印刷システム
【課題】印刷装置側に保存済みの画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と比較して色再現性の異なる印刷物が出力されることを効果的に防止する。
【解決手段】画像データに基づく初回印刷時に適用されたキャリブレーションデータ(初回印刷時キャリブレーションデータ)を再印刷用画像データと関連付けて保存しておくことで、保存済みの再印刷用画像データに基づく再印刷において初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことが可能になる(S103、S104)。
【解決手段】画像データに基づく初回印刷時に適用されたキャリブレーションデータ(初回印刷時キャリブレーションデータ)を再印刷用画像データと関連付けて保存しておくことで、保存済みの再印刷用画像データに基づく再印刷において初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことが可能になる(S103、S104)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データにキャリブレーションデータを適用して印刷を実行する印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターやMFP等の印刷装置の多くは、経時的な色再現性の変化を補正するためのキャリブレーション機能を備えている。例えば、以下の引用文献1には、CMYK各色の画像形成量の累計値に応じてプリンターのキャリブレーション設定を変更すべきか否かを判断する印刷制御装置が記載されている。
【0003】
また、近年の印刷装置の高性能化に伴い、RIP処理(ラスタライズ)済みの画像データを印刷後もハードディスク等に保存しておき、それを用いて同一原稿の再印刷を実行する印刷システムが提案されている。同システムによると、再印刷時にRIP処理を繰り返す必要がなくなるため高速印刷を実現することができる。他方、同システムによると、初回の印刷から再印刷までの間にキャリブレーション設定が変更された場合には、両時点で異なるキャリブレーション設定が適用されるため、同一原稿であるにもかかわらず色再現性の異なる印刷物が出力されることになる。これにより、例えば、会議用の配布資料を印刷したものの部数が足りず再印刷したような場合に、ユーザーの所望する印刷結果を得ることができないという問題が生じる虞がある。
【0004】
これに関連して、以下の特許文献2には、キャリブレーション設定の変更条件が充足されたとしてもプリンターに登録済みのジョブが存在する場合には変更前のキャリブレーション設定を適用する画像処理装置が提案されている。しかし、このような画像形成装置を用いたとしても、再印刷の際には変更後のキャリブレーション設定が適用されるため、印刷時点の相違により色再現性の異なる印刷物が出力されるという問題は依然として解消されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−053832号公報
【特許文献2】特開2006−212894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、保存済みの画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と比較して色再現性の異なる印刷物が出力されることを効果的に防止することができる印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)画像データにキャリブレーションデータを適用して前記画像データの印刷を実行する印刷手段と、前記印刷手段による前記画像データの再印刷のために当該画像データを再印刷用画像データとして保存する画像データ保存手段と、前記印刷手段による前記画像データの印刷時に適用された前記キャリブレーションデータを印刷時キャリブレーションデータとして前記再印刷用画像データと関連付けて保存するキャリブレーションデータ保存手段と、前記印刷手段による前記画像データの再印刷において、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かの設定を行う設定手段と、を有する印刷システム。
【0009】
(2)前記設定手段は、ユーザーによる指定期間内は、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことを特徴とする上記(1)に記載の印刷システム。
【0010】
(3)前記指定期間は、ユーザーによる指定時間が前記画像データの印刷後に経過するまでの期間であることを特徴とする上記(2)に記載の印刷システム。
【0011】
(4)前記指定期間は、ユーザーによる指定時刻が到達するまでの期間であることを特徴とする上記(2)に記載の印刷システム。
【0012】
(5)前記設定手段は、前記指定期間の終了時にユーザーにその旨を通知するとともに、前記指定期間の終了後に前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする上記(3)または(4)に記載の印刷システム。
【0013】
(6)前記設定手段は、前記印刷手段による前記画像データの再印刷の都度、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする上記(1)に記載の印刷システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、印刷ジョブの初回印刷時に適用されたキャリブレーションデータ(初回印刷時キャリブレーションデータ)を再印刷用画像データと関連付けて保存しておくことで、印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データに初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことが可能になる。よって、本発明によると、保存済みの再印刷用画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と色再現性の異なる印刷物が出力されることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るPC(制御部)の機能を概念的に示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るジョブ生成手段の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプリンターコントローラーの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るプリンターコントローラー(制御部)の機能を概念的に示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るプリンターの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るプリンター(制御部)の機能を概念的に示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るキャリブレーション設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るキャリブレーション設定用UI画面の他の例を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るキャリブレーション設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る管理テーブルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムSの全体構成を示すブロック図である。図1のように、印刷システムSは、印刷ジョブを生成するクライアント装置としてのPC1、PC1から受信した印刷ジョブをラスター形式の画像データに変換する画像処理装置としてのプリンターコントローラー2、及びプリンターコントローラー2から受信した画像データに基づく印刷処理を実行する印刷装置としてのプリンター3を備えている。
【0018】
図1のように、PC1とプリンターコントローラー2はネットワークNを介して接続されており、プリンターコントローラー2とプリンター3はローカル接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によるLAN、又はLANどうしを専用線で接続したWAN等である。なお、図1においてプリンターコントローラー2はプリンター3から独立した機器とされているが、プリンターコントローラー2はプリンター3に内蔵されていてもよい。
【0019】
図1のように、プリンターコントローラー2には、プリンター3のキャリブレーションに用いられるカラーチャートを測定する測色器4がローカル接続されている。測色器4は、色彩計や分光測色計等の測色計によりカラーチャート中のカラーパッチを測定し、その測定結果をL*a*b*やXYZ等のデバイス非依存の表色値に変換する機能を有している。測色器4による測定結果はプリンターコントローラー2のキャリブレーションデータ生成手段21b(後述)に送信される。なお、測色器4は、プリンターコントローラー2ではなくPC1又はプリンター3に接続されてもよいし、ネットワークNに接続されてもよい。
