印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置
【課題】 カラーパスの回数を低減させ得る技術を提供すること。
【解決手段】 PCは、(1)CMYK画像データ内の連続するN本のライン画像データが、Kのインクのみによって印刷されるべき場合に、N本のライン画像データを選択して、主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、(2)N本のライン画像データが、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべき場合に、N本のライン画像データを選択して、主走査の方向を往路OPに決定し、(3)N本のライン画像データにおいて、Kのインクのみによって印刷されるべきN本未満のライン画像データが下流側に存在し、2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像データが上流側に存在する場合に、上記のN本未満のライン画像データのみを選択して、主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する。
【解決手段】 PCは、(1)CMYK画像データ内の連続するN本のライン画像データが、Kのインクのみによって印刷されるべき場合に、N本のライン画像データを選択して、主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、(2)N本のライン画像データが、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべき場合に、N本のライン画像データを選択して、主走査の方向を往路OPに決定し、(3)N本のライン画像データにおいて、Kのインクのみによって印刷されるべきN本未満のライン画像データが下流側に存在し、2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像データが上流側に存在する場合に、上記のN本未満のライン画像データのみを選択して、主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える印刷実行部に、印刷を実行させるための制御装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷ヘッドから印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、印刷ヘッドを一方向又は他方向に移動させる主走査を実行して、印刷媒体に画像を記録するインクジェット記録装置が開示されている。この技術では、印刷ヘッドを一方向に移動させる主走査を実行して、2色以上のインクによって重複ドットの記憶領域を印刷し、印刷ヘッドを一方向又は他方向に移動させる主走査を実行して、その他の記録領域(例えば、黒色の記録領域)を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−50705号公報
【特許文献2】特開2006−159702号公報
【特許文献3】特開2010−100017号公報
【特許文献4】特開2009−262346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、印刷ヘッドから2色以上のインクを吐出させながら実行される主走査の回数を低減させ得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置を開示する。印刷実行部は、複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える。複数組のノズル列のそれぞれは、インクを吐出するためのN個(Nは2以上の整数)のノズルを含む。印刷実行部は、複数組のノズル列から印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、印刷ヘッドを第1の方向又は第2の方向に移動させる主走査を実行可能である。
制御装置は、印刷データ生成部と、供給部と、を備える。印刷データ生成部は、画像データを用いて、画像データによって表わされる画像の印刷を印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する。画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶ複数本のライン画像データを含む。供給部は、印刷データを印刷実行部に供給する。印刷データ生成部は、画像データの中から、所定の方向の第1の側から第2の側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して、各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する決定部を備える。各部分画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶN本以下のライン画像データを含む。印刷データ生成部は、印刷実行部が、決定部によって決定された方向に従って、主走査を実行するように、印刷データを生成する。
決定部は、今回の選択対象の1個の部分画像データである第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(A)連続して並ぶ第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、複数色のうちの特定の1色のインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わす第1種のライン画像データである第1の場合に、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像データによって表わされる第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(B)第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わす第2種のライン画像データである第2の場合に、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定し、
(C)第1グループのN本のライン画像データ内の第1の側の端を構成するライン画像データから第2の側に向かって連続して並ぶN1本(N1はN未満の整数)の対象ライン画像データが、上記の特定の1色のインクのみによって印刷されるべきN1本のライン画像を表わし、かつ、第1グループのN本のライン画像データのうち、N1本の対象ライン画像データを除く(N−N1)本の残存ライン画像データが、第2種のライン画像データを含む第3の場合に、
N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(N−N1)本の残存ライン画像データと、(N−N1)本の残存ライン画像データに隣接して第2の側に向かって連続して並ぶN1本の追加ライン画像データと、を含む第2グループのN本のライン画像データを、第2の対象部分画像データとして選択して、第2の対象部分画像データによって表わされる第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定する。
【0006】
上記の構成によると、制御装置は、第3の場合に、第1グループのN本のライン画像データのうちのN1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する。さらに、制御装置は、第3の場合に、第2グループのN本のライン画像データを第2の対象部分画像データとして選択して、第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定する。従って、制御装置は、印刷ヘッドから2色以上のインクを吐出させながら実行される主走査の回数を低減させ得る。
【0007】
決定部は、第3の場合に、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含むのか否かを判断する判断部を備えていてもよい。決定部は、第3の場合において、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含むと判断される場合には、N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択してもよい。この構成によると、制御装置は、印刷ヘッドから2色以上のインクを吐出させながら実行される主走査の回数を適切に低減させ得る。
【0008】
決定部は、第3の場合において、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含まないと判断される場合には、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第3の場合において、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含まないと判断される場合には、N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択せずに、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択する。制御装置は、第1の対象部分画像データを適切に選択し得るために、画像を印刷するためのトータルの主走査の回数を低減させ得る。
【0009】
決定部は、第3の場合において、第1グループのN本のライン画像データが、画像データ内の第2の側の端を構成するライン画像データを含む場合には、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第3の場合において、第1グループのN本のライン画像データが第2の側の端を構成するライン画像データを含む場合には、N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択せずに、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択する。制御装置は、第1の対象部分画像データを適切に選択し得るために、画像を印刷するためのトータルの主走査の回数を低減させ得る。
【0010】
決定部は、第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(D)第1グループのN本のライン画像データ内の第1の側の端を構成するライン画像データから第2の側に向かって連続して並ぶN2本(N2はN未満の整数)の対象ライン画像データが、複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきN2本のライン画像を表わし、かつ、第1グループのN本のライン画像データのうち、N2本の対象ライン画像データを除く(N−N2)本の残存ライン画像データが、第1種のライン画像データを含む第4の場合に、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第4の場合に、第1の対象部分画像データを適切に選択し得る。
【0011】
決定部は、第1グループのN本のライン画像データ内の第1の側の端を構成するライン画像データが、複数色のうちのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでないライン画像を表わす第3種のライン画像データを含まないように、第1グループのN本のライン画像データを選択してもよい。この構成によると、制御装置は、第1グループのN本のライン画像データを適切に選択し得るために、画像を印刷するためのトータルの主走査の回数を低減させ得る。
【0012】
特定の方向は、第1の方向であってもよい。一方において、決定部は、1個の部分画像データを選択して、当該1個の部分画像データによって表わされる1個の部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定すべき際に、前回の主走査が、複数色のうちの2色以上のインクを吐出させながら実行される場合には、特定の方向として、前回の主走査の方向と同じ方向を決定し、前回の主走査が、上記の特定の1色のインクのみを吐出させながら実行される場合には、特定の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向を決定してもよい。
【0013】
決定部は、第1の側から第2の側に向かう順序で、各ライン画像データが、第1種のライン画像データと、第2種のライン画像データと、を含む複数種類のライン画像データのうちのいずれの種類のライン画像データであるのかを解析する解析部と、解析の結果に従って、ライン画像データの数のカウントを実行するカウント部と、を備えていてもよい。カウント部は、注目ライン画像データの解析の結果が第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始する第1のカウンタと、第1のカウンタのカウント値がゼロであり、かつ、注目ライン画像データの解析の結果が第1種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データの解析の結果が第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを終了する第2のカウンタと、を含んでいてもよい。決定部は、第1のカウンタのカウント値と第2のカウンタのカウント値との和がNに等しい場合に、第1のカウンタのカウント値と第2のカウンタのカウント値とに基づいて、第1の対象部分画像データの選択と、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向の決定と、を実行してもよい。この構成によると、制御装置は、第1及び第2のカウンタのカウント値に基づいて、第1の対象部分画像データの選択と、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向の決定と、を適切に実行し得る。
【0014】
上記の特定の1色は、黒色を含んでいてもよい。
【0015】
上記の制御装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体も新規で有用である。また、上記の制御装置と上記の印刷実行部とを備える印刷システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】印刷システムの構成を示す。
【図2】比較例と各実施例で実行される画像の印刷の一例を示す。
【図3】比較例と各実施例で実行される画像の印刷の一例を示す。
【図4】プリンタドライバ処理のフローチャートを示す。
【図5】図4の続きのフローチャートを示す。
【図6】カウント処理のフローチャートを示す。
【図7】供給処理のフローチャートを示す。
【図8】ケースA〜Cの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図9】ケースD〜Fの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図10】ケースG〜Iの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図11】ケースJ〜Lの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図12】第2実施例の供給処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図1に示すように、印刷システム2は、PC10と、PC10の周辺機器であるインクジェットプリンタ50と、を備える。PC10とインクジェットプリンタ50とは、ネットワークケーブル4(即ちネットワーク)を介して、相互に通信可能である。なお、以下では、インクジェットプリンタ50のことを、簡単に「プリンタ50」と呼ぶ。
【0018】
(PC10の構成)
PC10は、操作部12と、表示部14と、ネットワークインターフェイス16と、制御部20と、を備える。各部12,14,16,20は、バス線18に接続されている。操作部12は、キーボード及びマウスによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をPC10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。ネットワークインターフェイス16には、ネットワークケーブル4が接続される。
【0019】
制御部20は、CPU22と、ROM、RAM、ハードディスク等のメモリ24と、を備える。CPU22は、メモリ24に格納されているプログラム(例えばプリンタドライバ26)に従って、様々な処理を実行する。CPU22がプリンタドライバ26に従って処理を実行することによって、印刷データ生成部30及び供給部40の各機能が実現される。なお、印刷データ生成部30は、決定部32を備え、決定部32は、判断部34と解析部36とカウント部38とを備える。カウント部38は、複数個のカウンタNK1,NC1,NB1,NK2,NC2,NB2を含む。
【0020】
メモリ24は、プリンタ50のためのプリンタドライバ26を格納している。プリンタドライバ26は、プリンタ50と共にパッケージされているメディアから、PC10にインストールされる。なお、変形例では、プリンタドライバ26は、プリンタ50のベンダによって提供されるサーバから、インターネットを介して、PC10にインストールされてもよい。
【0021】
(インクジェットプリンタ50の構成)
プリンタ50は、いわゆるシリアルタイプのインクジェットプリンタである。プリンタ50は、印刷ヘッド52と、ヘッド駆動部54と、媒体搬送部56と、制御部60と、を備える。
【0022】
図1には、印刷ヘッド52の簡略化された平面図が示されている。当該平面図に示されるように、印刷ヘッド52は、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の3種類の有彩色と、ブラック(K)の1種類の無彩色と、を含む4種類の色のインク滴を吐出するための4組のノズル列NC,NM,NY,NKを備える。各ノズル列NC等は、主走査方向(即ち、印刷ヘッド52の移動方向)において、非対称に配列されている(即ち、NC,NM,NY,NK,NY,NM,NCのように対称に配列されていない)。各ノズル列NC等は、対応する色のインク滴を吐出するための4個のノズルを含む。1組のノズル列NCを構成する4個のノズルCa等は、副走査方向(即ち、用紙Pの搬送方向)に沿って並んでいる。他のノズルNM等も、同様の構成を有する。また、各ノズル列NC等は、CMYKの4個のノズルが主走査方向に沿って伸びる一直線上に位置するように、構成されている。例えば、4個のノズルCa,Ma,Ya,Kaは、主走査方向に沿って伸びる一直線上に位置する。なお、以下では、ノズル列NCを構成するノズル(例えばノズルCa)のことを「Cノズル」と呼ぶ。同様に、他の色のノズルのことを「Mノズル」、「Yノズル」、「Kノズル」と呼ぶ。
【0023】
ヘッド駆動部54は、制御部60からの指示に従って、印刷ヘッド52からインクを吐出させながら、主走査方向に沿って印刷ヘッド52を往復移動させる(即ち、印刷ヘッド52の主走査を実行させる)。なお、本実施例では、印刷ヘッド52からインクを吐出させながら印刷ヘッド52を移動させることを「主走査」と表現するが、印刷ヘッド52からインクを吐出させずに印刷ヘッド52を移動させること(例えば、図2等の「戻り」)を「主走査」と表現しない。また、以下では、印刷ヘッド52の主走査のうちの往路、復路のことを、それぞれ、符号OP(Outgoing Path)、RP(Returning Path)で表現する。
【0024】
媒体搬送部56は、制御部60からの指示に従って、給紙トレイに収容されている用紙Pを給紙トレイから取り出して、主走査方向に直交する方向である副走査方向に沿って、用紙Pを搬送する。
【0025】
制御部60は、PC10から供給される印刷データに従って、ヘッド駆動部54及び媒体搬送部56の動作を制御する。
【0026】
(本実施例で実現される画像の印刷の概略)
PC10のユーザは、操作部12を操作して、文書作成ソフト、表計算ソフト、描画ソフト等のアプリケーションプログラムを利用することができる。さらに、ユーザは、アプリケーションによって生成される対象データによって表わされる画像を印刷するための指示を、操作部12に加えることができる。
【0027】
図2及び図3は、対象データによって表わされる印刷対象の画像I1〜I5を示す。各画像I1等は、2枚以上の用紙に跨って印刷されるべき画像ではなく、1枚の用紙内に印刷されるべき画像(即ち、1ページ分の画像)である。なお、図2及び図3において、各画像I1等の左右方向が主走査方向に対応し、各画像I1の上下方向が副走査方向に対応する。特に、各画像I1等の上側が、副走査方向の下流側に対応し、各画像I1等の下側が、副走査方向の上流側に対応する。即ち、各画像I1等の上側が先の主走査によって印刷され、各画像I1等の下側が後の主走査によって印刷される。なお、以下では、副走査方向に対応する方向(即ち上下方向)、副走査方向の上流側に対応する側(即ち下側)、副走査方向の下流側に対応する側(即ち上側)のことを、それぞれ、簡単に、「副走査方向」、「上流側」、「下流側」と記載する。
【0028】
各画像I1等内の領域KA(K Area)は、Kのインクのみによって印刷されるべき領域(即ちモノクロ画像の領域)を示し、領域COA(Color Area)は、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべき領域(即ちカラー画像の領域)を示す。また、図3(D1),(D2)の領域BA(Blank Area)は、CMYKのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでない領域を示す。
【0029】
(印刷の前提条件)
本実施例では、以下の前提条件に従って印刷が実行される。なお、以下では、印刷ヘッド52の1回の主走査によって印刷されるべき領域のことを「単位領域」と呼ぶ。本実施例では、領域COAを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、必ず、往路OPが利用される。
【0030】
往路OPが利用される理由は、以下の通りである。カラー画像が印刷される場合には、プリンタ50は、通常、CMYKのうちの2色以上のインクを用いて、1個の絵素を用紙上に形成する。例えば、プリンタ50は、緑色の絵素を形成すべき場合には、Cのインク滴とYのインク滴とを、用紙上の同じ位置に付着させて、緑色の1個の絵素を用紙上に形成する。仮に、緑色の絵素を形成するために往路OPの主走査が実行されると、図1のノズル列NCとノズル列NYとの位置関係から明らかなように、例えば、ノズルYaから吐出されたYのインク滴が用紙上の所定位置に付着した後に、ノズルCaから吐出されたCのインク滴が当該所定位置に付着する。即ち、Yのインク滴の上にCのインク滴が付着することによって、緑色の1個の絵素が形成される。一方において、仮に、緑色の絵素を形成するために復路RPの主走査が実行されると、例えば、ノズルCaから吐出されたCのインク滴が用紙上の所定位置に付着した後に、ノズルYaから吐出されたYのインク滴が当該所定位置に付着する。即ち、Cのインク滴の上にYのインク滴が付着することによって、緑色の1個の絵素が形成される。従って、往路OPの主走査が実行される場合と復路RPの主走査が実行される場合とでは、緑色の1個の絵素を形成するためのC及びYの各インク滴の用紙への付着順序が異なるために、緑色の絵素の見た目の色が異なり得る。このように、2色以上のインクの用紙への付着順序が異なることに起因して、印刷済み画像の見た目の色が異なるという事象が発生するのを避けるために、領域COAを含む単位領域の印刷には、往路OPの主走査が固定的に利用される。なお、以下では、領域COAを含む単位領域を印刷するための主走査のことを、「カラーパス」と呼ぶ。
【0031】
また、本実施例では、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、往路OP及び復路RPのどちらか一方が選択的に利用される。より具体的に言うと、前回の主走査が往路OPである場合には、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、復路RPが利用される。また、前回の主走査が復路RPである場合には、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、往路OPが利用される。即ち、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向が利用される。これは、領域KAのみを含む単位領域を印刷する場合には、用紙へのインク滴の付着順序を考慮する必要がないためである。
【0032】
仮に、前回の主走査の方向が往路OPである場合に、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として往路OP(即ち、前回の主走査の方向と同方向)が利用されると、往路OPの主走査の開始位置まで印刷ヘッド52を戻す必要がある。即ち、印刷ヘッド52からインクが吐出されない状態で、印刷ヘッド52の復路RPの移動を実行する必要がある。このために、印刷に要する時間が長くなってしまう。従って、本実施例では、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向が利用される。なお、以下では、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査のことを「ブラックパス」と呼ぶ。また、印刷ヘッド52からインクが吐出されない状態で、印刷ヘッド52を移動させることを、「戻りパス」と呼ぶ。
【0033】
なお、図2及び図3において、各画像I1等の左右に配置されている縦長の長方形は、印刷ヘッド52を示す。長方形内のハッチングで示されている部分は、ノズルからインクが吐出されることを示し、長方形内のハッチングで示されていない部分は、ノズルからインクが吐出されないことを示す。
【0034】
(図2(A1),(A2)の印刷)
図2(A1),(A2)の画像I1では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、領域KA、領域COA、領域KAが、順に並んでいる。2個の領域KAのそれぞれは、副走査方向において、2個のノズルに対応する長さ(即ち、2ラスタ分の長さ(さらに換言すると2ノズルピッチ分の長さ))を有する。領域COAは、副走査方向において、8個のノズルに対応する長さ(即ち8ラスタ分の長さ)を有する。即ち、画像I1は、副走査方向において、合計で12ラスタ分の長さを有する。上述したように、印刷ヘッド52の各ノズル列NY等は、副走査方向に並ぶ4個のノズルを含む。従って、画像I1を印刷するためには、少なくとも3回(12ラスタ/4個のノズル)の主走査が必要である。
【0035】
図2(A1)の比較例では、印刷ヘッド52の1回の主走査によって、必ず、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」))に対応する4ラスタ分の領域の印刷が実行される。より具体的に言うと、1回目の主走査では、下流側(即ち図1の上側)に配置されている2個のKノズルによって、2ラスタ分の領域KAが印刷され、上流側(即ち図1の下側)に配置されているCMYKの8個のノズルのうちのいずれかのノズル(例えば、2個のCノズルと2個のYノズル)によって、領域COAのうちの最も下流側の2ラスタ分の領域が印刷される。従って、1回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は、領域COAを含むために、1回目の主走査は、往路OPのカラーパスである(1)。1回目の主走査が終了すると、用紙Pの4ノズルピッチ分(即ち4ラスタ分)の搬送が実行される。
【0036】
