印刷処理システム
【課題】電子メール、Webブラウザ、Webアプリケーションなど用紙サイズ情報をもたないアプリケーションからの印字出力において、重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図ることを可能とする印刷処理システムを提供する。
【解決手段】入力される印刷ジョブデータから任意のページ情報を判断するし、任意のページ情報印字出力後に自動的に印字出力の中断状態へ移行させ、中断中のページ情報の解析、RIP処理において、出力ページに占める描画オブジェクトの描画サイズ、描画位置、描画オブジェクト等を判定して、中断中のページ情報の印字出力を再開、続行、または削除切り替える。
【解決手段】入力される印刷ジョブデータから任意のページ情報を判断するし、任意のページ情報印字出力後に自動的に印字出力の中断状態へ移行させ、中断中のページ情報の解析、RIP処理において、出力ページに占める描画オブジェクトの描画サイズ、描画位置、描画オブジェクト等を判定して、中断中のページ情報の印字出力を再開、続行、または削除切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータからネットワークを介して印刷データを受信した印刷装置の印刷処理を制御する印刷システム及びその方法であり、特に、電子メール、Webブラウザ、Webアプリケーションなど用紙サイズ情報をもたないアプリケーションからの印字出力において、重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図る印刷装置を用いたシステムである。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク技術の発展に伴ってホストコンピュータまたは携帯端末による電子メールの送受信、Webブラウザを利用したサーバ−クライアントアプリケーションによる商取引、定型業務等が広く行われている。
【0003】
このようなアプリケーションを利用することでほとんど印字出力を経由せずに業務を行うことが可能となっている。
【0004】
また、特許文献1には、例えば8ページのページイメージ情報を1ページの新たなページイメージ情報に変換することにより、紙資源の有効活用、ハードコピーのコンパクト化、ページ数の多い文書の内容便覧の迅速作成を可能にする技術の記載がある。
【特許文献1】特開平5−328103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、確認や一時保存のために印字出力する際、ホストコンピュータ上のアプリケーションにおいては印字出力時に指定される特定の用紙サイズに合わせた画面表示を行わないため、特定のページ(最終ページなど)が、電子メールにおける引用部、署名(シグネチャ)、Webページにおける著作権表示、広告表示、等印字出力を行うユーザが必要としない表示内容のみのデータの印字出力になり、用紙を無駄にしてしまうことがあった。
【0006】
また、画面表示からは何ページ分の印字出力になるか判断できないため、排紙口の出力結果から、ユーザが必要とする先頭から数ページ分のみが取り除かれ、半端な出力結果が排紙口に放置されてしまうことがあった。
【0007】
一方、プリンタドライバから開始ページ、終了ページを指定することで、上記無駄な出力を抑制することができるが、予めプレビュー表示を実行して各ページの印字内容を確認する必要があった。
【0008】
また、出力する印字ジョブが異なるごとにプレビュー表示、開始ページ、終了ページの指定、という煩雑な操作が必要であった。
【0009】
そこで、本発明は、簡易な方法で重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図れる印刷処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、
複数ページにまたがる印刷ジョブデータを解析、RIP処理して任意の用紙サイズ上に印字出力する印刷処理システムにおいて、
入力される印刷ジョブデータから任意のページ情報を判断する手段と
任意のページ情報印字出力後に自動的に印字出力の中断状態へ移行する中断手段と、
中断中のページ情報の解析、RIP処理において、出力ページに占める描画オブジェクトの描画サイズ、描画位置、描画オブジェクト数を判定する手段と、
予め設定したしきい値と判定結果から中断中のページ情報の印字出力を再開続行切り替えできる手段と、
から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、簡易な方法で重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図れる印刷処理システムを提供することができる。
【0012】
また、不要な出力の抑制により、ユーザが本来必要とする出力結果を排紙口から探す時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明を適用可能なレーザービームプリンタの構成を示す断面図である。
