説明

印刷データ処理システム及びプログラム

【課題】常に中間形式データを再利用する方式及び常にラスター画像データを再利用する方式のいずれよりも高速にラスター画像データを生成する。
【解決手段】印刷データ解釈処理部10は印刷データを解釈してフォーム/イメージ以外の中間形式データ102とフォーム/イメージの中間形式データ104を生成する。中間形式データ104にはフォーム等の上に他のオブジェクトが重なるか否かを示す属性情報が含まれる。フォーム/イメージ格納部14には、中間形式データ104とこのデータのラスタライズ結果であるラスターデータ110とがキャッシュされる。ラスタライズ処理部16は、中間形式データ102をラスタライズする過程でフォーム等のIDを見つけると、そのフォーム等の属性情報が「重なる」旨を示す場合はフォーム/イメージ格納部14から中間形式データ104を取得し用い、「重ならない」旨を示す場合はラスターデータ110を取得して用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データ処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像の検索の高精度化、高速化のために、低解像度画像や、画像全体から抽出した対象物の画像を用いることが開示されている。
【0003】
特許文献2には、印刷情報を画素情報に変換する処理を並列で行う複数の変換手段と、複数の変換手段の各々に対応して設けられ、変換手段で変換して得た特定の画素情報が記憶される第1の記憶手段と、複数の変換手段に共通で用いられ、変換手段で変換して得た画素情報のうち特定の画素情報が記憶される第2の記憶手段と、複数の変換手段の各々に対応して設けられ、変換手段で変換して得た特定の画素情報を第1の記憶手段に記憶する制御と、第2の記憶手段に記憶する制御を行う制御とを選択的に行う制御手段と有する画像処理装置が開示される。すなわち、特許文献2に記載された装置では、画素情報を再利用のために一時記憶するキャッシュとして、変換手段毎のキャッシュと、複数の変換手段に共通のキャッシュとを用意し、いずれのキャッシュを用いるかを状況に応じて切り換えている。
【0004】
特許文献3に開示されるシステムでは、複数の解釈部のそれぞれは、ページ記述言語で記述された文書データを解釈し、自身の担当ページについて、担当ページを構成する構成要素を描画する手順を表す描画命令を含む中間データを生成する。中間データは、印刷に用いられる基本色Y,M,C,Kごとに分版されている。各基本色用の描画データ生成部は、対応する基本色の中間データを取得し、取得した中間データに含まれる描画命令に従って、印刷画像を構成する画素ごとの描画データ又は印刷画像を構成する走査線ごとの描画データを生成する。また、特許文献3には、各基本色用の描画データ生成部に、複数ページで共通利用されるフォームの中間データ又は描画データをキャッシュするキャッシュメモリを設け、キャッシュメモリ中にあるフォームのデータを再利用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−160062号公報
【特許文献2】特開2011−025422号公報
【特許文献3】特開2011−070337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、常に中間形式データを記憶(キャッシュ)して再利用する方式、及び、常にラスター画像データを記憶して再利用する方式、のいずれよりも高速にページのラスター画像データを生成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、印刷対象画像をページ記述言語で記述する印刷データを解釈することにより、前記印刷対象画像のうちのあらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトを表す第1の中間形式データと、前記印刷対象画像のうちの前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクト以外の部分を表す第2の中間形式データと、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとの属性情報であって、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なるか否かを示す属性情報と、を生成する印刷データ解釈処理手段と、前記第1の中間形式データを記憶すると共に、前記第1の中間形式データを描画処理することにより生成された前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データを記憶する記憶手段と、前記第2の中間形式データと、前記記憶手段に記憶された前記第1の中間形式データ及び前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データと、を用いて、プリンタに供給するラスター画像データを生成するラスター画像データ生成手段であって、前記プリンタに供給するラスター画像データの生成の際に、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとに、当該画像オブジェクトに対応する前記属性情報が、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なることを示す場合には、当該画像オブジェクトの中間形式データを前記記憶手段から読み出して用い、重ならないことを示す場合には当該画像オブジェクトのラスター画像データを前記記憶手段から読み出して用いることを特徴とする、ラスター画像データ生成手段と、を備える印刷データ処理システムである。
