説明

印刷制御装置及び画像形成システム

【課題】記録材の排紙方式によるファーストプリントアウトタイムの増大を抑制する。
【解決手段】第1画像形成装置101と、その下流側に第2画像形成装置102とが接続され、第1画像形成装置101で記録材の第1面へ画像形成し、該記録材の表裏を反転させて第2画像形成装置102で当該記録材の第2面に画像を形成する画像形成システムを制御する制御部501において、画像形成システムで第1面及び第2面に画像が形成された記録材が排出される排紙トレイへ、フェイスダウン排紙する場合(S804)は、第1画像形成装置101へ奇数ページの画像データを形成させ、第2画像形成装置102に偶数ページの画像データを形成させ、フェイスアップ排紙する場合(S808)は、第1画像形成装置101へ偶数ページの画像データを形成させ、第2画像形成装置102に奇数ページの画像データを形成させるCPU503を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像形成装置を連結して画像形成を行う画像形成システム、及び画像形成システムを制御する印刷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ、複合機等の画像形成装置においては、更なる高速化が要求されている。そこで、複数台の画像形成装置の間に記録材を搬送するリレーユニットを設けて画像形成を行う方式の画像形成システムが提案されている。
【0003】
この方式の画像形成システムは、帯電、露光、現像、転写、定着の各画像形成機能を備えた画像形成装置が複数台連結された構成である。最初の画像形成装置では、記録材の片面の画像形成を行い、その後、リレーユニットにて記録材を反転させ、次の画像形成装置では、記録材の反対面の画像形成を行う。これにより、両面印刷の出力ページ枚数を従来の1台の画像形成装置で行っていた場合の出力ページ枚数と比較して略倍化させ、高速化を図ることができる。このような連結式の画像形成システムは、1台のみでも画像形成装置として使用される画像形成装置を、リレーユニットを介して直列に複数台連結することにより、新たにハードウェア設計をすることなく、連結式画像形成装置として製品化することができる。例えば特許文献1では、間に反転ユニットを挟んで2台のレーザビームプリンタ製品を直列に連結し、各々の製品が表面と裏面を印刷することで、両面印刷を行うことを特徴としている連結式画像形成装置が提案されている。
【0004】
また、画像形成装置において、印字処理をされた後の記録材の積載部への排紙方式としては、次の2方式が知られている。第1の方式は、表面(1ページ目)を上向きにして記録材を排出するフェイスアップ排紙方式である。第2の方式は、表面を下向きにして記録材を排出するフェイスダウン排紙方式である。通常の画像形成装置の場合、記録材に印字処理する印字処理部は1箇所しか持たないので、排紙直前に記録材を反転させることにより、フェイスアップ排紙方式とフェイスダウン排紙方式を切り替えている。例えば特許文献2では、フェイスアップ排紙方式とフェイスダウン排紙方式を、操作者の指示により切り替える、あるいは操作者の印字条件より最適な排紙方式を判断して切り替える画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−343125号公報
【特許文献2】特開2005−121716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フェイスアップ排紙方式とフェイスダウン排紙方式の2つの排紙方式を備えて、両面印刷を行う連結式画像形成装置は、以下に述べる課題を有している。すなわち、連結式画像形成装置では、通常、最初の画像形成装置で記録材の表面(1ページ目)の画像形成を行い、記録材を反転させた後、次の画像形成装置で記録材の裏面(2ページ目)の画像形成を行う。この場合、表面を下向きにして排紙するフェイスダウン排出をする場合は、最初の画像形成装置で記録材の表面(1ページ目)の画像形成後、次の画像形成装置での裏面(2ページ目)の画像形成に備えるために記録材を反転すれば、フェイスダウン状態となる。そして、次の画像形成装置で記録材の裏面の画像形成を行い、その後は反転を行わずに排紙すれば、フェイスダウン排出ができる。
【0007】
次に、同じ連結式画像形成装置を使用して、表面を上向きにして排紙するフェイスアップ排出をする場合を考える。この場合も、最初の画像形成装置での記録材の表面(1ページ目)の画像形成後、次の画像形成装置での画像形成に備えるために記録材を反転すれば、フェイスダウン状態となる。そして、次の画像形成装置で画像形成を行い、そのまま排紙すれば、記録材は表面が下向きのフェイスダウン状態のままで排紙されることになるため、フェイスアップ排出をするには、排紙前に再度、記録材の反転を行う必要がある。そのため、フェイスアップ排紙方式はフェイスダウン排紙方式に比べ、記録材の反転時間分だけ、印字動作開始から記録材が排紙されるまでの時間(FPOT:ファーストプリントアウトタイム、以下、FPOTと呼ぶ)が長くなり、生産性が低くなる。
【0008】
逆に、最初の画像形成装置で記録材の裏面の画像形成を行い、記録材の反転後、次の画像形成装置で記録材の表面の画像形成を行う場合には、次の画像形成装置での画像形成後は、記録材の表面(1ページ目)が上向きとなる。そのため、フェイスアップ排紙方式の場合はそのまま排紙すればよかったが、フェイスダウン排紙方式の場合は、排紙前に再度記録材を反転させる必要が生じる。その結果、今度はフェイスアップ排紙方式に比べ、フェイスダウン出力方式の場合は、記録材の反転に要する時間分だけFPOTが長くなり、生産性が低くなる。
【0009】
FPOTは、プリンタや複写機において基本仕様の一つである。近年、FPOTの短縮化が求められており、このため、画像形成装置にあっては、記録材の搬送速度(プロセス・スピード)を速くすることや、記録材の総搬送長を短くするなどの方法が採用され、実用に供されてきている。このような状況で、連結式画像形成装置においても、少しでもFPOTを短縮することが望まれているが、上述したように、各画像形成装置に単純に印刷するページを割り振ると、どちらかの排紙方式で必ずFPOTが増大してしまうという課題があった。
【0010】
本発明はこのような状況のもとでなされたもので、記録材の排紙方式によるファーストプリントアウトタイムの増大を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するため、本発明では次のとおりに構成する。
【0012】
