印刷物、および印刷方法
【課題】複数の印刷層を積層させて形成された印刷物、およびその印刷方法に関する。
【解決手段】紫外線硬化性の液状インクを用いたインクジェット記録方式により液状インクに対して非吸収性の記録媒体上に画像を形成する印刷方法であって、印刷物として車両用表示パネル200を製造する場合、インクジェットヘッドに第1の走査をさせながら第1の階調を含む第1のマスクによって前記記録媒体上へ車両用表示パネル200の光学特性に応じた第1印刷層230を形成する第1印刷ステップと、前記インクジェットヘッドに第2の走査をさせながら前記第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって前記記録媒体上に第1印刷ステップで形成した層よりも薄い第2印刷層240を形成する第2印刷ステップと、を含むことを特徴とする。
【解決手段】紫外線硬化性の液状インクを用いたインクジェット記録方式により液状インクに対して非吸収性の記録媒体上に画像を形成する印刷方法であって、印刷物として車両用表示パネル200を製造する場合、インクジェットヘッドに第1の走査をさせながら第1の階調を含む第1のマスクによって前記記録媒体上へ車両用表示パネル200の光学特性に応じた第1印刷層230を形成する第1印刷ステップと、前記インクジェットヘッドに第2の走査をさせながら前記第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって前記記録媒体上に第1印刷ステップで形成した層よりも薄い第2印刷層240を形成する第2印刷ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷層を積層させた印刷物、および、その印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両に装備される表示装置として、目盛りや文字等からなる意匠部を有する表示板と、この表示板の裏面側に配設された光源とを備えて構成された車両用表示パネルがある。この車両用表示パネルの表示板においては、意匠部の目盛りや文字を除く部分は光が透過しない不透過部として構成され、目盛りや文字の部分は光が透過する透過部として構成される。このような構成により夜間等に光源にて表示板を照明することで、表示板の文字、目盛り等の透過部を明るく表示させることができる。また、自動車メーターパネル等のインストルメントパネル等においては、高級感、視認性、質感等が求められる。そのため、上記表示板を加熱成形し、立体的な形状の成形表示板が用いられるようになってきた。
【0003】
上記表示板は、通常、ポリカーボネート等の樹脂製透明基板の表面に不透明部(ベタ隠蔽画像部)などをスクリーン印刷によって印刷することなどにより製造される。
このスクリーン印刷とは、印刷データから印刷画像が描かれたスクリーンマスク(版)を製作し、このスクリーンマスクを通して例えば溶剤乾燥型又は加熱硬化型インク等を基板に印刷する方法であり、不透過部の印刷濃度が濃くなるように、一度に印刷することができるという利点がある。しかし、スクリーン印刷は、単色印刷で行われるため、文字等の意匠を形成するためには、色の異なるインクを用いて多層印刷しなければならない。そのため加工工数や加工時間が増大するという問題がある。また、スクリーン印刷においては、一般に印刷位置や精度や解像度が低いため、形成可能なデザインが制限されてしまうという問題があった。
また、自動車メーターパネル等の用途としては、スクリーン印刷をおこなうことによって作製された表示板を圧空成形等の熱絞りを加工して、ダイヤル表示部分の所望の部分を他よりも盛り上げるようにして立体感を高めた成形表示板が用いられている(例えば特許文献1及び2を参照)。しかし、このような成形表示板においては、インジケーターの配置が狂うと精度不良、輝度ムラ等が発生するため、シビアな変形制御が必要であった。そのため、配置調整のたびにスクリーン板を作り直して何度も評価を繰り返す必要があり、製造時間とコストが増大する原因となっていた。
【0004】
ところで、上記スクリーン印刷法以外の印刷技術として、レーザープリンター電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等のデジタル印刷技術がある。これらの印刷技術を用いることにより、印刷データからスクリーンマスクを製作することなく樹脂基板に直接描画することが可能であるため、小ロット品種においては、スクリーン印刷よりも適している。
このようなデジタル印刷技術の中でも、インクジェット法は、電子制御されたインクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を吐出することで印刷をおこなう方法である。この方法においては、装置機構が簡素な構成でイニシャルコストが低いことや、画像解像度を高くできるなどの利点により、OAプリンターなどの分野で急速に普及している。
このインクジェット法による印刷技術を用いて、種々の光学特性を有する液状体としてのインク液滴を、インク樹脂製の透光性基板に印刷して作製された表示板が、例えば特許文献3に紹介されている。また、インクジェット印刷工法によって、表示板用基板にインク受容層と遮光性印刷層とを積層形成する技術が、例えば特許文献4に紹介されている。
このように、インクジェット法による印刷技術を用いてインクを樹脂基板上に印刷して形成した表示板は、画像解像度を高くすることができるとともに、所望の立体感を容易に形成可能であるため、意匠性に優れた印刷物としての表示板を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−159319号公報
【特許文献2】特開平8−21749号公報
【特許文献3】特開2002−156252号公報
【特許文献4】特開2004−286459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェット法による印刷技術を用いて、樹脂基板上に例えば遮光性インクの液滴を吐出させて印刷層を形成した場合、インクジェット方式特有のドットの重なり方による周期的な凹凸が生じて色ムラやスジとして人の目に認識されてしまい、表示板としての外観品質が低下してしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る印刷方法は、液状インクを用いたインクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成する印刷方法であって、インクジェットヘッドに第1の走査をさせながら第1の階調を含む第1のマスクによって前記記録媒体上に第1の描画をおこなう第1印刷ステップと、前記インクジェットヘッドに第2の走査をさせながら前記第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって前記記録媒体上に第2の描画をおこなう第2印刷ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本願発明者は、第1印刷ステップにより形成した印刷層上に第2印刷ステップによる印刷層を積層させたときに、第1印刷ステップで第1の階調を含む第1のマスクによって描画をおこなうと色ムラやスジが発生しやすいが、次の第2印刷ステップで、第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって描画をおこなうことにより、第1印刷ステップで発生した色ムラやスジが低減されることを見出した。従って、本適用例によれば、ムラのない高品質の印刷物を提供することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載の印刷方法において、前記第2印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量が、前記第1印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量よりも少ないことが好ましい。
【0011】
本願発明者は、第1印刷ステップにより形成した印刷層上に第2印刷ステップによる印刷層を積層させたときに、第1のマスクを用いた第1印刷ステップでは、液状インクの打ち込み量に関わらず色ムラもしくはスジの一方が発生しやすく、第1のマスクとは階調の異なる第2のマスクを用いた第2印刷ステップでは、液状インクの打ち込み量が多くなるとスジと色ムラとの両方が発生しやすくなり、打ち込み量が少なくなるとスジと色ムラとの両方が抑制されることを見出した。従って、本適用例によれば、第2印刷ステップの液状インクの打ち込み量を第1印刷ステップの液状インクの打ち込み量より少なくしているので、最終表面にスジやムラのない積層膜を形成することができ、高品質の印刷物を提供することができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に記載の印刷方法において、前記記録媒体には、前記液状インクに対して非吸収性の記録媒体が用いられ、前記液状インクには、紫外線硬化性の液状インクが用いられていることが好ましい。
【0013】
本適用例のように、非吸収性の記録媒体上に液状インクを用いて印刷を行った場合に、表面形状起因のスジや色ムラが見えやすくなるので、上記適用例の効果をより顕著に奏して、高品質な印刷物を提供することができる。
また、局所的な紫外線照射により硬化する紫外線硬化性の液状インクを用いることにより、本適用例の効果によって高品質な積層印刷物を形成することができる。
【0014】
[適用例4]本適用例に係る印刷物は、記録媒体上に複数の印刷層が積層された印刷物であって、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに異なる光学的特性を有する二層の積層体により形成されていることを特徴とする。
【0015】
本適用例の印刷物は、上記適用例の印刷方法により製造することができる。これにより、スジやムラが抑制された高品質な印刷物を提供することができる。
また、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに光学的特性の異なる二層の積層体により形成することができるので、光学的に多様な機能を有する印刷物を提供することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に記載の印刷物において、前記積層体が遮光性を有することを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、前記積層体が遮光性を有している。一般に、遮光性の高い膜を形成する場合には膜厚が厚くなる傾向にあるので、上記適用例の効果がより顕著に発揮され、スジやムラが抑制された高品質な印刷物を提供することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に記載の印刷物において、前記積層体の前記記録媒体側の層が、該記録媒体側の層上に積層された側の層よりも厚みが厚く形成されていることを特徴とする。
【0019】
本適用例の印刷物は、上記適用例の第1および第2印刷ステップを含む印刷方法において、第2印刷ステップの液状インクの打ち込み量が、第1印刷ステップの液状インクの打ち込み量よりも少ない印刷方法により形成することができる。これにより、積層体のスジやムラが抑制された高品質の印刷物を提供することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に記載の印刷物において、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層内に複数の光学的特性の異なる領域を含むことを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに光学的特性の異なる二層の積層体により形成されているので、光学的に多様な機能を有する印刷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、実施形態1に係る印刷物としての車両用表示パネルを模式的に示す平面図、(b)は、(a)のD部を矢印2の方向からみた部分断面図。
【図2】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図3】本実施形態におけるキャリッジを図2中のA視方向に見たときの正面図。
【図4】本実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図5】図3中のB−B線における断面図。
【図6】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態における印刷方法としての記録処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本実施形態における記録データの生成フローを模式的に示すイメージ図。
【図9】本実施形態におけるマスクパターンの印字領域を模式的に示すイメージ図。
【図10】本実施形態における第1のマスク及び第2のマスクを模式的に示すイメージ図。
【図11】本実施形態における第1のマスク及び第2のマスクそれぞれの印刷特性の比較表。
【図12】(a)は、本発明の印刷物の変形例を示す平面図、(b)は、(a)のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0024】
(実施形態1)
〔車両用表示パネル〕
まず、実施形態1に係る印刷物としての車両用表示パネル200の概略構成について説明する。図1は、実施形態1に係る車両用表示パネルの概略構成を模式的に示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のD部を矢印2の方向からみた部分断面図である。
図1(b)に示すように、印刷物としての車両用表示パネル200は、記録媒体としての基材250上に、第1印刷層230と、第2印刷層240とが、この順に積層されて形成されている。
【0025】
