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印刷回路用銅箔
説明

印刷回路用銅箔

【課題】表面が黒色であり、エッチング性も良好である粗化処理銅箔を提供を提供する。
【解決手段】銅箔の少なくとも一方の表面に、黒色ではない粗化処理層と、ニッケル−タングステン合金めっき層とがこの順に形成されており、当該ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000μg/dm2以上である印刷回路用銅箔。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路用銅箔に関し、例えばファインパターン印刷回路及び磁気ヘッド用FPC( Flexible Printed Circuit )に好適な印刷回路用銅箔に関する。
【背景技術】
【0002】
銅及び銅合金箔(以下銅箔と称する)は、電気・電子関連産業の発展に大きく寄与しており、特に印刷回路材として不可欠の存在となっている。印刷回路用銅箔は一般に、合成樹脂ボード、フィルム等の絶縁基板に接着剤を介して、又は接着剤を使用せずに高温高圧下で積層接着して銅張積層板を製造し、その後目的とする回路を形成するために、レジスト塗布及び露光工程を経て必要な回路を印刷した後、不要部を除去するエッチング処理が施される。
最終的に、所要の素子が半田付けされて、エレクトロニクスデバイス用の種々の印刷回路板を形成する。
【0003】
銅張積層板において絶縁基板と導電性材料の接着性は重要な特性のひとつであり、絶縁基板との接着性を向上させるために粗化処理と呼ばれる銅箔表面に凹凸を形成する表面処理を施すことが一般に行われている。例えば電解銅箔のM面(粗面)に硫酸銅酸性めっき浴を用いて、樹枝状又は小球状に銅を多数電着せしめて微細な凹凸を形成し、投錨効果によって接着性を改善させる方法がある。
【0004】
また、銅電着粒による粗化処理を発展させた技術として、例えば、特開平4−96395号公報(特許文献1)及び特開平10−18075号公報(特許文献2)に記載のように、銅箔の表面に銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−96395号公報
【特許文献2】特開平10−18075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷回路用銅箔に要求されるもう一つの重要な特性として、黒色である点が挙げられる。第一に、黒色は位置合わせ精度及び熱吸収率の高いという利点を有する。印刷回路板の作成過程では、ICや抵抗、コンデンサ等の部品を自動工程で搭載していくが、その際センサーにより回路を読み取りながらチップマウントを行なっている。このとき、カプトンなどのフィルムを通して粗化処理面での位置合わせを行なうことがある。また、スルーホール形成時の位置決めも同様である。そして、処理面が黒に近い程、光の吸収が良いため、位置決めの精度が高くなる。
第二に、印刷回路板を作製する際、銅箔と絶縁基板を熱を加えながらキュワリングして接着させることが多い。このとき、遠赤外線、赤外線等の長波を用いることにより加熱する場合、処理面の色調が黒い方が、加熱効率が良くなる。
【0007】
この点、銅電着粒による伝統的な粗化処理では表面が赤色化するため不都合である。また、特許文献1や特許文献2に記載の銅−コバルト−ニッケル合金めっきによる粗化処理によれば黒色表面が得られるものの、銅箔の表面に形成された銅−コバルト−ニッケル合金めっきからなる粗化粒子の形状が樹枝状であるために、この樹枝の上部又は根元から剥がれ落ち、一般に粉落ち現象と言われる問題があった。この粉落ち現象は厄介な問題であり、銅−コバルト−ニッケル合金めっきの粗化処理層は、樹脂層との密着性に優れており、耐熱性にも優れているという特徴を有しているにもかかわらず、外力により粒子が脱落し易く、処理中の「こすれ」による剥離、剥離粉によるロールの汚れ、剥離粉によるエッチング残渣が生ずる。
【0008】
更に、ファインパターン形成の観点からは、エッチング後にエッチング残りがないことも要求される。
【0009】
そこで、本発明の課題は、表面が黒色であり、エッチング性も良好である粗化処理銅箔を提供、好ましくは、更に粉落ちの問題が改善された粗化処理銅箔を提供することである。また、本発明の更なる課題は、そのような粗化処理銅箔を備えた銅張積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、一側面において、銅箔の少なくとも一方の表面に、黒色ではない粗化処理層と、ニッケル−タングステン合金めっき層とがこの順に形成されており、当該ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000μg/dm2以上である印刷回路用銅箔である。
