説明

印刷システム、印刷管理装置およびプログラム

【課題】複数のプリンタにおける印刷用紙の補充をより効率的に行うことが可能な印刷システム等を提供する。
【解決手段】複数のプリンタ(10a,10b,10c)ごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻TQ(T11,T12,T17,T18,...)が推定される。また、時刻TQに基づいて用紙補充推奨時刻TP(用紙補充の推奨タイミング)が決定される。時刻TX(全てのプリンタに関して少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる時刻)が、時刻TY(少なくとも1つのプリンタの全ての給紙トレイに用紙切れが生じる時刻)よりも前の時刻である場合には、時刻TXが用紙補充推奨時刻TPとして決定される。一方、時刻TYが時刻TXよりも前の時刻である場合には、時刻TZ(時刻TYよりも早く到来する用紙切れ発生時刻TQのうち最も遅く到来する時刻TQ)が用紙補充推奨時刻TPとして決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムおよびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷システムにおいてプリントジョブ(特に大量のプリントジョブ)が実行される際には、プリンタの給紙トレイに対する用紙(印刷用紙)の補充が行われる。
【0003】
特許文献1においては、1台のプリンタの用紙トレイ内の用紙残量と入力された印刷情報を印刷するために必要な印刷用紙量とに基づいて「用紙切れ時間」(用紙切れが発生する時刻)を予測し、「用紙切れ時間」を表示する技術が記載されている。なお、特許文献1に記載の技術は、1台のプリンタに関する「用紙切れ時間」を求める技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−230286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷システムにおいては、大量の印刷出力を複数のプリンタを用いて処理するものが存在する。たとえば、多数の部数に係るプリントジョブを複数のプリンタに振り分けて分散的に印刷出力するものが存在する。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術を用いて、複数のプリンタのそれぞれの「用紙切れ時間」において用紙補充をその都度行うものとすると、比較的頻繁に用紙の補充を行うことが求められる。
【0007】
また、大量の印刷出力を実行する印刷システムにおいては、システムオペレータによって用紙補充等が行われることが多い。ただし、当該オペレータは、プリンタの前に常に存在しているのではなく、通常は、プリンタの載置場所以外の場所(たとえば、操作用のクライアントコンピュータの前の自席)に主に存在している。そして、用紙切れが発生すると、当該オペレータは、プリンタの載置場所以外の場所から、プリンタの載置場所へと移動して、用紙の補充動作を行う。
【0008】
このような状況において、上記のように複数のプリンタでの用紙の補充が発生するごとにプリンタの載置場所へ移動して用紙の補充を行う場合には、プリンタの載置場所と他の場所(クライアントコンピュータの載置場所)との間を頻繁に往来することが求められ、非効率的である。
【0009】
そこで、この発明の課題は、複数のプリンタにおける印刷用紙の補充をより効率的に行うことが可能な印刷システム、およびそれに関連する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、印刷システムであって、複数のプリンタのそれぞれの印刷速度と前記複数のプリンタごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれの用紙残量とに基づいて、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻をそれぞれ推定する推定手段と、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにおける前記用紙切れ発生時刻に基づいて、少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充の推奨タイミングである用紙補充推奨時刻を決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記複数のプリンタのうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる第1の時刻と、前記複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる第2の時刻と、を比較し、前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第1の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第2の時刻よりも早く到来する前記用紙切れ発生時刻のうち、最も遅く到来する前記用紙切れ発生時刻である第3の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、前記決定手段は、前記複数のプリンタのうち、受付済みのプリントジョブの実行中において用紙切れが発生しないプリンタを除外したプリンタを対象プリンタとして決定し、前記対象プリンタのうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる時刻を前記第1の時刻として決定し、前記対象プリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる時刻を前記第2の時刻として決定し、前記第1の時刻と前記第2の時刻とに基づいて前記用紙補充推奨時刻を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係る印刷システムにおいて、複数の部数の印刷出力を伴うプリントジョブが前記複数のプリンタの一部または全部に振り分けられて分散的に実行されることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、複数のプリンタの印刷を管理する印刷管理装置であって、前記複数のプリンタのそれぞれの印刷速度と前記複数のプリンタごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれの用紙残量とに基づいて、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻をそれぞれ推定する推定手段と、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにおける前記用紙切れ発生時刻に基