2回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は領域COAのみを含むために、2回目の主走査は、往路OPのカラーパスである。従って、1回目の主走査が終了した後に、戻りパスが実行され(2)、次いで、2回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行され(3)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。3回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は領域COAと領域KAを含むために、3回目の主走査は、往路OPのカラーパスである。従って、2回目の主走査が終了した後に、戻りパスが実行され(4)、次いで、3回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行される(5)。
【0037】
図2(A1)の比較例では、カラーパスの回数が3回であり、トータルのパスの回数が5回である。このようにして画像I1の印刷が実行されると、連続する2回のカラーパスによって形成される用紙上の2個のカラー画像の間の境界(以下では単に「カラー画像の境界」と呼ぶ)の数が2個になる。ユーザは、用紙P上の印刷済み画像を見た際に、連続する2回のブラックパスによって形成される用紙上の2個のモノクロ画像の間の境界を、比較的に視認し難い。しかしながら、カラー画像は、複数色のインクによって形成されるために、ユーザは、カラー画像の境界を比較的に視認し易い。従って、印刷済み画像内のカラー画像の境界の数が多いと、ユーザは、印刷済み画像を低画質の画像と認識する可能性がある。このような認識をユーザに与えるのを抑制するために、本実施例では、図2(A2)の手法を利用する。
【0038】
上述したように、図2(A1)の比較例では、1回目の主走査では、4ラスタ分の領域の印刷が実行される。これに対し、図2(A2)の本実施例では、1回目の主走査では、印刷ヘッド52が4ラスタ分の領域を印刷可能であるにも関わらず、2ラスタ分の領域KAのみが印刷される。即ち、1回目の主走査は、往路OPのブラックパスである(1)。1回目の主走査が終了すると、用紙Pの2ノズルピッチ分の搬送が実行される。
【0039】
その後、戻りパスが実行され(2)、次いで、4ラスタ分のカラー領域COAを印刷するために、2回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行され(3)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、戻りパスが実行され(4)、次いで、4ラスタ分のカラー領域COAを印刷するために、3回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行され(5)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。4回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は領域KAのみを含むために、4回目の主走査は、前回の主走査(往路OP)とは逆方向である復路RPのブラックパスである(6)。
【0040】
上述したように、本実施例では、カラーパスの回数が2回であり、トータルのパスの回数が6回である。本実施例のカラーパスの回数(2回)は、比較例(3回)と比べて少なくなる。このようにして画像I1の印刷が実行されると、カラー画像の境界の数が1個になる。従って、本実施例の手法(即ち、印刷ヘッド52が4ラスタ分の領域を印刷可能であるにも関わらず、3ラスタ分以下の領域KAのみを印刷する手法)を採用すると、比較例の手法と比べて、カラー画像の境界の数を低減させることができる。このために、ユーザが、印刷済み画像を低画質の画像と認識するのを抑制することができる(即ち、高画質の印刷済み画像をユーザに提供することができる)。
【0041】
(図3(C1),(C2)の印刷)
図3(C1),(C2)の画像I3では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、2ラスタ分の領域KA、2ラスタ分の領域COA、4ラスタ分の領域KA、が順に並んでいる。図2(A2)で説明したように、本実施例では、印刷ヘッド52が4ラスタ分の領域を印刷可能であるにも関わらず、3ラスタ分以下の領域KAのみを印刷する手法を採用する。従って、当該手法を忠実に採用すれば、図3(C1)の比較例に示されるように、画像I3の印刷が実行される。
【0042】
即ち、まず、2ラスタ分の領域KAのみを印刷するために、往路OPのブラックパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの2ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、戻りパスが実行され(2)、次いで、2ラスタ分の領域COAと、領域KAのうちの下流側の2ラスタ分の領域と、を含む4ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのカラーパスが実行され(3)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、領域KAのうちの上流側の2ラスタ分の領域を印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(4)。このように、図3(C1)の比較例では、トータルのパスの回数が4回である。
【0043】
これに対し、図3(C2)の第1実施例では、まず、2ラスタ分の領域KAと2ラスタ分の領域COAとを含む4ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのカラーパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、4ラスタ分の領域KAを印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(2)。このように、図3(C2)の第1実施例では、トータルのパスの回数が2回である。即ち、本実施例の手法を採用すると、比較例の手法と比べて、トータルのパスの回数を低減させることができる。このために、高速で印刷することができる。
【0044】
図3(C2)の手法は、図2(A2)の手法と比較して、以下のように表現することができる。即ち、図2(A2)の画像I1のように、仮に、1回の主走査によって、領域KAと領域COAとを含む4ラスタ分の領域SA1を印刷すると、領域SA1の上流側(図中下側)に領域COAが連続するためにカラー画像の境界が形成されてしまう場合には、3ノズルピッチ分以下の領域KAのみをブラックパスで印刷する手法(図2(A2)の手法)を採用する。ただし、図3(C2)の画像I3のように、1回の主走査によって、領域KAと領域COAとを含む4ノズルピッチ分の領域SA2を印刷しても、領域SA2の上流側(図中下側)に領域COAが連続しないためにカラー画像の境界が形成されない場合には、領域SA2をカラーパスで印刷する手法(図2(C2)の手法)を採用する。これにより、トータルのパスの回数を低減させることができる。
【0045】
(図3(D1),(D2)の印刷)
図3(D1),(D2)の画像I4では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、4ラスタ分の領域COA、2ラスタ分の領域BA、4ラスタ分の領域KA、が順に並んでいる。
【0046】
図3(D1)の比較例では、まず、4ラスタ分の領域COAを印刷するために、往路OPのカラーパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、領域KAのうちの下流側の2ラスタ分の領域を印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(2)。なお、復路RPのブラックパスでは、下流側に配置されているCMYKの8個(=4色×2個)のノズルが、領域BAに対応する用紙P上の領域に対向する。従って、復路RPのブラックパスでは、これらの8個のノズルからインクを吐出させない。復路RPのブラックパスが終了すると、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、領域KAのうちの上流側の2ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのブラックパスが実行される(3)。このように、図3(D1)の比較例では、トータルのパスの回数が3回である。
【0047】
これに対し、図3(D2)の第1実施例では、4ラスタ分の領域COAを印刷するために、往路OPのカラーパスが実行されると(1)、比較例とは異なり、用紙Pの6ノズルピッチ分の搬送が実行される。これにより、2回目の主走査では、領域BAに対応する用紙P上の領域にノズルが対向しなくなる。次いで、4ラスタ分の領域KAを印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(2)。このように、図3(D2)の第1実施例では、トータルのパスの回数が2回である。即ち、本実施例では、可能な限り、領域BAに対応する用紙P上の領域にノズルが対向した状態で主走査が実行されないようにすることによって、トータルのパスの回数を低減させることができる。このために、高速で印刷することができる。
【0048】
(図3(E1),(E2)の印刷)
図3(E1),(E2)の画像I5では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、2ラスタ分の領域KA、2ラスタ分の領域COA、が順に並んでいる。領域COAは、画像I5の後端(即ち上流側の端)を含む。図2(A2)の手法を忠実に採用すれば、図3(E1)の比較例に示されるように、画像I5の印刷が実行される。
【0049】
即ち、まず、2ラスタ分の領域KAのみを印刷するために、往路OPのブラックパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの2ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、戻りパスが実行され(2)、次いで、2ラスタ分の領域COAを印刷するために、往路OPのカラーパスが実行される(3)。このように、図3(E1)の比較例では、トータルのパスの回数が3回である。
【0050】
これに対し、図3(E2)の第1実施例では、2ラスタ分の領域KAと、2ラスタ分の領域COAと、を含む4ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのカラーパスが実行される(1)。このように、図3(E2)の第1実施例では、トータルのパスの回数が1回である。即ち、本実施例では、領域KAと領域COAとを含む4ラスタ分以下の領域SA3が、画像I5の後端を含む場合には、領域SA3をカラーパスで印刷する手法を採用する。これにより、トータルのパスの回数を低減させることができる。このために、高速で印刷することができる。
【0051】
(PC10によって実行される処理;図4〜図7)
続いて、図2及び図3の本実施例の印刷を実現するために、PC10によって実行される処理の内容を説明する。PC10のユーザが、対象データの印刷の指示を操作部12に加える場合に、制御部20は、プリンタドライバ26に従って、図4及び図5のフローチャートの各処理を実行する。なお、上記の印刷の指示は、ユーザによる印刷解像度の指定を含む。
【0052】
なお、以下では、対象データが、1ページ分の画像を表わす1ページ分のデータであることを前提として、各処理の内容を説明する。例えば、2ページ分以上の対象データが存在する場合には、1ページ目の対象データについて図4及び図5の各処理が終了した後に、2ページ目の対象データについて図4及び図5の各処理を再び実行すればよい。
【0053】
まず、S10において、印刷データ生成部30(図1参照)は、対象データをRGB画像データに変換するための処理を実行して、ユーザによって指定された印刷解像度に対応する画素数を有するRGB画像データを取得する。RGB画像データを構成する複数個の画素のそれぞれは、256階調のRGB値で表現される。
【0054】
次いで、S12において、印刷データ生成部30は、RGB画像データに対して色変換処理を実行して、CMYK画像データIDを生成する。CMYK画像データIDを構成する複数個の画素のそれぞれは、256階調のCMYK値で表現される。CMYK画像データIDの画素数は、RGB画像データの画素数に等しい。
【0055】
図4に示されるように、CMYK画像データIDは、複数本(具体的にはLT本)のライン画像データを含む。1本のライン画像データによって表わされる1本のライン画像は、主走査方向に沿って伸びる一直線上に位置する4個のノズル(例えば図1のCa,Ma,Ya,Ka)によって印刷される。従って、仮に、16個(=4色×4個)のノズルの全てからインクを吐出させながら、1回の主走査が実行される場合には、4本の連続するライン画像データによって表わされる4本のライン画像が印刷される。以下では、4本の連続するライン画像データのことを「N本(即ち、Nは、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数)のライン画像データ」と呼ぶ。
【0056】
また、LT本のライン画像データのうち、図4の上側に存在するライン画像データによって表わされるライン画像が、先の主走査によって印刷され、図4の下側に存在するライン画像データによって表わされるライン画像が、後の主走査によって印刷される。従って、LT本のライン画像データは、副走査方向に対応する方向に沿って並んでいる。また、各ライン画像データは、主走査方向に対応する方向に沿って並んでいる複数個の画素を含む。なお、以下では、副走査方向の最も下流側に存在するライン画像データのことを「1番目のライン画像データ」と呼び、上流側に向かうについて、「2番目、3番目・・・L番目のライン画像データ」と呼ぶ。
【0057】
次いで、S14において、決定部32(図1参照)は、S16以降の処理の対象のライン画像データ(以下では「注目ライン画像データ」と呼ぶ)を示す番号Lとして、「1」を決定する。これにより、1番目のライン画像データが、以下のS16以降の処理の対象になる。次いで、S16において、カウント部38(図1参照)は、全てのカウンタNK1等のカウント値を「0」に設定する。次いで、S18において、解析部36(図1参照)及びカウント部38は、カウント処理を実行する。
【0058】
(カウント処理;図6)
図6に示されるように、図4のS18のカウント処理では、S110において、解析部36は、注目ライン画像データ(例えば1番目のライン画像データ)を解析して、注目ライン画像データが、CMYKのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでない空白のライン画像を表わすライン画像データ(以下では「空白のライン画像データ」と呼ぶ)であるのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部36は、注目ライン画像データに含まれる全ての画素のそれぞれについて、当該画素のCMYK値を読み込む。全ての画素のCMYK値が「0」である場合には、解析部36は、注目ライン画像データが空白のライン画像データであると判断して(S110でYES)、S112に進む。一方において、全ての画素のCMYK値が「0」でない場合(即ち、少なくとも1個の画素のCMYK値のうちの少なくとも1個の値が「1」以上である場合)には、解析部36は、注目ライン画像データが空白のライン画像データでないと判断して(S110でNO)、S116に進む。
【0059】
S116では、解析部36は、注目ライン画像データを解析して、注目ライン画像データが、Kのインクのみによって印刷されるべきブラックのライン画像(即ちモノクロのライン画像)を表わすライン画像データ(以下では「ブラックのライン画像データ」と呼ぶ)であるのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部36は、注目ライン画像データに含まれる全ての画素のそれぞれについて、当該画素のCMYK値を読み込む。全ての画素のCMY値が「0」である場合には、解析部36は、注目ライン画像データがブラックのライン画像データであると判断して(S116でYES)、S114に進む。一方において、全ての画素のCMY値が「0」でない場合(即ち、少なくとも1個の画素のCMY値のうちの少なくとも1個の値が「1」以上である場合)には、解析部36は、注目ライン画像データがブラックのライン画像でないと判断して(S116でNO)、S118に進む。
【0060】
なお、S116でNOの場合は、注目ライン画像データが、CMYのうちの少なくとも1色のインクによって印刷されるべきカラーのライン画像を表わすライン画像データ(以下では「カラーのライン画像データ」と呼ぶ)であることを意味する。実際に印刷されるカラーのライン画像では、CMYのうちの1色のインクのみによって印刷されるものが少なく、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるものが多い。従って、S116において、解析部36が、少なくとも1個の画素のCMY値のうちの少なくとも1個の値が「1」以上であるのか否かを基準として判断することは、注目ライン画像データが、ブラックのライン画像データであるのか、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきカラーのライン画像を表わすカラーのライン画像データであるのか、を判断することに等しい。
【0061】
S112では、カウント部38は、NK1=0かつNC1=0であるのか否かを判断する。カウント部38は、NK1=0かつNC1=0である場合には、S112でYESと判断して、S122に進み、NK1及びNC1の少なくとも一方が「1」以上である場合には、S112でNOと判断して、S114に進む。S114では、カウント部38は、NC1=0であるのか否かを判断する。カウント部38は、NC1=0である場合には、S114でYESと判断して、S120に進み、NC1が「1」以上である場合には、S114でNOと判断して、S118に進む。
【0062】
S118では、カウント部38は、NC1に「1」を加算する。S120では、カウント部38は、NK1に「1」を加算する。S122では、カウント部38は、NB1に「1」を加算する。S118、S120、又は、S122を終えると、カウント処理が終了する。
【0063】
上記の説明から明らかなように、各カウンタNK1,NC1,NB1のことを、次のように表現することができる。NC1は、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(S116でNOの場合)に、カウントを開始するカウンタである。また、NK1は、NC1=0であり、かつ、注目ライン画像データがブラックのライン画像データである場合(S114でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(S116でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。また、NB1は、NC1=0であり、NK1=0であり、かつ、注目ライン画像データが空白のライン画像データである場合(S112でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラー又はブラックのライン画像データである場合(S110でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。
【0064】
(図4のS20以降の処理)
図4のS18のカウント処理が終了すると、S20において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lが、CMYK画像データに含まれる全てのライン画像データの本数LTに等しいのか否かを判断する。番号LがLTに等しい場合(S20でYESの場合)には、S30に進み、番号LがLT未満である場合(S20でNOの場合)には、S22に進む。
【0065】
S30では、決定部32は、後述の図7の供給処理が実行されていないライン画像データ(以下では「未処理のライン画像データ」と呼ぶ)の全てを、部分画像データとして選択する。例えば、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するライン画像データが、LT−3番目のライン画像データである場合には、決定部32は、LT−3番目のライン画像データからLT番目のライン画像データ(即ち、CMYK画像データIDによって表わされる画像の上流側の端を構成するライン画像データ)までの4本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。S30を終えると、S32の供給処理に進む。供給処理については、後で説明する。
【0066】
なお、S30では、決定部32は、未処理のライン画像データにおいて、最も下流側に1本以上の連続する空白のライン画像データが存在する場合(即ち、NB1≧1であり、かつ、NK1≧1及び/又はNC1≧1である場合)には、当該1本以上の連続する空白のライン画像データを、部分画像データとして選択しない。この場合、決定部32は、当該1本以上の連続する空白のライン画像データに隣接するブラック又はカラーのライン画像データから、LT番目のライン画像データまでを、部分画像データとして選択する。なお、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在する1本以上の連続する空白のライン画像データが、部分画像データとして選択されない点は、後述の図4のS34、及び、図5のS58,S62,S72,S80,S88,S92でも同様である。
【0067】
また、S30では、決定部32は、未処理のライン画像データの全てが、空白のライン画像データである場合(即ち、NB1≧1であり、NK1=0であり、かつ、NC1=0である場合)には、部分画像データを選択しない。この場合、決定部32は、S32の供給処理を実行せずに、プリンタドライバ処理を終了する。なお、未処理のライン画像データの全てが空白のライン画像データである場合に、部分画像データが選択されず、かつ、供給処理が実行されない点は、後述の図5のS80,S82,S92,S94でも同様である。
【0068】
S22では、決定部32は、NK1の値とNC1の値との和が、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」)に等しいのか否かを判断する。NK1+NC1=4である場合(S22でYESの場合)には、S26に進み、NK1+NC1<4である場合(S22でNOの場合)には、S24に進む。
【0069】
S24では、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定する。S24を終えると、新たな注目ライン画像データについて、S18のカウント処理が実行される。
【0070】
S26では、決定部32は、NK1の値が、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」)に等しいのか否かを判断する。NK1=4である場合(S26でYESの場合)には、S34に進み、NK1<4である場合(S26でNOの場合)には、S28に進む。
【0071】
S28では、決定部32は、NC1の値が、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」)に等しいのか否かを判断する。NC1=4である場合(S28でYESの場合)には、S34に進み、NC1<4である場合(S28でNOの場合)には、図5のS50に進む。
【0072】
S34では、決定部32は、部分画像データを選択する。S26でYESの場合(NK1=4の場合)に実行されるS34では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するブラックのライン画像データを含むN本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。また、S28でYESの場合(NC1=4の場合)に実行されるS34では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するカラーのライン画像データを含むN本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。S34を終えると、S36の供給処理に進む。
【0073】
(供給処理;図7)
続いて、図4のS32,S36の供給処理の内容を説明する。S32の供給処理とS36の供給処理とは同じ処理であり、図7のフローチャートに従って実行される。S140において、決定部32は、選択済みの部分画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する。なお、図4のS32の供給処理では、S30で選択された部分画像データが上記の「選択済みの部分画像データ」であり、図4のS36の供給処理では、S34で選択された部分画像データが上記の「選択済みの部分画像データ」である。
【0074】
選択済みの部分画像データがカラーのライン画像データを含む場合(S140でYESの場合)には、S142において、決定部32は、選択済みの部分画像データによって表わされる部分画像を印刷するための主走査の方向(以下では「今回の主走査の方向」と呼ぶ)を、往路OPに決定する。S142を終えると、S146に進む。
【0075】
一方において、選択済みの部分画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(S140でNOの場合)には、S144において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向(即ち、前回の図7の供給処理で決定された主走査の方向)とは逆方向に決定する。即ち、決定部32は、前回の主走査の方向が往路OPに決定された場合には、今回の主走査の方向を復路RPに決定し、前回の主走査の方向が復路RPに決定された場合には、今回の主走査の方向を往路OPに決定する。なお、前回の主走査の方向が決定されていない場合、即ち、1回目の供給処理のS144では、決定部32は、便宜上、今回の主走査の方向を往路OPに決定する。S144を終えると、S146に進む。
【0076】
S146では、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに対して、ハーフトーン処理(例えば誤差拡散法を用いたハーフトーン処理)を実行して、二値データを生成する。具体的に言うと、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに含まれるCMYK値で表現される1個の画素から、CMYKに対応する4個の値で表現される新たな1個の画素を生成する。ここで生成される新たな画素の各値は、ドットON(即ち絵素を形成する)又はドットOFF(即ち絵素を形成しない)を表わす二値で表現される。選択済みの部分画像データに含まれる全ての画素から、新たな画素が生成されると、二値データが完成する。なお、変形例では、S146において、印刷データ生成部30は、三値以上の値(例えば、大ドットON、中ドットON、小ドットON、及び、ドットOFF)で表現される新たな画素を生成してもよい。なお、S146では、さらに、印刷データ生成部30は、二値データに含まれるそれぞれの画素に対して、当該画素に対応する用紙P上の位置にインク滴を吐出すべきノズルを割り当てる。
【0077】
次いで、S148において、印刷データ生成部30は、S146で生成された二値データと、S142又はS144で決定された主走査方向を示すデータと、搬送距離を示すデータと、を含む印刷データを生成する。なお、印刷データ生成部30は、3個のカウンタNK1,NC1,NB1の値の和が「X(Xは1以上の整数)」である場合に、Xノズルピッチの搬送距離を示すデータを生成する。これは、以下のように換言することができる。即ち、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに含まれるライン画像データの本数Y(Yは1以上の整数)と、選択済みの部分画像データの下流側に隣接する連続する空白のライン画像データの本数Z(Zは0以上の整数)と、の和がXである場合に、Xノズルピッチの搬送距離を示すデータを生成する。なお、後述の図5のS64等の供給処理において、搬送距離を示すデータを生成するために参照されるカウンタは、カウンタNK1,NC1,NB1とは異なり得るが、上記のX(=Y+Z)ノズルピッチの搬送距離を示すデータが生成される点は、S36の供給処理と同様である。
