印刷流体カートリッジ及び記録装置
【課題】カートリッジ装着部から印刷流体カートリッジが取り出されるときのインクの垂れを防止すること、又は装置の小型化の少なくとも一方が解決できる構造を備えた印刷流体カートリッジ又は記録装置を提供する。
【解決手段】インクカートリッジ30は、取出向き55へ作用する外力に抗してインクカートリッジ30を係合可能な係合部材145を有するカートリッジ装着部110に装着される。インクカートリッジ30は、インクが貯留されるインク室36を有する筐体31と、筐体31に対してスライド可能に設けられており、そのスライドによって係合部材145の係合を解除する解除部材60と、を具備する。
【解決手段】インクカートリッジ30は、取出向き55へ作用する外力に抗してインクカートリッジ30を係合可能な係合部材145を有するカートリッジ装着部110に装着される。インクカートリッジ30は、インクが貯留されるインク室36を有する筐体31と、筐体31に対してスライド可能に設けられており、そのスライドによって係合部材145の係合を解除する解除部材60と、を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部に装着される印刷流体カートリッジ及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを用いて記録用紙に画像を記録する画像記録装置が知られている。この画像記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備え、記録ヘッドのノズルからインク滴を記録用紙へ向けて選択的に噴出する。このインク滴が記録用紙に着弾することによって、記録用紙に所望の画像が記録される。この画像記録装置には、記録ヘッドへ供給するインクを貯蔵するインクカートリッジが設けられる。インクカートリッジは、画像記録装置に設けられた装着部に対して着脱可能である。
【0003】
インクカートリッジ内のインクが無くなると、そのインクカートリッジが画像記録装置の装着部から取り外されて、インクを貯蔵する新たなインクカートリッジが装着部に装着される。装着部において、インクカートリッジの位置決めを行ったり、インクカートリッジの装着状態を保持したりするためのロック構造が公知である。また、ロック構造によりインクカートリッジがロックされている状態において、インクカートリッジが装着部から取り外される向きにインクカートリッジを付勢する付勢部材が公知である。装着部からインクカートリッジが取り外されるときに、ロック構造によるロックが解除され、インクカートリッジは付勢部材から受ける力によって開口へ向かって移動する。これにより、ユーザが装着部からインクカートリッジを取り出すことが容易となる。
【0004】
また、インクカートリッジがスライダを介して付勢部材から受ける力により、インクカートリッジが装着部から飛び出してしまうことがあり得る。インクカートリッジが床などに落下して、インクカートリッジが破損するおそれがある。これらを防止するために、インクカートリッジの飛び出しを防止する構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−110577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された構成においては、装着機構(29)に操作レバー(30)が設けられている。この操作レバー(30)には規制用係止部(30b)が設けられており、この規制用係止部(30b)が、インクカートリッジ(22)脱着時において、インクカートリッジ(22)の凹部としての規制用被係止部(22a)に係止される。これによって、ばね(36)により脱着方向に付勢されるインクカートリッジ(22)の飛び出しが防止される。
【0007】
しかし、装着機構(29)に操作レバーを設けることとすると、その操作レバーを、ユーザが操作可能なスペースを装着機構(29)の開口周囲に確保する必要があり、装置の小型化の障害となっている。
【0008】
また、特許文献1に記載された構成は、バネの付勢によって勢いよく飛び出したインクカートリッジ(22)の移動を規制用被係止部(22a)で停止されているに過ぎない。そして、操作レバーが規制用被係止部(22a)に係止れるときには、インクカートリッジ(22)は、インク供給針から勢いよく外れた後になってしまうことがある。このインク供給針がインクカートリッジ(22)から外れるときに、インク供給針からインクが垂れ落ちるという問題が生じ得る。
【0009】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カートリッジ装着部から印刷流体カートリッジが取り出されるときの印刷流体の垂れを防止すること、又は装置の小型化の少なくとも一方が解決できる構造を備えた印刷流体カートリッジ又は記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外力に抗して印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部に装着される印刷流体カートリッジに関する。印刷流体カートリッジは、上記係合部材との係合を解除する第1位置と、上記係合部材との係合を解除しない第2位置とにスライド可能な解除部材を具備する。
【0011】
カートリッジ装着部に印刷流体カートリッジが装着された装着状態において、印刷流体カートリッジは外力を受けている。係合部材は、印刷流体カートリッジと係合することによって、外力に抗して、印刷流体カートリッジを装着状態に保持する。
【0012】
印刷流体カートリッジが交換されるときには、解除部材をユーザが第1位置へスライドさせる。これにより、印刷流体カートリッジと係合部材との係合が解除される。ユーザが解除部材を操作しているので、外力により移動する印刷流体カートリッジは、ユーザの手によって止められる。
【0013】
本発明は、上記印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部と、を具備する記録装置に関する。上記係合部材は、上記前面と上記後面とを接続する上面に配置される係止部に係合可能である。上記解除部材は、先端が上記係合部材に当接しながらスライドされることにより上記係合部材を上記係止部から離間させるものであって、上記印刷流体カートリッジが上記カートリッジ装着部に装着された状態において、上記解除部材の先端と上記係止部との間に上記係合部材が配置されるものである。
【0014】
印刷流体カートリッジが交換されるときには、解除部材をユーザが第1位置へスライドさせる。これにより、解除部材の先端が、係合部材に当接して、係合部材を係止部から離間させる。これにより、印刷流体カートリッジと係合部材との係合が解除される。ユーザが解除部材を押しているので、外力により移動する印刷流体カートリッジは、ユーザの手によって止められる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少なくとも以下の何れかの効果を得ることができる。
ユーザが解除部材をスライドさせることにより、係合部材と印刷流体カートリッジとの係合が解除されるので、外力により飛び出す印刷流体カートリッジが、印刷流体が流通する管から外れる前にユーザの手によって保持でる。
【0016】
または、カートリッジ装着部に係合部材を操作するためのスペースを設ける必要がないので、記録装置の小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110の構成を示す断面図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図6】図6(A)は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。図5(B)は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り出される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り出される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図11】図11は、各実施形態の変形例に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0019】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態が説明される。
【0020】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。インクカートリッジ30が印刷流体カートリッジに相当する。インク供給装置100が液体供給装置に相当する。
【0021】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続される。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0022】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0023】
なお、本実施形態に係るプリンタ10の概略構成は一例に過ぎず、例えば、記録用紙の給紙方式や搬送方式、搬送路の形状などは、公知のインクジェットプリンタにおける他の構成が採用されてもよいことは言うまでもない。
【0024】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
【0025】
[インクカートリッジ30]
図2,3に示されるように、インクカートリッジ30は、少なくともインクが貯留されるインク室36を有する。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間に、インクが貯留される。インク室36は、例えば、インクカートリッジ30の外観を形成している筐体31により形成される空間であってもよいし、筐体31内部に配置された、筐体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。この場合、インクカートリッジがインク室を有しないこととなるが、本願発明の印刷流体カートリッジに含まれる。インク室36が液体室に相当する。
【0026】
インクカートリッジ30は、図2に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿入及び取出方向50」と称する(図5参照)。)に沿って挿入又は取り出される。すなわち、インクカートリッジ30は、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。この起立状態が、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された姿勢である装着姿勢に相当する。図5に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される向きが挿入向き56であり、抜き出される向きが取出向き55である。挿入向き56及び取出向き55が挿入及び取出方向50と平行であることは言うまでもない。本実施形態においては、挿入及び取出方向50は、水平方向に沿う。すなわち、挿入向き56及び取出向き55は、水平方向に沿った向きである。
【0027】
インクカートリッジ30は、例えば、略直方体形状の筐体31を有する。筐体31は、例えば、幅方向51に短く、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも長い扁平形状である。幅方向51及び奥行き方向53は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときに水平方向に沿う。高さ方向52は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときに鉛直方向に沿う。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して挿入又は取り出されるとき、奥行き方向53は、挿入及び取出方向50と平行であり、幅方向51及び高さ方向52は、挿入及び取出方向50と直交する。
【0028】
筐体31は、挿入向き56の前側の前壁40及び挿入向き56の後ろ側の後壁42を有している。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるときに挿入向き56の前方側となる筐体31の壁が、前壁40であり、後方側となる筐体31の壁が、後壁42である。前壁40と後壁42とは、奥行き方向53(挿入及び取出方向50)において所定の距離を離れて位置している。筐体31は、さらに、前壁40及び後壁42を接続する、挿入及び取出方向50に延びる一対の側壁37,38を有している。側壁37,38は、幅方向51において所定の距離を離れて位置していてもよい。筐体31は、さらに、側壁37,38と前壁40及び後壁42とを接続し、かつ前壁40の上端から後壁42の上端に向けて延びる上壁39、及び前壁40の下端から後壁42の下端に向けて延びる下壁41を有していてもよい。上壁39及び下壁41は、高さ方向52において所定の距離を離れて位置していてもよい。前壁40により構成される筐体31の外面が前面に相当する。後壁42により構成される筐体31の外面が後面に相当する。より詳細には、前壁40及び前壁40に設けられた部材(例えば、後述されるインク供給部43)の外面が前面に相当する。また、後壁42及び後壁42に設けられた部材(本発明においては、必ずしも設けられる必要はない。)の外面が後面に相当する。また、上壁39により構成される筐体31の外面が上面に相当する。なお、起立状態では、下壁41を下にした状態で、前壁40に配置されるインク供給部43は下側に配置されている。
