説明

印刷システム、印刷装置及び印刷方法

【課題】操作装置が情報処理装置と直接通信することができなくても、ユーザに負担をかけることなく自動的に適切な情報処理装置を選択して、その情報処理装置を介して印刷を行うことができる印刷システムを提供する。
【解決手段】印刷システムは、持ち運び可能な操作装置102と、画像形成機能を持たない印刷装置103と、画像形成機能を持った情報処理装置104とで構成される。操作装置は、情報処理装置104の一覧を元に適切な情報処理装置104を選択する情報処理装置選択機能と、印刷装置にデータを送信するデータ送信機能を備える。印刷装置103は、操作装置102から受信したデータを情報処理装置104に転送するデータ転送機能を備える。情報処理装置104は、印刷装置103から受信したデータを元に印刷ジョブを生成する印刷ジョブ生成機能と、生成した前記印刷ジョブを印刷装置103に送信する印刷ジョブ送信機能とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷装置及び印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力された画像データに基づいて印刷データを生成する情報処理装置と、情報処理装置により生成された印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷装置を有する印刷システムが知られている。
【0003】
このような印刷システムにおいて、携帯電話やデジタルカメラのような操作装置から、操作装置が保持する画像データを印刷装置に印刷処理させようとすることを想定する。この場合、印刷装置が画像データから印刷データを生成する機能(印刷データ生成機能)を持たないため、印刷データ生成機能を有する情報処理装置で画像データから印刷データを成成する必要がある。尚、印刷データ生成機能は、プリンタドライバと呼ばれるアプリケーションを情報処理装置が実行することにより実現されるのが一般的である。
【0004】
ここで、操作装置は印刷データ生成機能を搭載できるほどの性能を持たない場合がある。また、操作装置が印刷データ生成機能を搭載できるだけの性能を持っていたとしても、印刷データ生成機能にも種々のものがある。そうすると、操作装置は、操作装置が使用する可能性のある全ての印刷データ生成機能を備える必要があるが、それを実現するのは非常に困難である。よって、操作装置は印刷データ生成機能を備える情報処理装置を介して印刷データを生成させる必要がある。
【0005】
しかし、操作装置が印刷データ生成機能を備える情報処理装置へのアクセス先(アドレス)を知らない場合は、印刷データ生成機能を備える情報処理装置を介しての印刷データの生成を行うことができない。
【0006】
このような場合において、従来、操作装置が印刷装置に対して印刷要求を送信すると、印刷装置が印刷データ生成機能を備える情報処理装置のアクセス先を操作装置に送信するという手法があった(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
上記手法を用いることで、操作装置は情報処理装置へのアクセス先を知ることができ、これにより情報処理装置を介して印刷データを生成することができた。
【特許文献1】特開2005−352584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、印刷データに変換されるべき画像データは、印刷装置を介することなく操作装置(携帯情報機器)から情報処理装置(プリントサービスサーバ)へ送信される。
【0009】
従って、特許文献1に記載された技術では、操作装置と情報処理装置が直接通信することができない場合、情報処理装置のアクセス先がわかっても情報処理装置を介して印刷データを生成することができないという課題がある。
【0010】
例えば、操作装置が赤外線通信等の短距離の通信が可能な通信ユニットしか持たず、操作装置と印刷データ生成機能を有する情報処理装置が離れた距離にある場合、アクセス先がわかっても通信することができない。
【0011】
また、印刷データ生成機能を持つ情報処理装置が複数存在する場合、或いは1つの情報処理装置が複数のプリンタドライバを備える場合、どの情報処理装置或いはプリンタドライバを介して印刷データを生成させるかを選択する必要がある。
【0012】
しかし、情報処理装置或いはプリンタドライバを選択する際には、セキュリティや接続形態等の諸条件を考慮する必要があり、選択が困難になる可能性もある。
【0013】
