説明

印刷管理装置およびプログラム

【課題】
印刷ジョブに設定された印刷属性を変更させて印刷させる無理矢理プリントジョブを行った結果、ユーザが印刷出力結果に満足しなかった場合に対応する処理を行う印刷管理装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】
プリントサーバ200は、印刷装置300で印刷属性を変更した印刷出力が行われると、印刷装置300を操作するユーザに印刷出力結果に満足しなくて再印刷を希望するか否かを尋ね、ユーザが再印刷を希望する場合にはプリントサーバ200の203に保持する印刷出力された印刷ジョブを保留して、ユーザが再印刷を希望しない場合にはスプーラ203に保持する印刷出力された印刷ジョブを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の印刷装置には多種多様な印刷を行う為の様々な機能が備わっている。
【0003】
しかし、複数の異なる機種の印刷装置が配置されたネットワークでは、すべての印刷装置が高い印刷能力を備えているわけではない。
【0004】
それで、色々な機能を使った印刷を行わせる為の印刷属性が設定されている印刷ジョブを設定された印刷属性通りに印刷させる能力を持っていない印刷装置も存在することがある。
【0005】
また、ネットワーク内に印刷ジョブを保持するプリントサーバを備え、ネットワーク内のユーザ所望の印刷装置でユーザがユーザ認証を行って所望の印刷ジョブをその印刷装置から印刷出力させる技術も存在する。
【0006】
特許文献1には、印刷属性が設定された印刷ジョブについて、印刷装置の印刷能力に照らして印刷実行可能な条件を満たしているか否かを判断して、満たしていない場合には、その印刷ジョブの印刷属性を印刷実行可能な条件を満たすように変更して印刷出力を行う画像形成装置が提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、印刷属性が設定された印刷ジョブを印刷するための印刷能力を有する印刷装置をユーザに提示し、選択された印刷装置へ指定された印刷ジョブを転送して印刷処理させる画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記憶媒体が提案されている。
【特許文献1】特開2005−329624号公報
【特許文献2】特開2007−30354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザ所望の印刷装置でユーザがユーザ認証を行って所望の印刷ジョブをその印刷装置から印刷出力させる際に、印刷ジョブに設定された印刷属性を変更させて印刷させた場合、所望の出力結果が得られず印刷属性を再度考慮して印刷指示から繰り返さなければならないことがあった。また、所望の印刷出力結果が得られる他のプリンタへ印刷ジョブが転送されることにより、その場ですぐに印刷出力が得られないという問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の印刷管理装置は、印刷依頼を送信する印刷依頼装置と、認証した利用者の識別情報を含む出力要求を送信し、該出力要求に対して受信する印刷依頼を印刷出力する複数の出力装置間に接続され、前記印刷依頼装置からの印刷依頼を利用者識別情報に対応付けて保持する保持手段と、前記出力装置からの利用者識別情報を含む出力要求に基づき、該利用者識別情報に対応して前記保持手段に保持される印刷依頼を提示し、該提示した印刷依頼のうちの利用者により選択された印刷依頼を出力要求元の出力装置に送信する送信手段と、前記各出力装置の印刷機能属性情報を保持する属性情報保持手段と、前記送信手段により送信される印刷依頼の印刷属性と該送信先の出力装置の印刷機能属性が合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により送信した印刷依頼の印刷属性と送信先の出力装置の印刷機能属性が一致しないと判定された場合、この一致しないと判断されたことを示す情報と前記印刷依頼とを対応させた情報を出力する不一致情報出力手段と、前記一致しないと判断された印刷依頼を再印刷するか否かを問合せる問合せ手段と、前記問合せ手段による前記問い合わせに対する送信先の出力装置からの再印刷するか否かの選択指令に応じて、送信した印刷依頼の後処理を行う後処理手段とを具備するように構成される。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記後処理手段は、前記問合せに対して再印刷しない旨の選択指令を受信すると、送信した印刷依頼を削除し、前記問合せに対して再印刷する旨の選択指令を受信すると、送信した印刷依頼を保留するように構成される。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記問合せ手段は、前記印刷依頼の印刷属性と前記印刷機能属性情報とに基づき該印刷依頼を印刷属性の変更なく印刷可能な出力装置を特定しこの特定された出力装置の情報を提示するように構成される。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、前記後処理手段は、前記問合せに対して再印刷する旨の選択指令を受信した後の時間を計時する計時手段と、前記計時手段が所定の時間を計時する前に前記出力装置から受信した出力要求に含まれる利用者識別情報が前記保留中の印刷依頼に含まれる利用者識別情報と一致する場合、該保留中の印刷依頼を当該出力要求元の出力装置に送信するように構成される。
