説明

印刷機の印刷装置の汚れ度を測定するための方法と装置

【目的】 印刷機の洗浄装置の洗浄溶液の汚れ度を介して印刷装置の汚れを制御し、ひいては一方で洗浄過程を短縮し、かつ他方で洗浄溶液を節約する可能性を見出す。
【構成】 印刷装置の汚れ度を間接的に洗浄溶液の汚れ度を介して測定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷機の印刷装置の汚れ度を測定するための方法と装置とに関する。
【0002】
【従来技術】例えばオフセット印刷機のゴムブランケット、圧胴またはインキ装置の洗浄は従来経験的に行われている、すなわち印刷工が洗浄過程の時点および洗浄過程当りのすすぎ過程の数を決めなければならない。または洗浄プログラムが、機械のタイプまたは印刷の仕事に応じて決まった時点に洗浄過程が行われるように設定されている。このやり方ではより少量の洗浄溶液での洗浄で可能であり、したがってまたより短い時間の、各すすぎ過程から成る洗浄過程を達成することができるような場合にも所定の洗浄溶液量が消費されることが起る。印刷工のこの不正確な評価には洗浄溶液の毒性、爆発性または環境を損う作用の危険の増大が加わる。
【0003】DE−OS1598831には液体の混濁を測定するための装置が記載されており、該装置は特に高い混濁物質含量を持つ液体の混濁度の測定に好適である。
【0004】同様に別の濁った液体の汚れ度を測定する方法、例えば物理的、化学的または電気化学的方法が考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、印刷機の洗浄装置の洗浄溶液の汚れ度を介して印刷装置の汚れを制御し、ひいては一方で洗浄過程を短縮し、かつ他方で洗浄溶液を節約する可能性を見出すことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための本発明による手段は、印刷装置の汚れ度を間接的に洗浄溶液の汚れ度を介して求めることである。
【0007】更に上記の課題は、透明の、洗浄溶液を案内する管と、白色光のための光源と、光学センサとを備えており、白色光が管を透過してセンサに当たるように構成されている装置によって解決される。
【0008】
【発明の効果】洗浄過程において汚れ粒子(例えばインキ粒子)が印刷機の胴またはローラから分離し、かつ洗浄溶液と一緒に運び出される。したがって洗浄溶液の状態は洗浄の前後で異なっている。本発明は、例えば印刷装置の汚れ度を洗浄溶液の汚れ度の測定を介して求める方法を提供する。したがって印刷機内の当該装置に依然として存在する汚染物を逆推定することは可能である。洗浄前後で洗浄溶液内に相違が認められない場合には印刷機の清掃すべき装置に汚染物がないことを前提とすることができる。分離された汚染物がフェルト布によって吸収された場合にはフェルト布の汚れを介して印刷機の清掃すべき装置の状態を逆推定することが考えられる。
【0009】有利には洗浄過程の少なくとも初めの2つのすすぎ過程後の洗浄剤の汚れ度の測定に基いて洗浄溶液の汚れ度とすすぎ過程の数との関係を示す特性曲線が求められ、かつこの関数に基いて洗浄過程の必要すすぎ工程数を予め決定可能であることにより汚れ度が測定される。
【0010】洗浄過程は関数によって記載することができ、ここで関数の曲線経過は、洗浄溶液の汚れ度を洗浄過程当りの必要すすぎ工程数に対してプロットすることによって得られる。これは有利には式y=ae-bxの関数または同様の関数である。この関数の2点(これらは少なくとも2回のすすぎ過程の後に測定することができる)が分ると、求める関数を測定された2点へ置くことが可能である。経験的に印刷装置の清浄度が一定に達した後にも更に洗浄を続けることは余り意味がないので、求めた関数に基いていつ洗浄過程を終了すべきかを予め決めることができる。
【0011】優れた構成によれば洗浄溶液の汚れ度は光学的に洗浄溶液の吸収度を介して測定することができる。
【0012】同様に他の測定方法を行うのも有利であろう。例えば化学的検出反応並びに密度測定を介する物理的測定が考えられる。更に汚れ度は導電率の測定を介して測定することができ、この場合には場合により印刷インキに導電性の物質が添加される。
【0013】上記の方法を実施するための優れた装置は透明の、洗浄溶液を案内する管と、白色光用の光源と、光学センサとを備えており、白色光が管を透過してセンサに当たるように構成されている。
【0014】装置の優れた構成によれば光源と管との間に印刷装置に適用されたインキのその都度の補色を持つカラーフィルタが設けられている。
【0015】このようにして固有の測定を行うことができる。白色光の光源と汚れた洗浄溶液を案内する管との間にカラーフィルタ(例えば赤、緑、または青)が配置される。今や有色の光(赤、緑または青)は管を通過せしめられ、引続き洗浄溶液内に存在するインキ成分(シアン、マゼンタ、イエロー)が光学センサによって測定される。
