説明

印刷方法および印刷装置

【課題】反りを持ったプリント基板等へストレスを与えずに、精度よく再現性高く印刷できるようにする。
【解決手段】マスク3は若干のたるみをもってマスク枠4に固着されている。マスク枠4は、ベース7上にガイドピン7bに位置決めされて載置され、ベース7の側面に固定されたクランプ機構5によりクランプされる。その際に、クランプ機構5の先端部に設置された押圧弾性部材6がマスクの上面を押圧し、そのたわみを除去する。基板1は2上にガイドピン2aに位置決めされて載置される。印刷時には、ステージ2が上昇して基板1の上面がマスク面に接触する。その状態でスキージ(図示なし)を走行させて印刷を行う。その際、基板にマスクが密着した状態で印刷が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法および印刷装置に関し、特に、印刷マスクとスキージとを使用してプリント基板にはんだペーストをスクリーン印刷するのに適した印刷方法と印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実装工程において、プリント基板にはんだペーストをスクリーン印刷することが行われているが、印刷の行われるプリント基板には反りが生じている場合が多い。反りのあるプリント基板に印刷を行なうとパターンを高精度に印刷することができない、版離れが不均一になる、などの難点があるので、従来、極力反りを矯正するようにして印刷を行なってきた。例えば、特許文献1により開示された方法では、磁石によりマスクを吸引してプリント基板の反りを矯正している。図5は、特許文献1により開示された印刷方法を示す断面図である。反りを有するプリント基板11は、真空吸着が可能な吸着ステージ12上に載置されている。吸着ステージ12内には電磁石10が埋め込まれている。プリント基板11の上方には、マスク枠14に固着された金属製のマスク13が配置されている。印刷に際して、先ず、吸着ステージ12によりプリント基板11を真空吸着する。次に、電磁石10をONしてマスク13を吸引しながら、スキージによってマスク13を押圧してクリーム半田を印刷する。最後に、電磁石10をOFFにしてプリント基板11を吸着ステージ12から取り外す。
【特許文献1】特開2004−230871号公報(段落[0011]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来技術のように、磁力によって金属製マスクを吸引して基板の反りを矯正するには、非常に大きな磁力が必要になり、装置の大型化を招くことになる。特に特許文献1の場合のように電磁石吸引と真空吸引とを同一ステージにおいて併用する場合、装置の複雑化を招くことになる。また、基板の反りを強制的に矯正する場合、プリント基板内部に大きな応力が発生し、基板の内部配線を切断する恐れが生じる。さらには、版離れ動作の際、基板端部では、急速にギャップが大きくなり、基板面内で均一な印刷条件を設けることができない、という問題も起こる。
【0004】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、第1に、装置の大型化・複雑化を招くことなくかつ基板にストレスを与えることなく、版離れを均一化して精度よく印刷を行ない得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、所要の印刷パターンが形成されたマスクとスキージとを用いて基板上に所要のパターンを印刷する印刷方法において、前記マスクに前記基板へ向う方向のテンションを前記マスクの前記印刷パターンが形成されていない領域に加えつつ印刷することを特徴とする印刷方法、が提供される。
そして、好ましくは、前記基板は反りを有するものであって、印刷はその反りを矯正することなく、かつ、前記基板に前記マスクを密着させた状態で行なわれる。
【0006】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、被印刷物である基板を保持するステージと、所要の印刷パターンが形成されたマスクと、前記マスクを保持するマスク枠と、前記マスク枠をベースに保持するクランプ機構と、を有する印刷装置において、弾性を有し前記マスクの上面に対し下方に向けテンションを与える押圧部材が少なくとも2箇所に設置されていることを特徴とする印刷装置、が提供される。
そして、好ましくは、前記マスクは、ある程度のたるみや反りを持って前記マスク枠に保持されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弾性のある押圧部材で上からマスクにテンションを加えつつスクリーン印刷が行われる。この構成によると、印刷に先立ってマスクと基板とを接触させると基板に反りがある場合マスクが変形して基板とマスクとが広い面積で接触することになる。そしてスキージをマスクに押圧して移動させると弾性部材の伸長と縮小およびマスクの弾性変形により、基板に反りがあってもマスクが基板の反りに追従することが可能になり、常にマスクが基板に密着した状態で印刷が行われることになる。そして、基板に反りのある状態のままで印刷が行われ、基板に特別の矯正力が作用することはないので、基板の損傷や内部配線の断線は防止される。そして、本発明による印刷装置では、単にマスクにテンションを与える押圧部材を付加するのみであるので、装置の大型化や複雑化を招くことなく上記の効果を享受することができる。