説明

印刷用紙パック。

【課題】ハードウェアの改造を必要とすることなく手軽に印刷時の臭気を抑制することができるノンカーボン用紙を用いた印刷用紙パックを提供すること。
【解決手段】所定枚数のノンカーボン複写用紙である印刷用紙を収納した印刷用紙パックであって、前記ノンカーボン複写用紙の少なくとも2辺の端部に発色剤と顕色剤との反応を抑制するための減感剤を予め塗布した減感剤塗布部を備えたノンカーボン複写用紙と、前記ノンカーボン複写用紙を封入するための気密性の容器とを備える。好ましくは、所定の香料を塗布した台紙を更に備え、前記機密性の容器は、前記所定の香料を塗布した台紙の香りが前記ノンカーボン複写用紙に移ることにより、前記ノンカーボン複写用紙の印刷時において前記ノンカーボン複写用紙に移った所定の香料の香りを発散させるべく、前記台紙を更に封入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷用紙パックに関し、特に香り付きのノンカーボン用紙を封入した印刷用紙パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には用紙を収納する給紙部19を備え、給紙部19から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置1において、給紙部19は、香料を含有した有香用紙Pを密閉した保管トレイ27を備え、必要に応じて保管トレイ27から有香用紙Pを給紙しており、給紙された有香用紙Pは、装置本体2内の熱により香りを放出する旨が開示されている。又、特許文献2にはファクシミリ用紙11は、台紙1の第1面に感熱層を形成して感熱層Aとすると共に、台紙1の第2面すなわち裏面Bに芳香部3を形成する旨が開示されている。
【0003】
又、特許文献3には記録装置の搬送ローラー内部に芳香性を有する液体を浸透させた芳香部材を格納させ、ピンチローラとの挟持搬送動作により、用紙の裏面に前記液体と香りを転写する旨が開示されている。又、特許文献4にはインクジェットプリンタのインクカートリッジを香料が充填されたアロマカートリッジと置き換えることで、画像にかえて香料を噴射し用紙に印刷する旨が開示されている。又、特許文献5には印刷用紙20に加熱乾燥型の印刷インキを印刷した後、印刷部12の下流側に設置された加熱乾燥部13にて印刷インキ及び印刷用紙20を加熱乾燥し、しかる後に、加熱乾燥部13の下流側に配置された加湿部15にて、香料を添加した加湿用水を使用して印刷用紙20の加湿を行う旨が開示されている。又特許文献6では、感圧複写上用紙2と、同中用紙3と、同下用紙4から、任意に複数の用紙を選択し、これらを重ね合わせた構成を有する感圧複写帳票1であって、前記下用紙4あるいは中用紙3の表面における複写不要部分に減感インキを塗布し、一方、前記上用紙2あるいは前記中用紙3の裏面において、印字・筆記時に、前記複写不要部分に対接する発色剤カプセル塗布部に、前記発色剤カプセル塗布部を被覆する減感インキまたはOPワニスからなる被覆層を設けた感圧複写帳票が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−171848号公報
【特許文献2】特開2003−136843号公報
【特許文献3】特開2004−160795号公報
【特許文献4】特開2005−254631号公報
【特許文献5】特開2006−224428号公報
【特許文献6】特開平07−257072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の従来技術では、密閉型の特殊な用紙トレイを必要とするという問題がある。又特許文献2記載の従来技術では、芳香部3がある部分とない部分では熱伝導が異なるため、感熱面の発色に色むらが生じるという問題と、芳香部に香料を塗布する工程が必要となり製造コストが上昇するという問題がある。又特許文献3記載の従来技術では、芳香性を有する液体を浸透させた芳香部材を格納させた搬送ローラーの位置によっては、芳香性を有する液体による印字のにじみが生じるという問題がある。
【0006】