づいて、少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充の推奨タイミングである用紙補充推奨時刻を決定する決定手段と、を備え、前記決定手段は、前記複数のプリンタのうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる第1の時刻と、前記複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる第2の時刻と、を比較し、前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第1の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第2の時刻よりも早く到来する前記用紙切れ発生時刻のうち、最も遅く到来する前記用紙切れ発生時刻である第3の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、コンピュータに、a)複数のプリンタのそれぞれの印刷速度と前記複数のプリンタごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれの用紙残量とに基づいて、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻をそれぞれ推定するステップと、b)前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにおける前記用紙切れ発生時刻に基づいて、少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充の推奨タイミングである用紙補充推奨時刻を決定するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記ステップb)は、b−1)前記複数のプリンタのうちの全てのプリンタに関して少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる第1の時刻と、前記複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して全ての給紙トレイに用紙切れが生じる第2の時刻と、を比較するステップと、b−2)前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第1の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第2の時刻よりも早く到来する前記用紙切れ発生時刻のうち最も遅く到来する前記用紙切れ発生時刻である第3の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし請求項5に記載の発明によれば、用紙補充推奨時刻において纏めて用紙補充を行うことが可能であるので、複数のプリンタにおける印刷用紙の補充をより効率的に行うことが可能である。特に、第2の時刻よりも早い時刻が用紙補充推奨時刻として決定されるので、プリンタの印刷動作の中断を回避ないし抑制することができる。したがって、生産性の低下を回避ないし抑制しつつ、効率的に用紙補充を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】印刷システムの構成を示す概略図である。
【図2】サーバのハードウエア構成を示す概念図である。
【図3】サーバにおける処理部を示す概念図である。
【図4】プリントジョブの指定動作を行う設定画面を示す図である。
【図5】第2の技術に係る動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】第2の技術において生じる問題を説明する図である。
【図7】第3の技術に係る動作例を示すタイミングチャートである。
【図8】5台のプリンタにおける動作例を示す図である。
【図9】図8の動作例における用紙補充推奨時刻をも示す図である。
【図10】5台のプリンタにおける別の動作例を示す図である。
【図11】図10の動作例における用紙補充推奨時刻をも示す図である。
【図12】用紙補充推奨時刻を表示する表示画面を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る動作の一例について説明する図である。
【図14】図13の動作例において対象プリンタを絞り込んだ様子を示す図である。
【図15】図14の動作例において用紙補充推奨時刻をも示す図である。
【図16】第1の技術に係る動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
<1.第1実施形態>
<1−1.システム概要>
図1は、印刷システム(プリントシステム)100の構成を示す概略図である。
【0019】
このプリントシステム100においては、複数の部数の印刷出力を伴うプリントジョブを、複数のプリンタに振り分けて分散的に実行させる印刷処理(「部数クラスタ印刷処理」とも称する)を行うことが可能である。
【0020】
図1に示すように、印刷システム100は、印刷出力機構等をそれぞれ有する複数のプリンタ(印刷装置ないし印刷出力装置とも称する)10(ここでは10a,10b,10c)と、複数のプリンタ10における印刷処理を管理するサーバコンピュータ(印刷管理装置とも称する)50と、オペレータ(操作者)UAからの印刷指示等を受け付けるクライアントコンピュータ70とを備える。コンピュータ50は単に「サーバ」とも称され、コンピュータ70は単に「クライアント」とも称される。
【0021】
各プリンタ10とサーバ50とクライアント70とは、ネットワークNWを介して接続されており、ネットワーク通信を実行することが可能である。なお、ネットワークNWは、LAN、WAN、インターネットなどによって構成される。また、ネットワークNWへの接続形態は、有線接続であってもよく或いは無線接続であってもよい。
【0022】
各プリンタ(印刷装置)10は、複数の給紙トレイ(用紙トレイ)をそれぞれ有している。各プリンタ10の給紙トレイの数は、互いに異なっていてもよく同一でもよい。また各プリンタ10における各給紙トレイの容量(収容可能な用紙枚数)も、互いに異なっていてもよく同一でもよい。給紙トレイに関するこれらの情報(給紙トレイの「数」、「容量(収容可能な用紙枚数)」等)は、サーバ50において記憶され管理されている。なお、ここでは、簡単化のため、各プリンタ10は、それぞれ、2つの給紙トレイを備えているものとする。
【0023】
また、各プリンタの印刷速度は、互いに異なっていてもよく、同一でもよい。各プリンタの印刷速度に関する情報も、サーバ50において記憶され管理されている。
【0024】