図1(a)において、車両用表示パネル200は、仮想計器201,202,203,204で構成されている。本実施形態では、仮想計器201は燃料残量計、仮想計器202は速度表示部、仮想計器203はエンジン回転数、仮想計器204は水温計がそれぞれ形成されている。
各仮想計器201〜204は、車両用表示パネル200の光学的特性の異なる複数の領域、即ち、遮光層領域210と、半透過層領域220との光学的特性としての可視光線透過率の差異により、所定の表示物として認識されるようになっている。
詳述すると、遮光層領域210は、遮光性を付与させるように形成された層であり、例えば、光学濃度OD(Optical Density)が5以上で設計される。一方、半透過層領域220は、可視光線を減衰させて透過するように形成された層であり、例えば、OD=1.3で設計されている。これら光学的特性の設計値は、目的に応じて適宜に設定される。
【0026】
遮光層領域210及び半透過層領域220は、図1(b)に示すように、第1印刷層230、及び、第2印刷層240の2層構造で形成されている。第1印刷層230と第2印刷層240は膜厚が異なり、これにより、互いに異なる光学特性が付与されている。各層の膜厚は、単位面積あたりのインクの打ち込み量によって制御され、単位面積あたりの打ち込み量が多くなると膜厚も厚くなる。本実施形態では、第1印刷層230が、第2印刷層240よりも打ち込み量が多く、膜厚が厚く形成されている。このように、インク打ち込み量を調整して膜厚を制御することにより、第1印刷層230および第2印刷層240には、同一層内に、遮光層領域210および半透過層領域220のように異なる光学特性を有する複数の領域を同時に形成することができる。
【0027】
車両用表示パネル200の後ろには図示しない光源が備えられている。そして、その光源をエンジン始動時や走行中に点灯すると、仮想計器201〜204の一部または全部が表示される。即ち、遮光層領域210および半透過層領域220のように光学特性の異なる領域ごとに光源からの光の透過のされ方に差異が生じることにより、車両用表示パネル200の光源とは反対側から仮想計器201〜204の一部または全部が視認される。
【0028】
以上述べたように、本実施形態に係る車両用表示パネル200によれば、異なる光学特性を有する層を同時に形成することができるため、効率的に、意匠性に優れた高品質の車両用表示物を得ることができる。
【0029】
(実施形態2)
次に、上記実施形態1の印刷物としての車両用表示パネル200の製造方法(印刷方法)について説明する。
〔液滴吐出装置〕
まず、本実施形態の車両用表示パネル200の製造に用いる液滴吐出装置について図面を参照して説明する。図2は、本実施形態の車両用表示パネル200の製造(印刷)に用いる液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。また図3は、本実施形態におけるキャリッジを図2中のA視方向に見たときの正面図である。また図4は本実施形態における吐出ヘッドの底面図である。また図5は図3中のB−B線における断面図である。また図6は本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2において、本実施形態で使用する液滴吐出装置1は、ワーク搬送装置3と、キャリッジ7と、キャリッジ搬送装置11と、を有している。
キャリッジ7には、ヘッドユニット13と、2個の照射装置15と、が設けられている。
液滴吐出装置1では、ヘッドユニット13と基板などのワークWとの平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット13から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画(記録)することができる。なお、図中のY方向はワークWの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
【0031】
このような液滴吐出装置1は、例えば、樹脂フィルムなどのように、液状体が浸透しにくいワークWへの描画(記録)に適用され得る。車両用表示パネル200の製造では、ヘッドユニット13から各機能層に対応する各液状体を、ワークW(図1の基材250)に液滴として吐出させることによって、ワークWにそれぞれの機能層のパターンが描画される。
【0032】
ここで、液滴吐出装置1の各構成について、詳細を説明する。
ワーク搬送装置3は、図2に示すように、定盤21と、ガイドレール23aと、ガイドレール23bと、ワークテーブル25と、を有している。
定盤21は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、定盤21の上面21a上に配設されている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール23aとガイドレール23bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
【0033】
ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bを挟んで定盤21の上面21aに対向した状態で設けられている。ワークテーブル25は、定盤21から浮いた状態でガイドレール23a及びガイドレール23b上に載置されている。ワークテーブル25は、ワークWが載置される面である載置面25aを有している。載置面25aは、定盤21側とは反対側(上側)に向けられている。ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bによってY方向に沿って案内され、定盤21上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0034】
ワークテーブル25は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、ワークテーブル25をY方向に沿って移動させるための動力源として、後述するワーク搬送モーターが採用されている。ワーク搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
ワーク搬送モーターからの動力は、移動機構を介してワークテーブル25に伝達される。これにより、ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、ワーク搬送装置3は、ワークテーブル25の載置面25aに載置されたワークWを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
【0035】
ヘッドユニット13は、キャリッジ7を図2中のA視方向に見たときの正面図である図3に示すように、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド33は、底面図である図4に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図4では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
吐出ヘッド33において、複数のノズル37は、Y方向に沿って配列する4本のノズル列39を構成している。4本のノズル列39は、X方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列39において、複数のノズル37は、Y方向に沿って所定のノズル間隔Pで形成されている。
以下において、4本のノズル列39のそれぞれが識別される場合に、ノズル列39a、ノズル列39b、ノズル列39c及びノズル列39dという表記が用いられる。
吐出ヘッド33において、ノズル列39aとノズル列39bとは、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。ノズル列39c及びノズル列39dも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。
【0036】
2個の照射装置15は、図3に示すように、それぞれ、X方向にヘッドユニット13を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。以下において、2個の照射装置15のそれぞれを識別する場合に、照射装置15a及び照射装置15bという表記が用いられる。
照射装置15a及び照射装置15bは、それぞれ、紫外光41を発する光源43を有している。光源43からの紫外光41は、吐出ヘッド33から吐出された液状インクとしての機能液53の硬化を促進させる。機能液53は、紫外光41の照射を受けると、硬化が促進する。
光源43としては、例えば、LED、LD、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の種々の光源43が採用され得る。
なお、本実施形態では、光源43のY方向における長さは、吐出ヘッド33のノズル列39を網羅する長さに設定されている。
なお、照射装置15aの光源43と、照射装置15bの光源43とは、それぞれ、吐出ヘッド33のノズル面35がX方向に沿って描く軌跡に、平面視で重なっている。
【0037】
吐出ヘッド33は、図3中のB−B線における断面図である図5に示すように、ノズルプレート46と、キャビティープレート47と、振動板48と、複数の圧電素子49と、を有している。
ノズルプレート46は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート46に設けられている。
キャビティープレート47は、ノズルプレート46のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート47には、複数のキャビティー51が形成されている。各キャビティー51は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー51には、図示しないタンクから機能液53が供給される。
【0038】
振動板48は、キャビティープレート47のノズルプレート46側とは反対側の面に設けられている。振動板48は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー51内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子49は、それぞれ、振動板48のキャビティープレート47側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子49は、各キャビティー51に対応して設けられており、振動板48を挟んで各キャビティー51に対向している。各圧電素子49は、駆動信号に基づいて、伸長する。これにより、振動板48がキャビティー51内の容積を縮小させる。このとき、キャビティー51内の機能液53に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液53が液滴55として吐出される。吐出ヘッド33による液滴55の吐出法は、インクジェット法の1つである。インクジェット法は、塗布法の1つである。
【0039】
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図3に示すように、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。
キャリッジ7は、図3に示すように、ヘッドユニット13を支持している。ここで、ヘッドユニット13は、ノズル面35がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
上記により、ワークWには、吐出ヘッド33から機能液53が塗布され得る。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子49が採用されているが、機能液53に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0040】
本実施形態では、機能液53として、光の照射を受けることによって硬化が促進する機能液53が採用されている。本実施形態では、機能液53の硬化を促進させる光として紫外光41が採用されている。
機能液53は、樹脂材料、光重合開始剤及び溶媒を、成分として含んでいる。これらの成分に、顔料や染料等の色素や、親液性や撥液性等の表面改質材料などの機能性材料を添加することによって固有の機能を有する機能液53を生成することができる。顔料や染料等の色素を含有する機能液53は、例えば、ワークWに記録する画像を形成するための機能液53として採用され得る。以下において、ワークWに記録する画像を形成するための機能液53は、画像塗料と呼ばれる。
【0041】
また、機能液53の成分としての樹脂材料に、例えば、アクリル系の樹脂材料などの光透過性を有する樹脂材料を採用することによって、光透過性を有する機能液53を構成することができる。このような光透過性を有する機能液53は、例えば、クリアインクとしての用途が考えられる。以下において、光透過性を有する機能液53は、透光塗料と呼ばれる。
クリアインクの用途としては、例えば、画像を被覆するオーバーコート層としての用途や、画像を形成する前の下地層としての用途などが考えられる。以下において、下地層として適用される機能液53は、下地塗料と呼ばれる。
下地塗料としては、透光塗料だけでなく、透光塗料に種々の顔料を添加した機能液53を採用することもできる。例えば、白色を呈する機能液53や、金属的な光沢(メタリック)を示す機能液53なども、下地塗料として採用され得る。
【0042】
機能液53における樹脂材料は、樹脂膜を形成する材料である。このような樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによってポリマーとなる材料であれば特に限定されない。樹脂材料としては、粘性が小さいものが好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。さらに、樹脂材料としては、モノマーの形態であることが一層好ましい。