(1)第1の画像形成装置とその下流側に第2の画像形成装置とが接続され、前記第1の画像形成装置で記録材の第1面へ画像形成し、該記録材の表裏を反転させて前記第2の画像形成装置で当該記録材の第2面に画像を形成する画像形成システムを制御する印刷制御装置において、前記画像形成システムで第1面及び第2面に画像が形成された記録材が排出される排紙トレイへ、フェイスダウン排紙する場合は、前記第1の画像形成装置へ奇数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に偶数ページの画像データを形成させ、フェイスアップ排紙する場合は、前記第1の画像形成装置へ偶数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に奇数ページの画像データを形成させる制御手段を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【0013】
(2)第1の画像形成装置とその下流側に第2の画像形成装置とが接続され、前記第1の画像形成装置で記録材の第1面へ画像形成し、該記録材の表裏を反転させて前記第2の画像形成装置で当該記録材の第2面に画像を形成する画像形成システムにおいて、第1面及び第2面に画像が形成された記録材が排出される排紙トレイへ、フェイスダウン排紙又はフェイスアップ排紙されるように、前記第1の画像形成装置及び前記第2の画像形成装置を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、フェイスダウン排紙する場合には、前記第1の画像形成装置に奇数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に偶数ページの画像データを形成させ、フェイスアップ排紙する場合には、前記第1の画像形成装置に偶数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に奇数ページの画像データを形成させる画像形成システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録材の排紙方式によるファーストプリントアウトタイムの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の画像形成システムの画像形成部及びカラー画像形成部の概要構成を示す図
【図2】第1の実施形態の画像形成システムのシステム構成及び制御部の概要を示す図
【図3】第1の実施形態の画像形成システムの操作パネルを示す図
【図4】第1の実施形態の両面印刷時の処理シーケンスを示すフローチャート
【図5】第1の実施形態と従来例における両面印刷時の印刷処理のタイムチャート
【図6】第1の実施形態の複数ページの両面印刷時の処理シーケンスを示すフローチャート
【図7】第1の実施形態の片面印刷時の印刷処理のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例により詳しく説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
<連結式画像形成装置>
図1(a)は、本実施形態の連結式画像形成装置(以降、画像形成システムという)の画像形成部のみを示した概略構成図である。本実施形態では、画像形成部に電子写真方式を用いた画像形成システムについて説明するが、画像形成部としては電子写真方式以外のものを用いていても、本発明の効果は得られる。図1(a)の画像形成システムは、第1画像形成装置101(第1の画像形成装置)と第2画像形成装置102(第2の画像形成装置)がリレーユニット201により連結され、一つの画像形成装置として機能する構成である。なお、第1画像形成装置101と第2画像形成装置102は、同一の画像形成装置であり、各々、単体でも画像形成装置として機能する構成となっており、区別するために別符号としている。単体でも画像形成装置として機能するので、1種類の画像形成装置を設計することにより、単体としての画像形成装置と連結式の画像形成装置の両方に使用できる利点がある。
【0019】
図1(a)に示す画像形成システムは、単色(例えば白黒)画像形成装置であり、この画像形成部について、以下に説明する。第1画像形成装置101の像担持体としての感光ドラム1−1は、矢印方向に回転して、バイアス印加された帯電ローラ2−1により、所定の電位に一様均一に帯電される。露光装置3−1は、コピー機能の場合には、画像読取装置としてのスキャナー8−1により読み取られた原稿画像に応じて、レーザー光等の露光用光線を感光ドラム1−1に照射する。プリント機能やFAX機能の場合には、LANに接続された不図示のパーソナルコンピュータ(以下、PCとする)等から送信された画像情報を、画像受信装置であるコントローラ9−1で受信する。そして、露光装置3−1は、その受信画像に応じて、露光用光線を感光ドラム1−1に照射する。感光ドラム1−1上の露光用光線が照射された部位には、電位が減少して静電潜像が形成され、現像装置4−1のトナーにより感光ドラム1−1上にトナー画像が形成される。
【0020】
ここで、第1画像形成装置101の給紙部である給紙カセット20−1、21−1、22−1から取り出された記録材Pは、経路Aから感光ドラム1−1と転写ローラ5−1との転写ニップ部に感光ドラム1−1上のトナー画像にタイミングを合わせて搬送される。バイアス印加された転写ローラ5−1により、感光ドラム1−1上のトナー画像は、記録材Pの第1面に転写される。尚、第1画像形成装置でトナー画像が転写された記録材Pの面を第1面とする。記録材Pに転写されずに感光ドラム1上に残ったトナー(以降、転写残トナーという)は、ブレード又はブラシ等が配置された感光ドラムクリーニング装置6−1により回収される。そして、転写残トナーが除去された感光ドラム1−1は、再び帯電ローラ2−1により一様均一に帯電されて、繰り返し画像形成に供される。トナー画像が転写された記録材Pは、定着装置7−1に搬送されて、加熱・加圧されることによりトナー画像が定着される。その後、記録材Pは、経路Bから記録材搬送方向の下流側であるリレーユニット201に受け渡される。リレーユニット201は、経路C、経路Dの順で記録材Pをスイッチバックすることにより記録材Pの表面と裏面が入れ替わり、その結果、記録材Pが反転される。
【0021】
第2画像形成装置102の画像形成部は、第1画像形成装置101と同様の構成であり、前述した画像形成手順により、感光ドラム1−2と転写ローラ5−2の転写ニップ部に経路Eより記録材Pが搬送され、記録材にトナー画像が転写される。なお、第2画像形成装置でトナー画像が転写された記録材Pの面を第2面とする。トナー画像を担持した記録材Pは、定着装置7−2に搬送され、加熱及び加圧を受けて、記録材Pの第2面にトナー画像が定着され、経路Fから機外に排出される。
【0022】
図1(a)に示す画像形成システムは、リレーユニット201において、記録材Pをスイッチバックすることにより、記録材Pを反転させる構成となっている。また、画像形成装置内にスイッチバック機能を有する場合には、リレーユニット201において、記録材Pを反転させない構成でもよい。この場合、第1画像形成装置101は、定着装置7−1を通過した後に、記録材Pをスイッチバックさせ、経路Bにより記録材Pをリレーユニット201に搬送する。そして、リレーユニット201は記録材Pの反転を行わず、そのまま記録材Pを第2画像形成装置102に搬送する。