【0016】
【実施例】図1には透明の管1が示されており、管は汚れた洗浄溶液を案内している。管1は白色光の光源2の光線でカラーフィルタ3を通過させたものによって透過せしめられる。カラーフィルタ3は印刷インキに応じて補色を有し、普通赤、緑、または青であり、そのために汚れた洗浄溶液を案内した管1は赤色、緑色または青色光4でもって透過せしめられる。洗浄溶液がインキのシアン、マゼンタまたはイエローで汚れている場合には管1内で赤色、緑色または青色光4が吸収される。この吸収度は光学センサによって測定される。光学センサは管1内に清潔な洗浄溶液を通すことによって校正される。清潔な洗浄溶液に関して求めた数値と汚れた水によって得られた数値との比から汚れ度が得られる。
【0017】図2には座標系が示されている。x軸には洗浄過程当たり必要なすすぎ過程の数が取られている。y軸には洗浄溶液の汚れ度が取られている。この座標系には3つの曲線C,D,Eが示されている。曲線Cは印刷装置の汚れ度が高い場合の関数を示す。曲線Eは中間的な汚れの状態に関し、かつ定数Dはすすぎ過程をもう必要としない数値を示す。
【0018】洗浄過程の第1すすぎ過程は例えば汚れ度Aを与える。第2のすすぎ過程は汚れ度Bを与える。両点AとBに式y=ae-bxの曲線を適用する。今や定数Dと曲線Cとの間のおよその交点を基にこの洗浄過程では4回を上回る回数のすすぎ過程は必要ないことを予測することができる。
【0019】更に洗浄過程を連続的に行うことが考えられ、この場合には洗浄溶液が常時、すなわちすすぎ過程なしで添加される。
【0020】更に使用後の洗浄溶液と未使用の洗浄溶液の汚れ度の比較を不断に行うことによって洗浄過程の時間を測定することができる。
【0021】このことから洗浄過程の時間、すなわちすすぎ過程の数を最小にし、したがって洗浄剤を節約することができるという大きな利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】汚れ度を測定するための装置を示した図である。
【図2】3つの可能な特性曲線を示した図である。
【符号の説明】
1 管
2 光源
3 カラーフィルタ
4 光
5 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 印刷機の印刷装置の汚れ度を測定するための方法において、印刷装置の汚れ度を間接的に洗浄溶液の汚れ度を介して測定することを特徴とする、印刷機の印刷ユニットの汚れ度を測定するための方法。
【請求項2】 洗浄過程の少なくとも初めの2度のすすぎ過程の後の洗浄溶液の汚れ度の測定に基いて洗浄溶液の汚れ度とすすぎ過程の数との関係を示す特性曲線を求め、かつこの関数に基いて洗浄過程の必要すすぎ過程数を予め決定可能である、請求項1記載の方法。
【請求項3】 洗浄溶液の汚れ度を光学的に吸収度を介して測定する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】 汚れ度を化学的な検出反応を介して測定する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】 汚れ度を物理的に密度測定を介して測定する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】 汚れ度を導電率の測定を介して測定し、この場合に場合により印刷インキに導電性物質が添加される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】 洗浄溶液の汚れ度に応じて洗浄溶液が複数回利用可能である、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】 請求項1から3までの方法を実施するための装置において、透明の、洗浄溶液剤を案内する管(1)と白色光の光源(2)と光学センサとを備えており、白色光(2)が管(1)を透過してセンサ(5)に当たるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項9】 光源(2)と管(1)との間に印刷装置に適用されたインキの各補色を有するカラーフィルタ(3)を備えている、請求項8記載の方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【公開番号】特開平6−43098
【公開日】平成6年(1994)2月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−130236
【出願日】平成5年(1993)6月1日
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】HEIDELBERGER DRUCKMASCHINEN AKTIENGESELLSCHAFT