説明

印刷システム及び印刷方法

【課題】印刷開始前に、排紙トレイ上の混在の有無を確認し、混在する可能性がある場合には他の印刷装置に印刷ジョブを転送して印刷させる。
【解決手段】プリントサーバ31と複数台の複合機21と端末装置11とがネットワークNを通じて相互に接続され、複数台の複合機21及びプリントサーバ31の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、端末装置11から1台の複合機21に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、複合機21は、排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断し、混在する可能性がある場合は、他の複合機から装置情報を取得して、印刷可能な他の複合機を選択してその選択情報を端末装置11に送信し、端末装置11は、送信されてきた選択情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを介して接続された印刷システム及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の印刷装置と接続された端末装置から、複数の印刷装置のいずれかに印刷ジョブを送信して印刷を行わせる場合、従来は、端末装置をプリントサーバと接続して、端末装置がプリントサーバから複数の印刷装置の情報を取得し、取得した複数の印刷装置の中から使用したい印刷装置を予め選択して、印刷ジョブを送信するようにしていた。
【0003】
すなわち、ユーザが選択した印刷装置に無条件で印刷ジョブを送信し、そのまま印刷を行わせるようにしていた。そのため、選択した印刷装置が別の印刷ジョブの実行中であった場合、さらには、複数の印刷ジョブが待機状態であった場合でも、選択した印刷装置にそのまま印刷を行わせることになるため、印刷処理に時間がかかってしまうといった問題があった。
【0004】
そこで、接続された複数の印刷装置の中から使用可能な印刷装置を自動的に選択して印刷を行わせることで、印刷処理の迅速化及び印刷指示設定の簡略化を図った印刷制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の印刷制御装置は、複数の印刷装置から印刷処理状況を取得し、印刷指示時に、取得された印刷処理状況に基づいて、複数の印刷装置のうちの所定の印刷装置が印刷ジョブを処理中であるかどうかを判別し、所定の印刷装置が印刷ジョブを処理中であると判別された場合には、取得された印刷処理状況に基づいて、複数の印刷装置のうちから印刷処理可能な他の印刷装置を選択し、選択された印刷装置に印刷処理を行わせる構成となっている。すなわち、印刷ジョブを処理中でない印刷装置を選択して印刷処理を行わせる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−290621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の印刷制御装置では、印刷ジョブを処理中でない印刷装置を選択して印刷処理を行わせることで、印刷処理の迅速化を図っているが、その印刷装置の排紙トレイに既に印刷物が積載されている場合(すなわち、排紙トレイ上に残留用紙がある場合)でも、その上から重ねて印刷出力されるため、出力用紙が混在する可能性があるといった問題があった。そのため、印刷処理自体は迅速化されるものの、排紙トレイからの印刷物の取り出しに際し、混在した排紙用紙から自身の印刷した用紙を仕分けて取り出す作業が必要となり、その仕分け作業が煩わしいといった問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、印刷開始前に、排紙トレイ上の混在の有無を確認し、混在する可能性がある場合には他の印刷装置に印刷ジョブを転送して印刷させることで、排紙トレイ上での混在の可能性を低減するとともに、混在した場合であっても、排紙トレイからの印刷物の取り出し作業を容易とした印刷システム及び印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の印刷システムは、複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、1台の端末装置から1台の印刷装置に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、前記印刷装置は、排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された選択情報を前記端末装置に送信する送信手段とを備え、前記端末装置は、前記送信手段から送信されてきた前記選択情報を表示する表示手段を備えた構成としている。
【0010】
本発明によれば、印刷ジョブの実行前に、排紙トレイ上で他の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断し、混在する可能性がある場合には、混在しない他の印刷装置をユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、自身の印刷物が他の印刷物と混在しないように他の印刷装置を選択することが可能となり、印刷物の混在を未然に防止することができる。
【0011】
また、本発明の印刷システムは、プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置及び前記プリントサーバの相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、1台の端末装置から1台の印刷装置に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、前記印刷装置は、排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により混在する可能性があると判断した場合は、印刷不可情報を前記プリントサーバに送信する送信手段とを備え、前記プリントサーバは、前記印刷不可情報を受信すると、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された選択情報を前記端末装置に送信する送信手段とを備え、前記端末装置は、前記送信手段から送信されてきた前記選択情報を表示する表示手段を備えた構成としている。
【0012】
本発明によれば、印刷ジョブの実行前に、排紙トレイ上で他の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断し、混在する可能性がある場合には、混在しない他の印刷装置をユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、自身の印刷物が他の印刷物と混在しないように他の印刷装置を選択することが可能となり、印刷物の混在を未然に防止することができる。
【0013】
また、本発明の印刷システムは、プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置及び前記プリントサーバの相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、1台の端末装置から1台の印刷装置に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、前記プリントサーバは、前記印刷装置の排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された選択情報を前記端末装置に送信する送信手段とを備え、前記端末装置は、前記送信手段から送信されてきた前記選択情報を表示する表示手段を備えた構成としている。
【0014】
本発明によれば、印刷ジョブの実行前に、排紙トレイ上で他の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断し、混在する可能性がある場合には、混在しない他の印刷装置をユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、自身の印刷物が他の印刷物と混在しないように他の印刷装置を選択することが可能となり、印刷物の混在を未然に防止することができる。
【0015】
また、本発明の印刷システムによれば、前記表示手段に表示された選択情報によって示された印刷装置が前記端末装置で選択された場合には、選択された印刷装置に前記印刷ジョブが転送される構成としている。
【0016】
このような構成によれば、ユーザは、印刷ジョブの実行前に、自身の印刷物が他の印刷物と混在しないように他の印刷装置を選択することができる。

また、本発明の印刷システムによれば、前記判断手段は、前記印刷ジョブの出力モードがコピーモードの場合は、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報に関係なく、前記印刷装置に印刷出力させる構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、コピーモードの場合は、排紙トレイ上の印刷物に関係なく、強制的に自装置で印刷出力することで、他の印刷装置に出力されることを防止することが可能となる。
【0018】
また、本発明の印刷システムによれば、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイ上の印刷物の有無情報が含まれており、前記判断手段は、前記印刷物の有無情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断する構成とすることができる。
