説明

印刷システム、印刷データ送信方法、プログラム、記録媒体及び第一の端末装置

【課題】 印刷データを蓄積できない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない装置と通信中であっても、該通信中の装置に、印刷データの出力先を指定させ、該出力先において印刷データを出力させることを目的とする。
【解決手段】 LAN8を介して接続された第一の端末装置1と、画像を入出力する画像入出力装置2と、LAN8とは、VoIPゲートウェイ4及び公衆交換電話網5を介して接続された第二の端末装置6叉は7と、を有する印刷システムであって、第一の端末装置1は、VoIPネットワークに接続する第一呼接続手段と、VoIPネットワーク上で、第二の端末装置6叉は7に印刷要求を送信する印刷要求送信手段と、第二の端末装置6叉は7に指定された出力先の画像入出力装置2に対して、第二の端末装置6叉は7を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を有することによって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワーク環境下における、印刷システム、印刷データ送信方法、プログラム、記録媒体及び第一の端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷データをプリントするためには、印刷データを一旦蓄積して、該印刷データを蓄積した装置が、印刷データの出力先のプリンタ等を指定し、印刷データを出力先のプリンタ等に送信し、該プリンタ等において印刷データを印刷していた。
【0003】
なお、VoIPネットワークに関する従来技術としては、例えば以下に示す特許文献1〜3がある。
【特許文献1】特開2004−214727号公報
【特許文献2】特開2004−186893号公報
【特許文献3】特開2002−158762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような方法では、印刷データを蓄積することができない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない装置、例えば携帯電話等、は、印刷データの出力先を指定し、例えば印刷等をすることができない問題があった。
【0005】
つまり、印刷データを蓄積している装置からみれば、通信先が印刷データを蓄積できない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない携帯電話等であった場合、印刷データを送信し、蓄積させることができないため、通信先の携帯電話に、プリンタ等の出力先を指定させ、該プリンタにおいて印刷データを印刷させる等ということができない問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、印刷データを蓄積できない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない装置と通信中であっても、該通信中の装置に、印刷データの出力先を指定させ、該出力先において印刷データを出力させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決するため、本発明は、LANを介して接続された第一の端末装置と、画像を入出力する画像入出力装置と、該LANとは、VoIPゲートウェイ及び公衆交換電話網を介して接続された第二の端末装置と、を有する印刷システムであって、前記第一の端末装置は、VoIPネットワークに接続する第一呼接続手段と、VoIPネットワーク上で、前記第二の端末装置に印刷要求を送信する印刷要求送信手段と、前記第二の端末装置に指定された出力先の前記画像入出力装置に対して、前記第二の端末装置を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、LANを介して接続された第一の端末装置と、画像を入出力する画像入出力装置と、該LANとは、VoIPゲートウェイ及び公衆交換電話網を介して接続された第二の端末装置と、を有する印刷システムであって、前記第一の端末装置は、VoIPネットワークに接続する第一呼接続手段と、VoIPネットワーク上で、前記第二の端末装置に印刷要求を送信する印刷要求送信手段と、前記第二の端末装置に指定された出力先の前記画像入出力装置に対して、前記第二の端末装置を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信手段と、を有することにより、印刷データを蓄積できない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない装置と通信中であっても、該通信中の装置に、印刷データの出力先を指定させ、該出力先において印刷データを出力させることができる。
【0009】
また、上記課題を解決するための手段として、印刷データ送信方法、プログラム、記録媒体及び第一の端末装置としてもよい。
【0010】
