説明

印刷物付加サービスシステム、その制御方法、およびプログラム

【課題】印刷物を読むのを支援し、該印刷物の内容を提示する印刷物付加サービスシステ
ムを提供する。
【解決手段】 印刷物20の販売時点で、販売者側サービス端末11により印刷物20に
添付されたRFID21に記録された印刷物識別コードを読み取り、サービス取得に必要
な資格認証用のユーザIDを発行する。サービス提供者側管理装置12では、クライアン
ト端末22からのサービス要求をサービス要求取得手段17で受信し、ユーザ認証手段1
8でサービス要求が有効かどうか判定し、有効と判定された場合に記憶手段16に保存さ
れた印刷物20に係る内容データを内容データ送信手段19で送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物の内容データを購入者に提供するための印刷物付加サービスシステム
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、書籍等の印刷物を読むためには、出版者が印刷・製本したものを書店等の販売者
から購入する必要があった。通常の印刷物については、出版者は通常の読者が苦痛なく読
み取れる程度の大きさの文字で印刷物を作成するのが一般的である。また、印刷物のペー
ジ数が膨大にならないようにするためにも、文字の大きさをある程度制限する必要があっ
た。
【0003】
また近年では、電子機器の発展に伴って例えば電子ブックが既に実用化されており、印
刷物によらない書物等が販売されている(特許文献1)。しかしながら、販売されている
書籍類は極めて少なく、また電子ブックの画面が読みづらいといった問題もあって、広く
普及するには至っていない。
【0004】
一方、印刷物の購入と同時に該印刷物に掲載された内容に関連する情報を、ネットワー
クを介して提供するようにしたシステムに係る技術についても開示されている。例えば、
特許文献2では、出版物に掲載された駅またはインターチェンジの周辺に係る情報を提供
するシステムについて記載されており、該システムにおける周辺情報提供方法に係る技術
が開示されている。
【特許文献1】特開2004−233603号公報
【特許文献2】特開2004−182087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来の印刷物では紙面の大きさやページ数の制約等から、文字の大きさ
をあまり大きくすることはできなかった。これは、媒体として特許文献1に記載の電子ブ
ックを用いる場合でも同様であって、やはり文字の大きさを制限して一画面あたりの文字
数を増やして表示するようにしている。
【0006】
しかしながら、年齢が高くなるにつれて視力の低下が進むため、中高齢者にとって印刷
物を読むのに困難を感じているのが一般的である。特許文献2には、印刷物の購入者に情
報提供を行うシステムが開示されているものの、これらのシステムは印刷物の内容に関連
する情報を提供するものであって、印刷物を読むのを支援することはできず、また印刷物
そのものの内容を提示するものでもない。
【0007】
そこで、本発明はこれらの問題を解決するためになされたものであり、購読者の要求や
好みにあわせて、印刷物の内容を多角的に楽しむことができるように購読者を支援するこ
とのできる印刷物付加サービスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の印刷物付加サービスシステムの第1の態様は、印刷物の購入者に対して、当
該印刷物に係る所定のサービスを、通信回線を介して提供する印刷物付加サービスシステ
ムであって、前記印刷物の販売時点で、当該印刷物に添付され当該印刷物の識別情報を示
す印刷物識別コードを読み取り、印刷物識別情報を取得する印刷物識別情報取得手段と、
前記印刷物の販売時点で、前記購入者にサービスを提供するために付与される資格認証用
のユーザIDを発行するユーザID発行手段と、前記印刷物識別コード、ユーザIDを含
むユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と、前記印刷物に記録されている印刷内容を
前記印刷物とは異なる態様で表した内容データを、前記印刷物識別コードと対応させて、
送信可能に保存する記憶手段と、ユーザのクライアント端末からのサービス要求を受信す
るサービス要求取得手段と、取得されたサービス要求が、有効かどうか判定するユーザ認
証手段と、有効と判定された場合、前記サービス要求で指定された前記内容データを前記
ユーザのクライアント端末に送信する内容データ送信手段と、を備えることを特徴とする

【0009】
印刷物は、小説などの文学書の他、専門書や子供向けの絵本などであってよい。さらに
は、学術論文などの特定分野で利用される印刷物であってもよい。内容データは、これら
印刷物に記載されている印刷内容を別の態様に変換したデータである。例えば、印刷内容
を音声データ又は映像データ等に変換したものを内容データとすることも可能である。ま
た、いわゆるコンテンツデータでもよい。印刷物の購入者は、ユーザIDを取得すること
により、印刷物を直接読む代わりに、このような内容データを取得して、より快適に前記