【0011】
本発明に係る印刷回路用銅箔の一実施形態においては、前記ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000〜5000μg/dm2である。
【0012】
本発明に係る印刷回路用銅箔の別の一実施形態においては、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に耐熱層が形成されている。
【0013】
本発明に係る印刷回路用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上、又は、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に形成された耐熱層の上に、防錆層が形成されている。
【0014】
本発明に係る印刷回路用銅箔の更に別の一実施形態においては、上記粗化処理層が、銅の一次粒子層を形成した後、該一次粒子層の上に、銅−コバルト−ニッケル合金の二次粒子層を形成したものである。
【0015】
本発明に係る印刷回路用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記銅の一次粒子層の平均粒子径が0.25〜0.45μmであり、銅−コバルト−ニッケル合金からなる二次粒子層の平均粒子径が0.05〜0.25μmである。
【0016】
本発明に係る印刷回路用銅箔の更に別の一実施形態においては、前記一次粒子層及び二次粒子層が、電気めっき層である。
【0017】
本発明は別の一側面において、本発明に係る印刷回路用銅箔を備えた銅張積層板である。
【0018】
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅張積層板を材料とする印刷回路板である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表面が黒色であり、エッチング性も良好である粗化処理銅箔を提供することができ、好ましくは、更に粉落ちの問題が改善された粗化処理銅箔を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の銅箔上に、銅−コバルト−ニッケル合金めっきからなる粗化処理を行った場合の粉落ちの様子を示す概念説明図である。
【図2】銅箔上に予め銅の一次粒子層を形成し、この一次粒子層の上に銅−コバルト−ニッケル合金めっきからなる二次粒子層を形成してなる粗化処理層の概念説明図である。
【図3】銅箔上に、銅−コバルト−ニッケル合金めっきからなる粗化処理を行った場合の表面の顕微鏡写真である。
【図4】銅箔上に予め一次粒子層を形成し、この一次粒子層の上に銅−コバルト−ニッケル合金めっきからなる二次粒子層を形成した粉落ちのない銅箔処理面の層の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る印刷回路用銅箔の一実施形態においては、銅箔の少なくとも一方の表面に、粗化処理層と、ニッケル−タングステン合金めっき層とがこの順に形成されている。例えば、黒くない粗化処理層上にニッケル−タングステン合金めっき層を形成することで、黒い表面を得ることができる。
【0022】
<粗化処理層>
本発明において使用する銅箔は、電解銅箔或いは圧延銅箔いずれでも良い。通常、銅箔の、樹脂等の絶縁基板と接着する面即ち粗化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させることを目的として、脱脂後の銅箔の表面に、「ふしこぶ」状の電着を行なう粗化処理が施される。電解銅箔のM面は製造時点で凹凸を有しているが、粗化処理により電解銅箔の凸部を増強して凹凸を一層大きくする。
【0023】
圧延銅箔と電解銅箔とでは処理の内容を幾分異にすることもある。本発明においては、こうした前処理及び仕上げ処理をも含め、銅箔粗化と関連する公知の処理を必要に応じて含め、「粗化処理」と云っている。
【0024】
粗化処理の方法としては、例えば、銅箔表面に電着銅粒子層を形成する方法が挙げられる。また、ピール強度を高めるための好ましい方法としては、銅−コバルト−ニッケル合金めっき層を銅箔表面に形成する方法がある。ただし、銅−コバルト−ニッケル合金めっき層単独だと、粉落ちの問題は残る。そこで、本発明者は電着銅粒子層を一次粒子層とし、この上に銅−コバルト−ニッケル合金めっきの二次粒子層を形成する方法が好ましいことを見出した。この好ましい方法によれば、処理中の「こすれ」による剥離、剥離粉によるロールの汚れ、剥離粉によるエッチング残渣が無くなり、すなわち粉落ちと言われる現象と処理ムラを抑制することができ、ピール強度を高め、かつ耐熱性を向上させることのできる印刷回路用銅箔を得ることができる。
