説明

印刷方法及びプリンタシステム

【課題】ヘッダシート印刷時の手間を抑え、ヘッダシートの被読取精度を向上させる印刷方法及びプリンタシステムを提供する。
【解決手段】ヘッダシートの印刷時に、OCR文字部202やバーコード部204等のクリアエリア201、203として、それぞれの読取装置の特性に応じたドロップアウトカラーにより塗り潰された所定の範囲の領域を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価証券とともに読み取られるヘッダシートの印刷方法及びヘッダシートを印刷するプリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品券、ギフト券、地域通貨等、特定の範囲内で金銭の代わりに通用される有価証券(金券)が普及している。
有価証券は、発行会社或いは発行団体がそれぞれ独自に発行したものである。消費者が有価証券の使用可能な商店や百貨店等の取扱店において使用した有価証券を取扱店が回収し、発行会社等に引き渡すことにより、回収した有価証券分の金額(清算金額)を発行会社等から受け取るようになっている。
【0003】
取扱店は、有価証券の回収時に、発行会社から清算金額を受け取るために、有価証券から各種情報を読み取る。効率よく読取処理を行うために、OCR(Optical Character Reader)等の読取装置が利用され、有価証券の種別、清算金額、発行会社、有効期限等の各種情報が読み取られる。
なお、有価証券の読取処理時に、回収した店舗やレジの情報を読取装置に入力することにより、どの店舗・レジで回収した有価証券かを管理することができる。この場合、レジ番号や店舗番号を記した紙を有価証券と同時に読取装置に読み取らせることによりレジや店舗の情報を読取装置に入力する。レジ番号や店舗番号を記した紙は例えばヘッダシートと呼ばれ、レジ番号や店舗の情報、ヘッダシートの識別番号等がOCR用文字列やバーコード等の形式で印刷されている。
【0004】
ヘッダシートは、OCR等の読取装置で読取を行うことができるように、専用のプリンタにより印刷されることが多い。専用のプリンタは、読取装置で読み取ることができるようなヘッダシートを、OCR用のフォントを使用して所定の位置に印刷するためのプリンタ装置である。
また、読取装置の読取精度を上げるために、OCR用のOCR用紙等、専用の用紙に印刷する場合もある。このような場合、取扱店によっては、地紋や背景画像、文字等が既に印刷された用紙を使用する場合がある。
【0005】
上述したようにプリンタごとの性能差・個体差、用紙の特性等に対応するために、プリンタは、読取装置が印刷したヘッダシートを読み取ることができるように、読取装置の読取性能に合わせた設定を行いその設定で印刷する。すなわち、プリンタ側で印刷時のインク濃度、色設定、印刷位置等の設定を行うことにより、読取装置が読み取りやすいようにする必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したようなプリンタ側の設定を行うためには、読取装置の読取性能、使用する用紙やインクの性質を正確に把握する必要があり、そのために複数回の試行を行っていた。複数回の試行が必要であるために、プリンタの設定には時間がかかる、という不利益があった。また、例えば読取装置の機種を変更した場合等に、変更した読取装置の性能に合わせて再度プリンタ側の設定を行う必要があり、煩わしいという不利益があった。
また、上述したようなプリンタ側の設定を行っても、使用する用紙の地紋や模様によっては、読取装置が読み取りを行うことができない場合がある、という不利益があった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消するために、ヘッダシート印刷時の手間を抑え、ヘッダシートの被読取精度を向上させる印刷方法及びプリンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷方法は、有価証券の読み取り時に読み取られる、有価証券に関する情報が印刷されたヘッダシートを印刷する印刷方法であって、前記有価証券に関する情報が印刷された周囲の所定の範囲を、所定の色で塗り潰して印刷することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、有価証券に関する情報、すなわち、有価証券の管理に必要な、読み取りを行う企業・店舗・レジ等の情報を例えば文字列やバーコードの形式で記載したヘッダシートを印刷する時に、印刷される文字列やバーコードの周囲の所定の範囲を所定の色で塗り潰して印刷するため、印刷されたヘッダシートの被読取精度を向上させることができる。
【0010】
