説明

印刷物、印刷物の真偽判別方法及び真偽判別プログラム

【課題】偽造、改ざん防止効果を向上させることを目的とした印刷物、及び簡易に印刷物の真偽を判別することが可能な真偽判別方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部が、インクジェットプリンタにより印刷された印刷物であって、前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタにより可視光下では不可視のインキを用いて印刷されることを特徴とする。また、前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタにより赤外波長域の光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域の光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷基材上に文字や図形等によって情報パターンが印刷された印刷物及び印刷物の真偽判別方法に関し、特に、当該印刷物の偽造防止を簡易に提供できる印刷物、印刷物の真偽判別方法及び真偽判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
番号、文字、図形、記号、番号、絵柄などで構成された情報パターンが印刷された抽選くじ、商品券、通行券、チケットその他の有価証券などの印刷物が知られている。
【0003】
従来、このような印刷物を複写機(コピー機)等で複写するなどの偽造に対する偽造防止対策として、くじ等の番号や絵柄を構成する情報パターンを“ホログラム”によって印刷する手法がある。
【0004】
ホログラムによる印刷は、特殊な設備が必要であり、さらに、高度かつ特殊な技術を必要とすることから、偽造が困難となり、安易な偽造を回避することができるという利点があるが、印刷物の製造や真偽の判別を行なう際にもまた特殊な設備や高度かつ特殊な技術が必要となる。
【0005】
また、昇華型プリンタやグラビア印刷機を用いて、印刷物が複写された複写物であるか否かを判別するための万線状パターンからなる判別パターンが形成されたカラー印刷物に関する技術が本願出願人により特許出願されている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、グラビア印刷機などを用いる場合、印刷物に印刷する判別パターン等を1枚ごとに変更させるためには、その都度印刷ユニットが必要になり、製造コストや製造工程が増加し、生産効率が低下してしまうといった問題がある。
【0007】
一方、印刷物に印刷するパターンを1枚ごとに容易に変更可能なインクジェットプリンタを用いた偽造防止方法に関する技術も開示されている(特許文献2)。
【0008】
例えば、特許文献2には、“透かし”に近似した“透かし様模様”を透明なインクで印刷物に形成し、“透かし”と同様の偽造防止効果を有する偽造防止用印刷記録用紙に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−216976号公報
【特許文献2】特開2007−196598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2に記載の偽造防止用印刷記録用紙は、偽造物の抑制には効果的であるが、印刷物が、オリジナルか、偽造された物(偽造物)かの判別を行なうことはできない。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、偽造、改ざん防止効果を向上させることを目的とした印刷物、及び簡易に印刷物の真偽を判別することが可能な真偽判別方法等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の印刷物は、被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部が、インクジェットプリンタにより印刷された印刷物であって、前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタにより可視光下では不可視のインキを用いて印刷されることを特徴とする印刷物である。
【0012】
この発明によれば、真偽判別パターン部と背景部を可視光下では不可視のインキを用いて印刷するので、印刷物を一見しただけでは、どのような偽造防止対策が施されているのか、その手法が気づかれにくく、セキュリティ性の高い印刷物を実現できる。また、インクジェットプリンタを用いて、情報パターン部40a、判別パターン部10a及び背景部20bを印刷することができるので、比較的製造が容易な印刷物を提供することができる。
【0013】
さらに、インクジェットプリンタにより真偽判別パターン部と背景部を印刷することにより、万線の角度、万線の幅、万線のピッチ等を印刷物毎に容易に変更可能とすることができる。
【0014】
上記課題を解決すべく、請求項2に記載の印刷物は、前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタにより赤外波長域の光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域の光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷されることを特徴とする請求項1に記載の印刷物である。
【0015】
この発明によれば、真偽判別パターン部と背景部を比較的安価な赤外可視物質又は紫外可視物質を含むインキを用いて印刷するので、比較的安価に偽造、改ざん防止効果を向上させた印刷物を実現することができる。また、印刷物の提供会社の者など、印刷物の真偽判別を行なう者は、赤外波長域又は紫外波長域の光の下で真偽判別パターン部と背景部の万線状パターンを確認することで、印刷物に施された偽造防止策を察知することができる。