【0013】
また、請求項5の発明のプログラムは、印刷依頼を送信する印刷依頼装置と、認証した利用者の識別情報を含む出力要求を送信し、該出力要求に対して受信する印刷依頼を印刷出力する複数の出力装置間に接続される印刷管理装置を機能させるためのプログラムであって、前記印刷管理装置を、前記印刷依頼装置からの印刷依頼を利用者識別情報に対応付けて保持する保持手段、前記出力装置からの利用者識別情報を含む出力要求に基づき、該利用者識別情報に対応して前記保持手段に保持される印刷依頼を提示し、該提示した印刷依頼のうちの利用者により選択された印刷依頼を出力要求元の出力装置に送信する送信手段、前記各出力装置の印刷機能属性情報を保持する属性情報保持手段、前記送信手段により送信される印刷依頼の印刷属性と該送信先の出力装置の印刷機能属性が合致するか否かを判定する判定手段、前記判定手段により送信した印刷依頼の印刷属性と送信先の出力装置の印刷機能属性が一致しないと判定された場合、この一致しないと判断されたことを示す情報と前記印刷依頼とを対応させた情報を出力する不一致情報出力手段、前記一致しないと判断された印刷依頼を再印刷するか否かを問合せる問合せ手段、前記問合せ手段による前記問い合わせに対する送信先の出力装置からの再印刷するか否かの選択指令に応じて、送信した印刷依頼の後処理を行う後処理手段として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、印刷属性を変更して印刷出力した後に再印刷するか否かがユーザに問い合わされる。
【0015】
請求項2の発明によれば、印刷属性を変更して印刷出力した後にユーザが再印刷を希望する場合には印刷ジョブが印刷管理装置に保留される。
【0016】
請求項3の発明によれば、印刷属性を変更しないで印刷出力できる出力装置を出力装置を操作するユーザに提示することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、印刷属性を変更して印刷出力した後にユーザが再印刷を希望する場合に、ユーザが印刷属性を変更しないで印刷出力できる出力装置からユーザ認証を行うと、その出力装置から再印刷される。
【0018】
請求項5の発明によれば、印刷属性を変更して印刷出力した後に再印刷するか否かがユーザに問い合わされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
まず、印刷システム1について図1を参照して説明する。
【0021】
図1は、印刷システム1の構成を示す模式図である。
【0022】
印刷システム1は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ100(以下、PC100と呼ぶ)、プリントサーバ200、印刷装置A(300−1)、印刷装置B(300−2)、印刷装置C(300−3)とが通信回線2によって接続されている(印刷装置を総称して呼ぶ場合は印刷装置300と呼ぶ)。
【0023】
PC100は、制御部101、記憶部102を有するパーソナルコンピュータであり、印刷システム1内の印刷装置300のプリンタドライバを有している。
【0024】
各PC100には、プリントサーバ200上のプリントキューに対応するプリンタアイコンが設置され、ユーザは、このアイコンに印刷ジョブを投入することで、印刷ジョブがプリントサーバ200上のプリントキューに送信され、複数の印刷装置300のどこからでもプリントサーバ200上のプリントキューがアクセス可能であり複数の印刷装置300のどこからでも印刷出力を指示できるようになる。
【0025】
プリントサーバ200は、PC100から送信される印刷ジョブを印刷装置300に転送する印刷ジョブ管理サーバである。
【0026】
印刷装置300は、プリントサーバ200に保持される印刷ジョブを送信してもらい印刷出力する印刷装置である。
【0027】
印刷装置300には、認証部301、操作/表示部302が備えられる。
【0028】
認証部301は、ICカード読取装置であり、ユーザの社員証(ICカード)に記録されるユーザ識別情報を読み取って、プリントサーバ200にユーザを識別する情報であるユーザIDを送信してユーザ認証要求を行う。
