説明

印刷システム及び印刷方法

【課題】 ユーザの環境に応じて、プリントサービスのURLをユーザへ返信することにより、ユーザはプリントサービスの認証を利用して印刷指示を行えるシステム及び方法を提供する。
【解決手段】 クライアント端末から受信した文書をプリントサービスに登録し、登録した文書に対応する固定コードを電子メールで前記クライアント端末に返信し、プリンタから前記固定コードが通知された場合に、当該固定コードに対応する文書の印刷処理を行う印刷システムにおいて、文書を登録したプリントサービスのURLを生成し、クライアント端末のネットワーク環境を判断し、ネットワーク環境がイントラネットと判断した場合に、固定コードと生成したURLとを返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントサービスに登録した文書をクライアント装置から印刷指示する印刷システム及び印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドサービスとしてインターネット上にサービスを公開することによりビジネス展開がされてきている。プリントサーバーもインターネット上のプリントサービスとして機能を提供することが求められてきている。クラウドサービスとしてサービスを提供することは、大規模なデータセンター上にプリントサーバーを配置することで顧客ごとのハードウェアの管理が不要となる。
【0003】
また、サーバーの負荷に応じてリソースを追加するようなことが容易に行えるといった様々なメリットがある。このため、プリントサーバーからクライアントがインターネット越しに印刷データを取得し、プリンタへ転送することで、印刷を行うプルプリントを行う環境が求められている。このようなサービスの一つとして、携帯端末から印刷したい文書をメール添付でプリントサービスに登録し、文書を登録した際に発行される識別番号(PINコードと呼ぶ)をプリンタ上の画面に入力することでプルプリントを行うシステムが存在している。
【0004】
ここで、一般的にPINコードは数ケタの数字で構成されており、プリンタの画面上で入力を行う必要があるため利便性に欠けているという課題があった。また、一般的にPINコードはセキュリティ目的のため、一定時間で無効になり、複数人がコピーやスキャンでプリンタを共有するオフィス内では、ユーザがすぐに印刷指示ができないケースが想定される。従って、PINコードが無効となってしまうという課題がある。
【0005】
そこで、受信した印刷データを記憶し、その印刷データに対応するURLを携帯端末にメール送信し、携帯端末がURLをバーコードに変換し、それをプリンタが読み込むことにより印刷データを取得して印刷を行う方法が提案されている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−250001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、携帯端末側にURLをバーコードに変換するプログラムがインストールされている必要があり、またプリンタ側にもバーコードを読み込む処理が必要である。
【0008】
また、ユーザがプリンタの場所まで行ってからオペレーションする必要があり、利便性に欠ける場合がある。更に、ユーザの環境によってはPINコードが無効になってしまう課題については解決されていない。
【0009】
本発明は、ユーザの環境に応じて、プリントサービスのURLをユーザへ返信することにより、ユーザはプリントサービスの認証を利用して印刷指示を行えるシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、クライアント端末から受信した文書をプリントサービスに登録し、登録した文書に対応する固定コードを電子メールで前記クライアント端末に返信し、プリンタから前記固定コードが通知された場合に、当該固定コードに対応する文書の印刷処理を行う印刷システムであって、
前記文書を登録した前記プリントサービスのURLを生成する生成手段と、
前記クライアント端末のネットワーク環境を判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記ネットワーク環境がイントラネットと判断した場合に、前記固定コードと前記生成したURLとを返信する返信手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザの環境に応じて、プリントサービスのURLをユーザへ返信することにより、ユーザはプリントサービスの認証を利用して印刷指示を行うことができる。例えば、PINコードが無効になった後でもプリントサーバーを介してプリンタに印刷指示を行え、プリンタまで行く必要がなくなる。加えて、URLをバーコードに変換するプログラムが無い場合や、PINコードを入力する画面を持たないプリンタでもプルプリントが利用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態における印刷システムの全体構成を示す図。
【図2】情報処理装置ののハードウェア構成の一例を示す図。