【0019】
このような構成によれば、排紙トレイ上に印刷物が無い場合には、混在することはないので、そのまま印刷ジョブを実行すればよい。
【0020】
また、本発明の印刷システムによれば、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載されている印刷物の枚数情報が含まれており、前記判断手段は、前記印刷物の枚数情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断する構成とすることができる。
【0021】
このような構成によれば、排紙トレイに積載されている印刷物の枚数が所定枚数以上の場合は、印刷物の混在が発生しやすい。そのため、排紙トレイに積載されている印刷物の枚数情報に基づいて混在の可能性を判断することで、印刷物の混在の発生を未然に防止することが可能となる。
【0022】
また、本発明の印刷システムによれば、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載された印刷物の滞留時間の情報が含まれており、前記判断手段は、前記印刷物の滞留時間の情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断する構成とすることができる。
【0023】
このような構成によれば、滞留時間が長い場合、他のユーザが印刷物を取り忘れている可能性があり、混在する可能性が高い。そのため、滞留時間の情報に基づいて混在する可能性を判断することで、印刷物の混在の発生を未然に防止することが可能となる。
【0024】
また、本発明の印刷システムによれば、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載された印刷物の出力モードの情報が含まれており、前記判断手段は、前記印刷物の出力モードがファックス受信モードである場合には、印刷物が混在する可能性があると判断する構成とすることができる。
【0025】
このような構成によれば、印刷物がファックス受信の場合は、印刷されてからの放置時間が長い場合がり、印刷物の混在が発生しやすい。そのため、出力モードの情報に基づいて混在の可能性を判断することで、印刷物の混在の発生を未然に防止することが可能となる。
【0026】
また、本発明の印刷システムによれば、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載されている印刷ジョブの件数情報が含まれており、前記判断手段は、前記印刷ジョブの件数情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断する構成とすることができる。
【0027】
このような構成によれば、排紙トレイに積載されている印刷ジョブの件数が所定件数以上の場合は、印刷物が混在する可能性、若しくは、既に印刷物が混在している可能性がある。そのため、排紙トレイに積載されている印刷ジョブの件数の情報に基づいて混在の可能性を判断することで、印刷物の混在の発生を未然に防止することが可能となる。
【0028】
また、本発明の印刷システムによれば、前記印刷装置は複数の排紙トレイを備え、前記判断手段は、前記端末装置から指定された排紙トレイに印刷物が積載されている場合であっても、他の排紙トレイに印刷物が積載されていない場合は、前記他の排紙トレイに印刷出力する構成とすることができる。
【0029】
このような構成によれば、混在を未然に防止して、ユーザが選択した印刷装置で印刷物を得ることが可能となる。
【0030】
また、本発明の印刷システムによれば、前記選択手段は、印刷可能な他の印刷装置を選択するに際し、他の印刷装置の排紙トレイに印刷物が積載されているか否かを判断し、印刷物が積載されていない印刷装置を印刷可能な他の印刷装置として選択する構成とすることができる。
【0031】
このような構成によれば、排紙トレイに印刷物が積載されていない印刷装置に印刷出力できるので、印刷物の混在を未然に防止することができる。
【0032】
また、本発明の印刷方法は、複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムにおける印刷方法であって、任意の端末装置は、前記1台の印刷装置に印刷ジョブを送信するステップを実行し、印刷ジョブを受け取った印刷装置は、排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断するステップと、前記ステップにより混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択するステップと、他の印刷装置の選択情報を前記端末装置に送信するステップとを実行し、前記端末装置は、受信した前記選択情報を表示手段に表示するステップを実行する構成としている。
【0033】
また、本発明の印刷方法は、プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムにおける印刷方法であって、任意の端末装置は、前記プリントサーバを経由して前記1台の印刷装置に印刷ジョブを送信するステップを実行し、印刷ジョブを受け取った印刷装置は、排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断するステップと、前記ステップにより混在する可能性があると判断した場合は、印刷不可情報を前記プリントサーバに送信するステップとを実行し、前記プリントサーバは、前記印刷不可情報を受信すると、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択するステップと、選択した他の印刷装置の情報を前記端末装置に送信するステップとを実行し、前記端末装置は、前記選択情報を表示手段に表示するステップを実行し、前記表示手段に表示された選択情報の印刷装置が前記端末装置で選択された場合、前記プリントサーバは、選択された印刷装置に前記印刷ジョブを転送するステップを実行する構成としている。
【0034】
また、本発明の印刷方法は、プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムにおける印刷方法であって、任意の端末装置は、前記プリントサーバを経由して前記1台の印刷装置に印刷ジョブを送信するステップを実行し、前記印刷ジョブを受け取った前記プリントサーバは、前記印刷装置の排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断するステップと、前記ステップにより混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択するステップと、選択した他の印刷装置の情報を前記端末装置に送信するステップとを実行し、前記端末装置は、前記選択情報を表示手段に表示するステップを実行し、前記表示手段に表示された選択情報の印刷装置が前記端末装置で選択された場合、前記プリントサーバは、選択された印刷装置に前記印刷ジョブを転送するステップを実行する構成としている。
【0035】
本発明の印刷方法によれば、印刷ジョブの実行前に、排紙トレイ上で他の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断し、混在する可能性がある場合には、混在しない他の印刷装置をユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、自身の印刷物が他の印刷物と混在しないように他の印刷装置を選択することが可能となり、印刷物の混在を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の印刷システム及び印刷方法によれば、印刷ジョブの実行前に、排紙トレイ上で他の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断し、混在する可能性がある場合には、混在しない他の印刷装置をユーザに通知する構成としたので、ユーザは、自身の印刷物が他の印刷物と混在しないように他の印刷装置を選択することが可能となり、印刷物の混在を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の印刷システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】複合機の構成を示すブロック図である。
【図4】プリントサーバの構成を示すブロック図である。
【図5】印刷物の積載情報に基づく変更処理の具体例1を示すフローチャートである。
【図6】印刷物の積載情報に基づく変更処理の具体例1を示すフローチャートである。
【図7】印刷物の積載情報に基づく変更処理の具体例2を示すフローチャートである。
【図8】印刷物の積載情報に基づく変更処理の具体例2を示すフローチャートである。
【図9】印刷物の積載情報に基づく変更処理の具体例3を示すフローチャートである。
【図10】印刷物の積載情報に基づく変更処理の具体例3を示すフローチャートである。
【図11】滞留判断処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
