説明

印刷システム、携帯端末、印刷システムの制御方法およびプログラム

【課題】印刷装置に対し、印刷指示を容易に行うことができる印刷システム、携帯端末、印刷システムの制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末および印刷装置を備えた印刷システムの制御方法であって、携帯端末が、印刷データを生成する印刷データ生成ステップ(S01)と、携帯端末の本体の動きを検出する検出ステップ(S04)と、印刷装置に対し、印刷データを送信する印刷データ送信ステップ(S05)と、を実行し、印刷データ送信ステップ(S04)では、プレビュー表示画面が表示された状態で(S03)、検出ステップにより所定の動きが検出された場合(S04:Yes)、印刷データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
携帯端末および印刷装置を備えた印刷システム、携帯端末、印刷システムの制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末およびラベル印刷装置(印刷装置)を備えたラベル印刷システムにおいて、携帯端末で印刷データを作成した後、ユーザーが操作部を用いて印刷指示を行うことにより、ラベル印刷装置に印刷データを送信させる方法が知られている(例えば、特許文献1)。印刷指示の方法としては、携帯端末に備えられた印刷実行ボタンの押下などが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−176042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯端末は、その特性上、各種操作子が小さく扱いづらい。近年は、装置筐体の表面略全面がタッチパネルで構成されたスマートフォンも多く出回っているが、タッチパネルの画面内に、編集画面を表示したり各種操作子(アイコン)を表示したりする必要があるため、やはり操作子は扱いづらい傾向にある。特に男性ユーザーの場合、指先で小さなアイコンをタッチしようとすると、誤操作を招くことが多い。このため、重要な操作(例えば、印刷指示など、一旦操作を行うと修正できない操作)については、小さな操作子を用いることなく簡単に実行できることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、印刷装置に対し、印刷指示を容易に行うことができる印刷システム、携帯端末、印刷システムの制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷システムは、携帯端末および印刷装置を備えた印刷システムであって、携帯端末は、印刷データを生成する印刷データ生成部と、携帯端末の本体の動きを検出する検出部と、印刷装置に対し、印刷データを送信する印刷データ送信部と、を備え、印刷データ送信部は、印刷データ生成後の印刷指示待ち状態で、検出部により所定の動きが検出された場合、印刷データを送信することを特徴とする。
【0007】
本発明の印刷システムの制御方法は、携帯端末および印刷装置を備えた印刷システムの制御方法であって、携帯端末が、印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、携帯端末の本体の動きを検出する検出ステップと、印刷装置に対し、印刷データを送信する印刷データ送信ステップと、を実行し、印刷データ送信ステップでは、印刷データ生成後の印刷指示待ち状態で、検出ステップにより所定の動きが検出された場合、印刷データを送信することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、ユーザーが携帯端末に所定の動きを与えることで、印刷指示を行うことができる。つまり、小さな操作子を用いることなく印刷指示を行うことができるため、誤操作を防止できる。また、印刷データの送信は、印刷データ生成後の印刷指示待ち状態のときに限られるため、ユーザーの意に反して所定の動きを与えてしまい、印刷装置に印刷実行させてしまうことがない。
なお、「所定の動き」としては、所定値以上の加速度を加える、振動を与える、所定角度以上回転させる、所定方向に移動させる、などが考えられる。
また、「印刷データ生成後」とは、印刷データが確定している状態を指す。つまり、印刷指示さえ行えば印刷データが送信できる状態にあることを指す。なお、何ら情報が入力されていない状態も、「無」の印刷データが生成されたものとし、「印刷データ生成後」として扱って良い。
【0009】
上記の印刷システムにおいて、携帯端末は、印刷データのプレビュー表示画面を表示する表示部をさらに備え、印刷データ送信部は、プレビュー表示画面が表示されている状態で、検出部により所定の動きが検出された場合、印刷データを送信することを特徴とする。