【図3】(A)はRAM203のメモリマップの一例を示す図、(B)はFD209のメモリマップの一例を示す図。
【図4】本実施形態における印刷システムの構成の一例を示す図。
【図5】プリントサーバー102のソフトウェア構成の一例を示す図。
【図6】プリントデバイス104のハードウェア構成の一例を示す図。
【図7】プリントデバイス104の構成を階層的に示す図。
【図8】プルプリントアプリケーション404のソフトウェア構成の一例を示す図。
【図9】(A)は印刷キュー情報、(B)はユーザ情報、(C)は認証情報をそれぞれ示す図。
【図10】メールを受信した際の処理を示すフローチャート。
【図11】ユーザ環境判断処理を示すフローチャート。
【図12】変形例におけるメール管理サービス405の処理を示すフローチャート。
【図13】本実施形態におけるメールヘッダの一例を示す図。
【図14】クライアント端末103のWebブラウザによる画面遷移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0014】
<システム全体構成>
まず、本実施形態における印刷システムの全体構成を、図1に示すブロック図を用いて説明する。図1に示すように、クライアント端末103、プリントデバイス104は複数台接続されていることを想定している。また、本印刷システムに含まれる装置間の通信はイーサネット(登録商標)ケーブルを利用した有線通信でもよいし、電波や光などを利用した無線通信でもよい。
【0015】
図1において、クライアント端末103、プリントサーバー102、プリントデバイス104、認証サーバー106、メールサーバー108は、ネットワーク101、107を介して接続されている。尚、ネットワーク101、107は、例えばインターネット等のLAN、WAN、電話回線、専用デジタル回線、ATMやフレームリレー回線、ケーブルテレビ回線、データ放送用無線回線等のいずれである。また、これらの組み合わせにより実現される、いわゆる通信ネットワークである。更に、ネットワーク101、107は、データの送受信が可能であればよい。
【0016】
また、クライアント端末103からプリントサーバー102、プリントデバイス104への通信方法、プリンデバイス104からプリントサーバー102への通信方法は異なっていてもよい。更に、クライアント端末103は、例えばデスクトップパソコン、ノートパソコン、モバイルパソコン、PDA(パーソナルデータアシスタント)等からなるが、プログラムの実行環境が内蔵された携帯電話であってもよい。そして、クライアント端末103は、Webブラウザ(インターネットブラウザ、WWWブラウザ、World Wide Webの利用に供するブラウザ)等のプログラムを実行する環境が内蔵されている。
【0017】
次に、プリントサーバー102は、印刷する文書を識別する情報と、出力先プリンタを印刷リクエストと共にクライアント端末103のWebブラウザから受け付ける。そして、プリントサーバー102は、印刷指示を行うコマンドを含むレスポンス画面をクライアント端末103のWebブラウザに返す。これにより、クライアント端末103のWebブラウザは、指定のプリンタに対して受け取った印刷コマンドを発行する。
【0018】
一方、プリントデバイス104が、クライアント端末103のWebブラウザから印刷コマンドを受けると、プリントサーバー102から印刷する文書データを取得し、印刷を行う。また、プリントデバイス上の画面から印刷指示した場合、固定コード(以下、PINコード)入力により印刷指示した場合も同様に、プリントサーバー102から印刷する文書データを取得し、印刷を行う。このプリントサーバー102へアクセスするユーザ情報は、認証サーバー106で管理されており、クライアント端末103からWebブラウザによりプリントサーバー102にアクセスする際に認証サーバー106によって認証が行われる。また、プリントサーバー102は、メールサーバー108から電子メールを受信し、PINコードや文書に対応するプリントサーバーのURLといった内容を含む電子メールをクライアント端末103のメールアドレスに送信する。以下では、この電子メールを単に「メール」と略す。
【0019】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態における印刷システムのプリントサーバー102、クライアント端末103のハードウェア構成の一例を、図2に示すブロック図を用いて説明する。尚、特に断らない限り、認証サーバー106、メールサーバー108も同様の構成である。また、特に断らない限り、本発明の機能が実行可能であるならば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、本発明を適用できることは言うまでもない。更に、特に断らない限り、本発明の機能が実行可能であるならば、LAN、WAN等のネットワークを介して接続がなされ、処理が行われるシステムであっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0020】