図1は、本発明の印刷システムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の印刷システムは、パーソナルコンピュータ等の複数台の端末装置11(11A,11B,11C,・・・)、印刷装置である複数台の複合機21(21A,21B,21C,・・・)、及びプリントサーバ31をネットワークNを通じて相互に接続し、端末装置11、複合機21、及びプリントサーバ31のいずれの間でも印刷ジョブ等を送受することができるようになっている。ネットワークNは、LANやインターネット等を想定しているが、他の種類のネットワークを適用しても構わない。
【0040】
図2は、端末装置11の構成を示すブロック図である。
【0041】
図2において、CPU111は、システムバス112を通じて各デバイス等を制御し、端末装置11を統括的に制御する。ROM113及び外部メモリ114には、CPU111で実行されるBIOS(Basic Input /Output System)、オペレーティングシステム(OS)、端末装置11の機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。
【0042】
RAM115は、CPU111の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU111は、必要なプログラム等をROM113及び外部メモリ114からRAM115とへロードして実行し、端末装置11の機能を実現する。
【0043】
入力コントローラ116は、キーボードやマウス等の操作入力部117からの入力をCPU111へと中継する。
【0044】
ビデオコントローラ118は、表示デバイス119の表示制御を行う。CPU111は、RAM115等の表示メモリ領域にテキストや画像等をラスタライズする。ビデオコントローラ118は、このラスタライズされたテキストや画像等を表示デバイス119の画面に表示する。また、CPU111は、操作入力部117からの入力に応じて表示デバイス119の画面上のカーソルを移動させて、カーソルによる指示を可能にする。なお、表示デバイスは、液晶表示装置、CRT、EL表示装置等、如何なる種類のものであってもよい。
【0045】
メモリコントローラ121は、外部メモリ114に対する読み書きを制御する。外部メモリ114は、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、あるいはコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード等の携帯型メモリを含み、これらに対する読み書きを実行する。
【0046】
通信インターフェース(通信I/F)122は、ネットワークNを通じて、プリントサーバ21、あるいは複合機31との間でデータ通信を行うものであり、このデータ通信の通信制御を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信制御を行う。
【0047】
図3は、複合機21の構成を示すブロック図である。図3において、画像制御部211は、原稿画像を読取るスキャナ212及びテキストや画像等を記録用紙に印刷するプリンタ213を制御したり、ネットワークNや公衆回線網214(PSTNまたはISDN等)を通じて印刷ジョブ等を送受信する。
【0048】
画像制御部211において、CPU221は、システムバス222を通じて各デバイス等を制御し、複合機21全体を制御する。ROM223には、ブートプログラムや各種制御プログラムが格納されている。ハードディスクドライブ(HDD)224には、各種のアプリケーションプログラムや画像データ、後述する各複合機21の動作状況のデータ等が格納されている。
【0049】
RAM225は、CPU221の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU221は、必要なプログラム等をROM223及びHDD224からRAM225へとロードして実行し、複合機21を制御する。
【0050】
操作インターフェース(操作I/F)226は、操作入力部215のインターフェースであり、画像を操作入力部215に出力して、この画像を操作入力部215に付設の表示デバイスの画面に表示させる。また、操作I/F226は、表示デバイスの画面に重ねられたタッチパネルに対する指示を該タッチパネルから入力して、表示デバイスの画面に表示されたボタンやキー等に対する入力を判定する。このボタンやキーとしては、スタートキー、ストップキー、IDキー、リセットキー等がある。スタートキーは、スキャナ212による原稿画像の読取り開始を指示するときに操作される。ストップキーは、スキャナ212やプリンタ213の動作の停止を指示するときに操作される。IDキーは、ユーザの氏名やパスワードを入力するときに操作される。リセットキーは、操作入力部215による設定を初期設定するときに用いられる。なお、表示デバイスは、液晶表示装置、CRT、EL表示装置等、如何なる種類のものであってもよい。
【0051】
通信インターフェース(通信I/F)227は、ネットワークNを通じて、端末装置11やプリントサーバ31との間でデータ通信を行うものであり、このデータ通信の通信制御を実行する。モデム228は、公衆回線網214に接続され、公衆回線網214を通じて相手側通信端末との間でファクシミリ通信等を行う。
【0052】
用紙残量検知部229は、図1に示す排紙トレイ21a上に印刷出力された用紙(以下、印刷物ともいう。)の残量検知を行う。残量検知方法としては、従来から種々の方法が提案されており、例えば排紙トレイ上の排紙用紙の積載重量から用紙残量を計算で求める方法や、用紙の積載厚みを複数段階で検出できるようにセンサを配置して、用紙残量を複数段階で求める方法など、種々の方法が提案されており、本実施形態においてもこれら周知の方法を用いることができる。また、本実施形態における用紙残量の検知には、排紙トレイ上の用紙の有無も含まれる。
【0053】
タイマー部230は、各種時間を計測するが、本実施形態では特に、排紙トレイ21a上に用紙が排紙されてからの滞留時間(用紙検知センサがオンしてからオフするまでの時間)を計測する。
【0054】
イメージバスインターフェース(イメージバスI/F)231は、システムバス222と画像データ転送用の画像バス232とを相互接続するバスブリッジであり、両方のバス間でデータ構造の相互変換を行う。
【0055】
画像バス232は、PCIバス又はIEEE1394で構成されている。この画像バス232には、ラスタイメージプロセッサ(PIP)233、プリンタインターフェース(プリンタI/F)234、スキャナインターフェース(スキャナI/F)235、及び画像処理部236が接続されている。
【0056】
RIP233は、例えば、PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開する。
【0057】
プリンタI/F234は、プリンタ213を画像制御部211に接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。プリンタ213は、操作入力部215の操作によりプリントの開始が指示されると、CPU221により起動される。このプリンタ213は、画像(ラスタイメージ)を記録用紙に記憶するものであり、感光体上にトナー像を形成して、このトナー像を記録用紙に転写する電子写真方式、インクを記録用紙上に直接吐出するインクジェット方式等のいずれでも構わない。なお、プリンタ213は、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きの選択を可能にするために複数の給紙トレイを備えている。
【0058】
また、スキャナI/F235は、スキャナ212を画像制御部211に接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ212は、操作入力部215の操作によりスキャナの開始が指示されると、CPU221により起動される。このスキャナ212が起動されると、原稿用紙がトレイから引き出されて、CCDラインセンサにより原稿画像が読取られ、この原稿画像(ラスタイメージ)を示す画像データが生成出力される。
【0059】
画像処理部236は、画像データに対して補正、加工、編集を行うものである。例えば、複合機21の特性に応じた補正や解像度変換等を行う。あるいは、画像の回転、多値画像データに対するJPEGの圧縮伸長変換処理、及び2値画像データに対するJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0060】
CPU221は、用紙残量検知部229の状態を常に監視する。また、用紙残量検知部229のセンサがオンしてからの時間をタイマー部230で計測する。また、どういうモード(コピー/プリンタ/ファックスの各モード)で印刷要求を受け、何枚出力したのかといった動作履歴情報も把握している。さらに、CPU221は、ネットワークN上の他の複合機21と通信を行うことによって、ネットワーク環境下の他の複合機21の上記動作状況や動作履歴情報等(装置情報)を把握しているとともに、自機の上記動作状況や動作履歴情報等(装置情報)も他の複合機21に送信している。これらの情報は、ハードディスクドライブ(HDD)224に格納されて随時管理される。
【0061】
図4は、プリントサーバ31の構成を示すブロック図である。
【0062】
図4において、CPU311は、システムバス312を通じて各デバイス等を制御し、プリントサーバ31を統括的に制御する。ROM313及び外部メモリ314には、CPU311で実行されるBIOS(Basic Input /Output System)、オペレーティングシステム(OS)、プリントサーバ31の機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。