【0015】
図において、100はレーザービームプリンタ本体であり、接続されているホストコンピュータによって供給される印刷データを記録媒体である記録紙等に像を形成するものである。なお、後述するが、この印刷データは制御データと画像データとから構成されており、制御データに基づいて画像データをビットマップデータに展開する。
【0016】
104はLBP本体100全体の制御ユニットである。この制御ユニット104は、ホストコンピュータから受け取った画像データを制御データに基づいて展開し、ビデオ信号に変換してレーザドライバ110に出力する。
【0017】
制御ユニット104からのビデオ信号の出力を受けたレーザドライバ110は、半導体レーザ111から発射されるレーザ光113のオン、オフ切り替えをする。レーザ光113は回転多面鏡112の回転に応じて左右にふられ、静電ドラム117上に印刷パターンの静電潜像を形成する。
【0018】
この静電潜像へトナーカートリッジ116からトナーを供給し印刷現像を形成した後、記録媒体に転写が行われる。転写されたトナーは、定着器105によって定着される。
【0019】
記録媒体にはカットシート記録紙(普通紙、厚紙、OHPを含む)(以下、用紙と略す)が用いられる。この用紙はLBP本体100の給紙口101に装填され、給紙ローラ102および搬送ローラ103により、装置内に取り込まれて、静電ドラム117に供給される。搬送ローラ106により定着器105から搬送された記録紙は、排紙口切り替え装置107によってフェースダウン排紙口109及びフェースアップ排紙口108のどちらかに排紙される。
【0020】
ここでは簡略化のため、給紙口101は1つのみしか図示しないが、本印刷システムのLBP本体100には複数の給紙口が設けられ、通常、このような複数の給紙口は、それぞれサイズの異なる用紙が装填される。
【0021】
114は、操作パネルで、ユーザへの状態表示を行い、ユーザからの操作指示を受け付ける。
【0022】
115は、ネットワーク40に接続された115ネットワークアダプタで、LBP本体100とは、双方向パラレルインターフェース12を介して接続される。
【0023】
図2は本発明の実施例を示すプリンタ制御装置の内部ブロック図である。ここでは、レーザービームプリンタ(図1)を例にして説明する。図2において、3000はホストコンピュータで、外部記憶装置11に格納されたプログラムがRAM2にロードされ、CPU1により実行される。
【0024】
こうしたプログラムには、読取り処理や印刷処理を行うデバイスドライバや、文書処理プログラム等に基づいて図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理を実行するアプリケーションプログラムなどが挙げられる。本印刷システムに関するソフトウェアのモジュール構成については後述する。
【0025】
CPU1は、こうしたプログラムを実行すると共に、システムバス4に接続される各デバイスの統括的な制御を行う。また、CPU1はCRT10上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウィンドウを開き、種々のデータ処理を実行する。
【0026】
RAM2は、CPU1の主メモリ、ワークエリア等として機能する。5はキーボードコントローラ(KBC)で、キーボード9や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。6はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ10の表示を制御する。7はディスクコントローラ(DKC)であり、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザーファイル、編集ファイル等を記憶するハードディスク(HDD)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)やCD−ROM等の外部記憶装置11とのアクセスを制御する。8はパラレル入出力コントローラ(PIOC)で、ローカルに接続する場合は、所定の双方向パラレルインターフェース(図示せず)を介してプリンタ100との双方向通信制御処理を実行する。
【0027】
30はホストコンピュータ上のネットワーク送受信部で、ネットワーク40を介して、ネットワークアダプタ115に画像データ、制御コマンドを送信するとともに、プリンタ100からのコマンドのレスポンスを受信する。
【0028】
印刷が行われる場合は、ホストコンピュータ3000で印刷データが作成され、スプールデータとして外部記憶装置11に格納される。このスプールデータは、ネットワーク送受信部30からネットワーク40を介し、ネットワークアダプタ115に送信される。ネットワークアダプタ115からは、双方向パラレルインターフェース12を経由してI/F部16で印刷データが受信される。
【0029】
受信された印刷データは、CPU13、制御部14の制御処理にしたがって順次RAM19へ送り込まれる。CPU13では、ROM15に記憶された制御プログラムによって、システムバス22に接続された各デバイス及びプリンタ全体の制御を行っている。
