説明

印刷システム

【課題】本発明はカラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷処理を行う印刷システムに関し、特にスループットを向上させた印刷システムを提供するものである。
【解決手段】印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムであって、前記ホスト機器はカラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、画像セーブ命令と、画像ロード命令と、モノクロ変換命令とを作成する作成手段と、上記カラー印刷の印刷データや、上記画像セーブ命令等を上記印刷装置に送信する送信手段を有し、印刷装置は上記画像セーブ命令に基づいて上記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、上記画像ロード命令に基づいて記憶手段から上記画像データを読み出し、上記モノクロ変換命令に基づいて上記画像データをモノクロ画像に変換し、上記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、上記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷処理を行う印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プレゼンテーション用の資料等として同じページを複数枚印刷する部単位印刷が行われている。このような部単位印刷を行う場合、トナーの節約等の観点から、例えば管理者用のカラー印刷と、その他関係者用のモノクロ印刷に分けて行う場合も多い。例えば、プリンタドライバの部単位印刷機能を使用し、「カラー印刷でn部」或いは「モノクロ印刷でm部」という指定を行い、印刷処理を行う。
【0003】
尚、プレゼンテーション用の資料を印刷する場合として、特許文献1に係る発明が提案されている。この発明は、複数枚の印刷を1ジョブ分の印刷データに付加し、ホストコンピュータより印刷装置に送信し、印刷装置側にて上記データを一括処理し、例えばマルチページ印刷を行うものである。
【0004】
一方、カラー印刷とモノクロ印刷が併存する印刷装置の発明としては、例えば特許文献2及び3が提案されている。特許文献2に係る発明は、印刷モードがカラー印刷モードであるか又はモノクロ印刷モードであるか判定し、カラー印刷モードである場合、当該印刷モードをモノクロ印刷モードに切り換え処理を行う発明である。
【0005】
また、特許文献3に係る発明は、カラーページとモノクロページが混在する場合、優先出力の指定を行い、例えばカラーページの優先出力が指定された場合、カラーページを先に出力し、モノクロページの優先出力が指定された場合、モノクロページを先に出力し、システム全体のスループットを向上させる発明である。
【0006】
【特許文献1】特開2002−254774号公報
【特許文献2】特開2000−218871号公報
【特許文献3】特開2001−103318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の「カラー印刷でn部」或いは「モノクロ印刷でm部」という指定を行なう場合、「カラー印刷でn部」の指定を行い印刷処理を実行し、更に「モノクロ印刷でm部」の指定を行い、印刷処理を実行するという手順を踏む必要がある。このような処理は、ページ数が少ない文書の印刷時にはスプール時間も掛からないため影響は少ないが、ページ数の多い文書印刷時には、印刷データのスプール時間が倍になり、効率のよい印刷処理を行うことができない。
【0008】
尚、上記特許文献1に係る発明はプレゼンテーション用資料として複数ページのデータを例えば1枚の記録シートに印刷するものであり、部単位でカラー印刷とモノクロ印刷を行うものではない。また、特許文献2に係る発明はカラー印刷モードである場合、当該印刷モードをモノクロ印刷モードに切り換え印刷処理を行う発明であり、カラー印刷とモノクロ印刷を部単位で印刷するものではない。さらに、特許文献3に係る発明は単にカラーページ又はモノクロページを優先出力する発明であり、充分にスループットを向上させた印刷システムとは言えない。
そこで、本発明はカラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位印刷を行う際、充分にスループットを向上させた印刷システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は本発明によれば、印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、前記ホスト機器は、カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する作成手段と、前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する送信手段とを有し、前記印刷装置は、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する制御手段と、前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する印刷処理手段と有する印刷システムを提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部単位の印刷処理において、ユーザは1度の印刷操作によってカラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位印刷を行わせることができ、スループットを向上させた印刷システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の印刷システムを説明するシステム構成である。