【0025】
電着銅粒子層を一次粒子層とし、この上に銅−コバルト−ニッケル合金めっきの二次粒子層を形成してなる粗化処理層について詳述する。
単純に銅箔の上に銅−コバルト−ニッケル合金めっき層を形成しただけでは、樹枝状となるために、上記の通り粉落ちの問題が発生する。
銅箔の上に銅−コバルト−ニッケル合金めっき層を形成した銅箔の表面の顕微鏡写真を図3に示す。この図3に示すように、樹枝状に発達した微細な粒子を見ることができる。一般に、この図3に示す樹枝状に発達した微細な粒子は高電流密度で作製される。
このような高電流密度で処理された場合には、初期電着における粒子の核生成が抑制されるため、粒子先端に新たな粒子の核が形成されるため、次第に樹枝状に、細く長く粒子が成長することになる。
【0026】
図3に示すような銅−コバルト−ニッケル合金めっき層が形成された場合の、粉落ちの様子を、図1の概念説明図に示す。この粉落ちの原因は、上記の通り銅箔上に樹枝状に微細な粒子が生ずるためであるが、この樹枝状の粒子は、外力により樹枝の一部が折れ易く、又根元から脱落する。この微細な樹枝状の粒子は、処理中の「こすれ」による剥離、剥離粉によるロールの汚れ、剥離粉によるエッチング残渣が生ずる原因となる。
【0027】
一方で、電着銅粒子層を一次粒子層とし、この上に銅−コバルト−ニッケル合金めっきの二次粒子層を形成してなる粗化処理層の場合、図2に示すように、粒径の大きな一次粒子層の上に、これよりも粒径の小さな二次粒子層が形成されているため、ピール強度の確保と粉落ち防止の両立を図ることができる。図4にはこの場合の顕微鏡写真を掲載してある。粉落ち防止の観点からは、一次粒子層の平均粒子径は二次粒子層の平均粒子径よりも大きくすることが望ましい。そして、前記一次粒子層の平均粒子径を0.25〜0.45μm、銅−コバルト−ニッケル合金からなる二次粒子層の平均粒子径を0.05〜0.25μm、典型的には0.1〜0.25μmとするのが、下記に示す実施例から明らかなように、粉落ちを防止する最適な条件である。
上記一次粒子層及び二次粒子層は、電気めっき層により形成する。この二次粒子の特徴は、前記一次粒子の上に成長した1又は複数個の樹枝状の粒子である。
上記の通り、二次粒子層の平均粒子径を0.05〜0.25μmと小さくしているが、この粒子径は粒子の高さと言い換えることもできる。すなわち、二次粒子の高さを抑制し、粒子の剥離(粉落ち)を抑制したのが、本願発明の特徴の一つとも言える。
【0028】
このようにして形成された一次粒子層及び二次粒子層からなる粗化処理層を表面に有する印刷回路用銅箔は、絶縁基板との接着強度0.80kg/cm以上、さらには接着強度0.90kg/cm以上を達成することができる。
【0029】
(銅の一次粒子のめっき条件)
銅の一次粒子のめっき条件の一例を挙げると、下記の通りである。
なお、このめっき条件はあくまで好適な例を示すものであり、銅の一次粒子は銅箔上に形成される平均粒子径が粉落ち防止の役割を担うものである。したがって、平均粒子径が本願発明の範囲に入るものであれば、下記に表示する以外のめっき条件であることは何ら妨げるものではない。本願発明はこれらを包含するものである。
液組成 :銅10〜20g/L、硫酸50〜100g/L
液温 :25〜50℃
電流密度 :1〜58A/dm2
クーロン量:4〜81As/dm2
【0030】
(二次粒子のめっき条件)
なお、上記と同様に、このめっき条件はあくまで好適な例を示すものであり、二次粒子は一次粒子の上に形成されるものであり、平均粒子径が粉落ち防止の役割を担うものである。したがって、平均粒子径が本願発明の範囲に入るものであれば、下記に表示する以外のめっき条件であることは何ら妨げるものではない。本願発明はこれらを包含するものである。
液組成 :銅10〜20g/L、ニッケル5〜15g/L、コバルト5〜15g/L
pH :2〜3
液温 :30〜50℃
電流密度 :24〜50A/dm2
クーロン量:34〜48As/dm2
【0031】
Ni付着量が50μg/dm2未満であると、耐熱性が悪くなる。他方、Ni付着量が500μg/dm2を超えると、エッチング性が低下する。すなわち、エッチング残ができ、またエッチングできないというレベルではないが、ファインパターン化が難しくなる。好ましいCo付着量は500〜2000μg/dm2であり、そして好ましいニッケル付着量は50〜300μg/dm2である。