情報処理装置の制御装置として機能するCPU201は、ハードディスク207に格納されている複数のアプリケーションプログラム、プリントドライバプログラム、オペレーティングシステムや印刷システムのプログラムを実行する。また、CPU201はRAM203にプログラム実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する制御を行う。また、CPU201はディスプレイ206上の不図示のマウスカーソル等で指示するコマンドに基づいて、登録された種々のウインドウを開き、種々のデータ処理を実行する。本実施形態におけるプリンタ作成処理は、クライアント端末103のディスプレイに表示されるウインドウより行う。
【0021】
不揮発性メモリであるROM202は、内部には基本I/Oプログラム等のプログラム、文書処理の際に使用するフォントデータ、テンプレート用データ等の各種データを記憶している。一時的メモリであるRAM203は、CPU201の主メモリやワークエリア等として機能する。入出力インターフェースであるNIC204は、外部装置とのデータのやり取りを情報処理装置が行う際に用いられる。
【0022】
指示入力部として機能するキーボード205は、ユーザがプリントサーバー102等に命令等を入力指示するためのものである。表示部として機能するディスプレイ206は、キーボード205から入力したコマンド等を表示するものである。外部記憶装置の一つであり、大容量メモリとして機能するハードディスク(HD)207は、アプリケーションプログラム、プリントドライバプログラム、OS等を格納している。
【0023】
ここで、図2に示すRAM203のメモリマップの一例を、図3に示す(A)を用いて説明する。図3に示す(A)は、FDドライブ208を介してFD209の印刷制御プログラムがRAM203上にロードされ、実行可能となった状態のメモリマップである。
【0024】
この例では、FD209から印刷制御プログラム及び関連データを直接RAM203にロードして実行させるが、これ以外にも、既に印刷制御プログラムがインストールされているHD207からRAM203にロードするようにしてもよい。また、本印刷制御プログラムを記憶する媒体は、FD209以外にCD-ROM、CD-R、PCカード、DVD、ICメモリカードであってもよい。更に、本印刷制御プログラムをROM202に記憶しておき、これをメモリマップの一部となすように構成し、直接CPU201で実行することも可能である。また、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにてハードウェア装置の代替として構成することもできる。
【0025】
このように、RAM203には、基本I/Oプログラム301、OS302、印刷制御プログラム303、関連データ304の各領域に対応するプログラムがロードされ、更にワークエリア305が確保される。尚、基本I/Oプログラム301は、情報処理装置の電源がONされた時に、HD207からOSがRAM203に読み込まれ、OSの動作を開始させるIPL(イニシャルプログラムローディング)機能などを有するプログラムである。
【0026】
次に、図2に示すFD209のメモリマップの一例を、図3に示す(B)を用いて説明する。図3に示す(B)のように、FD209には、データの情報を示すボリューム情報306、ディレクトリ情報307が格納され、更に印刷制御プログラム308、その関連データ309が格納されている。印刷制御プログラム308は、後述するフローチャートに基づいてプログラム化したものであり、本実施形態ではプリントサーバー102に同様の構成をとっている。
【0027】
<印刷システム構成>
次に、本実施形態における印刷システムの構成の一例を、図4を用いて説明する。プリントサーバー102は、印刷ジョブを管理する印刷ジョブ管理サービス406を有する。この印刷ジョブ管理サービス406は、他サービスや他プログラムから投入される文書データ等を印刷データとしてストレージ105に格納する。本実施形態では、メールに添付された文書データをストレージ105に格納する。印刷データのデータフォーマットは、PDL又はPDF等の形式である。また、ストレージ105はプリントサーバー102に内蔵するHDD又は外部接続しているHDD或いはネットワークストレージ等の記憶装置である。
【0028】
Webアプリケーション402は、クライアント端末103で動作するWebブラウザ401が表示可能なWebページを作成し、またWebブラウザ401からのリクエストに応答して作成したWebページを返信する。また、印刷ジョブ取得リクエストに対して印刷データを返し、その後プリントデバイス104で実行される印刷処理におけるジョブのステータスを受け取る。
【0029】
プリントデバイス104で起動されるプルプリントアプリケーション404は、Webブラウザ401からの印刷リクエストやプリントデバイス104上の画面入力による印刷リクエストを受け付ける。
【0030】
また、プリントサーバー102のメール管理サービス407は、メールサーバー108から定期的に情報を取得する。そして、メールサーバー108から受信したメールに添付ファイルがある場合は、そのメールアドレスで認証サーバー106に対して認証を行い、印刷ジョブ管理サービス406を通して文書データをストレージ105に格納する。
