印刷データ編集装置及び印刷データ編集プログラム
【課題】自然に貼り付け対象に馴染み、かつ自身に印刷された文字等をはっきりと認識させられるラベルを作成するための印刷データを作成する過程で編集することができる印刷データ編集装置及び印刷データ編集プログラムを提供する。
【解決手段】貼付対象面の画像を背景画像として読み込み、その背景画像において、ラベルを貼りつける予定の位置に、「ラベルサイズを示す枠」を表示する。枠内の画像を第1文字背景イメージとして抽出し(S53)、別途作成した文字イメージ(S67)と合成する(S69)。文字イメージの背景として第1文字背景イメージが配置された合成イメージが、ラベルのイメージとして作成される。このラベルを、貼付対象面に貼りつけた様子を示すプレビュー画像が、サンプル表示部に表示される。
【解決手段】貼付対象面の画像を背景画像として読み込み、その背景画像において、ラベルを貼りつける予定の位置に、「ラベルサイズを示す枠」を表示する。枠内の画像を第1文字背景イメージとして抽出し(S53)、別途作成した文字イメージ(S67)と合成する(S69)。文字イメージの背景として第1文字背景イメージが配置された合成イメージが、ラベルのイメージとして作成される。このラベルを、貼付対象面に貼りつけた様子を示すプレビュー画像が、サンプル表示部に表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、記号、図柄等の印刷データを作成する過程において編集が可能な印刷データ編集装置及び印刷データ編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テーププリンタで作成されるラベルは、背景が無地、又は事前に準備されている色や模様のラベルテープ上に、文字等を印刷し、使用する大きさにカットしたものであった。このラベルを、ラベルの貼付対象面として、例えば色や模様のある用紙の表面に貼り付けた場合には、用紙の色や模様と、ラベルの背景(すなわち、もとのラベルテープの色や模様)とが異なるために、ラベルの形状が際立ってしまうことが多かった。また、模様のある用紙に貼りつけたラベルを自然な感じに見せるには、透明のラベルテープに文字等を印刷して、用紙に貼るという方法もある。しかし、この方法では、文字等が用紙の模様に溶け込んでしまい、はっきりと認識できない場合もある。
【0003】
このような場合、テーププリンタで実際にラベルを作成する前に、作成予定のラベルの画像を貼付対象面の画像に重ねた状態を表現したプレビュー画像を仮に作成すれば、仕上がり具合を確認できる。例えば、文字等を、色や模様のある用紙に印刷する場合に、あらかじめ用紙の模様を画像としてスキャナで取り込み、取り込んだ用紙の画像に文字等を印刷した状態を表現したプレビュー画像を表示することが可能な文書編集装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−268645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の文書編集装置は、用紙に印刷する文字等の編集は行えるものの、用紙の色や模様に対する編集を行うものではない。したがって、色や模様のあるラベルテープに、この文書編集装置を用いて編集した文字等を印刷してラベルを作成する場合、ラベルの貼付対象面にあわせた色や模様をもったラベルテープを厳選して使用しないと、ラベルが際立ってしまい、肝心の文字等が目立たなくなる虞があった。また、透明のラベルテープに文字等を印刷し、貼付対象面に貼りつけた状態を模して、貼付対象面に直接、文字等を重ねたプレビュー画像を用いて文字等の編集を行ったとしても、出来上がったラベルを正確にプレビュー画像で確認した位置に貼りつけなければ、文字等が用紙の色や模様に溶け込んでしまい、はっきりと認識できなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、自然に貼り付け対象に馴染み、かつ自身に印刷された文字等をはっきりと認識させられるラベルを作成するための印刷データを作成する過程で編集することができる印刷データ編集装置及び印刷データ編集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の印刷データ編集装置は、テープ状の被印刷媒体に文字データを印刷するための印刷データを作成する過程において編集が可能な印刷データ編集装置であって、前記被印刷媒体が貼り付けられる貼付対象面の画像を原画像データとして取得する原画像取得手段と、前記原画像取得手段によって取得された前記原画像データから被印刷媒体に印刷する前記文字データの第1の背景の画像とする第1文字背景データを抽出する第1文字背景抽出手段と、前記第1文字背景抽出手段によって抽出された前記第1文字背景データと、前記文字データとを合成し、合成データを作成する合成データ作成手段と、前記合成データ作成手段によって作成された前記合成データから前記印刷データを作成する印刷データ作成手段とを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1文字背景データに対して画像処理を施し、前記第1の背景画像の状態を変化させる画像処理手段を備えている。
【0009】
また、請求項3に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記画像処理手段は、前記第1文字背景データを構成する領域を、前記文字データと合成された際の上下方向において3つに分け、最も上の上領域、最も下の下領域、および両者の中間の中領域に分割する分割手段と、前記上領域を、前記中領域との境界から上方向に圧縮する第一圧縮手段と、前記下領域を、前記中領域との境界から下方向に圧縮する第二圧縮手段と、前記上領域および前記下領域の圧縮にあわせ、前記中領域を上下方向に伸長する伸長手段と、圧縮後の前記上領域、圧縮後の前記下領域、および伸張後の前記中領域を結合し、前記第1文字背景データを再構成する結合手段とを備えている。
【0010】
また、請求項4に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記画像処理手段は、前記第1の背景画像をにじませるぼかし処理を前記第1文字背景データに施すぼかし手段を備えている。
【0011】
また、請求項5に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記画像処理手段は、前記第1文字背景データを構成する領域の輪郭線に沿って、前記輪郭線内に、前記第1文字背景データの影を模した影画像を付加する影付加手段を備えている。
【0012】
また、請求項6に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2乃至5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記文字データの周囲を囲う領域として設定される文字枠領域の形状として、複数種類の形状を記憶する文字枠形状記憶手段と、前記文字枠形状記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域の形状の中から一つの形状を選択する文字枠形状選択手段と、前記文字枠領域内の色として、複数種類の色を記憶する文字枠内色記憶手段と、前記文字枠内色記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域内の色の中から一つの色を選択する文字枠内色選択手段と、前記文字枠形状選択手段によって形状の選択された前記文字枠領域内の色に、前記文字枠内色選択手段によって選択された色を設定して、前記文字データの第2の背景の画像とする第2文字背景データを作成する第2文字背景作成手段とをさらに備え、前記合成データ作成手段は、前記第1文字背景データと、前記文字データと、前記第2文字背景データとを合成し、前記合成データを作成することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明の印刷データ編集プログラムは、請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷データ編集装置の各種処理手段として、コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の印刷データ編集装置では、貼付対象面の画像を第1文字背景データとして抽出し、文字データの第1の背景の画像とすることができる。したがって、第1文字背景データと文字データを合成した合成データから印刷データを作成し、被印刷媒体に印刷して印刷物を作成すれば、予め貼付対象面の画像に文字データが馴染んだ状態の印刷物を得ることができる。その印刷物を貼付対象面に貼りつける場合、貼付位置を決定するには、第1文字背景データとして印刷された貼付対象面の画像を、貼付先の貼付対象面の画像と一致させればよいので、位置決めを容易に行うことができる。そして、貼付対象面に張った印刷物を、貼付対象面全体に違和感なく馴染ませつつも、その印刷物に印刷された文字データを十分に目立たせることができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、貼付対象面の画像から抽出した第1文字背景データに画像処理を施すことができるので、この第1文字背景データを用いて印刷物を作成すれば、ユーザは、貼付対象面に合った印象を持つ印刷物を得ることができる。この印刷物が貼付対象面に貼りつけられれば、貼付対象面全体でみた場合に、印刷物が貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずることになるが、その部分に文字データが配置されることになるので、文字データを十分に目立たせることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、第1文字背景データに画像処理を施して、もとの貼付対象面の画像を上下にこじ開けたような印象を持つ第1文字背景データを作成することができる。この第1文字背景データを用いて印刷物を作成すれば、ユーザは、貼付対象面に合った印象を持つ印刷物を得ることができる。また、貼付対象面全体でみた場合に、こじ開けたような印象を持つ第1文字背景データによって、印刷物が貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずるが、その部分に文字データが配置されることになるので、文字データを十分に目立たせることができる。
【0017】
また、請求項4に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、第1文字背景データに画像処理を施して、もとの貼付対象面の画像をにじませて、ぼかした印象を持つ第1文字背景データを作成することができる。この第1文字背景データを用いて印刷物を作成すれば、ユーザは、貼付対象面に合った印象を持つ印刷物を得ることができる。また、貼付対象面全体でみた場合に、ぼかした印象を持つ第1文字背景データによって、印刷物が貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずるが、その部分に文字データが配置されることになるので、文字データを十分に目立たせることができる。
【0018】
また、請求項5に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2乃至4のいずれかに記載の発明の効果に加え、影画像を付加することによって、第1文字背景データに立体感を持たせることができる。そして立体感による視覚効果で、作成される印刷物に高級感を与えることや、印刷される文字データを際立たせることができる。
【0019】
また、請求項6に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2乃至5のいずれかに記載の発明の効果に加え、第1文字背景データと文字データにさらに第2文字背景データを付加することによって、色だけでなく、形状による視覚効果を持たせ、文字データを、より際立たせることができる。
【0020】
また、請求項7に係る発明の印刷データ編集プログラムによれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷データ編集装置の各種処理手段としてのコンピュータを機能させることができる。したがって、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】テーププリンタ1に接続された状態のPC2の斜視図である。
【図2】PC2の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】HDD65の記憶領域の概念図である。
【図4】ノンラミネートタイプのラベルテープ8を排出するテープカセット30の内部構造を示す平面図である。
【図5】テーププリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】PC2のモニタ21に表示された編集画面7を示す図である。
【図7】印刷データ編集プログラムのフローチャートである。
【図8】背景画像100の一例を示す図である。
【図9】「ラベルサイズを示す枠」(枠811)が背景画像100内に配置された様子を示す図である。
【図10】イメージ表示処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図11】画像処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図12】第1文字背景イメージに影付加処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図13】第1文字背景イメージに施すこじ開け処理について説明するための図である。
【図14】第1文字背景イメージに施すこじ開け処理について説明するための図である。
【図15】第1文字背景イメージにこじ開け処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図16】第1文字背景イメージにぼかし処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図17】第1文字背景イメージに粒状処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図18】第1文字背景イメージにノイズ処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図19】第1文字背景イメージに水晶処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図20】第2文字背景イメージが作成され、第1文字背景イメージと重ねた上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る「印刷データ編集装置」としてのパーソナルコンピュータ2(以下、「PC2」という)、およびそれに接続したテーププリンタ1を採用した一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
まず、図1を参照して、PC2およびテーププリンタ1の物理的構成の概要について説明する。図1に示すように、PC2は、例えばUSB(登録商標)規格に基づくUSBケーブル10によってテーププリンタ1に接続されている。
【0024】
図1に示すPC2は、周知のパーソナルコンピュータであり、本体6と、モニタ21と、キーボード22と、マウス23と、スキャナ24とを備えている。なお、モニタ21、キーボード22、マウス23、およびスキャナ24は、それぞれ本体6に接続ケーブルによって接続されている。また、本体6の前面には、CD−ROM26(図2参照)を挿入することができるCD−ROMドライブ64が設けられている。
【0025】
一方、図1に示すテーププリンタ1は、略直方体状の筐体4を備え、筐体4の前面(図中、右手前側の面)には、被印刷媒体であるラベルテープ8を排出するためのテープ排出口3が設けられている。また、筐体4の左側面に設けられたカバー5を開放すると、内部に後述するテープカセット30(図4参照)を装着できるように構成されている。
【0026】
次に、図2および図3を参照して、PC2の電気的構成について説明する。まず、図2に示すように、PC2は、PC2の制御を司るCPU61を備えている。CPU61には、バス29を介して、ROM62、RAM63、CD−ROMドライブ64、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)65、USBインターフェース66、表示制御部67、および入力検知部68が接続されている。
【0027】
ROM62は、CPU61が実行するBIOS等のプログラムを記憶する読出し専用の記憶装置である。RAM63は、データを一時的に記憶する読み書き可能な記憶装置である。
【0028】