光重合開始剤は、ポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤である。光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが採用され得る。本実施形態では、光重合開始剤として、ラジカル型の光重合開始剤が採用されている。ラジカル型の光重合開始剤としては、例えば、チバ・ジャパン(株)社製のイルガキュア819などが採用され得る。
溶媒は、樹脂材料の粘度を調整するためのものである。
【0043】
キャリッジ搬送装置11は、図2に示すように、架台101と、ガイドレール103と、を有している。
架台101は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3をX方向にまたいでいる。架台101は、ワークテーブル25の定盤21側とは反対側で、ワーク搬送装置3に対向している。架台101は、一対の支柱107によって支持されている。一対の支柱107は、定盤21を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。
なお、以下においては、一対の支柱107のそれぞれを識別する場合に、支柱107a及び支柱107bという表記が用いられる。支柱107a及び支柱107bは、それぞれ、ワークテーブル25よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台101とワークテーブル25との間には、隙間が保たれている。
【0044】
ガイドレール103は、架台101の定盤21側に設けられている。ガイドレール103は、X方向に沿って延在しており、架台101のX方向における幅にわたって設けられている。
前述したキャリッジ7は、ガイドレール103に支持されている。キャリッジ7がガイドレール103に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてワークテーブル25側に向いている。キャリッジ7は、ガイドレール103によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール103に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ7がワークテーブル25に重なっている状態において、ノズル面35とワークテーブル25の載置面25aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
【0045】
キャリッジ7は、図示しない移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、図示しないキャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーポモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール103に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置11は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット13を、X方向に沿って往復移動させることができる。
上記の構成を有する液滴吐出装置1では、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を吐出させることによって、ワークWへのパターンの記録(描画)が行われる。
【0046】
液滴吐出装置1は、図6に示すように、上記の各構成の動作を制御する制御部111を有している。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)113と、駆動制御部115と、メモリー部117と、を有している。駆動制御部115及びメモリー部117は、バス119を介してCPU113に接続されている。
また、液滴吐出装置1は、キャリッジ搬送モーター121と、ワーク搬送モーター123と、入力装置129と、表示装置131と、を有している。
キャリッジ搬送モーター121及びワーク搬送モーター123は、それぞれ、入出力インターフェイス133とバス119とを介して制御部111に接続されている。また、入力装置129及び表示装置131も、それぞれ、入出力インターフェイス133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0047】
キャリッジ搬送モーター121は、キャリッジ7を駆動するための動力を発生させる。ワーク搬送モーター123は、ワークテーブル25を駆動するための動力を発生させる。
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。表示装置131は、加工条件や、作業状況を表示する装置である。液滴吐出装置1を操作するオペレーターは、表示装置131に表示される情報を確認しながら、入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
なお、吐出ヘッド33、照射装置15a及び照射装置15bも、それぞれ、入出力インターフェイス133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
【0048】
CPU113は、プロセッサーとして各種の演算処理をおこなう。駆動制御部115は、各構成の駆動を制御する。メモリー部117は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)などを含んでいる。メモリー部117には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト135を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部137などが設定されている。データ展開部137に展開されるデータとしては、例えば、記録すべきパターンが示される記録データや、記録処理等のプログラムデータなどが挙げられる。
駆動制御部115は、モーター制御部141と、吐出制御部145と、照射制御部147と、表示制御部151と、を有している。
【0049】
モーター制御部141は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モーター121の駆動と、ワーク搬送モーター123の駆動とを、個別に制御する。
吐出制御部145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
照射制御部147は、CPU113からの指令に基づいて、照射装置15a及び照射装置15bのそれぞれにおける光源43の発光状態を個別に制御する。
表示制御部151は、CPU113からの指令に基づいて、表示装置131の駆動を制御する。
【0050】
〔車両用表示パネルの製造方法(印刷方法)〕
次に、液滴吐出装置1による車両用表示パネル200の製造方法における印刷方法の記録処理(描画)について図面を参照して説明する。
図7は、実施形態2に係る車両用表示パネルの印刷方法としての記録処理の流れを示すフローチャートである。また図8は、実施形態2に関る印刷データの生成フローを模式的に示すイメージ図である。また図9は、実施形態2に関るマスクを模式的に示すイメージ図である。また図10は、実施形態2に係る第1のマスク及び第2のマスクのイメージとその階調性を模式的に示すイメージ図である。また図11は実施形態2に係る第1のマスク及び第2のマスクの印刷特性の比較表である。
【0051】
図6に示す液滴吐出装置1では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェイス133及びバス119を介して記録データを受け取ると、CPU113によって図7に示す記録処理が開始される。
図8は、色情報を持った画像データから記録データを生成するまでのフローのイメージを示している。画像データは図6に示すメモリー部117のデータ展開部137に入力される。そしてデータ展開部137において、各ノズル列単位で印刷すべき2値化されたビットマップデータへと変換され、次いで、そのデータは各走査で記録すべきデータへと分解され出力される。このデータはメモリー部117に格納される。
ここで、図9に示すように、例えば印字をおこなうノズルが160ノズルの場合、ノズルN1からノズルN80までのマスクパターン印字領域は図中右上側に示すような階調のついたマスクパターンとなっており、ノズルN1からノズルN80に向かうにつれて濃度が濃くなるランダムパターンとなっている。最初に、このマスクパターンを印字し、次いで、図中右下側に示すようなノズルN81からノズルN160までのマスクパターン補完部分印字領域のマスクパターンの印字を行う。マスクパターン補完部分印字領域のマスクパターンは、ノズルN1〜ノズルN80マスクパターンを反転させたものである。即ち、記録データはマスクパターン印字領域のマスクパターンと、マスクパターン補完部分印字領域のマスクパターンとが合わさったデータとなり、液滴55で形成すべきドットがビットマップ状に表現されている。
記録をおこなう際は、先にマスクパターンが印字され、次いで補完パターンが印字される。この時、補完パターンの印字と同時に次に印字すべき領域のマスクパターンが印字される。ワークWに記録されるパターンは、液滴55で形成される複数のドットの集合として表現される。ワークWへのパターンの記録は、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を所定周期で吐出させることによって行われる。
【0052】
記録処理では、CPU113は、まず、図7のステップS1において、キャリッジ搬送指令を図6に示すモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、図2に示すキャリッジ7を描画エリアの往路開始位置に移動させる。
ここで、液滴吐出装置1では、記録エリアが設定されている。記録エリアは、図2に示すワークテーブル25によってY方向に沿って描かれる軌跡と、吐出ヘッド33によってX方向に沿って描かれる軌跡とが重なり合う領域である。
そして、往路開始位置は、キャリッジ7を往復移動させるときの往路が開始する位置である。本実施形態では、往路開始位置は、平面視で、記録エリアの外側に位置している。本実施形態では、往路開始位置は、平面視で、記録エリアの支柱107a側に位置している。
次いで、図7のステップS2において、図6に示すCPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWを記録エリアに移動させる。
【0053】
次いで、図7のステップS3において、図6に示すCPU113は、キャリッジ走査指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、図2に示すキャリッジ7の往復移動を開始させる。
ここで、キャリッジ7の往復移動では、キャリッジ7は、上述した往路開始位置と復路開始位置との間を往復移動する。つまり、往路開始位置から復路開始位置で折り返して往路開始位置に戻る経路がキャリッジ7の1往復である。このため、本実施形態では、往路開始位置から復路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の往路である。他方で、復路開始位置から往路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の復路である。
なお、復路開始位置は、X方向に記録エリアを挟んで往路開始位置に対峙する位置である。復路開始位置は、平面視で、記録エリアの外側に位置している。このため、往路開始位置と復路開始位置とは、平面視で、記録エリアをX方向に挟んで互いに対峙している。本実施形態では、復路開始位置は、平面視で、記録エリアの支柱107b側に位置している。
【0054】
次いで、図7のステップS4において、図6に示すCPU113は、照射装置15aに対する照射指令を照射制御部147(図6)に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15aの光源43の駆動を制御して、照射装置15aの光源43を点灯させる。
次いで、図7のステップS5において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が往路における記録開始位置に到達したか否かを判定する。
ここで、記録開始位置は、記録エリア内で吐出ヘッド33から液滴55の吐出を開始させる位置である。
このとき、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達した(図7のステップS5においてYes)と判定されると、処理がステップS6に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達していない(ステップS5においてNo)と判定されると、図2の吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0055】
次いで、図7のステップS6において、図6に示すCPU113は、吐出指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2に示す吐出ヘッド33の駆動を制御して、記録データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、往路での記録が開始される。
次いで、図7のステップS7において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が往路における記録停止位置に到達したか否かを判定する。
ここで、記録停止位置は、記録エリア内で吐出ヘッド33から液滴55の吐出を停止させる位置である。
