説明

印刷システム、そのプログラムおよびプリンタ

【課題】プリンタの記憶領域を圧迫させることなく、記憶メディアの内部データを記憶メディア外へ退避させることによって情報漏洩の危険性を低減する。
【解決手段】印刷システム1に、プリンタ2と、サーバ3と、プリンタ2とサーバ3を通信可能に接続する第1通信線11とを備える。そして、プリンタ2に記憶メディア100が装着されると、プリンタ2は記憶メディア100内のデータを取得し、取得したデータを第1通信線11を介してサーバ3へ送信する。サーバ3は送信されてきたデータをサーバ内記憶部41に記憶する。プリンタ2は、記憶メディア100から取得したデータに対応する当該記憶メディア100内のデータを消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な記憶メディアからデータを取得して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などの印刷機能を有する機器を備えた印刷システムおよびそのプログラムならびにプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、USBメモリ等の記憶メディアを補助記憶装置として接続可能なプリンタ(これにはプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機などの印刷機能を有する機器を含む)が知られている。このようなプリンタは、装着された記憶メディアに格納されているデータを取得し、このデータに基づいて紙などの記録媒体に画像等を形成することができる。ところが、このようなプリンタは、印刷するデータを記憶メディアにより持ち運びできる点で利便性があるが、印刷後に記憶メディアをプリンタから抜き忘れることがある。そして、プリンタから抜き忘れられた記憶メディアが第三者に持ち去られると、記憶メディア内のデータが流出するおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1では、画像形成装置(プリンタ)に装着されたままで放置された記録媒体からのデータ流出を防ぐための技術が提案されている。具体的には、特許文献1に記載された画像形成装置は、画像を用紙上に印刷する印刷部と、記憶メディアが取り外し可能に装着される装着部と、装着部に装着された記憶メディアからデータを取得するデータ取得部と、データ取得部がデータを取得すると記憶メディア内のデータを消去するデータ消去部と、印刷部にデータ取得部が取得したデータを印刷させる印刷制御部とを備えている。この画像形成装置では、記憶メディア内の全てのデータを画像形成装置内に退避させることによって、記憶メディアが第三者に持ち去られたとしても記憶メディア内に記憶されていたデータは容易には流出せず、情報漏洩の危険性を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−284286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、可搬性の記憶メディアの記憶容量は増加しつつある。よって、記憶メディア内の全てのデータをプリンタ内に退避させる構成であると、記憶メディア内のデータを退避させることによって、プリンタの記憶領域が退避させたデータで圧迫されることが想定される。プリンタの記憶領域が不足すると、記憶メディア内の全てのデータを退避することが不可能となったり、プリンタの記憶領域の空きが少なくなってプリンタのパフォーマンスが低下したりするおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであって、プリンタの記憶領域を圧迫させることなく、記憶メディアの内部データを記憶メディア外へ退避させることによって情報漏洩の危険性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印刷システムは、プリンタと前記プリンタとデータの通信を行うサーバとを備える印刷システムであって、
前記プリンタが、画像を記録媒体上に印刷する印刷部と、記憶メディアが取り外し可能に装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記憶メディア内のデータを取得するデータ取得部と、前記サーバとの間でデータの通信を行う第1通信部と、前記取得データを前記第1通信部で前記サーバに送信する第1送信制御部と、前記取得データに対応する前記記憶メディア内のデータを消去するデータ消去部とを有し、
前記サーバが、前記プリンタとの間でデータを通信する第2通信部と、前記取得データを記憶可能なサーバ内記憶部と、前記第2通信部で受信した前記取得データを前記サーバ内記憶部に記憶させるサーバ内記憶制御部とを有するものである。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、プリンタと前記プリンタとデータの通信を行うサーバとを備える印刷システム内で実行されるプログラムであって、
前記プリンタが当該プリンタに取り外し可能に装着された記憶メディア内のデータを取得する処理と、前記プリンタが前記記憶メディアから取得した取得データを前記サーバへ送信する処理と、前記サーバが当該サーバに設けられたサーバ内記憶部に前記取得データを記憶する処理と、前記プリンタが前記記憶メディアから取得した当該記憶メディア内のデータを消去する処理とを、前記印刷システムに実行させるものである。
【0009】
また、本発明に係るプリンタは、画像を記録媒体上に印刷する印刷部を有するプリンタと、前記プリンタとの間でデータを通信するサーバ側通信部、前記プリンタから送信されたデータを記憶可能なサーバ内記憶部および前記サーバ側通信部で受信したデータを前記サーバ内記憶部に記憶させるサーバ内記憶制御部を有するサーバとを備える、印刷システムのプリンタであって、
記憶メディアが取り外し可能に装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記憶メディア内のデータを取得するデータ取得部と、前記サーバとの間でデータの通信を行うプリンタ側通信部と、前記取得データを前記プリンタ側通信部で前記サーバに送信する送信制御部と、前記取得データに対応する前記記憶メディア内のデータを消去するデータ消去部とを備えるものである。
【0010】
上記構成の印刷システムおよびそのプログラムならびにプリンタのいずれにおいても、プリンタに装着された記憶メディア内のデータを、記憶メディア外のサーバ内記憶部へ退避(移動)させることができる。これにより、仮にユーザが記憶メディアをプリンタに装着したまま放置しても、第3者が記憶メディア内のデータを読み出したり利用したりすることを防止し、情報漏洩の危険性を低減することができる。記憶メディア内のデータをサーバ内記憶部へ移動させるので、記憶メディア内のデータのサイズが大きくてもプリンタの記憶領域を圧迫させたりプリンタの処理能力を低下させたりすることなく、記憶メディア内のデータの保護を図ることができる。
【0011】
前記印刷システムにおいて、前記データ取得部は、前記記憶メディア内の全てのデータを取得し、前記データ消去部は、前記記憶メディア内の全てのデータを消去することができる。このように、前記データ取得部が前記記憶メディア内の全てのデータを取得し、その後、前記データ消去部が前記記憶メディア内の全てのデータを消去することにより、情報漏洩の危険性を確実に低減することができる。
【0012】
或いは、前記印刷システムにおいて、前記データ取得部は、前記記憶メディア内のデータに対して予め設定されているセキュリティレベル、データの種類およびデータのファイル名に含まれる文字列の少なくとも一つに基づいて保護優先度を決定し、前記記憶メディア内のデータを前記保護優先度に応じて選択的に取得することがよい。これによると、前記保護優先度の高いものほど先に取得することにより情報漏洩の危険性を低減したり、前記保護優先度の低いものを取得しないことによりデータ送受信に必要な時間を短縮したりすることが可能となる。
【0013】
