説明

印刷システムの制御方法、印刷装置、電子機器、印刷装置の制御プログラム、および電子機器の制御プログラム

【課題】印刷画像選択に充分な表示装置を有していない印刷装置を用いた印刷システムにおいて、容易に印刷装置、および外部の電子機器の記憶媒体に格納された画像データからユーザが所望の画像データを選択し、印刷できるようにする。
【解決手段】デジタルカメラ221の操作キー232およびLCD230を用いて、ダイレクトプリンタ201側のメモリカード209に格納された画像データ、およびデジタルカメラ221のメモリカード229に格納された画像データをユーザに選択させ、選択された画像データをダイレクトプリンタ201で印刷させるためのユーザーインターフェースを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、およびこの印刷装置と接続された印刷装置外部の電子機器を含む印刷システムの制御方法、その印刷装置、その電子機器、その印刷装置の制御プログラム、およびその電子機器の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年になって、いわゆるダイレクトプリント動作が可能なプリンタが急速に普及している。ダイレクトプリントとは、主としてPC(パーソナルコンピュータ)などのホスト装置を介在させることなく、デジタルカメラや、デジタルカメラで撮像した画像を記録したフラッシュメモリを直接、プリンタに接続して行なう印刷動作を指す。
【0003】
この種の印刷システムにおける動作の流れは次のようなものである。
【0004】
デジタルカメラは、撮影レンズ後方に配置したCCDイメージセンサ等の撮像素子の光電面に結像する光学的な被写体画像をデジタル信号に変換し、電子記憶媒体(以下、フラッシュメモリという)に画像データとして記憶する。
【0005】
デジタルカメラに対してフラッシュメモリは着脱式となっており、フラッシュメモリをデジタルカメラから抜き取ってプリンタにセットする。フラッシュメモリに格納されている画像の確認および印刷出力のための選択は、プリンタに表示装置が設けられていればその表示装置を用いて行なわれる。
【0006】
また、プリンタが表示手段を持たない場合は、フラッシュメモリ内の画像のサムネイルをマークシート形式で印刷し、ユーザに所望の画像のサムネイルをマークさせ、これをスキャナで読み取ることにより画像の選択を行なう方法もある。
【0007】
選択された画像のプリント開始操作が行なわれると、フラッシュメモリに記憶されている画像データが銀塩写真と同様に記録紙へプリントされ、高画質の写真プリントを得ることができる。
【0008】
このようにフラッシュメモリを直接接続することが可能なプリンタを用いることにより、ユーザは、PCなどのホスト装置を用いずに手軽にまた簡単に所望の画像を印刷することができる。
【0009】
上述の従来構成では、プリントする画像の確認/選択を行なうためのモニタをプリンタに設置するか、またはフラッシュメモリ内の画像を全てサムネイル印刷する必要がある。充分な操作性をもって画像の確認/選択ができるような表示手段を設けようとすれば当然ながら装置が大型化し、また製造コストが上昇する問題がある。また、マークシートにサムネイル印刷を行なうユーザーインターフェースでは、余計なインク代、用紙代を必要とする問題がある。
【0010】
上記問題に鑑み、プリンタにセットされたフラッシュメモリの画像をプリンタに接続された携帯電話に表示し、携帯電話のインターフェイスを用いて印刷画像を選択する技術が提案されている(下記の特許文献1)。
【0011】
また、プリンタとデジタルカメラをUSBインターフェイスで接続する規格の1つとしてPictBridge(商品名)が知られている。このPictBridge準拠の印刷システムでは、デジタルカメラに装着されたフラッシュメモリの画像をデジタルカメラのモニタに表示し、ユーザに選択させプリンタでダイレクトプリントする動作が可能である。
【特許文献1】特開2003−54093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1の構成においても、PictBridge規格も同様に、印刷対象として選択できるターゲット画像は、特定の1つの記憶媒体に格納されていることが前提になっている。
【0013】
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などの普及により、1ユーザが画像の保存されたフラッシュメモリを複数所有する時代になっているのに、これだけでは印刷システムの機能としては十分ではない。
【0014】
たとえば、ある撮影機会において、ユーザが携帯電話およびデジタルカメラの両方を使って画像を撮影し、携帯電話およびデジタルカメラの撮影画像をまとめてプリントしたい、という需要は充分予想される。
【0015】
