印刷方法および製品
【課題】樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、この湾曲部に絵柄をカラー印刷することを可能とする。
【解決手段】樹脂製の湾曲部であるヘッドフォンのヘッドバンド10に対して絵柄を印刷する際に、このヘッドバンド10に対して負荷をかけることにより伸張させ、伸張されたヘッドバンド10を伸張された状態で治具40によって固定する。そして、この治具40に固定されたヘッドバンド10に対してインクジェットプリンタ等によりUVインクを用いたカラー印刷を行う。
【解決手段】樹脂製の湾曲部であるヘッドフォンのヘッドバンド10に対して絵柄を印刷する際に、このヘッドバンド10に対して負荷をかけることにより伸張させ、伸張されたヘッドバンド10を伸張された状態で治具40によって固定する。そして、この治具40に固定されたヘッドバンド10に対してインクジェットプリンタ等によりUVインクを用いたカラー印刷を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品に対して絵柄を印刷する印刷方法および、この印刷方法により絵柄が印刷された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタの機能が発達したことにより様々な製品に対して印刷を行うことが可能となっている。特にインクジェットプリンタの発達により様々な形状の製品に対しても印刷を行うことが可能となっている。インクジェットプリンタはインクを吐出させて被印刷物に付着させるため、被印刷面に多少の凹凸があっても印刷を行うことが可能である。
【0003】
しかし、このようなインクジェットプリンタを用いたとしてもヘッドフォンのヘッドバンドのように大きな曲率を有する湾曲部に対して絵柄を印刷することはできない。何故ならば、このようなヘッドバンドに対して印刷を行おうとしても、ヘッドバンドの端部はインク吐出部から距離が離れるとともにインクの吐出方向に対して被印刷面が斜めになってしまうため絵柄を正しくきれいに印刷することができないからである。
【0004】
このような曲率の大きい湾曲部に対して絵柄を印刷する方法としては、シールにより絵柄を貼り付ける方法や、パッド印刷により印刷する方法(例えば、特許文献1参照。)や熱転写により印刷を行う方法等が考えられる。
【0005】
しかし、シールにより絵柄を貼り付ける方法では、そもそも絵柄を印刷するものではないため、経年変化によりシールが剥がれてしまい汚らしくなるという致命的な欠陥がある。
【0006】
また、パッド印刷により印刷する方法でも、カラー印刷により絵柄を湾曲部に印刷するようなことは不可能である。なぜなら、このパッド印刷とは、ゴム材料により構成されたパッドの転写面に印刷パターンを転写し、この転写面を被印刷物に押し付けることにより被印刷面に印刷パターンを転写するという印刷方法である。そのため、このようなパッド印刷によれば、曲面状の被印刷面に対して絵柄を印刷することが可能である。しかし、このようなパッド印刷で可能なのは1種類のインクのみを用いた単色での印刷だけであり、パッド印刷によりカラー印刷を実現することはできない。
【0007】
また、熱転写により印刷を行う方法では、被印刷物が樹脂製のように高温に耐えられない材料の場合には、被印刷物が熱により溶けてしまうため使用することができでないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−156819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記で説明したような理由により、従来のいずれの印刷方法を用いたとしても、樹脂製の湾曲部に対してカラー印刷により絵柄を印刷することができない。しかし、近年、様々な製品の様々な場所に絵柄をカラー印刷によって印刷したいという要望が出てきており、樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、湾曲部に絵柄をカラー印刷することができるような印刷方法が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、この湾曲部に絵柄をカラー印刷することが可能な印刷方法および、この印刷方法により絵柄が印刷された製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[印刷方法]
本発明に係る印刷方法は、樹脂製の湾曲部を有する製品に対する印刷方法であって、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップとを有する。
【0012】
また、本発明では、前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップにおいて、
前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行うようにしても良い。
【0013】
また、本発明では、前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行うステップにおいて、