【0010】
上記の印刷システムにおいて、表示部は、印刷データを編集するための編集画面を表示し、印刷データ送信部は、編集画面が表示されている状態で、検出部により所定の動きが検出された場合、印刷データを送信しないことを特徴とする。
【0011】
これらの構成によれば、ユーザーは、プレビュー表示画面を表示した状態で、携帯端末に所定の動きを与えれば良いため、操作方法が分かり易い。また、編集画面が表示されている状態は、編集途中であることが多いため、所定の動きの検出によって印刷データを送信しないことで、誤操作を防止できる。
【0012】
上記の印刷システムにおいて、編集画面が表示されている状態で、検出部により所定の動きが検出された場合、プレビュー表示画面に切り替える表示制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、ユーザーは、編集画面が表示されている状態から、携帯端末に所定の動きを2回与えることで、印刷指示を行うことができる。つまり、画面の切替操作および印刷指示操作を、容易且つ迅速に行うことができる。
【0014】
上記の印刷システムにおいて、携帯端末は、印刷データの送信後所定時間内に、検出部により所定の動きが検出された場合、印刷装置に対し、印刷停止コマンドを送信する印刷停止要求部をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、誤って印刷指示を行ってしまった場合や、印刷指示後印刷データの誤りに気づいた場合などに、印刷を停止させることができる。また、その印刷停止指示操作を容易に行うことができる。
【0016】
上記の印刷システムにおいて、印刷装置は、印刷実行中に、再度、印刷データを取得した場合、印刷を停止する印刷制御部を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、誤って印刷指示を行ってしまった場合や、印刷指示後印刷データの誤りに気づいた場合などに、ユーザーが再度、携帯端末に対して所定の動きを与えることで、印刷を停止させることができる。
【0018】
上記の印刷システムにおいて、印刷装置は、印刷待機中における印刷データの取得回数に応じて印刷枚数を決定し、当該印刷枚数分の印刷を行う印刷制御部を備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、ユーザーは、携帯端末に対して所定の動きを与える回数によって、印刷枚数を指定することができる。
なお、印刷装置の印刷媒体は、コピー用紙など所定サイズの用紙(短冊状の媒体)であっても良いし、印刷テープなど任意長に切断して用いる長尺状の媒体であっても良い。後者の場合、指定された印刷枚数の数だけ、長尺状の媒体の切断処理が行われる。
【0020】
上記の印刷システムにおいて、検出部は、加速度センサーおよび角速度センサーの少なくとも一方の検出結果に基づいて、所定の動きを検出することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、携帯電話やスマートフォンなど、携帯端末に多く搭載されている加速度センサーや角速度センサーを用いることで、検出部に要するコストを抑えることができる。
【0022】
本発明の携帯端末は、上記の印刷システムに用いられることを特徴とする。
【0023】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の印刷システムの制御方法における携帯端末の各ステップを実行させることを特徴とする。
【0024】
これらの携帯端末およびプログラムを用いることにより、印刷装置に対し印刷指示を容易に行うことができる印刷システムおよび印刷システムの制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムのシステム構成図である。
【図2】印刷システムの制御ブロック図である。
【図3】編集画面の表示例を示す図である。
【図4】プレビュー表示画面の表示例を示す図である。
【図5】印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明の印刷システム、携帯端末、印刷システムの制御方法およびプログラムについて説明する。本実施形態では、印刷装置として、テープ状部材に印刷を行い、印刷済み部分をカットすることによってラベルを作成するテープ印刷装置を用いた場合を例示する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、印刷システムSYは、携帯型の情報端末である携帯端末1と、携帯端末1によって作成された印刷データに基づいて印刷を行うテープ印刷装置2と、プリントサーバーとして機能する無線LAN(Local Area Network)ルーター4と、から成る。このうち、携帯端末1と無線LANルーター4とは無線LANを介して接続され、無線LANルーター4とテープ印刷装置2とはケーブル5を介して接続されている。