【0030】
RAM19は、CPU13のワークエリアや主にデータの受信バッファすなわちFIFO(First−In First−Out方式)として用いられる。14は制御部でメモリの制御、バスの調停等の制御を行う。17は印刷部I/F部でRAM19に格納されていた圧縮データの伸張、画像処理等を制御部14で行い、順次印刷インターフェース18を介して印刷部20へ出力する。
【0031】
図4は本発明の実施例を示すプリンタ制御装置の機能ブロック図である。
【0032】
図4において、プリンタ制御装置1000はネットワークI/F401によってネットワーク40を介してホストコンピュータ3000に接続されている。
【0033】
ネットワークI/F401はホストコンピュータ3000上のプリンタドライバ等からジョブ単位で送信される印刷データを受信する。
【0034】
ジョブリスト管理部402は、受信した印刷データのジョブ単位ごとに任意のジョブIDを付加する。また、ジョブリスト管理部402は操作部405からの印刷ジョブに対するユーザからの操作指示も受け付け、プリンタ制御装置1000内で処理されるジョブの統一的な管理を行う。
【0035】
ジョブ解析部403は、ジョブリスト管理部402からの指示により、ジョブIDを付加された印刷ジョブの制御データと印刷データを解析して、ページ単位の中間データへ変換処理を行う。
【0036】
RIP処理部404は、ジョブリスト管理部402からの指示により、ページ単位の中間データをビットマップデータへ変換処理を行う。
【0037】
プリント制御部406は、印刷部20の画像形成処理、給紙処理に同期して変換されたビットマップデータを転送し、用紙上への印刷データの出力処理を行う。
【0038】
図5は、ジョブリスト管理部402で印刷データをジョブ単位、さらにページ単位の中間データとして管理する例である。
【0039】
ここではネットワークI/F401を介して複数のホストコンピュータ3000から受信した印刷データがジョブ501、502、503として管理されている。
【0040】
それぞれのジョブ501、502、503はジョブID504、509、514によって識別され、ジョブ解析部403、RIP処理部404で処理される。
【0041】
また、ジョブ501、502、503には、どのホストコンピュータ3000から送信されたジョブであるか、または、ネットワーク上のどのユーザからのジョブであるかを識別するユーザID505、510、515が付加されている。ユーザID505、510、515は、ホストコンピュータ上のプリンタドライバで入力やネットワーク上のプロトコル情報からジョブリスト管理部402で自動生成するように構成することもできる。
【0042】
ジョブ解析部403によって生成されたページ単位の中間データは、ジョブリスト管理部402においてもページ単位の情報506、507、508、511、512、513、516、517、518として管理される。これによりページ単位で印刷処理を中断したり、再実行したりすることが可能になっている。
【0043】
次に、このように構成された印刷処理システムにおいて、印刷装置本体で1ページ目印刷出力後、印刷出力を一時停止し、後続ページの再開続行を切り替える処理について図6、図7及び図8のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
まず、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
ネットワークI/F401を介してホストコンピュータ3000から印刷データ受信し、ジョブ解析部403によって中間データを生成し、RIP処理部404で1ページ目のレンダリング処理を行って、プリント制御部406へ印刷指示を行った後、ジョブリスト管理部402において2ページ目以降の出力ページがあるかどうかを判定する(S601)。
【0046】
2ページ目以降の出力ページがある場合、当該ページが最終ページとなるかどうかを判定する(S602)。
【0047】
当該ページが最終ページとなる場合、ページ内のオブジェクト情報の判定処理を行う。ページ内のオブジェクト情報の判定処理については後述する(S603)。
【0048】
次に、2ページ目以降ページの一時停止処理を行うが、処理詳細については後述する(S604)。
【0049】
以下、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、ジョブリスト管理部402において、ジョブ解析部403で予め設定されている出力用紙サイズの読出しを行う(S701)。
【0051】
次に、判定を行う前に、中間データ情報として保持される出力一時停止フラグの初期化を行う(S702)。
【0052】
続いて、中間データ情報内の描画オブジェクトをカウントするためのカウンタテーブルを初期化する(S703)。
【0053】
カウンタテーブルは、各描画オブジェクトの種別(テキスト、イメージ、グラフィックス)や、論理ページ内、出力ページ内での描画位置、テキストデータの場合には、予め設定されているキーワードとのマッチング結果などが含まれる。
