印刷データ加工システム、および該システム用のプログラム
【課題】 クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制可能な印刷データ加工システムの提供。
【解決手段】 クライアント1は、ネットワーク経由でーバー2に印刷データを送信してプリンタ3で印刷を行う場合に、印刷データとしてRAWデータを出力する旨の設定がなされている。そのため、クライアント1は、RAWモードでプリンタ3をオープンする(S11〜S13)。また、クライアント1は、サーバー2で作動するプリントプロセッサとしてRAWデータ専用のプリントプロセッサを指定する(S15〜S18)。そして、印刷ジョブに関する処理を行うことにより(S19)、サーバー2へRAWデータを送信した後、プリンタ3をクローズする(S20)。これにより、クライアント1側からサーバ2側へ送信される印刷データのデータ量を低減できる。
【解決手段】 クライアント1は、ネットワーク経由でーバー2に印刷データを送信してプリンタ3で印刷を行う場合に、印刷データとしてRAWデータを出力する旨の設定がなされている。そのため、クライアント1は、RAWモードでプリンタ3をオープンする(S11〜S13)。また、クライアント1は、サーバー2で作動するプリントプロセッサとしてRAWデータ専用のプリントプロセッサを指定する(S15〜S18)。そして、印刷ジョブに関する処理を行うことにより(S19)、サーバー2へRAWデータを送信した後、プリンタ3をクローズする(S20)。これにより、クライアント1側からサーバ2側へ送信される印刷データのデータ量を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク経由でクライアント側からサーバー側へ印刷データを送信することにより、サーバー側に付設された画像形成装置に印刷を実行させる印刷システムにおいて、クライアント側に設けられる印刷データ加工システムと、その印刷データ加工システムを構成するために用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)をネットワークを介して相互に接続すると共にある特定のPCに画像形成装置(プリンタやプリンタ機能を有する複合機等)を接続し、その画像形成装置を、ネットワークに接続された全てのPCが利用できるように構成したネットワーク印刷システムが知られている。
【0003】
また、この種のネットワーク印刷システムに関する技術として、本願出願人は、下記特許文献1に記載の技術を提案している。この技術は、クライアント側およびサーバ側のOS(Operating System)としてWindows(登録商標)を採用したネットワーク印刷システムに関するものである。
【0004】
Windows(登録商標)には、GDI(Graphics Device Interface)と呼ばれる描画機能関連のモジュールが用意されており、アプリケーションソフトが印刷出力を行う際には、GDIを利用して印刷データを生成できるようになっている。アプリケーションからGDIを利用する場合、アプリケーションはGDIの描画機能を利用するための関数をコールすることにより、GDIに対して描画指令を与える。その際、印刷出力を行う画像形成装置の機種や仕様については、アプリケーション側で意識する必要がなく、アプリケーションは単にGDIを利用するだけで、様々な画像形成装置の機種や仕様に対応した印刷出力を実施できるのである。下記特許文献1に記載の技術においても、クライアント側では、アプリケーションがGDIに対して描画指令を与え、これにより、サーバー側へ送信する印刷データを生成している。
【0005】
ところで、下記特許文献1に記載の技術において、サーバー側へ送信する印刷データを生成するためにアプリケーションがGDIに対して描画指令を与えた際、GDIは、EMF(Enhanced Meta File)と呼ばれる形式で印刷データを生成していた。このEMF形式の印刷データは、画像形成装置の機種に依存しない形式の印刷データで、最終的に特定機種の画像形成装置で認識可能な形式(画像形成装置の機種に依存する形式)の印刷データ(以下、RAWデータともいう。)よりも汎用性が高いため、EMF形式のデータに対して二次加工を施して新たなEMF形式のデータを作成するようなことも容易である等、様々な利点がある。
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、クライアント側でEMF形式のデータを作成し、そのEMF形式のデータをクライアント側からサーバ側へと送信している。そして、サーバ側では、送信されてきたEMF形式のデータを一旦スプールファイルとして格納し、そのスプールファイルに対してさらに様々な加工を施したり、スプールファイル中に含まれるフォントデータの抽出を行ったりし、その後、画像形成装置へと送出する段階でEMF形式のデータを画像形成装置側で認識可能なRAWデータへと変換し、そのRAWデータを画像形成装置へと送出することにより、画像形成装置において紙状記録媒体に対する印刷を実行している。
【特許文献1】特開2003−131836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、上記EMF形式のデータをクライアント側からサーバ側へと送信していたため、ネットワーク上に流されるデータ量が非常に多くなる場合があり、このことがネットワークに過大な負荷をかける要因となることがあった。
【0008】
特に、EMF形式のデータは、画像形成装置の機種に依存しないデータとされていることから、実際に使用する画像形成装置では必要としない冗長なデータを含んでいる場合が多々ある。
【0009】
より具体的には、例えば、実際に使用する画像形成装置が単色画像形成装置であるにもかかわらず、カラー情報を含むデータとなっていたり、あるいは、実際に使用する画像形成装置が比較的低解像度の画像形成装置であるにもかかわらず、より高解像度な情報を含むデータとなっていたりする場合がある。これらの場合、実際に使用する画像形成装置では有効に利用できない情報がネットワーク上に流されてしまうため、ネットワークに余計な負荷をかけてしまうことになる。
【0010】
また、EMF形式のデータは、二次加工を容易にするために、冗長なデータを含んでいる場合もある。
より具体的には、例えば、2in1、4in1などと呼ばれるNin1形式のマルチページ印刷では、実際にはNページ分の印刷データが1ページに印刷されるにもかかわらず、EMF形式のデータ中においては、1ページ分の印刷データにはなっておらず、Nページ分の印刷データとNin1形式にするための制御データがそのまま格納されている。また、元原稿に対して「秘」「Confidential」といった文字を重ね合わせて印刷する重ね印刷では、実際には元原稿に文字を重ね合わせて1ページに印刷されるにもかかわらず、EMF形式のデータ中においては、1ページ分の印刷データにはなっておらず、元原稿と重ね合わせようの文字とがそれぞれ独立したレイヤーとして格納されている。このような格納形式は、さらに二次加工を施す場合(例えば、2in1を4in1に変更するとか、重ね合わせた文字の色だけを変更するといった場合)には便利であるが、そのような二次加工が不要な場合は、ネットワークに余計な負荷をかけてしまう要因となるだけである。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制可能な印刷データ加工システムと、その印刷データ加工システムを構成するために用いられるプログラムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を達成するためになされた本発明の特徴について詳述する。
本発明の印刷データ加工システムは、
ネットワーク経由でクライアント側からサーバー側へ印刷データを送信することにより、前記サーバー側に設けられたサーバー側印刷処理手段を作動させて前記サーバー側に付設された画像形成装置に印刷を実行させる印刷システムにおいて、前記クライアント側に設けられる印刷データ加工システムであって、
描画指令に従って、前記画像形成装置に依存する形式に変換可能な中間形式である第1形式、または該第1形式よりもデータ量を圧縮可能で前記画像形成装置に依存する形式である第2形式のいずれかの形式で、印刷データを作成可能なGDIと、
該GDIによって作成された印刷データをスプールファイルとして格納可能で、該スプールファイルとして格納された印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信可能なスプーラと、
加工前の画像および当該画像の加工方法に相当する情報を含む前記第1形式の一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えることにより、加工後の画像に相当する情報を含む前記第2形式の二次印刷データを、前記GDIに作成させる加工手段とを備えており、
上位モジュールから与えられる描画指令に従って、前記GDIが前記第1形式にて前記一次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、前記加工手段が、前記第1形式の前記一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えるとともに、当該描画指令に従って、前記GDIが前記第2形式にて前記二次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第2形式の前記二次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、該第2形式の前記二次印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信するように構成されている
ことを特徴とする。
【0013】
この印刷データ加工システムにおいて、上位モジュールとは、GDIを利用して第1形式の一次印刷データを作成するソフトウェアモジュールであり、例えば、第1形式の一次印刷データを新たに生成するモジュール、一次印刷データよりも前段階の印刷データに対して加工を施すことによって第1形式の一次印刷データを作成するモジュールなどが、ここでいう上位モジュールに該当する。
【0014】
一次印刷データは、画像形成装置に依存する形式に変換可能な中間形式である第1形式のデータで、加工前の画像および当該画像の加工方法に相当する情報を含むデータであり、画像形成装置にそのまま送出することはできないデータである。上述のWindows(登録商標)を採用したネットワーク印刷システムの場合であれば、EMF形式のデータが一次印刷データに相当する。
【0015】
二次印刷データは、第1形式よりもデータ量を圧縮可能で画像形成装置に依存する形式である第2形式のデータで、加工後の画像に相当する情報を含むデータであり、画像形成装置にそのまま送出することができるデータである。上述のWindows(登録商標)を採用したネットワーク印刷システムの場合であれば、RAWデータが二次印刷データに相当する。この二次印刷データは、一次印刷データよりもデータ量を圧縮可能な形式になっているが、ここでいう圧縮とは、データ量を少なくすることができるようなすべての手法を包含する概念であり、具体的には、可逆圧縮が施された形式、不可逆圧縮が施された形式の双方を包含し、さらに言えば、不可逆圧縮が施された形式としては、不要なデータの一部ないし全部が削除された形式等を含む概念である。
【0016】
本印刷データ加工システムにおいては、上位モジュールから与えられる描画指令に従ってGDIが第1形式にて一次印刷データを作成し、この一次印刷データをスプーラがスプールファイルとして格納した際に、加工手段が、第1形式の一次印刷データを解析して加工後の画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDIに対して与えて、GDIに二次印刷データを作成させる。その際、加工手段は、GDIに対して二次印刷データを第2形式で作成するように指令し、GDIは、加工手段から与えられた描画指令に従って二次印刷データを第2形式にて作成する。作成された第2形式の二次印刷データは、スプーラが、スプールファイルとして一旦格納し、その後、二次印刷データはネットワーク経由でサーバー側へと送信される。
【0017】
以上のように構成された印刷データ加工システムによれば、加工手段が加工後の画像に相当する情報を含む二次印刷データを作成する際に、第1形式よりもデータ量を圧縮可能な第2形式で二次印刷データを作成し、その第2形式の二次印刷データをスプーラがネットワーク経由でサーバー側へ送信しているので、従来技術のように第1形式の一次印刷データをそのままネットワーク経由でサーバー側へ送信する場合に比べ、ネットワーク上に送出されるデータ量は少なくなる。したがって、この印刷データ加工システムによれば、クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制することができる。
【0018】
ところで、加工手段においては、一次印刷データよりもデータ量を圧縮するための手法として、様々な手法を採用可能であると考えられる。
一例としては、例えば、前記加工手段が、ビットマップ形式の一次画像データを含む前記一次印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記一次画像データをページ記述言語で記述することにより、前記一次画像データをよりデータ量が圧縮された二次画像データに変換し、該二次画像データを含む前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0019】
ページ記述言語(Page Description Language;PDL)は、画像形成装置側で識別可能なデータであり、画像形成装置に依存する第2形式のデータに該当する。しかも、ビットマップ形式の一次画像データが一次印刷データに含まれている場合、その一次画像データをページ記述言語で表すことにより、一次印刷データよりもデータ量が圧縮された二次画像データとなる。
【0020】
したがって、このような二次画像データを含む形式の印刷データは、本発明でいう二次印刷データに該当するものであり、この印刷データ加工システムによれば、一次印刷データ中の一次画像データを、ページ記述言語で記述してからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減することができる。
【0021】
なお、このような構成は、ページ記述言語に対応した画像形成装置を利用している場合に採用すると効果がある。