【0023】
<カラー画像形成部>
図1(a)の画像形成システムは、単色画像形成装置を2台連結した構成であるが、カラー画像形成装置を2台連結した構成でも良い。図1(b)に、画像形成システムに適用するカラー画像形成装置の画像形成部を示す。図1(b)に示す画像形成部には、それぞれ異なる色のトナー画像を形成する4個の画像形成ユニットY(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)・Bk(ブラック)が配置される。そして、これらの画像形成ユニットを縦貫するようにして、中間転写体としての中間転写ベルト10が配置されている。なお、図1(b)の画像形成部は、連結された2台の画像形成装置において共通して用いられている。図1(a)においてはハイフンを用いて(例えば、感光ドラム1−1と感光ドラム1−2のように)2台の画像形成装置を区別していたが、以下では、第1画像形成装置101と第2画像形成装置102で共通の構成品は、ハイフン以下の符号を省略することとする。すなわち、例えば、感光ドラム1といえば、第1画像形成装置の感光ドラム1−1と第2画像形成装置の感光ドラム1−2の両方を指すこととする。また、カラー画像形成部が用いる4個の画像形成ユニットY・M・C・Bkは、同様の構成であり、以下では、代表してイエロー画像形成ユニットYの構成について説明する。他の画像形成ユニットについては、イエロー画像形成ユニットYと同一の構成及び作用の部材には同一符号を付し、各ユニットを示す添え字Y・M・C・Bkのみを変更する。
【0024】
像担持体として、例えば表層がOPC(有機光半導体)からなる円筒型の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」と称する)1Yは、矢印方向へ回転駆動される。感光ドラム1Yの表面を一様均一に帯電する帯電ローラ2Yは、所定のバイアスが印加された後に、感光ドラム1Yと接触従動回転して、感光ドラム1Y表面を所定の電位に帯電する。帯電された感光ドラム1Yは、露光装置3Yによる露光用光線(レーザー光等)による露光が行われて、入力原稿の色分解画像に対応した静電潜像が形成される。現像装置4Yは、現像ローラで帯電されたトナーを用いて静電潜像の現像を行い、静電潜像に対応したトナー画像が、感光ドラム1Y表面に形成される。感光ドラム1Y上のトナー画像は、感光ドラム1Yと一次転写ローラ5Yとの一次転写ニップ部T1Yにおいて、一次転写ローラ5Yにより、感光ドラム1Yの周速とほぼ同速度で回転している中間転写ベルト10上に転写される。以降、トナー画像の感光ドラム1Yから中間転写ベルト10への転写を一次転写という。一次転写後の感光ドラム1Y上に残ったトナーは、感光ドラムクリーニング装置6Yのブレード又はブラシ等により回収される。そして、一次転写後の残トナーが除去された感光ドラム1Yは、再び帯電ローラ2Yにより一様均一に帯電されて、繰り返し画像形成に供される。
【0025】
中間転写ベルト10は、支持ローラ11、駆動ローラ12、バックアップローラ13に張架されている。そして、中間転写ベルト10は、4個の画像形成ユニットY・M・C・Bkの感光ドラム1Y・1M・1C・1Bkに当接しながら、駆動ローラ12の矢印方向の回転により回転駆動される。フルカラーモード(フルカラー画像形成)が選択されている場合は、前述した画像形成動作が4個の画像形成ユニットY・M・C・Bkにて実行される。そして、感光ドラム1Y・1M・1C・1Bk上にそれぞれ形成されたイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・ブラックトナー画像が中間転写ベルト10上に順次多重転写される。
【0026】
そして、中間転写ベルト10上に多重転写された4色のトナー画像は、バックアップローラ13と二次転写ローラ14との二次転写ニップ部T2で、二次転写ローラ14により、記録材Pへ転写される。以降、トナー画像の中間転写ベルト10から記録材Pへの転写を二次転写という。また、記録材Pは、第1画像形成装置101の給紙カセット20−1、21−1、22−1の1つから給紙され、レジストローラ対(不図示)により、二次転写ニップ部T2に中間転写ベルト10上のトナー画像に合わせた所定の制御タイミングで搬送される。トナー画像が転写された記録材Pは、定着装置7に搬送され、記録材P上のトナー画像は加圧・加熱されて、記録材P上にトナー画像が定着される。二次転写後の中間転写ベルト10上に残ったトナーは、中間転写クリーニング装置15のブレード又はブラシ等により回収される。そして、二次転写後の残トナーが除去された中間転写ベルト10は、繰り返し一次転写に供される。
【0027】
また、図1(b)のカラー画像形成部において、例えば黒単色のモノカラー画像形成や2〜3色モードの場合には、必要な色の画像形成ユニットでは、感光ドラム1に対する画像形成が実行される。この時、不要な色の画像形成ユニットでは、感光ドラム1は中間転写ベルト10に当接されず、空回転している。そして、感光ドラム1上のトナー画像は、一次転写ニップ部T1にて中間転写ベルト10上に一次転写される。その後、中間転写ベルト10上に一次転写されたトナー画像は、二次転写ニップ部T2にて記録材Pに二次転写され、トナー画像が転写された記録材Pは、定着装置7へ搬送される。
【0028】
<画像形成システムのシステム構成>
図2(a)は、画像形成システムのシステム構成を示す概略図である。図2(a)に示す画像形成システムでは、前述した第1画像形成装置101の記録材搬送方向の上流側に、大容量の給紙デッキ401が装着されている。給紙デッキ401は、第1画像形成装置101、及び第2画像形成装置102の本体に設置されている給紙カセット20、21、22よりも大容量の給紙カセットを搭載したユニットである。ちなみに、本体内蔵の給紙カセット20、21は、坪量80g/mのA3用紙500枚のカット紙1パックが収納可能な500枚カセットであり、給紙カセット22は、カット紙2パックが収納可能な1000枚カセットであり、計2000枚が収納可能である。一方、大容量の給紙デッキ401には、坪量80g/m2のA3用紙を2000枚収容可能なカセットが3段あり、合計6000枚が収納可能である。また、図2(a)では、給紙デッキ401は1台だけが装着されているが、更に、この上流に給紙デッキを増設することによって、画像形成システム全体では、より多くの枚数の記録材を収容することができる。本実施形態の画像形成システムは、1時間にA3用紙で2100枚の両面印刷出力が可能なので、6000枚の記録材が収容された給紙デッキ1台では約3時間の連続運転が可能であり、給紙デッキを4台連結すれば、約12時間の連続運転が可能となる。
