説明

印刷回路基板及びその製造方法

【課題】ビアホールを設けるか該ビアホールの内部をめっきする工程を経ることなく、層間電気的接続のために金属パターン層にパッドを直接接続することによって、製造工程を単純化し、製造費用を節減することができる印刷回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の印刷回路基板の製造方法は、金属層122の一面にキャリア110を設け、この金属層122の他面に第1のレジストを形成して第1のパッド形成領域を提供し、キャリア110を除去し、金属層122にパターンを形成して金属パターン層120を設け、この金属パターン層120の第1のレジストが設けられた面の反対面に第2のレジストを形成して第2のパッド形成領域を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板及びその製造方法に関し、層間高密度接続が可能で、製造費用を節減することができる、印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器及び製品の先端化に伴って電子機器及び製品の小型化及び技術集積はますます発展している。また、電子機器及び製品などに用いられる印刷回路基板の製造工程も小型化及び技術集積に対応して多様な変化が要求されている。
【0003】
前記印刷回路基板を製造する方法への技術方向は、初期に断面印刷回路基板から両面印刷回路基板へ、さらには多層印刷回路基板へ展開された。特に、多層印刷回路基板を製造するに当たって、最近には、いわゆるビルドアップ(build-up)工法と呼ばれる製造方法が展開中にある。
【0004】
印刷回路基板を製造する過程には、各層の回路パターン及び電子素子間を電気的に接続するために内部ビアホール(Inner Via Hole:IVH)、ブラインドビアホール(Blind Via Hole:BVH)または貫通ホール(Plated Through Hole:PTH)などの多様なビアホールを設ける過程が必要となる。従来には、ベース基板にビアホールを形成後、該ビアホールの内部を含んだベース基板の表面にめっきを行って、層間を電気的に接続し、ドライフィルムを用いてベース基板の表面にパッドを含む回路パターンを設けることによって、印刷回路基板を製造した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0132870号公報
【特許文献2】特開2007−335539号公報
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0006】
しかし、基板の高密度化及び薄板化の要求に応じるためには、層間の高密度接続が必要となるが、従来技術によって印刷回路基板を製造する場合、二つ以上の金属層が必要で、層間高密度接続に限界があった。
また、層間電気的接続のためにビアホールを形成し、該ビアホールの内部をめっきする工程が必ず必要であるため、印刷回路基板の製造工程が複雑になり、製造費用が相当にかかるという不都合がある。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、ビアなしに層間電気的接続のために金属パターン層にパッドが直接接続されるような構造を採用し、高密度化及び薄板化が可能な印刷回路基板を提供することに、その目的がある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、ビアホールを設けるか該ビアホールの内部をめっきする工程を経ることなく、層間電気的接続のために金属パターン層にパッドを直接接続することによって、製造工程を単純化し、製造費用を節減することができる印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するために、本発明の一形態による印刷回路基板の製造方法は、金属層の一面にキャリアを設けるステップと、前記金属層の他面に第1のレジストを形成して第1のパッド形成領域を提供するステップと、前記キャリアを除去するステップと、前記金属層にパターンを形成して金属パターン層を設けるステップと、前記金属パターン層の第1のレジストが設けられた面の反対面に第2のレジストを形成して第2のパッド形成領域を提供するステップとを含む。
【0010】
一形態によれば、本発明の印刷回路基板の製造方法は、前記第1のパッド形成領域に第1のパッドを設けるステップと、前記第2のパッド形成領域に第2のパッドを設けるステップとを、さらに含む。
【0011】
一形態によれば、前記第1のパッド形成領域を提供するステップは、前記金属層の他面に前記第1のレジストを塗布するステップと、前記第1のレジストの一部を除去して前記第1のパッド形成領域をオープンするステップとを含む。
【0012】
一形態によれば、前記第2のパッド形成領域を提供するステップは、前記金属パターン層の第1のレジストが設けられた面の反対面に前記第2のレジストを塗布するステップと、前記第2のレジストの一部を除去して前記第2のパッド形成領域をオープンするステップとを含む。
【0013】