さらに、印刷が終了した際、上下方向に移動できるステージが下方に移動することにより版離れが行われるので、基板面内での版離れの均一性を高く維持することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の印刷装置を示す斜視図である。図1に示すように、マスク3は、マスク枠4に固着されている。このとき、マスク3は若干のたるみをもってマスク枠4に固着されることが望ましい。マスク3の中央部には印刷パターン部3aが設けられており、ここに印刷すべきパターンが開口されている。マスク枠4は、その短辺側の2箇所においてクランプ機構5により、ベース7上に押さえ込まれている。ベース7は、概略U字状の平面形状を有する部材であって、その四隅に設けられた開口7aにより装置本体(図示なし)にネジ留めされている。クランプ機構5の内側先端部には、板状の押圧弾性部材6が固着されており、押圧弾性部材6は、マスク3を上から下方に向けて押圧している。これにより、マスクはたるみのない状態で保持されることになる。マスク3の印刷パターン部3aを除くクランプ機構5間の領域は、マスクとはんだを馴染ませるためのスキージの空走領域となっている。本発明においては、クランプ機構5に設置される押圧弾性部材6は、マスク3上の空走領域の余白部分に位置しているので、この部材を設けたことによって装置が大型化することはない。
【0009】
図2〜図4は、本発明の一実施の形態の印刷装置の動作説明側面図であって、図2は、クランプ機構5が開いた状態を、図3は、クランプ機構がマスク枠4をクランプした状態を、図4は、印刷時の状態を、それぞれ示す。図2に示すように、クランプ機構5は、概略、本体5a、把手5b、取着部5cの3要素により構成される。本体5aと把手5bとはリンク5dを介して連結されている。また、本体5aと取着部5cとは支軸5eを介して回転自在に連結され、把手5bと取着部5cとは支軸5fを介して回転自在に連結されている。取着部5cは、ベース7の側面にネジ留めされている。押圧弾性部材6は、本体5aと保持板5gとの間に挟持されており、保持板5gは本体5aにネジ留めされている。本体5aの下面にはマスク枠4を固定するための固定ピン5hが設置されている。
【0010】
ステージ2上には、ガイドピン2aが設置されており、紙面奥側に設置されたガイドピンと図示されたガイドピン2aに基板1を当接させて基板の位置決めを行なう。また、ベース7上には、ガイドピン7bが設置されており、紙面奥側に設置されたガイドピンと図示されたガイドピン7bにマスク枠4を当接させてマスク枠の位置決めを行なう。このようにして、基板1とマスク枠4との水平方向の位置決めは達成される。なお、図2に示された状態では、マスク3は未だたるみを有している。
【0011】
図2に示す状態からクランプ機構5の把手5bを矢印向きに回動させると、リンク5dを介して連結された本体5aも回動して、図3に示されるように、固定ピン5hがマスク枠4の上面に当接し、マスク枠はベース7とクランプ機構5との間に挟み込まれる。これにより、マスク枠4の垂直方向の位置が確定される。同時に、押圧弾性部材6の先端部がマスク3に当接し、これを下方に押圧する。これによりマスク3に生じていたたるみは除去される。この段階で、マスク3とステージ2との間に設置された、画像処理装置に接続されたカメラ(いずれも図示なし)により、マスク3と基板1を観察し、位置合わせを確認する。位置ずれが検出された場合には、例えばステージ2を水平面内で移動させて位置合わせを行なう。カメラは、マスク上に設置されていてもよい。また、実体顕微鏡により観察して位置合わせを行なうようにしてもよい。
【0012】
続いて、図4に示すように、ステージ2を上昇させて、基板1をマスク3に接触させる。このとき反りのある基板1の曲面に合わせマスク3が湾曲することになる。本発明の印刷装置においては、基板1がマスク3と密接した際には、基板1の反りを矯正することなく、マスクの弾力性を利用して押し付け、マスク3と基板1との接触圧力は、ステージ2の押し上げ力と、その力に対抗する押圧弾性部材6の復元力によって決定される。この際、基板にストレスを与えないように、ステージ2とマスク3の位置を決定する。ステージ2は、図示が省略された上下動機構上に設置されており、これを用いてステージ2の上下動が行われる。次に、スキージ8をマスク面に押し付けながら図の右方向に移動させて、あるいはスキージ8をマスク面に押し付けながら図の左方向に移動させて印刷を行なう。基板1の図の左右端における印刷時には、押圧弾性部材5の伸縮とマスク3の弾性変形により基板表面とマスクとが密着することになる。印刷の際のスキージの押圧力も基板の反りを矯正するほどの強さではなく、基板が反った状態のまま印刷が行なわれるので、印刷時に基板内部に大きな応力が加わることはない。印刷終了後、ステージ2を降下させる。このとき、版離れが起こるが、ステージが降下を始める直前には基板とマスクとは広い面積に渡って接触しているので、基板面内で版離れの均一性を高く維持することができる。ステージを降下させた後、印刷済みの基板1を取り外し別の基板と交換する。そして、以下同様の手順により印刷を続ける。
【0013】
上述した実施の形態は、クランプ機構を2個設け、それぞれに押圧弾性部材を保持させるものであったが、クランプ機構をマスク枠の各辺に設置し、それぞれに押圧弾性部材を保持させるようにしてもよい。前述の実施の形態では、基板が対向する二辺に沿って反っている場合には適しているが、その二辺と直交する辺に沿っても基板が反っている場合(基板がbowl状に反っている場合)には、マスクと基板との密着性が低下する。このような基板に対しては、クランプ機構を4個設け、マスクを四辺に沿って押圧弾性部材によりテンションを加えることにより、マスクの基板への密着性を高めることができる。
