説明

印刷用ブランケット及びオフセット印刷機

【課題】耐久性に優れ、且つ、装着性が良好である、印刷用ブランケットを提供する。
【解決手段】本発明に係る印刷用ブランケット900は、間に接着ゴム層210を介して積層される複数の基布110、120を有する基材層500と、前記基材層500に積層される表面ゴム層300と、を有する。前記接着ゴム層210は、ゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対し15重量部以上の可塑剤と、樹脂成分と、を有する。ゴム成分は、例えばNBR等であり、可塑剤は例えばDINA、TCP等であり、樹脂は例えばフェノール樹脂等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用ブランケット、及び、その印刷用ブランケットを取り付けたブランケット胴を有するオフセット印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷のさらなる高速化が求められている。そのため、オフセット印刷時に負荷がかかるブランケット胴に取り付けられるブランケットの耐久性の向上が求められる。
【0003】
例えば、特許文献1や特許文献2では、ブランケットの表面ゴム層の損失正接(tanδ)を小さくして、表面ゴム層の耐久性を向上させる技術が記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の技術は、ブランケットの表面ゴム層にのみ着目したものであり、基材層中の基布間を接着する接着ゴム層は着目されておらず、ブランケット全体としての耐久性の向上は不十分なものである。
【0005】
また一方で、ブランケットの耐久性を上昇させるべく、ブランケットの硬度を増加させると、ブランケット胴への装着性が悪化することがあるところ、特許文献1や特許文献2の技術では、インキの着肉性等には考慮されているものの、ブランケット胴への装着性については考慮されていない。
【特許文献1】特開2006−218752号公報
【特許文献2】特開2004−209927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、従来は全く着目されていなかったブランケットの基材層中の基布間を接着する接着ゴム層に着目し、その接着ゴム層の耐久性を向上させ、且つ、柔軟性を良好にすることで、ブランケット全体としての耐久性及び装着性を良好なものにすることを目的とする。また、耐久性に優れ且つ装着性が良好である印刷用ブランケット、及び、そのような印刷用ブランケットを使用するオフセット印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る印刷用ブランケットは、
間に接着ゴム層を介して積層される複数の基布を有する基材層と、
前記基材層に積層される表面ゴム層と、を有し、
前記接着ゴム層は、ゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対し15重量部以上の可塑剤と、樹脂成分と、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記表面ゴム層と前記基材層との間に、接着ゴム層を有する、ことも可能である。
【0009】
また、前記基材層は、スポンジ層を有する、ことも可能である。
【0010】
また、前記スポンジ層は、基布の間に積層される、ことも可能である。
【0011】
また、前記スポンジ層は、前記表面ゴム層と基布との間に積層される、ことも可能である。
【0012】
また、前記スポンジ層と基布との間に、接着ゴム層を有する、ことも可能である。
【0013】
また、前記ゴム成分は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、及び、ウレタンゴム(U)の少なくとも何れか一つを含む、ことも可能である。
【0014】
また、前記アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が、中高ニトリルのアクリロニトリルブタジエンゴムである、ことも可能である。
【0015】
また、前記可塑剤は、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ化植物油、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、及び、塩素化流動パラフィンの少なくとも何れか一つを含む、ことも可能である。
【0016】
また、前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤は、アジピン酸エステル系可塑剤である、ことも可能である。
【0017】
また、前記アジピン酸エステル系可塑剤は、ジイソノニルアジペート(DINA)、ビス(ブチルジグリコール)アジペート(BXA−R)、ジメチルアジペート(DMA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、及び、ジイソデシルアジペート(DIDA)の何れか一つを含む、ことも可能である。
【0018】
また、前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤は、ジブチルセバケート(DBS)、ジメチルセバケート(DMS)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)、及び、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(DOZ)の少なくとも何れか一つを含む、ことも可能である。
【0019】
また、前記フタル酸エステル系可塑剤は、ジ−n−オクチルフタレート(DOnP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、及び、ジブチルフタレート(DBP)の少なくとも何れか一つを含む、ことも可能である。
【0020】