また、上記以外には、例えば、前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれるカラー印刷用データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記カラー印刷用データをよりデータ量が圧縮された単色印刷用データに変換し、該単色印刷用データを含む形式の前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0022】
この場合、一次印刷データ中のカラー印刷用データを、単色印刷用データにしてからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減できる。
なお、このような構成は、単色印刷しかできない画像形成装置を利用している場合、あるいは、単色印刷しか実施しない場合に採用すると効果がある。
【0023】
また、上記以外には、前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数ページ分の単ページデータを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各ページを縮小して1ページの中に配置してなるマルチページデータに変換し、該マルチページデータを含む形式の前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0024】
この場合、一次印刷データ中の複数ページ分の単ページデータを、1ページ分のマルチページデータにしてからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減できる。
なお、このような構成は、2in1、4in1などと呼ばれるNin1形式のマルチページ印刷を利用する場合に効果がある。
【0025】
また、上記以外には、前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数レイヤー分の重ね合わせ用印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各レイヤーを重ね合わせてなる重ね合わせ済み印刷データに変換し、該重ね合わせ済み印刷データを含む形式の前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0026】
この場合、一次印刷データ中の複数レイヤー分の重ね合わせ用印刷データを、重ね合わせ済み印刷データにしてからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減できる。
なお、このような構成は、元原稿に対して例えば「秘」「Confidential」といった文字を重ね合わせて印刷する重ね印刷を利用する場合に効果がある。
【0027】
さらに、本発明の印刷データ加工システムは、前記サーバー側に設けられた複数のサーバー側印刷処理手段の中から選ばれる一つを、前記二次印刷データの印刷時に使用するサーバー側印刷処理手段として指定する指定手段を備えていてもよい。
【0028】
サーバーには、様々な印刷データに対応するため、複数のサーバー側印刷処理手段が設けられている場合があり、この場合、どのサーバー側印刷処理手段を利用するかについて、サーバー側で適宜選択することは不可能なことではない。しかし、サーバー側で適宜選択したサーバー側印刷処理手段が、本システムでクライアント側から送出する二次印刷データに適したものであるとの保証もない。これに対し、上記構成を採用すれば、サーバー側に設けられた複数のサーバー側印刷処理手段の中から選ばれる一つを、二次印刷データの印刷時に使用するサーバー側印刷処理手段として指定することができるので、二次印刷データの印刷に最適な印刷処理手段を意図的に指定して利用できるという効果がある。
【0029】
また、本発明の印刷データ加工システムは、前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納した際に、該一次印刷データをそのまま前記サーバー側へと送信するか、前記加工手段からの前記描画指令によって前記GDIが作成する前記二次印刷データを前記サーバー側へと送信するかを、利用者からの指定に基づいて切り替える切替手段を備えていてもよい。
【0030】
このように構成すれば、一次印刷データおよび二次印刷データのどちらをもネットワーク上に送出できるようになるので、何らかの事情で、一次印刷データをサーバー側へ送信したい場合には、切替手段を利用して、簡単に一次印刷データをサーバー側へ送信できる状態にすることができる。なお、一次印刷データをサーバー側へ送信した場合は、サーバー側において画像形成装置に依存する形式の印刷データに変換してから、変換後の印刷データを画像形成装置に与える必要がある。
【0031】
加えて、以上説明した印刷データ加工システムにおけるクライアント側の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムがあれば、コンピュータを使って上記印刷データ加工システムを構築することができ、コンピュータが上述した通りに作用することにより、各印刷データ加工システムについて述べた通りの効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、加工手段が加工後の画像に相当する情報を含む二次印刷データを作成する際に、第1形式よりもデータ量を圧縮可能な第2形式で二次印刷データを作成することができる。そして、その第2形式の二次印刷データをスプーラがネットワーク経由でサーバー側へ送信しているので、従来技術のように第1形式の一次印刷データをそのままネットワーク経由でサーバー側へ送信する場合に比べ、ネットワーク上に送出されるデータ量を少なくすることができる。したがって、クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1は、印刷システム全体の概略構成を示すブロック図である。この印刷システムは、クライアントコンピュータ(以下、クライアントという。)1と、サーバーコンピュータ(以下、サーバーという。)2と、プリンタ3とによって構成される。これらのうち、クライアント1に、本発明の実施形態として例示する印刷データ加工システムが設けられている。
【0034】
クライアント1とサーバー2は、いずれもパーソナルコンピュータであり、周知の通り、CPU、ROM、RAM等を中心に構成された制御部、キーボードやポインティングデバイスなどの入力部、ディスプレイなどの出力部、ハードディスクなどの補助記憶部等を備えている。また、クライアント側およびサーバ側のOS(Operating System)として、双方ともWindows(登録商標)が搭載され、キーボード入力や画面出力といった入出力機能やディスクやメモリの管理など、アプリケーションから共通して利用される基本機能は、OSによって提供されている。なお、Windows(登録商標)によって提供される各種機能そのものは公知なので、ここでの詳細な説明は省略するが、以下の説明においては、クライアント1とサーバー2が、Windows(登録商標)によって提供される各種機能を有するとの前提で説明を続ける。
【0035】
クライアント1とサーバー2は、ネットワークを介して接続されており、サーバー2には、画像形成装置であるプリンタ3が接続され、クライアント1からプリンタ3へ印刷出力できるように構成されている。
【0036】
次に、クライアント1およびサーバー2の内部構成について説明する。ここでは、印刷データの流れを理解しやすくするため、印刷データの伝送経路に従って、各部の機能を説明することにする。
【0037】
クライアント1において、アプリケーション11は、例えばワープロソフトや表計算ソフトなどの、クライアントOS上で動作するソフトウェアである。このアプリケーション11を使う利用者が、クライアント1において印刷を指示する操作を行うと、アプリケーション11は、印刷すべき画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDI(Graphics Device Interface)15に与える。
【0038】
また、プリンタドライバ12は、マルチページ印刷、重ね印刷等の特殊印刷機能を提供するモジュールであり、プリンタドライバUI12a(図4参照)が提供する機能(ユーザーインターフェース)により、利用者が印刷を指示する操作を行う際に特殊印刷をする旨の指示を併せて行うと、プリンタドライバ12は、特殊印刷に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDI15に与える。
【0039】
これらアプリケーション11およびプリンタドライバ12は、それぞれの処理の中で、GDI15に対して指令を与えるための関数(API;Application Program Interface)を呼び出すことにより、GDI15に対して描画指令を与えることができる。
【0040】
GDI15は、仮想化された描画領域であるデバイスコンテキスト(以下、DCという。)の管理と、このDCへの描画に伴う印刷データの作成とを行うモジュールである。印刷データとしては、後からプリンタ3に依存する形式に変換可能な中間形式であるEMF形式の印刷データ(本発明でいう第1形式の印刷データ)と、EMF形式よりもデータ量を圧縮可能でプリンタ3に依存する形式であるRAWデータ(本発明でいう第2形式の印刷データ)とを作成可能で、どちらの形式で印刷データを作成するかは、GDI15を利用することになる上位モジュール側から指定できるようになっている。
【0041】
EMFとは、アプリケーション11がGDI15に対して指示したAPI群のそれぞれを、対応するコマンドおよび付随するデータの形で記憶した1ページ単位のファイルのことである。具体的には、例えば、直線とビットマップにより描画されるページにおいては、直線を示すコマンドとその始点/終点などの付随するデータ、ならびにビットマップを示すコマンドとそのビットマップ自身および描画位置の座標などの付随データが図3のように連なって形成される。EMF形式の印字データとは、このEMFを図2に示すようにさらにページ分連ねた形式をとる。
【0042】
なお、GDI15の機能のうち、DC管理機能、EMF形式のデータ作成機能は、OSによって提供され、DCへの処理をプリンタ3に依存するコマンドに変換する機能(RAWデータ作成機能)は、デバイスメーカーによりプリンタドライバGDI12b(図4参照)として提供される。
【0043】
このGDI15によってDCが作成されるとともに、アプリケーション11およびプリンタドライバ12からの描画指令に従ってDCに対する描画を行い、このDCに対する描画に伴って印刷データが作成される。本システムの場合、アプリケーション11およびプリンタドライバ12からの描画指令を受けると、GDI15がEMF形式の印刷データを作成するように構成されている。そして、GDI15によって作成された形成されるEMF形式のデータは、スプーラ16へと送られる。
【0044】
つまり、アプリケーション11が加工前の画像に相当する情報を生成するとともに、プリンタドライバ12が加工前の画像の加工方法に相当する情報を生成し、これらの情報をGDI15に与えることでEMF形式の一次印刷データを作成しているのであり、これらアプリケーション11およびプリンタドライバ12は、一次印刷データ作成手段14として機能しているのである。
【0045】
スプーラ16は、GDI15によって1ページ単位で形成される複数ページ分のデータを1つの印刷ジョブとして結合した印刷データを、ハードディスク17にスプールファイル18として格納する。先に説明したアプリケーション11およびプリンタドライバ12からの描画指令によって作成された一次印刷データの場合、EMF形式で格納されたスプールファイル18中は、データファイルとコマンドファイルからなる。
【0046】
データファイルは、先に説明したようにEMFがページ分連なって形成されたものである。また、コマンドファイルは、印字ジョブの名称、使用するプリンタドライバの名称などの情報とともに、プリンタの基本的設定などが記録されている。このファイルは、さらに本発明の印字データ加工システムが実行する加工内容である「マルチページ印刷」「重ね印刷」「ページ入れ替え印刷」などの指示、ならびにその設定を行う情報も記録されている。これら2つのファイルにて1つの印刷ジョブが構成されている。なお、コマンドファイルとデータファイルのファイル名は、印刷ジョブのジョブIDを示す同一の文字列に、コマンドファイルであるかデータファイルであるかを示す拡張子を付加したものとなっている。なお、スプールファイル18は、必ずしもクライアント1の内部に設けられている必要はなく、クライアント1の外部にある記憶手段に設けられていてもよく、要するにクライアント1からアクセス可能な状態(例えばネットワークドライブ上)に存在していればよい。
【0047】
さて、マルチページ印刷、重ね印刷等の特殊印刷を行う場合には、加工手段20が起動され、この加工手段20によりスプールファイル18に格納されている印刷ジョブ毎のEMFが特殊印刷のために加工され、加工後の画像に対応する描画指令を加工手段20からGDI15に対して与えることにより、二次印刷データが作成される。
【0048】
この加工手段20は、図1に示すように、ページ分割手段22と、DC投影手段23と、DC加工手段24とを備えている。さらに、図1には示されていないが、加工手段20には、EMFのコマンドファイルに特殊印刷に関する加工情報が設定されているかどうかを解析して、加工後の画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDI15に対して与える加工指令手段が設けられている。
【0049】
ページ分割手段22は、スプールファイル18のファイル名を確認して印刷ジョブを認識し、認識した印刷ジョブ毎の各ページのEMFをスプールファイル18からエンドコマンドに基づいて分割し、その各ページのEMFをRAM等に形成されるテンポラリーファイル(図示せず)にコピーする。このテンポラリーファイルは不要となった時点で消去する。
【0050】
DC投影手段23は、対象となるDCを特定する情報と、印刷データが設定された結果のファイルを入れるためのメモリ領域の指定と、描画領域を示す情報とを付加して、特定のDCにページ分割されたEMFの印刷データを設定するようにとの指示をGDI15に対して出す機能を有しており、このDC投影手段23からの指示に基づきGDI15が処理を行う。
【0051】