【0063】
RAM315は、CPU311の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU311は、必要なプログラム等をROM313及び外部メモリ314からRAM315とへロードして実行し、プリントサーバ31の機能を実現する。
【0064】
入力コントローラ316は、キーボードやマウス等の操作入力部317からの入力をCPU311へと中継する。
【0065】
ビデオコントローラ318は、表示デバイス319の表示制御を行う。CPU311は、RAM315等の表示メモリ領域にテキストや画像等をラスタライズする。ビデオコントローラ318は、このラスタライズされたテキストや画像等を表示デバイス319の画面に表示する。また、CPU311は、操作入力部317からの入力に応じて表示デバイス319の画面上のカーソルを移動させて、カーソルによる指示を可能にする。なお、表示デバイスは、液晶表示装置、CRT、EL表示装置等、如何なる種類のものであってもよい。
【0066】
メモリコントローラ321は、外部メモリ314に対する読み書きを制御する。外部メモリ314は、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、あるいはコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード等の携帯型メモリを含み、これらに対する読み書きを実行する。
【0067】
通信インターフェース(通信I/F)322は、ネットワークNを通じて、端末装置11及び複合機21との間でデータ通信を行うものであり、このデータ通信の通信制御を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信制御を行う。
【0068】
また、CPU311は、ネットワーク環境下の各複合機21との通信によって、各複合機21の動作状況及び動作履歴情報等(装置情報)を把握している。これらの装置情報は、外部メモリ314に格納されて管理される。
【0069】
上記構成の印刷システムにおいて、端末装置11は、プリンタドライバの実行により印刷ジョブの生成や送信を行うことができる。プリンタドライバは、例えばアプリケーションプログラムから画像データを受け取って、画像データと印刷処理命令とからなる印刷ジョブを生成したり、印刷ジョブを記憶デバイスから読み出し、この印刷ジョブをネットワークNを通じてプリントサーバ31に送信する。
【0070】
ここで、印刷ジョブをプリントサーバ31から複合機21に直ちに転送する通常の印刷処理について説明する。
【0071】
通常の印刷処理では、端末装置11は、CPU111によりプリンタドライバを実行して、RAM115内に印刷ジョブを生成したり、印刷ジョブをメモリコントローラ121を介して外部メモリ114から読み出し、この印刷ジョブを通信I/F122からネットワークNを通じてプリントサーバ31に送信する。
【0072】
プリントサーバ31では、端末装置11からの印刷ジョブを通信I/F322で受信し、この印刷ジョブをメモリコントローラ321を介して外部メモリ314に記憶し、この記憶した印刷ジョブを通信I/F322を通じて複合機21に直ちに送信する。
【0073】
複合機21では、プリントサーバ31からの印刷ジョブを通信I/F227で受信し、HDD224等に一旦記憶する。この記憶された印刷ジョブは、HDD224等から読み出され、イメージバスI/F231を介して画像処理部236に引き渡され、画像処理部236で該印刷ジョブの画像データに対する画像処理を施されてから、プリンタI/F234を介してプリンタ213へと引き渡される。プリンタ213は、この印刷ジョブを解析し、この印刷ジョブの画像データによって示される画像(ラスタイメージ)を用紙に印刷し、排紙トレイ21aに出力する。
【0074】
このような一連の印刷処理の過程において、本実施形態では、転送されてきた印刷ジョブを直ちに実行するのではなく、排紙トレイ21a上の印刷物の積載情報に基づいて、その後の処理を変更している。以下、このような変更処理について具体的に例を挙げて説明する。
【0075】
<具体例1>
具体例1は、印刷物の積載情報に基づく変更処理を、印刷ジョブを受信した複合機21で全て行う具体例である。以下、図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ただし、図5及び図6は、複合機21での処理を示すフローチャートであり、CPU221によって実行される。また、具体例の説明では、端末装置11及び複合機21を区別する必要があるため、ここでは図1に示すように、符号の後にアルファベットの大文字を付記することによって複合機を区別することとする。
【0076】
具体例1の処理は、一つの複合機(以下、自機ともいう。)21Aにおいて、電源を投入したとき、または一つの印刷ジョブが完了したときから開始する。すなわち、複合機21Aは、ネットワークN上の端末装置11からの印字要求の有無を監視する(ステップS101)。
【0077】
そして、一つの端末装置11Aから印字要求があると(ステップS101でYesと判断されると)、複合機21Aは、次に、その印字要求のモードがコピーモードであるか否かを判断する(ステップS102)。その結果、印字モードがコピーモードである場合(ステップS102においてYesと判断された場合)には、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。すなわち、コピーモードということは、ユーザが自機21Aの前に立って操作しているため、排出された印刷物をすぐに持ち去る可能性が高い。従って、仮に排紙トレイ21a上にそれ以前に実行した印刷ジョブによる印刷物が積載状態で滞留していたとしても、ユーザは、その上に排出される用紙のみを持ち去ればよいため、混在の可能性や仕分け作業の必要性がほとんどないからである。
【0078】
一方、印字モードがコピーモードでない場合(ステップS102でNoと判断された場合)、すなわち、プリントモードやファックス受信モードの場合には、ユーザが自機21Aの前にいない可能性が高いので、この場合には、次に排紙トレイ21a上に印刷物が積載されているか否かを判断する(ステップS104)。その結果、排紙トレイ21a上に印刷物が積載されていない場合(ステップS104でNoと判断された場合)には、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0079】
一方、排紙トレイ21a上に印刷物が積載されている場合(ステップS104でYesと判断された場合)には、次に、印字要求枚数が所定枚数(この例では、10枚)より多いか少ないかを判断する(ステップS105)。その結果、印字要求枚数が10枚以下なら(ステップS105でYesと判断された場合には)、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0080】
一方、印字要求枚数が10枚を越える場合(ステップS105でNoと判断された場合)には、排紙トレイ21a上の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断するため、次の滞留判断処理のステップS106に移行する。
【0081】
図6に示す滞留判断処理では、用紙残量検知部229からの情報に基づき、排紙トレイ21aの用紙残量が一定枚数(この例では、20枚)以下であるか否かを判断する(ステップS106−1)。その結果、用紙残量が20枚以下である場合(ステップS106−1でYesと判断された場合)には、ステップS106−2へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。すなわち、用紙残量が20枚程度以下であれば、その上に印刷物を出力しても混在の可能性は少なく、仮に混在したとしても、仕分ける枚数が少ないため、煩雑な仕分け作業とはならないと考えられるからである。
【0082】
一方、用紙残量が20枚を越える場合(ステップS106−1でNoと判断された場合)には、次に、排紙トレイ21aに残っている用紙の用紙滞留時間処理に移行する(ステップS106−3)。
【0083】
CPU221は、用紙残量検知部229の状態を常に監視しており、用紙残量を常に把握している。そして、用紙残量検知部229のセンサがオン(用紙を検知)してからの時間をタイマー部230で計測することで、用紙滞留時間をリアルタイムで把握している。
【0084】
従って、ステップS106−3では、用紙滞留時間が所定時間(この例では10分)以内かどうかを判断する。その結果、用紙滞留時間が10分以内である場合(ステップS106−3でYesと判断された場合)には、用紙が滞留してからあまり時間が経っていないので、そのまま放置されてどんどん滞留していく可能性は低いと判断し、この場合には、ステップS106−2へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。すなわち、用紙滞留時間が10以内であれば、その上に印刷物を出力しても、滞留している下の印刷物が先に取り去られる可能性が高く、その場合には、印刷物が混在しないため、煩雑な仕分け作業をしなくて済む可能性が高いからである。
【0085】