【0028】
携帯端末1は、タッチパネル11および操作子12を備えた一般的なスマートフォンである。操作子12は、物理的な操作子であり(タッチパネル11上に表示されるボタン群とは異なる)、電源ON/OFF機能や、アプリケーションの終了機能など、特定の機能が割り当てられている。なお、携帯端末1としては、スマートフォンに代えて、PDAや携帯電話などの小型情報端末を採用しても良い。
【0029】
テープ印刷装置2は、長尺状の印刷テープTおよびインクリボンが収容されたテープカートリッジ21が装着され、当該テープカートリッジ21から印刷テープTを繰り出しつつ、携帯端末1から受信した印刷データに基づいて、印刷処理および切断処理を行う。印刷テープTの印刷済み部分は、切断処理後、テープ排出口29から排出され、ラベルとして用いられる。
【0030】
次に、図2を参照し、印刷システムSYの制御構成について説明する。携帯端末1は、タッチパネル11(表示部)と、加速度センサーS(検出部)と、無線通信インターフェース13と、フラッシュメモリー14と、端末側制御部18(印刷データ生成部)と、を備えている。
【0031】
タッチパネル11は、表示手段および操作手段として機能する。本実施形態では、主に編集画面D1(図3参照)およびプレビュー表示画面D2(図4参照)の表示、並びに両画面に表示された各種操作子群の操作に用いられる。
【0032】
加速度センサーSは、携帯端末1の本体の動きを検出するために用いられる。本実施形態では、端末本体の振動(ユーザーによるシェイク動作)を検出し、画面遷移を行ったりテープ印刷装置2に印刷データ(印刷要求)や印刷停止要求を送信したりするために用いられる。なお、加速度センサーSに代えて、ジャイロスコープ(角速度センサー)を用いても良く、振動、衝撃、または位置を検知可能なセンサーを用いることもできる。または加速度センサーSに加えて、ジャイロスコープ(角速度センサー)を用いても良く、加速度センサーSとジャイロスコープを組み合わせることにより、より正確に端末本体の動きを検出できる。
【0033】
無線通信インターフェース13は、無線LANルーター4との通信を行うものであり、印刷データや印刷停止要求の送信に用いられる(印刷データ送信部、印刷停止要求部)。フラッシュメモリー14は、携帯端末1のメインメモリーとして用いられ、専用アプリケーション14aを記憶している。当該専用アプリケーション14aは、図5等で後述する一連の印刷処理を実現するためのアプリケーションであり、所定のサーバー(Webサイト)からダウンロードされる。
【0034】
端末側制御部18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等から成り、専用アプリケーション14aに基づく印刷データ生成処理、加速度センサーSを用いた振動検出処理、テープ印刷装置2との通信処理、タッチパネル11の表示制御処理など、各種処理を制御する。
【0035】
一方、テープ印刷装置2は、有線通信インターフェース22と、印刷ヘッド23と、テープ送りモーター24と、カッターモーター25と、テープカッター26と、テープ識別センサー27と、印刷装置側制御部28(印刷制御部)と、を備えている。
【0036】
有線通信インターフェース22は、USBインターフェースなどにより構成され、ステータス情報の送信等に用いられる。印刷ヘッド23は、サーマルヘッドであり、繰り出された印刷テープTおよびインクリボンを、プラテンローラー(図示省略)との間に挟み込んで印刷を行う。テープ送りモーター24は、テープリールから繰り出された印刷テープTを、印刷ヘッド23からテープ排出口29に向けて搬送する。カッターモーター25は、テープカッター26を駆動し、テープ送りを一旦停止した状態で、印刷テープTの印刷済み部分をテープ幅方向に切断する。
【0037】
テープ識別センサー27は、テープカートリッジ21が装着されるカートリッジ装着部に設けられ、テープカートリッジ21に形成された複数の検出孔の有無に基づいて、印刷テープTの種別を検出する。検出されたテープ種別に関する情報(テープ幅やテープ材質等に関する情報)は、ステータス情報の一部として、携帯端末1に送信される。
【0038】
