説明

印刷制御装置、印刷制御方法およびそのプログラム

【課題】使用する用紙毎に異なる印刷時間やそれに付随する時間(用紙交換の作業時間等)を考慮した適切な印刷時間の算出を行って、システム全体の負荷や各プリンタへの負荷の配分状況をより正確に表示することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびそのプログラムを提供する。
【解決手段】プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルと、用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出手段と、算出された印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で印刷ジョブを表示する第1の表示制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷制御方法およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、顧客からの委託を受けて、指定された文書を指定された部数だけ印刷し、かつ指定された方法で製本して納入する、一般に「コピーサービス」「プリンティングサービス」などと呼ばれるサービスが行われている。このようなサービスを提供する印刷業者では、顧客から受注した印刷物を、人的、物的資源を考慮しつつ、納期を守れるように日々の印刷スケジュールを立てて印刷を行っている。そのため、計画した印刷スケジュール通りに業務が行われているか正しく把握することができ、効率よく印刷を実行することができるシステムが求められ、そのためのシステムが提案されている。
【0003】
その一例として、特許文献1には、従来のシステムでは、システム全体の負荷の総量や各プリンタへの負荷の配分状況が把握しづらいといった問題があることから、これらを解消するために、システム内のプリンタの負荷状態をグラフィカルにリアルタイム表示する、スケジュールビューを備えたプリンタ制御装置が開示されている。具体的には、このプリンタ制御装置は、印刷ジョブをいずれかのプリンタに割り当て、印刷ジョブを割り当てられたプリンタが印刷をするのに要する時間を算出している。そして、算出した時間をこの時間に比例する長さを有する所定の形状によって表示するとともに、当該プリンタに割り当てられかつまだ完了していないすべての印刷ジョブのそれぞれに、対応する所定の形状を水平方向または垂直方向に一定の間隔で配列して表示することで、各プリンタの負荷状況を示す構成となっている。この構成により、システム全体の負荷の総量や各プリンタへの負荷の配分状況を把握できるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等のスケジュールビューを備えたプリンタ制御をおこなう装置では、印刷時間の算出に影響があるいくつかの要因、例えば、印刷時に使用する用紙によってプリンタの速度が変動するがこれを考慮していない場合や(プリンタの印刷速度は用紙の厚さ、用紙の幅、用紙の長さによって左右される。具体的には用紙が厚くなればトナーを十分に定着させるために印刷速度が遅くなり、用紙の幅が一定サイズ以下であるとヒートロールの過熱を防ぐために印刷速度が遅くなる。また用紙が長くなれば用紙搬送長が長くなるので印刷速度が遅くなる。特に、印刷業者が用いるプリンタでは、多種多様な紙種が使用されるため、用紙の違いによる影響が大きい)、印刷ページ数などの情報が取得できない印刷ジョブが入力された場合や、印刷ジョブ間で必要となる用紙の交換時間などの要因を考慮したものとなっていない場合に、算出された印刷時間が適切でないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷システム全体の負荷や各プリンタへの負荷の配分状況をより正確に表示することができる印刷制御装置、印刷制御方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の印刷制御装置は、プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルと、前記用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出手段と、算出された前記印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で前記印刷ジョブを表示する第1の表示制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の印刷制御方法は、印刷制御装置に、プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルを備え、前記印刷制御装置の印刷時間算出手段が、前記用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出工程と、前記印刷制御装置の表示制御手段が、算出された前記印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で前記印刷ジョブを表示する表示制御工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルを登録する手段と、前記用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出手段と、算出された前記印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で前記印刷ジョブを表示する表示制御手段として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用する用紙毎に異なる印刷時間やそれに付随する時間(用紙交換の作業時間等)を考慮した適切な印刷時間の算出を行うので、算出する印刷時間の精度が向上し、印刷システム全体の負荷や各プリンタへの負荷の配分状況をより正確に表示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態の印刷制御装置を含む印刷システムのシステム構成を示す説明図である。
【図2】図2は、プリントサーバ(印刷制御装置)のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、プリントサーバの機能構成を示す機能構成図である。
【図4】図4は、印刷ジョブテーブルに登録される項目の一例を例示した図である。
【図5】図5は、印刷スケジュールテーブルに登録される項目の一例を例示した図である。