上記印刷方法において、前記所定の色は、有価証券の読み取りに使用される読取装置のドロップアウトカラーに設定されるとよい。これにより、上記文字列やバーコードは、読取装置のドロップアウトカラー内に印刷されることになり、読取装置によるヘッダシートの読み取り精度が向上することになる。
【0011】
また、本発明に係るプリンタシステムは、有価証券の読み取り時に読み取られる、有価証券に関する情報が印刷されたヘッダシートを印刷するプリンタシステムであって、プリンタと、前記ヘッダシートの印刷時の設定を行う設定部と、を有し、前記プリンタは、前記設定部の設定内容に従って、前記有価証券に関する情報を印刷する範囲の周囲の所定の範囲を、所定の色で塗り潰して印刷することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、本発明に係るプリンタシステムは、プリンタと、ヘッダシートに印刷する文字列やバーコードの色、その周囲の所定の範囲の色等を設定する設定部とを有し、ヘッダシートを印刷する時に、設定部によってなされた設定に従って、文字列やバーコードの周囲の所定の範囲を所定の色で塗り潰して印刷するため、印刷されたヘッダシートの被読取精度を向上させることができる。
【0013】
上記プリンタシステムにおいて、前記設定部は、前記所定の色を有価証券の読み取りに使用される読取装置のドロップアウトカラーに設定するとよい。これにより、上記文字列やバーコードは、読取装置のドロップアウトカラー内に印刷されることになり、読取装置によるヘッダシートの読み取り精度が向上することになる。
【0014】
また、上記プリンタシステムにおいて、前記設定部は、操作部を有し、前記有価証券に関する情報を前記ヘッダシートに印刷するときの文字色を前記操作部に対する操作入力に応じて設定するとよい。これにより、上記文字列或いはバーコードの色、所定の範囲の色を自由に設定が可能となる。
【0015】
また、上記プリンタシステムにおいて、前記設定部は、前記所定の色を前記文字色に対して明度差が最大となる色に設定するとよい。これにより、上記文字列或いはバーコードの色が所定の範囲の色に対して認識しやすくなり、読取装置による読み取りの制度が向上する。
【0016】
また、上記プリンタシステムにおいて、前記設定部と通信を行い、前記設定部の前記ヘッダシートの印刷時の設定を、前記プリンタ及び/または前記読取装置の名称に対応付けて基本設定情報として予め記憶する記憶部を有するサーバ装置をさらに有し、前記設定部は、前記ヘッダシートの印刷時の設定のとき、前記操作部への操作入力に応じて選択されたプリンタ及び/または前記読取装置の名称に対応した前記基本設定情報を前記サーバ装置から読み出し、現在の設定に反映するとよい。これにより、予め設定されサーバ装置に記憶された基本設定情報を設定部が読み出し、その設定内容をヘッダシートの印刷時に自動的に反映させるため、設定入力の手間が省略できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヘッダシート印刷時の手間を抑え、ヘッダシートの被読取精度を向上させる印刷方法及びプリンタシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に本発明の実施形態のプリンタシステム100の構成の一例を示す。
図1は、プリンタシステム100の構成の一例を示すブロック図である。
プリンタシステム100は、プリンタ1、管理PC2(本発明の設定部に対応)、集中サーバ3(本発明のサーバ装置に対応)を有する。
プリンタ1は、商品券、クーポン券等の有価証券を取り扱い可能な店舗(以下取扱店)において、消費者から回収した有価証券を管理するために図1に図示しない読取装置に読み取らせるためのヘッダシートを印刷するプリンタである。
ヘッダシートは、「レジコード」、「支店コード」、「ヘッダシート識別番号」等の情報をOCR読み取り用の文字列或いはバーコード等の形式で記載したシートであり、例えばプリンタ1により所定の用紙に文字列やバーコードが印刷されることにより作成される。
【0019】
このように作成されたヘッダシートは、有価証券とともに読取装置に読み取られる。読取装置は、有価証券から発行元・金額・有効期限等の情報を読み取るとともに、ヘッダシートからその有価証券を扱ったレジ、取扱店の番号等の情報を読み取り、有価証券を扱う店舗では、これらを関連付けることにより、有価証券の管理を行っている。
読取装置は、例えばOCR(Optical Character Reader)やバーコードリーダ等、有価証券とヘッダシートに記載された情報を読み取ることができる装置である。
【0020】
図2は、ヘッダシートの一例を示した図である。
図2に示すヘッダシート200は、プリンタ1が所定の用紙に印刷したヘッダシートの一例である。