本システムの場合、詳しくは後述するが、加工手段20は、システムの記憶領域に記憶されているフラグを参照して、加工後の印刷データをEMF形式のデータとするかRAWデータとするかを決定するが、標準では、RAWデータにて印刷データを作成するように構成されている。また、EMF形式のデータとするかRAWデータとするかを決定した際には、併せてサーバー2側に設けられたプリントプロセッサ(サーバー側印刷処理手段)の指定も行うことができ、印刷データをRAWデータとする場合には、サーバー2側に設けられたRAW用のプリントプロセッサ36が指定される。
【0052】
印刷データをRAWデータとする場合は、例えば、図2に示すように、1ページ目のEMFが、コマンド1とそのデータ、コマンド2とそのデータ、コマンド3とそのデータおよびエンドコマンドから成るとしたときに、DC投影手段23を通し、さらに特殊印刷用の加工を行うことにより、特殊印刷の加工済みのPDLコマンド(RAWデータ)が新たに形成される。
【0053】
このとき、DC加工手段24は、DC投影手段23によってEMFの加工処理を行う指示をGDI15に出す機能を有しており、このDC加工手段24からの指示に基づきGDI15が処理を行う。
【0054】
このときの加工処理について具体的に説明すると、加工指令手段によってコピーされたEMFのコマンドファイルが解析されて、どのように加工すべきかという加工情報がまず取得される。続いて、取得された加工情報に基づき、GDI15によりプリンタドライバ12に含まれるプリンタドライバGDI12b(図4参照)を介して各コマンドに対応するPDLのコマンド(RAWデータ)に変換され、DC投影手段23によって指定されたメモリ領域に書き込まれる。この時、ビットマップの描画コマンドはラスターコマンドに置き換えられる。
【0055】
また、EMFのコマンドに直接対応するPDLのコマンドがない場合は、GDI15によりラスタライズされPDLのコマンドの1つであるラスターコマンドに置き換えられる。
【0056】
一方、本システムにおける標準の印刷モードではないが、上述の通り、印刷データをEMF形式のデータとすることも可能であり、この場合は、例えば、図2に示すように、1ページ目のEMFが、コマンド1とそのデータ、コマンド2とそのデータ、コマンド3とそのデータおよびエンドコマンドから成るとしたときに、DC投影手段23を通すことによって、図3に示すように、コマンド1ないし3とその各々のデータに加えて、特殊印刷のために必要な数だけのコマンドおよびデータがコマンド3のデータとエンドコマンドとの間に付加されたEMFが新たに形成される。
【0057】
このとき、DC加工手段24は、DC投影手段23によってEMFの加工処理を行う指示をGDI15に出す機能を有しており、このDC加工手段24からの指示に基づきGDI15が処理を行う。
【0058】
このときの加工処理について具体的に説明すると、加工指令手段によってコピーされたコマンドファイルが解析されて、どのように加工すべきかという加工情報がまず取得される。続いて、取得された加工情報に基づき、DC投影手段23によって指定されたメモリ領域に、GDI15により特殊印刷のための必要な制御コマンドおよびそのデータが書き込まれる。
【0059】
以上のような手順で、加工手段20が二次印刷データ(標準ではRAWデータ)を作成すると、その二次印刷データは、新しい印刷ジョブとして16に戻される。また、スプールファイル18として格納されていた元の印刷ジョブは抹消される。そして、加工手段20によって加工された二次印刷データが、スプーラ16によってネットワークを介してサーバー2へと送られることになる。
【0060】
以上説明したクライアント1側における印刷データの流れをまとめたのが図4である。アプリケーション11は加工前の画像に対応する描画指令を生成し、また、プリンタドライバUI12aは加工前の画像に対する特殊加工に対応する描画指令を生成し、それらの描画指令がGDI15に対して与えられる。すると、GDI15は、与えられた描画指令に従ってEMF形式の一次印刷データを作成し、その一次印刷データがスプーラ16によってスプールファイル化される。加工手段20は、スプールファイルからEMF形式の一次印刷データを読み込んで、加工前の画像および加工前の画像に対する加工方法を解析し、加工後の画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令がGDI15に対して与えられる。すると、GDI15は与えられた描画指令に従って、(システムの設定が標準の場合)プリンタドライバGDI12bの機能を利用してRAWデータの二次印刷データを作成し、その二次印刷データがスプーラ16によってスプールファイル化される。そして、スプーラ16がネットワークへ二次印刷データを送出し、その二次印刷データがサーバー2側へ送られることになるのである。
【0061】
ところで、EMFは、Windows(登録商標)において扱われる標準的な描画データであり、画像形成装置の機種に依存することなく扱うことができるが、汎用性が高い分だけ冗長なデータも多く含まれている。これに対し、RAWデータは、画像形成装置の機種に依存して特定の機種でのみ識別できるようなプリンタ制御コードを含むデータである。プリンタ制御コードは、メーカー毎に仕様が異なっており、代表的なものとしては、例えば米国Hewlett−Packard社のPCLや米国Adobe社のPostScript(登録商標)など、種々のページ記述言語(PDL;Page Description Language )によるコマンドセットが知られている。このようなRAWデータは、メーカー毎の仕様に合わせて識別する必要があることから汎用性は低くなるが、特定の機種の機能に適合する制御コードを中心に構成されるため、EMFに比べると冗長なデータが少なく、データによってはデータ量が小さくなる。例えば、EMF中に含まれる画像データを、プリンタ3に依存したページ記述言語で記述してからサーバー2側へ送信すれば、プリンタ3において不要なデータを送信しなくても済む。あるいは、プリンタ3が単色印刷を行うものであれば、EMF中に含まれるカラー印刷用データは不要なので、単色印刷用の情報のみからなるRAWデータにすれば、データ量を低減できる。
【0062】
つまり、二次印刷データとしてサーバー2側へ送出されることになる印刷データをRAWデータにすると、ネットワーク上に流されることになるデータ量を低減して、ネットワークにかかる負荷を抑制できるのである。
【0063】
なお、印刷データをEMFとするかRAWデータとするかの指定方法は、詳しくは後述するが、プリンタ3をオープンする際にEMFかRAWかを指定すると、EMF指定であればGDI15がプリンタドライバGDI12bを経由せずEMF形式のデータを作成し、RAW指定であればGDI15がプリンタドライバGDI12bを経由してRAWデータを作成することとなり、その後は、オープンしたプリンタ3に対して元となる印刷データを与えるだけで、そのデータがEMFまたはRAWデータに変換されることになる。
【0064】
さて、サーバー2では、クライアント1から送信されてくる印刷データが、スプーラ31によって処理される。
スプーラ31のスプーラシステム32は、受信した印刷データをハードディスク33にスプールファイル34として一旦記憶させる。そして、印刷データがEMFの場合は、EMF用のプリントプロセッサ35により印刷データが処理され、印刷データがRAWの場合は、RAW用のプリントプロセッサ36により印刷データが処理される。なお、図示の都合上、図1では、EMF用のプリントプロセッサ35とRAW用のプリントプロセッサ36を並べて描いてあるが、EMF用のプリントプロセッサ35はOSにより提供され、RAW用のプリントプロセッサ36はデバイスメーカーによりドライバとして提供されるものである。また、EMF用のプリントプロセッサ35は、RAWデータの処理も可能な汎用のプリントプロセッサであってEMF専用ではないが、RAW用のプリントプロセッサ36はRAWデータ専用となっている。
【0065】
ちなみに、サーバー2においても、マルチページ印刷、重ね印刷等の特殊印刷に関して、さらに加工が必要なEMFが渡された場合には、加工手段(図示略)が起動され、この加工手段による加工処理が行われる。サーバー2側の加工手段は、先に説明したクライアント1側の加工手段20とほぼ同等の機能を有するものであるが、サーバー2側での加工処理に関しては本発明の要部ではないので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0066】
こうしてスプーラ31において、EMF用のプリントプロセッサ35またはRAW用のプリントプロセッサ36によるデータ処理を受けた印刷データは、スプーラ31からプリンタドライバ38へと送られる。
【0067】
プリンタドライバ38は、印刷データがEMFの場合、EMFをプリンタ3に対応したプリンタ制御コードに変換してから、プリンタ3へ送る。プリンタ制御コードは、先に説明した通り、種々のページ記述言語(PDL)によるコマンドセットがあるが、プリンタドライバ38が、EMFをプリンタ3にて採用されているPDLに対応できるような印刷データに変換して、プリンタ3へと送出しているのである。一方、印刷データがRAWデータの場合、プリンタドライバ38は、RAWデータを未処理のままでプリンタ3へと送る。
【0068】
次に、クライアント1において実行されるスプールファイル加工の手順について説明する。
図5に示すように、印刷データ作成手段14により形成されたある印刷ジョブのEMFのコマンドファイルに加工情報に関する設定があるかどうかについて、加工手段20の加工指令手段によりEMFのコマンドファイルが解析されてその判定がなされる(S1)。この判定結果がNOであれば(S1:NO)、EMFの加工の必要性がないため動作はそのまま終了する。一方、判定結果がYESであれば(S1:YES)、その印刷ジョブのEMFの全ページがスプーラ16によりスプール完了されるまで待機状態となる(S2)。なお、この間スプール中であることがチェックされる。
【0069】
続いて、ページ分割手段22により、スプールファイル18に格納されているEMFの印刷ジョブの認識が行われ、所定の印刷ジョブのEMFがスプールファイル18からテンポラリーファイルにコピーされる(S3)。その後、スプールファイル18に格納されているそのコピーされたEMFが消去され、これにより、元の印刷ジョブが抹消される(S4)。
【0070】
そして、ページ分割手段22により、コピーされたEMFがページ単位に分割される(S5)。そして、上記S1の処理において解析された、どの特殊印刷を行うかという結果に基づき、ページ分割されたEMFの加工等の処理が行われ(S6)、その後、動作は終了する。
【0071】
上記S6の加工処理は、詳しくは図6に示すような処理となる。
この加工処理を開始すると、まずRAW出力の指定がなされているか否かが調べられる(S11)。RAW出力の指定の有無は、クライアント1側のシステムの記憶領域(Windows(登録商標)の場合であればレジストリと呼ばれる領域)や設定ファイルなどに記憶されている。本実施形態の場合、通常はRAW出力の指定が有る状態とされており、利用者が意図的に設定変更を行った場合に限り、RAW出力の指定が無い状態になる。
【0072】
RAW出力の指定が無い場合(S11:NO)、プリンタ3をオープンする際のオープンモードとしてデフォルトモードが選択され(S12)、RAW出力の指定が有る場合(S11:YES)、プリンタ3をオープンする際のオープンモードとしてRAWモードが選択される(S13)。なお、デフォルトモードは、OSによって規定されているモードであり、標準ではEMFモードがデフォルトモードとなっている。
【0073】
なお、本発明の請求項1乃至請求項6に記載の構成は、RAW出力が指定されたときに適用されることになる構成である。また、S11の処理は請求項7に記載の切替手段を構成する。
【0074】
そして、上記S12またはS13の処理において選択したオープンモードで、プリンタ3をオープンする(S14)。オープンしたプリンタ3にて印刷出力を行うために必要なプリンタドライバ12は、コマンドファイルに記憶されているため、プリンタ3のオープン時に特定することができる。この時点で、プリンタ3へ出力する印刷データをEMFとするかRAWとするかが決まることになる。
【0075】
続いて、サーバー2側で作動させるプリントプロセッサの指定があるか否かが調べられる(S15)。プリントプロセッサの指定は、RAW出力の指定の有無と同様、クライアント1側のシステムの記憶領域や設定ファイルなどに記憶されている。本実施形態の場合、通常はプリントプロセッサの指定が有る状態とされており、上述したRAW用のプリントプロセッサ36が指定されている。なお、利用者が意図的に設定変更を行った場合に限り、プリントプロセッサの指定が無い状態になる。
【0076】
プリントプロセッサの指定が無い場合(S15:NO)、プリントプロセッサ名としてはデフォルトのものが選択され(S16)、プリントプロセッサの指定が有る場合(S15:YES)、プリントプロセッサ名としては上記RAW用のプリントプロセッサ36のものが選択される(S17)。
【0077】
そして、上記S16またはS17の処理において選択したプリントプロセッサ名を、サーバー2側で作動させるプリントプロセッサとして設定する(S18)。この時点で、サーバー2側で作動させるプリントプロセッサをEMF用のプリントプロセッサ35とするかRAW用のプリントプロセッサ36とするかが決まることになる。
【0078】
続いて、印刷に関するジョブ処理(後から詳述)を行い(S19)、プリンタ3をクローズして(S20)、本処理を終了する。
次に、上記S19の処理に該当する各種の特殊印刷毎の処理を個別に説明する。
【0079】
まず、図7に示すように、ページ分割された複数のページを同一ページ内に形成するいわゆる4in1、2in1等のNin1と称されるマルチページ印刷のための処理について説明する。
【0080】
図8に示すように、上記した図5のS5の処理によって、ページ分割手段22によりEMFがページ単位に分割されると、Nin1を行うためにDCの座標およびスケールの変換処理が行われ(S21)、このように変換された座標系に各ページのEMFが投影、即ち各ページのEMFの印刷データがDCに設定され(S22)、その後動作は終了する。
【0081】
ところで、上記したS21およびS22の処理について、4in1および2in1を例として具体的に説明する。