本発明の目的は、操作装置が印刷データ生成機能を備える情報処理装置と直接通信することができなくても、ユーザに負担をかけることなく適切にプリンタドライバを選択して、選択されたプリンタドライバを介して印刷データを生成させることができる印刷システム、印刷装置及び印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の印刷システムは、印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷装置と、入力された画像データに基づいて前記印刷データを生成して前記印刷装置に送信する情報処理装置とを有する印刷システムであって、前記印刷装置は、前記情報処理装置にて動作するプリンタドライバであって、前記印刷装置に送信可能な印刷データを生成するプリンタドライバを特定するための特定情報を記憶する記憶手段と、前記印刷装置と通信可能な操作装置から前記特定情報を要求された場合に、前記操作装置に前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択させるべく、前記操作装置に前記特定情報を送信する特定情報送信手段と、前記特定情報送信手段が前記操作装置に前記特定情報を送信したことに応じて、前記操作装置にて選択されたプリンタドライバを示す選択情報及び前記画像データを、前記操作装置から受信する選択情報受信手段と、前記選択情報受信手段が受信した前記選択情報に基づいて、前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択する選択手段と、前記操作装置から受信した前記画像データを、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置に転送する転送手段と、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置から、該情報処理装置にて生成された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段が受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷手段とを有し、前記情報処理装置は、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを動作させることにより、前記転送手段により転送された画像データに基づいて印刷データを生成する生成手段と、前記生成手段が生成した前記印刷データを前記印刷装置に送信する印刷データ送信手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の印刷装置は、入力された画像データに基づいて印刷データを生成する情報処理装置から前記印刷データを受信し、該印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷装置であって、前記情報処理装置にて動作するプリンタドライバであって、前記印刷装置に送信可能な印刷データを生成するプリンタドライバを特定するための特定情報を記憶する記憶手段と、前記印刷装置と通信可能な操作装置から前記特定情報を要求された場合に、前記操作装置に前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択させるべく、前記操作装置に前記特定情報を送信する特定情報送信手段と、前記特定情報送信手段が前記操作装置に前記特定情報を送信したことに応じて、前記操作装置にて選択されたプリンタドライバを示す選択情報及び前記画像データを、前記操作装置から受信する選択情報受信手段と、前記選択情報受信手段が受信した前記選択情報に基づいて、前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択する選択手段と、前記操作装置から受信した前記画像データを、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置に転送する転送手段と、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置から、該情報処理装置にて生成された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、前記印刷データ受信手段が受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作装置が印刷データ生成機能を備える情報処理装置と直接通信することができなくても、ユーザに負担をかけることなく適切にプリンタドライバを選択して、選択されたプリンタドライバを介して印刷データを生成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷システムの概念図である。
【0019】
図1において、本印刷システムは、ユーザ101が操作(使用)する操作装置(携帯端末)102と、操作装置102と赤外線通信でやりとりをしている印刷装置103と、印刷装置103とネットワーク105で接続された情報処理装置104とから構成される。情報処理装置104はこの例では2台(104−1、104−2)接続されている。
【0020】
図2は、図1の印刷システムのブロック図である。
【0021】
図2において、操作装置102は以下のユニットを有する。
【0022】
操作装置用ドライバ201は、操作装置102が記憶装置204に記憶する画像データを印刷装置103を経由して情報処理装置104に転送する際に使用する。操作装置102は、記憶装置204に記憶された画像データを印刷装置103が印刷処理に利用可能な印刷データを生成する機能(印刷データ生成機能)を持たない。そこで、操作装置102は、記憶装置204に記憶された画像データを、印刷装置103を介して情報処理装置104に転送する。また、操作装置用ドライバ201は、操作装置自身の認証情報を保持する認証情報保持手段としての機能も持つ。