また、前記樹脂成分は、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、熱硬化性ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、熱硬化性ポリビニルアルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、変成PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、及び、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂の少なくとも何れか一つを含む、ことも可能である。
【0021】
また、上記目的を達成するため、この発明の第2の観点に係るオフセット印刷機は、
請求項1〜14のいずれか1項に記載の印刷用ブランケットを取り付けたブランケット胴を有する印刷部と、
紙を前記印刷部に給紙する給紙部と、
前記紙を前記印刷部から排紙する排紙部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る印刷用ブランケットは、耐久性に優れ、且つ、装着性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔印刷用ブランケット〕
(実施形態1)
本実施形態に係る印刷用ブランケット900は、図1に示されるように、基材層500と、表面ゴム層300と、を有する。
【0024】
表面ゴム層300は、インキの受理及び転写を行うための層であり、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等で形成される。
【0025】
表面ゴム層300の厚みは、例えば、0.2〜0.5mmとすることができる。表面ゴム層300の厚みが0.2mmよりも小さくなると、ベタ着肉性の低下によって、ベタ部にかすれ等が発生するおそれがありうるからであり、また、表面ゴム層300の厚みが0.5mmよりも大きくなると、印刷時に、印刷用ブランケットの回転方向下流側への、表面印刷層のずれが大きくなり、その分だけ周長変化率が大きくなるため、印刷画像が不鮮明化する場合がありうるからである。
【0026】
表面ゴム層300は、基材層500の表面に積層される。ここで、基材層500の表面とは、版胴に装着される版に付着しているインキが転写される側の面である。
【0027】
表面ゴム層300の硬度は、JIS−A硬度計で45〜60であることが好ましい。表面ゴム層の硬度が過大であるとベタ着肉性が低下するおそれがあるからであり、表面ゴム層の硬度が過小であると、圧力が十分に掛からず、受理不良や転写不良が生じるおそれがあるからである。
【0028】
表面ゴム層300の表面粗さ(Rz)は、3.0〜10.0μmであることが好ましい。表面ゴム層の表面粗さ(Rz)が過大となる場合は、網点再現性が低下し、鮮明な印刷画像を形成することができない場合があるからである。
【0029】
基材層500は、基布110と120との間に接着ゴム層210を介して構成される。
なお、図1では、基布は2枚で構成されているが、このような実施形態に限定されることはなく、後に示されるように、基材層500は、3枚以上の基布が積層されて構成されることも可能である。また、基布110、120を構成する布としては、従来からこの種の印刷用ブランケットに使用されているものを有効に使用することができる。例えば、綿布や、ポリエステル若しくはレーヨン等の織布を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0030】
印刷用ブランケット900の全体の厚みは、例えば、1.6mm〜2.4mmとすることができるが、このような値に限定されず、種々の用途により所望の厚みとすることが可能である。
【0031】
接着ゴム層210は、100重量部のゴム成分と、ゴム成分100重量部に対し15重量部以上の可塑剤と、樹脂成分と、を有する。本発明は、接着ゴム層の組成をこのような独特の構成とすることにより、ブランケット全体としての耐久性及び装着性(風合い)を良好なものにすることができるという新知見に基づく。
【0032】
接着ゴム層210のゴム成分は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ウレタンゴム(U)等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0033】
例えば、引張強さ、耐摩耗性、耐油性等に優れていることから、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)等を好適に使用することができる。
【0034】
アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)や水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)では、結合アクリロニトリル量の大きい極高ニトリルタイプや高ニトリルタイプから、結合アクリロニトリル量の小さい低ニトリルタイプや中ニトリルタイプまで、公知の種々のものを用いることができる。
【0035】
なかでも、引張強さ、引張応力、耐摩耗性等を向上させるために、中高ニトリルタイプ(結合アクリロニトリル量が31%以上、36%未満のもの)や、高ニトリルタイプ(結合アクリロニトリル量が36%以上、43%未満のもの)を用いることがより好ましい。
【0036】
可塑剤は、例えば、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ化植物油、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化流動パラフィン等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0037】
脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤は、例えば、アジピン酸エステル系可塑剤を使用できる。
【0038】