一形態によれば、前記金属層にパターンを形成して金属パターン層を設けるステップは、前記金属層の一面にフィルム層を塗布するステップと、前記フィルム層を選択的に除去するステップと、前記フィルム層が除去された領域の金属層を除去して前記金属パターン層を設けるステップとを含む。
【0014】
一形態によれば、前記フィルム層を選択的に除去するステップは、前記フィルム層を選択的に露光、現像及び剥離する。
【0015】
また、一形態によれば、前記金属層にパターンを形成して金属パターン層を設けるステップは、前記金属層の一面にフィルム層を塗布するステップと、前記フィルム層を選択的に除去するステップと、前記フィルム層が除去された領域にめっき層を設けるステップと、残っているフィルム層を除去するステップと、前記残っているフィルム層に相応する前記金属層を除去して前記金属パターン層を設けるステップとを含む。
【0016】
一形態によれば、前記フィルム層を選択的に除去するステップは、前記フィルム層を選択的に露光、現像及び剥離する。
【0017】
一形態によれば、前記第1のレジストと前記金属パターン層とが接する面の中で前記金属パターン層の接合面は、粗さ(roughness)が設けられる。
【0018】
一形態によれば、前記第1のパッドは、バンプを設けるためのバンプ形成用パッドで、前記第2のパッドは、電子素子を装着するためのワイヤボンディング用パッドである。
【0019】
一形態によれば、前記第1のレジストの厚さは、前記第2のレジストの厚さより厚い。
【0020】
また、上記目的を解決するために、本発明の他の形態による印刷回路基板は、金属層にパターンが設けられて生成された金属パターン層と、前記金属パターン層に塗布され、パッド形成領域がオープンされたレジストと、前記パッド形成領域に設けられたパッドとを含む。
【0021】
一形態によれば、前記レジストは、前記金属パターン層の一面に塗布され、第2のパッド形成領域がオープンされた第2のレジストと、前記金属パターン層の他面に塗布され、第1のパッド形成領域がオープンされた第1のレジストとを含む。
【0022】
また、前記金属パターン層は、前記金属層の一部を除去してパターンが設けられる。
【0023】
また、前記金属パターン層は、前記金属層の一部を除去してパターンが設けられ、前記パターンが設けられた金属層にめっき層を形成して生成される。
【0024】
また、前記パッドは、前記第1のパッド形成領域に設けられた第1のパッドと、前記第2のパッド形成領域に設けられた第2のパッドとを含む。
【0025】
また、前記第1のパッドは、バンプを設けるためのバンプ形成用パッドで、前記第2のパッドは、電子素子を装着するためのワイヤボンディング用パッドである。
【0026】
また、前記第1のレジストと前記金属パターン層とが接する面の中で前記金属パターン層の接合面は、粗さが設けられる。
【0027】
また、前記第1のレジストの厚さは、前記第2のレジストの厚さより厚い。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一形態による印刷回路基板及びその製造方法によれば、ビアなしに層間電気的接続のために金属パターン層にパッドが直接接続されるような構造を採用し、基板の高密度化及び薄板化を具現することができるという長所がある。即ち、従来において最小限2層で設けられた印刷回路基板を断層構造として具現することができ、層間高密度接続が具現されることができる。
【0029】
また、印刷回路基板による信号の損失を最小化し、信号の伝送速度を向上させることができるという効果が奏する。
【0030】
また、ビアホールを設けるか該ビアホールの内部をめっきする工程が不要であるため、製造工程が簡素化され、製造費用を節減することができるという長所がある。
【0031】
また、光/熱硬化性レジストを使うため、物理的な加工工程を取り替えることができるという効果が奏する。
【0032】
これにより、印刷回路基板が備えられた製品全体の信頼性を確保することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態による印刷回路基板の断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による印刷回路基板の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造過程を示すもので、金属層の一面にキャリアが塗布された姿を示す断面図である。
【図4】同じく、金属層の他面に第1のレジストが塗布された姿を示す断面図である。
【図5】同じく、第1のパッド形成領域がオープンされた第1のレジストを示す断面図である。
【図6】同じく、キャリアが除去された姿を示す断面図である。
【図7】同じく、金属層の一面に一部の除去されたフィルム層が塗布された姿を示す断面図である。
【図8】同じく、フィルム層が除去された領域の金属層が除去されて金属パターン層が設けられた姿を示す断面図である。
【図9】同じく、フィルム層が除去された姿を示す断面図である。
【図10】同じく、金属パターン層の第1のレジストが設けられた面の反対面に第2のレジストが塗布された姿を示す断面図である。