【0014】
以上の説明では、基板が凸状に反っていることを前提としていたが、本発明によると基板が凹状に反っている場合にも同様の効果を得ることができる。但し、ステージ上で基板が転がることのないように、基板位置決め用のガイドピンの形状を変更したり、あるいは基板下にスペーサを配置するなどの手当てが必要となる。
上述した実施の形態では、押圧弾性部材6はクランプ機構により保持されていたが、必ずしもそのようにする必要はなく、例えばメタル枠4やベース7に設置するようにしてもよい。押圧弾性部材としては、弾性のある樹脂、ばね、シリンダ、アブソーバなどが使用可能である。
本発明は、半田ペーストの印刷に有利に適用できるがこれに限定されず、導電性ペーストなど他の材料の印刷にも適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態の印刷装置を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態の印刷装置の動作説明側面図(その1)。
【図3】本発明の一実施の形態の印刷装置の動作説明側面図(その1)。
【図4】本発明の一実施の形態の印刷装置の動作説明側面図(その1)。
【図5】従来の印刷装置の断面図。
【符号の説明】
【0016】
1 基板
2 ステージ
2a ガイドピン
3、13 マスク
3a 印刷パターン部
4、14 マスク枠
5 クランプ機構
5a 本体
5b 把手
5c 取着部
5d リンク
5e、5f 支軸
5g 保持板
5h 固定ピン
6 押圧弾性部材
7 ベース
7a 開口
7b ガイドピン
、8 スキージ
10 電磁石
11 プリント基板
12 吸着ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の印刷パターンが形成されたマスクとスキージとを用いて基板上に所要のパターンを印刷する印刷方法において、前記マスクに前記基板へ向う方向のテンションを前記マスクの前記印刷パターンが形成されていない領域に加えつつ印刷することを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
前記基板は反りを有するものであって、印刷はその反りを矯正することなく行なわれることを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記基板は反りを有するものであって、印刷はその反りを矯正することなく、かつ、前記基板に前記マスクを密着させた状態で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記マスクに加えるテンションは、前記マスクの対向する二辺に沿って、若しくは、前記マスクの四辺に沿って加えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項5】
印刷されるパターンははんだペーストのパターンであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項6】
被印刷物である基板を保持するステージと、所要の印刷パターンが形成されたマスクと、前記マスクを保持するマスク枠と、前記マスク枠をベースに保持するクランプ機構と、を有する印刷装置において、弾性を有し前記マスクの上面に対し下方に向けテンションを与える押圧部材が少なくとも2箇所に設置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
前記マスクは、ある程度のたるみを持って前記マスク枠に保持されていることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記クランプ機構は、前記マスク枠のスキージの走行方向と直交する二辺に沿って設置されて前記マスク枠をクランプしており、各クランプ機構に前記押圧部材が設置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記クランプ機構は、前記マスク枠の四辺に沿って設置されて前記マスク枠をクランプしており、各クランプ機構に前記押圧部材が設置されていることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記ベースには、前記マスク枠を突き当てるガイドピンが設置されていることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項11】
前記ステージには、前記基板を突き当てるガイドピンが設置されていることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項12】
前記ステージは、上下動機構により上下動可能に支持されていることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項13】
前記マスクと前記ステージの間、若しくは、マスクの上方に画像処理装置に接続されたカメラが設置されていることを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−155557(P2008−155557A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348973(P2006−348973)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】