説明

単針動作による血液体外処理装置

本発明は、単針動作により血液を体外処理する次のような装置に関する。すなわちこの装置は、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)と、血液を収集する手段から血液を搬送する手段(12)と、血液を搬送する手段(11、12)のそのときどきの流量を設定する制御ユニット(13)とを持つ。血液を搬送する手段(11、12)の運転は、制御ユニットによって連続的に、動脈相と静脈相の間を切り替えられる。その際、動脈相においては、血液を搬送する手段(11)の流量Qが、血液を搬送する手段(12)の流量QSNよりも大きいので、動脈相で患者から血液を採取することができる。そして静脈相では、流量Qが流量QSNより小さいので、静脈相で患者に血液を供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単針動作で血液体外処理を行う次のような装置に関する。すなわち本装置の場合、動脈相で血液を患者から採取し、静脈相で血液を患者にふたたび供給する。また本発明は、単針動作で血液体外処理を行う方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血液が貫流する血液処理ユニットを持つ血液体外処理装置が、一般に公知である。これに数えられるものに、たとえば血液透析、血液濾過、または血液透析濾過のためのそれぞれ公知の装置がある。これら公知の血液処理装置は、単針動作または2針動作で操作することができる。
【0003】
単針動作の場合、血液は、ただ1本の針によって患者から採取され、血液処理装置の血液処理ユニットに導かれ、そしてこのただ1本の針を経由して患者にふたたび供給される。患者から採取された血液は、動脈相の間はリザーバーに蓄えられ、静脈相で患者にリザーバーからふたたび供給される。このとき血液は、血液処理装置の血液処理ユニットを貫流する。
【0004】
血液を採取し、還流させるためには、血液供給管と還流管とを持つ交換可能な血液チューブシステムが用いられる。このシステムにはただ1本の針(カニューレ)が接続されている。この交換可能なチューブシステムは、血液処理装置に挿入され、血液処理後は廃棄される。したがってこのチューブシステムは、使い捨て品とも呼ばれる。血液処理ユニットもまた、一般には単回使用のためのものである。
【0005】
単針動作のための血液処理装置としては、動脈側血液供給管に配置されたただ1つの血液ポンプを備えるものが公知である。血液を収集するためには、十分な容積弾性を持つ血液リザーバーが、血液処理ユニットの上流または下流に設けられている。単針動作用の血液処理装置としては、ただ1つの血液ポンプを持つもののほか、次のような血液処理装置も公知である。すなわち2つの血液ポンプを備え、うち1つのポンプは、動脈側血液供給管で血液リザーバーの上流に配置され、もう1つのポンプは、血液処理ユニットにつながる血液供給管で血液リザーバーの下流に配置されている、このような装置である。これら両者のポンプは、動脈相と静脈相で交代に運転される。動脈相では、患者から採取された血液が、第1の血液ポンプによって血液リザーバーに搬送され、他方で静脈相では、血液リザーバーに収集された血液が、第2の血液ポンプによって患者に搬送される。このとき血液は透析器を貫流する。重要なのは、第1の血液ポンプ運転の際には第2の血液ポンプは運転停止し、第2のポンプ運転の際には第1のポンプが運転停止することである。これにより血液供給管は、血液リザーバーの上流または下流でそれぞれ中断される。血液リザーバーの容積弾性は、2つのポンプを運転する際には不要である。
【0006】
血液ポンプを1つまたは2つ持つ単針動作用の血液処理装置は、たとえば専門書“Replacement Of Renal Function By Dialysis”、5訂版、ISBN 1−4020−0083−9、Kluwer Academic Publishers、365〜367ページに記載されている。
【0007】
DE 19633657 C1からは、動脈側血液回路管に配置された血液ポンプを備える単針動作用透析装置が公知である。この場合、血液リザーバーは、動脈側血液回路管に配置された血液バッグと、静脈側血液回路管に配置された血液バッグとを含む。両者の血液バッグとも、これに1つの装置によって圧力をかけて、血液を血液バッグから搬送することができる。
【0008】
腎不全にかかった小児や乳児は、身体体積が小さいので、比較的小さい血液流量で処置される。比較的小さい、たとえば約5ml/minの連続的血液流量による透析処理は、従来型血液ポンプを備える血液処理装置によっては一般に不可能である。なぜならば、モーター回転を安定化させるための内部制御は、衝撃のない運転を得るため、ポンプローターのある特定の回転速度を前提とするからである。ここから最小限血液流量は約20ml/minとなる。しかしこの血液流量は、体重の少ない患者、たとえば体重10kgの患者にとっては大きすぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DE 19633657 C1
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“Replacement Of Renal Function By Dialysis”、5訂版、ISBN 1−4020−0083−9、Kluwer Academic Publishers、365〜367ページ
【発明の概要】
【0011】
本発明の課題は、血液流量が比較的小さくても血液処理を可能とするような、単針動作による血液体外処理装置を得ることである。