前記印刷システムにおいて、前記プリンタは、前記取得データを記憶可能なプリンタ内記憶部と、前記取得データを前記プリンタ内記憶部に記憶させるプリンタ内記憶制御部と、前記取得データに対して予め設定されているセキュリティレベル、データの種類およびデータのサイズの少なくとも一つと、それについて定められた記憶先選択指標とに基づいて、前記取得データを記憶させる場所である記憶先を前記サーバ内記憶部と前記プリンタ内記憶部から選択する記憶先選択部とを有し、前記記憶先選択部により選択された前記記憶先に基づいて、前記プリンタ内記憶制御部が前記取得データを前記プリンタ内記憶手段に記憶させる、又は、前記第1送信制御部が前記取得データを前記第1通信部で前記サーバに送信させ且つ前記サーバ内記憶制御部が前記第2通信部で受信した前記取得データを前記サーバ内記憶部に記憶させることがよい。これによると、セキュリティレベルの高いデータをセキュリティレベルの高い移動先に記憶することで情報漏洩の危険性を低減したり、記録媒体に印刷される画像に関係するデータを高速アクセス可能な移動先に記憶することで印刷時の処理効率を向上したり、サイズが大きいデータを記憶容量の大きい移動先に記憶させることでデータが記憶部から溢れるなどのトラブルを抑制することが可能となる。
【0014】
或いは、前記印刷システムにおいて、前記プリンタは、前記取得データを記憶可能なプリンタ内記憶部と、前記取得データを前記プリンタ内記憶部に記憶させるプリンタ内記憶制御部と、前記サーバ内記憶部と前記プリンタ内記憶部から前記取得データを記憶させる場所である記憶先を選択する情報の入力をユーザより受け付ける記憶先選択情報入力部と、前記記憶先選択情報入力部より入力された情報に基づいて、前記記憶先を前記サーバ内記憶部と前記プリンタ内記憶部から選択する記憶先選択部とを有し、前記記憶先選択部により選択された前記記憶先に基づいて、前記プリンタ内記憶制御部が前記取得データを前記プリンタ内記憶手段に記憶させる、又は、前記第1送信制御部が前記取得データを前記第1通信部で前記サーバに送信させ且つ前記サーバ内記憶制御部が前記第2通信部で受信した前記取得データを前記サーバ内記憶部に記憶させることがよい。これによると、ユーザの選択により移動先を選択できるので、ユーザの意図に沿ったデータ退避が可能となり、また、データの退避先が明確なので、ユーザによる退避後のデータアクセスも容易となる。
【0015】
前記印刷システムにおいて、前記サーバは、前記サーバ内記憶部に記憶された前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信する第2送信制御部を有し、前記プリンタは、前記第1通信部で受信した前記取得データを前記記憶メディア内に記憶させる記憶メディア内記憶制御部を有し、前記データ消去部により前記記憶メディアから消去されたデータを前記記憶メディアへ復帰させるように、前記第2送信制御部が前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信させ、且つ、前記記憶メディア内記憶制御部が前記第1通信部で受信した前記取得データを前記記憶メディアに記憶させることがよい。これによると、前記記憶メディア内のデータを元の状態に復帰させることができる。
【0016】
また、前記印刷システムにおいて、前記サーバは、前記サーバ内記憶部に記憶された前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信する第2送信制御部を有し、前記プリンタは、前記第1通信部で受信した前記取得データ及び前記プリンタ内記憶制御部に記憶された前記取得データの少なくとも一方を前記記憶メディア内に記憶させる記憶メディア内記憶制御部を有し、前記データ消去部により前記記憶メディアから消去されたデータを前記記憶メディアへ復帰させるように、前記第2送信制御部が前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信させ、且つ、前記記憶メディア内記憶制御部が前記第1通信部で受信した前記取得データを前記記憶メディアに記憶させる、又は、前記記憶メディア内記憶制御部が前記プリンタ内記憶制御部に記憶された前記取得データを前記記憶メディアに記憶させることがよい。これによると、前記記憶メディア内のデータを元の状態に復帰させることができる。
【0017】
ここで、前記プリンタは、ユーザ認証を行うユーザ認証部と、ユーザからユーザ認証情報の入力を受け付けるユーザ認証情報入力部とを有し、前記取得データは、前記ユーザ認証情報と関連づけられて前記記憶先に記憶されており、前記ユーザ認証部は、前記取得データを前記記憶メディアへ復帰させるに際し、ユーザに前記取得データに関連づけられたユーザ認証情報の入力を要求し、この要求に対して前記ユーザ認証情報入力部より入力されたユーザ認証情報と前記取得データに関連づけられたユーザ認証情報とを用いてユーザ認証を行い、前記記憶メディア内記憶制御部は、前記ユーザ認証が成功した場合に、前記取得データを前記記憶メディアに記憶させることがよい。
【0018】
さらに、前記プリンタは、前記データ取得部が前記記憶メディアからデータを取得するときに、ユーザから前記取得データに関連づけるユーザ認証情報の入力を受け付けるユーザ認証登録情報入力部を有することがよい。
【0019】
上記構成によれば、記憶メディアから移動させたデータを、記憶メディアへ復帰させることができる。そして、このデータの復帰に際し、ユーザ認証を行うことで、記憶メディアから移動させたデータの保護を図ることができる。
【0020】
前記印刷システムにおいて、前記印刷システムは、1以上の情報端末装置を更に備えており、前記1以上の情報端末装置は、前記サーバとの間でデータの通信を行う第3通信部を有し、前記サーバは、前記1以上の情報端末装置との間でデータを通信する第4通信部を有し、前記サーバは、前記第3通信部により送信される前記1以上の情報端末装置のいずれかの要求に基づいて、要求を出した情報端末装置に対し前記サーバ内記憶部に記憶された前記取得データを前記第4通信部で送信させる対情報端末送信制御部を有することがよい。
【0021】
ここで、前記サーバは、前記1以上の情報端末装置に対しアクセス制御を行うアクセス制御部を有することがよい。
【0022】
上記構成によれば、プリンタのみならずサーバと通信可能に構成された情報端末装置からでも、記憶メディアからサーバ内記憶部へ移動させたデータを利用することが可能となる。したがって、データの復帰形態のバリエーションを増やし、ユーザの利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、プリンタの記憶領域を圧迫させることなく、記憶メディア内のデータを記憶メディア外へ退避させることによって情報漏洩の危険性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態に係る印刷システムの構成を示す概略図である。
【図2】プリンタとサーバの要部構成を示すブロック図である。
【図3】データ保護処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】データ復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る印刷システムを実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。以下に説明する印刷システムでは、印刷システム中の印刷機能を担う機器の一例として、プリンタを用いている。但し、プリンタに代えて、コピー機、ファクシミリ機または複合機などの印刷機能を有する機器を用いることもできる。
【0026】
図1は本実施の形態に係る印刷システム1の構成を示す概略図である。同図に示すように、本実施形態に係る印刷システム1は、プリンタ2と、サーバ3と、1以上の情報端末装置4(例えば、PC,PDA,携帯電話,スマートフォンなど)と、プリンタ2とサーバ3とを通信可能に接続する第1通信線11と、サーバ3と情報端末装置4とを通信可能に接続する第2通信線12とを備えている。さらに、印刷システム1は、サーバ3と第2通信線12を介して接続されたプリンタサーバ6と、このプリンタサーバ6に接続されたプリンタ5とを、1組以上備えることができる。なお、プリンタ2とサーバ3間が無線通信で通信される場合は、第1通信線11及び第2通信線12が省略される。