又特許文4記載の従来技術では、専用のアロマカートリッジとアロマプリンタが必要になるのでコストが上昇するという問題がある。又特許文献5記載の従来技術では、専用の加湿部が必要になりコストが上昇するという問題がある。特許文献6記載の従来技術では、同文献の図1に示されているように、通常手書き記入欄以外の用紙の中央部分に減感インキを塗布し、対向面を被覆層やオーバーヘッドワニスの層を形成することで複写不要部分を構成し、発色を防止している。このため、上記特許文献6記載の技術によれば、ノンカーボン用紙の端部には通常減感インキは塗布されず、やはり上記の臭いや発色が生じるという問題は解決されていなかった。更に、例えこれら特許文献1乃至特許文献6記載の従来技術を適用したとしても、ノンカーボン用紙を印刷すると芳香の他に発色剤や顕色剤の特有の臭いが印刷装置や複写機の周囲に漂うために、周辺に居るビジネスパーソンが不快な思いをして作業効率も低下するという問題があった。特にノンカーボン用紙を大量に印刷した場合に、ノンカーボン用紙の搬送に伴って、ノンカーボン用紙の端部がこすれて発色剤や顕色剤が混ざって発色し、単に芳香をしみこませただけではこのノンカーボン用紙特有の臭いを消しきれないという問題が生じる。
【0007】
本発明は、ハードウェアの改造を必要とすることなく手軽に印刷時の臭気を抑制することができるノンカーボン用紙を用いた印刷用紙パックを提供することを目的とし、好ましくは更に所望の香りを楽しむことが出来る印刷用紙パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の印刷用紙パックは、所定枚数のノンカーボン複写用紙である印刷用紙を収納した印刷用紙パックであって、前記ノンカーボン複写用紙の少なくとも2辺の端部に発色剤と顕色剤との反応を抑制するための減感剤を予め塗布した減感剤塗布部を備えたノンカーボン複写用紙と、前記ノンカーボン複写用紙を封入するための気密性の容器とを備えることを特徴とする。又、好ましくは、本発明の印刷用紙パックは、前記減感剤塗布部が所定の文字の形状又はロゴ又はマークの少なくともいずれか1つの形状の非塗布部分を含むことを特徴とする。又、好ましくは、本発明の印刷用紙パックは、前記減感剤塗布部は、前記印刷用紙の4辺それぞれに所定の幅で設けられてなることを特徴とする。
【0009】
又、好ましくは、本発明の印刷用紙パックは、所定の香料を塗布した台紙を更に備え、前記機密性の容器は、前記所定の香料を塗布した台紙の香りが前記ノンカーボン複写用紙に移ることにより、前記ノンカーボン複写用紙の印刷時において前記ノンカーボン複写用紙に移った所定の香料の香りを発散させるべく、前記台紙を更に封入することを特徴とする
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、ノンカーボン複写用紙の端部に発色剤と顕色剤との反応を抑制するための減感剤を予め塗布されているので、搬送時の印刷装置の用紙搬送用ローラとノンカーボン複写用紙とのこすれによる発色剤と顕色剤との反応による発色及びこの反応による臭いの発生を抑制することができる。
【0011】
又、請求項4記載の発明によれば、印刷品位を損なうことなく、又印刷装置側に何らの改造も必要とすることなく、所望の香りのノンカーボン複写用紙を用いて低コストに印刷することが可能となる。特にノンカーボン複写用紙を用いて大量に印刷した場合の臭気をこの香りで抑制し、香りによるセラピー効果やストレス解消効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の印刷用紙パックの台紙と印刷用紙であるノンカーボン複写用紙を示す模式図である。
【図2】本発明のフィルム包装材を用いた容器(封筒型)を示す模式図である。
【図3】本発明のほのかな香りを印刷用紙に移すための香りつき台紙を示す模式図である。
【図4】本発明の確かな香りを印刷用紙に移すための香りつき台紙を示す模式図である。
【図5】本発明のしっかりした、確かな香りを印刷用紙に移すための香りつき台紙を示す模式図である。
【図6】本発明のノンカーボン複写用紙の4辺の端部に減感剤を塗布した状態を示す平面図(模式図)である。
【図7】本発明のノンカーボン複写用紙の上下二辺の端部に減感剤を塗布した状態を示す平面図(模式図)である。