【0023】
操作装置102は操作パネル202を有し、操作装置102のユーザは、操作パネル202を介して指示を入力することにより操作装置102の操作を行う。また、操作装置102は表示装置203を有し、表示装置203を介してユーザに対する通知等の情報の伝達が行われる。記憶装置204は画像データなどの格納に使用される。また、操作装置102は、赤外線通信装置(通信手段)205を有し、赤外線通信装置205は、印刷装置103と画像データやその他の情報を通信するために用いられる。
【0024】
印刷装置103は以下のユニットを有する。
【0025】
コントローラ211は、赤外線通信装置214を介した操作装置102との通信処理、ネットワーク通信装置215を介した情報処理装置104との通信処理を制御する。また、コントローラ211は、記憶装置212のデータの入出力処理、エンジン213による印刷データに基づく印刷処理を制御する。
【0026】
記憶装置212は、情報処理装置104からネットワーク通信装置215を介して受信した印刷データを格納(記憶)する。記憶装置212に格納された印刷データはコントローラ211により記憶装置212から順次読み出されてエンジン213に転送される。
【0027】
エンジン213は、コントローラ211より記憶装置212から送られてきた印刷データに基づいてシート(用紙)上に印刷処理を行う。尚、エンジン213は、エンジン213の状態(異常が無い状態、紙詰まりによる異常がある状態、用紙の残量が少ない状態等)をコントローラ211に通知する。
【0028】
赤外線通信装置214は操作装置102と通信を行う。ネットワーク通信装置215は情報処理装置104のネットワーク通信装置223と通信を行う。
【0029】
情報処理装置104は、ネットワーク通信装置223と、プリンタドライバ221と、プリントスプーラ222を有する。
【0030】
プリンタドライバ221は、入力された画像データに基づいて印刷データを生成する。また、プリンタドライバ221は印刷装置103の状態を常に監視している。
【0031】
プリントスプーラ222は、プリンタドライバ221により生成された印刷データを一時的に記憶するものである。ネットワーク通信装置223は、プリントスプーラ222に記憶された印刷データを印刷装置103に送信する処理を含む印刷装置103との通信処理を実行する。
【0032】
尚、図2の例では、情報処理装置104が備えるプリンタドライバは1つのみとなっているが、情報処理装置104に複数のプリンタドライバを備えるようにしてもよい。例えば、情報処理装置104と印刷装置103を接続するためのインターフェースとして、ネットワークインターフェースと、USBインターフェースがある場合、各インターフェースに対応するプリンタドライバをそれぞれ設けることができる。
【0033】
また、例えば、同一のインターフェースに対して、印刷データを生成するための設定情報を異ならせた複数のプリンタドライバを設けるようにしてもよい。この様に、情報処理装置104とプリンタドライバとは、それぞれ1対1の関係で存在していることは必須ではなく、1つの情報処理装置が複数のプリンタドライバを備えるように構成することができる。
【0034】
そして、1つ1つのプリンタドライバは、印刷装置103に印刷処理をさせるための印刷データをそれぞれ独立して生成できることから、本実施形態では1つ1つのプリンタドライバを論理プリンタと呼ぶ。
【0035】
図3は、図2における操作装置によって実行される画像データの送信処理の手順を示すフローチャートである。尚、図3の各ステップの処理は、操作装置102のCPU(不図示)が操作装置用ドライバ201を動作させることにより実行されるものである。
【0036】
より具体的には、操作装置102が持つ画像データを印刷装置103に送信するまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
本処理はステップS301より開始される。ステップS301では、操作装置102のユーザ(操作者)が操作装置102に対して赤外線で通信を行っている印刷装置103印刷指示を行う。そして、操作装置102は、印刷装置103に対して、印刷装置103に印刷データを送信可能な情報処理装置104の一覧(情報処理装置を使用するための認証情報を含む)を要求する。ステップS301は、情報処理装置104の認証情報を要求する認証情報要求手段として機能する。
【0038】
ステップS302では、操作装置102の赤外線通信装置205は、印刷装置103の赤外線通信装置205より送信される、印刷装置103に印刷データを送信可能なプリンタドライバの一覧情報を受信する。図9は、操作装置102が印刷装置103から受信した印刷装置103に印刷データを送信可能なプリンタドライバ(論理プリンタ)一覧の例である。
【0039】
ステップS303では、受信した一覧に情報処理装置104の情報が1つ以上あるかを見る。操作装置用ドライバ201は、1つ以上あればステップS304へ処理を進め、1つも無ければステップS309へ処理を進める。
【0040】