サーバ50は、コンピュータシステム(コンピュータ)として構成される。具体的には、図2に示すように、サーバ50は、CPU22、半導体メモリ(RAM等)23、ハードディスクドライブ24、表示部(液晶表示部等)25、および入力部(キーボード、マウス等)26等を備えて構成される。サーバ50は、そのハードディスクドライブ24等に格納された(インストールされた)各種のプログラムをCPU22等を用いて実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、各プログラムは、CD−ROM、DVD−ROMおよびUSBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録されており、当該記録媒体を介してサーバ50にインストールされる。あるいは、各プログラムは、ネットワーク等を介してサーバ50にインストールされるようにしてもよい。
【0025】
具体的には、図3に示すように、サーバ50は、印刷指示受付部61、推定部62、決定部63、印刷出力用データ生成部64およびデータ送信部65等を含む各種の処理部を実現する。
【0026】
印刷指示受付部61は、ユーザからの印刷指示(クライアント70からの印刷指示)を受け付ける処理部である。当該印刷指示には、プリントジョブを「部数クラスタ印刷」で実行すべき旨の内容等が含まれ得る。たとえば、1部の印刷用紙枚数が100枚のファイルを120部(合計12000枚)を印刷出力するにあたって、40部ずつの印刷出力を3台のプリンタに振り分けて印刷する印刷指示(部数クラスタ印刷指示)等が受け付けられる。
【0027】
推定部62は、複数のプリンタ10a,10b,10cごとに設けられた複数(ここでは2つ)の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻TQをそれぞれ推定する処理部である。用紙切れ発生時刻TQは、複数のプリンタ10a,10b,10cのそれぞれの印刷速度Va,Vb,Vcとプリントジョブの実行時における複数のプリンタのそれぞれにおける印刷枚数と各給紙トレイにおける用紙残量とに基づいて、算出されて推定される。推定部62は、用紙切れ発生時刻推定部とも称される。
【0028】
なお、各プリンタ10a,10b,10cの印刷速度Va,Vb,Vc、各プリンタ10a,10b,10cの給紙トレイの数、および各給紙トレイの容量、および各給紙トレイの用紙残量に関する情報等は、格納部5に記憶され管理されている。
【0029】
決定部63は、複数のプリンタ10a,10b,10cのうちの少なくとも1つのプリンタの少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充のタイミング(推奨タイミング)である用紙補充推奨時刻TPを決定する処理部である。用紙補充推奨時刻TPは、複数のプリンタ10a,10b,10cごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれにおける用紙切れ発生時刻TQに基づいて決定される。より詳細には、後述するように、用紙切れ発生時刻TQに基づいて算出された時刻TX,TY,YZに基づいて、用紙補充推奨時刻TPが決定される。なお、決定部63は、用紙補充推奨時刻決定部とも称される。
【0030】
印刷出力用データ生成部64は、各プリントジョブに係る印刷出力用データ(詳細には、各プリンタ10での印刷出力に用いられる印刷出力用データ)を生成する処理部である。
【0031】
データ送信部65は、印刷出力用データ生成部64によって生成された印刷出力用データを各印刷装置10に向けて送信する処理部である。
【0032】
プリンタ10は、サーバ50から送信されてきた印刷出力用データを用いて、印刷出力動作を実行する。
【0033】
クライアントコンピュータ70も、サーバ50等と同様に、コンピュータシステム(コンピュータ)として構成される。クライアント70は、そのハードディスク等に格納された(インストールされた)各種のソフトウエアプログラム(単に「プログラム」とも称する)をそのCPU等を用いて実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、各プログラムは、CD−ROM、DVD−ROMおよびUSBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録されており、当該記録媒体を介してクライアント70にインストールされる。あるいは、各プログラムは、ネットワーク等を介してクライアント70にインストールされるようにしてもよい。
【0034】
クライアント70は、オペレータ(操作者)による印刷指示等を受け付け、当該印刷指示をサーバ50に対して送信する。クライアント70は、サーバ50と協働して、このシステムにおける印刷処理を管理する。
【0035】
<1−2.動作概要>
つぎに、このシステム100における動作について説明する。
【0036】
図4は、プリントジョブの指定動作を行う設定画面GA1を示す図である。設定画面GA1は、適宜の操作によってクライアント70の表示部に表示される。
【0037】
この印刷システム100では、クライアント70に表示される設定画面GA1を用いて、印刷対象データ(印刷対象ファイル)に対する印刷指示がオペレータ(操作ユーザ)により付与される。ここでは、「部数クラスタ印刷」のプリンタジョブが指定される場合を例示する。
【0038】
設定画面GA1の左側には「プリントジョブリスト」欄が設けられており、設定画面GA1の右側には「部数クラスタ設定」欄が設けられている。
【0039】
左側の「プリントジョブリスト」欄には、1または複数のプリントジョブ(ここでは5つのプリントジョブJB1〜JB5)が列挙されている。各プリントジョブには、その印刷対象ファイルとその印刷部数とを含む各種の情報が関連付けて記憶されている。たとえば、最上段のプリントジョブJB1は、ファイル名「TEST0001.DOC」のファイルを印刷対象ファイルとし且つ「120部」の部数の印刷出力を伴う、プリントジョブである。
【0040】
また、右側の「部数クラスタ設定」欄には、1または複数の設定(ここでは3つの設定ST1〜ST3)に対応するアイコンが表示されている。各アイコンには、部数クラスタに関する各設定がそれぞれ関連付けられている。
【0041】
たとえば、最上段のアイコンには、設定ST1が関連付けられている。設定ST1は、対象のプリントジョブを3つのプリンタ10a,10b,10cに対して均等に割り付ける設定である。たとえば、「120部」の部数のジョブJB1に関して設定ST1が適用される場合には、プリンタ10aに「40部」の印刷出力、プリンタ10bに「40部」の印刷出力、プリンタ10cに「40部」の印刷出力がそれぞれ割り付けられる。
【0042】
同様に、その下のアイコンには、設定ST2が関連付けられている。設定ST2は、対象のプリントジョブを3つのプリンタ10a,10b,10cに対して「5:3:2」の割合で割り付ける設定である。たとえば、「120部」の部数のジョブJB1に関して設定ST2が適用される場合には、プリンタ10aに「60部」の印刷出力、プリンタ10bに「36部」の印刷出力、プリンタ10cに「24部」の印刷出力がそれぞれ割り付けられる。