なお、特許請求の範囲に記載の第一の端末装置は、例えば後述するPC1に対応する。また、特許請求の範囲に記載の第二の端末装置は、例えば後述するPDA6叉は携帯電話7に対応する。また、特許請求の範囲に記載のプログラムは、例えば後述するPCプログラムに対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷データを蓄積できない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない装置と通信中であっても、該通信中の装置に、印刷データの出力先を指定させ、該出力先において印刷データを出力させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、印刷システムのシステム構成図である。図1に示される印刷システムは、LAN(Local Area Network)8を介して少なくとも1台以上のPC(Personal Computer)1と、少なくとも1台以上の画像入出力装置2と、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ3と、VoIP(Voice over IP) Gateway4と、が接続されており、少なくとも1台以上のPDA(Personal Digital Assistant)6及び/又は少なくとも1台以上の携帯電話7が、PSTN(Public Switched Telephone Network)5及びVoIP Gateway4を介してLAN8に接続されている。
【0014】
ここで、PC1は、印刷データを保持(蓄積)する端末装置であって、PC1の代わりに、印刷データを蓄積する十分な蓄積手段さえ有していれば、例えばPDA6等であってもよい。但し、以下では説明の簡略化のため、印刷データを蓄積している端末装置は、PC1であるとして説明を行う。
【0015】
画像入出力装置2は、複合機等であって、PC1から送信された印刷データを受け取って、該印刷データに基づいて印刷等を行う。SIPサーバ3は、VoIPを応用したインターネット電話等で用いられる通話制御のプロトコルであるSIPに基づいた通話等に係るアクセス制御、帯域管理、アドレス解決、登録処理等を行うサーバである。
【0016】
VoIP Gateway4は、ネットワーク(又はLAN8)と、PSTN5と、を仲介(相互接続)するVoIPのゲートウェイである。PDA6及び/又は携帯電話7は、VoIPネットワークに接続し、例えばPC1等からの印刷要求に応じて、印刷を許可し、出力先を指定する。なお、ここで、VoIPネットワークとは、図1に示したPC1、SIPサーバ3、VoIP Gateway4、PSTN5等を含む、VoIPを利用した音声を送受信するネットワークのことである。
【0017】
PC1は、PDA6及び/又は携帯電話7に指定された出力先の画像入出力装置2と、印刷データ転送用のセッションを確立し、該画像入出力装置2に直接印刷データを送信し、印刷データの印刷等を要求する。
【0018】
なお、PDA6及び/又は携帯電話7による出力先の指定は、PDA6及び/又は携帯電話7のユーザからの要求に基づいて指定してもよいし、予めPDA6及び/又は携帯電話7のプログラム等に設定されている出力先を指定してもよい。
【0019】
上述したように、PDA6及び/又は携帯電話7によって出力先を指定されたPC1等は、現在通信中のPDA6及び/又は携帯電話7へ印刷データを蓄積せず、直接、画像入出力装置2に印刷データを送信し、印刷データの印刷等を要求する。
【0020】
以下、PC1の一例のハードウェア構成を、図2に示す。図2は、PCの一例のハードウェア構成図である。
【0021】
図2に示されるように、PC1は、入力装置11と、表示装置12と、ドライブ装置13と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、CPU(Central Processing Unit)17と、インターフェース装置18と、HDD(Hard Disk Drive)19と、を含む。
【0022】
入力装置11は、PC1の利用者が操作するキーボードや、マウス、ヘッドセットマイク等で構成され、PC1に各種操作信号等を入力するのに用いられる。表示装置12は、PC1の利用者が利用するディスプレイ等で構成され、各種情報を表示する。インターフェース装置18は、PC1をネットワーク等に接続するインターフェースである。
【0023】
後述する図4に示すPC1の各機能を実現させるプログラム(以下、PCプログラムという)等は、初めからPC1にインストールされているか、例えばCD−ROM等の記録媒体14によってPC1に提供されるか、ネットワークを通じてダウンロードされる。記録媒体14は、ドライブ装置13にセットされ、PCプログラムが記録媒体14からドライブ装置13を介してHDD19にインストールされる。
【0024】
ROM15は、データ等を格納する。RAM16は、PC1の起動時にHDD19からPCプログラム等を読み出して格納する。CPU17は、RAM16に読み出され格納されたPCプログラム等に従って処理を実行する。
【0025】
HDD19は、PCプログラムや、印刷データ等を格納する。
【0026】