【0012】
本発明のもう1つの課題は、血液流量が比較的小さくても血液処理を可能とするような、単針動作によって血液体外処理を行う方法を挙げることである。
【0013】
本発明はこの課題を、請求項1および10に記載する事項によって解決する。本発明の有利な実施形態を従属請求項に記載した。
【0014】
単針動作により血液体外処理を行う本発明の装置と、血液体外処理を行う本発明の方法とは、次の点で優れている。すなわち、動脈相の間および静脈相の間、血液が血液収集手段に搬送されるだけでなく、血液は血液収集手段からの搬送も受ける。したがって本発明の装置と本発明の方法は、血液を搬送する複数の手段を交代に運転するのではなく、動脈相および静脈相において、血液を搬送する複数の手段を同時に運転することを意図する。
【0015】
血液を搬送する両者の手段を同時に運転することにより、さまざまに異なる流量の指定が可能となる。動脈相では、血液収集手段に血液を搬送する手段の流量を次のように設定する。すなわち、この流量が、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量より大きくなるようにする。これにより動脈相では患者から血液が採取される。これに対して静脈相では、血液収集手段に血液を搬送する手段の流量が、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量より小さい。これにより静脈相では患者に血液が供給される。
【0016】
実効流量は、上記の両者流量の差から得られる。両者流量の差だけに依存するので、実効流量が比較的小さい場合でも、血液を搬送する各手段は、比較的大きい流量で運転することができる。したがって比較的大きい流量でしか運転できない血液ポンプ、とくに蠕動ポンプ、たとえばローラーポンプを用いて、比較的小さい血液流量で血液処理を行うことができる。その結果、最小流量が希望の血液流量より大きい従来型血液ポンプをも、用いることができる。
【0017】
もう1つの利点として、比較的小さい透析器またはフィルターを用いることができる。なぜならば、体外の血液循環回路では高い流量が支配し、血液は何回も透析器またはフィルターを通ってポンプ搬送されるからである(再循環)。それにもかかわらずこの場合、患者を出て患者に入る流量は小さい。
【0018】
血液搬送手段は、さまざまに異なる形状とすることができる。好ましくは血液搬送手段を血液ポンプとする。血液搬送のため、血液バッグを使用し、この血液バッグに圧力をかけることができる。この種の配置は、例えば特許文献1(DE19633657C1)から公知である。
【0019】
血液収集手段に血液を搬送する手段の流量と、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量の差の数値は、動脈相におけるものと静脈相におけるものが、等しいことが好ましい。血液収集手段に血液を搬送する手段の流量と、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量の差の数値は、動脈相と静脈相とで異なるものとすることもできる。
【0020】
血液収集手段は、さまざまに異なる形状とすることができる。たとえば血液収集手段を血液容器、とくには血液バッグとすることができる。しかし、血液が2つのポンプで搬送されるので、十分な容積弾性は不要である。
【0021】
血液体外処理装置の1つの特別な実施形態の場合、血漿と可溶性成分との混合物を血液から抽出することができる。このため適当する手段によって、血液処理ユニットの血液チャンバと透析液チャンバとの間に圧力勾配を構築する。これにより、血液から半透膜を経由して透析液に入る物質移動が生じる。このプロセスは限外濾過と呼ばれる(文献:透析マニュアル 3 S786ページ、ISBN 978−3−939508−88−5)。血液の液体損失は、置換液の添加によって完全に、部分的に、または過度に補償することができる。このプロセスは、置換液の添加が血液処理ユニットの下流で行われるときは後希釈と呼ばれ、置換液の添加が血液処理ユニットの上流で行われるときは前希釈と呼ばれる。
【0022】
血液体外処理装置の1つの好ましい実施形態は、実効血液流量を入力する入力ユニットを備える。この血液流量は、小児または乳児に対して血液処理を行うことができるよう、比較的小さいものとすることができる。血液処理装置の制御ユニットは、血液収集手段に血液を搬送する手段の流量と、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量とを、次のように設定するものに形成する。すなわち、静脈相では、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量と、血液収集手段に血液を搬送する手段の流量との間の差が、指定された実効血液流量に等しくなるようにする。
【0023】
血液体外処理装置のもう1つの好ましい実施形態は、動脈相の、比較的小さいものであり得る実効血液流量を入力するため、かつ静脈相のもう1つの実効血液流量を入力するための入力手段を備える。このもう1つの実効血液流量は、比較的小さいものであり得ながら、かつ動脈相での実効血液流量とは異なるものである。血液処理装置の制御ユニットは、血液収集手段に血液を搬送する手段の流量と、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量とを、次のように設定するものに形成する。すなわち、動脈相では、血液収集手段に血液を搬送する手段の流量と、血液収集手段から血液を搬送する手段の流量との間の差が、動脈相の指定された実効血液流量に等しく、かつ静脈相では、静脈相の指定された実効血液流量に等しくなるようにする。
