説明

印刷用紙

【課題】優れた不透明度及び印刷適性を有する印刷用紙を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、填料が内添され、両面に表面処理剤が塗工された印刷用紙であって、上記填料として複合粒子を用い、この複合粒子が、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体及びこの凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカを有し、灰分が5%以上13%以下であることを特徴とする。上記表面処理剤が酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉を含有するとよい。また、上記複合粒子におけるシリカの含有率が5質量%以上30質量%以下であるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源問題及び経費削減の観点から、新聞用紙等の印刷用紙は軽量化される傾向にある。しかし、印刷用紙を軽量化した場合、白紙不透明度や印刷後不透明度(以下、これら両不透明度を単に「不透明度」ともいう。)が低下するという不都合を有する。この対策として、紙に種々の填料を内添し、不透明度を高めることが一般的に行われている。上記填料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子などが用いられている。これらの中でも、二酸化チタンは屈折率が高く、光散乱能に優れるため、不透明度の向上には有効ではある。しかし、この二酸化チタン粒子は、高価であり、吸油能が小さく、加えて粒子径が小さいことに起因して抄紙の際の歩留りが低いという不都合を有している。
【0003】
このような中、填料としての二酸化チタン粒子の歩留りを向上させるべく、各種方法が提案されている。この方法としては、(1)炭酸カルシウム粒子と酸化チタン粒子とを特定の凝集剤(カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アクリル酸モノマー等)を用いて凝集させて凝集粒子を得る方法(特開2004−18336号公報及び特開平6−93204号公報参照)や、(2)水酸化カルシウムの水性懸濁液に二酸化炭素含有ガスを吹き込んで炭酸カルシウムを生成させる炭酸化反応を利用し、この炭酸化の過程で炭酸カルシウム粒子の表層に二酸化チタン粒子を含有させる方法(特開2002−201592号公報参照)が挙げられる。
【0004】
しかし、上記(1)の特定の凝集剤を用いる方法によれば、凝集剤による炭酸カルシウム粒子と酸化チタン粒子との結合は強いものではないため、抄紙の際にこの凝集状態が維持されないこと等により、十分な歩留り向上効果を得ることができず、その結果、得られる紙の不透明度が十分ではない。また、上記(2)の炭酸化反応を利用する方法によれば、二種類の粒子はある程度の強度で結合されるものの、得られる粒子の吸油量が不十分であり、得られる印刷用紙の印刷適性を十分に高めるものではない。従って、従来の二酸化チタン含有複合粒子を填料として用いた印刷用紙は、不透明度及び印刷適性がともに満足されるものであるとは言い難く、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−18336号公報
【特許文献2】特開平6−93204号公報
【特許文献3】特開2002−201592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、優れた不透明度及び印刷適性を有する印刷用紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた発明は、
填料が内添され、両面に表面処理剤が塗工された印刷用紙であって、
上記填料として複合粒子を用い、
この複合粒子が、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体及びこの凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカを有し、
灰分が5%以上13%以下であることを特徴とする。
【0008】
当該印刷用紙に内添される上記複合粒子は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体を核として有するため、粒径が比較的大きく、優れた歩留り性及び不透明度向上能を発揮することができる。さらに、上記複合粒子は、表面の少なくとも一部がシリカで被覆されているため、上記二種類の粒子が強固に固定され、抄紙等の工程においても、この凝集状態を維持することができるため特に歩留り性に優れる。また、上記複合粒子は、表面の少なくとも一部を被覆するこの多孔質状のシリカの優れた吸油能により、高い吸油量を発揮することができる。従って、当該印刷用紙は、所定範囲の灰分量においても、優れた不透明度及び印刷適性を発揮することができる。
【0009】
上記表面処理剤が酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉を含有するとよい。このように表面処理剤として、酸化澱粉とヒドロキシエチル化澱粉とを含むものを用いていることで、この表面処理剤の塗布の際、上記2種の澱粉が原紙内部にまで浸透せず、表面で強固な被膜を形成する。従って当該印刷用紙は、表面強度が高く、紙粉の発生を抑制できるため、印刷適性をより高めることができる。また、当該印刷用紙によれば、印刷の際のネッパリトラブルの発生も抑制される。加えて、当該印刷用紙によれば、表面処理剤が内部まで浸透せず、表面で被膜を形成していることで、紙内部の空隙を残存させることができ、白紙不透明度及び印刷不透明度をさらに高めることができる。
【0010】
上記複合粒子におけるシリカの含有率が5質量%以上30質量%以下であるとよい。当該印刷用紙によれば、複合粒子のシリカ含有率を上記範囲とすることで、抄紙の際等においても二種類の粒子の凝集状態を十分に維持することができ、その結果、歩留り性をより高めることができる。加えて、当該印刷用紙によれば、上記複合粒子におけるシリカと他の粒子とのバランスにより優れた白紙不透明度と印刷不透明度との両立を図ることができる。
【0011】
上記複合粒子の平均粒子径が2μm以上15μm以下であるとよい。上記複合粒子の平均粒子径を上記範囲とすることで、当該印刷用紙の紙力の低下を抑えつつ、より優れた歩留り性及び不透明度を発揮することができる。
【0012】
上記炭酸カルシウム粒子の平均粒子径(一次粒子径)が0.5μm以上3μm以下であり、上記二酸化チタン粒子の平均粒子径(一次粒子径)が0.2μm以上1μm以下であるとよい。上記複合粒子の形成において、上記範囲の粒径を有する二種類の粒子を用いることで、比較的粒径の大きい炭酸カルシウム粒子を核として、この表面を覆うように粒径の小さい複数の二酸化チタン粒子が凝集した状態を形成しやすく、二酸化チタン粒子の優れた光散乱能を十分に発揮させることができる。従って、当該印刷用紙によれば、不透明度をより高めることができる。また、このような粒径の2種の粒子を用いることで、得られる複合粒子の粒度分布が狭くなり、歩留り性をより高めることができる。また、このように複合粒子の粒度分布が狭いことで、紙中に均一に分布することができ、高灰分としなくても軽量化に対応することができる。
【0013】