【0029】
操作/表示部302は、液晶のタッチパネルで構成されるユーザインタフェースである。
【0030】
各印刷装置300では、プリントサーバ200が参照可能な状態となっている。これは、各印刷装置300に参照先のプリントサーバ200を予め設定するようにしてもよいし、ユーザにより選択させるようにしてもよい。ユーザが社員証を認証部301にかざす。すると、ユーザの社員証に記録されるユーザIDがプリントサーバ200に送信され、ユーザIDをもった印刷ジョブまたは当該ユーザIDに対応するユーザが印刷可能な印刷ジョブであってプリントサーバ200に蓄積されている印刷ジョブのジョブリストが生成され、プリントサーバ200から、社員証が認証部301にかざされた印刷装置300へこのジョブリストが送られる。
【0031】
ジョブリストが送られた印刷装置300は、操作/表示部302にジョブリストを表示させる。
【0032】
認証を行ったユーザは、操作/表示部302に表示されるジョブリストから所望の印刷ジョブを選択してプリントサーバ200に保持された印刷ジョブの印刷出力要求を行う。
【0033】
すると、プリントサーバ200に保持される印刷ジョブであってユーザによって印刷出力要求された印刷ジョブが、社員証がかざされた認証部301を有する印刷装置300へ送られる。
【0034】
このようにして、ユーザは、PC100より送信した印刷ジョブを、印刷システム1内のいずれかの印刷装置300で印刷させる。
【0035】
このようにして印刷ジョブの印刷出力は行われるが、印刷システム1では、印刷装置A(300−1)と印刷装置B(300−2)と印刷装置C(300−3)とでは、印刷能力や備えているオプションが異なっている。
【0036】
具体的には、図2に示すように、印刷装置A(300−1)は「白黒印刷、フィニッシャなし」であり、印刷装置B(300−2)は「カラー/白黒印刷、フィニッシャなし」であり、印刷装置C(300−3)は「カラー/白黒印刷、フィニッシャあり」である。
【0037】
このように複数の各印刷装置300の間で印刷能力が異なっているから、PC100から送信された印刷ジョブに設定されている印刷属性を忠実に反映した印刷が全ての印刷装置300で行われるわけではない。
【0038】
印刷ジョブの印刷属性と印刷装置300の印刷能力や備えているオプションを示す情報である印刷機能属性情報とが一致しない場合には、印刷ジョブの印刷属性を印刷装置300の印刷能力に合わせるように変更が行われて印刷される無理矢理プリントが可能となる。
【0039】
例えば、印刷ジョブの印刷属性には「ステープル」の指示があるのに、印刷装置A(300−1)で出力される場合には、その印刷ジョブを「ステープル」なしの状態で無理矢理印刷装置A(300−1)より出力することができる。
【0040】
印刷システム1では、このような無理矢理プリントが行われた後にユーザが印刷結果に満足しなかったか否かを確認する操作画面を印刷装置300の操作/表示部302に表示させる。ユーザが印刷結果に満足した場合は、ユーザは「完了」を示す情報を指示し、印刷結果に満足しない場合には、印刷属性を変更せずに印刷可能な他の印刷装置300で再出力させる「再出力」の指示を行う。
【0041】
次に、プリントサーバ200の構成について図3を参照して説明する。
【0042】
プリントサーバ200は、制御部201、記憶部202、スプーラ203、デバイス能力情報記憶部204、ユーザ情報認証部205、ジョブリスト生成部206、出力ジョブ制御部207、印刷属性不一致ジョブ判定部208、印刷属性不一致ジョブリスト記憶部209、印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210、対応デバイス検索部211を有している。
【0043】
制御部201は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、プリントサーバ200を統括的に制御する。
【0044】
記憶部201は、不揮発性メモリで構成され、プリントサーバ200を動作させるソフトフウェア等を記憶する。
【0045】
スプーラ203は、PC100から送信された印刷ジョブを保持し、印刷装置300からの印刷出力要求に応じて印刷ジョブを印刷装置300に転送する。
【0046】
デバイス能力情報記憶部204は、プリントサーバ200から印刷ジョブを印刷出力することができる複数の印刷装置300の各々について、印刷装置固有の印刷能力や備えているオプション(フィニッシャあり、カラー出力可能等)の情報を保持する。
【0047】
ユーザ情報認証部205は、印刷装置300からのユーザ認証要求を受け、ユーザIDを特定し、ユーザがプリントサービスを使用可能かを判定する。
【0048】