一方、用紙滞留時間が10分を越えている場合(ステップS106−4でNoと判断された場合)には、排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の中にファックス受信による印刷物があるかどうかを判断する(ステップS106−4)。この判断は、ハードディスクドライブ(HDD)224に格納されている動作履歴情報を確認する(すなわち、直近10分以内に実行した印刷ジョブがファクスモードでの受信かどうかを動作履歴情報で確認する)ことによって判断できる。その結果、ファクスモードでの受信でない場合(ステップS106−4でNoと判断された場合)には、ステップS106−2へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。すなわち、ファックス受信モードの場合には、第3者によって外部から送信されている場合が多く、その場合には受け取る側がファックス受信を認識していない可能性があるが、プリントモードやコピーモードでは、ユーザ自身が印刷していることを認識しているので、そのまま放置されてどんどん滞留していく可能性は低いと判断できるからである。
【0086】
一方、排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の中にファックス受信による印刷物がある場合(ステップS106−4でYesと判断された場合)には、そのまま放置されてどんどん滞留していく可能性が高いため、混在を避けるために、ネットワークN上の別の複合機21に印刷ジョブを転送して印刷出力するように設定して(ステップS106−5)、滞留判断処理を終了する。
【0087】
ここで、上記の滞留判断処理をまとめると次のようになる。すなわち、排紙トレイ21aの用紙残量が20枚を越え、かつ、用紙滞留時間が10分を越え、かつ、滞留している用紙がフックス受信モードでの印刷物である場合に別の複合機21に印刷ジョブを転送し、それ以外の条件では自機の複合機21Aでそのまま印刷ジョブを実行することになる。
【0088】
図5に戻って、複合機21Aは、上記滞留判断処理の結果、受信した印刷ジョブを自機21Aで印刷出力するように設定されているかどうかを判断する(ステップS107)。その結果、自機21Aで印刷出力するように設定されている場合(ステップS107でYesと判断された場合)には、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0089】
一方、別の複合機21で印刷出力する設定になっている場合(ステップS107でNoと判断された場合)には、複合機21AのCPU221は、ネットワークN上の他の複合機21B,21C,・・・と通信を行って、他の複合機21B,21C,・・・から動作状況及び動作履歴の情報を取得して(ステップS108)、他の複合機21B,21C,・・・が印刷ジョブの受け付け可能かどうかを判断する(ステップS109)。
【0090】
ここで、印刷ジョブの受け付けが可能かどうかの判断は、まず、その複合機が別の印刷ジョブの実行中でなく待機状態であるかどうか、その複合機にマシントラブルが発生していないかどうかの判断によって行う。そして、待機状態でありマシントラブルが無い場合には、次に、その複合機の排紙トレイ21aに印刷物が積載状態で放置されていないかどうかを判断する。その結果、印刷物が積載されていない複合機がある場合には、最終的にステップS109での判断がYesとなるので、その複合機(例えば、21C)を印刷ジョブを転送すべき複合機として選択する(ステップS110)。
【0091】
一方、印刷物が積載されていない複合機がない場合(ステップS109でNoと判断された場合)には、転送しても混在を避けることができないため、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0092】
また、ステップS110で印刷ジョブを転送すべき複合機21Cを選択した場合には、その印刷ジョブを送信してきた端末装置11Aに対して、印刷出力先の変更確認メッセージ(請求項に記載の選択情報に相当)を送信し(ステップS111)、その応答を待つ(ステップS112)。
【0093】
端末装置11Aでは、複合機21Aから変更確認メッセージを受け取ると、この変更確認メッセージをビデオコントローラ118を介して表示デバイス119の画面に表示する。
【0094】
そして、この画面を見たユーザが、操作入力部117から変更を了承する操作を行う(例えば、変更確認メッセージとともに表示されている「OK」ボタンにカーソルを移動させてクリックする)と、端末装置11Aから複合機21Aに対して変更許可信号が送信される(ステップS113でYesと判断される)ので、この変更許可信号を受け取った複合機21Aは、選択した複合機21Cに印刷ジョブを転送して(ステップS114)、全ての処理を終了する。
【0095】
一方、変更確認メッセージを見たユーザが、操作入力部117から変更を拒否する操作を行うと(例えば、変更確認メッセージとともに表示されている「NO」ボタンにカーソルを移動させてクリックすると)、端末装置11Aから複合機21Aに対して変更拒否信号が送信される(ステップS113でNoと判断される)ので、この変更拒否信号を受け取った複合機21Aは、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力して、全ての処理を終了する。
【0096】
以上説明したように、具体例1では、ほぼ全ての処理を複合機21で行っている。従って、具体例1の場合には、プリントサーバ31は必ずしも必要ではない。すなわち、具体例1を実現するための印刷システムとしては、少なくとも複数台の複合機21と1または複数台の端末装置11とがネットワークNを通じて相互に接続され、複数台の複合機21の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成されたシステムであればよい。
【0097】
<具体例2>
具体例2は、印刷物の積載情報に基づく変更処理を、印刷ジョブを受信した複合機21とプリントサーバ31とで分担して行う具体例である。以下、図7及び図8に示すフローチャートを参照して説明する。ただし、図7は、複合機21での処理を示すフローチャートであり、CPU221によって実行される。また、図8は、プリントサーバ31での処理を示すフローチャートであり、CPU311によって実行される。また、具体例の説明では、端末装置11及び複合機21を区別する必要があるため、ここでは図1に示すように、符号の後にアルファベットの大文字を付記することによって複合機を区別することとする。
【0098】
ここで、具体例2では、別の複合機21を選択する処理以降をプリントサーバ31で行い、それまでの処理は具体例1と同様、複合機21Aで行うので、ここでは別の複合機を選択する処理のところから説明する。すなわち、複合機21Aは、別の複合機を選択する処理に移行する前までの処理(すなわち、図7のステップS101〜ステップS107の処理)は具体例1と同じであるので、ここでは同ステップに同符号を付してその説明を省略する。
【0099】
複合機21Aでは、ステップS107までの処理を行った結果、別の複合機21で印刷出力する設定になっている場合(ステップS107でNoと判断された場合)には、プリントサーバ31に対して転送要求信号(請求項に記載の印刷不可情報に相当)を送信して(ステップS121)、応答信号を待つ(ステップS122)。
【0100】
上記したように、プリントサーバ31では、ネットワークN上の全ての複合機21と随時通信を行って、各複合機21の動作状況及び動作履歴の情報を取得し、外部メモリ314に随時格納して管理している。従って、図8に示すように、プリントサーバ31のCPU311は、転送要求信号を受け取ると(ステップS301でYesと判断されると)、外部メモリ314に格納されている各複合機21(ただし、転送要求信号を送信してきた複合機21A以外の複合機)の動作状況及び動作履歴の情報に基づき、他の複合機21B,21C,・・・が印刷ジョブの受け付け可能かどうかを判断する(ステップS302)。
【0101】
ここで、印刷ジョブの受け付けが可能かどうかの判断は、まず、その複合機が別の印刷ジョブの実行中でなく待機状態であるかどうか、その複合機にマシントラブルが発生していないかどうかの判断によって行う。そして、待機状態でありマシントラブルが無い場合には、次に、その複合機の排紙トレイ21aに印刷物が積載状態で放置されていないかどうかを判断する。その結果、印刷物が積載されていない複合機がある場合には、最終的にステップS302での判断がYesとなるので、その複合機(例えば、21C)を印刷ジョブを転送すべき複合機として選択する(ステップS304)。
【0102】
一方、印刷物が積載されていない複合機がない場合(ステップS302でNoと判断された場合)には、転送しても混在を避けることができないため、ステップS303へと処理を進め、転送要求信号を送信してきた複合機21Aに転送不可信号を送信する。
【0103】
一方、ステップS304で印刷ジョブを転送すべき複合機21Cを選択した場合には、複合機21Aに印刷ジョブを送信してきた端末装置11Aに対して、印刷出力先の変更確認メッセージ(請求項に記載の選択情報に相当)を送信し(ステップS305)、その応答を待つ(ステップS306)。
【0104】
端末装置11Aでは、プリントサーバ31から変更確認メッセージを受け取ると、この変更確認メッセージをビデオコントローラ118を介して表示デバイス119の画面に表示する。
【0105】
そして、この画面を見たユーザが、操作入力部117から変更を了承する操作を行う(例えば、変更確認メッセージとともに表示されている「OK」ボタンにカーソルを移動させてクリックする)と、端末装置11Aからプリントサーバ31に対して変更許可信号が送信される(ステップS307でYesと判断される)ので、この変更許可信号を受け取ったプリントサーバ31は、選択した転送先の複合機21Cの情報を、転送要求信号を送信してきた複合機21Aに送信して(ステップS308)、全ての処理を終了する。