【0031】
認証サーバー106は、図9に示す(C)のような認証情報912を保持している。この例では、クライアント端末103のユーザがプリントサーバー102にアクセスするためのユーザ名913、パスワード914、認証トークン915、ユーザのメールアドレス917などである。
【0032】
プリントサーバー102のWebアプリケーション402、Webサービス403がクライアント端末103のユーザからリクエストを受信すると、認証サーバー106へ認証リクエストを行う。ここで、Webアプリケーション402への認証は、Webブラウザ401に表示されたログインWebページからのログインリクエストに含まれるユーザ名パスワードと認証サーバー106が保持するユーザ名913、パスワード914との照合で行われる。Webアプリケーション402への認証が成功すると、認証サーバー106で認証されたユーザに対して認証トークン915が発行される。この認証トークン915はWebブラウザ401、プルプリントアプリケーション404へ引き継がれる。そして、ユーザがWebブラウザ401からWebサービス403へアクセスし、認証トークン915の確認により、リクエストの認証が行われる。つまり、Webサービス403は、クラウドサービスとして、インターネット上でプリントサービスの機能を提供するものである。
【0033】
尚、印刷ジョブ管理サービス406、プリンタ管理サービス405、Webアプリケーション402、Webサービス403、メール管理サービス407は、それぞれ独立したプログラムであり、それぞれ別々の情報処理装置に配置することが可能である。これらのプログラムはそれぞれネットワークに繋がった情報処理装置に配置し、それぞれのプログラム間で通信を行う。また、これらのプログラムを同情報処理装置に配置することも可能である。
【0034】
<プリントサーバー>
次に、本実施形態におけるプリントサーバー102のソフトウェア構成の一例を、図5を用いて説明する。尚、プリントサーバー102の各ソフトウェアモジュールは、図2に示すHD207に記憶されており、上述したようにCPU201によってRAM203にロードされて実行される。
【0035】
プリントサーバー102において、印刷ジョブ管理サービス406の印刷データ管理部501が印刷データの管理を行う。印刷データ管理部501はWebサービス403から印刷データの取得要求を受け取ると、ストレージ105から指定の印刷データを取得し、Webサービス403に渡す。
【0036】
また、印刷ジョブ情報管理部502は、ストレージ105で管理している印刷データの印刷ジョブ情報を管理する。ジョブ情報としては、文書ID、クライアントジョブIDや、デバイスジョブID、ドキュメント名、ジョブ種類や、印刷ステータスや、受付日時、最終印刷日時、ユーザ名、ページ数、ページサイズ、印刷データのリンク先などの情報で構成される。文書IDはプリントサーバー102内の文書を一意に識別するためのIDである。クライアントジョブIDはクライアント端末103が発行する印刷ジョブを一意に識別するためのIDである。デバイスジョブIDはプルプリントアプリケーション404が発行するプリントデバイス104内のジョブIDである。ジョブ種別はPDLやPDFなどのデータフォーマットである。また、印刷ステータスには、待機中、転送中、印刷中、正常終了、エラー終了などのステータスがある。
【0037】
プリンタ管理サービス405のプリンタ情報管理部503は、プリントサーバー102で管理されるプリントデバイス104の複数のプリンタ情報を管理する。プリンタ情報はプリンタ名、MACアドレス、URIなどである。MACアドレスは各プリントデバイスをユニークに識別するための情報である。URIはプルプリントアプリケーション404が印刷リクエストを受け付けるエンドポイントである。
【0038】
Webアプリケーション402のセッション管理部504は、認証サーバー106により認証が成立したWebブラウザ401からのリクエストをセッションとして管理する。ページ生成部505は、Webブラウザ401からのリクエストに対してWebブラウザ401に表示させるページ画面を作成し、Webブラウザ401に返信する。リクエスト受付部506は、Webブラウザ401からイベント登録リクエストや印刷リクエストなどを受け付ける。
【0039】
Webサービス403のリクエスト受付部509は、プルプリントアプリケーション404から印刷データ取得リクエストや印刷ジョブのステータスを受け付ける。印刷ジョブ取得部507は、印刷データ取得リクエストをリクエスト受付部509が受け付けると、上述の印刷ジョブ管理サービス406に印刷データ取得要求を出す。印刷ステータス受信部508は、リクエスト受付部509が受け付けた印刷ジョブのステータスをジョブ管理サービス406に通知する。ジョブ管理サービス406は通知された印刷ジョブを特定しステータスを更新する。
【0040】