【0054】
各初期化が終了すると、予め設定されている描画オブジェクトに対する重み付け情報と各描画オブジェクトの比較を行い、描画オブジェクトが出力結果として有効かどうかの判定を行う(S704)。
【0055】
図3は、電子メールやWebブラウザからの印字出力の例であるが、この時、各2ページ目(最終ページ)に関して、各描画オブジェクトは出力ページ内の上端(ページに占める割合はしきい値として設定可能)に偏っている。さらに、設定済みのキーワード(Copyright等)とのマッチングが行われ、出力結果として無効と判定される。
【0056】
描画オブジェクトが出力結果として有効と判定された場合、カウンタテーブル内のカウンタの更新を行う(S705)。
【0057】
当該ページ内の全ての描画オブジェクトについて、判定処理を繰り返す(S706)。
【0058】
全ての描画オブジェクトについて判定処理が終了すると、カウンタテーブルに保持されたカウンタ値と予め設定されているしきい値との比較判定を行う(S707)。
【0059】
カウンタ値がしきい値よりも小さい場合、当該ページは重要性が低いと判定し、中間データ情報として保持する出力一時停止フラグをONに設定する(S708)。
【0060】
以下、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
ジョブリスト管理部402において、ジョブ解析部403で解析済の中間データをRIP処理部404へ送り、レンダリング処理を指示すると共に、中間データ情報から出力一時停止フラグの確認を行う(S801)。
【0062】
出力一時停止フラグがOFFの場合には、RIP処理部404でのレンダリング処理が終わり次第、プリント制御部406へ印刷指示を行って印字出力を行う(S807)。
【0063】
出力一時停止フラグがONの場合には、RIP処理部404でのレンダリング処理が終了したレンダリング後中間データをワークメモリ内で退避して、次のページのレンダリング処理をRIP処理部404へ指示する。また、出力一時停止時間を計測するためのタイマの初期化を行う(S802)。
【0064】
続いて、ジョブリスト管理部402から操作部405へ、ユーザからの操作パネル114での続行指示待ちを設定し、定期的に続行指示がないかを確認する(S803)。
【0065】
続行指示が無い場合、出力一時停止時間計測用タイマの更新を行う(S804)。
【0066】
出力一時停止時間計測用タイマの更新を行った後、予め設定されているタイムアウト時間との比較判定を行う(S805)。
【0067】
出力一時停止時間計測用タイマ値がタイムアウト時間を超えていた場合、ワークメモリへ退避していたレンダリング後中間データ、及び未レンダリングの解析後中間データを削除する(S806)。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例を示すプリンタの構成を示す構造図である。
【図2】本発明の実施例を示すプリンタの主要構成及びその接続図である。
【図3】本発明の実施例を示す予想出力結果の例を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示すプリンタ制御装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施例での印刷データをジョブ単位、さらにページ単位の中間データとして管理する例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1で先頭ページ以外の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1で最終ページのオブジェクト判定する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例1で先頭ページ以外を一時停止する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
3000 ホストコンピュータ
1000 プリンタコントローラ
401 ネットワークインタフェース
402 ジョブリスト管理部
403 ジョブ解析部
404 RIP処理部
405 操作部
406 プリント制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータからネットワークを介して印刷データを受信した印刷装置の印刷処理を制御する印刷システム及びその方法であり、特に、電子メール、Webブラウザ、Webアプリケーションなど用紙サイズ情報をもたないアプリケーションからの印字出力において、重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図る印刷装置を用いたシステムである。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク技術の発展に伴ってホストコンピュータまたは携帯端末による電子メールの送受信、Webブラウザを利用したサーバ−クライアントアプリケーションによる商取引、定型業務等が広く行われている。