ステップS304で、操作装置102の操作装置用ドライバ201は、プリンタドライバ(論理プリンタ)を選択する。ステップS304は、プリンタドライバの一覧を元に情報処理装置104を選択する情報処理装置選択手段として機能する。また、ステップS304は、後述するステップS502の通知要求手段により得られた情報を元にプリンタドライバを選択する選択手段として機能する。また、選択手段は、後述するステップS402の認証情報判定手段で認証情報が一致しないと判定されたプリンタドライバを選択対象から除外する処理を行う。これらの処理の詳細は後述する図4にて示す。
【0041】
ステップS305では、操作装置102はステップS304で選択されたプリンタドライバを示す選択情報を印刷装置103に通知する。
【0042】
ステップS306では、印刷装置103に画像データを送信する準備が完了しているかを示す送信準備完了フラグがONとなっているかを見る。ONとなっていればステップS308へ、OFFとなっていればステップS307へ移行する。
【0043】
ステップS307で、装置操作用ドライバ201は、選択情報を印刷装置103に通知してから所定の時間が経過したかをチェックする。経過していれば何らかの理由で処理が失敗したと判断してステップS309へ処理を進め、経過していなければステップS308へ処理を進める。
【0044】
ステップS308では、操作装置102は記憶装置204に記憶された画像データを印刷装置103に送信し(送信手段)、本処理を終了する。尚、後述する図7のステップS707と図8のステップS806にある通り、印刷装置103に送られたデータは情報処理装置104に転送される。
【0045】
ステップS309では、印刷装置103と接続された情報処理装置104が1つもないので、操作装置102は表示装置203に印刷不可である旨を表示し、本処理を終了する。
【0046】
図4は、図3のステップS304で実行されるプリンタドライバ選択処理の手順を示すフローチャートである。
【0047】
本処理はステップS401より開始される。ステップS401では、印刷装置103から受け取った一覧(プリンタドライバ特定情報)の中からいずれか1つのプリンタドライバ(論理プリンタ)を選択してステップS402へ移行する。
【0048】
ステップS402では、操作装置102が持つ認証情報(第1の認証情報)と、印刷装置102の記憶装置212に保持されるプリンタドライバの認証情報(第2の認証情報)のうちステップS401で選択されたプリンタドライバに対応する認証情報が一致するか否かを判定する。ここで認証情報とは、例えば図9の「パスワード」に該当する。
【0049】
尚、本処理は、ユーザが使用する権限を持たないプリンタドライバ(論理プリンタ)を介して印刷してしまうことを防ぐ役割を持つ。認証情報が一致するならステップS403へ、不一致ならステップS405へ移行する。
【0050】
ステップS403で装置操作用ドライバ201は、印刷装置103と情報処理装置104の接続形態が、直接接続されたものか否かを判定する。図9の例では、USBやネットワーク接続は直接接続されたものであると判定され、共有クライアントは間接的に接続されたものであると判定される。
【0051】
装置操作用ドライバ201は、直接接続されているならステップS404へ処理を進め、間接接続ならステップS405へ処理を進める。
【0052】
ステップS404で装置操作用ドライバ201は、ステップS401で選択されたプリンタドライバを適切なプリンタドライバの候補に加えて、ステップS405へ移行する。
【0053】
ステップS405で装置操作用ドライバ201は、ステップS401で選択した情報処理装置104を一覧から削除して、ステップS406へ移行する。
【0054】
ステップS406で装置操作用ドライバ201は、一覧にプリンタドライバが残っているかを確認する。残っているならステップS401へ、残っていないならステップS407へ移行する。
【0055】
ステップS407で装置操作用ドライバ201は、プリンタドライバの候補の中から、各プリンタドライバが動作する情報処理装置104の処理速度が最も速いものを選択して、本処理を終了する。尚、処理速度とは、例えば図9の「CPUの動作周波数」に該当する。
【0056】
図5は、図2における情報処理装置の一覧を作成する際の印刷装置の処理の手順を示すフローチャートである。尚、図5の各ステップにおける処理は、印刷装置103のコントローラ211が記憶装置212に記憶された制御プログラムに基づいて実行するものである。
【0057】
本処理はステップS501より開始される。尚、本処理は、図3のステップS301と302の間に印刷装置103で行われる処理となる。
【0058】
ステップS501でコントローラ211は、通信可能な操作装置102から印刷装置103に送信可能な印刷データを生成するプリンタドライバを特定する一覧情報の送信を要求するコマンドを受信する。
【0059】
ステップS502でコントローラ211は、S501で操作装置102からコマンドを受信したことに応答して一覧情報要求フラグをONとする。ステップS502コントローラ211は、印刷装置103に接続される情報処理装置104に対して情報処理装置の現在の動作状態を通知するよう要求する。
【0060】