CD−ROMドライブ64は、データが記憶されたCD−ROM26が挿入されると、CD−ROM26からデータや印刷データ編集プログラムの読み込みを行うものである。また、記憶装置であるHDD65には、図3に示すように、プログラム記憶領域651、および初期値等記憶領域652等が設けられている。プログラム記憶領域651には、PC2でドキュメントのデータを編集するためのプログラムや、テーププリンタ1の印刷動作を制御するためのプログラム等、各種のプログラムが記憶されている。また、初期値等記憶領域652には、各種設定項目の初期値や、文字枠形状(後述)のパターンデータなど、印刷データ編集プログラムの実行にあたって参照されるデータ等が記憶されている。なお、後述する印刷データ編集プログラムや、この実行時に使用される設定やデータ等は、CD−ROM26に記憶されたものを読み込んで、HDD65に記憶させることができる。その他には、例えば、フレキシブルディスクやMO等の他の記憶媒体を介して取得してもよい。あるいは、PC2をネットワークに接続させ、ネットワーク上の他の端末から取得してもよい。
【0029】
USBインターフェース66は、テーププリンタ1を含む外部機器との通信を行うためのインターフェースである。表示制御部67は、ユーザが見る操作画面を表示するモニタ21に接続されており、モニタ21の画面表示処理を行う。また、入力検知部68には、キーボード22、マウス23、およびスキャナ24が接続されており、入力検知部68はこれらからの入力の検知を行う。
【0030】
次に、図4を参照してテープカセット30の内部構造について説明する。なお、図4の紙面上方をテープカセット30の後側、紙面下方をテープカセット30の前側、紙面右方をテープカセット30の右側、紙面左方をテープカセット30の左側と定義する。
【0031】
図4に示すように、ケース34内の左後側には、ラベルテープ8を巻回して支持するテープスプール39が、回転可能に配置されている。また、ケース34内の右前側には、インクリボン37を巻回したリボンスプール36が回転可能に配置されている。さらに、テープスプール39とリボンスプール36とに挟まれた間の位置には、リボンスプール36からインクリボン37を引き出すとともに、文字等の印字にて使用された使用済インクリボン13を巻き取るリボン巻取スプール31が、回転可能に配置されている。また、テープカセット30内の前側には、テープスプール39から引き出されたラベルテープ8、およびリボンスプール36から引き出されたインクリボン37を、自身に設けられた開口部18から、ラベルテープ8を排出するテープ排出部43の方向へ案内するアーム部17が設けられている。
【0032】
さらに、ラベルテープ8およびインクリボン37の走行方向に関しサーマルヘッド44(図5参照)が挿入されるヘッド装着部32の下流側には、テープ送りローラ42が回転可能に設けられている。テープ送りローラ42は、それに対向する圧接ローラ(図示外)との協働によって、テープスプール39からラベルテープ8を引き出すものである。また、テープ送りローラ42の近傍位置には、規制部材19が設けられており、規制部材19は、サーマルヘッド44の下流側にて、文字が印刷されたラベルテープ8の幅方向への移動を規制するものである。
【0033】
そして、リボン巻取スプール31に向かって搬送される使用済インクリボン13と、テープスプール39に巻回して支持されたラベルテープ8との間には、使用済インクリボン13とラベルテープ8とが互いに接触するのを防止するための分離壁14が起立して設けられている。
【0034】
また、図4に示すように、テープカセット30の右後側には、カセット検出部11が形成されている。このカセット検出部11には、テープカセット30の種類(例えば、ラベルテープ8の幅、インクリボン37に塗布されたインクの色等によって、テープカセット30の種類が特定される)を検出するために、所定のパターンをもって複数個のスイッチ孔12が穿設されている。このスイッチ孔12の形成パターンは、テープカセット30の種類に従って異なるパターンとされている。そして、これらスイッチ孔12は、テーププリンタ1(図1参照)に配設された複数個の検出スイッチ(図示外)のオン・オフの組合せに基づいて検出されるものである。
【0035】
本実施の形態では、ノンラミネートタイプのラベルテープ8を使用している。ノンラミネートライプのラベルテープ8は、剥離紙付きの片面粘着テープの非粘着面に文字等が印刷され、印刷面の保護を行うラミネートフィルムは付帯しない、ラベルテープである。そして、ノンラミネートタイプのラベルテープ8は、テープ排出部43におけるラベルテープ8の後側が印刷面となっており、テープ排出部43におけるラベルテープ8の前側が粘着面となり、剥離紙が接着されている。
【0036】
次に、テープカセット30におけるラベルテープ8の搬送経路について説明する。ラベルテープ8は、ヘッド装着部32の下流側に設けられたテープ送りローラ42と、テーププリンタ1(図1参照)に設けられた圧接ローラ(図示外)との協働によって、テープスプール39から引き出され、アーム部17の開口部18からヘッド装着部32の前側を通過した後、テープ排出部43からテープカセット30の外方へ排出される。また、インクリボン37は、リボン送りモータ49(図5参照)が回転することによって、リボン巻取スプール31によってリボンスプール36から引き出され、アーム部17の開口部18からヘッド装着部32の前側を通過した後、規制部材19の内方に形成された案内部16に案内されて、リボン巻取スプール31の周囲に巻き取られる。また、ラベルテープ8は、テープ巻き戻しモータ41(図5参照)の回転にともないテープスプール39が逆回転することによって、巻き戻される。ここで、テープ巻き戻しモータ41は、ラベルテープ8を巻き取る時のみ回転し、テープスプール39が正回転する時、つまり、印刷時は回転しない。なお、リボン巻取スプール31の下部には、リボン巻取スプール31が逆転して巻き取った使用済インクリボン13が緩んでしまうのを防止するクラッチバネ15が取り付けられている。
【0037】
また、本実施の形態で用いているテープカセット30では、ラベルテープ8に対してカラー印刷が可能である。カラー印刷を行うために、インクリボン37には、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の色インクが交互に配置されている(図示外)。そして、インクリボン37の一の色インクでラベルテープ8が印刷された後、テープ巻き戻しモータ41(図5参照)が回転してリボンスプール36を逆回転させることによって、ラベルテープ8を巻き戻す。また同時にインクリボン37は、次の色インクの先頭まで搬送される。この動作を一つの印刷データに対して、CMYの各色インクで繰り返し印刷することで、カラー印刷を行うことができる。なお、インクリボン37の色インクには、黒(K)や、各色の中間色などを用いてもよい。
【0038】
次に、テーププリンタ1の電気的構成について、図5を参照して説明する。図5に示すように、テーププリンタ1の制御部50は、テーププリンタ1の制御を司るCPU52を備えている。CPU52には、ROM53、RAM54および入出力インターフェース51が接続されている。
【0039】
ROM53には、PC2において作成され、USBケーブル10を介して送信されてくる印刷データに基づきラベルを作成する際に駆動させる各モータやサーマルヘッド44の駆動を制御するプログラム等、テーププリンタ1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。RAM54には、印刷実行時にPC2から送信されてくる印刷データ等、各種処理の際使用するデータを一時的に記憶する複数の記憶領域が設けられている。
【0040】
また、入出力インターフェース51には、テープ送りモータ46を駆動するための駆動回路55、およびテープカッタ60を動作させるテープカッタ駆動モータ47を駆動するための駆動回路56が接続されている。また、入出力インターフェース51には、サーマルヘッド44を駆動するための駆動回路57、リボン送りモータ49を駆動するための駆動回路58、およびテープ巻き戻しモータ41を駆動するための駆動回路40が接続されている。さらに、入出力インターフェース51には、USBケーブル10を介してPC2に接続するためのUSBポート25が接続されている。
【0041】
次に、図6を参照して、モニタ21に表示される編集画面7について説明する。編集画面7は、印刷データ編集プログラムが起動され、後述するメイン処理が開始されると表示される画面である。ユーザは、編集画面7を見ながらキーボード22やマウス23を用いて、編集や設定のためのデータや指示の入力を行うことができる。
【0042】
図6に示すように、編集画面7には、背景画像設定領域71が左端上部に設けられ、背景画像設定領域71の下方に第1文字背景加工領域78が設けられている。また、背景画像設定領域71の右隣にラベル設定領域72が設けられ、ラベル設定領域72の右隣に第2文字背景設定領域73が設けられ、さらに第2文字背景設定領域73の右隣に文字設定領域74が設けられている。そして、ラベル設定領域72、第2文字背景設定領域73、および文字設定領域74の下方に、長方形状のサンプル表示部75が設けられている。また、編集画面7の左下には印刷ボタン76、右上には終了ボタン77が設けられている。
【0043】
背景画像設定領域71には、カメラ入力ボタン711、スキャナ入力ボタン712、およびファイル入力ボタン713が設けられている。カメラ入力ボタン711は、ラベルテープ8の貼り付けを行う貼付対象面の画像(背景画像)をカメラ(図示外)から入力することを指定するボタンであり、スキャナ入力ボタン712は、背景画像をスキャナ24から入力することを指定するボタンである。また、ファイル入力ボタン713は、背景画像を、HDD65に保存されているファイルから入力することを指定するボタンである。
【0044】
詳細については後述するが、本実施の形態では、ラベルに印刷する文字(文字列)の画像(文字イメージ)の背景として、第1背景イメージを、ラベル全体に印刷することができる。さらに、文字イメージの周囲を囲って、第1背景イメージとは異なる第2の背景(第2文字背景イメージ)を、第1背景イメージに上書きするように重ねて印刷することもできる。つまり、上記の文字イメージ、第1背景イメージおよび第2背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合)を合成した画像(合成イメージ)が、作成中または完成後のラベルのイメージとなる。背景画像は、作成中または完成後のラベルを、貼付対象面に貼りつけた状態を表現するために用いられる。具体的に、サンプル表示部75に、合成イメージを背景画像に重ねた画像(プレビュー画像)が表示されるのである。
【0045】
また、第1文字背景イメージは、背景画像をもとに作成される画像であり、背景画像のうち、後述する「ラベルサイズを示す枠」に囲まれる領域内の画像が抽出されて、画像処理が施され、第1文字背景イメージとして使用される。第1文字背景加工領域78には、第1文字背景イメージの加工方法(つまり、第1文字背景イメージに施す画像処理の種類)を指定する第1文字背景加工リストボックス781および影加工リストボックス782が設けられている。各リストボックスには、ユーザが、各リストボックスの右隅にある逆三角形のマークをマウスのカーソルでクリックして押下すると選択候補(処理名)が表示され、そのうちの一つを選択すると、選択された処理名がリストボックスに表示され、処理名に応じた処理が実施される。本実施の形態では、第1文字背景イメージに施す画像処理の種類として、第1文字背景加工リストボックス781から「こじ開け」、「ぼかし」、「粒状」、「ノイズ」、「水晶」または「なし」を選択することができる。また、影加工リストボックス782では、第1文字背景イメージに影を付加するか否か(影を模した画像(以下、「影画像」という。)を付加する画像処理を行うか否か)を選択することができる。なお、影画像は、第1文字背景イメージを構成する領域の輪郭線(つまりは後述する「ラベルサイズを示す枠」であり、より具体的には、完成後のラベルの縁である。)に沿って、その輪郭線の内側に配置されるものであり、影を模した画像よりもさらに内側に描かれた画像に、立体感を持たせる役割を果たす。さらには立体感による視覚効果で、作成されるラベルに高級感を与えることや、印刷される文字イメージを際立たせることができる。
【0046】
次に、ラベル設定領域72には、作成するラベルの縦横の大きさ(サイズ)を指定するラベルサイズリストボックス721、およびラベルテープ8の色(透明も含む)をラベル色として指定するラベル色リストボックス722が設けられている。
【0047】
また、第2文字背景設定領域73には、文字枠形状リストボックス731、文字枠内色リストボックス732、および文字枠周囲ぼかしリストボックス733が設けられている。文字枠形状リストボックス731では、第2文字背景イメージが占める領域、すなわち、文字イメージの周囲を囲う領域(以下、「文字枠領域」という。)の形状(例えば長円形や長方形など)を選択することができる。また、文字枠内色リストボックス732では、文字枠領域内を塗りつぶす色を選択することができ、文字枠周囲ぼかしリストボックス733では、文字枠領域の内側と外側との境目をにじませ、第2文字背景イメージの周囲をぼかす処理の有無や強度を設定することができる。なお、文字枠形状リストボックス731では、文字枠領域の形状として「なし」も選択することができる。この場合、文字枠内色リストボックス732、および文字枠周囲ぼかしリストボックス733では処理を選択できなくなり、第2文字背景イメージが作成されない。
【0048】
また、文字設定領域74には、文字の書体を設定する書体リストボックス741、文字のサイズを設定する文字サイズリストボックス742、文字の色を設定する文字色リストボックス743、および文字の装飾(例えば太字、斜体、アンダーラインなど)を設定する文字装飾リストボックス744が設けられている。
【0049】
さらに、編集画面7には、編集した画像から印刷データを作成し、テーププリンタ1に印刷させる印刷ボタン76、印刷データの編集を終了するための終了ボタン77が設けられている。
【0050】
なお、サンプル表示部75に表示されるプレビュー画像において、背景画像の中で作成中または完成後のラベルのイメージを配置する位置(貼付対象面にラベルを貼りつける位置)には、「ラベルサイズを示す枠」(図9の枠811)が表示される。この枠811が表示されている場合、ユーザが枠811内をクリックすると、カーソルが表示され、ラベルに記す文字の入力を行えるようになる。文字の入力は、キーボード22やマウス23(ソフトウェアキーボードなどを使用)からの入力、クリップボードからのペーストなど、公知の手法によって行うことができる。入力された文字(文字列)は、文字データとして、RAM63に記憶される。なお、文字入力に係る処理は、例えばOSの持つ機能を利用して、印刷データ編集プログラムとは独立に行われる。
【0051】
次に、図7〜図20を参照して、テーププリンタ1に印刷を行わせるために、PC2で行われる処理について説明する。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0052】
本実施の形態のPC2は、ユーザが別途入力した文字(文字列)等の画像(文字イメージ)を、第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)と合成して合成イメージを作成し、その合成イメージから、図4に示すラベルテープ8に印刷するための印刷データを作成するものである。文字イメージや第1文字背景イメージ、第2文字背景イメージに対しては、上記のリストボックスやボタン等の設定内容に応じた編集が行われ、編集後に、再度、合成イメージがプレビュー画像としてサンプル表示部75に表示されることで、編集結果が示される。プレビュー画像は、後述するイメージ表示処理(図10参照)において作成される。
【0053】
図7に示す印刷データ編集プログラムは、前述したように、HDD65のプログラム記憶領域651に記憶されており、ユーザが実行ファイルを起動させると、CPU61が、印刷データ編集プログラムに従い、各処理を実行する。印刷データ編集プログラムでは、まず、初期化が行われる(S1)。この処理では、プログラム内で使用される変数やフラグ、カウンタ等の初期化が行われる。また、各設定値や設定項目には初期値や標準設定が設定される。例えば、標準設定として、文字の書体には明朝体が設定され、文字枠形状には長円形が設定される。そして、PC2のモニタ21に編集画面7(図6参照)が表示され、各種ボタンやリストボックス等の押下(操作)待ちが開始される(S3:NO,S9:NO,S15:NO,S21:NO,S25:NO,S33:NO,S3)。編集画面7の各種ボタンやリストボックス等が押下されると、押下されたボタンやリストボックス等に対応する各処理が実行される。
【0054】
押下待ちの間に、編集画面7で、背景画像入力ボタンとして分類される、カメラ入力ボタン711、スキャナ入力ボタン712、およびファイル入力ボタン713のいずれかのボタンが押された場合には(S3:YES)、例えば図8に示す、背景画像100のデータ(背景画像データ)が読み込まれる(S5)。押されたボタンに応じて、カメラ(図示外)による撮影画像のデータ、スキャナ24による取り込み画像のデータ、およびHDD65に予め記憶されているファイル(画像データ)のいずれかのデータが、背景画像データとして読み込まれる。次いで、イメージ表示処理(S35)が行われる。イメージ表示処理の詳細については後述するが、サンプル表示部75にプレビュー画像が表示され、ラベルを貼りつける貼付対象面の画像として背景画像100が表示される。イメージ表示処理の後、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0055】