印刷物の内容を知ることができるようになる。
【0010】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記印刷物付加サービスシステム
が、販売者側サービス端末と、サービス提供者側管理装置を有し、前記印刷物識別情報取
得手段及び、ユーザID発行手段が、当該販売者側サービス端末に含まれることを特徴と
する。印刷物識別情報取得手段及びユーザID発行手段を販売者側サービス端末に持たせ
ることにより、購入者に対してサービス提供を速やかに開始することが可能となる。
【0011】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記印刷物識別コードが、バーコ
ードであり、印刷物識別情報取得手段が、バーコードリーダを有することを特徴とする。
印刷物識別コードとしてバーコードを用いることにより、バーコードリーダで印刷物識別
情報を容易に取得することが可能となる。
【0012】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記印刷物識別コードが、RFI
Dに格納され、印刷物識別情報取得手段が、RFIDリーダを有することを特徴とする。
印刷物識別コードをRFIDに格納させるようにした場合には、RFIDリーダを用いて
印刷物識別情報を容易に取得することが可能となる。
【0013】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記ユーザ情報を前記RFIDに
書き込むRFIDライターを有するユーザ情報書き込み手段を前記販売者側サービス端末
に備えたことを特徴とする。RFIDを用いた場合には、印刷物識別コードを格納できる
だけでなく、ユーザ情報を書き込んで販売履歴を管理させるようにすることも可能となる

【0014】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記内容データが、少なくとも前
記印刷物の内容の音声データを含むことを特徴とする。印刷物の記載文字が小さくて読み
づらい場合には、印刷物を読み上げた音声データを出版者側サービス管理装置から取得し
て聴くことが可能となる。
【0015】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記内容データが、少なくとも前
記印刷物の内容を映像化した映像データを含むことを特徴とする。印刷物が例えば小説の
場合、該小説を映画化した映像データを前記映像データとして、サービス提供者側管理装
置に保存しておき、購入者の要求に応じて提供できるようにしている。
【0016】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記内容データが、少なくとも前
記印刷物の内容を拡大した文字で印刷可能な拡大文字印刷データを含むことを特徴とする
。この態様によると、印刷物の購入者は、購入した印刷物に印刷されている文字をさらに
拡大した拡大文字印刷データを出版者側サービス管理装置から取得することができる。こ
れにより、拡大文字印刷データを印刷すること、または画面上に表示することが可能とな
り、小さい文字を読み取ることが困難な購入者であっても、購入した印刷物の読み取りが
容易となる。
【0017】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記拡大文字印刷データが、前記
印刷物の前記サービス要求で指定された位置に記載されている文字を所定の倍率で拡大し
て印刷するためのデータであることを特徴とする。この態様では、例えば、脚注などのよ
うに、特に小さな文字で印刷されている部分だけを、所定の倍率の拡大文字で印刷された
ものが提供される。これにより、印刷物のすべてを楽に読むことができるようになる。
【0018】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記サービス提供者側管理装置が
、サービス要求のあった前記サービス認証用のユーザIDと前記印刷物識別情報とを対応
付けて利用履歴を保存し、同一ユーザIDに対して重複したサービスの提供を防止可能に
構成したことを特徴とする。
【0019】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記ユーザ情報が、少なくとも前
記印刷物識別コード、ユーザID、およびパスワードを含むことを特徴とする。印刷物識
別コード毎に対応づけてユーザID、およびパスワードで管理することにより、ユーザ管
理を確実に行うことが可能となる。
【0020】
本発明の印刷物付加サービスシステムの他の態様は、前記内容データの一部または全部
が課金サービスデータであって、前記課金サービスデータの取得に必要な料金支払い情報
が前記サービス提供者側管理装置に記憶され、前記料金支払い情報に基づいて前記課金サ
ービスデータの提供可否が判定されることを特徴とする。これによって、内容データを有
償で提供するシステムを容易に実現できる。
【0021】