以上から、銅−コバルト−ニッケル合金めっきの付着量は、10〜30mg/dm2銅−100〜3000μg/dm2コバルト−50〜500μg/dm2ニッケルであることが望ましいと言える。この3元系合金層の各付着量はあくまで、望ましい条件であり、この量を超える範囲を否定するものではない。
【0032】
<黒色化層>
粗化処理層の上にはニッケル−タングステン合金めっき層が形成され、銅箔表面の黒色化に寄与する。例えば、上述した銅からなる一次粒子層と銅−コバルト−ニッケル合金からなる二次粒子層で構成される粗化処理層は灰色である。しかし、粗化処理層の表面にニッケル−タングステン合金層を形成することで黒い色が得られる。ニッケルとタングステンの二元系合金めっきとしたのは、ニッケルによって黒色化効果が得られる上に、タングステンによってエッチング性も確保することができるからである。このニッケル−タングステン合金めっき層は、黒色化の観点からニッケルの付着量を2000μg/dm2以上とするのが好ましく、3000μg/dm2以上とするのがより好ましいが、ニッケルの付着量が多すぎる場合は、ピール強度が低下し始めるので、5000μg/dm2以下とするのがより好ましい。タングステンは合金めっき層中に共存すればよい。
【0033】
(黒色化層を形成するめっき条件)
代表的なめっき浴組成とめっき条件は次の通りである。
液組成 :ニッケル10〜40g/L、タングステン10〜30mg/L
pH :3〜4
液温 :35〜45℃
電流密度 :2〜3A/dm2
クーロン量:15〜25As/dm2
【0034】
<耐熱層>
前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に、耐熱層、特に亜鉛−ニッケル合金めっき層の耐熱層を形成してもよい。印刷回路の製造工程で行われる処理が一段と高温となり、また製品となった後の機器使用中の熱発生がある。例えば、樹脂に銅箔を熱圧着で接合する、いわゆる二層材では、接合の際に300℃以上の熱を受ける。このような状況の中でも、銅箔と樹脂基材との間での接合力の低下を防止することが必要であり、この亜鉛−ニッケル合金めっきは有効である。
【0035】
亜鉛−ニッケル合金めっき層の総量を150〜500μg/dm2とし、かつニッケルの比率を16〜40質量%とすることが好ましい。これにより、耐熱防錆層という役割を備えると共に、ソフトエッチングの際に使用するエッチング剤(例:H2SO4:10wt%、H22:2wt%のエッチング水溶液)の染み込みを抑制し、腐食に回路の接合強度の弱体化を防止することができるという効果を有することができる。亜鉛−ニッケル合金めっき層の総量が150μg/dm2未満では、耐熱力が低下して耐熱層としての役割を担うことが難しくなり、同総量が500μg/dm2を超えると、耐塩酸性が悪くなる傾向がある。また、合金層中のニッケル比率の下限値が16質量%未満では、ソフトエッチングの際の染み込み量が9μmを超えるので、好ましくない。ニッケル比率の上限値40質量%については、亜鉛−ニッケル合金めっき層を形成できる技術上の限界値である。
【0036】
(耐熱層を形成するめっき条件)
代表的なめっき浴組成とめっき条件は次の通りである。
液組成 :ニッケル2〜30g/L、亜鉛2〜30g/L
pH :3〜4
液温 :30〜50℃
電流密度 :1〜2A/dm2
クーロン量:1〜2As/dm2
【0037】
<防錆層>
また、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上、又は、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に形成された耐熱層の上に、防錆層、特にクロメート層の防錆層を形成してもよい。本発明において好ましい防錆処理は、クロム酸化物単独の皮膜処理或いはクロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理である。クロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合物皮膜処理とは、亜鉛塩または酸化亜鉛とクロム酸塩とを含むめっき浴を用いて電気めっきにより亜鉛または酸化亜鉛とクロム酸化物とより成る亜鉛−クロム基混合物の防錆層を被覆する処理である。
【0038】
めっき浴としては、代表的には、K2Cr27、Na2Cr27等の重クロム酸塩やCrO3等の少なくとも一種と、水溶性亜鉛塩、例えばZnO 、ZnSO4・7H2Oなど少なくとも一種と、水酸化アルカリとの混合水溶液が用いられる。代表的なめっき浴組成と電解条件例は次の通りである。下記においては、浸漬クロメート処理の条件を示したが、電解クロメート処理でも良い。