前記治具に固定された湾曲部に対してインクジェット印刷によるUVインクを用いたカラー印刷を行うようにしても良い。
【0014】
また、本発明では、前記製品をヘッドフォンとし、前記湾曲部をヘッドバンドとしても良い。
【0015】
[製品]
また、本発明に係る製品は、樹脂製の湾曲部を有する製品であって、
前記湾曲部が、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップとを有する印刷方法により絵柄が印刷がされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、この湾曲部に絵柄をカラー印刷することが可能な印刷方法および、この印刷方法により絵柄が印刷された製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の印刷方法により絵柄をカラー印刷により印刷しようとする製品であるヘッドフォンの概観を示す図である。
【図2】図1に示したヘッドフォンを分解した様子を示す図である。
【図3】ヘッドバンド10に対して負荷をかけて伸張させる様子を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態の印刷方法により使用される治具40の構造を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の印刷方法により使用される治具40の反対側の構造を説明するための斜視図である。
【図6】治具40にヘッドバンド10を伸張させた状態で固定した様子を示す図である。
【図7】6個の治具40a〜40fを連結させる様子を説明するための図である。
【図8】連結された6個の治具40a〜40fの斜視図である。
【図9】ヘッドバンド10にそれぞれ絵柄が印刷された状態を示す図である。
【図10】湾曲部に絵柄がカラー印刷されたヘッドバンド10を示す図である。
【図11】湾曲しているヘッドバンド10に絵柄がカラー印刷されたヘッドフォンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の印刷方法により絵柄をカラー印刷により印刷しようとする製品であるヘッドフォンの概観を示す図である。
【0019】
このヘッドフォンは、図1に示されるように、ヘッドバンド10および左右のイヤーパッド部20、30とから構成されている。そして、このヘッドフォンは、図2に示されるように、ヘッドバンド10および左右のイヤーパッド部20、30を分解することが可能な構成となっている。
【0020】
本実施形態では、このヘッドバンド10の湾曲している面に絵柄をカラー印刷する場合の印刷方法について説明する。本実施形態の印刷方法により、このヘッドフォンのヘッドバンド10に絵柄を印刷しようとする場合、先ず図2に示すようにヘッドバンド10と左右のイヤーパッド部20、30を分解する。
【0021】
次に、図3に示すように、この分解して取り出したヘッドバンド10に対して負荷をかけることにより湾曲しているヘッドバンド10が真っ直ぐになるように伸張させる。
【0022】
そして、伸張されたヘッドバンド10を伸張したままの状態で、図4に示すような治具40によって固定する。
【0023】
本実施形態の印刷方法により使用される治具40は、図4に示されるように、絵柄を印刷しようとするヘッドバンド10の形状に合わせて作成されている。そして、この治具40は、単にヘッドバンド10を固定させるだけでなく、ヘッドバンド10を伸張させた状態で固定可能なような形状になっている。
【0024】
なお、この治具40の片側には、2箇所にボス(突起部)41、42が設けられており、また図5に示すように、反対側には他の治具40のボス41、42と嵌合させるためのボス受け孔43、44が設けられている。
【0025】
この治具40に、ヘッドバンド10を伸張させた状態で固定した様子を図6に示す。図6を参照すると、治具40により固定されたヘッドバンド10は完全に平坦ではないものの、絵柄がインクジェット印刷により印刷可能な程度に平坦になっているのが分かる。
【0026】
そして、本実施形態の印刷方法では、このようにヘッドバンド10を伸張した状態で固定した治具40を複数連結された状態で印刷を行う。ここで、治具40には、ボス41、42およびボス受け孔43、44が設けられているため、隣接する治具どうしをずれることなく並べることが可能となっている。
【0027】
例えば、6個の治具を連結された状態で印刷を行う場合を用いて説明を行う。そのため、以下の説明では、6個の治具40をそれぞれ、40a〜40fとして表す。
【0028】
先ず、6個の治具40a〜40fを連結させる様子を図7を参照して説明する。図7では、治具40aのボス41、42が隣接する治具40bのボス受け孔44、43に嵌合することによって位置ずれすることなく連結される様子が示されている。このようにして6個の治具40a〜40fはお互いに隣接する他の治具と連結されることにより位置ずれすることなく連結される。
【0029】
このようにして連結された6個の治具40a〜40fの斜視図を図8に示す。図8に示されたように、6個の治具40a〜40fは、それぞれ隣接する治具と連結するとともに、それぞれヘッドバンド10を伸張された状態で固定していることが分かる。