【図11】同じく、第1及び第2のパッド形成領域に第1及び第2のパッドが設けられた姿を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態による印刷回路基板の製造過程を示すもので、金属層の一面にキャリアが塗布された姿を示す断面図である、
【図13】同じく、金属層の他面に第1のレジストが塗布された姿を示す断面図である。
【図14】同じく、第1のパッド形成領域がオープンされた第1のレジストを示す断面図である。
【図15】同じく、キャリアが除去された姿を示す断面図である。
【図16】同じく、金属層の一面に一部の除去されたフィルム層が塗布された姿を示す断面図である。
【図17】同じく、フィルム層が一部除去された領域にめっき層が設けられた姿を示す断面図である。
【図18】同じく、残っているフィルム層及び該残っているフィルム層に相応する金属層が除去されて金属パターン層が設けられた姿を示す断面図である。
【図19】同じく、金属パターン層の第1のレジストが設けられた面の反対面に第2のレジストが塗布された姿を示す断面図である。
【図20】同じく、第1及び第2のパッド形成領域に第1及び第2のパッドが設けられた姿を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0035】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態による印刷回路基板の断面図である。
【0037】
図1に示すように、印刷回路基板100は、金属パターン層120、レジスト140及びパッド160を含んで構成される。
【0038】
金属パターン層120は、金属層122にパターンが設けられて生成されるもので、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などの金属材料から成る。
【0039】
このような金属パターン層120は、金属層122の一部を除去してパターンが設けられた構造を有する。金属パターン層120の厚さは、設けられる回路の難易度によって変わってもよい。一般に、金属パターン層120の厚さは、2μm、3μm、5μm、12μm、18μmなどが挙げられ、これに限定するものではない。
【0040】
図1の印刷回路基板の構成は、例示的なもので、多様な印刷回路基板に適用されてもよく、後述する本発明の技術的特徴は同様に適用される。
【0041】
レジスト140は、金属パターン層120に塗布されてパッド形成領域がオープンされるように構成され、金属パターン層120の一面に塗布され、第2のパッド形成領域Bのオープンされた第2のレジスト144と、金属パターン層120の他面に塗布され、第1のパッド形成領域Aのオープンされた第1のレジスト142とから成る。
【0042】
また、金属パターン層120とレジスト140との間の密着力を強化させるために、第1のレジスト142と金属パターン層120とが接する面の中で金属パターン層120の接合面には、粗さ(roughness)が設けられる。
【0043】
このようなレジスト140は、光/熱硬化性樹脂で構成され、通常、ソルダレジスト(Solder Resist)から成る。
【0044】
このソルダレジストは、絶縁永久コーティング材料の一つとして、電子素子の実装時行われる半田付けによって意図しない接続が発生しないように、金属パターン層120を覆う被膜から成る。また、このソルダレジストは、金属パターン層120を被覆して電子素子の半田付けに必要なパッド、すなわち電子素子が装着される部分の周辺を除いた残り部分を遮蔽するため、ソルダマスクとも言う。また、このソルダレジストは、印刷回路基板の短絡、腐食、汚染などを防止すると共に、印刷回路基板の製造後にも基板上に被膜として残って外部の衝撃、湿気、化学材料から回路を保護する働きを果たす。
【0045】
パッド160は、パッド形成領域によって設けられるもので、第1のパッド形成領域Aに設けられる第1のパッド162と、第2のパッド形成領域Bに設けられる第2のパッド144とで構成される。
【0046】
第1のパッド162は、バンプを設けるためのバンプ形成用パッドから成り、第2のパッド164は、電子素子を装着するためのワイヤボンディング用パッドから成る。このため、第1のレジスト142の厚さは、第2のレジスト164の厚さより厚く構成される。
【0047】
詳しくは、第1のパッド162上にはバンプが設けられるため、該バンプの大きさ、厚さ、面積などに対応して第1のレジスト142の厚さが厚くなり、ワイヤがボンディングされる第2のパッドの第2のレジスト144に比べて比較的厚い厚さを有する。もし、バンプがソルダボールから成る場合、第1のレジスト142は、該ソルダボールの径によって最小5μmから最大50μmまで多様な厚さで形成されてもよい。
【0048】
このように、パッド上に設けられるバンプの種類によってレジストの厚さを調節して設けることができるため、パッドとバンプとの間の安定な接合力を確保することができ、信頼性を有する印刷回路基板を提供することができる。
【0049】
