説明

単離された哺乳動物単球細胞遺伝子;関連する試薬

【課題】哺乳動物免疫系の発達、分化、および/または生理機能の制御において機能する遺伝子の提供。
【解決手段】霊長類に由来する種々の単球細胞タンパク質をコードする核酸、それに関する試薬(特異的抗体を含む)、および精製タンパク質が、記載される。この試薬を用いる方法および関連する診断的キットもまた提供される。本発明は、免疫系で機能する細胞である、単球細胞中に見出される遺伝子に関連する組成物を意図する。これらの遺伝子は、哺乳動物免疫系の発達、分化、および/または生理機能の制御において機能する。特に、本出願は、核酸、タンパク質、抗体、およびそれらを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1996年12月6日に出願された米国特許仮出願番号第USSN60/032,252号;1996年12月9日に出願された同第USSN08/762,187号;1996年12月16日に出願された同第USSN60/033,181号;および1997年3月21日に出願された同第USSN60/041,279号(これらの各々が本明細書中で参考として援用される)の優先権の権利を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、免疫系で機能する細胞である、単球細胞中に見出される遺伝子に関連する組成物を意図する。これらの遺伝子は、哺乳動物免疫系の発達、分化、および/または生理機能の制御において機能する。特に、本出願は、核酸、タンパク質、抗体、およびそれらを使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
哺乳動物循環系の循環成分には、種々の型の細胞(赤血球系および骨髄細胞系統の赤血球および白血球を含む)が含まれる。例えば、Rapaport(1987)Introductionto Hematology(第2版)Lippincott、Philadelphia,PA;Jandl(1987)Blood:TextbookofHematology、Little,Brown and Co., Boston, MA;およびPaul(編)(1993)FundamentalImmunology(第3版)RavenPress,N.Y.を参照のこと。
【0004】
単球は、単核食細胞系に属する食細胞であり、そして循環に存在する。Roitt(編)Encyclopedia of Immunology, AcademicPress, San Diegoを参照のこと。これらの細胞は骨髄を起源とし、そして一旦それらが分化すると、骨髄成分に短期間のみ存在する。次いで、それらは循環に入り、そしてそこに比較的長期間(例えば、数日間)存在し得る。単球は、指定された漏出のプロセスによって組織および体腔に入り得、ここで、これらはマクロファージ、およびおそらく樹状細胞に分化する。炎症応答において、循環中の単球の数は二倍であり得、そして増大した単球数の多くは、炎症部位に漏出する。
【0005】
抗原提示は、タンパク質様抗原が取り上げられ、抗原提示細胞(APC)によってプロセスされ、次いで免疫応答を開始するために認識される、細胞性の事象をいう。最も活性な抗原提示細胞は、マクロファージとして特徴付けられており、これは、単球;樹状細胞;および特定のB細胞からの直接的な発達産物であるマクロファージとして特徴付けられている。
【0006】
マクロファージはほとんどの組織中で見出され、そして広範な種々のタンパク質抗原および微生物のインターナリゼーションにおいて高度に活性である。これらは、高度に発達したエンドサイトーシス活性を有し、そして免疫応答の開始において重要な多くの産物を分泌する。この理由のために、単球によって発現されるかまたは単球の活性化によって誘導される多くの遺伝子が、抗原の取り込み、プロセシング、提示、または生じる免疫応答の調節において重要であるようであると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、単球は、それらを発現するタンパク質およびそれらの機能および作用機構の多く(それらの活性化された状態を含む)の両方に関して、あまり特徴付けられていない。特に、免疫応答の開始に関連するプロセスおよび機構(抗原のプロセシングおよび提示を含む)が、はっきりしないままである。これらの細胞の構造的、生物学的、および生理学的特性についての知見が存在しないことによって、それらの理解が制限されている。従って、抗原提示細胞の調節、発達、または生理機能が異常である医学的状態は、処置されないままである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、活性化された単球から単離された種々の遺伝子の発見に、一部基づく。これらの分子は、FDF03(Ig様細胞外部分を有するI型膜貫通タンパク質);YE01(Fcγ/α-様レセプター);およびYYB01およびYYB04関連の実施態様によって代表されるKTE03クラス(Ig様ドメインを示す細胞表面レセプター)と呼ばれている。
【0009】
本発明は、以下の項目から選択される種々の組成物を提供する:配列番号2または4に対して少なくとも約12アミノ酸の長さにわたって少なくとも約85%の配列同一性を示す、実質的に純粋な、または組換えのFDF03タンパク質またはペプチド;配列番号2または4の天然の配列FDF03;FDF03配列を含む融合タンパク質;配列番号6、8、または10の少なくとも約12アミノ酸の長さにわたって少なくとも約85%の配列同一性を示す、実質的に純粋な、または組換えのYE01タンパク質またはペプチド;配列番号6、8、または10の天然の配列YB01;YE01配列を含む融合タンパク質;配列番号12、14、または16の少なくとも約12アミノ酸の長さにわたって少なくとも約85%の配列同一性を示す、実質的に純粋な、または組換えのKTE03タンパク質またはペプチド;配列番号12、14、16、18、20、または22
の天然の配列KTE03;KTE03配列を含む融合タンパク質。好ましくは、実質的に純粋な、または単離されたタンパク質は、FDF03、YE01、またはKTE03の対応する部分に対して配列同一性を示すセグメントを含む。ここで:相同性は、少なくとも約90%の同一性であり、そして部分は、少なくとも約9アミノ酸である;相同性は、少なくとも約80%の同一性であり、そして部分は、少なくとも約17アミノ酸である;または相同性は、少なくとも約70%の同一性であり、そして部分は、少なくとも約25アミノ酸である。他の形態において、本発明は、以下の項目のこのような組成物を提供する。ここで:FDF03は、配列番号2また
は4の成熟配列を含む;YE01は、配列番号6、8、または10の成熟配列を含む;KTE03は、配列番号12、14、16、18、20、または22の成熟配列を含む;あるいはタンパク質またはペプチドは、霊長類もしくはげっ歯類を含む哺乳動物から選択される温血動物由来である;配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22の少なくとも1つのポリペプチドセグメントを含み;同一性を示す複数の部分を示す;FDF03、YE01、またはKTE03の天然の対立遺伝子変異体である;少なくとも約30アミノ酸の長さを有する;哺乳動物FDF03、YE01、またはKTE03に特異的な少なくとも2つの重複しないエピトープを示す;げっ歯類FDF03、YE01、またはKTE03に対して少なくとも約20アミノ酸の長さにわたって少なくとも約90%の配列同一性を示す;霊長類FDF03、YE01、またはKTE03に特異的な少なくとも2つの重複しないエピトープを示す;霊長類FDF03、YE01、またはKTE03に対して少なくとも約20アミノ酸の長さにわたって少なくとも約90%の配列同一性を示す;グリコシル化される;天然のグリコシル化で少なくとも7kDaの分子量を有する;合成ポリペプチドである;固体基質に付着される;別の化学的部分に結合される;天然の配列よりも5倍もしくはそれより少ない置換である;または天然の配列に由来する欠失変異体または挿入変異体である。
【0010】
他の組成物として、以下を含む組成物が挙げられる:滅菌のFDF03タンパク質またはペプチド;FDF03タンパク質またはペプチドおよびキャリア、ここで、キャリアは、水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物である;ならびに/あるいは経口、直腸、経鼻、局所、または非経口投与のために処方される;滅菌のYE01タンパク質またはペプチド;YE01タンパク質またはペプチドおよびキャリア、ここで、キャリアは、水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物である;ならびに/あるいは経口、直腸、経鼻、局所、または非経口投与のために処方される;滅菌のKTE03タンパク質またはペプチド;あるいは、KTE03タンパク質またはペプチドおよびキャリア、ここで、キャリア
は、水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物である;ならびに/あるいは経口、直腸、経鼻、局所、または非経口投与のために処方される。
【0011】
融合タンパク質の実施態様において、本発明は、以下を含むものを提供する:配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22の成熟タンパク質配列;FLAG、His6、またはIg配列を含む検出または精製タグ;あるいは別の細胞表面タンパク質の配列。
【0012】
種々のキットとして、タンパク質またはポリペプチド;およびタンパク質またはポリペプチドを含む区画;ならびに/あるいはキット中の試薬の使用または廃棄のための説明書を含むキットが挙げられる。
【0013】
抗体および結合化合物として、天然のFDF03、YE01、またはKTE03タンパク質に特異的に結合する抗体に由来する抗原結合部分を含むものが挙げられる。ここで、タンパク質は、霊長類タンパク質である;結合化合物は、Fv、Fab、またはFab2フラグメントである;結合化合物は別の化学的部分に結合されている;あるいは抗体は;配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22の成熟ポリペプチドのペプチド配列に対して惹起されている;成熟FDF03、YE01、またはKTE03に対して惹起されている;精製されたFDF03、YE01、またはKTE03に対して惹起されている;免疫選択されている;ポリクローナル抗体である;変性されたFDF03、YE01、またはKTE03に結合する;抗原に対して少なくとも30mMのKdを示す;ビーズまたはプラスチック膜を含む固体の物質に結合されている;滅菌の組成物である;あるいは、放射性標識または蛍光標識を含み、検出可能に標識されている。例えば、結合化合物および;結合化合物を含む区画;および/またはキット中の試薬の使用もしくは廃棄のための説明書を含む、結合化合物を含むキットが提供される。好ましくは、キットは、定量的または定性的に分析を行うことが可能である。
【0014】
種々の他の組成物として、以下を含むものが挙げられる:滅菌の結合化合物;あるいは結合化合物およびキャリア、ここで、キャリアは、水、生理食塩水、および/または緩衝液を含む水性化合物である;ならびに/あるいは経口、直腸、経鼻、局所、または非経口投与のために処方される。
【0015】
核酸の実施態様として、記載されるようなタンパク質またはペプチドまたは融合タンパク質をコードする、単離されたまたは組換え核酸が挙げられる。ここで、タンパク質は、霊長類を含む哺乳動物由来である;あるいは核酸は:配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、もしくは22の抗原性ペプチド配列をコードする;配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、もしくは22の複数の抗原性ペプチド配列をコードする;天然のcDNAコードセグメントに少なくとも約80%の同一性を示す;発現ベクターである;複製起点をさらに含む;天然の供給源由来である;検出可能な標識を含む;合成のヌクレオチド配列を含む;6kbより短い、好ましくは3kbより短い;霊長類を含む哺乳動物由来である;天然の全長のコード配列を含む;タンパク質をコードする遺伝子のためのハイブリダイゼーションプローブである;あるいはPCRプライマー、PCR産物、または変異誘発プライマーである。
【0016】
記載される組換え核酸を含む、種々の細胞が提供される。好ましくは、細胞は;原核生物細胞;真核生物細胞;細菌細胞;酵母細胞;昆虫細胞;哺乳動物細胞;マウス細胞;霊長類細胞;またはヒト細胞である。このような核酸を有するキットは、核酸とともに以下を含む:核酸を含む区画;FDF03、YE01、またはKTE03タンパク質またはポリペプチドをさらに含む区画;ならびに/あるいはキット中の試薬の使用または廃棄のための説明書。好ましくは、キットは、定量的または定性的分析を行うことが可能である。
【0017】
他の核酸として、以下のものが挙げられる:配列番号1または3に30℃の洗浄条件および2M未満の塩下でハイブリダイズする核酸;配列番号5、7、または9に30℃の洗浄条件および2M未満の塩下でハイブリダイズする核酸;配列番号11、13、15、17、19、および21に30℃の洗浄条件および2M未満の塩下でハイブリダイズする核酸;霊長類FDF03に対して少なくとも約30ヌクレオチドの長さにわたって少なくとも約85%の同一性を示す核酸;霊長類YE01に対して少なくとも約30ヌクレオチドの長さにわたって少なくとも約85%の同一性を示す核酸;あるいは、霊長類KTE03に対して少なくとも約30ヌクレオチドの長さ
にわたって少なくとも約85%の同一性を示す核酸。好ましい実施態様において、洗浄条件は45℃および/もしくは500mMの塩であり;または55℃および/もしくは150mMの塩であり;あるいは同一性は、少なくとも90%、および/もしくは長さは少なくとも55ヌクレオチドであるか、または同一性は、少なくとも95%、および/もしくは長さは少なくとも75ヌクレオチドである。
【0018】
本発明はさらに、FDF03、YE01、またはKTE03のアゴニストまたはアンタゴニストと細胞とを接触させることを包含する、細胞または組織培養細胞の生理機能または発達を調節する方法を提供する。好ましい実施態様において、細胞は白血球であり、そしてアンタゴニストはYE01に対するアンタゴニストであり、DLATR-1に結合するモノクローナル抗体であ
る。
【0019】
本発明は以下を提供する。
1.配列番号2または4に少なくとも約100アミノ酸長にわたって少なくとも約80%の配列同一性を示す、実質的に純粋なFDF03タンパク質もしくはペプチドまたは組換えFDF03タンパク質もしくはペプチド。
2.配列番号2または4に記載の成熟アミノ酸配列を含む、実質的に純粋なFDF03ポリペプチド。
3.配列番号6または8に少なくとも約100アミノ酸長にわたって、少なくとも約80%の配列同一性を示す、実質的に純粋なYE01タンパク質もしくはペプチドまたは組換えYE01タンパク質またはペプチド。
4.配列番号6または8に記載の成熟アミノ酸配列を含む、実質的に純粋なYE01ポリペプチド。
5.配列番号10に少なくとも約100アミノ酸長にわたって、少なくとも約80%の配列同一性を示す、実質的に純粋なYE01タンパク質もしくはペプチドまたは組換えYE01タンパク質またはペプチド。
6.配列番号10に記載の成熟アミノ酸配列を含む、実質的に純粋なYE01ポリペプチド。7.配列番号12、14、16、18、20、または22に少なくとも約100アミノ酸長にわたって、少なくとも約80%の配列同一性を示す、実質的に純粋なKTE03タンパク質もしくはペプチドまたは組換えKTE03タンパク質もしくはペプチド。8.配列番号12、14、16、18、20、または22に記載の成熟アミノ酸配列を含む、実質的に純粋なKTE03ポリペプチド。
9.項目1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドを含む、融合タンパク質。
10.項目1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質、ペプチドもしくはポリペプチドに特異的に結合する、抗体または抗体フラグメント。
11.項目1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸。
12.項目11に記載の核酸を含む発現ベクター。
13.項目12に記載のベクターを含む宿主細胞。
14.ポリペプチドが発現される条件下で、項目13に記載の宿主細胞を培養する工程を包含する、ポリペプチドを組換え的に産生するための方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
発明の詳細な説明
I.概論
本発明は、単球上で発現される哺乳動物タンパク質をコードするDNA配列を提供する。
単球およびそれらの機能についての概論に関しては、例えば、Gallinら(編、1988)Inflammation:BasicPrinciples andClinical Correlates, Raven Press, NY;van Furth(編、1985)MononuclearPhagocytes:Characteristics,Physiology and Function, Martinus Nijhoff,Dordrecht, Netherlands.を参照のこと。
【0021】
これらのタンパク質の特異的なヒトの実施態様が以下に提供される。例示の目的のために、以下の記載は、ヒト単球遺伝子に対して指向されるが、他の供給源または哺乳動物種(多型性変異体または個々の変異体を含む)由来の構造的に(例えば、配列)に関連する実施態様にも同様に適用可能である。これらは、例えば、配列における比較的少ない変化(例えば、約5%未満、および例えば、20残基未満の数の置換、代表的には、15未満、好ましくは10未満、およびより好ましくは、5未満の置換)を示すタンパク質を含む。これらはまた、記載されるような、全長よりも短縮されたバージョン、およびこれらの配列の実質的なセグメントを含む融合タンパク質を含む。
【0022】
II.定義
用語「結合組成物」は、例えば、抗体−抗原相互作用においてこれらの単球タンパク質に特異的に結合する分子、または化合物(例えば、それぞれのタンパク質と特異的に会合するタンパク質)をいう。代表的には、会合は、天然の生理学的に関連するタンパク質−タンパク質相互作用(共有的または非共有的のいずれか)にあり、そして、キャリア化合物または二量体パートナーを含む多タンパク質複合体のメンバーを含み得る。分子は、ポリマーまたは化学的試薬であり得る。機能的なアナログは、構造的改変を有するタンパク質であり得るか、または完全に無関係な分子(例えば、適切な相互作用決定基と相互作用する分子の形状を有する)であり得る。変異体は、タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得る。例えば、Goodmanら(編)(1990)GoodmanおよびGilman:PharmacologicalBases ofTherapeutics(第8版)Pergamon Press、Tarrytown, N.Y.を参
照のこと。
【0023】
本明細書中で使用でされる用語「結合試薬:単球タンパク質複合体」は、結合試薬と単球タンパク質との複合体をいう。結合試薬の特異的結合は、結合試薬がそれぞれの単球タンパク質上の部位を認識する、特異的結合部位を有することを意味する。例えば、単球タンパク質に対して惹起され、そして単球タンパク質上のエピトープを認識する抗体は、特異的結合によって結合試薬:単球タンパク質複合体を形成し得る。代表的には、結合試薬:単球タンパク質複合体の形成によって、他のタンパク質および生物製剤の混合物中での単球タンパク質の測定が可能になる。用語「抗体:単球タンパク質複合体」は、結合試薬が抗体である、結合試薬:単球タンパク質複合体をいう。抗体は、モノクローナル、ポリクローナルであり得、または抗体の抗原結合フラグメントでもあり得る。
【0024】