ここで、平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積平均粒径(D50)をいう。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の印刷用紙によれば、優れた不透明度及び印刷適性を発揮することができ、新聞用紙等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の印刷用紙の実施の形態を詳説する。
【0016】
本発明の印刷用紙は、複合粒子を含む填料が原紙に内添され、この填料が内添された原紙の両面に表面処理剤が塗工されてなる。まず、複合粒子及び表面処理剤について説明し、次いで、他の構成要素について説明する。
【0017】
<複合粒子>
上記複合粒子は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体、及びこの凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカを有する。
【0018】
上記複合粒子は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体を核として有するため、粒径が比較的大きく、優れた歩留り性及び不透明度向上能を発揮することができる。さらに、上記複合粒子は、表面の少なくとも一部がシリカで被覆されているため、上記二種類の粒子が強固に固定され、抄紙等の工程においても、この凝集状態を維持することができるため特に歩留り性に優れる。また、上記複合粒子は、表面の少なくとも一部を被覆するこの多孔質状のシリカの優れた吸油能により高い吸油量を発揮することができる。
【0019】
上記複合粒子の平均粒子径としては、2μm以上15μm以下が好ましく、4μm以上10μm以下がさらに好ましい。上記複合粒子は、上記範囲の平均粒子径を有することにより、填料として用いた際、紙力の低下を抑えつつ、より優れた歩留り性能を発揮することができ、不透明度等を効率的に高めることができる。
【0020】
上記複合粒子の平均粒径が上記下限未満の場合は、填料として用いたときに歩留り性が十分に向上しないおそれがあり、また、不透明度向上能も十分ではない。一方、この平均粒子径が上記上限を超えると填料として用いた場合、パルプ繊維間の強度を低下させる結果、紙力が低下する場合があり、また、粒径が大きいことで、スラリー中での均一分散性が低下し、不透明度及び印刷後不透明度が低下するおそれがある。
【0021】
上記炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との含有比(質量比)としては、30:70〜90:10が好ましく、50:50〜90:10がさらに好ましい。両粒子の含有比をこのような範囲とすることで、凝集体を炭酸カルシウム粒子を核として、この表面に粒径の小さい二酸化チタン粒子を効率的に凝集した状態とすることができる。従って、上記複合粒子によれば、二酸化チタン粒子の優れた光散乱能を活かしつつ、凝集体として粒径を大きくすることで、より優れた歩留り性を発揮することができる。
【0022】
<炭酸カルシウム粒子>
上記炭酸カルシウム粒子は、平均粒子径(一次粒子径)が0.5μm以上3μm以下のものが好ましく、0.8μm以上2.5μm以下がさらに好ましい。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることで、二酸化チタン粒子との凝集及びシリカによる被覆と相まって、上記複合粒子を製紙における填料として用いた際の歩留り性や不透明度等を高めることができ、ワイヤー摩耗性を改善することができる。
【0023】
上記炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が上記下限未満の場合は、個々の炭酸カルシウム粒子における光の散乱能が小さく不透明度が向上しにくいことに加え、粒径が小さいため凝集剤によっても十分に凝集が進行せず、抄紙の際の歩留りが向上しにくい。逆に、この平均粒子径が上記上限を超える場合は、凝集の際、所望するサイズの凝集体を得ることが困難になる場合があるとともに、摩耗性が高くなり抄紙用具を損傷させる場合がある。
【0024】
この炭酸カルシウム粒子としては、軽質炭酸カルシウム又は重質炭酸カルシウムのいずれでもよいが、重質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。重質炭酸カルシウムは、粒度分布が広く、不定形であり、かつ表面に多数のナイフエッジを有する。上記複合粒子の凝集体は、このような重質炭酸カルシウムの粒子を用いることにより、粒径の小さい炭酸カルシウム粒子の場合は、複数の炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集状態となり、粒径の大きい炭酸カルシウム粒子の場合は、粒径の小さい二酸化チタン粒子等が表面に凝集している状態となるため、粒度分布が狭くなり、歩留り性をより高めることができる。さらに上記複合粒子は、シリカの表面への析出により多孔質形状となっており、粒子密度が高い重質炭酸カルシウムを用いながら吸油量が高く、印刷後不透明度を高めることができる。
【0025】
この重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石を粉砕・分級する方法で調製することができるし、粉粒体として入手できる市販の重質炭酸カルシウムを必要に応じて粉砕・分級して用いることもできる。ここでいう粉砕には、例えば、ロールミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機等の乾式粉砕機による粉砕、湿式ボールミル、振動ミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミル等の湿式粉砕機による粉砕が挙げられ、これらの粉砕機を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0026】
また、分級方法としては、例えば、共振振動ふるい、ローヘッドスクリーン、電磁スクリーン等のふるい分け、ミクロンセパレーター、サイクロン等の乾式分級、デカンタ型遠心分離機、液体サイクロン、ドラッグ分級機等の湿式分級が挙げられ、これらの分級機を適宜組み合わせて使用することができる。
【0027】
<二酸化チタン粒子>
上記二酸化チタン粒子は、平均粒子径(一次粒子径)が0.2μm以上1μm以下であることが好ましく、0.3μm以上0.8μm以下がさらに好ましい。また、上記炭酸カルシウムの平均粒子径に対する、上記二酸化チタン粒子の平均粒子径としては、0.1倍以上0.5倍以下であるとよい。
【0028】
上記二酸化チタン粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることで、上述した炭酸カルシウム粒子との凝集により、上記複合粒子が適度なサイズとなり、歩留り性や不透明度等に優れた複合粒子を効率的に得ることができる。すなわち、上記複合粒子によれば、好ましくは上記範囲の粒径を有する二種類の粒子を用いることで、比較的粒径の大きい炭酸カルシウム粒子を核として、この表面を覆うように粒径の小さい複数の二酸化チタン粒子が凝集する状態を形成しやすく、二酸化チタン粒子の優れた光散乱能を十分に発揮させることができるため、不透明度をより高めることができる。
【0029】
上記二酸化チタン粒子としては、特に限定されず、製紙用として公知のものを用いることができる。この二酸化チタン粒子の結晶形態としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型等のいずれも使用することができるが、ルチル型又はアナターゼ型を用いることが好ましい。