【0027】
(プリンタ2)
まず、プリンタ2の構成から説明する。図2は、プリンタ2とサーバ3の要部構成を示すブロック図である。同図に示すように、プリンタ2は、印刷部21、通信部22、操作パネル23、プリンタ内記憶部24、プリンタ側接続端子25(装着部)、およびこれらの制御を行う制御部26等を備えている。プリンタ2は、これらの機能部を内部に収容するハウジング35を備えており、このハウジング35には外部に開口する差込口36が設けられている。差込口36に差し込まれた記憶メディア100は、プリンタ側接続端子25と接続される。記憶メディア100は、例えば、USBメモリ、メモリカードなどの可搬性を有し情報を記憶するためのメモリ101を備えた記憶装置のことをいう。
【0028】
印刷部21は、画像形成手段と記録媒体搬送手段(いずれも図示略)を備え、印刷データに基づいて、記録媒体搬送手段で搬送される記録媒体上に画像形成手段で画像を印刷するものである。印刷部21は、記録媒体に画像を印刷する機能を有するものであればよく、インクジェット式記録装置、電子写真式記録装置等のなかから選択される。
【0029】
通信部22(第1通信部、プリンタ側通信部)は、制御部26の通信制御部73の制御のもと、第1通信線11を介してサーバ3と情報の送受信を行うためのものであり、既知の外部出力用の通信インターフェース装置などが該当する。第1通信線11は、例えば、プリンタ2とサーバ3との1対1の双方向通信を可能とするケーブル等の双方向通信線であってよい。本実施の形態では通信部22及び第1通信線11が、第1通信部に対応している。なお、プリンタ2とサーバ3間が無線通信で通信される場合は、既知の無線LAN用や赤外線通信用の外部出力用通信インターフェース装置などが通信部22に該当することになる。また、この無線通信の場合、通信部22が第1通信部に対応することになる。
【0030】
操作パネル23は、タッチパネルやハードキー等の既知の入力手段(図示略)を有しており、ユーザの操作を受け付けて制御部26へ入力することができる。また、操作パネル23は、液晶表示パネル等の表示出力装置(図示略)を有しており、制御部26の制御の下で表示出力装置によって種々の画面を表示することで、ユーザに情報を与えたり、ソフトキーを介した操作入力を受け付けたりすることができる。
【0031】
プリンタ内記憶部24は、種々のデータを記憶することが可能な大容量記憶装置である。プリンタ内記憶部24が記憶するデータとしては、例えばプリンタ2が取得した印刷データファイルや、プリンタ2が取得または作成した画像出力データファイル等を挙げることができる。ここで「印刷データ」は記録媒体上に形成される図、写真、文字および記号等の画像のベクトルデータであり、「画像出力データ」は印刷データをラスタイメージ等に展開(変換)することにより生成された印刷部21に出力されるデータである。プリンタ内記憶部24は一時的な記憶用にRAM(Read Only Memory)等の揮発性メモリを、長期の記憶用にHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリを備えている。また、ユーザ認証情報記憶部92および移動ログ記憶部93がプリンタ内記憶部24の不揮発性領域に設けられる。
【0032】
プリンタ側接続端子25は、記憶メディア100が取り外し可能に装着される記憶メディア100の装着部である。記憶メディア100は、本体に設けられたメモリ101とコネクタに設けられたメディア側接続端子102とを備えている。プリンタ側接続端子25は、差込口36の奥部であって、差込口36に挿入された記憶メディア100のメディア側接続端子102と接続可能に配置されている。
【0033】
制御部26は、1又は複数のコンピュータからなり、各コンピュータはCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラムやプログラムで使用されるデータを書き替え可能に記憶するためのROM(Read Only Memory)、CPUがプログラム実行時にデータを一時的に記憶するためのRAM、CPUの処理において所定時間を計測するためのタイマ、CPUと外部機器を接続するためのインターフェース、およびこれらを接続する内部経路等を備えている(いずれも図示略)。このCPUが実行するプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記憶媒体に記憶されており、これらの記憶媒体からROMにインストールされる。そして、このプログラムがCPUで実行されることにより、次に示す制御部26の機能が実現される。制御部26は各機能を構成する部として、画像処理部71、印刷制御部72、通信制御部73、パネル制御部74、接続検出部75、記憶制御部76、ユーザ認証部77、タイマ制御部78、移動データ選択部81、移動先選択部82、データ取得部83、データ消去部84、データ復帰部85、および移動ログ制御部86を少なくとも有している。
【0034】
画像処理部71は、印刷部21で印刷を行うための画像処理を行うものである。より詳細には、画像処理部71は、プリンタ2に接続された記憶メディア100やサーバ3から送られてきた印刷データに基づいて画像処理を行って画像出力データを生成したり、画像出力データに基づいて画像処理を行って当該画像出力データを印刷部21で出力するためにより適したデータに変換したりすることができる。画像処理部71で生成された画像出力データは、プリンタ内記憶部24に画像出力データファイルとして記憶される。
【0035】
印刷制御部72は、印刷部21の動作を制御するものである。より詳細には、印刷制御部72は、画像出力データに基づいて、印刷データに対応する画像が記録媒体上に形成されるように、印刷部21の画像形成手段および記録媒体搬送手段の動作を制御することができる。
【0036】
通信制御部73は通信部22の動作を制御するものであり、送信制御部73a(第1送信制御部、送信制御部)及び受信制御部73bを含んで構成される。より詳細には、送信制御部73aは、プリンタ内記憶部24に記憶されたデータを通信部22によりサーバ3へ送信させ、受信制御部73bは、サーバ3からプリンタ2に送信されるデータを通信部22により受信させる。また、送信制御部73aは、サーバ3の制御部43に対してその動作を要求するデータ(信号)を送信する。なお、送信制御部73aは、プリンタ2の制御部26内のデータを通信部22によりサーバ3に送信させてもよい。
【0037】
パネル制御部74は、操作パネル23の制御を行うためのものである。より詳細には、パネル制御部74は、操作パネル23で受け付けたユーザの操作を制御部26へ入力したり、制御部26からの出力を操作パネル23に表示させたりすることができる。
【0038】
接続検出部75は、プリンタ側接続端子25に記憶メディア100のメディア側接続端子102が接続されたことと、その接続が解除されたこととを検出するためのものである。より詳細には、プリンタ側接続端子に設けられた検出素子などの状態の検知、又は、記憶メディア100からの接続信号の受信などにより、プリンタ側接続端子25と記憶メディア100との接続を検出する。
【0039】
記憶制御部76は、プリンタ内記憶部24にデータを記憶させるためのものである。より詳細には、受信制御部73bが通信部22で受信したデータをプリンタ内記憶部24に記憶させる。また、記憶メディア100から取得したデータをプリンタ内記憶部に記憶させる。なお、移動データ選択部81、移動先選択部82、データ取得部83、データ消去部84、データ復帰部85、ユーザ認証部77およびタイマ制御部78の機能については後ほど説明する。
【0040】
(サーバ3)
続いて、サーバ3の概略構成について説明する。サーバ3は、コンピュータネットワーク上に配置されたプリンタ2を複数の情報端末装置4から利用する際に用いられる制御用コンピュータであって、いわゆる、プリンタサーバとして機能するものである。さらに、サーバ3は、プリンタ2から送られてきたデータを記憶するための役割も担っている。図2に示すように、サーバ3は、サーバ内記憶部41、通信部42およびこれらの制御を行う制御部43等を備えている。