【0039】
(防錆層を形成するめっき条件)
液組成 :重クロム酸カリウム1〜10g/L、亜鉛0〜5g/L
pH :3〜4
液温 :50〜60℃
電流密度 :0〜2A/dm2(浸漬クロメート処理のため)
クーロン量:0〜2As/dm2(浸漬クロメート処理のため)
【0040】
<シラン処理>
最後に、必要に応じ、銅箔と樹脂基板との接着力の改善を主目的として、防錆層上の少なくとも粗化面にシランカップリング剤を塗布するシラン処理が施してもよい。このシラン処理に使用するシランカップリング剤としては、オレフィン系シラン、エポキシ系シラン、アクリル系シラン、アミノ系シラン、メルカプト系シランを挙げることができるが、これらを適宜選択して使用することができる。
塗布方法は、シランカップリング剤溶液のスプレーによる吹付け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ等いずれでもよい。例えば、特公昭60−15654号は、銅箔の粗面側にクロメート処理を施した後シランカップリング剤処理を行なうことによって銅箔と樹脂基板との接着力を改善することを記載している。詳細はこれを参照されたい。この後、必要なら、銅箔の延性を改善する目的で焼鈍処理を施すこともある。
【0041】
こうして得られた銅箔は、優れた耐熱性剥離強度、耐酸化性及び耐塩酸性を有する。また、CuCl2エッチング液で150μmピッチ回路巾以下の印刷回路をエッチングでき、しかもアルカリエッチングも可能とする。また、ソフトエッチングの際の、回路エッジ部への染み込みを抑制できる。
ソフトエッチング液には、H2SO4:10wt%、H22:2wt%の水溶液が使用できる。処理時間と温度は任意に調節できる。
アルカリエッチング液としては、例えば、NH4OH:6モル/リットル、NH4Cl:5モル/リットル、CuCl2:2モル/リットル(温度50℃)等の液が知られている。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例のみに制限されるものではない。すなわち、本発明に含まれる他の態様または変形を包含するものである。なお、以下の実施例の原箔には、標準圧延銅箔TPCを使用した。
【0043】
(実施例1)
圧延銅箔に、下記に示す条件範囲で、一次粒子層(Cu)、二次粒子層(銅−コバルト−ニッケル合金めっき)形成した。結果、一次粒子系は0.40μm、二次粒子径は0.15μmを得ることが出来た。一次粒子層及び二次粒子層の平均粒子径はSEM像より切断法を用いて計測した。一次粒子層の平均粒子径は二次粒子層を形成する前に測定した。
使用した浴組成及びめっき条件は、次の通りである。
[浴組成及びめっき条件]
【0044】
(A)一次粒子層の形成(Cuめっき)
液組成 :銅15g/L、硫酸75g/L
液温 :35℃
電流密度 :2〜58A/dm2
クーロン量:8〜81As/dm2
(B)二次粒子層の形成(Cu−Co−Ni合金めっき)
液組成 :銅15g/L、ニッケル8g/L、コバルト8g/L
pH :2
液温 :40℃
電流密度 :24〜31A/dm2
クーロン量:34〜44As/dm2
【0045】
次に、上記二次粒子層の上(粗化処理後)に、さらにニッケル−タングステン合金めっき層を以下の条件で形成した。
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
液組成 :ニッケル25g/L、タングステン20mg/L
pH :3.6
液温 :40℃
なお、電流密度とクーロン量については表1に示した。
結果を表1に示した。ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000μg/dm2以上の例では黒色が得られ、エッチング性も良好であった。
なお、タングステンを含有しない液組成として上記条件で二次粒子層の上にニッケルめっき層を形成した場合(番号A)は、黒色であったが、ニッケル−タングステン合金めっき層を形成した場合に比べてエッチング性に劣る結果となった。
【0046】
・黒色か否かの判定は色見本を用いて行った。
・ピール強度はFR−4基材10mm回路テストピースで測定した。
・ニッケル−タングステン合金めっき層のNiの付着量はめっき層溶解液をICPにて測定した。
・粉落ちの評価はテープ転写法により行い、テープに粗化粒子の転写が全くない場合を◎とし、局部的に軽微な粗化粒子転写が存在する場合を○とし、全体に粗化粒子の転写が観察される場合(軽微であっても全面の場合)を×とした。