【0030】
<凝集剤>
上記凝集剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができるが、本発明者等の知見によると、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを含むスラリーを用い、炭酸カルシウム粒子を核とした凝集を生じさせるには、カチオン性高分子を用いることが好ましく、カチオン性合成高分子を用いることがさらに好ましい。凝集剤としてカチオン性高分子を用いることで、高分子鎖によって粒子を絡みとる作用のみならず、負に帯電している各粒子を電気的に凝集させることができるため好ましい。また、カチオン性合成高分子を用いることで、この凝集剤のカチオン電荷密度及び好適な分子量を容易に調整することができる。
【0031】
この凝集剤の質量平均分子量の下限としては、400万が好ましく、600万がさらに好ましく、700万が特に好ましい。一方、この質量平均分子量の上限としては、2,000万が好ましく、1,200万がさらに好ましく、1,000万が特に好ましい。凝集剤の分子量を上記範囲とすることで、炭酸カルシウム粒子を核とする凝集を効果的に生じさせることができる。特に、上述のような平均粒子径を有する各粒子に対しては、このような範囲の分子量を有する凝集剤を用いることで、所望する粒子径を有する凝集体を効率的に得ることができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)を用いて測定した数値である。
【0032】
凝集剤の質量平均分子量が上記下限未満の場合は、十分な凝集能を発揮することができず、粒子の凝集が進まないため、歩留りの向上が発揮されないおそれがある。逆に、この平均分子量が上記上限を超える場合は、凝集能が強すぎて、偏凝集の発生や、スラリーの粘度が上昇して抄紙の作業性が低下したり、得られる紙の紙力が低下したりするおそれがある。
【0033】
また、凝集剤のカチオン電荷密度の上限としては、10meq/gが好ましく、5meq/gがさらに好ましく、3meq/gが特に好ましい。一方、このカチオン電荷密度の下限としては、0.1meq/gが好ましく、0.5meq/gがさらに好ましく、1meq/gが特に好ましい。凝集剤のカチオン電荷密度を上記範囲とすることで、上述した好適な凝集性を発揮することができる。なお、凝集剤として複数の成分を用いる場合は、その凝集剤全体としてのカチオン電荷密度をいう。
【0034】
なお、上記カチオン電荷密度は以下の方法で測定した値である。試料をpH4.0の水溶液に調整した後、流動電位法に基づく粒子荷電測定装置(Muteck PCD−03)にて、1/1000規定のポリビニル硫酸カリウム水溶液を用いた滴定によって、アニオン要求量を測定する。下記式(1)により試料1gあたりのカチオン電荷密度を計算する。
カチオン電荷密度=A/B ・・・ (1)
A:pH4.0に調整した凝集剤水溶液のアニオン要求量(μeq/L)
B:凝集剤水溶液の固形分濃度(g/L)
【0035】
凝集剤のカチオン電荷密度が上記上限を超えると、各粒子表面全体がカチオン電荷を帯び、電荷による反発で凝集が生じにくくなる場合がある。逆に、凝集剤のカチオン電荷密度が上記下限未満の場合は、負に帯電している粒子を電気的に凝集させることができる効果を十分に発揮することができず、ブロードな粒度分布となる場合がある。
【0036】
凝集剤として好適に用いられることのできるカチオン性合成高分子としては、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体の単独重合物又は非イオン性単量体との共重合物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)、ジアルキルアミン−エピクロルヒドリン縮合物、アルキレンジクロライド−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリビニルアミジン、キトサン、ポリアルキレンポリアミンなどを挙げることができ、これらを1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
上記炭酸カルシウム粒子と二酸化チタンの凝集体は、凝集能は改善されているものの、そのまま填料として用いると抄紙の際の機械的撹拌等により凝集状態が維持されず十分な歩留り向上、不透明度向上が得られない場合があった。本発明者らは凝集体スラリー中で凝集体にシリカを複合させ炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子のバインダーとすることで力学的な強度を持たせ、吸油量も高く不透明性も優れた複合粒子とすることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0038】
<シリカ>
上記炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体を被覆するシリカとしては、特に限定されず公知のものを用いることができる。なお、後述するように水溶液中でシリカを析出し被覆させることで、効率的に凝集体に被覆させることができ、かつ、多孔質状に被覆させることができるため優れた吸油能を発揮することができる。
【0039】
このシリカの含有率(以下、被覆率という場合もある)としては、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上25質量%以下がさらに好ましい。シリカ含有率をこのような範囲とすることで、抄紙の際等においても二種類の粒子の凝集状態を十分に維持することができ、その結果、歩留りをより高めることができることに加え、シリカと他の粒子とのバランスにより優れた白紙不透明度と印刷不透明度との両立を図ることができる。なお、このシリカ含有率とは、粒子の元素分析を行い、含有する構成成分から炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ等の含有割合を推定し、シリカ被覆後のシリカ成分の含有率から算出することができる。また、シリカの含有率とは、複合粒子全体の質量に対するシリカの質量の割合をいう。
【0040】
シリカ含有率が5質量%未満であると、このシリカが炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とのバインダーとして十分に機能せず、抄紙の際に凝集体が分断し、歩留り及び白紙不透明度が十分に向上しないおそれがある。また、シリカによる十分な吸油量の向上効果が発揮されず、印刷不透明度が向上しない場合がある。他方、シリカ含有率が30質量%を超えると、微細なシリカ粒子の充填が過度となり、二酸化チタン粒子の光散乱機能が十分に発揮されず、白紙不透明度が低下するおそれがある。
【0041】
上記複合粒子の吸油量は、30mL/100g以上100mL/100g以下、より好ましくは40mL/100g以上80mL/100g以下の範囲が好ましい。このような吸油量を有する複合粒子を内添填料として使用すると、紙層中においてこの複合粒子が紙層中に含浸されるインクのビヒクル分や有機溶剤等を吸収するため用紙の印刷不透明度が低下するのを抑制し、また、インクのビヒクル分や有機溶剤等を吸収することで、インク乾燥性やニジミの防止効果を顕著に発揮することができる。この吸油量が30mL/100g未満の場合には上記の効果が十分でなく、複合粒子がインクの吸収・乾燥性を阻害する傾向が生じる場合が有る。また吸油量が100mL/100gを超えると、インクの吸収性が高いためインクの沈みこみ、いわゆる発色性が劣る不都合が生じる場合がある。