【0106】
一方、変更確認メッセージを見たユーザが、操作入力部117から変更を拒否する操作を行うと(例えば、変更確認メッセージとともに表示されている「NO」ボタンにカーソルを移動させてクリックすると)、端末装置11Aからプリントサーバ31に対して変更拒否信号が送信される(ステップS307でNoと判断される)ので、この変更拒否信号を受け取ったプリントサーバ31は、ステップS303へと処理を進め、転送要求信号を送信してきた複合機21Aに転送不可信号を送信する。
【0107】
図7に戻って、複合機21Aは、この転送不可信号を受信すると(ステップS123でYesと判断すると)、ステップS103へと処理を進め、そのまま自機21Aで印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力して、全ての処理を終了する。
【0108】
一方、転送不可信号ではなく転送先の複合機21Cの情報を受信すると(ステップS124でYesと判断すると)、転送先として選択された複合機21Cに印刷ジョブを転送して(ステップS125)、全ての処理を終了する。
【0109】
なお、ステップS122で受信した応答信号が、転送不可信号でもなく、転送先の複合機の情報でも無い場合(ステップS123でNo、ステップS124でNoと判断された場合)には、その応答信号に応じてその他の処理をするか、またはエラー処理をする(ステップS126)。
【0110】
<具体例3>
具体例3は、印刷物の積載情報に基づく変更処理を、プリントサーバ31で全て行う具体例である。以下、図9及び図10に示すフローチャートを参照して説明する。ただし、図9及び図10は、プリントサーバ31での処理を示すフローチャートであり、CPU311によって実行される。また、具体例の説明では、端末装置11及び複合機21を区別する必要があるため、ここでは図1に示すように、符号の後にアルファベットの大文字を付記することによって複合機を区別することとする。
【0111】
上記したように、プリントサーバ31は、ネットワーク環境下の各複合機21との通信によって、各複合機21の動作状況及び動作履歴の情報を随時把握し、これらの情報を外部メモリ314に格納して管理している。ここで、動作状況には、排紙トレイ21a上に積載されている印刷物(用紙)の有無や、その滞留時間の情報も含まれている。
【0112】
プリントサーバ31は、ネットワークN上の端末装置11からの印字要求の有無を監視する(ステップS401)。
【0113】
そして、一つの端末装置11Aから印字要求があると(ステップS401でYesと判断されると)、プリントサーバ31は、その印字要求とともに送信されてきた印刷ジョブを一旦外部メモリ314の所定の領域に保存し(ステップS402)、次に、その印字要求のモードがコピーモードであるか否かを判断する(ステップS403)。その結果、印字モードがコピーモードである場合(ステップS403においてYesと判断された場合)には、ステップS404へと処理を進め、印字要求のあった複合機21(例えば21A)に印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。すなわち、コピーモードということは、ユーザが印字要求を行った複合機21Aの前に立って操作しているため、排出された印刷物をすぐに持ち去る可能性が高い。従って、仮に排紙トレイ21a上にそれ以前に実行した印刷ジョブによる印刷物が積載状態で滞留していたとしても、ユーザは、その上に排出される用紙のみを持ち去ればよいため、混在の可能性や仕分け作業の必要性がほとんどないからである。
【0114】
一方、印字モードがコピーモードでない場合(ステップS403でNoと判断された場合)、すなわち、プリントモードやファックス受信モードの場合には、ユーザが複合機21Aの前にいない可能性が高いので、この場合には、次に排紙トレイ21a上に印刷物が積載されているか否かを判断する(ステップS405)。その結果、排紙トレイ21a上に印刷物が積載されていない場合(ステップS405でNoと判断された場合)には、ステップS404へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0115】
一方、排紙トレイ21a上に印刷物が積載されている場合(ステップS405でYesと判断された場合)には、次に、印字要求枚数が所定枚数(この例では、10枚)より多いか少ないかを判断する(ステップS406)。その結果、印字要求枚数が10枚以下なら(ステップS406でYesと判断された場合には)、ステップS404へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0116】
一方、印字要求枚数が10枚を越える場合(ステップS406でNoと判断された場合)には、排紙トレイ21a上の印刷物と混在する可能性があるか否かを判断するため、次の滞留判断処理のステップS407に移行する。
【0117】
図10に示す滞留判断処理では、印字要求のあった複合機21Aの用紙残量検知部229による検知情報に基づき、複合機21Aの排紙トレイ21aの用紙残量が一定枚数(この例では、20枚)以下であるか否かを判断する(ステップS407−1)。その結果、用紙残量が20枚以下である場合(ステップS407−1でYesと判断された場合)には、ステップS407−2へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。すなわち、用紙残量が20枚程度以下であれば、その上に印刷物を出力しても混在の可能性は少なく、仮に混在したとしても、仕分ける枚数が少ないため、煩雑な仕分け作業とはならないと考えられるからである。
【0118】
一方、用紙残量が20枚を越える場合(ステップS407−1でNoと判断された場合)には、次に、その複合機21Aの排紙トレイ21aに残っている用紙の用紙滞留時間処理に移行する(ステップS407−3)。
【0119】
プリントサーバ31のCPU311は、複合機21Aから送信されてくる用紙残量の情報を常に把握している。また、複合機21Aの用紙残量検知部229のセンサがオン(用紙を検知)してからタイマー部230で計測されている用紙滞留時間もリアルタイムに把握している。
【0120】
従って、ステップS407−3では、CPU311は、リアルタイムに把握している複合機21Aの用紙滞留時間が所定時間(この例では10分)以内かどうかを判断する。その結果、用紙滞留時間が10分以内である場合(ステップS407−3でYesと判断された場合)には、用紙が滞留してからあまり時間が経っていないので、そのまま放置されてどんどん滞留していく可能性は低いと判断し、この場合には、ステップS407−2へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。すなわち、用紙滞留時間が10以内であれば、その上に印刷物を出力しても、滞留している下の印刷物が先に取り去られる可能性が高く、その場合には、印刷物が混在しないため、煩雑な仕分け作業をしなくて済む可能性が高いからである。
【0121】
一方、用紙滞留時間が10分を越えている場合(ステップS407−3でNoと判断された場合)には、複合機21Aの排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の中にファックス受信による印刷物があるかどうかを判断する(ステップS407−4)。この判断は、外部メモリ314に格納されている複合機21Aの動作履歴情報を確認する(すなわち、複合機21Aで直近10分以内に実行した印刷ジョブがファクスモードでの受信かどうかを動作履歴情報で確認する)ことによって判断できる。その結果、ファクスモードでの受信でない場合(ステップS407−4でNoと判断された場合)には、ステップS407−2へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。すなわち、ファックス受信モードの場合には、第3者によって外部から送信されている場合が多く、その場合には受け取る側がファックス受信を認識していない可能性があるが、プリントモードやコピーモードでは、ユーザ自身が印刷していることを認識しているので、そのまま放置されてどんどん滞留していく可能性は低いと判断できるからである。
【0122】
一方、複合機21Aの排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の中にファックス受信による印刷物がある場合(ステップS407−4でYesと判断された場合)には、そのまま放置されてどんどん滞留していく可能性が高いため、混在を避けるために、ネットワークN上の別の複合機21に印刷ジョブを転送して印刷出力するように決定して(ステップS407−5)、滞留判断処理を終了する。
【0123】
図9に戻って、プリントサーバ31のCPU311は、上記決定に従い、すでに取得して外部メモリ314に保存している他の複合機21B,21C,・・・の動作状況及び動作履歴の情報に基づき(若しくは、その時点でネットワークN上の他の複合機21B,21C,・・・と通信を行って、他の複合機21B,21C,・・・の動作状況及び動作履歴の情報を取得して)、他の複合機21B,21C,・・・が印刷ジョブの受け付け可能かどうかを判断する(ステップS408)。
【0124】