結論的に、本発明の一実施形態による印刷回路基板は、ビアなしに層間電気的接続のために金属パターン層にパッドが直接接続された構造を採用することによって、印刷回路基板を断層で具現することができ、高密度化及び薄板化の具現が可能となる。
【0050】
図2は、本発明の他の実施形態による印刷回路基板の断面図である。本発明の他の実施形態においては、金属パターン層を除いて、前述の実施形態による印刷回路基板と同じ技術的構成を有し、同じ技術的構成については同じ符号を付す。
【0051】
図2に示すように、印刷回路基板100は、金属パターン層120、レジスト140及びパッド160を含んで構成される。
【0052】
金属パターン層120は、金属層122の一部を除去してパターンを形成した後、該パターンの設けられた金属層122にめっき層124を形成して生成される。本発明の他の実施形態による金属層122は薄膜形態で構成され、本発明の一実施形態による金属層122の厚さより薄い厚さを有する。
【0053】
このような金属パターン層120は、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(AlI)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などの金属材料から成る。
【0054】
レジスト140は、金属パターン層120に塗布されてパッド形成領域がオープンされるように構成され、金属パターン層120の一面に塗布され、第2のパッド形成領域Bがオープンされた第2のレジスト144と、金属パターン層120の他面に塗布され、第1のパッド形成領域Aがオープンされた第1のレジスト142とから成る。
【0055】
また、金属パターン層120とレジスト140との間の密着力を強化させるために、第1のレジスト142と金属パターン層120とが接する面の中で、金属パターン層120の接合面には、粗さが設けられる。
【0056】
パッド160は、パッド形成領域に設けられるもので、第1のパッド形成領域Aに設けられる第1のパッド162と、第2のパッド形成領域Bに設けられる第2のパッド144とで構成される。
【0057】
第1のパッド162は、バンプを設けるためのバンプ形成用パッドで、第2のパッド164は、電子素子を装着するためのワイヤボンディング用パッドである。このため、第1のレジスト142の厚さは、第2のレジスト164の厚さより厚く構成される。
【0058】
詳しくは、第1のパッド162上にはバンプが設けられるため、バンプの大きさ、厚さ、面積などに対応して第1のレジスト142の厚さが厚くなることがあり、ヤイワがボンディングされる第2のパッドの第2のレジスト144に比べて比較的厚い厚さを有することがある。もし、バンプがソルダボールから成る場合、第1のレジスト142は、該ソルダボールの径に応じて最小5μmから最大50μmまで多様な厚さで形成されることができる。
【0059】
以下、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造過程について詳記する。
【0060】
図3〜図11は各々、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造過程を示す断面図である。
【0061】
図3に示すように、金属層122の一面にキャリア110を設ける。金属層122は印刷回路基板100を支持するもので、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などの金属材料から成る。
【0062】
また、キャリア110の表面に金属層122を塗布するために、スパッタリング方式、付着方式及びめっき方式のうちのいずれか一つを使ってもよい。
【0063】
スパッタリングは、対象物の表面に膜を付着する技術として、セラミックスや半導体素材などに電子回路を作り込むために、高真空状態で固体を蒸発させて薄膜や厚膜を設ける場合に使われる。
【0064】
より詳しくは、スパッタリングは、スパッタリング蒸着法とも言って、薄膜の材料になる原子を対象物の表面に付着させて薄膜を形成する。すなわち、イオン化された原子(Ar)を電気場によって加速させて薄膜材料に衝突させれば、該衝突によって薄膜材料の原子が飛び出すようになる。この飛び出した原子が対象物の表面に付着して薄膜が設けられるようになる。このようなスパッタリング蒸着法方式外にも、蒸溜(evaporation)を用いる薄膜蒸着法のように多様な方式を用いて金属層を設けてもよい。蒸溜を用いる薄膜蒸着法は、金属層を蒸着させるために高真空(5×10−5〜1×10-7torr)で電子ビームや電気フィラメントを利用してボートを加熱し、該ボートの上に金属をとかして蒸溜させる。この時に蒸溜された金属は、冷たい対象物の表面上に凝縮され、薄膜を設けるようになる。
【0065】
また、付着方式とは、銅箔などの金属層122をキャリア110に付着する方式である。めっき方式とは、溶融めっき法または電気めっき法などを用いてキャリア110に金属を覆う方式を言う。
【0066】
このような金属層122の厚さは、設けられる回路の難易度によって変わることになる。一般に、金属層120の厚さは、2μm、3μm、5μm、12μm、18μmなどが挙げられ、これに限定するものではない。
