説明

印刷制御装置およびプログラム

【課題】ビリングコードを利用した使用料の請求において、ビリングコードの誤入力や選択ミスによって誤請求が発生することを防ぐことができる印刷制御装置を提供する。
【解決手段】各印刷に対し、請求先と一意に対応したコードを付加することで請求先を指定する印刷であって、印刷設定を保持する印刷設定保存部と、印刷設定がコードによる請求を行うべき内容か否かをルールによって判断するコード判断部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブログを利用して課金を行う印刷制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷枚数に応じて使用料を請求するような印刷装置の使用環境において、印刷を実行したユーザーを認識するためのユーザーIDを利用して、各使用者に別個に使用料を請求するという技術が存在している。
【0003】
また、ユーザーIDのみならず、印刷データに「請求先を区別するためのID(ビリングコード)」を付加し、プリンタに保存される印刷ログ情報によってどの請求先にどれだけ請求を行うかを判断する技術が既に知られている。
【0004】
特許文献1には、課金管理を行う上で、予算以上の印刷を実行してしまわないという目的で、複課金管理情報をプリンタに保持させることにより、予算額以上の印刷を抑制するという技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、ビリングコードを付加する際に、手打ち入力によるタイプミスが発生してしまう危惧がある。また、特許文献1に開示されている技術では、ビリングコードを付加する際に、選択式による誤選択などによって、誤請求が発生してしまう危惧があるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ビリングコードを利用した使用料の請求において、ビリングコードの誤入力や選択ミスによって誤請求が発生することを防ぐことができる印刷制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有することとする。
【0008】
本発明に係る印刷制御装置は、各印刷に対し、請求先と一意に対応したコードを付加することで請求先を指定する印刷であって、印刷設定を保持する印刷設定保存部と、前記印刷設定が前記コードによる請求を行うべき内容か否かをルールによって判断するコード判断部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ジョブログに保存されている印刷設定の情報内容と、請求先へ請求できる印刷設定の条件を照らし合わせ、請求可能と判断されるビリングコードのみを使用できるように設定するので、印刷の情報ログの内容の組み合わせにより、印刷内容、請求先との契約形態などの要因から判断して最終的にビリングコードを使用できるか否かの情報として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るPCとプリンタを模式的に示すシステム構成図である。
【図2】本実施形態に係るPCとプリンタを模式的に示すシステム構成図である。
【図3】本実施形態を模式的に示すソフトウェア構成図である。
【図4】請求可否の条件を設定するためのドライバUIの例を示す図である。
【図5】画像形成装置に保存されるジョブログの例を示した図である。
【図6】条件を付加してジョブログを保存した際の例を示した図である。
【図7】条件を付加した場合に使用可能なビリングコードの例を示した図である。
【図8】実際の請求を行う条件を設定したテーブルの例を示した図である。
【図9】ビリングコード情報と、その使用条件をクリアしているか否かをジョブログに保存される際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について図面により詳細に説明する。
【0012】
図1は、PCとプリンタが接続され、使用される様子を模式的に示すシステム構成図である。このシステムでは、複数のPC1と画像形成装置2がネットワーク3または、USBケーブル4を介して通信可能に接続されている。各PC1において作成または処理された印刷データは、ネットワーク3またはUSBケーブル4を介して画像形成装置2に送信され、印刷される。
【0013】
図2は、本実施形態を模式的に示すシステム構成図である。ネットワーク3、またはUSB接続によって印刷が実行され、画像形成装置2に印刷ジョブのログが保存される様子を示したものである。図3に、保存されるジョブログの具体例を示す。
【0014】
図3は、本実施形態を模式的に示すソフトウェア構成図である。プリンタドライバ12は、データ抽出部13とジョブ情報管理部15とビリングコード請求可否条件テーブル16とPDL作成部17と印刷指示部19とを備えている。
アプリケーション11から印刷命令を受けたプリンタドライバ12は、印刷データをデータ抽出部13で受け取り、ジョブ情報14を抽出する。ジョブ情報管理部15が、ジョブ情報内容と、ビリングコード請求可否条件テーブル16を参照して、与えられたジョブ情報内部で指定されている請求先に請求可能であるかを判断する。判断の情報は、ジョブ情報内部に埋め込まれ、PDL作成部17で作成された印刷データ18に付加される。
【0015】
プリンタドライバ12の印刷指示部19で印刷指示がされ、プリンタポート20を介してプリンタ21に送付された印刷データ18が、プリンタ21の印刷実行部22によって印刷処理を行われると同時に、ジョブ情報はジョブ蓄積部23に蓄積される。
【0016】
図4は、ビリングコードに対して、請求可否の条件ルールを設定するためのドライバUIの例である。ドライバは、各ビリングコードに対して、ジョブログに保存される設定内容に対する条件を設定するためのユーザインタフェース(UI)を提供する。チェックボックスで選択した機能に対しては、任意の設定に対して条件を儲けることができる。
【0017】
また、ビリングコードに対する請求可否の条件ルールを利用者が外部から供給することができる。なお、請求可否の条件は図4の項目に限定されず、任意に項目を設定変更可能である。
【0018】
図5は、画像形成装置2に保存されるジョブログの例を示した図である。実際に画像形成装置2に保存されるジョブログの具体例を示したものである。画像形成装置2が印刷を行ったジョブに関して、以下の情報が保存される。
【0019】