ステップS503でコントローラ211は、プリンタドライバの一覧を作成し、情報処理装置104から通知された情報を一覧に追加していく。
【0061】
ステップS504でコントローラ211は、情報要求フラグをONとしてから所定の時間が経過したら情報要求フラグをOFFにする。
【0062】
ステップS505でコントローラ211は、プリンタドライバの一覧を示す一覧情報を操作装置102に送信して、本処理を終了する。
【0063】
図6は、図2におけるプリンタドライバの一覧を作成する際の情報処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。尚、図6の各ステップにおける処理は、情報処理装置104のCPU(不図示)が、情報処理装置が備えるメモリ(不図示)に記憶された制御プログラムを実行することにより行われる。
【0064】
本処理はステップS601より開始される。尚、本処理は、図3のステップS301とS302の間に情報処理装置104で行われる処理となる。
【0065】
ステップS601で情報処理装置104は、印刷装置103に一覧情報要求フラグがONになっていることを検知する。尚、前述の通り、情報処理装置104が備えるプリンタドライバ221は常に印刷装置103を監視しているため、フラグを検知できる。
【0066】
ステップS602で情報処理装置104は、印刷装置103から必要な情報を収集する。必要な情報とは、例えば、図9に示された各項目である。詳細は後述する。
【0067】
また、情報処理装置104が複数のプリンタドライバ(論理プリンタ)を持つ場合は、それぞれについて必要な情報を収集する。上記ステップS304で操作装置用ドライバ201は、情報処理装置104内に印刷装置103と接続された論理プリンタが複数存在する場合、各論理プリンタを選択対象とする。情報を集め終えたらステップS603へ移行する。
【0068】
ステップS603で情報処理装置104は、まだ一覧情報要求フラグがONとなっているかを確認する。情報要求フラグが立っているならステップS604へ、情報要求フラグが立っていないなら集めた情報を破棄して、本処理を終了する。
【0069】
ステップS604で情報処理装置104は、収集した情報を印刷装置103に送信し、本処理を終了する。
【0070】
図7は、操作装置から受信した画像データを情報処理装置に転送する際の図2における印刷装置の処理の手順を示すフローチャートである。尚、図7の各ステップにおける処理は、印刷装置103のコントローラ211が記憶装置212に記憶された制御プログラムに基づいて実行するものである。
【0071】
本処理はステップS701より開始される。尚、本処理は、図3のステップS305以降の処理と並列して実行される。
【0072】
ステップS701でコントローラ211は、操作装置102から印刷装置103に対して、ステップS304で選択したプリンタドライバが通知される。これは図3のステップS305に該当する。この通知に基づいて、コントローラ211は、操作装置102から受信した画像データに基づいて印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択する。
【0073】
ステップS702でコントローラ211は、印刷装置103のエンジン213が印刷処理を実行可能なアイドル状態になるまで待機する。この時、新しい印刷データや占有要求は受け付けないものとする。コントローラ211は、アイドル状態に移行したらステップS703へ移行する。
【0074】
ステップS703でコントローラ211は、ステップS701で通知されたプリンタドライバに占有された状態に移行する。
【0075】
ステップS704でコントローラ211は、操作装置102から受信した画像データを情報処理装置104に転送するための転送準備中であることを示す転送準備中フラグをONとする。
【0076】
ステップS705でコントローラ21は、転送準備中フラグをONとしてから所定の時間内に、ステップS701で選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置104から転送準備完了の通知があったかを確認する。通知があればステップS706へ、通知が無ければステップS709へ移行する。
【0077】
ステップS706でコントローラ21は、印刷装置103は転送準備中フラグをOFFとし、転送準備完了フラグをONとする。
【0078】
ステップS707でコントローラ21は、操作装置102から画像データが送信されてくるので、これを選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置104に転送する(データ転送手段)。これは図3のステップS308、図8のステップS806に該当する。
【0079】
ステップS708でコントローラ21は、画像データの転送が完了したら、転送準備完了フラグをOFFとして、本処理を終了する。
【0080】
図8は、画像データを転送する際の図2における情報処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【0081】
本処理はステップS801より開始される。尚、本処理は、図7のステップS704以降の処理と並列して実行される。
【0082】