【0016】
上記課題を解決すべく、請求項3に記載の印刷物は、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する判別具によってモアレパターンを生じることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷物である。
【0017】
この発明によれば、判別具によって生じたモアレパターンにより明らかとなった真偽判別パターン部を観察することにより容易に真偽判別を行なうことができる印刷物を提供することができる。
【0018】
上記課題を解決すべく、請求項4に記載の印刷物は、前記情報パターン部は、前記インクジェットプリンタに具備された一のプリンタヘッドにより印刷され、前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタに具備された他のプリンタヘッドにより印刷されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の印刷物である。
【0019】
この発明によれば、1台のインクジェットプリンタを用いて、より容易に印刷物を製造することができる。
【0020】
上記課題を解決すべく、請求項5に記載の印刷物の真偽判別方法は、被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部と、がインクジェットプリンタにより印刷された印刷物の真偽判別方法において、前記真偽判別パターン部と前記背景部が、赤外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷された前記印刷物に、赤外波長域又は紫外波長域を有する照明光を照射しながら、前記印刷物に前記真偽判別パターン部の万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する判別具を重ね合わせた際に生じるモアレパターンに基づいて、前記印刷物の真偽を判別する判別工程を有することを特徴とする印刷物の真偽判別方法である。
【0021】
上記課題を解決すべく、請求項6に記載の印刷物の真偽判別方法は、前記判別工程は、複数の前記真偽判別パターン部と、複数の前記情報パターン部の組み合わせ情報を予め記憶した記憶手段を参照して、前記モアレパターンにより明らかとなった前記真偽判別パターン部と前記情報パターン部の組み合わせにより、前記印刷物の真偽を判別することを特徴とする請求項5に記載の印刷物の真偽判別方法である。
【0022】
この発明によれば、モアレパターンにより明らかとなった真偽判別パターン部と情報パターン部の組み合わせが、記憶手段に記憶されている組み合わせ情報と照合し、記憶されている組み合わせ情報と適合しない場合には、印刷物は偽造されたものである等の真偽判別を行なうことが容易にできる。
【0023】
上記課題を解決すべく、請求項7に記載の真偽判別プログラムは、被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部と、がインクジェットプリンタにより印刷された印刷物の真偽を判別する真偽判別プログラムにおいて、コンピュータが、前記真偽判別パターン部と前記背景部が、赤外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷された前記印刷物に、赤外波長域又は紫外波長域を有する照明光を照射しながら、前記印刷物に前記真偽判別パターン部の万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する判別具を介して前記印刷物を撮像した画像データを取得する手段及び、前記複数の前記真偽判別パターン部と、複数の前記情報パターン部の組み合わせ情報を予め記憶した記憶手段を参照して、前記画像データに基づいて、前記印刷物の真偽を判別する判別手段として機能することを特徴とする真偽判別プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、セキュリティ性の高い偽造防止策を施した印刷物、及び簡易に印刷物の真偽を判別することが可能な真偽判別方法等を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の印刷物及び印刷物の真偽判別方法等について、図面を参照して説明する。
【0026】
<1.印刷物の製作>
初めに、図1及び図2を用いて本発明の印刷物について説明する。
【0027】
先ず、本発明の真偽判別パターン部の一例である判別パターン部と背景部を印刷するための画像を作成する工程を説明する。
【0028】
図1(a)は、判別パターン画像10の説明図である。
【0029】
判別パターン画像10は、判別パターン部10aを有する。この判別パターン部10aには、水平方向に対して45度の角度の万線状パターンが形成されている。
【0030】
なお、同図では判別パターン部10aを“A”形状としたが、万線状パターンが形成できる(描ける)程度の領域があればどのような形状であってもよい。
【0031】
図1(b)は、背景画像20の説明図である。
【0032】
背景画像20は、判別パターン10aと同じ形状の抜き取り部20aを有する。
【0033】
そして、この抜き取り部20a以外の箇所である背景部20bには、判別パターン10aの万線状パターンとは異なる角度の万線状パターンが形成されている。
【0034】
図1(b)に示す例では、水平方向に対して135度の角度の万線状パターンが、判別パターン10aの万線状パターンと同じピッチ、同じ面積率で形成されている。
【0035】