アジピン酸エステル系可塑剤は、例えば、ジイソノニルアジペート(DINA)、ビス(ブチルジグリコール)アジペート(BXA−R)、ジメチルアジペート(DMA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソデシルアジペート(DIDA)等、及び、これらの混合物を使用できる。
【0039】
ジイソノニルアジペート(DINA)は、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)に比較して耐熱性に優れているので、好適に使用できる。また、ジブチルアジペート(DBA)やジイソブチルアジペート(DIBA)は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)との相溶性が良いので好適に使用できる。
【0040】
また、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジブチルセバケート(DBS)、ジメチルセバケート(DMS)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(DOZ)等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0041】
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジ−n−オクチルフタレート(DOnP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0042】
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、アリールホスフェート[TPP(トリフェニルホスフェート)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシリルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート等]、アルキルホスフェート[トリメチルホスフェート、TEP(トリエチルホスフェート)、トリブチルホスフェート、トリ2−エチルヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリラウリルホスフェート、トリイソデシルホスフェート等]、アルキルアリールホスフェート[フェニルジエチルホスフェート、フェニルジブチルホスフェート、フェニルジオクチルホスフェート、ジフェニルエチルホスフェート、ジフェニルブチルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート等]等を使用できる。
【0043】
また、クエン酸エステル系可塑剤としては、例えばアセチルトリブチルシトレート(ATBC)等を使用できる。
また、トリメリット酸系可塑剤としては、トリメリット酸n−オクチル−n−デシル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル等を使用できる。
また、エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油等を使用できる。
【0044】
可塑剤は、ゴム成分が100重量部に対して15重量部以上含有させる。15重量部よりも少ないと、柔軟性の増加が不十分となる可能性があり、印刷用ブランケットの装着性の向上が図りにくくなる可能性がありうるからである。また、可塑剤はゴム成分100重量部に対して20重量部以上含有させることも可能である。
【0045】
一方、可塑剤は、ゴム成分100重量部に対して60重量部以上含有させると、混練後にブリードが発生する可能性がありうる。
もっとも、例えばブリード防止剤等を含有させることにより、ブリードの発生を防止することができれば、可塑剤は60重量部以上含有させることも可能である。
【0046】
樹脂成分としては、熱硬化性樹脂を用いることができる。例えば、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、熱硬化性ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、熱硬化性ポリビニルアルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0047】
また、樹脂成分としては、熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、変成PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂等、及び、これらの混合物を使用することができる。
【0048】
樹脂成分としては、例えばフェノール樹脂(PF)を好適に使用することができる。ゴム成分としてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を使用する場合、フェノール樹脂(PF)は接着力があり、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)との相溶性が良いからである。
【0049】
なお、樹脂成分としては、上述した熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の混合物も使用することができる。
【0050】
樹脂成分は、ゴム成分100重量部に対して、例えば6重量部含有させることができるが、このような含有値に限定されることはなく、ゴム成分の種類の選択、可塑剤の種類の選択、印刷用ブランケット層の構造の選択等、種々の設計事項に依存することがありうるので、樹脂成分の含有値は適宜変更可能である。
【0051】
その他、接着ゴム層210には、ゴム成分、可塑剤、樹脂成分以外にも、所定の配合量の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を含有させることができる。加硫剤としては、例えば、硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド等を用いることができる。加硫促進剤としては、例えば、チウラム系、チアゾール系、スルフェンアミド系、スルフィド系、チオ尿素系の化合物等を用いることができる。加硫遅延剤としては、例えば、サリチル酸等を使用できる。