「相同な」核酸配列は、比較した場合に、有意な類似性を示す。核酸中の相同性の基準は、配列比較および/または系統発生的関係によって当該分野で一般的に使用される相同性についての基準、またはハイブリダイゼーション条件に基づく基準のいずれかである。ハイブリダイゼーション条件は、以下に詳細に記載される。
【0025】
「単離された」核酸は、核酸、例えば、RNA、DNA、または天然の配列(例えば、起源種由来のタンパク質および隣接するゲノム配列)を自然に付随する他の化合物から実質的に分離された混合されたポリマーである。この用語は、その天然に存在する環境から除去されている核酸配列を含み、そして組換え体またはクローニングされたDNA単離物、および化学的に合成されたアナログまたは異種の系によって生物学的に合成されたアナログを含む。実質的に純粋な分子は、単離された形態の分子を含む。単離された核酸は一般に、均一な分子の組成物であるが、いくつかの実施態様において、少量の不均一性を含む。この不均一性は、代表的には、ポリマーの末端、または所望の生物学的機能もしくは活性について重要ではない部分で見出される。
【0026】
本明細書中で使用される用語「単球タンパク質」は、タンパク質の文脈で使用される場合、配列番号2または4;6、8、または10;あるいは12、14、または16に示されるアミノ酸配列、あるいはこのようなタンパク質の有意なフラグメントを有するタンパク質を含む。これは、結合成分に特異的なそれぞれの単球タンパク質と相互作用するポリペプチドをいう。これらの結合成分(例えば、抗体)は、代表的には、高い親和性(例えば、少なくとも約100nM、通常は約30nMより大きい、好ましくは、約10nMより大きい、およびより好ましくは、約3nMより大きい)で単球タンパク質に結合する。
【0027】
本明細書中で使用される用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、上記の単球タンパク質の有意なフラグメントまたはセグメントを含み、そして少なくとも約8アミノ酸、一般的には、少なくとも10アミノ酸、より一般的には、少なくとも12アミノ酸、しばしば、少なくとも14アミノ酸、より頻繁に、少なくとも16アミノ酸、代表的には少なくとも18アミノ酸、より代表的には少なくとも20アミノ酸、通常は少なくとも22アミノ酸、より通常は少なくとも24アミノ酸、好ましくは少なくとも26アミノ酸、、さらに好ましくは、少なくとも28アミノ酸、そして特に好ましい実施態様において、少なくとも30アミノ酸またはそれ以上のアミノ酸のアミノ酸残基の長さ(stretch)を含む。1つのグループ(例えば、FDF03)との比較に適用可能なフラグメントまたは大きさの制限は、他方についてフラグメントの同様の大きさの制限を必ずしも意図するものではない。
【0028】
「組換え」核酸は、その生成方法またはその構造のいずれかによって定義される。その生成方法(例えば、プロセシングによって作製された生成物)を参照すれば、プロセシングは、組換え核酸技術(例えば、ヌクレオチド配列中のヒトの介在、代表的には、選択または産生を含む)の使用である。あるいは、これは、天然には互いに連続していない2つのフラグメントの融合を含む配列を作製することによって作製された核酸であり得るが、天然の生成物(例えば、天然に存在する変異体)を除くことを意味する。従って、例えば、任意の天然には存在しないベクターで細胞を形質転換することによって作製された生成物が含まれ、そして任意の合成オリゴヌクレオチドのプロセシングを使用して誘導される配列を含む核酸も同様である。このようなことは、しばしば、同じまたは保存されたアミノ酸をコードするげっ歯類のコドンでコドンを置換するために行われ、一方、代表的には、配列認識部位が導入または除去される。あるいは、一般に入手可能な天然の形態中には見出されない機能の所望の組み合わせを含む、単一の遺伝的完全性を生成するために、所望の機能の核酸セグメントを互いに連結させることが行われる。制限酵素認識部位は、しばしば、このような人工的な操作の標的であるが、他の部位特異的標的(例えば、プロモーター、DNA複製部位、調節配列、制御配列、または他の有用な特徴)が、設計によって取り込まれ得る。同様の概念が、組換え体(例えば、融合物、ポリペプチド)について意図される。遺伝コードの縮重によってこれらの抗原のフラグメントと同様のポリペプチドをコードする合成核酸、および種々の異なる種の変異体由来の配列の融合物が、特に意図される。
【0029】
「可溶性」は、スベドベリ単位中で測定される沈降によって反映される。これは、特定の条件下での分子の沈降速度の測定である。沈降速度の決定は、伝統的に、分析的な超遠心分離において行われるが、現在は、代表的には、標準的な超遠心分離で行われる。Freifelder(1982)PhysicalBiochemistry(第2版)W.H. Freeman & Co.,San Francisco, CA;ならびにCantorおよびSchimmel(1980)BiophysicalChemistry、第1〜3部、W.H.Freeman & Co., San Francisco, CAを参照のこと。大まかな決定のために、推定の可溶性のポリペプチドを含有するサンプルを、標準的なフルサイズ超遠心分離で約50Krpmで約10分間回転させ、そして可溶性分子は上清中のままである。そして可溶性の粒子またはポリペプチドは、代表的には、約30S未満であり、より代表的には、約15S未満であり、通常は約10S未満であり、より通常は約6S未満であり、そして特定の実施態様においては、好ましくは約4S未満であり、そしてより好ましくは3S未満である。ポリペプチドまたはフラグメントの可溶性は、環境およびポリペプチドに依存する。温度、電気的環境、ポリペプチドの大きさおよび分子の特徴、ならびに溶媒の性質を含む多くの変数が、ポリペプチドの可溶性に影響を与える。代表的には、ポリペプチドが使用される温度は、約4℃から約65℃の範囲である。通常は、使用される温度は、約18℃より大きく、そしてより通常は、約22℃より大きい。診断目的のために、温度は、通常は、およそ室温以上であるが、アッセイの成分の変性温度未満である。治療目的のために、温度は、通常は、体温(代表的には、ヒトについては37℃)であるが、特定の条件下では、温度は、インサイチュまたはインビトロで上昇され得るか、または低下され得る。
【0030】
ポリペプチドの大きさおよび構造は一般に、実質的に安定な状態であるべきであり、そして通常は、変性された状態ではない。ポリペプチドは、四元構造(例えば、可溶性を付与するために)で他のポリペプチドと会合し得るか、または適切な天然の脂質二重層相互作用に近づける様式で、脂質または界面活性剤と会合し得る。
【0031】
溶媒は、通常、生物学的活性の保存のために使用される型の生物学的に適合性の緩衝液であり、そして通常は、生理的溶媒に近い。通常、溶媒は、中性のpH(代表的には、約5〜10の間)を有し、そして好ましくは、約7.5である。いくつかの場合において、界面活性剤(代表的には、穏やかな非変成性の界面活性剤(例えば、CHSまたはCHAPS))が、あるいはタンパク質の構造的または生理学的特性の有意な破壊を回避することについて十分に低い濃度で添加される。
【0032】
「実質的に純粋」は、代表的には、タンパク質が、起源生物由来の他の混入しているタンパク質、核酸、および他の生物学的製剤から単離されることを意味する。純度、または「単離物」は、標準的な方法によってアッセイされ得、そして通常は少なくとも約50%純粋、より通常は少なくとも約60%純粋、一般には、少なくとも約70%純粋、より一般的には少なくとも約80%純粋、しばしば、少なくとも約85%純粋、より頻繁には少なくとも約90%純粋、好ましくは少なくとも約95%純粋、より好ましくは少なくとも約98%純粋、そして最も好ましい実施態様において少なくとも99%純粋である。
【0033】
核酸配列の比較の文脈において「実質的に類似」は、セグメントまたはそれらの相補鎖のいずれかが、比較された場合、最適にアラインメントされた時に少なくとも50%のヌクレオチド、一般には少なくとも56%、より一般的には少なくとも59%、通常は少なくとも62%、より通常は少なくとも65%、しばしば少なくとも68%、より頻繁には少なくとも71%、代表的には少なくとも74%、より代表的には少なくとも77%、通常は少なくとも80%、より通常は少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95〜98%以上の適切なヌクレオチド、そして特定の実施態様においてはヌクレオチドの約99%以上が、適切な挿入または欠失を有して同一であることを意味する。あるいは、実質的な類似性は、セグメントが選択的なハイブリダイゼーション条件下で、代表的には、配列番号1、3、5、7、または9;または11、13、または15に由来する配列を使用する鎖またはその相補鎖にハイブリダイズする場合に存在する。代表的には、選択的なハイブリダイゼーションは、少なくとも約30ヌクレオチドの長さにわたって少なくとも約55%の類似性、好ましくは少なくとも約25ヌクレオチドの長さにわたって少なくとも約65%、より好ましくは、少なくとも約75%、そして最も好ましくは、約20ヌクレオチドにわたって少なくとも約90%の類似性が存在する場合に生じる。例えば、Kanehisa(1984)Nuc.AcidsRes. 12:203-213を参照のこと。上記のような類似性の比較の長さは、さらに長い長さにわたり得、そして特定の実施態様において、少なくとも約17ヌクレオチド、通常は少なくとも約20ヌクレオチド、より通常は、少なくとも約24ヌクレオチド、代表的には少なくとも約28ヌクレオチド、より代表的には少なくとも約40ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約50ヌクレオチド、そしてより好ましくは少なくとも約75〜100ヌクレオチド、ま
たはそれ以上のヌクレオチドの長さにわたる。
【0034】
ハイブリダイゼーションの文脈において相同性または実質的な類似性に関して、「ストリンジェントな条件」は、塩、温度、有機溶媒、および他の変数(代表的には、ハイブリダイゼーション反応において制御される変数)の条件を組み合わせて、ストリンジェントである。変数の組み合わせは、任意の1つの変数の測定よりもさらに重要である。例えば、WetmurおよびDavidson(1968)J.Mol. Biol., 31:349-370を参照のこと。ストリンジェントな条件下で標的核酸に結合する核酸プローブは、上記の標的核酸に特異的である。このようなプローブは、代表的には、11ヌクレオチドより長い長さであり、そしてストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的に結合するためにプローブの配列によって特定される領域にわたって標的核酸と十分に同一であるかまたは相補的である。
【0035】
他の哺乳動物種由来の対象の単球タンパク質は、近縁種の交差ハイブリダイゼーションによってクローニングおよび単離され得る。例えば、以下を参照のこと。類似性は、近縁種間で比較的低く、従って、比較的近接に関連した種のハイブリダイゼーションは得策である。あるいは、ほとんど種特異性を示さない抗体調製物の調製は、発現クローニングアプローチにおいて有用であり得る。
【0036】
タンパク質またはペプチドについて言及する場合、熟語「特異的に結合する」または「特異的に免疫反応する」は、タンパク質の不均質な集団および他の生物学的成分の存在下でのタンパク質の存在を決定する結合反応をいう。従って、設計されたイムノアッセイ条件下で、特殊化された抗体は、特定のタンパク質に結合し、そしてサンプル中に存在する他のタンパク質には有意には結合しない。このような条件下での抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質についてのその特異性について選択される抗体を必要とし得る。例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するヒトの単球タンパク質免疫原に対して惹起された抗体は、その単球タンパク質と特異的に免疫反応性であり、そして他のタンパク質とは特異的に免疫反応性でない抗体を得るために選択され得る。これらの抗体は、相同的なヒト単球タンパク質の高度に類似であるタンパク質を認識する。
【0037】
III.核酸
これらの単球遺伝子は、樹状細胞上で特異的に発現される。開示されるような好ましい実施態様は、他の種(例えば、温血動物(例えば、鳥類および哺乳動物)から遺伝子を単離するための標準的な手順において有用である。交差ハイブリダイゼーションは、個体、株、または種由来の関連するタンパク質の単離を可能にする。多数の種々のアプローチが、本明細書中で提供される情報に基づいて適切な核酸クローンを単離するために良好に利用可能である。サザンブロットハイブリダイゼーション試験は、適切なハイブリダイゼーション条件下で他の種の相同遺伝子を同定するはずである。
【0038】
精製されたタンパク質または定義されたペプチドは、以下に記載されるように、標準的な方法による抗体の生成に有用である。合成ペプチドまたは精製されたタンパク質が、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成するために免疫系に対して提示され得る。例えば、Coligan(1991)CurrentProtocols in Immunology Wiley/Greene, NY;およびHarlowおよびLane(1989)Antibodies:ALaboratoryManual Cold Spring Harbor Press, NYを参照のこと。これらは本明細書中で参考として援用される。あるいは、CDタン
パク質結合組成物は、特異的結合試薬として有用であり得、そして例えば、単球タンパク質の精製のために、その結合の特異性が利用され得る。
【0039】
特異的結合組成物が、それぞれの単球タンパク質を発現する細胞株から作製される発現ライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。多くのスクリーニング方法(例えば、表面で発現されるリガンドの標準的な染色、またはパンニングによる)が、利用可能である。細胞内発現のスクリーニングはまた、種々の染色または免疫蛍光手順によって行われ得る。結合組成物は、親和性精製またはリガンドを発現する細胞の選別のために使用され得る。
【0040】
ペプチドセグメントもまた、類似の遺伝子(例えば、同一または多型性の変異体)の存在を決定するために、または単球を同定するために、ライブラリーをスクリーニングするための適切なオリゴヌクレオチドを産生するために使用され得る。遺伝コードは、スクリーニングのためのプローブとして有用な適切なオリゴヌクレオチドを選択するために使用され得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術と組み合わせて、合成オリゴヌクレオチドが、ライブラリーからの所望のクローンの選択に有用である。
【0041】
相補配列はまた、プローブまたはプライマーとして使用される。おそらくアミノ末端の同定に基づいて、他のペプチドが、特に有用であるはずである。例えば、アンカーベクターまたはポリA相補PCR技術を用いて連結されるか、あるいは他のペプチドの相補DNAと連結される。
【0042】
これらの単球タンパク質をコードする遺伝子の核酸の操作のための技術(例えば、発現ベクター中へのポリペプチドをコードする核酸配列のサブクローニング、プローブの標識、DNAハイブリダイゼーションなど)が、Sambrookら(1989)MolecularCloning:A LaboratoryManual(第2版)第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold SpringHarbor Press,NYに一般的に記載されている。これは本明細書中で参考として援用され、そして本明細書中以後、「Sambrookら」と記載される。Coliganら(1987、および定期的な補遣)、CurrentProtocolsin Molecular Biology,Greene/Wiley,New York,NYもまた参照のこと。これは、「Coliganら」と記載される。
【0043】
これらの単球タンパク質をコードするDNA配列を単離する種々の方法が存在する。例えば、DNAは、本明細書中で開示される配列と同一またはそれに相補的な配列を有する標識されたオリゴヌクレオチドプローブを使用して,ゲノムまたはcDNAライブラリーから単離される。全長のプローブが使用され得るか、またはオリゴヌクレオチドプローブが、他のタンパク質と開示された配列との比較、および特異的プライマーの選択によって、生成され得る。このようなプローブが、単球タンパク質をコードするDNAを単離するためのハイブリダイゼーションアッセイにおいて直接使用され得るか、またはプローブが、単球タンパク質をコードするDNAの単離のためのPCRのような増幅技術における使用のために設計され得る。
【0044】
cDNAライブラリーを調製するために、mRNAが、単球タンパク質を発現する細胞から単離される。cDNAがmRNAから調製され、そして組換えベクターに連結される。ベクターは、増殖、スクリーニング、およびクローニングのために組換え宿主中にトランスフェクトされる。cDNAライブラリーを作製しそしてスクリーニングするための方法は、周知である。GublerおよびHoffman(1983)Gene25:263-269;Sambrookら;またはColiganらを参照のこと。
【0045】
ゲノムライブラリーについて、DNAは、組織から抽出され得、そして機械的に切断されるかまたは酵素的に消化されるかのいずれかによって約12〜20kbのフラグメントを生じる。次いで、フラグメントは、勾配遠心分離によって分離され、そしてバクテリオファージλベクターにクローニングされる。これらのベクターおよびファージは、例えば、Sambrookら,またはColiganらに記載されるように、インビトロでパッケージングされる。組換えファージは、BentonおよびDavis(1977)Science196:180-182に記載されるようなプラークハイブリダイゼーションによって分析される。コロニーハイブリダイゼーションが、例えば、Grunsteinら(1975)Proc.Natl.Acad. Sci. USA 72:3961-3965に一般的に記載されるように行われる。
【0046】
単球タンパク質をコードするDNAが、本明細書中に記載される核酸プローブとハイブリダイズするその能力によって、例えば、コロニーハイブリダイゼーション実験またはプラークハイブリダイゼーション実験において、cDNAまたはゲノムライブラリーのいずれかにおいて同定され得る。対応するDNA領域は、当業者によく知られている標準的な方法によって単離される。Sambrookらを参照のこと。
【0047】
標的配列を増幅するための種々の方法(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応)がまた、単球タンパク質をコードするDNAを調製するために使用され得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、mRNAから、cDNAから、およびゲノムライブラリーからまたはcDNAライブラリーから直接このような核酸配列を増幅するために使用される。単球タンパク質をコードする単離された配列はまた、PCR増幅のためのテンプレートとして使用され得る。
【0048】
PCR技術において、増幅されるべきDNA領域中の2つの5’領域に相補的なオリゴヌクレ
オチドプライマーが合成される。次いで、ポリメラーゼ連鎖反応が、2つのプライマーを使用して行われる。Innisら(編)(1990)PCRProtocols:AGuide to Methods and Applications、Academic Press、San Diego, CA.を参照のこと。プライマーは、選択された全長の単球タンパク質をコードする領域の全体を増幅するため、または所望される場合には、より小さなDNAセグメントを増幅するために選択され得る。一旦このような領域がPCR増幅されると、これらは配列決定され得、そしてオリゴヌクレオチドプローブが、標準的な技術を使用して、得られる配列から調製され得る。次いで、これらのプローブは、他の形態の単球タンパク質をコードするDNAを単離するために使用され得る。