【0020】
続いて、本実施形態に係るPC1、プリンターコントローラー2、及びプリンター3の詳細な構成について説明する。図2は、PC1の構成を示すブロック図である。図2のように、PC1は、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14、ネットワークインターフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0021】
制御部11は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。図3は、制御部11が有する機能を概念的に示すブロック図である。図3のように、制御部11は、文書生成手段11a及びジョブ生成手段11bを備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0022】
先ず、文書生成手段11aは、プリンター3による印刷用の文書ファイルを生成する機能を有している。文書生成手段11aは、記憶部12に格納された種々の文書作成アプリケーションにより実現される。また、ジョブ生成手段11bは、文書生成手段11aにより生成された文書ファイルをプリンターコントローラー2が読み取り可能な言語(PCLやPostScript等のPDL)に変換して印刷ジョブを生成する機能を有している。ジョブ生成手段11bは、記憶部12に格納された印刷設定プログラム(一般にプリンタードライバーと呼ばれる)により実現される。ジョブ生成手段11bについてはさらに後述する(図4参照)。
【0023】
記憶部12は、PC1の基本動作を制御するプログラムやパラメーター等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。記憶部12は、前述の文書作成アプリケーションや印刷設定プログラム等を格納している。
【0024】
表示部13は、ユーザーに各種情報を表示するためのLCD等の表示装置である。特に、表示部13は、ジョブ生成手段11bによる各種UI(ユーザーインターフェース)画面を表示する(図9、図10参照)。入力部14は、ユーザーから各種動作指示を取得するためのキーボードやマウス等の入力装置である。ネットワークインターフェース15は、PC1をネットワークNに接続するためのNIC等の通信機器であり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠している。
【0025】
続いて、図5は、本実施形態に係るプリンターコントローラー2の構成を示すブロック図である。図5のように、プリンターコントローラー21は、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24、ネットワークインターフェース25、及びプリンターインタフェース26を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス27を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0026】
制御部21は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。図6は、制御部21が有する機能を概念的に示すブロック図である。図5のように、制御部21は、RIP処理手段21a及びキャリブレーションデータ生成手段21bを備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0027】
先ず、RIP処理手段21aは、PC1から受信した印刷ジョブのRIP処理(ラスタライズ)を実行することによりラスター形式の画像データを生成する機能を有している。RIP処理手段21aにより生成された画像データはプリンター3の画像処理手段31a(後述)及びデータ管理手段31b(後述)に送信される。この際、データ管理手段31bには、印刷ジョブに含まれていたジョブ属性情報(後述)及びキャリブレーション設定情報(後述)が併せて送信される。
【0028】
また、キャリブレーションデータ生成手段21bは、測色器4から受信したカラーチャートの測定結果に基づきプリンター3のキャリブレーションデータを生成する機能を有している。キャリブレーションデータ生成手段21bは、プリンターコントローラー2ではなく、PC1又はプリンター3側に設けられてもよい。ここで、本実施形態に係る「キャリブレーションデータ」とは、印刷用の画像データを構成する個々の画素の表色値を、カラーチャート印刷時点でのプリンター3の状態に合わせた数値に変換するためのルックアップテーブルのことを指す。
【0029】
例えば、キャリブレーションデータは、測色器4によるカラーチャートの実測値と、記憶部22等に予め格納された基準値との比較結果に基づいて生成される。そして、生成されたキャリブレーションデータは、プリンター3に送信され、その記憶部32に保存される。ここで、キャリブレーションデータは測色器4によるカラーチャートの測定の都度、生成されるので、プリンター3の記憶部32には生成時期の異なる複数種類のキャリブレーションデータが保存されることになる。なお、キャリブレーション用のカラーチャートは、ユーザーによる個別の印刷指示に応じて印刷されてもよいし、予め指定された周期で自動的に印刷されてもよい。
【0030】
記憶部22は、プリンターコントローラー2の基本動作を制御するプログラムやパラメーター等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。表示部23は、ユーザーに各種情報を表示するためのLCD等の表示装置である。入力部24は、ユーザーから各種動作指示を取得するためのキーボードやマウス等の入力装置である。
【0031】
ネットワークインターフェース25は、ネットワークNを介してPC1等の外部機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠している。プリンターインタフェース26は、プリンター3と通信するためのインターフェースであり、例えば、IEEE1394等のパラレルインターフェースである。
【0032】
続いて、図7は、本実施形態に係るプリンター3の構成を示すブロック図である。図7のように、プリンター3は、制御部31、記憶部32、操作部33、印刷部34、コントローラーインターフェース35を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス36を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0033】
なお、本実施形態に係るプリンター3は、プリンターコントローラー2から受信した画像データに基づく印刷処理を実行するとともに当該画像データを記憶部32に保存しておき、一定時間の経過後に記憶部32内の画像データを用いて再度の印刷処理を実行する機能を有している。これにより再度の印刷処理の実行時にRIP処理を繰り返す必要がなくなるため高速印刷を実現することができる。
【0034】
なお、以下の説明では、プリンターコントローラー2から受信した画像データに基づく初回の印刷処理を「初回印刷」といい、記憶部32に保存された画像データに基づく再度の印刷処理を「再印刷」ということにする。また、記憶部32に保存された再印刷用の画像データのことを特に「再印刷用画像データ」ということにする。
【0035】
図7を参照すると、制御部31は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を行う。図8は、制御部31が有する機能を概念的に示すブロック図である。図8のように、制御部31は、画像処理手段31a及びデータ管理手段31bを備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0036】
先ず、画像処理手段31aは、印刷ジョブの初回印刷時に、プリンターコントローラー2(RIP処理手段21a)から受信した画像データに同時点での最新のキャリブレーションデータを適用することによりキャリブレーション済み画像データを生成する機能を有している。画像処理手段31aにより生成されたキャリブレーション済み画像データは、印刷処理のために印刷部34に送信される。なお、以下では、印刷ジョブの初回印刷時に画像データに適用されたキャリブレーションデータ(すなわち、初回印刷時点での最新のキャリブレーションデータ)を特に当該印刷ジョブの「初回印刷時キャリブレーションデータ」ということにする。
【0037】
さらに、画像処理部31aは、印刷ジョブの再印刷時に、記憶部32内の再印刷用画像データに同時点での最新のキャリブレーションデータ又は初回印刷時キャリブレーションデータのいずれかを適用することによりキャリブレーション済み画像データを生成する機能を有している。この際、画像処理部31aは、再印刷用画像データに適用すべきキャリブレーションデータを、データ管理手段31bにより作成されたデータ管理テーブルT(後述)を参照して決定する。