【0029】
<画像形成システムの制御部>
図2(b)は画像形成装置101、102、リレーユニット201、給紙デッキ401、ユーザ等が印刷枚数や印刷指令を入力する操作パネル601、LANに接続されたPC等との入出力インタフェース504と制御部501との接続関係を示すブロック図である。図2(b)のブロック図に示すように、制御部501には、画像形成システムを構成する基本構成ユニットである画像形成装置101、102、リレーユニット201、給紙デッキ401が接続され、制御部501によって統制制御される。更に、制御部501には後述する操作パネル601と、入出力インタフェース504が接続されている。入出力インタフェース504を介して、LANに接続されたPCから画像形成システムに印刷ジョブを含んだ印刷指令を送信することができる。制御部501は、画像形成システムを制御するCPU503、画像データを含む印刷ジョブを保存するRAMや画像形成システムの画像形成動作を制御するプログラムを格納したROMを有する記憶部502、制御インタフェース部505から構成される。また、制御インタフェース部505には、基本構成ユニットである画像形成装置101、102、リレーユニット201、給紙デッキ401や操作パネル601、入出力インタフェース504が接続され、CPU503や記憶部502とのアクセスを制御する。
【0030】
<画像形成システムの操作パネル>
操作パネル601は、第1画像形成装置101の上面パネルの上に配置され、図3に示すように、液晶タッチパネル604や数値入力用のテンキーボタン602等で構成されたパネル面を備えている。ユーザやオペレータは、操作パネル601を介して、印刷枚数や印刷動作の指令を行う。
【0031】
次に、操作パネル601を構成する各ボタンについて説明する。テンキーボタン602は、印刷枚数を指定する数値入力用のボタンであり、「0(ゼロ)」ボタンの両隣には、入力を取り消すクリアーボタン「C」と、すべての設定をリセットするリセットボタン「R」が配置されている。スタートボタン603は、印刷スタート指令を制御部501に通知するボタンである。スタートボタン603を押すことにより、制御部501のCPU503は、ユーザ等が設定した印刷枚数や使用する給紙カセットなどの印刷設定情報を読み込み、後述する印刷動作を開始させる。液晶タッチパネル604はタッチパネル方式の液晶モニターであり、情報表示とパネルタッチによる情報入力が可能である。片面/両面設定ボタン605は、記録材の印字を片面だけ行うか、両面に行うかを設定するボタンである。初期状態では、白黒反転している片面印刷が設定されている。両面印刷を設定する時は、両面ボタンをタッチすることにより、白黒反転部が切り替わり、両面印刷が設定される。排紙方式設定ボタン606は、印刷物の排紙方式をフェイスアップ排紙方式で行うか、フェイスダウン排紙方式で行うかを設定するボタンである。初期状態では、フェイスダウン排紙方式が設定されている。各排紙方式を設定した場合の印刷制御については、後述する。カセット指定ボタン607は、印刷で使用する記録材を搭載したカセットを指定するボタンであり、カセットボタンをタッチすると、不図示のカセット指定画面が表示され、使用するカセットの指定と、自動切換え設定ができる。詳細設定ボタン608は、前述した基本設定以外の詳細な印刷設定を行うボタンであり、詳細設定ボタンをタッチすると、不図示の設定画面が表示され、印刷倍率指定等の様々な設定が可能となる。ここでは、図3の操作パネルを用いた印刷設定の方法について説明を行ったが、入出力インタフェース504を介してLANに接続されたPCから画像形成システムに印刷指令を行うことができる。その場合にも、PCの印刷設定画面には、上記設定項目が表示され、PCから所望の印刷設定ができる。
【0032】
<従来の両面印刷の処理フロー>
画像形成システムは、図2(a)に示すように、第1画像形成装置101、第2画像形成装置102、リレーユニット201、及び給紙デッキ401を備えており、特に両面印刷を行う場合には、2台の画像形成装置を有効に活用した高速の印刷動作が可能である。そこで、両面印刷を行う場合の従来の処理フローについて、図2(a)を用いて簡単に説明する。まず始めに、大容量の給紙デッキ401、又は第1画像形成装置101の給紙カセット20−1〜22−1に搭載された記録材が給紙される。次に、第1画像形成装置101の画像形成部に形成されたトナー画像が給紙された記録材上に転写され、記録材上のトナー画像は、第1画像形成装置101内の定着装置7−1によって定着され、1面目(表面)の画像形成が終了する。続いて、記録材は、リレーユニット201でスイッチバックされ、表裏が反転された状態で第2画像形成装置102に搬送される。反転された記録材には、第2画像形成装置102の画像形成部に形成されたトナー画像が転写され、記録材上のトナー画像は、第2画像形成装置102内の定着装置7−2によって定着され、2面目(裏面)の画像形成が終了する。そして、排紙トレイに記録材は積載されて、記録材への両面印刷が完了する。
【0033】
ここで、例えば表面(1ページ目)印刷を第1画像形成装置101、裏面(2ページ目)印刷を第2画像形成装置102というように単純に印刷ページを割り振ると、前述したように、フェイスアップ排紙方式の場合には2回目の反転工程が必要となる。表面と裏面の印刷割り振りを逆にすると、今度はフェイスダウン排紙方式の場合に2回目の反転工程が必要となる。すなわち、どちらの印刷割り振りでも、どちらかの排紙方式において、必ず2回の反転工程が必要となり、FPOTが増大してしまう結果となる。
【0034】
<1枚の記録材の両面印刷時の処理フロー>
次に、本実施形態における、図2(a)の画像形成システムを利用して、記録材1枚分の両面印刷を行った場合の処理フローについて、図4のフローチャートを用いて説明する。図4に示す処理は、制御部501内の記憶部502のROMに格納された制御プログラムに基づいて、CPU503により実行される。以降の本実施形態におけるフローチャートの処理も同様に、CPU503により実行される。なお、記録材の排紙方式は、予め操作パネル601の排紙方式設定ボタン606によって、フェイスダウン排紙方式が設定されているものとする。
【0035】
まず、ステップ801(以下、S801のように記す)では、CPU503は、印刷ジョブの入力処理を実行する。印刷ジョブの入力処理は、入出力インタフェース504を介してLANに接続されたPC等から印刷ジョブ(画像データ)を受信することにより起動される場合と、操作パネル601を介して印刷ジョブを受信することにより起動される場合とがある。そして、CPU503は、受信した印刷ジョブに制御コードとして含まれる画像データを記憶部502のRAMへ保存する。S802では、CPU503は、大容量の給紙デッキ401、又は第1画像形成装置101の給紙カセット20−1〜22−1に搭載された記録材を第1画像形成装置101の画像形成部に給紙する。