しかしながら、従来の印刷画像の選択のためのユーザーインターフェースは、携帯電話またはデジタルカメラのいずれかの特定の1つの記憶媒体に格納されているターゲット画像しか選択できない、という問題があった。
【0016】
本発明の課題は、上記問題を解決し、印刷画像選択に充分な表示装置を有していない印刷装置を用いた印刷システムにおいて、印刷装置外部の電子機器の表示手段を印刷すべき画像指定のユーザーインターフェースに利用するとともに、画像データが記憶された記憶媒体に制約されることなく、印刷装置、および外部の電子機器の記憶媒体に格納された画像データからユーザが所望の画像データを選択し、印刷できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、印刷装置、およびこの印刷装置と接続された印刷装置外部の電子機器を含む印刷システムの制御方法、その印刷装置、その電子機器、およびその印刷装置の制御プログラム、およびその電子機器の制御プログラムにおいて、前記電子機器で、前記電子機器の操作部および表示部を用いて、前記印刷装置側の記憶媒体に格納された画像データ、および前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させ、選択された画像データを前記印刷装置で印刷させるためのユーザーインターフェースを実行する構成を採用した。
【0018】
あるいはさらに、前記印刷装置から前記電子機器に前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データの全画像数を送信し、前記電子機器が前記全画像数を用いてサイクリックに前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させる構成を採用した。
【0019】
あるいはさらに、前記印刷装置から前記電子機器に前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データのパス名または撮影日時の情報を送信し、前記電子機器が前記パス名または撮影日時の情報を用いて前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させる順序を決定する構成を採用した。
【発明の効果】
【0020】
上記構成によれば、印刷装置外部の電子機器の操作部および表示部を用いたユーザーインターフェースにより、印刷装置側の記憶媒体に格納された画像データ、および電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させ、選択された画像データを印刷装置で印刷させることができる。したがって、本発明によれば、ユーザは画像データが記憶された記憶媒体に制約されることなく、印刷装置、あるいは外部の電子機器の記憶媒体に格納された画像データから所望の画像データを選択し、印刷できる。
【0021】
また、印刷装置から電子機器に電子機器側の記憶媒体に格納された画像データの全画像数を送信し、電子機器が前記全画像数を用いてサイクリックに電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させる構成によれば、画像選択処理中の印刷装置から電子機器へのデータ転送量を著しく小さくできる利点がある。
【0022】
また、印刷装置から電子機器に電子機器側の記憶媒体に格納された画像データのパス名または撮影日時の情報を送信し、電子機器が前記パス名または撮影日時の情報を用いて電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させる順序を決定する構成によれば、画像選択の順序が画像データが記憶された記憶媒体に制約されることなく、たとえば画像データのパス名または撮影日時の情報に応じてソートされた順序でユーザは容易に画像選択を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、発明を実施するための最良の形態の一例として、表示装置を有していない印刷装置と、印刷装置外部の電子機器を含む印刷システムにおける実施例を示す。以下の実施例では、印刷装置外部の電子機器としてデジタルカメラを例示する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明を採用した印刷システムの構成例を示している。図1の印刷システムは、フラッシュメモリから画像を直接印刷(ダイレクトプリント)できるプリンタ(以下、ダイレクトプリンタという)と、メモリカードを内蔵し、操作部と表示部を備えたデジタルカメラをUSBインターフェイスで接続することにより構成されている。
【0025】
図1のダイレクトプリンタ101には、メモリカードスロット102およびUSBインターフェイス103が設けられている。ダイレクトプリンタ101は、USBインターフェイス103に接続されるUSBケーブル104を介して、デジタルカメラ105と接続されている。
【0026】