【0042】
<複合粒子の製造方法>
上記複合粒子の製造方法としては特に限定されないが、例えば、
(1)炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを凝集剤により凝集させて凝集体を得る凝集工程、及び
(2)上記凝集体表面の少なくとも一部にシリカを被覆させるシリカ被覆工程
を有する方法を挙げることができる。以下、各工程について順に詳説する。
【0043】
<(1)凝集工程>
この凝集工程は、例えば炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを水中へ分散させた粒子スラリーへ、凝集剤を添加することによって行うことができる。両粒子の水中への分散は、この2種の粒子を同時に水中へ分散させてもよいし、炭酸カルシウム粒子を水中へ分散させた炭酸カルシウム粒子スラリー中に二酸化チタン粒子を分散させてもよく、その逆であってもよい。
【0044】
粒子スラリーにおける両粒子(炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との合計)の固形分濃度としては、5質量%以上40%質量以下が好ましく、10質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上25質量%以下が特に好ましい。粒子スラリーの濃度を上記範囲とすることで、粒子を効率良く凝集させることができる。
【0045】
粒子スラリーの濃度が上記下限未満の場合は、凝集剤の添加によっても、粒子が好適な粒径にまで凝集しないおそれがある。一方、粒子スラリーの濃度が上記上限を超える場合は、粘度が高すぎて作業性が低下したり、また、複合粒子の粒度分布が広がり、歩留りが低下するおそれがある。
【0046】
また、凝集剤の添加量としては、炭酸カルシウム粒子及び二酸化チタン粒子の合計固形分に対して、固形分換算で200ppm以上3,000ppm以下が好ましく、1,000ppm以上2,500ppm以下がさらに好ましく、1,500ppm以上2,000ppm以下が例えば重質炭酸カルシウム粒子がもつブロードな粒度分布において、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を効果的に発揮するため特に好ましい。
【0047】
凝集剤の添加量が上記下限未満の場合は、十分な凝集を発揮させることができず、歩留りの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、凝集剤の添加量が上記上限を超えると、スラリーの増粘が顕著に生じたり、三次、四次凝集が生じ、得られる紙の紙力が低下する場合がある。
【0048】
発明者らの知見によると、好適な凝集体スラリーの粘度は、500cpsを境に大きく変化し、500cpsを超える粘度だと作業性が悪化するとともに、抄紙系内の汚れが顕在化する不都合が生じるおそれがある。特に好ましくは、450cps以下、さらには350cps以下に調整することで、作業性の改善と得られる複合粒子の粒度分布をよりシャープにすることができる。
【0049】
<(2)シリカ被覆工程>
このシリカ被覆工程においては、上記工程で得られた凝集体の表面にシリカを被覆させる。このシリカの被覆方法としては、凝集体スラリーに珪酸アルカリ水溶液と鉱酸とをこの順に添加し、凝集体表面にシリカを被覆させる方法や、ケイ酸アルカリ水溶液に凝集体スラリーを加えて混合し、その後鉱酸を添加してシリカを被覆させる方法などを挙げることができる。鉱酸の添加は、少なくとも2段階に分けて添加し、シリカ複合の反応を行うことが好ましい。
【0050】
上記珪酸アルカリ水溶液は特に限定されないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手に容易である点で望ましい。
【0051】
上記鉱酸としては希硫酸、希塩酸、希硝酸などの鉱酸の希釈液等が挙げられるが、価格や、ハンドリングの点、炭酸カルシウム中のカルシウム分の溶出防止や設備・装置の腐食対策と言った理由で希硫酸が最も好ましい。この希硫酸の濃度は、4〜10N程度の濃度が好ましい。希硫酸の濃度が4N未満では反応が遅く、10Nを超えると局部的な反応が生じ、炭酸カルシウム粒子が変質するおそれがある。また、鉱酸を急激に添加すると短時間でシリカが析出してしまい均一に反応しない(均一に複合されない)可能性があるため、5分以内での添加は避けるのが好ましい。
【0052】
本工程における反応温度に関しては、50〜100℃の範囲、特に50〜98℃が好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果から、本発明に使用する炭酸カルシウム粒子及び二酸化チタン粒子の凝集体とシリカとの反応温度はシリカの生成、結晶成長速度及び形成されたシリカ被覆複合粒子の力学的強度に影響を及ぼす。反応温度が50℃未満ではシリカの生成・成長速度が遅く、形成されたシリカ被覆複合粒子の被覆性に劣り、複合したシリカの剥落や炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子のバインダーとして十分に機能せず剥離が生じやすく、填料内添紙の抄造時にかかる剪断力で凝集粒子が壊れやすいおそれがある。また、100℃を超えると、水系反応であるためオートクレーブを使用しなければならないため反応工程が複雑になってしまう。
【0053】
本発明では、鉱酸の少なくとも2段の添加と、その際の温度管理を行うのが望ましい。すなわち、第1段階目の鉱酸添加時のスラリー温度が50〜75℃であり、第2段階目以降の鉱酸添加時のスラリー温度が少なくとも第1段階目よりも10℃以上昇温することが望ましい。具体的に望ましい温度条件としては、第1段階の液温を50〜75℃未満、第2段階を70以上〜100℃と鉱酸の添加段数に併せて昇温させること、反応の最終段階で90℃以上で98℃以下の温度状態にすることであり、これらの温度条件によって、より均質なシリカ複合粒子を得ることができる。
【0054】
最終反応液のpHは8.0〜11.0が好ましく、8.3〜10.0がより好ましく、8.5〜9.0が最も好ましい。従来の珪酸アルカリと鉱酸を反応させて得られるシリカ粒子(ホワイトカーボン)の製造においては、珪酸アルカリと鉱酸の反応を完了させるため、pH5.5〜7.0になるまで硅酸アルカリ中に鉱酸を添加する方法が採用されているが、pHが7.0以下と酸性領域になるまで鉱酸を添加すると、炭酸カルシウムに含まれるカルシウム成分が水酸化カルシウムに化学反応しやすくなり、得られるシリカ複合粒子の体積平均粒子径が過度に低下したり、形状が不均質になり、紙への歩留り低下や紙粉の発生、充分な不透明性が得られにくくなるため好ましくない。pHが11.0を超えると、硅酸アルカリと鉱酸の反応が鈍り、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子の凝集体の表面にシリカが複合しにくくなるため、充分な不透明性が得られにくい問題を生じるおそれがある。
【0055】
