説明

印刷情報音声変換再生システム

【課題】観光ガイドブックなどに印刷された写真や文字などに関連する情報を、種々の言語に変換して音声により提供することにより、利用者が所望する言語により音声ガイドを提供する。
【解決手段】境内マップ1と読取装置5とからなる印刷情報音声変換システムであって、境内マップ1には、複数の国の国旗を表す言語情報印刷欄2が設けられており、該言語情報印刷欄2には、言語を示す音声情報がドットコードdにより重ねて印刷されており、ユーザが、言語情報から所望の言語を選択して読取装置5により読み取ることにより、前記言語情報が所望の言語に変換されて再生される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観光ガイドブックなどに印刷された写真や文字などに対応して印刷されたドットコードを読み取ることにより、該写真や文字に関連する情報を音声により提供する印刷情報音声変換再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷技術が発達し、商品カタログや書籍などにコード情報を印刷し、このコード情報を光学的に読み取ることにより、商品説明や文章を音声により伝達するシステムが出回ってきている。例えば、そのようなシステムとしては、特許文献1に記載の商品カタログ再生発注システムがある。この商品カタログ再生発注システムは、商品に係る写真、文字情報の他に、2次元データコードのコードパターンが印刷されており、このコードパターンをペン型情報再生装置により光学的に読み取ることにより、例えば、複数のカット写真や対象物の発する音、価格、納期、寸法などが音声により再生されるように構成されている。
【0003】
このように、音声情報をコード化し印刷して再生し得るようにすれば、紙面を増加させずに多岐にわたる情報を提供し、商品の判断の容易化、注文の簡易化が出来て商品販売者及び消費者の双方にとって便利である。
【0004】
例えば、このようなシステムを観光ガイドブックなどに使用すると、建物や仏像などに関する音声ガイドを聞くことができるので観光客にとっては便利である。ここで、近年、外国人の観光客が増加しており、観光ガイドブックなどには、英語、中国語、韓国語など外国語が日本語とともに併記されている場合があり、これら種々の言語によっても音声ガイドを聞くことが出来れば各国からの観光客にとって便利である。しかしながら、上記システムは種々の言語に変換して音声ガイドを提供するようには構成されておらず、外国からの観光客に対しては適切な音声ガイドを提供し得るシステムを構築することは出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−7057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、観光ガイドブックなどに印刷された写真や文字などに関連する情報を、種々の言語に変換して音声により提供することにより、利用者が所望する言語により音声ガイドが可能な印刷情報音声変換再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、画像と該画像に関連する音声情報とが印刷された観光ガイドブックと、該音声情報を読み取って再生可能な読取装置と、からなる印刷情報音声変換システムであって、前記音声情報は前記画像に重ねて印刷されたドットコードであり、前記観光ガイドブックには、前記音声情報を複数の言語に変換可能な言語情報が印刷されており、ユーザが、前記言語情報から所望の言語を選択して前記読取装置により読み取ることにより、前記言語情報が所望の言語に変換されて再生されることを特徴とする。
【0008】
前記観光ガイドブックには、前記画像に対応する文字情報と、該文字情報に関連する音声情報と、が印刷されており、該音声情報は前記文字情報に重ねて印刷されたドットコードであってもよい。
【0009】
前記言語情報は、複数の国の国旗を示す画像に重ねて印刷されていてもよい。
【0010】