【0049】
プローブとしての使用のためのオリゴヌクレオチドは、BeaucageおよびCarruthers(1983)Tetrahedron Lett. 22(20):1859-1862によって、最初に記載された固相ホスホルアミダイトトリエステル法に従って、またはNeedham-VanDevanterら(1984)NucleicAcidsRes. 12:6159-6168に記載されているような自動合成機を使用して化学的に合成される。オリゴヌクレオチドの精製は、例えば、未変性のアクリルアミドゲル電気泳動によって、またはPearsonおよびRegnier(1983)J.Chrom.255:137-149に記載されているような陰イオン交換HPLCによって行われる。合成オリゴヌクレオチドの配列は、GrossmanおよびMoldave(編)(1980)MethodsinEnzymology 65:499-560 Academic Press, New YorkのMaxamおよびGilbertの化学分解法を使用して確認され得る。
【0050】
Ig様ドメインによって特徴づけられる細胞外部分を含むI型膜貫通タンパク質である、ヒトタンパク質をコードする核酸が単離されている。このことは、この遺伝子が、Igスーパーファミリーのレセプターのメンバーをコードすることを示す。この1249bpのクローンは、単球細胞のライブラリーから単離され、そしてFDF03と命名されている。そのヌクレ
オチド配列および対応するオープンリーディングフレームは、配列番号1および2にそれぞれ提供される。推定コード領域は約154〜1062に存在する。N末端の疎水性配列(例えば、推定シグナル配列)は、およそアミノ酸-19(met)〜-1(leu)に対応し、そして推定膜貫通セグメントに対応する内部の疎水性セグメントは、およそala177からleu199に存在する。細胞外領域は、おそらく、約170アミノ酸であり、潜在的なIg様ドメイン構造を有する。内部領域は約80残基である。配列分析は、ヒト由来のGenBankクローンH26010および同R50327に対する類似性を示す。
【0051】
他の哺乳動物の対応物が、利用可能になるはずである。例えば、部分的なげっ歯類遺伝子が、配列番号3におよび4に記載される。部分的なヒト/マウスのアラインメントが、表1に提供される。標準的な技術によって、他の対応物の単離または部分的配列を拡大することが可能である。
【0052】
表1 ヒト/マウスFDF03タンパク質の部分的なアラインメント。
【0053】
【表1】

【0054】
第2のヒト単球細胞クローンを、活性化した単球細胞のライブラリーから単離し、そしてYE01と命名した。YE01は、Fcγおよび/またはFcαのレセプターに関連する。このタンパク質は、本明細書中でFcγ/αレセプターと呼ばれ、そして配列番号5および6に記載される。マウスの対応物は、おそらく、ESTW55567中にコードされる。
【0055】
類似の遺伝子が、モノクローナル抗体DX26を使用して発現クローニングによってクローニングされた。これは、ヒトNK細胞クローンNK681.D5の免疫原に対して惹起され、そしてNK細胞クローンによるFcレセプターを有する標的細胞(SP2/0)のキラーを阻害するために選択された。この単離物は、配列番号7および8に記載される。
【0056】
レセプターの可溶性形態(DLAIR-2と呼ばれる)の核酸および推定アミノ酸配列が、配列番号9および10に開示される。このシグナル配列は、およそMet1からThr21までに存在する。遺伝子は最初に単球由来の遺伝子として記載されたが、発現分析は、これが、リンパ球上での発現についてより特異的であることを示す。従って、YE01の場合、記述「単球遺伝子」は、その細胞型について富化された集団でのその最初の同定を示し得るが、これはまた、いくつかの他の細胞型を含み得る。配列分析は、YE01がレセプターのIgスーパーファミリーのメンバーであり、そしてCD8ファミリーと密接に関連することを示唆する。
これは、V1J型の折り畳みを含み、特に、Fcレセプターαおよび/またはγを含む。これが、ITAM様モチーフを含むので、タンパク質は、キラー(Killer)阻害レセプター(KIR)のリンパ球バージョンで十分あり得る。これは、キラー細胞機能を阻害するネガティブなシグナルを送る。このタンパク質は、リンパ球エフェクター細胞機能(例えば、抗原提示、または続く応答の開始)を阻害することにおいて類似の機能を示す。
【0057】
詳細には、DX26mAb(DNAX白血球関連イムノグロブリン様レセプター(DLAIR))によって認識される分子を介するシグナル伝達は、それらが標的細胞を特異的にキラーすることを妨げるNK細胞クローンに対するネガティブなシグナルを誘導する。しかし、この分子は、T細胞および単球を含む他のリンパ球上で発現される。従って、DX26抗体はおそらく、NK細胞および細胞傷害性T細胞の両方が殺傷することを阻害する抗体を表し、そして単球の分布は、この分子が単球媒介性またはリンパ球媒介性のエフェクター機能を阻害し得ることを示唆する。
【0058】
第3の単球遺伝子が単離され、そしてKTE03と命名された。そしてこれは、YYB01、YYB04(1型および2型)、KLM63、KLM66、およびKLM67と命名された6つの関連する実施態様によって表される。可能性のあるスプライシング変異体(変異タンパク質形態をコードし得る)もまた検出されたことに注目する。
【0059】
配列番号11〜22は、ヒトKTE03配列(例えば、オルタナティブスプライシング、いくつかのNKKIR 表面分子、ならびにFcレセプターγおよびαに相同性を有する、関連タンパク質をコードする)を提供する。YYB01をコードする配列は、約81から1397までに存在するようである。メッセージは、IL-10でアップレギュレートするようである。配列番号11および12を参照のこと。特定の位置で終了する配列の有意な同一性のために、ヌクレオチド36、1264、および1587の周辺にスプライシング接合部位が存在するようである。提供されたYYB04配列は、特定の配列の挿入がフレームシフトおよびオルタナティブカルボキシ末
端配列を導くことを示唆する。さらに、配列における特定の特有の差異は、配列決定の誤り、または超可変領域の組み合わせにおそらく類似の機構によって生成される可変性の機構のいずれかを示唆する。
【0060】
配列番号13および14は、YYB04の核酸およびアミノ酸配列を示す。これは、YYB01に、おそらく同じ遺伝子または非常に高度に関連する遺伝子からのオルタナティブスプライシングによって関連する。コ−ド領域は、およそ191〜1493に存在するが、開始メチオニンは、実際に、18と番号付けされたMetであり得る(配列番号13および14を参照のこと)。残基1426〜1427の間の以下の配列の挿入物の存在についての証拠を含む、別の転写物が、単離された:
【表1−1】

【0061】
これは、続く配列の下流のリーディングフレームを変化させ、413残基から以下の配列をコードする:
【表1−2】

【0062】
(配列番号15)。このオルタナティブ配列は、約478〜500までの膜貫通セグメントを含む。
【0063】
KLM63と命名されたKTE03の実施態様はまた、配列番号17および18に提供されている。別のKTE03の実施態様(KLM66と命名された)は、配列番号19および20に提供される。なお別のKTE03の実施態様(KLM67と命名された)が、配列番号21および22に提供される。
【0064】
本発明は、記載されるように、単球タンパク質をコードする単離されたDNAまたはフラグメントを提供する。さらに、本発明は、生物学的に活性なタンパク質またはポリペプチドをコードする単離されたまたは組換えDNAを提供する。これは、適切な条件(例えば、高ストリンジェントな条件下で)本明細書中に記載されるDNA配列とハイブリダイズし得る。上記の生物学的に活性なタンパク質またはポリペプチドは、天然に存在する形態であり得るか、または組換えタンパク質もしくは組換えポリペプチドであり得、そして配列番号2または4;6、8、または10;あるいは12、14、16、18、20、または22に開示されるようなアミノ酸配列を有する。好ましい実施態様は、全長の天然の単離物(例えば、霊長類由来)である。グリコシル化形態において、タンパク質は、より大きいサイズを示す。さらに、本発明は、単離されたDNAもしくは組換えDNA、またはそれぞれの単球タンパク質と互いに相同であるタンパク質をコードするそのフラグメントの使用を含む。単離されたDNAは、例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリA付加シグナルなどの5’および3’に隣接したそれぞれの調節配列を有し得る。
【0065】
IV.単球遺伝子産物の作製
これらの単球タンパク質またはそのフラグメントをコードするDNAが、化学的合成、cDNAライブラリーのスクリーニングによって、または広範な細胞株もしくは組織サンプルから調製したゲノムライブラリーのスクリーニングによって得られ得る。
【0066】
これらのDNAは、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成するために使用され得る全長のタンパク質またはフラグメントの合成のために;結合研究のために;改変された分子の構築および発現のために;ならびに構造/機能の研究のために、広範な宿主細胞中で発現され得る。これらの単球タンパク質またはそのフラグメントのそれぞれは、適切な発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞中で発現され得る。これらの分子は、組換え宿主に由来する他のタンパク質または細胞の混入物を含まないように、実質的に精製され得、従って、薬学的に受容可能な伽羅イ亜および/または希釈剤と組み合わされた場合に、薬学的組成物中で特に有用である。抗原またはその部分は、他のタンパク質との融合体として発現され得る。
【0067】
発現ベクターは、代表的には、所望の単球遺伝子またはそのフラグメントを含む、自己複製型DNAまたはRNA構築物であり、通常は、適切な宿主中で認識される遺伝子制御エレメントに作動可能に連結されている。これらの制御エレメントは、適切な宿主中での発現を達成し得る。発現を行うために必要な特定の型の制御エレメントは、最終的に使用される宿主細胞に依存する。一般的には、遺伝子制御エレメントは、原核生物プロモーター系または真核生物プロモーター発現制御系を含み得、そして代表的には、転写プロモーター、転写の開始を制御するための任意のオペレータ、mRNAの発現レベルを上昇させるための転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳を終結させる配列を含む。発現ベクターはまた、通常は、宿主細胞からベクターが独立して複製することを可能にする複製起点を含む。
【0068】
本発明のベクターは、種々の単球タンパク質をコードするDNA、またはそのフラグメント(代表的には、例えば、生物学的に活性なポリペプチドまたはタンパク質をコードする)を含む。DNAは、ウイルスプロモーターの制御下に存在し得、そして選択マーカーをコードし得る。本発明はさらに、原核生物または真核生物宿主中で単球タンパク質をコードする真核生物cDNAを発現し得る、このような発現ベクターの使用をさらに意図する。ここで、ベクターは、宿主に適合性であり、そしてここでタンパク質をコードする真核生物cDNAは、目的のcDNAを発現するベクターを含む宿主が増殖するように、ベクターに挿入される。通常は、発現ベクターは、それらの宿主細胞中での安定な複製、または細胞あたりの所望の遺伝子の総コピー数を劇的に増大させるための増幅のために設計される。宿主細胞中で発現ベクターが複製することは必ずしも常に必要ではなく、例えば、宿主細胞によって認識される複製起点を含むベクターを使用する種々の宿主中での、タンパク質またはそのフラグメントの一時的な発現を達成することが可能である。組換えにより宿主DNA中に単球遺伝子またはそのフラグメントの組み込みを生じるベクターを使用すること、または内因性の遺伝子の発現を制御するプロモーターを組み込むこともまた、可能である。
【0069】
本明細書中で使用されるベクターは、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組み込み可能なDNAフラグメント、および宿主のゲノムへのDNAフラグメントの組み込みが可能な他のビヒクルを含む。発現ベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現に影響を与える遺伝子制御エレメントを含む、特殊化されたベクターである。プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態であるが、同等の機能を提供するベクターの全ての他の形態が、本明細書中での使用のために適切である。例えば、Pouwelsら(1985、および補遣)CloningVectors:ALaboratory Manual Elsevier, N.Y.;およびRodriquezら(編)(1988)Vectors:ASurvey ofMolecular Cloning Vectors and Their Uses,Buttersworth, Boston,MAを参照のこと。
【0070】
適切な宿主細胞として、原核生物、下等真核生物、および高等真核生物が挙げられる。原核生物として、グラム陰性およびグラム陽性生物(例えば、E. coliおよびB.subtilis)の両方が挙げられる。下等真核生物として、酵母(例えば、S. cerevisiaeおよびPichia)、ならびにDictyostelium属の種が挙げられる。高等真核生物として、動物細胞由来の確立された組織培養細胞株(非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞および鳥類)、および哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類、およびげっ歯類)の両方)が挙げられる。
【0071】
原核生物宿主ベクター系として、多くの異なる種の広範なベクターが挙げられる。本明細書中で使用される場合、E. coliおよびそのベクターが、他の原核生物中で使用される同等のベクターを含むように、一般的に使用される。DNAを増幅するための代表的なベクターは、pBR322またはその誘導体である。単球タンパク質またはフラグメントを発現するために使用され得るベクターとして、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されない:lacプロモーターを含むベクター(pUC-シリーズ);trpプロモーターを含むベクター(pBR322-trp);Ippプロモーターを含むベクター(pIN-シリーズ);λ-pPまたはpRプロモーターを含むベクター(pOTS);またはptacのようなハイブリッドプロモーターを含むベクター(pDR540)。Brosiusら(1988)「ExpressionVectorsEmploying Lambda-, trp, lac-, and Ipp-derived Promoters」、RodriguezおよびDenhardt(編)Vectors:ASurveyof Molecular Cloning Vectors and Their Use 10:205-236 Buttersworth,Boston, MAを参照のこと。
【0072】
下等真核生物(例えば、酵母およびDictyostelium)は、単球遺伝子配列を含有するベクターで形質転換され得る。本発明の目的のために、最も一般的な下等真核生物宿主は、パン酵母のSaccharomycescerevisiaeである。これは、下等真核生物を代表して遺伝的に使用されるが、多数の他の株および種もまた利用可能である。酵母ベクターは代表的には、複製起点(組み込み型以外)、選択遺伝子、プロモーター、所望のタンパク質をコードするDNAまたはそのフラグメント、ならびに翻訳の終結、ポリアデニル化、および転写の終結のための配列からなる。酵母について適切な発現ベクターとして、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのような構成性プロモーター、および種々の他の解糖酵素遺伝子プロモーター、またはアルコールデヒドロゲナーゼ2プロモーターもしくはメタロチオネインプロモーターのような誘導性プロモーターが挙げられる。適切なベクターとして、以下の型の誘導体が挙げられる:自律複製性低コピー数型(例えば、YRp-シリーズ);自律複製性高コピー数型(例えば、YEp-シリーズ);組み込み型(例えば、YIp-シリーズ);またはミニ染色体(例えば、YCp-シリーズ)。
【0073】
より高等な真核生物組織培養細胞が、単球タンパク質の発現のための好ましい宿主細胞である。原則的には、ほとんどの任意の高等真核生物組織培養細胞株(例えば、バキュロウイルス発現系)が、無脊椎動物または脊椎動物供給源にかかわらず使用され得る。しかし、哺乳動物細胞が、翻訳と同時のおよび翻訳後の両方の適切なプロセシングを達成するために好ましい。このような細胞の形質転換またはトランスフェクションおよび増殖は日常的である。有用な細胞株として、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞
株、ラット幼仔腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、鳥類細胞株、およびサル(COS)細胞株が挙げられる。このような細胞株についての発現ベクターは、通常は、複製起点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライシング部位(例えば、ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位、および転写終結部位を含む。これらのベクターはまた、選択遺伝子または増幅遺伝子を含み得る。適切な発現ベクターはまた、例えば、アデノウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、またはサイトメガロウイルス由来のプロモーターを保有する、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであり得る。適切な発現ベクターの代表的な例として、pCDNA1;pCD、Okayamaら(1985)Mol.CellBiol. 5:1136-1142を参照のこと;pMC1neo Poly-A、Thomasら(1987)Cell 51:503-512;およびpAC373またはpAC610のようなバキュロウイルスベクターが挙げられる。
【0074】
特定の例において、単球タンパク質は、特定のアッセイでの生物学的応答を誘発するためにグリコシル化される必要はない。しかし、特異的なまたは規定されたグリコシル化パターンを提供する系において単球ポリペプチドを発現することがしばしば所望される。この場合、通常のパターンが、発現系によって自然に提供される。しかし、このパターンは、例えば、非グリコシル化形態で、異種発現系に導入された適切なグリコシル化タンパク質にポリペプチドを曝すことによって改変可能である。例えば、単球遺伝子は、1つ以上の哺乳動物または他のグリコシル化酵素をコードする遺伝子と同時に形質転換され得る。過剰のグリコシル化が、単球タンパク質の生物学的活性に対して決定的である得ること、および当業者が適切な生物学的活性を付与するグリコシル化の程度を最適化するように日常的な試験を行い得ることが、さらに理解される。
【0075】
単球タンパク質、またはそのフラグメントは、細胞膜に連結されるホスファチジルイノシトール(PI)であるように操作され得るが、ホスファチジルイノシトール切断化酵素(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼ-C)での処理によって、膜から除去され得る。これは、生物学的に活性な形態で、抗原を放出し、そしてタンパク質化学の標準的な手順による精製を可能にする。例えば、Low(1989)Biochem.Biophys.Acta988:427-454;Tseら(1985)Science230:1003-1008;Brunnerら(1991)J.Cell Biol.114:1275-1283;およびColiganら(編)(1996および定期的な補遺)Current Protocols in ProteinScience,John WileyおよびSons、New York,NYを参照のこと。