【図6】図6は、プリンタテーブルの一例を例示した図である。
【図7】図7は、用紙別印刷速度テーブルの一例を例示した図である。
【図8】図8は、トレイ別用紙テーブルの一例を例示した図である。
【図9】図9は、用紙交換ジョブテーブルの一例を例示した図である。
【図10】図10は、メインビューの表示例を示す図である。
【図11】図11は、スケジュールビュー表示部によって表示されるスケジュールビューの一例を示す説明図である。
【図12】図12は、本実施形態の印刷制御装置による印刷時間の算出からスケジュールビューの表示までの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は、仮算出処理を説明するフローチャートである。
【図14】図14は、用紙交換ジョブの割り当てからスケジュールビューの表示までの処理の流れを示すフローチャートである。
【図15A】図15Aは、用紙交換ジョブの生成にあたり用いるGUIを例示した図である。
【図15B】図15Bは、用紙交換ジョブの生成にあたり用いるGUIを例示した図である。
【図15C】図15Cは、用紙交換ジョブの生成にあたり用いるGUIを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷制御装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
はじめに、本実施形態の印刷制御装置の概要について説明する。
【0013】
(1)印刷時に使用する用紙によってプリンタの速度が変動し、印刷時間は変わる。プリンタの印刷速度は、用紙の厚さ、用紙の幅、用紙の長さによって左右され、具体的には用紙が厚くなればトナーを十分に定着させるために印刷速度が遅くなり、用紙の幅が一定サイズ以下であるとヒートロールの過熱を防ぐために印刷速度が遅くなる。また用紙が長くなれば用紙搬送長が長くなるので印刷速度が遅くなる。これを印刷時間へ反映させるために各プリンタで対応する用紙の用紙別印刷速度テーブルを設け、印刷時間の算出部において、印刷ジョブの用紙情報から、印刷ジョブを割り当てるプリンタの用紙別印刷速度テーブルを参照し、該当用紙を該当プリンタで印刷した場合のプリンタ速度を取得することで、印刷用紙によって変わるプリンタの印刷速度を考慮した印刷時間を算出する。
【0014】
(2)プリンタで印刷できる印刷ジョブと印刷制御装置で対応する印刷ジョブのデータ形式が異なると、印刷ジョブから取得できる情報の内容に差が生じることがある。こういうときに、印刷時間の算出に影響するページ数等の情報が取得できないときがある。これを解消するために、印刷時間の算出部において以下の手段(詳細は後述)を設けることで、印刷ジョブから印刷時間の算出上に影響がある情報が取得できないときにおいても適切な印刷時間を算出する。
【0015】
(a)印刷時間の算出部において、事前にシステム設定として定義された値(例えば、単位データ量あたりのページ数)からシート数を計算し印刷時間を算出する仮印刷時間算出手段を設け、ページ数などの情報が取得できない印刷ジョブにおいても印刷時間を算出できるようにする。
【0016】
(b)ジョブグラフ表示部において、印刷ジョブの印刷時間が仮算出の場合には、仮の算出値に比例する長さを有する所定の形状によって表示し、オペレータに該当ジョブの印刷時間が仮算出値であるとわかるようにする。
【0017】
(c)スケジュールビュー表示部において、印刷ジョブの情報を変更できる手段を設け、印刷時間が仮算出されたジョブのページ数やそのほかの情報をオペレータが把握していた場合にジョブの情報の変更を受け付け正しく印刷時間を算出し直すことができるようにする。
【0018】
(3)印刷システム全体の負荷の総量や配分状況を正しく表示するには、プリンタで印刷している時間以外の、用紙交換にかかる時間も考慮する必要がある。そこで、プリンタで利用可能なトレイとこのトレイに現在ロードされている用紙を表示する表示部と、印刷ジョブをいずれかのプリンタに割り当てる手段(印刷制御装置)において、ロードされている用紙を比較して用紙交換を指示する用紙交換ジョブをプリンタに割り当てることができるようにする手段と、用紙交換の処理時間に比例する長さを有する所定の形状によって表示する手段を設け、オペレータに用紙交換ジョブを表示するとともに、その作業にかかる時間も含めたシステム全体の負荷の総量や配分状況を表示する。
【0019】
本実施形態の印刷制御装置は、上記の(1)〜(3)の点により、算出する印刷時間の精度を向上させることができ、印刷システム全体の負荷をより正確に把握できるように表示することができるものとなる。
【0020】
次に、本実施形態の印刷制御装置を含む印刷システムのシステム構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の印刷制御装置を含む印刷システムのシステム構成を示す説明図である。なお、以下の説明では、プリントサーバが印刷制御装置に相当する。
【0021】
図1において、101はユーザクライアント(クライアントPC)であり、顧客が印刷業者に対して印刷業務を委託するために使用するコンピュータである。このユーザクライアント101から所定のアプリケーションによりジョブチケットともに印刷対象文書をプリントサーバ103へ送信することができる。
【0022】
102は管理クライアントであり、印刷業者側のオペレータが依頼された印刷業務を管理するために使用するコンピュータである。この管理クライアント102からWWWブラウザを用いてプリントサーバ103のWebユーザインターフェースへアクセスし印刷する文書の検索/印刷開始/印刷停止/削除/システムの管理が行える。
【0023】
103はプリントサーバであり、ユーザクライアント101から印刷依頼された文書を、プリンタ104を制御して印刷処理させる。また各プリンタ104の稼働状況などをリアルタイムに、かつグラフィカルに画面表示する。
【0024】
104は複合機等のプリンタであり、プリントサーバ103の制御にしたがって印刷文書のデータから印刷イメージを生成し、所定の用紙上に印刷する。
【0025】
次に、プリントサーバ103のハードウェア構成について、図2を用いて説明する。図2は、上記プリントサーバ103のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、プリントサーバ103は、このプリントサーバ103の動作制御を行うCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)201を備えている。このCPU201には、CPU201が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶するROM(Read Only Memory)202と、CPU201のワークエリア等を構成するRAM(Random Access Memory)203とが、内部バス等の接続線200を介して接続されている。