ここで言う画像とは、文字以外の視覚で認識できる情報を意味し、写真、イラストなどの静止画である。また、観光ガイドブックには、複数の紙から書籍状に形成されたものだけでなく、一枚の紙からなるもの、一枚の紙を折りたたんで形成されたものなども含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像と該画像に関連する音声情報とが印刷された観光ガイドブックと、該音声情報を読み取って再生可能な読取装置と、からなる印刷情報音声変換システムであって、前記音声情報は前記画像に重ねて印刷されたドットコードであり、前記観光ガイドブックには、前記音声情報を複数の言語に変換可能な言語情報が印刷されており、ユーザが、前記言語情報から所望の言語を選択して前記読取装置により読み取ることにより、前記言語情報が所望の言語に変換されて再生されるように構成した。これにより、利用者が所望する言語により音声ガイドが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の印刷情報音声変換再生システムの一部である境内マップの平面図。
【図2】本発明の印刷情報音声変換再生システムの一部である読取装置のブロック図。
【図3】読取装置内の記憶部に記憶された記憶テーブルの一例を示す図であって、(a)は言語情報記憶テーブルを示す図、(b)は音声情報記憶テーブルを示す図。
【図4】読取装置内の記憶部に記憶された再生情報記憶テーブルの一例を示す図。
【図5】本発明の印刷情報音声変換再生システムの使用例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について以下に詳細に説明する。なお、以下においては、本発明をお寺の境内マップに適用した場合について説明するがこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は本発明の印刷情報音声変換再生システムの一部である境内マップの平面図、図2は本発明の印刷情報音声変換再生システムの一部である読取装置のブロック図、図3は読取装置内の記憶部に記憶された記憶テーブルの一例を示す図であって、(a)は言語情報記憶テーブルを示す図、(b)は音声情報記憶テーブルを示す図、図4は読取装置内の記憶部に記憶された再生情報記憶テーブルの一例を示す図、図5は本発明の印刷情報音声変換再生システムの使用例を示す模式図である。
【0015】
本発明の印刷情報音声変換再生システムは、境内マップ1と、読取装置5とからなる。
【0016】
図1に示すように、境内マップ1は、お寺内にある建造物、仏像などが境内のどこにあるかを示した案内図であり、複数の国の国旗が印刷された言語情報印刷欄2と、本堂や五重塔などの建造物、仏像、各種施設などが写真により示された写真情報印刷欄31、32、33、34、35、36(以下においては、写真情報印刷欄を総括的に表現するときは、「写真情報印刷欄3」と記載する。)と、写真情報印刷欄3のそれぞれの名称が記載された文字情報印刷欄41、42、43、44、45、46(以下においては、文字情報印刷欄を総括的に表現するときは、「文字情報印刷欄4」と記載する。)と、からなる。
【0017】
言語情報印刷欄2には、複数の国の国旗を表すイラストが印刷されており、ここでは、図中左から、日本、中国、韓国、米国、フランスの国旗が印刷されている。これらそれぞれの国旗には、それぞれの国の言語を示す音声情報がドットコード(詳細な説明は後述する)により重ねて印刷されている。具体的には、日本の国旗には日本語、中国の国旗には中国語、韓国の国旗には韓国語、米国の国旗には英語、そしてフランスの国旗にはフランス語である。なお、国旗はこれに限定されるものでもないし、また国旗の組み合わせ、数もこれに限定されない。
【0018】
写真情報印刷欄3には、境内にある本堂、五重塔などの建造物や仏像、各種施設などが写真により印刷されており、上記と同様に、写真情報印刷欄3のそれぞれに関連する音声情報がドットコードにより重ねて印刷されている。
【0019】
文字情報印刷欄4には、写真情報印刷欄3のそれぞれに対応する文字情報が印刷されており、ここでは、写真情報印刷欄3のそれぞれの名称(例えば、本堂や五重塔など)が印刷されており、上記と同様に、文字情報印刷欄4のそれぞれに関連する音声情報がドットコードにより重ねて印刷されている。
【0020】
言語情報印刷欄2に表示される国旗、写真情報印刷欄3に表示される建造物などの写真及び文字情報印刷欄4に表示される建造物などの名称(以下においては、これらを総括して「視覚情報」と言う)は、赤外線をほとんど吸収しないようなインク(例えば、基本の色インク、すなわちシアン、マゼンタ、イエローの組み合わせ)でカラー印刷され、一方、ドットコードは、これらの上に赤外線を吸収するインク(例えば、黒の油性インク)で印刷されている。
【0021】