【0076】
現在、これらの単球タンパク質は、特徴付けられており、そのフラグメントまたは誘導体は、ペプチドを合成するための従来の手順によって調製され得る。これらは、以下において記載されるような手順を包含する:StewartおよびYoung(1984)SolidPhase Peptide Synthesis Pierce ChemicalCo., Rockford,IL;BodanszkyおよびBodanszky(1984)ThePractice of Peptide SynthesisSpringer-Verlag、New York、NY;およびBodanszky(1984)ThePrinciples of PeptideSynthesis Springer-Verlag、New York、NY。Merrifield(1986)Science232:341-347;およびDawsonら(1994)Science266:776-779もまた参照のこと。例えば、アジドプロセス、酸クロリドプロセス、酸無水物プロセス、混合化無水物プロセス、活性エステルプロセス(例えば、p-ニトロフェニルエステル、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、もしくはシアノメチルエステル)、カルボジイミダゾールプロセス、酸化−還元プロセス、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCD)/付加(additive)プロセスが、使用され得る。固相合成および液相合成は、両方ともに、上述のプロセスに適用可能である。
【0077】
調製されたタンパク質およびそのフラグメントは、ペプチド分離の手段によって(例えば、抽出、沈殿、電気泳動、および種々の形態のクロマトグラフィーなどによって)、反応混合物から、単離および精製され得る。本発明の単球タンパク質は、所望される使用に依存して、種々の程度の純度が得られ得ることができる。精製は、公知のタンパク質精製技術の使用によって、または、例えば、免疫吸着アフィニティークロマトグラフィーにおける、本明細書中に記載される抗体もしくは結合パートナーの使用によって、達成され得
る。この免疫吸着アフィニティークロマトグラフィーは、最初に、固体支持体に抗体を結合し、そして適切な供給源の細胞の可溶化された溶解物、このタンパク質を発現する他の細胞の溶解物、またはDNA技術の結果であるタンパク質を産生する細胞の溶解物もしくは上清と、結合された抗体とを接触することによって、行われる(以下を参照のこと)。
【0078】
他の細胞に比較して高レベルで、前記タンパク質を発現する細胞について、複数の細胞株がスクリーニングされ得る。種々の細胞株(例えば、マウス胸腺間質細胞株TA4)が、スクリーニングされ、そしてその好ましい操作されている性質について選択される。天然の単球細胞タンパク質は、天然の供給源から、または適切な発現ベクターを使用する、形質転換された細胞からの発現によって、単離され得る。発現されたタンパク質の精製は、標準的な手順によって達成されるか、または細胞溶解物もしくは上清からの、高効率の効果的な精製のために操作される手段と組合わされ得る。FLAGまたはHis6セグメントは、このような精製特徴のために使用され得る。
【0079】
V.抗体
抗体は、これらの種々の単球タンパク質に対して惹起され得、個体の、多型の、対立遺伝子の、系統の、または種の改変体およびそのフラグメントを、それらが天然に存在する(完全長)形態において、およびそれらの組換え形態においての両方で含む。さらに、抗体は、それらの活性形態において、またはそれらの不活性な形態においてのいずれかで、単球タンパク質に対して惹起され得る。抗イディオタイプ抗体はまた、使用され得る。
【0080】
a.抗体産生
多数の免疫原が、これらの単球タンパク質と特異的に反応する抗体を産生するために用いられ得る。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の産生についての好ましい免疫原である。天然に存在するタンパク質はまた、精製形態、または未精製形態のいずれかにおいて使用され得る。本明細書中に記載されるヒト単球タンパク質配列を使用して作製される合成ペプチドはまた、単球タンパク質に対する抗体の産生のための免疫原として使用され得る。組換えタンパク質は、本明細書中に記載されるように、真核生物細胞または原核生物細胞において発現され得、そして記載されるように精製され得る。次いで、産生物は、抗体を産生し得る動物へ、注入される。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかが、タンパク質を測定するためのイムノアッセイにおけるその後の使用のために作製され得る。
【0081】
ポリクローナル抗体を産生する方法は、当業者に公知である。簡潔には、免疫原、好ましくは精製タンパク質は、アジュバントと混合され、そして動物は、この混合物で免疫される。免疫原調製物に対する動物の免疫応答は、試験する血液を採取し、そして目的の単球タンパク質に対する反応性の力価を測定することによって、モニターされる。免疫原に対する抗体の適切な高力価が得られる場合、動物から血液が回収され、そして抗血清が調製される。タンパク質に反応性の抗体を富化するための、抗血清のさらなる分画が、所望であれば、行われ得る。例えば、HarlowおよびLaneを参照のこと。
【0082】
モノクローナル抗体は、当業者によく知られる種々の技術によって得られ得る。簡潔には、所望の抗原で免疫した動物からの脾臓細胞が、一般に、ミエローマ細胞との融合によって、不死化される。例えば、KohlerおよびMilstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511-519(これは本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。不死化の代替の方法は、エプスタインバーウイルス、ガン遺伝子、もしくはレトロウイルスでの形質転換、または当該分野において公知の他の方法を包含する。単一の不死化細胞から生じるコロニーは、抗原についての所望の特異性および親和性を有する抗体の産生について、スクリーニングされ、そしてこのような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収量は、脊椎動物宿主の腹腔への注入を含む種々の技術によって増強され得る。あるいは、モノクローナル抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列を、Huseら(1989)Science246:1275-1281によって概説される一般的なプロトコルに従って、ヒトB細胞からのDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、単離し得る。
【0083】
これらの単球タンパク質の予め決定されたフラグメントに対する抗体は、結合フラグメントおよび1本鎖型(version)を含み、フラグメントと、上記のようなキャリアタンパク質との結合体で、動物を免疫化することによって惹起され得る。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から、調製される。これらの抗体は、正常なもしくは欠損した単球タンパク質に対する結合についてスクリーニングされ得るか、またはアゴニスト活性もしくはアンタゴニスト活性についてスクリーニングされ得る。これらのモノクローナル抗体は、通常は、少なくとも約1mMの、より通常は少なくとも約300μMの、代表的には少なくとも約100μMの、より代表的には少なくとも約30μMの、好ましくは少なくとも約10μMの、およびより好ましくは少なくとも約3μM以上のKDで、結合する。標準的な方法が、高い親和性および選択性の抗体調製物の選択について、利用可能である。
【0084】
いくつかの例において、種々の哺乳動物宿主(例えば、マウス、げっ歯類、霊長類、ヒトなど)からモノクローナル抗体を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の記載は、例えば、Stitesら(編)Basicand Clinical Immunology(第4版)Lange MedicalPublications、Los Altos,CAおよびそこに引用される参考文献;HarlowおよびLane(1988)Antibodies:ALaboratoryManual CSH Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles andPractice(第2版)AcademicPress、New York、NY;ならびに、特に、KohlerおよびMilstein(1975)Nature256:495-497(これはモノクローナル抗体を作製する1つの方法を考察する)において、見出され得る。簡潔にまとめると、この方法は、動物を免疫原で注射して、体液性免疫応答を開始する工程を包含する。次に、動物は屠殺され、次いで、その脾臓から採取された細胞は、ミエローマ細胞と融合される。結果は、ハイブリッド細胞または「ハイブリドーマ」であり、これはインビトロで増殖し得る。次いで、ハイブリドーマの集団は、個々のクローンを単離するためにスクリーニングされ、このそれぞれは、免疫原に対する単一の抗体種を分泌する。この様式において、得られる個々の抗体種は、免疫動物由来の、不死化されたおよびクローン化された単一のB細胞の産物であり、免疫原性物質において認識される特定の部位に応答して作製される。
【0085】
他の適切な技術は、ファージまたは類似のベクターにおける、抗体のライブラリーの選択を包含する。Huseら(1989)「ファージλにおける免疫グロブリンレパートリーの大規模コンビナトリアルライブラリーの作製」、Science246:1275-1281;およびWardら(1989)Nature341:544-546を参照のこと。本発明のポリぺプチドおよび抗体は、改変を伴って、または改変を伴わないで、使用され得、キメラ抗体またはヒト化抗体を含む。しばしば、ポリぺプチドおよび抗体は、共有結合または非共有結合のいずれかで、検出可能なシグナルを提供する物質を結合することによって、標識される。広範に多様な標識および結合技術が、公知であり、そして科学文献および特許文献の両方において、広く報告されている。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号が挙げられる。また、組換え免疫グロブリンが生成され得る。Cabilly、米国特許第4,816,567号;およびQueenら(1989)Proc.Nat’lAcad.Sci. USA 86:10029-10033を参照のこと。
【0086】
本発明の抗体はまた、各単球タンパク質を単離する際の、アフィニティークロマトグラフィーのために使用され得る。カラムが調製され得、ここで抗体は固体支持体(例えば、アガロース、SEPHADEXなどのような粒子)に結合され、ここに細胞溶解物はカラムを介して通過され得、カラムは洗浄され、次いで緩和な変性剤の濃度を漸増することによって精製された単球タンパク質が放出される。
【0087】
抗体はまた、特定の発現産物について、発現ライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。通常、このような手順において使用される抗体は、抗体結合による抗原の存在の容易な検出を可能にする部分で標識される。
【0088】
単球タンパク質に対する抗体は、それぞれのタンパク質を発現する、特定の細胞集団成分の分析、または同定のために使用され得る。単球タンパク質を発現する細胞の発現産物をアッセイすることによって、疾患(例えば、免疫無防備状態、単球涸渇化状態、または単球の過剰産生)を診断することが可能である。
【0089】
各単球に対して惹起される抗体はまた、抗イディオタイプ抗体を惹起するために有用である。これらは、それぞれの抗原の発現に関連する、種々の免疫学的状態を検出する、または診断するのに有用である。
【0090】
b.イムノアッセイ
特定のタンパク質は、種々のイムノアッセイ法によって測定され得る。一般の免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の概説について、StitesおよびTerr(編)1991Basic and Clinical Immunology(第7版)を参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイは、任意のいくつかの構成において行われ得、これは、Maggio(編)(1980)EnzymeImmunoassay CRC Press,Boca Raton、Florida;Tijan(1985)「酵素イムノアッセイの実施および理論」、LaboratoryTechniquesin Biochemistry and Molecular Biology、Elsevier Science PublishersB.V.、Amsterdam;およびHarlowおよびLaneAntibodies,A Laboratory Manual、前述(これらのそれぞれは、本明細書中に参考として援用される)において広く概説される。Chan(編)(1987)Immunoassay:APractical Guide Academic Press、Orlando、FL;PriceおよびNewman(編)(1991)Principles andPractice of Immunoassays Stockton Press、NY;およびNgo(編)(1988)Non-isotopicImmunoassays Plenum Press、NYもまた、参照のこと。
【0091】
これらの単球タンパク質を測定するためのイムノアッセイは、当業者に公知の多様な方法によって行われ得る。簡潔には、タンパク質を測定するためのイムノアッセイは、競合的なまたは非競合的な結合アッセイであり得る。競合的な結合アッセイにおいて、分析されるサンプルは、固体表面に結合される捕獲因子上の特異的な結合部位について、標識化分析物と競合する。好ましくは、捕獲因子は、上記のように産生された単球タンパク質と特異的な反応性の抗体である。捕獲因子上に結合される標識化分析物の濃度は、サンプル中に存在する遊離分析物の量に反比例する。
【0092】
競合的な結合イムノアッセイにおいて、サンプル中に存在する単球タンパク質は、特異的な結合因子(例えば、単球タンパク質と特異的な反応性の抗体)に対する結合について、標識化タンパク質と競合する。結合因子は、固体表面に結合し得、未結合の標識化タンパク質からの、結合された標識化タンパク質の分離をもたらす。あるいは、競合的な結合アッセイは、液相において行われ得、そして当該分野において公知の任意の種々の技術が、未結合の標識化タンパク質から、結合された標識化タンパク質を分離するために使用され得る。分離後、結合された標識化タンパク質の量が測定される。サンプル中に存在するタンパク質の量は、標識化タンパク質結合の量に反比例する。
【0093】
あるいは、均一系イムノアッセイが行われ得、ここでは分離工程は必要ない。これらのイムノアッセイにおいて、タンパク質に対する標識は、タンパク質の、その特異的な結合因子への結合によって変化される。標識化タンパク質におけるこの変化は、標識によって発せられるシグナルの減少または増加を生じ、これによって、イムノアッセイの終了時点での標識の測定は、タンパク質の検出または定量をし得る。
【0094】
これらの単球タンパク質はまた、多様な非競合的なイムノアッセイ法によって定量的に測定され得る。例えば、二箇所の(two-site)、固相サンドイッチイムノアッセイが使用され得る。このタイプのアッセイにおいて、タンパク質についての結合因子(例えば、抗体)は、固相支持体に付着される。第2のタンパク質結合因子(これはまた抗体であり得、そして異なる部位でタンパク質と結合する)は標識される。タンパク質において両側で結合が生じた後、未結合の標識化結合因子は除去され、そして固相に結合された標識化結合因子の量が測定される。結合された標識化結合因子の量は、サンプル中のタンパク質の量に正比例する。
【0095】
ウェスタンブロット分析は、サンプル中の単球タンパク質の存在を決定するために使用され得る。電気泳動が、例えば、タンパク質を含むことが推測される組織サンプルに対して行われる。タンパク質を分離するための電気泳動、および適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター)へのタンパク質の移動後、固体支持体は、変成されたタンパク質と反応性の抗体とともにインキュベートされる。この抗体は、標識され得るか、またはあるいは一次抗体を結合する二次標識化抗体との、その後のインキュベーションによって検出され得る。
【0096】
上記のイムノアッセイ形式は、標識化アッセイ成分を用いる。標識は、多様な形態においてであり得る。標識は、当該分野において周知の方法に従って、アッセイの所望の成分に直接的にまたは間接的に結合され得る。広範に多様な標識が使用され得る。成分は、いくつかの方法の任意の1つによって標識され得る。伝統的に、3H、125I、35S、14C、または32Pを組込む放射性標識が使用される。非放射性標識としては、標識化抗体に結合するリガンド、発蛍光団、化学発光因子、酵素、および標識化タンパク質に対して特異的な結合対メンバーとして作用し得る抗体が挙げられる。標識の選択は、所望される感受性、化合物との結合の容易さ、安定性の要件、および利用可能な装置に依存する。使用され得る種々の標識系またはシグナル生成系の概説について、米国特許第4,391,904号(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0097】
特定のタンパク質と反応性の抗体はまた、種々のイムノアッセイ法によって測定され得る。イムノアッセイ技術による抗体の測定に適用可能な、免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の概説について、例えば、StitesおよびTerr(編)Basicand Clinical Immunology(第7版)前述;Maggio(編)EnzymeImmunoassay、前述;およびHarlowおよびLaneAntibodies,A Laboratory Manual、前述を参照のこと。
【0098】
種々の、異なるイムノアッセイ形態、分離技術、および標識はまた、特定のタンパク質の測定について上記されるものと同様に、使用され得る。さらに、特定のタンパク質、または密接に関連するタンパク質についての結合の選択性を評価するための多くの方法が、公知である。
【0099】
VI.精製された単球タンパク質
ヒト単球FDF03タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2に提供される。部分的なマウ
スの配列は、配列番号4に提供される。Igファミリーメンバーについての、ヒトYE01のアミノ酸配列および核酸配列は、配列番号5〜10に提供される。レセプターファミリーメンバーは、KTE03と称され、配列番号11〜22に記載される。
【0100】
ペプチド配列は、このようなセグメントを認識する抗体を作製するためのペプチドの調製を可能にし、そしてこのような配列をコードするオリゴヌクレオチドの調製を可能にする。さらに、親和性試薬は、より多くのタンパク質(完全長または組換え形態を含む)の検出および精製を許容する。そしてオリゴヌクレオチド配列は、これらのタンパク質をコードする、またはこれらに密接に関連するcDNAの検出を可能にする。
【0101】
VII.物理的改変体
本発明はまた、配列番号2もしくは4;6、8、もしくは10;または12、14、16、18、20、もしくは22のアミノ酸配列と、実質的なアミノ酸配列類似性を有する、タンパク質またはペプチド、特にスプライス改変体を包含する。例えば、20個以下の、好ましくは10個以下の、およびより好ましくは5個以下の置換を示す改変体がまた、可能である。置換が、保存的置換である場合、改変体は、対応する天然の配列のタンパク質と、免疫原性もしくは抗原性の類似性、または交差反応性を共有する。天然の改変体はまた、個体の、対立遺伝子の、多型の、系統の、または種の改変体を包含する。