【0008】
請求項2に係る発明は、操作者から前記印刷データについての印刷条件の入力を受け付け、受け付けた印刷条件を表す装置処理情報を、前記印刷データ解釈処理手段が生成した前記第1の中間形式データ及び前記第2の中間形式データに対してそれぞれ付加し、前記装置処理情報が付加された前記第1の中間形式データを前記記憶手段に、前記装置処理情報が付加された前記第2の中間形式データを前記ラスター画像データ生成手段に、それぞれ渡す中間形式データ処理手段、を更に備え、前記記憶手段は、前記中間形式データ処理手段から取得した前記装置処理情報が付加された前記第1の中間形式データを記憶すると共に、当該第1の中間形式データを前記装置処理情報が表す印刷条件に応じて描画処理することで生成された前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データを記憶し、前記ラスター画像データ生成手段は、前記中間形式データ処理手段から取得した前記装置処理情報が付加された前記第2の中間形式データを、当該装置処理情報が表す印刷条件に応じて描画処理すると共に、前記属性情報が前記ラスター画像データを用いることを示す前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトについては、前記記憶手段に記憶された、前記装置処理情報が表す印刷条件に応じて描画処理することで生成されたラスター画像データを用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ処理システムである。
【0009】
請求項3に係る発明は、コンピュータを、印刷対象画像をページ記述言語で記述する印刷データを解釈することにより、前記印刷対象画像のうちのあらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトを表す第1の中間形式データと、前記印刷対象画像のうちの前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクト以外の部分を表す第2の中間形式データと、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとの属性情報であって、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なるか否かを示す属性情報と、を生成する印刷データ解釈処理手段、前記第1の中間形式データを記憶すると共に、前記第1の中間形式データを描画処理することにより生成された前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データを記憶する記憶手段、前記第2の中間形式データと、前記記憶手段に記憶された前記第1の中間形式データ及び前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データと、を用いて、プリンタに供給するラスター画像データを生成するラスター画像データ生成手段であって、前記プリンタに供給するラスター画像データの生成の際に、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとに、当該画像オブジェクトに対応する前記属性情報が、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なることを示す場合には、当該画像オブジェクトの中間形式データを前記記憶手段から読み出して用い、重ならないことを示す場合には当該画像オブジェクトのラスター画像データを前記記憶手段から読み出して用いることを特徴とする、ラスター画像データ生成手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1又は3に係る発明によれば、常に中間形式データを記憶(キャッシュ)して再利用する方式、及び、常にラスター画像データを記憶して再利用する方式、のいずれよりも高速にページのラスター画像データを生成できる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、装置処理情報が示す印刷条件を考慮しないで作成したラスター画像データを記憶手段に記憶し、ラスター画像生成手段がそのラスター画像データを読み出して装置処理情報が示す印刷条件に応じて処理する場合よりも、プリンタに供給するラスター画像データに対して、読み出したラスター画像データを高速に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】フォーム/イメージ以外の中間形式データと、フォーム/イメージの中間形式データとを模式的に示す図である。
【図3】フォーム/イメージ上に他のオブジェクトが重ならない場合を例示する図である。
【図4】フォーム/イメージ上に他のオブジェクトが重なる場合を例示する図である。
【図5】フォーム/イメージリストのデータ内容の例を示す図である。
【図6】印刷データ解釈処理部を複数備えるシステム構成の例を示す図である。