本発明の印刷物付加サービスシステムの制御方法の第1の態様は、印刷物の購入者に当
該印刷物に係る所定のサービスを、通信回線を介して提供する印刷物付加サービスシステ
ムにおいて、(a)前記印刷物の販売時点で、当該印刷物に添付され当該印刷物の識別デ
ータを示す商品識別コードを読み取り印刷物識別コードを取得するステップと、 (b)
前記印刷物の販売時点で、前記購入者にサービスを提供するために付与される資格認証用
のユーザIDを発行するステップと、(c)前記印刷物識別コード、ユーザIDを含むユ
ーザ情報を取得するステップと、(d)ユーザのクライアント端末からのサービス要求を
受信するステップと、(e)取得されたサービス要求が、有効かどうか判定するユーザ認
証ステップと、(f)有効と判定された場合、前記印刷物の印刷内容を該印刷物とは異な
る態様で表わした内容データを、前記ユーザのクライアント端末に送信するステップと、
を有することを特徴とする。
【0022】
本発明の印刷物付加サービスシステムの制御方法の他の態様は、前記ステップ(f)が
、複数種類の前記内容データの中から、前記サービス要求により指定された前記内容デー
タを選択して、前記ユーザのクライアント端末に送信することを特徴とする
【0023】
本発明の印刷物付加サービスシステムの制御方法のプログラムの第1の態様は、上述の
印刷物付加サービスシステムの制御方法のいずれか1つにおける各ステップを、コンピュ
ータに実行させることを特徴とする。
このような構成であれば、コンピュータによってこのプログラムが読み取り実行すること
により、上述した本発明の態様にかかる印刷物付加サービスシステムと同等の作用及び効
果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の印刷物付加サービスシステムによれば、音声データの提
示や動画や映像のストリーム配信のサービス(映像データ配信サービス)を利用すること
によって、印刷物の購入者は印刷物の内容を、自分の好みにあわせて多角的に楽しむこと
が可能となるだけでなく、文字を読むことができない購入者であっても該印刷物の内容を
容易に知ることができる。また、拡大文字印刷のサービスを利用することによって、視力
低下等により印刷物の読み取り能力が低い場合であっても、印刷物を困難なく読むことも
できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における印刷物付加サービスシステムの構
成について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明
簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷物付加サービスシステムの構成を示すブロック
図である。本実施形態の印刷物付加サービスシステム10は、印刷物20を販売する販売
者側サービス端末11と、サービス提供者側管理装置(サーバ)12とから構成されてい
る。とから構成されている。
【0027】
販売者側サービス端末11は、印刷物20の販売時点で、印刷物20に添付されたRF
ID(Radio Frequency Identification)21のような媒体に記録された印刷物識別コー
ドを読み取り印刷物識別情報を取得する印刷物識別情取得手段13と、印刷物20に係る
内容データを購入者が取得するのに必要な資格認証用のユーザIDを発行するユーザID
発行手段14とを備えている。印刷物識別コードは、RFID21ではなく、バーコード
または2次元コード等の符号として印刷されてもよいが、機械読み取り可能な媒体に記録
(記憶)または印刷されていることが好ましい。尚、本実施形態では、RFID21を使
用する場合を用いて説明する。
【0028】
サービス提供者側管理装置12は、印刷物識別コード、ユーザIDを含むユーザ情報を
取得するユーザ情報取得手段15と、各種音声データを印刷物識別コードと対応させて保
存する記憶手段16と、ユーザのクライアント端末22からのサービス要求を受信するサ
ービス要求取得手段17と、取得されたサービス要求が有効かどうか判定するユーザ認証
手段18と、有効と判定された場合、サービス要求で指定された音声データをクライアン
ト端末22に送信する音声データ送信手段19とを備えている。
【0029】
印刷物20として、例えば小説などの文学書の他、専門書や子供向けの絵本などであっ
てよい。さらには、学術論文などの特定分野で利用される印刷物であってもよい。印刷物
20の内容データは、印刷物20に記載されている内容を示すデータである。
【0030】
印刷物20に添付されたRFID21には、印刷物20の個体を特定するための印刷物
識別コードが保存されており、RFID21を印刷物識別情取得手段13で読み取る。そ
のため、印刷物識別情報取得手段13は、RFIDリーダを備えている。さらに、RFI
D21を用いた本実施形態では、販売者側サービス端末11にRFIDライターを備えた
ユーザ情報書き込み手段を追加することにより、ユーザ情報をRFID21に書き込ませ
るようにすることも可能である。
【0031】
なお、印刷物識別コードをRFID21に記憶させる代わりに他の媒体に記録する場合