図2に示すように、例えば所定の用紙に3枚のヘッダシート200−1〜200−3が印刷される。印刷後はこれらのヘッダシートが切り離され、有価証券と共に読取装置に読み取られることになる。これらのヘッダシート200−1〜3は、それぞれが有価証券の1枚と同程度の大きさになるように印刷される。
【0021】
また、それぞれのヘッダシート200−1〜200−3は、それぞれOCRクリアエリア201、OCR文字部202、バーコードクリアエリア203、バーコード部204を有する。
OCR文字部202と、バーコード部204には、同一の情報、すなわち、有価証券の読取装置が設けられたレジや店舗に関する情報が記される。OCR文字部202には文字の形式で(OCR−Bフォント等のOCR用のフォントが使用される場合が多い)、バーコード部204にはバーコードの形式で上記した情報が記載される。
OCRクリアエリア201及びバーコードクリアエリア203は、読取対象のOCR文字部202及びバーコード部204の周囲に設ける所定の範囲を指す。OCRクリアエリア201及びバーコードクリアエリア203は、読取装置がOCR文字部202及びバーコード部204を正確に読み取ることができるように設けられたエリアであり、本来は白色のエリアであるが、本実施形態では、読取装置のドロップアウトカラー(印刷された画像の色のうち、人間の目には見えるが、読取装置には読み取ることができない色)で塗り潰す。クリアエリアをドロップアウトカラーで塗り潰すことにより、読取装置による読取精度を向上させることが可能である。ヘッダシート200のOCRクリアエリア201及びバーコードクリアエリア203をドロップアウトカラーで塗り潰すことによる効果については、詳しくは後述する。なお、所定の範囲の大きさは、例えばOCRやバーコードの企画で決定されているクリアエリアと同じ大きさの範囲である。
なお、読取装置がOCRである場合とバーコードリーダである場合とでドロップアウトカラーは異なることが一般的であり、例えばOCRクリアエリア201は青色、バーコードクリアエリア203は赤色で覆われる。
【0022】
プリンタ1は上述したようなヘッダシートを印刷するための構成として、通信部11、印刷部12、制御部13を有する。
通信部11は、後述する管理PC2の通信部22と例えば有線接続されており、管理PC2から印刷に関する設定情報や印刷命令を受信する。
印刷部12は、制御部13の制御の下、印刷を行うための印刷デバイスである。
管理PC2からの設定情報を通信部11から取得した制御部13は、当該設定情報内の設定にあわせて印刷を行うように印刷部12を設定し、さらに管理PC2からの印刷命令を通信部11から取得した場合には、当該設定で印刷部12に印刷を行わせる。
管理PC2から送信される設定情報は、例えばOCRクリアエリア201及びバーコードクリアエリア203、OCR文字部202、バーコード部204の用紙内の位置情報、OCRクリアエリア201及びバーコードクリアエリア203の色情報、OCR文字部202に印刷されるべき文字情報、バーコード部204に印刷されるべきバーコード情報等である。
【0023】
次に、管理PC2について説明する。
管理PC2は、上述したヘッダシートをプリンタ1で印刷するための各種設定を行い、プリンタ1に対して設定情報を送信するための端末装置である。
管理PC2は、表示部21、通信部22、操作部23、制御部24を有する。
表示部21は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示デバイスであり、制御部24の制御に応じて種々の表示を行う。
通信部22は、プリンタ1及び集中サーバ3と接続され、通信を行う。通信部22は、プリンタ1に対してはヘッダシートの設定情報を送信し、集中サーバ3とはヘッダデータの印刷のために必要な情報の送受信を行う。ヘッダデータの印刷のために必要な情報については、詳しくは後述する。
操作部23は、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスであり、ユーザ(有価証券を取り扱い可能な店舗の店員等)による操作入力を受け付ける。
【0024】
制御部24は、表示部21の表示制御、通信部22の通信制御、操作部23への操作入力の検知制御等、管理PC2全体の統括的な制御を行う。
また、制御部24は、ヘッダシートの設定処理を行う。
以下、管理PC2におけるヘッダシートの設定処理について説明する。
制御部24は、管理PC2の操作部23への操作入力に応じて、基本設定画面300を表示部21に表示させる。
図3に基本設定画面300の一例を示す。
【0025】