【図2】印刷装置のシステム構成を示す図である。
【図3】印刷装置のソフトウェア構成を示す図である。
【図4】本実施形態の処理を説明するフローチャートであり、プリンタドライバの処理を説明する図である。
【図5】本実施形態の処理を説明するフローチャートであり、プリンタドライバの処理を説明する図である。
【図6】本実施形態の処理を説明するフローチャートであり、プリンタドライバの処理を説明する図である。
【図7】UI設定画面の例であり、プリンタドライバの基本設定画面を示す図である。
【図8】画像セーブコマンドの例を示す図である。
【図9】画像ロードコマンドの例を示す図である。
【図10】画像モノクロ変換コマンドの例を示す図である。
【図11】画像削除コマンドの例を示す図である。
【図12】本実施形態の処理を説明するフローチャートであり、印刷装置側の処理を説明する図である。
【図13】本実施形態の処理を説明するフローチャートであり、印刷装置側の処理を説明する図である。
【図14】本実施形態の処理を説明するフローチャートであり、印刷装置側の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態の印刷システムを説明するシステム構成である。本実施形態の印刷システムは、印刷装置1と印刷装置1のホスト機器であるホストコンピュータ2がLAN(local area network)等のネットワーク、又はピアツーピア(peer to peer)の形式で接続された構成である。尚、印刷装置1がホストコンピュータ2とネットワークを介して接続されている場合、複数のホストコンピュータ2が印刷装置1に接続されており、図1は代表して1台のホストコンピュータ2の内部構成を示すものである。
【0013】
ホストコンピュータ2はアプリケーション3、印刷API4、プリンタドライバ5、スプーラ6、ポートモニタ7で構成されている。アプリケーション3はユーザが印刷操作を実行することにより、印刷API4を使用してプリンタドライバ5が印刷データの生成を行う。プリンタドライバ5によって生成された印刷データ(PDLデータ)はスプーラ6に送信され、スプーラファイル8に保持される。また、スプーラ6はポートモニタ7に対し、スプールファイル8に保持された印刷データを送信し、ポートモニタ7は印刷装置1に印刷データを送信する。
【0014】
図2は上記印刷装置1のシステム構成を示す図であり、CPU10、ROM11、RAM12、補助記憶装置13、NIC(Network Interface Card)回路14、ホスト(Host)I/F回路15、ビデオ(Video)I/F回路16、エンジン(Engine)I/F回路17で構成されている。
【0015】
CPU10はROM11に記憶されたプログラムに従って印刷装置1の各種制御を行う。また、RAM12はCPU10が行う処理のワークエリアとして使用される。また、RAM12は後述する受信バッファやフレームメモリとしても機能する。また、EEPROM等で構成される補助記憶装置13には、後述するカラー印刷の画像データや、モノクロ印刷の画像データが記憶される。
【0016】
NIC回路14は、LAN(local area network)に接続されたホスト機器である前述のホストコンピュータ2とのデータの授受を行うインタフェースである。このNIC回路14を介してホストコンピュータ2から印刷データが印刷装置1に送信される。
【0017】
ホストI/F回路15は、不図示のプリンタサーバやパーソナルコンピュータ(PC)と通信を行う際のインタフェースであり、例えばパラレルインターフェイスであるセントロニクスや、USB(universal serial bus)仕様で接続される。
【0018】
また、ビデオI/F回路16には不図示の印字ヘッドが接続され、描画データの出力制御を行い、エンジンI/F回路17は不図示のプリンタエンジンの各部の制御を行うインタフェースである。
【0019】
図3は上記印刷装置1のソフトウェア構成を示す図であり、上記CPU10、ROM11、RAM12による処理を説明する図である。尚、同図に示す円内には、CPU10が実行する処理動作が記載されている。
【0020】
ホストコンピュータ2から送信された印刷データは、NIC回路15を介して受信処理20され、RAM12内の受信バッファ12aに格納される。その後、印刷要求に従って受信バッファ12aに格納された印刷データが読み出され、コマンド解析等の印刷制御処理21が施され、RAM12内のフレームメモリに描画され、フレームメモリに描画されたビデオデータは、前述のビデオI/F回路16を介して不図示の印字ヘッドに送信され、用紙に印刷出力される。