押下待ちの間に、オブジェクト選択リストボックスとして分類される、ラベルサイズリストボックス721、文字枠形状リストボックス731、文字枠周囲ぼかしリストボックス733、書体リストボックス741、文字サイズリストボックス742、文字装飾リストボックス744、第1文字背景加工リストボックス781、および影加工リストボックス782のいずれかのリストボックスが押下された場合には(S9:YES)、各リストボックスに対応した選択候補が表示される(S11)。例えば、ラベルサイズリストボックス721においては、「12mm×48mm」、「12mm×auto」など、ラベルテープ8から切り出されるラベルの縦横の大きさ(サイズ)を設定するための選択候補が表示される。ここで、「12mm×auto」が選択されると、ラベルの縦の長さは12mmに設定され、横の長さは文字の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0056】
そして、上記の各オブジェクト選択リストボックスにおいて選択されるそれぞれの選択候補は、対応する各項目(作成するラベルの縦横のサイズ、文字枠領域の形状、第2文字背景イメージの周囲をぼかす処理の有無や強度の設定、文字の書体、文字の装飾、第1文字背景に施す画像処理の種類)の設定値としてRAM63に記憶(登録)される(S13)。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0057】
押下待ちの間に、「色選択」関連リストボックスとして分類される、ラベル色リストボックス722、文字枠内色リストボックス732、および文字色リストボックス743のいずれかのリストボックスが押下された場合には(S15:YES)、各リストボックスに対応した選択候補が表示される(S17)。ラベル色や文字枠内色、文字色として選択された色は、設定値としてRAM63に記憶(登録)される(S19)。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0058】
押下待ちの間に、「ラベルサイズを示す枠」が押されている状態にある場合には(S21:YES)、マウスポインタの移動量分だけ、「ラベルサイズを示す枠」の位置が、背景画像100(図9参照)に対して移動される(S23)。後述するイメージ表示処理において、背景画像とラベルサイズが設定されていると、サンプル表示部75(図6参照)にはラベルテープ8から切り出されるラベルの大きさを示す、「ラベルサイズを示す枠」(以下、「枠」811ともいう。)が表示される。例えば図9に示すように、サンプル表示部75に背景画像100が表示されるとともに、背景画像100に重ねて枠811が表示される。ユーザが、マウス23のポインタで枠811をクリックし、ホールドすれば、ユーザは、枠811をドラッグして移動させることができるようになる。枠811は、初期状態において、サンプル表示部75に表示された背景画像100の範囲内で、右下に表示されるが、マウス23を操作して枠811をドラッグすれば、背景画像100上の任意の位置に移動させることもできる。このように、ユーザは、背景画像100内で、マウスを操作することによって、「ラベルサイズを示す枠」(枠811)を容易に動かすことができ、任意の貼り付け位置を設定することができる。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0059】
押下待ちの間に、印刷ボタン76が押された場合には(S25:YES)、「ラベルサイズを示す枠」内に表示された合成イメージを、ラベルテープ8に印刷する処理が行われる。ここでは、後述するイメージ表示処理(S35)で作成され、RAM63に記憶された合成データをもとに、印刷データを作成する処理が行われる。合成データは、上記したように、文字イメージと第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)を合成した合成イメージのデータである。詳細には、RAM63の仮想第1文字背景領域(後述)において仮想的に形成された、第1文字背景データを表現した第1文字背景イメージの上に、仮想第2文字背景領域(後述)において仮想的に形成された、第2文字背景データを表現した第2文字背景イメージが重ねて配置される(第2文字背景イメージが作成された場合)。さらに第1文字背景イメージ(あるいは第2文字背景イメージ)の上に、仮想文字領域(後述)において仮想的に形成された、文字データを表現した文字イメージが重ねて配置され、合成イメージが作成される(S27)。PC2には、印刷データ編集プログラムとは別途、テーププリンタ1のドライバ(公知のプログラム)がインストールされており、合成イメージのデータ(合成データ)は、ドライバに受け渡される。ドライバでは、公知のカラープロファイルが参照され、例えばRGB形式で表現される合成データの各画素について、1画素ごとに、印刷用のCMY形式の色インクの種類と、画素を構成する複数の微細なドットの各印刷位置とを対応付けたデータに変換される。さらに、テーププリンタ1に対する制御コマンドが付加されて、印刷データとして作成される(S29)。作成された印刷データは、USBケーブル10を介してテーププリンタ1に送信され(S31)、テーププリンタ1において、ラベルテープ8に合成イメージが印刷され、さらにラベルサイズにカットされて、ラベルが作成される。印刷データ編集プログラムでは、テーププリンタ1への印刷データの送信後、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0060】
押下待ちの間に、終了ボタン77が押された場合には(S33:YES)、印刷データ編集プログラムの実行が終了される。PC2のモニタ21(図1参照)における編集画面7(図6参照)の表示も終了される。
【0061】
次に、メイン処理のS35においてコールされるイメージ表示処理の詳細について説明する。図7に示す、印刷データ編集プログラムのメイン処理において、S35のイメージ表示処理は、上記した、S5、S13、S19、S23の各処理の後にコールされ、図10に示す、サブルーチンが実行される。図10に示すように、イメージ表示処理では、まず、背景画像が、カメラ、スキャナ、あるいはファイルから、既に読み込み済みであるか、確認が行われる(S41)。RAM63が参照され、背景画像データが記憶されていなければ(S41:NO)、イメージ表示処理を終了し、メイン処理へ戻ってS3へ進む。したがって、サンプル表示部75へのプレビュー画像の表示は行われない。RAM63に背景画像データが記憶されている場合には(S41:YES)、RAM63上で、サンプル表示部75の表示画面を仮想的に形成した領域(以下、「仮想表示領域」という。)に、背景画像データ(例えば図8に示す背景画像100)が展開され、背景画像のみを表示したプレビュー画像が作成される。
【0062】
次に、ラベルサイズ(ラベルサイズリストボックス721(図6参照)で指定されたラベルの縦横の大きさ(サイズ))が登録済みであるか、確認が行われる(S43)。上記同様、RAM63が参照され、ラベルサイズが記憶されていなければ(S43:NO)、イメージ表示処理を終了し、メイン処理に戻ってS3へ進む。このように、イメージ表示処理では、背景画像データおよびラベルサイズがRAM63に記憶されていないと、プレビュー画像の作成が行われず、メイン処理に戻ることになる。
【0063】
RAM63にラベルサイズが記憶されている場合(S43:YES)、RAM63に記憶された文字データと、文字の書体(フォント)、文字サイズおよび文字装飾とに基づいて、文字の占める領域が求められ、RAM63に記憶される(S45)。具体的に、CPU61のバッファ内で、文字データによって指定される文字(文字列)に対して書体、文字サイズおよび文字装飾を適用した状態で表現される文字イメージが作成される。次に、フォントの種類(プロポーショナルフォント、等幅フォントなど)に応じて文字間の幅が調整され、調整後の文字イメージの範囲(つまり、文字の占める領域)から、文字列全体の幅(本実施の形態ではラベルテープ8の延長方向に占める長さ)が算出される。同様に、調整後の文字イメージの範囲から、文字列全体の高さ(本実施の形態ではラベルテープ8の幅方向に占める長さ)も算出される。求められた文字列の幅および高さはRAM63に記憶され、後述する文字枠形状の調整や、ラベルサイズの決定(ラベルの横の長さをautoにした場合)、第2文字背景イメージが作成される場合にはその周囲をぼかす処理の適用範囲の調整、ラベル内における文字イメージのセンタリング(余白調整)などに利用される。さらに、仮想表示領域において、指定(autoの場合は上記で算出)されたラベルサイズに応じた枠(「ラベルサイズを示す枠」、図9の枠811)を背景画像に重ねて配置したプレビュー画像が作成される。
【0064】
次いで、RAM63に記憶されているラベル色(ラベル色リストボックス722(図6参照)で指定されたラベルテープ8の色)が透明か否か確認され、透明でなければ(S51:NO)、指定されたラベル色で仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内が塗りつぶされて、S61に進む。このように、ラベル色をしたラベルのイメージが背景画像上に配置された状態のプレビュー画像が作成される。
【0065】
指定されたラベル色が透明である場合(S51:YES)、仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内の画像が読み込まれる(抽出される)。読み込まれた画像は、RAM63上で、仮想表示領域とは別に仮想的に形成される領域(以下、「仮想第1文字背景領域」という。)に展開され、第1文字背景イメージとして作成される(S53)。
【0066】
次に、第1文字背景イメージに対して、画像処理を行うか否かについての確認がなされる。第1文字背景イメージに対して行う画像処理は、上記したように、第1文字背景加工リストボックス781および影加工リストボックス782において選択され、設定値としてRAM63に記憶されている。画像処理が設定されていなければ(S57:NO)、そのままS61に進む。なお、第1文字背景イメージに対する画像処理が設定されないまま印刷ボタンが押され、透明なラベルテープ8からラベルが作成された場合、貼付対象面の画像そのものが第1文字背景イメージとして、文字イメージとともにラベルテープ8に印刷されることとなる。
【0067】
第1文字背景イメージに対して行う画像処理が設定(登録)されていれば(S57:YES)、画像処理を第1文字背景イメージに適用するため(S59)、図11に示す、画像処理のサブルーチンがコールされる。
【0068】
図11に示すように、画像処理では、第1文字背景加工リストボックス781で選択された処理内容に応じ、S71〜S91において択一的に、「こじ開け」、「ぼかし」、「粒状」、「ノイズ」、「水晶」の各処理に分岐され、実施される。また、影画像を付加する画像処理については、これらの画像処理とは独立に影加工リストボックス782にて選択可能であり、S95〜S96において処理される。ここで、イメージ表示処理は、表示に関わるボタンやリストボックスの操作の都度、実施され、新たなプレビュー画像が作成されることとなるが、画像処理は、そのプレビュー画像の作成過程において、第1文字背景加工領域78の2つのリストボックスでいずれかの処理が選択されていない限り、実施されない。よって、第1文字背景加工リストボックス781で「なし」が設定された場合には、影加工リストボックス782で「有り」が選択されていることとなる(S71:NO,S81:NO,S84:NO,S87:NO,S90:NO,S96)。この場合には、影によって立体感のある透明なガラスを模した第1文字背景イメージが作成される。具体的に、第1文字背景イメージに、影画像を付加する画像処理が適用された例を、図12に示す。図12では、影画像202が付加された第1文字背景イメージ201と、「yamamoto」という文字からなる文字イメージ205とを合成した合成イメージ200を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねてプレビュー画像として形成し、サンプル表示部75に表示させた例を示している。本実施の形態では、このように、「yamamoto」という文字が印刷されたラベルを作成する場合を例に、以降の説明も行う。影画像を付加する処理がなされた後は、画像処理を終了して図10のイメージ表示処理に戻り、S61に進む。
【0069】
図11に示すように、画像処理として「こじ開け」が選択されている場合(S71:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、画像の中央から上下に引き裂くようにこじ開ける印象を表現することのできる、こじ開け処理が行われる。まず、図13に示すように、仮想第1文字背景領域300に展開された第1文字背景イメージ211が、上下方向に3つの領域に分割される(S72)。3分割された領域のうち、仮想第1文字背景領域300内で最も上側に展開されている部分の領域を上領域301、最も下側の部分の領域を下領域303、両者の間の部分の領域を中領域302とする。なお、本実施の形態では、予め、作成されるラベルに印刷されることとなる文字イメージを、ユーザが読み取る際の向きを基準に上下方向が定められており、具体的には、ラベルテープ8の幅方向が上下方向に設定されている。
【0070】
次に、図14に示すように、第1文字背景イメージ211の上領域301の画像が、仮想第1文字背景領域300の上端へ向け、上方向に圧縮される(S73)。同様に、下領域303の画像が、仮想第1文字背景領域300の下端へ向け、下方向に圧縮される(S75)。その一方で、中領域302の画像は、上下方向に伸張される(S76)。そして、圧縮された上領域301の画像と、伸張された中領域302の画像と、圧縮された下領域303の画像とが結合されて、第1文字背景イメージ211として再構成される(S77)。具体的に、第1文字背景イメージ211に「こじ開け」の画像処理が適用された例を、図15に示す。ここでは、「こじ開け」の画像処理が施された第1文字背景イメージ211と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ210を、枠811内に配置し、さらに背景画像100に重ねることで、プレビュー画像が形成されている。図15には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。
【0071】
図11の画像処理では、S77の後、S95に進み、影付けを行うか否かについて、RAM63の設定値の参照によって確認がなされる。影加工リストボックス782で「なし」が選択されていた場合には(S95:NO)、画像処理を終了してイメージ表示処理に戻り、S61に進む。一方、影加工リストボックス782で「有り」が選択されていた場合には(S95:YES)、「こじ開け」の画像処理が施された第1文字背景イメージに対し、さらに、上記した、影画像を付加する画像処理が施される(S96)。その後、画像処理を終了して図10のイメージ表示処理に戻り、S61に進む。
【0072】
次に、図11に示すように、画像処理として「ぼかし」が選択されている場合(S71:NO,S81:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知のぼかしフィルタを適用したぼかし処理が行われる(S82)。ぼかし処理のアルゴリズムには多くの種類があり、以下に一例を示す。第1文字背景イメージを構成する全ての画素を、所定の画素数からなる画素群、例えば、3×3ドット分の9画素からなる画素群に分ける。次に、各画素群を順に注目し、注目した画素群を構成する9つの画素のRGB値の平均値を算出する。そして、9つの画素のRGB値を全て、平均値に置き換える。この処理を全ての画素群に適用することで、第1文字背景イメージの全体がにじんだ印象の画像となる。なお、ぼかしの強度は、画素群を構成する画素の数を増減することによって調整することができる。
【0073】
具体的に、第1文字背景イメージにぼかし処理を適用した例を、図16に示す。ここでは、ぼかし処理を施した第1文字背景イメージ221と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ220を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図16には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。
【0074】
図11の画像処理では、S82でぼかし処理が行われた後、上記同様S95に進み、影画像を付加する処理を行ってから(S95:YES,S96)、あるいはそのまま(S95:NO)、画像処理を終了して図10のイメージ表示処理に戻り、S61に進む。
【0075】
次に、画像処理として「粒状」が選択されている場合(S71:NO,S81:NO,S84:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知の粒状フィルタを適用した粒状処理が行われる(S85)。第1文字背景イメージを構成する全ての画素から乱数的に抽出した画素の色を、白色に変更することで、画像の表面にあたかも白色の粉を振り撒いたかのようなザラザラした粒状感を表現することができる。画素を抽出する際には、周囲の複数の画素とともに画素群としてまとめて抽出し、その画素群の色を白色化してもよい。画素群としてまとめる画素数や、画素群の形状を任意に設定すれば、粒の大きさや形状を好みのものに調整することもできる。
【0076】