印刷装置側制御部28は、CPU、ROMおよびRAM等から成り、テープ印刷装置2の統括制御を行う。ROM内には、CPUが各種制御を行うための制御プログラムおよび制御情報を記憶している。制御プログラムとしては、携帯端末1から送信された各種コマンドを解析するためのコマンド解析プログラムや、印刷処理および切断処理を行うための印刷/切断処理プログラム等を記憶している。
【0039】
次に、図3および図4を参照し、編集画面D1およびプレビュー表示画面D2の画面構成について説明する。図3に示すように、編集画面D1は、編集結果表示領域E1、メニュー表示領域E2、ステータス表示領域E3および操作ボタン表示領域E4を有している。
【0040】
編集結果表示領域E1は、印刷テープTのイメージであるテープイメージ上に、編集中の印刷データを重畳して表示する。また、フリップ操作(タッチパネル11上を指で軽くはらう操作)によって、テープ長方向へのスクロール表示が可能となっている。なお、編集結果表示領域E1では、印刷テープTに対する、イメージ(例えば、図示のようなメール画像)や文字(テキスト)の相対的な大きさは、実際に印刷されるラベルと略同等に表示されるが、携帯端末1で設定されたテープ幅またはテープ印刷装置2に実際に装着されている印刷テープTのテープ幅によって、テープイメージの幅が可変されることはない。つまり、編集結果表示領域E1に表示されるテープイメージのテープ幅は、固定長さとなる。
【0041】
メニュー表示領域E2は、テープ長設定メニュー51、テープ幅設定メニュー52、文字サイズ設定メニュー53およびイメージ設定メニュー54を含む。テープ長設定メニュー51は、作成されるラベルのテープ長を印刷データに応じて自動設定する自動設定ボタンと、作成されるラベルのテープ長をユーザーが手動設定する固定設定ボタンと、手動設定の際にテープ長を入力するテキストボックスと、を有している。テープ長を手動設定したい場合、ユーザーは固定設定ボタンを選択し、その後テキストボックスにテープ長をmm単位で数値入力する。携帯端末1(専用アプリケーション14a)は、テープ長が手動設定されると、設定されたテープ長となるように印刷データを編集する。
【0042】
テープ幅設定メニュー52は、印刷テープTのテープ幅を、「100mm」、「50mm」、「36mm」、「24mm」、「18mm」、「12mm」の中から選択可能となっている。なお、テープ印刷装置2に実際に装着されている印刷テープTのテープ幅と、テープ幅設定メニュー52設定されたテープ幅とが異なる場合、印刷指示時(後述する「印刷ボタン」59の押下時、またはプレビュー表示画面D2表示状態における振動検出時)にポップアップ画面が表示される。特に図示しないが、ポップアップ画面には、「テープ幅を合わせて印刷」、「テープを交換して印刷」、「キャンセル」の3つの選択肢が表示される。ここで「テープ幅を合わせて印刷」が選択されると、テープ印刷装置2に装着されている印刷テープTのテープ幅に合わせて印刷データを編集し(拡大/縮小処理を行い)、印刷データをテープ印刷装置2に送信する。また、「テープを交換して印刷」が選択されると、テープ印刷装置2のテープカートリッジ21の交換を検出し、装着された印刷テープTのテープ幅と設定されたテープ幅とが一致したと判定した場合、印刷データをテープ印刷装置2に送信する。また、「キャンセル」が選択されると、ポップアップ画面を非表示にする。
【0043】
文字サイズ設定メニュー53は、文字(テキスト)の文字サイズを、「大」、「中」、「小」の中から選択可能となっている。なお、これら「大」、「中」、「小」は、印刷テープTに対する相対的なサイズであるため、絶対的なフォントサイズを指定するものではない。
【0044】
イメージ設定メニュー54は、イメージ(画像データ)の挿入位置を、「なし」、「左」、「全体」、「右」の中から選択可能となっている。ここで、「左」が選択されると、ラベルに対しイメージを左寄せの配置とする(テープ前端側にイメージを配置する)。また、「右」が選択されると、ラベルに対しイメージを右寄せの配置とする(テープ後端側にイメージを配置する)。さらに、「全体」が選択されると、テープ幅方向にイメージを拡大し、ラベル全体にイメージを配置する。
【0045】
ステータス表示領域E3は、テープ印刷装置2のステータス情報を表示する。本実施形態の携帯端末1は、テープ印刷装置2に対し定期的にステータス送信要求を行い、テープ印刷装置2はこれに対してステータス情報を返信する。なお、ステータス情報としては、テープ印刷装置2の機種名、テープ幅、テープ印刷装置2の状態を示す情報(各種エラー情報を含む)を表示する。このうち、テープ幅は、テープ識別センサー27(図2参照)の検出結果に基づく情報である。
【0046】