【0021】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図4乃至図6は本例の処理を説明するフローチャートであり、前述のプリンタドライバ5の処理を説明するものである。先ず、図4に示すフローチャートにおいて、UI(ユーザインターフェース)設定の部単位印刷情報を参照する(ステップ(以下、Sで示す)1)。
【0022】
図7はUI設定画面の例であり、プリンタドライバ5の基本設定画面である。この設定画面において、上記部単位印刷情報は部単位印刷のチェック部22、印刷部数(I)の記述エリア23、及びモノクロ印刷部数の記述エリア24である。例えば、図7において部単位印刷のチェック部22には、チェック即ち部単位印刷の指示が行われ、印刷部数(I)の記述エリア23には総印刷部数として「15」が設定され、モノクロ印刷部数の記述エリア24には総印刷部数のうち何部をモノクロ印刷するかの指定が、例えば「11」として設定されている。
【0023】
次に、アプリケーション3からの印刷要求からPDLコマンドを生成、出力する(S2)。すなわち、アプリケーション3はユーザが印刷操作を実行することにより、印刷API4を使用してプリンタドライバ5に印刷データの生成、出力を行わせる。
【0024】
次に、1ページ分のコマンド生成が終了したか判断し(S3)、1ページ分のコマンド生成が終了すると、部単位印刷の指定があるか判断する(S4)。本例においては、前述の図7に示すように部単位印刷のチェック部22がチェックされ、部単位印刷の指示が行われており(S4がYES)、該当ページのPDLコマンドを印刷装置1が解釈し、印刷装置1側で生成した画像を保存させるための画像セーブコマンドを出力する(S5)。
【0025】
図8は画像セーブコマンドの例であり、印刷装置1に送信され、印刷装置1に保存されるコマンド例を示す。例えば、画像セーブコマンドが、‘U’ ‘m’ ‘7’ ‘P’ ‘a’ ‘g’ ‘e’ ‘0’ ‘0’ ‘1’の場合、同図に示すように、“Page001”の保存名称で保存される。尚、保存名称の最初の“Um”は、PDLコマンド名称であり、続く '7'は保存名称の長さを示す。
【0026】
次に、改ページコマンドを出力する(S6)。尚、上記判断(S4)において、部単位印刷の指示がない場合には(S4がNO)、直ちに上記改ページコマンドの出力が行われる。
【0027】
その後、全ページ分のコマンド生成が終了したか判断し(S7)、最初のこの判断では、1ページ目のコマンド生成が終了したのみであり(S7がNO)、処理(S4)に戻り、2ページ目のPDLコマンドの生成処理、及び出力処理を行う。そして、上記同様2ページ目のコマンド生成が終了した判断し(S3)、部単位印刷の指定があるか判断し(S4)、画像セーブコマンドの出力を行い(S5)、改ページコマンドを出力する(S6)。
以後上記処理を繰り返し、全ページ分のコマンド生成が終了すると(S7がYES)、図6に示すフローチャートの判断を行う。
【0028】
すなわち、部単位印刷指定があるか判断し(S8)、部単位印刷指定が無ければ(S8がNO)処理を終了するが、本例では前述のように部単位印刷が指定されており(S8がYES)、現在出力部数を2部目としてカラー出力総数をUI設定の印刷部数−UI設定のモノクロ印刷部数とする(S9)。
【0029】
次に、モノクロ印刷対象の部であるか判断する(S10)。このモノクロ印刷対象の部であるか否かの判断は、現在出力部数がカラー出力部数を超えたか否かにより判断する。例えば、上記例では最初の出力部数は2部目であり、印刷部数15部、モノクロ印刷部数が11部であり、現在出力部数<カラー出力部数であり、カラー印刷対象の部である(S10がNO)。
【0030】
この場合、印刷装置内に保存されている該当ページのカラー画像を再利用するため、画像ロードコマンドを出力する(S11)。図9は上記画像ロードコマンドの例であり、前述の画像セーブコマンドと同様、印刷装置1の送信され、印刷装置1に保存される。例えば、画像ロードコマンドが‘U’ ‘n’ ‘7’ ‘M’ ‘o’ ‘n’ ‘o’ ‘0’ ‘0’ ‘1’の場合、同図に示すように、“Mono001”の保存名称で印刷装置1に保存されている画像データを画像メモリーへロードする。尚、画像ロードコマンドの最初の“Un”は、PDLコマンド名称であり、'7' は前述と同様保存名称の長さを示す。
【0031】
その後、改ページコマンドを出力し(S12)、部当たりの全ページの出力が終了したか判断する(S13)。
【0032】
本例では、2部目、3部目においては、現在出力部数<カラー出力部数であり、カラー印刷対象であり(S10がNO)、印刷装置1内に保存さる該当ページのカラー画像を再利用させるため、画像ロードコマンドを出力する(S11)。一方、5部目については現在出力部数>カラー出力部数となり、モノクロ印刷対象となる(S10がYES)。
【0033】
次に、初回のモノクロ印刷であるか判断する(S14)。この判断は、例えば現在出力部数からカラー出力部数を減じた値が "1"であるか判断する。すなわち、本例では上記のように出力部数が5部目((1) = 現在出力部数(5)−カラー出力部数(4))において初回のモノクロ印刷となる(S14がYES)。
【0034】
この場合、印刷装置内に保存されている該当ページのカラー画像を再利用するため、画像ロードコマンドが出力する(S15)。そして、モノクロ画像変換コマンドを出力し(S16)、更に印刷装置内で変換したモノクロ画像を保存するため、画像セーブコマンドを出力する(S17)。尚、図10は上記画像モノクロ変換コマンドの例であり、前述の画像セーブコマンド等と同様、印刷装置1の送信され、印刷装置1に保存される。例えば、この画像モノクロ変換コマンドの名称が、“Uv”の場合、同図に示すように、‘U’ ‘v’ ‘*’のPDLコマンドが出力される。