【0067】
また、キャリア110は、金属材料から成り、その厚さは、一般に20μm以上50μm以下の範囲で設けられてもよい。
【0068】
続いて、金属層122の他面に第1のレジスト142を形成して第1のパッド形成領域Aを提供する。詳しくは、図4及び図5に示すように、金属層122の他面に第1のレジスト142を塗布し、該第1のレジスト142の一部を除去して第1のパッド形成領域Aをオープンする。この第1のレジスト142の一部を除去するために、露光、現像及び剥離工程が用いられる。
【0069】
一実施形態によれば、UV(Ultraviolet)レーザ、CO(Carbon dioxide)レーザなどの多様なレーザを用いて第1のレジスト142の一部を除去することができる。
【0070】
続いて、図6に示すように、キャリア110を除去する。
【0071】
続いて、図7に示すように、金属層122の一面にフィルム層130を塗布し、該ィルム層130を選択的に除去する。フィルム層130を選択的に除去するために、フィルム層130を露光、現像及び剥離する工程を行ってもよく、UVレーザ、COレーザなどの多様なレーザを使ってもよい。
【0072】
また、フィルム層130は、フォトレジスト(PhotoResist)、フォトソルダレジスト(Photo Solder Resist)、ドライフィルム(Dry Film)などの多様な感光性材料から成ってもよく、これに限定するものではない。
【0073】
続いて、図8及び図9に示すように、フィルム層130が除去された領域の金属層122を除去し、金属パターン層120を形成してフィルム層130を除去する。
【0074】
続いて、図10に示すように、フィルム層130の除去された金属パターン層120に第2のレジスト144を形成して第2のパッド形成領域Bを提供する。このため、金属パターン層120に第2のレジスト144を塗布し、この第2のレジスト144の一部を除去して第2のパッド形成領域Bをオープンする。
【0075】
続いて、図11に示すように、第1のパッド形成領域Aに第1のパッド162を形成し、第2のパッド形成領域Bに第2のパッド164を設ける。第1のパッド162はバンプを設けるためのバンプ形成用パッドで、第2のパッド164は電子素子を装着するためのワイヤボンディング用パッドである。このため、第1のレジスト142の厚さは、第2のレジスト144の厚さより厚く構成される。
【0076】
詳しくは、第1のパッド162上にはバンプが設けられるため、バンプの大きさ、厚さ、面積などに対応して第1のレジスト142の厚さが厚くなることがあり、ヤイワがボンディングされる第2のパッドの第2のレジスト144に比べて比較的厚い厚さを有することがある。もし、バンプがソルダボールから成る場合、第1のレジスト142は、ソルダボールの径に応じて最小5μmから最大50μmまでの多様な厚さで形成されてもよい。
【0077】
このように、パッド上に設けられるバンプの種類によってレジストの厚さを調節して設けることができるため、パッドとバンプとの間の接合力を安定して確保すると共に、信頼性がある印刷回路基板を提供することができるという長所がある。
【0078】
以下、本発明の他の実施形態による印刷回路基板の製造過程について詳記する。
【0079】
図12〜図20は各々、本発明の他の実施形態による印刷回路基板の製造過程を示す断面図である。
【0080】
前述の本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法と同じ技術的構成要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することにする。
【0081】
図12に示すように、金属層122の一面にキャリア110を塗布する。この金属層122は、印刷回路基板100を支持するもので、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)などの金属材料から成ってもよい。
【0082】
本発明の他の実施形態による金属層122は、薄膜形態で構成され、本発明の一実施形態による金属層122の厚さより薄い厚さを有する。
【0083】
また、キャリア110の表面に金属層122を塗布するために、スパッタリング方式、付着方式及びめっき方式のうちのいずれか一つを使ってもよい。
【0084】
スパッタリングとは、対象物の表面に膜を付着する技術であって、セラミックスや半導体素材などに電子回路を作り込むために、高真空状態で固体を蒸発させて薄膜や厚膜を設ける場合に使われる。
【0085】
また、付着方式とは、銅箔などの金属層122をキャリア110に付着する方式である。めっき方式とは、溶融めっき法、電気めっき法などを用いてキャリア110に金属を加える方式を言う。
【0086】
このような金属層122の厚さは、設けられる回路の難易度によって変わることになる。一般に、金属層122は、薄膜形態として、本発明の一実施形態による金属層122の厚さより薄い厚さを有してもよい。
【0087】
キャリア110は、金属材料から成り、その厚さは、一般に20μm以上50μm以下の範囲で設けられてもよい。
【0088】