鉱酸の添加を1段階で行う場合、鉱酸の添加時間を、40分以上添加時間がかかるように添加量を設定することが好ましい。本発明において前述のように鉱酸は2段階以上で添加するのが望ましい。この場合、各段階における鉱酸の添加量を均等に添加することが均質なシリカ複合を得るうえで好ましい。また、1段階の添加(硅酸アルカリ水溶液に対して鉱酸が20〜50%の中和率となるまでの添加)後に、5分〜20分程度の保留時間を作ることで、シリカ複合反応に保留状態を設け、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子の凝集体に均質にシリカを複合させ、第2段階目の鉱酸添加により、さらにシリカを積層複合化を促進させることが可能になり、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子の凝集体の表面に、より均一にシリカを複合することができる。
【0056】
2段階以上で鉱酸を添加する場合は、1段階の鉱酸添加時間は、10分〜45分の時間がかかるように添加量を設定することが炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体表面にシリカを均等に複合させるにおいて好ましい。2段階以上で鉱酸を添加する場合は、2段階以降の鉱酸の添加時間を10〜120分程度の時間がかかるように添加量を設定することが、均質なシリカ複合に好ましい。
【0057】
得られる複合粒子の体積平均粒子径は2μm以上15μm以下が好ましく、4μm以上10μm以下がさらに好ましい。複合粒子の体積平均粒子径が2μm未満では、シリカ複合の効果が十分に発現できず、吸油量及び不透明度の向上効果が見られないおそれがあり、複合粒子の体積平均粒子径が15μmを超えると、紙中に内添する填料として用いた場合、パルプ繊維間の結合強度を低下させ紙力が低下するおそれがある。
【0058】
また、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体のシリカ被覆を行う場合、例えば凝集体スラリーを珪酸アルカリ水溶液に添加、分散しスラリーを調製するが、この凝集体と珪酸アルカリを混合したスラリー濃度は、8〜14質量%が好ましい。スラリー濃度を調整することにより、形成されるシリカ被覆複合粒子の粒径がコントロールされる。なお、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体に対する珪酸アルカリ(SiO換算)の固形分比を調整することで形成されるシリカ複合粒子の粒径がコントロールされると同時に凝集体とシリカの組成比率を調整できる。
【0059】
<表面処理剤>
上記表面処理剤としては、特に限定されず、澱粉類、セルロース類、水溶性合成接着剤等、公知のものを適宜用いることができるが、酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉(HES)を含有することが好ましい。
【0060】
当該印刷用紙において、両面に塗布する表面処理剤として、このように酸化澱粉とヒドロキシエチル化澱粉とを含むものを用いていると、この表面処理剤の塗布の際、上記2種の澱粉が原紙内部にまで浸透せず、表面で強固な被膜を形成する。従って、当該印刷用紙は、表面強度が高く、紙粉の発生を抑制できるため、印刷作業性に優れる。また、当該印刷用紙によれば、印刷の際のネッパリトラブルの発生も抑制される。
【0061】
上記2種の澱粉を用いることで原紙内部までこの澱粉が浸透せず、表面で強固な被膜を形成する原因は定かではないが、酸化澱粉が有するカルボキシル基等と、ヒドロキシエチル化澱粉が有する水酸基とが結合(エステル化反応等)し架橋することで高分子化し内部まで浸透しにくくなることが考えられる。また、この2種の澱粉を混合することで、適度な粘度になること、上記エステル化によりこの澱粉とパルプ繊維を構成するセルロースとの親和性が低下し、浸透しにくくなることも原因と考えられる。なお、上記粘度の低下は、2種の澱粉の反応が原因とも考えられる。さらに、当該印刷用紙のネッパリトラブルの発生の抑制も上記エステル化等による澱粉の親水性低下が原因とも考えられる。
【0062】
特に、当該印刷用紙においては、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体を更にシリカで表面の少なくとも一部を被覆した複合粒子が内添されているため、酸化澱粉とヒドロキシエチル化澱粉とを含む表面処理剤を塗布することで表面でより強固な被膜が形成され、印刷適性等をさらに高めることができる。なお、上記複合粒子を用いることで、表面強度が高まる理由は定かではないが、上記複合粒子が各種酸化物等から形成される混合物であることで、何らかの成分が、上記2種の澱粉のエステル化反応等の触媒的機能を果たし、表面処理剤を塗布した際に、この触媒作用により、表面の被膜形成性が向上することなどが考えられる。なお、この複合粒子は不定形かつ多孔質形状を有すため、この形状が上記触媒機能を高めていることも考えられる。
【0063】
加えて、当該印刷用紙によれば、このように表面処理剤が内部まで浸透せず、表面で被膜を形成していることで、紙内部に空隙を残存させることができる。当該印刷用紙によれば、この空隙のため紙内部での光の散乱度合いが高まり、その結果、白紙不透明度及び印刷不透明度を高めることができる。
【0064】
上記酸化澱粉としては、例えば次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって、分子中へのカルボキシル基等の導入が行われたものがあげられる。この酸化澱粉の質量平均分子量としては50万以上100万以下であるとよい。また、上記ヒドロキシエチル化澱粉の質量平均分子量としては120万以上200万以下であるとよい。2種の澱粉の分子量を上記範囲とすることで表面処理剤の粘性を好適な範囲に制御でき、塗布性を高めるとともに、澱粉の紙内部への浸透をより低減させることができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)を用いて測定した数値である。
【0065】
酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉の質量平均分子量が上記下限未満の場合は、塗布の際に、原紙内部にまでこの澱粉が浸透しやすくなり、その結果、表面強度が十分に向上しない場合がある。逆に、これらの質量平均分子量が上記上限を超える場合は、粘性が高まり、塗布性が低下するおそれがある。
【0066】
上記酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉の含有比は、質量基準で1:9以上9:1以下が好ましく、5:5以上7:3以下がより好ましい。2種の澱粉の含有比を上記範囲とすることで、好適な粘度に調製することができ、また、上述のエステル化反応等が効率的に進行することができると考えられ、その結果、澱粉の原紙内部への浸透を抑え、表面に強固な被膜を形成することができる。
【0067】
上記表面処理剤には、上記2種の澱粉以外に適宜、他の澱粉、PVA(ポリビニールアルコール)、ポリアクリルアミド、消泡剤、耐水化剤、表面サイズ剤、防腐剤等を含有することができる。これらの中でも、サイズ性を向上させるため、表面サイズ剤が含有されるとよい。
【0068】
なお、表面サイズ剤として、上記2種の澱粉と表面サイズ剤を共に用いることで、表面サイズ剤が表面に留りやすくなり、表面サイズ剤の添加量を低減することができる。また、表面サイズ剤の過剰添加により発生するオフセット印刷機での紙面汚れを抑制することができる。
【0069】