【0078】
S148では、さらに、供給部40(図1参照)は、ネットワークインターフェイス16を介して(さらにはネットワークケーブル4を介して)、印刷データをプリンタ50に供給する。
【0079】
プリンタ50の制御部60は、PC10から印刷データを受信すると、まず、印刷データに含まれる搬送距離を示すデータ(即ちXノズルピッチ)に従って、媒体搬送部56を制御する。これにより、媒体搬送部56は、Xノズルピッチ分の用紙Pの搬送を実行する。次いで、制御部60は、印刷データに含まれる二値データ及び主走査方向を示すデータに従って、ヘッド駆動部54を制御する。これにより、ヘッド駆動部54は、二値データに従って各ノズルからインクを吐出させながら、主走査方向を示すデータが示す方向(往路OP又は復路RP)に印刷ヘッド52の主走査を実行させる。なお、ヘッド駆動部54は、主走査方向を示すデータが示す方向(即ち、今回の主走査の方向)が、前回の主走査の方向と同方向である場合には、印刷ヘッド52の戻りパスを実行させた後に、印刷ヘッド52の主走査を実行させる。
【0080】
なお、図4のS32の供給処理が実行されると、プリンタドライバ処理が終了する。一方において、図4のS36の供給処理が実行されると、S38において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定する。S38を終えると、S16に戻り、決定部32は、各カウンタNK1等のカウント値を「0」に設定して、S18以降の処理を再び実行する。
【0081】
(図4のS14〜S38の処理で実現される様々なケース;図8、図9、図11)
続いて、図4のS14〜S38の処理で実現される様々なケースについて説明する。なお、図8〜図11において、「K」、「CO」、「B」で示されるライン画像データは、それぞれ、ブラック、カラー、空白のライン画像データである。なお、特に、「CO」で示されるカラーのライン画像データは、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすカラーのライン画像データである。
【0082】
(図8のケースA)
ケースAでは、CMYK画像データID内のL番目〜L+4番目のライン画像データの全てが、ブラックのライン画像データである。カウント部38は、L番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を実行して、NK1を「1」にインクリメントする(図6のS120)。同様に、カウント部38は、L+1番目〜L+3番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NK1を、「2」、「3」、「4」と順次インクリメントする(図6のS120)。これにより、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でYESと判断し、S34に進む。
【0083】
図4のS34では、決定部32は、L番目〜L+3番目のブラックのライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、図4のS36の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図7のS144)。さらに、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに含まれるライン画像データの本数Y(Y=4)と、選択済みの部分画像データの下流側に隣接する連続する空白のライン画像データの本数Z(Z=0)と、の和(即ち、3個のカウンタNK1,NC1,NB1の値の和)である4ノズルピッチに対応する搬送距離を示すデータを生成する(図7のS148)。そして、供給部40は、印刷データをプリンタ50に供給する(図7のS148)。これにより、プリンタ50は、Kのインクのみを吐出させながら、前回の主走査の方向とは逆方向の主走査を実行して、L番目〜L+3番目のブラックのライン画像データによって表わされる4本のライン画像(モノクロ画像)を用紙Pに印刷する。
【0084】
なお、印刷データがプリンタ50に供給されると、カウント部38は、図4のS16において、NK1を「0」に戻す。その後、カウント部38は、L+4番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を実行して、NK1を「1」にインクリメントする。
【0085】
(図8のケースB)
以下の各ケースでは、ケースAと重複する説明を省略する。ケースBでは、L+2番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、それ以外のライン画像データがブラックのライン画像データである。この場合、L+2番目の空白のライン画像データのカウント処理(図4のS18)が実行される際には、NK1=2である。このために、カウント部38は、図6のS112でNOと判断し、S114でYESと判断し、NK1を「3」にインクリメントする(図6のS120)。即ち、L+2番目の空白のライン画像データのカウント処理(図4のS18)では、NB1がインクリメントされない。なお、L+1番目及び/又はL+3番目のライン画像データが空白のライン画像データである場合も、ケースBと同様である。
【0086】
(図8のケースC)
ケースCでは、L番目及びL+1番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、L+2番目〜L+5番目のライン画像データがブラックのライン画像データである。この場合、カウント部38は、L番目及びL+1番目の空白のライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NB1を、「1」、「2」と順次インクリメントする(図6のS122)。そして、カウント部38は、L+2番目〜L+5番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NK1を、「1」、「2」、「3」、「4」と順次インクリメントする(図6のS120)。これにより、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でYESと判断し、S34に進む。
【0087】
図4のS34では、決定部32は、L番目及びL+1番目の空白のライン画像データを、部分画像データとして選択せずに、L+2番目〜L+5番目のブラックのライン画像データを、部分画像データとして選択する。なお、図7のS148において、印刷データ生成部30は、3個のカウンタNK1,NC1,NB1の値の和である6ノズルピッチに対応する搬送距離を示すデータを生成する。
【0088】
(図9のケースD)
ケースDでは、L番目〜L+4番目のライン画像データの全てが、カラーのライン画像データである。カウント部38は、L番目〜L+4番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NC1を、「1」、「2」、「3」、「4」と順次インクリメントする(図6のS118)。これにより、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でNOと判断し、S28でYESと判断し、S34に進む。
【0089】
図4のS34では、決定部32は、L番目〜L+3番目のカラーのライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、図4のS36の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、往路OPに決定する(図7のS142)。ケースDでは、プリンタ50は、CMYのうちの少なくとも1色のインクを吐出させながら、L番目〜L+3番目のカラーのライン画像データによって表わされる4本のライン画像(カラー画像)を用紙Pに印刷する。
【0090】
(図9のケースE、ケースF)
ケースEでは、L+2番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、それ以外のライン画像データがカラーのライン画像データである。また、ケースFでは、L+2番目のライン画像データがブラックのライン画像データであり、それ以外のライン画像データがカラーのライン画像データである。ケースE,Fのどらちでも、L+2番目の空白又はブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が実行される際には、NC1=2である。このために、カウント部38は、図6のS114でNOと判断し、NC1を「3」にインクリメントする(図6のS118)。即ち、L+2番目の空白又はブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)では、NB1又はNK1がインクリメントされない。なお、L+1番目及び/又はL+3番目のライン画像データが空白又はブラックのライン画像データである場合も、ケースE及びFと同様である。
【0091】
(図11のケースJ)
ケースJでは、LT−3番目〜LT−1番目のライン画像データがブラックのライン画像データであり、LT番目のライン画像データ(即ち副走査方向の上流側の端を構成するライン画像データ)がカラーのライン画像データである。LT番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了すると、決定部32は、図4のS20でYESと判断し、S30に進む。
【0092】
図4のS30では、決定部32は、LT−3番目〜LT番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、図4のS32の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、往路OPに決定する(図7のS142)。
【0093】
(図5のS50以降の処理)
上述したように、図4のS28でNOと判断される場合(NK1>1であり、かつ、NC1>1である場合)には、図5のS50に進む。例えば、図10のケースG,H,Iでは、L+3番目のライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了した時点では、NK1=3かつNC1=1である。この場合、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でNOと判断し、S28でNOと判断し、図5のS50に進む。
【0094】
即ち、図7の供給処理が実行されていない未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するN本のライン画像データ(例えば、図10のケースGのL番目〜L+3番目のライン画像データ)において、下流側にブラックのライン画像データ(例えば、ケースGのL番目〜L+2番目のライン画像データ)が存在すると共に、上流側にカラーのライン画像データ(例えば、ケースGのL+3番目のライン画像データ)が存在する特定の条件が満足される場合には、決定部32は、図4のS28でNOと判断し、図5のS50に進む。なお、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に1本以上の空白のライン画像データが存在する場合(即ち、NB1≧1である場合)には、当該1本以上の空白のライン画像データを除くN本のライン画像データが、上記の「最も下流側に存在するN本のライン画像データ」である。
【0095】
図5のS50では、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定する。S50を終えると、新たな注目ライン画像データについて、S52のカウント処理が実行される。S52のカウント処理は、カウンタNK1,NC1,NB1の代わりに、カウンタNK2,NC2,NB2が利用される点を除くと、図4のS18のカウント処理(図6参照)と同様である。
【0096】
各カウンタNK2,NC2,NB2は、上記の特定の条件が満足される場合に、カウントを開始可能な状態に設定される。そして、カウンタNK2,NC2,NB2は、それぞれ、カウンタNK1,NC1,NB1と同様に、次のように表現することができる。NC2は、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(図6のS116でNOの場合)に、カウントを開始するカウンタである。また、NK2は、注目ライン画像データがブラックのライン画像データである場合(S114でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(S116でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。また、NB1は、注目ライン画像データが空白のライン画像データである場合(S112でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラー又はブラックのライン画像データである場合(S110でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。
【0097】
S52のカウント処理が終了すると、S54において、決定部32は、3個のカウンタNK2,NC2,NB2の値の和が、NK1の値に等しいのか否かを判断する。上記の和がNK1の値に等しい場合(S54でYESの場合)には、S56に進み、上記の和がNK1の値未満である場合(S54でNOの場合)には、S84に進む。
【0098】
S56では、判断部34(図1参照)は、NC2>0であるのか否かを判断する。NC2>0である場合(S56でYESの場合)には、S58に進み、NC2=0である場合(S56でNOの場合)には、S72に進む。
【0099】
S58では、決定部32は、部分画像データを選択する。S58では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、カラーのライン画像データを、部分画像データとして選択しない。即ち、S58では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するブラックのライン画像データと、当該ブラックのライン画像データに隣接する1本以上のブラック又は空白のライン画像データと、を含むN本(4本)未満のライン画像データのみ(例えば、図10のケースGのL番目〜L+2番目の3本のライン画像データのみ)を、部分画像データとして選択する。
【0100】
S58を終えると、S60の供給処理に進む。S60の供給処理は、S58で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、図4のS36等の供給処理(図7参照)と同様に実行される。上述したように、S58では、カラーのライン画像データが選択されない。従って、S60の供給処理では、図7のS142が実行されず、S144が実行される。
【0101】
次いで、S62において、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するN本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。上述したように、S58では、カラーのライン画像データが選択されないために、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在する1本のライン画像データは、カラーのライン画像データである(例えば、図10のケースGのL+3番目のライン画像データ参照)。従って、S62では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するカラーのライン画像データを含むN本のライン画像データ(例えば、図10のケースGのL+3番目〜L+6番目の4本のライン画像データ)を、部分画像データとして選択する。
【0102】
S62を終えると、S64の供給処理に進む。S64の供給処理は、S62で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、図4のS36等の供給処理(図7参照)と同様に実行される。上述したように、S62では、カラーのライン画像データが選択される。従って、S64の供給処理では、図7のS144が実行されず、S142が実行される。
【0103】
次いで、S66において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号LがLTに等しいのか否かを判断する。L<LTである場合(S66でNOの場合)には、S70において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定し、図4のS16に戻る。一方において、L=LTである場合(S66でYESの場合)には、プリンタドライバ処理が終了する。
【0104】
一方において、S72では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するN本のライン画像データ(例えば、図10のケースIのL番目〜L+3番目のライン画像データ)を、部分画像データとして選択する。S72が実行される段階では、NC1>1であるために(図4のS22でYES、かつ、S26でNO)、上記の「最も下流側に存在するN本のライン画像データ」は、カラーのライン画像データ(例えば、図10のケースIのL+3番目のライン画像データ)を含む。
【0105】
S72を終えると、S74の供給処理に進む。S74の供給処理は、S72で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、図4のS36等の供給処理(図7参照)と同様に実行される。上述したように、S72では、カラーのライン画像データが選択される。従って、S74の供給処理では、図7のS144が実行されず、S142が実行される。
【0106】
次いで、S76において、カウント部38は、カウンタNK2の値をカウンタNK1の値に代入し、カウンタNC2の値をカウンタNC1の値に代入し、カウンタNB2の値をカウンタNB1の値に代入する。S76では、さらに、カウント部38は、カウンタNK1,NC1,NB1の値を「0」に設定する。
【0107】
次いで、S78において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号LがLTに等しいのか否かを判断する。L=LTである場合(S78でYESの場合)には、S80に進み、L<LTである場合(S78でNOの場合)には、図4のS24に戻る。
【0108】
S80では、図4のS30と同様に、決定部32は、未処理のライン画像データの全てを、部分画像データとして選択する。次いで、S82において、S80で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、供給処理(図7参照)が実行される。S82の供給処理を終えると、プリンタドライバ処理が終了する。
【0109】
一方において、S84では、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号LがLTに等しいのか否かを判断する。L=LTである場合(S84でYESの場合)には、S86に進み、L<LTである場合(S84でNOの場合)には、S50に進む。
【0110】
S86では、決定部32は、NK2=0かつNC2=0であるのか否かを判断する。NK2及びNC2の少なくとも一方が「1」以上である場合(S86でNOの場合)には、S88に進み、NK2=0かつNC2=0である場合(S86でYESの場合)には、S92に進む。
【0111】
S88では、S58と同様に、決定部32は、N本(4本)未満のブラック又は空白のライン画像データのみを、部分画像データとして選択する。次いで、S90において、S88で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、供給処理(図7参照)が実行される。S90の供給処理を終えると、S92に進む。
【0112】
S92では、図4のS30と同様に、決定部32は、未処理のライン画像データの全てを、部分画像データとして選択する。次いで、S94において、S92で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、供給処理(図7参照)が実行される。S94の供給処理を終えると、プリンタドライバ処理が終了する。
【0113】
(図5のS50〜S94の処理で実現される様々なケース;図10、図11)
続いて、図5のS50〜S94の処理で実現される様々なケースについて説明する。
【0114】
(図10のケースG)
ケースGでは、L番目〜L+2番目のライン画像データがブラックのライン画像データであり、L+3番目〜L+6番目のライン画像データがカラーのライン画像データである。この場合、L+3番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了すると、図5のS50以降の処理が実行される。
【0115】
カウント部38は、L+4番目〜L+6番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図5のS52)を順次実行して、NC2を、「1」、「2」、「3」と順次インクリメントする(図6のS118)。これにより、決定部32は、図5のS54でYESと判断し、判断部34は、S56でYESと判断し、S58に進む。
【0116】
S58では、決定部32は、L番目〜L+2番目のブラックのライン画像データのみを、部分画像データとして選択する。さらに、図5のS60の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図7のS144)。なお、図7のS148において、印刷データ生成部30は、4ノズルピッチよりも少ない3ノズルピッチ(即ち、選択済み部分画像データに含まれるライン画像データの本数(Y=3))に対応する搬送距離を示すデータを生成する。
【0117】
さらに、図5のS62では、決定部32は、L+3番目〜L+6番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S64の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。さらに、図7のS148において、印刷データ生成部30は、4ノズルピッチに対応する搬送距離を示すデータを生成する。
【0118】
(図10のケースH)
ケースHでは、L+1番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、かつ、L+5番目のライン画像データがブラック又は空白のライン画像データである点を除くと、ケースGと同様である。ケースHでは、ケースGと同様に各カウンタNK1等がインクリメントされるために、ケースGと同様に、部分画像データが選択される。この点は、L+2番目のライン画像データが空白のライン画像データである場合も同様であり、L+4番目及び/又はL+6番目のライン画像データがブラック又は空白のライン画像データである場合も同様である。
【0119】
(図10のケースI)
ケースIでは、L+4番目〜L+6番目のライン画像データがブラックのライン画像データである点を除くと、ケースGと同様である。ケースIでは、L+3番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了すると、図5のS50以降の処理が実行される。
【0120】
ケースGでは、カウント部38は、L+4番目〜L+6番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図5のS52)を実行する際に、NC2をインクリメントしたが、ケースIでは、カウント部38は、L+4番目〜L+6番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図5のS52)を順次実行して、NK2を、「1」、「2」、「3」と順次インクリメントする(図6のS120)。これにより、決定部32は、図5のS54でYESと判断し、判断部34は、S56でNOと判断し、S72に進む。
【0121】
S72では、決定部32は、L番目〜L+3番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S74の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。その後、カウント部38は、図5のS76の処理を実行して、各カウンタNK1等の値を変更する。
【0122】
(図11のケースK)
ケースKでは、LT−2番目のライン画像データがカラーのライン画像データであり、その他のライン画像データがブラックのライン画像データである。LT番目のライン画像データのカウント処理(図5のS52)が終了すると、決定部32は、図5のS54でNOと判断し、S84でYESと判断し、S86でNOと判断し、S88に進む。
【0123】
S88では、決定部32は、LT−5番目〜LT−3番目のブラックのライン画像データのみを、部分画像データとして選択する。さらに、S90の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図7のS144)。さらに、図5のS92では、決定部32は、LT−2番目〜LT番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S94の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。
【0124】
(図11のケースL)
ケースLでは、LT−1番目〜LT番目のライン画像データが空白のライン画像データである点を除くと、ケースJと同様である。この場合、LT番目のライン画像データのカウント処理(図5のS52)が終了すると、決定部32は、図5のS86でYESと判断するために、S88及びS90を実行せずに、S92に進む。
【0125】
S92では、決定部32は、LT−5番目〜LT−2番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S94の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。
【0126】
(本実施例の効果)
上述したように、本実施例では、決定部32は、CMYK画像データIDの中から、副走査方向の下流側から上流側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して(図4のS30,S34,図5のS58,S62,S72,S80,S88,S92)、各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する。特に、決定部32は、以下の(1)〜(7)のように、各部分画像データを選択する。
【0127】
(1)図8のケースAに示されるように、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)のそれぞれが、Kのインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わすブラックのライン画像データである場合には、決定部32は、N本のライン画像データを部分画像データとして選択して(図4のS34)、部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図4のS36)。
【0128】
(2)図9のケースDに示されるように、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)のそれぞれが、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすカラーのライン画像データである場合には、決定部32は、N本のライン画像データを部分画像データとして選択して(図4のS34)、部分画像を印刷するための主走査の方向を、往路OPに決定する(図4のS36)。
【0129】