【0036】
S803では、CPU503は、記録材の排紙をフェイスダウン排紙方式とフェイスアップ排紙方式のどちらの排紙方式で行うかを判断する。PCの印刷設定画面、又は操作パネル601の排紙方式設定ボタン606によって排紙方式が指定されている場合は、その指定に基づいて判断する。そして、CPU503は、フェイスダウン排紙方式が選択されている場合はS804に進み、フェイスアップ排紙方式が選択されている場合はS808に進む。なお、前述したように、排紙方式は予めフェイスダウン排紙方式が設定されているので、ユーザによる排紙方式の指定がなかった場合には、CPU503はフェイスダウン排紙方式と判断し、S804に進む。
【0037】
S804では、CPU503は、フェイスダウン排紙を行うために、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、表面(1ページ目)の画像データを第1画像形成装置101に割り振るため、コントローラ9−1に表面の画像データを送信する。同様に、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、裏面(2ページ目)の画像データを第2画像形成装置102に割り振るため、CPU503は、コントローラ9−2に裏面の画像データを送信する。S805では、CPU503は、第1画像形成装置101を制御して、記録材に表面の画像を形成する。すなわち、S802で給紙された記録材には、第1画像形成装置101で形成された表面のトナー画像が転写され、更に、第1画像形成装置101内の定着装置7−1によって記録材上のトナー画像は定着され、表面の画像形成が完了する。次に、S806では、CPU503は、リレーユニット201を制御して、第1画像形成装置101から搬送された記録材をスイッチバックし、表裏が反転された状態で第2画像形成装置102に搬送する。S807では、CPU503は、第2画像形成装置102を制御して、記録材に裏面の画像を形成する。すなわち、リレーユニット201にて反転された記録材には、第2画像形成装置102で形成された裏面のトナー画像が転写され、第2画像形成装置102内の定着装置7−2によって記録材上のトナー画像は定着され、裏面の画像形成が完了する。第2画像形成装置102による画像形成後の記録材は、記録材の表面を下向きで排紙するフェイスダウン排出ができる状態であり、再度の反転工程を行う必要がないため、CPU503は、S812に進む。
【0038】
S808では、CPU503は、フェイスアップ排紙を行うために、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、裏面(2ページ目)の画像データを第1画像形成装置101に割り振るため、コントローラ9−1に裏面の画像データを送信する。同様に、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、表面(1ページ目)の画像データを第2画像形成装置102に割り振るため、CPU503は、コントローラ9−2に表面の画像データを送信する。S809では、CPU503は、第1画像形成装置101を制御して、記録材に裏面の画像を形成する。すなわち、S802で給紙された記録材には、第1画像形成装置101で形成された裏面のトナー画像が転写され、更に、第1画像形成装置101内の定着装置7−1によって記録材上のトナー画像は定着され、裏面の画像形成が完了する。S810では、CPU503は、リレーユニット201を制御して、第1画像形成装置101から搬送された記録材をスイッチバックし、表裏が反転された状態で第2画像形成装置102に搬送する。S811では、CPU503は、第2画像形成装置102を制御して、記録材に表面の画像を形成する。すなわち、リレーユニット201にて反転された記録材には、第2画像形成装置102で形成された表面のトナー画像が転写され、第2画像形成装置102内の定着装置7−2によって記録材上のトナー画像は定着され、表面の画像形成が完了する。第2画像形成装置102による画像形成後の記録材は、記録材の表面を上向きで排紙するフェイスアップ排出ができる状態であり、再度の反転工程を行う必要がないため、CPU503は、S812に進む。
【0039】
S812では、CPU503は、記録材を排紙トレイに排出し、記録材への両面印刷が完了する。S813では、CPU503は、引き続き実行すべき印刷ジョブがあるか否かを判断し、印刷ジョブがあればS801へ戻り、無ければ処理を終了する。
【0040】
<FPOTについての効果>
図5を用いて、記録材1枚の両面印刷を行った場合の本実施形態におけるFPOTと、前述した従来例のFPOTと比較することで、本実施形態の効果について説明する。図5は、1枚の記録材の両面印刷の後、フェイスアップ排紙を行った場合の画像形成システムの動作を示すタイムチャートである。図5(a)は本実施形態でのタイムチャート、図5(b)は従来例のタイムチャートであり、縦軸は画像形成システムの各基本構成ユニットで行われる動作(パルスの山部分は動作時間を表す)を示し、横軸は時間を示す。
【0041】
本実施形態においては、排紙方式に応じて、第1画像形成装置101と第2画像形成装置102への画像の割り振りを変更している。これにより、排紙方式によらず、図5(a)のタイムチャートに示すように、記録材の反転工程は、第1画像形成装置101と第2画像形成装置102間のリレーユニット201で1回行うだけでよい。一方、従来例においては、図5(b)のタイムチャートに示すように、排紙方式がフェイスダウンの場合には、反転工程は1回で済むが、フェイスアップ排紙方式の場合には、2回の反転工程が必要となる。その場合、図5(b)に示すように、給紙に続いて、第1画像形成装置101による画像形成の後に、リレーユニット201において1回目の反転工程を行い、更に第2画像形成装置102による画像形成後、2回目の反転工程を行い、排紙する。従って、本実施形態では、従来例に比べて、2回目の反転工程に要する時間Δt分だけ、コピー開始から排紙までに要する時間であるFPOTを短くすることができるという効果が得られる。
【0042】
<複数枚の記録材の両面印刷時の処理フロー>
次に、N(N>2)ページの画像データを含む印刷ジョブにより、複数枚の記録材の両面印刷を行う場合の処理フローについて、図6のフローチャートを用いて、説明する。ここでも、図2(a)の画像形成システムを利用して両面印刷を行うものとし、記録材の排紙方式は、予め操作パネル601の排紙方式設定ボタン606によって、フェイスダウン排紙方式が設定されているものとする。図6のS1101、S1102の処理は、それぞれ図4のS801、S803と同じ処理であるため、説明を省略する。S1102では、CPU503は、フェイスダウン排紙と判断した場合はS1103に進み、フェイスアップ排紙と判断した場合はS1110に進む。
【0043】