デジタルカメラ105はUSBインターフェイス106、操作部107、表示部108、メモリカードスロット109を備えた、ハードウェア構成としては標準的なデジタルカメラである。
【0027】
ダイレクトプリンタ101、およびデジタルカメラ105のそれぞれのメモリカードスロット102、109には、メモリカード110を接続することができる。
【0028】
なお、このメモリカードには参照符号に110を用いているが、ダイレクトプリンタ101、およびデジタルカメラ105に装着されるメモリカードは必ずしも同一のメモリカードであることを意味しない。すなわち、以下に説明する通り、たとえば、別々の2枚のメモリカードを同時にメモリカードスロット102、109に装着してそれらのカードの画像を印刷することもできる(図2のメモリカード209、229参照)。
【0029】
なお、メモリカード110の規格は任意であり、たとえばCF(コンパクト・フラッシュ)規格のようなメモリカードを用いることができ、当然ながらメモリカードスロット102、109は対応するカード規格に準拠するインターフェース仕様で構成される。
【0030】
デジタルカメラ105は、撮像素子で記録した画像ファイルをメモリカード110に記録し、メモリカード110に記録された画像は操作部107で選択し、表示部108に表示することができる。
【0031】
また、ダイレクトプリンタ101は、メモリカードスロット102に装着されたメモリカードに格納された画像ファイル、およびデジタルカメラ105のメモリカードスロット109に装着されたメモリカードに格納された画像ファイルをダイレクト印刷することができる。
【0032】
そして、本実施例では、各メモリカードからの印刷すべき画像ファイルの選択および印刷制御は、デジタルカメラ105の表示部108および操作部107を用いたユーザーインターフェースを介して行なう。このとき、メモリカードスロット102に装着されたメモリカードに格納された画像ファイル、およびデジタルカメラ105のメモリカードスロット109に装着されたメモリカードに格納された画像ファイルは、従来のようにそれぞれ別に選択し、印刷するのではなく、統一されたユーザーインターフェース上で選択できるようにする。
【0033】
図2は、本発明を実現するのにダイレクトプリンタ201(図1におけるダイレクトプリンタ101)に最低限必要な構成を示したものである。図2では、図1において相当する部材を示すため、かっこ書きで図1における対応部材の参照符号を示してある。また、以下の説明では、文脈に応じて図2または図1の構成における参照符号をかっこ書きで示す。
【0034】
図2において、ダイレクトプリンタ201は、CPU202を内蔵し、このCPU202は、USBインターフェイス203(103)、メモリカードコントローラ204、プリンタ部205の各部の動作を制御する。
【0035】
CPU202には、さらにROM206、RAM207が接続され、ROM206には、後述の制御手順を含む制御プログラムが格納されている。RAM207は、CPU202がUSBインターフェイス203(103)、メモリカードコントローラ204、プリンタ部205を制御するための作業領域である。
【0036】
USBインターフェイス203は、デジタルカメラ221(105)のUSBインターフェイス223(106)と電気的に双方向で接続され、画像データ、制御データ等を送受信する。メモリカードコントローラ204は、着脱可能なメモリカード209(110)内に格納されたデータのリードライトを制御する。
【0037】
プリンタ部205は、プリントヘッド、モータ、各種センサ、操作キー、表示用LEDを含み、USBインターフェイス203から受信した画像データ、およびメモリカード209に格納されている画像データを記録紙208に記録する。
【0038】
プリンタ部205の記録方式は任意であり、プリンタ部205はたとえばインクジェット方式や電子写真方式のプリンタエンジンから構成することができる。
【0039】
一方、デジタルカメラ221(105)は、CPU222を内蔵し、このCPU222は、USBインターフェイス223、メモリカードコントローラ224、LCDドライバ225、撮像部226などの各部を制御する。
【0040】
CPU222には、さらにROM227、RAM228が接続され、ROM227には、CPU222の制御プログラムが格納される。
【0041】
RAM228は、CPU222がUSBインターフェイス223、メモリカードコントローラ224、LCDドライバ225、撮像部226を制御するための作業領域である。
【0042】
USBインターフェイス223は、ダイレクトプリンタ201と電気的に双方向で接続され、画像データ、制御データ等を送受信する。
【0043】
メモリカードコントローラ224は、着脱可能なメモリカード229内に格納されたデータのリードライトを制御する。撮像部226は、シャッターボタン、撮像素子、撮像素子駆動回路、タイミングジェネレータ、A/Dコンバータ等を含む。