ジョブリスト生成部206は、ユーザ情報認証部205の認証結果から得られたユーザIDに対応付いた印刷ジョブをスプーラ203から検索し、印刷ジョブ各々のジョブ情報のリストであるジョブリストを作成する。
【0049】
この際、ジョブリストに含まれる各ジョブ情報を元に得られる各ジョブ毎の印刷属性と、およびジョブリストの要求元(ユーザ認証要求元)である印刷装置300の印刷装置名(個々の印刷装置300の識別情報となる)とを印刷属性不一致ジョブ判定部208に渡す。
【0050】
印刷属性不一致とは、印刷ジョブの印刷属性と印刷装置の印刷能力とが比較されて、印刷属性を変更しなければその印刷装置では印刷出力することができない場合の印刷ジョブについていう。
【0051】
その結果、印刷属性不一致と判定された印刷ジョブについては、ジョブ情報にその旨を追加した上でジョブリストを生成し、ジョブリストの要求元(ユーザ認証要求元)の印刷装置300に通知する。
【0052】
出力ジョブ制御部207は、プリントサーバ200から印刷装置300に送られて操作/表示部302に表示されるジョブリストよりユーザによって選択された印刷ジョブの印刷出力要求を受け付け、選択された印刷ジョブに対する印刷開始をスプーラ203に指示するが、選択された印刷ジョブが印刷属性不一致と判定されている印刷ジョブである場合には、保留状態でスプーラ203に保持する条件を追加して印刷開始をスプーラ203に指示し、その印刷属性不一致と判定されている印刷ジョブのジョブ情報を印刷属性不一致ジョブリスト記憶部209に保持させる。
【0053】
また、出力ジョブ制御部207は、選択された印刷ジョブの印刷出力完了を検知した際には、その旨を印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210に通知する。
【0054】
印刷属性不一致ジョブ判定部208は、印刷ジョブの印刷属性と印刷装置300の印刷装置名とを受け取り、印刷能力情報記憶部204からその印刷装置名に対応する印刷装置300の印刷能力の情報を取得する。
【0055】
そして、印刷属性不一致ジョブ判定部208は、取得した印刷能力では受け取った印刷属性を満たす印刷を実行することができないと判定すると、印刷属性不一致との判定結果をジョブリスト生成部206に返す。
【0056】
印刷属性不一致ジョブリスト記憶部209は、出力ジョブ制御部207から受領した印刷属性不一致である印刷ジョブのジョブ情報を保持する。
【0057】
印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210は、出力ジョブ制御部207からの印刷出力完了通知を受け、印刷属性不一致ジョブリスト記憶部209にアクセスし、印刷出力完了した印刷ジョブのジョブ情報が保持されていないか確認し、もし保持されていた場合にはその印刷ジョブについての無理矢理プリントジョブリストを作成し、その印刷ジョブを印刷出力した印刷装置300に対して無理矢理プリントジョブリストを送信する。
【0058】
無理矢理プリントジョブリストには、ユーザに「今回の印刷属性不一致ジョブの印刷出力結果に満足したか?」を尋ねる内容と、「今回の印刷属性不一致ジョブの印刷出力で変更された印刷属性」と「今回出力された印刷属性不一致ジョブを印刷属性変更せずに、印刷ジョブの印刷属性通りに印刷出力が可能な印刷装置300の印刷装置名」の提示などが含まれる。印刷属性を変更せずに印刷可能な印刷装置300を検索するために、印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210は、属性不一致ジョブリスト記憶部209に記憶されたジョブ情報を取り出して対応印刷装置検索部211に入力し、そのジョブ情報に記される印刷ジョブの印刷属性を変更せずに印刷出力可能な印刷装置300の印刷装置名を得る。
【0059】
そして、無理矢理プリントジョブリストを送信した印刷装置300から「印刷属性不一致ジョブの印刷出力結果に満足した」との通知が受領された場合には、印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210は、属性不一致ジョブリスト記憶部209に記憶されたジョブ情報に対応する印刷ジョブをスプーラ203から削除する。
【0060】
対応デバイス検索部211は、入力されたジョブ情報に記される印刷属性を元に印刷装置能力情報記憶部204にアクセスし、その印刷属性を変更せずに印刷出力可能な印刷装置300を検索して返す。
【0061】
次に、印刷システム1で行われる処理をプリントサーバ200での処理を主に図4を参照して説明を行う。
【0062】
図4は、印刷システム1で行われる処理についてプリントサーバ200での処理を主に示したフローチャートである。
【0063】
図4に示すように、プリントサーバ200が、PC100よりユーザAによって送信された印刷ジョブを受信すると(ステップ401)、その印刷ジョブはスプーラ203に保持される(ステップ402)。