具体的に、第1文字背景イメージに粒状処理を適用した例を、図17に示す。ここでは、背景画像100から抽出した第1文字背景イメージに粒状処理を施し、さらに、S82の後に進むS95〜S96の処理(図11参照)で影画像232を付加した第1文字背景イメージ231を作成している。そして第1文字背景イメージ231と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ230を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図17には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。なお、図11の画像処理では、上記の粒状処理(S85)の後、上記同様、S95〜S96、S61と進む。
【0077】
次に、画像処理として「ノイズ」が選択されている場合(S71:NO,S81:NO,S84:NO,S87:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知のノイズフィルタを適用したノイズ処理が行われる(S88)。粒状処理と同様に、第1文字背景イメージを構成する全ての画素から乱数的に抽出した画素の色を、赤、緑、青のいずれかの色に乱数的に変更することで、もとの第1文字背景イメージを、外乱により構成情報が乱され、画像の表面にR・G・B原色の粒状斑点がちりばめられた印象の画像として表現することができる。抽出する画素を、複数の画素とともにまとめて画素群としてもよいし、その画素群の大きさや形状を任意に調整してもよいことについても、上記同様である。
【0078】
具体的に、第1文字背景イメージにノイズ処理を適用した例を、図18に示す。ここでは、背景画像100から抽出した第1文字背景イメージにノイズ処理を施し、さらに影画像242を付加した第1文字背景イメージ241を作成している。そして第1文字背景イメージ241と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ240を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図18には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。図11の画像処理において、ノイズ処理(S88)の後、S95〜S96、S61と進むことは、上記同様である。
【0079】
次に、画像処理として「水晶」が選択されている場合(S71:NO,S81:NO,S84:NO,S87:NO,S90:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知の水晶フィルタを適用した水晶処理が行われる(S91)。第1文字背景イメージを、形状ならびに大きさについて乱数的に分割(例えばボロノイ分割)し、各区域の中央の画素の色でそれぞれの区域内を塗りつぶすことで、もとの第1文字背景イメージを、あたかも水晶ガラスを透して見たかのような印象の画像として表現することができる。第1文字背景イメージの分割方法や分割形状を適宜変更すれば、六角モザイクや幾何学的な模様の水晶ガラスを透して見た画像なども表現することが可能である。
【0080】
具体的に、第1文字背景イメージに水晶処理を適用した例を、図19に示す。ここでは、背景画像100から抽出した第1文字背景イメージに水晶処理を施し、上記同様、影画像252を付加した第1文字背景イメージ251を作成している。そして第1文字背景イメージ251と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ250を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図19には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。図11の画像処理では、水晶処理(S91)の後、上記同様、S95〜S96、S61と進む。
【0081】
図10のイメージ表示処理では、このように、S51〜S59で、第1文字背景イメージに対する処理が行われた後、S61に進み、文字イメージの背景に、第1文字背景イメージとは別に、第2文字背景イメージを付けるかについて、確認がなされる。第2文字背景イメージの付加は、文字枠形状リストボックス731において文字枠領域の形状として、長方形や長円形など、所定の形状が選択され、RAM63に設定値として記憶されている場合に行われる(S61:YES)。この場合には、RAM63上に、仮想表示領域や仮想第1文字背景領域とは別の仮想領域(以下、「仮想第2文字背景領域」という。)が確保され、第2文字背景イメージが作成される(S63)。具体的には、仮想第2文字背景領域において、文字枠領域の形状として指定された形状の輪郭線が、S45で求められた、文字の占める領域に合わせた大きさに調整されて形成される。次に、その輪郭線内が、文字枠領域内を塗りつぶす色(文字枠内色リストボックス732(図6参照)で指定された色)で塗りつぶされる。さらに、文字枠周囲ぼかしリストボックス733でぼかし処理の実施が指定されていれば、文字枠領域の周囲(外郭)にぼかし処理が施される。このようにして仮想第2文字背景領域にて作成された第2文字背景イメージは、仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内に配置され、背景画像に重ねたプレビュー画像が作成される。
【0082】
具体的に、第2文字背景イメージが付加された例を、図20に示す。ここでは、影を付加する画像処理を施した第1文字背景イメージ261と、長方形状で周囲にぼかし処理を施した第2文字背景イメージ264と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ260を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図20には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。
【0083】
S63で第2文字背景イメージを作成した後、また、第2文字背景イメージの付加を行わなかった場合も(S61:NO)、次はS67に進む。RAM63上に、文字イメージを作成するため、仮想表示領域や仮想第1文字背景領域、仮想第2文字背景領域とは別に、仮想的に形成される領域(以下、「仮想文字領域」という。)が確保される。そして、仮想文字領域において、S45と同様に、文字データによって指定される文字(文字列)に対して書体、文字サイズおよび文字装飾が適用され、文字間の幅が調整された文字イメージが作成される(S67)。文字イメージは、上記のように、仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内に、第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)に重ねて配置され、プレビュー画像が作成される。
【0084】
各処理を経て仮想表示領域に作成されたプレビュー画像は、編集画面7の大きさにあわせた表示倍率に拡大または縮小され、サンプル表示部75に表示される(S69)。その後、図7のメイン処理に戻る。
【0085】
このように、テーププリンタ1で作成されるラベルは、印刷データ編集プログラムによって編集されることで、自然に貼り付け対象に馴染み、かつ自身に印刷された文字(文字列)をはっきりと認識させることができる。つまり、文字イメージの背景となる第1文字背景イメージを、背景画像をもとに作成し、画像処理を施すことで、貼付対象面に合った印象を持つラベルを得ることができ、貼付対象面に異質なものが貼られた場合に感ずる大きな違和感が緩和されるのである。また、貼付対象面全体でみたときには、ラベルが貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずることになるが、その部分に文字イメージが配置されることになるので、文字イメージを十分に目立たせることができる。さらに、貼付対象面に合わせて作成される専用のラベルとして、見た目の高級感を得ることもできる。また、第2文字背景イメージを付加すれば、色だけでなく、形状による視覚効果を持たせ、文字を、より際立たせることもできる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、PC2が「印刷データ編集装置」に相当する。また、図7に示すS5で背景画像データを取得するCPU61が「原画像取得手段」に相当し、図10に示すS53で「ラベルサイズを示す枠」内の画像を読み込ませるCPU61が「第1文字背景抽出手段」に相当する。また、図7のS27で合成データを作成するCPU61が「合成データ作成手段」に相当し、S29で印刷データを作成するCPU61が「印刷データ作成手段」に相当する。また、図10のS59で図11の画像処理のサブルーチンを実行するCPU61が「画像処理手段」に相当する。また、図11のS72で仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージを上下方向に3つの領域に分割するCPU61が「分割手段」に相当し、S73とS75で、第1文字背景イメージの上領域の画像と下領域の画像をそれぞれ上方向と下方向に圧縮するCPU61が、それぞれ「第一圧縮手段」、「第二圧縮手段」に相当する。また、S76で第1文字背景イメージの中領域の画像を上下方向に伸張するCPU61が「伸張手段」に相当する。そして、S77で上領域、中領域、下領域の各画像を結合し、第1文字背景イメージを再構成するCPU61が「結合手段」に相当する。
【0087】
また、S82で第1文字背景イメージにぼかし処理を適用するCPU61が「ぼかし手段」に相当し、S96で第1文字背景イメージに影画像を付加するCPU61が「影付加手段」に相当する。また、印刷データ編集プログラムとともにインストールされる、文字枠領域の形状のパターンデータを記憶したHDD65が「文字枠形状記憶手段」に相当し、文字枠形状リストボックス731が押下された場合に、S11で表示させた文字枠形状の選択候補の中から選択された形状を、S13でRAM63に記憶させるCPU61が、「文字枠形状選択手段」に相当する。また、印刷データ編集プログラムとともにインストールされる、内を塗りつぶす色の種類を記憶したHDD65が「文字背景色記憶手段」に相当し、文字枠内色リストボックス732が押下された場合に、S17で表示させた文字枠領域内を塗りつぶす色の選択候補の中から選択された色を、S19でRAM63に記憶させるCPU61が、「文字背景色選択手段」に相当する。そして、S63で、RAM63に記憶された設定値に基づいて第2文字背景イメージを作成するCPU61が「第2文字背景作成手段」に相当する。
【0088】
なお、上記の実施形態に示される印刷データ編集装置の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。本実施の形態では、テーププリンタ1を印刷装置として説明したが、テーププリンタ1に代えて、A4サイズ、B4サイズ、A3サイズ等の規定サイズの用紙に印刷を行うレーザープリンタやインクジェットプリンタを採用してもよい。
【0089】
また、文字枠領域の形状についても、長円形や長方形に限らず、三角形、菱形、星形、平行四辺形、六角形など、様々な形状を選択できるようにしても良い。もちろん、ユーザが、例えばサンプル表示部75の枠811内に、直接、任意の形状を描き込めるようにしても良い。また、印刷データ編集プログラムにおける色の表現にRGB表色系を用いたが、L*a*b*表色系やHSB表色系など、その他の公知の表色系を用いても良いことはいうまでもない。
【0090】
また、本実施の形態では、第1文字背景データに施す画像処理として、「こじ開け」、「ぼかし」、「粒状」、「ノイズ」、「水晶」、「影付加」を挙げたが、これらは画像処理の一例に過ぎないことは言うまでもない。例えば、単色化、セピア調化、鏡像反転、色反転、部分拡大・縮小など、公知のアルゴリズムを用いて各種の画像処理を施しても良いし、さらにはそれらを組み合わせた処理を施しても良い。また、ぼかし処理では、単純に画素の色を周囲の画素の平均色とするぼかし処理を行ったが、ぼかしの強度を設定できるようにしても良い。さらには、例えば放射線状に強弱を異ならせたぼかしを行ったり、文字イメージの周囲のみを部分的にぼかしたりするなど、ぼかしの適用範囲やパターンなどについても適宜設定できるようにしてもよい。粒状処理についても、粒の大きさや色を任意に設定したり、あるいはランダムに変更したりしてもよい。ノイズ処理や水晶処理についても同様に、強弱の設定ができるようにしてもよい。また、ラベルの周縁に沿って影を模した影画像の付加を行ったが、影を模した画像は一例に過ぎず、例えば花柄の装飾画像や、窓枠を模した画像など、好みの飾り模様の画像を付加してもよい。また、「こじ開け」処理において、3つに分割した領域の分割位置は3等分である必要はなく、任意の位置で分割してもよい。また、分割方向も、本実施の形態では文字イメージの向きを基準に上下方向を設定して行ったが、任意の方向を設定すればよい。圧縮、伸張の度合いも一律に行う必要はなく、上領域は大きく圧縮し、下領域は小さく圧縮(もちろん圧縮率0%も含む)するなど、任意に行えばよい。
【0091】
また、本実施の形態では、ラベルテープ8に文字を印刷したラベルを作成したが、文字とは厳密に文字に限るものではなく、記号や図柄、外字登録した文字・図形など、コンピュータの内部処理上、文字として扱われるものを含む。
【符号の説明】
【0092】
1 テーププリンタ
2 パーソナルコンピュータ(PC)
7 編集画面
8 ラベルテープ
61 CPU
65 HDD
90 色参照枠
100 背景画像
201,211,221,231,241,251,261 第1文字背景イメージ
205 文字イメージ
264 第2文字背景イメージ
811 枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、記号、図柄等の印刷データを作成する過程において編集が可能な印刷データ編集装置及び印刷データ編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テーププリンタで作成されるラベルは、背景が無地、又は事前に準備されている色や模様のラベルテープ上に、文字等を印刷し、使用する大きさにカットしたものであった。このラベルを、ラベルの貼付対象面として、例えば色や模様のある用紙の表面に貼り付けた場合には、用紙の色や模様と、ラベルの背景(すなわち、もとのラベルテープの色や模様)とが異なるために、ラベルの形状が際立ってしまうことが多かった。また、模様のある用紙に貼りつけたラベルを自然な感じに見せるには、透明のラベルテープに文字等を印刷して、用紙に貼るという方法もある。しかし、この方法では、文字等が用紙の模様に溶け込んでしまい、はっきりと認識できない場合もある。
【0003】
このような場合、テーププリンタで実際にラベルを作成する前に、作成予定のラベルの画像を貼付対象面の画像に重ねた状態を表現したプレビュー画像を仮に作成すれば、仕上がり具合を確認できる。例えば、文字等を、色や模様のある用紙に印刷する場合に、あらかじめ用紙の模様を画像としてスキャナで取り込み、取り込んだ用紙の画像に文字等を印刷した状態を表現したプレビュー画像を表示することが可能な文書編集装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−268645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の文書編集装置は、用紙に印刷する文字等の編集は行えるものの、用紙の色や模様に対する編集を行うものではない。したがって、色や模様のあるラベルテープに、この文書編集装置を用いて編集した文字等を印刷してラベルを作成する場合、ラベルの貼付対象面にあわせた色や模様をもったラベルテープを厳選して使用しないと、ラベルが際立ってしまい、肝心の文字等が目立たなくなる虞があった。また、透明のラベルテープに文字等を印刷し、貼付対象面に貼りつけた状態を模して、貼付対象面に直接、文字等を重ねたプレビュー画像を用いて文字等の編集を行ったとしても、出来上がったラベルを正確にプレビュー画像で確認した位置に貼りつけなければ、文字等が用紙の色や模様に溶け込んでしまい、はっきりと認識できなくなる虞があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、自然に貼り付け対象に馴染み、かつ自身に印刷された文字等をはっきりと認識させられるラベルを作成するための印刷データを作成する過程で編集することができる印刷データ編集装置及び印刷データ編集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の印刷データ編集装置は、テープ状の被印刷媒体に文字データを印刷するための印刷データを作成する過程において編集が可能な印刷データ編集装置であって、前記被印刷媒体が貼り付けられる貼付対象面の画像を原画像データとして取得する原画像取得手段と、前記原画像取得手段によって取得された前記原画像データから被印刷媒体に印刷する前記文字データの第1の背景の画像とする第1文字背景データを抽出する第1文字背景抽出手段と、前記第1文字背景抽出手段によって抽出された前記第1文字背景データと、前記文字データとを合成し、合成データを作成する合成データ作成手段と、前記合成データ作成手段によって作成された前記合成データから前記印刷データを作成する印刷データ作成手段とを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1文字背景データに対して画像処理を施し、前記第1の背景画像の状態を変化させる画像処理手段を備えている。