【図7】印刷データ解釈処理部及びラスタライズ処理部を複数備えるシステム構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、実施の形態の印刷データ処理システムの一例の概略構成を示す。実施の形態の印刷データ処理システムは、例えばクライアント(例えばパーソナルコンピュータ)からネットワークを介して入力されたり、可搬型の記憶媒体に書き込まれた状態で受け付けたりするページ記述言語の印刷データ100を処理して、プリントエンジン(図示省略)が受け入れ可能なラスター画像データを生成し、生成したラスター画像データをプリントエンジンに供給して印刷を行わせるシステムである。プリントエンジンは、入力されるラスター画像データ中の各画素の値に応じて用紙上にインクやトナーなどの色材を付加することで、用紙上に画像を印刷する装置である。なお、以下では、記載を簡潔にするために、ページ記述言語を「PDL」と呼ぶ。PDLは、ページ記述言語の英語表現であるPage Description Languageの略である。
【0014】
図1に示すように、この印刷データ処理システムは、印刷データ解釈処理部10,中間形式データ処理部12,フォーム/イメージ格納部14,及びラスタライズ処理部16を有している。印刷データ処理システムは、図1に示した要素の他に、入力された印刷データ(ジョブとも呼ぶ)を待ち行列に入れ、それらジョブの実行順序を管理するジョブ管理部等を備えていてもよい。
【0015】
印刷データ解釈処理部10は、入力される印刷データ100を解釈して、中間形式データ102及び104を生成する。印刷データは、印刷対象の各ページの画像を、PostScript(登録商標)やPDF(Portable Document Format)等のPDLで記述したデータである。中間形式データは、PDLで記述された印刷データと、プリントエンジンが受け入れ可能なラスター画像データと、の中間の粒度のデータであり、例えば、PDLコマンドが表すオブジェクト(ページの印刷画像を構成する個々の要素)をバンド毎又は走査線毎に区切ってできる小領域を表現する形式などである。個々の小領域を表す中間形式データは、例えば、小領域が属するオブジェクトの種類、小領域の位置、小領域についての描画指示情報、及び小領域のカラー(色)などを表す情報を含む。中間形式データの一例としてディスプレイリストがよく知られているが、これに限定されるわけではない。PDLの印刷データから中間形式データへの変換には、従来の方法を用いればよい。
【0016】
ただし、この実施の形態の印刷データ解釈処理部10は、印刷データ100を単に中間形式データに変換するのではなく、フォーム/イメージ以外の中間形式データ102と、フォーム/イメージの中間形式データ104とに分けて生成する。「フォーム/イメージ」とは、オブジェクト種類がフォーム又はイメージのいずれかに該当するオブジェクトのことを意味する。
【0017】
すなわち、印刷データには、文字列、線画、塗り潰し図形、イメージ(写真等のビットマップ画像)、フォーム(再利用されることが前提のオブジェクト)、等の各種のオブジェクトが含まれるが、そのうちフォーム及びイメージはその他の種類のオブジェクトと比べてキャッシュの効果が大きい。また、PostScriptやPDF等の多くのPDLでは、印刷データ中でフォーム及びイメージに対して識別子を付与しており、この識別子を利用することでキャッシュが実現しやすくなっている(逆に言えば、文字列、線画、図形などには識別子が付与されない)。このようなことから、この実施の形態では、キャッシュ利用が有効なフォーム及びイメージのどちらかに該当するオブジェクトに由来する「フォーム/イメージの中間形式データ104」を、フォーム及びイメージのどちらにも該当しない種類のオブジェクトに由来する「フォーム/イメージ以外の中間形式データ102」と分けて生成する。なお、ここでは、キャッシュ対象のオブジェクトとしてフォーム/イメージのオブジェクトを例示したが、これは一例に過ぎない。印刷データ解釈処理部10は、キャッシュ対象の種類のオブジェクトとそれ以外の種類のオブジェクトとを分けて、それぞれ別々に中間形式データを生成すればよい。
【0018】
印刷データ100中の個々のオブジェクトが、フォーム/イメージと、それ以外(文字列、線画、図形等)と、のいずれに該当するかは、印刷データ100中に記述される当該オブジェクトの種類の情報から判定すればよい。例えばPostScriptの場合、イメージは"image"、フォームは"execform"、文字列は"show"等というように、オブジェクトの種類によって描画(ペイント)を指示するオペレータが異なるので、印刷データ解釈処理部10は、印刷データ100中の描画オペレータの種類に応じてフォーム/イメージと、それ以外を区別すればよい。
【0019】
図2に、印刷データ解釈処理部10が生成するフォーム/イメージ以外の中間形式データ102と、フォーム/イメージの中間形式データ104との例を模式的に示す。この例では、1ページの中に、フォーム/イメージに該当するオブジェクトが2つあるものとし、それら2つのオブジェクトのID(識別情報)がそれぞれ「1」及び「2」であるとする。このIDは、印刷データ解釈処理部10が付与する。
【0020】
フォーム/イメージ以外の中間形式データ102は、当該ページから生成した中間形式の記述のうち、フォーム/イメージに該当するオブジェクトをそれぞれIDに置き換えたものである。
【0021】
