説明

印刷検査データ作成装置

【目的】 回路基板などの表面に印刷された半田などの印刷状態や半田付けの状態を検査する印刷検査装置を動作させるための印刷検査データを自動的に作成する。
【構成】 ランドの種類とそのランド検査位置,ランド検査装置の種類およびそのランドと対応する部品の種類の実装位置などを入力すると、設備マスタデータベース6を介して設備動作データベース7にアクセスし、また、ランド形状データベース8にアクセスし、さらに、部品マスタデータベース9をもとに部品形状データベース10と部品性質データベースにアクセスし、また、印刷検査条件データベース14にアクセスして所定のデータを読出書込手段15にて順次読み出す。そして、印刷検査位置データとともにマシンデータ変換手段17によりマシンデータに変換し出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回路基板などの表面上に印刷された半田などの印刷状態や回路基板などの表面上に部品を実装したときの半田付けの状態を検査する印刷検査装置を動作させるための印刷検査データ作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、印刷検査装置を動作させる印刷検査データ作成装置は、図4(a)に示すめように、印刷されるべき各領域(以下、ランドという)の名称,位置,姿勢などのランドに関する基本データおよび検査するランドに対応する部品の名称,位置,姿勢などの部品に関する基本データと、これを基に検査時の許容値を選択し、各データに対応するマシンデータをテーブル化した命令コードテーブルを参照しながら、各印刷検査部品について順次命令コードを決定し、手作業で入力していた。
【0003】また、あらかじめ正確にランドに半田などの印刷対象が印刷、または半田付けされたことがわかっている印刷後の回路基板を印刷検査装置などを用いて読み取り、必要なデータを検査装置側に取り込んで、許容値などの検査条件を追加入力する方法がとられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の印刷検査データ作成装置では、まず手作業によるものでは、データを作成するのに作業量が多いために作業者の負担が大きく、また熟練した作業者が必要であるためにコスト高になるという問題があり、また入力ミスに対するデバッグ処理のために多くの時間と手間を必要とするという問題があった。
【0005】一方、印刷後の回路基板を印刷検査装置で読み取るものでは、あらかじめ正確とわかっている印刷後の回路基板を事前に作成する必要があり、やまりこの作業に熟練した作業者と、修正と作成後の検査の繰り返しによる多くの時間と手間を必要とするという問題があった。
【0006】本発明は上記課題を解決するもので、印刷検査データを自動的に作成する印刷検査データ作成装置を提供することを第1の目的としている。
【0007】さらに、電子部品などを回路基板などに自動的に装着または挿入する実装装置用の実装データ作成装置で必要な情報と共通な情報を共通化して持つようにして、低コストで両方の機能をもった装置を実現することを第2の目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記第1の目的を達成するために、印刷検査に影響を与える各種印刷形状であるランドの特徴を記憶させたランドデータベースと、印刷検査に影響を与える各種部品の特徴を記憶させた部品データベースと、印刷検査に影響を与える各種印刷検査装置の特徴を記憶させた設備用データベースと、各種印刷検査時の許容値などの検査条件を記憶させた印刷検査条件データベースと、印刷検査装置の機種と印刷検査すべき部品の種類と印刷検査条件に関するデータに基づいて各データベースからデータを読みだして部品ごとに書き込み処理を行う読出書込処理手段と、部品の印刷検査位置データおよび読出書込処理手段で書き込まれた部品データをマシンデータに変換するマシンデータ変換手段を備えたことを第1の課題解決手段としている。
【0009】また、第2の目的を達成するために、上記第1の課題解決手段に加えて、実装動作に影響を与える各種実装装置の特徴を記憶させた設備用データベースと、実装装置用のマシンデータ変換手段を備えたことを第2の課題解決手段としている。
【0010】
【作用】本発明は上記した第1の課題解決手段により、印刷検査時にランドの種類とそのランド検査位置,ランド検査装置の機種およびそのランドと対応する部品の種類と実装位置などを入力すれば、ランドデータベースと部品データベースと設備用データベースから必要なデータを読みだし、印刷検査位置データとともにマシンデータに変換して出力する。
【0011】また、第2の課題解決手段により、実装装置の機種などを追加入力すれば、実装装置用のマシンデータを共通の部品データベースから作成できる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1および図2を参照しながら説明する。