【0064】
ユーザAがPC100から送信させた印刷ジョブに設定された印刷属性は、各々、図5に示すように、「ジョブ1:白黒印刷指定あり、フィニッシャ指定なし」、「ジョブ2:カラー印刷指定あり、フィニッシャ指定なし」、「ジョブ3:白黒印刷指定あり、フィニッシャ指定あり(ステープル)」、「ジョブ4:白黒印刷指定あり、フィニッシャ指定なし」、「ジョブ5:カラー印刷指定あり、フィニッシャ指定なし」、「ジョブ6:白黒指定あり、フィニッシャ指定あり(ステープル)」である。
【0065】
これら6つの印刷ジョブをPC100より送信させたユーザAは、印刷出力を所望する印刷装置A(300−1)に出向いて、自らの社員証を認証部301にかざしてユーザ認証要求を行う。
【0066】
認証部301は、ユーザAの社員証より読み取ったユーザIDを印刷装置A(300−1)の識別情報(印刷装置名)と共にプリントサーバ200に送ってユーザ認証要求を行う。
【0067】
プリントサーバ200は、印刷装置A(300−1)よりユーザ認証要求を受け付けると(ステップ403)、ユーザ情報認証部205がユーザAが印刷システム1のサービスを使用可能か否かを判定する。
【0068】
そして、ユーザAの使用可能が判定されると、ジョブリスト生成部206が、スプーラ203に保持されているユーザAの印刷ジョブについてジョブリストを生成する(ステップ404)。
【0069】
ジョブリスト生成部206は、前述で説明したように、スプーラ203に保持されているユーザAの印刷ジョブの各々について、印刷属性不一致ジョブ判定部208に印刷属性不一致ジョブか否かを判定させ、印刷属性不一致ジョブと判定された印刷ジョブについては、その旨を生成するジョブリストに反映させる。その際、ジョブリスト生成部206は、各々の印刷ジョブのサムネイル画像を生成してジョブリストに反映させる。
【0070】
そして、生成されたジョブリストがプリントサーバ200から印刷装置A(300−1)に送信されて(ステップ405)、印刷装置A(300−1)の操作/表示部302に表示される。
【0071】
印刷装置A(300−1)の操作/表示部302に表示されるジョブリストには、図6に示すように、各々の印刷ジョブのサムネイル画像、ジョブ名、印刷属性警告内容、出力ジョブが示される。
【0072】
ジョブリストに含まれる印刷属性警告内容とは、その印刷ジョブをユーザAが印刷出力を所望する印刷装置A(300−1)で印刷出力させた場合に、印刷ジョブの印刷属性が変更されて印刷出力されるときにはその変更内容について書かれた内容である。
【0073】
例えば、印刷装置A(300−1)の印刷能力は「白黒印刷可能、フィニッシャなし」なので、図5を参照して説明した印刷属性をもつ印刷ジョブを印刷出力する場合には、ジョブ2についてはカラー属性が無視されるように印刷属性変更され、ジョブ3についてはステープル属性が無視されるように印刷属性変更され、ジョブ5についてはカラー属性が無視されるように印刷属性変更され、ジョブ6についてはステープル属性が無視されるように印刷属性変更されることになる。
【0074】
また、ジョブリストに含まれる印刷ジョブの欄は、ユーザAが、ジョブリストを確認して、印刷出力所望の印刷ジョブとして選択するチェックを入れる欄である。
【0075】
このように印刷装置A(300−1)の操作/表示部302に表示されるジョブリストより、ユーザAは、図6に示すように、ジョブ1、ジョブ2、ジョブ3を印刷出力所望の印刷ジョブとして選択する。
【0076】
ユーザAによって選択された印刷出力所望の印刷ジョブの情報はプリントサーバ200に送信され、印刷装置A(300−1)による印刷出力要求が行われる。
【0077】
印刷出力要求を受信したプリントサーバ200では、出力ジョブ制御部207が前述のように、ユーザAによって選択された印刷ジョブに対する印刷開始をスプーラ203に指示するが、印刷属性不一致と判定された印刷ジョブについてはスプーラ203に印刷ジョブが保持された状態(ステップ406)で印刷装置A(300−1)にその印刷ジョブが送られる(ステップ407)。印刷属性不一致と判定されていない印刷ジョブは、スプーラ203に保持されることなく、印刷装置A(300−1)に送られる(ステップ407)。
【0078】
図6に示すように、ジョブ1、ジョブ2、ジョブ3の印刷出力要求が行われた場合には、ジョブ2、ジョブ3の印刷ジョブがスプーラ203に保持された状態で、プリントサーバ200から印刷装置A(300−1)へ、ジョブ1、ジョブ2、ジョブ3の印刷ジョブが送られる。
【0079】
印刷装置A(300−1)に送られた印刷ジョブは印刷出力されるが、予め図6を参照して説明したジョブリストの印刷属性警告内容に表示されたように、ジョブ2についてはカラー属性が変更されて白黒印刷で印刷出力され、ジョブ3についてはステープル処理されずに印刷出力される。