【0027】
さらに、CPU201には、図示しない各種入出力I/Fを介して、キーボード211、マウス212、CD214が装着されるCDドライブ(CDD)213、DVD216が装着されるDVDドライブ(DVDD)215、HD205を内蔵するHDD204、FD207が装着されるFDドライブ(FDD)206、ディスプレイ208が接続されている。CPU201は、これら各構成要素とデータのやりとりを行い、また、各構成要素間のデータのやりとりを制御する。
【0028】
ネットワークI/F209は、インターネット等の電気通信回線210を介して、他のサーバやクライアントとの間で種々のデータをやりとりするための通信制御処理を実行し、ならびに、ネットワーク接続されたプリンタ104へ印刷データ等を送信したり、プリンタ104から印刷処理状況情報を示すデータ等を受信したりする。
【0029】
HDD204は、OS(Operating System)や、このOS上で走る種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画像情報データなどの種々のデータを記憶する。本実施形態では、アプリケーションプログラムとして、印刷データ送信プログラム等が記憶されている。また、CDドライブ213、DVDドライブ215、FDドライブ206はそれぞれ、交換可能な記憶媒体であるCD−ROM(CD214)、DVD−ROM/RAM(DVD216)、FD207に記憶されているデータ(種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画像情報データ等の種々のデータ)を読み込む。DVD−RAMやFD207についてはデータを書き込むこともできる。
【0030】
このプリントサーバ103では、ユーザが電源を投入するとCPU201がROM202内のローダ(プログラム)を起動させ、HDD204からOSをRAM203に読み込み、このOSを起動させる。起動したOSは、ユーザの操作に応じてアプリケーションプログラムを起動したり、情報を読み込んだり保存したりする。また、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0031】
また、入出力I/Fの1つである表示制御部(図示せず)が、LCDやCRTなどのディスプレイ208を制御してCPU201から受け取った表示データに対応した文字や画像等を当該ディスプレイ208に表示させる。また、入出力I/Fの1つである入力制御部(図示せず)が、キーボード211でのキー操作に応じた入力信号や、マウス212等のポインティングデバイスの操作に応じた入力信号を取り込んで、CPU201に通知する。
【0032】
次に、上記プリントサーバ103の機能構成を、図3を用いて説明する。図3は、上記プリントサーバ103の機能構成を示す機能構成図である。
【0033】
図3において、301は管理クライアント102との通信を制御するWebユーザインターフェースであり、管理クライアント102からの文書の検索/印刷開始/印刷停止/削除/システムの管理などの要求を受け付ける。
【0034】
302はユーザクライアント101からの印刷文書データやジョブチケットを受信する印刷文書入力部である。受信したデータはデータベース管理部303にジョブとして登録し、印刷ジョブがいずれかのプリンタ104にスケジュールされるとプリンタインターフェース部304を介してプリンタ104への印刷制御が実行される。
【0035】
303はデータベース管理部であり、プリンタインターフェース部304や、プリンタ割り当て部305、印刷時間算出部306、印刷文書入力部302からの依頼を受けて、保持する印刷ジョブテーブル303a、印刷スケジュールテーブル303b、プリンタテーブル303c、用紙別印刷速度テーブル303d、トレイ別用紙テーブル303e、用紙交換ジョブテーブル303fへの書き込みを行う。
【0036】
ここで、印刷ジョブテーブル303aは、ユーザクライアント101などから入力された印刷ジョブの内容の詳細を保持するためのテーブルである。図4に、印刷ジョブテーブル303aに登録される項目の一例を示す。同図の例では、ID(ジョブID)、Name(ジョブ名)、Copies(コピー部数)、Duplex(両面印刷の有無)、Media(ジョブの用紙)、OutputBin(ジョブの出力場所)、Punch(パンチ穴の位置と数)、RequestedPrinter(印刷要求するプリンタ)、Staple(ステープルの位置と数)、RetainDuration(ジョブの保存期間)、Customer(ジョブの顧客名称)、Description(ジョブに関する記述)、InputDataStream(入力ファイルのデータフォーマット)、InputFileSize(入力ファイルサイズ)、TotalPages(ジョブのページ数)、TotalSheets(ジョブのシート枚数)、Pages stacked(スタッカに出力済みのページ数)、Sheets stacked(スタッカに出力済みのシート数)、Copies stacked(スタッカに出力済みの部数)、Cumulative pages stacked(再印刷も含めたスタッカに出力済みのページ数)、Cumulative sheets stacked(再印刷も含めたスタッカに出力済みのシート数)、Assigned to printer(プリンタがジョブを受信した日時)、Size(ジョブのサイズ)、Number of reprints(ジョブの再印刷回数)、Submitted(ジョブを生成した日時)、Page range(印刷するページの範囲)、Folding(ジョブの折りについての情報)、Binding(ジョブの綴じについての情報)の各項目が含まれる。このように、ジョブIDと対応づけて種々の印刷条件が登録される。
【0037】
印刷スケジュールテーブル303bは、印刷ジョブテーブル303aに登録された各ジョブの印刷予定プリンタや、現時点での状態などを保持するためのテーブルである。図5に、印刷スケジュールテーブル303bに登録される項目の一例を示す。同図の例では、ID(ジョブID)、Status(ジョブのステータス)、Progress(ジョブの進捗状況)、Reason for wait(待機中の理由)、Assigned Printer(ジョブを印刷するプリンタ)、Print after time(印刷開始時間)、completion time(印刷完了時間)、Duration(処理時間)の各項目が含まれる。このように、印刷スケジュールテーブル303bには、ジョブIDと対応づけてそのジョブのスケジューリングに関する情報が設定される。