【0052】
さらに、接着ゴム層210には、品質改良等を目的として、酸化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤等の各種添加剤を含有させることができる。酸化防止剤としては、例えば、ジオクチル化ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系酸化防止剤等を含有させることができる。補強剤としては、例えば、カーボンブラックやシリカ等を含有させることができる。充填剤としては、例えば、アルミナ、タルク、酸化チタン、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等を使用することができる。軟化剤としては、例えば、脂肪酸、トール油等を使用することができる。
【0053】
なお、これらの加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤等は、表面ゴム層300を構成するゴム組成物に含有させることも可能である。
【0054】
(実施形態2)
実施形態2に係る印刷用ブランケット900は、実施形態1と異なり、図2に示されるように、表面ゴム層300と基材層500との間に、接着ゴム層220を有する。
【0055】
接着ゴム層220を構成するゴム成分、可塑剤、樹脂成分については、実施形態1と同様の種類、同様の配合比を用いることができる。
【0056】
図2では、基材層500には、2枚の基布110と120が含まれていたが、図3に示すように、基材層500に、3枚の基布110、120、130が含まれていても良い。基布120と基布130との間には接着ゴム層230が形成されている。
【0057】
本実施形態に係る印刷用ブランケットでは、表面ゴム層300と基材層500との接着を強固にしつつ、印刷用ブランケット900の耐久性を向上させ、且つ、良好な装着性が得られる。
【0058】
(実施形態3)
実施形態3に係る印刷用ブランケット900は、実施形態1及び2と異なり、図4に示されるように、基材層500はスポンジ層(圧縮層)400を有する。
【0059】
スポンジ層400は、基布110と基布140との間に形成されている。スポンジ層400は、印刷用ブランケット900に好適な圧縮特性を付与し、印圧を緩和して良好な印刷を可能にするために形成される任意の層である。そのため、本実施形態に係る印刷用ブランケットでは、印圧を緩和しつつ、印刷用ブランケット900の耐久性を向上させ、且つ、良好な装着性が得られる。
【0060】
スポンジ層400は、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)等から形成されるスポンジゴムを使用することができる。
スポンジ層400の厚みは、0.1mm〜0.6mmとすることができる。
【0061】
スポンジ層400を構成するスポンジゴムは、連泡型であっても独立気泡型であってもよい。ここで、連泡型とは、セルが互いに繋がった構造の連泡スポンジのことである。また、独立気泡型とは、セルが独立して並んだ構造の単泡スポンジのことである。オフセット印刷において、転移するインキの付きの良さを保証するためには、変形しにくく印圧がかかりやすい硬めの独立気泡型が有利であり、網点の形状や、印刷物の画像長さを安定させ、印刷用紙の紙送り特性をコントロールするためには連泡型のほうが有利である。そのため、所望の印刷態様により、スポンジゴムは、連泡型若しくは独立気泡型を選択することができる。
【0062】
また、スポンジ層400は、基布間に形成されるものに限定されず、図5に示されるように、基布110と表面ゴム層300との間に形成されることも可能である。
【0063】
スポンジ層は、印圧の緩和(即ち、印刷時のショック吸収)を主とする役割を担うが、印刷圧の調整にも役立つ。即ち、印刷圧が過大になれば、ショックの発生もさることながら、アミ点の太りや版摩耗の原因ともなり、印刷圧が不足すれば、ベタ部分のインキ転移量が不足し、かすれた印刷物になってしまう。これらの印刷圧のコントロールは、スポンジ層に負うところが大きいとされる。そのため、スポンジ層400を基布110と表面ゴム層300との間に形成することにより、図4に示す構成の場合よりも、スポンジ層400の硬さを表面ゴム層300に伝えやすくなるから、印刷圧のコントロールをし易くなる場合がある。
【0064】
(実施形態4)
実施形態4に係る印刷用ブランケット900は、実施形態3と異なり、図6に示されるように、スポンジ層400の上面と下面にそれぞれ接着ゴム層240、220が設けられている。即ち、基布110とスポンジ層400との間に接着ゴム層220が設けられ、また、表面ゴム層300とスポンジ層400との間に接着ゴム層240が設けられる。
【0065】
このように構成することにより、図5に示す構成の場合よりも、スポンジ層400と基布110との接着、及び、スポンジ層400と表面ゴム層300との接着を向上させうる。
【0066】
また、図7に示されるように、基布110とスポンジ層400との間に接着ゴム層220を設け、そして、基布140とスポンジ層400との間に接着ゴム層240を設け、さらに、表面ゴム層300と基布140との間に接着ゴム層250を設けることも可能である。
【0067】
このように構成することにより、図4に示す構成の場合よりも、スポンジ層400と基布110、140との接着、及び、基布140と表面ゴム層300との接着を向上させうる。
【0068】
〔オフセット印刷機〕
次に、上述の実施形態に係る印刷用ブランケット900を用いるオフセット印刷機910を、図8を参照して説明する。
【0069】
オフセット印刷機910は、印刷を行う印刷部710と、紙を印刷部710に給紙する給紙部720と、紙を印刷部710から排紙する排紙部730と、を有する。印刷される紙としては、例えば、枚葉紙、巻取り紙等を用いることが可能である。
【0070】