(3)図10のケースG,Hでは、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)内の下流側の端を構成するL番目のライン画像データから上流側に向かって連続して並ぶ3本の対象ライン画像データ(L番目〜L+2番目のライン画像データ)が、Kのみによって印刷されるべき3本のライン画像を表わし、かつ、当該N本のライン画像データのうち、L番目〜L+2番目のライン画像データを除く残存ライン画像データ(L+3番目のライン画像データ)がカラーのライン画像データを含む。この場合、決定部32は、N本のライン画像データを選択せずに、L番目〜L+2番目のブラック又は空白のライン画像データのみを部分画像データとして選択して(図5のS58)、部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図5のS60)。さらに、決定部32は、残存ライン画像データ(L+3番目のライン画像データ)と、残存ライン画像データに隣接して上流側に向かって連続して並ぶ3本の追加ライン画像データ(L+4番目〜L+6番目のライン画像データ)と、を含むN本のライン画像データを、部分画像データとして選択して(図5のS62)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図5のS64)。
【0130】
(4)図9のケースFでは、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)内の下流側の端を構成するL番目のライン画像データから上流側に向かって連続して並ぶ2本のライン画像データ(L番目〜L+1番目のライン画像データ)が、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべき2本のライン画像を表わし、かつ、当該N本のライン画像データのうち、L番目〜L+1番目のライン画像データを除く残存ライン画像データ(L+2番目〜L+3番目のライン画像データ)が、ブラックのライン画像データを含む。この場合、決定部32は、N本のライン画像データを選択して(図4のS34)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図4のS36)。
【0131】
本実施例では、PC10は、上記の(1)〜(4)の処理(特に上記の(3)の処理)を実行するために、図2のケース(A2)に示される印刷を実現することができる。この結果、カラーパスの回数を低減させることができ、カラー画像の境界の数を低減させることができる。このために、高画質の印刷済み画像をユーザに提供することができる。特に、本実施例では、1組のノズル列に含まれるノズルの数(即ちN)が「4」であるが、Nがより多くなれば、カラー画像の境界の数を低減させる効果が顕著になる。ただし、Nは、3個以下であってもよい。一般的に言うと、Nは2以上の整数であればよい。
【0132】
(5)また、図10のケースG,H,Iにおいて、判断部34は、追加ライン画像データ(L+4〜L+6番目のライン画像データ)がカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する(図5のS56)。決定部32は、追加ライン画像データがカラーのライン画像データを含む場合(図5のS56でYES)には、ケースG,Hに示されるように、L番目〜L+2番目のブラック又は空白のライン画像データのみを部分画像データとして選択する(図5のS58)。一方において、決定部32は、追加ライン画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(図5のS56でNO)には、ケースIに示されるように、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)を選択して(図5のS72)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図5のS74)。
【0133】
本実施例では、PC10は、上記の(5)の処理を実行するために、追加ライン画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かについての判断の結果に応じて、部分画像データを適切に選択することができる。この結果、PC10は、図10のケースIでは、図3(C2)に示される印刷を実現することができる。この結果、画像を印刷するためのトータルのパスの回数を低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0134】
(6)また、図11のケースJでは、N本のライン画像データ(LT−3番目〜LT番目のライン画像データ)が、CMYK画像データID内の上流側の端を構成するライン画像データ(LT番目のライン画像データ)を含む。この場合、決定部32は、N本のライン画像データを部分画像データとして選択して(図4のS30)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図4のS32)。
【0135】
本実施例では、PC10は、上記の(6)の処理を実行するために、図3(E2)に示される印刷を実現することができる。この結果、画像を印刷するためのトータルのパスの回数を低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0136】
(7)また、図8のケースCに示されるように、決定部32は、部分画像データ内の下流側の端を構成するライン画像データが、空白のライン画像データ(L番目〜L+1番目のライン画像データ)にならないように、部分画像データを選択する。換言すると、決定部32は、N本のライン画像データ内の下流側の端を構成するライン画像データが、空白のライン画像データを含まないように、N本のライン画像データ(L+2番目〜L+5番目のライン画像データ)を選択し、当該N本のライン画像データから部分画像データを選択する。
【0137】
本実施例では、PC10は、上記の(7)の処理を実行するために、図3(D2)に示される印刷を実現することができる。この結果、画像を印刷するためのトータルのパス数を低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0138】
なお、本実施例では、PC10は、上記の(1)〜(7)の各処理を実行するが、変形例では、PC10は、上記の(1)〜(3)以外の各処理(4)〜(7)のうちのいずれかを実行しなくてもよい。例えば、PC10が上記の処理(5)を実行しない場合には、図3(C1)の比較例に示される印刷が実行される。また、例えば、PC10が上記の処理(6)を実行しない場合には、図3(E1)の比較例に示される印刷が実行される。また、例えば、PC10が上記の処理(7)を実行しない場合には、図3(D1)の比較例に示される印刷が実行される。即ち、図3(C1)、(D1)、(E1)の印刷は、本発明の技術範囲に含まれる。
【0139】
(対応関係)
PC10、プリンタ50が、それぞれ、「制御装置」、「印刷実行部」の一例である。CMYK画像データIDが、「画像データ」の一例である。往路OP、復路RPが、それぞれ、「第1の方向」、「第2の方向」の一例である。また、往路OPが「特定の方向」の一例である。副走査方向に対応する方向、副走査方向の下流側に対応する側、副走査方向の上流側に対応する側が、それぞれ、「所定の方向」、「第1の側」、「第2の側」の一例である。また、カウンタNC1、カウンタNK1が、それぞれ、「第1のカウンタ」、「第2のカウンタ」の一例である。
【0140】
また、ブラックのライン画像データ、空白のライン画像データが、それぞれ、「第1種のライン画像データ」、「第3種のライン画像データ」の一例である。また、カラーのライン画像データ(即ち、CMYのうちの少なくとも1色のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすライン画像データ)のうち、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすライン画像データが、「第2種のライン画像データ」の一例である。
【0141】
また、図8のケースA、図9のケースD、図10のケースG(又はH)、図9のケースFが、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」、「第3の場合」、「第4の場合」の一例である。いずれのケースA,D,G,Fでも、L番目〜L+3番目のライン画像データが、「第1グループのN本のライン画像データ」の一例である。また、図10のケースG(又はH)では、L+3番目〜L+6番目のライン画像データが、「第2グループのN本のライン画像データ」の一例である。
【0142】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。本実施例では、図4及び図5のプリンタドライバ処理で実行される各供給処理(図4のS32等)が、図7の供給処理ではなく、図12の供給処理である。図12の供給処理では、「今回の部分画像データ」及び「前回の部分画像データ」という概念が利用される。「今回の部分画像データ」は、図12の供給処理の直前に選択された部分画像データであり、例えば、図4のS32の供給処理が実行される場合には、当該S32の供給処理の直前のS30で選択された部分画像データである。「前回の部分画像データ」は、「今回の部分画像データ」の前回に選択された部分画像データ(即ち、前回の供給処理の「今回の部分画像データ」)である。
【0143】
図12のS240において、決定部32は、今回の部分画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する。今回の部分画像データがカラーのライン画像データを含む場合(S240でYESの場合)には、S241に進み、今回の部分画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(S240でNOの場合)には、S244に進む。
【0144】
S241では、決定部32は、前回の部分画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する。前回の部分画像データがカラーのライン画像データを含む場合(S241でYESの場合)には、S242に進み、前回の部分画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(S241でNOの場合)には、S244に進む。
【0145】
S242では、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向(即ち前回の供給処理で決定された主走査の方向)と同方向に決定する。即ち、決定部32は、前回の主走査の方向が往路OPに決定された場合には、今回の主走査の方向を往路OPに決定し、前回の主走査の方向が復路RPに決定された場合には、今回の主走査の方向を復路RPに決定する。なお、S244〜S248は、図7のS144〜S148と同様である。
【0146】
上述したように、本実施例では、カラーパスの方向が往路OPに固定されない。そして、PC10は、前回の主走査がカラーパスである場合には、今回の主走査であるカラーパスの方向を、前回の主走査の方向と同方向に決定し(図12のS242)、前回の主走査がブラックパスである場合には、今回の主走査であるカラーパスの方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図12のS244)。
【0147】
例えば、図2(B1)の比較例は、図2(A1)の比較例と同様の手法で、画像I2が印刷される様子を示す。この場合、カラーパスの回数が4回であり、トータルのパスの回数が7回であり、カラー画像の境界の数が2個である。これに対し、図2(B2)の第2実施例は、本実施例の手法で、画像I2が印刷される様子を示す。この場合、1回目の主走査がブラックパスであるために(1)、2回目の主走査であるカラーパスの方向は、前回の主走査の方向とは逆方向である復路RPに決定される(2)。また、2回目の主走査がカラーパスであるために(2)、3回目の主走査であるカラーパスの方向は、前回の主走査の方向と同方向である復路RPに決定される(4)。また、4回目の主走査がブラックパスであるために(5)、5回目の主走査であるカラーパスの方向は、前回の主走査の方向とは逆方向である復路RPに決定される(6)。
【0148】
図2(B2)の本実施例では、カラーパスの回数が3回であり、トータルのパスの回数が6回であり、カラー画像の境界の数が1個である。本実施例でも、カラーパスの回数を低減させることができ、この結果、カラー画像の境界の数を低減させることができる。このために、高画質の印刷済み画像をユーザに提供することができる。しかも、トータルのパスの回数も低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0149】
なお、本実施例では、1枚の用紙に対する印刷の中で、往路OPのカラーパスと復路RPのカラーパスとの両方が実行され得る。この場合、往路OPのカラーパスで形成される第1のカラー画像内の例えば緑色と、復路RPのカラーパスで形成される第2のカラー画像内の例えば緑色と、の間で、見た目の色が変わり得る。しかしながら、本実施例では、2回の連続するカラーパスの方向が同方向に決定されるために、上記の第1及び第2のカラー画像が隣接しない。従って、見た目の色の違いをユーザが認識し難いために、ユーザが印刷済み画像を低画質と認識するのを抑制することができる。
【0150】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を例示することができる。
【0151】
(変形例1)上記の各実施例では、PC10が、各部30〜40を備えているが、それに代えて、プリンタ50内の制御部60が、各部30〜40を備えていてもよい。この場合、プリンタ50内の制御部60が「制御装置」の一例であり、プリンタ50内の供給部40は、プリンタ50内の印刷実行部(即ちヘッド駆動部54及び媒体搬送部56を制御するための印刷処理を実行する印刷処理部)に印刷データを供給してもよい。
【0152】
(変形例2)上記の各実施例では、決定部32は、CMYK画像データID内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択する。これに代えて、決定部32は、CMYK画像データIDに対してハーフトーン処理を実行して、ハーフトーン処理後のデータ(例えばドットON又はドットOFFの二値で表現されるデータ)を生成し、ハーフトーン処理後のデータ内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択してもよい。本変形例では、ハーフトーン処理後のデータが、「画像データ」の一例である。
【0153】
(変形例3)上記の各実施例では、決定部32は、副走査方向の下流側から上流側に向かって、CMYK画像データID内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択する。これに代えて、決定部32は、副走査方向の上流側から下流側に対応する側に向かって、CMYK画像データID内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択してもよい。本変形例では、副走査方向の上流側、副走査方向の下流側が、それぞれ、「第1の側」、「第2の側」の一例である。
【0154】
(変形例4)上記の第1実施例では、決定部32は、カラーパスの方向を往路OPに固定しているが、これに代えて、以下のいずれかの手法を採用してもよい。
【0155】
決定部32は、カラーパスの方向を復路RPに固定してもよい。本変形例では、復路RPが「特定の方向」の一例である。
【0156】
また、決定部32は、ユーザからの1回の指示に従って実行される1回の印刷において、1回目のカラーパスの方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、2回目以降のカラーパスの方向を、1回目のカラーパスの方向と同方向に決定してもよい。本変形例では、1回の印刷の1回目のカラーパスについては、前回の主走査の方向とは逆方向が「特定の方向」の一例であり、2回目以降のカラーパスについては、1回目のカラーパスの方向と同方向が「特定の方向」の一例である。
【0157】
また、決定部32は、1枚の用紙に対する印刷において、1回目のカラーパスの方向を前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、2回目以降のカラーパスの方向を、1回目のカラーパスの方向と同方向に決定してもよい。即ち、本変形例では、例えば、1ページ目の用紙に対する印刷のカラーパスの方向と、2ページ目の用紙に対する印刷のカラーパスの方向と、が変わり得る。本変形例では、1枚の用紙に対する印刷の1回目のカラーパスについては、前回の主走査の方向とは逆方向が「特定の方向」の一例であり、2回目以降のカラーパスについては、1回目のカラーパスの方向と同方向が「特定の方向」の一例である。
【0158】
(変形例5)上記の各実施例では、各部30〜40がソフトウェア(プリンタドライバ26)によって実現されるが、各部30〜40のうちの少なくとも1つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0159】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0160】
2:印刷システム、10:PC、50:インクジェットプリンタ、52:印刷ヘッド、I1〜I5:画像、KA:モノクロ画像の領域、COA:カラー画像の領域、BA:空白画像の領域、ID:CMYK画像データ、NC,NY,NM,NK:ノズル列、OP:往路、RP:往路、P:用紙
【技術分野】
【0001】
本明細書では、複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える印刷実行部に、印刷を実行させるための制御装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷ヘッドから印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、印刷ヘッドを一方向又は他方向に移動させる主走査を実行して、印刷媒体に画像を記録するインクジェット記録装置が開示されている。この技術では、印刷ヘッドを一方向に移動させる主走査を実行して、2色以上のインクによって重複ドットの記憶領域を印刷し、印刷ヘッドを一方向又は他方向に移動させる主走査を実行して、その他の記録領域(例えば、黒色の記録領域)を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−50705号公報
【特許文献2】特開2006−159702号公報
【特許文献3】特開2010−100017号公報
【特許文献4】特開2009−262346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、印刷ヘッドから2色以上のインクを吐出させながら実行される主走査の回数を低減させ得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、印刷実行部に印刷を実行させるための制御装置を開示する。印刷実行部は、複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える。複数組のノズル列のそれぞれは、インクを吐出するためのN個(Nは2以上の整数)のノズルを含む。印刷実行部は、複数組のノズル列から印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、印刷ヘッドを第1の方向又は第2の方向に移動させる主走査を実行可能である。
制御装置は、印刷データ生成部と、供給部と、を備える。印刷データ生成部は、画像データを用いて、画像データによって表わされる画像の印刷を印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する。画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶ複数本のライン画像データを含む。供給部は、印刷データを印刷実行部に供給する。印刷データ生成部は、画像データの中から、所定の方向の第1の側から第2の側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して、各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する決定部を備える。各部分画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶN本以下のライン画像データを含む。印刷データ生成部は、印刷実行部が、決定部によって決定された方向に従って、主走査を実行するように、印刷データを生成する。
決定部は、今回の選択対象の1個の部分画像データである第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(A)連続して並ぶ第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、複数色のうちの特定の1色のインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わす第1種のライン画像データである第1の場合に、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像データによって表わされる第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(B)第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わす第2種のライン画像データである第2の場合に、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定し、
(C)第1グループのN本のライン画像データ内の第1の側の端を構成するライン画像データから第2の側に向かって連続して並ぶN1本(N1はN未満の整数)の対象ライン画像データが、上記の特定の1色のインクのみによって印刷されるべきN1本のライン画像を表わし、かつ、第1グループのN本のライン画像データのうち、N1本の対象ライン画像データを除く(N−N1)本の残存ライン画像データが、第2種のライン画像データを含む第3の場合に、
N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(N−N1)本の残存ライン画像データと、(N−N1)本の残存ライン画像データに隣接して第2の側に向かって連続して並ぶN1本の追加ライン画像データと、を含む第2グループのN本のライン画像データを、第2の対象部分画像データとして選択して、第2の対象部分画像データによって表わされる第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定する。
【0006】
上記の構成によると、制御装置は、第3の場合に、第1グループのN本のライン画像データのうちのN1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する。さらに、制御装置は、第3の場合に、第2グループのN本のライン画像データを第2の対象部分画像データとして選択して、第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定する。従って、制御装置は、印刷ヘッドから2色以上のインクを吐出させながら実行される主走査の回数を低減させ得る。
【0007】
決定部は、第3の場合に、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含むのか否かを判断する判断部を備えていてもよい。決定部は、第3の場合において、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含むと判断される場合には、N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択してもよい。この構成によると、制御装置は、印刷ヘッドから2色以上のインクを吐出させながら実行される主走査の回数を適切に低減させ得る。
【0008】
決定部は、第3の場合において、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含まないと判断される場合には、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第3の場合において、N1本の追加ライン画像データが第2種のライン画像データを含まないと判断される場合には、N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択せずに、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択する。制御装置は、第1の対象部分画像データを適切に選択し得るために、画像を印刷するためのトータルの主走査の回数を低減させ得る。
【0009】
決定部は、第3の場合において、第1グループのN本のライン画像データが、画像データ内の第2の側の端を構成するライン画像データを含む場合には、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第3の場合において、第1グループのN本のライン画像データが第2の側の端を構成するライン画像データを含む場合には、N1本の対象ライン画像データのみを第1の対象部分画像データとして選択せずに、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択する。制御装置は、第1の対象部分画像データを適切に選択し得るために、画像を印刷するためのトータルの主走査の回数を低減させ得る。
【0010】
決定部は、第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(D)第1グループのN本のライン画像データ内の第1の側の端を構成するライン画像データから第2の側に向かって連続して並ぶN2本(N2はN未満の整数)の対象ライン画像データが、複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきN2本のライン画像を表わし、かつ、第1グループのN本のライン画像データのうち、N2本の対象ライン画像データを除く(N−N2)本の残存ライン画像データが、第1種のライン画像データを含む第4の場合に、第1グループのN本のライン画像データを第1の対象部分画像データとして選択して、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定してもよい。この構成によると、制御装置は、第4の場合に、第1の対象部分画像データを適切に選択し得る。
【0011】
決定部は、第1グループのN本のライン画像データ内の第1の側の端を構成するライン画像データが、複数色のうちのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでないライン画像を表わす第3種のライン画像データを含まないように、第1グループのN本のライン画像データを選択してもよい。この構成によると、制御装置は、第1グループのN本のライン画像データを適切に選択し得るために、画像を印刷するためのトータルの主走査の回数を低減させ得る。
【0012】
特定の方向は、第1の方向であってもよい。一方において、決定部は、1個の部分画像データを選択して、当該1個の部分画像データによって表わされる1個の部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定すべき際に、前回の主走査が、複数色のうちの2色以上のインクを吐出させながら実行される場合には、特定の方向として、前回の主走査の方向と同じ方向を決定し、前回の主走査が、上記の特定の1色のインクのみを吐出させながら実行される場合には、特定の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向を決定してもよい。
【0013】