メール管理サービス407のメール情報管理部510は、メール受信した文書データをストレージ105に格納し、後述するユーザ環境判断処理に応じてPINコードとURLを生成し、生成した情報を記載したメールを返信する。
【0041】
尚、本実施形態では、メール受信した文書データに対する処理として記載しているが、Webサービス403を通じて受信したデータも同様に、PINコードとURLをメール返信することも想定される。また、メール情報管理部510は、メール受信時に、ユーザ毎にユーザ情報906を生成し、文書ID910の印刷ジョブが終了するまで管理する。
【0042】
<プリントデバイスのハードウェア構成>
次に、プリントデバイス104のハードウェア構成の一例を、図6を用いて説明する。イメージリーダ602は、原稿給送部601から送られてくる原稿を読み込む。イメージリーダ602及び画像形成部603は、読み込んだ原稿や、ネットワーク経由で受信したデータを印刷画像に変換して印刷出力する。排紙部604は、印刷出力した紙を排出し、ソートやステイプル等の後処理を施す。NIC605は、ネットワーク経由でLAN及びインターネットに接続し、外部と情報交換を行う。
【0043】
CPU606は、ROM607又はHDD609に記憶されたプログラムをRAM608に読み込み、このプログラムに基づき処理を実行することによって、本装置(プリントデバイス)上の各部を制御する。不揮発性メモリのROM607は、本装置の各処理に関わるプログラムやデータを記憶する。書き換え可能なRAM608は、本装置の各処理に関わる一時的なデータを電気的に記憶する。HDD609は、本装置の各処理に関わるプログラムやデータ、及び一時的なデータ等を記憶する。操作部610は、画面を表示したり、画面を介したユーザの操作指示を受け付けたりする。
【0044】
<プリントデバイスのソフトウェア構成>
ここで、プリントデバイス104の構成を階層的に示す図7を用いてプリントデバイス104の機能を説明する。画像形成部713は、紙のハンドリングや画像転写・定着等の一連の画像形成プロセスを実行し、記録紙等の記録媒体上に画像を形成する。画像形成部713は、例えばインクジェットプリンタや電子写真方式等の画像形成ユニットを備えている。画像読み取り部717は、スキャナ等を備え、原稿画像を光学的に読み取ってディジタル画像情報に変換する。また、画像読み取り部717は、ディジタル画像情報を画像形成部713に出力して画像を形成したり、又はファックス部712やネットワークインタフェース部714等を介して外部装置へ伝送したりする。
【0045】
デバイスコントローラ710は、画像形成部713及び画像読み取り部717の動作をそれぞれ制御し、例えば画像読み取り部717で読み取った原稿情報を画像形成部713で複写するように制御する。また、デバイスコントローラ710は、ネットワークインタフェース部714、プリント処理部715、ファックス部712、操作部制御部711を有し、これら各部の間での情報のやり取りも制御する。ファックス部712は、ファクシミリ画像の送受信、即ち、画像読み取り部717で読み取ったディジタル画像情報を送信したり、また逆に、受信したファクシミリ信号を復号し、画像形成部713で記録したりする等の処理を実行する。
【0046】
操作部制御部711は、操作部610の操作パネルを使用したユーザの操作に応じた信号を発生したり、また操作部(又は表示部)等に各種データやメッセージ等を表示したりするように制御を行う。プリント処理部715は、例えばネットワークインタフェース部714を介して入力された印刷データを処理して画像形成部713に出力し、印刷する等の制御を行う。ネットワークインタフェース部714は、通信回線を介して他の通信端末との間のデータの送受信を制御する。
【0047】
仮想マシン(Virtual Machine)705は、デバイスコントローラ710の上位に位置し、この仮想マシン705からデバイスコントローラ710を制御できるように構成されている。また、ネットワークインタフェース部714は、デバイスコントローラ710と仮想マシン705との双方から直接利用でき、それぞれ独立して外部ネットワークにアクセスすることができるよう構成されている。そして、仮想マシン705の上位には、仮想マシン705が提供するAPI(Application Programming Interface)に対応したプログラミング言語で記述されたアプリケーションが存在している。これらのアプリケーションは、仮想マシン705を介して間接的にデバイスコントローラ710に働きかけることができ、また画像形成部713や画像読み取り部717を動作させることができる。
【0048】
尚、本実施形態では、アプリケーションとしてプルプリントアプリケーション404を備える。プルプリントアプリケーションについての詳細は後述する(図8)。また、これらアプリケーションは仮想マシン705上からアンインストールしたり、更に新たにアプリケーション702〜704としてインストールしたりするといったことが可能なように構成されている。また、上述のアプリケーションはプリントデバイス104にインストールされるアプリケーションとして説明したが、ハードウェアとして備えられていてもよい。また外部装置としてプリントデバイス104と通信可能に接続されたコンピュータ上のアプリケーションとして備えていてもよい。