基本設定画面300は、ヘッダシートを印刷するために使用するプリンタ1の個体を設定するためのプリンタ設定欄301、印刷したヘッダシートの読取を行わせる読取装置(OCR或いはバーコードリーダ)の個体を設定するためのリーダ設定欄302、文字色設定欄303、背景色(OCR)設定欄304、背景色(バーコード)設定欄305、ボタン類306を有する。
プリンタ設定欄301は、ヘッダシートの印刷に使用するプリンタ1を個体識別し設定するための欄である。プリンタ設定欄301には、管理PC2の使用可能なプリンタの名称(以下プリンタ名)のうち、ユーザが使用しようとするプリンタ名が表示される。
また、リーダ設定欄302は、プリンタ1が印刷したヘッダシートを読み取る読取装置を個体識別し設定するための欄である。リーダ設定欄302には、管理PC2の使用可能なリーダの名称(以下リーダ名)のうち、ユーザが使用しようとするリーダ名が表示される。
プリンタ1や読取装置には、製造メーカや製造時期、使用期間等により性能のばらつき(個体差)が生じる場合がある。このため、管理PC2では、ヘッダシート作成時の設定情報として、プリンタ1及び読取装置の個体情報を後述する文字色、背景色とともに記憶しておくことにより、リーダで好適に読み取り可能なヘッダシートをプリンタ1により印刷することができるようにしている。
【0026】
文字色設定欄303は、ヘッダシートに使用される文字の色を設定するための欄である。
文字の色は、例えばCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラックの4色で構成されるカラーモデル)の各色の強さをパーセンテージで指定可能となっており、例えば文字色を黒にしたい場合には、図3に示したように「C:0%、M:0%、Y:0%、K:100%」と指定すればよい。
背景色(OCR)設定欄304は、ヘッダシート内に印刷するOCRにより読み取られるべき文字列のクリアエリアとして塗り潰す色を設定するための欄である。一般的にOCRのドロップアウトカラーは青色であるため、例えば「C:100%、M:0%、Y0%」とすればよい。ここで、OCR読み取り用の文字列の背景色に黒が使用されることは無いため、K(ブラック)の指定欄は存在しないことになっている。
背景色(バーコード)設定欄305は、ヘッダシート内に印刷するバーコードのクリアエリアとして塗り潰す色を設定するための欄である。一般的にバーコードリーダのドロップアウトカラーは赤色であるため、例えば「C:0%、M:100%、Y0%」とすればよい。ここで、バーコードの背景色に黒が使用されることは無いため、K(ブラック)の指定欄は存在しないことになっている。
【0027】
なお、本実施形態の制御部24は、文字色設定欄303において設定された文字色を基に、背景色(OCR)設定欄304の設定内容を自動的に更新してもよい。すなわち、文字色設定欄303が設定され背景色(OCR)設定欄304がまだ設定されていない場合に、制御部24は文字色設定欄303に設定された文字色に対して、例えば明度差が最大になるような色を算出し、背景色(OCR)設定欄304に自動的に表示させる。このようにすることで、ユーザの基本設定時の手間を省略させることが可能である。
また、本実施形態の制御部24は、プリンタ設定欄301及びリーダ設定欄302において決定されているプリンタやリーダに応じて、文字色設定欄303、背景色(OCR)設定欄304及び背景色(バーコード)設定欄305の設定内容を自動的に更新してもよい。基本設定画面300において設定された設定内容は、後述するように名称を付与され集中サーバ3に記憶されるが、制御部24は、プリンタ設定欄301及びリーダ設定欄302の設定内容が決定された時点で、集中サーバ3に記憶された基本設定情報から、該当するプリンタとリーダの設定情報を有する基本設定情報を読み出し、その設定内容の設定値を文字色設定欄303、背景色(OCR)設定欄304及び背景色(バーコード)設定欄305に自動的に反映させて表示させてもよい。
【0028】
ボタン類306は、例えば、図3に示した基本設定画面300において設定した内容を確定し、その設定を反映させるための決定ボタン3061と、設定した内容を確定せず以前の設定内容のままにするためのCANCELボタン3062等を有する。ここで、ユーザによって決定ボタン3061が押下された場合、基本設定画面300内の各設定値(使用するプリンタ名、リーダ名、文字色、背景色等)が確定され、基本設定情報が生成される。
管理PC2の制御部24は、通信部22を介して生成した基本設定情報を集中サーバ3に送信し、記憶させる。