【0009】
また、請求項3に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記画像処理手段は、前記第1文字背景データを構成する領域を、前記文字データと合成された際の上下方向において3つに分け、最も上の上領域、最も下の下領域、および両者の中間の中領域に分割する分割手段と、前記上領域を、前記中領域との境界から上方向に圧縮する第一圧縮手段と、前記下領域を、前記中領域との境界から下方向に圧縮する第二圧縮手段と、前記上領域および前記下領域の圧縮にあわせ、前記中領域を上下方向に伸長する伸長手段と、圧縮後の前記上領域、圧縮後の前記下領域、および伸張後の前記中領域を結合し、前記第1文字背景データを再構成する結合手段とを備えている。
【0010】
また、請求項4に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記画像処理手段は、前記第1の背景画像をにじませるぼかし処理を前記第1文字背景データに施すぼかし手段を備えている。
【0011】
また、請求項5に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記画像処理手段は、前記第1文字背景データを構成する領域の輪郭線に沿って、前記輪郭線内に、前記第1文字背景データの影を模した影画像を付加する影付加手段を備えている。
【0012】
また、請求項6に係る発明の印刷データ編集装置は、請求項2乃至5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記文字データの周囲を囲う領域として設定される文字枠領域の形状として、複数種類の形状を記憶する文字枠形状記憶手段と、前記文字枠形状記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域の形状の中から一つの形状を選択する文字枠形状選択手段と、前記文字枠領域内の色として、複数種類の色を記憶する文字枠内色記憶手段と、前記文字枠内色記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域内の色の中から一つの色を選択する文字枠内色選択手段と、前記文字枠形状選択手段によって形状の選択された前記文字枠領域内の色に、前記文字枠内色選択手段によって選択された色を設定して、前記文字データの第2の背景の画像とする第2文字背景データを作成する第2文字背景作成手段とをさらに備え、前記合成データ作成手段は、前記第1文字背景データと、前記文字データと、前記第2文字背景データとを合成し、前記合成データを作成することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明の印刷データ編集プログラムは、請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷データ編集装置の各種処理手段として、コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の印刷データ編集装置では、貼付対象面の画像を第1文字背景データとして抽出し、文字データの第1の背景の画像とすることができる。したがって、第1文字背景データと文字データを合成した合成データから印刷データを作成し、被印刷媒体に印刷して印刷物を作成すれば、予め貼付対象面の画像に文字データが馴染んだ状態の印刷物を得ることができる。その印刷物を貼付対象面に貼りつける場合、貼付位置を決定するには、第1文字背景データとして印刷された貼付対象面の画像を、貼付先の貼付対象面の画像と一致させればよいので、位置決めを容易に行うことができる。そして、貼付対象面に張った印刷物を、貼付対象面全体に違和感なく馴染ませつつも、その印刷物に印刷された文字データを十分に目立たせることができる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、貼付対象面の画像から抽出した第1文字背景データに画像処理を施すことができるので、この第1文字背景データを用いて印刷物を作成すれば、ユーザは、貼付対象面に合った印象を持つ印刷物を得ることができる。この印刷物が貼付対象面に貼りつけられれば、貼付対象面全体でみた場合に、印刷物が貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずることになるが、その部分に文字データが配置されることになるので、文字データを十分に目立たせることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、第1文字背景データに画像処理を施して、もとの貼付対象面の画像を上下にこじ開けたような印象を持つ第1文字背景データを作成することができる。この第1文字背景データを用いて印刷物を作成すれば、ユーザは、貼付対象面に合った印象を持つ印刷物を得ることができる。また、貼付対象面全体でみた場合に、こじ開けたような印象を持つ第1文字背景データによって、印刷物が貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずるが、その部分に文字データが配置されることになるので、文字データを十分に目立たせることができる。
【0017】
また、請求項4に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2に記載の発明の効果に加え、第1文字背景データに画像処理を施して、もとの貼付対象面の画像をにじませて、ぼかした印象を持つ第1文字背景データを作成することができる。この第1文字背景データを用いて印刷物を作成すれば、ユーザは、貼付対象面に合った印象を持つ印刷物を得ることができる。また、貼付対象面全体でみた場合に、ぼかした印象を持つ第1文字背景データによって、印刷物が貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずるが、その部分に文字データが配置されることになるので、文字データを十分に目立たせることができる。
【0018】
また、請求項5に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2乃至4のいずれかに記載の発明の効果に加え、影画像を付加することによって、第1文字背景データに立体感を持たせることができる。そして立体感による視覚効果で、作成される印刷物に高級感を与えることや、印刷される文字データを際立たせることができる。
【0019】
また、請求項6に係る発明の印刷データ編集装置では、請求項2乃至5のいずれかに記載の発明の効果に加え、第1文字背景データと文字データにさらに第2文字背景データを付加することによって、色だけでなく、形状による視覚効果を持たせ、文字データを、より際立たせることができる。
【0020】
また、請求項7に係る発明の印刷データ編集プログラムによれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷データ編集装置の各種処理手段としてのコンピュータを機能させることができる。したがって、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】テーププリンタ1に接続された状態のPC2の斜視図である。
【図2】PC2の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】HDD65の記憶領域の概念図である。
【図4】ノンラミネートタイプのラベルテープ8を排出するテープカセット30の内部構造を示す平面図である。
【図5】テーププリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】PC2のモニタ21に表示された編集画面7を示す図である。
【図7】印刷データ編集プログラムのフローチャートである。
【図8】背景画像100の一例を示す図である。
【図9】「ラベルサイズを示す枠」(枠811)が背景画像100内に配置された様子を示す図である。
【図10】イメージ表示処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図11】画像処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図12】第1文字背景イメージに影付加処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図13】第1文字背景イメージに施すこじ開け処理について説明するための図である。
【図14】第1文字背景イメージに施すこじ開け処理について説明するための図である。
【図15】第1文字背景イメージにこじ開け処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図16】第1文字背景イメージにぼかし処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図17】第1文字背景イメージに粒状処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図18】第1文字背景イメージにノイズ処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図19】第1文字背景イメージに水晶処理が施された上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【図20】第2文字背景イメージが作成され、第1文字背景イメージと重ねた上で作成されるラベルの外観をサンプル表示部75に表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る「印刷データ編集装置」としてのパーソナルコンピュータ2(以下、「PC2」という)、およびそれに接続したテーププリンタ1を採用した一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
まず、図1を参照して、PC2およびテーププリンタ1の物理的構成の概要について説明する。図1に示すように、PC2は、例えばUSB(登録商標)規格に基づくUSBケーブル10によってテーププリンタ1に接続されている。
【0024】
図1に示すPC2は、周知のパーソナルコンピュータであり、本体6と、モニタ21と、キーボード22と、マウス23と、スキャナ24とを備えている。なお、モニタ21、キーボード22、マウス23、およびスキャナ24は、それぞれ本体6に接続ケーブルによって接続されている。また、本体6の前面には、CD−ROM26(図2参照)を挿入することができるCD−ROMドライブ64が設けられている。
【0025】
一方、図1に示すテーププリンタ1は、略直方体状の筐体4を備え、筐体4の前面(図中、右手前側の面)には、被印刷媒体であるラベルテープ8を排出するためのテープ排出口3が設けられている。また、筐体4の左側面に設けられたカバー5を開放すると、内部に後述するテープカセット30(図4参照)を装着できるように構成されている。
【0026】
次に、図2および図3を参照して、PC2の電気的構成について説明する。まず、図2に示すように、PC2は、PC2の制御を司るCPU61を備えている。CPU61には、バス29を介して、ROM62、RAM63、CD−ROMドライブ64、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)65、USBインターフェース66、表示制御部67、および入力検知部68が接続されている。
【0027】
ROM62は、CPU61が実行するBIOS等のプログラムを記憶する読出し専用の記憶装置である。RAM63は、データを一時的に記憶する読み書き可能な記憶装置である。
【0028】
CD−ROMドライブ64は、データが記憶されたCD−ROM26が挿入されると、CD−ROM26からデータや印刷データ編集プログラムの読み込みを行うものである。また、記憶装置であるHDD65には、図3に示すように、プログラム記憶領域651、および初期値等記憶領域652等が設けられている。プログラム記憶領域651には、PC2でドキュメントのデータを編集するためのプログラムや、テーププリンタ1の印刷動作を制御するためのプログラム等、各種のプログラムが記憶されている。また、初期値等記憶領域652には、各種設定項目の初期値や、文字枠形状(後述)のパターンデータなど、印刷データ編集プログラムの実行にあたって参照されるデータ等が記憶されている。なお、後述する印刷データ編集プログラムや、この実行時に使用される設定やデータ等は、CD−ROM26に記憶されたものを読み込んで、HDD65に記憶させることができる。その他には、例えば、フレキシブルディスクやMO等の他の記憶媒体を介して取得してもよい。あるいは、PC2をネットワークに接続させ、ネットワーク上の他の端末から取得してもよい。
【0029】
USBインターフェース66は、テーププリンタ1を含む外部機器との通信を行うためのインターフェースである。表示制御部67は、ユーザが見る操作画面を表示するモニタ21に接続されており、モニタ21の画面表示処理を行う。また、入力検知部68には、キーボード22、マウス23、およびスキャナ24が接続されており、入力検知部68はこれらからの入力の検知を行う。
【0030】
次に、図4を参照してテープカセット30の内部構造について説明する。なお、図4の紙面上方をテープカセット30の後側、紙面下方をテープカセット30の前側、紙面右方をテープカセット30の右側、紙面左方をテープカセット30の左側と定義する。
【0031】
図4に示すように、ケース34内の左後側には、ラベルテープ8を巻回して支持するテープスプール39が、回転可能に配置されている。また、ケース34内の右前側には、インクリボン37を巻回したリボンスプール36が回転可能に配置されている。さらに、テープスプール39とリボンスプール36とに挟まれた間の位置には、リボンスプール36からインクリボン37を引き出すとともに、文字等の印字にて使用された使用済インクリボン13を巻き取るリボン巻取スプール31が、回転可能に配置されている。また、テープカセット30内の前側には、テープスプール39から引き出されたラベルテープ8、およびリボンスプール36から引き出されたインクリボン37を、自身に設けられた開口部18から、ラベルテープ8を排出するテープ排出部43の方向へ案内するアーム部17が設けられている。
【0032】
さらに、ラベルテープ8およびインクリボン37の走行方向に関しサーマルヘッド44(図5参照)が挿入されるヘッド装着部32の下流側には、テープ送りローラ42が回転可能に設けられている。テープ送りローラ42は、それに対向する圧接ローラ(図示外)との協働によって、テープスプール39からラベルテープ8を引き出すものである。また、テープ送りローラ42の近傍位置には、規制部材19が設けられており、規制部材19は、サーマルヘッド44の下流側にて、文字が印刷されたラベルテープ8の幅方向への移動を規制するものである。
【0033】
そして、リボン巻取スプール31に向かって搬送される使用済インクリボン13と、テープスプール39に巻回して支持されたラベルテープ8との間には、使用済インクリボン13とラベルテープ8とが互いに接触するのを防止するための分離壁14が起立して設けられている。
【0034】
また、図4に示すように、テープカセット30の右後側には、カセット検出部11が形成されている。このカセット検出部11には、テープカセット30の種類(例えば、ラベルテープ8の幅、インクリボン37に塗布されたインクの色等によって、テープカセット30の種類が特定される)を検出するために、所定のパターンをもって複数個のスイッチ孔12が穿設されている。このスイッチ孔12の形成パターンは、テープカセット30の種類に従って異なるパターンとされている。そして、これらスイッチ孔12は、テーププリンタ1(図1参照)に配設された複数個の検出スイッチ(図示外)のオン・オフの組合せに基づいて検出されるものである。
【0035】
本実施の形態では、ノンラミネートタイプのラベルテープ8を使用している。ノンラミネートライプのラベルテープ8は、剥離紙付きの片面粘着テープの非粘着面に文字等が印刷され、印刷面の保護を行うラミネートフィルムは付帯しない、ラベルテープである。そして、ノンラミネートタイプのラベルテープ8は、テープ排出部43におけるラベルテープ8の後側が印刷面となっており、テープ排出部43におけるラベルテープ8の前側が粘着面となり、剥離紙が接着されている。
【0036】
次に、テープカセット30におけるラベルテープ8の搬送経路について説明する。ラベルテープ8は、ヘッド装着部32の下流側に設けられたテープ送りローラ42と、テーププリンタ1(図1参照)に設けられた圧接ローラ(図示外)との協働によって、テープスプール39から引き出され、アーム部17の開口部18からヘッド装着部32の前側を通過した後、テープ排出部43からテープカセット30の外方へ排出される。また、インクリボン37は、リボン送りモータ49(図5参照)が回転することによって、リボン巻取スプール31によってリボンスプール36から引き出され、アーム部17の開口部18からヘッド装着部32の前側を通過した後、規制部材19の内方に形成された案内部16に案内されて、リボン巻取スプール31の周囲に巻き取られる。また、ラベルテープ8は、テープ巻き戻しモータ41(図5参照)の回転にともないテープスプール39が逆回転することによって、巻き戻される。ここで、テープ巻き戻しモータ41は、ラベルテープ8を巻き取る時のみ回転し、テープスプール39が正回転する時、つまり、印刷時は回転しない。なお、リボン巻取スプール31の下部には、リボン巻取スプール31が逆転して巻き取った使用済インクリボン13が緩んでしまうのを防止するクラッチバネ15が取り付けられている。