続いて、金属層122の他面に第1のレジスト142を形成して第1のパッド形成領域Aを提供する。詳しくは、図13及び図14に示すように、金属層122の他面に第1のレジスト142を塗布し、この第1のレジスト142の一部を除去して第1のパッド形成領域Aをオープンする。この第1のレジスト142の一部を除去するために、露光、現像及び剥離工程を用いてもよい。
【0089】
また、UVレーザ、COレーザなどの多様なレーザを用いて第1のレジスト142の一部を除去してもよい。
【0090】
続いて、図15に示すように、キャリア110を除去する。
【0091】
続いて、図16に示すように、金属層122の一面にフィルム層130を塗布し、このフィルム層130の一部を除去する。フィルム層130の一部を除去するために、フィルム層130を露光、現像及び剥離する工程を用いてもよく、UVレーザ、COレーザなどの多様なレーザを使ってもよい。
【0092】
また、フイルム層130は、フォトレジスト、フォトソルダレジスト、ドライフィルムなどの多様な感光性材料から成ってもよく、これに限定するものではない。
【0093】
続いて、図17及び図18に示すように、フィルム層130の一部が除去された領域にめっき層124を形成し、残っているフィルム層130及びフィルム層130の残り領域に対応する金属層122、すなわち、残っているフィルム層130の下部にある金属層122を除去し、金属パターン層120を形成してフィルム層130を除去する。
【0094】
続いて、図19に示すように、フィルム層130が除去された金属パターン層120に第2のレジスト144を形成して第2のパッド形成領域Bを提供する。このため、フィルム層130が除去された金属パターン層120に第2のレジスト144を塗布し、この第2のレジスト144の一部を除去して第2のパッド形成領域Bをオープンする。
【0095】
続いて、図20に示すように、第1のパッド形成領域Aに第1のパッド162を形成し、第2のパッド形成領域Bに第2のパッド164を設ける。第1のパッド162はバンプを設けるためのバンプ形成用パッドで、第2のパッド164は電子素子を装着するためのワイヤボンディング用パッドである。このため、第1のレジスト142の厚さは、第2のレジスト164の厚さより厚く構成される。
【0096】
詳しくは、第1のパッド162上にはバンプが設けられるため、バンプの大きさ、厚さ、面積などに対応して第1のレジスト142の厚さが厚くなることがあり、ヤイワがボンディングされる第2のパッドの第2のレジスト144に比べて比較的厚い厚さを有することがある。もし、バンプがソルダボールから成る場合、第1のレジスト142は、該ソルダボールの径に応じて最小5μmから最大50μmまで多様な厚さで形成されてもよい。
【0097】
また、本発明による印刷回路基板の製造方法は、サブトラクティブ(Subtractive)工法、アダッティブ(Additive)工法、テンティング(tenting)工法、セミアダッティブ(Semiadditive)工法などに適用可能である。
【0098】
従って、本発明による印刷回路基板の製造方法は、ビアホールを設けるか該ビアホールの内部をめっきする工程を経ることなく、層間電気的接続のために金属パターン層にパッドを直接接続することによって、製造工程が単純化され、製造費用を節減することができる。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
100 印刷回路基板
110 キャリア
120 金属パターン層
122 金属層
124 めっき層
130 フィルム膚
140 レジスト
160 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層の一面にキャリアを設けるステップと、
前記金属層の他面に第1のレジストを形成して第1のパッド形成領域を提供するステップと、
前記キャリアを除去するステップと、
前記金属層にパターンを形成して金属パターン層を設けるステップと、
前記金属パターン層の第1のレジストが設けられた面の反対面に第2のレジストを形成して第2のパッド形成領域を提供するステップ
とを含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1のパッド形成領域に第1のパッドを設けるステップと、
前記第2のパッド形成領域に第2のパッドを設けるステップとを、さらに含む請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1のパッド形成領域を提供するステップは、
前記金属層の他面に前記第1のレジストを塗布するステップと、
前記第1のレジストの一部を除去して前記第1のパッド形成領域をオープンするステップ
とを含む請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2のパッド形成領域を提供するステップは、
前記金属パターン層の第1のレジストが設けられた面の反対面に前記第2のレジストを塗布するステップと、
前記第2のレジストの一部を除去して前記第2のパッド形成領域をオープンするステップ