【0038】
続いて、データ管理手段31bは、プリンターコントローラー2(RIP処理手段21a)から受信した画像データを再印刷用画像データとして記憶部32に保存する機能を有している。この際、データ管理手段31bは、個々の画像データを再印刷用画像データとして保存すべきか否かを、RIP処理手段21aから受信したジョブ属性情報に基づき判断する。
【0039】
また、データ管理手段31bは、初回印刷時キャリブレーションデータを記憶部32内の再印刷用画像データと関連付けて保存する機能を有している。この際、データ管理手段31bは、初回印刷時キャリブレーションデータを再印刷用画像データと関連付けて保存すべきか否かを、RIP処理手段21aから受信したキャリブレーション設定情報を参照して判断する。
【0040】
さらに、データ管理手段31bは、記憶部32に保存済みの画像データ及びキャリブレーションデータの管理情報を示す管理テーブルTを作成する機能を有している。図12は、データ管理手段31bにより作成される管理テーブルTの一例を示す概略図である。図12のように、管理テーブルTには、個々の印刷ジョブに対応する再印刷用画像データの名称(「再印刷用画像データ」欄)、再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータの名称(「キャリブレーションデータ」欄)、及び個々の印刷ジョブに適用されるキャリブレーション設定に関する情報(「キャリブレーション設定」欄)が含まれている。ここで、キャリブレーション設定とは、個々の印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データに適用されるキャリブレーションデータに関する設定のことを指す。
【0041】
記憶部32は、PC1の基本動作を制御するプログラムやパラメーター等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。前述のように、記憶部32には、データ管理手段31bにより再印刷用画像データが保存されるとともに、初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データと関連付けて保存される。
【0042】
操作部33は、ユーザーに各種情報を表示するとともにユーザーから各種動作指示を取得するオペレーションパネルである。印刷部34については後述する。コントローラーインターフェース35は、プリンターコントローラー2と通信するためのインターフェースであり、例えば、IEEE1394等のパラレルインターフェースである。
【0043】
印刷部34は、画像処理手段31aから受信したキャリブレーション済み画像データに基づく印刷処理を実行する印刷エンジンである。より具体的に、印刷部34は、感光体ドラムを帯電させる帯電工程、レーザ光により感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー画像を転写ベルトにより記録用紙に転写する転写工程、記録用紙に転写されたトナー画像を定着ローラにより加熱・定着させる定着工程からなる電子写真方式の印刷処理を実行する。なお、印刷部34が採用する印刷方式は、インパクト方式や熱転写方式やインクジェット方式等であってもよい。
【0044】
続いて、図4を参照して、本実施形態に係るPC1の印刷設定手段11bについて説明する。図4のように、印刷設定手段11bは、ジョブ属性設定手段11b1及びキャリブレーション設定手段11b2を備えている。先ず、ジョブ属性設定手段11b1は、印刷ジョブに基づく画像データを再印刷用画像データとしてプリンター3(記憶部32)に保存すべきか否かを設定する機能を有している。
【0045】
より具体的に、ジョブ属性設定手段11b1は、表示部13に所定のUI画面を表示することにより画像データをプリンター3に保存すべきか否かに関するユーザー指示を取得する。このようにして取得されたユーザー指示は「ジョブ属性情報」として印刷ジョブに包含され、プリンターコントローラー2経由でプリンター3のデータ管理手段31bに送信される。そして、データ管理手段31bは、このジョブ属性情報に従って個々の印刷ジョブに基づく画像データを再印刷用画像データとして保存すべきか否かを判断することになる。
【0046】
また、キャリブレーション設定手段11b2は、印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かを設定する機能を有している。より具体的に、キャリブレーション設定手段11b2は、所定のキャリブレーション設定用UI画面を表示することによりキャリブレーション設定に関するユーザー指示を取得する。このようにして取得されたユーザー指示は「キャリブレーション設定情報」として印刷ジョブに包含され、プリンターコントローラー2経由でプリンター3のデータ管理手段31bに送信される。そして、データ管理手段31bは、このキャリブレーション設定情報を参照して、初回印刷時キャリブレーションデータを再印刷用画像データと関連付けて保存すべきか否かを判断することになる。
【0047】
図9は、キャリブレーション設定手段11b2により表示されるキャリブレーション設定用UI画面の一例を示す概略図である。図9に例示されたUI画面u1は、「常に最新のキャリブレーションデータを適用する」、「常に初回印刷時のキャリブレーションデータを適用する」、及び「印刷の都度、適用するキャリブレーションデータを選択する」の選択肢からなるラジオボタンb1を有している。これらの選択肢について以下に順に説明する。
【0048】
先ず、「常に最新のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合は、再印刷において同時点での最新のキャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。また、「常に初回印刷時のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合は、初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。また、「印刷の都度、適用するキャリブレーションデータを選択する」が選択された場合は、どちらのキャリブレーションデータを適用すべきかが再印刷の都度、ユーザーにより選択されることになる。
【0049】
続いて、図10は、キャリブレーション設定用UI画面の他の例を示す概略図である。図10に例示されたUI画面u2は、「経過時間で設定」及び「時刻で設定」の選択肢からなるラジオボタンb2を有している。これらの選択肢について以下に順に説明する。
【0050】
先ず、「経過時間で設定」が選択された場合は、初回印刷後にユーザー指定時間を経過するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用され、ユーザー指定時間を経過した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。なお、ユーザー指定時間は、ラジオボタンb2に隣接するスピンボタンb3により指定される。
【0051】
他方、「時刻で設定」が選択された場合は、ユーザー指定時刻に到達するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用され、ユーザー指定時刻に到達した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。なお、ユーザー指定時刻は、ラジオボタンb2に隣接するスピンボタンb4により指定される。
【0052】
図9、10のようなUI画面上で受け付けられたユーザー指示は「キャリブレーション設定情報」として印刷ジョブに包含され、プリンターコントローラー2経由でデータ管理手段31bに送信される。そして、同情報は、データ管理手段31bにより管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に追加される(図12参照)。その後、画像処理手段31aは、印刷ジョブの再印刷において初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かを管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄を参照して判断することになる。
【0053】
次に、本実施形態に係る印刷システムSの動作の概要について説明する。図11は、本実施形態に係るキャリブレーションデータ設定手段11b2(以下では単に「設定手段11b2」ともいう)によるキャリブレーション設定処理の手順を示すフローチャートである。図11のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部12のROMに制御プログラムとして記憶されている。
【0054】