【0037】
また、本実施の形態で用いているテープカセット30では、ラベルテープ8に対してカラー印刷が可能である。カラー印刷を行うために、インクリボン37には、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の色インクが交互に配置されている(図示外)。そして、インクリボン37の一の色インクでラベルテープ8が印刷された後、テープ巻き戻しモータ41(図5参照)が回転してリボンスプール36を逆回転させることによって、ラベルテープ8を巻き戻す。また同時にインクリボン37は、次の色インクの先頭まで搬送される。この動作を一つの印刷データに対して、CMYの各色インクで繰り返し印刷することで、カラー印刷を行うことができる。なお、インクリボン37の色インクには、黒(K)や、各色の中間色などを用いてもよい。
【0038】
次に、テーププリンタ1の電気的構成について、図5を参照して説明する。図5に示すように、テーププリンタ1の制御部50は、テーププリンタ1の制御を司るCPU52を備えている。CPU52には、ROM53、RAM54および入出力インターフェース51が接続されている。
【0039】
ROM53には、PC2において作成され、USBケーブル10を介して送信されてくる印刷データに基づきラベルを作成する際に駆動させる各モータやサーマルヘッド44の駆動を制御するプログラム等、テーププリンタ1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。RAM54には、印刷実行時にPC2から送信されてくる印刷データ等、各種処理の際使用するデータを一時的に記憶する複数の記憶領域が設けられている。
【0040】
また、入出力インターフェース51には、テープ送りモータ46を駆動するための駆動回路55、およびテープカッタ60を動作させるテープカッタ駆動モータ47を駆動するための駆動回路56が接続されている。また、入出力インターフェース51には、サーマルヘッド44を駆動するための駆動回路57、リボン送りモータ49を駆動するための駆動回路58、およびテープ巻き戻しモータ41を駆動するための駆動回路40が接続されている。さらに、入出力インターフェース51には、USBケーブル10を介してPC2に接続するためのUSBポート25が接続されている。
【0041】
次に、図6を参照して、モニタ21に表示される編集画面7について説明する。編集画面7は、印刷データ編集プログラムが起動され、後述するメイン処理が開始されると表示される画面である。ユーザは、編集画面7を見ながらキーボード22やマウス23を用いて、編集や設定のためのデータや指示の入力を行うことができる。
【0042】
図6に示すように、編集画面7には、背景画像設定領域71が左端上部に設けられ、背景画像設定領域71の下方に第1文字背景加工領域78が設けられている。また、背景画像設定領域71の右隣にラベル設定領域72が設けられ、ラベル設定領域72の右隣に第2文字背景設定領域73が設けられ、さらに第2文字背景設定領域73の右隣に文字設定領域74が設けられている。そして、ラベル設定領域72、第2文字背景設定領域73、および文字設定領域74の下方に、長方形状のサンプル表示部75が設けられている。また、編集画面7の左下には印刷ボタン76、右上には終了ボタン77が設けられている。
【0043】
背景画像設定領域71には、カメラ入力ボタン711、スキャナ入力ボタン712、およびファイル入力ボタン713が設けられている。カメラ入力ボタン711は、ラベルテープ8の貼り付けを行う貼付対象面の画像(背景画像)をカメラ(図示外)から入力することを指定するボタンであり、スキャナ入力ボタン712は、背景画像をスキャナ24から入力することを指定するボタンである。また、ファイル入力ボタン713は、背景画像を、HDD65に保存されているファイルから入力することを指定するボタンである。
【0044】
詳細については後述するが、本実施の形態では、ラベルに印刷する文字(文字列)の画像(文字イメージ)の背景として、第1背景イメージを、ラベル全体に印刷することができる。さらに、文字イメージの周囲を囲って、第1背景イメージとは異なる第2の背景(第2文字背景イメージ)を、第1背景イメージに上書きするように重ねて印刷することもできる。つまり、上記の文字イメージ、第1背景イメージおよび第2背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合)を合成した画像(合成イメージ)が、作成中または完成後のラベルのイメージとなる。背景画像は、作成中または完成後のラベルを、貼付対象面に貼りつけた状態を表現するために用いられる。具体的に、サンプル表示部75に、合成イメージを背景画像に重ねた画像(プレビュー画像)が表示されるのである。
【0045】
また、第1文字背景イメージは、背景画像をもとに作成される画像であり、背景画像のうち、後述する「ラベルサイズを示す枠」に囲まれる領域内の画像が抽出されて、画像処理が施され、第1文字背景イメージとして使用される。第1文字背景加工領域78には、第1文字背景イメージの加工方法(つまり、第1文字背景イメージに施す画像処理の種類)を指定する第1文字背景加工リストボックス781および影加工リストボックス782が設けられている。各リストボックスには、ユーザが、各リストボックスの右隅にある逆三角形のマークをマウスのカーソルでクリックして押下すると選択候補(処理名)が表示され、そのうちの一つを選択すると、選択された処理名がリストボックスに表示され、処理名に応じた処理が実施される。本実施の形態では、第1文字背景イメージに施す画像処理の種類として、第1文字背景加工リストボックス781から「こじ開け」、「ぼかし」、「粒状」、「ノイズ」、「水晶」または「なし」を選択することができる。また、影加工リストボックス782では、第1文字背景イメージに影を付加するか否か(影を模した画像(以下、「影画像」という。)を付加する画像処理を行うか否か)を選択することができる。なお、影画像は、第1文字背景イメージを構成する領域の輪郭線(つまりは後述する「ラベルサイズを示す枠」であり、より具体的には、完成後のラベルの縁である。)に沿って、その輪郭線の内側に配置されるものであり、影を模した画像よりもさらに内側に描かれた画像に、立体感を持たせる役割を果たす。さらには立体感による視覚効果で、作成されるラベルに高級感を与えることや、印刷される文字イメージを際立たせることができる。
【0046】
次に、ラベル設定領域72には、作成するラベルの縦横の大きさ(サイズ)を指定するラベルサイズリストボックス721、およびラベルテープ8の色(透明も含む)をラベル色として指定するラベル色リストボックス722が設けられている。
【0047】
また、第2文字背景設定領域73には、文字枠形状リストボックス731、文字枠内色リストボックス732、および文字枠周囲ぼかしリストボックス733が設けられている。文字枠形状リストボックス731では、第2文字背景イメージが占める領域、すなわち、文字イメージの周囲を囲う領域(以下、「文字枠領域」という。)の形状(例えば長円形や長方形など)を選択することができる。また、文字枠内色リストボックス732では、文字枠領域内を塗りつぶす色を選択することができ、文字枠周囲ぼかしリストボックス733では、文字枠領域の内側と外側との境目をにじませ、第2文字背景イメージの周囲をぼかす処理の有無や強度を設定することができる。なお、文字枠形状リストボックス731では、文字枠領域の形状として「なし」も選択することができる。この場合、文字枠内色リストボックス732、および文字枠周囲ぼかしリストボックス733では処理を選択できなくなり、第2文字背景イメージが作成されない。
【0048】
また、文字設定領域74には、文字の書体を設定する書体リストボックス741、文字のサイズを設定する文字サイズリストボックス742、文字の色を設定する文字色リストボックス743、および文字の装飾(例えば太字、斜体、アンダーラインなど)を設定する文字装飾リストボックス744が設けられている。
【0049】
さらに、編集画面7には、編集した画像から印刷データを作成し、テーププリンタ1に印刷させる印刷ボタン76、印刷データの編集を終了するための終了ボタン77が設けられている。
【0050】
なお、サンプル表示部75に表示されるプレビュー画像において、背景画像の中で作成中または完成後のラベルのイメージを配置する位置(貼付対象面にラベルを貼りつける位置)には、「ラベルサイズを示す枠」(図9の枠811)が表示される。この枠811が表示されている場合、ユーザが枠811内をクリックすると、カーソルが表示され、ラベルに記す文字の入力を行えるようになる。文字の入力は、キーボード22やマウス23(ソフトウェアキーボードなどを使用)からの入力、クリップボードからのペーストなど、公知の手法によって行うことができる。入力された文字(文字列)は、文字データとして、RAM63に記憶される。なお、文字入力に係る処理は、例えばOSの持つ機能を利用して、印刷データ編集プログラムとは独立に行われる。
【0051】
次に、図7〜図20を参照して、テーププリンタ1に印刷を行わせるために、PC2で行われる処理について説明する。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0052】
本実施の形態のPC2は、ユーザが別途入力した文字(文字列)等の画像(文字イメージ)を、第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)と合成して合成イメージを作成し、その合成イメージから、図4に示すラベルテープ8に印刷するための印刷データを作成するものである。文字イメージや第1文字背景イメージ、第2文字背景イメージに対しては、上記のリストボックスやボタン等の設定内容に応じた編集が行われ、編集後に、再度、合成イメージがプレビュー画像としてサンプル表示部75に表示されることで、編集結果が示される。プレビュー画像は、後述するイメージ表示処理(図10参照)において作成される。
【0053】
図7に示す印刷データ編集プログラムは、前述したように、HDD65のプログラム記憶領域651に記憶されており、ユーザが実行ファイルを起動させると、CPU61が、印刷データ編集プログラムに従い、各処理を実行する。印刷データ編集プログラムでは、まず、初期化が行われる(S1)。この処理では、プログラム内で使用される変数やフラグ、カウンタ等の初期化が行われる。また、各設定値や設定項目には初期値や標準設定が設定される。例えば、標準設定として、文字の書体には明朝体が設定され、文字枠形状には長円形が設定される。そして、PC2のモニタ21に編集画面7(図6参照)が表示され、各種ボタンやリストボックス等の押下(操作)待ちが開始される(S3:NO,S9:NO,S15:NO,S21:NO,S25:NO,S33:NO,S3)。編集画面7の各種ボタンやリストボックス等が押下されると、押下されたボタンやリストボックス等に対応する各処理が実行される。
【0054】
押下待ちの間に、編集画面7で、背景画像入力ボタンとして分類される、カメラ入力ボタン711、スキャナ入力ボタン712、およびファイル入力ボタン713のいずれかのボタンが押された場合には(S3:YES)、例えば図8に示す、背景画像100のデータ(背景画像データ)が読み込まれる(S5)。押されたボタンに応じて、カメラ(図示外)による撮影画像のデータ、スキャナ24による取り込み画像のデータ、およびHDD65に予め記憶されているファイル(画像データ)のいずれかのデータが、背景画像データとして読み込まれる。次いで、イメージ表示処理(S35)が行われる。イメージ表示処理の詳細については後述するが、サンプル表示部75にプレビュー画像が表示され、ラベルを貼りつける貼付対象面の画像として背景画像100が表示される。イメージ表示処理の後、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0055】
押下待ちの間に、オブジェクト選択リストボックスとして分類される、ラベルサイズリストボックス721、文字枠形状リストボックス731、文字枠周囲ぼかしリストボックス733、書体リストボックス741、文字サイズリストボックス742、文字装飾リストボックス744、第1文字背景加工リストボックス781、および影加工リストボックス782のいずれかのリストボックスが押下された場合には(S9:YES)、各リストボックスに対応した選択候補が表示される(S11)。例えば、ラベルサイズリストボックス721においては、「12mm×48mm」、「12mm×auto」など、ラベルテープ8から切り出されるラベルの縦横の大きさ(サイズ)を設定するための選択候補が表示される。ここで、「12mm×auto」が選択されると、ラベルの縦の長さは12mmに設定され、横の長さは文字の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0056】
そして、上記の各オブジェクト選択リストボックスにおいて選択されるそれぞれの選択候補は、対応する各項目(作成するラベルの縦横のサイズ、文字枠領域の形状、第2文字背景イメージの周囲をぼかす処理の有無や強度の設定、文字の書体、文字の装飾、第1文字背景に施す画像処理の種類)の設定値としてRAM63に記憶(登録)される(S13)。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0057】
押下待ちの間に、「色選択」関連リストボックスとして分類される、ラベル色リストボックス722、文字枠内色リストボックス732、および文字色リストボックス743のいずれかのリストボックスが押下された場合には(S15:YES)、各リストボックスに対応した選択候補が表示される(S17)。ラベル色や文字枠内色、文字色として選択された色は、設定値としてRAM63に記憶(登録)される(S19)。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0058】
押下待ちの間に、「ラベルサイズを示す枠」が押されている状態にある場合には(S21:YES)、マウスポインタの移動量分だけ、「ラベルサイズを示す枠」の位置が、背景画像100(図9参照)に対して移動される(S23)。後述するイメージ表示処理において、背景画像とラベルサイズが設定されていると、サンプル表示部75(図6参照)にはラベルテープ8から切り出されるラベルの大きさを示す、「ラベルサイズを示す枠」(以下、「枠」811ともいう。)が表示される。例えば図9に示すように、サンプル表示部75に背景画像100が表示されるとともに、背景画像100に重ねて枠811が表示される。ユーザが、マウス23のポインタで枠811をクリックし、ホールドすれば、ユーザは、枠811をドラッグして移動させることができるようになる。枠811は、初期状態において、サンプル表示部75に表示された背景画像100の範囲内で、右下に表示されるが、マウス23を操作して枠811をドラッグすれば、背景画像100上の任意の位置に移動させることもできる。このように、ユーザは、背景画像100内で、マウスを操作することによって、「ラベルサイズを示す枠」(枠811)を容易に動かすことができ、任意の貼り付け位置を設定することができる。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0059】
押下待ちの間に、印刷ボタン76が押された場合には(S25:YES)、「ラベルサイズを示す枠」内に表示された合成イメージを、ラベルテープ8に印刷する処理が行われる。ここでは、後述するイメージ表示処理(S35)で作成され、RAM63に記憶された合成データをもとに、印刷データを作成する処理が行われる。合成データは、上記したように、文字イメージと第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)を合成した合成イメージのデータである。詳細には、RAM63の仮想第1文字背景領域(後述)において仮想的に形成された、第1文字背景データを表現した第1文字背景イメージの上に、仮想第2文字背景領域(後述)において仮想的に形成された、第2文字背景データを表現した第2文字背景イメージが重ねて配置される(第2文字背景イメージが作成された場合)。さらに第1文字背景イメージ(あるいは第2文字背景イメージ)の上に、仮想文字領域(後述)において仮想的に形成された、文字データを表現した文字イメージが重ねて配置され、合成イメージが作成される(S27)。PC2には、印刷データ編集プログラムとは別途、テーププリンタ1のドライバ(公知のプログラム)がインストールされており、合成イメージのデータ(合成データ)は、ドライバに受け渡される。ドライバでは、公知のカラープロファイルが参照され、例えばRGB形式で表現される合成データの各画素について、1画素ごとに、印刷用のCMY形式の色インクの種類と、画素を構成する複数の微細なドットの各印刷位置とを対応付けたデータに変換される。さらに、テーププリンタ1に対する制御コマンドが付加されて、印刷データとして作成される(S29)。作成された印刷データは、USBケーブル10を介してテーププリンタ1に送信され(S31)、テーププリンタ1において、ラベルテープ8に合成イメージが印刷され、さらにラベルサイズにカットされて、ラベルが作成される。印刷データ編集プログラムでは、テーププリンタ1への印刷データの送信後、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0060】