【0038】
プリンタテーブル303cは、プリンタ名に対応付けて各プリンタ104の状態(READY/STOP/ウォームアップ/紙づまり/トナー補給…)や接続に関するIPアドレス等の情報などを保持するテーブルである。図6に、プリンタテーブル303cの一例を示す。
【0039】
用紙別印刷速度テーブル303dは、プリンタ104で対応する用紙ごとの印刷速度(1分間に印刷可能なシート数)を保持するテーブルである。このテーブルは、プリンタ毎に保持される。図7に、用紙別印刷速度テーブル303dの一例を示す。同図に示すように、用紙別印刷速度テーブル303dには、用紙の種別毎に、用紙情報としてその名称、厚さ(g/m)、幅(mm)および長さ(mm)が登録され、さらに、片面印刷の場合の印刷速度と両面印刷の場合の印刷速度とが登録される。このテーブルに登録される印刷速度は、対応するプリンタ104での印刷実績から逐次更新される。また、デフォルトの用紙別印刷速度をHDD204等の記憶手段に保持しており、新しい用紙が該当プリンタ104のトレイに追加された場合には、そのデフォルトの印刷速度で登録される。また、新規に用紙が登録された場合には、用紙の厚さ、幅、長さが最も近似する用紙の速度を適用する。
【0040】
トレイ別用紙テーブル303eは、プリンタ104で対応するトレイおよび現在トレイにロードされている用紙の情報を保持するテーブルである。このテーブルは、プリンタ毎に保持される。図8に、トレイ別用紙テーブル303eの一例を示す。同図に示すように、トレイ別用紙テーブル303eには、プリンタ104に備わる全トレイのリスト(トレイリスト)と、各トレイにロードされている用紙のリスト(ロード済み用紙リスト;ただし、未ロードの場合“無”)が登録される。トレイリスト、ロード済みの用紙リストは、ネットワークI/F209に含まれるプリンタインターフェース部304が各プリンタ104から取得した情報で更新される。
【0041】
用紙交換ジョブテーブル303fは、用紙交換ジョブに関する情報を保持するテーブルである。図9に、用紙交換ジョブテーブル303fの一例を示す。同図に示すように、用紙交換ジョブテーブル303fには、用紙交換ジョブID、割り当てプリンタ(用紙交換ジョブが割り当てられたプリンタを識別する情報;例えば、プリンタ名等)、割り当て順(“最後尾”など)、用紙交換情報(例えば、“トレイ1をA4普通紙からA3普通紙へ交換”など)、交換時間(分)、用紙交換の際オペレータに通知するメッセージの内容、印刷と用紙交換の区切りを示すセパレータシートの印刷の有無が登録される。なお、セパレータシートを印刷する場合、用紙交換の際直前に、このセパレータシートに上記オペレータに通知するメッセージが印刷される。これにより、他の効果として、用紙交換のタイミングをオペレータに提示し、オペレータの用紙交換作業効率を上げる効果が得られる。
【0042】
ここで、図3の説明に戻る。プリンタインターフェース部304は、プリンタ104との通信を制御するインターフェースであり、いずれかのプリンタ104からジョブの完了が通知される都度、印刷スケジュールテーブル303bを参照し、次に印刷するジョブを検索する。そして印刷するジョブが見つかったら、印刷ジョブテーブル303aから詳細情報を取得し、そして印刷文書入力部302にあるジョブをプリンタ104へ送信する。また、プリンタインターフェース部304は各プリンタ104からの一定間隔で送信されてくる各プリンタ104の状態の情報を受信する。そしてデータベース管理部303に依頼して、状態の変化したプリンタ104についてプリンタテーブル303cやトレイ別用紙テーブル303eを新たな状態に対応する情報に置き換えさせる。また、各プリンタ104の状態から各ジョブの状態を割り出し、データベース管理部303に依頼して、印刷スケジュールテーブル303bに保持された各ジョブの状態を更新させる。
【0043】
プリンタ割り当て部305は、プリンタ104の割り当てを担当する部分であり、印刷ジョブの属性とプリンタ104の属性によって自動的に、または手動入力によってプリンタ割り当てを行う。なお、印刷ジョブの割り当てを自動的に行う場合は、原則として選択中のジョブをその時点で最も負荷の少ない、すなわち当該ジョブに最も早く着手できるプリンタ104の、印刷待ち行列の最後尾に追加するように割り当てを行う。一方、ジョブの手動入力によってプリンタ割り当てを行う場合は、新規ジョブの入力時に所定のダイアログ(図示せず)を表示して、当該ダイアログを用いたオペレータによる割り当て設定入力を受け付けたり、後述のスケジュールビュー表示時にジョブグラフに対するドラッグアンドドロップ等によりジョブの割り当ての設定や変更の入力を受け付け、入力された設定に従って割り付けを行う。
【0044】
印刷時間算出部306は、プリンタ割り当て部305からの依頼があったときに入力した個々のジョブのそれぞれを処理するのにかかると予測される時間、すなわち印刷時間を、当該ジョブの情報を取得して所定の計算式をもちいて計算する(詳細は後述)。
【0045】
仮印刷時間算出部307は、印刷時間算出部306でジョブの情報を取得できなかった場合に、仮の印刷時間をシステムに事前設定した値を基に算出する(詳細は後述)。
【0046】
メインビュー表示部308は、データベース管理部303の各テーブルから必要事項を読みだして、図10に示すようなメインビューを表示する。同図に示すウィンドウにおいて、左側の領域1001にはこのプリントサーバ103によって管理されているすべてのプリンタ104が表示される。
【0047】
そして、ここで選択されているプリンタ104について予定されている完了前のジョブが右側上の領域1002に、また当該プリンタ104においてすでに完了したジョブが右側下の領域1003に、それぞれ一覧表示されている。
【0048】
また、上部の領域には、各種ビューを表示させるためのアイコンが表示されており、このメインビュー上で、スケジュールビューアイコン1004を押下することによって、システム全体の負荷や各プリンタ104への負荷の配分状況を分かりやすく表示するためのスケジュールビュー(下記)を表示させることができるようになっている。
【0049】
スケジュールビュー表示部309は、ジョブグラフ表示部309aと、時間スケール表示部309bと、ガイドバー表示部309cとプリンタ状態表示部309dとを含む構成である。
【0050】
