辞書を具備する単語認識装置に用いられる単語認識方法であって、
単語を含む画像を受け取り、
前記画像から単語毎の単語画像を抽出し、
前記単語画像から文字候補を抽出し、
前記文字候補に対して認識を行い、前記単語辞書に格納されている単語毎に第1の評価値を計算し、
前記単語画像と前記単語辞書に格納されている単語毎の前記単語モデルとに基づいて第2の評価値を計算し、
前記第1の評価値と前記第2の評価値とを統合して第3の評価値を算出し、
前記第3の評価値を出力する、
単語認識方法。
【請求項13】
紙葉類を取り込む取り込み手段と、
前記紙葉類を搬送する搬送手段と、
前記紙葉類上の単語を含む画像を読み取る画像読取手段と、
複数の単語を格納する単語辞書と、
前記画像から単語毎の単語画像を抽出する単語画像抽出手段と、
前記単語画像から文字候補を抽出する文字候補抽出手段と、
前記文字候補に対して認識を行い、前記単語辞書に格納されている単語毎に第1の評価値を計算する解析的マッチング手段と、
前記単語画像と前記単語辞書に格納されている単語毎の前記単語モデルとに基づいて第2の評価値を計算する全体的マッチング手段と、
前記第1の評価値と前記第2の評価値とを統合して第3の評価値を算出する統合評価値算出手段と、
前記統合評価値算出手段により算出された前記第3の評価値に基づいて前記紙葉類の宛先情報を認識する認識部と、
前記認識部により認識された前記宛先情報に基づいて、前記紙葉類を区分する区分処理部と、
を具備する紙葉類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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