には、記録媒体に応じた読み取り装置が用いることが必要となる。例えば印刷物識別コー
ドとしてバーコードを用いた場合には、印刷物識別情報取得手段13は、バーコードリー
ダを備えるように構成され、印刷物識別コードが磁気カードに記録される場合には磁気情
報読取装置が設けられる。また、販売者側サービス端末11に磁気情報書込装置、バーコ
ード等印刷装置を備えたユーザ情報書き込み手段を追加することも可能である。バーコー
ドの他、2次元コードでもよい。この場合、リーダはCCDなどから成るエリアスキャナ
を用いる。
【0032】
本実施形態の印刷物付加サービスシステム10では、印刷物20の印刷内容を印刷物2
0の印刷態様とは異なる態様で表した内容データ(例えば、印刷内容を音読した音声デー
タ)を、印刷物20の購入者のみに提供するようにしている。そこで、購入者を特定する
ために、印刷物20が購入された時点で販売者が購入者に資格認証用のユーザIDを通知
するようにしている。あるいは、印刷物20が購入された時点では、購入者の通知先(例
えばメールアドレス)を含む購入者情報を販売者に連絡し、後で販売者またはサービス提
供者からユーザIDを通知先に通知するようにしてもよい。
サービス提供者側管理装置12において、ユーザ情報取得手段15は販売者側サービス端
末11から印刷物識別コード、ユーザIDを含むユーザ情報を取得する。ユーザ情報とし
て、さらにパスワードを含むようにするのがよい。これらのユーザ情報は、購入者がクラ
イアント端末22からサービス提供者側管理装置に接続して内容データの提供を受けよう
とする際に必要となるものである。
【0033】
ユーザ情報取得手段15は、サービス認証用のユーザIDと、印刷物識別情報とを対応
付けて利用履歴を保存し、同一印刷物への重複したサービスを防止するように構成するこ
とも可能である。
【0034】
記憶手段16は、各種内容データを印刷物識別コードと対応させて読み出し可能に記憶
している。内容データとして、例えば、各印刷物に記録されている印刷内容を音読した音
声データ、印刷内容を映像化したストリーム配信データ又は動画データ(映像データ)、
及び拡大文字印刷データ等の各種態様の内容データを記憶する可能である。
【0035】
サービス要求取得手段17は、ユーザのクライアント端末22からサービス要求を受信
する手段であり、サービス要求を受信するとユーザ認証手段18でこのサービス要求が有
効かどうか判定する。ユーザ認証手段18でサービス要求が有効と判定された場合には、
内容データ送信手段19によりサービス要求で指定された内容データをクライアント端末
22に送信する。
【0036】
購入者がサービス提供者側管理装置12から取得可能な内容データの一実施例を図2に
示す。以下で説明するサービス選択画面は、いずれもサービス提供者側管理装置12のサ
ービス要求取得手段17から提供されるものである。図2は、クライアント端末22に表
示される内容データの一覧を示す選択画面31の例である。サービス提供者側管理装置1
2の記憶手段16に保存されている各種内容データの一覧は、クライアント端末22から
の要求に従って、サービス提供者側管理装置12からクライアント端末22に送信される
。クライアント端末22では、受信した内容データ一覧に基づき、例えば図2に示すよう
な選択画面31を表示する。これにより、クライアントは、選択画面31の音声データ提
供サービス32、映像データ配信サービス33、及び拡大文字印刷データ提供サービス3
4の中から希望するサービス(内容データ)を選択することが可能となる。クライアント
端末は、PCに限らず、携帯電話、PDA等のモバイル端末に組み込むこともできる。
【0037】
サービス提供者側管理装置12から取得した音声データは、例えば携帯再生器23に保
存して利用することも可能である。また、映像データは、携帯電話24で見るようにする
ことも可能である。さらに、拡大文字印刷データは購入者が所有するプリンタ25に出力
して利用することができる。
【0038】
音声データ提供サービス32は、印刷物20の記載内容を音声で提供するものである。
すなわち、印刷物20に記載された文章等を音読した音声データが、サービス提供者側管
理装置12から提供される。購入者は、音声データ提供サービス32で提供される音声デ
ータを聴取することにより、印刷物20に記載された文字を読む必要がなくなる。
【0039】
また、映像データ配信サービス33は、印刷物20の記載内容を映像で知ることができ
るサービスを提供するものである。特に印刷物20が小説等の書物の場合、これが映画化
されたりDVDで提供されることがある。映像データ配信サービス33では、このような
映画化されたりDVDで提供された映像等を容易に取得できるようにしている。
【0040】
さらに、拡大文字印刷データ提供サービス34は、印刷物20に記載されている文章の
記載位置(ページ番号、行番号等)を指定することで、記載位置に記載されている文字を
拡大して印刷出力するサービスを提供するものである。自ら読むことを希望する購入者に
対して、読み易いよう文字を所定の大きさに拡大し、これを印刷出力して提供することが
できる。
【0041】