ステップS801で情報処理装置104は、印刷装置103の転送準備中フラグがONとなっていることを検知する。
【0083】
ステップS802で情報処理装置104は、画像データの転送を行える状態に移行する。印刷中であれば現在印刷しているジョブが終了するまで待機し、後続ジョブは一旦待機する。転送を行える状態になったら、ステップS803へ移行する。
【0084】
ステップS803で情報処理装置104は、転送準備中フラグがONとなっているかを確認する。転送準備中フラグがONとなっているならステップS804へ移行する。転送準備中フラグがOFFとなっているなら本処理を終了する。
【0085】
ステップS804で情報処理装置104は、印刷装置103に転送準備が完了したことを通知する。
【0086】
ステップS805で情報処理装置104は、印刷装置103が転送準備完了フラグをONとしたことを検知する。
【0087】
ステップS806で情報処理装置104は、印刷装置103から画像データを受信する。これは図3のステップS308、図7のステップS707に該当する。
【0088】
ステップS807で情報処理装置104は、画像データをプリンタドライバ221に渡す。
【0089】
ステップS808で情報処理装置104は、プリンタドライバ221が画像データに基づいて生成した印刷データを、プリントスプーラ222を経由して印刷装置に送信する。ステップS808は、印刷装置103から受信した画像データを元に印刷データを生成するとともに、生成した印刷データを印刷装置103に送信する。
【0090】
ステップS809で情報処理装置104は、印刷データの送信が完了したら印刷装置103の占有を解除し、本処理を終了する。
【0091】
図9は、図5のステップS502で示される通知要求手段により得られた一覧の例を示す図表である。
【0092】
コンピュータ名は情報処理装置104の名前である。論理プリンタ名は、情報処理装置104が持つ印刷装置と接続された論理プリンタ(プリンタドライバ)の名前である。パスワードは、情報処理装置104が持つ認証情報である。
【0093】
本実施の形態では、ステップS402にある通り、操作装置102が持つパスワードと情報処理装置104が持つパスワードが一致しない場合は、適切な情報処理装置104として選択されない。
【0094】
接続形態は、USBやネットワークなどの情報処理装置104と印刷装置103との接続形態を示す。
【0095】
CPUは情報処理装置104のCPUを示す。ステップS407にある通り、本実施の形態ではこれを処理速度として扱っている。
【0096】
以上により、操作装置102が印刷装置103を介して情報処理装置104にデータを転送し、印刷装置103と接続された情報処理装置104が複数ある場合は自動的に適切な情報処理装置104を選択する印刷システムが実現できる。
【0097】
本実施の形態では、通知要求手段として印刷装置103が通知要求フラグを持つ(図5ステップS502)。そして、情報処理装置104は常に印刷装置103を監視して、印刷装置103が通知要求フラグを立てたことを検出し、情報処理装置104の側から現在の状態を印刷装置103に対して送信していた。
【0098】
しかしこの他にも、印刷装置103が通知要求フラグを持たず、代わりに印刷装置103の側から情報処理装置104に対して通信を行い、現在の状態を印刷装置103に対して送信するよう要求するような通知要求手段もあり得る。
【0099】
また、本実施の形態では、印刷装置103と接続された情報処理装置103の一覧を作成する機能を印刷装置が保持していたが、操作装置102が一覧を作成する機能を持つ、ということも可能である。
【0100】
この場合、印刷装置103は受信した情報処理装置104に関する情報を操作装置102に送信し、それを受信した操作装置102が一覧を作成する。
【0101】
また、本実施の形態では、情報処理装置選択手段を操作装置102が持っているが、本発明は印刷装置103が情報処理装置選択手段を持つ場合にも適用可能である。
【0102】
この場合、印刷装置103は操作装置102に一覧を通知することなく、内部で自動的に適切な情報処理装置104を選択する。
【0103】
さらに、印刷装置103は、操作装置102から適切な情報処理装置104を通知されることなく、適切な情報処理装置に占有された状態に移行する。そして、それを検知した操作装置102は画像形成前のデータを印刷装置103に転送する。
【0104】
また、本実施の形態では、図4に示すように、自動的に適切な情報処理装置104を選択していたが、ユーザが手動で適切な情報処理装置104を選択することも可能である。
【0105】
図10は、ユーザが手動で適切な情報処理装置を選択する際の画面の表示例を示す図である。
【0106】
本図では、図4のフローチャートと同様のアルゴリズムで適切な情報処理装置104の候補を選び、それらを処理速度の順に表示装置203に表示している。
【0107】
本発明の印刷装置は、特定情報送信手段、選択情報受信手段、印刷データ受信手段を備える。また、情報処理装置は、印刷データ送信手段を備える。また、操作装置は、認証情報受信手段、特定情報受信手段、、選択情報送信手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷システムの概念図である。
【図2】図1の印刷システムのブロック図である。
【図3】図2における操作装置によって実行されるデータ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップS304で実行される情報処理装置選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図2における情報処理装置の一覧を作成する際の印刷装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図2における情報処理装置の一覧を作成する際の情報処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】印刷データを転送する際の図2における印刷装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】印刷データを転送する際の図2における情報処理装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図5のステップS502で示される通知要求手段により得られた一覧の例を示す図表である。
【図10】ユーザが手動で適切な情報処理装置を選択する際の画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
101 ユーザ
102 操作装置
103 印刷装置
104 情報処理装置
105 ネットワーク
201 操作装置用ドライバ
202 操作パネル
203 表示装置
204 記憶装置
205 赤外線通信装置
211 コントローラ
212 記憶装置
213 エンジン
214 赤外線通信装置
215 ネットワーク通信装置
221 プリンタドライバ
222 プリントスプーラ
223 ネットワーク通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷装置と、入力された画像データに基づいて前記印刷データを生成して前記印刷装置に送信する情報処理装置とを有する印刷システムであって、
前記印刷装置は、
前記情報処理装置にて動作するプリンタドライバであって、前記印刷装置に送信可能な印刷データを生成するプリンタドライバを特定するための特定情報を記憶する記憶手段と、
前記印刷装置と通信可能な操作装置から前記特定情報の送信を要求された場合に、前記操作装置に前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択させるべく、前記操作装置に前記特定情報を送信する特定情報送信手段と、
前記特定情報送信手段が前記操作装置に前記特定情報を送信したことに応じて、前記操作装置にて選択されたプリンタドライバを示す選択情報及び前記画像データを、前記操作装置から受信する選択情報受信手段と、
前記選択情報受信手段が受信した前記選択情報に基づいて、前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択する選択手段と、
前記操作装置から受信した前記画像データを、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置に転送する転送手段と、
前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置から、該情報処理装置にて生成された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記印刷データ受信手段が受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷手段とを有し、
前記情報処理装置は、
前記選択手段により選択されたプリンタドライバを動作させることにより、前記転送手段により転送された画像データに基づいて印刷データを生成する生成手段と、
前記生成手段が生成した前記印刷データを前記印刷装置に送信する印刷データ送信手段とを備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷装置は前記操作装置を有し、
前記操作装置は、
前記プリンタドライバに印刷データを生成させるための第1の認証情報を保持する認証情報保持手段と、
前記印刷装置から前記印刷装置に接続する情報処理装置で動作するプリンタドライバに印刷データを生成させるための第2の認証情報を受信する認証情報受信手段と、
前記特定情報送信手段が送信する前記特定情報を受信する特定情報受信手段と、
前記第1の認証情報と前記第2の認証情報が一致した場合に、前記特定情報受信手段が受信した特定情報に基づいて、前記第2の認証情報に対応するプリンタドライバの一覧を表示する表示手段と、
前記表示手段を介して前記操作装置の操作者により選択されたプリンタドライバを示す選択情報を前記印刷装置に送信する選択情報送信手段とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
入力された画像データに基づいて印刷データを生成する情報処理装置から前記印刷データを受信し、該印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷装置であって、