ここで基本設定情報には、名称を付けて記憶させておくことが可能である。すなわち、例えばある有価証券の取扱店において、レジごとに使用できるプリンタが異なったりした場合、レジごとに異なる基本設定情報が生成されることになる。このような場合には。基本設定が確定した際に(決定ボタン3061が押下された時点で)、制御部24は図示しない名称決定画面を表示部21に表示させ、操作部23を介した操作入力等に応じた名称を基本設定情報の名称として設定することが可能である。基本設定情報の名称としては、例えば有価証券の取扱店の店舗名、レジ名等、自由に設定することができる。
【0029】
なお、基本設定画面300の初期画面(まだユーザによる設定が行われていない状態の基本設定画面)の各設定値は、何も表示されていない状態でも良いし、例えば集中サーバ3から基本設定情報を取得し、これを初期設定値として表示してもよい。
【0030】
管理PC2の制御部24は、以上のようにして設定された設定値を利用してヘッダシートの印刷をプリンタ1に行わせる印刷処理を行う。
制御部24は、操作部23への操作入力等に応じて、印刷処理を開始する際には、集中サーバ3から基本設定情報(上述した基本設定画面300において設定されたもの)を読み出し、これを反映した印刷設定画面400を表示部21に表示させる。
図4に印刷設定画面400の一例を示す。
印刷設定画面400は、設定名選択欄411、プリンタ名選択欄412、リーダ名選択欄413、ボタン類414を有するヘッダ部410と、ヘッダシートサンプル421−1〜3を有するヘッダシート表示部420とを有する。
【0031】
ヘッダ部410は、ヘッダシートを印刷する際の選択要素を表示する欄であり、ヘッダシート表示部420は印刷されるべきヘッダシートのプレビュー画面である。
設定名選択欄411は、集中サーバ3から読み出した複数の基本設定情報の名称の中から1つを選択可能な選択欄であり、操作部23を介した操作入力等に応じて、例えば複数の基本設定情報の名称がポップアップし、その中の1つの名称が選択されることにより設定名選択欄411に表示される。
【0032】
プリンタ名選択欄412は、設定名選択欄411において選択された基本設定情報において設定されているヘッダシートの印刷に使用するプリンタの名称を表示する欄である。ただし、プリンタ名選択欄412では、現在使用可能なプリンタの名称一覧が表示され、新たに印刷に使用するプリンタを選択することも可能となっている。
リーダ名選択欄413は、設定名選択欄411において選択された基本設定情報において設定されているヘッダシートを読み取るリーダの名称を表示する欄である。ただし、リーダ名選択欄413では、現在使用可能なリーダの名称一覧が表示され、新たにヘッダシートの読み取りに使用するリーダを選択することも可能となっている。
すなわち、ユーザ(有価証券の取扱店の店員等)は、ヘッダシートを印刷するときには、まず設定名選択欄411において、レジや店舗に応じた基本設定情報を選択し、選択することによってプリンタ名選択欄412に基本設定情報により設定されているプリンタ名が表示され、リーダ名選択欄413にリーダ名が表示されたとき、実際に印刷に使用するプリンタ・読取に使用するリーダを変更したい場合には、プリンタ名選択欄412及びリーダ名選択欄413においてそれぞれの選択を行うことができる。
【0033】
ボタン類414は、PDF書き出しボタン4141、印刷ボタン4142、CANCELボタン4143等を有する。PDF(Portable Document Format)書き出しボタン4141は、ヘッダシート表示部420をPDF形式のファイルとして出力するためのボタンであり、PDF書き出しボタン4141が操作部23への操作入力等を介して押下されることにより、制御部24はヘッダシート表示部420に表示されたヘッダシートサンプル421−1〜3が記載されたPDFファイルを生成する。PDFは、表示部上で印刷物と同様のレイアウトの電子ドキュメントを表示させるための形式である。
印刷ボタン4142は、設定名選択欄411、プリンタ名選択欄412、リーダ名選択欄413で選択された設定内容及び、ヘッダシート表示部420に表示された各サンプルの通りに印刷を行うことを決定するためのボタンであり、制御部24は、印刷ボタン4142が押下されることにより、印刷設定画面400において設定された各情報を通信部22を介して(使用するプリンタとして設定された)プリンタ1に送信し、その設定でヘッダシートの印刷を行わせる。
CANCELボタン4143は、印刷設定画面400において設定された情報を破棄するためのボタンである。
【0034】
次に、ヘッダシート表示部420は、上述したように設定された各種情報を基に印刷されるヘッダシートのプレビュー画面である。ただし、管理PC2の表示部21によっては、プレビュー画面と実際に印刷されたヘッダシートとがレイアウト等の点で一致しない場合があるため、この場合は上述したPDF書き出しボタン4141を押下することにより出力されたPDFファイルをもとにプレビューすることになる。