まず4in1の場合には、図9に示すように、処理しようとしているEMFのページが(4n+1)ページか否かの判定がなされ(S31)、この判定結果がYESであれば第mページを4分割したうちの左上半部に(4n+1)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(1)が行われる(S32)。このとき、座標変更は、X’=aX+bY+c、Y’=dX+eY+fの式に基づいてなされ、係数a、b、d、eで回転およびスケール、c、fで平行移動が定義される。なお、この座標変更は、GDI15に対して指令を与えるための関数(API)を呼び出すことによって実行される。
【0082】
続いて図9に示すように、S31の判定結果がNOであれば、処理しようとしているEMFのページが(4n+2)ページか否かの判定がなされ(S33)、この判定結果がYESであれば第mページを4分割したうちの右上半部に(4n+2)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(2)が行われ(S34)、S33の判定結果がNOであれば、処理しようとしているEMFのページが(4n+3)ページか否かの判定がなされ(S35)、この判定結果がYESであれば第mページを4分割したうちの左下半部に(4n+3)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(3)が行われる(S36)。
【0083】
さらに図9に示すように、第mページを4分割したうちの右下半部に(4n+4)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(4)が行われ(S37)、その後S32、S34、S36の各処理を経た後と共にS38に移行し、S38においてページ分割されたEMFの全ページについてこのような座標変更が終了したか否かの判定がなされ(S38)、この判定結果がNOであればS31に戻り、判定結果がYESであればページ分割されたEMFの全ページについての処理が完了したとして動作は終了する。
【0084】
続いて2in1の場合には、図10に示すように、印刷された情報を読むときに要旨が縦長になるように印刷されるポートレートか、横長になるように印刷されるランドスケープかの判定がなされ(S41)、ポートレートである場合には、処理しようとしているEMFのページが奇数ページか否かの判定がなされ(S42)、この判定結果がYESであれば縦長ページを上下に2分割したうちの上半部に奇数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(5)が行われ(S43)、S42の判定結果がNOであれば縦長ページを上下に2分割したうちの下半部に偶数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(6)が行われる(S44)。
【0085】
一方、上記したS41の判定の結果がランドスケープである場合には、処理しようとしているEMFのページが奇数ページか否かの判定がなされ(S45)、この判定結果がYESであれば横長ページを左右に2分割したうちの左半部に奇数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(7)が行われ(S46)、S45の判定結果がNOであれば横長ページを左右に2分割したうちの右半部に偶数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(8)が行われる(S47)。
【0086】
その後、図10に示すようにS43、S44、S46の各処理を経た後と共にS48に移行し、S48においてページ分割されたEMFの全ページについてこのような座標変更が終了したか否かの判定がなされ(S48)、この判定結果がNOであればS41に戻り、判定結果がYESであればページ分割されたEMFの全ページについての処理が完了したとして動作は終了する。
【0087】
次に、ある画像に重ねて別の画像を印刷する重ね印刷について、図11に示すような“Confidential”の文字や、“秘”の文字のように下の画像が透過するように2つの画像をすかし印刷するための処理について説明する。
【0088】
図12に示すように、上記した図5のS5の処理によって、ページ分割手段22によりEMFがページ単位に分割されると、所定のDCに対してページ分割されたEMFの印刷データが設定され(S51)、印刷用紙のサイズやすかし文字の文字数、すかし文字の用紙に対する印刷角度等から、すかし文字の大きさおよび印刷位置の計算が行われ(S52)、上記したS51でEMFの印刷データが設定されたDCに対し、S52で計算されたすかし文字の印刷データが重ねて設定され、描画指令がAPIにてGDI15に対してなされ(S53)、その後動作は終了する。
【0089】
ここで、図12のS51〜S53の処理を、逆にS53、S52、S51の順で行うとすかし文字が元の画像の下に印刷されることになる。
さらに、図13に示すように、ページ分割された複数ページの中間ファイルの順番を入れ換え、フェイスアップ印刷のように先頭と最終を逆に入れ換えて印刷したり、マニュアルデュープレックス印刷のように用紙の両面に連続したページ順で印刷するといったページ入れ換え印刷のための処理について説明する。
【0090】
図14に示すように、上記した図5のS5の処理によって、ページ分割手段22によりEMFがページ単位に分割されると、フェイスアップ印刷ならn、n−1、n−2、…、2、1の順、デュープレックス印刷なら奇数ページおよび偶数ページ逆順となるようにページ計算が行われ(S71)、ページ分割されたEMFがS71で計算されたページ順で取り出される(S72)。
【0091】
ここで、マニュアルデュープレックス印刷の場合には、まず印刷用紙にこの印刷ジョブの奇数ページの印刷を行った後、オペレータがその印刷された用紙を裏返して再度残りのページ(偶数ページ)を印刷するという形態になる。このため、1つの印刷ジョブを奇数ページの印刷ジョブと偶数ページの印刷ジョブに分けて、2つのジョブの間にオペレータの処理が入れられるようにするのがよい。そのため、取り出された奇数ページの裏面に偶数ページを印刷するためにジョブの分割が行われる。
【0092】
そして、取り出されたEMFがDCに投影、即ち取り出された各ページのEMFの印刷データが所定のDCに設定されてページ順の入れ換えが行われ(S73)、その後動作は終了する。
【0093】
なお、以上説明した上記S19の処理に相当する各種特殊印刷毎の処理によって作成される印刷データは、上記S14の処理で指定したオープンモードに従って、データ形式がEMFまたはRAWとなる。
【0094】
以上説明したように、上記クライアント1が備える印刷データ加工システムによれば、クライアント1は、加工手段20によって作成されたRAWデータ(二次印刷データ)を、ネットワーク経由でサーバー2側へ送信する。RAWデータをネットワーク経由でサーバー2側へ送信すると、従来技術のようにEMF形式のデータ(一次印刷データ)をそのままネットワーク経由でサーバー2側へ送信する場合に比べ、ネットワーク上に送出されるデータ量は少なくなる。したがって、この印刷データ加工システムによれば、クライアント1側からサーバ2側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制することができる。
【0095】
また、この印刷データ加工システムは、サーバー2側に設けられた複数のプリントプロセッサ(サーバー側印刷処理手段)の中から選ばれる一つを、RAWデータの印刷時に使用するプリントプロセッサとして指定する指定手段(上記S15〜S18)を備えているので、RAWデータの印刷に最適なプリントプロセッサ36を意図的に指定して利用できる。
【0096】
また、この印刷データ加工システムには、EMFをネットワーク経由でサーバー2側へ送信する手段も備えており、利用者からの指定に基づいて、EMFまたはRAWデータのいずれを送信するかを切り替える切替手段(上記S11)を備えているので、EMFおよびRAWのどちらをもネットワーク上に送出でき、何らかの事情でEMFをサーバー2側へ送信したい場合には、簡単にEMFをサーバー2側へ送信できる状態にすることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、中間形式の一次印刷データの例としてEMF形式のデータを例示したが、一次印刷データはEMF以外の形式であってもよい。また、一次印刷データよりもデータ量を圧縮可能な画像形成装置に依存する形式の二次印刷データの例としてRAWデータを例示したが、これも、一次印刷データよりもデータ量を圧縮可能で画像形成装置に依存する形式になっていれば、特定のデータ形式に限定されず、例えば、上述のPDL以外にも、画像形成装置が特定の符号化方式で圧縮されたデータを復号する機能を備えていれば、その特定の符号化方式によって一次印刷データを二次印刷データにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態として説明した印刷データ加工システムのブロック図である。
【図2】加工前のEMFを含むスプールファイル示す図である。
【図3】EMFを示す図である。
【図4】クライアント側における印刷データの流れを示すブロック図である。
【図5】スプールファイル加工処理全体を示すフローチャートである。
【図6】加工処理を示すを示すフローチャートである。
【図7】マルチページ印刷時のレイアウトを示す説明図である。
【図8】マルチページ印刷処理を示すフローチャートである。
【図9】4in1処理を示すフローチャートである。
【図10】2in1処理を示すフローチャートである。
【図11】重ね印刷時のレイアウトを示す説明図である。
【図12】重ね印刷処理を示すフローチャートである。
【図13】ページ入れ換え印刷時のレイアウトを示すフローチャートである。
【図14】ページ入れ換え印刷処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1・・・クライアント、2・・・サーバー、3・・・プリンタ、11・・・アプリケーション、12,38・・・プリンタドライバ、14・・・印刷データ作成手段、16,31・・・スプーラ、17,33・・・ハードディスク、18,34・・・スプールファイル、20・・・加工手段、22・・・ページ分割手段、23・・・DC投影手段、24・・・DC加工手段、32・・・スプーラシステム、35,36・・・プリントプロセッサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク経由でクライアント側からサーバー側へ印刷データを送信することにより、サーバー側に付設された画像形成装置に印刷を実行させる印刷システムにおいて、クライアント側に設けられる印刷データ加工システムと、その印刷データ加工システムを構成するために用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)をネットワークを介して相互に接続すると共にある特定のPCに画像形成装置(プリンタやプリンタ機能を有する複合機等)を接続し、その画像形成装置を、ネットワークに接続された全てのPCが利用できるように構成したネットワーク印刷システムが知られている。
【0003】
また、この種のネットワーク印刷システムに関する技術として、本願出願人は、下記特許文献1に記載の技術を提案している。この技術は、クライアント側およびサーバ側のOS(Operating System)としてWindows(登録商標)を採用したネットワーク印刷システムに関するものである。
【0004】
Windows(登録商標)には、GDI(Graphics Device Interface)と呼ばれる描画機能関連のモジュールが用意されており、アプリケーションソフトが印刷出力を行う際には、GDIを利用して印刷データを生成できるようになっている。アプリケーションからGDIを利用する場合、アプリケーションはGDIの描画機能を利用するための関数をコールすることにより、GDIに対して描画指令を与える。その際、印刷出力を行う画像形成装置の機種や仕様については、アプリケーション側で意識する必要がなく、アプリケーションは単にGDIを利用するだけで、様々な画像形成装置の機種や仕様に対応した印刷出力を実施できるのである。下記特許文献1に記載の技術においても、クライアント側では、アプリケーションがGDIに対して描画指令を与え、これにより、サーバー側へ送信する印刷データを生成している。
【0005】
ところで、下記特許文献1に記載の技術において、サーバー側へ送信する印刷データを生成するためにアプリケーションがGDIに対して描画指令を与えた際、GDIは、EMF(Enhanced Meta File)と呼ばれる形式で印刷データを生成していた。このEMF形式の印刷データは、画像形成装置の機種に依存しない形式の印刷データで、最終的に特定機種の画像形成装置で認識可能な形式(画像形成装置の機種に依存する形式)の印刷データ(以下、RAWデータともいう。)よりも汎用性が高いため、EMF形式のデータに対して二次加工を施して新たなEMF形式のデータを作成するようなことも容易である等、様々な利点がある。
【0006】
特許文献1に記載の技術においては、クライアント側でEMF形式のデータを作成し、そのEMF形式のデータをクライアント側からサーバ側へと送信している。そして、サーバ側では、送信されてきたEMF形式のデータを一旦スプールファイルとして格納し、そのスプールファイルに対してさらに様々な加工を施したり、スプールファイル中に含まれるフォントデータの抽出を行ったりし、その後、画像形成装置へと送出する段階でEMF形式のデータを画像形成装置側で認識可能なRAWデータへと変換し、そのRAWデータを画像形成装置へと送出することにより、画像形成装置において紙状記録媒体に対する印刷を実行している。
【特許文献1】特開2003−131836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、上記EMF形式のデータをクライアント側からサーバ側へと送信していたため、ネットワーク上に流されるデータ量が非常に多くなる場合があり、このことがネットワークに過大な負荷をかける要因となることがあった。
【0008】
特に、EMF形式のデータは、画像形成装置の機種に依存しないデータとされていることから、実際に使用する画像形成装置では必要としない冗長なデータを含んでいる場合が多々ある。
【0009】
より具体的には、例えば、実際に使用する画像形成装置が単色画像形成装置であるにもかかわらず、カラー情報を含むデータとなっていたり、あるいは、実際に使用する画像形成装置が比較的低解像度の画像形成装置であるにもかかわらず、より高解像度な情報を含むデータとなっていたりする場合がある。これらの場合、実際に使用する画像形成装置では有効に利用できない情報がネットワーク上に流されてしまうため、ネットワークに余計な負荷をかけてしまうことになる。