【0044】
上記構成において、ユーザによりシャッターが押されると、撮像素子で生成されたアナログ画像はデジタル画像データに変換され、CPU222により制御されたメモリカードコントローラ224により、デジタル画像データはメモリカード229に格納される。
【0045】
LCDドライバ225は、LCD230(108)およびVRAM231と接続され、CPU222に指定された画像をVRAM231に格納する機能、およびVRAM231に格納されている画像をLCD230に表示させる機能を有する。
【0046】
操作キー232(107)は、ユーザにより操作され、LCD230と組み合わせて、ユーザインターフェースとして、主に画像選択やデジタルカメラ221のセットアップに用いられる。
【0047】
次に以上の構成における動作につき、図3および図4のフローチャートを参照して詳細に説明する。以下では必要な場合に、図2の部材に用いた200番台の参照符号を用いる。
【0048】
図3および図4は、ユーザがデジタルカメラの操作キー、表示部(LCD)からなるユーザインターフェースを用いて、デジタルカメラに接続したメモリカード内の画像と、ダイレクトプリンタに接続されたメモリカード内の画像とを、選択的に指定、印刷する際の手順を示している。
【0049】
図3および図4の手順は、デジタルカメラ221で行なわれる処理と、プリンタ201で行なわれる処理を含む。そして、これらの処理手順はそれぞれデジタルカメラ221およびプリンタ201のCPU222、202の制御プログラムとして、それぞれROM227あるいは206に格納しておくことができる。
【0050】
本実施例の印刷システムでは、図3に示すように3つのモードを用意してある。このうち、第1のモードは、デジタルカメラ221のユーザインターフェースを用いて、デジタルカメラに接続されているメモリカード内の画像のみを選択することができるモード1(従来のPictbridge相当)である。また、第2のモードはデジタルカメラ221のユーザインターフェースによりダイレクトプリンタ201に接続されているメモリカード内の画像のみを選択することができるモード2である。また、第3のモードはデジタルカメラ221のユーザインターフェースにより両方のメモリカード内の画像を連続的に選択することができるモード3である。
【0051】
図3の印刷処理はステップS301からスタートし、まずステップS302でダイレクトプリンタ201がホストとなり、デジタルカメラ221が接続されているか否かの判定を行なう。
【0052】
デジタルカメラ221が接続されていると判定されると、モードの選択(ステップS303)を行なう。モードの選択は、操作キー232、LCD230によるデジタルカメラ221のユーザインターフェースを用いて行なわせる。
【0053】
また、ステップS303のモード選択には、デジタルカメラ221を接続する毎にプリンタ201の不図示のモード選択スイッチを操作させて選択する方法も考えられる。また、プリンタ201に設けた不図示のDIPスイッチや操作部であらかじめ適当なモード設定を行なわせ、デジタルカメラ221を接続した時に用いるモード1〜3を決定しておいてもよい。
【0054】
図3では、前述の通りモードは3つある。第1のモードは、デジタルカメラに接続されているメモリカード内の画像のみを選択することができるモード1(従来のPictbridge相当)である。また、第2のモードはダイレクトプリンタに接続されているメモリカード内の画像のみを選択することができるモード2である。また、第3のモードは両方のメモリカード内の画像を連続的に選択することができるモード3である。
【0055】
ここでモード1(ステップS304)が選択されると、従来のPictbridgeと同様の処理を行なう。まず、ユーザがデジタルカメラ221の操作キー232で、LCD230を確認しながら、デジタルカメラに接続されているメモリカード内の画像選択(ステップS305)、印刷命令(ステップS306)を入力する。
【0056】
ユーザにより印刷命令(ステップS306)が入力されると、デジタルカメラ221は、USBインターフェイス223を介してプリンタ201に指定された画像データを送信(ステップS307)する。画像データを受信したプリンタ201は、受信データを印刷用にデコードし、印刷(ステップS308)を行なう。なお、プリンタとデジタルカメラとの間の通信プロトコルは、Pictbridgeに準ずるものであり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0057】
一方、モード選択(ステップS303)で、モード2(ステップS309)が選択された場合には、ダイレクトプリンタ201に接続されているメモリカード209内の画像選択モードに入る。
【0058】