押下待ちの間に、終了ボタン77が押された場合には(S33:YES)、印刷データ編集プログラムの実行が終了される。PC2のモニタ21(図1参照)における編集画面7(図6参照)の表示も終了される。
【0061】
次に、メイン処理のS35においてコールされるイメージ表示処理の詳細について説明する。図7に示す、印刷データ編集プログラムのメイン処理において、S35のイメージ表示処理は、上記した、S5、S13、S19、S23の各処理の後にコールされ、図10に示す、サブルーチンが実行される。図10に示すように、イメージ表示処理では、まず、背景画像が、カメラ、スキャナ、あるいはファイルから、既に読み込み済みであるか、確認が行われる(S41)。RAM63が参照され、背景画像データが記憶されていなければ(S41:NO)、イメージ表示処理を終了し、メイン処理へ戻ってS3へ進む。したがって、サンプル表示部75へのプレビュー画像の表示は行われない。RAM63に背景画像データが記憶されている場合には(S41:YES)、RAM63上で、サンプル表示部75の表示画面を仮想的に形成した領域(以下、「仮想表示領域」という。)に、背景画像データ(例えば図8に示す背景画像100)が展開され、背景画像のみを表示したプレビュー画像が作成される。
【0062】
次に、ラベルサイズ(ラベルサイズリストボックス721(図6参照)で指定されたラベルの縦横の大きさ(サイズ))が登録済みであるか、確認が行われる(S43)。上記同様、RAM63が参照され、ラベルサイズが記憶されていなければ(S43:NO)、イメージ表示処理を終了し、メイン処理に戻ってS3へ進む。このように、イメージ表示処理では、背景画像データおよびラベルサイズがRAM63に記憶されていないと、プレビュー画像の作成が行われず、メイン処理に戻ることになる。
【0063】
RAM63にラベルサイズが記憶されている場合(S43:YES)、RAM63に記憶された文字データと、文字の書体(フォント)、文字サイズおよび文字装飾とに基づいて、文字の占める領域が求められ、RAM63に記憶される(S45)。具体的に、CPU61のバッファ内で、文字データによって指定される文字(文字列)に対して書体、文字サイズおよび文字装飾を適用した状態で表現される文字イメージが作成される。次に、フォントの種類(プロポーショナルフォント、等幅フォントなど)に応じて文字間の幅が調整され、調整後の文字イメージの範囲(つまり、文字の占める領域)から、文字列全体の幅(本実施の形態ではラベルテープ8の延長方向に占める長さ)が算出される。同様に、調整後の文字イメージの範囲から、文字列全体の高さ(本実施の形態ではラベルテープ8の幅方向に占める長さ)も算出される。求められた文字列の幅および高さはRAM63に記憶され、後述する文字枠形状の調整や、ラベルサイズの決定(ラベルの横の長さをautoにした場合)、第2文字背景イメージが作成される場合にはその周囲をぼかす処理の適用範囲の調整、ラベル内における文字イメージのセンタリング(余白調整)などに利用される。さらに、仮想表示領域において、指定(autoの場合は上記で算出)されたラベルサイズに応じた枠(「ラベルサイズを示す枠」、図9の枠811)を背景画像に重ねて配置したプレビュー画像が作成される。
【0064】
次いで、RAM63に記憶されているラベル色(ラベル色リストボックス722(図6参照)で指定されたラベルテープ8の色)が透明か否か確認され、透明でなければ(S51:NO)、指定されたラベル色で仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内が塗りつぶされて、S61に進む。このように、ラベル色をしたラベルのイメージが背景画像上に配置された状態のプレビュー画像が作成される。
【0065】
指定されたラベル色が透明である場合(S51:YES)、仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内の画像が読み込まれる(抽出される)。読み込まれた画像は、RAM63上で、仮想表示領域とは別に仮想的に形成される領域(以下、「仮想第1文字背景領域」という。)に展開され、第1文字背景イメージとして作成される(S53)。
【0066】
次に、第1文字背景イメージに対して、画像処理を行うか否かについての確認がなされる。第1文字背景イメージに対して行う画像処理は、上記したように、第1文字背景加工リストボックス781および影加工リストボックス782において選択され、設定値としてRAM63に記憶されている。画像処理が設定されていなければ(S57:NO)、そのままS61に進む。なお、第1文字背景イメージに対する画像処理が設定されないまま印刷ボタンが押され、透明なラベルテープ8からラベルが作成された場合、貼付対象面の画像そのものが第1文字背景イメージとして、文字イメージとともにラベルテープ8に印刷されることとなる。
【0067】
第1文字背景イメージに対して行う画像処理が設定(登録)されていれば(S57:YES)、画像処理を第1文字背景イメージに適用するため(S59)、図11に示す、画像処理のサブルーチンがコールされる。
【0068】
図11に示すように、画像処理では、第1文字背景加工リストボックス781で選択された処理内容に応じ、S71〜S91において択一的に、「こじ開け」、「ぼかし」、「粒状」、「ノイズ」、「水晶」の各処理に分岐され、実施される。また、影画像を付加する画像処理については、これらの画像処理とは独立に影加工リストボックス782にて選択可能であり、S95〜S96において処理される。ここで、イメージ表示処理は、表示に関わるボタンやリストボックスの操作の都度、実施され、新たなプレビュー画像が作成されることとなるが、画像処理は、そのプレビュー画像の作成過程において、第1文字背景加工領域78の2つのリストボックスでいずれかの処理が選択されていない限り、実施されない。よって、第1文字背景加工リストボックス781で「なし」が設定された場合には、影加工リストボックス782で「有り」が選択されていることとなる(S71:NO,S81:NO,S84:NO,S87:NO,S90:NO,S96)。この場合には、影によって立体感のある透明なガラスを模した第1文字背景イメージが作成される。具体的に、第1文字背景イメージに、影画像を付加する画像処理が適用された例を、図12に示す。図12では、影画像202が付加された第1文字背景イメージ201と、「yamamoto」という文字からなる文字イメージ205とを合成した合成イメージ200を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねてプレビュー画像として形成し、サンプル表示部75に表示させた例を示している。本実施の形態では、このように、「yamamoto」という文字が印刷されたラベルを作成する場合を例に、以降の説明も行う。影画像を付加する処理がなされた後は、画像処理を終了して図10のイメージ表示処理に戻り、S61に進む。
【0069】
図11に示すように、画像処理として「こじ開け」が選択されている場合(S71:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、画像の中央から上下に引き裂くようにこじ開ける印象を表現することのできる、こじ開け処理が行われる。まず、図13に示すように、仮想第1文字背景領域300に展開された第1文字背景イメージ211が、上下方向に3つの領域に分割される(S72)。3分割された領域のうち、仮想第1文字背景領域300内で最も上側に展開されている部分の領域を上領域301、最も下側の部分の領域を下領域303、両者の間の部分の領域を中領域302とする。なお、本実施の形態では、予め、作成されるラベルに印刷されることとなる文字イメージを、ユーザが読み取る際の向きを基準に上下方向が定められており、具体的には、ラベルテープ8の幅方向が上下方向に設定されている。
【0070】
次に、図14に示すように、第1文字背景イメージ211の上領域301の画像が、仮想第1文字背景領域300の上端へ向け、上方向に圧縮される(S73)。同様に、下領域303の画像が、仮想第1文字背景領域300の下端へ向け、下方向に圧縮される(S75)。その一方で、中領域302の画像は、上下方向に伸張される(S76)。そして、圧縮された上領域301の画像と、伸張された中領域302の画像と、圧縮された下領域303の画像とが結合されて、第1文字背景イメージ211として再構成される(S77)。具体的に、第1文字背景イメージ211に「こじ開け」の画像処理が適用された例を、図15に示す。ここでは、「こじ開け」の画像処理が施された第1文字背景イメージ211と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ210を、枠811内に配置し、さらに背景画像100に重ねることで、プレビュー画像が形成されている。図15には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。
【0071】
図11の画像処理では、S77の後、S95に進み、影付けを行うか否かについて、RAM63の設定値の参照によって確認がなされる。影加工リストボックス782で「なし」が選択されていた場合には(S95:NO)、画像処理を終了してイメージ表示処理に戻り、S61に進む。一方、影加工リストボックス782で「有り」が選択されていた場合には(S95:YES)、「こじ開け」の画像処理が施された第1文字背景イメージに対し、さらに、上記した、影画像を付加する画像処理が施される(S96)。その後、画像処理を終了して図10のイメージ表示処理に戻り、S61に進む。
【0072】
次に、図11に示すように、画像処理として「ぼかし」が選択されている場合(S71:NO,S81:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知のぼかしフィルタを適用したぼかし処理が行われる(S82)。ぼかし処理のアルゴリズムには多くの種類があり、以下に一例を示す。第1文字背景イメージを構成する全ての画素を、所定の画素数からなる画素群、例えば、3×3ドット分の9画素からなる画素群に分ける。次に、各画素群を順に注目し、注目した画素群を構成する9つの画素のRGB値の平均値を算出する。そして、9つの画素のRGB値を全て、平均値に置き換える。この処理を全ての画素群に適用することで、第1文字背景イメージの全体がにじんだ印象の画像となる。なお、ぼかしの強度は、画素群を構成する画素の数を増減することによって調整することができる。
【0073】
具体的に、第1文字背景イメージにぼかし処理を適用した例を、図16に示す。ここでは、ぼかし処理を施した第1文字背景イメージ221と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ220を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図16には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。
【0074】
図11の画像処理では、S82でぼかし処理が行われた後、上記同様S95に進み、影画像を付加する処理を行ってから(S95:YES,S96)、あるいはそのまま(S95:NO)、画像処理を終了して図10のイメージ表示処理に戻り、S61に進む。
【0075】
次に、画像処理として「粒状」が選択されている場合(S71:NO,S81:NO,S84:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知の粒状フィルタを適用した粒状処理が行われる(S85)。第1文字背景イメージを構成する全ての画素から乱数的に抽出した画素の色を、白色に変更することで、画像の表面にあたかも白色の粉を振り撒いたかのようなザラザラした粒状感を表現することができる。画素を抽出する際には、周囲の複数の画素とともに画素群としてまとめて抽出し、その画素群の色を白色化してもよい。画素群としてまとめる画素数や、画素群の形状を任意に設定すれば、粒の大きさや形状を好みのものに調整することもできる。
【0076】
具体的に、第1文字背景イメージに粒状処理を適用した例を、図17に示す。ここでは、背景画像100から抽出した第1文字背景イメージに粒状処理を施し、さらに、S82の後に進むS95〜S96の処理(図11参照)で影画像232を付加した第1文字背景イメージ231を作成している。そして第1文字背景イメージ231と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ230を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図17には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。なお、図11の画像処理では、上記の粒状処理(S85)の後、上記同様、S95〜S96、S61と進む。
【0077】
次に、画像処理として「ノイズ」が選択されている場合(S71:NO,S81:NO,S84:NO,S87:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知のノイズフィルタを適用したノイズ処理が行われる(S88)。粒状処理と同様に、第1文字背景イメージを構成する全ての画素から乱数的に抽出した画素の色を、赤、緑、青のいずれかの色に乱数的に変更することで、もとの第1文字背景イメージを、外乱により構成情報が乱され、画像の表面にR・G・B原色の粒状斑点がちりばめられた印象の画像として表現することができる。抽出する画素を、複数の画素とともにまとめて画素群としてもよいし、その画素群の大きさや形状を任意に調整してもよいことについても、上記同様である。
【0078】
具体的に、第1文字背景イメージにノイズ処理を適用した例を、図18に示す。ここでは、背景画像100から抽出した第1文字背景イメージにノイズ処理を施し、さらに影画像242を付加した第1文字背景イメージ241を作成している。そして第1文字背景イメージ241と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ240を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図18には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。図11の画像処理において、ノイズ処理(S88)の後、S95〜S96、S61と進むことは、上記同様である。
【0079】
次に、画像処理として「水晶」が選択されている場合(S71:NO,S81:NO,S84:NO,S87:NO,S90:YES)、RAM63の仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージに対し、公知の水晶フィルタを適用した水晶処理が行われる(S91)。第1文字背景イメージを、形状ならびに大きさについて乱数的に分割(例えばボロノイ分割)し、各区域の中央の画素の色でそれぞれの区域内を塗りつぶすことで、もとの第1文字背景イメージを、あたかも水晶ガラスを透して見たかのような印象の画像として表現することができる。第1文字背景イメージの分割方法や分割形状を適宜変更すれば、六角モザイクや幾何学的な模様の水晶ガラスを透して見た画像なども表現することが可能である。
【0080】
具体的に、第1文字背景イメージに水晶処理を適用した例を、図19に示す。ここでは、背景画像100から抽出した第1文字背景イメージに水晶処理を施し、上記同様、影画像252を付加した第1文字背景イメージ251を作成している。そして第1文字背景イメージ251と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ250を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図19には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。図11の画像処理では、水晶処理(S91)の後、上記同様、S95〜S96、S61と進む。
【0081】
図10のイメージ表示処理では、このように、S51〜S59で、第1文字背景イメージに対する処理が行われた後、S61に進み、文字イメージの背景に、第1文字背景イメージとは別に、第2文字背景イメージを付けるかについて、確認がなされる。第2文字背景イメージの付加は、文字枠形状リストボックス731において文字枠領域の形状として、長方形や長円形など、所定の形状が選択され、RAM63に設定値として記憶されている場合に行われる(S61:YES)。この場合には、RAM63上に、仮想表示領域や仮想第1文字背景領域とは別の仮想領域(以下、「仮想第2文字背景領域」という。)が確保され、第2文字背景イメージが作成される(S63)。具体的には、仮想第2文字背景領域において、文字枠領域の形状として指定された形状の輪郭線が、S45で求められた、文字の占める領域に合わせた大きさに調整されて形成される。次に、その輪郭線内が、文字枠領域内を塗りつぶす色(文字枠内色リストボックス732(図6参照)で指定された色)で塗りつぶされる。さらに、文字枠周囲ぼかしリストボックス733でぼかし処理の実施が指定されていれば、文字枠領域の周囲(外郭)にぼかし処理が施される。このようにして仮想第2文字背景領域にて作成された第2文字背景イメージは、仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内に配置され、背景画像に重ねたプレビュー画像が作成される。