このとき、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達した(図7のステップS7でYes)と判定されると、処理がステップS8に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達していない(ステップS7でNo)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達するまで処理が待機される。
【0056】
次いで、図7のステップS8において、図6に示すCPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2の吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、往路での記録が終了する。
次いで、図7のステップS9において、図6に示すCPU113は、照射装置15aに対する照射停止指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15aの光源43の駆動を制御して、照射装置15aの光源43を消灯させる。
【0057】
次いで、図7のステップS10において、図6に示すCPU113は、キャリッジ7の位置が復路位置に到達したか否かを判定する。このとき、図2のキャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(図7のステップS10でYes)と判定されると、処理がステップS11に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(ステップS10でNo)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまでの処理が待機される。
図7のステップS11では、図6に示すCPU113は、改行指令をモーター制御部141に出力する。このとき、改行指令を受けたモーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY方向に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを記録すべき新たな領域を記録エリアに移動させる。
【0058】
図7のステップS12は、図6に示すCPU113は、照射装置15bに対する照射指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15bの光源43の駆動を制御して、照射装置15bの光源43を点灯させる。
次いで、図7のステップS13において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が復路における記録開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達した(図7のステップS13でYes)と判定されると、処理がステップS14に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達していない(ステップS13でNo)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0059】
次いで、図7のステップS14において、図6に示すCPU113は、吐出指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2の吐出ヘッド33の駆動を制御して、記録データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、復路での記録が開始される。
次いで、図7のステップS15において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が復路における記録停止位置に到達したか否かを判定する。
このとき、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達した(図7のステップS15でYes)と判定されると、処理がステップS16に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達していない(ステップS15でNo)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、図7のステップS16において、図6に示すCPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2の吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、復路での記録が終了する。
次いで、図7のステップS17において、図6に示すCPU113は、照射装置15bに対する照射停止指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15bの光源43の駆動を制御して、照射装置15bの光源43を消灯させる。
次いで、図7のステップS18において、図6に示すCPU113は、記録データが終了したか否かを判定する。このとき、記録データが終了した(図7のステップS18でYes)と判定されると、処理が終了する。他方で、記録データが終了していない(ステップS18でNo)と判定されると、エラーとして出力され装置が停止する。
【0060】
以上、述べた図7のステップS1からステップS13までの第1の走査をさせながら第1の描画としての記録処理をおこなう一連の印刷ステップを第1印刷ステップとする。本実施形態の車両用表示パネル200の製造方法(印刷方法)は、前記第1印刷ステップと、第2の走査をさせながら第2の描画をおこなう第2印刷ステップとを含む。第2印刷ステップは、第1印刷ステップの第1のマスクが含む第1の階調とは異なる第2の階調を含んだ第2のマスクによって、第1印刷ステップと同様の記録処理(第2の描画)をおこなう。
【0061】
第1印刷ステップの第1のマスク、および、第2印刷ステップの第2のマスクについて、具体的に説明する。
第1印刷ステップでは、図10(a)に示す第1のマスクを用いて第1の描画をおこない、図1(b)に示すような第1印刷層230を形成する。第1のマスクは、マスク印字領域と補完領域が線形になっており、ノズルの中心を境に対称となるような第1の階調が設定されている。
これに対して、第2印刷ステップでは、図10(b)の第2のマスクを用いて第2の描画をおこない、図1(b)に示すような第2印刷層240を形成する。第2のマスクの第2の階調は、ノズルの中心までの階調の中に変曲点が存在するようになっており、ノズルの中心を境に非対称となるように階調が設定されている。
本願出願者は、第1のマスク及び第2のマスクが、図11に示すようなスジ・ムラに対する特性を有していることを見出した。即ち、図11は、第1のマスク及び第2のマスクそれぞれにより描画パターンを形成したときのスジやムラの発生の状態を比較して示す図である。図11中の「×」は、印刷物を30cm離れて観察を行ったときに印刷物の表面凹凸により人間の目にスジやムラとして認識されることを示し、「○」は、スジやムラが認識されないことを示している。第1のマスクを用いた第1印刷ステップでは、遮光された層など前記記録媒体へのインクの打ち込み量が多い部分ではムラが発生し、半透過層などの前記記録媒体へのインクの打ち込み量が少ない部分ではスジが発生する。第2印刷ステップでは、全ての層において第1印刷ステップで記録媒体としての基材250(図1を参照)上へ打ち込んだインク量より少なく設定される。これにより、第2印刷ステップでは使用する第2のマスクのインク打ち込み量が少ない場合の特性であるスジ・ムラのない膜を最上層に形成することができる。
従って、最終表面にスジやムラのない膜を形成することができ、高品質な印刷物を製造することができる。
【0062】
以上述べたように、本実施形態に係る車両用表示パネル200によれば、実施形態1での効果に加えて第1印刷ステップと第2印刷ステップを異なる階調のマスクで形成するため表面形状の凹凸で発生するムラやスジが低減され、高品質の車両用表示パネルを形成することができる。またインクジェット装置を用いて印刷物を形成するため、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層内に複数の光学的特性の異なる領域を同時に印刷することが可能となる。これにより高い生産性を得ることができる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0064】
(変形例)
上記実施形態1では、第1印刷層230および第2印刷層240を基材250上の全領域に形成する構成において、各印刷層に厚みの異なる領域を意図的に形成した印刷物としての車両用表示パネル200、及びその製造方法(印刷方法)を説明したが、この構成に限定するものではない。
以下、本発明に係る印刷物の変形例について図面に沿って説明する。
図12は、本発明の印刷物の変形例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のC−Cの断面図である。
なお、本変形例において、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0065】
図12に示す印刷物300は、液状インクに対して非吸収性の記録媒体としての基材310上に、紫外線硬化性の液状インクを用いたインクジェット記録方式により任意の画像(図中、アルファベット文字)を形成したものを示している。即ち、非吸収性の基材310上には、遮光性、または半透過性の第1印刷層320により、任意の画像(アルファベット文字)が形成されている。
第1印刷層320が形成された基材310には、第1印刷層320の保護や意匠性付与のための透明な第2印刷層330が形成されている。本変形例では、画像を形成する第1印刷層320が厚めに形成され、第2印刷層330は第1印刷層320よりも薄く積層されている。
本変形例において、任意の画像は、基材310上の第1印刷層320が有る部分と無い部分とにより画像として視認される。即ち、基材310上の第1印刷層320および第2印刷層330が積層された部分が遮光層領域340を形成し、第2印刷層330のみの部分が半透過層領域を形成して任意の画像が視認される。さらに、本変形例の印刷物300は、基材310上および第1印刷層320上に積層された第2印刷層330により、耐久性および質感などの意匠性が付与された画像が形成された印刷物300として提供することができる。
【0066】
次に印刷物300の製造方法(印刷方法)について述べる。
まず、上記実施形態の第1印刷ステップと同様に、図10(a)に示す第1のマスクを用いて第1の描画をおこない、図12(b)に示すような第1印刷層320を形成する。
次いで、上記実施形態の第2印刷ステップと同様に、図10(b)に示す第2のマスクを用いて第2の描画をおこない、図12(b)に示すような第2印刷層330を形成する。
第1のマスクを用いた第1印刷ステップでは、第1印刷層320により画像の色を形成するために単位面積あたりのインク打ち込み量が多くなる部分ではムラが発生する。第2印刷ステップでは、第1印刷層320よりもインクの打ち込み量が少なく設定される。これにより、第2印刷ステップではスジ・ムラのない表面形状を形成することができる。
【0067】
本変形例の印刷物300のように、画像を形成する第1印刷層320上に、その第1印刷層320の保護や、印刷物300に意匠性を付与するような層(第2印刷層330)を形成する場合、インクジェット方式特有の液状インクのドットの重なり方により生じる第1印刷層320表面の凹凸によるスジやムラを、第2印刷ステップでスジやムラの発生しない表面凹凸の第2印刷層330を形成することにより、外観品質に優れ、機能性を有した印刷物300を製造することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…液滴吐出装置、3…ワーク搬送装置、7…キャリッジ、11…キャリッジ搬送装置、13…ヘッドユニット、15a,15b…照射装置、21…定盤、21a…上面、23a,23b…ガイドレール、25…ワークテーブル、25a…載置面、31…ヘッドプレート、33…吐出ヘッド、35…ノズル面、37,N1〜N3,N79〜N82,N158〜N160…ノズル、39,39a〜39d…ノズル列、41…紫外光、43…照射装置の光源、46…ノズルプレート、47…キャビティープレート、48…振動板、49…圧電素子、51…キャビティー、53…液状インクとしての機能液、55…液滴、101…架台、103…ガイドレール、107a,107b…支柱、111…制御部、113…CPU、115…駆動制御部、117…メモリー部、119…バス、121…キャリッジ搬送モーター、123…ワーク搬送モーター、129…入力装置、131…表示装置、133…入出力インターフェイス、135…プログラムソフト、137…データ展開部、141…モーター制御部、145…吐出制御部、147…照射制御部、151…表示制御部、160…ノズルN、200…印刷物としての車両用表示パネル、201〜204…仮想計器、210…遮光層領域、220…半透過層領域、230,320…第1印刷層、240,330…第2印刷層、250…基材、300…印刷物、310…非吸収性の基材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷層を積層させた印刷物、および、その印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両に装備される表示装置として、目盛りや文字等からなる意匠部を有する表示板と、この表示板の裏面側に配設された光源とを備えて構成された車両用表示パネルがある。この車両用表示パネルの表示板においては、意匠部の目盛りや文字を除く部分は光が透過しない不透過部として構成され、目盛りや文字の部分は光が透過する透過部として構成される。このような構成により夜間等に光源にて表示板を照明することで、表示板の文字、目盛り等の透過部を明るく表示させることができる。また、自動車メーターパネル等のインストルメントパネル等においては、高級感、視認性、質感等が求められる。そのため、上記表示板を加熱成形し、立体的な形状の成形表示板が用いられるようになってきた。