ヘッダシートサンプル421−1〜3は、それぞれ印刷されるヘッダシートを表示部21上に表示させたサンプルである。
ヘッダシートサンプル421−1〜3は、それぞれOCRクリアエリア4211、OCR文字部4212、バーコードクリアエリア4213、バーコード部4214を有する。
【0035】
OCR文字部4212及びバーコード部4214は、印刷されるべき文字列やバーコードを表示した部分である。
OCRクリアエリア4211は、上述のようにして選択された基本設定情報内の設定内容から、背景色(OCR)として選択された色で塗り潰されたクリアエリアを表示する部位である。
また、バーコードクリアエリア4213は、上述のようにして選択された基本設定情報内の設定内容から、背景色(バーコード)として選択された色で塗り潰されたクリアエリアを表示する部位である。
【0036】
ユーザは、表示部21に表示された印刷設定画面400を見ることにより、これから印刷しようとするヘッダシートの確認、使用する機器(プリンタ及び読取装置)の確認を行う。ユーザの操作部23を介した操作入力により印刷ボタン4142が押下されることにより、管理PC2の制御部24は決定された各種設定(文字色、クリアエリアの色(OCR及びバーコード)等)の設定情報を、使用すると決定されたプリンタ1に送信し、設定の通りにヘッダシートの印刷を行わせる。
【0037】
次に、集中サーバ3について説明する。
集中サーバ3は、図1に示すように、通信部31、記憶部32、操作部33、制御部34を有する。
通信部31は、管理PC2の通信部22と接続され、上記説明した各種設定情報等の送受信を行う。
記憶部32は、管理PC2から送信されてきた各種設定情報等を記憶する。
記憶部32は、企業DB(データベース)321、店舗DB322、レジDB323、設定管理DB324を有する。
企業DB321、店舗DB322、レジDB323は、有価証券の取扱店の企業名、店舗名、レジナンバー等を記憶するDBである。図1においては、プリンタ1及び管理PC2は集中サーバ3に対して1つずつ存在しているが、実際には1つの集中サーバ3に対して複数の管理PC2、さらに1つの管理PC2に対して複数のプリンタ1が存在してもよい。企業DB321、店舗DB322、レジDB323には、管理PC2が存在する企業、店舗、レジの情報が記憶される。
設定管理DB324は、管理PC2から送信されてきた基本設定情報を、企業DB321、店舗DB322、レジDB323に記憶された、送信した管理PC2に対応した企業、店舗、レジに対応させて記憶する。すなわち、設定管理DB324に記憶される複数の基本設定情報は、どこのレジ(或いは企業、店舗)に存在する管理PC2に対応した基本設定情報であるかが分かるように記憶されており、複数の管理PC2からの要求に従って、その管理PC2に対応した基本設定情報を読み出して送り返すことができる。
このようにすることで、複数のレジ(或いは、企業、店舗)に存在する複数の管理PC2の基本設定情報を綿密に管理することができる。
【0038】
操作部33は、キーボードやマウス等の操作入力デバイスであり、上述した記憶部32内の各DBの内容を変更することが可能である。すなわち、各管理PC2に対応した基本設定情報等を、集中サーバ3において一括して管理することが可能になっている。
制御部34は、集中サーバ3全体の動作を統括的に制御する。
【0039】
上述したようなプリンタシステム100によれば、ヘッダシートの印刷時に、OCR読み取り用の文字列やバーコード等のクリアエリアとして、それぞれの読取装置の特性に応じたドロップアウトカラーにより塗り潰された所定の範囲の領域を印刷するため、プリンタにより印刷したヘッダシートの読み取り時の読み取り不良を軽減することができる。
本効果についてより詳細に説明する。
図5は、本実施形態のプリンタシステム100によって印刷されたヘッダシート200の断面模式図である。
図5に示した断面図は、図2に示した線A或いはA’に沿ったヘッダシート200の断面図である。
【0040】
図5(a)において、基材211はヘッダシートの基部となる部位を示しており、例えば紙(印刷用紙、OCR読み取りに適した上質紙、合成紙、或いは用途によってはプラスチックフィルム等)等が基材211に相当する。
プレ印刷層212は、上述した基材211にヘッダシートの作成(すなわちOCR文字やバーコードの印刷)前に予め印刷により形成されている層であり、例えば地紋等、下地となる部位である。なお、プレ印刷層212は無い場合もあるが、例えば企業や店舗等によっては企業のマークを地紋としてヘッダシート(用の紙)に予め印刷しておく場合があり、プレ印刷層212はそのような場合を想定している。