【図8】本発明のノンカーボン複写用紙の断面を示す模式図である。
【図9】本発明のノンカーボン複写用紙の断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施形態を説明する。本発明では、印刷用紙としてのノンカーボン複写用紙の少なくとも2辺の端部に予めノンカーボン複写用紙の発色剤と顕色剤との反応を抑制するための減感剤を予め塗布しておく点に第1の工夫がある。
【0014】
以下まず本発明の実施の形態の特徴的な部分を図6乃至図9を参照しつつ説明する。まず図6は本発明のノンカーボン複写用紙を示す平面図であり、減感剤を予め塗布しておく領域である端部71(減感剤塗布部)は、図6においてはノンカーボン複写用紙70の4辺全てにわたっている。この端部71はノンカーボン複写用紙70の端から5ミリ乃至最大で20ミリ程度の所定の幅、好ましくはノンカーボン複写用紙70の端から5ミリ乃至10ミリ程度の所定の幅を持つ部分であり、少なくともノンカーボン複写用紙70の片面に予め塗布しておくが、ノンカーボン複写用紙70の両面に予め塗布しておけば片面の塗布よりも更に発色防止効果が高まる。この所定の幅は4辺全てが同一の幅でも良いが、これに限らず各々異なる幅でも良く、一辺の全体にわたって同じ幅でなくとも良い。このように構成することでノンカーボン用紙を長手方向と長手方向でない方向のどちらの向きで搬送しても用紙搬送ローラーによるノンカーボン用紙端部の発色を抑制することができる。
【0015】
次に図7は本発明の他のノンカーボン複写用紙を示す平面図であり、減感剤を予め塗布しておく領域である端部81が、図7においてはノンカーボン複写用紙80の上下2辺のみである点が、図6とは異なる。他の点は図6と同様である。減感剤を予め塗布しておかない残りの他の二辺は通常用紙の搬送方向と垂直な2辺(図7では、ノンカーボン複写用紙80が印刷装置中で向かって左側に搬送される場合の左右側の2辺)である。これは印刷装置中の用紙搬送時に、搬送方向と平行な用紙の両側縁部が用紙搬送経路中で多くの搬送用ローラーで圧迫されるためである。
【0016】
次に図8及び図9を参照しつつ本発明のノンカーボン複写用紙の詳細について説明する。図8及び図9は本発明のノンカーボン複写用紙の断面を示す模式図である。図8のノンカーボン複写用紙では、印刷実行前には、帳票印刷用トナー1505はノンカーボン複写用紙には塗布されていない。他方減感剤1503は図6又は図7に示すように用紙端部71又は用紙端部81に予め塗布されている。図9のノンカーボン複写用紙についても、印刷実行前には、帳票印刷用トナー1605ノンカーボン複写用紙には塗布されていない。他方減感剤1603は図6又は図7に示すように用紙端部71又は用紙端部81に予め塗布されている。図8は3枚のノンカーボン複写用紙(上用紙1500、中用紙1510、下用紙1520)を使用して1つの帳票を作成するものであり、3枚の用紙はそれぞれ上面に顕色剤塗布層1501があり、下面にそれぞれ発色剤マイクロカプセル層1502が形成されている。図8及び図9の例では、3枚のノンカーボン複写用紙を使用して1つの複写帳票を作成しているが、これに限らず、2枚でもよいし、4枚以上で1つの複写帳票を作成しても良い。印刷処理が後に行われると、罫線や見出しを印刷するために各用紙帳票フォームに応じた所定の位置に帳票印刷用トナー1505が塗布される。
【0017】
図8に示すようなノンカーボン複写紙を用いて複写を行うには、1枚目のノンカーボン複写用紙(上用紙1500)の表面(すなわち、顕色剤塗布層1501の上面)にペン等を用いて記入が行われることによって、その圧力が裏面の発色剤マイクロカプセル1502に伝わり、発色剤マイクロカプセル1502が破れて発色剤が染み出して2枚目のノンカーボン複写用紙(中用紙1510)の表面の顕色剤塗布層1501の顕色剤と接触して複写されることとなる。他方、減感剤1503が予め塗布された領域では、ペン等の圧力により発色剤マイクロカプセルが破れても、減感剤1503と反応することで顕色との反応が殆ど防止されるので複写を実質的に防止できる。減感剤1503は好ましくは無色透明なものを用いる。減感剤1503は透明マイクロカプセルに減感剤を封入したものを用いても良いし、バインダーと減感剤を混合した固形タイプの減感剤を用いても良い。