【0029】
図2に示されるように、インク供給部43は、例えば、筐体31の前壁40における高さ方向52の下側に設けられている。インク供給部43は、例えば、円筒形状の外形をなし、前壁40から奥行き方向53(挿入及び取出方向50)に沿って、インク室36から離れる向き又は挿入向き56へ突出している。インク供給口71は、例えば、インク供給部43の先端72付近において、筐体31の外側に開口するように形成されている。図3に示されるように、インク供給部43の内部には、インク流路44が形成されている。インク流路44は、インク供給口71から奥行き方向53(挿入及び取出方向50)に延びてインク室36へ通じている。
【0030】
図3に示されるように、インク供給口71は、例えば、バルブ70によって開閉可能に構成されている。バルブ70は、インク供給部43のインク流路44内において、奥行き方向53(挿入及び取出方向50)に沿って移動可能に設けられている。バルブ70は、コイルバネ73によりインク供給口71に向かって付勢されている。したがって、バルブ70に外力が加わらない状態においては、バルブ70がインク供給口71を液密に閉塞する閉位置に位置する。なお、インク供給部43の先端72のインク供給口71を囲う部分が、例えば、ゴム等の弾性部材により形成されている。付勢されたバルブ70が弾性部材に接触すると、弾性部材が弾性変形し、インク供給口71が液密に閉塞される。この状態において、バルブ70の一部は、インク供給口71からインク供給部43の外部、すなわち、インクカートリッジ30の外部へ露出されている。バルブ70,コイルバネ73も必須のものではなく、バルブ70に代えてフィルムやゴム栓が設けられてもよい。
【0031】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122が、インク供給口71に挿入されることにより、コイルバネ73が弾性変形し、バルブ70がコイルバネ73の付勢に抗してインク供給口71から離れた開位置に移動する(図6(A)参照)。これにより、インク供給口71が開放されて、インク流路44を通って、インク室36からカートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122内へインクが流出され得る。なお、筐体31には、例えば、大気導入部が設けられており、インク室36からカートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122内へインクが流出されるのに伴い、大気導入部を介してインク室36内に大気が導入される。なお、大気導入部は必須のものではなく、例えば、インク室36が袋で形成され、インクの減少に応じて体積が減少するものであってもよい。
【0032】
図2,3に示されるように、筐体31の前壁40の下端には、挿入向き56へ突出する突起32が設けられている。突起32は、前壁40に設けられたインク供給部43の突出端よりも前側まで突出している。
【0033】
図2,3に示されるように、筐体31の上壁39における奥行き方向53の中央付近には、係止部45が形成されている。係止部45は、インクカートリッジ30の幅方向51及び高さ方向52に拡がる係止面46を有する凹部である。係止面46には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述される係合部材145が係合する。
【0034】
図2,3に示されるように、筐体31の上壁39における係止部45より前壁40側の面は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入又は取り出されるときに、係合部材145が接する上面47である。上面47は、例えば、幅方向51及び奥行き方向53に拡がる面である。また、上面47と前壁40との境界には、例えば、上面47及び前壁40に対して傾斜した傾斜面48が形成されている。傾斜面48は、係合部材145を上面47へ案内するものである。この傾斜面48は無くてもよいし、傾斜面48に代えて、突起32のように挿入向き56へ突出する突起が設けられていてもよい。
【0035】
図2,3に示されるように、解除部材60は、例えば、筐体31の後壁42側の高さ方向52の上側に設けられている。解除部材60は、例えば、細長なロッド形状をなしており、その長手方向が奥行き方向53に沿うように配置されている。筐体31の後壁42には、解除部材60が挿入可能な長孔49が奥行き方向53に沿って延びるように形成されており、この長孔49は、例えば、後壁42から係止部45へ貫通されている。
【0036】
解除部材60は、例えば、長孔49に案内され、挿入及び取出方向50に沿ってスライド可能である。解除部材60において、前壁40側となる先端部61は、例えば、係止部45へ至っている。解除部材60の後端62は、例えば、後壁42から突出可能とされている。後端62には、必要以上の押し込みを規制するために、円盤形状の板63が設けられている。
【0037】
長孔49には、例えば、解除部材60を取出向き55へ付勢するコイルバネ64が設けられている。図3には詳細に示されていないが、長孔49及び解除部材60には、コイルバネ64の端部が当接するバネ座が形成されており、これらバネ座の間にコイルバネ64が圧縮状態で配置されている。解除部材60に外力が付与されていない状態では、解除部材60は、コイルバネ64により付勢されて、先端部61が最も挿入向き56の後ろ側に位置している。この位置が第2位置と称される。この状態において、先端部61の位置は、後述される係合部材145の係合端部146の位置より挿入向き56の後ろ側であればよい。解除部材60の板63が挿入向き56へ押されることにより、解除部材60は、例えば、コイルバネ64の付勢に抗して挿入向き56へスライド可能とされる。解除部材60が最も挿入向き56へ押し込まれた状態において、先端部61は、係止部45の係止面46に接近する。この位置が第1位置と称される。コイルバネ64の付勢力は、後述されるコイルバネ73,126による付勢力より弱いが、これについて後に詳述される。コイルバネ64が、付勢部材に相当する。なお、コイルバネ64は、なくてもよい。また、解除部材60が筐体31と一体にされていてもよい。
【0038】
[カートリッジ装着部110]
図4に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体としてのケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する箱形状である。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿入又は取り出される。ケース101には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。各実施形態で示される各図においては、1つのインクカートリッジ30に相当するケース101のみが例示されている。
【0039】
ケース101は、挿入及び取出方向50において開口112とは対向位置にあり、ケース101の内部空間に面している終面102を有する。図4に示されるように、接続部103は、ケース101の終面102の下部に設けられている。接続部103は、終面102において、ケース101に装着された各インクカートリッジ30のインク供給部43に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0040】
接続部103は、インク供給管122と、保持部121とを有する。同図には示されていないが、インク供給管122は、ケース101の終面と表裏をなすケース101の外面側で、インクチューブ20に接続されている。各インク供給管122と接続された各インクチューブ20は、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に接続されている。
【0041】
保持部121は、例えば、ケース101の終面102に形成され、終面102の一部を円筒状に窪ませて形成されている。インク供給管122は、保持部121の中心に挿入及び取出方向50に配置されている。図6(A)に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、円筒状のインク供給部43が円筒状の保持部121に挿入される。このとき、インク供給部43の外周面が保持部121を画定している面に接触、例えば、密着する。インク供給部43が保持部121へ挿入されると、インク供給管122がインク供給部43のインク供給口71に挿入され、インク供給管122がバルブ70を移動させる。これにより、閉位置のバルブ70が、コイルバネ73の付勢に抗して開位置へ移動されて、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、水頭差等により、インク供給管122内へ流入し、インクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ流れる。
【0042】
図4に示されるように、係合部材145がケース101に設けられている。係合部材145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に保持するためのものである。係合部材145は、ケース101の開口112の上側に設けられている。
【0043】
係合部材145は、例えば、支軸147を中心に揺動可能に形成されている。支軸147は、例えば、係合部材145の開口112側の端部に設けられている。この支軸147は、例えば、ケース101に取り付けられている。これにより、係合部材145は、ケース101の開口112付近の上側において、支軸147を中心に開口112側に対して近づく/離れるように回動可能に支持される。係合端部146は、係合部材145の支軸147の他端側に配置される。係合端部146は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部146が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して、スライド部材123の付勢力に抗して、装着位置に保持される。係合端部146が係止部45と係合可能な位置となる係合部材145の回動位置(図6(A)参照)がロック位置と称され、係合端部146が係止部45と係合しない位置(図6(B)参照)がアンロック位置と称される。
【0044】
係合部材145において、係合端部146と支軸147との間であって、下面側、すなわちインクカートリッジ30の係止部45と対向する面側には、凸部148が形成されている。凸部148は、係合部材145の長手方向において三角形状に形成されている。凸部148の解除部材60の先端部61と対向する面は、挿入及び取出方向50に対して鋭角になるように傾斜されている。この傾斜した面が、第1面149と称される。
【0045】
各図には示されてないが、係合部材145には、コイルバネが取り付けられており、このコイルバネによって、係合部材145は、重力方向下向きへ付勢されている。解除部材60の板63が前壁40側に移動することにより、係合部材145が支軸147を中心に上側へ回動し、ロック位置からアンロック位置へ移動する。また、各図には示されていないが、例えば、係合部材145の可動範囲は、アンロック位置より下方へ移動しないように回動が規制されている。
【0046】
図4に示されるように、カートリッジ装着部110の内部空間は、終面102の下端側において、挿入向き56に拡大されている。この拡大された空間には、スライド部材123が挿入及び取出方向50へスライド(水平移動)可能に設けられている。スライド部材123は、例えば、概ね直方体の外形をなしており、その上面から突片124が上向きへ突出されている。突片124は、インクカートリッジ30の突起32の進入経路にオーバーラップしており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される過程において、突起32に当接し得る。
【0047】
スライド部材123が収容されている空間の終面125とスライド部材123との間には、コイルバネ126が圧縮状態で設けられている。スライド部材123は、コイルバネ126によって取出向き55へ付勢されている。従って、スライド部材123は、外力が付与されない位置において、例えば、終面125と対向する前面127と接することにより、移動が規制されている。インクカートリッジ30の突起32が突片124に接した状態から、さらにインクカートリッジ30が挿入されるとき、スライド部材123の移動に伴って、コイルバネ126を収縮させる。
【0048】
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、図5〜7を参照しつつ、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に着脱される動作を説明する。
【0049】
図5(A)に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に、開口112を通って、インクカートリッジ30の前壁40側から挿入される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材145に接する。更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、係合部材145が上面47に接する。これにより、係合部材145が図5(A)における反時計回りに回動して、付勢力に抗してロック位置からアンロック位置へ移動する。