この時点でデジタルカメラ221は、メモリカード内の画像情報を認識していないが、図4の手順を用いることにより、デジタルカメラ221の操作キー232で画像を選択することができる。
【0059】
なお、図4の処理のうち、必要な部分はモード2(あるいは後述のモード3)に入る前、ダイレクトプリンタ201とデジタルカメラ221がUSBケーブル(図1の104)で接続された時点で開始することができる。たとえば、ステップS401〜S404の処理はダイレクトプリンタ201とデジタルカメラ221が接続された時点で開始することができる。このような並行処理により、全体の処理時間を短縮できる。
【0060】
ダイレクトプリンタ201は、デジタルカメラ221との接続が検出されると、装着されているメモリカード209内の画像ファイルをすべてスキャンし、全ての画像に番号を割り振る(ステップS402)。この番号の割り振りが終了すると、ダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221に対して、画像1のサムネイルとメモリカード内の全画像数n(画像ファイル数または枚数)nを送信(ステップS403)する。なお、ここでデジタルカメラ221に送信するサムネイルは、EXIF仕様のJPEGファイルに格納されているものを用いるか、あるいは他のサイズのものであってもよい。
【0061】
なお、ここで、画像1はメモリカード内のパス名と画像ファイル名が、一番若いものとする(パス名/ファイル名の辞書順)。あるいは当該画像ファイルの画像の撮影日時の順で昇順に番号を割り当ててもよい。
【0062】
デジタルカメラ221は、ダイレクトプリンタ201から画像1のサムネイル画像を受信すると、受信した画像をLCD230に表示すると共に、全画像数nを記憶する(ステップS404)。
【0063】
次にデジタルカメラはキー入力待ち状態(ステップS405)となり、いづれかのキーが入力されると、操作されたキーの種類を判断する(ステップS406)。
【0064】
ここで可能なキー操作の種類は、前画像選択(ステップS407)と次画像選択(ステップS414)である。
【0065】
まず、キー種類判断(ステップS406)で、前画像選択(ステップS407)と判定された場合、デジタルカメラ221は次に要求する画像番号、つまりダイレクトプリンタ201から前回受信した画像番号から1を引いた番号を計算(ステップS408)する。計算結果が、0かどうかを判定(ステップS409)し、0であればプリンタに対して画像番号nをリクエスト(ステップS410)し、0でなければ前回の画像番号−1の画像ファイルをリクエスト(ステップS411)する。
【0066】
リクエストを受けたダイレクトプリンタ201は、要求された番号の画像のサムネイルを、デジタルカメラに対して送信(ステップS412)し、それを受信したデジタルカメラ221はサムネイルをLCD230に表示(ステップS413)し、キー入力待ち状態(ステップS405)に戻る。
【0067】
キー種類判断(ステップS406)で、次画像選択(ステップS414)と判定された場合は、上述の前画像選択とほぼ同じ処理を行なう。上述の前画像選択と異なるのは、次に要求する番号の計算(ステップS415)が、前回の画像番号+1を求める点である。なお、このとき、計算結果がn+1(n:最大画像数)であるときは、ダイレクトプリンタに対し、画像番号1をリクエスト(ステップS417)、n+1でなければ前回の画像番号+1をリクエスト(ステップS418)する。
【0068】
図4のように全画像数nをダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221に送信し、デジタルカメラ221でサイクリックに画像番号1〜nのサムネイルを表示/選択させる構成によれば、画像選択処理中のダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221へのデータ転送量を著しく小さくできる利点がある。
【0069】
なお、上記の画像選択に用いられるサムネイルは、図4のように表示タイミングごとにその都度、ダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221へ送信してもよいが、可能であれば全ての画像ファイルのサムネイルを送信してもよい。あるいは、適当な数を単位としてサムネイルをダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221へ送信することもできる。
【0070】
再び図3において、モード選択(ステップS303)で、モード2(ステップS309)が選択されると、図4で説明した手順で画像を選択(ステップS310)し、ユーザが印刷命令入力(ステップS311)を行なうと、デジタルカメラ221はダイレクトプリンタに対し、画像番号を指定して印刷命令を送信(ステップS312)する。印刷命令を受信したダイレクトプリンタは、所定の画像を印刷(ステップS313)する。なお、印刷命令は、少なくとも印刷すべき画像ファイルを指定する画像番号を含む必要があるが、その他にもデジタルカメラ221側で適当なユーザーインターフェースを介して設定した適当な用紙サイズ/種類や変倍情報などの印刷制御データが含まれていてよい。