【0018】
又図9は3枚のノンカーボン複写用紙(上用紙1600、中用紙1610、下用紙1620)を使用して1つの帳票を作成するものであり、3枚のノンカーボン複写用紙はそれぞれ上面に発色剤塗布層1601があり、下面にそれぞれ顕色剤マイクロカプセル層1602が形成されている点が異なる(要するに図8と比べると発色剤と顕色剤とが入替っている)。印刷処理が後で実行されると、各用紙の所定の位置に帳票印刷用トナー1605が塗布される。
【0019】
図6乃至図9に示すノンカーボン複写用紙において、発色剤カプセルは例えば特開平07−257072号公報に記載されているようなクリスタルバイオレットラクトンやベンゾイルロイコメチレンブルー等の電子供与性の発色剤をカプセルに封入したものを用いるがこれに限らない。顕色剤は例えば、油溶性フェーノール樹脂、酸性白土、芳香族カルボン酸の金属塩等を用紙に塗布して用いるがこれに限らない。マイクロカプセルタイプのトナーの壁材としては、従来感圧複写紙の発色剤含有マイクロカプセルの壁材として使用されている水不溶性、油不溶性のポリマーであれば特に制限されることなく使用できるが例えばポリウレタンウレア樹脂を用いる。印刷用紙の端部に予めしておく減感剤としては例えばジエチレントリアミンブチレンオキサイド付加物を用いるがこれに限らない。他方、固形タイプの減感剤は、例えばポリエステリ系のメインバインダーと減感剤としてのジエチレントリアミンブチレンオキサイド付加物とを混合させたものを用いるがこれに限らない。又例えばスチレン−ブタジエン共重合体系ラテックスのような公知のバインダーと上記の減感剤に白色顔料(例えばチタニアとリトポンを等量混合した白色顔料)を混ぜたものを白色減感トナーとして予め用紙端部に塗布しておくことも可能である。又、図9に示すノンカーボン複写紙においては、顕色剤カプセルは上記の顕色剤を上記のマイクロカプセルの壁材を用いたマイクロカプセルに封入して用いる。以上で特徴部分である第1の工夫に関する説明を終わる。
【0020】
本願では、更にノンカーボン複写用紙そのものに香りを転移させ、紙そのものが香る点に第2の工夫がある。以下図1乃至図5を用いて詳細に説明する。上述のようにノンカーボン複写用紙の端部に減感剤を塗布してノンカーボン複写用紙特有の臭いの発生を抑制するだけでなく、印刷時にノンカーボン複写用紙から香料の香りを放散させることで更に快適な印刷環境を提供することができる。
【0021】
香りの嗜好はさまざまであるため、多くの種類の香料を用意しこれら香料による香りを含んだ用紙を用意する必要がある。このため香り付きの印刷用紙は用紙をつくる際の製紙工程や、印刷工程や、裁断工程などで香りを用紙に付着させることは製造コスト面で得策ではない。そこで本発明では、できた用紙に、別の香料を含んだ用紙を密着させて、香りを移す。例えば香料を含んだ厚手の台紙で挟んだり、香料を含んだ薄手の包装用紙で包み、更に気密性の封筒型の容器に密封することによって、香料を含んだ用紙の香料を画像形成装置から出力させる用紙に転移させることで、簡便に香りのついた印刷用紙を作ることができる。
【0022】
このように構成することで、容器から用紙を出したことに香りが発散した「香りペーパー」は、外気に触れ、香りが弱くなったり、香りを喪失したとしても、もとの容器に戻し、再度香料を含んだ台紙に同封し、密閉することで再度香りのあるペーパーに復元することが可能となる。また、香りの強さは、香料を含んだ用紙の香料の塗布面積で調整することができる(後の図3乃至図5の説明で詳述する)。
【0023】
本発明で用いる香料は、例えば植物性由来の「レモン」、「ローズ」、「ラベンダー」、「キンモクセイ」、「ひのき(森林)」といった植物性香料、あるいはこれらの植物性香料の主成分だけを分離させた単離香料、又は「シベット」、「ムスク」等の動物性由来の香料、又は「アンバーコア」、「フルテート」、「シクロヘキシルサリシレート」等の各種の合成香料、更に各種香料を組合せた化粧用の香料である「香水」も選択肢として加えることができる。これは、香りを世の中に広めたい化粧品会社や、家庭日用品会社とタイアップすることで、広く世の中に香りを訴求・宣伝する効果を、この『香りペーパー』で実行することができるからである。これらの香料を使用した数多くの種類の香りつき印刷用紙を提供することで、印刷時及びその後でTPOに合った様々な香りを楽しむことが出来る。