【0003】
このようなアプリケーションを利用することでほとんど印字出力を経由せずに業務を行うことが可能となっている。
【0004】
また、特許文献1には、例えば8ページのページイメージ情報を1ページの新たなページイメージ情報に変換することにより、紙資源の有効活用、ハードコピーのコンパクト化、ページ数の多い文書の内容便覧の迅速作成を可能にする技術の記載がある。
【特許文献1】特開平5−328103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、確認や一時保存のために印字出力する際、ホストコンピュータ上のアプリケーションにおいては印字出力時に指定される特定の用紙サイズに合わせた画面表示を行わないため、特定のページ(最終ページなど)が、電子メールにおける引用部、署名(シグネチャ)、Webページにおける著作権表示、広告表示、等印字出力を行うユーザが必要としない表示内容のみのデータの印字出力になり、用紙を無駄にしてしまうことがあった。
【0006】
また、画面表示からは何ページ分の印字出力になるか判断できないため、排紙口の出力結果から、ユーザが必要とする先頭から数ページ分のみが取り除かれ、半端な出力結果が排紙口に放置されてしまうことがあった。
【0007】
一方、プリンタドライバから開始ページ、終了ページを指定することで、上記無駄な出力を抑制することができるが、予めプレビュー表示を実行して各ページの印字内容を確認する必要があった。
【0008】
また、出力する印字ジョブが異なるごとにプレビュー表示、開始ページ、終了ページの指定、という煩雑な操作が必要であった。
【0009】
そこで、本発明は、簡易な方法で重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図れる印刷処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、
複数ページにまたがる印刷ジョブデータを解析、RIP処理して任意の用紙サイズ上に印字出力する印刷処理システムにおいて、
入力される印刷ジョブデータから任意のページ情報を判断する手段と
任意のページ情報印字出力後に自動的に印字出力の中断状態へ移行する中断手段と、
中断中のページ情報の解析、RIP処理において、出力ページに占める描画オブジェクトの描画サイズ、描画位置、描画オブジェクト数を判定する手段と、
予め設定したしきい値と判定結果から中断中のページ情報の印字出力を再開続行切り替えできる手段と、
から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、簡易な方法で重要性の低い印字内容の印字出力を抑制し、印字コストを抑え、またユーザの利便性を図れる印刷処理システムを提供することができる。
【0012】
また、不要な出力の抑制により、ユーザが本来必要とする出力結果を排紙口から探す時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明を適用可能なレーザービームプリンタの構成を示す断面図である。
【0015】
図において、100はレーザービームプリンタ本体であり、接続されているホストコンピュータによって供給される印刷データを記録媒体である記録紙等に像を形成するものである。なお、後述するが、この印刷データは制御データと画像データとから構成されており、制御データに基づいて画像データをビットマップデータに展開する。
【0016】
104はLBP本体100全体の制御ユニットである。この制御ユニット104は、ホストコンピュータから受け取った画像データを制御データに基づいて展開し、ビデオ信号に変換してレーザドライバ110に出力する。
【0017】
制御ユニット104からのビデオ信号の出力を受けたレーザドライバ110は、半導体レーザ111から発射されるレーザ光113のオン、オフ切り替えをする。レーザ光113は回転多面鏡112の回転に応じて左右にふられ、静電ドラム117上に印刷パターンの静電潜像を形成する。
【0018】
この静電潜像へトナーカートリッジ116からトナーを供給し印刷現像を形成した後、記録媒体に転写が行われる。転写されたトナーは、定着器105によって定着される。
【0019】
記録媒体にはカットシート記録紙(普通紙、厚紙、OHPを含む)(以下、用紙と略す)が用いられる。この用紙はLBP本体100の給紙口101に装填され、給紙ローラ102および搬送ローラ103により、装置内に取り込まれて、静電ドラム117に供給される。搬送ローラ106により定着器105から搬送された記録紙は、排紙口切り替え装置107によってフェースダウン排紙口109及びフェースアップ排紙口108のどちらかに排紙される。
【0020】
ここでは簡略化のため、給紙口101は1つのみしか図示しないが、本印刷システムのLBP本体100には複数の給紙口が設けられ、通常、このような複数の給紙口は、それぞれサイズの異なる用紙が装填される。
【0021】
114は、操作パネルで、ユーザへの状態表示を行い、ユーザからの操作指示を受け付ける。