操作ボタン表示領域E4は、「開く」ボタン55、「保存」ボタン56、「拡張設定」ボタン57、「プレビュー」ボタン58、「印刷」ボタン59を有している。携帯端末1は、「開く」ボタン55が選択されると、保存しておいた印刷データファイルを開く。また、「保存」ボタン56が選択されると、生成した印刷データを、印刷データファイルとして保存する。また、「拡張設定」ボタン57が選択されると拡張設定画面を表示する。特に図示しないが、拡張設定画面には、イメージ選択ボタンおよびQRコード作成ボタンが表示される。ここで、イメージ選択ボタンが選択されると、イメージ一覧の中から所望のイメージを選択するイメージ選択画面を表示する。また、QRコード作成ボタンが選択されると、QRコードを作成するためのQRコード作成画面を表示する。
【0047】
一方、操作ボタン表示領域E4の中から「プレビュー」ボタン58が選択されると、プレビュー表示画面D2(図4参照)を表示する。また、「印刷」ボタン59が選択されると、テープ印刷装置2に対し印刷データを送信する。なお、「印刷」ボタン59は、印刷データが確定した状態のみ、押下可能となっている。また、「印刷」ボタン59の押下に代え、プレビュー表示画面D2を表示した状態で携帯端末1本体に振動を与えることによっても、印刷データの送信が可能である。但し、編集画面D1が表示されている状態では、振動を与えても印刷データは送信されず、プレビュー表示画面D2への画面切り替えが行われる。
【0048】
図4は、プレビュー表示画面D2の表示例を示す図である。プレビュー表示画面D2には、テープ幅設定メニュー52で設定されたテープ幅に応じて、実寸大でプレビュー表示を行う。同図の例では、テープ幅が24mmに設定されているため、プレビュー表示のテープイメージの幅も24mmとなる。このように実寸大でプレビュー表示を行うため、実際にラベルを貼付する場所に携帯端末1のタッチパネル11を置いて、ラベルの貼付イメージを確認することができる。なお、プレビュー表示画面D2では、ユーザーのフリップ操作によって、2次元方向のスクロール表示が可能となっている。また、プレビュー表示画面D2の画面右下に表示されるクローズボタン61が選択されると、編集画面D1に戻る。
【0049】
次に、図5のフローチャートを参照し、印刷処理の流れについて説明する。携帯端末1(専用アプリケーション14a)は、編集画面D1上で印刷データを生成した後(S01)、加速度センサーSにより振動を検出すると(S02:Yes)、プレビュー表示画面D2を表示する(S03)。また、プレビュー表示画面D2を表示した状態で、振動を検出すると(S04:Yes)、テープ印刷装置2に対し印刷データを送信する(S05)。さらに、印刷データの送信後、所定時間(例えば、数秒程度)内に振動を検出すると(S06:Yes)、テープ印刷装置2に対し印刷停止要求を送信し(S07)、S03に戻る。テープ印刷装置2は、印刷停止要求を受信すると、その時点で印刷処理を停止する。また、印刷データの送信後、所定時間内に振動を検出しなかった場合は(S06:No)、S07を省略し、S03に戻る。
【0050】
一方、S02:Noの場合であって、編集画面D1上で「プレビュー」ボタン58が押下された場合も(S08:Yes)、S02:Yesの場合と同様に、プレビュー表示画面D2の表示を行う(S03)。また、S08:Noの場合であって、編集画面D1上で「印刷」ボタン59が押下された場合も(S09:Yes)、S04:Yesの場合と同様に、印刷データの送信を行う(S05)。
【0051】
なお、上記フローチャートのS06において判別基準となる「所定時間」は、印刷データに応じて可変しても良い。例えば、印刷データのデータ量が多い場合は、所定時間を長く設定し、データ量が少ない場合は、所定時間を短く設定しても良い。また、データ量に代えて、テープ長さや文字数により、「所定時間」を可変しても良い。
【0052】
また、上記フローチャートのS06およびS07を省略した構成としても良い。この構成によれば、振動を与えるごとに(S04:Yes)、印刷データが送信されることとなるため(S05)、同じ印刷データに基づく複数枚のラベル印刷を容易に行うことができる。なお、複数枚のラベル印刷を行う場合、テープ印刷装置2は、印刷データの印刷とテープカットとを複数回繰り返すこととなる。
【0053】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、ユーザーが携帯端末1に振動を与えるだけで、容易に印刷指示を行うことができる。また、編集画面D1が表示されている状態は、編集途中であることが多いため、振動の検出によって印刷データを送信せず、プレビュー表示画面D2への画面切り替えを行うことで、誤操作を防止できる。さらに、画面切り替えと印刷データの送信を、同じ動きの検出に基づいて行うため、操作方法が分かり易い。つまり、編集画面D1が表示されている状態で、振動を2回与えることで、容易且つ迅速に印刷指示を行うことができる。