【0024】
以下本発明の印刷用紙パックのノンカーボン用紙に更に香りをつける点について説明する。図1は本発明の香りつき用紙11と所定枚数(例えば100枚、500枚など)の印刷用紙の束であるノンカーボン複写用紙束10と香りつき台紙12により、香りつき台紙11及び12の香りがノンカーボン複写用紙束10に移ることを示す模式図である。香りつき用紙11はノンカーボン複写用紙束10の表側に重ね、香りつき用紙12はノンカーボン複写用紙束10の裏側に重ね、三者をサンドイッチ状にすることで、香りつき台紙11及び12の香りがノンカーボン複写用紙束10に移る。
【0025】
図2は本発明のフィルム包装材を用いた気密性の封筒型の容器20を示す模式図である。容器20の本体には気密性の高いフィルム包装材を用いる。この容器20は開封口の蓋部分に糊止21と糊止22とを合計2本備える。糊止は3本以上でも良い。このように構成することで、香りが外に漏れにくくなると共に、一つの糊止が、何度も開封することで壊れて粘着できなくなっても、他の糊止が香りの漏れを防止する機能を果たす。この開封口の糊止の糊は、何度も再度接着できるタイプの糊を用いる。
【0026】
このようにノンカーボン複写用紙束10の両側を香りつき台紙11と香りつき台紙12とでサンドイッチ状に挟み、香りつき台紙11とノンカーボン複写用紙束10と香りつき台紙12とを容器20に入れ密閉することで、香り付き印刷用紙パックを構成する。
【0027】
次に図3乃至図5は香りつき台紙11及び香りつき台紙12の異なる箇所に香料を塗布することでノンカーボン複写用紙束10に移る香りの強さを調節する旨を説明するための模式図である。図3は印刷用紙にほのかな香りを移すための香り付き台紙30の周辺部31に所定の香料を染み込ませたことを示す模式図である。このように周辺部だけに所定の香料を塗布又は浸み込ませることで少ない香料で効果的に香りをノンカーボン複写用紙束10の各印刷用紙に移すことができる。
【0028】
図4は印刷用紙に確かな香り(ほのかな香りよりも強い香り)を移すための香り付き台紙40の周辺部41と中央部42に所定の香料を浸み込ませたことを示す模式図である。周辺部41と中央部42用紙を合わせて、印刷用紙の半分程度の面積に香りを塗布、浸み込ませる。このように周辺部41と中央部42とに所定の面積割合で所定の香料を塗布又は浸み込ませることでより強い香りをノンカーボン複写用紙束10の各印刷用紙に移すことができる。ここで周辺部41の香料塗布部又は香料含浸分の幅は図3の周辺部31の幅よりも2倍乃至3倍程度大きくなっている。
【0029】
次に図5は印刷用紙にしっかりした、確かな香り(確かな香りよりも更に強い香り)を移すための香り付き台紙50の全面に所定の香料を浸み込ませたことを示す模式図である。このように台紙の全面に所定の香料を塗布又は浸み込ませることでより強い香りをノンカーボン複写用紙束10の各印刷用紙に移すことができる。又一旦容器20から印刷用紙を取り出して印刷装置にセットし、ノンカーボン複写用紙の香りがしなくなった場合でも、このノンカーボン複写用紙を再び容器20の中に密封することで、ノンカーボン複写用紙から再び香りがするようにリフレッシュすることができる。
【0030】
[他の実施例]
実施例2:ノンカーボン複写用紙束10よりも大きな不図示の香りつき台紙を内箱としてノンカーボン複写用紙束10を収納し、香りつき台紙の香りをノンカーボン複写用紙束10に転移させることで、ノンカーボン複写用紙束10の各印刷用紙を「香りペーパー」にする。実施例3:香りつき台紙を薄手にしてノンカーボン複写用紙束10を包装することで香りつき台紙の香りをノンカーボン複写用紙束10に転移させることで、ノンカーボン複写用紙束10の各印刷用紙を「香りペーパー」にする。
【0031】