なお、背景部20bの万線状パターンは、判別パターン10aの万線状パターンと面積率が等しければ、判別パターン10aとは異なるピッチの万線状パターンであってもよい。また、両者の角度が異なれば、どのような組み合わせを用いてもよい。
【0036】
図1(c)は、合成画像30の説明図である。
【0037】
合成画像30は、判別パターン画像10と背景画像20を合成処理により合成して作成されたものである。具体的には、同図に示す如く、判別パターン10aが、抜き取り部20aに嵌まりこむような画像が作成される。
【0038】
当該合成画像30が、被印刷基材に印刷されることとなる。
【0039】
図2は、本発明の印刷物の正面図である。
【0040】
具体的には、上述した工程で作成された合成画像30と、所望の情報パターンが印刷された印刷物40の正面図であり、かかる印刷工程は、複数のプリンタヘッドを具備するインクジェットプリンタにより行なわれる。
【0041】
合成画像30は、可視光下では不可視のインキが充填されたプリンタヘッドにより印刷され、具体的には、赤外波長域の光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域の光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷される。
【0042】
文字、図形、記号、番号、絵柄等により構成される情報パターンは、可視光下で視認することができるインキが充填されたプリンタヘッドにより印刷される。当該インキは、例えば、バインダー樹脂及び着色剤等を分散・混合させたインキである。このインキの溶媒としては情報パターンの形成に応じたものを使用すればよく、また、バインダー樹脂、着色剤、インキの溶媒等の混合割合も特に限定されず、情報パターンを適切に印刷できる混合割合とすればよい。情報パターン用のインキには、これらの基本的な構成に加えて、他の添加物を添加することができる。また、上述のインキ以外であっても、インクジェットプリンタにて情報パターンを適切に印刷できるインキであればよい。
【0043】
このように紙やフィルム等の被印刷基材に合成画像30及び情報パターンを印刷することにより、印刷物40が製作される。
【0044】
図2(a)に示す例では、文字“A”からなる情報パターン部40a、判別パターン部10a及び背景部20bが印刷された印刷物40が製作される。
【0045】
なお、上述したように判別パターン部10aと背景部20bは、可視光下では視認することができないインキで印刷されるため、印刷物40は、可視光の下では、図2(b)に示すように情報パターン部40aのみ視認されることとなる。
【0046】
なお、図1(a)、(c)及び図2(a)では、判別パターン部10aの形状を明確に示すため、“A”形状の外周を縁取りして図示したが、判別パターン部10aは万線状パターンのみで形成すればよく、図示したような縁取りは不要である。以下に説明に用いる図においても同様である。
【0047】
<2.印刷物の真偽判別方法>
次いで、図3乃至図8を用いて本発明の印刷物の真偽判別方法について説明する。
【0048】
上述した工程で作成された印刷物40は、赤外波長域又は紫外波長域の光を照射することにより、判別パターン10aと背景部20bを視認することができる。
【0049】
図3は、光源Rの下で視認される印刷物40の様子を示す説明図である。
【0050】
光源Rは、赤外波長域又は紫外波長域の光を印刷物40に照射するものである。
【0051】
印刷物40は、光源Rで照射されることにより、万線状パターンで形成された判別パターン部10aと背景部20bを視認することができる。
【0052】
しかし、光源Rを照射しても、いわば、判別パターン部10aと背景部20bによる万線状パターンが確認できるに留まり、判別パターン部10aの形状を肉眼で明確に視認することは難しい。しかし、光源Rによる照射により、印刷物40の判別パターン部10aと背景部20bによる万線状パターンが確認できる。そのため、印刷物40の提供会社の者など、印刷物40の真偽判別を行なう者は、この時点で、視認できた万線状パターンの中に、真偽判別のための判別パターン部10aが存在すること(隠しこまれていること)を察知することができるとも言える。
【0053】
続いて、判別具を用いて、隠しこまれた判別パターン10aを明確に視認する手順について説明する。
【0054】
図4は印刷物40に判別具50を被せて観察する様子を示す説明図である。
【0055】
判別具50は、判別パターン部10aの万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する。例えば、判別パターン部10aの万線状パターンと同じピッチ、同じ面積率の万線状パターンを形成すればよい。なお、判別具50を介して印刷物40を観察した際に判別パターン部10aを確認することができれば、判別具50の万線状パターンを、判別パターン部10aの万線状パターンのみならず、背景部20bの万線状パターンとも干渉するような万線状パターンで構成してもよい。
【0056】
図4(a)に示すように、印刷物40の真偽判別を行なう者が、光源Rの下、判別具50を印刷物40に被せて判別具50側から観察する。
【0057】
印刷物40は、図4(b)に図示するように、判別パターン部10aと背景部20bが(少なくとも判別パターン部10aが)、判別具50と干渉してモアレパターンを生じ、判別パターン部10aがはっきりと明確に視認することができるようになる。
【0058】
印刷物40の真偽判別を行なう者は、光源Rの下で、判別パターン部10aと背景部20bによる万線状パターンを確認できなければ、当該印刷物40は複写された偽造物であると判別でき、或いは、光源Rの下で、判別パターン部10aと背景部20bによる万線状パターンを確認した場合であっても、判別具50を介して、モアレパターンによって判別パターン部10aを確認できなければ、当該印刷物40は複写された偽造物であると判別することができる。