上述したドットコードdは、図1中の拡大図に示すようなドット構成からなるものであり、各言語情報印刷欄2、各写真情報印刷欄3及び各文字情報印刷欄4のそれぞれに対応してドット構成が異なるように設定されている。このドットコードは、視覚上の邪魔にならないように容易に視認できないような小さなドット(0.5ミリ角内に6X6個)で構成されているとともに、6X6の2次元マトリックスコードを1つのデータ単位としている。このドットコードdは、上記視覚情報上に2次元的に連続して印刷されているもので、ヘッダ情報d1とデータ情報d2とから構成され、ヘッダ情報d1はドットコードdを他のドットコードdと切り分ける情報を備え、データ情報d2は視覚情報を特定する情報が表示されているものであり、この視覚情報を特定する情報は、後述するように、それぞれを特定するためのIDを示す情報である。
【0022】
読取装置5は、ペンタイプの筐体内に、制御部51、操作部52、2つの光源53,53、2つの導光体53a,53a、レンズ54、フィルタ55、画像センサ56、ドットパターン認識CPU57、記憶部58及び各種音声を外部に出力するスピーカ59を備えてなる。
【0023】
読取装置5は片手に収まる程度の大きさであり、制御部51は、読取装置5全体の動作を統括制御する機能を有し、操作部52は、電源のON−OFボタン,音量調整ボタン,リセットボタンなどユーザが外部より操作する操作ボタン類からなる。
【0024】
2つの光源53、53は赤外線を照射する赤外線LEDであり、導光体53a,53aは光源53,53から照射された赤外線を境内マップ1に導く機能を有する。レンズ54は境内マップ1に向けた赤外線の反射光を集光させる凸レンズであり、この集光された反射光はフィルタ55を介して画像センサ56に取り込まれる。ドットパターン認識CPU57には、画像処理プログラムが内蔵されている。
【0025】
光源53,53から導光体53a,53aを介して境内マップ1に照射された赤外線の一部はドットコードdで吸収され、ドットコードdのない部分に照射された赤外線は視覚情報を透過し、境内マップ1で反射拡散する。そして、反射光はレンズ54で集光されフィルタ55を通して画像センサ56に取り込まれ、取り込まれた画像はデジタル信号に変換され、デジタル信号はドットパターン認識CPU57でデータ情報d2からドットコードdが解析され、そのドットコードdを構成するドットの組合せを数字コードに変換する。この数字コードが後述する各種IDである。
【0026】
記憶部58はROMで構成されており、記憶部58内には各種音声情報が記憶されている。具体的には、図3及び図4に示すような言語情報記憶テーブルT1、音声情報記憶テーブルT2及び再生情報記憶テーブルT3として記憶されている。
【0027】
言語情報記憶テーブルT1は、言語IDと言語情報とからなり、各国の言語情報にはそれぞれ固有の言語IDが対応付けられて記憶されている。音声情報記憶テーブルT2は、情報IDと音声情報とからなり、建造物、仏像、各種施設などそれぞれに関連する音声情報にはそれぞれ固有の情報IDが対応付けられて記憶されている。
【0028】
再生情報記憶テーブルT3は、言語情報記憶テーブルT1と音声情報記憶テーブルT2との組み合わせが示された記憶テーブルである。具体的には、例えば、音声情報が本堂に関連するものであれば、本堂を説明するための情報として、日本語、中国語、韓国語、米国語及びフランス語の6カ国で再生される音声情報が記憶されている。本実施形態においては、言語情報として6カ国、音声情報として6個なので、6×6=36個の音声情報が記憶されている。なお、この記憶部58は、読取装置5にカートリッジを設け、このカートリッジに挿入されるSDカード、マイクロSDカードなどの各種記憶媒体により構成してもよい。
【0029】
次に、図5を参照しながら、このように構成された印刷情報音声変換システムの使用例を動作説明とともに行う。なお、本使用例においては、参拝者はフランス人であるとする。
【0030】
まず、お寺の境内を参拝する参拝者に、境内マップ1及び読取装置5がレンタルされる。参拝者は境内マップを参照しながら、境内を参拝し、本堂前に来たら読取装置5の電源をONにし、読取装置5のペン先を言語情報印刷欄25に合わせる(STEP1)。すると、読取装置5内では、言語情報印刷欄25に重ねて印刷されたドットコードの読取動作と、このドットコードに対応する言語IDの解析動作が言語情報記憶テーブルT1に基づき行われ言語IDは「0010」に設定され一時的に制御部51内に記憶される。この解析が終了すると、スピーカ59から「中国語」との音声が中国語により出力される。
【0031】