【0102】
アミノ酸配列の類似性、または配列の同一性は、残基マッチを最適化することによって、必要であれば、必要とされるギャップを導入することによって、決定される。これは、保存的置換がマッチとして考慮される場合、変化する。保存的置換は、代表的に、以下の群内の置換を包含する:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。相同なアミン酸配列は、各それぞれのタンパク質配列における、天然の対立遺伝子改変体、および種間改変体を含む。代表的な相同タンパク質またはペプチドは、関連の単球タンパク質のアミノ酸配列と、50〜100%の類似性(ギャップが挿入され得る場合)から、75〜100%の類似性(保存的置換が含まれる場合)を有する。同一性の程度は、少なくとも約50%、一般的には少なくとも60%、より一般的には少なくとも65%、通常少なくとも70%、より通常には少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、およびより好ましくは少なくとも80%、そして特に好ましい実施態様において、少なくとも85%以上である。Needlehamら(1970)J.Mol.Biol.48:443-453;Sankoffら(1983)Time Warps,String Edits,and Macromolecules;TheTheoryand Practice of Sequence Comparison Chapter One,Addision-Wesley、Reading,MA;ならびにIntelliGenetics,MountainView,CA;およびUniversityof Wisconsin Genetics Computer Group(GCG)、Madison、WIからのソフトウエアパッケージもまた参照のこと。
【0103】
対応する哺乳動物単球タンパク質をコードする核酸は、ストリンジェントな条件下で、例えば、配列番号1および/もしくは3;5、7、および/もしくは9;または11、13、15、17、19、および/もしくは21に、代表的にハイブリダイズする。例えば、それぞれの単球タンパク質をコードする核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、適切な核酸に代表的にハイブリダイズするが、一方いくつかの擬陽性のハイブリダイゼーションシグナルを提供する。一般に、ストリジェントな条件は、規定されるイオン強度およびpHで、ハイブリダイズされる配列について、熱融解点(Tm)よりも約10℃以上低くなるように選択される。Tmは、、50%の標的配列が、完全にマッチされるプローブにハイブリダイズする温度(規定されたイオン強度およびpH下で)である。代表的に、ストリンジェントな条件は、洗浄における塩濃度が、pH7で約0.02モルであり、および温度が少なくとも約50℃である条件である。他の因子は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに有意に影響し得、特に、以下を含む;相補鎖の塩基組成およびサイズ、有機溶媒(例えば、ホルムアミド)の存在、ならびに塩基ミスマッチングの程度。好ましい実施態様は、42℃にて、50%ホルムアミドおよび20〜50mMNaCl中で、開示される配列に結合する核酸を含む。特定の場合において、ストリンジェンシーは、完全よりも少ない配列同一性を示す他の核酸を検出するために、軽減され得る。
【0104】
単離された単球遺伝子DNAは、ヌクレオチド置換、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入、およびヌクレオチドストレッチの逆位によって、容易に改変され得る。これらの改変は、これらの単球抗原、それらの誘導体、または非常に類似の生理学的活性、免疫原性活性、もしくは抗原性活性を有するタンパク質をコードする、新規なDNA配列を生じる。
【0105】
改変された配列は、変異体抗原を生成するために、または発現を増強するために使用され得る。増強された発現は、遺伝子増幅、増加される転写、増加される翻訳、および他の機構を包含し得る。このような変異体単球タンパク質誘導体は、それぞれのタンパク質もしくはそのフラグメントの、予め決定されたまたは部位特異的な変異を包含する。「変異体単球タンパク質」は、ポリぺプチドを包含する(そうでなければ、これは上記のような単球タンパク質の相同性の規定の中にあるが、欠失、置換、または挿入の方法によって、天然に見出されるような単球タンパク質のアミノ酸配列とは異なる配列を有する)。特に、「部位特異的変異体単球タンパク質」は、一般に、配列番号2もしくは4;6、8、もしくは10;または12、14、16、18、20、もしくは22の配列を有するタンパク質と、有意な類似性を有するタンパク質を包含する。一般に、改変体は、これらの配列と、多くの生理化学的活性および生物学的活性(例えば、抗原性もしくは免疫原性)を共有し、そして好ましい実施態様は、開示された配列のほとんどまたは全てを含む。同様の概念が、これらの種々の単球タンパク質、特に、種々の温血動物(例えば、霊長類および哺乳動物)において見出される単球タンパク質に適合する。
【0106】
部位特異的変異部位は、予め決定されるが、変異体は、部位特異的である必要はない。単球タンパク質の変異誘発は、アミノ酸挿入または欠失を作製することによって、行われ得る。置換、欠失、挿入、または任意の組み合わせが、最終の構築物に到達するために作製され得る。挿入は、アミノ末端またはカルボキシル末端の融合を含む。ランダムな変異誘発が、標的コドンで行われ得、次いで、発現される変異体は、所望の活性についてスクリーニングされ得る。公知の配列を有するDNAにおいて、予め決定された部位で置換変異を作製するための方法は、当該分野において周知である(例えば、M13プライマー変異誘発技術またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術による)。Sambrookら(1989)およびAusubelら(1987および補遺)もまた参照のこと。DNAにおける変異は、通常、リーディングフレームの外側のコード配列に配置するべきではなく、そして好ましくは、mRNA二次構造(例えば、ループまたはヘアピン)を生成するためにハイブリダイズし得る相補的な領域は、作製しない。
【0107】
本発明はまた、組換えタンパク質、例えば、異種融合タンパク質を、これらのタンパク質からのセグメントを使用して、提供する。異種融合タンパク質は、天然では、同じ様式において通常では融合されないタンパク質またはセグメントの融合である。従って、免疫グロブリンと、それぞれの単球ポリぺプチドとの融合産物は、代表的なペプチド結合において融合される配列を有し、代表的には、単一の翻訳産物として作製され、そして各供給源のペプチドに由来する特性を示す、連続的なタンパク質分子である。同様の概念は、異種核酸配列に適合する。
【0108】
加えて、他のタンパク質からの類似の機能的ドメインを合わせることが、新しい構築物が作製され得る。例えば、ドメインまたは他のセグメントは、異なる新規の融合ポリぺプチドまたはフラグメント間で、代表的には、関連タンパク質と、例えば、IgファミリーまたはFcレセプターファミリー内で、「交換」され得る。好ましくは、完全な構造ドメイン(例えば、完全なIg部分)が使用される。例えば、Cunninghamら(1989)Science243:1330-1336;およびO’Dowdら(1988)J.Biol.Chem.263:15985-15992を参照のこと。従って、新規な組合わせの特異性を示す新規なキメラポリぺプチドは、タンパク質結合特異性と、他の機能的なドメインとの、機能的な結合から生じる。また、アラニン走査変異誘発(alaninescanningmutagenesis)が、好ましくは、一般に三次構造を破壊する重要な残基のほとんどを回避して、構造的に二次構造の外側にある残基に対して適用され得る。
【0109】
これらの単球抗原の「誘導体」は、アミノ酸配列変異体、グリコシル化改変体、および他の化学的部分との共有結合結合体または凝集結合体を含む。共有結合誘導体は、当該分野で周知の手段による、これらの単球タンパク質アミノ酸側鎖またはN末端もしくはC末端に見出される基への機能性の結合により調製され得る。これらの誘導体は、カルボキシ末端またはカルボキシ側鎖を含む残基の脂肪族エステルまたはアミド、水酸基を含む残基のO-アシル誘導体、およびアミノ末端アミノ酸またはアミノ基を含む残基(例えば、リ
ジンもしくはアルギニン)のN-アシル誘導体を、限定されることなく含み得る。アシル基は、アルキル部分(C3〜C18正常アルキルを含む)の基から選択され、それによりアルカノイルアロイル種を形成する。キャリアタンパク質への共有結合付着は、免疫原性部分がハプテンである場合に重要であり得る。
【0110】
特に、グリコシル化変化が含まれ、例えば、グリコシル化は、その合成およびプロセシング間にまたはさらなるプロセシング工程においてポリペプチドのグリコシル化パターンを修飾することによりなされる。これを達成するための特に好ましい手段は、このようなプロセシングを通常提供する細胞に由来するグリコシル化酵素(例えば、哺乳動物グリコシル化酵素)にポリペプチドを曝露することによるものである。脱グリコシル化酵素もまた意図される。他の重要でない修飾(リン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシン、ホスホセリン、もしくはホスホスレオニン)、または他の部分(リボシル基または架橋試薬を含む)を含む)を有する同じ一次アミノ酸配列のバージョンもまた含まれる。また、置換を含むタンパク質が含まれ、これは、配列番号2もしくは4;6、8、もしくは10;または12、14、16、18、20、もしくは22のタンパク質を認識する抗体を生成するために、実質的な免疫原性を保持するべきである。あるいは、配列番号2および4の両方;6、8、および10;または12、14、16、18、20、もしくは22を認識する抗体を生成することが所望され得る。代表的には、これらのタンパク質は、開示された配列からの20残基未満の置換、より代表的に10未満の置換、好ましくは5未満の置換、およびより好ましくは3未満の置換を含む。あるいは、構造ドメインから始まり、そしてそこで終わるタンパク質は、通常、抗原性および交差免疫原性を保持する。
【0111】
誘導体の主要なグループは、単球タンパク質またはそのフラグメントと他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合結合体である。これらの誘導体は、組換え培養(例えば、N末端もしくはC末端融合)おいて、またはタンパク質の反応性側鎖基による架橋におけるそれらの有用性について当該分野で公知の薬剤の使用により合成され得る。好ましい、架橋薬剤を用いるタンパク質誘導部位は、遊離アミノ基、炭水化物部分、およびシステイン残基である。
【0112】
これらの単球タンパク質と他の同種または異種タンパク質との間の融合ポリペプチドもまた提供される。異種ポリペプチドは異なる表面マーカー間の融合物であり得、例えば、ハイブリッドタンパク質をもたらす。さらに、誘導体タンパク質の特性または活性の組み合せを示す異種融合物が構築される。代表的な例は、融合されたタンパク質の存在または位置が容易に決定され得るような、レポーターポリペプチド(例えば、ルシフェラーゼ)と、タンパク質のセグメントまたはドメイン(例えば、レセプター結合セグメント)との融合物である。例えば、Dullら、米国特許第4,859,609号を参照のこと。他の遺伝子融合
パートナーは、細菌β-ガラクトシダーゼ、trpE、プロテインA、β-ラクタマーゼ、αアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、および酵母α接合因子を含む。例えば、Godowskiら、(1988)Science241:812-816を参照のこと。
【0113】
このようなポリペプチドはまた、リン酸化、スルホン化、ビオチン化、または他の部分(特に、リン酸基に類似した分子形状を有するもの)の付加もしくは除去により化学的に修飾されたアミノ酸残基を有し得る。いくつかの実施態様において、この修飾は、有用な標識試薬であるか、または精製標的(例えば、アフィニティリガンド)として働く。
【0114】
本発明はまた、アミノ酸配列における改変またはグリコシル化以外のこれらの単球タンパク質の誘導体の使用を意図する。このような誘導体は、化学部分との共有結合または凝集会合を含み得る。これらの誘導体は、一般的に、3つのクラス:(1)塩、(2)側鎖および末端残基の共有結合修飾、ならびに(3)(例えば、細胞膜との)吸着複合体に分類される。このような共有結合または凝集誘導体は、免疫原として、イムノアッセイにおける試薬として、または精製方法(例えば、リガンドもしくは他の結合リガンドのアフィニティ精製のため)において有用である。例えば、単球タンパク質抗原は、抗単球タンパク質抗体のアッセイまたは精製における使用のために、当該分野で周知の方法による固体支持体(例えば、臭化シアン活性化Sepharose)への共有結合により固定化され得るか、またはグルタルアルデヒド架橋を用いてまたは用いずにポリオレフィン表面に吸着され得る。単球タンパク質はまた、例えば、クロラミンT手順により放射性ヨウ素化されたか、希土類キレートに共有結合されたか、または診断アッセイにおける使用のための別の蛍光部分に結合された、検出可能基で標識され得る。これらの単球タンパク質の精製は、固定化抗体によりもたらされ得る。
【0115】
単離された単球タンパク質遺伝子は、対応する単球タンパク質の発現を欠く細胞(例えば、対応するタンパク質を欠き、そして負のバックグラウンド活性を示す種型または細胞のいずれか)の形質転換を可能にする。形質転換された遺伝子の発現は、規定されたまたは単一の種改変体を有する、抗原的に純粋な細胞株の単離を可能にする。このアプローチは、これらの単球タンパク質の生理学的効果のより感度の高い検出および識別を可能にする。細胞下フラグメント(例えば、細胞質体または膜フラグメント)が単離され、そして使用され得る。
【0116】
VIII.結合薬剤:単球タンパク質複合体
規定された免疫原(例えば、配列番号2および/または4;6、8、および/または10;あるいは12、14、16、18、20および/または22のアミノ酸配列からなる免疫原)に対して作製された抗体に特異的に結合するか、またはその抗体と特異的に免疫反応性である単球タンパク質は、イムノアッセイにおいて決定される。イムノアッセイは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、もしくは22、または適切な組み合せのタンパク質に対して惹起されたポリクローナル抗血清を使用する。この抗血清は、関連ファミリーの他のメンバーに対して低い交差反応性を有するように選択され、そしていずれのこのような交差反応性も、イムノアッセイにおける使用前に免疫吸収により除去されるか、または除去され得る。
【0117】
イムノアッセイにおける使用のための抗血清を生成するために、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22のタンパク質は、本明細書中に記載されたように単離される。例えば、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞株において生成され得る。マウスの近交系(例えば、Balb/c)は、標準的なアジュバント(例えば、フロイントアジュバント)および標準的なマウス免疫化プロトコル(HarlowおよびLane、前出を参照のこと)を用いて適切なタンパク質で免疫化される。あるいは、本明細書中に開示される配列に由来し、そしてキャリアタンパク質に結合された合成ペプチドは、免疫原として使用され得る。ポリクローナル血清は収集され、そして固体支持体に固定化された免疫原を用いるイムノアッセイ(例えば、固相イムノアッセイ)において免疫原タンパク質に対して力価測定される。104以上の力価を有するポリクローナル抗血清は選択され、そして競合結合イムノアッセイ(例えば、HarlowおよびLane、前出、570-573頁に記載されるもの)を用いて、他の関連タンパク質に対するそれらの交差反応性について試験される。Hertzenbergら(1996版)Weir’sHandbookof Experimental Immunology 第1〜4巻,Blackwell Science;およびColigan(1991)CurrentProtocolsin Immunology Wiley/Greene,NYもまた参照のこと。好ましくは、2つの異なる関連タンパク質は、所定の単球タンパク質と共にこの決定において使用される。例えば、Igファミリータンパク質と共に、少なくとも2つの他のファミリーメンバーが共有エピトープを吸収するために使用される。Fcファミリーメンバーと共に、このファミリーの2つの他のメンバーが使用される。これらの他のファミリーメンバーは、組換えタンパク質として生成され得、そして標準的な分子生物学および本明細書中に記載されるようなタンパク質化学技術を用いて単離され得る。
【0118】
競合結合フォーマットにおけるイムノアッセイは、交差反応性決定のために使用され得る。例えば、タンパク質は、固体支持体に固定化され得る。アッセイに添加されたタンパク質は、抗血清の固定化抗原への結合と競合する。上記のタンパク質が抗血清の固定化タンパク質への結合と競合する能力は、配列番号2および/または4;6、8、および/または10;あるいは12、14、16、18、20または22のタンパク質と比較される。上記のタンパク質のパーセント交差反応性は、標準的な計算を用いて計算される。上記で列挙された各タンパク質と10%未満の交差反応性を有するそれらの抗血清は、選択およびプールされる。次いで、交差反応抗体は、上記で列挙されたタンパク質を用いた免疫吸収によりプールされた抗血清から除去される。
【0119】
次いで、免疫吸収され、そしてプールされた抗血清は、第2のタンパク質を免疫原タンパク質(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22の単球タンパク質)と比較するために、上記のような競合結合イムノアッセイに使用される。この比較を行うために、2つのタンパク質は、広範な濃度で各々アッセイされ、そして抗血清の固定化タンパク質への結合の50%を阻害するために必要とされる各タンパク質量が決定される。必要とされる第2のタンパク質の量が、必要とされるタンパク質(例えば、配列番号2)の量の2倍未満であれば、第2のタンパク質は、免疫原に対して作製された抗体に特異的に結合するといわれる。
【0120】
単球タンパク質はそれぞれ、2つ以上の遺伝子を含む相同タンパク質のファミリーであることが理解される。特定の遺伝子産物(例えば、ヒトIgファミリーメンバータンパク質)について、本発明は、本明細書中に開示されるアミノ酸配列だけでなく、対立遺伝子改変体、多型性改変体、非対立遺伝子改変体、または種改変体である他のタンパク質もまた含む。用語「ヒト単球タンパク質」は、従来の組換え技術を用いた意図的変異(例えば、単一部位変異)により、またはこれらのタンパク質をコードするDNAもしくはこの遺伝子に由来するスプライス改変体の短い断片を切除することにより、または少数の新たなアミノ酸で置換するか、もしくは付加することにより導入される非天然変異を含む。このような重要でない変化は、元の分子の免疫同一性(immunoidentity)および/またはその生物学的活性を実質的に維持しなければならない。従って、これらの変化は、示された天然に生じるそれぞれの単球タンパク質(例えば、配列番号4を示すヒト単球タンパク質)と特異的に免疫反応性であるタンパク質を含む。重要であるとみなされない特定のタンパク質改変は、各タンパク質ファミリーについて総括して上記に記載されたような、類似した化学特性を有するアミノ酸の保存的置換を含む。タンパク質と、配列番号2および4;6、8、および10;または12、14、16、18、20および22のタンパク質とを最適に整列させ、そして本明細書中に記載される従来のイムノアッセイを使用して、免疫同一性を決定することにより、本発明のタンパク質組成物を決定し得る。
【0121】