先ず、設定手段11b2は、文書生成手段11aにより生成された文書ファイルの印刷設定が開始されるまで待機し(S101のNO)、その印刷設定が開始されたら(S101のYES)、時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきか否かを判定する(S102)。より具体的に、設定手段11b2は、所定のUI画面(不図示)を表示して、時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきか否かに関するユーザー指示を取得する。
【0055】
そして、時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきと判定した場合は(S102のYES)、図10のようなUI画面u2を表示して、初回印刷後の経過時間(スピンボタンb3)又は時刻(スピンボタンb4)に関するユーザー指示を取得する(S104)。その後、設定手段11b2はキャリブレーション設定処理を終了する(エンド)。前述のように、UI画面u2上で受け付けられたユーザー指示は、キャリブレーション設定情報としてデータ管理手段31bに送信され、データ管理手段31bにより管理テーブルTに追加される。
【0056】
より具体的に、スピンボタンb3により「n時間m分」が指定された場合、データ管理手段31bは、管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に「初回印刷後n時間m分経過まで初回印刷時キャリブレーションデータを適用」と記入する。この場合、初回印刷後にユーザー指定時間(n時間m分)が経過するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが適用され、ユーザー指定時間が経過した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが適用される。そして、記憶部32内の初回印刷時キャリブレーションデータは初回印刷後にユーザー指定時間が経過するまで保持されることになる(図12の「No.4」参照)。
【0057】
また、UI画面u2上のスピンボタンb4により「x月y日a時b分」が指定された場合、データ管理手段31bは、管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に「x月y日a時b分まで初回印刷時キャリブレーションデータを適用」と記入する。この場合、ユーザー指定時刻(x月y日a時b分)が到達するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが適用され、ユーザー指定時刻が到達した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが適用される。そして、記憶部32内の初回印刷時キャリブレーションデータはユーザー指定時刻になるまで保持されることになる(図12の「No.5」参照)。
【0058】
他方、S102で時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきでないと判定した場合(S102のNO)、設定手段11b2は、図9のようなUI画面u1を表示してキャリブレーション設定に関するユーザー指示を受け付ける(S103)。その後、設定手段11b2はキャリブレーション設定処理を終了する(エンド)。
【0059】
前述のように、UI画面u1上で受け付けられたユーザー指示は、キャリブレーション設定情報としてデータ管理手段31bに送信され、データ管理手段31bにより管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に追加される。そして、画像処理手段31aは、この「キャリブレーション設定」欄に追加されたキャリブレーション設定情報を参照して、再印刷において再印刷用画像データに適用すべきキャリブレーションデータを決定する。
【0060】
より具体的に、ラジオボタンb1の「常に最新のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合、画像処理手段31aは、初回印刷後の経過時間等によらず再印刷時点での最新のキャリブレーションデータを常に適用する。また、「常に初回印刷時のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合、画像処理手段31aは、初回印刷後の経過時間等によらず初回印刷時キャリブレーションデータを常に適用する。そして、再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータは、その再印刷用画像データが削除されるまで保持されることになる(図12の「No.1」参照)。
【0061】
また、「印刷の都度、適用するキャリブレーションデータを選択する」が選択された場合は、再印刷の都度、どちらのキャリブレーションデータを適用すべきかがユーザーにより選択され、画像処理手段31aは、選択されたキャリブレーションデータを適用する。より具体的に、再印刷の都度、表示部13又は操作部33にキャリブレーションデータ選択用のUI画面(不図示)が表示され、同UI画面上でいずれかのキャリブレーションデータが選択されることになる。そして、再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータは、再印刷用画像データが削除されるまで保持されることになる(図12の「No.3」参照)。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る印刷システムSによると、印刷ジョブの初回印刷時に適用されたキャリブレーションデータ(初回印刷時キャリブレーションデータ)を再印刷用画像データと関連付けて保存しておくことで、印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データに初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことが可能になる。よって、本実施形態に係る印刷システムSによると、保存済みの再印刷用画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と色再現性が異なる印刷物が出力されることを効果的に防止することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態のみに限定されることなく、請求の範囲内において、種々改変されることができる。例えば、上記実施形態では、画像データの印刷を実行する印刷手段としてプリンター3を採用したが、本発明に係る印刷手段はスキャン機能やコピー機能等をさらに備えた多機能周辺機器(MFP)であってもよい。
【0064】
本発明に係る印刷システムの各手段は、上記各手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、各手段を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、印刷システムを構成する装置の一機能としてその装置に組み込まれていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 PC、
11 制御部、
11a 文書生成手段、
11b ジョブ生成手段、
11b1 ジョブ属性設定手段、
11b2 キャリブレーション設定手段、
2 プリンターコントローラー、
21 制御部、
21a RIP処理手段、
21b キャリブレーションデータ生成手段、
3 プリンター、
31a 画像処理手段、
31b データ管理手段、
32 記憶部、
4 測色器、
S 印刷システム、
T 管理テーブル、
u1 キャリブレーション設定用UI画面、
u2 キャリブレーション設定用UI画面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データにキャリブレーションデータを適用して印刷を実行する印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターやMFP等の印刷装置の多くは、経時的な色再現性の変化を補正するためのキャリブレーション機能を備えている。例えば、以下の引用文献1には、CMYK各色の画像形成量の累計値に応じてプリンターのキャリブレーション設定を変更すべきか否かを判断する印刷制御装置が記載されている。
【0003】
また、近年の印刷装置の高性能化に伴い、RIP処理(ラスタライズ)済みの画像データを印刷後もハードディスク等に保存しておき、それを用いて同一原稿の再印刷を実行する印刷システムが提案されている。同システムによると、再印刷時にRIP処理を繰り返す必要がなくなるため高速印刷を実現することができる。他方、同システムによると、初回の印刷から再印刷までの間にキャリブレーション設定が変更された場合には、両時点で異なるキャリブレーション設定が適用されるため、同一原稿であるにもかかわらず色再現性の異なる印刷物が出力されることになる。これにより、例えば、会議用の配布資料を印刷したものの部数が足りず再印刷したような場合に、ユーザーの所望する印刷結果を得ることができないという問題が生じる虞がある。
【0004】