【0022】
115は、ネットワーク40に接続された115ネットワークアダプタで、LBP本体100とは、双方向パラレルインターフェース12を介して接続される。
【0023】
図2は本発明の実施例を示すプリンタ制御装置の内部ブロック図である。ここでは、レーザービームプリンタ(図1)を例にして説明する。図2において、3000はホストコンピュータで、外部記憶装置11に格納されたプログラムがRAM2にロードされ、CPU1により実行される。
【0024】
こうしたプログラムには、読取り処理や印刷処理を行うデバイスドライバや、文書処理プログラム等に基づいて図形、イメージ、文字、表(表計算等を含む)等が混在した文書処理を実行するアプリケーションプログラムなどが挙げられる。本印刷システムに関するソフトウェアのモジュール構成については後述する。
【0025】
CPU1は、こうしたプログラムを実行すると共に、システムバス4に接続される各デバイスの統括的な制御を行う。また、CPU1はCRT10上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウィンドウを開き、種々のデータ処理を実行する。
【0026】
RAM2は、CPU1の主メモリ、ワークエリア等として機能する。5はキーボードコントローラ(KBC)で、キーボード9や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。6はCRTコントローラ(CRTC)であり、CRTディスプレイ10の表示を制御する。7はディスクコントローラ(DKC)であり、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザーファイル、編集ファイル等を記憶するハードディスク(HDD)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)やCD−ROM等の外部記憶装置11とのアクセスを制御する。8はパラレル入出力コントローラ(PIOC)で、ローカルに接続する場合は、所定の双方向パラレルインターフェース(図示せず)を介してプリンタ100との双方向通信制御処理を実行する。
【0027】
30はホストコンピュータ上のネットワーク送受信部で、ネットワーク40を介して、ネットワークアダプタ115に画像データ、制御コマンドを送信するとともに、プリンタ100からのコマンドのレスポンスを受信する。
【0028】
印刷が行われる場合は、ホストコンピュータ3000で印刷データが作成され、スプールデータとして外部記憶装置11に格納される。このスプールデータは、ネットワーク送受信部30からネットワーク40を介し、ネットワークアダプタ115に送信される。ネットワークアダプタ115からは、双方向パラレルインターフェース12を経由してI/F部16で印刷データが受信される。
【0029】
受信された印刷データは、CPU13、制御部14の制御処理にしたがって順次RAM19へ送り込まれる。CPU13では、ROM15に記憶された制御プログラムによって、システムバス22に接続された各デバイス及びプリンタ全体の制御を行っている。
【0030】
RAM19は、CPU13のワークエリアや主にデータの受信バッファすなわちFIFO(First−In First−Out方式)として用いられる。14は制御部でメモリの制御、バスの調停等の制御を行う。17は印刷部I/F部でRAM19に格納されていた圧縮データの伸張、画像処理等を制御部14で行い、順次印刷インターフェース18を介して印刷部20へ出力する。
【0031】
図4は本発明の実施例を示すプリンタ制御装置の機能ブロック図である。
【0032】
図4において、プリンタ制御装置1000はネットワークI/F401によってネットワーク40を介してホストコンピュータ3000に接続されている。
【0033】
ネットワークI/F401はホストコンピュータ3000上のプリンタドライバ等からジョブ単位で送信される印刷データを受信する。
【0034】
ジョブリスト管理部402は、受信した印刷データのジョブ単位ごとに任意のジョブIDを付加する。また、ジョブリスト管理部402は操作部405からの印刷ジョブに対するユーザからの操作指示も受け付け、プリンタ制御装置1000内で処理されるジョブの統一的な管理を行う。
【0035】
ジョブ解析部403は、ジョブリスト管理部402からの指示により、ジョブIDを付加された印刷ジョブの制御データと印刷データを解析して、ページ単位の中間データへ変換処理を行う。
【0036】
RIP処理部404は、ジョブリスト管理部402からの指示により、ページ単位の中間データをビットマップデータへ変換処理を行う。
【0037】
プリント制御部406は、印刷部20の画像形成処理、給紙処理に同期して変換されたビットマップデータを転送し、用紙上への印刷データの出力処理を行う。
【0038】
図5は、ジョブリスト管理部402で印刷データをジョブ単位、さらにページ単位の中間データとして管理する例である。
【0039】
ここではネットワークI/F401を介して複数のホストコンピュータ3000から受信した印刷データがジョブ501、502、503として管理されている。