【0041】
サーバ内記憶部41は、種々のデータを記憶することが可能な大容量の記憶装置である。サーバ内記憶部41は、一時的な記憶用にRAM等の揮発性メモリと、長期の記憶用にHDD等の不揮発性メモリを備えている。サーバ内記憶部41は、プリンタ2から受け取った情報を格納するプリンタ由来データ記憶部41aと、1以上の情報端末装置4から受け取った印刷データを格納する情報端末由来データ記憶部41bとを有する。
【0042】
通信部42(第2通信部、サーバ側通信部)は、制御部43の通信制御部44の制御のもと、第1通信線11を介してプリンタ2と情報の送受信を行うための対プリンタ通信部42aと、第2通信線12を介して1以上の情報端末装置4と情報の送受信を行うための対情報端末通信部42bとを有している。対プリンタ通信部42a及び対情報端末通信部42bは、既知の外部出力用の通信インターフェース装置などが該当する。第2通信線12は、例えばLANなどのコンピュータネットワークが該当する。本実施の形態では対プリンタ通信部42aが、第2通信部又はサーバ側通信部に対応し、対情報端末通信部42bが第4通信部に対応している。なおサーバ3とプリンタ2間が無線通信で通信される場合は、既知の無線LAN用や赤外線通信用の外部出力用通信インターフェース装置などが対プリンタ通信部42aに該当することになる。また、対情報端末通信部42bについても同様である。
【0043】
制御部43はCPU、CPUが実行するプログラムやプログラムで使用されるデータを書き替え可能に記憶するためのROM、CPUのプログラム実行時の作業領域として機能してデータを一時的に記憶するためのRAMおよびこれらを接続する内部経路等を備えている(いずれも図示略)。このCPUが実行するプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記憶媒体に記憶されており、これらの記憶媒体からROMにインストールされる。そして、このプログラムがCPUで実行されることにより、サーバ3としての機能が実現される。制御部43は各機能を構成する部として、通信制御部44、記憶制御部45、ユーザ認証部46およびアクセス制御部47を少なくとも有している。制御部43は、サーバ内記憶部41のうち少なくともプリンタ由来データ記憶部41aに格納されている情報の読み出しに関し、アカウント管理やアクセス制御によるセキュリティ性を備えている。例えば、サーバ3の制御部43は、サーバ内記憶部41のプリンタ由来データ記憶部41aにアクセスできるユーザアカウントを管理しており、ユーザアカウントで認証されたシステム管理者およびこれに相当する者へプリンタ由来データ記憶部41aのアクセス権限を与える。また、例えば、サーバ3の制御部43は、プリンタ由来データ記憶部41aへの任意アクセス制御を行っており、外部コンピュータユーザ(ここでは、情報端末装置4やプリンタ2のユーザ)に対し、システム管理者が指定したものよりも限定的なアクセスを自分自身のリソースに認めることができる。
【0044】
通信制御部44は通信部42の動作を制御するものであり、通信部42の動作を制御するものであり、送信制御部44a(第2送信制御部、対情報端末送信制御部)及び受信制御部44bを含んで構成される。より詳細には、送信制御部44aは、プリンタ2あるいは情報端末装置4からの要求に基づいて、サーバ内記憶部41に記憶されたデータを通信部42によりプリンタ2あるいは情報端末装置4に送信させる。また、受信制御部44bはは、サーバ3からプリンタ2に送信されるデータを通信部42により受信させる。
【0045】
記憶制御部45(サーバ内記憶制御部)は、サーバ内記憶部41にデータを記憶させるためのものである。より詳細には、受信制御部44bが通信部42で受信したデータをサーバ内記憶部41に記憶させる。なお、ユーザ認証部46、アクセス制御部47の機能については後ほど説明する。
【0046】
(データ保護機能)
印刷システム1は、プリンタ2と接続された記憶メディア100が保有する情報、とりわけ、秘密性を有する情報を保護し、第三者への漏洩から守るための機能を有している。この印刷システム1のデータ保護機能は、主に、プリンタ2の制御部26及びサーバ3の制御部43の各機能部が連携して実現される。続いて、図2および図3を参照しつつ、印刷システム1の有するデータ保護機能について、処理の流れに沿って説明する。図3はデータ保護処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
記憶メディア100に記憶されている印刷データ(データファイル)をプリンタ2で印刷するときに、ユーザは記憶メディア100をプリンタ2の差込口36に挿入する。接続検出部75は、差込口36に記憶メディア100が挿入されて、プリンタ側接続端子25とメディア側接続端子102が接続されたことを検出する(ステップS1でYES)。この検出を引き金として、ユーザ認証部77は、パネル制御部74を介して操作パネル23にユーザ認証情報登録画面を表示させる(ステップS2)。ユーザ認証情報登録画面には、少なくともID及びパスワードを含むユーザ認証情報として登録する情報の入力を要求するメッセージと、ユーザ認証登録情報の入力欄とが少なくとも含まれている。ユーザ認証部77は、パネル制御部74が受け付けたユーザ認証情報登録画面に入力されたユーザ認証登録情報(例えば、IDとパスワード)を取得し、ユーザ認証情報記憶部92に記憶させる(ステップS3)。ここで、本実施の形態では操作パネル23およびパネル制御部74が、ユーザ認証登録情報入力部として機能している。
【0048】
続いて、印刷システム1は、記憶メディア100内のメモリ101に格納されているデータ(以下「メディア内データ」という)を、プリンタ内記憶部24又はサーバ内記憶部41へ移動(退避)させる。なお、メディア内データとは、以下では、記憶メディア100のうち外部から書込みおよび消去が可能な領域に記憶されている画像や文書等のデータのことを意味する。メディア内データの移動の準備段階として、まず、移動データ選択部81は記憶メディア100内のメモリ101へアクセスして、ここに格納されているメディア内データの各データファイルのインデックス情報を取得する(ステップS4)。このインデックス情報には、データファイル名、データファイルの種類、サイズおよびセキュリティレベルが少なくとも含まれている。
【0049】
データ取得部83は、メディア内データのうち移動データ選択部81により選択された一部又は全部のデータファイルを記憶メディア100からプリンタ2内に移動させることができる。メディア内データのうち選択された一部のデータファイルを移動させるのか、或いは、メディア内データの全部を移動させるのかは、印刷システム1の設計により、印刷システム1のユーザの意思により、或いは、印刷システム1のシステム管理者の意思により設定することができる。
【0050】
移動データ選択部81は、予め設定された保護優先度に基づいてメディア内データのなかから移動させるデータファイルを選択する(ステップS5)。詳細には、移動データ選択部81は、通常、記憶メディア100から取得したインデックス情報に基づいてメディア内データの各データファイルの保護優先度を決定し、その保護優先度に基づいて移動するデータファイル(例えば、保護優先度が高のデータファイル)を選択する。なお、メディア内データの全てのデータファイルの保護優先度が高いときは、メディア内データの全てのデータファイルが移動するデータファイルとして選択されることもあり得る。
【0051】
保護優先度は、主に、そのデータファイルの秘密性を重視して定められている。例えば、インデックス情報に含まれるキュリティレベルが高い(例えば、セキュリティレベルが高中低の3段階の場合に中レベル以上)データファイルの保護優先度を高とすることができる。また、例えば、データファイルの種類ごとに保護優先度が定められており、特定の1以上の種類のデータファイルの保護優先度を高とすることができる。また、例えば、データファイル名に特定の文字列が含まれるときに、そのデータファイルの保護優先度を高とすることができる。また、例えば、記憶メディア100のメモリ101内に所定名称のフォルダが存在しており、そのフォルダ内のデータファイルの保護優先度を高とすることができる。なお、保護優先度は前述の例に限定されず、印刷システム1が置かれる状況に応じて適宜設定されることが望ましい。