【0030】
そして、図8に示したように6個の治具40a〜40fが連結された状態で、インクジェット印刷装置(不図示)によって、それぞれのヘッドバンド10に対して絵柄を印刷する。なお、インクジェット印刷装置は、このヘッドバンド10の印刷を行いたいエリアにのみUV(Ultra Violet)インク(紫外線硬化インク)を用いたインクジェット印刷を行うことにより絵柄を印刷する。
【0031】
このようにしてヘッドバンド10にそれぞれ絵柄50が印刷された状態を図9に示す。この後、UV光をヘッドバンド10に照射することによりUVインクを硬化させ、印刷処理は終了する。
【0032】
その後、それぞれの治具40a〜40fからヘッドバンド10をはずすことにより、図10に示されるような絵柄50がカラー印刷されたヘッドバンド10を得ることができる。
【0033】
そして、最後に、この絵柄50が印刷されたヘッドバンド10にイヤーパッド部20、30を装着することにより、図11に示すように湾曲しているヘッドバンド10に絵柄50がカラー印刷されたヘッドフォンが完成する。
【0034】
本実施形態の印刷方法によれば、製品から湾曲部を取り外して治具により伸張した状態で固定して印刷処理を行っているため、本来であればインクジェットプリンタでも印刷が不可能な場所に対しても印刷が可能となる。
【0035】
そして、インクジェットプリンタにより複数色のUVインクを印刷するようにすればカラー印刷を行うことが可能であり、本実施形態の印刷方法によれば、樹脂製等の湾曲部に対しても高品質なカラー印刷を行うことが可能となる。
【0036】
[変形例]
上記実施形態では、インクジェット印刷によるUVインクを用いたカラー印刷により、治具40に固定された湾曲部に対して絵柄50を印刷する場合について説明しているが本発明はこのような形態に限定されるものではない。インクジェット印刷以外の印刷方法によりUVインクを用いて湾曲部に対して印刷を行う場合にも本発明は同様に適用可能である。また、UVインクを用いない他の印刷方法によってカラー印刷を行うような場合でも、本発明は適用可能であり、伸張された状態で治具40に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うことが可能である。さらに、被印刷媒体である湾曲部の素材の熱耐性が高く、昇華型印刷等の熱転写印刷における熱転写加工温度を上回る場合には、熱転写印刷によって、伸張された状態で治具40に固定された樹脂製の湾曲部に対してカラー印刷を行うようにすることも可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、湾曲部を有する製品がヘッドフォンであり、湾曲部がヘッドバンドである場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、樹脂製の湾曲部を有する他の製品に対しても同様に適用することができるものである。例えば、カチューシャ等のヘアバンドのように伸張可能な湾曲部を有する製品であれば、本発明は同様に適用可能である。
【0038】
さらに、湾曲部はかならずしも樹脂製である必要はなく、伸張可能であり伸張された状態で治具に固定可能であれば、金属製の湾曲部等に対しても同様に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 ヘッドバンド
20 イヤーパッド部
30 イヤーパッド部
40、40a〜40f 治具
41、42 ボス
43、44 ボス受け孔
50 絵柄
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品に対して絵柄を印刷する印刷方法および、この印刷方法により絵柄が印刷された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタの機能が発達したことにより様々な製品に対して印刷を行うことが可能となっている。特にインクジェットプリンタの発達により様々な形状の製品に対しても印刷を行うことが可能となっている。インクジェットプリンタはインクを吐出させて被印刷物に付着させるため、被印刷面に多少の凹凸があっても印刷を行うことが可能である。
【0003】
しかし、このようなインクジェットプリンタを用いたとしてもヘッドフォンのヘッドバンドのように大きな曲率を有する湾曲部に対して絵柄を印刷することはできない。何故ならば、このようなヘッドバンドに対して印刷を行おうとしても、ヘッドバンドの端部はインク吐出部から距離が離れるとともにインクの吐出方向に対して被印刷面が斜めになってしまうため絵柄を正しくきれいに印刷することができないからである。
【0004】
このような曲率の大きい湾曲部に対して絵柄を印刷する方法としては、シールにより絵柄を貼り付ける方法や、パッド印刷により印刷する方法(例えば、特許文献1参照。)や熱転写により印刷を行う方法等が考えられる。
【0005】
しかし、シールにより絵柄を貼り付ける方法では、そもそも絵柄を印刷するものではないため、経年変化によりシールが剥がれてしまい汚らしくなるという致命的な欠陥がある。