決定部は、第1の側から第2の側に向かう順序で、各ライン画像データが、第1種のライン画像データと、第2種のライン画像データと、を含む複数種類のライン画像データのうちのいずれの種類のライン画像データであるのかを解析する解析部と、解析の結果に従って、ライン画像データの数のカウントを実行するカウント部と、を備えていてもよい。カウント部は、注目ライン画像データの解析の結果が第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始する第1のカウンタと、第1のカウンタのカウント値がゼロであり、かつ、注目ライン画像データの解析の結果が第1種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データの解析の結果が第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを終了する第2のカウンタと、を含んでいてもよい。決定部は、第1のカウンタのカウント値と第2のカウンタのカウント値との和がNに等しい場合に、第1のカウンタのカウント値と第2のカウンタのカウント値とに基づいて、第1の対象部分画像データの選択と、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向の決定と、を実行してもよい。この構成によると、制御装置は、第1及び第2のカウンタのカウント値に基づいて、第1の対象部分画像データの選択と、第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向の決定と、を適切に実行し得る。
【0014】
上記の特定の1色は、黒色を含んでいてもよい。
【0015】
上記の制御装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体も新規で有用である。また、上記の制御装置と上記の印刷実行部とを備える印刷システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】印刷システムの構成を示す。
【図2】比較例と各実施例で実行される画像の印刷の一例を示す。
【図3】比較例と各実施例で実行される画像の印刷の一例を示す。
【図4】プリンタドライバ処理のフローチャートを示す。
【図5】図4の続きのフローチャートを示す。
【図6】カウント処理のフローチャートを示す。
【図7】供給処理のフローチャートを示す。
【図8】ケースA〜Cの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図9】ケースD〜Fの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図10】ケースG〜Iの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図11】ケースJ〜Lの各ライン画像データがカウントされる様子を示す。
【図12】第2実施例の供給処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
(システムの構成)
図1に示すように、印刷システム2は、PC10と、PC10の周辺機器であるインクジェットプリンタ50と、を備える。PC10とインクジェットプリンタ50とは、ネットワークケーブル4(即ちネットワーク)を介して、相互に通信可能である。なお、以下では、インクジェットプリンタ50のことを、簡単に「プリンタ50」と呼ぶ。
【0018】
(PC10の構成)
PC10は、操作部12と、表示部14と、ネットワークインターフェイス16と、制御部20と、を備える。各部12,14,16,20は、バス線18に接続されている。操作部12は、キーボード及びマウスによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をPC10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。ネットワークインターフェイス16には、ネットワークケーブル4が接続される。
【0019】
制御部20は、CPU22と、ROM、RAM、ハードディスク等のメモリ24と、を備える。CPU22は、メモリ24に格納されているプログラム(例えばプリンタドライバ26)に従って、様々な処理を実行する。CPU22がプリンタドライバ26に従って処理を実行することによって、印刷データ生成部30及び供給部40の各機能が実現される。なお、印刷データ生成部30は、決定部32を備え、決定部32は、判断部34と解析部36とカウント部38とを備える。カウント部38は、複数個のカウンタNK1,NC1,NB1,NK2,NC2,NB2を含む。
【0020】
メモリ24は、プリンタ50のためのプリンタドライバ26を格納している。プリンタドライバ26は、プリンタ50と共にパッケージされているメディアから、PC10にインストールされる。なお、変形例では、プリンタドライバ26は、プリンタ50のベンダによって提供されるサーバから、インターネットを介して、PC10にインストールされてもよい。
【0021】
(インクジェットプリンタ50の構成)
プリンタ50は、いわゆるシリアルタイプのインクジェットプリンタである。プリンタ50は、印刷ヘッド52と、ヘッド駆動部54と、媒体搬送部56と、制御部60と、を備える。
【0022】
図1には、印刷ヘッド52の簡略化された平面図が示されている。当該平面図に示されるように、印刷ヘッド52は、シアン(C)、マゼンタ(M)、及び、イエロー(Y)の3種類の有彩色と、ブラック(K)の1種類の無彩色と、を含む4種類の色のインク滴を吐出するための4組のノズル列NC,NM,NY,NKを備える。各ノズル列NC等は、主走査方向(即ち、印刷ヘッド52の移動方向)において、非対称に配列されている(即ち、NC,NM,NY,NK,NY,NM,NCのように対称に配列されていない)。各ノズル列NC等は、対応する色のインク滴を吐出するための4個のノズルを含む。1組のノズル列NCを構成する4個のノズルCa等は、副走査方向(即ち、用紙Pの搬送方向)に沿って並んでいる。他のノズルNM等も、同様の構成を有する。また、各ノズル列NC等は、CMYKの4個のノズルが主走査方向に沿って伸びる一直線上に位置するように、構成されている。例えば、4個のノズルCa,Ma,Ya,Kaは、主走査方向に沿って伸びる一直線上に位置する。なお、以下では、ノズル列NCを構成するノズル(例えばノズルCa)のことを「Cノズル」と呼ぶ。同様に、他の色のノズルのことを「Mノズル」、「Yノズル」、「Kノズル」と呼ぶ。
【0023】
ヘッド駆動部54は、制御部60からの指示に従って、印刷ヘッド52からインクを吐出させながら、主走査方向に沿って印刷ヘッド52を往復移動させる(即ち、印刷ヘッド52の主走査を実行させる)。なお、本実施例では、印刷ヘッド52からインクを吐出させながら印刷ヘッド52を移動させることを「主走査」と表現するが、印刷ヘッド52からインクを吐出させずに印刷ヘッド52を移動させること(例えば、図2等の「戻り」)を「主走査」と表現しない。また、以下では、印刷ヘッド52の主走査のうちの往路、復路のことを、それぞれ、符号OP(Outgoing Path)、RP(Returning Path)で表現する。
【0024】
媒体搬送部56は、制御部60からの指示に従って、給紙トレイに収容されている用紙Pを給紙トレイから取り出して、主走査方向に直交する方向である副走査方向に沿って、用紙Pを搬送する。
【0025】
制御部60は、PC10から供給される印刷データに従って、ヘッド駆動部54及び媒体搬送部56の動作を制御する。
【0026】
(本実施例で実現される画像の印刷の概略)
PC10のユーザは、操作部12を操作して、文書作成ソフト、表計算ソフト、描画ソフト等のアプリケーションプログラムを利用することができる。さらに、ユーザは、アプリケーションによって生成される対象データによって表わされる画像を印刷するための指示を、操作部12に加えることができる。
【0027】
図2及び図3は、対象データによって表わされる印刷対象の画像I1〜I5を示す。各画像I1等は、2枚以上の用紙に跨って印刷されるべき画像ではなく、1枚の用紙内に印刷されるべき画像(即ち、1ページ分の画像)である。なお、図2及び図3において、各画像I1等の左右方向が主走査方向に対応し、各画像I1の上下方向が副走査方向に対応する。特に、各画像I1等の上側が、副走査方向の下流側に対応し、各画像I1等の下側が、副走査方向の上流側に対応する。即ち、各画像I1等の上側が先の主走査によって印刷され、各画像I1等の下側が後の主走査によって印刷される。なお、以下では、副走査方向に対応する方向(即ち上下方向)、副走査方向の上流側に対応する側(即ち下側)、副走査方向の下流側に対応する側(即ち上側)のことを、それぞれ、簡単に、「副走査方向」、「上流側」、「下流側」と記載する。
【0028】
各画像I1等内の領域KA(K Area)は、Kのインクのみによって印刷されるべき領域(即ちモノクロ画像の領域)を示し、領域COA(Color Area)は、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべき領域(即ちカラー画像の領域)を示す。また、図3(D1),(D2)の領域BA(Blank Area)は、CMYKのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでない領域を示す。
【0029】
(印刷の前提条件)
本実施例では、以下の前提条件に従って印刷が実行される。なお、以下では、印刷ヘッド52の1回の主走査によって印刷されるべき領域のことを「単位領域」と呼ぶ。本実施例では、領域COAを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、必ず、往路OPが利用される。
【0030】
往路OPが利用される理由は、以下の通りである。カラー画像が印刷される場合には、プリンタ50は、通常、CMYKのうちの2色以上のインクを用いて、1個の絵素を用紙上に形成する。例えば、プリンタ50は、緑色の絵素を形成すべき場合には、Cのインク滴とYのインク滴とを、用紙上の同じ位置に付着させて、緑色の1個の絵素を用紙上に形成する。仮に、緑色の絵素を形成するために往路OPの主走査が実行されると、図1のノズル列NCとノズル列NYとの位置関係から明らかなように、例えば、ノズルYaから吐出されたYのインク滴が用紙上の所定位置に付着した後に、ノズルCaから吐出されたCのインク滴が当該所定位置に付着する。即ち、Yのインク滴の上にCのインク滴が付着することによって、緑色の1個の絵素が形成される。一方において、仮に、緑色の絵素を形成するために復路RPの主走査が実行されると、例えば、ノズルCaから吐出されたCのインク滴が用紙上の所定位置に付着した後に、ノズルYaから吐出されたYのインク滴が当該所定位置に付着する。即ち、Cのインク滴の上にYのインク滴が付着することによって、緑色の1個の絵素が形成される。従って、往路OPの主走査が実行される場合と復路RPの主走査が実行される場合とでは、緑色の1個の絵素を形成するためのC及びYの各インク滴の用紙への付着順序が異なるために、緑色の絵素の見た目の色が異なり得る。このように、2色以上のインクの用紙への付着順序が異なることに起因して、印刷済み画像の見た目の色が異なるという事象が発生するのを避けるために、領域COAを含む単位領域の印刷には、往路OPの主走査が固定的に利用される。なお、以下では、領域COAを含む単位領域を印刷するための主走査のことを、「カラーパス」と呼ぶ。
【0031】
また、本実施例では、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、往路OP及び復路RPのどちらか一方が選択的に利用される。より具体的に言うと、前回の主走査が往路OPである場合には、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、復路RPが利用される。また、前回の主走査が復路RPである場合には、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、往路OPが利用される。即ち、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向が利用される。これは、領域KAのみを含む単位領域を印刷する場合には、用紙へのインク滴の付着順序を考慮する必要がないためである。
【0032】
仮に、前回の主走査の方向が往路OPである場合に、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として往路OP(即ち、前回の主走査の方向と同方向)が利用されると、往路OPの主走査の開始位置まで印刷ヘッド52を戻す必要がある。即ち、印刷ヘッド52からインクが吐出されない状態で、印刷ヘッド52の復路RPの移動を実行する必要がある。このために、印刷に要する時間が長くなってしまう。従って、本実施例では、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向が利用される。なお、以下では、領域KAのみを含む単位領域を印刷するための主走査のことを「ブラックパス」と呼ぶ。また、印刷ヘッド52からインクが吐出されない状態で、印刷ヘッド52を移動させることを、「戻りパス」と呼ぶ。
【0033】
なお、図2及び図3において、各画像I1等の左右に配置されている縦長の長方形は、印刷ヘッド52を示す。長方形内のハッチングで示されている部分は、ノズルからインクが吐出されることを示し、長方形内のハッチングで示されていない部分は、ノズルからインクが吐出されないことを示す。
【0034】
(図2(A1),(A2)の印刷)
図2(A1),(A2)の画像I1では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、領域KA、領域COA、領域KAが、順に並んでいる。2個の領域KAのそれぞれは、副走査方向において、2個のノズルに対応する長さ(即ち、2ラスタ分の長さ(さらに換言すると2ノズルピッチ分の長さ))を有する。領域COAは、副走査方向において、8個のノズルに対応する長さ(即ち8ラスタ分の長さ)を有する。即ち、画像I1は、副走査方向において、合計で12ラスタ分の長さを有する。上述したように、印刷ヘッド52の各ノズル列NY等は、副走査方向に並ぶ4個のノズルを含む。従って、画像I1を印刷するためには、少なくとも3回(12ラスタ/4個のノズル)の主走査が必要である。
【0035】
図2(A1)の比較例では、印刷ヘッド52の1回の主走査によって、必ず、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」))に対応する4ラスタ分の領域の印刷が実行される。より具体的に言うと、1回目の主走査では、下流側(即ち図1の上側)に配置されている2個のKノズルによって、2ラスタ分の領域KAが印刷され、上流側(即ち図1の下側)に配置されているCMYKの8個のノズルのうちのいずれかのノズル(例えば、2個のCノズルと2個のYノズル)によって、領域COAのうちの最も下流側の2ラスタ分の領域が印刷される。従って、1回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は、領域COAを含むために、1回目の主走査は、往路OPのカラーパスである(1)。1回目の主走査が終了すると、用紙Pの4ノズルピッチ分(即ち4ラスタ分)の搬送が実行される。
【0036】
2回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は領域COAのみを含むために、2回目の主走査は、往路OPのカラーパスである。従って、1回目の主走査が終了した後に、戻りパスが実行され(2)、次いで、2回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行され(3)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。3回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は領域COAと領域KAを含むために、3回目の主走査は、往路OPのカラーパスである。従って、2回目の主走査が終了した後に、戻りパスが実行され(4)、次いで、3回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行される(5)。
【0037】
図2(A1)の比較例では、カラーパスの回数が3回であり、トータルのパスの回数が5回である。このようにして画像I1の印刷が実行されると、連続する2回のカラーパスによって形成される用紙上の2個のカラー画像の間の境界(以下では単に「カラー画像の境界」と呼ぶ)の数が2個になる。ユーザは、用紙P上の印刷済み画像を見た際に、連続する2回のブラックパスによって形成される用紙上の2個のモノクロ画像の間の境界を、比較的に視認し難い。しかしながら、カラー画像は、複数色のインクによって形成されるために、ユーザは、カラー画像の境界を比較的に視認し易い。従って、印刷済み画像内のカラー画像の境界の数が多いと、ユーザは、印刷済み画像を低画質の画像と認識する可能性がある。このような認識をユーザに与えるのを抑制するために、本実施例では、図2(A2)の手法を利用する。
【0038】
上述したように、図2(A1)の比較例では、1回目の主走査では、4ラスタ分の領域の印刷が実行される。これに対し、図2(A2)の本実施例では、1回目の主走査では、印刷ヘッド52が4ラスタ分の領域を印刷可能であるにも関わらず、2ラスタ分の領域KAのみが印刷される。即ち、1回目の主走査は、往路OPのブラックパスである(1)。1回目の主走査が終了すると、用紙Pの2ノズルピッチ分の搬送が実行される。
【0039】
その後、戻りパスが実行され(2)、次いで、4ラスタ分のカラー領域COAを印刷するために、2回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行され(3)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、戻りパスが実行され(4)、次いで、4ラスタ分のカラー領域COAを印刷するために、3回目の主走査である往路OPのカラーパスが実行され(5)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。4回目の主走査によって印刷されるべき単位領域は領域KAのみを含むために、4回目の主走査は、前回の主走査(往路OP)とは逆方向である復路RPのブラックパスである(6)。
【0040】
上述したように、本実施例では、カラーパスの回数が2回であり、トータルのパスの回数が6回である。本実施例のカラーパスの回数(2回)は、比較例(3回)と比べて少なくなる。このようにして画像I1の印刷が実行されると、カラー画像の境界の数が1個になる。従って、本実施例の手法(即ち、印刷ヘッド52が4ラスタ分の領域を印刷可能であるにも関わらず、3ラスタ分以下の領域KAのみを印刷する手法)を採用すると、比較例の手法と比べて、カラー画像の境界の数を低減させることができる。このために、ユーザが、印刷済み画像を低画質の画像と認識するのを抑制することができる(即ち、高画質の印刷済み画像をユーザに提供することができる)。
【0041】
(図3(C1),(C2)の印刷)
図3(C1),(C2)の画像I3では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、2ラスタ分の領域KA、2ラスタ分の領域COA、4ラスタ分の領域KA、が順に並んでいる。図2(A2)で説明したように、本実施例では、印刷ヘッド52が4ラスタ分の領域を印刷可能であるにも関わらず、3ラスタ分以下の領域KAのみを印刷する手法を採用する。従って、当該手法を忠実に採用すれば、図3(C1)の比較例に示されるように、画像I3の印刷が実行される。
【0042】
即ち、まず、2ラスタ分の領域KAのみを印刷するために、往路OPのブラックパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの2ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、戻りパスが実行され(2)、次いで、2ラスタ分の領域COAと、領域KAのうちの下流側の2ラスタ分の領域と、を含む4ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのカラーパスが実行され(3)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、領域KAのうちの上流側の2ラスタ分の領域を印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(4)。このように、図3(C1)の比較例では、トータルのパスの回数が4回である。
【0043】
これに対し、図3(C2)の第1実施例では、まず、2ラスタ分の領域KAと2ラスタ分の領域COAとを含む4ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのカラーパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、4ラスタ分の領域KAを印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(2)。このように、図3(C2)の第1実施例では、トータルのパスの回数が2回である。即ち、本実施例の手法を採用すると、比較例の手法と比べて、トータルのパスの回数を低減させることができる。このために、高速で印刷することができる。
【0044】
図3(C2)の手法は、図2(A2)の手法と比較して、以下のように表現することができる。即ち、図2(A2)の画像I1のように、仮に、1回の主走査によって、領域KAと領域COAとを含む4ラスタ分の領域SA1を印刷すると、領域SA1の上流側(図中下側)に領域COAが連続するためにカラー画像の境界が形成されてしまう場合には、3ノズルピッチ分以下の領域KAのみをブラックパスで印刷する手法(図2(A2)の手法)を採用する。ただし、図3(C2)の画像I3のように、1回の主走査によって、領域KAと領域COAとを含む4ノズルピッチ分の領域SA2を印刷しても、領域SA2の上流側(図中下側)に領域COAが連続しないためにカラー画像の境界が形成されない場合には、領域SA2をカラーパスで印刷する手法(図2(C2)の手法)を採用する。これにより、トータルのパスの回数を低減させることができる。
【0045】
(図3(D1),(D2)の印刷)
図3(D1),(D2)の画像I4では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、4ラスタ分の領域COA、2ラスタ分の領域BA、4ラスタ分の領域KA、が順に並んでいる。
【0046】
図3(D1)の比較例では、まず、4ラスタ分の領域COAを印刷するために、往路OPのカラーパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、領域KAのうちの下流側の2ラスタ分の領域を印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(2)。なお、復路RPのブラックパスでは、下流側に配置されているCMYKの8個(=4色×2個)のノズルが、領域BAに対応する用紙P上の領域に対向する。従って、復路RPのブラックパスでは、これらの8個のノズルからインクを吐出させない。復路RPのブラックパスが終了すると、用紙Pの4ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、領域KAのうちの上流側の2ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのブラックパスが実行される(3)。このように、図3(D1)の比較例では、トータルのパスの回数が3回である。
【0047】
これに対し、図3(D2)の第1実施例では、4ラスタ分の領域COAを印刷するために、往路OPのカラーパスが実行されると(1)、比較例とは異なり、用紙Pの6ノズルピッチ分の搬送が実行される。これにより、2回目の主走査では、領域BAに対応する用紙P上の領域にノズルが対向しなくなる。次いで、4ラスタ分の領域KAを印刷するために、復路RPのブラックパスが実行される(2)。このように、図3(D2)の第1実施例では、トータルのパスの回数が2回である。即ち、本実施例では、可能な限り、領域BAに対応する用紙P上の領域にノズルが対向した状態で主走査が実行されないようにすることによって、トータルのパスの回数を低減させることができる。このために、高速で印刷することができる。
【0048】
(図3(E1),(E2)の印刷)
図3(E1),(E2)の画像I5では、下流側から上流側(即ち図中上側から下側)に向かって、2ラスタ分の領域KA、2ラスタ分の領域COA、が順に並んでいる。領域COAは、画像I5の後端(即ち上流側の端)を含む。図2(A2)の手法を忠実に採用すれば、図3(E1)の比較例に示されるように、画像I5の印刷が実行される。
【0049】
即ち、まず、2ラスタ分の領域KAのみを印刷するために、往路OPのブラックパスが実行され(1)、次いで、用紙Pの2ノズルピッチ分の搬送が実行される。その後、戻りパスが実行され(2)、次いで、2ラスタ分の領域COAを印刷するために、往路OPのカラーパスが実行される(3)。このように、図3(E1)の比較例では、トータルのパスの回数が3回である。
【0050】
これに対し、図3(E2)の第1実施例では、2ラスタ分の領域KAと、2ラスタ分の領域COAと、を含む4ラスタ分の領域を印刷するために、往路OPのカラーパスが実行される(1)。このように、図3(E2)の第1実施例では、トータルのパスの回数が1回である。即ち、本実施例では、領域KAと領域COAとを含む4ラスタ分以下の領域SA3が、画像I5の後端を含む場合には、領域SA3をカラーパスで印刷する手法を採用する。これにより、トータルのパスの回数を低減させることができる。このために、高速で印刷することができる。
【0051】
(PC10によって実行される処理;図4〜図7)
続いて、図2及び図3の本実施例の印刷を実現するために、PC10によって実行される処理の内容を説明する。PC10のユーザが、対象データの印刷の指示を操作部12に加える場合に、制御部20は、プリンタドライバ26に従って、図4及び図5のフローチャートの各処理を実行する。なお、上記の印刷の指示は、ユーザによる印刷解像度の指定を含む。
【0052】
なお、以下では、対象データが、1ページ分の画像を表わす1ページ分のデータであることを前提として、各処理の内容を説明する。例えば、2ページ分以上の対象データが存在する場合には、1ページ目の対象データについて図4及び図5の各処理が終了した後に、2ページ目の対象データについて図4及び図5の各処理を再び実行すればよい。
【0053】
まず、S10において、印刷データ生成部30(図1参照)は、対象データをRGB画像データに変換するための処理を実行して、ユーザによって指定された印刷解像度に対応する画素数を有するRGB画像データを取得する。RGB画像データを構成する複数個の画素のそれぞれは、256階調のRGB値で表現される。
【0054】
次いで、S12において、印刷データ生成部30は、RGB画像データに対して色変換処理を実行して、CMYK画像データIDを生成する。CMYK画像データIDを構成する複数個の画素のそれぞれは、256階調のCMYK値で表現される。CMYK画像データIDの画素数は、RGB画像データの画素数に等しい。
【0055】
図4に示されるように、CMYK画像データIDは、複数本(具体的にはLT本)のライン画像データを含む。1本のライン画像データによって表わされる1本のライン画像は、主走査方向に沿って伸びる一直線上に位置する4個のノズル(例えば図1のCa,Ma,Ya,Ka)によって印刷される。従って、仮に、16個(=4色×4個)のノズルの全てからインクを吐出させながら、1回の主走査が実行される場合には、4本の連続するライン画像データによって表わされる4本のライン画像が印刷される。以下では、4本の連続するライン画像データのことを「N本(即ち、Nは、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数)のライン画像データ」と呼ぶ。
【0056】
また、LT本のライン画像データのうち、図4の上側に存在するライン画像データによって表わされるライン画像が、先の主走査によって印刷され、図4の下側に存在するライン画像データによって表わされるライン画像が、後の主走査によって印刷される。従って、LT本のライン画像データは、副走査方向に対応する方向に沿って並んでいる。また、各ライン画像データは、主走査方向に対応する方向に沿って並んでいる複数個の画素を含む。なお、以下では、副走査方向の最も下流側に存在するライン画像データのことを「1番目のライン画像データ」と呼び、上流側に向かうについて、「2番目、3番目・・・L番目のライン画像データ」と呼ぶ。
【0057】