【0052】
なお、ユーザがメディア内データのなかから移動させるデータファイルを選択することもできる。この場合、移動データ選択部81は、パネル制御部74を介して操作パネル23にメディア内データのインデックス情報ととともに移動させるデータファイルの選択を入力するように促す画面を表示させ、操作パネル23を介してユーザからの入力を受け付ける。そして、移動データ選択部81は、ユーザが選択したデータファイルを移動するデータファイルとして選択することができる。ここで、本実施の形態では操作パネル23およびパネル制御部74が、記憶先選択情報入力部として機能している。
【0053】
また、印刷システム1は、メディア内データを記憶メディア100からサーバ内記憶部41のプリンタ由来データ記憶部41aおよびプリンタ内記憶部24の不揮発性領域のうちいずれか一方または両方へ移動させることができる。原則として、メディア内データは記憶メディア100からサーバ内記憶部41へ移動させられる。ただし、メディア内データの内容やプリンタ内記憶部24の空き容量等に応じて、メディア内データの移動先(記憶先)をプリンタ内記憶部24とすることもできる。本実施の形態に係るプリンタ2はプリンタ内記憶部24を備えているが、仮にプリンタ2が記憶部を備えていない場合やプリンタ2の記憶部の記憶容量が小さい場合にはメディア内データの移動先はサーバ内記憶部41となる。なお、印刷システム1は、メディア内データの一部のデータファイルをプリンタ内記憶部24へ移動させて余のデータファイルをサーバ内記憶部41へ移動させることもできるし、メディア内データを一括してプリンタ内記憶部24又はサーバ内記憶部41へ移動させることもできる。
【0054】
移動先選択部82(記憶先選択部)は、メディア内データの移動先をプリンタ内記憶部24およびサーバ内記憶部41から選択する(ステップS6)。詳細には、移動先選択部82は、通常、各データファイルのインデックス情報と予め設定された移動先選択指標(記憶先選択指標)に基づいてメディア内データの移動先を選択する。
【0055】
移動先選択指標は、主に、そのデータファイルのサイズ(プリンタ内記憶部24の空きメモリへの負担)や種類(そのデータファイルが印刷される可能性)を重視して定められている。例えば、移動先選択指標はデータファイルのサイズについて定められており、サイズが所定値以上のデータファイルの移動先をサーバ内記憶部41とし、サイズが所定値未満のデータファイルの移動先をプリンタ内記憶部24とすることができる。また、例えば、移動先選択指標はプリンタ内記憶部24の空きメモリ容量と関連するデータファイルのサイズについて定められており、データファイルのサイズがプリンタ内記憶部24の空きメモリ容量の所定の割合を占めるとき、又は、そのデータファイルサイズをプリンタ内記憶部24へ移動すればプリンタ内記憶部24の空きメモリ容量が所定の下限値以下となるときに、そのデータファイルの移動先をサーバ内記憶部41とすることができる。また、例えば、移動先選択指標はデータファイルの種類について定められており、データの拡張子などから印刷される可能性のない所定の1以上の種類のデータファイルの移動先をサーバ内記憶部41とし、印刷される可能性がある余のデータファイルの移動先をプリンタ内記憶部24とすることができる。また、例えば、移動先選択指標はデータファイル名について定められており、移動先選択部82はデータファイル名にその特定の文字列が含まれるデータファイルの移動先をサーバ内記憶部41とし、余のデータファイルの移動先をプリンタ内記憶部24と選択することができる。また、例えば、移動先選択指標はデータファイルの属性(読み取り専用、隠しファイル)やファイルの概要(タイトル、カテゴリ、コメント、作者)等について定められており、移動先選択部82はこれらの情報に基づいて重要度の高いデータファイルの移動先をサーバ内記憶部41とし、余をプリンタ内記憶部24とすることができる。また、例えば、移動先選択指標が記憶メディア100のメモリ101内のデータファイルが記憶されているフォルダについて定められており、移動先選択部82は或第1の所定の名称のフォルダに記憶されているデータファイルの移動先をサーバ内記憶部41とし、或第2の所定の名称のフォルダに記憶されているデータファイルの移動先をプリンタ内記憶部24とすることができる。
【0056】
なお、ユーザがメディア内データの移動先を選択することもできる。この場合、移動先選択部82は、パネル制御部74を介して操作パネル23にメディア内データのインデックス情報ととともに移動先の選択を入力するように促す移動先選択情報入力画面を表示させ、操作パネル23を介してユーザからの入力を受け付ける。そして、移動先選択部82は、ユーザが移動先選択情報入力画面で選択した移動先をメディア内データの移動先として選択することができる。このように、ユーザの選択により移動先を選択できれば、ユーザの意図に沿ったデータ退避が可能となり、また、データの移動先が明確となるので、移動後のユーザによるデータアクセスも容易となる。
【0057】
上述のようにして、メディア内データのうち移動されるデータファイルが選択され、メディア内データの移動先が選択されたのち、データ取得部83は記憶メディア100からメディア内データを取得し、制御部26のRAMに一時的に記憶させる(ステップS7)。以下、記憶メディア100から取得したメディア内データを「退避メディア内データ」という。そして、印刷システム1は退避メディア内データを移動先に記憶させる(ステップS8)。移動先がサーバ内記憶部41である場合、送信制御部73aは、通信部22、第1通信線11により、退避メディア内データをサーバ3に送信する。サーバ3の受信制御部44bは、通信部42により退避メディア内データを受信し、記憶制御部45はサーバ内記憶部41のプリンタ由来データ記憶部41aに退避メディア内データを記憶させる。他方、移動先がプリンタ内記憶部24である場合、記憶制御部76は退避メディア内データをプリンタ内記憶部24に記憶させる。なお、退避メディア内データは、移動先によらず、ステップS3でユーザ認証情報記憶部92に記憶したユーザ認証情報と関連付けて記憶される。具体的には、退避メディア内データの移動先で新たなデータフォルダが作成され、このデータフォルダ内のデータファイルを読み出したり移動したりするための認証情報としてユーザ認証情報が退避メディア内データを関連付けて記憶される。このようにして移動先に記憶された退避メディア内データは、ユーザ認証を経たユーザでなければアクセスできないように管理される。そして、退避メディア内データの移動先への記憶が完了すると、移動ログ制御部86により移動ログが更新(新規の場合は書き込み)される(ステップS9)。移動ログは、移動ログ記憶部93に記憶されている。移動ログには、これまでに説明した退避メディア内データの移動に固有の移動番号、移動日時、移動先、退避メディア内データに含まれるデータファイル名、関連付けられたユーザ認証情報などが含まれている。
【0058】
最後に、データ消去部84は、移動先への記憶が完了した退避メディア内データに対応する記憶メディア100のメモリ101内のメディア内データを削除する(ステップS10)。つまり、メディア内データの全部または選択された一部のデータファイルは、サーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ移動されて、記憶メディア100のメモリ101内には残らない。
【0059】