【0080】
とにかく印刷出力がされると、印刷装置A(300−1)からプリントサーバ200に印刷完了の通知が行われる。
【0081】
印刷完了通知を受領したプリントサーバ200では、出力ジョブ制御部207が、ステップ407で送信した印刷ジョブの印刷完了を検知して、その旨を印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210に通知する。
【0082】
そして、印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210では、前述したように、印刷属性不一致ジョブの印刷属性を変更せずに印刷出力可能な印刷装置300が対応印刷装置検索部211で検索されて、ユーザに「今回の印刷属性不一致ジョブの印刷出力結果に満足したか?」を尋ねる内容と、「今回の印刷属性不一致ジョブの印刷出力で変更された印刷属性」の内容と、「今回印刷出力された印刷属性不一致ジョブを印刷属性変更せずに印刷出力可能な印刷装置300の印刷装置名」とが含まれる無理矢理プリントジョブリストが作成されて(ステップ408)印刷装置A(300−1)に送信される(ステップ409)。
【0083】
無理矢理プリントジョブリストが送信された印刷装置A(300−1)では、操作/表示部302に、図7に示すように無理矢理プリントジョブリストが表示される。
【0084】
図7は、操作/表示部302に表示される無理矢理プリントジョブリストを示した模式図である。
【0085】
図7に示すように、無理矢理プリントジョブリストには、「印刷出力された印刷属性不一致ジョブは次の通りです。印刷結果に満足しましたか?」とユーザに印刷属性不一致ジョブの印刷結果に満足したかを尋ねる文章が表示され、それら印刷ジョブの各々について、ジョブ名、変更された印刷属性、印刷属性変更せずに印刷出力可能な印刷装置名、要ジョブ保留、サムネイル画像が表示される。
【0086】
無理矢理プリントジョブリストに表示される「変更された印刷属性」とは、その印刷ジョブが印刷装置A(300−1)で印刷出力される際に変更された印刷属性を示す内容であり、例えば図7に示すように、ジョブ2の印刷ジョブでは、カラー印刷と指定された印刷属性が白黒印刷に変更されて印刷装置A(300−1)より印刷出力されたことが表示され、また、ジョブ3の印刷ジョブでは、ステープルと指定された印刷属性がステープルオフと変更されて印刷装置A(300−1)より印刷出力されたことが表示される。
【0087】
また、無理矢理プリントジョブリストに表示される「印刷属性変更せずに印刷出力可能な印刷装置名」とは、印刷属性が変更されて印刷装置A(300−1)より印刷出力された印刷ジョブを印刷属性変更せずに印刷出力することができる印刷装置の名前のことである。例えば図7に示すように、ジョブ2の印刷ジョブは、印刷装置A(300−1)ではカラーの印刷属性が白黒に変更されて印刷出力されたのに対して、印刷装置B(300−1)、印刷装置C(300−3)ではカラーの印刷属性を変更せずにカラー印刷が可能であることが示される。また、例えば図7に示すように、ジョブ3の印刷ジョブは、印刷装置A(300−1)ではステープルの印刷属性がオフにされて印刷出力されたのに対して、印刷装置C(300−3)ではステープルの機能が行われる印刷が可能であることが示される。
【0088】
また、無理矢理プリントジョブリストには、ユーザへのメッセージとして図7に示すように、「これらのジョブを別のデバイスから再出力したい場合、“要ジョブ保留”をチェックしてください。チェックしてOKを押下すると、ジョブが保留され、上記のプリンタにて正しく出力し直すことができます。チェックしてOK(リスト出力)を押下した場合には、上記の出力可能なプリンタリストが印刷出力されます。」と表示される。
【0089】
また、無理矢理プリントジョブリストに表示される「要ジョブ保留」の欄とは、図7に示すメッセージのように、ユーザが印刷装置A(300−1)での印刷属性を変更した印刷出力結果に満足できずに、印刷属性を変更せずに別の印刷装置300での再印刷を所望する場合に、再印刷を所望する印刷ジョブを指定する欄である。
【0090】
この「要ジョブ保留」でチェックされた印刷ジョブは、プリントサーバのスプーラ203より削除されずにスプーラ203に保留されたままとなり、別の印刷装置300からの再印刷が可能となる。
【0091】
ユーザAは、操作/表示部302に表示された図7を参照して説明した無理矢理プリントジョブリストから、印刷属性が変更されて印刷装置A(300−1)より印刷出力された印刷結果に満足できずに別の印刷装置300での再印刷を所望する印刷ジョブの「要ジョブ保留」の欄にチェックを入れて、画面上のOKボタン或いはOK(リスト出力)ボタンを押下する。
【0092】