実施例3:ノンカーボン複写用紙の端部に減感剤を所定の幅で予め塗布する際に所定の文字やロゴやマークの形状に該当する部分には減感剤を塗布しないことによって、この非塗布部分では搬送の際の擦れによって発色剤と顕色剤が混じって、発色することになる。これらの文字やロゴやマークはそれぞれ複数用いても良いし、これら文字やロゴやマークを組み合わせても良い。このように構成することで、例えば契約書等の重要書類の原紙をこのノンカーボン複写用紙を用いて印刷すれば、この原紙の端部の減感剤の非塗布部分が文字やロゴやマークの形状で発色するのでセキュリティを向上させることができる。この文字やロゴやマークには例えば会社のロゴや会社名の形状を用いる。
【0032】
実施例4:上述の実施例3における、文字やロゴやマークの形状の減感剤の非塗布部分を備え、用紙の端部に所定幅の減感剤を塗布したノンカーボン複写用紙で、減感剤の非塗布部分の形状をオンデマンドで指定することも可能である。その際減感剤の塗布は印刷装置に内蔵した減感剤タンクの減感剤を所望の形状を非塗布領域とするようにノンカーボン複写用紙の端部に塗布し、その後で印刷用トナー又はインクをノンカーボン複写用紙に塗布し、その後でトナーは更に定着させてから、排紙する。文字やロゴやマークの位置や数や大きさは例えばコンピュータの印刷レイアウトソフトで編集して印刷フォームの一部として記憶し、その後で印刷を実行する。このようにいわば減感剤をトナー又はインクの一つとしてフォームを作成し、印刷を実行することでオンデマンドで文字やロゴやマークの形状を発色させることができる。
【符号の説明】
【0033】
10 印刷用紙
11 香り付き台紙
12 香り付き台紙
20 容器(フィルム包装材)
21 糊止め
22 糊止め
30 香り付き台紙(香料を周辺部に塗布)
31 香料の塗布部分(周囲)
40 香り付き台紙(香料を周辺部と中央部に塗布)
41 香料の塗布部分(周辺部)
42 香料の塗布部分(中央部)
50 香り付き台紙(香料を全面に塗布)
70 ノンカーボン複写用紙
71 ノンカーボン複写用紙の端部(4辺全て減感剤塗布)
80 ノンカーボン複写用紙
81 ノンカーボン複写用紙の端部(4辺中2辺に減感剤塗布)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数のノンカーボン複写用紙である印刷用紙を収納した印刷用紙パックであって、
前記ノンカーボン複写用紙の少なくとも2辺の端部に発色剤と顕色剤との反応を抑制するための減感剤を予め塗布した減感剤塗布部を備えたノンカーボン複写用紙と、
前記ノンカーボン複写用紙を封入するための気密性の容器とを
備えることを特徴とする印刷用紙パック。
【請求項2】
前記減感剤塗布部は、前記印刷用紙の4辺それぞれに所定の幅で設けられてなることを特徴とする請求項1記載の印刷用紙パック。
【請求項3】
前記減感剤塗布部は所定の文字の形状又はロゴ又はマークの少なくともいずれか1つの形状の非塗布部分を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の印刷用紙パック。
【請求項4】
所定の香料を塗布した台紙を更に備え、
前記気密性の容器は、前記所定の香料を塗布した台紙の香りが前記ノンカーボン複写用紙に移ることにより、前記ノンカーボン複写用紙の印刷時において前記ノンカーボン複写用紙に移った所定の香料の香りを発散させるべく、前記台紙を更に封入することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の印刷用紙パック。
【請求項5】
前記台紙の所定位置に所定の面積割合で、前記所定の香料が塗布されており、
前記所定位置は前記台紙の周辺部、又は前記台紙の周辺部及び中央部、又は前記台紙の全面であることを特徴とする請求項4に記載の印刷用紙パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−31480(P2011−31480A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179800(P2009−179800)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】