ここで、印刷ジョブの受け付けが可能かどうかの判断は、まず、その複合機が別の印刷ジョブの実行中でなく待機状態であるかどうか、その複合機にマシントラブルが発生していないかどうかの判断によって行う。そして、待機状態でありマシントラブルが無い場合には、次に、その複合機の排紙トレイ21aに印刷物が積載状態で放置されていないかどうかを判断する。その結果、印刷物が積載されていない複合機がある場合には、最終的にステップS408での判断がYesとなるので、その複合機(例えば、21C)を印刷ジョブを転送すべき複合機として選択する(ステップS409)。
【0125】
一方、印刷物が積載されていない複合機がない場合(ステップS408でNoと判断された場合)には、転送しても混在を避けることができないため、ステップS404へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0126】
また、ステップS409で印刷ジョブを転送すべき複合機21Cを選択した場合には、その印刷ジョブを送信してきた端末装置11Aに対して、印刷出力先の変更確認メッセージ(請求項に記載の選択情報に相当)を送信し(ステップS410)、その応答を待つ(ステップS411)。
【0127】
端末装置11Aでは、プリントサーバ31から変更確認メッセージを受け取ると、この変更確認メッセージをビデオコントローラ118を介して表示デバイス119の画面に表示する。
【0128】
そして、この画面を見たユーザが、操作入力部117から変更を了承する操作を行う(例えば、変更確認メッセージとともに表示されている「OK」ボタンにカーソルを移動させてクリックする)と、端末装置11Aからプリントサーバ31に対して変更許可信号が送信される(ステップS412でYesと判断される)ので、この変更許可信号を受け取ったプリントサーバ31は、一旦保存している印刷ジョブを、選択した複合機21Cに転送して(ステップS413)、全ての処理を終了する。
【0129】
一方、変更確認メッセージを見たユーザが、操作入力部117から変更を拒否する操作を行うと(例えば、変更確認メッセージとともに表示されている「NO」ボタンにカーソルを移動させてクリックすると)、端末装置11Aからプリントサーバ31に対して変更拒否信号が送信される(ステップS412でNoと判断される)ので、この変更拒否信号を受け取ったプリントサーバ31は、ステップS404へと処理を進め、印字要求のあった複合機21Aに印刷ジョブを送信する。これにより、複合機21Aは、受信した印刷ジョブを実行し、排紙トレイ21a上に印刷物を出力する。
【0130】
<具体例4>
上記具体例1〜3は、各複合機21に排紙トレイ21aが複数ある場合を考慮していない。すなわち、複合機21の機種によっては、排紙トレイ21aが複数用意されているものがある。図1に示す例では、複合機21Bが2つの排紙トレイ21aを備えている。
【0131】
このような複合機21Bに印刷ジョブを送信して印刷出力する場合、ユーザの指定した排紙トレイに印刷物が積載されている場合であっても、別の排紙トレイは空である場合がある。このような場合を考慮し、例えば具体例1では、図5に示すステップS104でYesと判断されたとき、次に、同じ複合機の別の排紙トレイに印刷物が積載されているか否かを判断するステップを追加し、別の排紙トレイに印刷物が積載されていない場合には、その排紙トレイに印刷物を排紙するようにしてもよい。そして、別の排紙トレイにも印刷物が積載されている場合には、その時点で、ステップS105に移行するように構成してもよい。このことは、他の具体例2,3についても同様である。
【0132】
<滞留判断処理の他の例>
上記各具体例1〜3では、滞留判断処理は、図6及び図10に示すように、排紙トレイの用紙残量、用紙滞留時間、ファックス受信の印刷物の有無、の順に時系列で行っているが、これらの判断処理はパラレルに行っても良い。すなわち、どれか一つの条件が満たされた場合に他の複合機で印刷出力するように設定(決定)する構成としてもよい。
【0133】
図11は、滞留判断処理の他の例を示すフローチャートである。
【0134】
滞留判断処理の他の例では、判断処理を分岐して(ステップS501)、ステップS502〜ステップS506のいずれかの判断処理を行う。
【0135】
すなわち、ステップS502では、用紙残量検知部229からの情報に基づき、排紙トレイ21aの用紙残量が一定枚数(この例では、20枚)以下であるか否かを判断する。その結果、用紙残量が20枚以下である場合(ステップS502でYesと判断された場合)には、ステップS506へと処理を進め、そのまま複合機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。一方、用紙残量が20枚を越える場合(ステップS502でNoと判断された場合)には、ステップS507へと処理を進め、ネットワークN上の別の複合機21に印刷ジョブを転送して印刷出力するように設定して、滞留判断処理を終了する。
【0136】
また、ステップS503では、用紙滞留時間が所定時間(この例では10分)以内かどうかを判断する。その結果、用紙滞留時間が10分以内である場合(ステップS503でYesと判断された場合)には、ステップS506へと処理を進め、そのまま複合機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。一方、用紙滞留時間が10分を越えている場合(ステップS503でNoと判断された場合)には、ステップS507へと処理を進め、ネットワークN上の別の複合機21に印刷ジョブを転送して印刷出力するように設定して、滞留判断処理を終了する。
【0137】
また、ステップS504では、排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の中にファックス受信による印刷物があるかどうかを判断する。その結果、ファクスモードでの受信でない場合(ステップS504でNoと判断された場合)には、ステップS506へと処理を進め、そのまま複合機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。一方、排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の中にファックス受信による印刷物がある場合(ステップS504でYesと判断された場合)には、ステップS507へと処理を進め、ネットワークN上の別の複合機21に印刷ジョブを転送して印刷出力するように設定して、滞留判断処理を終了する。
【0138】
また、ステップS505では、排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の印刷ジョブ件数が所定件数(この例では2件)以内かどうかを判断する。その結果、印刷ジョブ件数が2件以内である場合(ステップS505でYesと判断された場合)には、ステップS506へと処理を進め、そのまま複合機21Aで印刷ジョブを実行するように設定して、滞留判断処理を終了する。一方、印刷ジョブ件数が2件を越えている場合(ステップS505でNoと判断された場合)には、ステップS507へと処理を進め、ネットワークN上の別の複合機21に印刷ジョブを転送して印刷出力するように設定して、滞留判断処理を終了する。
【0139】
ここで、排紙トレイ21a上に滞留している印刷物の印刷ジョブ件数は、例えば排紙トレイ21aに印刷物が積載されることによって用紙残量検知部229がオンしてからオフするまで(すなわち、排紙トレイから全ての印刷物が持ち去られるまで)の間に受信した印刷ジョブの件数としてカウントすることができる。ただし、滞留している印刷物の中からユーザが自分の印刷物だけを抜き取って残りの印刷物を元の排紙トレイ21aに戻す場合があり、このような場合には、用紙残量検知部229がオン/オフを繰り返すことから、正確な印刷ジョブ件数を知ることはできない。しかし、本実施形態では、おおよその印刷ジョブ件数でも、滞留している印刷物と混在する可能性があるかどうかの一つの判断材料として用いることが可能であるため、本実施形態では、印刷ジョブ件数も混在可否の判断材料として用いている。
【0140】
また、ステップS502〜ステップS505の判断処理は全てパラレルである必要はなく、これら判断ステップを任意に組み合わせて用いることが可能である。上記具体例1〜3は、ステップS502〜ステップS504を組み合わせた一つの例である。
【0141】
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0142】
11(11A,11B,11C,・・・) 端末装置
21(21A,21B,21C,・・・) 複合機(印刷装置)
21a 排紙トレイ
31 プリントサーバ
111 CPU
112,312 システムバス
113,313 ROM
114,314 外部メモリ
115,315 RAM
116,316 入力コントローラ
117,317 操作入力部
118,318 ビデオコントローラ
119,319 表示デバイス
121,321 メモリコントローラ
122,322 通信インターフェース(通信I/F)
211 画像制御部
212 スキャナ
213 プリンタ
214 公衆回線網(PSTNまたはISDN等)
215 操作入力部
221 CPU(判断手段、選択手段)
222 システムバス
223 ROM
224 ハードディスクドライブ(HDD)
225 RAM
226 操作インターフェース(操作I/F)
227 通信インターフェース(通信I/F)
228 モデム
229 用紙残量検知部
230 タイマー部
231 イメージバスインターフェース(イメージバスI/F)
232 画像バス