IX.使用
本発明は、本明細書の他の場所で(例えば、発達異常についての一般的な記載においてまたは以下の診断キットの記載において)記載されたように診断適用における使用を見出す試薬を提供する。
【0122】
単球遺伝子(例えば、DNAまたはRNA)は、法廷で用いる(forensic)アッセイにおける成分として使用され得る。例えば、提供されるヌクレオチド配列は、例えば、32Pまたはビオチンを用いて標識され、そして個体間の判別を助けるための測定可能な特質を提供する、標準的な制限フラグメント多型性ブロットをプローブするために使用され得る。このようなプローブは、周知の法廷で用いる技術(例えば、遺伝子フィンガープリント法)において使用され得る。さらに、単球配列から作られたヌクレオチドプローブは、染色体異常を検出するためのインサイチュアッセイにおいて使用され得る。
【0123】
単球タンパク質または核酸に指向される抗体および他の結合薬剤は、対応する単球タンパク質分子を精製するために使用され得る。以下の実施例において記載されるように、単球タンパク質の抗体精製は、可能性がありまた実施可能である。抗体および他の結合薬剤はまた、本明細書中で記載される周知の技術を用いて、単球成分が組織サンプルまたは細胞集団に存在するか否かを決定するための診断様式において使用され得る。結合薬剤を単球タンパク質に付着させる能力は、発現誤調節に関連する障害を診断するための手段を提供する。抗体および他の単球タンパク質結合薬剤はまた、組織学的マーカーとして有用であり得る。以下の実施例において記載されるように、これらのタンパク質の各々の発現は、特定の組織型に限定される。プローブ(例えば、抗体または核酸)をそれぞれの単球タンパク質に指向させることにより、インサイチュまたはインビトロで組織および細胞型を区別するためにプローブを使用することが可能である。
【0124】
本発明はまた、重要な治療価値を示し得る試薬を提供する。単球タンパク質(天然に生じるまたは組換え)、そのフラグメント、およびそれに対する抗体、ならびに単球タンパク質に対して結合親和性を有すると同定された化合物は、異常な生理機能または発達(異常増殖を含む)に関連する状態(例えば、ガン状態または変性状態)の処置に有用であり得る。異常な増殖、再生、変性、および萎縮は、本明細書中に提供される組成物を用いる適切な治療処置により調整され得る。例えば、単球(例えば、抗原提示細胞)による異常発現または異常シグナル伝達に関連する疾患または障害は、タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストの標的である。タンパク質は、免疫学的応答(例えば、抗原提示およびその結果として得られるエフェクター機能)に影響する、造血細胞(例えば、リンパ細胞)の調節または発達において役割を果たすようである。
【0125】
例えば、DX26抗体は、阻害抗体がNKまたはT細胞機能(例えば、殺傷)の調整において有用であることを示す。このような調整は、代表的に、(増大または減少させるいずれかの)20%の効果(例えば、殺傷効果)であるが、好ましい実施態様において、30%、40%、50%、またはそれ以上を有する。分布もまた単球にあるので、恐らく、この分子はまた、免疫系の、単球により媒介または開始されるエフェクター機能(例えば、自己免疫応答、移植拒絶、対宿主性移植片病、炎症状態など)の調節に影響する。これらの分子はまた、新生物状態の排除(例えば、腫瘍拒絶)に影響し得る。
【0126】
他の異常発達状態は、ノザンブロット分析により単球タンパク質mRNAを有することが示された細胞型において知られる。Berkow(編)The MerckManual of Diagnosisand Therapy,Merck&Co.,Rahway,NJ;およびThornら、Harrison’sPrinciples of InternalMadicine,McGraw-Hill,NYを参照のこと。例えば、免疫系の発達的または機能的異常は、本明細書中で提供される組成物を用いた予防または処置を受けやすくあり得る、重大な医学的異常および状態を引き起こす。
【0127】
組換え単球タンパク質または抗体は精製され、次いで患者に投与され得る。これらの試薬は、治療的使用のために、生理学的に無毒な安定剤および賦形剤と共に、例えば、従来の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤(例えば、免疫原性アジュバント)中で付加的な活性または不活性成分と組み合わされ得る。特に、これらはワクチン状況において有用であり得、ここで抗原は、アゴニストまたはアンタゴニストのこれらの治療バージョンのうちの1つと組み合される。これらの組み合わせは滅菌濾過され、そして安定化水性調製物中での投薬瓶または貯蔵所における凍結乾燥によるような投薬形態に置かれ得る。本発明はまた、抗体またはその結合フラグメント(補体結合でない形態を含む)の使用を意図する。
【0128】
抗体またはレセプターまたはそのフラグメントを用いる薬物スクリーニングは、これらの単球タンパク質に対して結合親和性を有する化合物を同定し得る(関連成分の単離を含む)。次いで、その後の生物学的アッセイを利用して、化合物が固有の刺激活性を有し、従って、タンパク質活性をブロックするブロッカーまたはアンタゴニストであるかどうかを決定し得る。同様に、固有の刺激活性を有する化合物は、このタンパク質を通して細胞を活性化し得、従って、細胞を刺激するアゴニストである。本発明は、アンタゴニストとしての、タンパク質に対する抗体の治療的使用をさらに意図する。
【0129】
有効な治療に必要な試薬量は、多くの異なる因子(投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、および投与される他の薬を含む)に依存する。従って、処置投薬量は、安全性および効力を最適化するように滴定されるべきである。代表的に、インビトロで使用される投薬量は、これらの試薬のインサイチュ投与に有用な量の有用な指針を提供し得る。特定の障害の処置のための有効用量の動物試験は、ヒト投薬量のさらなる予言的指示を提供する。例えば、Gilmanら(編)(1990)Goodmanand Gilman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics(第8版)Pergamon Press;および(1990)Remington’sPharmaceutical Sciences(第17版)MackPublishing Co.,Easton,PAにおいて、種々の考察が記載される。例
えば、経口、静脈内、腹腔内、または筋肉内投与、経皮的拡散などについての投与方法は、その中におよび以下に議論される。薬学的に受容可能なキャリアは、水、生理食塩水、緩衝液、および例えば、MerkIndex,Merck&Co.,Rahway,NJ.に記載される他の化合物を含む。投薬量範囲は、適切なキャリアを伴って、普通は1mM濃度より低い量、代表的に約10μM濃度未満の量、通常約100nM未満の量、好ましくは約10pM(ピコモル濃度)未満の量、そして最も好ましくは約1fM(フェムトモル濃度)未満の量であることが期待される。徐放処方物または徐放装置は、しばしば、連続投与のために利用される。
【0130】
単球タンパク質、そのフラグメント、およびそれに対する抗体もしくはそのフラグメント、アンタゴニスト、ならびにアゴニストは、処置されるべき宿主に直接的に投与され得るか、または化合物の大きさに依存して、それらの投与前に、それらをキャリアタンパク質(卵アルブミンまたは血清アルブミン)に結合させることが所望され得る。治療処方物は、多くの従来の投薬処方物で投与され得る。活性成分が単独で投与されることは可能であるが、一方、薬学的処方物として活性成分を与えることが好ましい。処方物は、代表的に、1つ以上のその受容可能なキャリアと共に、少なくとも1つの上記で定義されたような活性成分を含む。各キャリアは、他の成分と適合し、そして患者に有害でないという点で、薬学的および生理学的の両方で受容可能であるべきである。処方物は、経口的、直腸的、鼻的、または非経口的(皮下的、筋肉内的、静脈内的、および経皮的を含む)投与に適した処方物を含む。処方物は、単位投薬形態で便利に与えられ得、そして薬学技術で周知の任意の方法により調製され得る。例えば、Gilmanら(編)(1990)Goodmanand Gilman’s:The Pharmacological Bases ofTherapeutics(第8版)Pergamon Press;および(1990)Remington’sPharmaceutical Sciences(第17版)MackPublishing Co.,Easton,PA;Avis
ら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:ParenteralMedications Dekker,NY;Liebermanら(編)(1990)PharmaceuticalDosage Forms:TabletsDekker,NY;およびLiebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:DisperseSystemsDekker,NYを参照のこと。本発明の治療は、他の化学治療剤または化学予防剤と組み合わされ得るか、またはそれらと共同して使用され得る。
【0131】
本発明の単球タンパク質の天然に生じる形態および組換え形態の両方は、タンパク質に対する結合活性について化合物をスクリーニングし得るキットおよびアッセイ方法において特に有用である。アッセイを自動化するいくつかの方法は、短期間に何万の化合物のスクリーニングを可能にするために近年開発された。例えば、Fodorら(1991)Science251:767-773、および化学的多様性ライブラリーの他の記載(多数の化合物による結合親和性の試験のための手段を記載する)を参照のこと。適切なアッセイの開発は、本発明により提供されるような、単球タンパク質の多量の精製された(例えば、可溶性の)バージョンの入手可能性により大いに促進される。
【0132】
例えば、一旦タンパク質が構造的に定義されると、アンタゴニストは、よく見出され得る。潜在的なタンパク質アナログの試験は、精製された表面タンパク質を用いる高度に自動化されたアッセイ方法の開発により今や可能である。特に、新たなアゴニストおよびアンタゴニストは、本明細書中に記載されるスクリーニング技術を用いることにより発見される。複数の関連細胞表面抗原に対して複合した結合親和性を有することが見出された化合物(例えば、単球タンパク質の種改変体のアンタゴニストとして働き得る化合物)は、特に重要である。
【0133】
本発明は、種々の薬物スクリーニング技術において組換え単球タンパク質を用いることにより、化合物をスクリーニングするために特に有用である。特異的リガンドのスクリーニングにおいて組換えタンパク質を使用する利点は、(a)特定の供給源に由来するタンパク質の改善した再生可能な供給源;(b)アッセイにおいてより良いシグナル対ノイズ比を生じる、細胞あたり潜在的に多数の抗原;および(c)(理論的に、より大きな生物学的特異性および疾患特異性を生じる)種改変体特異性を含む。
【0134】
薬物スクリーニングの1つの方法は、単球タンパク質を発現する組換えDNA分子で安定に形質転換された、真核生物または原核生物宿主細胞を利用する。他のどれよりも単独にそのタンパク質を発現する細胞が単離され得る。このような細胞(生存能力がある形態または固定化形態のいずれかで)は、標準的な表面タンパク質結合アッセイに使用され得る。Parceら(1989)Science246:243-247;およびOwickiら(1990)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA87:4007-4011(これは、細胞応答を検出するための感度の高い方法を記載する)もまた参照のこと。競合アッセイは特に有用であり、ここで細胞(単球タンパク質の供給源)は、抗原に対して既知の結合親和性を有する抗体(例えば、125I-抗体)、および結合組成物に対するその結合親和性が測定される試験サンプルと接触およびインキュベートされる。次いで、結合したおよび遊離の標識結合組成物は、タンパク質結合の程度を評価するために分離される。結合した試験化合物の量は、既知の供給源に結合する標識抗体の量に反比例する。結合した試薬を遊離の試薬から分離して、結合の程度を評価するために、多くの技術が使用され得る。この分離工程は、代表的に、フィルターへの接着それに続く洗浄、プラスチックへの接着それに続く洗浄、または細胞膜の遠心分離のような手順を含み得る。生存可能な細胞はまた、これらの単球タンパク質により媒介される機能(例えば、抗原提示またはヘルパー機能)に対する薬物の効果についてスクリーニングするために使用され得る。
【0135】
別の方法は、単球タンパク質の供給源として、形質転換された真核生物または原核生物宿主細胞に由来する膜を利用する。これらの細胞は、適切なタンパク質(例えば、操作された膜結合形態)の発現を指向するDNAベクターで安定に形質転換される。本質的に、膜は細胞から調製され、そして結合アッセイ(例えば、上記に示された競合アッセイ)において使用される。
【0136】
さらに別のアプローチは、形質転換された真核生物または原核生物宿主細胞に由来する、可溶化された単球タンパク質、精製されてない単球タンパク質、または可溶化され精製された単球タンパク質を使用することである。これは、増大した特異性、自動化する能力、および高い薬物試験スループットの利点を有する「分子」結合アッセイを可能にする。
【0137】
薬物スクリーニングの別の技術は、それぞれの単球タンパク質に対して適切な結合親和性を有する化合物についての高スループットスクリーニングを提供するアプローチを含み、そして1984年9月13日に公開された、Geysen,欧州特許出願84/03564に詳細に記載される。最初に、多数の異なる小ペプチド試験化合物は、固体基体(例えば、プラスチックピンまたは他のいくつかの適切な表面)において合成される(Fodorら、前出を参照のこと)。次いで、全てのピンは、可溶化された単球タンパク質、精製されてない単球タンパク質、または可溶化され精製された単球タンパク質と反応され、そして洗浄される。次の工程は、結合した試薬(例えば、抗体)を検出する工程を含む。
【0138】
どの部位が特異的な他のタンパク質と相互作用するか決定するための1つの手段は、物理的構造決定(例えば、X線結晶学または2次元NMR技術)である。これらは、どのアミノ酸残基が分子定常領域を形成するかについての指針を提供する。タンパク質構造決定の詳細な記載については、例えば、BlundellおよびJohnson(1976)ProteinCrystallographyAcademic Press,NYを参照のこと。
【0139】
X.キット
本発明はまた、単球タンパク質の存在もしくはメッセージの存在を検出するための種々の診断用のキットおよび方法においてのこれらの単球タンパク質、そのフラグメント、ペプチド、およびそれらの融合生成物の使用を意図する。代表的には、このキットは、定義された単球のペプチドもしくは遺伝子セグメント、または一方もしくは他方を認識する試薬(例えば、抗体)のいずれかを含む区画を有する。
【0140】
それぞれの単球タンパク質に対する試験化合物の結合親和性を決定するキットは、代表的に、試験化合物;標識された化合物(例えば、タンパク質に対して公知の結合親和性を有する抗体);単球タンパク質の供給源(天然に存在または組換えの);および遊離の標識された化合物から結合した化合物を遊離する手段(例えば、単球のタンパク質を固定するための固相)を包含する。一旦、化合物がスクリーニングされると、タンパク質に対して適切な結合親和性を有する化合物は、単球の機能を調節するアゴニストもしくはアンタゴニストとして作用するかどうか決定する当該分野で周知である適切な生物学的アッセイで評価され得る。組換え単球ポリペプチドの利用性もまた、このようなアッセイを校正するための良く定義された基準を提供する。
【0141】
例えば、サンプル中の単球のタンパク質の濃度を決定するための好ましいキットは、代表的に、標識された化合物(例えば、単球のタンパク質に対して公知の結合親和性を有する抗体)、単球のタンパク質の供給源(天然に存在するか、または組換えの)および遊離の標識された化合物から結合した化合物を分離するための手段(例えば、単球のタンパク質を固定するための固相)を含む。試薬、および説明書を含む区画は、通常、提供される。
【0142】
抗原に結合するフラグメントを含み、それぞれの単球またはそのフラグメントに特異的な抗体は、タンパク質および/またはそのフラグメントの存在のレベルの上昇を検出する診断適用に有用である。このような診断アッセイは、溶解物、生きた細胞、固定した細胞、免疫蛍光、細胞培養物、体液を使用し得、そして血清中の抗原の検出などをさらに含み得る。診断アッセイは、均質(遊離の試薬と抗原−単球タンパク質複合体との間を分離する工程を除いて)または不均質(分離する工程を伴う)であり得る。種々の市販のアッセイが存在する(例えば、放射イムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
、酵素免疫アッセイ(EIA)、酵素増大型免疫アッセイ技術(EMIT)、基質標識蛍光免疫ア
ッセイ(SLFIA)など)。例えば、標識されていない抗体は、標識されていて、そして単球のタンパク質またはその特定のフラグメントに対する抗体を認識する二次抗体を用いることにより使用され得る。類似のアッセイもまた、文献中で広範に議論されている。例えば、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:ALaboratoryManual,CSH Press,NY;Chan(編)(1987)Immunoassay:A Practical GuideAcademicPress,Orlando,FL;PriceおよびNewman(編)(1991)Principles and Practice ofImmunoassayStockton Press,NY;ならびにNgo(編)(1988)Nonisotopic Immunoassay PlenumPress,NYを参照のこと。特に、サンプル中での単球の
過剰または欠損のいずれかを検出する試薬は、生物学的サンプル中の単球集団の診断に有用であり得る。このアッセイは、生検の組織学的分析、または血液もしくは組織サンプル中の単球の数の評価に関し得る。
【0143】
抗イディオタイプ抗体は、単球のタンパク質に対する抗体の存在を診断するための類似の使用を有し得、それ自体が、種々の異常状態の診断であり得る。例えば、単球のタンパク質の過剰産生は、異常な生理状態、特に増殖性の細胞状態(例えば、癌または異常分化)の診断であり得る、種々の免疫反応を生じ得る。
【0144】
しばしば、診断アッセイのための試薬は、アッセイの感度を最適化するためにキット中に供給される。本発明について、標識されたかもしくは標識されていない抗体もしくはレセプター、または標識された単球のタンパク質のいずれかがアッセイプロトコル、および標識の性質に依存して提供される。通常、これは他の添加物(例えば、緩衝液、安定剤、シグナル生成に必要な物質(例えば、酵素にに対する基質)など)と関連する。好ましくは、このキットはまた、適切な使用および使用後の内容物の処分のための説明書を含む。代表的に、このキットは有用な各試薬についての区画を有する。望ましくは、試薬は、アッセイを行うための試薬の適切な濃度を提供する水溶液中でこの試薬が再構成され得る、凍結乾燥粉末として提供される。
【0145】
薬物スクリーニングおよび診断アッセイでの上述される多くの成分は、改変されずに使用され得るか、または種々の方法で改変され得る。例えば、標識は、直接的もしくは間接的に検出シグナルを提供する部分を共有結合もしくは非共有結合することによって達成され得る。これらのアッセイの多くでは、タンパク質、試験化合物、単球のタンパク質、またはこれらに対する抗体は、直接的もしくは間接的のいずれかで標識化され得る。直接標識についての可能性は、標識基:放射性標識(例えば、125I)、酵素(米国特許第3,645,090号、例えばペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼ)、ならびに蛍光強度、