【0054】
また、印刷データの送信後、所定時間内に振動を検出した場合、印刷停止要求を行うため、誤って印刷指示を行ってしまった場合や、印刷指示後印刷データの誤りに気づいた場合などに、即座に印刷を停止させることができる。
【0055】
なお、以下の変形例を採用しても良い。例えば、携帯端末1から印刷停止要求を行うのではなく、テープ印刷装置2側で印刷停止を判別しても良い。例えば、テープ印刷装置2の印刷実行中に、再度、印刷データを取得した場合、これを印刷停止要求と看做して印刷を停止する構成としても良い(印刷制御部)。この構成によれば、誤って印刷指示を行ってしまった場合や、印刷指示後印刷データの誤りに気づいた場合などに、ユーザーが再度、携帯端末1に対して振動を与えることで、印刷を停止させることができる。つまり、印刷停止要求を行うためのユーザーの操作については、上記の実施形態と同様であるが、本変形例では、携帯端末1から送信された同じコマンドを、テープ印刷装置2側で印刷要求(印刷データの印刷指令)として扱うか印刷停止要求として扱うかを切り替える点で異なる。なお、本変形例の適用にあたり、テープ印刷装置2側では、印刷データの受信から印刷開始までの間に所定のウェイト時間をとることが好ましい。この構成によれば、ユーザーが誤操作した場合ウェイト時間内に振動を与えれば、印刷開始前に印刷停止させることができるため、印刷テープTの無駄を抑えることができる。
【0056】
また、他の変形例として、テープ印刷装置2側では、印刷待機中における印刷データの取得回数に応じて印刷枚数を決定し、当該印刷枚数分の印刷を行う構成としても良い(印刷制御部)。この構成によれば、ユーザーは、携帯端末1に対して所定の動きを与える回数によって、印刷枚数を指定することができる。なお、本変形例においても、印刷データの受信から印刷開始までの間に所定のウェイト時間を確保することが好ましい。この構成によれば、ユーザーは、ウェイト時間内に所望の印刷枚数分だけ携帯端末1に振動を与えれば良いため、印刷枚数の指定の幅が広がる。
【0057】
また、この場合、携帯端末1は、振動(所定の動き)の連続検出回数に応じて、1枚分の印刷データと、当該連続検出回数に応じた印刷枚数を示す枚数情報と、を送信しても良い。この場合、携帯端末1は、振動検出後所定時間(例えば、1秒以内)に次の振動を検出した場合、連続シェイク(枚数指定動作)と判別して、連続検出回数を特定する。また、連続シェイクが終了した時点で、1枚分の印刷データと枚数情報を送信する。一方、テープ印刷装置2側では、受信した枚数情報にしたがい、指定された枚数分だけ印刷データをコピーして複数枚印刷を行う。この構成によれば、複数枚印刷を行う場合、携帯端末1からテープ印刷装置2に送信するデータ送信量を減らすことができる。
【0058】
また、上記の実施形態では、プレビュー表示画面D2が表示されている状態で振動を検出した場合に、印刷データの送信を行うものとしたが、編集画面D1が表示されている状態でも、印刷データの生成が完了している状態であれば(印刷データが確定していれば)、振動検出によって印刷データを送信する構成としても良い。
【0059】
また、携帯端末1に振動を与えるのではなく、所定値以上の加速度を加える、所定角度以上回転させる、所定方向に移動させる、など、端末本体に与えられた他の運動量を検出することによって、画面遷移や印刷データ・印刷停止要求の送信を行っても良い。
【0060】
また、携帯端末1に与えられる所定の動きの種類や、動きの大きさによって、異なる印刷制御を行う構成としても良い。例えば、動きの大きさによって自動カットと手動カットを可変したり、動きの種類によって通常印刷と鏡面印刷を可変したりすることが考えられる。また、フルカットとハーフカット(印刷テープTが剥離紙層と印刷層の二重構造の場合、いずれか一方の層だけをカットする方法)を行い得るテープ印刷装置2の場合、所定の動きの種類や、動きの大きさによって、フルカットまたはハーフカットを指定可能しても良い。
【0061】
また、上記の実施形態では、携帯端末1とテープ印刷装置2が無線LANルーター4を介して接続された例を示したが、携帯端末1とテープ印刷装置2が直接接続された構成であっても良い。この場合、携帯端末1とテープ印刷装置2は、有線接続、無線接続のいずれであっても良い。また、通信方式も、例えば無線接続の場合、赤外線通信やブルートゥース(登録商標)通信などその種類を問わない。
【0062】
また、上記に示した印刷システムSYの携帯端末1またはテープ印刷装置2における各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを携帯端末1またはテープ印刷装置2の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0063】