【0050】
図5(B)に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着する途中過程において、インク供給部43は保持部121に接し、インク供給管122が、インク供給部43のインク供給口71に挿入される。このとき、係合部材145は、筐体31の係止部45とは未だ係合していない。インク供給管122がインク供給口71に挿入されてバルブ70に接し、さらにインクカートリッジ30が挿入向き56へ移動されると、図6(A)に示されるように、バルブ70がインク供給管122に押されて、コイルバネ73の付勢に抗して閉位置から開位置へ移動される。そして、インク供給部43が保持部121に挿入され、かつ、インク供給管122がインク供給口71に挿入されることにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して、所定の位置に装着される。各図には示されていないが、インク供給管122の先端にはインク導入口が設けられているので、このインク導入口を通じて、インク室33からインク流路44を介して、インク供給管122へインクが流入する。
【0051】
図6(A)に示されるように、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材145の係合端部146を挿入向き56へ通り過ぎる。これにより、係合部材145の係合端部146が上面47に支持されなくなるので、係合部材145が図6(A)における時計回りへ回動して係合部145に位置し、係合端部146が係止面46に接する。これにより、インクカートリッジ30が、係合部材145が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、装着位置に保持される。このようにして、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。インクカートリッジ30に設けられたコイルバネ73、及び/又はカートリッジ装着部110に設けられたコイルバネ126により筐体31に付与される力が外力に相当する。この外力は、筐体31の前壁40側の突起32に作用している。なお、外力としては、筐体31の内部にあるバルブ70を開閉するコイルバネ73に代えて、筐体31の外部にコイルバネを設けておき、そのコイルバネの先端がカートリッジ装着部110の終面102や光センサ等に当たってインクカートリッジ30を取出向き55へ付勢するようなものであってもよい。
【0052】
インクカートリッジ30のインク室36内のインクが消費されると、使用済みのインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外され、新しいインクカートリッジ30が装着される。前述されたように、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態においては、解除部材60の先端部61は、係合部材145の係合端部146より挿入向き56の後ろ側に位置されている。
【0053】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、解除部材60の板63を筐体31の後壁42へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して、ユーザによって押し込まれる。解除部材60の板63は、後壁42より手前側に位置しているので、ユーザは、インクカートリッジ30の後壁42側から解除部材60を操作することができる。これにより、図6(B)に示されるように、解除部材60の先端部61が、係合部材145の第1面149に当接する。さらに解除部材60が押し込まれることにより、解除部材60の先端部61が係止面46に近づいていくと共に、係合部材145が、解除部材60の先端部61を第1面149が乗り上げるようにして、上側へ押し上げられる。これにより、係合部材145の係合端部146が係止面46より上側となるまで、つまり係合端部146が係止面46から離間するまで係合部材145が回動される。すなわち、係合部材145がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材145によるインクカートリッジ30の保持が解除される。
【0054】
係合部材145の係合端部146が係止面46から離間されることにより、筐体31に付与されている外力、すなわちコイルバネ73及び/又はコイルバネ126による付勢力によって、筐体31は、取出向き55へ移動しようとする。一方、ユーザが解除部材60を挿入向き56へ押しているので、コイルバネ73,126による付勢力は、コイルバネ64及び解除部材60を介して、ユーザの手によって受け止められる。
【0055】
図6(B)に示された状態において、コイルバネ73,126が筐体31を取出向き55へ付勢する力F1と、ユーザに押し止められている解除部材60により、コイルバネ64が筐体31を挿入向き56へ付勢する力F2とを比較すると、力F1より力F2が弱い(力F1>力F2)。したがって、ユーザが解除部材60を押し止めていたとしても、図7(A)に示されるように、力F1によって筐体31が取出向き55へ移動する。
【0056】
筐体31が取出向き55へ移動するにしたがって、コイルバネ73,126がいずれも伸長していくので、力F1は次第に弱くなっていく。一方、筐体31が取出向き55へ移動するにしたがって、ユーザにより押し止められている解除部材60は筐体31に対して相対的に後壁42へ近づくので、コイルバネ64が収縮されていき、力F2は次第に強くなっていく。このように筐体31の取出向き55への移動に伴って連続的に変化する力F1と力F2とが均衡する位置、または、インク供給管122がインク供給口71から抜けてコイルバネ73による付勢力が筐体31に作用しなくなった位置において、取出向き55へ移動していた筐体31が停止する。このとき、係合部材145の係合端部146は、係止面46より前壁40側に位置しており、上面47の上側にある。したがって、ユーザが解除部材60から手を離しても、係合部材145が再びロック位置へ回動して係止部45と係合することはない。
【0057】
ユーザが解除部材60から手を離すと、図7(B)に示されるように、筐体31は、コイルバネ126の付勢によって、スライド部材123が前面127に当接するまで、スライド部材123によって取出向き55へ移動される。この移動は若干であり、また、コイルバネ126の付勢力のみが筐体31に作用するので、筐体31がカートリッジ装着部110から勢いよく飛び出すことはない。ユーザが解除部材60から手を離すことにより、コイルバネ64に付勢されて、解除部材60は、板63が筐体31の後壁42から最大限離れた位置までスライドされる。そして、ユーザが筐体31を取出向き55へ取り出すことにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外される。
【0058】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態によれば、ユーザが解除部材60をスライドさせることにより、係合部材145とインクカートリッジ30との係合が解除されるので、外力により取出向き55へ移動するインクカートリッジ30がユーザの手によって止められて、インク供給管122からインクが垂れ落ちることが防止される。
【0059】
また、カートリッジ装着部110にユーザが操作するための構成を係合部材145に設ける必要がないので、インク供給装置100の小型化が実現される。
【0060】
また、解除部材60がコイルバネ64により後壁42に対してインク室から離れる向きへ付勢されているので、ユーザが解除部材60の操作を終えると、解除部材60の先端部61が係止面46から最も離れた位置に復帰する。これにより、係止部45において、常に、係合部材145が進入するスペースが確保される。
【0061】
また、図6(B)に示された状態において、コイルバネ64が筐体31を挿入向き56へ付勢する力F2は、コイルバネ73,126が筐体31を取出向き55へ付勢する力F1より弱いので、図6(B)に示された状態から、筐体31が取出向き55へ移動するが、この移動において、コイルバネ64が謂わばダンパとして作用するので、筐体31が勢いよく移動することがない。そして、この筐体31の移動により、ユーザが解除部材60から手を離しても、係合部材145が再び係止部45と係合することがない。
【0062】
[第2実施形態]
前述された第1実施形態では、カートリッジ装着部110に設けられた係合部材145が、支軸147から終面102へ延びるアーム形状のものであったが、このような係合部材145に代えて、支軸157から開口112側へ延びるアーム形状の係合部材155が設けられていてもよい。
【0063】
詳細に説明するに、図8に示されるように、ケース101には、係合部材155が設けられている。係合部材155は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に維持するためのものである。係合部材155は、ケース101の開口112付近の上側に設けられている。
【0064】
支軸157は、例えば、係合部材155の終面102側の一端側に設けられている。この支軸157がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112付近の上側において係合部材155が支軸157を中心に終面102に対して近づく/離れる方向に回動可能に支持されている。係合部材155のケース101の開口112の他端側には、開口112側であって下方を向くガイド面159が形成されている。ガイド面159は、解除部材60の先端部61と対向する。
【0065】
係合部材155において、ガイド面159と支軸157との間であって、下面側、すなわちインクカートリッジ30の係止部45と対向する面側には、凸部158が形成されている。凸部158は、係合部材155の長手方向において三角形状に形成されている。凸部158において、他端側には、ほぼ高さ方向52へ拡がる係合端部156が形成されている。係合端部156は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部156が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して装着状態に維持される。
【0066】
前述された係合部材155によっても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材155に当接して、係合部材155が時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動し、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材155の係合端部156を挿入向き56へ通り過ぎることにより、係合部材155が上面47に支持されなくなるので、係合部材155が反時計回りへ回動して、係合端部156が係止面46に対向する。この係合端部156と係止面46との当接により、係合部材155が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、インクカートリッジ30が装着位置に保持される。
【0067】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、ユーザが、解除部材60の板63を筐体31の前壁40へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して押し込むと、解除部材60の先端部61が、係合部材155のガイド面159に当接して、解除部材60の先端部61をガイド面159が乗り上げるようにして、係合部材155が上側へ押し上げられる。これにより、係合部材155の係合端部156が係止面46より上側となるまで、つまり係合端部156が係止面46から離間するまで係合部材155が回動される。すなわち、係合部材155がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材155によりインクカートリッジ30の係合が解除される。
【0068】
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0069】
[第3実施形態]
前述された第1実施形態では、カートリッジ装着部110に設けられた係合部材145が、支軸147を中心に回動可能なものとしたが、このような係合部材145に代えて、ケース101の上側からケース101の内部空間へ上下方向に移動可能な係合部材165が設けられていてもよい。
【0070】
詳細に説明するに、図9に示されるように、ケース101には、係合部材165が設けられている。係合部材165は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に維持するためのものである。係合部材165は、ケース101の開口112付近の上側に設けられている。
【0071】
係合部材165は、全体がボス状に形成されている。同図には示されていないが、係合部材165は、ケース101に案内されて高さ方向52へ移動可能である。係合部材165のケース101の開口112側の端には、開口112側であって下方を向くガイド面169が形成されている。ガイド面169は、解除部材60の先端部61と対向する。
【0072】