図11は、スケジュールビュー表示部309によって表示されるスケジュールビューの一例を示す説明図である。スケジュールビューは、ジョブグラフ表示エリア1101、時間スケール表示エリア1102、ガイドバー1103およびプリンタ状態表示エリア1104を主要な表示要素としてもつ。なお、このスケジュールビューは、メインビューとは独立したビューとして例示しているが、メインビュー内に表示するようにしてもよい。
【0051】
なお、ジョブグラフ表示エリア1101はジョブグラフ表示部309aによって描画される。
【0052】
また、時間スケール表示エリア1102は時間スケール表示部309bによって描画される。また、ガイドバー1103は、ガイドバー表示部309cによって描画される。また、プリンタ状態表示エリア1104はプリンタ状態表示部309dによって描画される。
【0053】
また、ジョブグラフ表示エリア1101には、そのプリンタ(104)に割り当てられているジョブであってかつまだ完了していないものが、その印刷時間に比例した長さを有する所定の形状(たとえば矩形)によって表現され、順に間を詰めて表示される。時間スケール表示エリア1102の時間スケールおよびジョブグラフ表示エリア1101の表示位置は、図示しないスライドバーを用いたり、マウス212を用いてドラッグするなどして移動させることができる。また、図示しない検索用ダイアログを用いてジョブを検索し、該当のジョブをジョブグラフ表示エリア1101内に表示するようにすることもできる。
【0054】
なお、同一のプリンタ(104)に割り当てられた各ジョブの矩形が1ドット間隔で配列されて形成された、帯状(バー状)の矩形を本明細書では「ジョブグラフ」と呼ぶが、個々の矩形の長さが個々のジョブの印刷時間に比例する結果、全ジョブグラフの長さはそのプリンタ104に蓄積されたジョブの総処理時間、すなわち各プリンタ104の負荷に比例することになる。したがって、各プリンタ104の負荷の大小をジョブグラフの長短によって直感的に把握することができる。
【0055】
なお、新たなジョブが投入された場合や、既存のジョブについて印刷予定プリンタが決定・変更された場合、いずれかのジョブやプリンタ104に状態の変化があった場合、印刷中のジョブの印刷時間がその進捗にともなって再計算された場合など、その結果データベース管理部303に保持されているいずれかのテーブルにつき何らかの書き込みや書き換えがなされた場合には、ジョブグラフ表示部309aは更新後の上記各テーブルを参照して、各ジョブグラフの再表示をおこなう。
【0056】
なお、ジョブグラフ内の各矩形の色または模様は、当該矩形に対応するジョブの状態を表し、また、ジョブグラフ内には、文書名、ジョブID、ジョブの開始時刻およびジョブの終了時刻が表示されており、上記再表示時には、各ジョブの新たな状態を反映して更新される。
【0057】
また、スケジュールビューには、時間スケール表示エリア1102に時間スケールが表示されている。時間スケールがなくても、各プリンタ104の負荷の相対的な大小はジョブグラフの長さによって把握することができるが、ジョブがいつ実行され、それが印刷時間にしてどのくらいの量であるといった絶対的な負荷の大きさなどは分からない。時間スケールの表示によって、これらを把握することができる。
【0058】
また、スケジュールビューには、時間スケール上のある一点を通過し、それと直交する方向に、各プリンタ104のジョブグラフをまたがるガイドバー1103が表示される。ガイドバー1103は時間スケール上の所望の位置までマウス212で移動させることができるが、現在時刻の位置に自動的に移動させ現在時刻を示すようにしてもよい。
【0059】
ガイドバー1103は種々の用途にもちいることができ、たとえば、ガイドバー1103が現在時刻を示している場合は、ジョブの開始からどのくらい時間が経過したかや、ジョブの終了までの残り時間などを把握することができる。また、ガイドバー1103を適宜移動させ、複数のプリンタ104で並行印刷されている各ジョブの処理時期にばらつきがないかどうかのチェックにもちいることができる。同一の親ジョブから分割された子ジョブのうち、あるものはガイドバー1103の左側に、あるものはその右側にある場合、子ジョブの処理時期がずれていて印刷結果のとりまとめなどが効率的におこなえない。したがって、いずれかのジョブを割り当て直して各子ジョブの処理時期がおおむね同時になるようにする。
【0060】
また、プリンタ状態表示エリア1104には、各プリンタ104の状態が表示される。図11の例では、管理されているプリンタ104と、これらのプリンタ104のトレイにロードされている用紙の種別や、用紙のロードの有無がわかるように表示されている。もちろん、各プリンタ104の稼働状態(READY/STOP等)やその他の情報を表示することもできる。
【0061】
なお、図11のプリンタ状態表示エリア1104においてプリンタ名「Printer 1」および「Printer 2」の左側に示される表示要素は、ジョブグラフ表示エリア1101に表示される各プリンタ104に対応したジョブグラフを区別するために割り当てられた、プリンタ毎に固有の色等(本実施形態では、色を用いるものとして説明するが、色に限らず、視覚的にプリンタ毎のジョブグラフを区別できるものであればよい)を表わしている。ジョブグラフは、プリンタ毎に割り当てられた色を用いて、プリンタ104に割り当てられた各ジョブの表示態様を、各ジョブを区別できるように変えて表示される。これにより、プリンタ毎のジョブグラフを識別でき、かつ、プリンタ毎のジョブグラフ内の各ジョブを識別することができる。
【0062】
ところで、管理クライアント102からジョブの割り込み入力があった場合には、Webユーザインターフェース部301からの通知を受けたプリンタ割り当て部305は、まず印刷時間算出部306に依頼して、割り込み先のプリンタ104の印刷速度を用いて当該ジョブの印刷時間を再計算させる。そして、データベース管理部303に依頼して、当該ジョブの印刷予定プリンタを上記割り込み先プリンタ、印刷時間を上記印刷時間として印刷スケジュールテーブル303bに書き込ませる。
【0063】
なお、Webインターフェース部301、印刷文書入力部302、データベース管理部303、プリンタインターフェース部304、プリンタ割り当て部305、印刷時間算出部306、仮印刷時間算出部307、メインビュー表示部308およびスケジュールビュー表示部309は、それぞれROM202、RAM203またはHD205、FD207などの記録媒体に記録されたプログラムに記載された命令にしたがってCPU201などが命令処理を実行することによって、各部の機能を実現するものである。
【0064】