一方、フォーム/イメージに該当するオブジェクトのPDLデータから生成されたフォーム/イメージの中間形式データ104は、中間形式データ部分105と、中間形式及びラスター形式のうちどちらのキャッシュデータを用いるかの判定のための材料となる属性情報106とを含んでいる。中間形式データ部分105は、当該オブジェクトのIDと、当該オブジェクトを構成する個々の小領域を表す中間形式データとを含んでいる。また、フォーム/イメージの中間形式データ部分105は、印刷データ100中での当該フォーム/イメージの識別子の情報を含んでいる。また、属性情報106は、この例では、当該オブジェクト(フォーム/イメージ)上に他のオブジェクトが重なるか否かを示す情報である。例えば、図3に例示するページ画像200では、文字列のオブジェクト202とフォーム/イメージに該当するオブジェクト204とは別々の場所にあり、オブジェクト204の上には他のオブジェクトが重なっていないのに対し、図4に例示するページ画像210では、フォーム/イメージに該当するオブジェクト214の上に文字列のオブジェクト212が重なっている。図2の例では、属性情報106の値"true"は当該オブジェクトの上に他のオブジェクトが「重なる」ことを、"false"は「重ならない」ことを示す。この属性情報106は、後述するラスタライズ処理部16がフォーム/イメージ格納部14(キャッシュ)に格納した当該オブジェクトの中間形式及びラスター形式のデータのうちどちらを用いるかを判定するのに用いられる。なお、フォーム/イメージの「上」に他のオブジェクトが重なるか否かではなく、フォーム/イメージに対して他のオブジェクトが重なるか否か(すなわち他のオブジェクトがフォーム/イメージの下に重なる場合も含む)を示す情報を属性情報106としてもよい。
【0022】
印刷データ解釈処理部10は、印刷データ100を解釈したときに、各オブジェクトの種類、及びオブジェクト同士の上下の重なり関係が分かる。したがって、オブジェクトの種類がフォーム又はイメージのどちらかであれば、そのオブジェクトについてフォーム/イメージの中間形式データ104を生成し、当該オブジェクトと他のオブジェクトの重なり関係に応じて属性情報106の値を決定すればよい。
【0023】
すなわち、印刷データ解釈処理部10は、印刷データ100を先頭から順に解釈していき、その解釈処理の中で行き当たるオブジェクトがフォーム/イメージに該当しなければ、従来と同様に解釈結果の中間形式データを、本システムが備えるメモ空間のうちに確保した、フォーム/イメージ以外の中間形式データ102のためのメモリ領域に書き込んでいく。そして、フォーム/イメージに該当するオブジェクトを見つけると、そのオブジェクトに固有のIDを付与し、そのオブジェクトについてのフォーム/イメージの中間形式データ104(付与された固有IDと、印刷データ100中での当該オブジェクトの識別子と、属性情報106とを含む)を作成してメモリ空間に書き込むと共に、フォーム/イメージ以外の中間形式データ102のためのメモリ領域に、当該オブジェクトの中間形式データの代わりに、付与した固有のIDを書き込む。このような処理を繰り返すことで、1つのフォーム/イメージ以外の中間形式データ102と、印刷データ中に含まれるフォーム/イメージに該当するオブジェクトの数だけのフォーム/イメージの中間形式データ104が作成される。
【0024】
したがって、印刷データ100中に同じフォーム/イメージ(すなわち印刷データ100中に記述される識別子が同じオブジェクト)が複数存在する場合でも、印刷データ解釈処理部10は、それら同じフォーム/イメージについての中間形式データ104に対して異なるIDを付与することになる。これは、同じオブジェクトであっても、その配置場所が異なれば、他のオブジェクトと重なるか否かの状態が異なってくるためである。
【0025】
なお、印刷データ解釈処理部10は、印刷データ100を先頭から順に解釈していく際、同じ識別子を持つフォーム/イメージについては最初の1つのみ実質的な中間形式データを含んだ中間形式データ部分105を生成し、2回目以降については固有のIDと印刷データ100中での当該フォーム/イメージの識別子とを含むが実質的な中間形式データは含まない中間形式データ部分105を作成するようにしてもよい。これにより、同じフォーム/イメージが印刷データ100中に2回以上現れる場合に、2回目以降に現れるものについては中間形式データ104のデータ量が削減される。これにより、印刷データ解釈処理部10、中間形式データ処理部12及びフォーム/イメージ格納部14の間のデータ転送量や、フォーム/イメージ格納部14に記憶されるデータの量が削減される。
【0026】
印刷データ解釈処理部10が生成したフォーム/イメージ以外の中間形式データ102とフォーム/イメージの中間形式データ104とは、中間形式データ処理部12に渡される。
【0027】
中間形式データ処理部12は、受け取ったフォーム/イメージ以外の中間形式データ102及びフォーム/イメージの中間形式データ104に対して、それぞれ装置処理情報107及び108を付加する。装置処理情報107及び108は、印刷データ処理システムに対してオペレータが設定する印刷設定の情報であり、例えば回転、インポジション、キャリブレーション、マーク等(もちろんこれらに限るものではない)の設定値を含む。インポジションは、複数の論理ページを物理ページ(用紙の一面)上に並べて印刷する処理のことであり、N−up(Nは1物理ページ上に並べる論理ページ数)などとも呼ばれる。キャリブレーションは、色補正処理のことである。また、マークは、トンボ等のような印刷後の後処理等のための基準マークを印刷する処理である。これら装置処理情報107及び108は、入力された印刷データ100には含まれていない情報であり、印刷データ処理システムのオペレータが、当該印刷データに対して依頼者側から指定された印刷条件に応じて設定する。フォーム/イメージ以外の中間形式データ102に付加される装置処理情報107と、各フォーム/イメージの中間形式データ104にそれぞれ付加される装置処理情報108との情報内容は同一である。中間形式データ処理部12は、装置処理情報107を付加したフォーム/イメージ以外の中間形式データ102をラスタライズ処理部16に、装置処理情報108を付加した各フォーム/イメージの中間形式データ104をフォーム/イメージ格納部14に、それぞれ渡す。
【0028】