係合部材165のケース101の終面102側の端には、ほぼ高さ方向52へ拡がる係合端部166が形成されている。係合端部166は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部166が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して装着状態に維持される。
【0073】
係合部材165は、コイルバネ167によって上下方向下向きへ付勢されている。したがって、係合部材165は、外力を受けていない状態においては、ケース101の内部空間へ突出する。
【0074】
前述された係合部材165によっても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材165に当接して、係合部材165がコイルバネ167に抗して上向きへ移動し、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材165の係合端部166を挿入向き56へ通り過ぎることにより、係合部材165が上面47に支持されなくなるので、係合部材165が下向きへ移動して、係合端部166が係止面46に対向する。この係合端部166と係止面46との当接により、係合部材165が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、インクカートリッジ30が装着位置に保持される。
【0075】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、ユーザが、解除部材60の板63を筐体31の前壁40へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して押し込むと、解除部材60の先端部61が、係合部材165のガイド面169に当接して、解除部材60の先端部61をガイド面169が乗り上げるようにして、係合部材165が上側へ押し上げられる。これにより、係合部材165の係合端部166が係止面46より上側となるまで、つまり係合端部166が係止面46から離間するまで係合部材165が移動されて、係合部材165によりインクカートリッジ30の係合が解除される。
【0076】
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0077】
[第4実施形態]
前述された第1実施形態では、カートリッジ装着部110に設けられた係合部材145が、支軸147を中心に回動可能なものとしたが、このような係合部材145に代えて係合部材175が設けられ、インクカートリッジ30には係合部材175を移動させるためのスライダ171が設けられていてもよい。
【0078】
詳細に説明するに、図10に示されるように、ケース101には、係合部材175が設けられている。係合部材175は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に維持するためのものである。係合部材175は、ケース101の開口112付近の上側に設けられている。
【0079】
係合部材175は、全体がアーム状に形成されている。係合部材175の開口112側の端部に支軸177が設けられている。この支軸177がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112付近の上側において係合部材175が支軸177を中心に回動可能に支持されている。
【0080】
係合部材175からケース101の終面102へ延びた先端は係合端部176である。係合端部176は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部176が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して装着状態に維持される。
【0081】
インクカートリッジ30の係止部45には、スライダ171が設けられている。スライダ171は、係止部45である凹空間に格納されて高さ方向52へスライド可能に支持されている。スライダ171は、引きバネ172によって下向きへ弾性的に引っ張られている。したがって、スライダ171は、外力を受けていない状態において、高さ方向52の最下位置に位置される。スライダ171のケース101の開口112側の端には、開口112側であって下方を向くガイド面173が形成されている。最下位置に位置するスライダ171において、ガイド面173は、解除部材60の先端部61と対向する。
【0082】
前述されたスライダ171及び係合部材175によっても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材155に当接して、係合部材175が反時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動し、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材175の係合端部176を挿入向き56へ通り過ぎることにより、係合部材175が上面47に支持されなくなるので、係合部材175が時計回りへ回動して、係合端部176が係止面46に対向する。この係合端部176と係止面46との当接により、係合部材175が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、インクカートリッジ30が装着位置に保持される。
【0083】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、ユーザが、解除部材60の板63を筐体31の後壁42へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して押し込むと、解除部材60の先端部61が、スライダ171のガイド面173に当接して、解除部材60の先端部61をガイド面173が乗り上げるようにして、スライダ171が引きバネ173の引っ張り力に抗して上側へ押し上げられる。スライダ171が上側へ移動すると、係合部材175の係合端部176がスライダ171に当接して、係止面46より上側となるまで、つまり係合端部176が係止面46から離間するまで係合部材175が回動される。すなわち、係合部材175がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材175によりインクカートリッジ30の係合が解除される。
【0084】
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0085】
[変形例]
前述された各実施形態においては、カートリッジ装着部110に装着された状態のインクカートリッジ30に対して、コイルバネ73,126により取出向き55への外力が付与されることとしたが、装着状態のインクカートリッジ30に付与される外力は、インクカートリッジ30に設けられた付勢部材により付与されてもよい。例えば、インクカートリッジ30の筐体31の前壁40に、挿入向き56へ伸びるコイルバネが設けられており、そのインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、コイルバネがケース101の終面102に当接して圧縮されることにより、筐体31に取出向き55への外力が付与される。
【0086】
また、前述された各実施形態においては、インクカートリッジ30に設けられた解除部材60は、コイルバネ64により挿入向き56へ付勢されるが、このコイルバネ64に代えて、例えば、図11(A)に示されるように、筐体31の後壁42の一部を弾性変形可能な樹脂片として解除部材60と一体に成形して樹脂バネ65を構成させ、この樹脂バネ65により解除部材60を挿入向き56へ付勢してもよい。また、図11(B)に示されるように、解除部材60の板63の一部を弾性変形可能な樹脂片として筐体31の後壁42に当接させて樹脂バネ66を構成させ、この樹脂バネ66により解除部材60を挿入向き56へ付勢してもよい。したがって、これら樹脂バネ65,66によって付勢部材が実現されてもよい。また、コイルバネ64は、圧縮バネに限定されず、例えば引きバネとして解除部材60を挿入向き56へ付勢してもよい。
【0087】
また、各実施形態においては、残量検知部が省略されているが、インクカートリッジ30に残量検知部が設けられていてもよい。この残量検知部は、インクカートリッジ30の前壁40からインク室36から離れる向きに突出するようにして配置される。この残量検知部は、光透過性樹脂からなる。残量検知部を介してインク室36内を外部から見て残量を視認することや光センサで検知することが可能である。光センサを用いる場合の残量検知部を構成する一対の側壁の距離は、光センサの発光素子と受光素子との間隔よりも小さく設定されている。なお、残量検知部内には、インク量に応じて移動するような遮光板が設けられていてもよい。また、この遮光板に代えて、インク室36内のインク量に応じて、発光素子から出射された光の全部又は一部を反射、回折、または減衰させるようにして受光素子に至る光量を低下させるものであってもよい。
【0088】
さらに、各実施形態においては、インクジェット方式のプリンタ10に対応して、印刷流体としてインクがインクカートリッジ30に収納される態様が示されているが、印刷流体としてはインクに限られず、例えば、電子写真式の画像形成装置に対応する印刷流体としてのトナーを収納したカートリッジなどにも本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0089】
30・・・インクカートリッジ(印刷流体カートリッジ)
31・・・筐体
36・・・インク室
39・・・上壁(上面)
40・・・前壁(前面)
42・・・後壁(後面)
46・・・係合面
47・・・上面
60・・・解除部材
64・・・コイルバネ(付勢部材)
65,66・・・樹脂バネ(付勢部材)
73,126・・・コイルバネ(付勢部材)
100・・・インク供給装置
110・・・カートリッジ装着部
145,155,165,175・・・係合部材
146,156,166,176・・・係合端部
147,157,177・・・支軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部に装着される印刷流体カートリッジ及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクを用いて記録用紙に画像を記録する画像記録装置が知られている。この画像記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備え、記録ヘッドのノズルからインク滴を記録用紙へ向けて選択的に噴出する。このインク滴が記録用紙に着弾することによって、記録用紙に所望の画像が記録される。この画像記録装置には、記録ヘッドへ供給するインクを貯蔵するインクカートリッジが設けられる。インクカートリッジは、画像記録装置に設けられた装着部に対して着脱可能である。
【0003】
インクカートリッジ内のインクが無くなると、そのインクカートリッジが画像記録装置の装着部から取り外されて、インクを貯蔵する新たなインクカートリッジが装着部に装着される。装着部において、インクカートリッジの位置決めを行ったり、インクカートリッジの装着状態を保持したりするためのロック構造が公知である。また、ロック構造によりインクカートリッジがロックされている状態において、インクカートリッジが装着部から取り外される向きにインクカートリッジを付勢する付勢部材が公知である。装着部からインクカートリッジが取り外されるときに、ロック構造によるロックが解除され、インクカートリッジは付勢部材から受ける力によって開口へ向かって移動する。これにより、ユーザが装着部からインクカートリッジを取り出すことが容易となる。
【0004】
また、インクカートリッジがスライダを介して付勢部材から受ける力により、インクカートリッジが装着部から飛び出してしまうことがあり得る。インクカートリッジが床などに落下して、インクカートリッジが破損するおそれがある。これらを防止するために、インクカートリッジの飛び出しを防止する構成が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−110577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された構成においては、装着機構(29)に操作レバー(30)が設けられている。この操作レバー(30)には規制用係止部(30b)が設けられており、この規制用係止部(30b)が、インクカートリッジ(22)脱着時において、インクカートリッジ(22)の凹部としての規制用被係止部(22a)に係止される。これによって、ばね(36)により脱着方向に付勢されるインクカートリッジ(22)の飛び出しが防止される。
【0007】
しかし、装着機構(29)に操作レバーを設けることとすると、その操作レバーを、ユーザが操作可能なスペースを装着機構(29)の開口周囲に確保する必要があり、装置の小型化の障害となっている。
【0008】
また、特許文献1に記載された構成は、バネの付勢によって勢いよく飛び出したインクカートリッジ(22)の移動を規制用被係止部(22a)で停止されているに過ぎない。そして、操作レバーが規制用被係止部(22a)に係止れるときには、インクカートリッジ(22)は、インク供給針から勢いよく外れた後になってしまうことがある。このインク供給針がインクカートリッジ(22)から外れるときに、インク供給針からインクが垂れ落ちるという問題が生じ得る。