【0043】
操作ユーザUAは、設定画面GA1内の左側のプリントジョブリスト欄に列挙されたプリントジョブの中から所望のプリントジョブを選択し、ドラッグアンドドロップ操作によって、当該プリントジョブに対して適用すべき設定を決定する。たとえば、操作ユーザUAは、ジョブJB1に対応する矩形図形を手指で押下した後、ドラッグ操作によって、設定ST1に対応するアイコン上にまで当該矩形図形を移動させた後に、当該矩形図形を離す(ドロップする)。これによって、プリントジョブJB1を設定ST1で実行すべき旨の印刷指示が付与される。サーバ50は、クライアント70からの当該印刷指示を受信する。
【0044】
以下では、プリントジョブJB1を設定ST1で実行すべき旨の印刷指示が付与された場合における、印刷動作、特に、用紙の補充タイミング等についてさらに詳細に説明する。ここでは、3種類の技術(第1の技術、第2の技術、第3の技術)について順次に説明する。後述するように、これらの3つの技術の中では、第3の技術を採用することが最も好ましい。
【0045】
<第1の技術>
図16は、第1の技術に係る動作例を示すタイミングチャートである。この第1の技術は、特許文献1に記載の技術を複数のプリンタの用紙補充に応用した技術に類似する。
【0046】
この例では、まず、時刻T11においてプリンタ10a(最上段参照)の1段目の給紙トレイRA1に用紙切れが発生する。つぎに、時刻T12においてプリンタ10b(中段参照)の1段目の給紙トレイRB1に用紙切れが発生し、時刻T13においてプリンタ10c(最下段参照)の1段目の給紙トレイRC1に用紙切れが発生する。
【0047】
オペレータUAは、各時刻T11,T12,T13において、それぞれ、個別に用紙補充動作を実行する。具体的には、オペレータUAは、時刻T11においてプリンタ10aの1段目の給紙トレイRA1に対する用紙補充を行い、その後、自席(クライアントコンピュータの載置場所等)に戻る。つぎに、所定時間経過後の時刻T12において、オペレータUAは、プリンタ10bの1段目の給紙トレイRB1に対する用紙補充を行い、その後、自席に戻る。さらに、所定時間経過後の時刻T13において、オペレータUAは、プリンタ10cの1段目の給紙トレイRC1に対する用紙補充を行い、その後、自席に戻る。
【0048】
同様に、時刻T21においてプリンタ10a(最上段参照)の2段目の給紙トレイRA2に用紙切れが発生し、時刻T22においてプリンタ10b(中段参照)の2段目の給紙トレイRB2に用紙切れが発生し、時刻T23においてプリンタ10c(最下段参照)の2段目の給紙トレイRC2に用紙切れが発生する。
【0049】
オペレータUAは、各時刻T21,T22,T23においても、それぞれ、個別に用紙補充動作を実行する。具体的には、オペレータUAは、時刻T21においてプリンタ10aの2段目の給紙トレイRA2に対する用紙補充を行い、その後、自席に戻る。つぎに、オペレータUAは、時刻T22においてプリンタ10bの2段目の給紙トレイRB2に対する用紙補充を行い、その後、自席に戻る。さらに、オペレータUAは、時刻T23において、プリンタ10cの2段目の給紙トレイRC2に対する用紙補充を行い、その後、自席に戻る。
【0050】
さらに、時刻T31以降も同様の動作が繰り返される。
【0051】
以上のような第1の技術においては、各プリンタの各給紙トレイに用紙切れが発生するたびに、オペレータUAが自席から各プリンタの載置場所へと移動して用紙補充動作を行い再び自席に戻る。そのため、オペレータUAは自席と各プリンタの載置場所との間を頻繁に往来することが求められる。このような頻繁な往来動作は、非効率的である。
【0052】
<第2の技術>
一方、次のような第2の技術によれば、往来動作を低減し、効率性を向上させることが可能である。
【0053】
図5は、第2の技術に係る動作例を示すタイミングチャートである。この第2の技術は、複数のプリンタ10(ここでは10a,10b,10c)のうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる時刻TXを求め、当該時刻TXを用紙補充推奨時刻TPとして決定する技術である。端的に言えば、時刻TXは、全てのプリンタ10a,10b,10cに用紙切れが生じる(最先の)時刻である。
【0054】
時刻TXは、各プリンタの各給紙トレイにおける各用紙切れ発生時刻TQに基づいて求められる。また、各プリンタの各給紙トレイにおける各用紙切れ発生時刻TQは、各プリンタの印刷速度(Va,Vb,Vc)とプリントジョブの実行時における各プリンタでの印刷枚数(それぞれ「40部」ずつ)と各プリンタにおける各給紙トレイの用紙残量とに基づいて、推定部62によって算出される。
【0055】
図5においても、上記の第1の技術に係る図16と同様に、各時刻T11、T12,T13,T21,T22,T23において、それぞれ、用紙切れが発生する。換言すれば、各時刻T11、T12,T13,T21,T22,T23は、それぞれ、用紙切れ発生時刻TQである。
【0056】
ただし、この第2の技術では、時刻T11,T12においては用紙の補充は未だ実行されない。そして、全てのプリンタ10a,10b,10cに用紙切れが生じる時刻TXである時刻T13において、3つの給紙トレイRA1,RB1,RC1に対する用紙補充動作が纏めて実行される。
【0057】
また、この第2の技術では、同様に、時刻T21,T22においては用紙の補充は実行されない。そして、全てのプリンタ10a,10b,10cに用紙切れが生じる時刻TXである時刻T23において、3つの給紙トレイRA2,RB2,RC2に対する用紙補充動作が纏めて実行される。より詳細には、時刻T23は、時刻T13における補充後において、全てのプリンタ10a,10b,10cに用紙切れが生じる(最先の)時刻TXである。換言すれば、時刻T23は、前回の用紙補充後における次の「時刻TX」である。
【0058】
ここにおいて、各プリンタ10a,10b,10cは、それぞれ、複数(ここでは2つ)の給紙トレイを有している。そして、或るプリンタの少なくとも1つの給紙トレイに用紙が残存している限りは、当該或るプリンタの印刷動作は続行される。たとえば、プリンタ10aの1つの給紙トレイRA1に用紙切れが発生しても、他の給紙トレイRA2に用紙が残存している場合には、当該給紙トレイRA2内の用紙を用いて、印刷動作が継続される。このように、或るプリンタの全ての給紙トレイに用紙切れが発生しない限りは、当該或るプリンタの印刷動作は中断しない。換言すれば、或るプリンタの全ての給紙トレイに用紙切れが発生すると、当該或るプリンタによる印刷動作は中断する。
【0059】
上記のような第2の技術によれば、用紙補充の機会を時刻T11,T12,T13,T21,T22,T23の合計6回(あるいは、時刻T31を加えた7回)から、時刻T13,T23の2回に低減することが可能である。すなわち、用紙補充を纏めて行うことによって、用紙補充作業の機会(回数)を低減することができる。これにより、オペレータの往来の回数を低減して、交換作業の効率化を図ることができる。