本実施形態の印刷物付加サービスシステム10により、印刷物20を購入してから内容
データの提供を受けるまでの処理の流れの一実施例を、図3を用いて以下に説明する。図
3において、まず印刷物20が購入されると、販売者が販売者側サービス端末11の印刷
物識別情報取得手段13を用いてRFID21に記録されている印刷物識別コードを入力
する(ステップS1)。
印刷物識別情報取得手段13で印刷物識別コードを読み取った後は、印刷物20に対して
再び同様のサービス提供が行われないよう、RFID21に再発行防止情報を記録するの
が好ましい(ステップS2)。再発防止情報として、購入者のユーザ情報を書き込むよう
にしてもよい。
【0042】
続いて、販売者は印刷物20の購入者に対し、サービス提供に必要な資格認証用のユー
ザIDを提供する(ステップS3)。ユーザIDは、購入された印刷物20に係る内容デ
ータを購入者のみが取得できるようにするためのデータであって、さらにパスワードを用
いるようにするのが好ましい。
【0043】
なお、パスワードについては、購入者が自由に決められるようにし、購入者が決定した
パスワードを販売者側サービス端末11を経由してサービス提供者側管理装置12に登録
させるようにすることも可能である。
【0044】
サービス提供者側管理装置12では、ユーザ情報取得手段15により、印刷物識別コー
ドとユーザIDを含むユーザ情報を取得させる(ステップS4)。なお、ユーザ情報取得
手段15が取得したユーザID及びパスワードを、以下では登録済みID及び登録済みパ
スワードと呼ぶこととする。
購入者はユーザIDとパスワードとをクライアント端末22のサービス開始用画面に入力
することで、サービス提供者側管理装置12が提供するサービスの利用を開始することが
できる(ステップS5)。
【0045】
ユーザIDとパスワード、及び希望の音声データがクライアント端末22から入力され
ると、これらのサービス要求データがサービス提供者側管理装置12に送信され、サービ
ス要求取得手段17で受信される(ステップS6)。
サービス要求取得手段17で取得されたサービス要求データは、ユーザ認証手段18によ
り有効か否か判定される(ステップS7)。可否判定では、少なくともクライアント端末
22から送信されたユーザID及びパスワードと、登録済みID及び登録済みパスワード
とをそれぞれ比較する。
【0046】
サービス提供者側管理装置12において、サービス要求が有効であることが確認される
と、要求された内容データが音声データ送信手段19によりクライアント端末22に送信
される(ステップS8)。
【0047】
本実施形態の印刷物付加サービスシステム10では、同一の購入者に対して同じ内容デ
ータを重複して提供しないようにしている。これを実現するために、サービス提供者側管
理装置12において、サービス認証用のユーザIDと印刷物識別情報とを対応付けて利用
履歴を保存するようにしている。
【0048】
利用履歴として、音声データ提供サービス及び拡大文字印刷データ提供サービスに関し
ては、すでに購入者に提供済みの各内容データの範囲(先頭及び末尾のそれぞれのページ
及び行番号、範囲が複数に分かれている場合にはそれぞれの先頭と末尾)を保存させるよ
うにしている。また。映像データ配信サービスでは、配信開始後途中で中断された場合に
はその中断位置を、また最後まで配信された場合にはサービス提供済みを、それぞれ保存
させている。
【0049】
サービス提供者側管理装置12において、利用履歴として上記のサービス提供情報を追
加して保存したときのデータ構造の一例を図4に示す。同図に示す構造の利用履歴が、印
刷物20毎に作成されてサービス提供者側管理装置12に保存される。
【0050】
上記実施形態では、印刷物付加サービスシステム10が提供する内容データは、購入者
に対して全て課金されずに提供されるものとしていた。本発明の印刷物付加サービスシス
テムの別の実施形態として、内容データの一部または全部の提供に対して課金するように
した実施形態を以下に説明する。
【0051】
図5は、本発明の別の実施形態の印刷物付加サービスシステム40を示すブロック図で
ある。本実施形態の印刷物付加サービスシステム40では、サービス提供者側管理装置1
2に課金手段41が追加されている。課金手段41は、サービス要求取得手段17で取得
したサービス要求に対して課金される場合、課金される金額の支払いが可能か否かを判定
するものである。
【0052】
購入者に対する課金方法として、購入者が印刷物20を購入するときに、販売者にサー
ビス利用料金を前払いで支払う方法がある。この場合には、販売者が販売者側サービス端
末11に前払い料金のデータを入力し、この前払い料金データをサービス提供者側管理装
置12に送信して課金手段61に保存させる。
【0053】
また、購入者に対する別の課金方法として、購入者がサービス利用料金を支払う支払い
口座あるいはクレジットカードを指定する方法もある。購入者が指定する支払い口座デー
タあるいはクレジットカードデータを販売者側サービス端末11あるいはクライアント端
末22から入力し、これをサービス提供者側管理装置12に送信して課金手段61に保存
させる。
【0054】