【0049】
外部記憶装置制御部716は、画像読み取り部717で読み取った画像を画像形成部713で外部記憶装置に保存可能なデータフォーマットに変換し、外部記憶装置に保存する。また、外部記憶装置制御部716は、外部記憶装置に保存したデータを読み出し、画像形成部713を介して印刷処理を行ったり、ネットワークインタフェース部714を介して外部にネットワーク送信したりする。
【0050】
<プルプリントアプリケーション404>
次に、本実施形態におけるプルプリントアプリケーション404のソフトウェア構成の一例を、図8を用いて説明する。尚、プルプリントアプリケーション404の各ソフトウェアモジュールはHDD609に記憶されており、上述したようにCPU606によってRAM608にロードされて実行される。
【0051】
プルプリントアプリケーション404のWebサービス受付部810はWebブラウザ401からのイベント登録リクエストや印刷リクエスト等を受け付ける。そして、Webサービス受付部810がイベント登録リクエストを受信すると、印刷制御部(ジョブ状態監視)816にイベント登録情報を通知する。イベント登録情報には、イベント送信先のURI、クライアントを識別するクライアントIDなどが含まれる。またWebサービス受付部810が印刷リクエストを受信すると、印刷ジョブ取得部812に印刷リクエスト情報を通知する。印刷リクエスト情報には、後述するURI901、認証トークン902、クライアントID903、クライアントジョブID904などが含まれる。
【0052】
Webサービス送信部811は、印刷ジョブ取得部812からの印刷データ取得要求を受け、Webサービス403から印刷データの取得を行い、印刷データを印刷ジョブ取得部812に渡す。また、Webサービス送信部811は印刷制御部816からステータス通知要求を受け、印刷ジョブのステータスをWebサービス403に通知する。
【0053】
印刷ジョブ取得部812は、印刷データの取得を、図9に示す(A)の印刷キュー情報900で管理する。この印刷キュー情報900は、URI901、認証トークン902、クライアントID903、クライアントジョブID904、デバイスジョブID905などの印刷ジョブのキュー情報である。URI901は印刷データの保存先を示す。本実施形態では、Webサービス403のURIが登録される。PINコード入力による印刷の場合は、PINコードが登録される。認証トークン902は認証サーバー106で発行された認証トークンである。認証トークン902を印刷ジョブ取得時に付加し、Webサービス403により認証サーバー106で整合性が確認される。クライアントID903はクライアントを識別するIDである。本実施形態では、クライアントIDとしてWebサービス403のURIが登録される。クライアントジョブID904はクライアント端末103が発行するジョブを識別するIDである。本実施形態では、クライアントジョブIDにプリントサーバー102で発行したUUID(Universally Unique Identifier)が登録される。デバイスジョブID905はプリントデバイス104で実行されるジョブを識別するIDである。本実施形態では、印刷リクエストを受け付けた順にプリントサーバー102が1から始まる整数をインクリメントしていった値が登録される。
【0054】
印刷ジョブ取得部812は、Webサービス受付部810より通知された印刷リクエスト情報を印刷キュー情報900の最後尾に登録する。ここで印刷リクエストにより渡される情報は、URI901、認証トークン902、クライアントID903、クライアントジョブID904である。また、印刷ジョブ取得部812は印刷キュー情報900の先頭の印刷ジョブ情報に基づいて、Webサービス送信部811を介して印刷データの取得を行う。本実施形態では、URI901に登録されたWebサービス403から印刷データの取得が行われる。
【0055】
プルプリントコントローラ813は、プルプリントアプリケーション404全体の動作管理を行うものであり、各部への動作指示等は、このプルプリントコントローラ813を経由して行う。
【0056】
<メール管理サービスの処理>
次に、プリントサーバー102がクライアント端末103からメールサーバー108を介してメールを受信した際の処理を図10に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、メール受信した文書データに対する処理として説明するが、Webサービス403を通じて直接受信したデータも同様に、PINコードとURLとをメール返信することも想定される。
【0057】
まず、S1001において、メール管理サービス407のメール情報管理部510が、メールサーバー108からメールを受信する。尚、受信する方法は、定期的にメール情報管理部510からメールサーバー108に問い合わせる方法を想定しているが、特に限定しない。
【0058】