【0013】本発明の印刷検査データ作成装置は、図2に示すように、印刷検査するランドのランド名称または種類と検査すべき位置や姿勢などランドに関するランド基本データと、それに対応する部品の名称または種類と基板上の部品をひとつひとつ区別するための回路番号と呼ばれる名称、実装すべき位置や姿勢を含む、部品に関する部品基本データと、検査時の許容値に関するコードを指定した検査条件データを入力することによって、適当なデータベースに基づいて自動的に印刷検査装置を動作させるマシンデータを作成するものである。なお、通常基板上に実装される部品は物理的に重ねて実装されえないから、実装座標値にて区別できる場合は、上記基板上の回路番号の代わりに実装座標値を使用してもよい。
【0014】つぎに、本発明の実施例の具体的な構成と動作を図1に基づいて説明すると、1は部品に関する部品基本データであり、2はランドに関するランド基本データである。両方ともCADデータなどとして与えられる基本データであり、ランドに関する基本データ2にはそのランドがどの部品のどのピンに対応しているのかが、回路番号とピン番号の組で示されている。したがって、これらのデータは組となって取り扱われる。
【0015】入力されたランド基本データ2は、適用可能な印刷検査装置の機種をリストアップした機種リスト3を参照しながら、印刷検査装置の機種ごとに印刷検査するランドの機種振り分け4が行われ、印刷検査装置の機種別に検査するランドとそのランドの検査すべき位置の座標値と部品と対応する場合の回路番号とピン番号を記録した機種別ランド座標値表5が形成される。このランド基本データ2の入力と機種振り分け4は、自動、機種振り分けを手動で行う半自動または手動の任意の方式で行うように構成できる。なお、1台の印刷検査装置を用いてすべての部品を検査するという運用も考えられるが、この場合は、このような機種振り分け4の処理は除いてもよい。
【0016】機種別ランド座標値表5が形成されると、記録されたデータの内、印刷検査装置の機種を特定したデータに基づいて設備用データベースを構成する設備マスタデータベース6を介して設備動作データベース7にアクセスされ、その印刷検査装置の動作特性に関するデータが読み出される。設備マスタデータベース6には、機種ごとに設備動作データベース7に対するアクセスアドレスが記録されており、設備動作データベース7には印刷検査動作に影響を与える印刷検査装置の動作特性データが記録されている。
【0017】また、機種別ランド座標値表5に記録されたランドの種類または名称に基づいて、ランド形状データベース(ランドデータベース)8にアクセスし、各種ランドごとにランド形状に関するデータが読み出される。ランド形状データベース8にはランドの各種形状に関するデータが記録されている。さらに、機種別ランド座標値表5に記録されたランドに対応する部品の種類または名称に基づいて、部品データベースを構成する部品マスタデータベース9をもとに部品形状データベース10にアクセスし、各種部品ごとに部品形状に関するデータが読み出される。同様にして、部品マスタデータベース9をもとに部品性質データベース11にアクセスし、各種部品ごとに部品の色などに関するデータが読み出される。部品マスタデータベース9には部品形状データベース10および部品性質データベース11に対するアクセスアドレスが各々記録されており、部品形状データベース10には部品の各種形状に関するデータが記録され、部品性質データベース11には部品の色や重さなど形状以外の物理的性質に関するデータが記録されている。
【0018】そして、機種別ランド座標値表5に記録された各ランドごとに対して、検査条件データ12からの情報項目をもとに、そのランドを検査する条件を入力して検査条件表13を作成する。ここでは、同じランド名称であっても、回路基板上のランド位置により検査時の許容条件が異なることがあるので、ランド形状のようにランド名称や種類ごとに定義することができない。したがって、各ランドごとにこの検査条件を示すための検査コードを検査条件表13の中で設定する形になる。検査条件表13の検査コードは印刷検査条件データベース14に対するアクセスアドレスに対応しており、印刷検査条件データベース14にはランドを検査する際の実際の許容値などの検査条件に関するデータが記録されている。
【0019】以上のように機種別ランド座標値表5に基づいて各種データベースからの所定のデータを読み出す動作は読出書込処理手段15にて順次行われ、また、この読出書込処理手段15によって読み出されたデータに基づいて各部品ごとに印刷検査装置の機種と検査すべきランドの種類とランド検査条件のデータを書き込んだ個別ランド配列表16が形成される。
【0020】こうして、個別ランド配列表16が形成されると、機種別ランド座標値表5から各ランドの名称とランド検査位置の座標値が順次読み出され、回路番号とピン番号の組および部品の名称に基づいて個別ランド配列表16から読み出したデータがマシンデータ変換手段17によりマシンデータ18に変換される。マシンデータ18には座標値に対応してNCデータ、部品の種類に対応したパーツデータ、ランドの形状を示すランドデータ、印刷検査時の許容条件を示す検査条件データなどがある。