波長シフト、または蛍光偏光の変化をモニターし得る蛍光標識(米国特許第3,940,475号)を含む。間接標識化についての可能性は、一つの成分のビオチン化に続いて上述した標識基の一つを結合したアビジンへの結合を含む。
【0146】
遊離のタンパク質からの結合したタンパク質の分離法、または代わりに遊離の試験化合物から結合した化合物を分離方法もまた多数存在する。単球のタンパク質は、種々のマトリックスに固定され、続いて洗浄され得る。適切なマトリックスは、プラスチック(例えば、ELISAのプレート、フィルター、およびビーズ)を含む。マトリックスへの単球タンパク質の固定方法は、制限なしで、プラスチックへの直接的な接着、捕獲抗体の使用、化学結合、およびビオチン−アビジンを含む。このアプローチの最終工程は、これら(例えば、ポリエチレングリコールのような有機溶媒、または硫酸アンモニウムのような塩)の利用を含む、いくつかの方法のひとつによるタンパク質/抗体複合体の沈降を含む。他の適切な分離技術は、制限なしで、Rattleら、(1984)Clin.Chem.30:1457-1461に記載される蛍光抗体磁化可能粒子法、および米国特許第4,659,678号に記載の二重抗体磁化粒子分離法を含む。
【0147】
種々の標識への、タンパク質もしくはそれらのフラグメントの連結の方法は、文献中で広範に報告されており、そして、ここでは詳細な議論を必要としない。これらの技術の多くは、ペプチド結合を形成するためのカルボジイミドもしくは活性化エステルの使用、クロロアセチルのような活性化ハロゲンとメルカプト基との反応によるチオエステルの形成、または結合によるマレイミドのような活性化オレフィンなどのいずれかを介しての、活性化されたカルボキシル基の使用を含む。融合タンパク質もまた、これらの適用での用途が見出される。
【0148】
本発明の他の診断的局面は、単球のタンパク質それぞれの配列から得られたオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド配列の使用を含む。これらの配列は、異常状態(例えば、癌もしくは免疫異常)を有する疑いのある患者からのサンプル中のメッセージのレベルを決定するためのプローブとして使用され得る。RNAおよびDNA両方のヌクレオチド配列の調製物、配列の標識、および好ましいサイズの配列は、文献中で十分な記述および議論がなされている。通常、オリゴヌクレオチドプローブは、少なくともおよそ14ヌクレオチドの長さであるべきであり、通常は少なくともおよそ18ヌクレオチド、そしてポリヌクレオチドプローブは数キロベースに達し得る。種々の標識が使用され得、最も一般的な放射性核種はとりわけ32Pである。しかし、他の技術(例えば、ポリヌクレオチドへの導入についてのビオチン改変ヌクレオチドを使用する技術)もまた使用され得る。次いで、ビオチンは、アビジンもしくは抗体に結合するための部位として役立ち、これは広範な種々の標識(例えば、放射性核種、蛍光用、酵素など)で標識され得る。あるいは、特異的な二重鎖(DNA二重鎖、RNA二重鎖、DNA-RNA混成二重鎖、またはDNA-タンパク質二重鎖を含む)を認識し得る抗体が使用され得る。次いで抗体は、標識化され、そして二重鎖が表面に結合するアッセイが実施され、その結果、表面での二重鎖の形成の際に、二重鎖に結合した抗体の存在が検出され得る。新規のアンチセンスRNAに対するプローブの使用は、任意の従来技術(例えば、核酸ハイブリダイゼーション、プラスおよびマイナススクリーニング、組換えプローブ化、ハイブリッド遊離(hybrid-released)翻訳法(HRT)、およびハイブリッド阻害翻訳法(HART))で実施され得る。これはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術も含む。
【0149】
他のマーカーの定性的または定量的な存在について試験する診断キットもまた意図される。診断または予後はマーカーとして使用される多様な指標の組合せに依存し得る。従って、キットはマーカーの組合せについて試験し得る。例えば、Vialletら、(1989)Progressin Growth Factor Res.1:89-97を参照のこと。
【0150】
XI.結合パートナーの単離
特異的な相互作用の結合パートナーの一つのメンバーが単離されると、対のパートナーを単離する方法が存在する。Gearingら、(1989)EMBOJ.8:3667-3676を参照のこと。例えば、そのレセプターへの結合の干渉なしで単球の表面タンパク質を標識するための手段が検出され得る。例えば、親和性標識はリガンドのアミノ末端もしくはカルボキシル末端のいずれかと融合され得る。発現ライブラリーは単球のタンパク質への特異的な結合について、例えば、細胞ソーティングもしくはこのような結合成分を発現する亜集団を検出するための他のスクリーニングによって、スクリーニングされ得る。例えば、Hoら、(1993)Proc.Nat'lAcad.Sci.USA 90:11267-11271を参照のこと。あるいは、パニング法が使用され得る。例えば、SeedおよびAruffoら、(1987)Proc.Nat'lAcad.Sci.USA84:3365-3369を参照のこと。ツーハイブリッド選択システムもまた、利用可能な単球のタンパク質の配列の、適切な構築物の作製に適用され得る。例えば、FieldsおよびSong(1989)Nature340:245-246を参照のこと。
【0151】
標識を有するタンパク質交叉結合技術が、単球のタンパク質の結合パートナーを単離することに適用され得る。これは、適切な単球のタンパク質と特異的に相互作用するタンパク質の同定を可能にする。
【0152】
本発明の広範な記述範囲は以下の実施例の参照で良く理解され、これは特別な実施態様の本発明を制限することを意図しない。
【実施例】
【0153】
I. 一般的な方法
標準的な方法の多くが、以下に記載または参照される。例えば、Maniatisら、(1982)Molecular Cloning,A LaboratoryManual Cold SplingHarbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press,NY;Sambrookら、(1989)MolecularCloning:ALaboratory Manual(第二版)第1〜3巻,CSH Press,NY;Ausubelら、Biology GreenePublishingAssociates,Brooklyn,NY;またはAusubelら(1987および補遺)Current Protocols inMolecularBiology Wiley/Greene,NY;Innisら、(編)(1990)PCR Protocols:A Guide toMethods andApplications Academic Pres,NY。
【0154】
タンパク質精製についての方法は、硫酸アンモニウム沈澱、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法を含む。例えば、Ausubelら、(1987お
よび定期的な補遺);Deutscher(1990)“Guide to ProteinPurification,”Methods in Enzymology 第182巻,およびこのシリーズの他の巻;Coligenら、(1996および定期的な補遺)CurrentProtocolsin Protein Science Wiley/Greene,NY;ならびにタンパク質精製産物の使用についての製造者の説明書、例えば、Pharmacia,Piscataway,NJ,もしくはBio-Rad,Richmond,CA。組換え技術との組合せは,適切なセグメント(例えば、FLAG配列もしくはプロテアーゼ除去配列を介して融合され得る等価物)への融合を可能にする。例えば、Hochuliら、(1989)ChemischeIndustrie12:69-70;Hochuli(1990)“Purification of Recombinant Proteins withMetal ChelateAbsorbent”Setrow(編)、
GeneticEngineering, Principle and Methods 12:87-98,Plenum Press,NY;およびCroweら(1992)QIAexpress:TheHighLevel Expression & Protein Purification SystemQUIAGEN,Inc.,Chatsworth,CAを参照のこと。
【0155】
標準的な免疫学的技術が、例えば、Hertzenbergら(編、1996)Weir's Handbook of Experimental Immunology第1〜4巻、BlackwellScience ; Coligan(1991)Current Protocols in ImmunologyWiley/Greene, NY; ならびにMethodsin Enzymology 第70、73、74、84
、92、93、108、116、121、132、150、162、および163巻に記載される。例えば、Paul(編)(1993)FundamentalImmunology(第3版)RavenPress, N.Y.もまた参照のこと。
【0156】
FACS分析は、Melamedら(1990)FlowCytometry and Sorting Wiley-Liss, Inc., New York,NY; Shapiro(1988)PracticalFlow Cytometry Liss, New York, NY; およびRobinsonら(1993)Handbookof Flow CytometryMethods Wiley-Liss, New York, NY に記載される。
【0157】
II.ヒト単球の単離
健常なドナーを、白血球搬出法に供した。パーコール勾配を用いて、単核球細胞を単離し、次いで、これを遠心分離に供した。Figdorら(1982)Blood60:46〜53;およびPlasら(1998)Expt'l Hematol. 16:355〜359を参照のこと。この高度に富化した単球細胞の画分を、Romaniら(1994)J.Exp.Med. 180:83〜93;およびSallustoら(1994)J. Exp. Med. 179:1109〜1118に記載のように、GM-CSF(800U/ml)およびIL-4(500U/ml)の存在下で、5〜7日
間培養した。
【0158】
樹状細胞を作製するために、ヒトCD34+細胞を、下記のように得た。例えば、Cauxら(1995) BanchereauおよびSchmittDendriticCells in Fundamental and Clinical Immunology(Plenum Press, NY)の1〜5頁を参照のこと。末梢血細胞および臍帯血細胞(時折、CD34+を選択した)を、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清(FBS;FlowLaboratories,Irvine, CA)、10mM HEPES、2mM L-グルタミン、5×10-5M 2-メルカプトエタノール、ペニシリン(100mg/ml)を補充したエンドトキシンを含まないRPMI1640培地(GIBCO,Grand Island, NY)中で、幹細胞因子(SCF)、GM-CSF、およびTNF-aの存在下で培養した。これを、完全
培地という。
【0159】
CD34+細胞を、25cm2から75cm2フラスコ(Corning,NY)に拡張するために、2×104細胞/mlで播種した。至適条件を、新鮮なGM-CSFおよびTNF-aを含む培地に関して、これらの培養物を5日および10日目に分割することにより、維持した(細胞濃度:1〜3×105細胞/ml)。特定の場合において、細胞を、約6日目にCD1a発現についてFACS選別した。
【0160】
特定の状況下では、細胞を培養の12日後に日常的に回収し、最終的に、接着細胞を5mMEDTA溶液を用いて回収した。別の状況において、CD1a+細胞を、完全培地中に5×106細胞/mlで再懸濁することにより活性化し、そして適切な時間(例えば、1または6時間)、1mg/mlホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA,Sigma)および100ng/mlイオノマイシン(Calbiochem, La Jolla, CA)で活性化した。これらの細胞を、さらに6日間で拡大し、そしてRNAを、cDNAライブラリー調製のために単離した。
【0161】
III.RNA単離およびライブラリー構築
総RNAを、例えば、Chirgwinら(1978)、Biochem.18:5294〜5299に記載されるように、グアニジンチオシアネート/CsCl勾配手順を用いて単離する。
【0162】
あるいは、ポリ(A)+RNAをOLIGOTEXmRNA単離キット(QIAGEN)を用いて単離する。二本鎖cDNAを、cDNA合成およびプラスミドクローニングのために、例えば、SUPERSCRIPTプラスミド系(GibcoBRL,Gaithersburg, MD)を用いて作製する。得られる二本鎖cDNAを、例えば、pSport1中に一方向でクローニングし、そしてELECTROMAXDH10BTM細胞(GibcoBRL,Gaithersburg,MD)中へエレクトロポレーションによりトランスフェクトする。
【0163】
IV.配列決定
ランダムに選択したクローンから単離された(または活性化されていない細胞を用いての差し引きハイブリダイゼーション後の)DNAを、標準的な技術を用いてヌクレオチド配列分析に供した。TaqDiDeoxy Terminatorサイクルシークエンシングキット(AppliedBiosystems, Foster City, CA)を用い得る。標識DNAフラグメントを、適切に自動化された配列決定機のDNAシークエンシングゲルを用いて分離する。あるいは、単離したクローンを、例えば、Maniatisら(1982)MolecularCloning,A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring HarborPress;Sambrookら(1989)Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版)、第1〜3巻, CSHPress, NY;Ausubelら、Biology, Greene Publishing Associates, Brooklyn, NY;またはAusubelら(1987および増補)CurrentProtocolsin Molecular Biology, Greene/Wiley, New Yorkに記載のように配列決定する。化学的配列決定法もまた、MaxamおよびGilbert配列決定技術を用いて、利用可能である。
【0164】
V.ヒト単球タンパク質遺伝子の単離
FDF03、YE01、およびKTE03(YYB01およびYYB04)クローンを配列決定し、そしてオープンリーディングフレームについて分析した。クローンをさらに分析し、核酸配列を充分、またはほぼ充分なオープンリーディングフレームに拡張(extend)した。
【0165】
mRNAを、FastTrackキット(Invitrogen)により適切な細胞集団から調製し、このmRNAから、例えば、GIBCO-BRL(Gaithersburg,MD)から入手した、cDNA合成のためのSuperScriptPlasmid Systemを用いて、本質的に製造者による記載のようにcDNAを産生する。この手順に対する改変は、キットとともに提供されるSal1アダプターを他のクローニングアダプターに置換することを含む。これらの細胞から得られたcDNAを用いて、ライブラリーを、例えば、プラスミドPCDNAII(Invitrogen)中に作製する。このcDNAをポリリンカーにクロー
ニングし、そしてこれを用いて、E.coliの適切な株、例えば、DH10Bを形質転換する。プラスミドを例えば、Qiagenシステム(Chatsworth,CA)を用いて単離および精製し、これを用いて、例えば、SP6プロモーター由来のRNAプローブを作製する。
【0166】
RNAプローブを、例えば、製造者により記載されるようにGeniusSystem(Boehringer- Mannheim)を用いて標識する。cDNAライブラリーのフィルターリフト(Filterlifts)を、例えば、42℃で3〜6時間、チャーチ緩衝液(50%ホルムアミド、6×SSPE、50mMNaHPO4(pH7.2)、7%SDS、0.1%N-ラウリルサルコシン、2% Boehringer-Mannheimブロッキング試薬)中で、プレハイブリダイズし得る。フィルターを、例えば、適切なプローブを含む同じ緩衝液中で一晩プローブする。フィルターを、例えば、GeniusSystemに記載のように洗浄する。ハイブリダイズするコロニーを選択する。
【0167】
ヒト単球タンパク質のcDNA全体を、例えば、T7ポリメラーゼ(U.S. Biochemicals, Cleveland, OH)で、二本鎖DNAをテンプレートとして用いて、ジデオキシヌクレオチドチェーンターミネーション法により配列決定する。データベース検索および配列解析を、IntelliGeneticsプログラム(MountainView,CA)を用いて実施し、以前報告されたクローンとの間に相同性が存在するか否かを決定する。
【0168】
配列番号1〜4は、ヒトFDF03遺伝子に関する配列およびマウスの対応配列を開示する。同様に、配列番号5〜10は、ヒトYE01遺伝子産物(可溶性産物をコードするスプライス改変体および転写物を含む)に関連する配列を記載する。配列番号11〜22は、KTE03遺伝子産物の実施態様の配列を提供し、そしてスプライス改変体の証拠を示す。
【0169】
VI.組換え単球遺伝子構築物
ポリ(A)RNAを、例えば、FastTrackmRNAキット(Invitrogen, San Diego, CA)を用いて、適切な細胞集団から単離する。サンプルを、例えば、ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲル中で電気泳動し、そしてGeneScreen膜(NENResearchProducts, Boston, MA)に移す。ハイブリダイゼーションを、例えば、65℃で、107cpm/mlの32P-dCTP標識した単球遺伝子cDNAを含む、0.5MNaHPO4(pH7.2)、7% SDS、1mM EDTA、および1% BSA(画分V)中で実施する。ハイブリダイゼーション後、フィルターを、0.2×SSC、0.1%SDS中、50℃で3回洗浄し、そしてフィルムに24時間曝露した。
【0170】
組換え遺伝子構築物を用いて、メッセージを検出するためのプローブを作製し得る。挿入物を切り出し得、そして上記の検出方法において使用し得る。
【0171】
VII.E.coliにおける単球遺伝子タンパク質の発現
PCRを用いて、好ましくは、適切なプロモーター、選択、および調節配列と作動可能に結合したオープンリーディングフレームを含む構築物を作製する。得られる発現プラスミドを、適切なE.coli株、例えばTopp5(Stratagene,LaJolla, CA)に形質転換する。アンピシリン耐性(50μg/ml)形質転換体を、Luriaブロス(Gibco)中37℃で、550nmでの光学密度が0.7になるまで、増殖させる。組換えタンパク質を、0.4mMイソプロピル-bD-チオガラクト-ピラノシド(Sigma,St.Louis, MO)で誘導し、そして細胞のインキュベーションを20℃でさらに18時間継続する。1リットルの培養物からの細胞を、遠心分離により回収し、そして例えば、氷冷30%スクロース、50mMTris-HCl(pH8.0)、1mMエチレンジアミン四酢酸の200ml中に再懸濁する。10分間氷冷した後、氷冷水を2リットルの総量まで添加する。20分氷冷した後、細胞を遠心分離によって除去し、そして上清を5μMMillipak60(Millipore Corp., Bedford, MA)を介して濾過することにより明澄化する。
【0172】
組換えタンパク質を、標準的な精製法(例えば、種々のイオン交換クロマトグラフィー法)を介して精製する。以下に記載の抗体を用いるイムノアフィニティー法もまた、用いられ得る。エピトープタグを発現構築物中に操作する、アフィニティー法を使用し得る。