【0071】
また、モード選択 (ステップS303) で、モード3(ステップS314)が選択された場合は、デジタルカメラ221に接続されているメモリカード229内の画像と、ダイレクトプリンタ201に接続されているメモリカード209内の画像の両方を連続的に選択できるモードに入る。
【0072】
このモード3においては、モード1の画像選択(ステップS305)と、モード2の画像選択(ステップS310)を順次行なう(ステップS315)。つまり、デジタルカメラ221の操作キー232による画像選択で、デジタルカメラ221のメモリカード229内の最後の画像の次の画像を選択する操作が行なわれると、次は、図4で示したものと同様のダイレクトプリンタ内の画像選択モードに入る。それぞれの選択方法の詳細は、前述のモード1、およびモード2で説明したものと同じである。
【0073】
選択(ステップS315)が終わり、ユーザによって印刷命令入力(ステップS316)が行なわれると、デジタルカメラ221は印刷する画像が、デジタルカメラ221に接続されているメモリカード229内の画像か、ダイレクトプリンタ201に接続されているメモリカード209内の画像かを判断(ステップS317)する。
【0074】
印刷する画像がデジタルカメラに接続されているメモリカード内の画像でない、つまりダイレクトプリンタに接続されているメモリカード内の画像であるときは、モード2同様、プリンタに対して、画像番号指定を含む印刷命令を送信(ステップS318)する。この印刷命令を受信したダイレクトプリンタは、指定された画像を印刷(ステップS319)する。
【0075】
また、判断(ステップS317)で、印刷する画像がデジタルカメラ221に接続されているメモリカード229内にあるときには、モード1のPictbridgeと同様、ダイレクトプリンタ201に対して印刷する画像データを送信(ステップS320)する。この画像データを受信したダイレクトプリンタ201は、受信した画像を印刷(ステップS321)する。
【0076】
なお、図3のステップS315〜S321では、デジタルカメラ221のメモリカード229内の画像は画像でまとめて、また、ダイレクトプリンタ201のメモリカード209内の画像は画像でまとめて画像選択/印刷を番号順に順次行なうようにしている。
【0077】
しかしながら、他のダイレクトプリンタ201側の画像を識別する情報をデジタルカメラ221に(1ファイル分づつではなく、ある程度まとめて)送信すれば、上記とは異なる画像選択ユーザーインターフェースを実現することもできる。
【0078】
たとえば、図4のステップS402〜S404において、各画像ファイルの撮影日時データ(たとえば過去の所定日時からの経過時間で表現された時刻データ形式による)や、パス名ないしファイル名をダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221に送信することが考えられる。
【0079】
なお、パス名ないしファイル名を送る場合は、これらの名前で画像ファイルにアクセスできるから、上記のような全画像数nに基づくサイクリックな画像ファイル指定処理は必ずしも必要ない。この他にはサムネイルをダイレクトプリンタ201からデジタルカメラ221に(必要なタイミングで、あるいは複数まとめて)送信すれば画像選択を行なうことができる。
【0080】
このような構成では、図3のステップS315において、撮影日時データやパス名ないしファイル名を用いて、デジタルカメラ221のLCD230における画像の表示順序を決定することができる。たとえば、撮影日時順にソートした順番でLCD230で画像を表示させる、あるいは、パス名/ファイル名の順で画像を表示させることができる。画像選択および印刷は、当然この順序で行なうことができるから、これによりユーザの画像選択操作、あるいは印刷後の写真の整理作業がより容易になる。
【0081】
特に、パス名/ファイル名の部分に「運動会」、「家族旅行」のような撮影機会に関する文字列、被写体の氏名などの文字列が含まれていれば、パス名/ファイル名の辞書順で画像の表示(提示)順をソートすることができ、ユーザの画像選択操作、あるいは印刷後の写真の整理作業はより容易になる。
【0082】
なお、上記のようなソート処理を行なう場合には、撮影日時やパス名/ファイル名は、全ての画像ファイル、あるいは適当な数の画像ファイルを単位としてまとめて送信する必要がある。
【0083】