印刷の状態・結果、印刷開始時刻、印刷終了時刻、ページ数、印刷する紙の一面に何ページ分の情報を集約したか、製本印刷の有無、拡大縮小率、複数の出力を繋ぎあわせることで一つの大きな画像を形成するための印刷の有無、印刷結果の上に文字や絵を重ねるスタンプの有無、印刷を行ったユーザーを識別するID、印刷処理を実行した時間、印刷した文書の名前、印刷を実行したPCにログインしているユーザー名、印刷を実行したPC名、画像形成装置とPCを接続しているポート名、印刷を実行した画像形成装置名、印刷・再印刷などのジョブ種別、蓄積文書のパスワードの有無、印刷のカラーモードの設定内容、トナーセーブ機能のON/OFF、請求先を識別するためのコードである。
【0020】
なお、情報はこれらに限定されず、任意に設定可能である。
【0021】
図6は、画像形成装置2に保存されるジョブログに対して、「a1000というコードの請求先に対しては".doc"が末尾につく文書名の印刷のみ請求可能」,「b2000というコードの請求先に対しては、".txt"が末尾につく文書名の印刷のみ請求可能」という条件ルールを設定してジョブログを保存した際の例を示した図である。
【0022】
設定されたルールでは、”.doc"が末尾につく文書名である場合のみ、a1000というビリングコードが使用可能であり、“.txt"が末尾につく文書名である場合のみ、b2000というビリングコードが使用可能である。ジョブAは、請求先はa1000であるが、文書名がAK.xlsであるため、ビリングコードを使用する条件をクリアしていない。
【0023】
図7は、画像形成装置2に保存されるジョブログに対して、「いかなる請求先に対しても、月〜金の8:00〜18:30の間の印刷のみ請求可能」という条件ルールを設定した場合に使用可能なビリングコードの例を示した図である。
【0024】
設定されたルールでは、いかなる請求先に対しても、月〜金の8:00〜18:30の間の印刷のみ請求可能である。以上に該当するジョブに対してのみ、ビリングコードを設定することができる。
【0025】
ジョブAは条件を満たしているためビリングコードを使用する条件をクリアしているが、ジョブBは休日の印刷、ジョブCは平日だが、指定時間外の印刷であることから、ビリングコードを使用する条件をクリアしていない。
【0026】
図8は、ビリングコードと各設定の内容の組み合わせにより、実際の請求を行う条件ルールを設定したテーブルの例である。
【0027】
図4,5で説明したようなルールを、各ログ内容に対して設定した一覧を示している。各請求先との契約期間内での印刷のみを請求対象としたい場合、開始時刻や終了時刻に契約期間の情報をルールとして設定する。印刷を行ったユーザーや、PC、それらの組み合わせにより請求先を制限したい場合には、ユーザーID、ログイン名、コンピュータ名にルールを設定する。最終的に、実際の印刷設定とこれらのルールの対比によって、ビリングコード使用条件をクリアしている/していないが決定される。
【0028】
図9は、印刷が実行され、ビリングコード情報と、その使用条件をクリアしているか否かをジョブログに保存される際のフローチャートである。
【0029】
印刷開始時、ジョブログにビリングコードが入力されたか否かをジョブ情報管理部15で判断する。ジョブログにビリングコードが入力されていない場合、そのまま終了する(ステップS1、No)。ジョブログにビリングコードが入力されている場合(ステップS1、Yes)、入力されたビリングコードの各設定の内容に請求条件のルールが設定されているか否かをジョブ情報管理部15で判断する。
【0030】
請求条件のルールが設定されていない場合(ステップS2、No)、ビリングコードのみをジョブログに保存して終了する(ステップS3)。請求条件のルールが設定されている場合(ステップS2、Yes)、印刷設定の内容が請求条件のルールをクリアしているか否かをジョブ情報管理部15で判断する。
【0031】
印刷設定の内容が請求条件のルールをクリアしていない場合(ステップS4、No)、ビリングコードと、印刷設定内容が請求条件ルールをクリアしていない旨をジョブログに保存して終了する(ステップS5)。印刷設定の内容が請求条件のルールをクリアしている場合(ステップS4、Yes)、ビリングコードと、印刷設定内容が請求条件ルールをクリアしている旨をジョブログに保存して終了する(ステップS6)。
【符号の説明】
【0032】
1 PC
2 画像形成装置
14 ジョブ情報
15 ジョブ情報管理部
16 ビリングコード請求可否条件テーブル
18 印刷データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特許第4636150号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各印刷に対し、請求先と一意に対応したコードを付加することで請求先を指定する印刷であって、
印刷設定を保持する印刷設定保存部と、
前記印刷設定が前記コードによる請求を行うべき内容か否かをルールによって判断するコード判断部と、
を有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記コード判断部が参照する前記ルールを保存するルール保存部を有し、前記ルールを利用者が外部から供給することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記ルールは、各印刷設定が特定の内容に設定されていた場合に請求可能または不可能とするというルール内容を用いることを特徴とする請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記ルールは、特定のファイル名のファイルを印刷した場合に請求可能または不可能とするというルール内容を用いることを特徴とする請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記ルールは、特定の時間帯に印刷した場合に求可能または不可能とするというルール内容を用いることを特徴とする請求項2記載の印刷制御装置。
【請求項6】
印刷制御装置を構成するコンピュータに、
各印刷に対し、請求先と一意に対応したコードを付加することで請求先を指定する印刷であって、
印刷設定を保持する処理と、
前記印刷設定が前記コードによる請求を行うべき内容か否かをルールによって判断する処理と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109580(P2013−109580A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254171(P2011−254171)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】