【0003】
上記表示板は、通常、ポリカーボネート等の樹脂製透明基板の表面に不透明部(ベタ隠蔽画像部)などをスクリーン印刷によって印刷することなどにより製造される。
このスクリーン印刷とは、印刷データから印刷画像が描かれたスクリーンマスク(版)を製作し、このスクリーンマスクを通して例えば溶剤乾燥型又は加熱硬化型インク等を基板に印刷する方法であり、不透過部の印刷濃度が濃くなるように、一度に印刷することができるという利点がある。しかし、スクリーン印刷は、単色印刷で行われるため、文字等の意匠を形成するためには、色の異なるインクを用いて多層印刷しなければならない。そのため加工工数や加工時間が増大するという問題がある。また、スクリーン印刷においては、一般に印刷位置や精度や解像度が低いため、形成可能なデザインが制限されてしまうという問題があった。
また、自動車メーターパネル等の用途としては、スクリーン印刷をおこなうことによって作製された表示板を圧空成形等の熱絞りを加工して、ダイヤル表示部分の所望の部分を他よりも盛り上げるようにして立体感を高めた成形表示板が用いられている(例えば特許文献1及び2を参照)。しかし、このような成形表示板においては、インジケーターの配置が狂うと精度不良、輝度ムラ等が発生するため、シビアな変形制御が必要であった。そのため、配置調整のたびにスクリーン板を作り直して何度も評価を繰り返す必要があり、製造時間とコストが増大する原因となっていた。
【0004】
ところで、上記スクリーン印刷法以外の印刷技術として、レーザープリンター電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等のデジタル印刷技術がある。これらの印刷技術を用いることにより、印刷データからスクリーンマスクを製作することなく樹脂基板に直接描画することが可能であるため、小ロット品種においては、スクリーン印刷よりも適している。
このようなデジタル印刷技術の中でも、インクジェット法は、電子制御されたインクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を吐出することで印刷をおこなう方法である。この方法においては、装置機構が簡素な構成でイニシャルコストが低いことや、画像解像度を高くできるなどの利点により、OAプリンターなどの分野で急速に普及している。
このインクジェット法による印刷技術を用いて、種々の光学特性を有する液状体としてのインク液滴を、インク樹脂製の透光性基板に印刷して作製された表示板が、例えば特許文献3に紹介されている。また、インクジェット印刷工法によって、表示板用基板にインク受容層と遮光性印刷層とを積層形成する技術が、例えば特許文献4に紹介されている。
このように、インクジェット法による印刷技術を用いてインクを樹脂基板上に印刷して形成した表示板は、画像解像度を高くすることができるとともに、所望の立体感を容易に形成可能であるため、意匠性に優れた印刷物としての表示板を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−159319号公報
【特許文献2】特開平8−21749号公報
【特許文献3】特開2002−156252号公報
【特許文献4】特開2004−286459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、インクジェット法による印刷技術を用いて、樹脂基板上に例えば遮光性インクの液滴を吐出させて印刷層を形成した場合、インクジェット方式特有のドットの重なり方による周期的な凹凸が生じて色ムラやスジとして人の目に認識されてしまい、表示板としての外観品質が低下してしまう虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る印刷方法は、液状インクを用いたインクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成する印刷方法であって、インクジェットヘッドに第1の走査をさせながら第1の階調を含む第1のマスクによって前記記録媒体上に第1の描画をおこなう第1印刷ステップと、前記インクジェットヘッドに第2の走査をさせながら前記第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって前記記録媒体上に第2の描画をおこなう第2印刷ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本願発明者は、第1印刷ステップにより形成した印刷層上に第2印刷ステップによる印刷層を積層させたときに、第1印刷ステップで第1の階調を含む第1のマスクによって描画をおこなうと色ムラやスジが発生しやすいが、次の第2印刷ステップで、第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって描画をおこなうことにより、第1印刷ステップで発生した色ムラやスジが低減されることを見出した。従って、本適用例によれば、ムラのない高品質の印刷物を提供することができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に記載の印刷方法において、前記第2印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量が、前記第1印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量よりも少ないことが好ましい。
【0011】
本願発明者は、第1印刷ステップにより形成した印刷層上に第2印刷ステップによる印刷層を積層させたときに、第1のマスクを用いた第1印刷ステップでは、液状インクの打ち込み量に関わらず色ムラもしくはスジの一方が発生しやすく、第1のマスクとは階調の異なる第2のマスクを用いた第2印刷ステップでは、液状インクの打ち込み量が多くなるとスジと色ムラとの両方が発生しやすくなり、打ち込み量が少なくなるとスジと色ムラとの両方が抑制されることを見出した。従って、本適用例によれば、第2印刷ステップの液状インクの打ち込み量を第1印刷ステップの液状インクの打ち込み量より少なくしているので、最終表面にスジやムラのない積層膜を形成することができ、高品質の印刷物を提供することができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に記載の印刷方法において、前記記録媒体には、前記液状インクに対して非吸収性の記録媒体が用いられ、前記液状インクには、紫外線硬化性の液状インクが用いられていることが好ましい。
【0013】
本適用例のように、非吸収性の記録媒体上に液状インクを用いて印刷を行った場合に、表面形状起因のスジや色ムラが見えやすくなるので、上記適用例の効果をより顕著に奏して、高品質な印刷物を提供することができる。
また、局所的な紫外線照射により硬化する紫外線硬化性の液状インクを用いることにより、本適用例の効果によって高品質な積層印刷物を形成することができる。
【0014】
[適用例4]本適用例に係る印刷物は、記録媒体上に複数の印刷層が積層された印刷物であって、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに異なる光学的特性を有する二層の積層体により形成されていることを特徴とする。
【0015】
本適用例の印刷物は、上記適用例の印刷方法により製造することができる。これにより、スジやムラが抑制された高品質な印刷物を提供することができる。
また、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに光学的特性の異なる二層の積層体により形成することができるので、光学的に多様な機能を有する印刷物を提供することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に記載の印刷物において、前記積層体が遮光性を有することを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、前記積層体が遮光性を有している。一般に、遮光性の高い膜を形成する場合には膜厚が厚くなる傾向にあるので、上記適用例の効果がより顕著に発揮され、スジやムラが抑制された高品質な印刷物を提供することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に記載の印刷物において、前記積層体の前記記録媒体側の層が、該記録媒体側の層上に積層された側の層よりも厚みが厚く形成されていることを特徴とする。
【0019】
本適用例の印刷物は、上記適用例の第1および第2印刷ステップを含む印刷方法において、第2印刷ステップの液状インクの打ち込み量が、第1印刷ステップの液状インクの打ち込み量よりも少ない印刷方法により形成することができる。これにより、積層体のスジやムラが抑制された高品質の印刷物を提供することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に記載の印刷物において、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層内に複数の光学的特性の異なる領域を含むことを特徴とする。
【0021】
本適用例によれば、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに光学的特性の異なる二層の積層体により形成されているので、光学的に多様な機能を有する印刷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は、実施形態1に係る印刷物としての車両用表示パネルを模式的に示す平面図、(b)は、(a)のD部を矢印2の方向からみた部分断面図。
【図2】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示す斜視図。
【図3】本実施形態におけるキャリッジを図2中のA視方向に見たときの正面図。
【図4】本実施形態における吐出ヘッドの底面図。
【図5】図3中のB−B線における断面図。
【図6】本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態における印刷方法としての記録処理の流れを示すフローチャート。
【図8】本実施形態における記録データの生成フローを模式的に示すイメージ図。
【図9】本実施形態におけるマスクパターンの印字領域を模式的に示すイメージ図。
【図10】本実施形態における第1のマスク及び第2のマスクを模式的に示すイメージ図。
【図11】本実施形態における第1のマスク及び第2のマスクそれぞれの印刷特性の比較表。
【図12】(a)は、本発明の印刷物の変形例を示す平面図、(b)は、(a)のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0024】
(実施形態1)
〔車両用表示パネル〕
まず、実施形態1に係る印刷物としての車両用表示パネル200の概略構成について説明する。図1は、実施形態1に係る車両用表示パネルの概略構成を模式的に示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のD部を矢印2の方向からみた部分断面図である。
図1(b)に示すように、印刷物としての車両用表示パネル200は、記録媒体としての基材250上に、第1印刷層230と、第2印刷層240とが、この順に積層されて形成されている。
【0025】
図1(a)において、車両用表示パネル200は、仮想計器201,202,203,204で構成されている。本実施形態では、仮想計器201は燃料残量計、仮想計器202は速度表示部、仮想計器203はエンジン回転数、仮想計器204は水温計がそれぞれ形成されている。
各仮想計器201〜204は、車両用表示パネル200の光学的特性の異なる複数の領域、即ち、遮光層領域210と、半透過層領域220との光学的特性としての可視光線透過率の差異により、所定の表示物として認識されるようになっている。
詳述すると、遮光層領域210は、遮光性を付与させるように形成された層であり、例えば、光学濃度OD(Optical Density)が5以上で設計される。一方、半透過層領域220は、可視光線を減衰させて透過するように形成された層であり、例えば、OD=1.3で設計されている。これら光学的特性の設計値は、目的に応じて適宜に設定される。
【0026】
遮光層領域210及び半透過層領域220は、図1(b)に示すように、第1印刷層230、及び、第2印刷層240の2層構造で形成されている。第1印刷層230と第2印刷層240は膜厚が異なり、これにより、互いに異なる光学特性が付与されている。各層の膜厚は、単位面積あたりのインクの打ち込み量によって制御され、単位面積あたりの打ち込み量が多くなると膜厚も厚くなる。本実施形態では、第1印刷層230が、第2印刷層240よりも打ち込み量が多く、膜厚が厚く形成されている。このように、インク打ち込み量を調整して膜厚を制御することにより、第1印刷層230および第2印刷層240には、同一層内に、遮光層領域210および半透過層領域220のように異なる光学特性を有する複数の領域を同時に形成することができる。
【0027】
車両用表示パネル200の後ろには図示しない光源が備えられている。そして、その光源をエンジン始動時や走行中に点灯すると、仮想計器201〜204の一部または全部が表示される。即ち、遮光層領域210および半透過層領域220のように光学特性の異なる領域ごとに光源からの光の透過のされ方に差異が生じることにより、車両用表示パネル200の光源とは反対側から仮想計器201〜204の一部または全部が視認される。
【0028】
以上述べたように、本実施形態に係る車両用表示パネル200によれば、異なる光学特性を有する層を同時に形成することができるため、効率的に、意匠性に優れた高品質の車両用表示物を得ることができる。
【0029】
(実施形態2)
次に、上記実施形態1の印刷物としての車両用表示パネル200の製造方法(印刷方法)について説明する。
〔液滴吐出装置〕