【0006】
また、パッド印刷により印刷する方法でも、カラー印刷により絵柄を湾曲部に印刷するようなことは不可能である。なぜなら、このパッド印刷とは、ゴム材料により構成されたパッドの転写面に印刷パターンを転写し、この転写面を被印刷物に押し付けることにより被印刷面に印刷パターンを転写するという印刷方法である。そのため、このようなパッド印刷によれば、曲面状の被印刷面に対して絵柄を印刷することが可能である。しかし、このようなパッド印刷で可能なのは1種類のインクのみを用いた単色での印刷だけであり、パッド印刷によりカラー印刷を実現することはできない。
【0007】
また、熱転写により印刷を行う方法では、被印刷物が樹脂製のように高温に耐えられない材料の場合には、被印刷物が熱により溶けてしまうため使用することができでないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−156819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記で説明したような理由により、従来のいずれの印刷方法を用いたとしても、樹脂製の湾曲部に対してカラー印刷により絵柄を印刷することができない。しかし、近年、様々な製品の様々な場所に絵柄をカラー印刷によって印刷したいという要望が出てきており、樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、湾曲部に絵柄をカラー印刷することができるような印刷方法が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、この湾曲部に絵柄をカラー印刷することが可能な印刷方法および、この印刷方法により絵柄が印刷された製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[印刷方法]
本発明に係る印刷方法は、樹脂製の湾曲部を有する製品に対する印刷方法であって、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップとを有する。
【0012】
また、本発明では、前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップにおいて、
前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行うようにしても良い。
【0013】
また、本発明では、前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行うステップにおいて、
前記治具に固定された湾曲部に対してインクジェット印刷によるUVインクを用いたカラー印刷を行うようにしても良い。
【0014】
また、本発明では、前記製品をヘッドフォンとし、前記湾曲部をヘッドバンドとしても良い。
【0015】
[製品]
また、本発明に係る製品は、樹脂製の湾曲部を有する製品であって、
前記湾曲部が、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップとを有する印刷方法により絵柄が印刷がされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、樹脂製の湾曲部を有する製品に対して、この湾曲部に絵柄をカラー印刷することが可能な印刷方法および、この印刷方法により絵柄が印刷された製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の印刷方法により絵柄をカラー印刷により印刷しようとする製品であるヘッドフォンの概観を示す図である。
【図2】図1に示したヘッドフォンを分解した様子を示す図である。
【図3】ヘッドバンド10に対して負荷をかけて伸張させる様子を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態の印刷方法により使用される治具40の構造を説明するための斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の印刷方法により使用される治具40の反対側の構造を説明するための斜視図である。
【図6】治具40にヘッドバンド10を伸張させた状態で固定した様子を示す図である。
【図7】6個の治具40a〜40fを連結させる様子を説明するための図である。
【図8】連結された6個の治具40a〜40fの斜視図である。
【図9】ヘッドバンド10にそれぞれ絵柄が印刷された状態を示す図である。
【図10】湾曲部に絵柄がカラー印刷されたヘッドバンド10を示す図である。
【図11】湾曲しているヘッドバンド10に絵柄がカラー印刷されたヘッドフォンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の印刷方法により絵柄をカラー印刷により印刷しようとする製品であるヘッドフォンの概観を示す図である。
【0019】
このヘッドフォンは、図1に示されるように、ヘッドバンド10および左右のイヤーパッド部20、30とから構成されている。そして、このヘッドフォンは、図2に示されるように、ヘッドバンド10および左右のイヤーパッド部20、30を分解することが可能な構成となっている。