233 ラスタイメージプロセッサ(PIP)
234 プリンタインターフェース(プリンタI/F)
235 スキャナインターフェース(スキャナI/F)
236 画像処理部
311 CPU(判断手段、選択手段)
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、
1台の端末装置から1台の印刷装置に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、
前記印刷装置は、
排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された選択情報を前記端末装置に送信する送信手段とを備え、
前記端末装置は、
前記送信手段から送信されてきた前記選択情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置及び前記プリントサーバの相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、
1台の端末装置から1台の印刷装置に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、
前記印刷装置は、
排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により混在する可能性があると判断した場合は、印刷不可情報を前記プリントサーバに送信する送信手段とを備え、
前記プリントサーバは、
前記印刷不可情報を受信すると、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された選択情報を前記端末装置に送信する送信手段とを備え、
前記端末装置は、
前記送信手段から送信されてきた前記選択情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置及び前記プリントサーバの相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムであって、
1台の端末装置から1台の印刷装置に対して印刷ジョブを送信して実行させる際、
前記プリントサーバは、
前記印刷装置の排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された選択情報を前記端末装置に送信する送信手段とを備え、
前記端末装置は、
前記送信手段から送信されてきた前記選択情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記表示手段に表示された選択情報によって示された印刷装置が前記端末装置で選択された場合には、選択された印刷装置に前記印刷ジョブが転送されることを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記判断手段は、前記印刷ジョブの出力モードがコピーモードの場合は、前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報に関係なく、前記印刷装置に印刷出力させることを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイ上の印刷物の有無情報が含まれており、
前記判断手段は、前記印刷物の有無情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断することを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷システムであって、
前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載されている印刷物の枚数情報が含まれており、
前記判断手段は、前記印刷物の枚数情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断することを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の印刷システムであって、
前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載された印刷物の滞留時間の情報が含まれており、
前記判断手段は、前記印刷物の滞留時間の情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断することを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載された印刷物の出力モードの情報が含まれており、
前記判断手段は、前記印刷物の出力モードがファックス受信モードである場合には、印刷物が混在する可能性があると判断することを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記排紙トレイ上の印刷物の積載情報には、前記排紙トレイに積載されている印刷ジョブの件数情報が含まれており、
前記判断手段は、前記印刷ジョブの件数情報に基づいて、印刷物が混在する可能性があるか否かを判断することを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は複数の排紙トレイを備え、
前記判断手段は、前記端末装置から指定された排紙トレイに印刷物が積載されている場合であっても、他の排紙トレイに印刷物が積載されていない場合は、前記他の排紙トレイに印刷出力することを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の印刷システムであって、
前記選択手段は、印刷可能な他の印刷装置を選択するに際し、他の印刷装置の排紙トレイに印刷物が積載されているか否かを判断し、印刷物が積載されていない印刷装置を印刷可能な他の印刷装置として選択することを特徴とする印刷システム。
【請求項13】
複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムにおける印刷方法であって、
任意の端末装置は、
前記1台の印刷装置に印刷ジョブを送信するステップを実行し、
印刷ジョブを受け取った印刷装置は、
排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断するステップと、
前記ステップにより混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択するステップと、
他の印刷装置の選択情報を前記端末装置に送信するステップとを実行し、
前記端末装置は、
受信した前記選択情報を表示手段に表示するステップを実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項14】
プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムにおける印刷方法であって、
任意の端末装置は、
前記プリントサーバを経由して前記1台の印刷装置に印刷ジョブを送信するステップを実行し、
印刷ジョブを受け取った印刷装置は、
排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断するステップと、
前記ステップにより混在する可能性があると判断した場合は、印刷不可情報を前記プリントサーバに送信するステップとを実行し、
前記プリントサーバは、
前記印刷不可情報を受信すると、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択するステップと、
選択した他の印刷装置の情報を前記端末装置に送信するステップとを実行し、
前記端末装置は、
前記選択情報を表示手段に表示するステップを実行し、
前記表示手段に表示された選択情報の印刷装置が前記端末装置で選択された場合、前記プリントサーバは、選択された印刷装置に前記印刷ジョブを転送するステップを実行することを特徴とする印刷方法。
【請求項15】
プリントサーバと複数台の印刷装置と1または複数台の端末装置とがネットワークを通じて相互に接続され、前記複数台の印刷装置の相互間で印刷ジョブや装置情報を送受できるように構成された印刷システムにおける印刷方法であって、
任意の端末装置は、
前記プリントサーバを経由して前記1台の印刷装置に印刷ジョブを送信するステップを実行し、
前記印刷ジョブを受け取った前記プリントサーバは、
前記印刷装置の排紙トレイ上の印刷物の積載情報に基づいて、前記印刷ジョブを実行した場合に印刷される印刷物と前記排紙トレイ上の印刷物とが混在する可能性があるか否かを判断するステップと、
前記ステップにより混在する可能性があると判断した場合は、他の印刷装置から前記装置情報を取得して、印刷可能な他の印刷装置を選択するステップと、
選択した他の印刷装置の情報を前記端末装置に送信するステップとを実行し、
前記端末装置は、
前記選択情報を表示手段に表示するステップを実行し、
前記表示手段に表示された選択情報の印刷装置が前記端末装置で選択された場合、前記プリントサーバは、選択された印刷装置に前記印刷ジョブを転送するステップを実行することを特徴とする印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−37540(P2013−37540A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173201(P2011−173201)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】