【0021】なお、以上のようにデータ処理を各ランドごとに行うことも可能であるが、実装装置の実装データ作成装置との互換性を高めるために、部品ごとの単位で処理することも考えられる。通常、印刷検査装置は実装装置と並行して使用することが多く、印刷検査データも部品単位で処理することが多い。したがって、印刷検査データも部品単位で処理した方が対応がとりやすくなる。また、一般に各部品ごとに複数個存在するランドごとに処理をするのではなく、部品単位でまとめて行った方が処理量を少なくできる。
【0022】このとき、実装動作に影響を与える各種実装装置の特徴を記憶させた記憶用データベースと、各種実装装置ごとに設備用データベースにアクセスを行うアクセス手段と、実装装置用のマシンデータ変換手段を追加することにより実装装置用のマシンデータを共通の部品用データベースから作成する一例を図3に示している。
【0023】図3において、設備マスタデータベース19には実装装置用のアドレスが追加設定され、設備動作データベース20に実装装置の機種別の動作データが登録されている。機種振り分け21は部品単位に行うことを考え、機種振り分け21時に各部品ごとに印刷検査装置と実装装置を別々に振り分けて両装置の情報を機種別部品座標値表22に盛り込む。ランド形状データベースは、部品をキーにランド基本データ2の中に含まれていた情報をもとに、対応するランドデータを引き出す。さらに、読出書込処理手段23によって個別ランド配列表16に加えて、各部品ごとに実装装置の機種と実装すべき部品の種類を書き込んだ個別部品配列表24が形成される。マシンデータ変換手段25にこの個別部品配列表24に対応して実装装置用のものを追加して、マシンデータ26に実装装置用のNCデータも同時に作成するようにすると実装装置用の実装データ作成装置としても利用できるようになる。このとき、部品の名称や種類によって決まる部品マスタデータベース9や部品形状データベース10および部品性質データベース11は共通で利用できる。
【0024】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように本発明によれば、ランドの種類とその印刷検査位置および印刷検査装置の機種などを入力すれば、各種ランドデータベースと部品データベースと設備用データベースから必要なデータを読み出し、印刷検査位置とともにマシンデータに変換して出力され、自動的に印刷検査データを作成することができる。
【0025】また、印刷装置用のデータベースを追加構成し、印刷装置の機種などを入力すれば、共通の部品データベースを利用して、印刷装置用のマシンデータも自動的に作成させる機能を低コストで容易に追加できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の印刷検査データ作成装置の構成要素のデータの流れを示す図
【図2】同印刷検査データ作成装置の検査データ作成要領の概念図
【図3】本発明の他の実施例の印刷検査データ作成装置の構成要素とデータの流れを示す図
【図4】(a),(b) 従来の印刷検査データ作成装置の検査データ作成要領の概念図
【符号の説明】
6 設備マスタデータベース(設備用データベース)
7 設備動作データベース(設備用データベース)
8 ランド形状データベース(ランドデータベース)
9 部品マスタデータベース(部品データベース)
10 部品形状データベース(部品データベース)
11 部品性質データベース(部品データベース)
14 印刷検査条件データベース
15 読出書込処理手段
17 マシンデータ変換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 印刷検査に影響を与える各種印刷形状であるランドの特徴を記憶させたランドデータベースと、印刷検査に影響を与える各種部品の特徴を記憶させた部品データベースと、印刷検査に影響を与える各種印刷検査装置の特徴を記憶させた設備用データベースと、各種印刷検査時の許容値などの検査条件を記憶させた印刷検査条件データベースと、印刷検査装置の機種と印刷検査すべき部品の種類と印刷検査条件に関するデータに基づいて各データベースからデータを読みだして部品ごとに書き込み処理を行う読出書込処理手段と、部品の印刷検査位置データおよび読出書込処理手段で書き込まれた部品データをマシンデータに変換するマシンデータ変換手段を備えた印刷検査データ作成装置。
【請求項2】 実装動作に影響を与える各種実装装置の特徴を記憶させた設備用データベースと、実装装置用のマシンデータ変換手段を備えた請求項1記載の印刷検査データ作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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