これら装置処理情報107及び108は、各中間形式データ102及び104をラスタライズ(すなわち中間形式データを解釈してラスター画像に変換する処理)する際に参照される。例えば、中間形式データ102に付加された装置処理情報107に90度回転が指定されていれば、ラスタライズ処理部16は、描画の座標系を90度回転させて中間形式データ102をラスタライズすることで、90度回転を実現する。また、例えば2up(論理ページ2ページを物理ページ1ページに配置する処理)が指定されている場合には、ラスタライズ処理部16は、中間形式データ102をラスター画像に変換する際、その中間形式データ102が表す画像部分を縮小し、物理ページ上の2つの論理ページのうち当該画像部分が属する論理ページ上の当該画像部分の位置に描画する。また、装置処理情報107にキャリブレーション(色補正)についての設定情報が含まれる場合は、中間形式データ102から求めたラスター画像の各画素の値を、その設定情報に応じて色補正する。また、装置処理情報107にマーク(トンボ等)が指定されている場合は、ラスタライズ処理部16は、中間形式データ102をラスタライズする際、指定されたマーク位置に従ってラスタライズ結果を平行移動させたり縮小したりする。
【0029】
フォーム/イメージ格納部14は、フォーム/イメージのデータをキャッシュするキャッシュメモリである。フォーム/イメージ格納部14は、中間形式データ処理部12から受け取った、装置処理情報108が付加された各フォーム/イメージの中間形式データ104を、当該フォーム/イメージの印刷データ中での識別子に対応づけて記憶する。また、フォーム/イメージ格納部14は、フォーム/イメージリスト142にそれら各フォーム/イメージを登録する。
【0030】
フォーム/イメージリスト142は、フォーム/イメージ格納部14にキャッシュされている各フォーム/イメージを管理するためのリストである。図5にフォーム/イメージリスト142のデータ内容の一例を示す。この例では、キャッシュされているフォーム/イメージに該当するオブジェクト(要素)毎に、そのID(印刷データ解釈処理部10で付与されたもの)と、印刷データ100中での当該オブジェクト(フォーム/イメージ)の識別子と、当該オブジェクトの属性情報106の値(「フォーム/イメージ上に他の要素が重なるか否か」)とが登録されている。また、フォーム/イメージリスト142には、キャッシュしているフォーム/イメージの中間形式データ104及びラスターデータ110(後述)のアドレスを記憶しておいてもよい。
【0031】
また、フォーム/イメージ格納部14は、中間形式データ処理部12から受け取った各フォーム/イメージの中間形式データ104毎に、当該中間形式データ104をラスタライズしてフォーム/イメージのラスターデータ110を生成し、生成したラスターデータ110を、当該フォーム/イメージの印刷データ中での識別子に対応づけて記憶する。この識別子との対応づけにより、キャッシュした同一オブジェクトについての中間形式データ104とラスターデータ110とが互いに紐付けされる。
【0032】
このフォーム/イメージの中間形式データ104のラスタライズ処理は、ラスタライズ処理部16に実行させてもよい。また、ラスタライズ処理部16はフォーム/イメージ以外の中間形式データ102専用とし、フォーム/イメージの中間形式データ104のために別のラスタライズ処理のプロセスを実行してもよい。
【0033】
このラスタライズでは、その中間形式データ104に付加されている装置処理情報108に含まれる回転やインポジション等の設定情報に応じた回転や座標変換、色補正等の処理が施される。これにより、生成されたラスターデータ110は、フォーム/イメージ以外の中間形式データ102から生成されたラスター画像と同じ回転や座標変換、色補正等の処理を受けたものとなる。したがって、ラスタライズ処理部16は、フォーム/イメージ以外の中間形式データ102を装置処理情報107に従ってラスタライズする際、そのラスター結果に対し、キャッシュしたラスターデータ110をそのまま(すなわち、回転や座標変換等の処理を加えることなく)合成すればよい。このことは、合成処理の高速化に繋がる。
【0034】
フォーム/イメージの中間形式データ104のラスタライズ及びキャッシュ記憶は、例えば、フォーム/イメージ格納部14がその中間形式データ104を受け取った時に実行すればよい。
【0035】
ラスタライズ処理部16は、中間形式データ処理部12から受け取った、装置処理情報107が付加されたフォーム/イメージ以外の中間形式データ102を先頭から順にラスタライズしていき、ラスター画像を生成してく。このラスタライズの過程で、中間形式データ102中のフォーム/イメージの固有ID(印刷データ解釈処理部10が付与したID)を見つけると、フォーム/イメージ格納部14のフォーム/イメージリスト142を参照して、そのフォーム/イメージの上に他のオブジェクトが重なるか否かを判別する。そして、図3のように「重ならない」と判別される場合は、そのIDに対応する「印刷データ中の識別子」に対応づけてキャッシュされているラスターデータ110を取得し、取得したラスターデータ110を合成する。一方、その判別にて図4のように「重なる」と判別される場合には、そのIDに対応する「印刷データ中の識別子」に対応づけてキャッシュされている中間形式データ104を取得し、取得した中間形式データ104を、装置処理情報108に従ってラスタライズすることで、当該フォーム/イメージのラスター画像データを生成し、生成したラスター画像データをそれまで生成してきたラスター画像に合成する。このような処理により、印刷データ100のラスタライズ結果である出力画像データ120が生成される。生成された出力画像データ120はプリントエンジンに供給され、用紙上に印刷される。