【0010】
また、EMF形式のデータは、二次加工を容易にするために、冗長なデータを含んでいる場合もある。
より具体的には、例えば、2in1、4in1などと呼ばれるNin1形式のマルチページ印刷では、実際にはNページ分の印刷データが1ページに印刷されるにもかかわらず、EMF形式のデータ中においては、1ページ分の印刷データにはなっておらず、Nページ分の印刷データとNin1形式にするための制御データがそのまま格納されている。また、元原稿に対して「秘」「Confidential」といった文字を重ね合わせて印刷する重ね印刷では、実際には元原稿に文字を重ね合わせて1ページに印刷されるにもかかわらず、EMF形式のデータ中においては、1ページ分の印刷データにはなっておらず、元原稿と重ね合わせようの文字とがそれぞれ独立したレイヤーとして格納されている。このような格納形式は、さらに二次加工を施す場合(例えば、2in1を4in1に変更するとか、重ね合わせた文字の色だけを変更するといった場合)には便利であるが、そのような二次加工が不要な場合は、ネットワークに余計な負荷をかけてしまう要因となるだけである。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制可能な印刷データ加工システムと、その印刷データ加工システムを構成するために用いられるプログラムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記目的を達成するためになされた本発明の特徴について詳述する。
本発明の印刷データ加工システムは、
ネットワーク経由でクライアント側からサーバー側へ印刷データを送信することにより、前記サーバー側に設けられたサーバー側印刷処理手段を作動させて前記サーバー側に付設された画像形成装置に印刷を実行させる印刷システムにおいて、前記クライアント側に設けられる印刷データ加工システムであって、
描画指令に従って、前記画像形成装置に依存する形式に変換可能な中間形式である第1形式、または該第1形式よりもデータ量を圧縮可能で前記画像形成装置に依存する形式である第2形式のいずれかの形式で、印刷データを作成可能なGDIと、
該GDIによって作成された印刷データをスプールファイルとして格納可能で、該スプールファイルとして格納された印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信可能なスプーラと、
加工前の画像および当該画像の加工方法に相当する情報を含む前記第1形式の一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えることにより、加工後の画像に相当する情報を含む前記第2形式の二次印刷データを、前記GDIに作成させる加工手段とを備えており、
上位モジュールから与えられる描画指令に従って、前記GDIが前記第1形式にて前記一次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、前記加工手段が、前記第1形式の前記一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えるとともに、当該描画指令に従って、前記GDIが前記第2形式にて前記二次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第2形式の前記二次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、該第2形式の前記二次印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信するように構成されている
ことを特徴とする。
【0013】
この印刷データ加工システムにおいて、上位モジュールとは、GDIを利用して第1形式の一次印刷データを作成するソフトウェアモジュールであり、例えば、第1形式の一次印刷データを新たに生成するモジュール、一次印刷データよりも前段階の印刷データに対して加工を施すことによって第1形式の一次印刷データを作成するモジュールなどが、ここでいう上位モジュールに該当する。
【0014】
一次印刷データは、画像形成装置に依存する形式に変換可能な中間形式である第1形式のデータで、加工前の画像および当該画像の加工方法に相当する情報を含むデータであり、画像形成装置にそのまま送出することはできないデータである。上述のWindows(登録商標)を採用したネットワーク印刷システムの場合であれば、EMF形式のデータが一次印刷データに相当する。
【0015】
二次印刷データは、第1形式よりもデータ量を圧縮可能で画像形成装置に依存する形式である第2形式のデータで、加工後の画像に相当する情報を含むデータであり、画像形成装置にそのまま送出することができるデータである。上述のWindows(登録商標)を採用したネットワーク印刷システムの場合であれば、RAWデータが二次印刷データに相当する。この二次印刷データは、一次印刷データよりもデータ量を圧縮可能な形式になっているが、ここでいう圧縮とは、データ量を少なくすることができるようなすべての手法を包含する概念であり、具体的には、可逆圧縮が施された形式、不可逆圧縮が施された形式の双方を包含し、さらに言えば、不可逆圧縮が施された形式としては、不要なデータの一部ないし全部が削除された形式等を含む概念である。
【0016】
本印刷データ加工システムにおいては、上位モジュールから与えられる描画指令に従ってGDIが第1形式にて一次印刷データを作成し、この一次印刷データをスプーラがスプールファイルとして格納した際に、加工手段が、第1形式の一次印刷データを解析して加工後の画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDIに対して与えて、GDIに二次印刷データを作成させる。その際、加工手段は、GDIに対して二次印刷データを第2形式で作成するように指令し、GDIは、加工手段から与えられた描画指令に従って二次印刷データを第2形式にて作成する。作成された第2形式の二次印刷データは、スプーラが、スプールファイルとして一旦格納し、その後、二次印刷データはネットワーク経由でサーバー側へと送信される。
【0017】
以上のように構成された印刷データ加工システムによれば、加工手段が加工後の画像に相当する情報を含む二次印刷データを作成する際に、第1形式よりもデータ量を圧縮可能な第2形式で二次印刷データを作成し、その第2形式の二次印刷データをスプーラがネットワーク経由でサーバー側へ送信しているので、従来技術のように第1形式の一次印刷データをそのままネットワーク経由でサーバー側へ送信する場合に比べ、ネットワーク上に送出されるデータ量は少なくなる。したがって、この印刷データ加工システムによれば、クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制することができる。
【0018】
ところで、加工手段においては、一次印刷データよりもデータ量を圧縮するための手法として、様々な手法を採用可能であると考えられる。
一例としては、例えば、前記加工手段が、ビットマップ形式の一次画像データを含む前記一次印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記一次画像データをページ記述言語で記述することにより、前記一次画像データをよりデータ量が圧縮された二次画像データに変換し、該二次画像データを含む前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0019】
ページ記述言語(Page Description Language;PDL)は、画像形成装置側で識別可能なデータであり、画像形成装置に依存する第2形式のデータに該当する。しかも、ビットマップ形式の一次画像データが一次印刷データに含まれている場合、その一次画像データをページ記述言語で表すことにより、一次印刷データよりもデータ量が圧縮された二次画像データとなる。
【0020】
したがって、このような二次画像データを含む形式の印刷データは、本発明でいう二次印刷データに該当するものであり、この印刷データ加工システムによれば、一次印刷データ中の一次画像データを、ページ記述言語で記述してからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減することができる。
【0021】
なお、このような構成は、ページ記述言語に対応した画像形成装置を利用している場合に採用すると効果がある。
また、上記以外には、例えば、前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれるカラー印刷用データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記カラー印刷用データをよりデータ量が圧縮された単色印刷用データに変換し、該単色印刷用データを含む形式の前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0022】
この場合、一次印刷データ中のカラー印刷用データを、単色印刷用データにしてからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減できる。
なお、このような構成は、単色印刷しかできない画像形成装置を利用している場合、あるいは、単色印刷しか実施しない場合に採用すると効果がある。
【0023】
また、上記以外には、前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数ページ分の単ページデータを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各ページを縮小して1ページの中に配置してなるマルチページデータに変換し、該マルチページデータを含む形式の前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0024】
この場合、一次印刷データ中の複数ページ分の単ページデータを、1ページ分のマルチページデータにしてからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減できる。
なお、このような構成は、2in1、4in1などと呼ばれるNin1形式のマルチページ印刷を利用する場合に効果がある。
【0025】
また、上記以外には、前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数レイヤー分の重ね合わせ用印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各レイヤーを重ね合わせてなる重ね合わせ済み印刷データに変換し、該重ね合わせ済み印刷データを含む形式の前記二次印刷データを作成するという構成を採用するとよい。
【0026】
この場合、一次印刷データ中の複数レイヤー分の重ね合わせ用印刷データを、重ね合わせ済み印刷データにしてからサーバー側へ送信するので、送信データ量を削減できる。
なお、このような構成は、元原稿に対して例えば「秘」「Confidential」といった文字を重ね合わせて印刷する重ね印刷を利用する場合に効果がある。
【0027】
さらに、本発明の印刷データ加工システムは、前記サーバー側に設けられた複数のサーバー側印刷処理手段の中から選ばれる一つを、前記二次印刷データの印刷時に使用するサーバー側印刷処理手段として指定する指定手段を備えていてもよい。
【0028】
サーバーには、様々な印刷データに対応するため、複数のサーバー側印刷処理手段が設けられている場合があり、この場合、どのサーバー側印刷処理手段を利用するかについて、サーバー側で適宜選択することは不可能なことではない。しかし、サーバー側で適宜選択したサーバー側印刷処理手段が、本システムでクライアント側から送出する二次印刷データに適したものであるとの保証もない。これに対し、上記構成を採用すれば、サーバー側に設けられた複数のサーバー側印刷処理手段の中から選ばれる一つを、二次印刷データの印刷時に使用するサーバー側印刷処理手段として指定することができるので、二次印刷データの印刷に最適な印刷処理手段を意図的に指定して利用できるという効果がある。
【0029】
また、本発明の印刷データ加工システムは、前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納した際に、該一次印刷データをそのまま前記サーバー側へと送信するか、前記加工手段からの前記描画指令によって前記GDIが作成する前記二次印刷データを前記サーバー側へと送信するかを、利用者からの指定に基づいて切り替える切替手段を備えていてもよい。
【0030】
このように構成すれば、一次印刷データおよび二次印刷データのどちらをもネットワーク上に送出できるようになるので、何らかの事情で、一次印刷データをサーバー側へ送信したい場合には、切替手段を利用して、簡単に一次印刷データをサーバー側へ送信できる状態にすることができる。なお、一次印刷データをサーバー側へ送信した場合は、サーバー側において画像形成装置に依存する形式の印刷データに変換してから、変換後の印刷データを画像形成装置に与える必要がある。
【0031】
加えて、以上説明した印刷データ加工システムにおけるクライアント側の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムがあれば、コンピュータを使って上記印刷データ加工システムを構築することができ、コンピュータが上述した通りに作用することにより、各印刷データ加工システムについて述べた通りの効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、加工手段が加工後の画像に相当する情報を含む二次印刷データを作成する際に、第1形式よりもデータ量を圧縮可能な第2形式で二次印刷データを作成することができる。そして、その第2形式の二次印刷データをスプーラがネットワーク経由でサーバー側へ送信しているので、従来技術のように第1形式の一次印刷データをそのままネットワーク経由でサーバー側へ送信する場合に比べ、ネットワーク上に送出されるデータ量を少なくすることができる。したがって、クライアント側からサーバ側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1は、印刷システム全体の概略構成を示すブロック図である。この印刷システムは、クライアントコンピュータ(以下、クライアントという。)1と、サーバーコンピュータ(以下、サーバーという。)2と、プリンタ3とによって構成される。これらのうち、クライアント1に、本発明の実施形態として例示する印刷データ加工システムが設けられている。