まず、本実施形態の車両用表示パネル200の製造に用いる液滴吐出装置について図面を参照して説明する。図2は、本実施形態の車両用表示パネル200の製造(印刷)に用いる液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。また図3は、本実施形態におけるキャリッジを図2中のA視方向に見たときの正面図である。また図4は本実施形態における吐出ヘッドの底面図である。また図5は図3中のB−B線における断面図である。また図6は本実施形態における液滴吐出装置の概略の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2において、本実施形態で使用する液滴吐出装置1は、ワーク搬送装置3と、キャリッジ7と、キャリッジ搬送装置11と、を有している。
キャリッジ7には、ヘッドユニット13と、2個の照射装置15と、が設けられている。
液滴吐出装置1では、ヘッドユニット13と基板などのワークWとの平面視での相対位置を変化させつつ、ヘッドユニット13から液状体を液滴として吐出させることによって、ワークWに液状体で所望のパターンを描画(記録)することができる。なお、図中のY方向はワークWの移動方向を示し、X方向は平面視でY方向とは直交する方向を示している。また、X方向及びY方向によって規定されるXY平面と直交する方向は、Z方向として規定される。
【0031】
このような液滴吐出装置1は、例えば、樹脂フィルムなどのように、液状体が浸透しにくいワークWへの描画(記録)に適用され得る。車両用表示パネル200の製造では、ヘッドユニット13から各機能層に対応する各液状体を、ワークW(図1の基材250)に液滴として吐出させることによって、ワークWにそれぞれの機能層のパターンが描画される。
【0032】
ここで、液滴吐出装置1の各構成について、詳細を説明する。
ワーク搬送装置3は、図2に示すように、定盤21と、ガイドレール23aと、ガイドレール23bと、ワークテーブル25と、を有している。
定盤21は、例えば石などの熱膨張係数が小さい材料で構成されており、Y方向に沿って延びるように据えられている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、定盤21の上面21a上に配設されている。ガイドレール23a及びガイドレール23bは、それぞれ、Y方向に沿って延在している。ガイドレール23aとガイドレール23bとは、互いにX方向に隙間をあけた状態で並んでいる。
【0033】
ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bを挟んで定盤21の上面21aに対向した状態で設けられている。ワークテーブル25は、定盤21から浮いた状態でガイドレール23a及びガイドレール23b上に載置されている。ワークテーブル25は、ワークWが載置される面である載置面25aを有している。載置面25aは、定盤21側とは反対側(上側)に向けられている。ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bによってY方向に沿って案内され、定盤21上をY方向に沿って往復移動可能に構成されている。
【0034】
ワークテーブル25は、図示しない移動機構及び動力源によって、Y方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、ワークテーブル25をY方向に沿って移動させるための動力源として、後述するワーク搬送モーターが採用されている。ワーク搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーボモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
ワーク搬送モーターからの動力は、移動機構を介してワークテーブル25に伝達される。これにより、ワークテーブル25は、ガイドレール23a及びガイドレール23bに沿って、すなわちY方向に沿って往復移動することができる。つまり、ワーク搬送装置3は、ワークテーブル25の載置面25aに載置されたワークWを、Y方向に沿って往復移動させることができる。
【0035】
ヘッドユニット13は、キャリッジ7を図2中のA視方向に見たときの正面図である図3に示すように、ヘッドプレート31と、吐出ヘッド33と、を有している。
吐出ヘッド33は、底面図である図4に示すように、ノズル面35を有している。ノズル面35には、複数のノズル37が形成されている。なお、図4では、ノズル37をわかりやすく示すため、ノズル37が誇張され、且つノズル37の個数が減じられている。
吐出ヘッド33において、複数のノズル37は、Y方向に沿って配列する4本のノズル列39を構成している。4本のノズル列39は、X方向に互いに隙間をあけた状態で並んでいる。各ノズル列39において、複数のノズル37は、Y方向に沿って所定のノズル間隔Pで形成されている。
以下において、4本のノズル列39のそれぞれが識別される場合に、ノズル列39a、ノズル列39b、ノズル列39c及びノズル列39dという表記が用いられる。
吐出ヘッド33において、ノズル列39aとノズル列39bとは、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。ノズル列39c及びノズル列39dも、互いにY方向にP/2の距離だけずれている。
【0036】
2個の照射装置15は、図3に示すように、それぞれ、X方向にヘッドユニット13を挟んで互いに対峙する位置に設けられている。以下において、2個の照射装置15のそれぞれを識別する場合に、照射装置15a及び照射装置15bという表記が用いられる。
照射装置15a及び照射装置15bは、それぞれ、紫外光41を発する光源43を有している。光源43からの紫外光41は、吐出ヘッド33から吐出された液状インクとしての機能液53の硬化を促進させる。機能液53は、紫外光41の照射を受けると、硬化が促進する。
光源43としては、例えば、LED、LD、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の種々の光源43が採用され得る。
なお、本実施形態では、光源43のY方向における長さは、吐出ヘッド33のノズル列39を網羅する長さに設定されている。
なお、照射装置15aの光源43と、照射装置15bの光源43とは、それぞれ、吐出ヘッド33のノズル面35がX方向に沿って描く軌跡に、平面視で重なっている。
【0037】
吐出ヘッド33は、図3中のB−B線における断面図である図5に示すように、ノズルプレート46と、キャビティープレート47と、振動板48と、複数の圧電素子49と、を有している。
ノズルプレート46は、ノズル面35を有している。複数のノズル37は、ノズルプレート46に設けられている。
キャビティープレート47は、ノズルプレート46のノズル面35とは反対側の面に設けられている。キャビティープレート47には、複数のキャビティー51が形成されている。各キャビティー51は、各ノズル37に対応して設けられており、対応する各ノズル37に連通している。各キャビティー51には、図示しないタンクから機能液53が供給される。
【0038】
振動板48は、キャビティープレート47のノズルプレート46側とは反対側の面に設けられている。振動板48は、Z方向に振動(縦振動)することによって、キャビティー51内の容積を拡大したり、縮小したりする。
複数の圧電素子49は、それぞれ、振動板48のキャビティープレート47側とは反対側の面に設けられている。各圧電素子49は、各キャビティー51に対応して設けられており、振動板48を挟んで各キャビティー51に対向している。各圧電素子49は、駆動信号に基づいて、伸長する。これにより、振動板48がキャビティー51内の容積を縮小させる。このとき、キャビティー51内の機能液53に圧力が付与される。その結果、ノズル37から、機能液53が液滴55として吐出される。吐出ヘッド33による液滴55の吐出法は、インクジェット法の1つである。インクジェット法は、塗布法の1つである。
【0039】
上記の構成を有する吐出ヘッド33は、図3に示すように、ノズル面35がヘッドプレート31から突出した状態で、ヘッドプレート31に支持されている。
キャリッジ7は、図3に示すように、ヘッドユニット13を支持している。ここで、ヘッドユニット13は、ノズル面35がZ方向の下方に向けられた状態でキャリッジ7に支持されている。
上記により、ワークWには、吐出ヘッド33から機能液53が塗布され得る。
なお、本実施形態では、縦振動型の圧電素子49が採用されているが、機能液53に圧力を付与するための加圧手段は、これに限定されず、例えば、下電極と圧電体層と上電極とを積層形成した撓み変形型の圧電素子も採用され得る。また、加圧手段としては、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなども採用され得る。さらに、発熱体を用いてノズル内に泡を発生させ、その泡によって機能液に圧力を付与する構成も採用され得る。
【0040】
本実施形態では、機能液53として、光の照射を受けることによって硬化が促進する機能液53が採用されている。本実施形態では、機能液53の硬化を促進させる光として紫外光41が採用されている。
機能液53は、樹脂材料、光重合開始剤及び溶媒を、成分として含んでいる。これらの成分に、顔料や染料等の色素や、親液性や撥液性等の表面改質材料などの機能性材料を添加することによって固有の機能を有する機能液53を生成することができる。顔料や染料等の色素を含有する機能液53は、例えば、ワークWに記録する画像を形成するための機能液53として採用され得る。以下において、ワークWに記録する画像を形成するための機能液53は、画像塗料と呼ばれる。
【0041】
また、機能液53の成分としての樹脂材料に、例えば、アクリル系の樹脂材料などの光透過性を有する樹脂材料を採用することによって、光透過性を有する機能液53を構成することができる。このような光透過性を有する機能液53は、例えば、クリアインクとしての用途が考えられる。以下において、光透過性を有する機能液53は、透光塗料と呼ばれる。
クリアインクの用途としては、例えば、画像を被覆するオーバーコート層としての用途や、画像を形成する前の下地層としての用途などが考えられる。以下において、下地層として適用される機能液53は、下地塗料と呼ばれる。
下地塗料としては、透光塗料だけでなく、透光塗料に種々の顔料を添加した機能液53を採用することもできる。例えば、白色を呈する機能液53や、金属的な光沢(メタリック)を示す機能液53なども、下地塗料として採用され得る。
【0042】
機能液53における樹脂材料は、樹脂膜を形成する材料である。このような樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによってポリマーとなる材料であれば特に限定されない。樹脂材料としては、粘性が小さいものが好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。さらに、樹脂材料としては、モノマーの形態であることが一層好ましい。
光重合開始剤は、ポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤である。光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが採用され得る。本実施形態では、光重合開始剤として、ラジカル型の光重合開始剤が採用されている。ラジカル型の光重合開始剤としては、例えば、チバ・ジャパン(株)社製のイルガキュア819などが採用され得る。
溶媒は、樹脂材料の粘度を調整するためのものである。
【0043】
キャリッジ搬送装置11は、図2に示すように、架台101と、ガイドレール103と、を有している。
架台101は、X方向に延在しており、ワーク搬送装置3をX方向にまたいでいる。架台101は、ワークテーブル25の定盤21側とは反対側で、ワーク搬送装置3に対向している。架台101は、一対の支柱107によって支持されている。一対の支柱107は、定盤21を挟んでX方向に互いに対峙する位置に設けられている。
なお、以下においては、一対の支柱107のそれぞれを識別する場合に、支柱107a及び支柱107bという表記が用いられる。支柱107a及び支柱107bは、それぞれ、ワークテーブル25よりもZ方向の上方に突出している。これにより、架台101とワークテーブル25との間には、隙間が保たれている。
【0044】
ガイドレール103は、架台101の定盤21側に設けられている。ガイドレール103は、X方向に沿って延在しており、架台101のX方向における幅にわたって設けられている。
前述したキャリッジ7は、ガイドレール103に支持されている。キャリッジ7がガイドレール103に支持された状態において、吐出ヘッド33のノズル面35は、Z方向においてワークテーブル25側に向いている。キャリッジ7は、ガイドレール103によってX方向に沿って案内され、X方向に往復動可能な状態でガイドレール103に支持されている。なお、平面視で、キャリッジ7がワークテーブル25に重なっている状態において、ノズル面35とワークテーブル25の載置面25aとは、互いに隙間を保った状態で対向する。
【0045】
キャリッジ7は、図示しない移動機構及び動力源によって、X方向に往復動可能に構成されている。移動機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などが採用され得る。また、本実施形態では、キャリッジ7をX方向に沿って移動させるための動力源として、図示しないキャリッジ搬送モーターが採用されている。キャリッジ搬送モーターとしては、ステッピングモーター、サーポモーター、リニアモーターなどの種々のモーターが採用され得る。
キャリッジ搬送モーターからの動力は、移動機構を介してキャリッジ7に伝達される。これにより、キャリッジ7は、ガイドレール103に沿って、すなわちX方向に沿って往復移動することができる。つまり、キャリッジ搬送装置11は、キャリッジ7に支持されたヘッドユニット13を、X方向に沿って往復移動させることができる。