【0009】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カートリッジ装着部から印刷流体カートリッジが取り出されるときの印刷流体の垂れを防止すること、又は装置の小型化の少なくとも一方が解決できる構造を備えた印刷流体カートリッジ又は記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外力に抗して印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部に装着される印刷流体カートリッジに関する。印刷流体カートリッジは、上記係合部材との係合を解除する第1位置と、上記係合部材との係合を解除しない第2位置とにスライド可能な解除部材を具備する。
【0011】
カートリッジ装着部に印刷流体カートリッジが装着された装着状態において、印刷流体カートリッジは外力を受けている。係合部材は、印刷流体カートリッジと係合することによって、外力に抗して、印刷流体カートリッジを装着状態に保持する。
【0012】
印刷流体カートリッジが交換されるときには、解除部材をユーザが第1位置へスライドさせる。これにより、印刷流体カートリッジと係合部材との係合が解除される。ユーザが解除部材を操作しているので、外力により移動する印刷流体カートリッジは、ユーザの手によって止められる。
【0013】
本発明は、上記印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部と、を具備する記録装置に関する。上記係合部材は、上記前面と上記後面とを接続する上面に配置される係止部に係合可能である。上記解除部材は、先端が上記係合部材に当接しながらスライドされることにより上記係合部材を上記係止部から離間させるものであって、上記印刷流体カートリッジが上記カートリッジ装着部に装着された状態において、上記解除部材の先端と上記係止部との間に上記係合部材が配置されるものである。
【0014】
印刷流体カートリッジが交換されるときには、解除部材をユーザが第1位置へスライドさせる。これにより、解除部材の先端が、係合部材に当接して、係合部材を係止部から離間させる。これにより、印刷流体カートリッジと係合部材との係合が解除される。ユーザが解除部材を押しているので、外力により移動する印刷流体カートリッジは、ユーザの手によって止められる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少なくとも以下の何れかの効果を得ることができる。
ユーザが解除部材をスライドさせることにより、係合部材と印刷流体カートリッジとの係合が解除されるので、外力により飛び出す印刷流体カートリッジが、印刷流体が流通する管から外れる前にユーザの手によって保持でる。
【0016】
または、カートリッジ装着部に係合部材を操作するためのスペースを設ける必要がないので、記録装置の小型化が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110の構成を示す断面図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図6】図6(A)は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。図5(B)は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り出される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、本発明の第1実施形態のインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り出される過程を示すインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図10】図10は、本発明の第4実施形態に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【図11】図11は、各実施形態の変形例に係るインクカートリッジ30及びカートリッジ装着部110の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0019】
[第1実施形態]
以下、第1実施形態が説明される。
【0020】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。インクカートリッジ30が印刷流体カートリッジに相当する。インク供給装置100が液体供給装置に相当する。
【0021】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続される。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0022】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0023】
なお、本実施形態に係るプリンタ10の概略構成は一例に過ぎず、例えば、記録用紙の給紙方式や搬送方式、搬送路の形状などは、公知のインクジェットプリンタにおける他の構成が採用されてもよいことは言うまでもない。
【0024】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
【0025】
[インクカートリッジ30]
図2,3に示されるように、インクカートリッジ30は、少なくともインクが貯留されるインク室36を有する。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間に、インクが貯留される。インク室36は、例えば、インクカートリッジ30の外観を形成している筐体31により形成される空間であってもよいし、筐体31内部に配置された、筐体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。この場合、インクカートリッジがインク室を有しないこととなるが、本願発明の印刷流体カートリッジに含まれる。インク室36が液体室に相当する。
【0026】
インクカートリッジ30は、図2に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿入及び取出方向50」と称する(図5参照)。)に沿って挿入又は取り出される。すなわち、インクカートリッジ30は、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。この起立状態が、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された姿勢である装着姿勢に相当する。図5に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される向きが挿入向き56であり、抜き出される向きが取出向き55である。挿入向き56及び取出向き55が挿入及び取出方向50と平行であることは言うまでもない。本実施形態においては、挿入及び取出方向50は、水平方向に沿う。すなわち、挿入向き56及び取出向き55は、水平方向に沿った向きである。
【0027】
インクカートリッジ30は、例えば、略直方体形状の筐体31を有する。筐体31は、例えば、幅方向51に短く、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも長い扁平形状である。幅方向51及び奥行き方向53は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときに水平方向に沿う。高さ方向52は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときに鉛直方向に沿う。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して挿入又は取り出されるとき、奥行き方向53は、挿入及び取出方向50と平行であり、幅方向51及び高さ方向52は、挿入及び取出方向50と直交する。
【0028】
筐体31は、挿入向き56の前側の前壁40及び挿入向き56の後ろ側の後壁42を有している。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるときに挿入向き56の前方側となる筐体31の壁が、前壁40であり、後方側となる筐体31の壁が、後壁42である。前壁40と後壁42とは、奥行き方向53(挿入及び取出方向50)において所定の距離を離れて位置している。筐体31は、さらに、前壁40及び後壁42を接続する、挿入及び取出方向50に延びる一対の側壁37,38を有している。側壁37,38は、幅方向51において所定の距離を離れて位置していてもよい。筐体31は、さらに、側壁37,38と前壁40及び後壁42とを接続し、かつ前壁40の上端から後壁42の上端に向けて延びる上壁39、及び前壁40の下端から後壁42の下端に向けて延びる下壁41を有していてもよい。上壁39及び下壁41は、高さ方向52において所定の距離を離れて位置していてもよい。前壁40により構成される筐体31の外面が前面に相当する。後壁42により構成される筐体31の外面が後面に相当する。より詳細には、前壁40及び前壁40に設けられた部材(例えば、後述されるインク供給部43)の外面が前面に相当する。また、後壁42及び後壁42に設けられた部材(本発明においては、必ずしも設けられる必要はない。)の外面が後面に相当する。また、上壁39により構成される筐体31の外面が上面に相当する。なお、起立状態では、下壁41を下にした状態で、前壁40に配置されるインク供給部43は下側に配置されている。
【0029】
図2に示されるように、インク供給部43は、例えば、筐体31の前壁40における高さ方向52の下側に設けられている。インク供給部43は、例えば、円筒形状の外形をなし、前壁40から奥行き方向53(挿入及び取出方向50)に沿って、インク室36から離れる向き又は挿入向き56へ突出している。インク供給口71は、例えば、インク供給部43の先端72付近において、筐体31の外側に開口するように形成されている。図3に示されるように、インク供給部43の内部には、インク流路44が形成されている。インク流路44は、インク供給口71から奥行き方向53(挿入及び取出方向50)に延びてインク室36へ通じている。
【0030】
図3に示されるように、インク供給口71は、例えば、バルブ70によって開閉可能に構成されている。バルブ70は、インク供給部43のインク流路44内において、奥行き方向53(挿入及び取出方向50)に沿って移動可能に設けられている。バルブ70は、コイルバネ73によりインク供給口71に向かって付勢されている。したがって、バルブ70に外力が加わらない状態においては、バルブ70がインク供給口71を液密に閉塞する閉位置に位置する。なお、インク供給部43の先端72のインク供給口71を囲う部分が、例えば、ゴム等の弾性部材により形成されている。付勢されたバルブ70が弾性部材に接触すると、弾性部材が弾性変形し、インク供給口71が液密に閉塞される。この状態において、バルブ70の一部は、インク供給口71からインク供給部43の外部、すなわち、インクカートリッジ30の外部へ露出されている。バルブ70,コイルバネ73も必須のものではなく、バルブ70に代えてフィルムやゴム栓が設けられてもよい。
【0031】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122が、インク供給口71に挿入されることにより、コイルバネ73が弾性変形し、バルブ70がコイルバネ73の付勢に抗してインク供給口71から離れた開位置に移動する(図6(A)参照)。これにより、インク供給口71が開放されて、インク流路44を通って、インク室36からカートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122内へインクが流出され得る。なお、筐体31には、例えば、大気導入部が設けられており、インク室36からカートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122内へインクが流出されるのに伴い、大気導入部を介してインク室36内に大気が導入される。なお、大気導入部は必須のものではなく、例えば、インク室36が袋で形成され、インクの減少に応じて体積が減少するものであってもよい。
【0032】
図2,3に示されるように、筐体31の前壁40の下端には、挿入向き56へ突出する突起32が設けられている。突起32は、前壁40に設けられたインク供給部43の突出端よりも前側まで突出している。
【0033】
図2,3に示されるように、筐体31の上壁39における奥行き方向53の中央付近には、係止部45が形成されている。係止部45は、インクカートリッジ30の幅方向51及び高さ方向52に拡がる係止面46を有する凹部である。係止面46には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述される係合部材145が係合する。
【0034】
図2,3に示されるように、筐体31の上壁39における係止部45より前壁40側の面は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入又は取り出されるときに、係合部材145が接する上面47である。上面47は、例えば、幅方向51及び奥行き方向53に拡がる面である。また、上面47と前壁40との境界には、例えば、上面47及び前壁40に対して傾斜した傾斜面48が形成されている。傾斜面48は、係合部材145を上面47へ案内するものである。この傾斜面48は無くてもよいし、傾斜面48に代えて、突起32のように挿入向き56へ突出する突起が設けられていてもよい。
【0035】