次いで、S14において、決定部32(図1参照)は、S16以降の処理の対象のライン画像データ(以下では「注目ライン画像データ」と呼ぶ)を示す番号Lとして、「1」を決定する。これにより、1番目のライン画像データが、以下のS16以降の処理の対象になる。次いで、S16において、カウント部38(図1参照)は、全てのカウンタNK1等のカウント値を「0」に設定する。次いで、S18において、解析部36(図1参照)及びカウント部38は、カウント処理を実行する。
【0058】
(カウント処理;図6)
図6に示されるように、図4のS18のカウント処理では、S110において、解析部36は、注目ライン画像データ(例えば1番目のライン画像データ)を解析して、注目ライン画像データが、CMYKのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでない空白のライン画像を表わすライン画像データ(以下では「空白のライン画像データ」と呼ぶ)であるのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部36は、注目ライン画像データに含まれる全ての画素のそれぞれについて、当該画素のCMYK値を読み込む。全ての画素のCMYK値が「0」である場合には、解析部36は、注目ライン画像データが空白のライン画像データであると判断して(S110でYES)、S112に進む。一方において、全ての画素のCMYK値が「0」でない場合(即ち、少なくとも1個の画素のCMYK値のうちの少なくとも1個の値が「1」以上である場合)には、解析部36は、注目ライン画像データが空白のライン画像データでないと判断して(S110でNO)、S116に進む。
【0059】
S116では、解析部36は、注目ライン画像データを解析して、注目ライン画像データが、Kのインクのみによって印刷されるべきブラックのライン画像(即ちモノクロのライン画像)を表わすライン画像データ(以下では「ブラックのライン画像データ」と呼ぶ)であるのか否かを判断する。具体的に言うと、解析部36は、注目ライン画像データに含まれる全ての画素のそれぞれについて、当該画素のCMYK値を読み込む。全ての画素のCMY値が「0」である場合には、解析部36は、注目ライン画像データがブラックのライン画像データであると判断して(S116でYES)、S114に進む。一方において、全ての画素のCMY値が「0」でない場合(即ち、少なくとも1個の画素のCMY値のうちの少なくとも1個の値が「1」以上である場合)には、解析部36は、注目ライン画像データがブラックのライン画像でないと判断して(S116でNO)、S118に進む。
【0060】
なお、S116でNOの場合は、注目ライン画像データが、CMYのうちの少なくとも1色のインクによって印刷されるべきカラーのライン画像を表わすライン画像データ(以下では「カラーのライン画像データ」と呼ぶ)であることを意味する。実際に印刷されるカラーのライン画像では、CMYのうちの1色のインクのみによって印刷されるものが少なく、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるものが多い。従って、S116において、解析部36が、少なくとも1個の画素のCMY値のうちの少なくとも1個の値が「1」以上であるのか否かを基準として判断することは、注目ライン画像データが、ブラックのライン画像データであるのか、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきカラーのライン画像を表わすカラーのライン画像データであるのか、を判断することに等しい。
【0061】
S112では、カウント部38は、NK1=0かつNC1=0であるのか否かを判断する。カウント部38は、NK1=0かつNC1=0である場合には、S112でYESと判断して、S122に進み、NK1及びNC1の少なくとも一方が「1」以上である場合には、S112でNOと判断して、S114に進む。S114では、カウント部38は、NC1=0であるのか否かを判断する。カウント部38は、NC1=0である場合には、S114でYESと判断して、S120に進み、NC1が「1」以上である場合には、S114でNOと判断して、S118に進む。
【0062】
S118では、カウント部38は、NC1に「1」を加算する。S120では、カウント部38は、NK1に「1」を加算する。S122では、カウント部38は、NB1に「1」を加算する。S118、S120、又は、S122を終えると、カウント処理が終了する。
【0063】
上記の説明から明らかなように、各カウンタNK1,NC1,NB1のことを、次のように表現することができる。NC1は、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(S116でNOの場合)に、カウントを開始するカウンタである。また、NK1は、NC1=0であり、かつ、注目ライン画像データがブラックのライン画像データである場合(S114でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(S116でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。また、NB1は、NC1=0であり、NK1=0であり、かつ、注目ライン画像データが空白のライン画像データである場合(S112でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラー又はブラックのライン画像データである場合(S110でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。
【0064】
(図4のS20以降の処理)
図4のS18のカウント処理が終了すると、S20において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lが、CMYK画像データに含まれる全てのライン画像データの本数LTに等しいのか否かを判断する。番号LがLTに等しい場合(S20でYESの場合)には、S30に進み、番号LがLT未満である場合(S20でNOの場合)には、S22に進む。
【0065】
S30では、決定部32は、後述の図7の供給処理が実行されていないライン画像データ(以下では「未処理のライン画像データ」と呼ぶ)の全てを、部分画像データとして選択する。例えば、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するライン画像データが、LT−3番目のライン画像データである場合には、決定部32は、LT−3番目のライン画像データからLT番目のライン画像データ(即ち、CMYK画像データIDによって表わされる画像の上流側の端を構成するライン画像データ)までの4本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。S30を終えると、S32の供給処理に進む。供給処理については、後で説明する。
【0066】
なお、S30では、決定部32は、未処理のライン画像データにおいて、最も下流側に1本以上の連続する空白のライン画像データが存在する場合(即ち、NB1≧1であり、かつ、NK1≧1及び/又はNC1≧1である場合)には、当該1本以上の連続する空白のライン画像データを、部分画像データとして選択しない。この場合、決定部32は、当該1本以上の連続する空白のライン画像データに隣接するブラック又はカラーのライン画像データから、LT番目のライン画像データまでを、部分画像データとして選択する。なお、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在する1本以上の連続する空白のライン画像データが、部分画像データとして選択されない点は、後述の図4のS34、及び、図5のS58,S62,S72,S80,S88,S92でも同様である。
【0067】
また、S30では、決定部32は、未処理のライン画像データの全てが、空白のライン画像データである場合(即ち、NB1≧1であり、NK1=0であり、かつ、NC1=0である場合)には、部分画像データを選択しない。この場合、決定部32は、S32の供給処理を実行せずに、プリンタドライバ処理を終了する。なお、未処理のライン画像データの全てが空白のライン画像データである場合に、部分画像データが選択されず、かつ、供給処理が実行されない点は、後述の図5のS80,S82,S92,S94でも同様である。
【0068】
S22では、決定部32は、NK1の値とNC1の値との和が、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」)に等しいのか否かを判断する。NK1+NC1=4である場合(S22でYESの場合)には、S26に進み、NK1+NC1<4である場合(S22でNOの場合)には、S24に進む。
【0069】
S24では、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定する。S24を終えると、新たな注目ライン画像データについて、S18のカウント処理が実行される。
【0070】
S26では、決定部32は、NK1の値が、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」)に等しいのか否かを判断する。NK1=4である場合(S26でYESの場合)には、S34に進み、NK1<4である場合(S26でNOの場合)には、S28に進む。
【0071】
S28では、決定部32は、NC1の値が、1組のノズル列に含まれる全てのノズルの数(即ち「4」)に等しいのか否かを判断する。NC1=4である場合(S28でYESの場合)には、S34に進み、NC1<4である場合(S28でNOの場合)には、図5のS50に進む。
【0072】
S34では、決定部32は、部分画像データを選択する。S26でYESの場合(NK1=4の場合)に実行されるS34では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するブラックのライン画像データを含むN本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。また、S28でYESの場合(NC1=4の場合)に実行されるS34では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するカラーのライン画像データを含むN本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。S34を終えると、S36の供給処理に進む。
【0073】
(供給処理;図7)
続いて、図4のS32,S36の供給処理の内容を説明する。S32の供給処理とS36の供給処理とは同じ処理であり、図7のフローチャートに従って実行される。S140において、決定部32は、選択済みの部分画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する。なお、図4のS32の供給処理では、S30で選択された部分画像データが上記の「選択済みの部分画像データ」であり、図4のS36の供給処理では、S34で選択された部分画像データが上記の「選択済みの部分画像データ」である。
【0074】
選択済みの部分画像データがカラーのライン画像データを含む場合(S140でYESの場合)には、S142において、決定部32は、選択済みの部分画像データによって表わされる部分画像を印刷するための主走査の方向(以下では「今回の主走査の方向」と呼ぶ)を、往路OPに決定する。S142を終えると、S146に進む。
【0075】
一方において、選択済みの部分画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(S140でNOの場合)には、S144において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向(即ち、前回の図7の供給処理で決定された主走査の方向)とは逆方向に決定する。即ち、決定部32は、前回の主走査の方向が往路OPに決定された場合には、今回の主走査の方向を復路RPに決定し、前回の主走査の方向が復路RPに決定された場合には、今回の主走査の方向を往路OPに決定する。なお、前回の主走査の方向が決定されていない場合、即ち、1回目の供給処理のS144では、決定部32は、便宜上、今回の主走査の方向を往路OPに決定する。S144を終えると、S146に進む。
【0076】
S146では、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに対して、ハーフトーン処理(例えば誤差拡散法を用いたハーフトーン処理)を実行して、二値データを生成する。具体的に言うと、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに含まれるCMYK値で表現される1個の画素から、CMYKに対応する4個の値で表現される新たな1個の画素を生成する。ここで生成される新たな画素の各値は、ドットON(即ち絵素を形成する)又はドットOFF(即ち絵素を形成しない)を表わす二値で表現される。選択済みの部分画像データに含まれる全ての画素から、新たな画素が生成されると、二値データが完成する。なお、変形例では、S146において、印刷データ生成部30は、三値以上の値(例えば、大ドットON、中ドットON、小ドットON、及び、ドットOFF)で表現される新たな画素を生成してもよい。なお、S146では、さらに、印刷データ生成部30は、二値データに含まれるそれぞれの画素に対して、当該画素に対応する用紙P上の位置にインク滴を吐出すべきノズルを割り当てる。
【0077】
次いで、S148において、印刷データ生成部30は、S146で生成された二値データと、S142又はS144で決定された主走査方向を示すデータと、搬送距離を示すデータと、を含む印刷データを生成する。なお、印刷データ生成部30は、3個のカウンタNK1,NC1,NB1の値の和が「X(Xは1以上の整数)」である場合に、Xノズルピッチの搬送距離を示すデータを生成する。これは、以下のように換言することができる。即ち、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに含まれるライン画像データの本数Y(Yは1以上の整数)と、選択済みの部分画像データの下流側に隣接する連続する空白のライン画像データの本数Z(Zは0以上の整数)と、の和がXである場合に、Xノズルピッチの搬送距離を示すデータを生成する。なお、後述の図5のS64等の供給処理において、搬送距離を示すデータを生成するために参照されるカウンタは、カウンタNK1,NC1,NB1とは異なり得るが、上記のX(=Y+Z)ノズルピッチの搬送距離を示すデータが生成される点は、S36の供給処理と同様である。
【0078】
S148では、さらに、供給部40(図1参照)は、ネットワークインターフェイス16を介して(さらにはネットワークケーブル4を介して)、印刷データをプリンタ50に供給する。
【0079】
プリンタ50の制御部60は、PC10から印刷データを受信すると、まず、印刷データに含まれる搬送距離を示すデータ(即ちXノズルピッチ)に従って、媒体搬送部56を制御する。これにより、媒体搬送部56は、Xノズルピッチ分の用紙Pの搬送を実行する。次いで、制御部60は、印刷データに含まれる二値データ及び主走査方向を示すデータに従って、ヘッド駆動部54を制御する。これにより、ヘッド駆動部54は、二値データに従って各ノズルからインクを吐出させながら、主走査方向を示すデータが示す方向(往路OP又は復路RP)に印刷ヘッド52の主走査を実行させる。なお、ヘッド駆動部54は、主走査方向を示すデータが示す方向(即ち、今回の主走査の方向)が、前回の主走査の方向と同方向である場合には、印刷ヘッド52の戻りパスを実行させた後に、印刷ヘッド52の主走査を実行させる。
【0080】
なお、図4のS32の供給処理が実行されると、プリンタドライバ処理が終了する。一方において、図4のS36の供給処理が実行されると、S38において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定する。S38を終えると、S16に戻り、決定部32は、各カウンタNK1等のカウント値を「0」に設定して、S18以降の処理を再び実行する。
【0081】
(図4のS14〜S38の処理で実現される様々なケース;図8、図9、図11)
続いて、図4のS14〜S38の処理で実現される様々なケースについて説明する。なお、図8〜図11において、「K」、「CO」、「B」で示されるライン画像データは、それぞれ、ブラック、カラー、空白のライン画像データである。なお、特に、「CO」で示されるカラーのライン画像データは、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすカラーのライン画像データである。
【0082】
(図8のケースA)
ケースAでは、CMYK画像データID内のL番目〜L+4番目のライン画像データの全てが、ブラックのライン画像データである。カウント部38は、L番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を実行して、NK1を「1」にインクリメントする(図6のS120)。同様に、カウント部38は、L+1番目〜L+3番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NK1を、「2」、「3」、「4」と順次インクリメントする(図6のS120)。これにより、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でYESと判断し、S34に進む。
【0083】
図4のS34では、決定部32は、L番目〜L+3番目のブラックのライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、図4のS36の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図7のS144)。さらに、印刷データ生成部30は、選択済みの部分画像データに含まれるライン画像データの本数Y(Y=4)と、選択済みの部分画像データの下流側に隣接する連続する空白のライン画像データの本数Z(Z=0)と、の和(即ち、3個のカウンタNK1,NC1,NB1の値の和)である4ノズルピッチに対応する搬送距離を示すデータを生成する(図7のS148)。そして、供給部40は、印刷データをプリンタ50に供給する(図7のS148)。これにより、プリンタ50は、Kのインクのみを吐出させながら、前回の主走査の方向とは逆方向の主走査を実行して、L番目〜L+3番目のブラックのライン画像データによって表わされる4本のライン画像(モノクロ画像)を用紙Pに印刷する。
【0084】
なお、印刷データがプリンタ50に供給されると、カウント部38は、図4のS16において、NK1を「0」に戻す。その後、カウント部38は、L+4番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を実行して、NK1を「1」にインクリメントする。
【0085】
(図8のケースB)
以下の各ケースでは、ケースAと重複する説明を省略する。ケースBでは、L+2番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、それ以外のライン画像データがブラックのライン画像データである。この場合、L+2番目の空白のライン画像データのカウント処理(図4のS18)が実行される際には、NK1=2である。このために、カウント部38は、図6のS112でNOと判断し、S114でYESと判断し、NK1を「3」にインクリメントする(図6のS120)。即ち、L+2番目の空白のライン画像データのカウント処理(図4のS18)では、NB1がインクリメントされない。なお、L+1番目及び/又はL+3番目のライン画像データが空白のライン画像データである場合も、ケースBと同様である。
【0086】
(図8のケースC)
ケースCでは、L番目及びL+1番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、L+2番目〜L+5番目のライン画像データがブラックのライン画像データである。この場合、カウント部38は、L番目及びL+1番目の空白のライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NB1を、「1」、「2」と順次インクリメントする(図6のS122)。そして、カウント部38は、L+2番目〜L+5番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NK1を、「1」、「2」、「3」、「4」と順次インクリメントする(図6のS120)。これにより、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でYESと判断し、S34に進む。
【0087】
図4のS34では、決定部32は、L番目及びL+1番目の空白のライン画像データを、部分画像データとして選択せずに、L+2番目〜L+5番目のブラックのライン画像データを、部分画像データとして選択する。なお、図7のS148において、印刷データ生成部30は、3個のカウンタNK1,NC1,NB1の値の和である6ノズルピッチに対応する搬送距離を示すデータを生成する。
【0088】
(図9のケースD)
ケースDでは、L番目〜L+4番目のライン画像データの全てが、カラーのライン画像データである。カウント部38は、L番目〜L+4番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)を順次実行して、NC1を、「1」、「2」、「3」、「4」と順次インクリメントする(図6のS118)。これにより、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でNOと判断し、S28でYESと判断し、S34に進む。
【0089】
図4のS34では、決定部32は、L番目〜L+3番目のカラーのライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、図4のS36の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、往路OPに決定する(図7のS142)。ケースDでは、プリンタ50は、CMYのうちの少なくとも1色のインクを吐出させながら、L番目〜L+3番目のカラーのライン画像データによって表わされる4本のライン画像(カラー画像)を用紙Pに印刷する。
【0090】
(図9のケースE、ケースF)
ケースEでは、L+2番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、それ以外のライン画像データがカラーのライン画像データである。また、ケースFでは、L+2番目のライン画像データがブラックのライン画像データであり、それ以外のライン画像データがカラーのライン画像データである。ケースE,Fのどらちでも、L+2番目の空白又はブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が実行される際には、NC1=2である。このために、カウント部38は、図6のS114でNOと判断し、NC1を「3」にインクリメントする(図6のS118)。即ち、L+2番目の空白又はブラックのライン画像データのカウント処理(図4のS18)では、NB1又はNK1がインクリメントされない。なお、L+1番目及び/又はL+3番目のライン画像データが空白又はブラックのライン画像データである場合も、ケースE及びFと同様である。
【0091】
(図11のケースJ)
ケースJでは、LT−3番目〜LT−1番目のライン画像データがブラックのライン画像データであり、LT番目のライン画像データ(即ち副走査方向の上流側の端を構成するライン画像データ)がカラーのライン画像データである。LT番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了すると、決定部32は、図4のS20でYESと判断し、S30に進む。
【0092】
図4のS30では、決定部32は、LT−3番目〜LT番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、図4のS32の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、往路OPに決定する(図7のS142)。
【0093】
(図5のS50以降の処理)
上述したように、図4のS28でNOと判断される場合(NK1>1であり、かつ、NC1>1である場合)には、図5のS50に進む。例えば、図10のケースG,H,Iでは、L+3番目のライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了した時点では、NK1=3かつNC1=1である。この場合、決定部32は、図4のS22でYESと判断し、S26でNOと判断し、S28でNOと判断し、図5のS50に進む。
【0094】
即ち、図7の供給処理が実行されていない未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するN本のライン画像データ(例えば、図10のケースGのL番目〜L+3番目のライン画像データ)において、下流側にブラックのライン画像データ(例えば、ケースGのL番目〜L+2番目のライン画像データ)が存在すると共に、上流側にカラーのライン画像データ(例えば、ケースGのL+3番目のライン画像データ)が存在する特定の条件が満足される場合には、決定部32は、図4のS28でNOと判断し、図5のS50に進む。なお、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に1本以上の空白のライン画像データが存在する場合(即ち、NB1≧1である場合)には、当該1本以上の空白のライン画像データを除くN本のライン画像データが、上記の「最も下流側に存在するN本のライン画像データ」である。
【0095】
図5のS50では、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定する。S50を終えると、新たな注目ライン画像データについて、S52のカウント処理が実行される。S52のカウント処理は、カウンタNK1,NC1,NB1の代わりに、カウンタNK2,NC2,NB2が利用される点を除くと、図4のS18のカウント処理(図6参照)と同様である。
【0096】
各カウンタNK2,NC2,NB2は、上記の特定の条件が満足される場合に、カウントを開始可能な状態に設定される。そして、カウンタNK2,NC2,NB2は、それぞれ、カウンタNK1,NC1,NB1と同様に、次のように表現することができる。NC2は、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(図6のS116でNOの場合)に、カウントを開始するカウンタである。また、NK2は、注目ライン画像データがブラックのライン画像データである場合(S114でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラーのライン画像データである場合(S116でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。また、NB1は、注目ライン画像データが空白のライン画像データである場合(S112でYESの場合)に、ライン画像データの数のカウントを開始し、注目ライン画像データがカラー又はブラックのライン画像データである場合(S110でNOの場合)に、ライン画像データの数のカウントを終了するカウンタである。
【0097】
S52のカウント処理が終了すると、S54において、決定部32は、3個のカウンタNK2,NC2,NB2の値の和が、NK1の値に等しいのか否かを判断する。上記の和がNK1の値に等しい場合(S54でYESの場合)には、S56に進み、上記の和がNK1の値未満である場合(S54でNOの場合)には、S84に進む。
【0098】
S56では、判断部34(図1参照)は、NC2>0であるのか否かを判断する。NC2>0である場合(S56でYESの場合)には、S58に進み、NC2=0である場合(S56でNOの場合)には、S72に進む。
【0099】