上記の課金方法は、それぞれ単独で用いるようにしてもよいし、両方の方法を用いるよ
うにしてもよい。前払い料金と支払口座を用いた場合の利用履歴のデータ構造の一例を図
6に示す。同図に示す構造の利用履歴が、印刷物20毎に作成される。
利用履歴が図6に示すような構造を有している場合、サービス提供者側管理装置12では
以下のような処理を行う。クライアント端末22からサービス提供者側管理装置12に内
容データの要求があると、ユーザ認証手段18がまず、サービス要求に対し課金されるか
否かを判定し、課金される場合には課金手段41を実行させる。
【0055】
課金手段41では、事前に記憶された内容データ毎の課金金額のデータから、要求され
た内容データの課金金額を決定し、前払い料金から支払い可能かを判定し、不足する場合
には支払い口座データあるいはクレジットカードデータが登録されているかを判定し、い
ずれかが登録されている場合には課金金額の支払が可能と判定する。
【0056】
課金手段41で課金金額の支払が可能と判定されると、ユーザ認証手段18に対し支払
い可能であることを通知する。その後、ユーザ認証手段18では、第1の実施形態と同様
にサービス要求が有効か否かを判定する。内容データの提供を許可する場合には、課金手
段41に対し課金金額の支払処理を行わせる。
【0057】
なお、本実施形態の印刷物付加サービスシステム40が提供する内容データのうち、一
部の内容データに対してのみ課金される場合には、購入者に対して課金されることを確認
するようにしてもよい。すなわち、クライアント端末22から課金される内容データの要
求がサービス提供者側管理装置12に送信されてきた場合、サービス提供者側管理装置1
2で課金される内容データが要求されていることを判定し、クライアント端末22に課金
されることを表示させる。そして、購入者がこれを確認して課金される内容データをさら
に要求した場合に、サービス提供者側管理装置12から課金される内容データを送信する
ようにする。
【0058】
さらに、上記いずれの実施形態でも内容データを1回限り提供するようにしていたが、
購入者が課金されることを承諾する場合には、内容データを2回以上提供できるようにし
てもよい。
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る印刷物付加サービスシステムの一例を
示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における印刷物付加サー
ビスシステムの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で
適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷物付加サービスシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】クライアント端末に表示される選択可能な内容データの一覧を示す選択画面例である。
【図3】印刷物を購入してから内容データの提供を受けるまでの処理の流れを示す流れ図である。
【図4】サービス提供者側管理装置に保存される利用履歴のデータ構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の別の実施形態の印刷物付加サービスシステムを示すブロック図である。
【図6】サービス提供者側管理装置12に保存される利用履歴に課金情報を追加したデータ構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
10、40 印刷物付加サービスシステム 11 販売者側サービス端末
12 サービス提供者側管理装置 13 印刷物識別情報取得手段
14 ユーザID発行装置 15 ユーザ情報取得手段
16 記憶手段 17 サービス要求取得手段
18 ユーザ認証手段 19 内容データ送信手段

20 印刷物 21 印刷物識別コード
22 クライアント端末 23 携帯再生器
24 携帯電話 25 プリンタ
31 選択画面 32〜34 内容データ選択メニュー
41 課金手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の購入者に対して、当該印刷物に係る所定のサービスを、通信回線を介して提供す
る印刷物付加サービスシステムであって、
前記印刷物の販売時点で、当該印刷物に添付され当該印刷物の識別情報を示す印刷物識
別コードを読み取り、印刷物識別情報を取得する印刷物識別情報取得手段と、
前記印刷物の販売時点で、前記購入者にサービスを提供するために付与される資格認証
用のユーザIDを発行するユーザID発行手段と、
前記印刷物識別コード、ユーザIDを含むユーザ情報を取得するユーザ情報取得手段と

前記印刷物に記録されている印刷内容を前記印刷物とは異なる態様で表した内容データ
を、前記印刷物識別コードと対応させて、送信可能に保存する記憶手段と、
ユーザのクライアント端末からのサービス要求を受信するサービス要求取得手段と、
取得されたサービス要求が、有効かどうか判定するユーザ認証手段と、
有効と判定された場合、前記サービス要求で指定された前記内容データを前記ユーザの