OK(リスト出力)ボタンが出力された場合には、図8に示すように、ユーザAがジョブ保留として選択した印刷ジョブについての無理矢理プリントジョブに表示された内容が印刷出力される。
【0093】
図8は、ユーザAが図7に示すようにジョブ3を要ジョブ保留と選択してOK(リスト出力)ボタンを押下げた後に印刷装置A(300−1)より印刷出力される用紙を示した模式図である。
【0094】
ユーザAは、図8に示すように印刷出力される用紙に記載される「印刷属性変更せずに出力可能な印刷装置」に基づき、その印刷装置に出向いて再印刷出力を要求することができる。
【0095】
印刷装置A(300−1)の操作/表示部302より、「要ジョブ保留」の欄にチェックが入れられてOKボタン或いはOK(リスト出力)ボタンが押下されると、「要ジョブ保留」の欄のユーザAの選択結果がプリントサーバ200に送られる。
【0096】
プリントサーバ200では、無理矢理プリントジョブの「要ジョブ保留」の欄のユーザAの選択結果を受信すると、印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210が、ステップ408で作成した無理矢理プリントジョブリスト中の印刷ジョブの中で、ユーザAから「要ジョブ保留」とされた印刷ジョブをユーザAが満足しなかった印刷ジョブと判断し、ユーザAから「要ジョブ保留」とされなかった印刷ジョブをユーザAが満足した印刷ジョブと判断する。
【0097】
そして、ユーザAが満足しなかった「要ジョブ保留」とされた印刷ジョブは、ユーザAが再印刷をする旨を提示したと判断され、ユーザAが満足した「要ジョブ保留」とされなかった印刷ジョブは、ユーザAが再印刷しない旨を提示したと判断される。
【0098】
そして、印刷属性不一致ジョブ後処理判定部210は、ユーザAが満足した印刷ジョブをスプーラ203より削除する(ステップ410)。
【0099】
ユーザAが満足しなかった印刷ジョブはスプーラ203より削除されないで保留される(ステップ410)。
【0100】
このように、印刷システム1では、印刷属性が変更されて印刷出力された後に、ユーザに印刷出力結果についての満足が尋ねられ、ユーザが満足しなかった場合には別の印刷装置300から印刷出力が行えるようにプリントサーバ200のスプーラ203に印刷ジョブが保持されたままとなる。
【0101】
また、プリントサーバ200では、印刷装置A(300−1)から、無理矢理プリントジョブの「要ジョブ保留」の欄のユーザAの選択結果を受信した時点で、時間が計測され始める(ステップ411)。
【0102】
そして、所定の時間である5分以内に(ステップ412でNO)、ユーザAが満足しないとしてスプーラ203に保持され続けている印刷ジョブを印刷属性変更せずに印刷可能な印刷装置C(300−3)(図7に示すように要ジョブ保留された印刷ジョブを印刷属性変更せずに印刷出力可能な印刷装置は印刷装置Cである)から、ユーザAによるユーザ認証要求を受け付けた場合には(ステップ413でYES)、その印刷装置C(300−3)にユーザAに関するジョブリストを送信せずに、ステップ410でユーザAが満足しないとしてスプーラ203に保持され続けている印刷ジョブであるジョブ3をその印刷装置C(300−3)に送信する(ステップ414)。
【0103】
ステップ414で送信された印刷ジョブは、その印刷装置C(300−3)で、印刷属性が変更されずに印刷出力される。
【0104】
このように、最初に印刷出力して操作/表示部302に表示された無理矢理プリントジョブリストより印刷属性を変更せずに再印刷を所望するユーザは、無理矢理プリントジョブリストで、再印刷を所望する印刷ジョブの要ジョブ保留の欄にチェックを入れてOKボタン或いはOK(リストボタン)を押下げ、その後、無理矢理プリントジョブリストに表示された再印刷を所望する印刷ジョブを印刷属性変更せずに印刷出力可能な印刷装置300に出向いて、出向いた印刷装置300の認証部301に社員証をかざすユーザ認証要求を行えばその印刷装置より所望の印刷ジョブが印刷属性変更されずに印刷出力される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
この発明は、印刷管理装置およびプログラムにおいて利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】印刷システム1の構成を示す模式図。
【図2】印刷装置300の印刷能力を示す表。
【図3】プリントサーバ200の構成を示すブロック図。
【図4】印刷システム1で行われる処理についてプリントサーバ200での処理を主に示したフローチャート。
【図5】印刷ジョブに設定された印刷属性を示す表。
【図6】操作/表示部302に表示されるジョブリストを示す表。
【図7】無理矢理プリントジョブリストを示す模式図。