上記表面サイズ剤としては、公知のものが用いられ、例えば、スチレン系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ロジン等を使用することができるが、高いサイズ性、オフセット輪転印刷におけるインクとの相性、及び填料の脱落防止効果の点から、スチレン系サイズ剤が好ましい。酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉の含有比が質量基準で1:9以上9:1以下の澱粉に表面サイズ剤として、スチレン系サイズ剤を用いると、より澱粉を均一に塗工でき、表面強度を向上させ、填料の脱落を防止できるとともにスチレン系サイズ剤が紙表面に留まり、サイズ効果が高くなり好ましい。
【0070】
酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉合計の澱粉に対するスチレン系サイズ剤の配合比は、固形分で澱粉100質量部に対し、スチレン系サイズ剤5〜30質量部が好ましい。スチレン系サイズが5質量部を下回ると、紙のサイズ性及び表面強度の向上が充分に得られにくく、30質量部を上回ると、コスト高となったり、不透明度やインク乾燥性の低下を招く恐れがある。
【0071】
スチレン系サイズ剤としては、スチレンアクリル酸共重合体、スチレン(メタ)アクリル酸共重合体(なお、(メタ)アクリル酸は、「アクリル酸、及び/又はメタクリル酸」を意味する。)、スチレン(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンマレイン酸半エステル共重合体、スチレンマレイン酸エステル共重合体等を挙げることができる。
【0072】
上記表面処理剤のB型粘度としては、5cps以上80cps以下がよく、10cps以上40cps以下がさらに好ましい。当該印刷用紙によれば、塗布の際の表面処理剤の粘度を上記範囲とすることで、塗布性をさらに高めることができるとともに、澱粉の紙内部への浸透をより低減させることができる。表面処理剤の粘度が上記下限未満の場合は、塗布の際に澱粉等を含むこの表面処理剤が紙内部にまで浸透しやすく、その結果、表面強度の高い新聞用紙を得られにくくなる場合がある。逆に、この濃度が上記上限を超えると塗布時の作業性が低下したり、均一な塗布が困難になったりするおそれがある。
【0073】
表面処理剤の塗布量としては、紙の表面強度を充分に向上させるためには、原紙の表裏面に片面あたり乾燥質量で0.1〜2.0g/m、さらには0.3〜1.5g/mの量で塗布されていることが好ましい。0.1g/mを下回ると澱粉等による充分な被膜を得ることが困難となり、充分な紙の表面強度が得られない場合がある。一方2.0g/mを上回ると、塗布設備周辺に澱粉など表面処理剤のミストが多量に発生し、周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じるおそれがある。
【0074】
<原紙>
上記原紙は、通常、パルプ及び填料等を含むパルプスラリーを抄紙して得られる。
【0075】
上記パルプとしては、公知のものを用いることができ、古紙パルプ、バージンパルプ又はこれらの組み合わせたものを適宜用いることができる。なお、主成分として古紙パルプを用いることが、省資源化の観点からも好ましい。
【0076】
古紙パルプとしては、例えば、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ(DIP)又は離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
【0077】
これらの古紙パルプの中でも、新聞古紙由来の新聞古紙パルプ、雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプ等が好ましく、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプを混合して用いることが特に好ましい。かかる新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプは、古紙の回収率が高く、各製紙メーカーで新聞用紙、雑誌用紙を構成する原料パルプ種や填料類が近似していることから、原料構成の変動を抑えることができる点で好適である。特に、新聞古紙パルプは、新聞用紙には一般的に古紙パルプが既に50%以上配合され、バージンの機械パルプやクラフトパルプの含有量が少ないため、また、バージンの各種パルプが用いられていても、一度抄紙され、古紙処理により古紙パルプ化されているため、その性状は均質化し、ほぼ一定の性状を有している点で特に好ましい。
【0078】
バージンパルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。
【0079】
これらのバージンパルプの中でも、印刷用紙の製造において、古紙パルプを用いることによる嵩の低下を補完する効果を有する機械パルプ(MP)が好ましく、古紙から得る古紙パルプの調整に好適なサーモメカニカルパルプ(TMP)が特に好ましい。
【0080】
原料パルプにおける古紙パルプの含有量としては、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。原料パルプ中の古紙パルプの含有量を上記範囲とすることで、資源の有効利用等の環境性が向上し、さらにインキ着肉性等の印刷適性も向上する。逆に、原料パルプにおけるバージンパルプの含有量としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上が特に好ましい。バージンパルプの含有量が上記範囲未満では、嵩が出ず腰のない印刷用紙になり、搬送性や作業性が低下するおそれがある。
【0081】
上記填料としては、上述した複合粒子を含み、その他の例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水和ケイ素、ホワイトカーボン、再生粒子、シリカ複合再生粒子等を含んでもよい。
【0082】
<品質等>
当該印刷用紙の灰分は、5%以上13%以下であり、7%以上12%以下がより好ましい。当該印刷用紙は、灰分が上記範囲であるため高不透明度(白紙不透明度及び印刷不透明度)を有することに加え、多量に配合された填料が繊維の空隙を埋めていることで表面処理剤の浸透を抑えることができ、その結果、表面強度を高めている。
【0083】
従って、当該印刷用紙によれば、填料の含有量が多い(灰分が高い)にもかかわらず、逆に言えば、この填料の高含有量を利用し、表面強度を高め、その結果、優れた印刷作業性を発揮することができる。
【0084】
当該印刷用紙の坪量は、軽量化、例えば高速輪転印刷における紙質強度の確保、印刷不透明度の確保という点から、JIS−P8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定して、38g/m以上、さらには40g/m以上であることが好ましく、またその軽量化の点から、係る坪量は48g/m以下、さらには46g/m以下であることが好ましい。坪量が上記下限未満では、例えば高速オフセット輪転印刷機における強度確保が困難であり、上記上限を超えると、近年の軽量化、省資源に逆行することとなる。
【0085】
当該印刷用紙の白色度は、購読者の眼精疲労をきたさないように、JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定して、52%以上57%以下が好ましく、53%以上56%以下がさらに好ましい。
【0086】