【0040】
それぞれのジョブ501、502、503はジョブID504、509、514によって識別され、ジョブ解析部403、RIP処理部404で処理される。
【0041】
また、ジョブ501、502、503には、どのホストコンピュータ3000から送信されたジョブであるか、または、ネットワーク上のどのユーザからのジョブであるかを識別するユーザID505、510、515が付加されている。ユーザID505、510、515は、ホストコンピュータ上のプリンタドライバで入力やネットワーク上のプロトコル情報からジョブリスト管理部402で自動生成するように構成することもできる。
【0042】
ジョブ解析部403によって生成されたページ単位の中間データは、ジョブリスト管理部402においてもページ単位の情報506、507、508、511、512、513、516、517、518として管理される。これによりページ単位で印刷処理を中断したり、再実行したりすることが可能になっている。
【0043】
次に、このように構成された印刷処理システムにおいて、印刷装置本体で1ページ目印刷出力後、印刷出力を一時停止し、後続ページの再開続行を切り替える処理について図6、図7及び図8のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
まず、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
ネットワークI/F401を介してホストコンピュータ3000から印刷データ受信し、ジョブ解析部403によって中間データを生成し、RIP処理部404で1ページ目のレンダリング処理を行って、プリント制御部406へ印刷指示を行った後、ジョブリスト管理部402において2ページ目以降の出力ページがあるかどうかを判定する(S601)。
【0046】
2ページ目以降の出力ページがある場合、当該ページが最終ページとなるかどうかを判定する(S602)。
【0047】
当該ページが最終ページとなる場合、ページ内のオブジェクト情報の判定処理を行う。ページ内のオブジェクト情報の判定処理については後述する(S603)。
【0048】
次に、2ページ目以降ページの一時停止処理を行うが、処理詳細については後述する(S604)。
【0049】
以下、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、ジョブリスト管理部402において、ジョブ解析部403で予め設定されている出力用紙サイズの読出しを行う(S701)。
【0051】
次に、判定を行う前に、中間データ情報として保持される出力一時停止フラグの初期化を行う(S702)。
【0052】
続いて、中間データ情報内の描画オブジェクトをカウントするためのカウンタテーブルを初期化する(S703)。
【0053】
カウンタテーブルは、各描画オブジェクトの種別(テキスト、イメージ、グラフィックス)や、論理ページ内、出力ページ内での描画位置、テキストデータの場合には、予め設定されているキーワードとのマッチング結果などが含まれる。
【0054】
各初期化が終了すると、予め設定されている描画オブジェクトに対する重み付け情報と各描画オブジェクトの比較を行い、描画オブジェクトが出力結果として有効かどうかの判定を行う(S704)。
【0055】
図3は、電子メールやWebブラウザからの印字出力の例であるが、この時、各2ページ目(最終ページ)に関して、各描画オブジェクトは出力ページ内の上端(ページに占める割合はしきい値として設定可能)に偏っている。さらに、設定済みのキーワード(Copyright等)とのマッチングが行われ、出力結果として無効と判定される。
【0056】
描画オブジェクトが出力結果として有効と判定された場合、カウンタテーブル内のカウンタの更新を行う(S705)。
【0057】
当該ページ内の全ての描画オブジェクトについて、判定処理を繰り返す(S706)。
【0058】
全ての描画オブジェクトについて判定処理が終了すると、カウンタテーブルに保持されたカウンタ値と予め設定されているしきい値との比較判定を行う(S707)。
【0059】
カウンタ値がしきい値よりも小さい場合、当該ページは重要性が低いと判定し、中間データ情報として保持する出力一時停止フラグをONに設定する(S708)。
【0060】
以下、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
ジョブリスト管理部402において、ジョブ解析部403で解析済の中間データをRIP処理部404へ送り、レンダリング処理を指示すると共に、中間データ情報から出力一時停止フラグの確認を行う(S801)。
【0062】
出力一時停止フラグがOFFの場合には、RIP処理部404でのレンダリング処理が終わり次第、プリント制御部406へ印刷指示を行って印字出力を行う(S807)。
【0063】
出力一時停止フラグがONの場合には、RIP処理部404でのレンダリング処理が終了したレンダリング後中間データをワークメモリ内で退避して、次のページのレンダリング処理をRIP処理部404へ指示する。また、出力一時停止時間を計測するためのタイマの初期化を行う(S802)。