次に、S1002において、メール情報管理部510は受信したメールに添付ファイルがあるか否かを確認し、添付データがある場合にはS1003へ処理を進める。しかし、受信したメールに添付ファイルが無い場合は、この処理を終了する。このS1003では、メール情報管理部510は、受信したメールのメールアドレスが認証サーバー106の認証情報912で管理されているか否かの問い合わせを行う。その結果、認証情報912で管理されているメールアドレスの場合はS1004へ処理を進める。しかし、認証情報912で管理されていないメールアドレスの場合は、この処理を終了する。
【0059】
S1004において、メール情報管理部510は印刷ジョブ情報管理部502を通じて受信したメールの添付ファイルをストレージ105に保存する。保存の際に、印刷ジョブ情報管理部502によって文書IDが発行される。ここで、メール情報管理部510は、図9に示す(B)のユーザ情報906におけるメールアドレス領域907、文書ID領域910にメールアドレス、文書IDを格納する。
【0060】
次に、S1005において、メール情報管理部510は、PINコードを生成し、ユーザ情報906のPINコード領域908に格納する。そして、S1006において、メール情報管理部510は、受信したメールのヘッダ情報を解析し、送信元のIPアドレスを取得する。
【0061】
次に、S1007において、メール情報管理部510は、S1006で取得したIPアドレスからメールの送信元のネットワーク環境(ユーザ環境)がイントラネットか、他のネットワーク(例えばインターネット)かを判断する。この判断方法については、図11に示すフローチャートを用いて更に後述する。
【0062】
S1007で、メールの送信元のユーザ環境がイントラネットからのメールと判断した場合はS1008へ処理を進める。このS1008では、メール情報管理部510は印刷指示された文書に対して提供されるプリントサービスのURLを生成し、生成したURLをユーザ情報906のURL領域909に格納する。ここで、プリントサービスのURLは、プリントサーバー102のURLである。そして、S1000において、メール情報管理部510は、S1005で生成したPINコードと、S1008で生成したURLとをメール本文に記載し、メールサーバー108を通じて送信元のユーザにメールを返信する。
【0063】
一方、S1007で、メールの送信元のユーザ環境がイントラネットからのメールではないと判断した場合はS1009へ処理を進める。このS1009では、S1005で生成したPINコードだけをメール本文に記載し、メールサーバー108を通じて送信元のユーザにメールを返信する。
【0064】
本実施形態によれば、ユーザは受信したメールに記載されているURLを選択することにより出力先を特定し、認証サーバー106を経てプリントサーバー102にアクセスし、印刷指示を行うことができる。
【0065】
<ユーザ環境判定処理>
ここで、上述のユーザ環境判断処理を図11に示すフローチャートを用いて説明する。まず、S1101において、メール情報管理部510がユーザ情報906のIPアドレス設定情報領域911からIPアドレス設定情報を取得する。このIPアドレス設定情報は、Webアプリケーション402によって予め設定されており、イントラネットで使用されるIPアドレス或いはIPアドレスの範囲が格納されている。また、IPアドレス設定情報が設定されていない場合は、LANなどの企業内ネットワークに存在する端末が自由に使用できるIPアドレス(プライベートIPアドレス)が使用される。
【0066】
次に、S1102において、メール情報管理部510はS1003で取得したIPアドレスと、IPアドレス設定情報とを比較する。比較の結果、IPアドレス設定情報の範囲内にS1003で取得したIPアドレスが含まれる場合はS1103へ処理を進め、イントラネットからのメールと判定する。しかし、含まれない場合はS1104へ処理を進め、インターネットからのメールと判定する。
【0067】
図13は、本実施形態におけるメールヘッダの一例を示す図である。メール情報管理部510は、受信したメールのヘッダ情報1301を解析し、送信元のIPアドレスを取得する。具体的には、ヘッダ情報1301の最も下に存在するRecived情報1302に記載されているIPアドレスを取得する。
【0068】
次に、本実施形態におけるクライアント端末103でメールを受信した際の画面の遷移を図14に示す模式図を用いて説明する。画面1401は、受信したメールの本文を示し、プリントサービス102に保存した文書名、PINコード、URLが記載されている。画面1401を選択することにより、クライアント端末103のWebブラウザ401が起動し、認証サーバー106のログイン画面1403が表示される。正しいユーザIDとパスワードでログインした場合は、プリントサーバー102の出力先(プリンタ)の選択画面1404が表示される。この選択画面1404で、ユーザが出力先を選択して印刷を押下することでプリンタ(この例ではプリントデバイス104)に対して印刷指示を行うことができる。プリントデバイス104が正常に稼働しており、印刷ジョブを受け付けた場合は、印刷結果画面1405が表示される。
【0069】