印刷部710は、版胴630と、版胴630と連接して紙に印刷をするブランケット胴610と、ブランケット胴610と連接して紙を搬送し、紙をブランケット胴610に圧接させる圧胴620と、を有する。
【0071】
ブランケット胴610には、本実施形態に係る印刷用ブランケット900を装着性良く取り付けられ、そのため、印刷用ブランケット900の厚みを均一状態で取り付けやすく、ゆえに、印圧を一定にしやすくなる。また、ブランケット胴610には、本実施形態に係る印刷用ブランケット900が取り付けられるから、例えば1000rpmの高速印刷を行う場合でも、印刷用ブランケットの耐久性を十分に保ことができる。
【実施例】
【0072】
〔接着ゴム層の組成〕
実施例1では、接着ゴム層の組成において、ゴム成分として中高ニトリルタイプのアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)NIPOL1042(日本ゼオン(株)、アクリロニトリル含量33.5%)を100重量部、第1の可塑剤としてジイソノニルアジペート(DINA)を18重量部、第2の可塑剤としてトリクレジルホスフェート(TCP)を4重量部、樹脂としてフェノール樹脂(PF)を6重量部、シリカを20重量部、炭酸カルシウム(白艶華)を40重量部、酸化亜鉛(亜鉛華)を5重量部、硫黄を1.5重量部、加硫促進剤(チアゾール系とジチオカルバミン酸系との併用)を4重量部、含有させた。フェノール樹脂(PF)は、昭和高分子株式会社製のショウノール(登録商標)を用いた。
【0073】
また、実施例2では、接着ゴム層の組成において、ゴム成分として中高ニトリルタイプのアクリロニトリルブタジエンゴムDN3380(日本ゼオン(株)、アクリロニトリル含量33%)を100重量部、第1の可塑剤としてジイソノニルアジペート(DINA)を20重量部、第2の可塑剤としてトリクレジルホスフェート(TCP)を4重量部、含有させた以外は、実施例1と同様であった。
【0074】
また、比較例1では、接着ゴム層の組成において、第1の可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を4重量部、第2の可塑剤としてトリクレジルホスフェート(TCP)を10重量部、樹脂として芳香族系石油樹脂(ネオポリマーL−90:新日本石油)を9重量部、含有させた以外は、実施例1と同様であった。
【0075】
また、比較例2では、接着ゴム層の組成において、第1の可塑剤としてジイソノニルアジペート(DINA)を6重量部、第2の可塑剤としてトリクレジルホスフェート(TCP)を8重量部、含有させた以外は、実施例1と同様であった。
【0076】
なお、可塑剤としてジイソノニルアジペート(DINA)のみならず、トリクレジルホスフェート(TCP)を含有させる理由は、ジイソノニルアジペート(DINA)を単独で使用する場合よりも、トリクレジルホスフェート(TCP)も含有させたほうが、接着ゴム層のNBRとの接着性が良い傾向があると考えられるからである。
【0077】
これらの実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の接着ゴム層の組成を、表1にまとめた。
【0078】
【表1】

【0079】
そして、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2につき、それぞれ、図3に示す構造の印刷用ブランケット900を形成した。
表面ゴム層は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)100重量部、酸化亜鉛(亜鉛華)を10重量部、硫黄を1重量部、加硫促進剤(チウラム系)を4重量部、ステアリン酸を1重量部、含有させた。
基布110、120は、綿布であった。
【0080】
図3に示す構成の印刷用ブランケット900の作成方法は、以下の工程にて行った。まず、基布130の上に、接着ゴム層230となる接着剤用ゴム糊を塗布し、さらに基布120を積層した。そして、基布120の上に、接着ゴム層210となる接着剤用ゴム糊を塗布し、さらに、基布110を積層した。その上に、接着ゴム層220となる接着剤用ゴム糊を塗布して、表面ゴム層300用のゴム組成物(未加硫状態)をトルエン等の有機溶剤に溶解させ、それをナイフコーターにより塗布し、乾燥後に加圧・加熱して、図3に示す構成の印刷用ブランケット900が得られた。表面ゴム層300は、研磨されることにより、所定の表面粗さに仕上げられた。
【0081】
〔接着ゴム層の硬度〕
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の接着ゴムについて、それぞれ硬度を測定した。硬度は、JIS K 6253(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法)に規定の国際ゴム硬さ(IRHD)で測定した。実施例1では42、実施例2では42、比較例1では52、比較例2では52であった。
【0082】
〔接着ゴム層の損失正接〕
次に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の接着ゴムについて、それぞれ損失正接tanδを測定した。損失正接tanδは、貯蔵弾性係数G’と損失弾性係数G’’との比で表され、次の数式1で示される。
【0083】
【数1】

【0084】
弾性係数は、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社のRSAIIIに、試験片(直径6.4mm、厚さ2mm)を取り付け、40℃、12.6Hzの条件下で測定した。損失正接tanδの測定に、温度40℃、周波数12.6Hzの条件下を選択しているのは、次の理由によるものである。印刷用ブランケットをブランケット胴に設置して使用するオフセット印刷機には、ブランケット胴の回転数で、約100回転/分から約1200回転/分までの種々のものが知られている。ここで、このブランケット胴の回転数を、印刷用ブランケットにかかる変形の周波数に換算すると、その周波数は、約1.7〜20Hzとなる。そこで、印刷用ブランケットの粘弾性特性を評価する際の試験周波数として、上記の範囲の概ね中間値である12.6Hzを選択し、さらに試験温度を40℃に設定して損失正接tanδを測定した。実施例1ではtanδは0.15、実施例2ではtanδは0.12、比較例1ではtanδは0.2、比較例2ではtanδは0.17であった。