クライアント端末に送信する内容データ送信手段と、
を備えることを特徴とする印刷物付加サービスシステム。
【請求項2】
前記印刷物付加サービスシステムは、販売者側サービス端末と、サービス提供者側管理装
置を有し、前記印刷物識別情報取得手段及び、ユーザID発行手段は、当該販売者側サー
ビス端末に含まれることを特徴とする請求項1に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項3】
前記印刷物識別コードは、バーコードであり、印刷物識別情報取得手段は、バーコードリ
ーダを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷物付加サービスシステ
ム。
【請求項4】
前記印刷物識別コードは、RFIDに格納され、印刷物識別情報取得手段は、RFIDリ
ーダを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷物付加サービスシステ
ム。
【請求項5】
前記ユーザ情報を前記RFIDに書き込むRFIDライターを有するユーザ情報書き込み
手段を前記販売者側サービス端末に備えたことを特徴とする請求項4に記載の印刷物付加
サービスシステム。
【請求項6】
前記内容データは、少なくとも前記印刷物の内容の音声データを含むことを特徴とする請
求項1又は請求項2に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項7】
前記内容データは、映像ストリームデータを含むことを特徴とする請求項1または請求項
2に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項8】
前記内容データは、拡大文字印刷データを含むことを特徴とする請求項1または請求項2
に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項9】
前記拡大文字印刷データは、前記印刷物の前記サービス要求で指定された位置に記載され
ている文字を所定の倍率で拡大して印刷するためのデータであることを特徴とする請求項
8に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項10】
前記サービス提供者側管理装置は、サービス要求のあった前記サービス認証用のユーザI
Dと前記印刷物識別情報とを対応付けて利用履歴を保存し、同一ユーザIDに対して重複
したサービスの提供を防止可能に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
の印刷物付加サービスシステム。
【請求項11】
前記ユーザ情報は、少なくとも前記印刷物識別コード、ユーザID、およびパスワードを
含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項12】
前記内容データの一部または全部が課金サービスデータであって、前記課金サービスデー
タの取得に必要な料金支払い情報が前記サービス提供者側管理装置に記憶され、前記料金
支払い情報に基づいて前記課金サービスデータの提供可否が判定されることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の印刷物付加サービスシステム。
【請求項13】
印刷物の購入者に対して、当該印刷物に係る所定のサービスを、通信回線を介して提供
する印刷物付加サービスシステムにおいて、
(a)前記印刷物の販売時点で、当該印刷物に添付され当該印刷物の識別データを示す商
品識別コードを読み取り印刷物識別コードを取得するステップと、
(b)前記印刷物の販売時点で、前記購入者にサービスを提供するために付与される資格
認証用のユーザIDを発行するステップと、
(c)前記印刷物識別コード、ユーザIDを含むユーザ情報を取得するステップと、
(d)ユーザのクライアント端末からのサービス要求を受信するステップと、
(e)取得されたサービス要求が、有効かどうか判定するユーザ認証ステップと、
(f)有効と判定された場合、前記印刷物の印刷内容を該印刷物とは異なる態様で表わし
た内容データを、前記ユーザのクライアント端末に送信するステップと、
を備える印刷物付加サービスシステムの制御方法。
【請求項14】
前記ステップ(f)は、複数種類の前記内容データの中から、前記サービス要求により
指定された前記内容データを選択して、前記ユーザのクライアント端末に送信することを
特徴とする請求項14に記載の印刷物付加サービスシステムの制御方法。
【請求項15】
コンピュータに請求項14又は15に記載の印刷物付加サービスシステムの制御方法に
おける各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−304676(P2007−304676A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129880(P2006−129880)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】