【0082】
具体的に、第2文字背景イメージが付加された例を、図20に示す。ここでは、影を付加する画像処理を施した第1文字背景イメージ261と、長方形状で周囲にぼかし処理を施した第2文字背景イメージ264と、文字イメージ205とを合成した合成イメージ260を、枠811内に配置し、さらに背景画像100を重ねることで、プレビュー画像を形成している。図20には、このプレビュー画像をサンプル表示部75に表示した例が示されている。
【0083】
S63で第2文字背景イメージを作成した後、また、第2文字背景イメージの付加を行わなかった場合も(S61:NO)、次はS67に進む。RAM63上に、文字イメージを作成するため、仮想表示領域や仮想第1文字背景領域、仮想第2文字背景領域とは別に、仮想的に形成される領域(以下、「仮想文字領域」という。)が確保される。そして、仮想文字領域において、S45と同様に、文字データによって指定される文字(文字列)に対して書体、文字サイズおよび文字装飾が適用され、文字間の幅が調整された文字イメージが作成される(S67)。文字イメージは、上記のように、仮想表示領域の「ラベルサイズを示す枠」内に、第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)に重ねて配置され、プレビュー画像が作成される。
【0084】
各処理を経て仮想表示領域に作成されたプレビュー画像は、編集画面7の大きさにあわせた表示倍率に拡大または縮小され、サンプル表示部75に表示される(S69)。その後、図7のメイン処理に戻る。
【0085】
このように、テーププリンタ1で作成されるラベルは、印刷データ編集プログラムによって編集されることで、自然に貼り付け対象に馴染み、かつ自身に印刷された文字(文字列)をはっきりと認識させることができる。つまり、文字イメージの背景となる第1文字背景イメージを、背景画像をもとに作成し、画像処理を施すことで、貼付対象面に合った印象を持つラベルを得ることができ、貼付対象面に異質なものが貼られた場合に感ずる大きな違和感が緩和されるのである。また、貼付対象面全体でみたときには、ラベルが貼りつけられた部分の画像に若干の違和感が生ずることになるが、その部分に文字イメージが配置されることになるので、文字イメージを十分に目立たせることができる。さらに、貼付対象面に合わせて作成される専用のラベルとして、見た目の高級感を得ることもできる。また、第2文字背景イメージを付加すれば、色だけでなく、形状による視覚効果を持たせ、文字を、より際立たせることもできる。
【0086】
なお、本実施の形態においては、PC2が「印刷データ編集装置」に相当する。また、図7に示すS5で背景画像データを取得するCPU61が「原画像取得手段」に相当し、図10に示すS53で「ラベルサイズを示す枠」内の画像を読み込ませるCPU61が「第1文字背景抽出手段」に相当する。また、図7のS27で合成データを作成するCPU61が「合成データ作成手段」に相当し、S29で印刷データを作成するCPU61が「印刷データ作成手段」に相当する。また、図10のS59で図11の画像処理のサブルーチンを実行するCPU61が「画像処理手段」に相当する。また、図11のS72で仮想第1文字背景領域に展開された第1文字背景イメージを上下方向に3つの領域に分割するCPU61が「分割手段」に相当し、S73とS75で、第1文字背景イメージの上領域の画像と下領域の画像をそれぞれ上方向と下方向に圧縮するCPU61が、それぞれ「第一圧縮手段」、「第二圧縮手段」に相当する。また、S76で第1文字背景イメージの中領域の画像を上下方向に伸張するCPU61が「伸張手段」に相当する。そして、S77で上領域、中領域、下領域の各画像を結合し、第1文字背景イメージを再構成するCPU61が「結合手段」に相当する。
【0087】
また、S82で第1文字背景イメージにぼかし処理を適用するCPU61が「ぼかし手段」に相当し、S96で第1文字背景イメージに影画像を付加するCPU61が「影付加手段」に相当する。また、印刷データ編集プログラムとともにインストールされる、文字枠領域の形状のパターンデータを記憶したHDD65が「文字枠形状記憶手段」に相当し、文字枠形状リストボックス731が押下された場合に、S11で表示させた文字枠形状の選択候補の中から選択された形状を、S13でRAM63に記憶させるCPU61が、「文字枠形状選択手段」に相当する。また、印刷データ編集プログラムとともにインストールされる、内を塗りつぶす色の種類を記憶したHDD65が「文字背景色記憶手段」に相当し、文字枠内色リストボックス732が押下された場合に、S17で表示させた文字枠領域内を塗りつぶす色の選択候補の中から選択された色を、S19でRAM63に記憶させるCPU61が、「文字背景色選択手段」に相当する。そして、S63で、RAM63に記憶された設定値に基づいて第2文字背景イメージを作成するCPU61が「第2文字背景作成手段」に相当する。
【0088】
なお、上記の実施形態に示される印刷データ編集装置の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。本実施の形態では、テーププリンタ1を印刷装置として説明したが、テーププリンタ1に代えて、A4サイズ、B4サイズ、A3サイズ等の規定サイズの用紙に印刷を行うレーザープリンタやインクジェットプリンタを採用してもよい。
【0089】
また、文字枠領域の形状についても、長円形や長方形に限らず、三角形、菱形、星形、平行四辺形、六角形など、様々な形状を選択できるようにしても良い。もちろん、ユーザが、例えばサンプル表示部75の枠811内に、直接、任意の形状を描き込めるようにしても良い。また、印刷データ編集プログラムにおける色の表現にRGB表色系を用いたが、L*a*b*表色系やHSB表色系など、その他の公知の表色系を用いても良いことはいうまでもない。
【0090】
また、本実施の形態では、第1文字背景データに施す画像処理として、「こじ開け」、「ぼかし」、「粒状」、「ノイズ」、「水晶」、「影付加」を挙げたが、これらは画像処理の一例に過ぎないことは言うまでもない。例えば、単色化、セピア調化、鏡像反転、色反転、部分拡大・縮小など、公知のアルゴリズムを用いて各種の画像処理を施しても良いし、さらにはそれらを組み合わせた処理を施しても良い。また、ぼかし処理では、単純に画素の色を周囲の画素の平均色とするぼかし処理を行ったが、ぼかしの強度を設定できるようにしても良い。さらには、例えば放射線状に強弱を異ならせたぼかしを行ったり、文字イメージの周囲のみを部分的にぼかしたりするなど、ぼかしの適用範囲やパターンなどについても適宜設定できるようにしてもよい。粒状処理についても、粒の大きさや色を任意に設定したり、あるいはランダムに変更したりしてもよい。ノイズ処理や水晶処理についても同様に、強弱の設定ができるようにしてもよい。また、ラベルの周縁に沿って影を模した影画像の付加を行ったが、影を模した画像は一例に過ぎず、例えば花柄の装飾画像や、窓枠を模した画像など、好みの飾り模様の画像を付加してもよい。また、「こじ開け」処理において、3つに分割した領域の分割位置は3等分である必要はなく、任意の位置で分割してもよい。また、分割方向も、本実施の形態では文字イメージの向きを基準に上下方向を設定して行ったが、任意の方向を設定すればよい。圧縮、伸張の度合いも一律に行う必要はなく、上領域は大きく圧縮し、下領域は小さく圧縮(もちろん圧縮率0%も含む)するなど、任意に行えばよい。
【0091】
また、本実施の形態では、ラベルテープ8に文字を印刷したラベルを作成したが、文字とは厳密に文字に限るものではなく、記号や図柄、外字登録した文字・図形など、コンピュータの内部処理上、文字として扱われるものを含む。
【符号の説明】
【0092】
1 テーププリンタ
2 パーソナルコンピュータ(PC)
7 編集画面
8 ラベルテープ
61 CPU
65 HDD
90 色参照枠
100 背景画像
201,211,221,231,241,251,261 第1文字背景イメージ
205 文字イメージ
264 第2文字背景イメージ
811 枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の被印刷媒体に文字データを印刷するための印刷データを作成する過程において編集が可能な印刷データ編集装置であって、
前記被印刷媒体が貼り付けられる貼付対象面の画像を原画像データとして取得する原画像取得手段と、
前記原画像取得手段によって取得された前記原画像データから被印刷媒体に印刷する前記文字データの第1の背景の画像とする第1文字背景データを抽出する第1文字背景抽出手段と、
前記第1文字背景抽出手段によって抽出された前記第1文字背景データと、前記文字データとを合成し、合成データを作成する合成データ作成手段と、
前記合成データ作成手段によって作成された前記合成データから前記印刷データを作成する印刷データ作成手段と
を備えたことを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項2】
前記第1文字背景データに対して画像処理を施し、前記第1の背景画像の状態を変化させる画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ編集装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
前記第1文字背景データを構成する領域を、前記文字データと合成された際の上下方向において3つに分け、最も上の上領域、最も下の下領域、および両者の中間の中領域に分割する分割手段と、
前記上領域を、前記中領域との境界から上方向に圧縮する第一圧縮手段と、
前記下領域を、前記中領域との境界から下方向に圧縮する第二圧縮手段と、
前記上領域および前記下領域の圧縮にあわせ、前記中領域を上下方向に伸長する伸長手段と、
圧縮後の前記上領域、圧縮後の前記下領域、および伸張後の前記中領域を結合し、前記第1文字背景データを再構成する結合手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷データ編集装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記第1の背景画像をにじませるぼかし処理を前記第1文字背景データに施すぼかし手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷データ編集装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記第1文字背景データを構成する領域の輪郭線に沿って、前記輪郭線内に、前記第1文字背景データの影を模した影画像を付加する影付加手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の印刷データ編集装置。
【請求項6】
前記文字データの周囲を囲う領域として設定される文字枠領域の形状として、複数種類の形状を記憶する文字枠形状記憶手段と、
前記文字枠形状記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域の形状の中から一つの形状を選択する文字枠形状選択手段と、
前記文字枠領域内の色として、複数種類の色を記憶する文字枠内色記憶手段と、
前記文字枠内色記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域内の色の中から一つの色を選択する文字枠内色選択手段と、
前記文字枠形状選択手段によって形状の選択された前記文字枠領域内の色に、前記文字枠内色選択手段によって選択された色を設定して、前記文字データの第2の背景の画像とする第2文字背景データを作成する第2文字背景作成手段と
をさらに備え、
前記合成データ作成手段は、前記第1文字背景データと、前記文字データと、前記第2文字背景データとを合成し、前記合成データを作成することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の印刷データ編集装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷データ編集装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させる印刷データ編集プログラム。
【請求項1】
テープ状の被印刷媒体に文字データを印刷するための印刷データを作成する過程において編集が可能な印刷データ編集装置であって、
前記被印刷媒体が貼り付けられる貼付対象面の画像を原画像データとして取得する原画像取得手段と、
前記原画像取得手段によって取得された前記原画像データから被印刷媒体に印刷する前記文字データの第1の背景の画像とする第1文字背景データを抽出する第1文字背景抽出手段と、
前記第1文字背景抽出手段によって抽出された前記第1文字背景データと、前記文字データとを合成し、合成データを作成する合成データ作成手段と、
前記合成データ作成手段によって作成された前記合成データから前記印刷データを作成する印刷データ作成手段と
を備えたことを特徴とする印刷データ編集装置。
【請求項2】
前記第1文字背景データに対して画像処理を施し、前記第1の背景画像の状態を変化させる画像処理手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷データ編集装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
前記第1文字背景データを構成する領域を、前記文字データと合成された際の上下方向において3つに分け、最も上の上領域、最も下の下領域、および両者の中間の中領域に分割する分割手段と、
前記上領域を、前記中領域との境界から上方向に圧縮する第一圧縮手段と、
前記下領域を、前記中領域との境界から下方向に圧縮する第二圧縮手段と、
前記上領域および前記下領域の圧縮にあわせ、前記中領域を上下方向に伸長する伸長手段と、
圧縮後の前記上領域、圧縮後の前記下領域、および伸張後の前記中領域を結合し、前記第1文字背景データを再構成する結合手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷データ編集装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記第1の背景画像をにじませるぼかし処理を前記第1文字背景データに施すぼかし手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の印刷データ編集装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記第1文字背景データを構成する領域の輪郭線に沿って、前記輪郭線内に、前記第1文字背景データの影を模した影画像を付加する影付加手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の印刷データ編集装置。
【請求項6】
前記文字データの周囲を囲う領域として設定される文字枠領域の形状として、複数種類の形状を記憶する文字枠形状記憶手段と、
前記文字枠形状記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域の形状の中から一つの形状を選択する文字枠形状選択手段と、
前記文字枠領域内の色として、複数種類の色を記憶する文字枠内色記憶手段と、
前記文字枠内色記憶手段によって記憶された複数の前記文字枠領域内の色の中から一つの色を選択する文字枠内色選択手段と、
前記文字枠形状選択手段によって形状の選択された前記文字枠領域内の色に、前記文字枠内色選択手段によって選択された色を設定して、前記文字データの第2の背景の画像とする第2文字背景データを作成する第2文字背景作成手段と
をさらに備え、
前記合成データ作成手段は、前記第1文字背景データと、前記文字データと、前記第2文字背景データとを合成し、前記合成データを作成することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の印刷データ編集装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷データ編集装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させる印刷データ編集プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図8】
【図9】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図8】
【図9】
【図12】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−177931(P2010−177931A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17135(P2009−17135)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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