まず、以下に述べるS1103〜S1109は、フェイスダウン排紙が選択された場合の処理を示している。すなわち、Nページからなる印刷ジョブをページ番号が小さいほうから順に1ページ目、2ページ目、・・・、(N−1)ページ目、Nページ目の順で印刷処理をするためのフローを示している。この時、複数ページのうち、奇数ページを第1画像形成装置101、偶数ページを第2画像形成装置102に割り振ることで、第2画像形成装置102による画像形成後の反転工程を省略できる効果が得られる。S1103では、CPU503は、画像データの印刷順序を制御するためのページ識別情報Pに、初期値の“1”を設定する。なお、このページ識別情報Pは記憶部502のRAMに保存され、図6の処理の実行時に随時更新される。S1104では、CPU503は、大容量の給紙デッキ401に搭載された記録材を給紙する。S1105では、CPU503は、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、表面(Pページ目)の画像データを第1画像形成装置101に割り振るため、コントローラ9−1に表面の画像データを送信する。同様に、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、裏面((P+1)ページ目)の画像データを第2画像形成装置102に割り振るため、CPU503は、コントローラ9−2に裏面の画像データを送信する。S1106では、CPU503は、第1画像形成装置101を制御して、記録材に表面(Pページ目)の画像を形成する。すなわち、S1104で給紙された記録材には、第1画像形成装置101で形成された表面のトナー画像が転写され、更に、第1画像形成装置101内の定着装置7−1によって記録材上のトナー画像は定着され、表面の画像形成が完了する。次に、CPU503は、リレーユニット201を制御して、第1画像形成装置101から搬送された記録材をスイッチバックし、表裏が反転された状態で第2画像形成装置102に搬送する。続いて、CPU503は、第2画像形成装置102を制御して、記録材に裏面((P+1)ページ目)の画像を形成する。すなわち、リレーユニット201にて反転された記録材には、第2画像形成装置102で形成された裏面のトナー画像が転写され、第2画像形成装置102内の定着装置7−2によって記録材上のトナー画像は定着され、裏面の画像形成が完了する。S1107では、CPU503は、排紙トレイに両面印刷が完了した記録材を排紙する。S1108では、CPU503は、次に印刷すべき画像データのページを示すページ識別情報Pを2加算して、更新する。S1109では、CPU503はページ識別情報Pの値が(N+1)以上かどうかを判断し、(N+1)以上であればS1117に進み、そうでなければS1104へ戻る。ここで、Nは印刷ジョブの画像ページ数を指し、例えば両面印刷すべき画像データが10ページからなる印刷ジョブであれば、Nの値は10となる。
【0044】
次に、以下に述べるS1110〜S1116は、フェイスアップ排紙が選択された場合の処理を示している。すなわち、Nページからなる印刷ジョブをページ番号が大きいほうから順にNページ目、(N−1)ページ目、・・・、2ページ目、1ページ目の順で印刷処理をするためのフローを示している。この時、偶数ページを第1画像形成装置101、奇数ページを第2画像形成装置102に割り振ることで、第2画像形成装置102による画像形成後の反転工程を省略できる効果が得られる。S1110、S1111の処理は、前述したS1103、S1104の処理と同じため、説明を省略する。S1112では、CPU503は、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、裏面((N−P+1)ページ目)の画像データを第1画像形成装置101に割り振るため、コントローラ9−1に裏面の画像データを送信する。同様に、記憶部502のRAMに保存された画像データのうち、表面((N−P)ページ目)の画像データを第2画像形成装置102に割り振るため、CPU503は、コントローラ9−2に表面の画像データを送信する。S1113では、CPU503は、第1画像形成装置101を制御して、記録材に裏面((N−P+1)ページ目)の画像を形成する。すなわち、S1111で給紙された記録材には、第1画像形成装置101で形成された裏面のトナー画像が転写され、更に、第1画像形成装置101内の定着装置7−1によって記録材上のトナー画像は定着され、裏面の画像形成が完了する。次に、CPU503は、リレーユニット201を制御して、第1画像形成装置101から搬送された記録材をスイッチバックし、表裏が反転された状態で第2画像形成装置102に搬送する。続いて、CPU503は、第2画像形成装置102を制御して、記録材に表面((N−P)ページ目)の画像を形成する。すなわち、リレーユニット201にて反転された記録材には、第2画像形成装置102で形成された表面のトナー画像が転写され、第2画像形成装置102内の定着装置7−2によって記録材上のトナー画像は定着され、表面の画像形成が完了する。S1114、S1115の処理は、それぞれS1107、S1108の処理と同じため、説明を省略する。S1116では、CPU503はページ識別情報Pの値が(N+1)以上かどうかを判断し、(N+1)以上であればS1117に進み、そうでなければS1111へ戻る。
【0045】
S1117では、CPU503は、引き続き実行すべき印刷ジョブがあるか否かを判断し、印刷ジョブがあればS1101へ戻り、印刷ジョブが無ければ処理を終了する。
【0046】
ところで、印刷ジョブ中の画像ページ数Nが奇数の場合は、最終ページであるNページ目の画像が印刷された記録材は、両面印刷ではなく、表面のみの片面印刷となる。そのため、フェイスダウン排紙の場合には、第2画像形成装置102に割り振るべき裏面の画像データがないため、S1105では、CPU503は、表面(Nページ目)の画像データを第1画像形成装置101に割り振る処理だけを行う。そして、S1106では、CPU503は、第2画像形成装置102を制御し、リレーユニット201にて反転された記録材に対し、裏面の画像形成を行わず、S1107で、そのまま記録材を排紙するものとする。一方、フェイスアップ排紙の場合には、第1画像形成装置101に割り振るべき裏面の画像データがない。そのため、S1112では、CPU503は、表面(Nページ目)の画像データを第2画像形成装置102に割り振る処理だけを行う。そして、S1113では、CPU503は、第1画像形成装置101を制御し、S1111で給紙された記録材に対し、裏面の画像形成を行わず、そのまま記録材をリレーユニット201に搬送するものとする。
【0047】