【0034】
クライアント1とサーバー2は、いずれもパーソナルコンピュータであり、周知の通り、CPU、ROM、RAM等を中心に構成された制御部、キーボードやポインティングデバイスなどの入力部、ディスプレイなどの出力部、ハードディスクなどの補助記憶部等を備えている。また、クライアント側およびサーバ側のOS(Operating System)として、双方ともWindows(登録商標)が搭載され、キーボード入力や画面出力といった入出力機能やディスクやメモリの管理など、アプリケーションから共通して利用される基本機能は、OSによって提供されている。なお、Windows(登録商標)によって提供される各種機能そのものは公知なので、ここでの詳細な説明は省略するが、以下の説明においては、クライアント1とサーバー2が、Windows(登録商標)によって提供される各種機能を有するとの前提で説明を続ける。
【0035】
クライアント1とサーバー2は、ネットワークを介して接続されており、サーバー2には、画像形成装置であるプリンタ3が接続され、クライアント1からプリンタ3へ印刷出力できるように構成されている。
【0036】
次に、クライアント1およびサーバー2の内部構成について説明する。ここでは、印刷データの流れを理解しやすくするため、印刷データの伝送経路に従って、各部の機能を説明することにする。
【0037】
クライアント1において、アプリケーション11は、例えばワープロソフトや表計算ソフトなどの、クライアントOS上で動作するソフトウェアである。このアプリケーション11を使う利用者が、クライアント1において印刷を指示する操作を行うと、アプリケーション11は、印刷すべき画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDI(Graphics Device Interface)15に与える。
【0038】
また、プリンタドライバ12は、マルチページ印刷、重ね印刷等の特殊印刷機能を提供するモジュールであり、プリンタドライバUI12a(図4参照)が提供する機能(ユーザーインターフェース)により、利用者が印刷を指示する操作を行う際に特殊印刷をする旨の指示を併せて行うと、プリンタドライバ12は、特殊印刷に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDI15に与える。
【0039】
これらアプリケーション11およびプリンタドライバ12は、それぞれの処理の中で、GDI15に対して指令を与えるための関数(API;Application Program Interface)を呼び出すことにより、GDI15に対して描画指令を与えることができる。
【0040】
GDI15は、仮想化された描画領域であるデバイスコンテキスト(以下、DCという。)の管理と、このDCへの描画に伴う印刷データの作成とを行うモジュールである。印刷データとしては、後からプリンタ3に依存する形式に変換可能な中間形式であるEMF形式の印刷データ(本発明でいう第1形式の印刷データ)と、EMF形式よりもデータ量を圧縮可能でプリンタ3に依存する形式であるRAWデータ(本発明でいう第2形式の印刷データ)とを作成可能で、どちらの形式で印刷データを作成するかは、GDI15を利用することになる上位モジュール側から指定できるようになっている。
【0041】
EMFとは、アプリケーション11がGDI15に対して指示したAPI群のそれぞれを、対応するコマンドおよび付随するデータの形で記憶した1ページ単位のファイルのことである。具体的には、例えば、直線とビットマップにより描画されるページにおいては、直線を示すコマンドとその始点/終点などの付随するデータ、ならびにビットマップを示すコマンドとそのビットマップ自身および描画位置の座標などの付随データが図3のように連なって形成される。EMF形式の印字データとは、このEMFを図2に示すようにさらにページ分連ねた形式をとる。
【0042】
なお、GDI15の機能のうち、DC管理機能、EMF形式のデータ作成機能は、OSによって提供され、DCへの処理をプリンタ3に依存するコマンドに変換する機能(RAWデータ作成機能)は、デバイスメーカーによりプリンタドライバGDI12b(図4参照)として提供される。
【0043】
このGDI15によってDCが作成されるとともに、アプリケーション11およびプリンタドライバ12からの描画指令に従ってDCに対する描画を行い、このDCに対する描画に伴って印刷データが作成される。本システムの場合、アプリケーション11およびプリンタドライバ12からの描画指令を受けると、GDI15がEMF形式の印刷データを作成するように構成されている。そして、GDI15によって作成された形成されるEMF形式のデータは、スプーラ16へと送られる。
【0044】
つまり、アプリケーション11が加工前の画像に相当する情報を生成するとともに、プリンタドライバ12が加工前の画像の加工方法に相当する情報を生成し、これらの情報をGDI15に与えることでEMF形式の一次印刷データを作成しているのであり、これらアプリケーション11およびプリンタドライバ12は、一次印刷データ作成手段14として機能しているのである。
【0045】
スプーラ16は、GDI15によって1ページ単位で形成される複数ページ分のデータを1つの印刷ジョブとして結合した印刷データを、ハードディスク17にスプールファイル18として格納する。先に説明したアプリケーション11およびプリンタドライバ12からの描画指令によって作成された一次印刷データの場合、EMF形式で格納されたスプールファイル18中は、データファイルとコマンドファイルからなる。
【0046】
データファイルは、先に説明したようにEMFがページ分連なって形成されたものである。また、コマンドファイルは、印字ジョブの名称、使用するプリンタドライバの名称などの情報とともに、プリンタの基本的設定などが記録されている。このファイルは、さらに本発明の印字データ加工システムが実行する加工内容である「マルチページ印刷」「重ね印刷」「ページ入れ替え印刷」などの指示、ならびにその設定を行う情報も記録されている。これら2つのファイルにて1つの印刷ジョブが構成されている。なお、コマンドファイルとデータファイルのファイル名は、印刷ジョブのジョブIDを示す同一の文字列に、コマンドファイルであるかデータファイルであるかを示す拡張子を付加したものとなっている。なお、スプールファイル18は、必ずしもクライアント1の内部に設けられている必要はなく、クライアント1の外部にある記憶手段に設けられていてもよく、要するにクライアント1からアクセス可能な状態(例えばネットワークドライブ上)に存在していればよい。
【0047】
さて、マルチページ印刷、重ね印刷等の特殊印刷を行う場合には、加工手段20が起動され、この加工手段20によりスプールファイル18に格納されている印刷ジョブ毎のEMFが特殊印刷のために加工され、加工後の画像に対応する描画指令を加工手段20からGDI15に対して与えることにより、二次印刷データが作成される。
【0048】
この加工手段20は、図1に示すように、ページ分割手段22と、DC投影手段23と、DC加工手段24とを備えている。さらに、図1には示されていないが、加工手段20には、EMFのコマンドファイルに特殊印刷に関する加工情報が設定されているかどうかを解析して、加工後の画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令をGDI15に対して与える加工指令手段が設けられている。
【0049】
ページ分割手段22は、スプールファイル18のファイル名を確認して印刷ジョブを認識し、認識した印刷ジョブ毎の各ページのEMFをスプールファイル18からエンドコマンドに基づいて分割し、その各ページのEMFをRAM等に形成されるテンポラリーファイル(図示せず)にコピーする。このテンポラリーファイルは不要となった時点で消去する。
【0050】
DC投影手段23は、対象となるDCを特定する情報と、印刷データが設定された結果のファイルを入れるためのメモリ領域の指定と、描画領域を示す情報とを付加して、特定のDCにページ分割されたEMFの印刷データを設定するようにとの指示をGDI15に対して出す機能を有しており、このDC投影手段23からの指示に基づきGDI15が処理を行う。
【0051】
本システムの場合、詳しくは後述するが、加工手段20は、システムの記憶領域に記憶されているフラグを参照して、加工後の印刷データをEMF形式のデータとするかRAWデータとするかを決定するが、標準では、RAWデータにて印刷データを作成するように構成されている。また、EMF形式のデータとするかRAWデータとするかを決定した際には、併せてサーバー2側に設けられたプリントプロセッサ(サーバー側印刷処理手段)の指定も行うことができ、印刷データをRAWデータとする場合には、サーバー2側に設けられたRAW用のプリントプロセッサ36が指定される。
【0052】
印刷データをRAWデータとする場合は、例えば、図2に示すように、1ページ目のEMFが、コマンド1とそのデータ、コマンド2とそのデータ、コマンド3とそのデータおよびエンドコマンドから成るとしたときに、DC投影手段23を通し、さらに特殊印刷用の加工を行うことにより、特殊印刷の加工済みのPDLコマンド(RAWデータ)が新たに形成される。
【0053】
このとき、DC加工手段24は、DC投影手段23によってEMFの加工処理を行う指示をGDI15に出す機能を有しており、このDC加工手段24からの指示に基づきGDI15が処理を行う。
【0054】
このときの加工処理について具体的に説明すると、加工指令手段によってコピーされたEMFのコマンドファイルが解析されて、どのように加工すべきかという加工情報がまず取得される。続いて、取得された加工情報に基づき、GDI15によりプリンタドライバ12に含まれるプリンタドライバGDI12b(図4参照)を介して各コマンドに対応するPDLのコマンド(RAWデータ)に変換され、DC投影手段23によって指定されたメモリ領域に書き込まれる。この時、ビットマップの描画コマンドはラスターコマンドに置き換えられる。
【0055】
また、EMFのコマンドに直接対応するPDLのコマンドがない場合は、GDI15によりラスタライズされPDLのコマンドの1つであるラスターコマンドに置き換えられる。
【0056】
一方、本システムにおける標準の印刷モードではないが、上述の通り、印刷データをEMF形式のデータとすることも可能であり、この場合は、例えば、図2に示すように、1ページ目のEMFが、コマンド1とそのデータ、コマンド2とそのデータ、コマンド3とそのデータおよびエンドコマンドから成るとしたときに、DC投影手段23を通すことによって、図3に示すように、コマンド1ないし3とその各々のデータに加えて、特殊印刷のために必要な数だけのコマンドおよびデータがコマンド3のデータとエンドコマンドとの間に付加されたEMFが新たに形成される。
【0057】
このとき、DC加工手段24は、DC投影手段23によってEMFの加工処理を行う指示をGDI15に出す機能を有しており、このDC加工手段24からの指示に基づきGDI15が処理を行う。
【0058】
このときの加工処理について具体的に説明すると、加工指令手段によってコピーされたコマンドファイルが解析されて、どのように加工すべきかという加工情報がまず取得される。続いて、取得された加工情報に基づき、DC投影手段23によって指定されたメモリ領域に、GDI15により特殊印刷のための必要な制御コマンドおよびそのデータが書き込まれる。
【0059】
以上のような手順で、加工手段20が二次印刷データ(標準ではRAWデータ)を作成すると、その二次印刷データは、新しい印刷ジョブとして16に戻される。また、スプールファイル18として格納されていた元の印刷ジョブは抹消される。そして、加工手段20によって加工された二次印刷データが、スプーラ16によってネットワークを介してサーバー2へと送られることになる。
【0060】
以上説明したクライアント1側における印刷データの流れをまとめたのが図4である。アプリケーション11は加工前の画像に対応する描画指令を生成し、また、プリンタドライバUI12aは加工前の画像に対する特殊加工に対応する描画指令を生成し、それらの描画指令がGDI15に対して与えられる。すると、GDI15は、与えられた描画指令に従ってEMF形式の一次印刷データを作成し、その一次印刷データがスプーラ16によってスプールファイル化される。加工手段20は、スプールファイルからEMF形式の一次印刷データを読み込んで、加工前の画像および加工前の画像に対する加工方法を解析し、加工後の画像に対応する描画指令を生成し、その描画指令がGDI15に対して与えられる。すると、GDI15は与えられた描画指令に従って、(システムの設定が標準の場合)プリンタドライバGDI12bの機能を利用してRAWデータの二次印刷データを作成し、その二次印刷データがスプーラ16によってスプールファイル化される。そして、スプーラ16がネットワークへ二次印刷データを送出し、その二次印刷データがサーバー2側へ送られることになるのである。
【0061】
ところで、EMFは、Windows(登録商標)において扱われる標準的な描画データであり、画像形成装置の機種に依存することなく扱うことができるが、汎用性が高い分だけ冗長なデータも多く含まれている。これに対し、RAWデータは、画像形成装置の機種に依存して特定の機種でのみ識別できるようなプリンタ制御コードを含むデータである。プリンタ制御コードは、メーカー毎に仕様が異なっており、代表的なものとしては、例えば米国Hewlett−Packard社のPCLや米国Adobe社のPostScript(登録商標)など、種々のページ記述言語(PDL;Page Description Language )によるコマンドセットが知られている。このようなRAWデータは、メーカー毎の仕様に合わせて識別する必要があることから汎用性は低くなるが、特定の機種の機能に適合する制御コードを中心に構成されるため、EMFに比べると冗長なデータが少なく、データによってはデータ量が小さくなる。例えば、EMF中に含まれる画像データを、プリンタ3に依存したページ記述言語で記述してからサーバー2側へ送信すれば、プリンタ3において不要なデータを送信しなくても済む。あるいは、プリンタ3が単色印刷を行うものであれば、EMF中に含まれるカラー印刷用データは不要なので、単色印刷用の情報のみからなるRAWデータにすれば、データ量を低減できる。
【0062】
つまり、二次印刷データとしてサーバー2側へ送出されることになる印刷データをRAWデータにすると、ネットワーク上に流されることになるデータ量を低減して、ネットワークにかかる負荷を抑制できるのである。