次に、本実施形態の印刷制御装置(プリントサーバ103)による印刷時間の算出からスケジュールビューの表示までの処理の流れを、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態の印刷制御装置による印刷時間の算出からスケジュールビューの表示までの処理の流れを示すフローチャートである。図10に示すメインビュー上でスケジュールビューアイコン1004が押下されたときに、本フローチャートによる処理を開始する。
【0065】
はじめに、プリンタ割り当て部305が、前述のように、印刷ジョブを自動的に、または手動入力に従ってプリンタ104に割り当てる(ステップS1201)。
【0066】
次いで、印刷時間算出部306が、ステップS1202〜S1210の処理を実行する。まず、印刷ジョブテーブル303aから、印刷ジョブのページ数、用紙の種別を含む用紙情報、部数やN−up数等を含む印刷情報を取得する(ステップS1202)。
【0067】
このとき、上記印刷ジョブの情報が取得できた場合(ステップS1203でYes)、ステップS1205へ移行し、一方、取得できなかった場合(ステップS1203でNo)、ステップS1204へ移行し、後述する仮算出処理を実行してステップS1202へ戻る。
【0068】
ステップS1205では、割り当てられたプリンタ104の用紙別印刷速度テーブル303dから、対応する用紙の印刷速度を取得する。
【0069】
次いで、印刷ジョブが両面印刷を指示するものであるか判定し、両面印刷の場合(ステップS1206でYes)、ステップS1207へ移行し、両面印刷でない場合(ステップS1206でNo)、ステップS1208へ移行する。
【0070】
ステップS1207では、印刷ジョブで指定されているページ数を、N−up数を2倍した値で除算した結果をシート数として求め、ステップS1209へ移行する。なお、N−up数は、印刷用紙の片面に複数頁を印刷する場合の、用紙1枚に割り付けるページ数である。
【0071】
一方、ステップS1208では、印刷ジョブで指定されているページ数を、N−up数で除算した結果をシート数として求め、ステップS1209へ移行する。
【0072】
ステップS1209では、ステップS1207またはステップS1208で求めたシート数を、ステップS1205で取得した印刷速度で除算した結果に部数を乗算した値を印刷時間(分)として求める。
【0073】
次いで、求めた印刷時間を印刷スケジュールテーブル303bに登録する(ステップS1210)。
【0074】
そして、スケジュールビュー表示部309は、印刷スケジュールテーブル303bに登録された印刷時間を参照し、この印刷時間に比例する長さをもつ形状と、当該印刷ジョブおよび当該印刷ジョブが割り当てられたプリンタ104を識別できる表示態様で当該印刷ジョブをジョブグラフとして表示する(ステップS1211)。
【0075】
その後、印刷ジョブの情報が更新されず一定である場合(ステップS1212でNo)、上記表示を維持し、印刷ジョブの情報が更新された場合(既存の印刷ジョブに関して印刷ジョブテーブル303aの内容が変更された場合)は(ステップS1212でYes)、ステップS1202に戻り、印刷時間算出部306によるステップS1202以降の処理が再度実行される。なお、新規の印刷ジョブが入力された場合は、ステップS1201でのプリンタ割り当て部305による印刷ジョブのプリンタ104への割り当てから実行される。
【0076】
以上のようにして、印刷時間の算出からスケジュールビューの表示までが行われる。
【0077】
次に、上記ステップS1202で印刷ジョブテーブル303aから印刷ジョブの情報を取得できなかった場合に実行される、ステップS1204での仮算出処理について、図13を用いて説明する。
【0078】
以下のステップS1301〜S1306の処理は、印刷時間算出部306が実行し、ステップS1307〜S1308の処理は、スケジュールビュー表示部309が実行する。
【0079】
はじめに、プリンタ割り当て部305により印刷ジョブが割り当てられたプリンタ104の用紙別印刷速度テーブル303dから未定義用の印刷速度を取得する(ステップS1301)。
【0080】
次いで、印刷ジョブの印刷データのバイト数を取得する(ステップS1302)。
【0081】
そして、取得した印刷データのバイト数を、システム設定として定義されている1ページ当たりのバイト数で除算し、その結果の値をページ数として求める(ステップS1303)。
【0082】
次に、ステップS1303で求めたページ数を、N−up数(常に1)で除算し、その結果の値をシート数として求める(ステップS1304)。ここではN−up数=1と仮定してシート数を求めている。したがって、シート数はページ数に一致する。
【0083】
次いで、ステップS1304で求めたシート数を、ステップS1301で取得した印刷速度で除算した値に部数(常に1)を乗算した結果の値を、仮印刷時間(分)として求める(ステップS1305)。ここでは部数=1と仮定して、仮印刷時間を算出している。
【0084】
次いで、印刷スケジュールテーブル303bに、ステップS1305で求めた仮印刷時間を印刷時間として登録する(ステップS1306)。
【0085】
次に、スケジュールビュー表示部309は、印刷スケジュールテーブル303bの印刷時間(このときステップS1306で仮印刷時間が登録されている)を参照し、この仮印刷時間に比例する長さをもち、通常のジョブグラフとは異なる形状、もしくは色で、当該仮印刷時間を算出した印刷ジョブに対応するジョブグラフの表示を行う(ステップS1307)。
【0086】
その後、印刷ジョブの情報が更新されず一定である場合(ステップS1308でNo)、上記表示を維持し、印刷ジョブの情報が更新された場合(仮算出処理を行った印刷ジョブを含む既存の印刷ジョブに関して印刷ジョブテーブル303aの内容が変更された場合)は(ステップS1308でYes)、前述のステップS1202に戻り、印刷時間算出部306によるステップS1202以降の処理が再度実行される。なお、新規の印刷ジョブが入力された場合は、ステップS1201でのプリンタ割り当て部305による印刷ジョブのプリンタ104への割り当てから実行される。
【0087】
以上、ステップS1204での仮算出処理を説明した。
【0088】
次に、用紙交換ジョブの生成について説明する。図15A〜図15Cに、用紙交換ジョブの生成にあたり用いるGUIを例示する。このGUIを用いて設定された内容は、前述の用紙交換ジョブテーブル303fに登録される。
【0089】