【0064】
続いて、ジョブリスト管理部402から操作部405へ、ユーザからの操作パネル114での続行指示待ちを設定し、定期的に続行指示がないかを確認する(S803)。
【0065】
続行指示が無い場合、出力一時停止時間計測用タイマの更新を行う(S804)。
【0066】
出力一時停止時間計測用タイマの更新を行った後、予め設定されているタイムアウト時間との比較判定を行う(S805)。
【0067】
出力一時停止時間計測用タイマ値がタイムアウト時間を超えていた場合、ワークメモリへ退避していたレンダリング後中間データ、及び未レンダリングの解析後中間データを削除する(S806)。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例を示すプリンタの構成を示す構造図である。
【図2】本発明の実施例を示すプリンタの主要構成及びその接続図である。
【図3】本発明の実施例を示す予想出力結果の例を示す図である。
【図4】本発明の実施例を示すプリンタ制御装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施例での印刷データをジョブ単位、さらにページ単位の中間データとして管理する例を示す図である。
【図6】本発明の実施例1で先頭ページ以外の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例1で最終ページのオブジェクト判定する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施例1で先頭ページ以外を一時停止する処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
3000 ホストコンピュータ
1000 プリンタコントローラ
401 ネットワークインタフェース
402 ジョブリスト管理部
403 ジョブ解析部
404 RIP処理部
405 操作部
406 プリント制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページにまたがる印刷ジョブデータを解析、RIP処理して任意の用紙サイズ上に印字出力する印刷処理システムにおいて、
入力される印刷ジョブデータから任意のページ情報を判断する手段と
任意のページ情報印字出力後に自動的に印字出力の中断状態へ移行する中断手段と、
中断中のページ情報の解析、RIP処理において、出力ページに占める描画オブジェクトの描画サイズ、描画位置、描画オブジェクト数を判定する手段と、
予め設定したしきい値と判定結果から中断中のページ情報の印字出力を再開、続行、または削除切り替えできる手段と、
から構成されることを特徴とする印刷処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷処理システムであって、
前記任意のページ情報は先頭ページである
ことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の印刷処理システムであって、
前記出力ページに占める描画オブジェクトの判定は、最終ページでのみ行う
ことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項1】
複数ページにまたがる印刷ジョブデータを解析、RIP処理して任意の用紙サイズ上に印字出力する印刷処理システムにおいて、
入力される印刷ジョブデータから任意のページ情報を判断する手段と
任意のページ情報印字出力後に自動的に印字出力の中断状態へ移行する中断手段と、
中断中のページ情報の解析、RIP処理において、出力ページに占める描画オブジェクトの描画サイズ、描画位置、描画オブジェクト数を判定する手段と、
予め設定したしきい値と判定結果から中断中のページ情報の印字出力を再開、続行、または削除切り替えできる手段と、
から構成されることを特徴とする印刷処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷処理システムであって、
前記任意のページ情報は先頭ページである
ことを特徴とする印刷処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の印刷処理システムであって、
前記出力ページに占める描画オブジェクトの判定は、最終ページでのみ行う
ことを特徴とする印刷処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−264247(P2006−264247A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88922(P2005−88922)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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