【0059】
さらに、情報パターン部40aと判別パターン部10aが予め定められた組み合わせであるか否かに基づいて、その真偽を判別するよう構成してもよい。
【0060】
例えば、文字“B”からなる情報パターン部40aには、“B”形状の判別パターン部10a、という組み合わせが予め定められている場合に、図5に示す印刷物40は、予め定められた組み合わせとは異なる、文字“B”からなる情報パターン部40aと“B”形状の判別パターン部10aが印刷されているため、偽造物であると判別できる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態による印刷物によれば、判別パターン部10aと背景部20bを可視光下では不可視のインキを用いて印刷するので、可視光の下で印刷物を一見しただけでは、どのような偽造防止対策が施されているのか、その手法が気づかれにくく、セキュリティ性の高い印刷物を実現できる。
【0062】
また、インクジェットプリンタを用いて、情報パターン部40a、判別パターン部10a及び背景部20bを印刷することができるので、比較的容易に印刷物40を製造することができる。
【0063】
さらに、インクジェットプリンタにより、判別パターン部10a及び背景部20bを含む合成画像30を印刷するため、判別パターン部10a及び背景部20bの万線状パターンについて、かかる万線の角度、万線の幅、万線のピッチ等を印刷物40毎に容易に変更可能とすることができる。
【0064】
さらに、判別パターン部10a及び背景部20bを印刷するインキは、比較的安価な赤外可視物質又は紫外可視物質を含むインキを用いることができるので、比較的安価に印刷物40を製造することができる。
【0065】
そして、本実施形態による印刷物の真偽判別方法によれば、上述した本実施形態による印刷物40に対して赤外波長域又は紫外波長域の光を照射し、判別具50を介して観察することにより、情報パターン部40aの情報パターンと、判別パターン部10aの判別パターンに基づいて、容易に印刷物40の真偽を判別することが出来る。
【0066】
また、情報パターン部40aの情報パターンと、判別パターン部10aの判別パターンが、予め定められた組み合わせであるか否かに基づいてその真偽を判別することにより、より厳密に偽造を防止することができる。
【0067】
なお、情報パターン部40aの情報パターンと、判別パターン部10aの判別パターンの組み合わせを図6に示すように複数定めておくことにより、様々な文字、絵柄等の情報パターンに対応することができる。
【0068】
図6に示す組み合わせ情報では、情報パターン部40aの「★」「$」「車の絵」「+」の4つの情報パターンと、判別パターン部10aの判別パターン“A”“B”“C”“D”が夫々対応付けられている
例えば、印刷物40の情報パターン部40aが「★」である場合に、判別パターン部10aが“A”であれば、図6の組み合わせ情報を参照して、当該印刷物40は真であると判別することができる。
【0069】
また、印刷物40の情報パターン部40aが「$」である場合に、判別パターン部10aが“D”であれば、図6の組み合わせ情報を参照して、当該印刷物40は偽(偽造物)であると判別することができる。
【0070】
<3.コンピュータによる印刷物の真偽判別方法>
続いて、コンピュータによる印刷物の真偽判別方法について説明する。
【0071】
カメラにより撮影(取得)された印刷物40の画像データにおける情報パターン部40aと判別パターン部10aを、予め定められた組み合わせ情報と照合し、真偽判別装置が真偽を判別する。
【0072】
図7は、真偽判別システムSの構成概要図であり、真偽判別システムSは、カメラC、真偽判別の対象となる印刷物40、判別具50、光源R、カメラC及びコンピュータの一例としての真偽判別装置1を備えて構成される。真偽判別装置1とカメラCとは各種ケーブルを介して接続されている。なお、カメラCがケーブルを介して接続された図示しない他のコンピュータを経由して、該他のコンピュータと真偽判別装置1とがLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続されるよう構成してもよい。
【0073】
カメラCは、印刷物40を撮影するためのものである。カメラCが、光源Rを照射しつつ、判別具50を介して印刷物40を撮影し、撮影した印刷物40の画像データが真偽判別装置1へと取り込まれる。
【0074】
真偽判別装置1のハードディスク等(記憶手段)の所定領域には、判別パターン部10aの判別パターンの組み合わせ情報が記憶されている。ここでは、図6に示した組み合わせ情報が記憶されているものとする。
【0075】
真偽判別装置1内の制御部(図示せず)は、RAM等の所定領域に記憶した真偽判別プログラムに基づいて、カメラCから取得した印刷物40の画像データを、ハードディスク等(記憶手段)の所定領域に記憶されている組み合わせ情報と照合して、印刷物40の真偽を判別する
図8は、印刷物40の画像データの説明図である。
【0076】
図8(A)は、情報パターン部40aが「★」であり、判別パターン部10aが“A”である場合の例であり、制御部は、所定領域に記憶されている組み合わせ情報(図6参照)と照合して、当該印刷物40は真であると判別する。
【0077】
図8(B)は、情報パターン部40aが「$」であり、判別パターン部10aが“B”である場合の例であり、制御部は、所定領域に記憶されている組み合わせ情報(図6参照)と照合して、当該印刷物40は真であると判別する。
【0078】
図8(C)は、情報パターン部40aが「$」であり、判別パターン部10aが“A”である場合の例であり、制御部は、所定領域に記憶されている組み合わせ情報(図6参照)と照合して、当該印刷物40は偽であると判別する。