前記情報処理装置にて動作するプリンタドライバであって、前記印刷装置に送信可能な印刷データを生成するプリンタドライバを特定するための特定情報を記憶する記憶手段と、
前記印刷装置と通信可能な操作装置から前記特定情報を要求された場合に、前記操作装置に前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択させるべく、前記操作装置に前記特定情報を送信する特定情報送信手段と、
前記特定情報送信手段が前記操作装置に前記特定情報を送信したことに応じて、前記操作装置にて選択されたプリンタドライバを示す選択情報及び前記画像データを、前記操作装置から受信する選択情報受信手段と、
前記選択情報受信手段が受信した前記選択情報に基づいて、前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択する選択手段と、
前記操作装置から受信した前記画像データを、前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置に転送する転送手段と、
前記選択手段により選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置から、該情報処理装置にて生成された印刷データを受信する印刷データ受信手段と、
前記印刷データ受信手段が受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷手段とを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷装置と、入力された画像データに基づいて前記印刷データを生成して前記印刷装置に送信する情報処理装置とを有する印刷システムにおける印刷方法であって、
前記印刷装置が、前記印刷装置と通信可能な操作装置から前記印刷装置に、前記印刷装置に送信可能な印刷データを生成するプリンタドライバを特定するための特定情報の送信が要求された場合に、前記操作装置に前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択させるべく、前記操作装置に前記特定情報を送信する特定情報送信ステップと、
前記印刷装置が、前記特定情報送信ステップが前記印刷装置から前記操作装置に前記特定情報を送信したことに応じて、前記操作装置にて選択されたプリンタドライバを示す選択情報及び前記画像データを、前記操作装置から受信する選択情報受信ステップと、
前記印刷装置が、前記選択情報受信ステップが受信した前記選択情報に基づいて、前記印刷データを生成するためのプリンタドライバを選択する選択ステップと、
前記印刷装置が、前記操作装置から受信した前記画像データを、前記選択ステップにより選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置に転送する転送ステップと、
前記印刷装置が、前記選択ステップにより選択されたプリンタドライバを備える情報処理装置から、該情報処理装置にて生成された印刷データを受信する印刷データ受信ステップと、
前記印刷装置が、前記印刷データ受信ステップが受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷ステップとを有することを特徴とする印刷方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、前記選択ステップにより選択されたプリンタドライバを動作させることにより、前記転送ステップにより転送された画像データに基づいて印刷データを生成する生成ステップと、
前記情報処理装置が、前記生成ステップが生成した前記印刷データを前記印刷装置に送信する印刷データ送信ステップとを備えることを特徴とする請求項4に記載の印刷方法。
【請求項6】
前記印刷装置は、前記プリンタドライバに印刷データを生成させるための第1の認証情報を保持する認証情報保持手段を備える前記操作装置を有し、
前記操作装置が、前記印刷装置から前記印刷装置に接続する情報処理装置で動作するプリンタドライバに印刷データを生成させるための第2の認証情報を受信する認証情報受信ステップと、
前記操作装置が、前記特定情報送信ステップが送信する前記特定情報を受信する特定情報受信ステップと、
前記第1の認証情報と前記第2の認証情報が一致した場合に、前記特定情報受信ステップが受信した特定情報に基づいて、前記第2の認証情報に対応するプリンタドライバの一覧を前記操作装置に表示する表示ステップと、
前記操作装置が、前記表示ステップを介して前記操作装置の操作者により選択されたプリンタドライバを示す選択情報を前記印刷装置に送信する選択情報送信ステップとを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−151447(P2009−151447A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327365(P2007−327365)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】