また、上記の実施形態では、印刷装置の一例としてテープ印刷装置2を例示したが、コピー用紙や葉書など短冊状の媒体に印刷可能な印刷装置(切断機能を有しない印刷装置)にも、本発明を適用可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…携帯端末 2…テープ印刷装置 4…無線LANルーター 5…ケーブル 11…タッチパネル 14a…専用アプリケーション D1…編集画面 D2…プレビュー表示画面 E1…編集結果表示領域 E2…メニュー表示領域 E3…ステータス表示領域 E4…操作ボタン表示領域 S…加速度センサー SY…印刷システム T…印刷テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末および印刷装置を備えた印刷システムであって、
前記携帯端末は、
印刷データを生成する印刷データ生成部と、
前記携帯端末の本体の動きを検出する検出部と、
前記印刷装置に対し、前記印刷データを送信する印刷データ送信部と、を備え、
前記印刷データ送信部は、前記印刷データ生成後の印刷指示待ち状態で、前記検出部により前記所定の動きが検出された場合、前記印刷データを送信することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記印刷データのプレビュー表示画面を表示する表示部をさらに備え、
前記印刷データ送信部は、前記プレビュー表示画面が表示されている状態で、前記検出部により前記所定の動きが検出された場合、前記印刷データを送信することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記印刷データを編集するための編集画面を表示し、
前記印刷データ送信部は、前記編集画面が表示されている状態で、前記検出部により前記所定の動きが検出された場合、前記印刷データを送信しないことを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記編集画面が表示されている状態で、前記検出部により前記所定の動きが検出された場合、前記プレビュー表示画面に切り替える表示制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記携帯端末は、
前記印刷データの送信後所定時間内に、前記検出部により前記所定の動きが検出された場合、前記印刷装置に対し、印刷停止コマンドを送信する印刷停止要求部をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置は、
印刷実行中に、再度、前記印刷データを取得した場合、印刷を停止する印刷制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記印刷装置は、
印刷待機中における前記印刷データの取得回数に応じて印刷枚数を決定し、当該印刷枚数分の印刷を行う印刷制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記検出部は、加速度センサーおよび角速度センサーの少なくとも一方の検出結果に基づいて、前記所定の動きを検出することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の印刷システムに用いられることを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
携帯端末および印刷装置を備えた印刷システムの制御方法であって、
前記携帯端末が、
印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
前記携帯端末の本体の動きを検出する検出ステップと、
前記印刷装置に対し、前記印刷データを送信する印刷データ送信ステップと、を実行し、
前記印刷データ送信ステップでは、前記印刷データ生成後の印刷指示待ち状態で、前記検出ステップにより所定の動きが検出された場合、前記印刷データを送信することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項11】
コンピューターに、請求項10に記載の印刷システムの制御方法における前記携帯端末の各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15948(P2013−15948A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147116(P2011−147116)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】