【0035】
一方、初回のモノクロ印刷ではない場合(S14がNO)、即ち出力部数が6部目以降の場合、印刷装置内に保存されている該当ページのモノクロ画像を再利用するため、画像ロードコマンドを出力する(S18)。
【0036】
したがって、本例ではその後、最終の出力部数が15部目の処理まで、該当ページのモノクロ画像を再利用させるため、画像ロードコマンドを出力する。そして、部当たりの全ページの出力が終了すると(S13がYES)、図7に示すフローチャートに移行し、現在出力部数を更新(+1)し(S19)、全部数分のコマンド出力が終了したか判断する(S20)。
【0037】
その後、全部数分のコマンド出力が終了すれば(S20がYES)、保存した画像データを削除するための画像削除コマンドを出力する(S21)。図11は上記画像削除コマンドの例であり、前述の画像セーブコマンド等と同様、印刷装置1に送信され、印刷装置1に保存されている保存済み画像を削除する。例えば、この画像削除コマンドの名称が、“Uk”の場合、同図に示すように、‘U’ ‘k’ ‘*’のPDLコマンドが出力される。
【0038】
次に、図12乃至図14に示すフローチャートを使用して印刷装置1側を処理を説明する。先ず、図11に示すフローチャートに従って、印刷装置1はホストコンピュータ2からの印刷データの受信を待ち(ステップ(以下、STで示す)1)、印刷データがホストコンピュータ2から供給されると、受信した印刷データを受信バッファ12aに格納する(ST2)。すなわち、前述の図3に示すように、ホストコンピュータ2から送信された印刷データは、NIC回路15を介して受信処理20され、RAM12内の受信バッファ12aに格納される。
【0039】
次に、印刷制御処理を起動する(ST3)。すなわち、印刷要求に従って受信バッファ12aに格納された印刷データを読み出し、印刷制御処理21を開始する。図13はこの印刷制御処理21を説明するフローチャートである。
【0040】
先ず、印刷要求を待ち(ST4)、上記のように印刷要求があると(ST5がYES)、この印刷要求に従って受信バッファ12aに格納された印刷データを読み出し、コマンド解析を開始する(ST6)。
【0041】
例えば、ホストコンピュータ2から送信されたコマンドが前述の画像セーブコマンドであれば、画像メモリ上に画像データを展開し、前述の補助記憶装置13に記憶する(ST7)。尚、この時画像メモリ上に展開される画像データは、ホストコンピュータ2から送信された印刷データのコマンド解析を行い、不図示のフォントROM等から文字コード等に対応するデータを読み出し、画像メモリに展開された画像データである。
一方、ホストコンピュータ2から送信されたコマンドが前述の画像ロードコマンドであれば、補助記憶装置13に記憶した画像データを画像メモリに書き込む(ST8)。さらに、ホストコンピュータ2から送信されたコマンドが前述の画像削除コマンドであれば、補助記憶装置13に記憶した画像データを削除する(ST9)。
【0042】
一方、ホストコンピュータ2から送信されたコマンドが前述の画像モノクロ変換コマンドであれば、カラーの画像データをモノクロ画像に変換する(ST10)。尚、その他のコマンドであれば、印字コマンドの描画処理を行なう(ST11)。例えば、網掛けや罫線等の印字コマンドであれば、コマンドの指示する描画処理を行い、例えば上記画像メモリに最初の画像データを展開する。
【0043】
上記コマンド処理を前述の例に適用すると、ユーザが設定した部単位印刷の印刷部数は15部であって、その中の4部がカラー印刷であり、残りの11部がモノクロ印刷である。この場合、先ず1部目のカラー画像の印刷処理は、最初に印刷データに基づいて画像メモリに展開した画像データに基づいて行われる。
次に、2部目のカラー印刷は上記画像セーブコマンドの指示に従って画像メモリに展開した画像データを補助記憶装置13に記憶した画像データに基づいて行う。すなわち、22部目においては、解析された画像ロードコマンドの指示に従って、上記補助記憶装置13に記憶した画像データを画像メモリに読み出し、この画像メモリに読み出した画像データに従って印刷処理を行う。
次の3部目、4部目についても同様であり、解析した画像ロードコマンドの指示に従って、上記補助記憶装置13に記憶した画像データを画像メモリに読み出し、この画像メモリに読み出した画像データに従って印刷処理を行う。その後、画像モノクロコマンドを解析し、5部目のモノクロ印刷のためカラーの画像データをモノクロ画像に変換する。
【0044】
図14はこの画像モノクロ変換処理を説明するフローチャートである。先ず、例えばC(シアン)の色フレームを使用し、該当色フレームのカラー画像を画像メモリから読み込む(ST10−1、ST10−2)。次に、画像メモリに読み込んだ色フレームに対応しマスクパターンをかけて濃度変換を行ない、K(ブラック)の画像データに対し、OR(オア)加算を行なう(ST10−3、ST10−4)。
【0045】