以下、携帯電話7の一例のハードウェア構成を、図3に示す。図3は、携帯電話の一例のハードウェア構成図である。
【0027】
図3に示されるように、携帯電話7は、入力装置21と、表示装置22と、ドライブ装置23と、ROM(Read Only Memory)25と、RAM(Random Access Memory)26と、CPU(Central Processing Unit)27と、無線装置28と、を含む。
【0028】
入力装置21は、携帯電話7の利用者が操作する操作ボタン又は入力ボタン、マイク等で構成され、携帯電話7に各種操作信号等を入力するのに用いられる。表示装置22は、携帯電話7の利用者が利用するディスプレイ等で構成され、各種情報を表示する。無線装置28は、携帯電話7をPSTN5等に接続するインターフェースである。
【0029】
後述する図5に示す携帯電話7の各機能を実現させるプログラム(以下、携帯電話プログラムという)等は、初めから携帯電話7にインストールされているか、例えばminiSD等の記録媒体24によって携帯電話7に提供されるか、ネットワークを通じてダウンロードされる。記録媒体24は、ドライブ装置23にセットされ、携帯電話プログラムが記録媒体24からドライブ装置23を介してROM25又はRAM26にインストールされる。
【0030】
ROM25は、データや、例えば携帯電話プログラム等を格納する。RAM26は、例えば携帯電話7の起動時にROM25等から携帯電話プログラム等を読み出して格納するか、又は自身で携帯電話プログラムを保持する。CPU27は、RAM26に読み出され格納された、又はRAM26が保持する携帯電話プログラム等に従って処理を実行する。
【0031】
ここで、携帯電話7が、HDD等をハードウェア構成として含んでいてもよいが、印刷データを蓄積するのに十分なHDDは保持していないものとする。
【0032】
なお、PDA6のハードウェア構成や機能構成等は、後述する実施例2に示す。ここで、PDA6は、実施例1で示す携帯電話7と同様のハードウェア構成及び機能構成であってもよい。但し、以下では説明の簡略化のため、携帯電話7とPDA6とは、ハードウェア構成及び機能構成が異なるものとして説明を行う。
【0033】
以下、PC1の一例の機能構成を図4に示す。図4は、PCの一例の機能構成図である。図4に示されるように、PC1は、第一呼接続部101と、第一音声データ送受信部102と、印刷要求送信部103と、印刷データ送信部104と、を含む。
【0034】
第一呼接続部101は、当該PC1を、VoIPネットワークに接続する接続部である。第一音声データ送受信部102は、VoIPネットワークを介し、PDA6及び/又は携帯電話7等と音声データを送受信する音声データ送受信部である。印刷要求送信部103は、VoIPネットワークを介し、PDA6及び/又は携帯電話7等に印刷要求を送信する要求送信部である。印刷データ送信部104は、PDA6及び/又は携帯電話7等に指定された出力先の画像入出力装置2に対して、PDA6及び/又は携帯電話7等を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信部である。
【0035】
以下、携帯電話7の機能構成を図5に示す。図5は、携帯電話の一例の機能構成図である。図5に示されるように、携帯電話7は、第二呼接続部201と、第二音声データ送受信部202と、第一印刷許可・出力先指定部203と、を含む。第二呼接続部201は、当該携帯電話7を、VoIPネットワークに接続する接続部である。第二音声データ送受信部202は、VoIPネットワークを介し、PC1等と音声データを送受信する音声データ送受信部である。第一印刷許可・出力先指定部203は、PC1等からの通話中における印刷要求に対して、印刷許可の通知及び出力先の指定を行う印刷許可及び出力先指定部である。
【0036】
なお、PC1及び/又は携帯電話7は、音声を認識する音声認識部等を機能構成として含むようにしてもよい。
【0037】
以下、出力先指定処理の一例を、図6に示す。図6は、出力先指定処理の一例のフローチャートである。なお、以下、図6及び図7では、出力先を指定するのは携帯電話7であるとして説明を行う。
【0038】
ステップS1において、例えばPC1が、出力先を指定する携帯電話7と接続する。なお、接続する一例として、例えば後述する図7に示すように、PC1が、携帯電話7と、音声セッションを張る。
【0039】
ステップS1に続いてステップS2に進み、PC1から印刷要求を携帯電話7に送信する。例えば、PC1は、当該PC1のユーザの音声を受付けて、印刷を要求するPC1のユーザの音声を印刷要求として携帯電話7に送信する。
【0040】
ステップS2に続いてステップS3に進み、携帯電話7は、印刷を受諾(許可)するか否かを判定する。携帯電話7は、印刷を受諾すると判定すると(ステップS3においてYES)、ステップS4に進み、印刷を受諾しないと判定すると(ステップS3においてNO)、処理を終了する。携帯電話7は、例えば当該携帯電話7のユーザの音声又は該ユーザによる操作ボタン等の操作に基づいて、印刷を受諾するか否かを判定する。
【0041】