【0085】
〔印刷用ブランケットの風合い〕
次に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2のゴム組成物について、それぞれ風合いを測定した。風合いは、印刷用ブランケットの柔らかさを測定する試験である。値が大きいほど柔らかいことを意味し、柔らかいほどブランケット胴への装着性が良好であることを意味する。
【0086】
図9を参照しながら、風合い試験を説明する。実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の印刷用ブランケット900について、それぞれ、幅2cm・長さ13cmの試験片810を作成した。そして、図9に示すような風合い測定装置890の試験台820に、試験片810の一方の端部tを固定した。端部tの長さは3cmであった。試験片810の他方の端部に分銅830を吊した。分銅830の重量は20gであった。このようにして試験台820の上面における水平線と、分銅830を吊すことで垂れた試験片810との角度Θを測定する。この角度Θが風合い試験の値である。測定した結果、実施例1の風合いは46、実施例2の風合いは45、比較例1の風合いは41、比較例2の風合いは40であった。
【0087】
〔印刷用ブランケットの耐久厚さ変化〕
次に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の印刷用ブランケット900について、それぞれ耐久厚さ変化を測定した。ブランケット胴と厚胴とを備えた耐久試験機を用い、予め厚さと圧縮応力を測定した印刷用ブランケット900(幅150mm、長さ852mm)をブランケット胴に20N・mのトルクで装着した。次いで、ニップでの圧縮量が0.20mmとなるよう変形させて回転速度900rpmで1000回転させた。その後、20N・mのトルクで増し締めを行った。次いで、ニップでの圧縮量が0.20mmとなるように変形させた状態で、回転速度900rpmで10万回転させた。その後、ブランケット胴から印刷用ブランケット900を取外し、1時間後に厚さと圧縮応力を測定して、試験前後のブランケット厚さを比較して厚さの減少量(mm)を求めた。測定の結果、実施例1の耐久厚さ変化は0.03、実施例2の耐久厚さ変化は0.03、比較例1の耐久厚さ変化は0.03、比較例2の耐久厚さ変化は0.03であった。
【0088】
〔印刷用ブランケットの耐久圧縮変化量〕
次に、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の印刷用ブランケット900について、それぞれ耐久圧縮変化量を測定した。内製の圧縮測定機を使用し、圧縮測定機の測定台上に印刷用ブランケット900の表面ゴム層300を上にして置き、そのゴム表面に面積3.0cmの円アンビルを速度1.5±0.1mmで降下させ、測定台から一定の距離まで圧縮を行った。その後、保持時間1.0秒後の応力を測定し、耐久試験前後のブランケット圧縮応力の差(N/3cm)を求めた。測定の結果、実施例1の耐久圧縮変化量は85、実施例2の耐久圧縮変化量は49、比較例1の耐久圧縮変化量は106、比較例2の耐久圧縮変化量は41であった。
【0089】
上述の結果を表2にまとめた。
【0090】
【表2】

【0091】
実施例1では、tanδが0.15で良好な耐久性を示し、風合いが46で良好な装着性を示した。実施例2においても、tanδが0.12で良好な耐久性を示し、風合いが45で良好な装着性を示した。
【0092】
一方、比較例1はtanδが0.2で風合いが41であり、比較例2はtanδが0.17で風合いが40であった。このように、比較例1は、風合いにおいて不十分であり、tanδも良好な値を示すことはなかった。一方、比較例2は、tanδは比較的良好であったが、風合いは不十分であった。
【0093】
以上より、印刷用ブランケットの接着ゴム層に、ゴム成分と、そのゴム成分100重量部に対し15重量部以上の可塑剤と、樹脂成分と、を含有させると、ブランケット全体として良好な装着性(風合い)と耐久性(tanδ)とが得られることが実証された。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態1に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図である。
【図2】実施形態2に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図であり、表面ゴム層と基布との間に接着ゴム層が形成されている構造を説明する図である。
【図3】実施形態2に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図であり、基材層に3枚の基布が含まれている図である。
【図4】実施形態3に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図であり、基材層にスポンジ層が設けられている構造を説明する図である。
【図5】実施形態3に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図であり、表面ゴム層の下にスポンジ層が設けられている構造を説明する図である。
【図6】実施形態4に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図であり、スポンジ層の上下に接着ゴム層が設けられている構造を説明する図である。
【図7】実施形態4に係る印刷用ブランケットの断面を説明する図であり、スポンジ層の上下と表面ゴム層の下に接着ゴム層が設けられている構造を説明する図である。
【図8】本発明の印刷用ブランケットを使用したオフセット印刷機の概略を説明する図である。
【図9】風合い試験を行う風合い測定装置の概略を説明する図である。
【符号の説明】
【0095】
110 基布
120 基布
130 基布