【0060】
しかしながら、このような第2の技術においては、次のような問題が生じる。
【0061】
図6は、第2の技術において生じる問題を説明する図である。
【0062】
図6においては、図5とは異なるタイミングで用紙切れが発生する場合が示されている。
【0063】
時刻T11で給紙トレイRA1に用紙切れが発生し、時刻T12で給紙トレイRB1に用紙切れが発生する点は共通である。
【0064】
しかしながら、その後、時刻T17においてプリンタ10aの2段目のトレイRA2にも用紙切れが発生する。
【0065】
上述したように、或るプリンタの全ての給紙トレイに用紙切れが発生すると、当該プリンタによる印刷動作は中断する。時刻T17においては、プリンタ10aの全ての給紙トレイRA1,RA2に用紙切れが発生している。そのため、プリンタ10aの印刷動作が中断してしまう。この場合には、時刻T17から用紙補充が完了する時刻までの期間TMにおいてプリンタ10aの印刷動作が中断するため、生産性が低下する、という問題が生じる。
【0066】
<第3の技術>
そこで、本願発明者は、さらに次のような第3の技術を案出した。
【0067】
図7は、第3の技術に係る動作例を示すタイミングチャートである。この第3の技術は、上記の時刻TXに加えて、次述する時刻TY等をも考慮して、用紙補充推奨時刻TPを決定する技術である。時刻TYは、複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタ(いずれかのプリンタ)に関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる(最先の)時刻である。たとえば、図6および図7において、プリンタ10aの全ての給紙トレイRA1,RA2に用紙切れが生じる時刻T17が、時刻TYである。
【0068】
この第3の技術においては、決定部63は、上記の時刻TXと時刻TYとを比較し、その比較結果に応じて用紙補充推奨時刻TPを決定する。
【0069】
具体的には、時刻TXが時刻TYよりも前(先)の時刻である(TX<TY)場合には、時刻TXが用紙補充推奨時刻TPとして決定される。
【0070】
一方、時刻TYが時刻TXよりも前の時刻である(TY<TX)場合には、時刻TYよりも早く到来する用紙切れ発生時刻TQのうち、最も遅く到来する用紙切れ発生時刻TQである第3の時刻TZが用紙補充推奨時刻TPとして決定される。
【0071】
時刻TX、時刻TYおよび時刻TZは、それぞれ、各プリンタの各給紙トレイにおける各用紙切れ発生時刻TQに基づいて求められる。なお、上述したように、各プリンタの各給紙トレイにおける各用紙切れ発生時刻TQは、各プリンタの印刷速度とプリントジョブの実行時における各プリンタでの印刷枚数と各プリンタにおける各給紙トレイの用紙残量とに基づいて、推定部62によって算出される。より詳細には、たとえば、プリンタ10aの印刷速度Vaが「50」(枚/分)であり、プリンタ10aでの印刷枚数が「1000」枚であり、プリンタ10aの1段目の給紙トレイRA1の用紙残量が「800」枚である場合には、給紙トレイRA1の用紙切れ発生時刻TQが、「16分」(=800/50)後の時刻として算出される。このとき、プリンタ10aでの印刷枚数(「1000」枚)がプリンタ10aの1段目の給紙トレイRA1の用紙残量(「800」枚)よりも大きいことを条件として、給紙トレイRA1での用紙切れの発生が認識され、給紙トレイRA1の用紙切れ発生時刻TQが算出される。なお、仮にプリンタ10aでの印刷枚数(例えば700枚)が給紙トレイRA1の用紙残量(例えば900枚)よりも小さい場合には、当該給紙トレイRA1での用紙切れは発生せず、給紙トレイRA1の用紙切れ発生時刻TQは算出されない。
【0072】
より具体的には、図7に示す状況においては、時刻TYが時刻TXよりも前(先)の時刻である(TY<TX)と判定される。ここで、時刻TXは、全てのプリンタ10a,10b,10cに関して、少なくとも1つの給紙トレイ(RA1,RB1,RC1)に用紙切れが生じる時刻T18である。また、時刻TYは、複数のプリンタのうちのプリンタ10aに関して、全ての給紙トレイRA1,RA2に用紙切れが生じる時刻T17である。時刻T17は、時刻T18よりも前(先)の時刻であるため、時刻TYは時刻TXより前(先)の時刻であると判定される。
【0073】
時刻TYが時刻TXよりも前の時刻である(TY<TX)と判定される場合には、時刻TZが求められる。時刻TZは、時刻TY(T17)よりも早く到来する用紙切れ発生時刻TQ(T11,T12)のうち、最も遅く到来する用紙切れ発生時刻TQ(T12)である。
【0074】
ここでは、時刻T12が時刻TZとして求められる。そして、当該時刻TZ(T12)が用紙補充推奨時刻TPとして決定される。
【0075】
これによれば、時刻TY(複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる時刻)よりも早い時刻において、用紙が補充される。したがって、或るプリンタにおいて全ての給紙トレイに用紙切れが生じて当該或るプリンタの印刷動作が中断することを回避ないし抑制することができる。したがって、生産性の低下を回避ないし抑制することが可能である。
【0076】
また、図5に示す状況においては、時刻TXが時刻TYよりも前(先)の時刻である(TX<TY)と判定される。ここで、時刻TXは、全てのプリンタ10a,10b,10cに関して、少なくとも1つの給紙トレイ(RA1,RB1,RC1)に用紙切れが生じる時刻T13である。また、時刻TYは、複数のプリンタのうちのプリンタ10aに関して、全ての給紙トレイRA1,RA2に用紙切れが生じる時刻T21である。時刻T13は、時刻T21よりも前(先)の時刻であるため、時刻TXは時刻TYより前(先)の時刻であると判定される。
【0077】
このように、時刻TX(T13)が時刻TY(T21)よりも前の時刻である(TX<TY)と判定される場合には、時刻TX(T13)が用紙補充推奨時刻TPとして決定される。
【0078】
<1−3.動作例>
この実施形態においては、上述の第3の技術が採用されるものとする。第3の技術による動作例をさらに詳細に説明する。
【0079】
図8は、5台のプリンタ10a,10b,10c,10d,10eにおける動作例を示す図である。図8においては、各時刻T11、T12,T13において図5等と同様に用紙切れが発生する。また、時刻T14においてプリンタ10eの1段目の給紙トレイRE1に用紙切れが発生し、時刻T15においてプリンタ10dの1段目の給紙トレイRD1に用紙切れが発生する。さらに、時刻T21においてプリンタ10bの2段目の給紙トレイRB2に用紙切れが発生し、時刻T22においてプリンタ10aの2段目の給紙トレイRA2に用紙切れが発生し、時刻T23においてプリンタ10eの2段目の給紙トレイRE2に用紙切れが発生する。