【0020】
本実施形態では、このヘッドバンド10の湾曲している面に絵柄をカラー印刷する場合の印刷方法について説明する。本実施形態の印刷方法により、このヘッドフォンのヘッドバンド10に絵柄を印刷しようとする場合、先ず図2に示すようにヘッドバンド10と左右のイヤーパッド部20、30を分解する。
【0021】
次に、図3に示すように、この分解して取り出したヘッドバンド10に対して負荷をかけることにより湾曲しているヘッドバンド10が真っ直ぐになるように伸張させる。
【0022】
そして、伸張されたヘッドバンド10を伸張したままの状態で、図4に示すような治具40によって固定する。
【0023】
本実施形態の印刷方法により使用される治具40は、図4に示されるように、絵柄を印刷しようとするヘッドバンド10の形状に合わせて作成されている。そして、この治具40は、単にヘッドバンド10を固定させるだけでなく、ヘッドバンド10を伸張させた状態で固定可能なような形状になっている。
【0024】
なお、この治具40の片側には、2箇所にボス(突起部)41、42が設けられており、また図5に示すように、反対側には他の治具40のボス41、42と嵌合させるためのボス受け孔43、44が設けられている。
【0025】
この治具40に、ヘッドバンド10を伸張させた状態で固定した様子を図6に示す。図6を参照すると、治具40により固定されたヘッドバンド10は完全に平坦ではないものの、絵柄がインクジェット印刷により印刷可能な程度に平坦になっているのが分かる。
【0026】
そして、本実施形態の印刷方法では、このようにヘッドバンド10を伸張した状態で固定した治具40を複数連結された状態で印刷を行う。ここで、治具40には、ボス41、42およびボス受け孔43、44が設けられているため、隣接する治具どうしをずれることなく並べることが可能となっている。
【0027】
例えば、6個の治具を連結された状態で印刷を行う場合を用いて説明を行う。そのため、以下の説明では、6個の治具40をそれぞれ、40a〜40fとして表す。
【0028】
先ず、6個の治具40a〜40fを連結させる様子を図7を参照して説明する。図7では、治具40aのボス41、42が隣接する治具40bのボス受け孔44、43に嵌合することによって位置ずれすることなく連結される様子が示されている。このようにして6個の治具40a〜40fはお互いに隣接する他の治具と連結されることにより位置ずれすることなく連結される。
【0029】
このようにして連結された6個の治具40a〜40fの斜視図を図8に示す。図8に示されたように、6個の治具40a〜40fは、それぞれ隣接する治具と連結するとともに、それぞれヘッドバンド10を伸張された状態で固定していることが分かる。
【0030】
そして、図8に示したように6個の治具40a〜40fが連結された状態で、インクジェット印刷装置(不図示)によって、それぞれのヘッドバンド10に対して絵柄を印刷する。なお、インクジェット印刷装置は、このヘッドバンド10の印刷を行いたいエリアにのみUV(Ultra Violet)インク(紫外線硬化インク)を用いたインクジェット印刷を行うことにより絵柄を印刷する。
【0031】
このようにしてヘッドバンド10にそれぞれ絵柄50が印刷された状態を図9に示す。この後、UV光をヘッドバンド10に照射することによりUVインクを硬化させ、印刷処理は終了する。
【0032】
その後、それぞれの治具40a〜40fからヘッドバンド10をはずすことにより、図10に示されるような絵柄50がカラー印刷されたヘッドバンド10を得ることができる。
【0033】
そして、最後に、この絵柄50が印刷されたヘッドバンド10にイヤーパッド部20、30を装着することにより、図11に示すように湾曲しているヘッドバンド10に絵柄50がカラー印刷されたヘッドフォンが完成する。
【0034】
本実施形態の印刷方法によれば、製品から湾曲部を取り外して治具により伸張した状態で固定して印刷処理を行っているため、本来であればインクジェットプリンタでも印刷が不可能な場所に対しても印刷が可能となる。
【0035】
そして、インクジェットプリンタにより複数色のUVインクを印刷するようにすればカラー印刷を行うことが可能であり、本実施形態の印刷方法によれば、樹脂製等の湾曲部に対しても高品質なカラー印刷を行うことが可能となる。
【0036】
[変形例]
上記実施形態では、インクジェット印刷によるUVインクを用いたカラー印刷により、治具40に固定された湾曲部に対して絵柄50を印刷する場合について説明しているが本発明はこのような形態に限定されるものではない。インクジェット印刷以外の印刷方法によりUVインクを用いて湾曲部に対して印刷を行う場合にも本発明は同様に適用可能である。また、UVインクを用いない他の印刷方法によってカラー印刷を行うような場合でも、本発明は適用可能であり、伸張された状態で治具40に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うことが可能である。さらに、被印刷媒体である湾曲部の素材の熱耐性が高く、昇華型印刷等の熱転写印刷における熱転写加工温度を上回る場合には、熱転写印刷によって、伸張された状態で治具40に固定された樹脂製の湾曲部に対してカラー印刷を行うようにすることも可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、湾曲部を有する製品がヘッドフォンであり、湾曲部がヘッドバンドである場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、樹脂製の湾曲部を有する他の製品に対しても同様に適用することができるものである。例えば、カチューシャ等のヘアバンドのように伸張可能な湾曲部を有する製品であれば、本発明は同様に適用可能である。