これに関連して、以下の特許文献2には、キャリブレーション設定の変更条件が充足されたとしてもプリンターに登録済みのジョブが存在する場合には変更前のキャリブレーション設定を適用する画像処理装置が提案されている。しかし、このような画像形成装置を用いたとしても、再印刷の際には変更後のキャリブレーション設定が適用されるため、印刷時点の相違により色再現性の異なる印刷物が出力されるという問題は依然として解消されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−053832号公報
【特許文献2】特開2006−212894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、保存済みの画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と比較して色再現性の異なる印刷物が出力されることを効果的に防止することができる印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0008】
(1)画像データにキャリブレーションデータを適用して前記画像データの印刷を実行する印刷手段と、前記印刷手段による前記画像データの再印刷のために当該画像データを再印刷用画像データとして保存する画像データ保存手段と、前記印刷手段による前記画像データの印刷時に適用された前記キャリブレーションデータを印刷時キャリブレーションデータとして前記再印刷用画像データと関連付けて保存するキャリブレーションデータ保存手段と、前記印刷手段による前記画像データの再印刷において、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かの設定を行う設定手段と、を有する印刷システム。
【0009】
(2)前記設定手段は、ユーザーによる指定期間内は、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことを特徴とする上記(1)に記載の印刷システム。
【0010】
(3)前記指定期間は、ユーザーによる指定時間が前記画像データの印刷後に経過するまでの期間であることを特徴とする上記(2)に記載の印刷システム。
【0011】
(4)前記指定期間は、ユーザーによる指定時刻が到達するまでの期間であることを特徴とする上記(2)に記載の印刷システム。
【0012】
(5)前記設定手段は、前記指定期間の終了時にユーザーにその旨を通知するとともに、前記指定期間の終了後に前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする上記(3)または(4)に記載の印刷システム。
【0013】
(6)前記設定手段は、前記印刷手段による前記画像データの再印刷の都度、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする上記(1)に記載の印刷システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、印刷ジョブの初回印刷時に適用されたキャリブレーションデータ(初回印刷時キャリブレーションデータ)を再印刷用画像データと関連付けて保存しておくことで、印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データに初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことが可能になる。よって、本発明によると、保存済みの再印刷用画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と色再現性の異なる印刷物が出力されることを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るPC(制御部)の機能を概念的に示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るジョブ生成手段の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプリンターコントローラーの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るプリンターコントローラー(制御部)の機能を概念的に示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るプリンターの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るプリンター(制御部)の機能を概念的に示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るキャリブレーション設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るキャリブレーション設定用UI画面の他の例を示す概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るキャリブレーション設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る管理テーブルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムSの全体構成を示すブロック図である。図1のように、印刷システムSは、印刷ジョブを生成するクライアント装置としてのPC1、PC1から受信した印刷ジョブをラスター形式の画像データに変換する画像処理装置としてのプリンターコントローラー2、及びプリンターコントローラー2から受信した画像データに基づく印刷処理を実行する印刷装置としてのプリンター3を備えている。
【0018】
図1のように、PC1とプリンターコントローラー2はネットワークNを介して接続されており、プリンターコントローラー2とプリンター3はローカル接続されている。ここで、ネットワークNは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によるLAN、又はLANどうしを専用線で接続したWAN等である。なお、図1においてプリンターコントローラー2はプリンター3から独立した機器とされているが、プリンターコントローラー2はプリンター3に内蔵されていてもよい。
【0019】
図1のように、プリンターコントローラー2には、プリンター3のキャリブレーションに用いられるカラーチャートを測定する測色器4がローカル接続されている。測色器4は、色彩計や分光測色計等の測色計によりカラーチャート中のカラーパッチを測定し、その測定結果をL*a*b*やXYZ等のデバイス非依存の表色値に変換する機能を有している。測色器4による測定結果はプリンターコントローラー2のキャリブレーションデータ生成手段21b(後述)に送信される。なお、測色器4は、プリンターコントローラー2ではなくPC1又はプリンター3に接続されてもよいし、ネットワークNに接続されてもよい。
【0020】
続いて、本実施形態に係るPC1、プリンターコントローラー2、及びプリンター3の詳細な構成について説明する。図2は、PC1の構成を示すブロック図である。図2のように、PC1は、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14、ネットワークインターフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0021】
制御部11は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。図3は、制御部11が有する機能を概念的に示すブロック図である。図3のように、制御部11は、文書生成手段11a及びジョブ生成手段11bを備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0022】
先ず、文書生成手段11aは、プリンター3による印刷用の文書ファイルを生成する機能を有している。文書生成手段11aは、記憶部12に格納された種々の文書作成アプリケーションにより実現される。また、ジョブ生成手段11bは、文書生成手段11aにより生成された文書ファイルをプリンターコントローラー2が読み取り可能な言語(PCLやPostScript等のPDL)に変換して印刷ジョブを生成する機能を有している。ジョブ生成手段11bは、記憶部12に格納された印刷設定プログラム(一般にプリンタードライバーと呼ばれる)により実現される。ジョブ生成手段11bについてはさらに後述する(図4参照)。
【0023】
記憶部12は、PC1の基本動作を制御するプログラムやパラメーター等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。記憶部12は、前述の文書作成アプリケーションや印刷設定プログラム等を格納している。
【0024】
表示部13は、ユーザーに各種情報を表示するためのLCD等の表示装置である。特に、表示部13は、ジョブ生成手段11bによる各種UI(ユーザーインターフェース)画面を表示する(図9、図10参照)。入力部14は、ユーザーから各種動作指示を取得するためのキーボードやマウス等の入力装置である。ネットワークインターフェース15は、PC1をネットワークNに接続するためのNIC等の通信機器であり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠している。