【0080】
このような用紙切れ発生時刻TQ(T11〜T15,T21〜T23)は、プリントジョブの投入時点(設定画面GA1(図4)を用いた、「部数クラスタ印刷」の指示時点)の直後において、推定部62により推定されて予め求められる。
【0081】
引き続いて、推定部62は、これら複数の用紙切れ発生時刻TQに基づいて、時刻TXおよび時刻TYを求める。
【0082】
具体的には、5台の全てのプリンタ10a〜10eに関して、少なくとも1つの給紙トレイ(RA1,RB1,RC1,RD1,RE1)に用紙切れが生じる時刻T15が、時刻TXとして求められる。また、複数のプリンタのうちのプリンタ10bに関して、全ての給紙トレイRB1,RB2に用紙切れが生じる時刻T21が、時刻TYとして求められる。
【0083】
そして、決定部63は、時刻TXと時刻TYとの対比結果に基づいて、用紙補充推奨時刻TPを決定する。
【0084】
この場合には、時刻TX(T15)が時刻TY(T21)よりも前の時刻である(TX<TY)と判定され、時刻TX(T15)が用紙補充推奨時刻TPとして決定される(図9参照)。図9の最下段においては、5つの給紙トレイRA1,RB1,RC1,RD1,RE1の用紙補充が時刻T15に実行されることが示されている。
【0085】
上述の推定部62による用紙切れ発生時刻TQの推定動作、および決定部63等による用紙補充推奨時刻TPの決定動作が、設定画面GA1を用いた印刷指示時点の直後に実行され、その後、直ちに(例えば時刻T11よりも前の時刻に)表示画面GA2(図12参照)がクライアント70の表示部に表示される。すなわち、表示画面GA2は、設定画面GA1による印刷指示後に(ほぼ直後に)クライアント70の表示部に表示される。
【0086】
そして、表示画面GA2において、用紙補充推奨時刻TPおよび補充対象の給紙トレイ等が表示される。図12の表示画面GA2においては、プリンタ10aの給紙トレイRA1とプリンタ10bの給紙トレイRB1とプリンタ10cの給紙トレイRC1とプリンタ10dの給紙トレイRD1とプリンタ10eの給紙トレイRE1とに対する用紙補充を用紙補充推奨時刻TP(「15:00」)に行うことが推奨されている。
【0087】
また、図10は、5台のプリンタ10a,10b,10c,10d,10eにおける別の動作例を示す図である。図10においては、各時刻T11、T12,T13,T14において図8等と同様に用紙切れが発生する。
【0088】
さらに、時刻T16においてプリンタ10aの2段目の給紙トレイRA2に用紙切れが発生する。なお、図8とは異なり、時刻T15における給紙トレイRD1の用紙切れは発生しない。換言すれば、時刻T15では、プリンタ10dの1段目の給紙トレイRD1における用紙切れは未だ発生していない。また、図8とは異なり、時刻T22における給紙トレイRA2の用紙切れも発生しない。
【0089】
そして、時刻T21においてプリンタ10bの2段目の給紙トレイRB2に用紙切れが発生し、時刻T23においてプリンタ10eの2段目の給紙トレイRE2に用紙切れが発生する。
【0090】
その後、時刻T24においてプリンタ10dの1段目の給紙トレイRD1に用紙切れが発生する。
【0091】
このような用紙切れ発生時刻TQ(T11〜T14,T16,T21,T23,T24)は、プリントジョブの投入時点(設定画面GA1(図4)を用いた、「部数クラスタ印刷」の指示時点)において、推定部62により推定されて予め求められる。
【0092】
また、推定部62は、これら複数の用紙切れ発生時刻TQに基づいて、時刻TXおよび時刻TYを求める。
【0093】
具体的には、5台の全てのプリンタ10a〜10eに関して、少なくとも1つの給紙トレイ(RA1,RB1,RC1,RD1,RE1)に用紙切れが生じる時刻T24が、時刻TXとして求められる。また、複数のプリンタのうちのプリンタ10aに関して、全ての給紙トレイRA1,RA2に用紙切れが生じる時刻T16が、時刻TYとして求められる。
【0094】
この場合には、時刻TY(T16)が時刻TX(T24)よりも前の時刻である(TY<TX)と判定され、時刻TZがさらに求められる。時刻TZは、時刻TY(T16)よりも早く到来する用紙切れ発生時刻TQ(T11〜T14)のうち、最も遅く到来する用紙切れ発生時刻TQ(T14)である。
【0095】
ここでは、時刻T14が時刻TZとして求められ、当該時刻TZ(T14)が用紙補充推奨時刻TPとして決定される(図11参照)。図11の最下段においては、4つの給紙トレイRA1,RB1,RC1,RE1の用紙補充が時刻T14に実行されることが示されている。
【0096】
上述の推定部62による用紙切れ発生時刻TQの推定動作、および決定部63等による用紙補充推奨時刻TPの決定動作が、設定画面GA1を用いた印刷指示時点の直後に実行され、その後、直ちに(例えば時刻T11よりも前の時刻に)表示画面GA2(詳細にはGA22(不図示))がクライアント70の表示部に表示される。表示画面GA22は、図12の設定画面GA2(GA21とも称する)と同様の画面である。当該画面GA22には、たとえば、「プリンタ10aの給紙トレイRA1とプリンタ10bの給紙トレイRB1とプリンタ10cの給紙トレイRC1とプリンタ10eの給紙トレイRE1とに対する用紙補充を用紙補充推奨時刻TP(「14:00」)に行うこと」が推奨されて表示される。
【0097】
以上の動作によれば、用紙補充推奨時刻TPにおいて纏めて用紙補充を行うことが可能であるので、複数のプリンタにおける印刷用紙の補充をより効率的に行うことが可能である。
【0098】
また特に、図8および図10のいずれの場合にも、時刻TY(複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる時刻)よりも早い時刻において、用紙が補充される。図8の場合には時刻TXに用紙補充が行われ(図9も参照)、図10の場合には時刻TZに用紙補充が行われる(図11も参照)。したがって、或るプリンタにおいて全ての給紙トレイに用紙切れが生じて当該或るプリンタの印刷動作が中断すること、を回避ないし抑制することができる。したがって、生産性の低下を回避ないし抑制しつつ、効率的に用紙補充を行うことが可能である。
【0099】
<2.第2実施形態>
上記実施形態においては、複数のプリンタの全てを対象にして、時刻TXと時刻TYとが決定される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、複数のプリンタのうち、「(その時点(現時点)で指示済み(受付済み)の)プリントジョブの実行中には用紙切れが発生しないプリンタ」を対象から除外して、時刻TXと時刻TYとが決定されるようにしてもよい。
【0100】
この第2実施形態においては、このような態様について例示する。
【0101】
図13〜図15は、第2実施形態に係る動作の一例について説明する図である。