【0038】
さらに、湾曲部はかならずしも樹脂製である必要はなく、伸張可能であり伸張された状態で治具に固定可能であれば、金属製の湾曲部等に対しても同様に本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 ヘッドバンド
20 イヤーパッド部
30 イヤーパッド部
40、40a〜40f 治具
41、42 ボス
43、44 ボス受け孔
50 絵柄
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の湾曲部を有する製品に対する印刷方法であって、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップと、
を有する印刷方法。
【請求項2】
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップでは、
前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行う請求項1記載の印刷方法。
【請求項3】
前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行うステップでは、
前記治具に固定された湾曲部に対してインクジェット印刷によるUVインクを用いたカラー印刷を行う請求項2記載の印刷方法。
【請求項4】
前記製品がヘッドフォンであり、前記湾曲部がヘッドバンドである請求項1から3のいずれか1項記載の印刷方法。
【請求項5】
樹脂製の湾曲部を有する製品であって、
前記湾曲部が、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップとを有する印刷方法により絵柄が印刷がされている製品。
【請求項1】
樹脂製の湾曲部を有する製品に対する印刷方法であって、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップと、
を有する印刷方法。
【請求項2】
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップでは、
前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行う請求項1記載の印刷方法。
【請求項3】
前記治具に固定された湾曲部に対してUVインクを用いたカラー印刷を行うステップでは、
前記治具に固定された湾曲部に対してインクジェット印刷によるUVインクを用いたカラー印刷を行う請求項2記載の印刷方法。
【請求項4】
前記製品がヘッドフォンであり、前記湾曲部がヘッドバンドである請求項1から3のいずれか1項記載の印刷方法。
【請求項5】
樹脂製の湾曲部を有する製品であって、
前記湾曲部が、
前記湾曲部に対して負荷をかけることにより該湾曲部を伸張させるステップと、
伸張された前記湾曲部を伸張された状態で治具によって固定するステップと、
前記治具に固定された湾曲部に対してカラー印刷を行うステップとを有する印刷方法により絵柄が印刷がされている製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−107061(P2013−107061A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255880(P2011−255880)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【特許番号】特許第4917696号(P4917696)
【特許公報発行日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(595055106)株式会社カワサキ特殊印刷 (1)
【出願人】(511223626)
【出願人】(511302275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【特許番号】特許第4917696号(P4917696)
【特許公報発行日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(595055106)株式会社カワサキ特殊印刷 (1)
【出願人】(511223626)
【出願人】(511302275)
【Fターム(参考)】
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