以上では、印刷すべき画像データを選択させるユーザーインターフェースを実行するプリンタ(印刷装置)の外部電子機器として、デジタルカメラを例示した。しかし、画像選択ユーザーインターフェースを実行する外部電子機器としては、デジタルカメラに限定されることなく携帯電話やMP3プレーヤーなど、任意の電子機器を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、印刷画像選択に充分な表示装置を有していない印刷装置を用いた種々の印刷システムにおいて実施することができる。本発明を実施する制御プログラムは、あらかじめ印刷装置および電子機器のROMなどの記憶媒体に格納しておくことができる。また、HDD、あるいはさらにMOやCD−ROMなどの記憶メディアからインストール/アップデートすることができる。また、印刷装置や電子機器がネットワークインターフェースを有している場合は、任意のサーバからネットワーク経由で供給することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を採用した印刷システムの構成を示した説明図である。
【図2】本発明を採用した印刷システムの構成をより詳細に示した説明図である。
【図3】図1および図2の印刷システムにおける印刷処理の流れを示したフローチャート図である。
【図4】図1および図2の印刷システムにおける印刷処理の流れ、特にダイレクトプリンタに接続されているメモリカード内の画像データの選択処理を示したフローチャート図である。
【符号の説明】
【0086】
101 ダイレクトプリンタ
102 メモリカードスロット
103 USBインターフェイス
104 USBケーブル
105 デジタルカメラ
106 USBインターフェイス
107 操作部
108 表示部
109 メモリカードスロット
110 メモリカード
201 ダイレクトプリンタ
202 CPU
203 USBインターフェイス
204 メモリカードコントローラ
205 プリンタ部
206 ROM
207 RAM
208 記録紙
221 デジタルカメラ
222 CPU
223 USBインターフェイス
224 メモリカードコントローラ
225 LCDドライバ
226 撮像部
227 ROM
228 RAM
229 メモリカード
230 LCD
231 VRAM
232 操作キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置、およびこの印刷装置と接続された印刷装置外部の電子機器を含む印刷システムの制御方法において、
前記電子機器で、前記電子機器の操作部および表示部を用いて、前記印刷装置側の記憶媒体に格納された画像データ、および前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させ、選択された画像データを前記印刷装置で印刷させるためのユーザーインターフェースを実行することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムの制御方法において、前記印刷装置から前記電子機器に前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データの全画像数を送信し、前記電子機器が前記全画像数を用いてサイクリックに前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させることを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷システムの制御方法において、前記印刷装置から前記電子機器に前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データのパス名または撮影日時の情報を送信し、前記電子機器が前記パス名または撮影日時の情報を用いて前記電子機器側の記憶媒体に格納された画像データをユーザに選択させる順序を決定することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷システムの制御方法における印刷装置として動作することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷システムの制御方法における電子機器として動作することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷システムの制御方法を実施すべく前記印刷装置のハードウェアを制御することを特徴とする印刷装置の制御プログラム。
【請求項7】
請求項1に記載の印刷システムの制御方法を実施すべく前記電子機器のハードウェアを制御することを特徴とする電子機器の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−67019(P2008−67019A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242223(P2006−242223)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】