S58では、決定部32は、部分画像データを選択する。S58では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、カラーのライン画像データを、部分画像データとして選択しない。即ち、S58では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するブラックのライン画像データと、当該ブラックのライン画像データに隣接する1本以上のブラック又は空白のライン画像データと、を含むN本(4本)未満のライン画像データのみ(例えば、図10のケースGのL番目〜L+2番目の3本のライン画像データのみ)を、部分画像データとして選択する。
【0100】
S58を終えると、S60の供給処理に進む。S60の供給処理は、S58で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、図4のS36等の供給処理(図7参照)と同様に実行される。上述したように、S58では、カラーのライン画像データが選択されない。従って、S60の供給処理では、図7のS142が実行されず、S144が実行される。
【0101】
次いで、S62において、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するN本のライン画像データを、部分画像データとして選択する。上述したように、S58では、カラーのライン画像データが選択されないために、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在する1本のライン画像データは、カラーのライン画像データである(例えば、図10のケースGのL+3番目のライン画像データ参照)。従って、S62では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するカラーのライン画像データを含むN本のライン画像データ(例えば、図10のケースGのL+3番目〜L+6番目の4本のライン画像データ)を、部分画像データとして選択する。
【0102】
S62を終えると、S64の供給処理に進む。S64の供給処理は、S62で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、図4のS36等の供給処理(図7参照)と同様に実行される。上述したように、S62では、カラーのライン画像データが選択される。従って、S64の供給処理では、図7のS144が実行されず、S142が実行される。
【0103】
次いで、S66において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号LがLTに等しいのか否かを判断する。L<LTである場合(S66でNOの場合)には、S70において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号Lに「1」を加算して、新たな注目ライン画像データを決定し、図4のS16に戻る。一方において、L=LTである場合(S66でYESの場合)には、プリンタドライバ処理が終了する。
【0104】
一方において、S72では、決定部32は、未処理のライン画像データのうち、最も下流側に存在するN本のライン画像データ(例えば、図10のケースIのL番目〜L+3番目のライン画像データ)を、部分画像データとして選択する。S72が実行される段階では、NC1>1であるために(図4のS22でYES、かつ、S26でNO)、上記の「最も下流側に存在するN本のライン画像データ」は、カラーのライン画像データ(例えば、図10のケースIのL+3番目のライン画像データ)を含む。
【0105】
S72を終えると、S74の供給処理に進む。S74の供給処理は、S72で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、図4のS36等の供給処理(図7参照)と同様に実行される。上述したように、S72では、カラーのライン画像データが選択される。従って、S74の供給処理では、図7のS144が実行されず、S142が実行される。
【0106】
次いで、S76において、カウント部38は、カウンタNK2の値をカウンタNK1の値に代入し、カウンタNC2の値をカウンタNC1の値に代入し、カウンタNB2の値をカウンタNB1の値に代入する。S76では、さらに、カウント部38は、カウンタNK1,NC1,NB1の値を「0」に設定する。
【0107】
次いで、S78において、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号LがLTに等しいのか否かを判断する。L=LTである場合(S78でYESの場合)には、S80に進み、L<LTである場合(S78でNOの場合)には、図4のS24に戻る。
【0108】
S80では、図4のS30と同様に、決定部32は、未処理のライン画像データの全てを、部分画像データとして選択する。次いで、S82において、S80で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、供給処理(図7参照)が実行される。S82の供給処理を終えると、プリンタドライバ処理が終了する。
【0109】
一方において、S84では、決定部32は、注目ライン画像データを示す番号LがLTに等しいのか否かを判断する。L=LTである場合(S84でYESの場合)には、S86に進み、L<LTである場合(S84でNOの場合)には、S50に進む。
【0110】
S86では、決定部32は、NK2=0かつNC2=0であるのか否かを判断する。NK2及びNC2の少なくとも一方が「1」以上である場合(S86でNOの場合)には、S88に進み、NK2=0かつNC2=0である場合(S86でYESの場合)には、S92に進む。
【0111】
S88では、S58と同様に、決定部32は、N本(4本)未満のブラック又は空白のライン画像データのみを、部分画像データとして選択する。次いで、S90において、S88で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、供給処理(図7参照)が実行される。S90の供給処理を終えると、S92に進む。
【0112】
S92では、図4のS30と同様に、決定部32は、未処理のライン画像データの全てを、部分画像データとして選択する。次いで、S94において、S92で選択された部分画像データを「選択済みの部分画像データ」として、供給処理(図7参照)が実行される。S94の供給処理を終えると、プリンタドライバ処理が終了する。
【0113】
(図5のS50〜S94の処理で実現される様々なケース;図10、図11)
続いて、図5のS50〜S94の処理で実現される様々なケースについて説明する。
【0114】
(図10のケースG)
ケースGでは、L番目〜L+2番目のライン画像データがブラックのライン画像データであり、L+3番目〜L+6番目のライン画像データがカラーのライン画像データである。この場合、L+3番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了すると、図5のS50以降の処理が実行される。
【0115】
カウント部38は、L+4番目〜L+6番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図5のS52)を順次実行して、NC2を、「1」、「2」、「3」と順次インクリメントする(図6のS118)。これにより、決定部32は、図5のS54でYESと判断し、判断部34は、S56でYESと判断し、S58に進む。
【0116】
S58では、決定部32は、L番目〜L+2番目のブラックのライン画像データのみを、部分画像データとして選択する。さらに、図5のS60の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図7のS144)。なお、図7のS148において、印刷データ生成部30は、4ノズルピッチよりも少ない3ノズルピッチ(即ち、選択済み部分画像データに含まれるライン画像データの本数(Y=3))に対応する搬送距離を示すデータを生成する。
【0117】
さらに、図5のS62では、決定部32は、L+3番目〜L+6番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S64の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。さらに、図7のS148において、印刷データ生成部30は、4ノズルピッチに対応する搬送距離を示すデータを生成する。
【0118】
(図10のケースH)
ケースHでは、L+1番目のライン画像データが空白のライン画像データであり、かつ、L+5番目のライン画像データがブラック又は空白のライン画像データである点を除くと、ケースGと同様である。ケースHでは、ケースGと同様に各カウンタNK1等がインクリメントされるために、ケースGと同様に、部分画像データが選択される。この点は、L+2番目のライン画像データが空白のライン画像データである場合も同様であり、L+4番目及び/又はL+6番目のライン画像データがブラック又は空白のライン画像データである場合も同様である。
【0119】
(図10のケースI)
ケースIでは、L+4番目〜L+6番目のライン画像データがブラックのライン画像データである点を除くと、ケースGと同様である。ケースIでは、L+3番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図4のS18)が終了すると、図5のS50以降の処理が実行される。
【0120】
ケースGでは、カウント部38は、L+4番目〜L+6番目のカラーのライン画像データのカウント処理(図5のS52)を実行する際に、NC2をインクリメントしたが、ケースIでは、カウント部38は、L+4番目〜L+6番目のブラックのライン画像データのカウント処理(図5のS52)を順次実行して、NK2を、「1」、「2」、「3」と順次インクリメントする(図6のS120)。これにより、決定部32は、図5のS54でYESと判断し、判断部34は、S56でNOと判断し、S72に進む。
【0121】
S72では、決定部32は、L番目〜L+3番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S74の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。その後、カウント部38は、図5のS76の処理を実行して、各カウンタNK1等の値を変更する。
【0122】
(図11のケースK)
ケースKでは、LT−2番目のライン画像データがカラーのライン画像データであり、その他のライン画像データがブラックのライン画像データである。LT番目のライン画像データのカウント処理(図5のS52)が終了すると、決定部32は、図5のS54でNOと判断し、S84でYESと判断し、S86でNOと判断し、S88に進む。
【0123】
S88では、決定部32は、LT−5番目〜LT−3番目のブラックのライン画像データのみを、部分画像データとして選択する。さらに、S90の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図7のS144)。さらに、図5のS92では、決定部32は、LT−2番目〜LT番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S94の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。
【0124】
(図11のケースL)
ケースLでは、LT−1番目〜LT番目のライン画像データが空白のライン画像データである点を除くと、ケースJと同様である。この場合、LT番目のライン画像データのカウント処理(図5のS52)が終了すると、決定部32は、図5のS86でYESと判断するために、S88及びS90を実行せずに、S92に進む。
【0125】
S92では、決定部32は、LT−5番目〜LT−2番目のライン画像データを、部分画像データとして選択する。さらに、S94の供給処理において、決定部32は、今回の主走査の方向を往路OPに決定する(図7のS142)。
【0126】
(本実施例の効果)
上述したように、本実施例では、決定部32は、CMYK画像データIDの中から、副走査方向の下流側から上流側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して(図4のS30,S34,図5のS58,S62,S72,S80,S88,S92)、各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する。特に、決定部32は、以下の(1)〜(7)のように、各部分画像データを選択する。
【0127】
(1)図8のケースAに示されるように、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)のそれぞれが、Kのインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わすブラックのライン画像データである場合には、決定部32は、N本のライン画像データを部分画像データとして選択して(図4のS34)、部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図4のS36)。
【0128】
(2)図9のケースDに示されるように、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)のそれぞれが、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすカラーのライン画像データである場合には、決定部32は、N本のライン画像データを部分画像データとして選択して(図4のS34)、部分画像を印刷するための主走査の方向を、往路OPに決定する(図4のS36)。
【0129】
(3)図10のケースG,Hでは、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)内の下流側の端を構成するL番目のライン画像データから上流側に向かって連続して並ぶ3本の対象ライン画像データ(L番目〜L+2番目のライン画像データ)が、Kのみによって印刷されるべき3本のライン画像を表わし、かつ、当該N本のライン画像データのうち、L番目〜L+2番目のライン画像データを除く残存ライン画像データ(L+3番目のライン画像データ)がカラーのライン画像データを含む。この場合、決定部32は、N本のライン画像データを選択せずに、L番目〜L+2番目のブラック又は空白のライン画像データのみを部分画像データとして選択して(図5のS58)、部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図5のS60)。さらに、決定部32は、残存ライン画像データ(L+3番目のライン画像データ)と、残存ライン画像データに隣接して上流側に向かって連続して並ぶ3本の追加ライン画像データ(L+4番目〜L+6番目のライン画像データ)と、を含むN本のライン画像データを、部分画像データとして選択して(図5のS62)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図5のS64)。
【0130】
(4)図9のケースFでは、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)内の下流側の端を構成するL番目のライン画像データから上流側に向かって連続して並ぶ2本のライン画像データ(L番目〜L+1番目のライン画像データ)が、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべき2本のライン画像を表わし、かつ、当該N本のライン画像データのうち、L番目〜L+1番目のライン画像データを除く残存ライン画像データ(L+2番目〜L+3番目のライン画像データ)が、ブラックのライン画像データを含む。この場合、決定部32は、N本のライン画像データを選択して(図4のS34)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図4のS36)。
【0131】
本実施例では、PC10は、上記の(1)〜(4)の処理(特に上記の(3)の処理)を実行するために、図2のケース(A2)に示される印刷を実現することができる。この結果、カラーパスの回数を低減させることができ、カラー画像の境界の数を低減させることができる。このために、高画質の印刷済み画像をユーザに提供することができる。特に、本実施例では、1組のノズル列に含まれるノズルの数(即ちN)が「4」であるが、Nがより多くなれば、カラー画像の境界の数を低減させる効果が顕著になる。ただし、Nは、3個以下であってもよい。一般的に言うと、Nは2以上の整数であればよい。
【0132】
(5)また、図10のケースG,H,Iにおいて、判断部34は、追加ライン画像データ(L+4〜L+6番目のライン画像データ)がカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する(図5のS56)。決定部32は、追加ライン画像データがカラーのライン画像データを含む場合(図5のS56でYES)には、ケースG,Hに示されるように、L番目〜L+2番目のブラック又は空白のライン画像データのみを部分画像データとして選択する(図5のS58)。一方において、決定部32は、追加ライン画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(図5のS56でNO)には、ケースIに示されるように、N本のライン画像データ(L番目〜L+3番目のライン画像データ)を選択して(図5のS72)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図5のS74)。
【0133】
本実施例では、PC10は、上記の(5)の処理を実行するために、追加ライン画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かについての判断の結果に応じて、部分画像データを適切に選択することができる。この結果、PC10は、図10のケースIでは、図3(C2)に示される印刷を実現することができる。この結果、画像を印刷するためのトータルのパスの回数を低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0134】
(6)また、図11のケースJでは、N本のライン画像データ(LT−3番目〜LT番目のライン画像データ)が、CMYK画像データID内の上流側の端を構成するライン画像データ(LT番目のライン画像データ)を含む。この場合、決定部32は、N本のライン画像データを部分画像データとして選択して(図4のS30)、部分画像を印刷するための主走査の方向を往路OPに決定する(図4のS32)。
【0135】
本実施例では、PC10は、上記の(6)の処理を実行するために、図3(E2)に示される印刷を実現することができる。この結果、画像を印刷するためのトータルのパスの回数を低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0136】
(7)また、図8のケースCに示されるように、決定部32は、部分画像データ内の下流側の端を構成するライン画像データが、空白のライン画像データ(L番目〜L+1番目のライン画像データ)にならないように、部分画像データを選択する。換言すると、決定部32は、N本のライン画像データ内の下流側の端を構成するライン画像データが、空白のライン画像データを含まないように、N本のライン画像データ(L+2番目〜L+5番目のライン画像データ)を選択し、当該N本のライン画像データから部分画像データを選択する。
【0137】
本実施例では、PC10は、上記の(7)の処理を実行するために、図3(D2)に示される印刷を実現することができる。この結果、画像を印刷するためのトータルのパス数を低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0138】
なお、本実施例では、PC10は、上記の(1)〜(7)の各処理を実行するが、変形例では、PC10は、上記の(1)〜(3)以外の各処理(4)〜(7)のうちのいずれかを実行しなくてもよい。例えば、PC10が上記の処理(5)を実行しない場合には、図3(C1)の比較例に示される印刷が実行される。また、例えば、PC10が上記の処理(6)を実行しない場合には、図3(E1)の比較例に示される印刷が実行される。また、例えば、PC10が上記の処理(7)を実行しない場合には、図3(D1)の比較例に示される印刷が実行される。即ち、図3(C1)、(D1)、(E1)の印刷は、本発明の技術範囲に含まれる。
【0139】
(対応関係)
PC10、プリンタ50が、それぞれ、「制御装置」、「印刷実行部」の一例である。CMYK画像データIDが、「画像データ」の一例である。往路OP、復路RPが、それぞれ、「第1の方向」、「第2の方向」の一例である。また、往路OPが「特定の方向」の一例である。副走査方向に対応する方向、副走査方向の下流側に対応する側、副走査方向の上流側に対応する側が、それぞれ、「所定の方向」、「第1の側」、「第2の側」の一例である。また、カウンタNC1、カウンタNK1が、それぞれ、「第1のカウンタ」、「第2のカウンタ」の一例である。
【0140】
また、ブラックのライン画像データ、空白のライン画像データが、それぞれ、「第1種のライン画像データ」、「第3種のライン画像データ」の一例である。また、カラーのライン画像データ(即ち、CMYのうちの少なくとも1色のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすライン画像データ)のうち、CMYKのうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わすライン画像データが、「第2種のライン画像データ」の一例である。
【0141】
また、図8のケースA、図9のケースD、図10のケースG(又はH)、図9のケースFが、それぞれ、「第1の場合」、「第2の場合」、「第3の場合」、「第4の場合」の一例である。いずれのケースA,D,G,Fでも、L番目〜L+3番目のライン画像データが、「第1グループのN本のライン画像データ」の一例である。また、図10のケースG(又はH)では、L+3番目〜L+6番目のライン画像データが、「第2グループのN本のライン画像データ」の一例である。
【0142】
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を説明する。本実施例では、図4及び図5のプリンタドライバ処理で実行される各供給処理(図4のS32等)が、図7の供給処理ではなく、図12の供給処理である。図12の供給処理では、「今回の部分画像データ」及び「前回の部分画像データ」という概念が利用される。「今回の部分画像データ」は、図12の供給処理の直前に選択された部分画像データであり、例えば、図4のS32の供給処理が実行される場合には、当該S32の供給処理の直前のS30で選択された部分画像データである。「前回の部分画像データ」は、「今回の部分画像データ」の前回に選択された部分画像データ(即ち、前回の供給処理の「今回の部分画像データ」)である。
【0143】
図12のS240において、決定部32は、今回の部分画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する。今回の部分画像データがカラーのライン画像データを含む場合(S240でYESの場合)には、S241に進み、今回の部分画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(S240でNOの場合)には、S244に進む。
【0144】
S241では、決定部32は、前回の部分画像データがカラーのライン画像データを含むのか否かを判断する。前回の部分画像データがカラーのライン画像データを含む場合(S241でYESの場合)には、S242に進み、前回の部分画像データがカラーのライン画像データを含まない場合(S241でNOの場合)には、S244に進む。
【0145】
S242では、決定部32は、今回の主走査の方向を、前回の主走査の方向(即ち前回の供給処理で決定された主走査の方向)と同方向に決定する。即ち、決定部32は、前回の主走査の方向が往路OPに決定された場合には、今回の主走査の方向を往路OPに決定し、前回の主走査の方向が復路RPに決定された場合には、今回の主走査の方向を復路RPに決定する。なお、S244〜S248は、図7のS144〜S148と同様である。
【0146】
上述したように、本実施例では、カラーパスの方向が往路OPに固定されない。そして、PC10は、前回の主走査がカラーパスである場合には、今回の主走査であるカラーパスの方向を、前回の主走査の方向と同方向に決定し(図12のS242)、前回の主走査がブラックパスである場合には、今回の主走査であるカラーパスの方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定する(図12のS244)。
【0147】
例えば、図2(B1)の比較例は、図2(A1)の比較例と同様の手法で、画像I2が印刷される様子を示す。この場合、カラーパスの回数が4回であり、トータルのパスの回数が7回であり、カラー画像の境界の数が2個である。これに対し、図2(B2)の第2実施例は、本実施例の手法で、画像I2が印刷される様子を示す。この場合、1回目の主走査がブラックパスであるために(1)、2回目の主走査であるカラーパスの方向は、前回の主走査の方向とは逆方向である復路RPに決定される(2)。また、2回目の主走査がカラーパスであるために(2)、3回目の主走査であるカラーパスの方向は、前回の主走査の方向と同方向である復路RPに決定される(4)。また、4回目の主走査がブラックパスであるために(5)、5回目の主走査であるカラーパスの方向は、前回の主走査の方向とは逆方向である復路RPに決定される(6)。
【0148】
図2(B2)の本実施例では、カラーパスの回数が3回であり、トータルのパスの回数が6回であり、カラー画像の境界の数が1個である。本実施例でも、カラーパスの回数を低減させることができ、この結果、カラー画像の境界の数を低減させることができる。このために、高画質の印刷済み画像をユーザに提供することができる。しかも、トータルのパスの回数も低減させることができ、高速で印刷することができる。
【0149】
なお、本実施例では、1枚の用紙に対する印刷の中で、往路OPのカラーパスと復路RPのカラーパスとの両方が実行され得る。この場合、往路OPのカラーパスで形成される第1のカラー画像内の例えば緑色と、復路RPのカラーパスで形成される第2のカラー画像内の例えば緑色と、の間で、見た目の色が変わり得る。しかしながら、本実施例では、2回の連続するカラーパスの方向が同方向に決定されるために、上記の第1及び第2のカラー画像が隣接しない。従って、見た目の色の違いをユーザが認識し難いために、ユーザが印刷済み画像を低画質と認識するのを抑制することができる。
【0150】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を例示することができる。
【0151】
(変形例1)上記の各実施例では、PC10が、各部30〜40を備えているが、それに代えて、プリンタ50内の制御部60が、各部30〜40を備えていてもよい。この場合、プリンタ50内の制御部60が「制御装置」の一例であり、プリンタ50内の供給部40は、プリンタ50内の印刷実行部(即ちヘッド駆動部54及び媒体搬送部56を制御するための印刷処理を実行する印刷処理部)に印刷データを供給してもよい。
【0152】
(変形例2)上記の各実施例では、決定部32は、CMYK画像データID内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択する。これに代えて、決定部32は、CMYK画像データIDに対してハーフトーン処理を実行して、ハーフトーン処理後のデータ(例えばドットON又はドットOFFの二値で表現されるデータ)を生成し、ハーフトーン処理後のデータ内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択してもよい。本変形例では、ハーフトーン処理後のデータが、「画像データ」の一例である。
【0153】
(変形例3)上記の各実施例では、決定部32は、副走査方向の下流側から上流側に向かって、CMYK画像データID内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択する。これに代えて、決定部32は、副走査方向の上流側から下流側に対応する側に向かって、CMYK画像データID内の各ライン画像データを解析して、各部分画像データを選択してもよい。本変形例では、副走査方向の上流側、副走査方向の下流側が、それぞれ、「第1の側」、「第2の側」の一例である。