図15Aに例示するGUI1500の表示要素1501で、用紙交換ジョブを割り当てるプリンタ104が選択される。また、表示要素1502で、用紙交換ジョブを挿入する位置が設定され、これにより各ジョブの中での当該用紙交換ジョブの割り当て順が定まる。また、表示要素1503で、用紙交換時間(用紙交換に要する作業時間)が設定される。ここでの設定でOKの場合は、Nextボタン1504を押下することで、図15Bに例示する次のGUI1510へ移行する。キャンセルする場合は、Cancelボタン1505を押下する。
【0090】
図15Bに例示するGUI1510では、表示要素1511を用いて用紙交換ジョブの用紙交換ジョブの名前(ここでは、用紙交換ジョブID)を入力する。表示要素1512には、先に用紙交換ジョブを割り当てるプリンタとして設定されたプリンタ104のトレイの名前が表示され(左欄)、またこの表示要素1512の右側の欄には、用紙交換前および用紙交換後の用紙の種別が表示および設定されるようになっている。また、このGUI1510では、表示要素1513にはオペレータに通知するメッセージを入力できるようになっており、表示要素1514を用いてセパレータシートの印刷の有無を設定できるようになっている。セパレータシートを印刷する場合は、用紙交換の際に、上記メッセージを印刷しその内容をオペレータに通知する。ここでの設定でOKの場合は、Finishボタン1517を押下することで、図15Cに例示する次のGUI1520へ移行する。キャンセルする場合は、Cancelボタン1516を押下する。先のGUI1500に戻る場合は、Previousボタン1515を押下する。
【0091】
図15Cに例示するGUI1520では、先に設定された内容が表示要素1521、1523〜1526に表示され、用紙交換ジョブが挿入される時間スケール上の位置(日時)が表示要素1522に表示される(この日時は、印刷時間算出部306により、印刷スケジュールテーブル303bの内容と、上記で設定された内容を基に算出される)。なお、表示要素1521は、図15Bの1511に対応し、表示要素1523は、図15Aの1503に対応し、表示要素1524は、図15Bの1512に対応し、表示要素1525は、図15Bの1513に対応し、表示要素1526は、図15Bの1514に対応している。本GUI1520上の表示の内容でOKであれば、OKボタン1527を押下することで設定内容が確定され、その内容が用紙交換ジョブテーブル303fに登録される。この設定入力中の用紙交換ジョブを削除する場合は、Deleteボタン1528を押下することで削除される。
【0092】
次に、本実施形態の印刷制御装置による用紙交換ジョブの割り当てからスケジュールビューの表示までの処理の流れを、図14を用いて説明する。図14は、用紙交換ジョブの割り当てからスケジュールビューの表示までの処理の流れを示すフローチャートである。
【0093】
はじめに、プリンタ割り当て部305が、用紙交換ジョブテーブル303fを参照し、用紙交換ジョブを割り当てるプリンタ(104)を決定する(ステップS1401)。
【0094】
次に、プリンタ割り当て部305は、用紙交換ジョブテーブル303fを参照し、用紙交換ジョブを挿入する位置(ジョブの割り当て順)を決定する(ステップS1402)。
【0095】
次いで、プリンタ割り当て部305は、用紙交換ジョブテーブル303fを参照し、どのトレイの用紙を交換するか決定する(ステップS1403)。
【0096】
次いで、プリンタ割り当て部305は、印刷スケジュールテーブル303b(用紙交換ジョブを挿入する位置の前の印刷ジョブの印刷完了時間)および用紙交換ジョブテーブル303f(割り当て順、用紙の交換時間(作業時間))を参照し、用紙交換ジョブの交換時間(時間スケール上で、用紙交換ジョブが割り当てられる時間)を決定する(ステップS1404)。
【0097】
次いで、プリンタ割り当て部305は、上記決定された内容の用紙交換ジョブを、印刷スケジュールテーブル303bに登録する(ステップS1405)。
【0098】
次に、スケジュールビュー表示部309が、印刷スケジュールテーブル303bに登録された用紙交換に要する作業時間(用紙の交換時間)を参照し、この作業時間に比例する長さをもち、通常のジョブグラフとは異なる形状、もしくは色を有する表示態様で、当該用紙交換ジョブに対応するジョブグラフの表示を行う(ステップS1406)。
【0099】
なお、用紙交換は、予定された作業時刻より先に交換が行われ終了することもあるので、用紙交換によりトレイへ用紙がロードされた時点で、用紙交換ジョブを示すジョブグラフは削除され、後続の印刷ジョブを前方に詰めて表示する。また、用紙交換は、予定された作業時間より早く終了することもあるので、用紙交換によりトレイへ用紙がロードされた時点で、それに合わせて用紙交換ジョブを示すジョブグラフを短くし、後続の印刷ジョブを前方に詰めて表示する。これらの変更の際、印刷時間算出部306は、印刷スケジュールテーブル303bの内容を合わせて変更しており、スケジュールビュー表示部309は、変更された印刷スケジュールテーブル303bを基に再表示を行うことにより、上記表示の変更を行う。
【0100】
以上、本実施形態の印刷制御装置による用紙交換ジョブの割り当てからスケジュールビューの表示までの処理の流れを説明した。
【0101】
以上にて説明したように、本実施形態の印刷制御装置(ならびにその印刷制御方法およびそのプログラム)は、使用する用紙毎に異なる印刷時間やそれに付随する時間(用紙交換の作業時間等)を考慮した適切な印刷時間の算出を行って、システム全体の負荷や各プリンタへの負荷の配分状況をより正確に表示することができるものとなっている。
【0102】
なお、上記にて、発明を実施するための実施の形態について説明を行ったが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【0103】
(その他の実施形態)
本実施形態の印刷制御装置(プリントサーバ103)の機能(プリンタ割り当て部305、印刷時間算出部306、仮印刷時間算出部307、メインビュー表示部308、スケジュールビュー表示部309)を実現させるプログラムは、情報処理装置であるプリントサーバ103のHDD204等の不揮発性記憶媒体に予め組み込まれて提供されるか、または、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0104】
または、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0105】
101…ユーザクライアント
102…管理クライアント
103…プリントサーバ(印刷制御装置)
104…プリンタ
201…CPU
202…ROM
203…RAM
204…HDD