同様に、次にM(マゼンダ)の色フレームを使用し、当該色フレームのカラー画像を画像メモリから読み込み、色フレームに対応しマスクパターンをかけて濃度変換を行ない、K(ブラック)の画像データに対し、OR(オア)加算を行なう(ST10−1〜ST10−4)。さらに、Y(イエロー)の色フレームを使用し、当該色フレームのカラー画像を画像メモリから読み込み、色フレームに対応したマスクパターンをかけて濃度変換を行ない、K(ブラック)の画像データに対し、OR(オア)加算を行なう(ST10−1〜ST10−4)。
【0046】
上記処理を繰り返し(ST10−5)、カラー画像をモノクロ画像に変換し、変換したモノクロ画像を補助記憶装置13に記憶する。以後、6部目〜最後の15部目まで、補助記憶装置13に記憶したモノクロ画像を画像メモリに展開し、モノクロ画像の印刷処理を繰り返す。
【0047】
このように処理することにより、モノクロ画像の印刷を補助記憶装置13に記憶させた変換モノクロ画像を使用して行うことができ、効率よく印刷処理を行うことができる。また、例えば本例によれば、部単位の印刷処理のうちカラー4部、モノクロ11部のような指定ができ、ユーザは1度の印刷操作によってカラー印刷/モノクロ印刷の同時の部単位印刷が可能となる。
【0048】
尚、本実施形態の説明ではカラー4部、モノクロ11部の指定を行なったが、勿論他の部数の指定を行い、カラー印刷/モノクロ印刷の同時の部単位印刷が可能である。また、本実施形態の説明では、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)のカラー画像の例で説明したが、上記例に限るものではない。
【0049】
本発明はいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、本件特許出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0050】
付記1
印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記ホスト機器は、
カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、
該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する作成手段と、
前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する送信手段と、を有し、
前記印刷装置は、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する制御手段と、
前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する印刷処理手段と、
有することを特徴とする印刷システム。
【0051】
付記2
印刷装置とネットワークを介して接続されたホスト機器において、
カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、
該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する作成手段と、
前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記印刷装置に対して、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶させ、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出させ、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換させることを特徴とするホスト機器。
【0052】
付記3
ホスト機器とネットワークを介して接続された印刷装置において、
前記ホスト機器から出力されるカラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データと、画像セーブ命令と、画像ロード命令と、モノクロ変換命令が入力する入力手段と、
前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する制御手段と、
前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する印刷処理手段と、
有することを特徴とする印刷装置。
【0053】
付記4
前述ホスト機器は、前記印刷装置が印刷処理を完了した際、前記記憶手段に記憶した画像データを消去させる画像消去命令を前記印刷装置に出力することを特徴とする付記1に記載の印刷システム。
【0054】
付記5
印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムの印刷方法において、
前記ホスト機器は、
カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成処理と、
該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する処理と、
前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する処理と、を行い、
前記印刷装置は、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する処理と、