当該印刷用紙の白紙不透明度は、裏抜けが発生し難いという点から高いものが求められるが、JIS−P8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠して測定した白紙不透明度の下限として90%が好ましく、92%が特に好ましい。また、白紙不透明度の上限としては、96%が好ましく、95%が特に好ましい。白紙不透明度が上記下限未満であると裏抜けが生じやすくなる。逆に、白紙不透明度が上記上限を超えると、必要な填料が増大し、その結果、パルプ繊維間の密着性が低下し、印刷用紙の強度が低下する。
【0087】
当該印刷用紙の印刷不透明度は、印刷時の裏抜けが発生し難いという点から高いものが求められるが、後述する印刷不透明度試験方法に準拠して測定した下限として90%が好ましく、91%が特に好ましい。また、印刷不透明度の上限としては、95%が好ましく、94%が特に好ましい。印刷不透明度が上記下限未満であると裏抜けが生じやすくなる。逆に、印刷不透明度が上記上限を超えると、必要な填料が増大し、その結果パルプ繊維間の密着性が低下し、印刷用紙の強度が低下したり、紙表面からの填料の脱落によって印刷時の紙紛が増加するだけでなく、製造工程におけるマシン系内の汚れが増大し操業性を悪化させる。
【0088】
<印刷用紙の製造方法>
当該印刷用紙は、公知の製造方法によって製造することができる。
【0089】
まず、上述のようにパルプスラリーを調整して抄紙して、原紙を得る。このパルプスラリーには、上記填料の他、例えば澱粉類、ポリアクリルアミド、エピクロルヒドリン等の紙力増強剤、ロジン、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等の内添サイズ剤、硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤、ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤などを含有することができる。
【0090】
上記抄紙により得られた原紙の両面に、上記表面処理剤を塗布される。表面処理剤の塗布には、製紙分野で一般に使用されている塗布装置、例えばサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコータ、バーコータ、ゲートロールコータ、ロッドコータ、エアナイフコータ等を用いることができる。
【0091】
上記表面処理剤の塗布の際の原紙の温度としては、35℃以上85℃以下が好ましく、40℃以上75℃以下がさらに好ましい。このような比較的高温の原紙の両面に表面処理剤を塗布することで、表面処理剤が原紙と接触した際に、2種の澱粉の結合反応等が生じることなどによって、紙内部の澱粉の浸透が抑えられ、表面に薄く高強度の被膜を形成することができる。原紙の温度が上記下限未満の場合は、澱粉が内部まで染み込みやすくなり、表面強度を十分に高めることができない場合がある。逆に、この温度が上記上限を超えると、塗布性が低下し、均一な被膜を形成できないおそれがある。
【0092】
表面処理剤を塗布し、乾燥した後には、一般に印刷適性(例えば、高平滑や高光沢)を付与する目的で、カレンダに通紙して加圧仕上げが施される。この場合のカレンダ装置としては、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトコンパクトカレンダなどの金属またはドラムと弾性ロールの組み合わせになる各種カレンダが、オンマシン又はオフマシン仕様で適宜使用できる。
【実施例】
【0093】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0094】
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
【0095】
[平均粒子径(単位:μm)]
レーザー回折粒度分布測定装置〔マイクロトラック/日機装社〕(型番:MT−3300)を使用し、(体積)平均粒子径(D50:μm)を測定した。測定試料の調製は、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に粒子を添加し、超音波で1分間分散した。
【0096】
[シリカ含有率(質量%)]
堀場製作所製のX線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150)を用い、加速電圧(15KV)にて元素分析を行い、含有する構成成分から炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ等の含有割合を推定し、シリカ被覆後のシリカ成分の含有率からシリカ含有率(質量%)を算出した。
【0097】
[吸油量(mL/100g)]
JIS−K5101−13−1(2004)に準じて測定した。すなわち105℃〜110℃で2時間乾燥した試料2g〜5gをガラス板に取り、精製アマニ油(酸価4以下のもの)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下しその都度ヘラで練り合わせ、滴下練り合わせの操作を繰り返し、全体が初めて1本の棒状にまとまったときを終点として、精製アマニ油の滴下量を求め、下記式(2)によって吸油量を算出した。
吸油量(mL/100g)
=[アマニ油量(mL)×100]/紙料(g) ・・・(2)
【0098】
[坪量(g/m)]
JIS−P8124(1998)に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
【0099】
[灰分(単位:%)]
JIS−P8251(2003)に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した。
【0100】
[白紙不透明度(単位:%)]
JIS−P8149(2000)「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠して測定した。
【0101】
[印刷不透明度(単位:%)]
JAPAN TAPPI No.45(2000)「新聞用紙−印刷後不透明度試験方法」に準拠し、測定機器ISO白色度計(スガ試験機社製)を用いて測定した。
【0102】
[白色度(単位:%)]
JIS−P8148(2001)「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
【0103】
[引張強度(縦)(単位:kN/m)]
JIS−P8113(2006)に記載の「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に準拠して測定した。
【0104】
[インキ着肉性]
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、小森コーポレーション社製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業社製)にて連続10000部の印刷を行った。得られた印刷物について、画像の鮮明さ及び濃淡ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:画像が鮮明で濃淡ムラが全くなく、インキ着肉性に優れる。
4:画像が鮮明で濃淡ムラが殆どなく、インキ着肉性が良好である。
3:一部に、画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがややある。
2:一部に、画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがあり、インキ着肉性が良好でない。