【0154】
(変形例4)上記の第1実施例では、決定部32は、カラーパスの方向を往路OPに固定しているが、これに代えて、以下のいずれかの手法を採用してもよい。
【0155】
決定部32は、カラーパスの方向を復路RPに固定してもよい。本変形例では、復路RPが「特定の方向」の一例である。
【0156】
また、決定部32は、ユーザからの1回の指示に従って実行される1回の印刷において、1回目のカラーパスの方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、2回目以降のカラーパスの方向を、1回目のカラーパスの方向と同方向に決定してもよい。本変形例では、1回の印刷の1回目のカラーパスについては、前回の主走査の方向とは逆方向が「特定の方向」の一例であり、2回目以降のカラーパスについては、1回目のカラーパスの方向と同方向が「特定の方向」の一例である。
【0157】
また、決定部32は、1枚の用紙に対する印刷において、1回目のカラーパスの方向を前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、2回目以降のカラーパスの方向を、1回目のカラーパスの方向と同方向に決定してもよい。即ち、本変形例では、例えば、1ページ目の用紙に対する印刷のカラーパスの方向と、2ページ目の用紙に対する印刷のカラーパスの方向と、が変わり得る。本変形例では、1枚の用紙に対する印刷の1回目のカラーパスについては、前回の主走査の方向とは逆方向が「特定の方向」の一例であり、2回目以降のカラーパスについては、1回目のカラーパスの方向と同方向が「特定の方向」の一例である。
【0158】
(変形例5)上記の各実施例では、各部30〜40がソフトウェア(プリンタドライバ26)によって実現されるが、各部30〜40のうちの少なくとも1つが論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0159】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0160】
2:印刷システム、10:PC、50:インクジェットプリンタ、52:印刷ヘッド、I1〜I5:画像、KA:モノクロ画像の領域、COA:カラー画像の領域、BA:空白画像の領域、ID:CMYK画像データ、NC,NY,NM,NK:ノズル列、OP:往路、RP:往路、P:用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える印刷実行部であって、前記複数組のノズル列のそれぞれは、インクを吐出するためのN個(前記Nは2以上の整数)のノズルを含み、前記複数組のノズル列から印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、前記印刷ヘッドを第1の方向又は第2の方向に移動させる主走査を実行可能である前記印刷実行部に、印刷を実行させるための制御装置であって、
画像データを用いて、前記画像データによって表わされる画像の印刷を前記印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する印刷データ生成部であって、前記画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶ複数本のライン画像データを含む、前記印刷データ生成部と、
前記印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、を備え、
前記印刷データ生成部は、
前記画像データの中から、前記所定の方向の第1の側から第2の側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して、前記各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する決定部であって、前記各部分画像データは、前記所定の方向に沿って連続して並ぶN本以下のライン画像データを含む、前記決定部を備え、
前記印刷データ生成部は、前記印刷実行部が、前記決定部によって決定された前記方向に従って、主走査を実行するように、前記印刷データを生成し、
前記決定部は、今回の選択対象の1個の部分画像データである第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(A)連続して並ぶ第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの特定の1色のインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わす第1種のライン画像データである第1の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像データによって表わされる第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(B)前記第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わす第2種のライン画像データである第2の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定し、
(C)前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データから前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本(前記N1は前記N未満の整数)の対象ライン画像データが、前記特定の1色のインクのみによって印刷されるべきN1本のライン画像を表わし、かつ、前記第1グループのN本のライン画像データのうち、前記N1本の対象ライン画像データを除く(N−N1)本の残存ライン画像データが、前記第2種のライン画像データを含む第3の場合に、
前記N1本の対象ライン画像データのみを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
前記(N−N1)本の残存ライン画像データと、前記(N−N1)本の残存ライン画像データに隣接して前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本の追加ライン画像データと、を含む第2グループのN本のライン画像データを、第2の対象部分画像データとして選択して、前記第2の対象部分画像データによって表わされる第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第3の場合に、前記N1本の追加ライン画像データが前記第2種のライン画像データを含むのか否かを判断する判断部を備え、
前記決定部は、前記第3の場合において、前記N1本の追加ライン画像データが前記第2種のライン画像データを含むと判断される場合には、前記N1本の対象ライン画像データのみを前記第1の対象部分画像データとして選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記第3の場合において、前記N1本の追加ライン画像データが前記第2種のライン画像データを含まないと判断される場合には、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第3の場合において、前記第1グループのN本のライン画像データが、前記画像データ内の前記第2の側の端を構成するライン画像データを含む場合には、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(D)前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データから前記第2の側に向かって連続して並ぶN2本(前記N2は前記N未満の整数)の対象ライン画像データが、前記複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきN2本のライン画像を表わし、かつ、前記第1グループのN本のライン画像データのうち、前記N2本の対象ライン画像データを除く(N−N2)本の残存ライン画像データが、前記第1種のライン画像データを含む第4の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データが、前記複数色のうちのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでないライン画像を表わす第3種のライン画像データを含まないように、前記第1グループのN本のライン画像データを選択する、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記特定の方向は、前記第1の方向である、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記決定部は、1個の部分画像データを選択して、当該1個の部分画像データによって表わされる1個の部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定すべき際に、
前回の主走査が、前記複数色のうちの2色以上のインクを吐出させながら実行される場合には、前記特定の方向として、前回の主走査の方向と同じ方向を決定し、
前回の主走査が、前記特定の1色のインクのみを吐出させながら実行される場合には、前記特定の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向を決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記決定部は、
前記第1の側から前記第2の側に向かう順序で、各ライン画像データが、前記第1種のライン画像データと、前記第2種のライン画像データと、を含む複数種類のライン画像データのうちのいずれの種類のライン画像データであるのかを解析する解析部と、
前記解析の結果に従って、ライン画像データの数のカウントを実行するカウント部と、を備え、
前記カウント部は、
注目ライン画像データの前記解析の結果が前記第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始する第1のカウンタと、
前記第1のカウンタのカウント値がゼロであり、かつ、前記注目ライン画像データの前記解析の結果が前記第1種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始し、前記注目ライン画像データの前記解析の結果が前記第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを終了する第2のカウンタと、を含み、
前記決定部は、前記第1のカウンタのカウント値と前記第2のカウンタのカウント値との和が前記Nに等しい場合に、前記第1のカウンタのカウント値と前記第2のカウンタのカウント値とに基づいて、前記第1の対象部分画像データの前記選択と、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向の前記決定と、を実行する、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記特定の1色は、黒色を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える印刷実行部であって、前記複数組のノズル列のそれぞれは、インクを吐出するためのN個(前記Nは2以上の整数)のノズルを含み、前記複数組のノズル列から印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、前記印刷ヘッドを第1の方向又は第2の方向に移動させる主走査を実行可能である前記印刷実行部に、印刷を実行させるための制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記制御装置に、以下の各処理、即ち、
画像データを用いて、前記画像データによって表わされる画像の印刷を前記印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する印刷データ生成処理であって、前記画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶ複数本のライン画像データを含む、前記印刷データ生成処理と、
前記印刷データを前記印刷実行部に供給する供給処理と、を実行させ、
前記印刷データ生成処理は、
前記画像データの中から、前記所定の方向の第1の側から第2の側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して、前記各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する決定処理であって、前記各部分画像データは、前記所定の方向に沿って連続して並ぶN本以下のライン画像データを含む、前記決定処理を含み、
前記印刷データ生成処理では、前記印刷実行部が、前記決定部によって決定された前記方向に従って、主走査を実行するように、前記印刷データを生成し、
前記決定処理では、今回の選択対象の1個の部分画像データである第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(A)連続して並ぶ第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの特定の1色のインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わす第1種のライン画像データである第1の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像データによって表わされる第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(B)前記第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わす第2種のライン画像データである第2の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定し、
(C)前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データから前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本(前記N1は前記N未満の整数)の対象ライン画像データが、前記特定の1色のインクのみによって印刷されるべきN1本のライン画像を表わし、かつ、前記第1グループのN本のライン画像データのうち、前記N1本の対象ライン画像データを除く(N−N1)本の残存ライン画像データが、前記第2種のライン画像データを含む第3の場合に、
前記N1本の対象ライン画像データのみを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
前記(N−N1)本の残存ライン画像データと、前記(N−N1)本の残存ライン画像データに隣接して前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本の追加ライン画像データと、を含む第2グループのN本のライン画像データを、第2の対象部分画像データとして選択して、前記第2の対象部分画像データによって表わされる第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、コンピュータプログラム。
【請求項1】
複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える印刷実行部であって、前記複数組のノズル列のそれぞれは、インクを吐出するためのN個(前記Nは2以上の整数)のノズルを含み、前記複数組のノズル列から印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、前記印刷ヘッドを第1の方向又は第2の方向に移動させる主走査を実行可能である前記印刷実行部に、印刷を実行させるための制御装置であって、
画像データを用いて、前記画像データによって表わされる画像の印刷を前記印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する印刷データ生成部であって、前記画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶ複数本のライン画像データを含む、前記印刷データ生成部と、
前記印刷データを前記印刷実行部に供給する供給部と、を備え、
前記印刷データ生成部は、
前記画像データの中から、前記所定の方向の第1の側から第2の側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して、前記各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する決定部であって、前記各部分画像データは、前記所定の方向に沿って連続して並ぶN本以下のライン画像データを含む、前記決定部を備え、
前記印刷データ生成部は、前記印刷実行部が、前記決定部によって決定された前記方向に従って、主走査を実行するように、前記印刷データを生成し、
前記決定部は、今回の選択対象の1個の部分画像データである第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(A)連続して並ぶ第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの特定の1色のインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わす第1種のライン画像データである第1の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像データによって表わされる第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(B)前記第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わす第2種のライン画像データである第2の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定し、
(C)前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データから前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本(前記N1は前記N未満の整数)の対象ライン画像データが、前記特定の1色のインクのみによって印刷されるべきN1本のライン画像を表わし、かつ、前記第1グループのN本のライン画像データのうち、前記N1本の対象ライン画像データを除く(N−N1)本の残存ライン画像データが、前記第2種のライン画像データを含む第3の場合に、
前記N1本の対象ライン画像データのみを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
前記(N−N1)本の残存ライン画像データと、前記(N−N1)本の残存ライン画像データに隣接して前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本の追加ライン画像データと、を含む第2グループのN本のライン画像データを、第2の対象部分画像データとして選択して、前記第2の対象部分画像データによって表わされる第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第3の場合に、前記N1本の追加ライン画像データが前記第2種のライン画像データを含むのか否かを判断する判断部を備え、
前記決定部は、前記第3の場合において、前記N1本の追加ライン画像データが前記第2種のライン画像データを含むと判断される場合には、前記N1本の対象ライン画像データのみを前記第1の対象部分画像データとして選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記第3の場合において、前記N1本の追加ライン画像データが前記第2種のライン画像データを含まないと判断される場合には、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第3の場合において、前記第1グループのN本のライン画像データが、前記画像データ内の前記第2の側の端を構成するライン画像データを含む場合には、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(D)前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データから前記第2の側に向かって連続して並ぶN2本(前記N2は前記N未満の整数)の対象ライン画像データが、前記複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきN2本のライン画像を表わし、かつ、前記第1グループのN本のライン画像データのうち、前記N2本の対象ライン画像データを除く(N−N2)本の残存ライン画像データが、前記第1種のライン画像データを含む第4の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データが、前記複数色のうちのいずれの色のインクによっても印刷されるべきでないライン画像を表わす第3種のライン画像データを含まないように、前記第1グループのN本のライン画像データを選択する、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記特定の方向は、前記第1の方向である、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記決定部は、1個の部分画像データを選択して、当該1個の部分画像データによって表わされる1個の部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定すべき際に、
前回の主走査が、前記複数色のうちの2色以上のインクを吐出させながら実行される場合には、前記特定の方向として、前回の主走査の方向と同じ方向を決定し、
前回の主走査が、前記特定の1色のインクのみを吐出させながら実行される場合には、前記特定の方向として、前回の主走査の方向とは逆方向を決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記決定部は、
前記第1の側から前記第2の側に向かう順序で、各ライン画像データが、前記第1種のライン画像データと、前記第2種のライン画像データと、を含む複数種類のライン画像データのうちのいずれの種類のライン画像データであるのかを解析する解析部と、
前記解析の結果に従って、ライン画像データの数のカウントを実行するカウント部と、を備え、
前記カウント部は、
注目ライン画像データの前記解析の結果が前記第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始する第1のカウンタと、
前記第1のカウンタのカウント値がゼロであり、かつ、前記注目ライン画像データの前記解析の結果が前記第1種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを開始し、前記注目ライン画像データの前記解析の結果が前記第2種のライン画像データを示す場合に、ライン画像データの数のカウントを終了する第2のカウンタと、を含み、
前記決定部は、前記第1のカウンタのカウント値と前記第2のカウンタのカウント値との和が前記Nに等しい場合に、前記第1のカウンタのカウント値と前記第2のカウンタのカウント値とに基づいて、前記第1の対象部分画像データの前記選択と、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向の前記決定と、を実行する、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記特定の1色は、黒色を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
複数色のインクを吐出するための複数組のノズル列を含む印刷ヘッドを備える印刷実行部であって、前記複数組のノズル列のそれぞれは、インクを吐出するためのN個(前記Nは2以上の整数)のノズルを含み、前記複数組のノズル列から印刷媒体に向けてインクを吐出させながら、前記印刷ヘッドを第1の方向又は第2の方向に移動させる主走査を実行可能である前記印刷実行部に、印刷を実行させるための制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記制御装置に、以下の各処理、即ち、
画像データを用いて、前記画像データによって表わされる画像の印刷を前記印刷実行部に実行させるための印刷データを生成する印刷データ生成処理であって、前記画像データは、所定の方向に沿って連続して並ぶ複数本のライン画像データを含む、前記印刷データ生成処理と、
前記印刷データを前記印刷実行部に供給する供給処理と、を実行させ、
前記印刷データ生成処理は、
前記画像データの中から、前記所定の方向の第1の側から第2の側に向かう順序で、複数個の部分画像データを順次選択して、前記各部分画像データによって表わされる各部分画像を印刷するための主走査の方向を決定する決定処理であって、前記各部分画像データは、前記所定の方向に沿って連続して並ぶN本以下のライン画像データを含む、前記決定処理を含み、
前記印刷データ生成処理では、前記印刷実行部が、前記決定部によって決定された前記方向に従って、主走査を実行するように、前記印刷データを生成し、
前記決定処理では、今回の選択対象の1個の部分画像データである第1の対象部分画像データを選択すべき際に、
(A)連続して並ぶ第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの特定の1色のインクのみによって印刷されるべきライン画像を表わす第1種のライン画像データである第1の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像データによって表わされる第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
(B)前記第1グループのN本のライン画像データのそれぞれが、前記複数色のうちの2色以上のインクによって印刷されるべきライン画像を表わす第2種のライン画像データである第2の場合に、前記第1グループのN本のライン画像データを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、特定の方向に決定し、
(C)前記第1グループのN本のライン画像データ内の前記第1の側の端を構成するライン画像データから前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本(前記N1は前記N未満の整数)の対象ライン画像データが、前記特定の1色のインクのみによって印刷されるべきN1本のライン画像を表わし、かつ、前記第1グループのN本のライン画像データのうち、前記N1本の対象ライン画像データを除く(N−N1)本の残存ライン画像データが、前記第2種のライン画像データを含む第3の場合に、
前記N1本の対象ライン画像データのみを前記第1の対象部分画像データとして選択して、前記第1の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前回の主走査の方向とは逆方向に決定し、
前記(N−N1)本の残存ライン画像データと、前記(N−N1)本の残存ライン画像データに隣接して前記第2の側に向かって連続して並ぶN1本の追加ライン画像データと、を含む第2グループのN本のライン画像データを、第2の対象部分画像データとして選択して、前記第2の対象部分画像データによって表わされる第2の対象部分画像を印刷するための主走査の方向を、前記特定の方向に決定する、コンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−75456(P2013−75456A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217249(P2011−217249)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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