ここまでの基材211及びプレ印刷層212は、ヘッダシートの印刷前に予め用意された層であり、以下説明するクリアエリア層213、読取対象層214は管理PC2において設定された設定に基づいた基本設定情報を基に、プリンタ1が印刷を行う層である。
【0041】
クリアエリア層213は、基本設定情報に設定された背景色(OCR或いはバーコード)に従って、プリンタ1がOCR文字部202或いはバーコード部204の周囲に設けたクリアエリア201或いは203の断面を示した層である。クリアエリア層213は、設定された背景色のインクがプレ印刷層212の上に印刷された層であり、所定の厚みを有する。この厚みに関しては、例えばプリンタ1の固有の特性によって異なるため、本実施形態では限定しない。
読取対象層214は、ヘッダシート200のOCR文字部202或いはバーコード部204のインクの層であり、クリアエリア層213の上に乗る形で形成されている。
【0042】
ゴミ215は、プレ印刷層212の上に印刷前に乗っていたゴミであり、図5に示すようにクリアエリア層213に覆われてしまっているため、読取装置によるOCR文字部202或いはバーコード部204の読取には全く支障が無い。ゴミ215としては、例えば紙くずや基材211の疵、ささくれ等を想定しており、クリアエリア層213に覆われてしまう大きさのものである(これ以上の大きさのものは、ヘッダシートの印刷前にユーザが目視で発見し排除するなり、基材211を取り替えるなりすればよい)。すなわち、本実施形態のプリンタシステム100によれば、このようにヘッダシート印刷用の基材211に存在する小さなゴミや疵をクリアエリア層213で覆い、その上に読取対象層214を印刷するため、読取対象層214の明瞭度が向上し、読取装置による読取精度も向上する。
【0043】
また、図5(b)は、プレ印刷層212が平坦でない場合について説明するための図である。図5(b)では、プレ印刷層212が印刷されている箇所とされていない箇所とがある。このまま読取対象層214の印刷を行った場合には、読取対象層214の読取装置による読み取り時にプレ印刷層212の有無による段差の所為で明瞭度が下がり、読取精度が下降する恐れがある。しかし、図5(b)に示すように、クリアエリア層213がプレ印刷されていない部位を覆ってしまっているため、読取対象層214の明瞭度は図5(a)に示した場合と変わらず、読取精度も高いままとなる。
【0044】
なお、図5に示したヘッダシートの断面模式図では、読取対象層214はクリアエリア層213の上に乗る形で形成されているが、本発明はこれには限定されず、プレ印刷層212に直接読取対象層214が乗る形で形成されてもよい。この場合、クリアエリア層213が読取対象層214の周囲の所定の範囲を覆うように形成されればよい。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のプリンタシステム100によれば、ヘッダシートの印刷時に、OCR文字部202やバーコード部204等のクリアエリア201、203として、それぞれの読取装置の特性に応じたドロップアウトカラーにより塗り潰された所定の範囲の領域を印刷するため、プリンタ1により印刷したヘッダシートの読取装置による読取精度を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態のプリンタシステム100によれば、管理PC2における設定時に、OCR文字部202やバーコード部204の色、それぞれのクリアエリア201、203の色を、印刷に使用するプリンタ1や読み取りに使用する読取装置と対応付けられ名称を付与された基本設定情報を生成し、集中サーバ3の設定管理DB34に記憶させるので、各種設定内容の管理が容易である。
また、管理PC2では、ヘッダシートの印刷を行うための印刷設定画面400において、基本設定情報の名称を選択するだけで基本設定の内容が集中サーバ3の設定管理DB34から読み出され画面に反映されるため、ヘッダシート印刷の度に一々設定を入力する手間を省略することができる。
【0047】
また、上述したプリンタシステム100によれば、基本設定画面300において各種設定を行う際に、文字色が決定されたら、その文字色に対して明度差が最大になるような背景色がOCR文字部202の背景色として自動的に設定されるため、設定の手間を省略することができる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、回収した有価証券を読み取り管理する際に使用されるヘッダシートの印刷を行うプリンタを含むプリンタシステムで利用することができる。
上述した実施形態では、ヘッダシートには、OCR文字部202とバーコード部204の両方が印刷されるとしたが、本発明では片方のみが印刷されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本実施形態のプリンタシステムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、ヘッダシートの一例を示した図である。