そして、サーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24に記憶された退避メディア内データを用いて、プリンタ2で印刷が行われる。ユーザは操作パネル23に表示された画面を介して、プリンタ2に印刷ジョブの指令、印刷ジョブの対象となる画像の指定等をプリンタ2の制御部26へ入力することができる。ユーザは、退避メディア内データに含まれるデータファイル、又はそれ以外のデータファイルを、印刷ジョブの対象として指定することができる。操作パネル23を介したユーザからの指示を受けて、印刷制御部72は、印刷部21に印刷ジョブを実行させる。なお、印刷ジョブに係るデータがサーバ内記憶部41に記憶されている場合は、送信制御部73aがサーバ3に当該データの送信を要求する信号を送信し、受信制御部44bが通信部42によりこの信号を受け取った後、送信制御部44aがサーバ内記憶部41に記憶されているデータをプリンタ2に送信し、受信制御部73bが通信部22により受信した当該データをもとに画像処理部71で画像出力データが生成されることになる。
【0060】
以上の通り、印刷システム1では、プリンタ2の差込口36に記憶メディア100が挿入されるとデータ保護処理が行われて、記憶メディア100のメディア内データを自動的にサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ退避させる。よって、仮にユーザが記憶メディア100をプリンタ2に差し込んだまま放置しても、第3者が記憶メディア100のメディア内データを読み出したり利用したりすることを防止できる。すなわち、記憶メディア100からの情報漏洩の危険性を低減することができる。特に、データ取得部83が記憶メディア内の全てのデータを取得し、その後、データ消去部84が記憶メディア内の全てのデータを消去することによれば、情報漏洩の危険性を確実に低減することができる。また、保護優先度に基づいて記憶メディア内の一部をサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ待避させることによれば、保護優先度の高いものほど先に取得することにより情報漏洩の危険性を低減したり、保護優先度の低いものを取得しないことによりデータ送受信に必要な時間を短縮したりすることが可能となる。
【0061】
また、上記印刷システム1では、メディア内データの移動先としてプリンタ内記憶部24のみならずサーバ内記憶部41を設けている。そして、これらの中からメディア内データに応じて移動先が選択されることによれば、記録媒体に印刷される画像に関係するデータを高速アクセス可能な移動先に記憶することで印刷時の処理効率を向上したり、サイズが大きいデータを記憶容量の大きい移動先に記憶させることでデータが記憶部から溢れるなどのトラブルを抑制することが可能となる。特に、サーバ内記憶部41にメディア内データを移動させることによれば、メディア内データのサイズが大きくてもプリンタ2の記憶領域を圧迫させたりプリンタ2の処理能力を低下させたりすることなく、記憶メディア100からメディア内データを移動させてメディア内データの保護を図ることができる。しかも、サーバ内記憶部41はプリンタ内記憶部24と比較して高いセキュリティレベルを備えているか又は備えることが容易であるので、より高いセキュリティレベルでメディア内データを保護することができる。そして、セキュリティレベルの高いデータをセキュリティレベルの高い移動先に記憶することで、情報漏洩の危険性を低減することができる。
【0062】
さらに、プリンタ2では、記憶メディア100のメディア内データをサーバ内記憶部41またはプリンタ内記憶部24へ移動させてから印刷ジョブを開始するので、印刷ジョブが終了する前にプリンタ2から記憶メディア100を取り外すことができる。
【0063】
なお、上述したデータ保護処理では、記憶メディア100がプリンタ2と接続されると、直ちにメディア内データがサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ移動される。このようなタイミングでメディア内データを記憶メディア100外へ退避させることは、記憶メディア100がプリンタ2と接続されてからメディア内データの移動先への移動完了までの時間が短く、メディア内データの保護の観点から望ましい。但し、メディア内データの移動タイミングはこれに限定されるものではない。例えば、記憶メディア100がプリンタ2と接続され、ユーザにより記憶メディア100のメディア内データから印刷するデータが選択されたあとで、印刷するデータのみを記憶メディア100からサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ移動させてもよい。また、例えば、記憶メディア100がプリンタ2と接続されたことを接続検出部75が検出してからタイマ制御部78がタイマでカウントを開始し、所定時間経過後にメディア内データをサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ移動させてもよい。また、例えば、記憶メディア100がプリンタ2と接続された状態で印刷ジョブが完了してからタイマ制御部78がタイマでカウントを開始し、所定時間経過後にメディア内データをサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ移動させてもよい。この場合は、印刷ジョブが多く印刷に時間がかかるときや、記憶メディア100がプリンタ2に挿入されたまま放置されたときのように、ユーザがプリンタ2から離れる可能性があるときにのみ、メディア内データを退避させることとなる。
【0064】
(移動したデータの復帰)
プリンタ2は、前述のデータ保護処理で記憶メディア100から削除されたメディア内データを記憶メディア100へ復帰させることができる。図4のフローチャートを参照しつつ、メディア内データの復帰処理について説明する。
【0065】
操作パネル23は、ハードキー又はソフトキーからなるメディア取り外しキー(図示略)を備えている。印刷ジョブの終了後又は印刷ジョブの途中やその前でも、記憶メディア100が差込口36に差し込まれた状態で、ユーザが操作パネル23のメディア取り外しキーを操作すれば、メディア取り出し指示がされたものとして(ステップS21でYES)、ユーザ認証部77は、ユーザ認証を行う。ここで、ユーザ認証部77は、まず、パネル制御部74を介して操作パネル23に少なくともID及びパスワードを含むユーザ認証情報の入力欄が設けられたユーザ認証情報入力画面に表示させ(ステップS22)、ユーザにユーザ認証情報の入力を要求する。ユーザ認証部77は、パネル制御部74がユーザ認証情報入力画面で受け付けたユーザからのユーザ認証情報を取得すると(ステップS23)、移動ログ記憶部93に記憶された移動ログに入力されたユーザ認証情報と一致するものがあるかどうかを判断する。一致するものがあればユーザ認証は成功し(ステップS24でYES)、一致するものが無ければユーザ認証は失敗となる(ステップS24でNO)。ここで、本実施の形態では操作パネル23およびパネル制御部74が、ユーザ認証情報入力部として機能している。
【0066】
ユーザ認証部77は、ユーザ認証が失敗すれば(ステップS24でNO)、パネル制御部74を介して操作パネル23にエラー情報を出力する(ステップS28)。一方、ユーザ認証部77は、ユーザ認証が成功すれば(ステップS24でYES)、移動ログにそのユーザ認証情報とともに記録された一連の情報からサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24に記憶された退避メディア内データを特定し、その退避メディア内データの記憶メディア100への移動を許可する(ステップS25)。そして、印刷システム1は、サーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24からデータ復帰部85を介して記憶メディア100へ対応する退避メディア内データを移動する(ステップS26)。退避メディア内データは、データ復帰部85によりメモリ101内に記憶されることで記憶メディア100へ復帰し、復帰したメディア内データは移動元、すなわち、サーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24から削除される(ステップS27)。なお、サーバ内記憶部41から退避メディア内データが復帰される場合、送信制御部73aがサーバ3に当該データの送信及び削除を要求する信号を送信し、受信制御部44bが通信部42によりこの信号を受け取った後、送信制御部44aがサーバ内記憶部41に記憶されているデータをプリンタ2に送信し、記憶制御部45が当該データをサーバ内記憶部41から削除し、受信制御部73bが通信部22により受信した当該データを、データ復帰部85が記憶メディア100へ復帰させる。ここで、本実施の形態ではデータ復帰部85が、記憶メディア内記憶制御部に対応している。