【0025】
続いて、図5は、本実施形態に係るプリンターコントローラー2の構成を示すブロック図である。図5のように、プリンターコントローラー21は、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24、ネットワークインターフェース25、及びプリンターインタフェース26を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス27を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0026】
制御部21は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。図6は、制御部21が有する機能を概念的に示すブロック図である。図5のように、制御部21は、RIP処理手段21a及びキャリブレーションデータ生成手段21bを備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0027】
先ず、RIP処理手段21aは、PC1から受信した印刷ジョブのRIP処理(ラスタライズ)を実行することによりラスター形式の画像データを生成する機能を有している。RIP処理手段21aにより生成された画像データはプリンター3の画像処理手段31a(後述)及びデータ管理手段31b(後述)に送信される。この際、データ管理手段31bには、印刷ジョブに含まれていたジョブ属性情報(後述)及びキャリブレーション設定情報(後述)が併せて送信される。
【0028】
また、キャリブレーションデータ生成手段21bは、測色器4から受信したカラーチャートの測定結果に基づきプリンター3のキャリブレーションデータを生成する機能を有している。キャリブレーションデータ生成手段21bは、プリンターコントローラー2ではなく、PC1又はプリンター3側に設けられてもよい。ここで、本実施形態に係る「キャリブレーションデータ」とは、印刷用の画像データを構成する個々の画素の表色値を、カラーチャート印刷時点でのプリンター3の状態に合わせた数値に変換するためのルックアップテーブルのことを指す。
【0029】
例えば、キャリブレーションデータは、測色器4によるカラーチャートの実測値と、記憶部22等に予め格納された基準値との比較結果に基づいて生成される。そして、生成されたキャリブレーションデータは、プリンター3に送信され、その記憶部32に保存される。ここで、キャリブレーションデータは測色器4によるカラーチャートの測定の都度、生成されるので、プリンター3の記憶部32には生成時期の異なる複数種類のキャリブレーションデータが保存されることになる。なお、キャリブレーション用のカラーチャートは、ユーザーによる個別の印刷指示に応じて印刷されてもよいし、予め指定された周期で自動的に印刷されてもよい。
【0030】
記憶部22は、プリンターコントローラー2の基本動作を制御するプログラムやパラメーター等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。表示部23は、ユーザーに各種情報を表示するためのLCD等の表示装置である。入力部24は、ユーザーから各種動作指示を取得するためのキーボードやマウス等の入力装置である。
【0031】
ネットワークインターフェース25は、ネットワークNを介してPC1等の外部機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠している。プリンターインタフェース26は、プリンター3と通信するためのインターフェースであり、例えば、IEEE1394等のパラレルインターフェースである。
【0032】
続いて、図7は、本実施形態に係るプリンター3の構成を示すブロック図である。図7のように、プリンター3は、制御部31、記憶部32、操作部33、印刷部34、コントローラーインターフェース35を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス36を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0033】
なお、本実施形態に係るプリンター3は、プリンターコントローラー2から受信した画像データに基づく印刷処理を実行するとともに当該画像データを記憶部32に保存しておき、一定時間の経過後に記憶部32内の画像データを用いて再度の印刷処理を実行する機能を有している。これにより再度の印刷処理の実行時にRIP処理を繰り返す必要がなくなるため高速印刷を実現することができる。
【0034】
なお、以下の説明では、プリンターコントローラー2から受信した画像データに基づく初回の印刷処理を「初回印刷」といい、記憶部32に保存された画像データに基づく再度の印刷処理を「再印刷」ということにする。また、記憶部32に保存された再印刷用の画像データのことを特に「再印刷用画像データ」ということにする。
【0035】
図7を参照すると、制御部31は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を行う。図8は、制御部31が有する機能を概念的に示すブロック図である。図8のように、制御部31は、画像処理手段31a及びデータ管理手段31bを備えている。これらについて以下に順に説明する。
【0036】
先ず、画像処理手段31aは、印刷ジョブの初回印刷時に、プリンターコントローラー2(RIP処理手段21a)から受信した画像データに同時点での最新のキャリブレーションデータを適用することによりキャリブレーション済み画像データを生成する機能を有している。画像処理手段31aにより生成されたキャリブレーション済み画像データは、印刷処理のために印刷部34に送信される。なお、以下では、印刷ジョブの初回印刷時に画像データに適用されたキャリブレーションデータ(すなわち、初回印刷時点での最新のキャリブレーションデータ)を特に当該印刷ジョブの「初回印刷時キャリブレーションデータ」ということにする。
【0037】
さらに、画像処理部31aは、印刷ジョブの再印刷時に、記憶部32内の再印刷用画像データに同時点での最新のキャリブレーションデータ又は初回印刷時キャリブレーションデータのいずれかを適用することによりキャリブレーション済み画像データを生成する機能を有している。この際、画像処理部31aは、再印刷用画像データに適用すべきキャリブレーションデータを、データ管理手段31bにより作成されたデータ管理テーブルT(後述)を参照して決定する。
【0038】
続いて、データ管理手段31bは、プリンターコントローラー2(RIP処理手段21a)から受信した画像データを再印刷用画像データとして記憶部32に保存する機能を有している。この際、データ管理手段31bは、個々の画像データを再印刷用画像データとして保存すべきか否かを、RIP処理手段21aから受信したジョブ属性情報に基づき判断する。
【0039】
また、データ管理手段31bは、初回印刷時キャリブレーションデータを記憶部32内の再印刷用画像データと関連付けて保存する機能を有している。この際、データ管理手段31bは、初回印刷時キャリブレーションデータを再印刷用画像データと関連付けて保存すべきか否かを、RIP処理手段21aから受信したキャリブレーション設定情報を参照して判断する。
【0040】
さらに、データ管理手段31bは、記憶部32に保存済みの画像データ及びキャリブレーションデータの管理情報を示す管理テーブルTを作成する機能を有している。図12は、データ管理手段31bにより作成される管理テーブルTの一例を示す概略図である。図12のように、管理テーブルTには、個々の印刷ジョブに対応する再印刷用画像データの名称(「再印刷用画像データ」欄)、再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータの名称(「キャリブレーションデータ」欄)、及び個々の印刷ジョブに適用されるキャリブレーション設定に関する情報(「キャリブレーション設定」欄)が含まれている。ここで、キャリブレーション設定とは、個々の印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データに適用されるキャリブレーションデータに関する設定のことを指す。
【0041】
記憶部32は、PC1の基本動作を制御するプログラムやパラメーター等を格納するROM、CPUの作業領域として各種データを一時的に保持するRAM、及び各種プログラムやデータファイル等を格納するHDD等からなる記憶領域である。前述のように、記憶部32には、データ管理手段31bにより再印刷用画像データが保存されるとともに、初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データと関連付けて保存される。
【0042】
操作部33は、ユーザーに各種情報を表示するとともにユーザーから各種動作指示を取得するオペレーションパネルである。印刷部34については後述する。コントローラーインターフェース35は、プリンターコントローラー2と通信するためのインターフェースであり、例えば、IEEE1394等のパラレルインターフェースである。