また、後述する変形例の場合は、受信したメール1402には出力先を含んだURLが記載される。ユーザがURLを選択し、ログイン画面1403での認証が正しく行われた場合は、出力先の選択画面1404は省略され、印刷結果画面1405が表示される。
【0070】
このように、ユーザの環境に応じて、プリントサーバーのURLをメール送信することにより、プリントサーバーを経由して認証サーバーを利用することができ、PINコードが無効になった後でも印刷指示が可能となる。また、プリントサーバーを介してプリントデバイスに対して印刷指示が行えるので、印刷装置まで行く必要がなくなり利便性を向上することができる。
【0071】
[変形例]
変形例では、本実施形態に対して、メールを送信したユーザのプリンタ情報がプリンタ管理サービス405に存在する場合のメール管理サービスの処理を追加している。以下、変形例におけるメール管理サービス407の処理を図12に示すフローチャートを用いて説明する。尚、システム構成や、クライアント端末構成、各サーバー構成、プリントデバイス構成は本実施形態と同様であり、その説明は省略する。
【0072】
図12に示すように、変形例では、図10に示すS1007において、イントラネットからのメールと判断した後の処理から説明する。S1201において、メール情報管理部510がプリンタ管理サービス405のプリンタ情報管理部503から、メールアドレスに対応するユーザのプリンタ情報を取得できるか否かを判定する。ここで、プリンタ情報が取得できる場合はS1202へ処理を進め、メール情報管理部510は、プリンタ情報管理部503からメールアドレスに対応するユーザのプリンタ情報を取得する。そして、S1203において、S1202で取得したプリンタ情報の数分のURL情報を作成する。ここで、URL情報は、プリントサーバー、印刷する文書、出力先のプリンタ名で構成される。また、S1201の判定の結果、取得できなかった場合は直接S1009へ処理を進める。
【0073】
この変形例によれば、ユーザがURLを選択することにより認証サーバー106で認証を行え、出力先を選択することなく印刷指示を行うことができる。
【0074】
[他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末から受信した文書をプリントサービスに登録し、登録した文書に対応する固定コードを電子メールで前記クライアント端末に返信し、プリンタから前記固定コードが通知された場合に、当該固定コードに対応する文書の印刷処理を行う印刷システムであって、
前記文書を登録した前記プリントサービスのURLを生成する生成手段と、
前記クライアント端末のネットワーク環境を判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記ネットワーク環境がイントラネットと判断した場合に、前記固定コードと前記生成したURLとを返信する返信手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記クライアント端末から電子メールの添付ファイルとして前記文書を受信した場合、前記判断手段は、当該電子メールのヘッダ情報を解析し、前記クライアント端末が接続するネットワーク環境を判断することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記判断手段は、前記ヘッダ情報にプライベートIPアドレス又は予め設定されているIPアドレスの範囲内のIPアドレスが含まれる場合に、前記イントラネットと判断することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記クライアント端末が出力先のプリンタ情報を有する場合、当該プリンタ情報を取得して前記出力先のURL情報を作成し、作成したURL情報を返信することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
クライアント端末から受信した文書をプリントサービスに登録し、登録した文書に対応する固定コードを電子メールで前記クライアント端末に返信し、プリンタから前記固定コードが通知された場合に、当該固定コードに対応する文書の印刷処理を行う印刷システムの印刷方法であって、
生成手段が、前記文書を登録した前記プリントサービスのURLを生成する生成工程と、
判断手段が、前記クライアント端末のネットワーク環境を判断する判断工程と、
返信手段が、前記判断工程において前記ネットワーク環境がイントラネットと判断した場合に、前記固定コードと前記生成したURLとを返信する返信工程と、
を有することを特徴とする印刷システムの印刷方法。
【請求項6】
コンピュータを請求項1乃至4の何れか1項に記載の印刷システムの各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−88950(P2013−88950A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227440(P2011−227440)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】