140 基布
210 接着ゴム層
220 接着ゴム層
230 接着ゴム層
240 接着ゴム層
250 接着ゴム層
300 表面ゴム層
400 スポンジ層
500 基材層
610 ブランケット胴
620 圧胴
630 版胴
710 印刷部
720 給紙部
730 排紙部
810 試験片
820 試験台
830 分銅
890 風合い測定装置
900 印刷用ブランケット
910 オフセット印刷機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に接着ゴム層を介して積層される複数の基布を有する基材層と、
前記基材層に積層される表面ゴム層と、を有し、
前記接着ゴム層は、ゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対し15重量部以上の可塑剤と、樹脂成分と、を有する、
ことを特徴とする印刷用ブランケット。
【請求項2】
前記表面ゴム層と前記基材層との間に、接着ゴム層を有する、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷用ブランケット。
【請求項3】
前記基材層は、スポンジ層を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の印刷用ブランケット。
【請求項4】
前記スポンジ層は、基布の間に積層される、
ことを特徴とする請求項3記載の印刷用ブランケット。
【請求項5】
前記スポンジ層は、前記表面ゴム層と基布との間に積層される、
ことを特徴とする請求項3記載の印刷用ブランケット。
【請求項6】
前記スポンジ層と前記基布との間に、接着ゴム層を有する、
ことを特徴とする請求項4又は5記載の印刷用ブランケット。
【請求項7】
前記ゴム成分は、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、及び、ウレタンゴム(U)の少なくとも何れか一つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の印刷用ブランケット。
【請求項8】
前記アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が、中高ニトリルのアクリロニトリルブタジエンゴムである、
ことを特徴とする請求項7記載の印刷用ブランケット。
【請求項9】
前記可塑剤は、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ化植物油、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、及び、塩素化流動パラフィンの少なくとも何れか一つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の印刷用ブランケット。
【請求項10】
前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤は、アジピン酸エステル系可塑剤である、
ことを特徴とする請求項9記載の印刷用ブランケット。
【請求項11】
前記アジピン酸エステル系可塑剤は、ジイソノニルアジペート(DINA)、ビス(ブチルジグリコール)アジペート(BXA−R)、ジメチルアジペート(DMA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、及び、ジイソデシルアジペート(DIDA)の何れか一つを含む、
ことを特徴とする請求項10記載の印刷用ブランケット。
【請求項12】
前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤は、ジブチルセバケート(DBS)、ジメチルセバケート(DMS)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(DOS)、及び、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(DOZ)の少なくとも何れか一つを含む、
ことを特徴とする請求項9記載の印刷用ブランケット。
【請求項13】
前記フタル酸エステル系可塑剤は、ジ−n−オクチルフタレート(DOnP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、及び、ジブチルフタレート(DBP)の少なくとも何れか一つを含む、
ことを特徴とする請求項9記載の印刷用ブランケット。
【請求項14】
前記樹脂成分は、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、熱硬化性ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、熱硬化性ポリビニルアルコール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、変成PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、及び、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂の少なくとも何れか一つを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載の印刷用ブランケット。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の印刷用ブランケットを取り付けたブランケット胴を有する印刷部と、
紙を前記印刷部に給紙する給紙部と、
前記紙を前記印刷部から排紙する排紙部と、を有する、
ことを特徴とするオフセット印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−274376(P2009−274376A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129344(P2008−129344)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】