ステップS3に続いてステップS4に進み、携帯電話7は、PC1に対して出力先の画像入出力装置2を指定する。携帯電話7は、当該携帯電話7のユーザの音声又は該ユーザによる操作ボタン等の操作に基づいて、出力先の画像入出力装置2を指定してもよいし、当該携帯電話7のプログラム(携帯電話プログラム)等に設定されている出力先に基づいて、出力先の画像入出力装置2を指定してもよい。
【0042】
ステップS4に続いてステップS5に進み、PC1は、携帯電話7によって指定された出力先の画像入出力装置2と、印刷データ転送セッションを確立する。
【0043】
ステップS5に続いてステップS6に進み、PC1は、携帯電話7によって指定された出力先の画像入出力装置2に、直接、印刷データを転送する。
【0044】
ステップS6に続いてステップS7に進み、携帯電話7によって指定された出力先の画像入出力装置2は、PC1から直接転送されてきた印刷データに基づいて、印刷を開始する。
【0045】
図6に示すような処理を行うことによって、例えばPC1は、印刷データを蓄積できない又は蓄積するのに十分な蓄積手段を有しない携帯電話7等と通信中(通話中)であっても、該通信中の携帯電話7に印刷データの出力先を指定させ、該携帯電話7を介さず、印刷データを直接出力先に転送し、該出力先において印刷データを印刷させることができる。
【0046】
以下、電話中に携帯電話7のユーザが携帯電話7を用いて出力先を指定し、PC1と画像入出力装置2とで印刷データ転送セッションを確立する処理の一例のシーケンスを、図7に示す。図7は、電話中に携帯電話のユーザが携帯電話を用いて出力先を指定し、PCと画像入出力装置とで印刷データ転送セッションを確立する処理の一例のシーケンス図である。
【0047】
初めに、PC1は、携帯電話7のユーザをコールに招待するINVITEリクエストを、SIPサーバ3を介して携帯電話7に送信する(シーケンスSQ1及びシーケンスSQ2)。
【0048】
INVITEリクエストを受信したSIPサーバ3は、INVITEリクエストを受信し、処理を実行中であることを示す、暫定応答である100 Tryingを、PC1に返す(シーケンスSQ3)。また、INVITEリクエストを受信した携帯電話7は、100 Tryingを、SIPサーバ3に返す(シーケンスSQ4)一方、自身が呼ばれていることを、呼び出し音や携帯電話7の画面上で携帯電話7のユーザに通知し、暫定応答である180Ringingを、SIPサーバ3を介してPC1に返す(シーケンスSQ5及びシーケンスSQ6)。
【0049】
ここで、携帯電話7のユーザが呼び出しに応じれば、携帯電話7は、200 OKを、SIPサーバ3を介してPC1に返す(シーケンスSQ7及びシーケンスSQ8)。
【0050】
200 OKを受け取ったPC1は、ACK(acknowledge)を携帯電話7に送信する(シーケンスSQ9)。
【0051】
上述したシーケンスSQ1からシーケンスSQ9の処理を行うことによって、PC1と、携帯電話7と、は、音声セッションを確立する。
【0052】
次にPC1は、印刷要求であるINVITEリクエストを、携帯電話7に送信する(シーケンスSQ10)。
【0053】
INVITEリクエストを受信した携帯電話7は、印刷を許可(受諾)するか否かを判定し、印刷を許可すると判定すると、出力先の画像入出力装置2を指定し、該指定した出力先の画像入出力装置2を含む200 OKを、PC1に返す(シーケンスSQ11)。
【0054】
出力先の画像入出力装置2を含む200 OKを携帯電話7より受け取ったPC1は、該画像入出力装置2と印刷データの転送セッションを確立するINVITEリクエストを、該画像入出力装置2に送信する(シーケンスSQ12)。
【0055】
INVITEリクエストを受信した画像入出力装置2は、INVITEリクエストを受信し、処理を実行中であることを示す、暫定応答である100 Tryingを、PC1に返す(シーケンスSQ13)一方、自身が呼ばれていることを、画像入出力装置2のデーモンプロセス等に通知し、暫定応答である183 Session ProgressをPC1に返す(シーケンスSQ14)。
【0056】
ここで、画像入出力装置2のデーモンプロセス等が呼び出しに応じれば、画像入出力装置2は、200 OKを、PC1に返す(シーケンスSQ15)。
【0057】
200 OKを受け取ったPC1は、ACKを画像入出力装置2に送信する(シーケンスSQ16)。
【0058】
上述したシーケンスSQ10からシーケンスSQ16の処理を行うことによって、PC1と、画像入出力装置2と、は、印刷データ転送セッションを確立する。
【0059】
図7に示したような処理を行うことによって、PC1と、携帯電話7と、は、音声セッションを確立した上で、例えば通話中に、PC1は、携帯電話7に、印刷要求を送信し、携帯電話7は、印刷を許可し、出力先の画像入出力装置2等を指定することができる。また、PC1は、携帯電話7によって指定された画像入出力装置2と、印刷データ転送セッションを確立し、直接画像入出力装置2に、印刷データを送信し、印刷させることができる。
【実施例2】
【0060】
以下、PDA6の一例のハードウェア構成を、図8に示す。図8は、PDAの一例のハードウェア構成図である。
【0061】