【0036】
このように、フォーム/イメージ上に他のオブジェクトが重なるか否かにより、中間形式データ104とラスターデータ110のどちらを用いるのかを切り換えるのは、次のような理由からである。
【0037】
すなわち、フォーム/イメージ上に他のオブジェクトが重なっている場合、それまで生成してきたラスター画像にラスターデータ110を合成する方が、中間形式データ104をラスタライズするよりも、処理に時間がかかるからである。
例えば、合成結果においてそのような重なり関係を正確に実現するためには、例えばラスターデータ110のうち、他のオブジェクトと重なる部分を切り取って合成する処理が必要になったり、インク総量調整等の色補正が行われたラスター画像に対し再度重なり関係に応じた補正の処理が必要になったりする。
より具体的には、重なりの関係として、オーバープリントの指定がされている場合には、そのオーバープリントの指定が有るか否かを判断し、オーバープリントの指定があり、かつ、下地をノックアウトしない場合には、重なり部分におけるインキ総量調整等の色補正をラスター画像上で再度行う必要が生じる。
このような補正や変更といった処理を、ラスター画像に対して行うことから、そのラスター画像の解像度や諧調特性に応じて処理の負荷が高くなり、中間形式のデータに対してこのような補正や変更の処理を行うものに比べて、大きく処理に時間がかかる。
そのような処理を行うよりも元の中間形式データ104をラスタライズした方が処理に要する時間は短い。
また、フォーム/イメージ上に他のオブジェクトが重なっている場合、ラスターデータ110を合成する仕方では、オーバープリントの有無などといった重なり方を正しく実現することが困難な場合もある。
中間形式データ104をラスタライズする方式では、それまでラスタライズしてきたフォーム/イメージ以外の中間形式データ102に続けてその中間形式データ104を単にラスタライズすれば、指定された重なり方が実現される。
【0038】
以上では、フォーム/イメージ格納部14は、フォーム/イメージの中間形式データ104から必ずラスターデータ110を生成してキャッシュしたが、この代わりに、例えばフォーム/イメージ格納部14の記憶容量の空きが少なくなった場合(例えば予め定められた閾値を下回った場合)、それ以降に入力された中間形式データ104についてはラスタライズを行わない(したがって、ラスターデータ110もキャッシュしない)ようにしてもよい。この場合、フォーム/イメージの中間形式データ104の属性情報106が「重ならない」旨の値であっても、フォーム/イメージ格納部14には当該フォーム/イメージのラスターデータ110が存在しないので、ラスタライズ処理部16は当該フォーム/イメージを中間形式データ104から生成する。
【0039】
次に、図6を参照して上記実施の形態の変形例を説明する。図6の変形例は、印刷データ解釈処理部10を複数(図6には「3つ」の例を示したが、これには限られない)備える点が、図1の例と異なる。中間形式データ処理部12及びラスタライズ処理部16は、図1の例と同様1つである。
【0040】
この変形例では、複数の印刷データ解釈処理部10により印刷データ100を並列処理することで、PDL形式の印刷データ100から中間形式データへの変換処理を高速化する。並列処理は、例えば各印刷データ解釈処理部10にそれぞれ異なるページの印刷データを順番に割り振ることで行えばよい。
【0041】
この場合、中間形式データ処理部12は、各印刷データ解釈処理部10から送られてくる中間形式データ102及び104をページ順に処理するために、例えばカウンタなどにより現在処理中のページ番号を管理している。カウンタの値は、最初は1である。各印刷データ解釈処理部10は、割り当てられたページのフォーム/イメージ以外の中間形式データ102及び各フォーム/イメージの中間形式データ104を生成すると、中間形式データ処理部12に対してそのページのページ番号を通知し、当該ページの中間形式データ102及び104を渡してよいかどうかを問い合わせる。中間形式データ処理部12は、その問合せに含まれるページ番号がカウンタの値に等しければ、問合せ元の印刷データ解釈処理部10に対して当該ページの中間形式データ102及び104を渡すよう要求する。この要求に応じてその印刷データ解釈処理部10から中間形式データ処理部12にその中間形式データ102及び104が渡される。このようにして中間形式データ102及び104を受け取り、装置処理情報107及び108を付加すると、中間形式データ処理部12はカウンタの値を1増加させる(すなわち次のページを受け入れ可能とする)。
【0042】
一方、印刷データ解釈処理部10からの問合せに含まれるページ番号がカウンタの示す値と異なる(すなわちカウンタ値より大きい)場合、中間形式データ処理部12はその印刷データ解釈処理部10に対して待機指示(WAIT)信号を送り、中間形式データ102及び104の転送を待機させる。待機指示を受けた印刷データ解釈処理部10は、例えば予め定められた時間間隔だけ待機し、再びページ番号を伴う問合せを中間形式データ処理部12に送る。このような待機及び問合せを繰り返すうちに、中間形式データ処理部12のカウンタの値が当該問合せに含まれるページ番号に達すると、当該印刷データ解釈処理部10から中間形式データ処理部12に対して中間形式データ102及び104が転送されることになる。
【0043】
また、中間形式データ処理部12は、印刷データ解釈処理部10から問合せが到来した時に、自身が処理を実行中であったり、後段のラスタライズ処理部16が処理を実行中であったりして中間形式データ102及び104が受け取れない場合に、印刷データ解釈処理部10に待機指示を返すようにしてもよい。