【0063】
なお、印刷データをEMFとするかRAWデータとするかの指定方法は、詳しくは後述するが、プリンタ3をオープンする際にEMFかRAWかを指定すると、EMF指定であればGDI15がプリンタドライバGDI12bを経由せずEMF形式のデータを作成し、RAW指定であればGDI15がプリンタドライバGDI12bを経由してRAWデータを作成することとなり、その後は、オープンしたプリンタ3に対して元となる印刷データを与えるだけで、そのデータがEMFまたはRAWデータに変換されることになる。
【0064】
さて、サーバー2では、クライアント1から送信されてくる印刷データが、スプーラ31によって処理される。
スプーラ31のスプーラシステム32は、受信した印刷データをハードディスク33にスプールファイル34として一旦記憶させる。そして、印刷データがEMFの場合は、EMF用のプリントプロセッサ35により印刷データが処理され、印刷データがRAWの場合は、RAW用のプリントプロセッサ36により印刷データが処理される。なお、図示の都合上、図1では、EMF用のプリントプロセッサ35とRAW用のプリントプロセッサ36を並べて描いてあるが、EMF用のプリントプロセッサ35はOSにより提供され、RAW用のプリントプロセッサ36はデバイスメーカーによりドライバとして提供されるものである。また、EMF用のプリントプロセッサ35は、RAWデータの処理も可能な汎用のプリントプロセッサであってEMF専用ではないが、RAW用のプリントプロセッサ36はRAWデータ専用となっている。
【0065】
ちなみに、サーバー2においても、マルチページ印刷、重ね印刷等の特殊印刷に関して、さらに加工が必要なEMFが渡された場合には、加工手段(図示略)が起動され、この加工手段による加工処理が行われる。サーバー2側の加工手段は、先に説明したクライアント1側の加工手段20とほぼ同等の機能を有するものであるが、サーバー2側での加工処理に関しては本発明の要部ではないので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0066】
こうしてスプーラ31において、EMF用のプリントプロセッサ35またはRAW用のプリントプロセッサ36によるデータ処理を受けた印刷データは、スプーラ31からプリンタドライバ38へと送られる。
【0067】
プリンタドライバ38は、印刷データがEMFの場合、EMFをプリンタ3に対応したプリンタ制御コードに変換してから、プリンタ3へ送る。プリンタ制御コードは、先に説明した通り、種々のページ記述言語(PDL)によるコマンドセットがあるが、プリンタドライバ38が、EMFをプリンタ3にて採用されているPDLに対応できるような印刷データに変換して、プリンタ3へと送出しているのである。一方、印刷データがRAWデータの場合、プリンタドライバ38は、RAWデータを未処理のままでプリンタ3へと送る。
【0068】
次に、クライアント1において実行されるスプールファイル加工の手順について説明する。
図5に示すように、印刷データ作成手段14により形成されたある印刷ジョブのEMFのコマンドファイルに加工情報に関する設定があるかどうかについて、加工手段20の加工指令手段によりEMFのコマンドファイルが解析されてその判定がなされる(S1)。この判定結果がNOであれば(S1:NO)、EMFの加工の必要性がないため動作はそのまま終了する。一方、判定結果がYESであれば(S1:YES)、その印刷ジョブのEMFの全ページがスプーラ16によりスプール完了されるまで待機状態となる(S2)。なお、この間スプール中であることがチェックされる。
【0069】
続いて、ページ分割手段22により、スプールファイル18に格納されているEMFの印刷ジョブの認識が行われ、所定の印刷ジョブのEMFがスプールファイル18からテンポラリーファイルにコピーされる(S3)。その後、スプールファイル18に格納されているそのコピーされたEMFが消去され、これにより、元の印刷ジョブが抹消される(S4)。
【0070】
そして、ページ分割手段22により、コピーされたEMFがページ単位に分割される(S5)。そして、上記S1の処理において解析された、どの特殊印刷を行うかという結果に基づき、ページ分割されたEMFの加工等の処理が行われ(S6)、その後、動作は終了する。
【0071】
上記S6の加工処理は、詳しくは図6に示すような処理となる。
この加工処理を開始すると、まずRAW出力の指定がなされているか否かが調べられる(S11)。RAW出力の指定の有無は、クライアント1側のシステムの記憶領域(Windows(登録商標)の場合であればレジストリと呼ばれる領域)や設定ファイルなどに記憶されている。本実施形態の場合、通常はRAW出力の指定が有る状態とされており、利用者が意図的に設定変更を行った場合に限り、RAW出力の指定が無い状態になる。
【0072】
RAW出力の指定が無い場合(S11:NO)、プリンタ3をオープンする際のオープンモードとしてデフォルトモードが選択され(S12)、RAW出力の指定が有る場合(S11:YES)、プリンタ3をオープンする際のオープンモードとしてRAWモードが選択される(S13)。なお、デフォルトモードは、OSによって規定されているモードであり、標準ではEMFモードがデフォルトモードとなっている。
【0073】
なお、本発明の請求項1乃至請求項6に記載の構成は、RAW出力が指定されたときに適用されることになる構成である。また、S11の処理は請求項7に記載の切替手段を構成する。
【0074】
そして、上記S12またはS13の処理において選択したオープンモードで、プリンタ3をオープンする(S14)。オープンしたプリンタ3にて印刷出力を行うために必要なプリンタドライバ12は、コマンドファイルに記憶されているため、プリンタ3のオープン時に特定することができる。この時点で、プリンタ3へ出力する印刷データをEMFとするかRAWとするかが決まることになる。
【0075】
続いて、サーバー2側で作動させるプリントプロセッサの指定があるか否かが調べられる(S15)。プリントプロセッサの指定は、RAW出力の指定の有無と同様、クライアント1側のシステムの記憶領域や設定ファイルなどに記憶されている。本実施形態の場合、通常はプリントプロセッサの指定が有る状態とされており、上述したRAW用のプリントプロセッサ36が指定されている。なお、利用者が意図的に設定変更を行った場合に限り、プリントプロセッサの指定が無い状態になる。
【0076】
プリントプロセッサの指定が無い場合(S15:NO)、プリントプロセッサ名としてはデフォルトのものが選択され(S16)、プリントプロセッサの指定が有る場合(S15:YES)、プリントプロセッサ名としては上記RAW用のプリントプロセッサ36のものが選択される(S17)。
【0077】
そして、上記S16またはS17の処理において選択したプリントプロセッサ名を、サーバー2側で作動させるプリントプロセッサとして設定する(S18)。この時点で、サーバー2側で作動させるプリントプロセッサをEMF用のプリントプロセッサ35とするかRAW用のプリントプロセッサ36とするかが決まることになる。
【0078】
続いて、印刷に関するジョブ処理(後から詳述)を行い(S19)、プリンタ3をクローズして(S20)、本処理を終了する。
次に、上記S19の処理に該当する各種の特殊印刷毎の処理を個別に説明する。
【0079】
まず、図7に示すように、ページ分割された複数のページを同一ページ内に形成するいわゆる4in1、2in1等のNin1と称されるマルチページ印刷のための処理について説明する。
【0080】
図8に示すように、上記した図5のS5の処理によって、ページ分割手段22によりEMFがページ単位に分割されると、Nin1を行うためにDCの座標およびスケールの変換処理が行われ(S21)、このように変換された座標系に各ページのEMFが投影、即ち各ページのEMFの印刷データがDCに設定され(S22)、その後動作は終了する。
【0081】
ところで、上記したS21およびS22の処理について、4in1および2in1を例として具体的に説明する。
まず4in1の場合には、図9に示すように、処理しようとしているEMFのページが(4n+1)ページか否かの判定がなされ(S31)、この判定結果がYESであれば第mページを4分割したうちの左上半部に(4n+1)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(1)が行われる(S32)。このとき、座標変更は、X’=aX+bY+c、Y’=dX+eY+fの式に基づいてなされ、係数a、b、d、eで回転およびスケール、c、fで平行移動が定義される。なお、この座標変更は、GDI15に対して指令を与えるための関数(API)を呼び出すことによって実行される。
【0082】
続いて図9に示すように、S31の判定結果がNOであれば、処理しようとしているEMFのページが(4n+2)ページか否かの判定がなされ(S33)、この判定結果がYESであれば第mページを4分割したうちの右上半部に(4n+2)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(2)が行われ(S34)、S33の判定結果がNOであれば、処理しようとしているEMFのページが(4n+3)ページか否かの判定がなされ(S35)、この判定結果がYESであれば第mページを4分割したうちの左下半部に(4n+3)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(3)が行われる(S36)。
【0083】
さらに図9に示すように、第mページを4分割したうちの右下半部に(4n+4)ページ目のEMFの印刷データを設定すべく座標変更(4)が行われ(S37)、その後S32、S34、S36の各処理を経た後と共にS38に移行し、S38においてページ分割されたEMFの全ページについてこのような座標変更が終了したか否かの判定がなされ(S38)、この判定結果がNOであればS31に戻り、判定結果がYESであればページ分割されたEMFの全ページについての処理が完了したとして動作は終了する。
【0084】
続いて2in1の場合には、図10に示すように、印刷された情報を読むときに要旨が縦長になるように印刷されるポートレートか、横長になるように印刷されるランドスケープかの判定がなされ(S41)、ポートレートである場合には、処理しようとしているEMFのページが奇数ページか否かの判定がなされ(S42)、この判定結果がYESであれば縦長ページを上下に2分割したうちの上半部に奇数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(5)が行われ(S43)、S42の判定結果がNOであれば縦長ページを上下に2分割したうちの下半部に偶数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(6)が行われる(S44)。
【0085】
一方、上記したS41の判定の結果がランドスケープである場合には、処理しようとしているEMFのページが奇数ページか否かの判定がなされ(S45)、この判定結果がYESであれば横長ページを左右に2分割したうちの左半部に奇数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(7)が行われ(S46)、S45の判定結果がNOであれば横長ページを左右に2分割したうちの右半部に偶数ページのEMFの印刷データを設定すべく座標変更(8)が行われる(S47)。
【0086】
その後、図10に示すようにS43、S44、S46の各処理を経た後と共にS48に移行し、S48においてページ分割されたEMFの全ページについてこのような座標変更が終了したか否かの判定がなされ(S48)、この判定結果がNOであればS41に戻り、判定結果がYESであればページ分割されたEMFの全ページについての処理が完了したとして動作は終了する。
【0087】
次に、ある画像に重ねて別の画像を印刷する重ね印刷について、図11に示すような“Confidential”の文字や、“秘”の文字のように下の画像が透過するように2つの画像をすかし印刷するための処理について説明する。
【0088】
図12に示すように、上記した図5のS5の処理によって、ページ分割手段22によりEMFがページ単位に分割されると、所定のDCに対してページ分割されたEMFの印刷データが設定され(S51)、印刷用紙のサイズやすかし文字の文字数、すかし文字の用紙に対する印刷角度等から、すかし文字の大きさおよび印刷位置の計算が行われ(S52)、上記したS51でEMFの印刷データが設定されたDCに対し、S52で計算されたすかし文字の印刷データが重ねて設定され、描画指令がAPIにてGDI15に対してなされ(S53)、その後動作は終了する。
【0089】
ここで、図12のS51〜S53の処理を、逆にS53、S52、S51の順で行うとすかし文字が元の画像の下に印刷されることになる。
さらに、図13に示すように、ページ分割された複数ページの中間ファイルの順番を入れ換え、フェイスアップ印刷のように先頭と最終を逆に入れ換えて印刷したり、マニュアルデュープレックス印刷のように用紙の両面に連続したページ順で印刷するといったページ入れ換え印刷のための処理について説明する。
【0090】
図14に示すように、上記した図5のS5の処理によって、ページ分割手段22によりEMFがページ単位に分割されると、フェイスアップ印刷ならn、n−1、n−2、…、2、1の順、デュープレックス印刷なら奇数ページおよび偶数ページ逆順となるようにページ計算が行われ(S71)、ページ分割されたEMFがS71で計算されたページ順で取り出される(S72)。
【0091】
ここで、マニュアルデュープレックス印刷の場合には、まず印刷用紙にこの印刷ジョブの奇数ページの印刷を行った後、オペレータがその印刷された用紙を裏返して再度残りのページ(偶数ページ)を印刷するという形態になる。このため、1つの印刷ジョブを奇数ページの印刷ジョブと偶数ページの印刷ジョブに分けて、2つのジョブの間にオペレータの処理が入れられるようにするのがよい。そのため、取り出された奇数ページの裏面に偶数ページを印刷するためにジョブの分割が行われる。
【0092】
そして、取り出されたEMFがDCに投影、即ち取り出された各ページのEMFの印刷データが所定のDCに設定されてページ順の入れ換えが行われ(S73)、その後動作は終了する。
【0093】
なお、以上説明した上記S19の処理に相当する各種特殊印刷毎の処理によって作成される印刷データは、上記S14の処理で指定したオープンモードに従って、データ形式がEMFまたはRAWとなる。
【0094】