【図3】図3は、本実施形態の管理PCにおける基本設定画面の一例を示した図である。
【図4】図4は、本実施形態の管理PCにおける印刷設定画面の一例を示した図である。
【図5】図5は、本実施形態のプリンタシステムによって印刷されたヘッダシートの断面模式図である。
【符号の説明】
【0051】
100…プリンタシステム、1…プリンタ、11…通信部、12…印刷部、13…制御部、2…管理PC、21…表示部、22…通信部、23…操作部、24…制御部、3…集中サーバ、31…通信部、32…記憶部、321…企業DB、322…店舗DB、323…レジDB、設定管理DB、33…操作部、34…制御部、200…ヘッダシート、201…OCRクリアエリア、202…OCR文字部、203…バーコードクリアエリア、204…バーコード部、211…基材、212…プレ印刷層、213…クリアエリア層、214…読取対象層、215…ゴミ、300…基本設定画面、301…プリンタ設定欄、302…リーダ設定欄、303…文字色設定欄、304…背景色(OCR)設定欄、305…背景色(バーコード)設定欄、306…ボタン類、3061…決定ボタン、3062…CANCELボタン、400…印刷設定画面、410…ヘッダ部、411…設定名選択欄、412…プリンタ名選択欄、413…リーダ名選択欄、414…ボタン類、4141…PDFボタン、4142…印刷ボタン、4143…CANCELボタン、420…ヘッダシート表示部、421−1〜3…ヘッダシートサンプル、4211…クリアエリア、4212…OCR文字部、4213…バーコードクリアエリア、4214…バーコード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価証券の読み取り時に読み取られる、有価証券に関する情報が印刷されたヘッダシートを印刷する印刷方法であって、
前記有価証券に関する情報が印刷された周囲の所定の範囲を、所定の色で塗り潰して印刷する
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
前記所定の色は、有価証券の読み取りに使用される読取装置のドロップアウトカラーに設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
有価証券の読み取り時に読み取られる、有価証券に関する情報が印刷されたヘッダシートを印刷するプリンタシステムであって、
プリンタと、
前記ヘッダシートの印刷時の設定を行う設定部と、
を有し、
前記プリンタは、前記設定部の設定内容に従って、前記有価証券に関する情報を印刷する範囲の周囲の所定の範囲を、所定の色で塗り潰して印刷する
ことを特徴とするプリンタシステム。
【請求項4】
前記設定部は、前記所定の色を有価証券の読み取りに使用される読取装置のドロップアウトカラーに設定する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンタシステム。
【請求項5】
前記設定部は、操作部を有し、
前記有価証券に関する情報を前記ヘッダシートに印刷するときの文字色を前記操作部に対する操作入力に応じて設定する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンタシステム。
【請求項6】
前記設定部は、前記所定の色を前記文字色に対して明度差が最大となる色に設定する
ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタシステム。
【請求項7】
前記設定部と通信を行い、前記設定部の前記ヘッダシートの印刷時の設定を、前記プリンタ及び/または前記読取装置の名称に対応付けて基本設定情報として予め記憶する記憶部を有するサーバ装置
をさらに有し、
前記設定部は、前記ヘッダシートの印刷時の設定のとき、前記操作部への操作入力に応じて選択されたプリンタ及び/または前記読取装置の名称に対応した前記基本設定情報を前記サーバ装置から読み出し、現在の設定に反映する
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のプリンタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−248531(P2009−248531A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102464(P2008−102464)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】