・エッチング性はアルカリエッチング液に溶解した場合の残渣有無により評価した。
【0047】
【表1】

【0048】
(実施例2)
次に、実施例1と同様な条件で、一次粒子層(Cu)、二次粒子層(銅−コバルト−ニッケル合金めっき)形成した。さらに、表2に示すように、電流密度とクーロン量を変化させてニッケル−タングステン合金めっき層を形成した。
結果を表2に示す。ニッケル−タングステン合金めっき層のNi付着量が5000μg/dm2を超える例ではピール強度の低下が見られた。
【0049】
【表2】

【0050】
(実施例3)
圧延銅箔に、以下に示す条件範囲で、一次粒子層(Cu)、二次粒子層(銅−コバルト−ニッケル合金めっき)形成した。使用した浴組成及びめっき条件は、次の通りであり、一次粒子電流条件および二次粒子電流条件は表3に示した。ただし、No.14(Cu層)、No.15(銅―コバルト−ニッケル合金めっき層)は、従来の粗化処理の参考例である。
【0051】
[浴組成及びめっき条件]
(A)一次粒子層の形成(Cuめっき)
液組成 :銅15g/L、硫酸75g/L
液温 :35℃
(B)二次粒子層の形成(Cu−Co−Ni合金めっき)
液組成 :銅15g/L、ニッケル8g/L、コバルト8g/L
pH :2
液温 :40℃
【0052】
上記二次粒子層の上(粗化処理後)のニッケル−タングステン合金めっき層を以下の条件で形成した。
(ニッケル−タングステン合金めっき層を形成するめっき条件)
液組成 :ニッケル25g/L、タングステン20mg/L
pH :3.6
液温 :40℃
電流密度 :2A/dm2
クーロン量:20As/dm2
なお、No.14、15、16についてはニッケル−タングステン合金めっき層ではなく、Co−Ni合金めっき層を形成した。
結果を表3に示したが、ニッケル−タングステン合金めっき層を形成することで黒色の表面が得られる。一方、Co−Ni合金めっき層を有するNo.16は表面が灰色であった。また、二次粒子層が大きすぎるNo.17、18、19では、粉落ちをするため、好ましくない。
【0053】
上記の通り、銅−コバルト−ニッケル合金めっきからなる二次粒子層(粗化処理)を形成する際に、樹枝状に形成される粗化粒子が銅箔の表面から剥がれ落ち、一般に粉落ちと言われる現象を抑制することができるという優れた効果を有するものである。
【0054】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔の少なくとも一方の表面に、黒色ではない粗化処理層と、ニッケル−タングステン合金めっき層とがこの順に形成されており、当該ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000μg/dm2以上である印刷回路用銅箔。
【請求項2】
前記ニッケル−タングステン合金めっき層のニッケル量が2000〜5000μg/dm2である請求項1記載の印刷回路用銅箔。
【請求項3】
前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に耐熱層が形成されている請求項1又は2記載の印刷回路用銅箔。
【請求項4】
前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上、又は、前記ニッケル−タングステン合金めっき層の上に形成された耐熱層の上に、防錆層が形成されている請求項1〜3何れか一項記載の印刷回路用銅箔。
【請求項5】
上記粗化処理層が、銅の一次粒子層を形成した後、該一次粒子層の上に、銅−コバルト−ニッケル合金の二次粒子層を形成したものである請求項1〜4何れか一項記載の印刷回路用銅箔。
【請求項6】
前記銅の一次粒子層の平均粒子径が0.25〜0.45μmであり、銅−コバルト−ニッケル合金からなる二次粒子層の平均粒子径が0.05〜0.25μmである請求項5記載の印刷回路用銅箔。
【請求項7】
前記一次粒子層及び二次粒子層が、電気めっき層である請求項5又は6記載の印刷回路用銅箔。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項記載の印刷回路用銅箔を備えた銅張積層板。
【請求項9】
請求項8記載の銅張積層板を材料とする印刷回路板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96003(P2013−96003A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242706(P2011−242706)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】