【0067】
一方、メディア取り出し指示がされないか(ステップS21でNO)、又はユーザ認証が失敗すれば(ステップS24でNO)、メディア内データの記憶メディア100への復帰は行われることはない。なお、記憶メディア100のメディア内データをサーバ内記憶部41又はプリンタ内記憶部24へ移動させている間にメディア取り出し指示がされた場合、メディア内データの移動を中断し、移動が完了したメディア内データを記憶メディア100へ復帰させる。
【0068】
以上のように、印刷システム1では、プリンタ2に装着された記憶メディア100のメディア内データは削除されるが、ユーザ認証に成功したときは記憶メディア100へメディア内データを復帰させることができる。つまり、記憶メディア100から削除したデータの持ち主は、削除されたデータを取り戻すことができる。
【0069】
(移動したデータの利用)
前述のデータ保護処理でサーバ内記憶部41へ移動した退避メディア内データは、記憶メディア100へ復帰させずに、そのままサーバ内記憶部41に残しておくこともできる。この場合、プリンタ2のみならずサーバ3と第2通信線12を介して接続された1以上の情報端末装置4(PC,PDA,携帯電話、スマートフォンなど)や他のプリンタ5からでも、サーバ内記憶部41へアクセスして退避メディア内データを読み出したり消去したりすることができる。但し、情報端末装置4やプリンタ5からのサーバ内記憶部41内の所定のフォルダへのアクセスには、サーバ3の制御部43のアクセス制御部47によりアクセス制御がなされている。
【0070】
サーバ内記憶部41に記憶された退避メディア内データは、プリンタ由来データ記憶部41aに作成されたデータフォルダに格納されている。このデータフォルダは、サーバ3の制御部43により任意アクセス制御されている。サーバ内記憶部41のプリンタ由来データ記憶部41aに記憶されている退避メディア内データを読み出そうとするユーザは、情報端末装置4の通信部(第3通信部)から第2通信線12を介してサーバ3のサーバ内記憶部41のプリンタ由来データ記憶部41aの所望のデータフォルダ(ターゲットフォルダ)へアクセスする。サーバ3のユーザ認証部46は、アクセスしてきた情報端末装置4に対し、少なくともID及びパスワードを含むユーザ認証情報を要求する。ユーザはこれに応答して、情報端末装置4から第2通信線12を介してユーザ認証情報をサーバ3へ送信する。情報端末装置4から送られたユーザ認証情報を取得したサーバ3のユーザ認証部46は、取得したユーザ認証情報と、ターゲットフォルダと関連づけられたユーザ認証情報とが、一致するかどうかを判断する。これらが一致すればユーザ認証は成功し、一致しなければユーザ認証は失敗する。ユーザ認証が成功すれば、アクセス制御部47はサーバ3からユーザ認証された情報端末装置4へターゲットフォルダに格納されている退避メディア内データの転送を許可する。そして、サーバ3の送信制御部44aは対情報端末通信部42b(第4通信部)からユーザ認証された情報端末装置4へターゲットフォルダに格納されている退避メディア内データを送信する。ここで、情報端末装置4のユーザは、ユーザ認証が成功すればターゲットフォルダに格納されている退避メディア内データを消去することもできる。
【0071】
以上のように、印刷システム1では、プリンタ2のみならずサーバ3に第2通信線12を介して接続された情報端末装置4や他のプリンタ5からでも、プリンタ2において記憶メディア100からサーバ内記憶部41へ移動させたメディア内データ(退避メディア内データ)を利用することが可能である。よって、例えば、ユーザ認証情報を複数人で共有することで、サーバ内記憶部41に記憶された退避メディア内データを複数人で共有することができる。また、例えば、他のプリンタ5からサーバ内記憶部41に記憶された退避メディア内データを読み出して、プリンタ5と接続された記憶メディアに記憶させることにより、その記憶メディアにメディア内データを復帰させることができる。このように、本実施形態に係る印刷システム1では、待避メディア内データの復帰形態のバリエーションを有するので、ユーザのデータ利用の利便性を向上することができる。
【0072】
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能である。
【0073】
例えば、上述の実施形態では、ユーザ認証情報記憶部92および移動ログ記憶部93はプリンタ内記憶部24の不揮発性領域に設けられているが、サーバ内記憶部41の不揮発性領域に設けられていてもよい。
【0074】
上述の実施形態では、ユーザ認証部77が、パネル制御部74を介して操作パネル23にユーザ認証情報登録画面を表示させているが、あらかじめユーザ認証情報を記憶メディア100に登録しておけば、この処理を省略することができる。この場合、記憶メディア100内に登録されたユーザ認証情報は、暗号化処理などにより他者が容易に把握できないようにしておくことが望ましい。
【0075】
上述の実施形態では、メディア内データの各データファイルのインデックス情報には、データファイル名、データファイルの種類、サイズおよびセキュリティレベルが少なくとも含まれているが、その一部が含まれていなくてもよい。例えば、セキュリティレベルが含まれておらず、データファイル名やデータファイルの種類からセキュリティレベルを算出(判断)する構成であってもよい。
【0076】
上述の実施形態では、データ取得部83が記憶メディア100からメディア内データを取得し、制御部26のRAMに一時的に記憶させる構成であるが、RAMの容量には限りがあるので、メディア内データを部分的にRAMに記憶させ、記憶先に記憶するステップを繰り返してもよい。また、RAMではなく、プリンタ内記憶部24に格納してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、プリンタに装着されたUSBメモリ等の記憶メディア内のデータを用いて印刷を行うことの可能な印刷システムにおいて、第三者への記憶メディア内のデータの漏洩を防止するために有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 印刷システム
2 プリンタ
3 サーバ
4 情報端末装置
5 (他の)プリンタ
6 プリンタサーバ
11 第1通信線
12 第2通信線
21 印刷部
22 通信部
23 操作パネル
24 プリンタ内記憶部
25 プリンタ側接続端子
26 制御部
41 サーバ内記憶部
42 通信部
43 制御部
44 通信制御部
45 ユーザ認証部
73 通信制御部
77 ユーザ認証部
81 移動データ選択部
82 移動先選択部
83 データ取得部
84 データ消去部
85 データ復帰部
100 記憶メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタと前記プリンタとデータの通信を行うサーバとを備える印刷システムであって、
前記プリンタが、画像を記録媒体上に印刷する印刷部と、記憶メディアが取り外し可能に装着される装着部と、前記装着部に装着された前記記憶メディア内のデータを取得するデータ取得部と、前記サーバとの間でデータの通信を行う第1通信部と、前記取得データを前記第1通信部で前記サーバに送信する第1送信制御部と、前記取得データに対応する前記記憶メディア内のデータを消去するデータ消去部とを有し、
前記サーバが、前記プリンタとの間でデータを通信する第2通信部と、前記取得データを記憶可能なサーバ内記憶部と、前記第2通信部で受信した前記取得データを前記サーバ内記憶部に記憶させるサーバ内記憶制御部とを有する、印刷システム。