図2,3に示されるように、解除部材60は、例えば、筐体31の後壁42側の高さ方向52の上側に設けられている。解除部材60は、例えば、細長なロッド形状をなしており、その長手方向が奥行き方向53に沿うように配置されている。筐体31の後壁42には、解除部材60が挿入可能な長孔49が奥行き方向53に沿って延びるように形成されており、この長孔49は、例えば、後壁42から係止部45へ貫通されている。
【0036】
解除部材60は、例えば、長孔49に案内され、挿入及び取出方向50に沿ってスライド可能である。解除部材60において、前壁40側となる先端部61は、例えば、係止部45へ至っている。解除部材60の後端62は、例えば、後壁42から突出可能とされている。後端62には、必要以上の押し込みを規制するために、円盤形状の板63が設けられている。
【0037】
長孔49には、例えば、解除部材60を取出向き55へ付勢するコイルバネ64が設けられている。図3には詳細に示されていないが、長孔49及び解除部材60には、コイルバネ64の端部が当接するバネ座が形成されており、これらバネ座の間にコイルバネ64が圧縮状態で配置されている。解除部材60に外力が付与されていない状態では、解除部材60は、コイルバネ64により付勢されて、先端部61が最も挿入向き56の後ろ側に位置している。この位置が第2位置と称される。この状態において、先端部61の位置は、後述される係合部材145の係合端部146の位置より挿入向き56の後ろ側であればよい。解除部材60の板63が挿入向き56へ押されることにより、解除部材60は、例えば、コイルバネ64の付勢に抗して挿入向き56へスライド可能とされる。解除部材60が最も挿入向き56へ押し込まれた状態において、先端部61は、係止部45の係止面46に接近する。この位置が第1位置と称される。コイルバネ64の付勢力は、後述されるコイルバネ73,126による付勢力より弱いが、これについて後に詳述される。コイルバネ64が、付勢部材に相当する。なお、コイルバネ64は、なくてもよい。また、解除部材60が筐体31と一体にされていてもよい。
【0038】
[カートリッジ装着部110]
図4に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体としてのケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する箱形状である。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿入又は取り出される。ケース101には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。各実施形態で示される各図においては、1つのインクカートリッジ30に相当するケース101のみが例示されている。
【0039】
ケース101は、挿入及び取出方向50において開口112とは対向位置にあり、ケース101の内部空間に面している終面102を有する。図4に示されるように、接続部103は、ケース101の終面102の下部に設けられている。接続部103は、終面102において、ケース101に装着された各インクカートリッジ30のインク供給部43に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0040】
接続部103は、インク供給管122と、保持部121とを有する。同図には示されていないが、インク供給管122は、ケース101の終面と表裏をなすケース101の外面側で、インクチューブ20に接続されている。各インク供給管122と接続された各インクチューブ20は、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に接続されている。
【0041】
保持部121は、例えば、ケース101の終面102に形成され、終面102の一部を円筒状に窪ませて形成されている。インク供給管122は、保持部121の中心に挿入及び取出方向50に配置されている。図6(A)に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、円筒状のインク供給部43が円筒状の保持部121に挿入される。このとき、インク供給部43の外周面が保持部121を画定している面に接触、例えば、密着する。インク供給部43が保持部121へ挿入されると、インク供給管122がインク供給部43のインク供給口71に挿入され、インク供給管122がバルブ70を移動させる。これにより、閉位置のバルブ70が、コイルバネ73の付勢に抗して開位置へ移動されて、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、水頭差等により、インク供給管122内へ流入し、インクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ流れる。
【0042】
図4に示されるように、係合部材145がケース101に設けられている。係合部材145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に保持するためのものである。係合部材145は、ケース101の開口112の上側に設けられている。
【0043】
係合部材145は、例えば、支軸147を中心に揺動可能に形成されている。支軸147は、例えば、係合部材145の開口112側の端部に設けられている。この支軸147は、例えば、ケース101に取り付けられている。これにより、係合部材145は、ケース101の開口112付近の上側において、支軸147を中心に開口112側に対して近づく/離れるように回動可能に支持される。係合端部146は、係合部材145の支軸147の他端側に配置される。係合端部146は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部146が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して、スライド部材123の付勢力に抗して、装着位置に保持される。係合端部146が係止部45と係合可能な位置となる係合部材145の回動位置(図6(A)参照)がロック位置と称され、係合端部146が係止部45と係合しない位置(図6(B)参照)がアンロック位置と称される。
【0044】
係合部材145において、係合端部146と支軸147との間であって、下面側、すなわちインクカートリッジ30の係止部45と対向する面側には、凸部148が形成されている。凸部148は、係合部材145の長手方向において三角形状に形成されている。凸部148の解除部材60の先端部61と対向する面は、挿入及び取出方向50に対して鋭角になるように傾斜されている。この傾斜した面が、第1面149と称される。
【0045】
各図には示されてないが、係合部材145には、コイルバネが取り付けられており、このコイルバネによって、係合部材145は、重力方向下向きへ付勢されている。解除部材60の板63が前壁40側に移動することにより、係合部材145が支軸147を中心に上側へ回動し、ロック位置からアンロック位置へ移動する。また、各図には示されていないが、例えば、係合部材145の可動範囲は、アンロック位置より下方へ移動しないように回動が規制されている。
【0046】
図4に示されるように、カートリッジ装着部110の内部空間は、終面102の下端側において、挿入向き56に拡大されている。この拡大された空間には、スライド部材123が挿入及び取出方向50へスライド(水平移動)可能に設けられている。スライド部材123は、例えば、概ね直方体の外形をなしており、その上面から突片124が上向きへ突出されている。突片124は、インクカートリッジ30の突起32の進入経路にオーバーラップしており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される過程において、突起32に当接し得る。
【0047】
スライド部材123が収容されている空間の終面125とスライド部材123との間には、コイルバネ126が圧縮状態で設けられている。スライド部材123は、コイルバネ126によって取出向き55へ付勢されている。従って、スライド部材123は、外力が付与されない位置において、例えば、終面125と対向する前面127と接することにより、移動が規制されている。インクカートリッジ30の突起32が突片124に接した状態から、さらにインクカートリッジ30が挿入されるとき、スライド部材123の移動に伴って、コイルバネ126を収縮させる。
【0048】
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、図5〜7を参照しつつ、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に着脱される動作を説明する。
【0049】
図5(A)に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に、開口112を通って、インクカートリッジ30の前壁40側から挿入される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材145に接する。更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、係合部材145が上面47に接する。これにより、係合部材145が図5(A)における反時計回りに回動して、付勢力に抗してロック位置からアンロック位置へ移動する。
【0050】
図5(B)に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着する途中過程において、インク供給部43は保持部121に接し、インク供給管122が、インク供給部43のインク供給口71に挿入される。このとき、係合部材145は、筐体31の係止部45とは未だ係合していない。インク供給管122がインク供給口71に挿入されてバルブ70に接し、さらにインクカートリッジ30が挿入向き56へ移動されると、図6(A)に示されるように、バルブ70がインク供給管122に押されて、コイルバネ73の付勢に抗して閉位置から開位置へ移動される。そして、インク供給部43が保持部121に挿入され、かつ、インク供給管122がインク供給口71に挿入されることにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して、所定の位置に装着される。各図には示されていないが、インク供給管122の先端にはインク導入口が設けられているので、このインク導入口を通じて、インク室33からインク流路44を介して、インク供給管122へインクが流入する。
【0051】
図6(A)に示されるように、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材145の係合端部146を挿入向き56へ通り過ぎる。これにより、係合部材145の係合端部146が上面47に支持されなくなるので、係合部材145が図6(A)における時計回りへ回動して係合部145に位置し、係合端部146が係止面46に接する。これにより、インクカートリッジ30が、係合部材145が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、装着位置に保持される。このようにして、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。インクカートリッジ30に設けられたコイルバネ73、及び/又はカートリッジ装着部110に設けられたコイルバネ126により筐体31に付与される力が外力に相当する。この外力は、筐体31の前壁40側の突起32に作用している。なお、外力としては、筐体31の内部にあるバルブ70を開閉するコイルバネ73に代えて、筐体31の外部にコイルバネを設けておき、そのコイルバネの先端がカートリッジ装着部110の終面102や光センサ等に当たってインクカートリッジ30を取出向き55へ付勢するようなものであってもよい。
【0052】
インクカートリッジ30のインク室36内のインクが消費されると、使用済みのインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外され、新しいインクカートリッジ30が装着される。前述されたように、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態においては、解除部材60の先端部61は、係合部材145の係合端部146より挿入向き56の後ろ側に位置されている。
【0053】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、解除部材60の板63を筐体31の後壁42へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して、ユーザによって押し込まれる。解除部材60の板63は、後壁42より手前側に位置しているので、ユーザは、インクカートリッジ30の後壁42側から解除部材60を操作することができる。これにより、図6(B)に示されるように、解除部材60の先端部61が、係合部材145の第1面149に当接する。さらに解除部材60が押し込まれることにより、解除部材60の先端部61が係止面46に近づいていくと共に、係合部材145が、解除部材60の先端部61を第1面149が乗り上げるようにして、上側へ押し上げられる。これにより、係合部材145の係合端部146が係止面46より上側となるまで、つまり係合端部146が係止面46から離間するまで係合部材145が回動される。すなわち、係合部材145がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材145によるインクカートリッジ30の保持が解除される。
【0054】