以上説明したように、CPU503は、フェイスダウン排紙の場合は、奇数ページを第1画像形成装置101、偶数ページを第2画像形成装置102に割り振り、1ページ目、2ページ目、・・・、(N−1)ページ目、Nページ目の順で印刷処理を行う。一方、フェイスアップ排紙の場合は、CPU503は、偶数ページを第1画像形成装置101、奇数ページを第2画像形成装置102に割り振り、Nページ目、(N−1)ページ目、・・・、2ページ目、1ページ目の順で印刷処理を行う。これにより、どちらの排紙方式が選択された場合でも、第2画像形成装置102による画像形成後の反転工程を省略することができる。
【0048】
<記録材の給紙制御>
ところで、印刷ジョブ中の画像ページ数Nが偶数(N=偶数)の場合は、第1画像形成装置101と第2画像形成装置102の2台を使用して、記録材の全ページを両面印刷することになる。そのため、図6のフローチャートでは、記録材は、大容量の給紙デッキ401、もしくは第1画像形成装置101の給紙カセット20−1〜22−1より、第1画像形成装置101に対して給紙する必要がある。
【0049】
しかし、本実施形態において総ページ数Nが奇数(N=奇数)の場合には、前述したように、Nページ目を含む記録材だけは片面印刷となる。フェイスダウン排紙の場合は、Nページ目は奇数なので、Nページ目の画像は第1画像形成装置101に割り振られる。そのため、図6のフローチャートに従って、記録材は大容量の給紙デッキ401、もしくは第1画像形成装置101の給紙カセット20−1〜22−1から給紙する必要がある。一方、フェイスアップ排紙の場合には、図6のフローチャートに従うと、Nページ目は第2画像形成装置102に割り振られる。図6のフローチャートに従うと、記録材は、大容量の給紙デッキ401、もしくは第1画像形成装置101の給紙カセット20−1〜22−1より第2画像形成装置102に給紙されることになる。ところが、Nページ目の画像を含む記録材は片面印刷であるため、記録材を第2画像形成装置102の給紙カセット20−2〜22−2から給紙することができる。これにより、大容量の給紙デッキ401や第1画像形成装置101から給紙した場合に比べ、排紙位置までの搬送距離が短いので、FPOTを更に小さくすることができる。図7は、記録材を第2画像形成装置102から給紙した場合のタイミングチャートを示したものである。図7の場合には、図6のフローチャートのS111において、CPU503は、まず、第2画像形成装置102を制御して、第2画像形成装置102の給紙カセット20−2〜22−2に搭載された記録材を第2画像形成装置102の画像形成部に給紙する。続いて、S1112では、CPU503は、表面(Nページ目)の画像データを第2画像形成装置102に割り振るため、コントローラ9−2に表面の画像データを送信する。続いて、S1113では、CPU503は、第2画像形成装置102を制御して、画像データのトナー画像をS1112で給紙された記録材に転写し、定着装置7−2によって定着させて、画像形成を完了させる。そして、S1114において、CPU503は、排紙トレイに記録材を排紙する。その後の(N−1)ページ目から1ページ目までについては、図6のフローチャートに従って、CPU503は両面印刷の処理を行う。これにより、記録材の1枚目については、図5(a)の第1画像形成装置101、リレーユニット201での処理が不要となるため、フェイスアップ排紙の場合は、記録材の1枚目の排紙までの時間を大幅に短くすることが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、記録材の排紙方式によるファーストプリントアウトタイムの増大を抑制することができる。フェイスダウン排紙の場合は、画像データのうち、奇数ページを第1画像形成装置、偶数ページを第2画像形成装置に割り振り、両面印刷を行う。フェイスアップ排紙の場合は、画像データのうち、偶数ページを第1画像形成装置、奇数ページを第2画像形成装置に割り振り、両面印刷を行う。これにより、どちらの排紙方式が選択された場合でも、第2画像形成装置による画像形成後の反転工程を省略でき、排紙方式によるファーストプリントアウトタイムの増大を防止することができる。また、リレーユニット201の代わりに第1の画像形成装置の表裏反転機構を用いてもよい。
【0051】
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、記録材の排紙はユーザが指定した排紙方式に基づいて行い、指定がない場合は、予め設定しておいたフェイスダウン排紙方式にて行うこととしていた。本実施形態では、ユーザからの排紙方式の指定がなかった場合は、印刷ジョブに含まれる印刷処理情報に基づいて排紙方式を判断する例について述べる。ここで、印刷ジョブに含まれる印刷処理情報とは、第1の実施形態の図4(図6)のフローチャートにおいて、S801(S1101)で入力された印刷ジョブに含まれる印刷処理情報のことである。印刷処理情報は、ユーザが操作パネル601上の設定ボタンや詳細設定ボタンを操作して設定した項目や設定値、あるいはPCの印刷設定画面を介して操作者が入力した値から作成される。具体的な印刷処理情報としては、例えば、表1には、印刷処理項目として印刷ページ数、シート(記録材)のサイズ指定、印刷の向きや、印刷方法(片面又は両面印刷)の指定、シート排紙後に行われる後処理であるオフラインシート処理の種類等が挙げられている。
【0052】
【表1】

【0053】
表2は、制御部501の記憶部502に記憶された排紙方式テーブルの一例を示したものである。このテーブルでは、印刷ページ数に応じて排紙方式が指定されており、印刷ページ数が1枚の場合にはFU(フェイスアップ排紙方式)、2枚以上を印刷する場合にはFD(フェイスダウン排紙方式)が指定されている。そこで、図4のS803(図6のS1102)では、CPU503は、表1の印刷ジョブ中に含まれた印刷処理情報に設定された印刷ページ数と、表2の排紙方式テーブルから排紙方式を判断することができる。排紙方式の設定は、ユーザの便宜を考えて予め設定しておいてもよいし、ユーザによってカスタマイズできる構成としてもよい。
【0054】
【表2】

【0055】
表3も、制御部501の記憶部502に記憶された排紙方式テーブルの例であるが、このテーブルは、オフラインシート処理の種類に対応する排紙方式の指定を示したものである。
【0056】
【表3】

【0057】
表3において、“オフラインシート処理なし”は、記録材を排紙トレイに積載するだけで、その後に何のシート処理も実行しないことを指し、この場合の記録材の排紙はFD(フェイスダウン排紙方式)が指定されている。“オフラインシートくるみ製本処理”は、排紙トレイに積載された記録材を、オフラインくるみ製本装置(不図示)にてくるみ製本処理することを指し、この場合の記録材の排紙はFU(フェイスアップ排紙方式)が指定されている。“オフライン裁断処理”は、排紙トレイに積載された記録材を、オフライン断裁装置(不図示)にて断裁処理することを指し、この場合の記録材の排紙はFD(フェイスダウン排紙方式)が指定されている。なお、表3は、記憶部502に予め格納させておいてもよいし、CPU503が、入出力インタフェース504を介して、オフラインくるみ製本装置及びオフライン断裁装置から表3のテーブルに示す情報を取得する方法でもよい。