【0024】
血液処理ユニットと血液回路管システムとは、好ましくは、血液体外処理装置の固定された構成部分ではなく、単回使用のためのものとする。この血液回路管システムは、血液処理ユニットにつながる動脈側血液供給管と、血液処理ユニットから出る静脈側血液還流管とを含む。
【0025】
もう1つの好ましい実施形態の場合、血液を貯留する手段が動脈側血液供給管に配置されていて、この血液供給管は、血液体外処理装置の血液処理ユニット、とくに透析器につながる。しかし、この血液貯留手段を静脈側血液回路管に配置し、この血液回路管が、血液処理ユニットとくに透析器から出るものとすることも可能である。重要なのは、血液収集手段が、血液収集手段に血液を搬送する手段と、血液収集手段から血液を搬送する手段との間に配置されていることだけである。この場合、血液処理ユニットの相対的位置は重要ではない。
【0026】
下記では、1つの図を引用しながら、本発明の1つの実施例を詳しく説明する。このただ1つの図は、単針動作用の血液体外処理装置を、いちじるしく単純化した模式図として示す。この図では、見やすくするため、血液処理装置において本発明に重要な諸要素だけを示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による単針動作用の血液体外処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この血液処理装置は血液透析装置であって、透析器1を血液処理ユニットとして備え、この透析器は、半透膜2によって透析液チャンバ3と血液チャンバ4とに区分されている。図は血液体外循環回路1だけを示し、血液透析装置の透析液循環回路は、矢印で暗示するにとどめる。
【0029】
この血液処理装置には使い捨て品が挿入され、この使い捨て品は、2つのチューブコネクター5a、5bを持つ血液供給管5、2つのチューブコネクター6a、6bを持つ血液還流管6、T形管継手7、1本の共通なチューブ8、1本の針(中空カニューレ)9を備える。血液供給管5は、一方を透析器1の血液チャンバ4の入口5aに、他方をT型管継手7の分岐に接続されている。また血液供給管6は、一方を透析器1の血液チャンバ4の出口6aに、他方をT形管継手7のもう1つの分岐に接続されている。T形管継手7の共通の分岐は、共通の血液回路管8を経由して針9に接続されていて、この針が患者の血管に穿刺される。
【0030】
動脈側の血液供給管5には血液収集手段10が接続されていて、この血液収集手段は剛性の容器として形成されている。この血液収集容器10は、この血液チューブシステムの構成要素である。静脈側の血液還流管6には、エアトラップ14(ドリップチャンバ)がある。
【0031】
患者の血液は、第1の手段11によって血液収集容器10に搬送され、この血液収集容器10からは、血液が第2の手段12によって搬送される。血液を搬送する両手段11、12は、蠕動式血液ポンプとくにローラーポンプであり、これらポンプに動脈側血液回路管5が挿入されている。両血液ポンプ11、12は、制御ライン11a、12aを経由して、血液処理装置の中央の制御ユニット13に接続されている。この制御ユニットは、血液収集容器10上流の血液ポンプ11と、血液収集容器10下流の血液ポンプ12とに対し、それぞれ特定の流量Q、QSNを指定する。
【0032】
血液処理装置の中央の制御ユニット13は、血液ポンプ11と12の運転が、血液体外処理中に連続して動脈相と静脈相との間を切り替えられるよう、形成されている。動脈相では、制御ユニット13が、収集容器10上流のポンプ11のための流量Qbaと、収集容器10下流のポンプ12のための流量QSNaとを設定する。この場合流量Qbaは流量QSNaよりも大きい。この動脈相に直接つながる静脈相で、制御ユニット13は、容器10上流のポンプ11のために流量Qbvと、容器10下流のポンプ12のために流量QSNvとを設定する。この場合流量Qbvは流量QSNvよりも小さい。動脈相においては、容器10上流のポンプ11の流量Qbvと、容器10下流のポンプ12の流量QSNvとの差が実効動脈側血液流量Qeffaであり、この流量で動脈相における血液処理を行いたいとするものである。静脈相においては、容器10下流のポンプ12の流量QSNvと、容器10上流のポンプ11の流量Qbvとの差が実効静脈側血液流量Qeffvであり、この流量で静脈相における血液処理を行いたいとするものである。1つの好ましい実施形態の場合、動脈相と静脈相は経過時間が等しいが、動脈相と静脈相の各経過時間を異なるものとすることもできる。
【0033】
制御ユニット13は入力ユニット13Aを備え、この入力ユニットによって、動脈相の実効血液流量Qeffaと、静脈相の実効血液流量Qeffvとを設定することができる。さらに入力ユニット13Aには、SNポンプ流量QSNaおよびQSNvの数値、または血液ポンプ流量QbaおよびQbvの数値、および動脈相で血管から採取される血液体積VSNの数値を入力することができる。そのほか血液処理装置の装備の程度に応じて、限外濾過や置換液による希釈の数値を入力できる。制御ユニット13は、これらの入力から、血液搬送手段や、限外濾過や置換液希釈を生じる手段のための制御信号を算出する。
【0034】