【0079】
制御部は、判別した結果を、真偽判別装置1に具備した表示部(図示せず)のディスプレイに表示するよう構成してもよい。判別結果の表示は、「真」「偽」などの真偽情報の他、判別結果が偽である場合に、「偽造品です!」などの注意・警告情報を表示するよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】(a)は判別パターン画像10の説明図である。(b)は背景画像20の説明図である。(c)は合成画像30の説明図である。
【図2】本発明の印刷物の正面図である。
【図3】光源Rの下で視認される印刷物40の様子を示す図である。
【図4】印刷物40に判別具50を被せて観察する様子を示す説明図である。
【図5】印刷物40の一例である。
【図6】組み合わせ情報の一例である。
【図7】真偽判別システムSの構成概要図である。
【図8】印刷物40の画像データの説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1 真偽判別装置
10 判別パターン画像
20 背景画像
30 合成画像
40 印刷物
10a 判別パターン部
20a 抜き取り部
20b 背景部
40a 情報パターン部
50 判別具
R 光源
C カメラ
S 真偽判別システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部が、インクジェットプリンタにより印刷された印刷物であって、
前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタにより可視光下では不可視のインキを用いて印刷されることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタにより赤外波長域の光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域の光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷されることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記真偽判別パターン部の万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する判別具によってモアレパターンを生じることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷物。
【請求項4】
前記情報パターン部は、前記インクジェットプリンタに具備された一のプリンタヘッドにより印刷され、
前記真偽判別パターン部と前記背景部は、前記インクジェットプリンタに具備された他のプリンタヘッドにより印刷されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の印刷物。
【請求項5】
被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部と、がインクジェットプリンタにより印刷された印刷物の真偽判別方法において、
前記真偽判別パターン部と前記背景部が、赤外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷された前記印刷物に、赤外波長域又は紫外波長域を有する照明光を照射しながら、前記印刷物に前記真偽判別パターン部の万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する判別具を重ね合わせた際に生じるモアレパターンに基づいて、前記印刷物の真偽を判別する判別工程を有することを特徴とする印刷物の真偽判別方法。
【請求項6】
前記判別工程は、複数の前記真偽判別パターン部と、複数の前記情報パターン部の組み合わせ情報を予め記憶した記憶手段を参照して、前記モアレパターンにより明らかとなった前記真偽判別パターン部と前記情報パターン部の組み合わせにより、前記印刷物の真偽を判別することを特徴とする請求項5に記載の印刷物の真偽判別方法。
【請求項7】
被印刷基材上に、文字、図形、記号、番号、絵柄等の情報パターン部と、万線状パターンで形成される真偽判別パターン部と、前記真偽判別パターン部の万線状パターンと異なる角度の万線状パターンで形成される背景部と、がインクジェットプリンタにより印刷された印刷物の真偽を判別する真偽判別プログラムにおいて、
コンピュータが、
前記真偽判別パターン部と前記背景部が、赤外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な赤外可視物質、又は紫外波長域を有する照明光の下でのみ視認可能な紫外可視物質を含むインキを用いて印刷された前記印刷物に、赤外波長域又は紫外波長域を有する照明光を照射しながら、前記印刷物に前記真偽判別パターン部の万線状パターンと干渉するピッチの万線状パターンを有する判別具を介して前記印刷物を撮像した画像データを取得する手段及び、
前記複数の前記真偽判別パターン部と、複数の前記情報パターン部の組み合わせ情報を予め記憶した記憶手段を参照して、前記画像データに基づいて、前記印刷物の真偽を判別する判別手段として機能することを特徴とする真偽判別プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−110943(P2010−110943A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284071(P2008−284071)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】