【0102】
図13は、図7と同様の状況を示す図である。
【0103】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、各プリンタ10a,10b,10cにおける用紙切れ発生時刻TQが推定部62によって推定されて算出される。具体的には、時刻T11においてプリンタ10aの1段目の給紙トレイRA1にて用紙切れが発生すること、時刻T12においてプリンタ10bの1段目の給紙トレイRB1にて用紙切れが発生すること、時刻T17においてプリンタ10aの2段目の給紙トレイRA2にて用紙切れが発生すること、が算出されている。
【0104】
ただし、図7と比較すると判るように、図13においては、指示済みのプリントジョブの終了時刻もが、プリンタ10a,10b,10cごとに推定されて算出されている。なお、図13においては、各プリンタにおけるジョブ終了が、「太い縦線」によって概念的に示されている。
【0105】
たとえば、指示済みプリントジョブは、プリンタ10cにおいては時刻EC(T12<EC<T17)に終し、プリンタ10bにおいては時刻EB(T17<EB<T18)に終了し、プリンタ10aにおいては時刻EA(T18<EA<T22)に終了する。時刻EAは、プリンタ10aにおけるジョブ終了時刻であるとも表現される。同様に、時刻EBはプリンタ10bにおけるジョブ終了時刻であり、時刻ECはプリンタ10cにおけるジョブ終了時刻である、とも表現される。
【0106】
なお、図13においては、図7との対比のために図7における用紙切れタイミングが矩形破線等で示されているが、実際には、各プリンタごとのジョブ終了時刻以後においては、それぞれ、用紙切れ(各時刻)は発生しない。たとえば、時刻T22でのプリンタ10bにおける給紙トレイRB2の用紙切れは発生しない。同様に、時刻T18でのプリンタ10cにおける給紙トレイRC1の用紙切れは発生せず、時刻T23でのプリンタ10cにおける給紙トレイRC2の用紙切れも発生しない。
【0107】
そして、この第2実施形態においては、複数のプリンタ10a,10b,10cから、「現時点で指示済みのプリントジョブの実行中には用紙切れが発生しないプリンタ」を除外したプリンタを「対象プリンタ」として決定し、「対象プリンタ」の用紙切れ発生時刻TQに基づいて時刻TXと時刻TYとが決定される。具体的には、各プリンタごとの指示済みプリントジョブの実行期間中において、プリンタ10cでは用紙切れが発生しないので、複数のプリンタ10a,10b,10cのうちプリンタ10cが対象から除外され(図14参照)、2つのプリンタ10a,10bのみが「対象プリンタ」として決定される。そして、次述するように、「対象プリンタ」(2つのプリンタ10a,10b)の用紙切れ発生時刻TQに基づいて、時刻TXおよび時刻TY等が決定される。そして、時刻TXおよび時刻TY等に基づいて、用紙補充推奨時刻TPが決定される。
【0108】
詳細には、まず、図14に示すように、プリンタ10cを除外した2つのプリンタ10a,10bのみを「対象プリンタ」として決定し、時刻TXおよび時刻TYを決定する。対象プリンタ10a,10bの全てに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる時刻T12が、時刻TXとして決定される。また、「対象プリンタ」のうちの少なくとも1つのプリンタ10aに関して、全ての給紙トレイRA1,RA2に用紙切れが生じる時刻T17が、時刻TYとして決定される。
【0109】
そして、決定部63は、上記第1実施形態(第3の動作)と同様にして、上記の時刻TXと時刻TYとを比較し、その比較結果に応じて用紙補充推奨時刻TPを決定する。
【0110】
たとえば、図13の状況においては、時刻TX(T12)が時刻TY(T17)よりも前の時刻である(TX<TY)と判定され、時刻TX(T12)が用紙補充推奨時刻TPとして決定される(図15も参照)。その後、オペレータUAは、表示画面GA2の表示内容に基づいて用紙補充推奨時刻TPを知得し、時刻T12において給紙トレイRA1と給紙トレイRB1とに対する用紙補充を行う。
【0111】
なお、時刻TYが時刻TXよりも前の時刻である(TY<TX)と判定される場合には、時刻TYよりも早く到来する用紙切れ発生時刻TQのうち、最も遅く到来する用紙切れ発生時刻TQである第3の時刻TZが用紙補充推奨時刻TPとして決定される。
【0112】
このような態様によれば、システム内の全ての複数のプリンタ10a,10b,10cから一部のプリンタ10c(指示済みプリントジョブの実行中には用紙切れが発生しないプリンタ)が除外されて、対象プリンタが決定される。したがって、時刻TX、TYの決定等における対象プリンタの数を減少させることができるので、サーバ50における演算量を低減することが可能である。対象プリンタの台数が大きく低減(たとえば10台が5台に低減)される場合には、特に有用である。
【0113】
<3.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0114】
たとえば、上記各実施形態においては、各プリントジョブが複数のプリンタで実行される「部数クラスタ印刷」について主に例示したが、これに限定されず、「部数クラスタ印刷」以外の印刷手法においても上記思想を適用することが可能である。すなわち、1または複数のプリントジョブが複数のプリンタで実行される印刷処理に上記思想を適用することが可能である。
【0115】
また、上記各実施形態においては、プリントジョブにおいて複数のプリンタに対して均等な部数が割り当てられる場合(「設定ST1」(図4))が主に例示されている。ただし、これに限定されず、複数のプリンタに対して不均等に割り当てられるようにしてもよい。詳細には、「設定ST2」(「5:3:2」)のように、プリンタ10a,10b,10cに対して「5:3:2」の割合の部数がそれぞれ割り当てられるようにしてもよい。より詳細には、全部で120部のプリントジョブに関して、プリンタ10aに「60部」、プリンタ10bに「36部」、プリンタ10cに「24部」がそれぞれ割り当てられるようにしてもよい。このような場合にも上記の思想を適用することができる。
【0116】
また、上記各実施形態においては、最初の用紙切れ発生時刻TQよりも前に、より詳細にはプリントジョブの指示直後に(例えば時刻T11よりも前の時刻に)表示画面GA2がクライアント70の表示部に表示される場合が例示されているが、これに限定されない。たとえば、用紙補充推奨時刻TPあるいはその所定時間前(例えば数分前)に、表示画面GA2が表示されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10,10a〜10e プリンタ(印刷装置)
50 サーバコンピュータ(印刷管理装置)
70 クライアントコンピュータ
100 印刷システム
RA1,RB1,RC1,RA2,RB2,RC2 給紙トレイ