【0044】
フォーム/イメージ格納部14及びラスタライズ処理部16の処理は、図1の例の場合と同様でよい。
【0045】
図6の例では、複数の印刷データ解釈処理部10に対し中間形式データ処理部12を1つだけにしたので、複数の印刷データ解釈処理部10による中間形式データの完成の順序がページ順序とは異なるものとなったとしても、中間形式データ処理部12にてページ順序が整えられる。
【0046】
次に、図7を参照して更なる変形例を説明する。図7の変形例は、印刷データ解釈処理部10だけでなく、ラスタライズ処理部16も複数(図6には「3つ」の例を示したが、これには限られない)備える点が、図6の変形例と異なる。中間形式データ処理部12は、図1及び図6の例と同様1つである。
【0047】
この変形例では、複数の印刷データ解釈処理部10の並列処理により印刷データ100から中間形式データへの変換処理を高速化すると共に、複数のラスタライズ処理部16の並列処理により中間形式データからラスター画像への変換処理も高速化する。
【0048】
図7の例では、1つのラスタライズ処理部16に対して専用のフォーム/イメージ格納部14が設けられている。中間形式データ処理部12は、各ラスタライズ処理部16にそれぞれ異なるページの中間形式データ102を順番に割り振る。この場合、各ラスタライズ処理部16に対応するフォーム/イメージ格納部14には、それぞれ当該ラスタライズ処理部16に割り振ったページ内のフォーム/イメージの中間形式データ104を転送してもよい。また、この代わりに、対応するラスタライズ処理部16にどのページを割り振ったかによらず、フォーム/イメージ格納部14に対して、すべてのフォーム/イメージの中間形式データ104を転送するようにしてもよい。
【0049】
また、複数のラスタライズ処理部16が1つのフォーム/イメージ格納部14を共有するようにしてもよい。
【0050】
なお、各ラスタライズ処理部16による出力画像データ120の完成順がページ順にならない場合を考慮して、図6の例において例示した中間形式データ処理部12が有するページ順序の維持機構と同様の機構を複数のラスタライズ処理部16の後段に設けてもよい。
【0051】
以上に説明した以外の点については、図1の例及び図6の例の場合と同様でよい。
【0052】
以上、この実施の形態の印刷データ処理システムについていくつかの例を示した。この印刷データ処理システムは、プリントエンジンを有するプリンタ内に内蔵されてもよいし、プリントサーバやプリンタコントローラ等のように、プリンタの外部の装置として構成されてもよい。
【0053】
このように印刷データ処理システムを1つの筐体内の装置で実現する場合、印刷データ処理システムは、例えば、プリンタ内又はプリンタの外部の装置内に内蔵される汎用のコンピュータに、上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現してもよい。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)を制御するHDDコントローラ、各種I/O(入出力)インタフェース、ローカル・エリア・ネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。なお、それら機能モジュール群のうちの一部又は全部を、専用LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア回路として構成してもよい。
【0054】
また、上述した印刷データ処理システムを別々の複数のハードウエア装置の組合せとして実現してもよい。例えば、印刷データ解釈処理部10、中間形式データ処理部12、フォーム/イメージ格納部14及びラスタライズ処理部16を、それぞれ別々のコンピュータ装置上にインストールし、それら複数のコンピュータ装置が相互に通信することで上述の処理を実現するようにしてもよい。また、印刷データ解釈処理部10と中間形式データ処理部12とを1つのハードウエア装置上に実装し、フォーム/イメージ格納部14とラスタライズ処理部16を1つのハードウエア装置上に実装するなど、図1,図6又は図7に示した要素群をそれら要素同士のデータの受け渡し関係に従ってグループ化し、グループ毎に別々のハードウエア装置に実装するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 印刷データ解釈処理部、12 中間形式データ処理部、14 フォーム/イメージ格納部、16 ラスタライズ処理部、100 印刷データ、102 フォーム/イメージ以外の中間形式データ、104 フォーム/イメージの中間形式データ、105 中間形式データ部分、106 属性情報、107,108 装置処理情報、110 フォーム/イメージのラスターデータ、120 出力画像データ、142 フォーム/イメージリスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象画像をページ記述言語で記述する印刷データを解釈することにより、前記印刷対象画像のうちのあらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトを表す第1の中間形式データと、前記印刷対象画像のうちの前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクト以外の部分を表す第2の中間形式データと、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとの属性情報であって、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なるか否かを示す属性情報と、を生成する印刷データ解釈処理手段と、