1:全体的に、画像が不鮮明で濃淡ムラが著しく、インキ着肉性に劣る。
【0105】
[ブランケット紙粉パイリング]
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−4、三菱重工業社製)を使用して50連巻きの印刷用紙にて両出し10万部の印刷を行い、印刷紙面のカスレとブランケット非画像部における紙粉の発生及び堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
5:紙面カスレと紙粉の発生が全く認められない。
4:紙面カスレがわずかに認められるがブランケット上での堆積は全く認められない。
3:紙面カスレがやや認められブランケット上での堆積が少し認められる。
2:紙面カスレの発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
1:紙面カスレとブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
【0106】
<製造例1>
平均粒子径2.2μmの炭酸カルシウム粒子(重質炭酸カルシウム)50質量部と、平均粒子径0.5μmの二酸化チタン粒子50質量部とを水に分散させ、17.4質量%(固形分濃度)の粒子スラリーを得た。この粒子スラリーに、凝集剤(ハイモ社製「ハイモロックFR−740」)を粒子固形分に対し固形分で1,750ppm添加し、凝集体スラリーを得た。
【0107】
上記凝集体スラリー(濃度17.4質量%)10,000kgを撹拌機付タンクに入れ、撹拌しながら珪酸ナトリウム水溶液(3号珪酸ナトリウム:SiO濃度29wt/wt%、NaO濃度9wt/wt%)1,320kgと希釈水を添加して、表1に記載の凝集粒子と珪酸分(SiO換算)の固形分比および珪酸アルカリと凝集粒子からなるスラリーの濃度(11質量%)に調製した。鉱酸として希硫酸(4規定)を添加撹拌し複合粒子スラリーを得た。スラリーの撹拌は公知のミキサーを使用し、スラリーのpHは、堀場製作所のpH計にて、反応温度は公知の温度計にて測定した。1次反応工程では、珪酸アルカリ水溶液と硫酸の中和率が33%になるように希硫酸を表1に示す時間で添加した。次に加熱撹拌してスラリーの液温を93℃に調製した。その後、2次反応工程では、希硫酸を表1の反応終了pHになるまで表1に示す鉱酸添加時間で添加してシリカを複合した複合粒子1を含む複合粒子スラリーを得た。得られた複合粒子1の平均粒子径は5.2μm、吸油量は63mL/100gであった。
【0108】
<製造例2〜12及び比較製造例1〜3>
表1に記載の炭酸カルシウム粒子、二酸化チタン粒子、これらの配合比(質量比)及びシリカ被覆における反応条件とした以外は、製造例1と同様にして、製造例2〜12及び比較製造例1〜3を行い、複合粒子1〜12及びi〜iiiを得た。なお、比較製造例1では、炭酸カルシウム粒子のみを凝集させた後、シリカ被覆し、比較製造例2では、二酸化チタン粒子のみを凝集させた後、シリカ被覆し、比較製造例3では、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを凝集させ、シリカ被覆は行わなかった。
【0109】
得られた各複合粒子のシリカ含有率、平均粒子径及び吸油量を表1に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
(実施例1)
離解・脱墨古紙パルプ(DIP)を80質量%、サーモメカニカルパルプ(TMP)を20質量%配合し、レファイナーでフリーネスを120mLC.S.F(JIS−P8121に準拠)に調整したパルプスラリーを得た。このパルプスラリーに対し、填料として、得られた複合粒子1を灰分が表1に示す値(11.8%)となるように添加し、絶乾パルプ100質量部あたり0.07質量部の凝集剤(ハイモ社製ハイモロックND270)及び0.05質量部の凝結剤(ハイモ社製ハイマックスSC924)を添加してツインワイヤー抄紙機で坪量42.3g/mの原紙を抄造した。
【0112】
更に、表面処理剤として酸化澱粉(日本食品加工社製 質量平均分子量70万)90質量部、ヒドロキシエチル化澱粉(HES:ペンフォード社製 質量平均分子量155万)10質量部を混合した澱粉液にスチレン系サイズ剤(星光PMC株式会社製「SS2712」)を固形分で澱粉100質量部に対しスチレン系サイズ剤を15質量部配合した(固形分濃度6%、B型粘度22cps)。この表面処理剤を表面温度50℃の上記原紙の両面に乾燥質量で1.2g/m2(片面あたりそれぞれ0.6g/m)塗工して実施例1の印刷用紙を得た。
【0113】
(実施例2〜15、及び比較例1〜5)
填料の種類、表面処理剤、灰分量を表1に示すとおりに代えたこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2〜15及び比較例1〜5の印刷用紙を得た。なお、比較例5では坪量が43.5g/mの原紙を用い、表面処理剤は塗布しなかった。
【0114】
(評価)
得られた各印刷用紙について、上記方法にて坪量、灰分、白紙不透明度、印刷不透明度、白色度、引張強度、インキ着肉性及びブランケット紙粉パイリングについて評価した。評価結果について、表2に示す。
【0115】
【表2】

【0116】
上記表2に示されるように、本発明の印刷用紙は、不透明度(白紙不透明度及び印刷不透明度)が高く、また、インキ着肉性及びブランケット紙粉パイリングの評価も高く印刷適性が高いことがわかる。さらに、本発明の印刷用紙は、白色度及び引張強度も高い。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の印刷用紙は、優れた不透明度及び印刷適性を有し、新聞用紙等に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
填料が内添され、両面に表面処理剤が塗工された印刷用紙であって、
上記填料として複合粒子を用い、
この複合粒子が、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体及びこの凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカを有し、
灰分が5%以上13%以下であることを特徴とする印刷用紙。
【請求項2】
上記表面処理剤が酸化澱粉及びヒドロキシエチル化澱粉を含有する請求項1に記載の印刷用紙。
【請求項3】
上記複合粒子におけるシリカの含有率が5質量%以上30質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の印刷用紙。
【請求項4】
上記複合粒子の平均粒子径が2μm以上15μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の印刷用紙。
【請求項5】
上記炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が0.5μm以上3μm以下であり、
上記二酸化チタン粒子の平均粒子径が0.2μm以上1μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印刷用紙。



【公開番号】特開2012−255231(P2012−255231A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128733(P2011−128733)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】