205…HD(ハードディスク)
206…FDD
207…FD(フレキシブルディスク)
208…ディスプレイ
209…ネットワークI/F
210…電気通信回線
211…キーボード
212…マウス
213…CDD
214…CD(コンパクトディスク)
215…DVDD
216…DVD(デジタルバーサタイルディスク)
301…Webユーザインターフェース部
302…印刷文書入力部
303…データベース管理部
304…プリンタインターフェース部
305…プリンタ割り当て部
306…印刷時間算出部
307…仮印刷時間算出部
308…メインビュー表示部
309…スケジュールビュー表示部
309a…ジョブグラフ表示部(第1の表示制御手段)
309b…時間スケール表示部
309c…ガイドバー表示部
309d…プリンタ状態表示部(第2の表示制御手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特開2002−149388号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルと、
前記用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出手段と、
算出された前記印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で前記印刷ジョブを表示する第1の表示制御手段と
を備えたことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記印刷ジョブから印刷時間を算出するのに必要な情報を取得できない場合、事前に定義された値を基に仮印刷時間を算出する仮印刷時間算出手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、算出された前記仮印刷時間に比例する長さを有し仮に算出されたことを識別できる所定の表示態様によって、通常の印刷ジョブと同様に配列して当該印刷ジョブを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記印刷ジョブ内の情報を変更できる変更手段をさらに備え、
前記印刷時間算出手段は、前記印刷ジョブに係る情報が変更された場合に、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出し直す
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
当該印刷制御装置が管理する各プリンタで利用可能なトレイおよび当該トレイに現在ロードされている用紙の種別を表示する第2の表示制御手段と、
用紙交換を指示する用紙交換ジョブのプリンタへの割り当てを受け付ける割り当て手段と、をさらに備え、
前記第1の表示制御手段は、用紙交換の処理時間に比例する長さを有し、用紙交換ジョブであることを識別できる所定の形状によって、前記用紙交換ジョブを通常の印刷ジョブと同様に配列して表示する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記用紙別印刷速度テーブルの情報は、プリンタの印刷実績から逐次更新されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記用紙別印刷速度テーブルの情報は、新しい用紙が該当プリンタのトレイに追加された場合にデフォルトの印刷速度で登録されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記第1の表示制御手段は、前記用紙交換ジョブに関して、用紙交換によりトレイへ用紙がロードされた時点でその表示を変更し、それに応じて後続の印刷ジョブの表示を変更することを特徴とする請求項4に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記用紙交換ジョブの割り込み位置を指定する指定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4または請求項7に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
前記用紙交換ジョブに用紙交換の際に通知するメッセージを登録する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4または請求項7または請求項8のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項10】
登録した前記メッセージを用紙交換直前に印刷してオペレータに通知する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の印刷制御装置。
【請求項11】
前記用紙交換ジョブの用紙交換時間を指定できる指定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4または請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項12】
印刷制御装置に、プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルを備え、
前記印刷制御装置の印刷時間算出手段が、前記用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出工程と、
前記印刷制御装置の表示制御手段が、算出された前記印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で前記印刷ジョブを表示する表示制御工程と
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、
プリンタ毎の、用紙別の印刷速度を示す用紙別印刷速度テーブルを登録する手段と、
前記用紙別印刷速度テーブルを参照し、印刷ジョブで使用する用紙に合致した印刷速度で、当該印刷ジョブに係る印刷時間を算出する印刷時間算出手段と、
算出された前記印刷時間に比例する長さを有する所定の表示態様で前記印刷ジョブを表示する表示制御手段として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公開番号】特開2012−63951(P2012−63951A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207286(P2010−207286)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】