【図8】ジョブ保留と選択された印刷ジョブの内容が記された印刷出力される用紙を示した模式図。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷システム
100 パーソナルコンピュータ
200 プリントサーバ
201 制御部
202 記憶部
203 スプーラ
204 印刷装置能力情報記憶部
205 ユーザ情報認証部
206 ジョブリスト生成部
207 出力ジョブ制御部
208 印刷属性不一致ジョブ判定部
209 印刷属性不一致ジョブリスト記憶部
210 印刷属性不一致ジョブ後処理判定部
211 対応印刷装置検索部
300 印刷装置
301 認証部
302 操作/表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷依頼を送信する印刷依頼装置と、認証した利用者の識別情報を含む出力要求を送信し、該出力要求に対して受信する印刷依頼を印刷出力する複数の出力装置間に接続され、
前記印刷依頼装置からの印刷依頼を利用者識別情報に対応付けて保持する保持手段と、
前記出力装置からの利用者識別情報を含む出力要求に基づき、該利用者識別情報に対応して前記保持手段に保持される印刷依頼を提示し、該提示した印刷依頼のうちの利用者により選択された印刷依頼を出力要求元の出力装置に送信する送信手段と、
前記各出力装置の印刷機能属性情報を保持する属性情報保持手段と、
前記送信手段により送信される印刷依頼の印刷属性と該送信先の出力装置の印刷機能属性が合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により送信した印刷依頼の印刷属性と送信先の出力装置の印刷機能属性が一致しないと判定された場合、この一致しないと判断されたことを示す情報と前記印刷依頼とを対応させた情報を出力する不一致情報出力手段と、
前記一致しないと判断された印刷依頼を再印刷するか否かを問合せる問合せ手段と、
前記問合せ手段による前記問い合わせに対する送信先の出力装置からの再印刷するか否かの選択指令に応じて、送信した印刷依頼の後処理を行う後処理手段と
を具備する印刷管理装置。
【請求項2】
前記後処理手段は、
前記問合せに対して再印刷しない旨の選択指令を受信すると、送信した印刷依頼を削除し、
前記問合せに対して再印刷する旨の選択指令を受信すると、送信した印刷依頼を保留する
請求項1記載の印刷管理装置。
【請求項3】
前記問合せ手段は、
前記印刷依頼の印刷属性と前記印刷機能属性情報とに基づき該印刷依頼を印刷属性の変更なく印刷可能な出力装置を特定しこの特定された出力装置の情報を提示する請求項1または2記載の印刷管理装置。
【請求項4】
前記後処理手段は、
前記問合せに対して再印刷する旨の選択指令を受信した後の時間を計時する計時手段と、
前記計時手段が所定の時間を計時する前に前記出力装置から受信した出力要求に含まれる利用者識別情報が前記保留中の印刷依頼に含まれる利用者識別情報と一致する場合、該保留中の印刷依頼を当該出力要求元の出力装置に送信する請求項2または3記載の印刷管理装置。
【請求項5】
印刷依頼を送信する印刷依頼装置と、認証した利用者の識別情報を含む出力要求を送信し、該出力要求に対して受信する印刷依頼を印刷出力する複数の出力装置間に接続される印刷管理装置を機能させるためのプログラムであって、
前記印刷管理装置を、
前記印刷依頼装置からの印刷依頼を利用者識別情報に対応付けて保持する保持手段、
前記出力装置からの利用者識別情報を含む出力要求に基づき、該利用者識別情報に対応して前記保持手段に保持される印刷依頼を提示し、該提示した印刷依頼のうちの利用者により選択された印刷依頼を出力要求元の出力装置に送信する送信手段、
前記各出力装置の印刷機能属性情報を保持する属性情報保持手段、
前記送信手段により送信される印刷依頼の印刷属性と該送信先の出力装置の印刷機能属性が合致するか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により送信した印刷依頼の印刷属性と送信先の出力装置の印刷機能属性が一致しないと判定された場合、この一致しないと判断されたことを示す情報と前記印刷依頼とを対応させた情報を出力する不一致情報出力手段、
前記一致しないと判断された印刷依頼を再印刷するか否かを問合せる問合せ手段、
前記問合せ手段による前記問い合わせに対する送信先の出力装置からの再印刷するか否かの選択指令に応じて、送信した印刷依頼の後処理を行う後処理手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−224618(P2010−224618A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68116(P2009−68116)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】