【0058】
オフラインシート処理として、オフラインくるみ製本処理を実行する場合は、表3では、フェイスアップ排紙方式(FU)が対応付けられている。これは、本実施形態で用いるオフラインくるみ製本装置では、表面を上向き(フェイスアップ)にして記録材の束を設置し、くるみ製本処理を行った方が効率良いからである。そのためには、排紙トレイには記録材をフェイスアップにて積載させる必要があり、オフラインくるみ製本処理には、フェイスアップ排紙方式が対応付けられている。一方、表3では、オフライン断裁処理には、フェイスダウン排紙方式(FD)が対応付けられている。これは、本実施形態で用いるオフライン断裁装置が、表面を下向き(フェイスダウン)にて記録材を排紙した方が、効率良いからである。くるみ製本処理や断裁処理の際に効率の良い排紙方式は、装置メーカーや使用環境、使用目的などによって変わり、フェイスダウン排紙方式又はフェイスアップ排紙方式のどちらか一方の排紙方式だけがよい、というものではない。逆に、フェイスダウン排紙方式がよい場合と、フェイスアップ排紙方式がよい場合とが混在することもありうる。そこで、表3のように、オフラインシート処理の方法に応じて、排紙方式を指定するテーブルを予め制御部501の記憶部502に記憶させておく。そして、そのテーブル内容に基づいて、CPU503が排紙方式を選択し、その後は、排紙方式の選択に応じて、図4(図6)に示す各々の処理ステップに進めばよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、記録材の排紙方式によるファーストプリントアウトタイムの増大を抑制することができる。特に、印刷ジョブに含まれた印刷処理情報に基づいて排紙方式を選択したり、記録材排紙後のオフライン処理の効率が良い排紙方式を選択する場合においても、ファーストプリントアウトタイムが増大することを抑制できる。
【符号の説明】
【0060】
101 第1画像形成装置
102 第2画像形成装置
201 リレーユニット
401 給紙デッキ
503 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像形成装置とその下流側に第2の画像形成装置とが接続され、前記第1の画像形成装置で記録材の第1面へ画像形成し、該記録材の表裏を反転させて前記第2の画像形成装置で当該記録材の第2面に画像を形成する画像形成システムを制御する印刷制御装置において、
前記画像形成システムで第1面及び第2面に画像が形成された記録材が排出される排紙トレイへ、フェイスダウン排紙する場合は、前記第1の画像形成装置へ奇数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に偶数ページの画像データを形成させ、フェイスアップ排紙する場合は、前記第1の画像形成装置へ偶数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に奇数ページの画像データを形成させる制御手段を備えることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
奇数ページからなる画像データを記録材に画像形成してフェイスダウン排紙を行う場合において、前記制御手段は、前記第2の画像形成装置が前記第1の画像形成装置により最終ページの画像データが画像形成された記録材に画像形成しないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
奇数ページからなる画像データを記録材に画像形成してフェイスアップ排紙を行う場合において、前記制御手段は、前記第1の画像形成装置が前記第2の画像形成装置により最終ページの画像データが画像形成される記録材に画像形成しないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記第2の画像形成装置は記録材を給紙する給紙部を有し、
奇数ページからなる画像データを記録材に画像形成してフェイスアップ排紙を行う場合において、前記制御手段は、前記第2の画像形成装置が最終ページの画像データを画像形成する記録材を、前記給紙部から給紙するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
第1の画像形成装置とその下流側に第2の画像形成装置とが接続され、前記第1の画像形成装置で記録材の第1面へ画像形成し、該記録材の表裏を反転させて前記第2の画像形成装置で当該記録材の第2面に画像を形成する画像形成システムにおいて、
第1面及び第2面に画像が形成された記録材が排出される排紙トレイと、
前記排紙トレイへ記録材をフェイスダウン排紙する場合には、前記第1の画像形成装置に奇数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に偶数ページの画像データを形成させ、前記排紙トレイへ記録材をフェイスアップ排紙する場合には、前記第1の画像形成装置に偶数ページの画像データを形成させ、前記第2の画像形成装置に奇数ページの画像データを形成させるよう前記第1の画像形成装置及び前記第2の画像形成装置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
奇数ページからなる画像データを記録材に画像形成してフェイスダウン排紙を行う場合において、前記制御手段は、前記第2の画像形成装置が前記第1の画像形成装置により最終ページの画像データが画像形成された記録材に画像形成しないよう制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
奇数ページからなる画像データを記録材に画像形成してフェイスアップ排紙を行う場合において、前記制御手段は、前記第1の画像形成装置が前記第2の画像形成装置により最終ページの画像データが画像形成される記録材に画像形成しないよう制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記第2の画像形成装置は記録材を給紙する給紙部を有し、
奇数ページからなる画像データを記録材に画像形成してフェイスアップ排紙を行う場合において、前記制御手段は、前記第2の画像形成装置が最終ページの画像データを画像形成する記録材を、前記給紙部から給紙するよう制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−37069(P2013−37069A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171052(P2011−171052)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】