係合部材145の係合端部146が係止面46から離間されることにより、筐体31に付与されている外力、すなわちコイルバネ73及び/又はコイルバネ126による付勢力によって、筐体31は、取出向き55へ移動しようとする。一方、ユーザが解除部材60を挿入向き56へ押しているので、コイルバネ73,126による付勢力は、コイルバネ64及び解除部材60を介して、ユーザの手によって受け止められる。
【0055】
図6(B)に示された状態において、コイルバネ73,126が筐体31を取出向き55へ付勢する力F1と、ユーザに押し止められている解除部材60により、コイルバネ64が筐体31を挿入向き56へ付勢する力F2とを比較すると、力F1より力F2が弱い(力F1>力F2)。したがって、ユーザが解除部材60を押し止めていたとしても、図7(A)に示されるように、力F1によって筐体31が取出向き55へ移動する。
【0056】
筐体31が取出向き55へ移動するにしたがって、コイルバネ73,126がいずれも伸長していくので、力F1は次第に弱くなっていく。一方、筐体31が取出向き55へ移動するにしたがって、ユーザにより押し止められている解除部材60は筐体31に対して相対的に後壁42へ近づくので、コイルバネ64が収縮されていき、力F2は次第に強くなっていく。このように筐体31の取出向き55への移動に伴って連続的に変化する力F1と力F2とが均衡する位置、または、インク供給管122がインク供給口71から抜けてコイルバネ73による付勢力が筐体31に作用しなくなった位置において、取出向き55へ移動していた筐体31が停止する。このとき、係合部材145の係合端部146は、係止面46より前壁40側に位置しており、上面47の上側にある。したがって、ユーザが解除部材60から手を離しても、係合部材145が再びロック位置へ回動して係止部45と係合することはない。
【0057】
ユーザが解除部材60から手を離すと、図7(B)に示されるように、筐体31は、コイルバネ126の付勢によって、スライド部材123が前面127に当接するまで、スライド部材123によって取出向き55へ移動される。この移動は若干であり、また、コイルバネ126の付勢力のみが筐体31に作用するので、筐体31がカートリッジ装着部110から勢いよく飛び出すことはない。ユーザが解除部材60から手を離すことにより、コイルバネ64に付勢されて、解除部材60は、板63が筐体31の後壁42から最大限離れた位置までスライドされる。そして、ユーザが筐体31を取出向き55へ取り出すことにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外される。
【0058】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態によれば、ユーザが解除部材60をスライドさせることにより、係合部材145とインクカートリッジ30との係合が解除されるので、外力により取出向き55へ移動するインクカートリッジ30がユーザの手によって止められて、インク供給管122からインクが垂れ落ちることが防止される。
【0059】
また、カートリッジ装着部110にユーザが操作するための構成を係合部材145に設ける必要がないので、インク供給装置100の小型化が実現される。
【0060】
また、解除部材60がコイルバネ64により後壁42に対してインク室から離れる向きへ付勢されているので、ユーザが解除部材60の操作を終えると、解除部材60の先端部61が係止面46から最も離れた位置に復帰する。これにより、係止部45において、常に、係合部材145が進入するスペースが確保される。
【0061】
また、図6(B)に示された状態において、コイルバネ64が筐体31を挿入向き56へ付勢する力F2は、コイルバネ73,126が筐体31を取出向き55へ付勢する力F1より弱いので、図6(B)に示された状態から、筐体31が取出向き55へ移動するが、この移動において、コイルバネ64が謂わばダンパとして作用するので、筐体31が勢いよく移動することがない。そして、この筐体31の移動により、ユーザが解除部材60から手を離しても、係合部材145が再び係止部45と係合することがない。
【0062】
[第2実施形態]
前述された第1実施形態では、カートリッジ装着部110に設けられた係合部材145が、支軸147から終面102へ延びるアーム形状のものであったが、このような係合部材145に代えて、支軸157から開口112側へ延びるアーム形状の係合部材155が設けられていてもよい。
【0063】
詳細に説明するに、図8に示されるように、ケース101には、係合部材155が設けられている。係合部材155は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に維持するためのものである。係合部材155は、ケース101の開口112付近の上側に設けられている。
【0064】
支軸157は、例えば、係合部材155の終面102側の一端側に設けられている。この支軸157がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112付近の上側において係合部材155が支軸157を中心に終面102に対して近づく/離れる方向に回動可能に支持されている。係合部材155のケース101の開口112の他端側には、開口112側であって下方を向くガイド面159が形成されている。ガイド面159は、解除部材60の先端部61と対向する。
【0065】
係合部材155において、ガイド面159と支軸157との間であって、下面側、すなわちインクカートリッジ30の係止部45と対向する面側には、凸部158が形成されている。凸部158は、係合部材155の長手方向において三角形状に形成されている。凸部158において、他端側には、ほぼ高さ方向52へ拡がる係合端部156が形成されている。係合端部156は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部156が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して装着状態に維持される。
【0066】
前述された係合部材155によっても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材155に当接して、係合部材155が時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動し、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材155の係合端部156を挿入向き56へ通り過ぎることにより、係合部材155が上面47に支持されなくなるので、係合部材155が反時計回りへ回動して、係合端部156が係止面46に対向する。この係合端部156と係止面46との当接により、係合部材155が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、インクカートリッジ30が装着位置に保持される。
【0067】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、ユーザが、解除部材60の板63を筐体31の前壁40へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して押し込むと、解除部材60の先端部61が、係合部材155のガイド面159に当接して、解除部材60の先端部61をガイド面159が乗り上げるようにして、係合部材155が上側へ押し上げられる。これにより、係合部材155の係合端部156が係止面46より上側となるまで、つまり係合端部156が係止面46から離間するまで係合部材155が回動される。すなわち、係合部材155がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材155によりインクカートリッジ30の係合が解除される。
【0068】
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0069】
[第3実施形態]
前述された第1実施形態では、カートリッジ装着部110に設けられた係合部材145が、支軸147を中心に回動可能なものとしたが、このような係合部材145に代えて、ケース101の上側からケース101の内部空間へ上下方向に移動可能な係合部材165が設けられていてもよい。
【0070】
詳細に説明するに、図9に示されるように、ケース101には、係合部材165が設けられている。係合部材165は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に維持するためのものである。係合部材165は、ケース101の開口112付近の上側に設けられている。
【0071】
係合部材165は、全体がボス状に形成されている。同図には示されていないが、係合部材165は、ケース101に案内されて高さ方向52へ移動可能である。係合部材165のケース101の開口112側の端には、開口112側であって下方を向くガイド面169が形成されている。ガイド面169は、解除部材60の先端部61と対向する。
【0072】
係合部材165のケース101の終面102側の端には、ほぼ高さ方向52へ拡がる係合端部166が形成されている。係合端部166は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部166が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して装着状態に維持される。
【0073】
係合部材165は、コイルバネ167によって上下方向下向きへ付勢されている。したがって、係合部材165は、外力を受けていない状態においては、ケース101の内部空間へ突出する。
【0074】
前述された係合部材165によっても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材165に当接して、係合部材165がコイルバネ167に抗して上向きへ移動し、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材165の係合端部166を挿入向き56へ通り過ぎることにより、係合部材165が上面47に支持されなくなるので、係合部材165が下向きへ移動して、係合端部166が係止面46に対向する。この係合端部166と係止面46との当接により、係合部材165が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、インクカートリッジ30が装着位置に保持される。
【0075】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、ユーザが、解除部材60の板63を筐体31の前壁40へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して押し込むと、解除部材60の先端部61が、係合部材165のガイド面169に当接して、解除部材60の先端部61をガイド面169が乗り上げるようにして、係合部材165が上側へ押し上げられる。これにより、係合部材165の係合端部166が係止面46より上側となるまで、つまり係合端部166が係止面46から離間するまで係合部材165が移動されて、係合部材165によりインクカートリッジ30の係合が解除される。
【0076】
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0077】
[第4実施形態]
前述された第1実施形態では、カートリッジ装着部110に設けられた係合部材145が、支軸147を中心に回動可能なものとしたが、このような係合部材145に代えて係合部材175が設けられ、インクカートリッジ30には係合部材175を移動させるためのスライダ171が設けられていてもよい。
【0078】
詳細に説明するに、図10に示されるように、ケース101には、係合部材175が設けられている。係合部材175は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に維持するためのものである。係合部材175は、ケース101の開口112付近の上側に設けられている。
【0079】
係合部材175は、全体がアーム状に形成されている。係合部材175の開口112側の端部に支軸177が設けられている。この支軸177がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112付近の上側において係合部材175が支軸177を中心に回動可能に支持されている。
【0080】
係合部材175からケース101の終面102へ延びた先端は係合端部176である。係合端部176は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合端部176が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して装着状態に維持される。
【0081】
インクカートリッジ30の係止部45には、スライダ171が設けられている。スライダ171は、係止部45である凹空間に格納されて高さ方向52へスライド可能に支持されている。スライダ171は、引きバネ172によって下向きへ弾性的に引っ張られている。したがって、スライダ171は、外力を受けていない状態において、高さ方向52の最下位置に位置される。スライダ171のケース101の開口112側の端には、開口112側であって下方を向くガイド面173が形成されている。最下位置に位置するスライダ171において、ガイド面173は、解除部材60の先端部61と対向する。
【0082】