【0043】
印刷部34は、画像処理手段31aから受信したキャリブレーション済み画像データに基づく印刷処理を実行する印刷エンジンである。より具体的に、印刷部34は、感光体ドラムを帯電させる帯電工程、レーザ光により感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー画像を転写ベルトにより記録用紙に転写する転写工程、記録用紙に転写されたトナー画像を定着ローラにより加熱・定着させる定着工程からなる電子写真方式の印刷処理を実行する。なお、印刷部34が採用する印刷方式は、インパクト方式や熱転写方式やインクジェット方式等であってもよい。
【0044】
続いて、図4を参照して、本実施形態に係るPC1の印刷設定手段11bについて説明する。図4のように、印刷設定手段11bは、ジョブ属性設定手段11b1及びキャリブレーション設定手段11b2を備えている。先ず、ジョブ属性設定手段11b1は、印刷ジョブに基づく画像データを再印刷用画像データとしてプリンター3(記憶部32)に保存すべきか否かを設定する機能を有している。
【0045】
より具体的に、ジョブ属性設定手段11b1は、表示部13に所定のUI画面を表示することにより画像データをプリンター3に保存すべきか否かに関するユーザー指示を取得する。このようにして取得されたユーザー指示は「ジョブ属性情報」として印刷ジョブに包含され、プリンターコントローラー2経由でプリンター3のデータ管理手段31bに送信される。そして、データ管理手段31bは、このジョブ属性情報に従って個々の印刷ジョブに基づく画像データを再印刷用画像データとして保存すべきか否かを判断することになる。
【0046】
また、キャリブレーション設定手段11b2は、印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かを設定する機能を有している。より具体的に、キャリブレーション設定手段11b2は、所定のキャリブレーション設定用UI画面を表示することによりキャリブレーション設定に関するユーザー指示を取得する。このようにして取得されたユーザー指示は「キャリブレーション設定情報」として印刷ジョブに包含され、プリンターコントローラー2経由でプリンター3のデータ管理手段31bに送信される。そして、データ管理手段31bは、このキャリブレーション設定情報を参照して、初回印刷時キャリブレーションデータを再印刷用画像データと関連付けて保存すべきか否かを判断することになる。
【0047】
図9は、キャリブレーション設定手段11b2により表示されるキャリブレーション設定用UI画面の一例を示す概略図である。図9に例示されたUI画面u1は、「常に最新のキャリブレーションデータを適用する」、「常に初回印刷時のキャリブレーションデータを適用する」、及び「印刷の都度、適用するキャリブレーションデータを選択する」の選択肢からなるラジオボタンb1を有している。これらの選択肢について以下に順に説明する。
【0048】
先ず、「常に最新のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合は、再印刷において同時点での最新のキャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。また、「常に初回印刷時のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合は、初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。また、「印刷の都度、適用するキャリブレーションデータを選択する」が選択された場合は、どちらのキャリブレーションデータを適用すべきかが再印刷の都度、ユーザーにより選択されることになる。
【0049】
続いて、図10は、キャリブレーション設定用UI画面の他の例を示す概略図である。図10に例示されたUI画面u2は、「経過時間で設定」及び「時刻で設定」の選択肢からなるラジオボタンb2を有している。これらの選択肢について以下に順に説明する。
【0050】
先ず、「経過時間で設定」が選択された場合は、初回印刷後にユーザー指定時間を経過するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用され、ユーザー指定時間を経過した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。なお、ユーザー指定時間は、ラジオボタンb2に隣接するスピンボタンb3により指定される。
【0051】
他方、「時刻で設定」が選択された場合は、ユーザー指定時刻に到達するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用され、ユーザー指定時刻に到達した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが再印刷用画像データに適用されることになる。なお、ユーザー指定時刻は、ラジオボタンb2に隣接するスピンボタンb4により指定される。
【0052】
図9、10のようなUI画面上で受け付けられたユーザー指示は「キャリブレーション設定情報」として印刷ジョブに包含され、プリンターコントローラー2経由でデータ管理手段31bに送信される。そして、同情報は、データ管理手段31bにより管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に追加される(図12参照)。その後、画像処理手段31aは、印刷ジョブの再印刷において初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かを管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄を参照して判断することになる。
【0053】
次に、本実施形態に係る印刷システムSの動作の概要について説明する。図11は、本実施形態に係るキャリブレーションデータ設定手段11b2(以下では単に「設定手段11b2」ともいう)によるキャリブレーション設定処理の手順を示すフローチャートである。図11のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部12のROMに制御プログラムとして記憶されている。
【0054】
先ず、設定手段11b2は、文書生成手段11aにより生成された文書ファイルの印刷設定が開始されるまで待機し(S101のNO)、その印刷設定が開始されたら(S101のYES)、時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきか否かを判定する(S102)。より具体的に、設定手段11b2は、所定のUI画面(不図示)を表示して、時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきか否かに関するユーザー指示を取得する。
【0055】
そして、時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきと判定した場合は(S102のYES)、図10のようなUI画面u2を表示して、初回印刷後の経過時間(スピンボタンb3)又は時刻(スピンボタンb4)に関するユーザー指示を取得する(S104)。その後、設定手段11b2はキャリブレーション設定処理を終了する(エンド)。前述のように、UI画面u2上で受け付けられたユーザー指示は、キャリブレーション設定情報としてデータ管理手段31bに送信され、データ管理手段31bにより管理テーブルTに追加される。
【0056】
より具体的に、スピンボタンb3により「n時間m分」が指定された場合、データ管理手段31bは、管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に「初回印刷後n時間m分経過まで初回印刷時キャリブレーションデータを適用」と記入する。この場合、初回印刷後にユーザー指定時間(n時間m分)が経過するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが適用され、ユーザー指定時間が経過した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが適用される。そして、記憶部32内の初回印刷時キャリブレーションデータは初回印刷後にユーザー指定時間が経過するまで保持されることになる(図12の「No.4」参照)。
【0057】
また、UI画面u2上のスピンボタンb4により「x月y日a時b分」が指定された場合、データ管理手段31bは、管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に「x月y日a時b分まで初回印刷時キャリブレーションデータを適用」と記入する。この場合、ユーザー指定時刻(x月y日a時b分)が到達するまでは初回印刷時キャリブレーションデータが適用され、ユーザー指定時刻が到達した後は再印刷時点での最新のキャリブレーションデータが適用される。そして、記憶部32内の初回印刷時キャリブレーションデータはユーザー指定時刻になるまで保持されることになる(図12の「No.5」参照)。