上記の構成を有する液滴吐出装置1では、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を吐出させることによって、ワークWへのパターンの記録(描画)が行われる。
【0046】
液滴吐出装置1は、図6に示すように、上記の各構成の動作を制御する制御部111を有している。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)113と、駆動制御部115と、メモリー部117と、を有している。駆動制御部115及びメモリー部117は、バス119を介してCPU113に接続されている。
また、液滴吐出装置1は、キャリッジ搬送モーター121と、ワーク搬送モーター123と、入力装置129と、表示装置131と、を有している。
キャリッジ搬送モーター121及びワーク搬送モーター123は、それぞれ、入出力インターフェイス133とバス119とを介して制御部111に接続されている。また、入力装置129及び表示装置131も、それぞれ、入出力インターフェイス133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
【0047】
キャリッジ搬送モーター121は、キャリッジ7を駆動するための動力を発生させる。ワーク搬送モーター123は、ワークテーブル25を駆動するための動力を発生させる。
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。表示装置131は、加工条件や、作業状況を表示する装置である。液滴吐出装置1を操作するオペレーターは、表示装置131に表示される情報を確認しながら、入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
なお、吐出ヘッド33、照射装置15a及び照射装置15bも、それぞれ、入出力インターフェイス133とバス119とを介して制御部111に接続されている。
入力装置129は、各種の加工条件を入力する装置である。入力装置129を介して種々の情報を入力することができる。
【0048】
CPU113は、プロセッサーとして各種の演算処理をおこなう。駆動制御部115は、各構成の駆動を制御する。メモリー部117は、RAM(Random Access Memory)や、ROM(Read Only Memory)などを含んでいる。メモリー部117には、液滴吐出装置1における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト135を記憶する領域や、各種のデータを一時的に展開する領域であるデータ展開部137などが設定されている。データ展開部137に展開されるデータとしては、例えば、記録すべきパターンが示される記録データや、記録処理等のプログラムデータなどが挙げられる。
駆動制御部115は、モーター制御部141と、吐出制御部145と、照射制御部147と、表示制御部151と、を有している。
【0049】
モーター制御部141は、CPU113からの指令に基づいて、キャリッジ搬送モーター121の駆動と、ワーク搬送モーター123の駆動とを、個別に制御する。
吐出制御部145は、CPU113からの指令に基づいて、吐出ヘッド33の駆動を制御する。
照射制御部147は、CPU113からの指令に基づいて、照射装置15a及び照射装置15bのそれぞれにおける光源43の発光状態を個別に制御する。
表示制御部151は、CPU113からの指令に基づいて、表示装置131の駆動を制御する。
【0050】
〔車両用表示パネルの製造方法(印刷方法)〕
次に、液滴吐出装置1による車両用表示パネル200の製造方法における印刷方法の記録処理(描画)について図面を参照して説明する。
図7は、実施形態2に係る車両用表示パネルの印刷方法としての記録処理の流れを示すフローチャートである。また図8は、実施形態2に関る印刷データの生成フローを模式的に示すイメージ図である。また図9は、実施形態2に関るマスクを模式的に示すイメージ図である。また図10は、実施形態2に係る第1のマスク及び第2のマスクのイメージとその階調性を模式的に示すイメージ図である。また図11は実施形態2に係る第1のマスク及び第2のマスクの印刷特性の比較表である。
【0051】
図6に示す液滴吐出装置1では、制御部111が入力装置129から入出力インターフェイス133及びバス119を介して記録データを受け取ると、CPU113によって図7に示す記録処理が開始される。
図8は、色情報を持った画像データから記録データを生成するまでのフローのイメージを示している。画像データは図6に示すメモリー部117のデータ展開部137に入力される。そしてデータ展開部137において、各ノズル列単位で印刷すべき2値化されたビットマップデータへと変換され、次いで、そのデータは各走査で記録すべきデータへと分解され出力される。このデータはメモリー部117に格納される。
ここで、図9に示すように、例えば印字をおこなうノズルが160ノズルの場合、ノズルN1からノズルN80までのマスクパターン印字領域は図中右上側に示すような階調のついたマスクパターンとなっており、ノズルN1からノズルN80に向かうにつれて濃度が濃くなるランダムパターンとなっている。最初に、このマスクパターンを印字し、次いで、図中右下側に示すようなノズルN81からノズルN160までのマスクパターン補完部分印字領域のマスクパターンの印字を行う。マスクパターン補完部分印字領域のマスクパターンは、ノズルN1〜ノズルN80マスクパターンを反転させたものである。即ち、記録データはマスクパターン印字領域のマスクパターンと、マスクパターン補完部分印字領域のマスクパターンとが合わさったデータとなり、液滴55で形成すべきドットがビットマップ状に表現されている。
記録をおこなう際は、先にマスクパターンが印字され、次いで補完パターンが印字される。この時、補完パターンの印字と同時に次に印字すべき領域のマスクパターンが印字される。ワークWに記録されるパターンは、液滴55で形成される複数のドットの集合として表現される。ワークWへのパターンの記録は、吐出ヘッド33をワークWに対向させた状態で、吐出ヘッド33とワークWとを相対的に往復移動させながら、吐出ヘッド33から液滴55を所定周期で吐出させることによって行われる。
【0052】
記録処理では、CPU113は、まず、図7のステップS1において、キャリッジ搬送指令を図6に示すモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、図2に示すキャリッジ7を描画エリアの往路開始位置に移動させる。
ここで、液滴吐出装置1では、記録エリアが設定されている。記録エリアは、図2に示すワークテーブル25によってY方向に沿って描かれる軌跡と、吐出ヘッド33によってX方向に沿って描かれる軌跡とが重なり合う領域である。
そして、往路開始位置は、キャリッジ7を往復移動させるときの往路が開始する位置である。本実施形態では、往路開始位置は、平面視で、記録エリアの外側に位置している。本実施形態では、往路開始位置は、平面視で、記録エリアの支柱107a側に位置している。
次いで、図7のステップS2において、図6に示すCPU113は、ワーク搬送指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWを記録エリアに移動させる。
【0053】
次いで、図7のステップS3において、図6に示すCPU113は、キャリッジ走査指令をモーター制御部141に出力する。このとき、モーター制御部141は、キャリッジ搬送モーター121の駆動を制御して、図2に示すキャリッジ7の往復移動を開始させる。
ここで、キャリッジ7の往復移動では、キャリッジ7は、上述した往路開始位置と復路開始位置との間を往復移動する。つまり、往路開始位置から復路開始位置で折り返して往路開始位置に戻る経路がキャリッジ7の1往復である。このため、本実施形態では、往路開始位置から復路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の往路である。他方で、復路開始位置から往路開始位置に向かう経路がキャリッジ7の復路である。
なお、復路開始位置は、X方向に記録エリアを挟んで往路開始位置に対峙する位置である。復路開始位置は、平面視で、記録エリアの外側に位置している。このため、往路開始位置と復路開始位置とは、平面視で、記録エリアをX方向に挟んで互いに対峙している。本実施形態では、復路開始位置は、平面視で、記録エリアの支柱107b側に位置している。
【0054】
次いで、図7のステップS4において、図6に示すCPU113は、照射装置15aに対する照射指令を照射制御部147(図6)に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15aの光源43の駆動を制御して、照射装置15aの光源43を点灯させる。
次いで、図7のステップS5において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が往路における記録開始位置に到達したか否かを判定する。
ここで、記録開始位置は、記録エリア内で吐出ヘッド33から液滴55の吐出を開始させる位置である。
このとき、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達した(図7のステップS5においてYes)と判定されると、処理がステップS6に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達していない(ステップS5においてNo)と判定されると、図2の吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0055】
次いで、図7のステップS6において、図6に示すCPU113は、吐出指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2に示す吐出ヘッド33の駆動を制御して、記録データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、往路での記録が開始される。
次いで、図7のステップS7において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が往路における記録停止位置に到達したか否かを判定する。
ここで、記録停止位置は、記録エリア内で吐出ヘッド33から液滴55の吐出を停止させる位置である。
このとき、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達した(図7のステップS7でYes)と判定されると、処理がステップS8に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達していない(ステップS7でNo)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達するまで処理が待機される。
【0056】
次いで、図7のステップS8において、図6に示すCPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2の吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、往路での記録が終了する。
次いで、図7のステップS9において、図6に示すCPU113は、照射装置15aに対する照射停止指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15aの光源43の駆動を制御して、照射装置15aの光源43を消灯させる。
【0057】
次いで、図7のステップS10において、図6に示すCPU113は、キャリッジ7の位置が復路位置に到達したか否かを判定する。このとき、図2のキャリッジ7の位置が復路開始位置に到達した(図7のステップS10でYes)と判定されると、処理がステップS11に移行する。他方で、キャリッジ7の位置が往路開始位置に到達していない(ステップS10でNo)と判定されると、キャリッジ7の位置が復路開始位置に到達するまでの処理が待機される。
図7のステップS11では、図6に示すCPU113は、改行指令をモーター制御部141に出力する。このとき、改行指令を受けたモーター制御部141は、ワーク搬送モーター123の駆動を制御して、ワークWをY方向に移動(改行)させ、ワークWにおいてパターンを記録すべき新たな領域を記録エリアに移動させる。
【0058】
図7のステップS12は、図6に示すCPU113は、照射装置15bに対する照射指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15bの光源43の駆動を制御して、照射装置15bの光源43を点灯させる。
次いで、図7のステップS13において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が復路における記録開始位置に到達したか否かを判定する。このとき、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達した(図7のステップS13でYes)と判定されると、処理がステップS14に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達していない(ステップS13でNo)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が記録開始位置に到達するまで処理が待機される。
【0059】
次いで、図7のステップS14において、図6に示すCPU113は、吐出指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2の吐出ヘッド33の駆動を制御して、記録データに基づいて、各ノズル37から液滴55を吐出させる。これにより、復路での記録が開始される。
次いで、図7のステップS15において、図6に示すCPU113は、図2の吐出ヘッド33の位置が復路における記録停止位置に到達したか否かを判定する。