前記第1の中間形式データを記憶すると共に、前記第1の中間形式データを描画処理することにより生成された前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データを記憶する記憶手段と、
前記第2の中間形式データと、前記記憶手段に記憶された前記第1の中間形式データ及び前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データと、を用いて、プリンタに供給するラスター画像データを生成するラスター画像データ生成手段であって、前記プリンタに供給するラスター画像データの生成の際に、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとに、当該画像オブジェクトに対応する前記属性情報が、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なることを示す場合には、当該画像オブジェクトの中間形式データを前記記憶手段から読み出して用い、重ならないことを示す場合には当該画像オブジェクトのラスター画像データを前記記憶手段から読み出して用いることを特徴とする、ラスター画像データ生成手段と、
を備える印刷データ処理システム。
【請求項2】
操作者から前記印刷データについての印刷条件の入力を受け付け、受け付けた印刷条件を表す装置処理情報を、前記印刷データ解釈処理手段が生成した前記第1の中間形式データ及び前記第2の中間形式データに対してそれぞれ付加し、前記装置処理情報が付加された前記第1の中間形式データを前記記憶手段に、前記装置処理情報が付加された前記第2の中間形式データを前記ラスター画像データ生成手段に、それぞれ渡す中間形式データ処理手段、
を更に備え、
前記記憶手段は、前記中間形式データ処理手段から取得した前記装置処理情報が付加された前記第1の中間形式データを記憶すると共に、当該第1の中間形式データを前記装置処理情報が表す印刷条件に応じて描画処理することで生成された前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データを記憶し、
前記ラスター画像データ生成手段は、前記中間形式データ処理手段から取得した前記装置処理情報が付加された前記第2の中間形式データを、当該装置処理情報が表す印刷条件に応じて描画処理すると共に、前記属性情報が前記ラスター画像データを用いることを示す前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトについては、前記記憶手段に記憶された、前記装置処理情報が表す印刷条件に応じて描画処理することで生成されたラスター画像データを用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ処理システム。
【請求項3】
コンピュータを、
印刷対象画像をページ記述言語で記述する印刷データを解釈することにより、前記印刷対象画像のうちのあらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトを表す第1の中間形式データと、前記印刷対象画像のうちの前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクト以外の部分を表す第2の中間形式データと、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとの属性情報であって、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なるか否かを示す属性情報と、を生成する印刷データ解釈処理手段、
前記第1の中間形式データを記憶すると共に、前記第1の中間形式データを描画処理することにより生成された前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データを記憶する記憶手段、
前記第2の中間形式データと、前記記憶手段に記憶された前記第1の中間形式データ及び前記あらかじめ定められた種類の各画像オブジェクトのラスター画像データと、を用いて、プリンタに供給するラスター画像データを生成するラスター画像データ生成手段であって、前記プリンタに供給するラスター画像データの生成の際に、前記あらかじめ定められた種類の画像オブジェクトごとに、当該画像オブジェクトに対応する前記属性情報が、当該画像オブジェクトが前記印刷対象画像内で他の画像オブジェクトに重なることを示す場合には、当該画像オブジェクトの中間形式データを前記記憶手段から読み出して用い、重ならないことを示す場合には当該画像オブジェクトのラスター画像データを前記記憶手段から読み出して用いることを特徴とする、ラスター画像データ生成手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−67144(P2013−67144A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209069(P2011−209069)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【特許番号】特許第4905604号(P4905604)
【特許公報発行日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】