続いて読取装置5のペン先を矢印方向に動かし、写真情報印刷欄31に合わせる(STEP2)。すると、読取装置5内では、写真情報印刷欄31に重ねて印刷されたドットコードの読取動作と、このドットコードに対応する情報IDの解析動作が音声情報記憶テーブルT2に基づき行われ、情報IDは「0110」に設定され一時的に制御部51内に記憶される。この解析動作が終了すると、更に、言語IDと情報IDのAND処理動作が制御部51で行われ、このAND処理動作により、再生情報記憶テーブルT3を参照して合成IDが制御部51において算出され、対応する音声がスピーカ59から出力される。
【0032】
このAND処理動作を具体的に説明すると、STEP1により言語IDが「0010」と解析され、STEP2によりまず情報IDが「0110」と解析される。次いで、このANDを取ることにより、言語IDと情報IDのANDである合成IDが「00100110」と解析される。そして、再生情報記憶テーブルT3内を検索し、この解析された合成IDに対応する言語情報及び音声情報を検出し、その結果、本堂に関する説明が中国語により音声出力されることとなる。
【0033】
なお、上記「本堂に関する説明が中国語により音声出力」された後あるいは途中において、五重塔に関する音声説明を所望する場合には、上記と同様に、読取装置5のペン先を写真情報印刷欄32あるいは文字情報印刷欄42に合わせれば読取装置5からは「五重塔に関する説明が中国語により音声出力」されることとなる。この場合、読取装置5内においては、言語IDは「0010」に保持したまま情報IDが「0111」に変更され、合成IDが「00100111」に変換されることとなる。
【0034】
一方、音声情報は本堂に関するものにした状態から、言語を例えば、日本語に変更するときは、まず、読取装置5のペン先を言語情報印刷欄21に合わせた後、ペン先を所望の写真情報印刷欄3、例えば、写真情報印刷欄32に合わせれば、「五重塔に関する説明が日本語により音声出力」されることとなる。この場合、読取装置5内においては、言語IDが「0010」から「0001」に変更されるとともに、情報IDが「0110」から「0111」に変更され、合成IDが「00010111」に変換されることとなる。
【0035】
このように、本発明の印刷情報音声変換システムにおいては、建造物、仏像、各種施設などに関連する説明がユーザが所望する言語により音声に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 境内マップ
2、21、22、23、24、25 言語情報印刷欄
3、31、32、33、34、35、36 写真情報印刷欄
4、41、42、43、44、45、46 文字情報印刷欄
5 読取装置
51 制御部
52 操作部
53 光源
53a 導光体
54 レンズ
55 フィルタ
56 画像センサ
57 ドットパターン認識CPU
58 記憶部
59 スピーカ
d ドットコード
d1 ヘッダ情報
d2 データ情報
T1 言語情報記憶テーブル
T2 音声情報記憶テーブル
T3 再生情報記憶テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像と該画像に関連する音声情報とが印刷された観光ガイドブックと、該音声情報を読み取って再生可能な読取装置と、からなる印刷情報音声変換システムであって、
前記音声情報は前記画像に重ねて印刷されたドットコードであり、
前記観光ガイドブックには、前記音声情報を複数の言語に変換可能な言語情報が印刷されており、
ユーザが、前記言語情報から所望の言語を選択して前記読取装置により読み取ることにより、前記言語情報が所望の言語に変換されて再生されること
を特徴とする印刷情報音声変換システム。
【請求項2】
前記観光ガイドブックには、前記画像に対応する文字情報と、該文字情報に関連する音声情報と、が印刷されており、該音声情報は前期文字情報に重ねて印刷されたドットコードであることを特徴とする請求項1に記載の印刷情報音声変換システム。
【請求項3】
前記言語情報は、複数の国の国旗を示す画像に重ねて印刷されていることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の印刷情報音声変換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−231687(P2010−231687A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80914(P2009−80914)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(508132344)ダンク セキ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】