【0173】
VIII.ヒト単球遺伝子のマッピング
DNA単離、制限酵素消化、アガロースゲル電気泳動、サザンブロット移動(transfer)、およびハイブリダイゼーションを、標準的な技術に従って実施する。Jenkinsら(1982)J.Virol.43:26〜36を参照のこと。ブロットを、Hybond-Nナイロンメンブレン(Amersham)を用いて調製し得る。プローブを32P-dCTPで標識し;洗浄を例えば、0.1×SSC、0.1%SDS、65℃の最終的なストリンジェンシーにして行う。
【0174】
あるいは、BIOSLaboratories(New Haven, CT)マウス体細胞ハイブリッドパネルをPCR法と組み合わせ得る。
【0175】
IX.個体差の分析
分布データから、多量の容易に入手できる細胞型を選出し、個体由来のサンプルとした。PCR技術を用いて、多数の個体集団をこの遺伝子について分析した。cDNAまたは他のPCR法を用い、種々の個体について対応する遺伝子を配列決定し、それらの配列を比較した。これにより、種または他の集団の間での差の程度が示され、そしてどの残基が機能に劇的な影響を与えることなく改変可能であるかを決定できる。
【0176】
X.抗体の調製
組換え単球タンパク質を、上述のようにE.coliでの発現により作製し、生物学的活性について試験する。ポリクロナール血清産物またはモノクロナール血清産物のいずれかについて適当なホ乳類を免疫化する際、活性または変性タンパク質を用いてもよい。天然の抗体または変性抗原に対する抗体を、ウエスタンブロットでの使用のために、および生物学的活性を改変する抗体について、選別する。
【0177】
XI.霊長類の同等単球遺伝子の単離
これらの遺伝子をコードするヒトcDNAクローンを、プローブとして、または種々の霊長類(例えば、チンパンジー)における同等遺伝子を探すためのPCRプローブを設計するために使用する。
【0178】
XII.細胞集団を分析するための試薬の使用
試料中に存在する単球細胞のレベルの検出は、特定の突然変異性疾患症状の診断に重要である。例えば、組織またはリンパ系での単球数の増加は、単球過形成、組織または移植片拒絶、あるいは炎症の存在の指標であり得る。低減した単球集団は、単球の応答を正常化するために適当な治療を必要とする異常な反応(例えば、細菌またはウイルス感染に対する異常反応)を示唆し得る。
【0179】
細胞表面単球タンパク質に特異的な標識結合剤を用いるFACS分析(例えば、Melamedら(1990) Flow Cytometry and SortingWiley-Liss,Inc., New York, NY; Shapiro (1988) Practical Flow Cytometry Liss,New York, NY;およびRobinsonら(1993)Handbook of Flow Cytometry Methiods Wiley-Liss,Inc., New York, NYを参照のこと)を、例えば、PBMC、粘着細胞などの細胞混合物中に存在する単球の数の測定に使用する。結合剤もまた、単球の浸潤を分析するために、新鮮な試料または固定した組織試料の組織学的分析に使用する。また、別々の細胞集団を、細胞破壊アッセイまたは細胞が生存性を保持した特定のアッセイのいずれかにおいて評価し得る。
【0180】
可溶性細胞内分子の存在の分析を、例えば、Openshawら(1995)J. Exp. Med. 182 :1357-1367に記載されるような、単球に特異的な蛍光結合剤により行い、あるいは、組織または細胞の固定法を使用し得る。
【0181】
単球転写物の濃度を、例えば、Murphyら(1993) J. Immunol. Methods 162 :211〜223に記載されるような半定量的PCRを用いて定量する。プライマーを、ゲノムDNAが検出されないように設計する。
【0182】
FDF03の実施形態の分布を、ハイブリダイゼーションおよびPCR分析を用いて研究した。ノーザンブロット分析は、転写物を、樹状細胞およびJY細胞系に位置づけた。ここで、約700bpおよび1300bpの2つの転写物(これらは別々に調節される)、および休止単球またはLPSおよびIFNg活性化単球において約4000に1の評価された頻度が明らかになる。短い方のメッセージは、タンパク質の可溶性バージョンをコードしないようである(例えば、TMおよび細胞内セグメントを欠除する)。サザンブロット分析により、単球、樹状細胞、PBMC、B細胞、および脾臓B細胞において転写物を検出した。このメッセージは、単球の活性化において、ダウンレギュレートされるようである。
【0183】
YE01の実施形態の分布の評価もまた行った。メッセージは、単球特異的であるようであり、低量メッセージである。これは、休止単球および活性化単球でのcDNAサザンブロットにより検出可能である。最も高い発現は、6時間のLPS活性化単球にて観察された。これは、抗CD3およびPMA活性化PBMCでも検出される。これは、樹状細胞においても検出可能であり得るが、それは、残った単球との樹状細胞集団の混入によるものであり得る。この感受性レベルでは、NK細胞、B細胞またはT細胞、あるいは試験されたいずれの胎児細胞においても検出不可能である。しかしながら、YE01遺伝子産物は、モノクナール抗体DX26により特異的に認識される。この抗体は、架橋されると、特定の標的に対するNK細胞仲介性殺傷を阻害し得る。この抗体は、T細胞、B細胞、NK細胞、および単球内で発現するタンパク質を認識する。DX26により、認識されるYE01(これは、明らかにYE01単離物の多型性変異株である)をコードする遺伝子がクローニングされ、そして本質的にその配列を有する:
KTE03発現レベルもまた測定した。メッセージは、単球がLPSおよびIFNgにより活性化される場合、IL-10暴露の際にアップレギュレートされるようであった。
【0184】
XIII.結合対応物の単離
単球タンパク質を、その結合特異性を利用することにより、使用される抗体とほとんど同じように、特異的な結合試薬として使用し得る。結合試薬は、上記(例えば、蛍光または他のもの)のように標識されるか、またはパニング法に対する基質に固定化されるかのいずれかである。
【0185】
単球タンパク質を、結合性を示す細胞株のスクリーニングに使用する。標準的な染色技術を使用して、細胞内もしくは表面発現リガンドを検出、または分別するか、あるいは表面発現形質転換細胞をパニングによりスクリーニングする。細胞内発現のスクリーニングを、種々の染色または免疫蛍光手順により行う。MacMahanら(1991) EMBO J. 10 :2821-2832もまた参照のこと。
【0186】
例えば、0日目に、2チャンバー型permanoxスライドを、チャンバー当たりフィブロネクチン10ng/mlのPBS溶液1mlで30分間室温で予めコートする。PBSで1回洗浄する。次に、チャンバー当たり1.5mlの増殖培地に2〜3×105のCOS細胞を注入する。一晩37℃でインキュベートする。
【0187】
1日目、各試料について、66mg/mlDEAE-デキストラン、66mMのクロロキンおよび4mgDNAの無血清DME溶液0.5mlを調製する。各セットについて、例えば、1および1/200希釈のヒトレセプターFLAGcDNAのポジティブコントロール、およびネガティブmockを調製する。細胞を無血清DMEでリンスする。DNA溶液を加え、そして5時間37℃でインキュベートする。培地を除去し、0.5mlのDMSO10%含有DME溶液を2.5分間加える。除去し、そしてDMEで1回洗浄する。1.5mlの増殖培地を加え、一晩インキュベートする。
【0188】
2日目、培地を交換する。3日目および4日目、細胞を固定化し、染色する。細胞をハンクス緩衝化生理食塩水溶液(HBSS)で2回リンスし、4%パラホルムアルデヒド(PFA)/グルコースで5分間固定化する。HBSSで3回洗浄する。スライドを、液体をすべて除いた後、-80℃で保存し得る。各チャンバーについて、0.5mlのインキュベーションを以下のように行う。32ml/mlの1MNaN3を含むHBSS/サポニン(0.1%)を20分間加える。次に、細胞をHBSS/サポニンで1回洗浄する。タンパク質またはタンパク質/抗体複合体を細胞に加え、30分間インキュベートする。細胞をHBSS/サポニンで2回洗浄する。適切であれば、1次抗体を30分間加える。2次抗体(例えば、Vector抗マウス抗体)を1/200の希釈度で加え、30分間インキュベートする。ELISA溶液(例えば、VectorEliteABC西洋ワサビペルオキシダーゼ溶液)を調製し、そして30分間前インキュベートする。例えば、 HBSS/サポニン2.5ml当たり、1滴の溶液A(アビジン)および1滴の溶液B(ビオチン)を使用する。細胞をHBSS/サポニンで2回洗浄する。ABCHRP溶液を加え、そして30分間インキュベートする。細胞をHBSSで2回洗浄し、2回目の洗浄は2分間であり、これにより細胞を封じる。次に、Vectorジアミノ安息香酸(DAB)を5〜10分間加える。5mlのガラス蒸留水当たり、2滴の緩衝液および4滴のDABおよび2滴のH2O2を使用する。注意深くチャンバーを外し、スライドを水中で洗浄する。数分間、風乾させた後、1滴のCrystalMountを加え、カバーガラスを載せる。5分間85〜90℃で焼きつける。
【0189】
あるいは、他の単球タンパク質特異的結合試薬が、レセプターを発現する細胞のアフィニティー精製または分別に使用される。例えば、SambrookらまたはAusubelらを参照のこと。
【0190】
他のストラテジーは、パニングによって、膜結合レセプターをスクリーニングすることである。レセプターcDNAを、上述のように構築する。リガンドを固定化し得、および発現細胞を固定化するために使用し得る。固定化は、例えば、単球タンパク質融合構築物のFLAG配列を認識する適切な抗体の使用によって、または1次抗体に対して惹起された抗体の使用によって達成され得る。選別と増幅を繰り返すことにより、適切なクローン濃度が高くなり、結果的にリガンド発現クローンの単離につながる。
【0191】
ファージ発現ライブラリーは、単球タンパク質によりスクリーニングされ得る。適切な標識技術(例えば、抗FLAG抗体)により、適切なクローンの特異的な標識が可能となる。
【0192】
XIV.可溶性YE01の単離
DNAX白血球関連免疫グロブリン様レセプター(DLAIR;ここではDLAIR-1と称される)とも称される、上述のYE01のさらなるファミリーメンバーを、ヒトT細胞腫瘍株cDNAライブラリー(TcT)のスクリーニングによりクローニングした。細菌のコロニーリフト(lift)膜を、細胞外ドメインのIgループに存在するBglII-SphI消化フラグメントを含むDLAIR-1プローブでハイブリダイズした。2つのポジティブクローンを単離し、そして配列決定した。配列決定分析により、両クローンは、414塩基対の同一のオープンリーディングフレーム(これは、推定21アミノ酸リーダー配列を有する135のアミノ酸からなるタンパク質をコードし、そして推定分子量14.7Daを有する)を含むことが明らかになった。ここで、この分子をDLAIR-2といい、これは、1つのIgループを含有する。このIgループは、DLAIR-1と84%の相同性を有し、このことは、これが同じファミリーに属するが、別の遺伝子によってコードされることを示す。DLAIR-2は、膜貫通領域を欠除し、分泌されたタンパク質であることを示す。
【0193】
DLAIR−2は、DLAIR−1に対する類似性を有する可溶性分子であり、この阻害性レセプターに対するアンタゴニストとして使用され得る。
【0194】
XV.DX26モノクロナール抗体の調製
マウスをヒトNK細胞クローンで免疫し、FcR含有標的のNK細胞媒介性溶解の阻害能について抗体をスクリーニングした。あるいは、抗体を、精製タンパク質に対して惹起させる。
【0195】
XVI.mAbを有する架橋DLAIR−1はNK細胞媒介性殺傷を阻害する
DX26 mAbは、HLAネガティブEBA形質転換B細胞株721.221のNKクローンの殺傷を阻害しなかった。しかしながら、721.221をヒトFcgR−I(CD32)でトランスフェクトし、そしてこれを標的として用いる場合、NK細胞媒介性細胞溶解はDX26 mAbにより阻害された。このことは、DX26 mAbにより認識される分子(DNAX白血球関連免疫グロブリン様レセプター(DLAIR)と称する)を介するシグナル伝達か、NK細胞クローンに、特定の標的細胞の致死を阻害する負のシグナルを伝達することを示している。これと一致して、Colo−205、PA−1またはFO−1(各々はFcRネガティブヒト細胞株である)に対するNK細胞媒介性細胞障害性は、DX26 mAbの添加により阻害されなかった。さらに、P815(FcR発現マウスマスト細胞腫細胞株、これはCD2、CD16、CD69またはDNAM−1抗原と同時に架橋すると、ヒトNK細胞クローンによりインビトロで殺傷される)の細胞溶解も、DX26 mAbにより阻害された。これらの結果から、NK細胞の細胞障害性の強力なインデューサーにより与えられる正のシグナルは、DX26 mAbにより抑制されたため、DLAIRが強い阻害シグナルをNK細胞に伝達すると結論づけられる。
【0196】
XVII.DLAIR−1は休止NK細胞上の阻害性レセプターである
NK細胞クローンは、活性化NK細胞のクローン的に誘導した集団からなる。これらの細胞は、DLAIRシグナル伝達により強力に阻害される。本発明者らは、DLAIRが、未だ活性化されていないNK細胞上の阻害性レセプターとしても機能しているか否かの研究を開始した。末梢血から磁気ビーズを用いてネガティブ欠乏により調製した休止NK細胞は、CD16により同時活性化されると、P815標的細胞を溶解し得た。このNK細胞媒介性細胞障害性は、DX26 mAbの添加により阻害された。したがって、DLAIRは活性化および休止の両NK細胞における阻害性レセプターとして機能的である。
【0197】
XVIII.DLAIRは広範囲で発現する抗原である
ヒト末梢血リンパ球の表現型の分析より、DLAIRは広範囲に分布する分子であることが示された。健常なドナーのPBMCでは、CD3CD4T細胞(70〜80%)、CD3CD8T細胞(80〜90%)、CD3CD56NK細胞(95〜100%)、CD3CD19B細胞(80〜90%)およびCD3CD14単球(99〜100%)は、すべてDLAIR分子を発現した。ヒト胎児胸腺細胞では、未成熟CD4CD8細胞と、成熟CD4CD8またはCD4CD8単ポジティブ細胞ともまたDLAIRを発現した。末梢血の顆粒細胞、血小板および赤血球はDLAIRを発現しなかった。
【0198】
ヒトNK細胞クローンおよびT細胞クローンは、長期培養を行ったNKクローン、NKLおよびNK92を除き、すべてDLAIRを発現した(表2参照)。EBV形質転換B細胞株、B細胞腫瘍Daudi、ならびにNK腫瘍細胞株YTおよび数種の非造血細胞株はDLAIRを発現しなかったが、ヒトT細胞株はDLAIR発現を示した。
【0199】
表2:ヒト腫瘍細胞株でのDLAIRの発現
【0200】
【表2】

【0201】
細胞は、コントロールIgG1またはDX26 mAbおよびPE結合ヤギ抗マウスIgGにより第二工程として染色を行った。細胞は、FACScanにより分析した。
【0202】
XIX.DX26抗原の発現クローニング
DX26抗体を、抗体が認識する抗原の発現クローニングに使用した。発現クローニングは標準的な方法を用いて行った。例えば、SambrookらまたはColiganらを、参照されたい。
【0203】
DX26抗原を、例えば、pJFE14発現ベクターにおいてポリクロナールヒト活性化NK細胞cDNAライブラリーから発現クローニングする。COS7細胞をこのライブラリーでトランスフェクトし、抗原陽性細胞を、フィコエリトリン標識抗DX26 mAbを用いて選択した。cDNA配列を決定し、YE01配列の大部分と一致することが見出された。DX26抗体は、YE01遺伝子産物の産物に特異的に結合する。
【0204】
別の方法では、オリゴヌクレオチドをライブラリーのスクリーニングに使用する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術と合わせて適当な向きの合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして使用し、ライブラリーから正しいクローンを選択する。
【0205】
さらに、YE01遺伝子産物は、モノクロナール抗体DX26により特異的に認識される。この抗体は、架橋されると、特定の標的のNK細胞媒介性殺傷を阻害し得る。この抗体は、T細胞、B細胞、NK細胞および単球で発現されるタンパク質を認識する。見かけ上、YE01単離物の多型性改変体であるDX26により認識される抗原をコードする遺伝子をクローニングし、そしてこれは、本質的にその配列を有する(配列番号7参照)。この単離物は、元のYE01転写産物と異なる3’非翻訳配列を有し、これは、代替のポリアデニル化部位の使用に起因する。可溶型のDLAIRも検出された(配列番号9参照)。
【0206】
DX26単離物の分布をノーザンブロッティングで分析した結果は以下の通りである。ヒトNK細胞クローンのmRNAを、DLAIR cDNA、PBMC、ヒトT細胞株Jurkatおよびヒト骨髄細胞株Jurkatを用いてプローブした結果、約1800bpと3000〜4000bpの2つのバンドが得られた。これは、クローニングされたcDNAに加え、DLAIRと類似した配列を有する別の転写産物がこれらの細胞株に存在することを示す。この転写産物が同じオープンリーディングフレームを有するか否かは今のところ不明であるが、この転写産物をクローニングし、配列分析を行うことで決定される。EBV形質転換ヒトB細胞株JYでは、DLAIR cDNAを用いてプローブした場合の転写産物を示さなかった。
【0207】
XX.DLAIR−1はSHP−1およびSHP−2に結合する
DLAIR−1の細胞質ドメイン内に、ITIMに対する2種のコンセンサンス配列が存在したことは、NK細胞での阻害的シグナルの生成がSHP−1および/またはSHP−2の補充により発現されることを示唆した。DLAIR−1がプロテインチロシンホスファターゼを結合し得るか否かを決定するために、NK細胞クローンをペルバナデート(チロシンホスホリル化を誘導するプロテインチロシンホスファターゼのインヒビター(O`Sheaら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10306〜10310)で刺激し、溶解し、そしてD
X26 MAbで免疫沈降を行った。次いで、免疫沈降物を、SHP−1およびSHP−2に特異的な抗体を用いたウエスタンブロットにより分析した。SHP−1およびSHP−2は、ともにチロシンホスホリル化DLAIR−1と会合していた。これらの結果は、SHP−1およびSHP−2の補充が、DLAIR−1分子の結合を介して伝達される負のシグナルを媒介することに関与し得ることを示唆する。
【0208】
本明細書中に引用した全ての参考文献は、それぞれ個々の物あるいは特許出願が、開示によりあらゆる目的のためにその全内容が参考として本明細書中に援用されていると具体的にかつ個々に示されているのと同範囲に、本明細書中に参考として本明細書中に援用される。
【0209】
当業者にとって明らかであるように、その精神および範囲を逸脱せずに、本発明の多くの変更および変形がなされ得る。本明細書中に記載した特定の実施態様は単なる例示であり、本発明は、添付の請求の範囲および請求の範囲と均等の全範囲によってのみに限定されるべきである。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の方法。

【公開番号】特開2009−115(P2009−115A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169671(P2008−169671)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【分割の表示】特願2007−290225(P2007−290225)の分割
【原出願日】平成9年12月5日(1997.12.5)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】