【請求項2】
前記データ取得部は、前記記憶メディア内の全てのデータを取得し、
前記データ消去部は、前記記憶メディア内の全てのデータを消去する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記記憶メディア内のデータに対して予め設定されているセキュリティレベル、データの種類およびデータのファイル名に含まれる文字列の少なくとも一つに基づいて保護優先度を決定し、前記記憶メディア内のデータを前記保護優先度に応じて選択的に取得する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記プリンタは、
前記取得データを記憶可能なプリンタ内記憶部と、
前記取得データを前記プリンタ内記憶部に記憶させるプリンタ内記憶制御部と、
前記取得データに対して予め設定されているセキュリティレベル、データの種類およびデータのサイズの少なくとも一つと、それについて定められた記憶先選択指標とに基づいて、前記取得データを記憶させる場所である記憶先を前記サーバ内記憶部と前記プリンタ内記憶部から選択する記憶先選択部とを有し、
前記記憶先選択部により選択された前記記憶先に基づいて、前記プリンタ内記憶制御部が前記取得データを前記プリンタ内記憶手段に記憶させる、又は、前記第1送信制御部が前記取得データを前記第1通信部で前記サーバに送信させ且つ前記サーバ内記憶制御部が前記第2通信部で受信した前記取得データを前記サーバ内記憶部に記憶させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記プリンタは、
前記取得データを記憶可能なプリンタ内記憶部と、
前記取得データを前記プリンタ内記憶部に記憶させるプリンタ内記憶制御部と、
前記サーバ内記憶部と前記プリンタ内記憶部から前記取得データを記憶させる場所である記憶先を選択する情報の入力をユーザより受け付ける記憶先選択情報入力部と、
前記記憶先選択情報入力部より入力された情報に基づいて、前記記憶先を前記サーバ内記憶部と前記プリンタ内記憶部から選択する記憶先選択部とを有し、
前記記憶先選択部により選択された前記記憶先に基づいて、前記プリンタ内記憶制御部が前記取得データを前記プリンタ内記憶手段に記憶させる、又は、前記第1送信制御部が前記取得データを前記第1通信部で前記サーバに送信させ且つ前記サーバ内記憶制御部が前記第2通信部で受信した前記取得データを前記サーバ内記憶部に記憶させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記サーバ内記憶部に記憶された前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信する第2送信制御部を有し、
前記プリンタは、前記第1通信部で受信した前記取得データを前記記憶メディア内に記憶させる記憶メディア内記憶制御部を有し、
前記データ消去部により前記記憶メディアから消去されたデータを前記記憶メディアへ復帰させるように、前記第2送信制御部が前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信させ、且つ、前記記憶メディア内記憶制御部が前記第1通信部で受信した前記取得データを前記記憶メディアに記憶させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記サーバ内記憶部に記憶された前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信する第2送信制御部を有し、
前記プリンタは、前記第1通信部で受信した前記取得データ及び前記プリンタ内記憶制御部に記憶された前記取得データの少なくとも一方を前記記憶メディア内に記憶させる記憶メディア内記憶制御部を有し、
前記データ消去部により前記記憶メディアから消去されたデータを前記記憶メディアへ復帰させるように、前記第2送信制御部が前記取得データを前記第2通信部で前記プリンタに送信させ、且つ、前記記憶メディア内記憶制御部が前記第1通信部で受信した前記取得データを前記記憶メディアに記憶させる、又は、前記記憶メディア内記憶制御部が前記プリンタ内記憶制御部に記憶された前記取得データを前記記憶メディアに記憶させる、
請求項4又は5に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記プリンタは、ユーザ認証を行うユーザ認証部と、ユーザからユーザ認証情報の入力を受け付けるユーザ認証情報入力部とを有し、
前記取得データは、前記ユーザ認証情報と関連づけられて前記記憶先に記憶されており、
前記ユーザ認証部は、前記取得データを前記記憶メディアへ復帰させるに際し、ユーザに前記取得データに関連づけられたユーザ認証情報の入力を要求し、この要求に対して前記ユーザ認証情報入力部より入力されたユーザ認証情報と前記取得データに関連づけられたユーザ認証情報とを用いてユーザ認証を行い、
前記記憶メディア内記憶制御部は、前記ユーザ認証が成功した場合に、前記取得データを前記記憶メディアに記憶させる、
請求項6又は7に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記プリンタは、前記データ取得部が前記記憶メディアからデータを取得するときに、ユーザから前記取得データに関連づけるユーザ認証情報の入力を受け付けるユーザ認証登録情報入力部を有する、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷システムは、1以上の情報端末装置を更に備えており、
前記1以上の情報端末装置は、前記サーバとの間でデータの通信を行う第3通信部を有し、
前記サーバは、前記1以上の情報端末装置との間でデータを通信する第4通信部を有し、
前記サーバは、前記第3通信部により通信される前記1以上の情報端末装置のいずれかの要求に基づいて、要求を出した情報端末装置に対し前記サーバ内記憶部に記憶された前記取得データを前記第4通信部で送信させる対情報端末送信制御部を有する、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記サーバは、前記1以上の情報端末装置に対しアクセス制御を行うアクセス制御部を有する、請求項10に記載の印刷システム。
【請求項12】
プリンタと前記プリンタとデータの通信を行うサーバとを備える印刷システム内で実行されるプログラムであって、
前記プリンタが当該プリンタに取り外し可能に装着された記憶メディア内のデータを取得する処理と、
前記プリンタが前記記憶メディアから取得した取得データを前記サーバへ送信する処理と、
前記サーバが当該サーバに設けられたサーバ内記憶部に前記取得データを記憶する処理と、
前記プリンタが前記記憶メディアから取得した当該記憶メディア内のデータを消去する処理とを、
前記印刷システムに実行させるプログラム。
【請求項13】
画像を記録媒体上に印刷する印刷部を有するプリンタと、前記プリンタとの間でデータを通信するサーバ側通信部、前記プリンタから送信されたデータを記憶可能なサーバ内記憶部および前記サーバ側通信部で受信したデータを前記サーバ内記憶部に記憶させるサーバ内記憶制御部を有するサーバとを備える、印刷システムのプリンタであって、
記憶メディアが取り外し可能に装着される装着部と、
前記装着部に装着された前記記憶メディア内のデータを取得するデータ取得部と、
前記サーバとの間でデータの通信を行うプリンタ側通信部と、
前記取得データを前記プリンタ側通信部で前記サーバに送信する送信制御部と、
前記取得データに対応する前記記憶メディア内のデータを消去するデータ消去部とを備える、プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−234320(P2012−234320A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101879(P2011−101879)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】