前述されたスライダ171及び係合部材175によっても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、筐体31の傾斜面48が係合部材155に当接して、係合部材175が反時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動し、インクカートリッジ30が装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材175の係合端部176を挿入向き56へ通り過ぎることにより、係合部材175が上面47に支持されなくなるので、係合部材175が時計回りへ回動して、係合端部176が係止面46に対向する。この係合端部176と係止面46との当接により、係合部材175が係止部45に係合し、コイルバネ73,126の付勢に抗して、インクカートリッジ30が装着位置に保持される。
【0083】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、ユーザが、解除部材60の板63を筐体31の後壁42へ向かって、すなわち挿入向き56へコイルバネ64の付勢に抗して押し込むと、解除部材60の先端部61が、スライダ171のガイド面173に当接して、解除部材60の先端部61をガイド面173が乗り上げるようにして、スライダ171が引きバネ173の引っ張り力に抗して上側へ押し上げられる。スライダ171が上側へ移動すると、係合部材175の係合端部176がスライダ171に当接して、係止面46より上側となるまで、つまり係合端部176が係止面46から離間するまで係合部材175が回動される。すなわち、係合部材175がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材175によりインクカートリッジ30の係合が解除される。
【0084】
このような第4実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0085】
[変形例]
前述された各実施形態においては、カートリッジ装着部110に装着された状態のインクカートリッジ30に対して、コイルバネ73,126により取出向き55への外力が付与されることとしたが、装着状態のインクカートリッジ30に付与される外力は、インクカートリッジ30に設けられた付勢部材により付与されてもよい。例えば、インクカートリッジ30の筐体31の前壁40に、挿入向き56へ伸びるコイルバネが設けられており、そのインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、コイルバネがケース101の終面102に当接して圧縮されることにより、筐体31に取出向き55への外力が付与される。
【0086】
また、前述された各実施形態においては、インクカートリッジ30に設けられた解除部材60は、コイルバネ64により挿入向き56へ付勢されるが、このコイルバネ64に代えて、例えば、図11(A)に示されるように、筐体31の後壁42の一部を弾性変形可能な樹脂片として解除部材60と一体に成形して樹脂バネ65を構成させ、この樹脂バネ65により解除部材60を挿入向き56へ付勢してもよい。また、図11(B)に示されるように、解除部材60の板63の一部を弾性変形可能な樹脂片として筐体31の後壁42に当接させて樹脂バネ66を構成させ、この樹脂バネ66により解除部材60を挿入向き56へ付勢してもよい。したがって、これら樹脂バネ65,66によって付勢部材が実現されてもよい。また、コイルバネ64は、圧縮バネに限定されず、例えば引きバネとして解除部材60を挿入向き56へ付勢してもよい。
【0087】
また、各実施形態においては、残量検知部が省略されているが、インクカートリッジ30に残量検知部が設けられていてもよい。この残量検知部は、インクカートリッジ30の前壁40からインク室36から離れる向きに突出するようにして配置される。この残量検知部は、光透過性樹脂からなる。残量検知部を介してインク室36内を外部から見て残量を視認することや光センサで検知することが可能である。光センサを用いる場合の残量検知部を構成する一対の側壁の距離は、光センサの発光素子と受光素子との間隔よりも小さく設定されている。なお、残量検知部内には、インク量に応じて移動するような遮光板が設けられていてもよい。また、この遮光板に代えて、インク室36内のインク量に応じて、発光素子から出射された光の全部又は一部を反射、回折、または減衰させるようにして受光素子に至る光量を低下させるものであってもよい。
【0088】
さらに、各実施形態においては、インクジェット方式のプリンタ10に対応して、印刷流体としてインクがインクカートリッジ30に収納される態様が示されているが、印刷流体としてはインクに限られず、例えば、電子写真式の画像形成装置に対応する印刷流体としてのトナーを収納したカートリッジなどにも本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0089】
30・・・インクカートリッジ(印刷流体カートリッジ)
31・・・筐体
36・・・インク室
39・・・上壁(上面)
40・・・前壁(前面)
42・・・後壁(後面)
46・・・係合面
47・・・上面
60・・・解除部材
64・・・コイルバネ(付勢部材)
65,66・・・樹脂バネ(付勢部材)
73,126・・・コイルバネ(付勢部材)
100・・・インク供給装置
110・・・カートリッジ装着部
145,155,165,175・・・係合部材
146,156,166,176・・・係合端部
147,157,177・・・支軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力に抗して印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部に装着される印刷流体カートリッジであって、
上記係合部材との係合を解除する第1位置と、上記係合部材との係合を解除しない第2位置とにスライド可能な解除部材を具備する印刷流体カートリッジ。
【請求項2】
上記係合部材に係合可能な係止部を備え、
上記解除部材は、上記係合部材を移動させて上記係止部との係合を解除する請求項1に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項3】
上記解除部材を第2位置へ向けて付勢する付勢部材を更に具備する請求項1又は2に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項4】
上記解除部材が上記第1位置に位置するときの上記付勢部材の付勢力は、上記外力と反対向きであって上記外力よりも弱い請求項3に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項5】
挿入向きの前側となる前面と、当該前面から離れた後面とを有しており、
上記解除部材は、上記後面側からスライド操作可能な位置に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項6】
上記係合部と係止部との係合が解除されたときに上記印刷流体カートリッジを移動させるために、上記外力が作用するインターフェースが上記前面側に備えた請求項2に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項7】
上記解除部材は、上記前面に向かってスライドされることにより第1位置に位置されるものである請求項5に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項8】
上記係合部材と接するスライダを更に備え、
上記スライダは、上面に対して近づく向きへ付勢されている請求項1から7のいずれかに記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項9】
上記付勢部材は、上記解除部材と一体に成形されたものである請求項3又は4に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項10】
上記係止部が、上記解除部材がスライドされる領域より外側に配置されている請求項2に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項11】
請求項2に記載の印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部と、を具備する記録装置であって、
上記係合部材は、上記前面と上記後面とを接続する上面に配置される上記係止部に係合可能であり、
上記解除部材は、先端が上記係合部材に当接しながらスライドされることにより上記係合部材を上記係止部から離間させるものであって、上記印刷流体カートリッジが上記カートリッジ装着部に装着された状態において、上記解除部材の先端と上記係止部との間に上記係合部材が配置されるものである記録装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の印刷流体カートリッジが装着可能なカートリッジ装着部を具備する記録装置であって、
上記カートリッジ装着部は、
上記印刷流体カートリッジに対して取出向きへ作用する外力を付与する付勢部材と、
上記印刷流体カートリッジを上記外力に抗して係合可能な係合部材と、を具備する記録装置。
【請求項13】
上記係合部材は、支軸に回動可能に設けられており、上記解除部材により支軸を中心に回動されるものである請求項11又は12に記載の記録装置。
【請求項1】
外力に抗して印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部に装着される印刷流体カートリッジであって、
上記係合部材との係合を解除する第1位置と、上記係合部材との係合を解除しない第2位置とにスライド可能な解除部材を具備する印刷流体カートリッジ。
【請求項2】
上記係合部材に係合可能な係止部を備え、
上記解除部材は、上記係合部材を移動させて上記係止部との係合を解除する請求項1に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項3】
上記解除部材を第2位置へ向けて付勢する付勢部材を更に具備する請求項1又は2に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項4】
上記解除部材が上記第1位置に位置するときの上記付勢部材の付勢力は、上記外力と反対向きであって上記外力よりも弱い請求項3に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項5】
挿入向きの前側となる前面と、当該前面から離れた後面とを有しており、
上記解除部材は、上記後面側からスライド操作可能な位置に配置されている請求項1から4のいずれかに記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項6】
上記係合部と係止部との係合が解除されたときに上記印刷流体カートリッジを移動させるために、上記外力が作用するインターフェースが上記前面側に備えた請求項2に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項7】
上記解除部材は、上記前面に向かってスライドされることにより第1位置に位置されるものである請求項5に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項8】
上記係合部材と接するスライダを更に備え、
上記スライダは、上面に対して近づく向きへ付勢されている請求項1から7のいずれかに記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項9】
上記付勢部材は、上記解除部材と一体に成形されたものである請求項3又は4に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項10】
上記係止部が、上記解除部材がスライドされる領域より外側に配置されている請求項2に記載の印刷流体カートリッジ。
【請求項11】
請求項2に記載の印刷流体カートリッジを係合可能な係合部材を有するカートリッジ装着部と、を具備する記録装置であって、
上記係合部材は、上記前面と上記後面とを接続する上面に配置される上記係止部に係合可能であり、
上記解除部材は、先端が上記係合部材に当接しながらスライドされることにより上記係合部材を上記係止部から離間させるものであって、上記印刷流体カートリッジが上記カートリッジ装着部に装着された状態において、上記解除部材の先端と上記係止部との間に上記係合部材が配置されるものである記録装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の印刷流体カートリッジが装着可能なカートリッジ装着部を具備する記録装置であって、
上記カートリッジ装着部は、
上記印刷流体カートリッジに対して取出向きへ作用する外力を付与する付勢部材と、
上記印刷流体カートリッジを上記外力に抗して係合可能な係合部材と、を具備する記録装置。
【請求項13】
上記係合部材は、支軸に回動可能に設けられており、上記解除部材により支軸を中心に回動されるものである請求項11又は12に記載の記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−206404(P2012−206404A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74221(P2011−74221)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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