限外濾過や置換液希釈をともなわない血液処理装置の実施形態の1つの例として、制御ユニット13Aへの入力が、Qba=55ml/min、Qbv=50ml/min、Qeffa=5ml、Qeffv=−5mlの場合、制御ユニット13は流量QbaおよびQSNaを次のように設定する。すなわち、動脈相において、Qba=55ml/min、QSNa=50ml/minであり、したがって流量の差はQeff=Qba−QSNa=5ml/minと、正となるようにする。これは、血管から血液体外処理回路へのカニューレ9の血液流量を意味する。静脈相に対しては、制御ユニット13Aは、流量Qbv=50ml/minおよびQSNv=55ml/minを設定し、その結果として、流量の差はQeff=Qba−QSNa=−5ml/minで、負である。これは血液体外処理回路からカニューレ9を経由して血管に入る血液流を意味する。
【0035】
制御ユニット13は、各相の経過時間を制御して、その結果、それ以前に入力された体積VSNの数値が、限外濾過および置換液希釈を設定するようにする。
【0036】
動脈相と静脈相の間の切替点は、血液収集容器10内の圧力の監視に基づいて求めることができる。
【0037】
両者ポンプ11、12の一方を一定の流量で運転し、他方の血液ポンプの流量はそのときどきに変化させて、その結果、動脈相と静脈相で希望の血液流量が設定されるようにすれば有利である。両者ポンプのうち一方だけの血液流量を変化させるのであれば、それぞれの相で両者のポンプの流量を変化させるよりも、ポンプ制御の手間が少なくて済む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単針用の血液体外処理装置であって、前記装置は、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)と、血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)と、制御ユニット(13)とを備え、この制御ユニットは、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)の流量Q、および血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)の流量QSNを設定する、単針用の血液体外処理装置において、
前記血液を搬送する手段(11、12)の運転が、動脈相と静脈相の間で連続的に切り替えられ、その際、前記動脈相では、前記血液を収集する手段(10)に前記血液を搬送する手段(11)の流量Qが、前記血液を収集する手段(10)から前記血液を搬送する手段(12)の流量QSNより大きいので、前記動脈相では患者から血液を採取でき、前記静脈相では、前記血液を収集する手段(10)に前記血液を搬送する手段(11)の流量Qが、前記血液を収集する手段(10)から前記血液を搬送する手段(12)の流量QSNより小さいので、前記静脈相では患者に血液を供給できるよう、前記制御ユニット(13)が形成されていることを特徴とする、単針用の血液体外処理装置。
【請求項2】
前記血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)の流量Qと、前記血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)の流量QSNとの差の数値が、前記動脈相と前記静脈相とで等しくなるよう、前記制御ユニット(13)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)の流量Qと、前記血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)の流量QSNとの差の数値が、前記動脈相と前記静脈相とで異なるよう、前記制御ユニット(13)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記血液体外処理装置が、実効血液流量Qeffを入力する入力ユニット(13A)を備え、かつ血液処理は、この実効血液流量で行われるべきものであることと、前記静脈相では、血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(11)の流量Qと、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(12)の流量QSNとの間の差が、指定された実効血液流量に等しくなるよう、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(12)の流量Qと、血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(11)の流量QSNとを設定するものとして、前記制御ユニット(13)が形成されていることと、を特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記血液体外処理装置が、実効動脈側血液流量Qeffaと実効静脈側血液流量Qeffvを入力する入力ユニット(13A)を持ち、かつ血液処理はこの流量で行われるべきものであることと、前記動脈相においては、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)の流量Qと、血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)の流量QSNとの間の差が、指定された実効動脈側血液流量Qeffaに等しくなるよう、かつ前記静脈相においては、血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)の流量QSNと、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)の流量Qとの間の差が、指定された実効静脈側血液流量Qeffvに等しくなるよう、血