図8に示されるように、PDA6は、入力・表示装置31と、ドライブ装置33と、ROM35と、RAM36と、CPU37と、インターフェース装置38と、HDD39と、を含む。
【0062】
入力・表示装置31は、液晶スクリーン等で構成され、PDA6に各種操作信号等を入力したり、PDA6が各種情報を表示したりするのに用いられる。インターフェース装置38は、PDA6をPSTN5等に接続するインターフェースである。
【0063】
後述する図9に示すPDA6の各機能を実現させるプログラム(以下、PDAプログラムという)等は、初めからPDA6にインストールされているか、例えばSDメモリーカード等の記録媒体34によってPDA6に提供されるか、ネットワークを通じてダウンロードされる。記録媒体34は、ドライブ装置33にセットされ、PDAプログラムが記録媒体34からドライブ装置33を介してHDD39にインストールされる。
【0064】
ROM35は、データ等を格納する。RAM36は、PDA6の起動時にHDD39からPDAプログラム等を読み出して格納する。CPU37は、RAM36に読み出され格納されたPDAプログラム等に従って処理を実行する。
【0065】
HDD39は、PDAプログラム等を格納する。なお、本実施例においては、HDD39は、印刷データを蓄積するには十分でないものとして説明を行う。
【0066】
以下、PDA6の機能構成を図9に示す。図9は、PDAの一例の機能構成図である。図9に示されるように、PDA6は、第三呼接続部301と、第二印刷許可・出力先指定部302と、を含む。第三呼接続部301は、当該PDA6を、VoIPネットワークに接続する接続部である。第二印刷許可・出力先指定部302は、PC1等からのVoIPネットワークを介したインスタントメッセージによる印刷要求に対して、VoIPネットワークを介したインスタントメッセージによる印刷許可の通知及び出力先の指定を行う印刷許可及び出力先指定部である。
【0067】
以下、通信中にPDA6のユーザがPDA6を用いて出力先を指定し、PC1と画像入出力装置2とで印刷データ転送セッションを確立する処理の一例のシーケンスを、図10に示す。図10は、通信中にPDAのユーザがPDAを用いて出力先を指定し、PCと画像入出力装置とで印刷データ転送セッションを確立する処理の一例のシーケンス図である。
【0068】
初めに、PC1と、PDA6と、は、セッション(通信セッション)を確立しているものとする。
【0069】
PC1と、PDA6と、のセッション確立後、PC1は、印刷要求であるINVITEリクエストを、インスタントメッセージを用いてPDA6に送信する(シーケンスSQ20)。
【0070】
INVITEリクエストを受信したPDA6は、印刷を許可(受諾)するか否かを判定し、印刷を許可すると判定すると、出力先の画像入出力装置2を指定し、該指定した出力先の画像入出力装置2を含む200 OKを、インスタントメッセージを用いてPC1に返す(シーケンスSQ21)。
【0071】
出力先の画像入出力装置2を含む200 OKをPDA6より受け取ったPC1は、該画像入出力装置2と印刷データの転送セッションを確立するINVITEリクエストを、該画像入出力装置2に送信する(シーケンスSQ22)。
【0072】
INVITEリクエストを受信した画像入出力装置2は、INVITEリクエストを受信し、処理を実行中であることを示す、暫定応答である100 Tryingを、PC1に返す(シーケンスSQ23)一方、自身が呼ばれていることを、画像入出力装置2のデーモンプロセス等に通知し、暫定応答である183 Session ProgressをPC1に返す(シーケンスSQ24)。
【0073】
ここで、画像入出力装置2のデーモンプロセス等が呼び出しに応じれば、画像入出力装置2は、200 OKを、PC1に返す(シーケンスSQ25)。
【0074】
200 OKを受け取ったPC1は、ACKを画像入出力装置2に送信する(シーケンスSQ26)。
【0075】
上述したシーケンスSQ20からシーケンスSQ26の処理を行うことによって、PC1と、画像入出力装置2と、は、印刷データ転送セッションを確立する。
【0076】
図10に示したような処理を行うことによって、PC1と、PDA6と、は、通信セッションを確立した上で、例えば通信中に、PC1は、PDA6に、インスタントメッセージを用いて印刷要求を送信し、PDA6は、印刷を許可し、インスタントメッセージを用いて出力先の画像入出力装置2等を指定することができる。また、PC1は、PDA6によって指定された画像入出力装置2と、印刷データ転送セッションを確立し、直接画像入出力装置2に、印刷データを送信し、印刷させることができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】印刷システムのシステム構成図である。
【図2】PCの一例のハードウェア構成図である。
【図3】携帯電話の一例のハードウェア構成図である。
【図4】PCの一例の機能構成図である。
【図5】携帯電話の一例の機能構成図である。
【図6】出力先指定処理の一例のフローチャートである。
【図7】電話中に携帯電話のユーザが携帯電話を用いて出力先を指定し、PCと画像入出力装置とで印刷データ転送セッションを確立する処理の一例のシーケンス図である。