このとき、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達した(図7のステップS15でYes)と判定されると、処理がステップS16に移行する。他方で、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達していない(ステップS15でNo)と判定されると、吐出ヘッド33の位置が記録停止位置に到達するまで処理が待機される。
次いで、図7のステップS16において、図6に示すCPU113は、吐出停止指令を吐出制御部145に出力する。このとき、吐出制御部145は、図2の吐出ヘッド33の駆動を停止して、各ノズル37からの液滴55の吐出を停止させる。これにより、復路での記録が終了する。
次いで、図7のステップS17において、図6に示すCPU113は、照射装置15bに対する照射停止指令を照射制御部147に出力する。このとき、照射制御部147は、照射装置15bの光源43の駆動を制御して、照射装置15bの光源43を消灯させる。
次いで、図7のステップS18において、図6に示すCPU113は、記録データが終了したか否かを判定する。このとき、記録データが終了した(図7のステップS18でYes)と判定されると、処理が終了する。他方で、記録データが終了していない(ステップS18でNo)と判定されると、エラーとして出力され装置が停止する。
【0060】
以上、述べた図7のステップS1からステップS13までの第1の走査をさせながら第1の描画としての記録処理をおこなう一連の印刷ステップを第1印刷ステップとする。本実施形態の車両用表示パネル200の製造方法(印刷方法)は、前記第1印刷ステップと、第2の走査をさせながら第2の描画をおこなう第2印刷ステップとを含む。第2印刷ステップは、第1印刷ステップの第1のマスクが含む第1の階調とは異なる第2の階調を含んだ第2のマスクによって、第1印刷ステップと同様の記録処理(第2の描画)をおこなう。
【0061】
第1印刷ステップの第1のマスク、および、第2印刷ステップの第2のマスクについて、具体的に説明する。
第1印刷ステップでは、図10(a)に示す第1のマスクを用いて第1の描画をおこない、図1(b)に示すような第1印刷層230を形成する。第1のマスクは、マスク印字領域と補完領域が線形になっており、ノズルの中心を境に対称となるような第1の階調が設定されている。
これに対して、第2印刷ステップでは、図10(b)の第2のマスクを用いて第2の描画をおこない、図1(b)に示すような第2印刷層240を形成する。第2のマスクの第2の階調は、ノズルの中心までの階調の中に変曲点が存在するようになっており、ノズルの中心を境に非対称となるように階調が設定されている。
本願出願者は、第1のマスク及び第2のマスクが、図11に示すようなスジ・ムラに対する特性を有していることを見出した。即ち、図11は、第1のマスク及び第2のマスクそれぞれにより描画パターンを形成したときのスジやムラの発生の状態を比較して示す図である。図11中の「×」は、印刷物を30cm離れて観察を行ったときに印刷物の表面凹凸により人間の目にスジやムラとして認識されることを示し、「○」は、スジやムラが認識されないことを示している。第1のマスクを用いた第1印刷ステップでは、遮光された層など前記記録媒体へのインクの打ち込み量が多い部分ではムラが発生し、半透過層などの前記記録媒体へのインクの打ち込み量が少ない部分ではスジが発生する。第2印刷ステップでは、全ての層において第1印刷ステップで記録媒体としての基材250(図1を参照)上へ打ち込んだインク量より少なく設定される。これにより、第2印刷ステップでは使用する第2のマスクのインク打ち込み量が少ない場合の特性であるスジ・ムラのない膜を最上層に形成することができる。
従って、最終表面にスジやムラのない膜を形成することができ、高品質な印刷物を製造することができる。
【0062】
以上述べたように、本実施形態に係る車両用表示パネル200によれば、実施形態1での効果に加えて第1印刷ステップと第2印刷ステップを異なる階調のマスクで形成するため表面形状の凹凸で発生するムラやスジが低減され、高品質の車両用表示パネルを形成することができる。またインクジェット装置を用いて印刷物を形成するため、複数の前記印刷層のうち少なくとも一層内に複数の光学的特性の異なる領域を同時に印刷することが可能となる。これにより高い生産性を得ることができる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0064】
(変形例)
上記実施形態1では、第1印刷層230および第2印刷層240を基材250上の全領域に形成する構成において、各印刷層に厚みの異なる領域を意図的に形成した印刷物としての車両用表示パネル200、及びその製造方法(印刷方法)を説明したが、この構成に限定するものではない。
以下、本発明に係る印刷物の変形例について図面に沿って説明する。
図12は、本発明の印刷物の変形例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のC−Cの断面図である。
なお、本変形例において、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0065】
図12に示す印刷物300は、液状インクに対して非吸収性の記録媒体としての基材310上に、紫外線硬化性の液状インクを用いたインクジェット記録方式により任意の画像(図中、アルファベット文字)を形成したものを示している。即ち、非吸収性の基材310上には、遮光性、または半透過性の第1印刷層320により、任意の画像(アルファベット文字)が形成されている。
第1印刷層320が形成された基材310には、第1印刷層320の保護や意匠性付与のための透明な第2印刷層330が形成されている。本変形例では、画像を形成する第1印刷層320が厚めに形成され、第2印刷層330は第1印刷層320よりも薄く積層されている。
本変形例において、任意の画像は、基材310上の第1印刷層320が有る部分と無い部分とにより画像として視認される。即ち、基材310上の第1印刷層320および第2印刷層330が積層された部分が遮光層領域340を形成し、第2印刷層330のみの部分が半透過層領域を形成して任意の画像が視認される。さらに、本変形例の印刷物300は、基材310上および第1印刷層320上に積層された第2印刷層330により、耐久性および質感などの意匠性が付与された画像が形成された印刷物300として提供することができる。
【0066】
次に印刷物300の製造方法(印刷方法)について述べる。
まず、上記実施形態の第1印刷ステップと同様に、図10(a)に示す第1のマスクを用いて第1の描画をおこない、図12(b)に示すような第1印刷層320を形成する。
次いで、上記実施形態の第2印刷ステップと同様に、図10(b)に示す第2のマスクを用いて第2の描画をおこない、図12(b)に示すような第2印刷層330を形成する。
第1のマスクを用いた第1印刷ステップでは、第1印刷層320により画像の色を形成するために単位面積あたりのインク打ち込み量が多くなる部分ではムラが発生する。第2印刷ステップでは、第1印刷層320よりもインクの打ち込み量が少なく設定される。これにより、第2印刷ステップではスジ・ムラのない表面形状を形成することができる。
【0067】
本変形例の印刷物300のように、画像を形成する第1印刷層320上に、その第1印刷層320の保護や、印刷物300に意匠性を付与するような層(第2印刷層330)を形成する場合、インクジェット方式特有の液状インクのドットの重なり方により生じる第1印刷層320表面の凹凸によるスジやムラを、第2印刷ステップでスジやムラの発生しない表面凹凸の第2印刷層330を形成することにより、外観品質に優れ、機能性を有した印刷物300を製造することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…液滴吐出装置、3…ワーク搬送装置、7…キャリッジ、11…キャリッジ搬送装置、13…ヘッドユニット、15a,15b…照射装置、21…定盤、21a…上面、23a,23b…ガイドレール、25…ワークテーブル、25a…載置面、31…ヘッドプレート、33…吐出ヘッド、35…ノズル面、37,N1〜N3,N79〜N82,N158〜N160…ノズル、39,39a〜39d…ノズル列、41…紫外光、43…照射装置の光源、46…ノズルプレート、47…キャビティープレート、48…振動板、49…圧電素子、51…キャビティー、53…液状インクとしての機能液、55…液滴、101…架台、103…ガイドレール、107a,107b…支柱、111…制御部、113…CPU、115…駆動制御部、117…メモリー部、119…バス、121…キャリッジ搬送モーター、123…ワーク搬送モーター、129…入力装置、131…表示装置、133…入出力インターフェイス、135…プログラムソフト、137…データ展開部、141…モーター制御部、145…吐出制御部、147…照射制御部、151…表示制御部、160…ノズルN、200…印刷物としての車両用表示パネル、201〜204…仮想計器、210…遮光層領域、220…半透過層領域、230,320…第1印刷層、240,330…第2印刷層、250…基材、300…印刷物、310…非吸収性の基材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状インクを用いたインクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成する印刷方法であって、
インクジェットヘッドに第1の走査をさせながら第1の階調を含む第1のマスクによって前記記録媒体上に第1の描画をおこなう第1印刷ステップと、
前記インクジェットヘッドに第2の走査をさせながら前記第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって前記記録媒体上に第2の描画をおこなう第2印刷ステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法において、
前記第2印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量が、前記第1印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量よりも少ないことを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷方法において、
前記記録媒体には、前記液状インクに対して非吸収性の記録媒体が用いられ、
前記液状インクには、紫外線硬化性の液状インクが用いられていることを特徴とする印刷方法。
【請求項4】
記録媒体上に複数の印刷層が積層された印刷物であって、
複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに異なる光学的特性を有する二層の積層体により形成されていることを特徴とする印刷物。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷物において、
前記積層体が遮光性を有することを特徴とする印刷物。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷物において、
前記積層体の前記記録媒体側の層が、該記録媒体側の層上に積層された側の層よりも厚みが厚く形成されていることを特徴とする印刷物。
【請求項7】
請求項4または5に記載の印刷物において、
複数の前記印刷層のうち少なくとも一層内に複数の光学的特性の異なる領域を含むことを特徴とする印刷物。
【請求項1】
液状インクを用いたインクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成する印刷方法であって、
インクジェットヘッドに第1の走査をさせながら第1の階調を含む第1のマスクによって前記記録媒体上に第1の描画をおこなう第1印刷ステップと、
前記インクジェットヘッドに第2の走査をさせながら前記第1の階調とは異なる第2の階調を含む第2のマスクによって前記記録媒体上に第2の描画をおこなう第2印刷ステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法において、
前記第2印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量が、前記第1印刷ステップの前記液状インクの打ち込み量よりも少ないことを特徴とする印刷方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷方法において、
前記記録媒体には、前記液状インクに対して非吸収性の記録媒体が用いられ、
前記液状インクには、紫外線硬化性の液状インクが用いられていることを特徴とする印刷方法。
【請求項4】
記録媒体上に複数の印刷層が積層された印刷物であって、
複数の前記印刷層のうち少なくとも一層が、さらに異なる光学的特性を有する二層の積層体により形成されていることを特徴とする印刷物。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷物において、
前記積層体が遮光性を有することを特徴とする印刷物。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷物において、
前記積層体の前記記録媒体側の層が、該記録媒体側の層上に積層された側の層よりも厚みが厚く形成されていることを特徴とする印刷物。
【請求項7】
請求項4または5に記載の印刷物において、
複数の前記印刷層のうち少なくとも一層内に複数の光学的特性の異なる領域を含むことを特徴とする印刷物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−94734(P2013−94734A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240063(P2011−240063)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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