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段(11)の流量Qと、血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段(12)の流量QSNとを設定するものとして、前記制御ユニット(13)が形成されていることとを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記血液体外処理装置が、入口(5a)と出口(6a)を持つ血液チャンバ(4)を含む血液処理ユニット(1)と、血液回路管システム(5、6)とを備え、この場合、血液回路管システムは、針(9)から前記血液処理ユニット(1)の前記血液チャンバ(4)の前記入口(5a)につながる動脈側血液回路管(5)と、前記血液処理ユニット(1)の前記血液チャンバ(4)から針につながる静脈側血液回路管(6)とを備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記血液を貯留する手段(10)が前記動脈側の血液回路管(5)に配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記血液を収集する手段(10)に血液を搬送する手段が、血液ポンプ(11)とくには蠕動血液ポンプであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記血液を収集する手段(10)から血液を搬送する手段が、血液ポンプ(12)とくには蠕動血液ポンプであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
単針動作による血液体外処理装置を運転する方法であって、前記方法は、動脈相では、針から血液を収集する手段に血液が搬送され、静脈相では、血液を収集する手段から針に血液が搬送される、単針動作による血液体外処理装置を運転する方法であって、
前記動脈相および前記静脈相において、血液が針から血液を収集する手段に搬送され、そしてまた血液を収集する手段から針に搬送され、この場合、前記動脈相においては、血液が針から血液を収集する手段に搬送される流量Qが、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNより大きく、またこの場合、前記静脈相においては、血液が針から血液を収集する手段に搬送される流量Qが、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNより小さいことを特徴とする、単針動作による血液体外処理装置を運転する方法。
【請求項11】
血液が血液を収集する手段に搬送される流量Qと、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNとの間の差の数値が、前記動脈相と前記静脈相とで等しいことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
血液が血液を収集する手段に搬送される流量Qと、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNとの間の差の数値が、前記動脈相と前記静脈相とで異なることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
指定された実効血液流量Qeffの場合、前記静脈相において、血液が流量Qbvで針から血液を収集する手段に搬送され、そして血液が流量QSNvで血液を収集する手段から針に同様にして搬送されることと、前記静脈相において、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNvと、血液が針から血液を収集する手段に搬送される流量Qbvとの間の差が、指定された実効血液流量Qeffに等しいことと、を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
指定された実効動脈側血液流量Qeffaの場合に前記動脈相において、そして指定された実効静脈側血液流量Qeffvの場合に前記静脈相において、血液が流量Qba、Qbvで針から血液を収集する手段に搬送され、そして血液が流量QSNa、QSNvで血液を収集する手段から針に同様にして搬送されることと、前記動脈相においては、血液が針から血液を収集する手段に搬送される流量Qbvと、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNaとの間の差が、指定された実効動脈側血液流量Qeffaに等しく、そして前記静脈相においては、血液が血液を収集する手段から針に搬送される流量QSNvと、血液が針から血液を収集する手段に搬送される流量Qbvとの間の差が、指定された実効静脈側血液流量Qeffvに等しいこととを特徴とする、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−504436(P2012−504436A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529474(P2011−529474)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006994
【国際公開番号】WO2010/037520
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(501276371)フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (31)
【Fターム(参考)】