前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する処理と、
行なうことを特徴とする印刷方法。
【符号の説明】
【0055】
1・・・印刷装置
2・・・ホストコンピュータ
3・・・アプリケーション
4・・・印刷API
5・・・プリンタドライバ
6・・・スプーラ
7・・・ポートモニタ
8・・・スプールファイル
10・・CPU
11・・ROM
12・・RAM
12a・・受信バッファ
13・・補助記憶装置
14・・NIC回路
15・・ホストI/F回路
16・・ビデオI/F回路
17・・エンジンI/F回路
20・・受信処理
21・・印刷制御処理
22・・チェック部
23・・記述エリア
24・・記述エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムにおいて、
前記ホスト機器は、
カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、
該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する作成手段と、
前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する送信手段と、を有し、
前記印刷装置は、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する制御手段と、
前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する印刷処理手段と、
有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
印刷装置とネットワークを介して接続されたホスト機器において、
カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成手段と、
該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する作成手段と、
前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記 モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記印刷装置に対して、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶させ、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出させ、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換させることを特徴とするホスト機器。
【請求項3】
ホスト機器とネットワークを介して接続された印刷装置において、
前記ホスト機器から出力されるカラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データと、画像セーブ命令と、画像ロード命令と、モノクロ変換命令が入力する入力手段と、
前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する制御手段と、
前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する印刷処理手段と、
有することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
前述ホスト機器は、前記印刷装置が印刷処理を完了した際、前記記憶手段に記憶した画像データを消去させる画像消去命令を前記印刷装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
印刷装置とホスト機器がネットワークを介して接続された印刷システムの印刷方法において、
前記ホスト機器は、
カラー印刷とモノクロ印刷を含む部単位の印刷データを作成する印刷データ作成処理と、
該印刷データの中の前記カラー印刷の画像データを記憶させる画像セーブ命令と、該画像セーブ命令によって記憶された画像データを読み出す画像ロード命令と、前記画像セーブ命令によって記憶された画像データをモノクロ画像データに変換させるモノクロ変換命令とを作成する処理と、
前記カラー印刷の印刷データと、前記画像セーブ命令と、前記画像ロード命令と、前記モノクロ変換命令とを、前記印刷装置に送信する処理と、を行い、
前記印刷装置は、前記画像セーブ命令に基づいて前記カラー印刷の画像データを記憶手段に記憶し、画像ロード命令に基づいて前記記憶手段から前記画像データを読み出し、前記モノクロ変換命令に基づいて前記画像データをモノクロ画像に変換する処理と、
前記画像データに基づいてカラー画像を記録媒体に印刷し、前記モノクロ画像に基づいてモノクロ画像を記録媒体に印刷する処理と、
行なうことを特徴とする印刷方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−155415(P2012−155415A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12321(P2011−12321)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】