TP 用紙補充推奨時刻
TQ 用紙切れ発生時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
複数のプリンタのそれぞれの印刷速度と前記複数のプリンタごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれの用紙残量とに基づいて、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻をそれぞれ推定する推定手段と、
前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにおける前記用紙切れ発生時刻に基づいて、少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充の推奨タイミングである用紙補充推奨時刻を決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段は、
前記複数のプリンタのうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる第1の時刻と、
前記複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる第2の時刻と、
を比較し、
前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第1の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定し、
前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第2の時刻よりも早く到来する前記用紙切れ発生時刻のうち、最も遅く到来する前記用紙切れ発生時刻である第3の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムにおいて、
前記決定手段は、
前記複数のプリンタのうち、受付済みのプリントジョブの実行中において用紙切れが発生しないプリンタを除外したプリンタを対象プリンタとして決定し、
前記対象プリンタのうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる時刻を前記第1の時刻として決定し、
前記対象プリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる時刻を前記第2の時刻として決定し、
前記第1の時刻と前記第2の時刻とに基づいて前記用紙補充推奨時刻を決定することを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷システムにおいて、
複数の部数の印刷出力を伴うプリントジョブが前記複数のプリンタの一部または全部に振り分けられて分散的に実行されることを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
複数のプリンタの印刷を管理する印刷管理装置であって、
前記複数のプリンタのそれぞれの印刷速度と前記複数のプリンタごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれの用紙残量とに基づいて、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻をそれぞれ推定する推定手段と、
前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにおける前記用紙切れ発生時刻に基づいて、少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充の推奨タイミングである用紙補充推奨時刻を決定する決定手段と、
を備え、
前記決定手段は、
前記複数のプリンタのうちの全てのプリンタに関して、少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる第1の時刻と、
前記複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して、全ての給紙トレイに用紙切れが生じる第2の時刻と、
を比較し、
前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第1の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定し、
前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第2の時刻よりも早く到来する前記用紙切れ発生時刻のうち、最も遅く到来する前記用紙切れ発生時刻である第3の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定することを特徴とする印刷システム。
ことを特徴とする印刷管理装置。
【請求項5】
コンピュータに、
a)複数のプリンタのそれぞれの印刷速度と前記複数のプリンタごとに設けられた複数の給紙トレイのそれぞれの用紙残量とに基づいて、前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにて用紙切れが発生する用紙切れ発生時刻をそれぞれ推定するステップと、
b)前記複数のプリンタごとに設けられた前記複数の給紙トレイのそれぞれにおける前記用紙切れ発生時刻に基づいて、少なくとも1つの給紙トレイに対する用紙補充の推奨タイミングである用紙補充推奨時刻を決定するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記ステップb)は、
b−1)前記複数のプリンタのうちの全てのプリンタに関して少なくとも1つの給紙トレイに用紙切れが生じる第1の時刻と、前記複数のプリンタのうちの少なくとも1つのプリンタに関して全ての給紙トレイに用紙切れが生じる第2の時刻と、を比較するステップと、
b−2)前記第1の時刻が前記第2の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第1の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定し、前記第2の時刻が前記第1の時刻よりも前の時刻である場合には、前記第2の時刻よりも早く到来する前記用紙切れ発生時刻のうち最も遅く到来する前記用紙切れ発生時刻である第3の時刻を前記用紙補充推奨時刻として決定するステップと、
を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−3995(P2013−3995A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136983(P2011−136983)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】