【0058】
他方、S102で時間に応じてキャリブレーション設定を変更すべきでないと判定した場合(S102のNO)、設定手段11b2は、図9のようなUI画面u1を表示してキャリブレーション設定に関するユーザー指示を受け付ける(S103)。その後、設定手段11b2はキャリブレーション設定処理を終了する(エンド)。
【0059】
前述のように、UI画面u1上で受け付けられたユーザー指示は、キャリブレーション設定情報としてデータ管理手段31bに送信され、データ管理手段31bにより管理テーブルTの「キャリブレーション設定」欄に追加される。そして、画像処理手段31aは、この「キャリブレーション設定」欄に追加されたキャリブレーション設定情報を参照して、再印刷において再印刷用画像データに適用すべきキャリブレーションデータを決定する。
【0060】
より具体的に、ラジオボタンb1の「常に最新のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合、画像処理手段31aは、初回印刷後の経過時間等によらず再印刷時点での最新のキャリブレーションデータを常に適用する。また、「常に初回印刷時のキャリブレーションデータを適用する」が選択された場合、画像処理手段31aは、初回印刷後の経過時間等によらず初回印刷時キャリブレーションデータを常に適用する。そして、再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータは、その再印刷用画像データが削除されるまで保持されることになる(図12の「No.1」参照)。
【0061】
また、「印刷の都度、適用するキャリブレーションデータを選択する」が選択された場合は、再印刷の都度、どちらのキャリブレーションデータを適用すべきかがユーザーにより選択され、画像処理手段31aは、選択されたキャリブレーションデータを適用する。より具体的に、再印刷の都度、表示部13又は操作部33にキャリブレーションデータ選択用のUI画面(不図示)が表示され、同UI画面上でいずれかのキャリブレーションデータが選択されることになる。そして、再印刷用画像データと関連付けて保存された初回印刷時キャリブレーションデータは、再印刷用画像データが削除されるまで保持されることになる(図12の「No.3」参照)。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る印刷システムSによると、印刷ジョブの初回印刷時に適用されたキャリブレーションデータ(初回印刷時キャリブレーションデータ)を再印刷用画像データと関連付けて保存しておくことで、印刷ジョブの再印刷において再印刷用画像データに初回印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことが可能になる。よって、本実施形態に係る印刷システムSによると、保存済みの再印刷用画像データに基づく印刷ジョブの再印刷時に、初回印刷時と色再現性が異なる印刷物が出力されることを効果的に防止することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態のみに限定されることなく、請求の範囲内において、種々改変されることができる。例えば、上記実施形態では、画像データの印刷を実行する印刷手段としてプリンター3を採用したが、本発明に係る印刷手段はスキャン機能やコピー機能等をさらに備えた多機能周辺機器(MFP)であってもよい。
【0064】
本発明に係る印刷システムの各手段は、上記各手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、各手段を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、印刷システムを構成する装置の一機能としてその装置に組み込まれていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 PC、
11 制御部、
11a 文書生成手段、
11b ジョブ生成手段、
11b1 ジョブ属性設定手段、
11b2 キャリブレーション設定手段、
2 プリンターコントローラー、
21 制御部、
21a RIP処理手段、
21b キャリブレーションデータ生成手段、
3 プリンター、
31a 画像処理手段、
31b データ管理手段、
32 記憶部、
4 測色器、
S 印刷システム、
T 管理テーブル、
u1 キャリブレーション設定用UI画面、
u2 キャリブレーション設定用UI画面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにキャリブレーションデータを適用して前記画像データの印刷を実行する印刷手段と、
前記印刷手段による前記画像データの再印刷のために当該画像データを再印刷用画像データとして保存する画像データ保存手段と、
前記印刷手段による前記画像データの印刷時に適用された前記キャリブレーションデータを印刷時キャリブレーションデータとして前記再印刷用画像データと関連付けて保存するキャリブレーションデータ保存手段と、
前記印刷手段による前記画像データの再印刷において、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かの設定を行う設定手段と、を有する印刷システム。
【請求項2】
前記設定手段は、ユーザーによる指定期間内は、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記指定期間は、ユーザーによる指定時間が前記画像データの印刷後に経過するまでの期間であることを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記指定期間は、ユーザーによる指定時刻が到達するまでの期間であることを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記設定手段は、前記指定期間の終了時にユーザーにその旨を通知するとともに、前記指定期間の終了後に前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする請求項3または4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記設定手段は、前記印刷手段による前記画像データの再印刷の都度、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項1】
画像データにキャリブレーションデータを適用して前記画像データの印刷を実行する印刷手段と、
前記印刷手段による前記画像データの再印刷のために当該画像データを再印刷用画像データとして保存する画像データ保存手段と、
前記印刷手段による前記画像データの印刷時に適用された前記キャリブレーションデータを印刷時キャリブレーションデータとして前記再印刷用画像データと関連付けて保存するキャリブレーションデータ保存手段と、
前記印刷手段による前記画像データの再印刷において、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かの設定を行う設定手段と、を有する印刷システム。
【請求項2】
前記設定手段は、ユーザーによる指定期間内は、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきとの設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記指定期間は、ユーザーによる指定時間が前記画像データの印刷後に経過するまでの期間であることを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記指定期間は、ユーザーによる指定時刻が到達するまでの期間であることを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記設定手段は、前記指定期間の終了時にユーザーにその旨を通知するとともに、前記指定期間の終了後に前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする請求項3または4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記設定手段は、前記印刷手段による前記画像データの再印刷の都度、前記再印刷用画像データに前記印刷時キャリブレーションデータを適用すべきか否かに関する指示をユーザーから取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−25637(P2013−25637A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161259(P2011−161259)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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