とを含む請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記金属層にパターンを形成して金属パターン層を設けるステップは、
前記金属層の一面にフィルム層を塗布するステップと、
前記フィルム層を選択的に除去するステップと、
前記フィルム層が除去された領域の金属層を除去して前記金属パターン層を設けるステップ
とを含む請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記フィルム層を選択的に除去するステップは、前記フィルム層を選択的に露光、現像及び剥離する、請求項5に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属層にパターンを形成して金属パターン層を設けるステップは、
前記金属層の一面にフィルム層を塗布するステップと、
前記フィルム層を選択的に除去するステップと、
前記フィルム層が除去された領域にめっき層を設けるステップと、
残っているフィルム層を除去するステップと、
前記残っているフィルム層に相応する前記金属層を除去して前記金属パターン層を設けるステップ
とを含む請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記フィルム層を選択的に除去するステップは、前記フィルム層を選択的に露光、現像及び剥離する、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1のレジストと前記金属パターン層とが接する面の中で、前記金属パターン層の接合面は、粗さが設けられた、請求項1に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1のパッドは、バンプを設けるためのバンプ形成用パッドである、請求項2に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記第2のパッドは、電子素子を装着するためのワイヤボンデイング用パッドである、請求項2に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1のレジストの厚さは、前記第2のレジストの厚さより厚い、請求項1に
記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項13】
金属層にパターンが設けられて生成された金属パターン層と、
前記金属パターン層に塗布され、パッド形成領域がオープンされたレジストと、
前記パッド形成領域に設けられたパッド
とを含む印刷回路基板。
【請求項14】
前記レジストは、
前記金属パターン層の一面に塗布され、第2のパッド形成領域がオープンされた第2のレジストと、
前記金属パターン層の他面に塗布され、第1のパッド形成領域がオープンされた第1のレジストとを含む請求項13に記載の印刷回路基板。
【請求項15】
前記金属パターン層は、前記金属層の一部を除去してパターンが設けられる、請求項13に記載の印刷回路基板。
【請求項16】
前記金属パターン層は、
前記金属層の一部を除去してパターンが設けられ、該パターンが設けられた金属層にめっき層を形成して生成される、請求項13に記載の印刷回路基板。
【請求項17】
前記パッドは、
前記第1のパッド形成領域に設けられた第1のパッドと、
前記第2のパッド形成領域に設けられた第2のパッド
とを含む請求項14に記載の印刷回路基板。
【請求項18】
前記第1のパッドは、バンプを設けるためのバンプ形成用パッドである、請求項17に記載の印刷回路基板。
【請求項19】
前記第2のパッドは、電子素子を装着するためのワイヤボンデイング用パッドである、請求項17に記載の印刷回路基板。
【請求項20】
前記第1のレジストと前記金属パターン層とが接する面の中で前記金属パターン層の接合面は、粗さが設けられた、請求項13に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項21】
前記第1のレジストの厚さは、前記第2のレジストの厚さより厚い、請求項14に記載の印刷回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−110408(P2013−110408A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−245112(P2012−245112)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(512255804)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (21)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electro−Mechanics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】150, Maeyeong−ro, Yeongtong−gu, Suwon−si, Gyeonggi−do, Republic of Korea
【Fターム(参考)】