以上説明したように、上記クライアント1が備える印刷データ加工システムによれば、クライアント1は、加工手段20によって作成されたRAWデータ(二次印刷データ)を、ネットワーク経由でサーバー2側へ送信する。RAWデータをネットワーク経由でサーバー2側へ送信すると、従来技術のようにEMF形式のデータ(一次印刷データ)をそのままネットワーク経由でサーバー2側へ送信する場合に比べ、ネットワーク上に送出されるデータ量は少なくなる。したがって、この印刷データ加工システムによれば、クライアント1側からサーバ2側へ送信される印刷データのデータ量を低減してネットワークにかかる負荷を抑制することができる。
【0095】
また、この印刷データ加工システムは、サーバー2側に設けられた複数のプリントプロセッサ(サーバー側印刷処理手段)の中から選ばれる一つを、RAWデータの印刷時に使用するプリントプロセッサとして指定する指定手段(上記S15〜S18)を備えているので、RAWデータの印刷に最適なプリントプロセッサ36を意図的に指定して利用できる。
【0096】
また、この印刷データ加工システムには、EMFをネットワーク経由でサーバー2側へ送信する手段も備えており、利用者からの指定に基づいて、EMFまたはRAWデータのいずれを送信するかを切り替える切替手段(上記S11)を備えているので、EMFおよびRAWのどちらをもネットワーク上に送出でき、何らかの事情でEMFをサーバー2側へ送信したい場合には、簡単にEMFをサーバー2側へ送信できる状態にすることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、中間形式の一次印刷データの例としてEMF形式のデータを例示したが、一次印刷データはEMF以外の形式であってもよい。また、一次印刷データよりもデータ量を圧縮可能な画像形成装置に依存する形式の二次印刷データの例としてRAWデータを例示したが、これも、一次印刷データよりもデータ量を圧縮可能で画像形成装置に依存する形式になっていれば、特定のデータ形式に限定されず、例えば、上述のPDL以外にも、画像形成装置が特定の符号化方式で圧縮されたデータを復号する機能を備えていれば、その特定の符号化方式によって一次印刷データを二次印刷データにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態として説明した印刷データ加工システムのブロック図である。
【図2】加工前のEMFを含むスプールファイル示す図である。
【図3】EMFを示す図である。
【図4】クライアント側における印刷データの流れを示すブロック図である。
【図5】スプールファイル加工処理全体を示すフローチャートである。
【図6】加工処理を示すを示すフローチャートである。
【図7】マルチページ印刷時のレイアウトを示す説明図である。
【図8】マルチページ印刷処理を示すフローチャートである。
【図9】4in1処理を示すフローチャートである。
【図10】2in1処理を示すフローチャートである。
【図11】重ね印刷時のレイアウトを示す説明図である。
【図12】重ね印刷処理を示すフローチャートである。
【図13】ページ入れ換え印刷時のレイアウトを示すフローチャートである。
【図14】ページ入れ換え印刷処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1・・・クライアント、2・・・サーバー、3・・・プリンタ、11・・・アプリケーション、12,38・・・プリンタドライバ、14・・・印刷データ作成手段、16,31・・・スプーラ、17,33・・・ハードディスク、18,34・・・スプールファイル、20・・・加工手段、22・・・ページ分割手段、23・・・DC投影手段、24・・・DC加工手段、32・・・スプーラシステム、35,36・・・プリントプロセッサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク経由でクライアント側からサーバー側へ印刷データを送信することにより、前記サーバー側に設けられたサーバー側印刷処理手段を作動させて前記サーバー側に付設された画像形成装置に印刷を実行させる印刷システムにおいて、前記クライアント側に設けられる印刷データ加工システムであって、
描画指令に従って、前記画像形成装置に依存する形式に変換可能な中間形式である第1形式、または該第1形式よりもデータ量を圧縮可能で前記画像形成装置に依存する形式である第2形式のいずれかの形式で、印刷データを作成可能なGDIと、
該GDIによって作成された印刷データをスプールファイルとして格納可能で、該スプールファイルとして格納された印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信可能なスプーラと、
加工前の画像および当該画像の加工方法に相当する情報を含む前記第1形式の一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えることにより、加工後の画像に相当する情報を含む前記第2形式の二次印刷データを、前記GDIに作成させる加工手段とを備えており、
上位モジュールから与えられる描画指令に従って、前記GDIが前記第1形式にて前記一次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、前記加工手段が、前記第1形式の前記一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えるとともに、当該描画指令に従って、前記GDIが前記第2形式にて前記二次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第2形式の前記二次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、該第2形式の前記二次印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信するように構成されている
ことを特徴とする印刷データ加工システム。
【請求項2】
前記加工手段が、ビットマップ形式の一次画像データを含む前記一次印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記一次画像データをページ記述言語で記述することにより、前記一次画像データをよりデータ量が圧縮された二次画像データに変換し、該二次画像データを含む前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ加工システム。
【請求項3】
前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれるカラー印刷用データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記カラー印刷用データをよりデータ量が圧縮された単色印刷用データに変換し、該単色印刷用データを含む形式の前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷データ加工システム。
【請求項4】
前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数ページ分の単ページデータを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各ページを縮小して1ページの中に配置してなるマルチページデータに変換し、該マルチページデータを含む形式の前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項5】
前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数レイヤー分の重ね合わせ用印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各レイヤーを重ね合わせてなる重ね合わせ済み印刷データに変換し、該重ね合わせ済み印刷データを含む形式の前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項6】
前記サーバー側に設けられた複数のサーバー側印刷処理手段の中から選ばれる一つを、前記二次印刷データの印刷時に使用するサーバー側印刷処理手段として指定する指定手段
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項7】
前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納した際に、該一次印刷データをそのまま前記サーバー側へと送信するか、前記加工手段からの前記描画指令によって前記GDIが作成する前記二次印刷データを前記サーバー側へと送信するかを、利用者からの指定に基づいて切り替える切替手段
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷データ加工システムにおける前記クライアント側の前記各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
ネットワーク経由でクライアント側からサーバー側へ印刷データを送信することにより、前記サーバー側に設けられたサーバー側印刷処理手段を作動させて前記サーバー側に付設された画像形成装置に印刷を実行させる印刷システムにおいて、前記クライアント側に設けられる印刷データ加工システムであって、
描画指令に従って、前記画像形成装置に依存する形式に変換可能な中間形式である第1形式、または該第1形式よりもデータ量を圧縮可能で前記画像形成装置に依存する形式である第2形式のいずれかの形式で、印刷データを作成可能なGDIと、
該GDIによって作成された印刷データをスプールファイルとして格納可能で、該スプールファイルとして格納された印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信可能なスプーラと、
加工前の画像および当該画像の加工方法に相当する情報を含む前記第1形式の一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えることにより、加工後の画像に相当する情報を含む前記第2形式の二次印刷データを、前記GDIに作成させる加工手段とを備えており、
上位モジュールから与えられる描画指令に従って、前記GDIが前記第1形式にて前記一次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、前記加工手段が、前記第1形式の前記一次印刷データを解析して、加工後の画像に対応する前記描画指令を生成し、該描画指令を前記GDIに対して与えるとともに、当該描画指令に従って、前記GDIが前記第2形式にて前記二次印刷データを作成し、前記スプーラが前記第2形式の前記二次印刷データを前記スプールファイルとして格納し、該第2形式の前記二次印刷データを前記ネットワーク経由で前記サーバー側へと送信するように構成されている
ことを特徴とする印刷データ加工システム。
【請求項2】
前記加工手段が、ビットマップ形式の一次画像データを含む前記一次印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記一次画像データをページ記述言語で記述することにより、前記一次画像データをよりデータ量が圧縮された二次画像データに変換し、該二次画像データを含む前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ加工システム。
【請求項3】
前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれるカラー印刷用データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、前記カラー印刷用データをよりデータ量が圧縮された単色印刷用データに変換し、該単色印刷用データを含む形式の前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷データ加工システム。
【請求項4】
前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数ページ分の単ページデータを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各ページを縮小して1ページの中に配置してなるマルチページデータに変換し、該マルチページデータを含む形式の前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項5】
前記加工手段が、前記一次印刷データ中に含まれる複数レイヤー分の重ね合わせ用印刷データを解析して、前記描画指令を前記GDIに対して与えた際に、前記GDIが、各レイヤーを重ね合わせてなる重ね合わせ済み印刷データに変換し、該重ね合わせ済み印刷データを含む形式の前記二次印刷データを作成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項6】
前記サーバー側に設けられた複数のサーバー側印刷処理手段の中から選ばれる一つを、前記二次印刷データの印刷時に使用するサーバー側印刷処理手段として指定する指定手段
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項7】
前記スプーラが前記第1形式の前記一次印刷データを前記スプールファイルとして格納した際に、該一次印刷データをそのまま前記サーバー側へと送信するか、前記加工手段からの前記描画指令によって前記GDIが作成する前記二次印刷データを前記サーバー側へと送信するかを、利用者からの指定に基づいて切り替える切替手段
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の印刷データ加工システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷データ加工システムにおける前記クライアント側の前記各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2005−84898(P2005−84898A)
【公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−315657(P2003−315657)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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