【図8】PDAの一例のハードウェア構成図である。
【図9】PDAの一例の機能構成図である。
【図10】通信中にPDAのユーザがPDAを用いて出力先を指定し、PCと画像入出力装置とで印刷データ転送セッションを確立する処理の一例のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0079】
1 PC
2 画像入出力装置
3 SIPサーバ
4 VoIP Gateway
5 PSTN
6 PDA
7 携帯電話
101 第一呼接続部
102 第一音声データ送受信部
103 印刷要求送信部
104 印刷データ送信部
201 第二呼接続部
202 第二音声データ送受信部
203 第一印刷許可・出力先指定部
301 第三呼接続部
304 第二印刷許可・出力先指定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANを介して接続された第一の端末装置と、画像を入出力する画像入出力装置と、該LANとは、VoIPゲートウェイ及び公衆交換電話網を介して接続された第二の端末装置と、を有する印刷システムであって、
前記第一の端末装置は、
VoIPネットワークに接続する第一呼接続手段と、
VoIPネットワーク上で、前記第二の端末装置に印刷要求を送信する印刷要求送信手段と、
前記第二の端末装置に指定された出力先の前記画像入出力装置に対して、前記第二の端末装置を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記第一の端末装置は、前記第二の端末装置とVoIPネットワーク上で音声データを送受信する第一音声データ送受信手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第二の端末装置は、
VoIPネットワークに接続する第三呼接続手段と、
前記第一の端末装置とVoIPネットワーク上で音声データを送受信する第二音声データ送受信手段と、
前記第一の端末装置からの通話中における印刷要求に対して、印刷許可の通知及び出力先の指定を行う第一印刷許可・出力先指定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第二の端末装置は、
VoIPネットワークに接続する第二呼接続手段と、
前記第一の端末装置からのVoIPネットワーク上でのインスタントメッセージによる印刷要求に対して、VoIPネットワーク上でのインスタントメッセージによる印刷許可の通知及び出力先の指定を行う第二印刷許可・出力先指定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷システム。
【請求項5】
LANを介して接続された第一の端末装置と、画像を入出力する画像入出力装置と、該LANとは、VoIPゲートウェイ及び公衆交換電話網を介して接続された第二の端末装置と、を有する印刷システムにおける印刷データ送信方法であって、
前記第一の端末装置が、VoIPネットワーク上で、前記第二の端末装置に印刷要求を送信する印刷要求送信段階と、
前記第一の端末装置が、前記第二の端末装置に指定された出力先の前記画像入出力装置に対して、前記第二の端末装置を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信段階と、
を有することを特徴とする印刷データ送信方法。
【請求項6】
前記第一の端末装置が、前記第二の端末装置に指定された出力先の前記画像入出力装置と、印刷データ転送セッションを確立する印刷データ転送セッション確立段階を更に有することを特徴とする請求項5記載の印刷データ送信方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載の印刷データ送信方法を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
LANを介して、画像を入出力する画像入出力装置と、VoIPゲートウェイと、に接続された第一の端末装置であって、
VoIPネットワークに接続する第一呼接続手段と、
VoIPネットワーク上で、前記VoIPゲートウェイ及び公衆交換電話網を介して前記LANと接続されている前記第二の端末装置に、印刷要求を送信する印刷要求送信手段と、
前記第二の端末装置に指定された出力先の前記画像入出力装置に対して、前記第二の端末装置を介さず、印刷データを送信する印刷データ送信手段と、
を有することを特徴とする第一の端末装置。
【請求項10】
前記第二の端末装置とVoIPネットワーク上で音声データを送受信する第一音声データ送受信手段を更に有することを特徴とする請求項9記載の第一の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−109362(P2006−109362A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296733(P2004−296733)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】